説明

情報処理装置、情報処理装置の制御方法、コンピュータプログラム、および、記録媒体

【課題】電子地図を用いて経路探索を行う経路探索装置の利便性を向上させる。
【解決手段】通信ナビゲーション装置とサービスセンタのサーバとをインターネットを介して接続した通信ナビゲーションシステムを構成する。サーバに複数の通信ナビゲーション装置をグループ登録する。通信ナビゲーション装置およびサーバは、複数の通信ナビゲーション装置の現在位置情報を用いて集合場所を自動設定する。また、先導車Aの移動軌跡を追従車B、Cで表示する。また、先導車Aから追従車B、Cへ経由地点を指定する。所定の解除条件が満たされたときには、先導車、追従車のグループ登録を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子地図データを用いた経路案内用の情報処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子地図データを利用して現在地や出発地から目的地までの経路探索や経路誘導を行うナビゲーション装置が普及している。近年では、通信機能を備え、所定のサーバからインターネットを介して、店舗案内や観光案内など各種サービス情報を取得したり、所定の中継局などから道路交通情報を取得したりすることが可能な、いわゆる通信ナビゲーション装置も普及している。また、通信ナビゲーション装置に関し、グループでツーリングに出掛けるときなどに、複数の装置間で、直接的に、あるいは、所定のサーバを介して、互いに通信を行い、互いの位置および動向を把握する技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−35337号公報
【特許文献2】特開2002−62147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、ツーリング出発前の集合場所は、従来、ツーリングのメンバが互いに相談したりして感覚的に決定し、ナビゲーション装置の各ユーザが集合場所を目的地として個別に設定していた。また、ツーリング中の各種機能についても、必ずしも十分とは言えなかった。つまり、ナビゲーション装置、特に互いに通信を行う通信ナビゲーション装置の利便性に関して、更なる改良の余地があった。このような課題は、通信ナビゲーション装置に限られず、通信ナビゲーション装置に情報を提供するサーバや、電子地図データを用いて経路案内用の各種情報処理を行うためのアプリケーションソフトを備えるパーソナルコンピュータなどの情報処理装置についても同様である。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、電子地図を用いて経路案内用の所定の情報処理を行う情報処理装置の利便性を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、以下の構成を採用した。
本発明の第1の情報処理装置は、
電子地図データを用いて経路案内用の所定の情報処理を行う情報処理装置であって、
前記電子地図データを記憶する電子地図データ記憶部と、
複数の出発地の位置を示す出発位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記電子地図データを参照し、前記複数の出発位置情報に基づいて、予め設定された所定の条件下で、所定の集合場所を設定する集合場所設定部と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
こうすることによって、複数人で相談して感覚的に集合場所を決定することなく、複数の出発地からの適当な集合場所を設定することができる。この結果、情報処理装置の利便性を向上させることができる。なお、電子地図データは、出発地や集合場所などの座標値を特定できればよい。集合場所の設定は、例えば、各出発地の座標値を用いて、中点や重心などを幾何学的な計算によって求めて行うことができる。また、電子地図データに、ノードデータや、リンクデータや、リンクコストデータなどのいわゆる経路探索データが含まれる場合には、ダイクストラ法などの手法による経路探索を用いて行ってもよい。
【0008】
また、集合場所は、所定の条件下で、出発地を集合場所として設定してもよいが、出発地以外の場所を設定することが好ましい。こうすることによって、複数の出発地の位置情報を有効に活用して集合場所を設定することができる。
【0009】
上記情報処理装置において、「所定の条件」としては、種々の条件を設定可能であるが、例えば、
前記所定の条件は、前記各出発地から前記集合場所までの距離が約同一となる条件を含むようにすることができる。「距離が約同一」とは、直線距離が約同一であってもよいし、経路探索データを用いて経路探索を行ったときの道のりが約同一であってもよい。
【0010】
また、前記所定の条件は、前記各出発地から前記集合場所までの所要時間が約同一となる条件を含むようにしてもよい。所要時間は、経路探索データを用いた経路探索によって求めることができる。
【0011】
こうすることによって、集合場所の設定に関し、各出発地から集合場所までの距離や所要時間についての不公平を回避することができる。
【0012】
本発明の第1の情報処理装置において、さらに、
目的地の位置を示す目的位置情報を取得する目的位置情報取得部を備え、
前記集合場所設定部は、さらに、前記目的位置情報を考慮して、前記集合場所を設定するようにしてもよい。
【0013】
「目的位置情報を考慮して」とは、種々の態様を採ることができる。例えば、目的地を出発地と同等に扱って集合場所を設定するようにしてもよい。また、例えば、(出発地から集合場所までの距離):(集合場所から目的地までの距離)=1:2のように、両者の重みを変えて集合場所を設定するようにしてもよい。また、目的地から所定の距離内で集合場所を設定するようにしてもよい。また、各出発地について、出発地から目的地へ向かう方向と、出発地から集合場所へ向かう方向とのなす角度が90°以内になるように集合場所を設定するようにしてもよい。また、目的地に最も近い出発地を集合場所として設定するようにしてもよい。
【0014】
このようにすることによって、出発地から集合場所、集合場所から目的地への移動を効率的に行うことができるように、集合場所を設定することができる。
【0015】
また、本発明の第1の情報処理装置において、さらに、
前記集合場所に適した施設に関する集合場所データを記憶する集合場所データ記憶部を備え、
前記集合場所設定部は、さらに、前記集合場所データに基づいて、前記集合場所を設定するようにしてもよい。
【0016】
複数人で待ち合わせをする場合、集合場所は、例えば、駅や公園などの公共施設や、喫茶店や、レストランなどが選択される場合が多い。また、自動車で集合する場合には、駐車スペースが必要となる。本発明では、集合場所データ記憶部が、上述したような集合場所に適した施設に関する集合場所データを記憶しているので、より適切な集合場所を設定することができる。この場合、例えば、「距離が同一」、「所要時間が同一」などの条件で設定された地点に近い集合場所を、集合場所データから選択する方法を採ることができる。
【0017】
なお、上記情報処理装置において、前記集合場所設定部は、集合場所データから複数の前記集合場所の候補地を抽出するようにし、該複数の候補地の中からユーザが選択可能であるようにしてもよい。
【0018】
こうすることによって、集合場所の設定について、ユーザの意向を反映させることができる。
【0019】
本発明の第1の情報処理装置において、複数の出発位置情報は、例えば、ユーザが手入力するようにしてもよいが、
前記位置情報取得部は、現在位置を検出する位置検出装置を備える移動体から、所定のネットワークを介して、前記出発位置情報として前記現在位置を示す現在位置情報を取得するようにしてもよい。
【0020】
本明細書において、「移動体」とは、車両や、船舶や、航空機や、人など種々のものを含む。また、「位置検出装置を備える移動体」には、例えば、ナビゲーション装置や、携帯電話や、携帯情報端末なども含まれる。これらの機器は、経路探索機能を有していても有していなくてもよい。本発明によって、各移動体との通信によって現在位置情報を取得し、これに基づいて、集合場所を設定することができる。
【0021】
なお、上記情報処理装置において、さらに、
道路交通情報を発信する所定の発信局から、前記道路交通情報を取得する道路交通情報取得部を備え、
前記集合場所設定部は、さらに、前記道路交通情報を考慮して、前記集合場所を設定するようにしてもよい。
【0022】
「道路交通情報」としては、例えば、通行所要時間や、渋滞状況や、交通規制などが挙げられる。集合場所設定部は、これらの情報に基づいて、集合場所の候補地までの所要時間や走行距離を評価して、集合場所の設定を行うことができる。本発明によって、各出発地から集合場所への到着時刻のずれを抑制することができる。
【0023】
本発明の第1の情報処理装置において、さらに、
前記集合場所の位置を示す集合位置情報を、所定のネットワークを介して、所定の移動体に送信する送信部を備えるようにしてもよい。
【0024】
「所定の移動体」としては、各出発地に対応する移動体や、予めグループとして登録された移動体などが挙げられる。位置情報取得部が移動体から現在位置情報を取得する構成の場合には、現在位置情報を取得した移動体を「所定の移動体」としてもよい。本発明によって、所定の移動体に集合場所を報知することができる。各移動体がそれぞれ経路探索装置を備える場合には、各経路探索装置で集合場所を表示したり、出発地から集合場所までの経路探索を行ったりするようにすることができる。
【0025】
上記情報処理装置において、
前記送信部は、さらに、前記位置情報取得部が取得した前記複数の出発位置情報を送信するようにしてもよい。
【0026】
こうすることによって、例えば、各移動体に、待ち合わせを行う仲間の出発地を報知することができる。
【0027】
本発明の第2の情報処理装置は、
電子地図データを用いて経路案内用の所定の情報処理を行う情報処理装置であって、
経路探索を行うための経路探索データを記憶する電子地図データ記憶部と、
所定のネットワークを介して、一の移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得するとともに、予め登録された他の移動体の前記現在位置情報を時系列的に取得する位置情報取得部と、
前記一の移動体または前記他の移動体からの指示に応じて、目的地を設定する目的地設定部と、
前記経路探索データを参照して、前記一の移動体の前記現在位置から前記目的地までの経路探索を行う経路探索部と、
前記経路探索よりも優先して、前記時系列的に取得された前記現在位置情報に基づいて、前記他の移動体の移動軌跡を、前記一の移動体に送信する送信部と、
を備えることを要旨とする。
【0028】
経路探索部による経路探索結果が必ずしも最も適切な経路とは限らない。例えば、グループでのツーリング中などに、いわゆる裏道に詳しい人が運転する先導車(他の移動体)がある場合には、追従車(一の移動体)は、経路探索結果に従うよりも、先導車に追従した方がスムーズに移動できることが多い。本発明によって、一の移動体では、経路探索よりも都合のよい経路を利用することができる。この結果、情報処理装置の利便性を向上させることができる。
【0029】
なお、「経路探索よりも優先して」とは、「経路探索を行った後に、その結果よりも優先して」という意味と、「経路探索を行わずに」という意味とを含んでいる。つまり、送信部は、例えば、経路探索を行い、その結果を移動軌跡と比較した上で、移動軌跡を優先的に送信するようにしてもよいし、経路探索を行わずに移動軌跡を送信するようにしてもよい。さらに、経路探索を行った場合に、送信部は、経路探索結果と移動軌跡との双方を送信するようにしてもよい。この場合、線を太くしたり、色を変えたりするなど、一の移動体側で移動軌跡を強調表示することが可能なデータを送信するようにすればよい。
【0030】
上記情報処理装置において、さらに、
前記一の移動体と前記他の移動体とのうちの少なくとも一方の移動軌跡を記憶する移動軌跡記憶部を備え、
前記送信部は、さらに、前記一の移動体または前記他の移動体からの要求に応じて、前記移動軌跡記憶部が記憶する前記一の移動体または前記他の移動体の移動軌跡を送信するようにしてもよい。
【0031】
移動軌跡記憶部には、位置情報取得部が取得した一の移動体と他の移動体とのうちの少なくとも一方の現在位置情報が順次記憶される。送信部は、一の移動体からの要求内容に応じて、一の移動体の移動軌跡を一の移動体に送信するようにしてもよいし、他の移動体の移動軌跡を送信するようにしてもよい。他の移動体からの要求についても同様である。こうすることによって、各移動体では、後に、通常の経路探索では得られない経路を利用するようにすることができる。
【0032】
本発明の第2の情報処理装置において、さらに、
前記位置情報取得部による前記他の移動体の前記現在位置情報の取得に支障が生じた後、該支障が解消されたときに、前記経路探索データを参照して、前記支障が生じる前の前記他の移動体の前記現在位置情報と、前記支障が解消された後の前記他の移動体の前記現在位置情報とに基づいて、前記支障が生じている間の前記他の移動体の移動軌跡を補完する移動軌跡補完部を備えるようにしてもよい。
【0033】
こうすることによって、通信障害などによって一時的に先導車の動向が不明になった場合でも、支障の解消後に、不明だった期間の先導車の移動軌跡を補完して利用するようにすることができる。なお、「支障」は、他の移動体との単なる通信の支障の他、情報処理装置自身のダウンも含んでいる。
【0034】
本発明の第2の情報処理装置において、
前記送信部は、さらに、前記一の移動体の前記現在位置情報を、所定の移動体に送信するようにしてもよい。
【0035】
こうすることによって、所定の移動体に一の移動体の現在位置を報知することができる。例えば、一緒にツーリングに出掛ける各車において、他の各車の移動状況を容易に把握することができる。
【0036】
本発明の第3情報処理装置は、
電子地図データを用いて経路案内用の所定の情報処理を行う情報処理装置であって、
通信を行うべき複数の移動体を、予めグループとして登録する登録部と、
前記複数の移動体と通信を行う通信部と、
前記複数の移動体のうちのいずれかにおいて、該移動体を前記グループから解除するための専用の操作とは別に、予め設定された所定の解除条件が満たされたときに、該移動体を前記グループから解除する登録解除部と、
を備えることを要旨とする。
【0037】
「グループから解除するための専用の操作」としては、例えば、移動体がグループ登録解除のための専用のボタンを備える場合におけるボタン操作が挙げられる。また、「解除条件」としては、例えば、移動体がグループ内で設定した共通の目的地に到着したことや、予め設定された時刻になったことや、いずれかの移動体で他の移動体とは異なる新たな目的地が入力されたことや、他の移動体との距離が所定値以上離れたことなどが挙げられる。本発明によって、解除条件が満たされたときに、移動体側の意図とは無関係にグループ登録を解除することができる。
【0038】
上記情報処理装置において、さらに、
前記移動体からの指示に応じて、前記解除条件を設定するための設定部を備えるようにしてもよい。
【0039】
こうすることによって、各移動体から条件設定を任意に行うことができる。
【0040】
なお、本発明の第3の情報処理装置において、
前記通信部が、さらに、各移動体の現在位置を示す現在位置情報を送信する機能を有する場合には、
前記通信部は、前記解除条件が満たされたときに、該解除条件が満たされた移動体の前記現在位置情報を送信しないようにすることが好ましい。
【0041】
こうすることによって、プライバシを守ることができる。
【0042】
本発明の第4の情報処理装置は、
電子地図データを用いて経路案内用の所定の情報処理を行う情報処理装置であって、
所定のネットワークを介して、所定の移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記移動体から指定されたタイミングにおける前記現在位置を経由地点として設定する経由地点設定部と、
前記経由地点の位置を示す経由地点情報を他の移動体に送信する送信部と、
を備えることを要旨とする。
【0043】
例えば、グループでのツーリング中に、先導車が、ある駐車場に駐車した後、徒歩で移動する場合などには、追従車に、駐車場を経由地点として指示したい場合がある。本発明によって、所定の移動体(例えば、先導車)から他の移動体(例えば、追従車)に経由地点を指示することができる。この結果、情報処理装置の利便性を向上させることができる。本発明は、所定の移動体がPDAなどの着脱可能な端末である場合に特に有効である。
【0044】
なお、本発明は、経路探索装置の発明として構成することもできる。すなわち、上述した本発明の第1ないし第4のいずれかの情報処理装置の機能を有する経路探索装置である。
【0045】
本発明の経路探索装置は、いわゆる車載型であってもよいし、携帯型であってもよい。本発明によって、先に説明した情報処理装置と同様に、経路探索装置の利便性を向上させることができる。また、他の経路探索装置と通信可能な構成では、サーバ等を介さずに、経路探索装置同士で直接通信することができる。
【0046】
本発明は、上述の情報処理装置および経路探索装置としての構成の他、情報処理装置および経路探索装置の制御方法の発明として構成することもできる。また、これらを実現するコンピュータプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体、そのプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など種々の態様で実現することが可能である。なお、それぞれの態様において、先に示した種々の付加的要素を適用することが可能である。
【0047】
本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、情報処理装置および経路探索装置の動作を制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。また、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.通信ナビゲーションシステムの構成:
B.通信ナビゲーション装置:
C.サーバ:
D.通信ナビゲーション:
D1.集合場所の自動設定:
D2.先導車の移動軌跡の表示:
D3.先導車の移動軌跡の補完:
D4.追従車への経由地点の指示:
D5.帰宅時の経路案内:
E.変形例:
【0049】
A.通信ナビゲーションシステムの構成:
図1は、本発明の一実施例としての通信ナビゲーションシステム1000の概略構成を示す説明図である。本実施例の通信ナビゲーションシステム1000は、サービスセンタから通信ナビゲーション装置に、インターネットINTを介して、各種サービスを提供するシステムである。本実施例では、通信ナビゲーション装置を搭載した車両A、B、Cが集合場所で待ち合わせをし、車両Aを先導車とし、車両B、車両Cを追従車として、グループでツーリングに出掛ける場合を例に説明する。
【0050】
車両A、車両B、車両Cには、それぞれ通信ナビゲーション信装置10A、10B、10Cが搭載されている。これらは、インターネットINTを介して、サービスセンタのサーバ500と接続されている。各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cは、各車両A、B、Cに着脱可能であり、ユーザが歩行時などに携帯して利用可能であるものとした。なお、本実施例の通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cは、同じ機能を有するものとし、以下、これらに関連する符号にアルファベットの添え字を付さずに、単に通信ナビゲーション装置10などとも呼ぶこととする。
【0051】
通信ナビゲーション装置10は、アンテナ120や、GPSアンテナ130や、図示しない無線通信装置や、制御ユニットなどを備えている。通信ナビゲーション装置10は、GPSアンテナ130によって3機のGPS衛星SAT1、SAT2、SAT3から受信した電波信号に基づいて現在位置を検出し、この現在位置を示す現在位置情報をアンテナ120からインターネットINTを介して、サーバ500に送信する。サーバ500は、通信ナビゲーション装置10から受信した現在位置情報を用いて、後述する各種処理を行い、通信ナビゲーション装置10に処理結果を送信する。
【0052】
B.通信ナビゲーション装置:
図2は、通信ナビゲーション装置10の概略構成を示す説明図である。通信ナビゲーション装置10は、表示パネル12と、操作パネル14と、制御ユニット100とを備えている。また、通信ナビゲーション装置10は、経路探索データや経路誘導データなどを保持するDVD(Digital Versatile Disc)から各種データを読み出すDVD−ROMドライブや、サーバ500からダウンロードした経路探索データや経路誘導データなどを保持するハードディスク110を備えている。経路探索データは、ノードデータ、リンクデータ、リンクコストデータなどの道路ネットワークデータや、交通規制データなどを含んでいる。
【0053】
表示パネル12は、地図や文字情報やユーザインタフェースや経路探索の結果や経路誘導の状況などを表示する。操作パネル14は、表示パネル12に表示された地図上のカーソルの移動や、縮尺の設定・変更、画面のスクロール、後述するツーリングのグループ登録や集合場所に関する各種設定等、ユーザの指示を入力するためのものである。操作パネル14には、「帰る」と表示されたボタン15(以下、「帰る」ボタンと呼ぶ)が設けられている。この「帰る」ボタン15を用いた機能については後述する。ユーザの指示の入力は、リモート・コントローラ(リモコン)16を用いて行うことも可能である。また、音声入力部を設け、ユーザの指示を音声によって入力可能としてもよい。
【0054】
図中に制御ユニット100内の構成を併せて示した。制御ユニット100は、CPU、RAM、ROM等を備えるマイクロコンピュータとして構成されており、図示した各機能ブロックを備えている。これらの各機能ブロックは、ソフトウェア的に構成されている。
【0055】
制御部101は、制御ユニット100内の各部の制御を行う。通信部102は、図示しない中継局と無線通信を行い、インターネットINTを介して、サーバ500と各種データのやり取りを行う。
【0056】
現在地検出部103は、GPSアンテナ130が受信したGPS衛星SAT1、SAT2、SAT3からの電波信号に基づいて現在位置を検出する。現在位置の検出は、DGPS(ディファレンシャルGPS)を利用した方法や、携帯電話、PHS等の無線基地局の電波を利用した方法や、ジャイロセンサを利用もしくは併用した方法などによって現在位置を検出するものとしてもよい。
【0057】
コマンド入力部104は、操作パネル14やリモコン16の操作によるユーザの指示を入力する。
【0058】
電子地図データ参照部105は、現在地や、目的地などに基づいて、DVDおよびハードディスク110が保持する経路探索データを参照する。また、電子地図データ参照部105は、経路探索部106が行った経路探索結果に基づいて、経路誘導データを参照する。
【0059】
経路探索部106は、電子地図データ参照部105が参照した経路探索データを用いて、出発地から目的地までの経路探索を行う。本実施例では、周知のダイクストラ法によって経路探索を行うものとした。経路誘導部107は、現在地検出部103が検出した現在地、および、電子地図データ参照部105が参照した経路誘導用データを用いて経路誘導を行う。
【0060】
表示制御部108は、表示パネル12に表示する表示画面を制御する。
【0061】
C.サーバ:
図3は、サーバ500の概略構成を示す説明図である。サーバ500は、CPU、RAM、ROM等を備えるコンピュータであり、図示する各機能ブロックを備えている。これらの各機能ブロックは、ソフトウェア的に構成されている。
【0062】
制御部510は、サーバ500内の各部の制御を行う。通信部520は、インターネットINTを介して、通信ナビゲーション装置10とデータのやり取りを行う。インタフェース提供部530は、通信ナビゲーション装置10からの要求に応じて、通信ナビゲーション装置10の表示パネル12に表示するための各種ユーザインタフェースを提供する。
【0063】
グループ登録部540は、グループでのツーリング時などに、複数の通信ナビゲーション装置10をグループとして登録したり、解除したりする。グループ登録部540は、さらに、グループ内の先導車および追従車の登録、および、解除も行う。本実施例では、各通信ナビゲーション装置10に、予め識別情報(ID)が付与されており、グループ登録部540は、この識別情報を用いて登録および解除を行う。グループ登録部540は、本発明の登録部および登録解除部に相当する。
【0064】
なお、サーバ500は、図示しない個人情報データベースを備えており、この個人情報データベースは、通信ナビゲーション装置のユーザごとに、グループ登録の履歴など、サーバ500が提供する各種サービスの利用履歴を記憶する。個人情報データベースは、各通信ナビゲーション装置から、自己のサービス利用履歴を参照することができる。
【0065】
位置情報取得部550は、通信部520によって通信ナビゲーション装置10から受信した現在位置情報を取得する。この現在位置情報は、後に各通信ナビゲーション装置10で個別に利用可能なように、通信ナビゲーション装置10ごとに随時位置情報データベースに記憶される。本実施例では、通信ナビゲーション装置10A、10B、10C用の位置情報データベース551、552、553がそれぞれ用意されている。位置情報データベース551、552、553は、本発明の移動軌跡記憶部にも相当する。
【0066】
データベース参照部560は、必要に応じて電子地図データベース561や、集合場所データベース562や、位置情報データベース551、552、553を参照する。電子地図データベース561は、経路探索データや、経路誘導データなどを記憶している。集合場所データベース562は、後述するように、集合場所に適した施設に関する集合場所データを記憶している。
【0067】
集合場所設定部570は、グループでのツーリングの出発時に、グループ登録部540に登録された通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cの各出発地の現在位置情報、および、集合場所データベース562に基づいて、適当な集合場所を設定する。集合場所の設定については後述する。
【0068】
サーバ500は、先導車である車両A(通信ナビゲーション装置10A)の移動軌跡を、追従車である車両B、車両Cに搭載された通信ナビゲーション装置10B、10Cに送信する機能を有している。そして、移動軌跡補完部580は、先導車Aに搭載された通信ナビゲーション装置10Aとサーバ500との通信に支障が発生し、この支障が解消したときに、通信の支障が発生する直前の現在位置情報と、支障解消後の現在位置情報とに基づいて、支障が生じていた期間の移動軌跡を経路探索によって補完する。
【0069】
図4は、集合場所データベース562内の集合場所データの一例を示す説明図である。図示するように、本実施例では、集合場所データベース562には、集合場所に適した施設の名称と、駐車の可否と、位置情報(緯度、経度)とが対応付けて記憶されている。
【0070】
D.通信ナビゲーション:
本実施例の通信ナビゲーションシステム1000は、以下に説明するいくつかの機能を有している。
【0071】
D1.集合場所の自動設定:
図5は、車両A、B、Cの各出発地からの集合場所を自動設定する工程を示す説明図である。まず、通信ナビゲーション装置10Aは、ユーザの指示により、サーバ500に、自分のIDとともに、集合場所設定のサービスの提供要求を送信する(ステップS100)。サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Aからサービスの提供要求を受信すると、通信ナビゲーション装置10Aに、グループ登録を行うためのユーザインタフェースを提供する(ステップS110)。次に、通信ナビゲーション装置10Aは、ユーザによって入力されたグループ登録の内容をサーバ500に送信する(ステップS120)。本実施例では、通信ナビゲーション装置10Aが、通信ナビゲーション装置10B、10CのIDを送信することにより、通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cをグループ登録するものとした。サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Aからグループ登録の内容を受信すると、通信ナビゲーション装置10B、10Cにグループ登録の可否の問合せを送信する(ステップS130)。次に、通信ナビゲーション装置10B、10Cは、グループ登録の許可通知をサーバ500に送信する(ステップS140)。サーバ500は、通信ナビゲーション装置10B、10Cからグループ登録の許可通知を受信すると、グループ登録部540に各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cをグループ登録し、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cにグループ登録の完了通知を送信する(ステップS150)。なお、サーバ500は、所定時間内に通信ナビゲーション装置10B、10Cからグループ登録の許可通知が得られない場合には、その旨を通信ナビゲーション装置10Aに送信する。また、サーバ500は、通信ナビゲーション装置10B、10Cの一方からしかグループ登録の許可通知が得られない場合には、その旨を通信ナビゲーション装置10Aおよびグループ登録の許可通知が得られたいずれかの通信ナビゲーション装置に送信する。
【0072】
通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cは、ステップS150において、サーバ500からグループ登録の完了通知を受信すると、それぞれ現在地検出部103によって検出した現在位置情報をサーバ500に送信する。サーバ500は、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cから現在位置情報を取得し(ステップS160)、集合場所設定処理を行う(ステップS170)。そして、サーバ500は、設定した集合位置情報を通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cに送信する(ステップS180)。このとき、サーバ500は、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cに他車(他の通信ナビゲーション装置)の現在位置情報も送信する。
【0073】
各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cでは、サーバ500から受信した集合位置情報が目的地として設定される。この後、サーバ500と各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cとの間で現在位置情報のやり取りは随時行われ、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cでは、現在位置から集合場所までの経路探索および経路誘導が行われる。
【0074】
図6は、集合場所設定処理の流れを示すフローチャートである。図7は、集合場所の設定の様子を示す説明図である。まず、サーバ500は、車両A、B、Cの各出発地点Pa、Pb、Pcから同一距離の座標Poを算出する(ステップS172)。そして、集合場所データベース562を参照し(ステップS174)、ステップS172で算出された座標値に最も近く、駐車可能な施設である「○○公園」を集合場所として設定する(ステップS176)。
【0075】
なお、サーバ500は、通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cの利用状態に応じて、集合場所の設定方法を切り換えることが可能である。例えば、通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cが車両に搭載されない状態で利用される場合には、サーバ500は、駐車の可否を考慮せずに集合場所を設定する。駐車の可否を考慮するか否かなどの集合場所の設定方法の切り換え条件は、ユーザによって予め設定可能である。
【0076】
図8は、通信ナビゲーション装置10の表示パネル12に表示される表示画面の一例を示す説明図である。図示するように、表示パネル12には、各車両A、B、Cの位置や、集合場所や、各車両の集合場所への到着予測時刻が随時表示される。本実施例では、集合場所への到着予測時刻の算出は、サーバ500で行うものとした。この到着予想時刻の算出は、通信ナビゲーション装置10で行うようにしてもよい。
【0077】
以上説明した工程によって、ツーリングのメンバが感覚的に集合場所の相談をせずに、集合場所を自動設定することができる。また、各出発地から集合場所までの距離についての不公平を回避することができる。
【0078】
D2.先導車の移動軌跡の表示:
各車両A、B、Cが集合場所に到着した後、先導車および追従車の登録を行い、ツーリングに出発する。そして、追従車が搭載する通信ナビゲーション装置10には、先導車の移動軌跡が表示される。
【0079】
図9は、先導車の移動軌跡を表示する工程を示す説明図である。まず、先導車となる車両Aに搭載された通信ナビゲーション装置10Aは、サーバ500に、先導車の移動軌跡表示サービスの提供要求を送信する(ステップS200)。サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Aからサービスの提供要求を受信すると、通信ナビゲーション装置10Aに、先導車および追従車の登録を行うためのユーザインタフェースを提供する(ステップS210)。次に、通信ナビゲーション装置10Aは、ユーザによって入力された先導車および追従車の設定内容をサーバ500に送信する(ステップS220)。先に説明したように、本実施例では、車両Aを先導車、車両B、Cを追従車として登録するものとした。サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Aから設定内容を受信すると、通信ナビゲーション装置10B、10Cに登録の可否の問合せを送信する(ステップS230)。そして、通信ナビゲーション装置10B、10Cは、登録の許可通知をサーバ500に送信する(ステップS240)。サーバ500は、通信ナビゲーション装置10B、10Cから登録の許可通知を受信すると、グループ登録部540に各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cを先導車および追従車として登録し、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cに登録の完了通知を送信する(ステップS250)。なお、サーバ500は、所定時間内に通信ナビゲーション装置10B、10Cから登録の許可通知が得られない場合には、その旨を通信ナビゲーション装置10Aに送信する。また、サーバ500は、通信ナビゲーション装置10B、10Cの一方からしかグループ登録の許可通知が得られない場合には、その旨を通信ナビゲーション装置10Aおよびグループ登録の許可通知が得られたいずれかの通信ナビゲーション装置に送信する。
【0080】
通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cは、ステップS250において、サーバ500から登録の完了通知を受信すると、それぞれ現在地検出部103によって検出した現在位置情報をサーバ500に送信する。サーバ500は、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cから現在位置情報を取得し(ステップS260)、各現在位置情報を位置情報データベース551、552、553に、後に各通信ナビゲーション装置10で個別に利用可能に保存する(ステップS270)。こうすることによって、通信ナビゲーション装置10B、10Cは、後に先導車Aの移動軌跡を経路探索に用いることができる。
【0081】
そして、サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Aに、追従車B、C(通信ナビゲーション装置10B、10C)の現在位置情報を送信する(ステップS280)。また、サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Bに、先導車A(通信ナビゲーション装置10A)の移動軌跡および先導車A、追従車C(通信ナビゲーション装置10C)の現在位置情報を送信する(ステップS280)。また、サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Cに、先導車Aの移動軌跡および先導車A、追従車B(通信ナビゲーション装置10B)の現在位置情報を送信する(ステップS280)。この後、ステップS260〜ステップS280の工程が随時行われる。
【0082】
図10は、通信ナビゲーション装置10B、10Cの表示パネル12に表示される先導車および追従車の表示の一例を示す説明図である。太実線Lは、先導車である車両Aの移動軌跡を示している。なお、表示パネル12に、先導車Aと各追従車B、Cとの時間差を併せて表示するようにしてもよい。
【0083】
以上説明した工程によって、追従車B、Cのユーザは、先導車Aの移動軌跡に従ってツーリングを行うことができる。
【0084】
D3.先導車の移動軌跡の補完:
先導車A(通信ナビゲーション装置10A)とサーバ500との通信に支障が生じた場合には、先に説明した先導車Aの移動軌跡の表示を行うことができなくなる。図11は、先導車Aとサーバ500との通信に支障が生じた場合の処理の流れを示す説明図である。サーバ500は、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cから現在位置情報を取得する(ステップS300)。このとき、先導車A(通信ナビゲーション装置10A)との通信に支障が発生したものとする。サーバ500は、追従車B、C(通信ナビゲーション装置10B、10C)に、先導車Aとの通信に支障が発生し、先導車Aの移動軌跡を送信できない旨を通知する(ステップS310)。この後、サーバ500と先導車Aとの通信の支障が解消したものとする。サーバ500は、追従車B、Cに先導車Aとの通信の支障が解消したことを通知する(ステップS320)。そして、再度、各車両A、B、Cから現在位置情報を取得し(ステップS330)、各現在位置情報を位置情報データベース551、552、553に保存する(ステップS340)。
【0085】
次に、サーバ500は、通信に支障が生じた直前の先導車Aの現在位置情報を位置情報データベース551から読み出す(ステップS350)。そして、この現在位置情報と支障が解消した直後の現在位置情報とを用いて、電子地図データベース561を参照して、経路探索により移動軌跡の補完を行う(ステップS360)。そして、サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Aに、追従車B、C(通信ナビゲーション装置10B、10C)の現在位置情報を送信する(ステップS370)。また、サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Bに、先導車A(通信ナビゲーション装置10A)の移動軌跡および先導車A(通信ナビゲーション装置10A)、追従車C(通信ナビゲーション装置10C)の現在位置情報を送信する(ステップS370)。また、サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Cに、先導車A(通信ナビゲーション装置10A)の移動軌跡および先導車A(通信ナビゲーション装置10A)、追従車B(通信ナビゲーション装置10B)の現在位置情報を送信する(ステップS370)。
【0086】
以上説明した処理によって、先導車Aとサーバ500との通信に支障が生じ、その後、支障が解消したときに、通信ナビゲーション装置10B、10Cの表示パネル12に先導車Aの移動軌跡を表示することができる。
【0087】
なお、上述した先導車の移動軌跡の補完は、サーバ500がダウンしたときにも適用可能である。この場合、サーバ500は、ステップS310およびS320の通知を行うことができないから、支障が解消されたときに、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cに現在位置情報の要求を送信し、現在位置情報を取得し(ステップS330)、同様の処理を行う。
【0088】
D4.追従車への経由地点の指示:
本実施例の通信ナビゲーションシステム1000では、先導車A(通信ナビゲーション装置10A)から追従車B、C(通信ナビゲーション装置10B、10C)に経由地点を指示することができる。図12は、先導車Aから追従車B、Cに経由地点を指示する工程を示す説明図である。まず、通信ナビゲーション装置10Aのユーザが、ある位置を経由地点として追従車B、Cに指示したいタイミングで、操作パネル14またはリモコン16で経由地点の指定のための操作を行う(ステップS400)。すると、通信ナビゲーション装置10Aは、その時点での現在位置情報を経由地情報として、サーバ500に送信する。ユーザは、通信ナビゲーション装置10Aの表示パネル12上で、過去の通過点で通信ナビゲーション装置10B、10Cがまだ到達していない地点を経由地点として指定してもよい。サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Aから経由地情報を受信すると、経由地点の設定を行い(ステップS410)、通信ナビゲーション装置10B、10Cに経由地情報を送信する(ステップS420)。通信ナビゲーション装置10B、10Cの表示パネル12には、サーバ500から受信した経由地情報に基づいて、経由地点が表示される。
【0089】
図13は、通信ナビゲーション装置10B、10Cの表示パネル12に表示される表示画面の一例を示す説明図である。ここでは、先導車Aが「○○遊園地」の駐車場に駐車し、この駐車場を経由地点として指定し、通信ナビゲーション装置10Aを車両Aから取り外して移動した場合について示した。表示パネル12には、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cの位置や、通信ナビゲーション装置10Aの移動軌跡(太実線L)や、経由地点や、追従車B、Cの現在位置から経由地点までの所要時間が随時表示される。追従車B、Cの現在位置から経由地点までの所要時間は、サーバ500で算出するようにしてもよいし、通信ナビゲーション装置10で算出するようにしてもよい。
【0090】
このようにすることによって、先導車A(通信ナビゲーション装置10A)から追従車B、C(通信ナビゲーション装置10B、10C)に経由地点の指定を行うことができる。
【0091】
D5.帰宅時の経路案内:
追従車のユーザは、先導車の移動軌跡を表示しつつツーリングを行っている途中に、ツーリングを中止し、帰宅する場合がある。図14は、追従車の帰宅時の経路案内の工程を示す説明図である。ここでは、追従車Bが帰宅する場合について説明する。まず、追従車Bのユーザが通信ナビゲーション装置10Bの「帰る」ボタン15を押下すると(ステップS500)、通信ナビゲーション装置10Bは、その旨を自分のIDとともにサーバ500に送信する。このとき、通信ナビゲーション装置10Bは、ユーザが新たな目的地を入力することなく、元の出発地を新たな目的地として自動設定する。さらに、通信ナビゲーション装置10Bは、現在地検出部103で検出された現在位置情報をサーバ500に送信しないように設定する。
【0092】
サーバ500は、通信ナビゲーション装置10Bから、「帰る」ボタン15が押下されたことを受信すると、グループ登録部540の通信ナビゲーション装置10Bの追従車登録を解除する(ステップS510)。そして、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cに通信ナビゲーション装置10Bの登録を解除した旨を通知する。
【0093】
この後、通信ナビゲーション装置10Bでは、先導車Aの移動軌跡を表示せずに、電子地図データおよび位置情報データベース552のデータを用いた経路探索および経路誘導を行う(ステップS520)。位置情報データベース552のデータを用いるか否かは、ユーザによって選択可能である。位置情報データベース552のデータを用いる場合には、通信ナビゲーション装置10Bは、サーバ500から往路で蓄積されたデータを受信して、経路案内を行う。サーバ500、および、通信ナビゲーション装置10A、10Cは、これまで通りの処理、すなわち、図9に示したステップS260〜ステップS280の工程を継続する。
【0094】
なお、先導車Aのユーザが通信ナビゲーション装置10Aの「帰る」ボタン15を押下した場合には、サーバ500では、グループ登録部540の先導車および追従車の登録が全て解除されるようにしてもよいし、通信ナビゲーション装置10B、10Cのグループ登録を維持するようにしてもよい。前者の場合、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cでは、それぞれ電子地図データおよび位置情報データベース551、552、553のデータを用いた経路探索および経路誘導を行うようにすることができる。後者の場合、通信ナビゲーション装置10B、10Cは、電子地図データおよび位置情報データベース552、553のデータを用いた経路探索および経路誘導を行いつつ、互いの現在位置を表示するようにすることができる。
【0095】
このようにすることによって、帰宅時に、ユーザの意図とは無関係に、元の出発地を目的地として自動設定し、グループ登録を解除することができる。さらに、「帰る」ボタン15が押下されたときに、通信ナビゲーション装置10が現在位置情報をサーバ500に送信しないようにすることによって、ユーザのプライバシを守ることができる。
【0096】
以上説明した本実施例の通信ナビゲーションシステム1000によれば、電子地図データを有効利用し、利便性を向上させることができる。
【0097】
E.変形例:
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形例が可能である。
【0098】
E1.変形例1:
上記実施例では、通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cは、インターネットINTおよびサーバ500を介して、通信および各種処理を行っているが、これに限られない。サーバ500が有する機能、例えば、集合場所設定部や、移動軌跡補完部や、集合場所データベースや、位置情報データベースなどを各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cが備えるようにし、各通信ナビゲーション装置10A、10B、10Cが互いに直接通信を行うようにしてもよい。
【0099】
E2.変形例2:
上記実施例では、集合場所設定処理において、各出発地点Pa、Pb、Pcから同一距離の座標Poを算出するものとしたが、これに限られない。例えば、各出発地点Pa、Pb、Pcからの所要時間が同一となる地点を経路探索するようにしてもよい。こうすることによって、各出発地から集合場所までの所要時間の不公平を回避することができる。
【0100】
また、出発地点以外に、目的地を考慮して集合場所を設定するようにしてもよい。この場合、種々の態様を採ることができる。例えば、目的地を出発地と同等に扱って集合場所を設定するようにしてもよい。また、例えば、(出発地から集合場所までの距離):(集合場所から目的地までの距離)=1:2のように、重みを変えて集合場所を設定するようにしてもよい。また、目的地から所定の距離内で集合場所を設定するようにしてもよい。また、各出発地について、出発地から目的地へ向かう方向と、出発地から集合場所へ向かう方向とのなす角度が90°以内になるように集合場所を設定するようにしてもよい。このようにすることによって、出発地から集合場所、集合場所から目的地への移動を効率的に行うことができるように、集合場所を設定することができる。
【0101】
また、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System)などを利用し、道路交通情報を考慮して、すなわち、通行所要時間や、渋滞状況や、交通規制などの情報に基づいて、集合場所の候補地までの所要時間や走行距離を評価し、集合場所を設定するようにしてもよい。こうすることによって、各出発地から集合場所への到着時刻のずれを抑制することができる。
【0102】
E3.変形例3:
上記実施例では、集合場所の設定において、集合場所データベース562から1つの集合場所を抽出して設定しているが、複数の候補地を抽出して、ユーザによる選択を許容するようにしてもよい。こうすることによって、集合場所の設定について、ユーザの意向を反映させることができる。
【0103】
E4.変形例4:
上記実施例では、サーバ500は、集合場所データベース562を備えているが、これを備えなくてもよい。
【0104】
E5.変形例5:
上記実施例では、複数の通信ナビゲーション装置10の現在位置情報を出発地点としているが、ユーザが出発地点の位置情報を手入力するようにしてもよい。
【0105】
E6.変形例6:
上記実施例では、サーバ500は、集合場所設定処理によって設定された集合場所の集合位置情報を、グループ登録された全通信ナビゲーション装置10に送信しているが、少なくとも1つに送信するようにしてもよい。この場合、集合位置情報を受信した通信ナビゲーション装置10のユーザが他の通信ナビゲーション装置10のユーザに集合場所を連絡し、各自で集合場所を目的地として設定すればよい。
【0106】
E7.変形例7:
上記実施例では、通信ナビゲーション装置10の表示パネル12に複数の通信ナビゲーション装置10の現在位置を表示するようにしているが、表示しないようにしてもよい。
【0107】
E8.変形例8:
上記実施例では、通信ナビゲーション装置10は、「帰る」ボタン15を備えており、「帰る」ボタン15の操作によって、元の出発地が新たな目的地として設定され、グループ登録の解除を行うものとしたが、これに限られない。例えば、サーバ500に、グループ登録の解除を行うための条件設定を行う設定部を設け、通信ナビゲーション装置10から任意に条件設定を可能とし、この条件を満たしたときに、グループ登録を解除するものとしてもよい。この条件としては、例えば、当該通信ナビゲーション装置10がグループ内で設定した共通の目的地に到着したことや、予め設定した時刻になったことや、当該通信ナビゲーション装置10に他の通信ナビゲーション装置10とは異なる新たな目的地が入力されたことや、他の通信ナビゲーション装置10との距離が所定値以上離れたことなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施例としての通信ナビゲーションシステム1000の概略構成を示す説明図である。
【図2】通信ナビゲーション装置10の概略構成を示す説明図である。
【図3】サーバ500の概略構成を示す説明図である。
【図4】集合場所データベース562内の集合場所データの一例を示す説明図である。
【図5】車両A、B、Cの各出発地からの集合場所を自動設定する工程を示す説明図である。
【図6】集合場所設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】集合場所の設定の様子を示す説明図である。
【図8】通信ナビゲーション装置10の表示パネル12に表示される表示画面の一例を示す説明図である。
【図9】先導車の移動軌跡を表示する工程を示す説明図である。
【図10】通信ナビゲーション装置10B、10Cの表示パネル12に表示される先導車および追従車の表示の一例を示す説明図である。
【図11】先導車Aとサーバ500との通信に支障が生じた場合の処理の流れを示す説明図である。
【図12】先導車Aから追従車B、Cに経由地点を指示する工程を示す説明図である。
【図13】通信ナビゲーション装置10B、10Cの表示パネル12に表示される表示画面の一例を示す説明図である。
【図14】追従車の帰宅時の経路案内の工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0109】
1000...通信ナビゲーションシステム
10、10A、10B、10C...通信ナビゲーション装置
12...表示パネル
14...操作パネル
15...「帰る」ボタン
16...リモート・コントローラ(リモコン)
100...制御ユニット
101...制御部
102...通信部
103...現在地検出部
104...コマンド入力部
105...電子地図データ参照部
106...経路探索部
107...経路誘導部
108...表示制御部
110...ハードディスク
120、120A、120B、120C...アンテナ
130、130A、130B、130C...GPSアンテナ
500...サーバ
510...制御部
520...通信部
530...インタフェース提供部
540...グループ登録部
550...位置情報取得部
551、552、553...位置情報データベース
560...データベース参照部
561...電子地図データベース
562...集合場所データベース
570...集合場所設定部
580...移動軌跡補完部
INT...インターネット
SAT1,SAT2,SAT3...GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子地図データを用いて経路案内用の所定の情報処理を行う情報処理装置であって、
経路探索を行うための経路探索データを記憶する電子地図データ記憶部と、
所定のネットワークを介して、一の移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得するとともに、予め登録された他の移動体の前記現在位置情報を時系列的に取得する位置情報取得部と、
前記一の移動体または前記他の移動体からの指示に応じて、目的地を設定する目的地設定部と、
前記経路探索データを参照して、前記一の移動体の前記現在位置から前記目的地までの経路探索を行う経路探索部と、
前記経路探索よりも優先して、前記時系列的に取得された前記現在位置情報に基づいて、前記他の移動体の移動軌跡を、前記一の移動体に送信する送信部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報処理装置であって、さらに、
前記一の移動体と前記他の移動体とのうちの少なくとも一方の移動軌跡を記憶する移動軌跡記憶部を備え、
前記送信部は、さらに、前記一の移動体または前記他の移動体からの要求に応じて、前記移動軌跡記憶部が記憶する前記一の移動体または前記他の移動体の移動軌跡を送信する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の情報処理装置であって、さらに、
前記位置情報取得部による前記他の移動体の前記現在位置情報の取得に支障が生じた後、該支障が解消されたときに、前記経路探索データを参照して、前記支障が生じる前の前記他の移動体の前記現在位置情報と、前記支障が解消された後の前記他の移動体の前記現在位置情報とに基づいて、前記支障が生じている間の前記他の移動体の移動軌跡を補完する移動軌跡補完部を備える、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の情報処理装置であって、
前記送信部は、さらに、前記一の移動体の前記現在位置情報を、所定の移動体に送信する、
情報処理装置。
【請求項5】
電子地図データを用いて経路探索を行う経路探索装置として構成された請求項1ないし4のいずれか記載の情報処理装置。
【請求項6】
電子地図データを用いて経路案内用の所定の情報処理を行う情報処理装置の制御方法であって、
(a)経路探索を行うための経路探索データを準備する工程と、
(b)所定のネットワークを介して、一の移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得するとともに、予め登録された他の移動体の前記現在位置情報を時系列的に取得する工程と、
(c)前記一の移動体または前記他の移動体からの指示に応じて、目的地を設定する工程と、
(d)前記経路探索データを参照して、前記一の移動体の前記現在位置から前記目的地までの経路探索を行う工程と、
(e)前記経路探索よりも優先して、前記時系列的に取得された前記現在位置情報に基づいて、前記他の移動体の移動軌跡を、前記一の移動体に送信するする工程と、
を備える制御方法。
【請求項7】
電子地図データを用いて経路案内用の所定の情報処理を行う情報処理装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
経路探索を行うための経路探索データを記憶する機能と、
所定のネットワークを介して、一の移動体の現在位置を示す現在位置情報を取得するとともに、予め登録された他の移動体の前記現在位置情報を時系列的に取得する機能と、
前記一の移動体または前記他の移動体からの指示に応じて、目的地を設定する機能と、
前記経路探索データを参照して、前記一の移動体の前記現在位置から前記目的地までの経路探索を行う機能と、
前記経路探索よりも優先して、前記時系列的に取得された前記現在位置情報に基づいて、前記他の移動体の移動軌跡を、前記一の移動体に送信する機能と、
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−92665(P2009−92665A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287586(P2008−287586)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【分割の表示】特願2003−58108(P2003−58108)の分割
【原出願日】平成15年3月5日(2003.3.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】