説明

情報処理装置、情報処理装置の制御方法、およびプログラム

【課題】周囲光の強度に関わらずセンサの許容量が飽和せずに安定した動作を可能にする。
【解決手段】発光動作を行う発光部と、発光部から発せられた光を検出する画像センサと、発光動作が行われていない場合に画像センサにより検出される周囲光の光量に対する、発光部の光量の比が閾値以上となるように発光部の発光量を制御する第1の制御部と、発光量に応じて、画像センサが光を検出可能なシャッタ開放期間を、発光動作が行われている場合の画像センサの検出値が許容範囲内となるように制御する第2の制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
指示具(例えば、専用入力ペン、指等)を用いた指示により座標入力面に対して座標を入力することによって、文字や図形などを画面上に書き込みできる情報処理装置として、座標入力装置が存在する。座標入力装置は、特殊な器具などを用いずに画面上でパーソナルコンピュータ等の端末の操作を簡便に行うことができるため、タッチパネルとして各種座標入力方式を用いて製品化されている。座標入力方式は、抵抗膜を用いる方式、超音波を用いる方式、遮光方式など様々な方式が存在するが、遮光方式として特許文献1乃至3が開示されている。
【0003】
特許文献1では、座標入力領域の外側に再帰性反射シートを設け、座標入力領域の角端部に配置された光を照明する照明部と、照明された光を受光する受光部とによって、座標入力領域内において指等の光を遮蔽する遮蔽物と受光部との角度を検出し、その検出結果に基づいて、遮蔽物の指示位置を決定する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2および特許文献3では、再帰反射部材を座標入力領域周辺に構成し、再帰反射光が遮光される部分(遮光部分)の座標を検出する座標入力装置が開示されている。特許文献2では、微分等の波形処理演算によって受光部が受光する遮蔽物による遮光部分のピークを検出することにより、受光部に対する遮光部分の角度を検出し、その検出結果からその遮蔽物の座標を算出している。また、特許文献3では、特定のレベルパターンとの比較によって遮光部位の一方の端と他方の端とを検出し、それらの座標の中心を検出している。
【0005】
一方、特許文献4では、液晶ディスプレイの表示を見やすくするために、周囲光の強さに従ってバックライトの発光強度を制御する構成が開示されている。
【0006】
遮光方式の座標入力装置では、受光部は、座標入力領域内の遮蔽物の指示位置を算出できる程度の光量分布を必要とする。遮蔽物の指示位置を算出可能な光量分布は、光を照明する部分の発光強度、再帰反射部材の再帰反射効率、受光部の受光感度などにより決定される。さらに、強い周囲光が受光部に照射されるような使用環境であっても、発光部からの光によって得られる受光部の光量分布によって遮蔽物の指示位置を算出できる必要がある。この周囲光の強さに関わらず遮蔽物の指示位置を算出可能にするには、想定される周囲光の最大の強さに対応するように発光部の発光強度を制御する構成が可能である。具体的には、周囲光が強い場合には発光部の発光強度を大きくし、発光部からの光量と周囲光による光量との比率が所定値以上になるように制御すればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4507557号公報
【特許文献2】特開2000−105671号公報
【特許文献3】特開2001−142642号公報
【特許文献4】特開2010−117613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の遮光方式の座標入力装置では、周囲光の強さに応じて発光部の発光強度を制御することにより、周囲光による光量と発光部による光量との合計光量が、受光部のセンサの許容量を飽和させてしまうという課題がある。
【0009】
上記の課題に鑑み、本発明は、周囲光の強度に関わらずセンサの許容量が飽和せずに安定した動作を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成する本発明に係る情報処理装置は、
発光動作を行う発光手段と、
前記発光手段から発せられた光を検出する画像センサと、
前記発光動作が行われていない場合に前記画像センサにより検出される周囲光の光量に対する、前記発光手段の光量の比が閾値以上となるように前記発光手段の発光量を制御する第1の制御手段と、
前記発光量に応じて、前記画像センサが前記光を検出可能なシャッタ開放期間を、前記発光動作が行われている場合の前記画像センサの検出値が許容範囲内となるように制御する第2の制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、周囲光の強度に関わらずセンサの許容量が飽和せずに安定した動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示す図。
【図2】第1実施形態に係る画像センサの出力例を示す図。
【図3】第1実施形態に係る情報処理装置の動作を説明するための第1の信号波形図。
【図4】第1実施形態に係る情報処理装置の動作を説明するための第2の信号波形図。
【図5】第1実施形態に係る発光ダイオードの駆動を説明するため図。
【図6】第1実施形態に係る情報処理装置を使用した座標入力装置の構成を示す図。
【図7】第2実施形態に係る情報処理装置の構成を示す図。
【図8】第2実施形態に係る画像センサの出力例を示す図。
【図9】第3実施形態に係る画像センサの出力例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1を参照して、第1実施形態に係る情報処理装置の構成例を説明する。情報処理装置は、発光ダイオード1(LED1)と、画像センサ2と、A/Dコンバータ3と、CPU4と、A/Dコンバータ9と、電圧比較回路10と、順電圧検出回路11と、LED駆動回路12とを備える。また、CPU4は、LED電流制御部6と、シャッタ・スピード/LED駆動パルス制御部7と、基準電圧制御部8とを備える。
【0014】
発光ダイオード1は、赤外線を発光する。ただし、赤外線に限らず物体の遮蔽位置を検出可能な光であればよい。画像センサ2は、発光ダイオード1から発せられた光を検出する。A/Dコンバータ3は、画像センサ2が検出したアナログデータを、デジタルデータへ変換する。信号処理部5は、A/Dコンバータ3により変換されたデジタルデータを処理して、その処理結果を、LED電流制御部6およびシャッタ・スピード/LED駆動パルス制御部7へ出力する。LED電流制御部6は、信号処理部5の処理結果に応じて、発光ダイード1の駆動電流を制御する。シャッタ・スピード/LED駆動パルス制御部7は、画像センサ2のシャッタ・スピードおよびLED駆動回路12の駆動パルスを制御する。基準電圧制御部8は、基準電圧を設定してD/Aコンバータ9へ出力する。電圧比較回路10は、LED順電圧検出回路11から出力された発光ダイオード1の順電圧と、D/Aコンバータ9から取得した基準電圧とを比較して、その比較結果をシャッタ・スピード/LED駆動パルス制御部7へ出力する。順電圧検出回路11は、LED1の順電圧を検出する。LED駆動回路12は、駆動電流を供給して発光ダイオード1を駆動する。
【0015】
具体的には、最初に発光ダイオード1から発せられた光は、遮光方式の座標入力装置を構成する光学系あるいは再帰反射部材などを介して、座標入力領域内の遮蔽物の情報を有する光として画像センサ2に入力される。この時、周囲光も画像センサ2に入射され、周囲光は画像センサ2のセンサ出力のノイズ成分となる。
【0016】
図2を参照して、画像センサ2のセンサ出力例を説明する。画像センサ2は、ラインセンサ、エリアセンサなどを採用可能であるが、図2ではラインセンサの出力の一例を説明する。図2において、縦軸はラインセンサの出力値であり、横軸はラインセンサの画素番号である。図2では、発光ダイオード1が発光していない状態でのセンサ出力波形と、発光している状態でのセンサ出力波形とが示されている。
【0017】
発光ダイオード1が発光していないLED非発光時におけるセンサ出力波形は、周囲光により得られる光量分布を示しており、信号処理部5の信号処理におけるノイズ成分となる。一方、発光ダイオード1が発光しているLED発光時のセンサ出力波形は、発光ダイオード1から発せられた光と、周囲光とにより得られる光量分布を示している。LED発光時のセンサ出力波形からLED非発光時のセンサ出力波形を減算することにより、必要な信号波形を得ることができる。
【0018】
LED電流制御部6は、信号処理部5の処理結果に応じて、ノイズ成分としての周囲光に起因するセンサ出力成分(光量)に対する、信号成分としての発光ダイオード1からの赤外線に起因するセンサ出力成分(光量)の比率が閾値以上となるように、発光ダイード1の駆動電流を制御する(第1の制御処理)。すなわち、LED電流制御部6は、周囲光が強い場合には、発光ダイオード1からの赤外線光の発光強度(発光量)を周囲光の強度(光量)に応じた所定値以上に強くするように制御する。しかしながら、画像センサ2は過大な光量を受けるとセンサ出力が飽和し、適切な光量分布データが得られなくなってしまう。そこで、シャッタ・スピード/LED駆動パルス制御部7は、LED発光時のセンサ出力波形が飽和しない適切な規定レベルになるように、画像センサ2のシャッタ・スピードを制御して、発光ダイオード1からの赤外線光の照度に対して適切な光量分布データが得られるように制御を行う(第2の制御処理)。さらに、シャッタ・スピード/LED駆動パルス制御部7は、発光ダイオード1に無駄な駆動電流を流さないように、画像センサ2のシャッタ開放期間に同期させて、発光が必要な発光期間だけ駆動電流を流すようにLED駆動回路12の動作を制御してもよい。
【0019】
なお、発光ダイオード1の発光強度を上げるために順電流を増加させると、発光ダイオード1に順電流を流した時の順電圧も大きくなる関係がある。その結果、発光ダイオード1に供給される電力は、順電流を増加させる以上に大きくなり、ジャンクション温度をより大きく上昇させることになる。さらに、パルス駆動で間欠的な駆動をおこなった場合には、発光ダイオード1自体の条件や実装条件によって決まる過渡熱抵抗に従った温度変化がジャンクション温度に現れる。ジャンクション温度が絶対最大定格を超えると発光ダイオード1の破壊の原因となるが、絶対最大定格以下であっても高温状態で使い続けることは発光ダイオード1の素子寿命を短くする原因となる。また、ジャンクション温度の上昇の影響が無視できる程度の小さな順電流を流した時の順電圧を検出することでジャンクション温度を予測し、最適駆動制御を行うことが可能である。
【0020】
図3を参照して、第1実施形態に係る制御に関する第1の信号波形について説明する。
【0021】
上から一番目のグラフは、周囲光の強度を示しており、時間経過途中から周囲光の強度がF301からF302へと強くなっている様子が分かる。周囲光が弱い場合(F301の場合)には、五番目のグラフに示される通り、低い駆動電流I301が流れるが、光の強度と照射時間との積により決まる画像センサ2に照射される光量が許容範囲内となるようにパルス幅W1で駆動される。なお、LED駆動電流の基本設定周期はTである。一番目のグラフに示されるように、周囲光の強度がF302である期間では、五番目のグラフの信号波形が示す通り、駆動電流をI301からI302へと大きくするように制御を実行する。また、画像センサ2に照射される光量が許容範囲内になるように調整する制御により、駆動時間がパルス幅W1からパルス幅W2へと短くなっている。LED駆動電流の変化に応じて、二番目のグラフに示されるように、ジャンクション温度が上昇または下降する。発光ダイオード1の順電圧は、このジャンクション温度に対応しており、三番目のグラフに示されるように、ジャンクション温度に反比例する関係を有する信号波形となる。すなわち、ジャンクション温度が上昇すると順電圧は低下し、逆に、ジャンクション温度が下降すると順電圧は上昇する。三番目のグラフに示される閾値は、問題ない動作が可能なジャンクション温度の閾値に対応するように予め設定された順電圧の閾値である。検出された順電圧の値が閾値より低い場合には、四番目のグラフが示すように、点灯禁止期間を設定するように制御が実行される(第3の制御処理)。
【0022】
次に図4を参照して、第1実施形態に係る制御に関する第2の信号波形について説明する。図3の第1の信号波形との相違点は、ある時間が経過した後に、周囲光の強度が第1の信号波形での強度F302よりも大きい強度F303になる場合を想定している点である。
【0023】
図4において、上から一番目のグラフに示されるように、周囲光の強度がF303である期間では、二番目のグラフに示されるような発光ダイオード1のジャンクション温度状態となる。強い周囲光の強度F303に対応した五番目のグラフにおける大きな駆動電流I303をパルス幅W3で流して発光ダイオード1を点灯する。ここで、I303はI302よりも大きく、I303に応じてパルス幅W3はパルス幅W2よりも小さく制御されている。パルス点灯の後、過渡熱抵抗条件及び周囲温度や自己発熱等の関係でジャンクション温度が低下するまで、図3の上から三番目のグラフと対比してより時間がかかっている様子が分かる。このジャンクション温度に対応する順電圧として検出される信号波形は三番目のグラフのようになる。三番目のグラフに示される順電圧が閾値よりも小さい期間は、四番目のグラフに示されるような点灯禁止期間となる。この点灯禁止期間が終了してから次の点灯が開始されるため、五番目のグラフに示されるようなタイミングで発光ダイオード1を駆動することになる。その結果、周囲光の強度が強い場合には、基本設定周期Tより長い周期Tで動作することとなるが、座標入力装置としての動作を維持することが可能となっている。すなわち、周囲光の強度が大きくなっても動作可能となる。
【0024】
次に、図5を参照して、第1実施形態に係る発光ダイオード1の駆動について説明する。発光ダイオード1は、発光ダイオード1を駆動するための電流を供給するLED駆動電流源14、および、順電圧を検出するための電流を供給する順電圧検出電流源15により駆動される。駆動電流検出電圧は、電流検出抵抗16により検出される。電圧比較器17は、検出された駆動電流検出電圧と、D/Aコンバータ18により出力されたCPU4により設定された基準電圧と、を比較して、電流源制御回路19へ負帰還をかける。CPU4に制御されると共に電圧比較器17から負帰還がかけられた電流源制御回路19により、駆動電流制御および駆動オン/オフ制御がLED駆動電流源14に対して実行される。
【0025】
また、CPU4により設定されてD/Aコンバータ9から出力される基準電圧と、発光ダイオード1の順電圧とは、電圧比較回路10により比較される。電圧比較回路10は、当該比較結果をCPU4へ出力している。図5に示される例では、発光ダイオード1の順電圧に電流検出電圧が加算された電圧により電圧比較が実行されているが、この場合には電流検出電圧分をオフセット電圧としてD/Aコンバータ9の出力において相殺処理すればよい。
【0026】
以上説明したように、本実施形態では、画像センサにより検出される周囲光の光量に対する発光ダイオードの光量の比が閾値以上となるように発光ダイオードの発光強度を制御し、制御された発光強度に応じて、画像センサが光を検出可能なシャッタ開放期間を、画像センサの検出値が許容範囲内となり飽和しないように制御する。これにより、周囲光が強い場合でも安定した動作が可能となる。さらに、周囲光が余り強くない場合には電力消費が少なく、また製品寿命を長くすることが可能となる。
【0027】
次に、図6を参照して、第1実施形態に係る情報処理装置を備えた座標入力装置の構成例を説明する。図6において、水平線はX軸を、垂直線はY軸を、OはX軸とY軸との交点座標(0,0)を、それぞれ示す。そして、センサユニット2001L、2001Rが、座標入力有効領域300のX軸に平行且つY軸に対称な位置に、互いに所定距離離間して配置されている。
【0028】
センサユニット2001L、2001Rは左右のセンサユニットであり、投光部(発光部)および受光部(検出部)を有する。センサユニット2001L、2001Rは、後述する制御・演算ユニット20から制御信号を受信して投光動作を行い、また、投光した光が後述の再帰反射部400により反射された光を検出して当該検出信号を制御・演算ユニット20へ送信する。制御・演算ユニット20は、座標入力装置全体の動作を制御する。座標入力有効領域300は、指示具(例えば、専用入力ペン、指等)を用いて座標入力面に対して入力指示された位置の検出を行うことができる領域である。
【0029】
再帰反射部400は、座標入力有効領域300の外側の三辺を囲むようなコの字型形状で配置されている。再帰反射部400は、入射光を到来方向に再帰反射する再帰反射面を有している。再帰反射部400を構成する再帰反射部材は、球体のビーズを反射面上に並べて配置することで再帰反射特性を有するビーズタイプの再帰反射シート、または、光学反射面であるコーナキューブを機械加工等により規則正しく配列することで再帰反射現象を起こす再帰反射シートを採用することができる。再帰反射部400は、左右それぞれのセンサユニット2001L、2001Rからθ°(略90°)の範囲内へ投光された光を、センサユニット2001L、2001Rに向けてそれぞれ投光された方向の逆方向へ向けて再帰反射する。再帰反射部400により再帰反射された光は、集光光学系とラインCCD等によって構成されるセンサユニット2001L、2001Rの受光部によって1次元的に検出され、その光量分布を示す信号が制御・演算ユニット20へ送信されることになる。
【0030】
制御・演算ユニット20は、左右のセンサユニット2001L、2001Rの投光部の光量変化から、指示具により入力指示された部分の遮光範囲を検出し、その遮光範囲の情報から遮光位置の方向(角度)をそれぞれ導出する。さらに、制御・演算ユニット20は、導出された方向(角度)、および、センサユニット2001L、2001R相互間の距離情報等から遮光位置(座標)を幾何学的に算出する。さらに、パーソナルコンピュータ等に、USB等のインタフェースを経由して座標値を出力する。
【0031】
なお、座標入力有効領域300を構成する座標入力面の材質は、座標入力装置と組み合わされる表示装置の表示面、あるいは、表示面の前面板である、透明ガラス板や透明樹脂板で構成される。例えば、表示装置としては、液晶、プラズマ、または、リアプロジェクション等の表示装置であってもよく、あるいは、座標入力面がプロジェクタのスクリーンを構成してもよい。さらに、座標入力装置が表示装置を備えていてもよい。表示装置との一体的な構成によりインタラクティブな座標入力装置として利用可能となる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば周囲光が強い場合でも安定した動作が可能な座標入力装置を提供できる。さらに、周囲光が余り強くない場合には電力消費が少なく、また製品寿命を長くすることが可能となる。
【0033】
(第2実施形態)
図7を参照して、第2実施形態に係る情報処理装置の構成を説明する。第2実施形態に係る情報処理装置は、図1を参照して説明した構成に加えて、CPU4がメモリ13をさらに備えている点が異なっている。図1と同じ参照番号を付した構成については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0034】
本実施形態では、発光ダイオード1が発光動作をしていない状態で周囲光だけが照射された画像センサ2の出力が、A/Dコンバータ3によりデジタルデータに変換されて、信号処理部5へ出力された光量分布データを、基準データとしてメモリ13に記憶する。周囲光だけによる光量分布データを取得してメモリ13に記憶する動作は、例えば電源オン時などのシステム初期化処理などのタイミングで行う。
【0035】
図8は、第2実施形態に係る画像センサ(ラインセンサ)の出力例を示す。図8を参照して、発光ダイオード1が点灯している時に得られる光量分布データから遮蔽物の指示位置を算出する方法を説明する。図8において、LED非発光時(周囲光)が示す光量分布はメモリ13に記憶されているデータである。LED発光時が示す光量分布は、発光ダイオード1が発光している時に、画像センサ2からの出力をA/D変換して得られたデータである。LED発光時データからLED非発光時データを減算した処理結果が示す光量分布は、信号処理部5がLED発光時光量分布からLED非発光時光量分布を減算処理することにより得られるデータである。LED発光時データからLED非発光時データを減算した処理結果が示す光量分布データにより、遮蔽物の指示位置の算出を行うことで、誤検出等のない安定した座標入力動作が可能となる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態では、発光ダイオードによる発光動作が行われていない場合に画像センサにより検出された周囲光のみの光の分布データを基準データとして記憶しておく。そして発光ダイオードによる発光動作が行われている場合に画像センサにより検出された光の分布データから、メモリ13に記憶されている基準データを減算したデータに基づいて、ユーザからの入力指示を受け付け可能な座標入力有効領域においてユーザにより入力指示された位置を算出する。
【0037】
本実施形態によれば、周囲光の光量分布の強度に関わらず、安定した動作が可能になる。
【0038】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る情報処理装置の構成は、第2実施形態と同様であるため説明を省略する。図9は、第3実施形態に係る画像センサ(ラインセンサ)の出力例を示す。図9を参照して、発光ダイオード1の非発光時における、周囲光のみがラインセンサに照射された場合の、ラインセンサ出力の一例を説明する。第2実施形態で説明したように、周囲光だけによる光量分布データを予め取得してメモリ13に記憶する動作を、例えば電源オン時などのシステム初期化処理などのタイミングで行う。
【0039】
図9(a)は、メモリ13に記憶されている光量分布データの一例である。また図9(b)は、座標入力装置を使用中に、定期的またはユーザの指示などによる任意のタイミングで、発光ダイオード1の非点灯時における、周囲光のみの光量分布データを取得した時に得られた光量分布の一例である。信号処理部5は、図9(a)の光量分布データと図9(b)の光量分布データとを比較して、光量分布データの相関が閾値以下である場合には、図9(b)の新たに取得された光量分布データをメモリ13のデータ内容として更新する処理を行う。
【0040】
これにより、座標入力装置を使用中に周囲光の状況が変化しても、直近の周囲光による光量分布を基準に遮蔽物の指示位置の算出を行うことで、誤検出を低減した安定した座標入力動作が可能となる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態では、発光ダイオードによる発光動作が行われていない場合に画像センサにより新たに検出された周囲光のみの光の分布データが、メモリ13に記憶されている基準データとの相関値が閾値以下である場合に、画像センサにより新たに検出された周囲光のみの光の分布データを基準データとして更新する。
【0042】
本実施形態によれば、使用中に周囲光の状況が変化し、周囲光による光量分布に変化があっても、安定した座標入力ができる座標入力装置を提供することが可能となる。
【0043】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光動作を行う発光手段と、
前記発光手段から発せられた光を検出する画像センサと、
前記発光動作が行われていない場合に前記画像センサにより検出される周囲光の光量に対する、前記発光手段の光量の比が閾値以上となるように前記発光手段の発光量を制御する第1の制御手段と、
前記発光量に応じて、前記画像センサが前記光を検出可能なシャッタ開放期間を、前記発光動作が行われている場合の前記画像センサの検出値が許容範囲内となるように制御する第2の制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第2の制御手段は、前記発光量での前記発光手段の発光期間を、前記シャッタ開放期間と同期させるようにさらに制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記発光手段の順電圧を検出する電圧検出手段と、
前記順電圧に対応する前記発光手段のジャンクション温度が閾値以上となる期間、前記発光手段による前記発光動作を禁止するように制御する第3の制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記発光手段による前記発光動作が行われていない場合に前記画像センサにより検出された前記周囲光のみの光の分布データを基準データとして記憶する記憶手段と、
前記発光手段による前記発光動作が行われている場合に前記画像センサにより検出された光の分布データから、前記基準データを減算したデータに基づいて、ユーザからの入力指示を受け付け可能な座標入力有効領域において前記ユーザにより入力指示された位置を算出する算出手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記発光手段による前記発光動作が行われていない場合に前記画像センサにより新たに検出された前記周囲光のみの光の分布データが、前記記憶手段に記憶されている基準データとの相関値が閾値以下である場合に、前記画像センサにより新たに検出された前記周囲光のみの光の分布データを前記基準データとして更新する更新手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
発光動作を行う発光手段と、前記発光手段から発せられた光を検出する画像センサと、第1の制御手段と、第2の制御手段とを備える情報処理装置の制御方法であって、
前記第1の制御手段が、前記発光動作が行われていない場合に前記画像センサにより検出される周囲光の光量に対する前記発光手段の光量の比が閾値以上となるように前記発光手段の発光量を制御する第1の制御工程と、
前記第2の制御手段が、前記発光量に応じて、前記画像センサが前記光を検出可能なシャッタ開放期間を、前記発光動作が行われている場合の前記画像センサの検出値が許容範囲内となるように制御する第2の制御工程と、
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−114420(P2013−114420A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259513(P2011−259513)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】