説明

情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム

【課題】CO2排出量や消費電力量等の画像形成装置で消費される資源(環境コスト)の削減目標を達成するために推奨する印刷設定を判断可能な情報を提供すること。
【解決手段】情報処理装置110では、通信部113がデバイス120で実行された印刷ジョブの履歴情報を取得し、計算部112が、前記履歴情報に対応する全ての印刷ジョブに、選択された節約印刷設定402を適用しなかった場合に比べ全ての印刷ジョブに前記節約印刷設定402を適用した場合に削減されるCO2排出量(節約印刷100%のCO2排出量)を求め、該節約印刷100%のCO2排出量に対する、実際に削減されたCO2排出量の割合(実績の削減割合408)と、目標値404を達成するために必要な消費資源量の割合(目標値達成に必要な削減割合409)を求め、IF111が前記実績の削減割合408と目標値達成に必要な削減割合409とを識別可能に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の環境コストを管理する情報処理装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタ、複合機等の画像形成装置(以下、デバイス)の使用に際し、環境への配慮などの目的からCO2排出量や消費電力量等の画像形成装置で消費される資源(いわゆる環境コスト)を削減したいという要望がある。デバイス使用によるCO2排出量や消費電力量を削減する方法として、片面印刷を両面印刷にしたり、2ページの原稿を1ページに集約して印刷する方法などがある。
【0003】
CO2排出量や消費電力量の目標値を設定し、目標達成状況の情報を提供する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1の提案は、例えば、前月の印刷枚数からの削減割合を指定して目標値を設定し、目標達成状況を表示し、また削減枚数をCO2換算して、削減したCO2排出量を提示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−134765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、CO2排出量の削減量を算出し、目標達成状況の情報を提供するものであるが、実際にCO2排出量や消費電力量を削減するためには、どのようなポリシーで印刷を行うべきか、判断するための情報が求められる。
【0006】
例えば、企業等においては、CO2排出量や消費電力量を削減するために、一般的に、社員に、両面印刷や集約印刷を推奨することがある。しかし、例えば、お客様先に提出する書類等の特定の書類では両面印刷や集約印刷することはできないものもあり、全て両面印刷や集約印刷で印刷するのは現実的ではない場合がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、CO2排出量や消費電力量等の画像形成装置で消費される資源(いわゆる環境コスト)の削減目標を達成するために推奨する印刷設定を判断可能な情報を提供することができる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像形成装置で実行された印刷ジョブの履歴情報を取得する取得手段と、前記画像形成装置において消費される資源の節約に関する目標値を入力するための入力手段と、前記資源を節約可能な印刷設定を示す節約印刷設定を選択するための選択手段と、前記履歴情報に対応する全ての印刷ジョブに前記選択手段で選択された節約印刷設定を適用しなかった場合に比べ前記全ての印刷ジョブに前記節約印刷設定を適用した場合に削減される第1の消費資源量を求める第1の分析手段と、前記第1の消費資源量に対する、前記履歴情報に対応する印刷ジョブで実際に削減された第2の消費資源量の割合を示す実際の削減割合と、前記目標値を達成するために必要な第3の消費資源量の割合を示す目標となる削減割合とを求める第2の分析手段と、前記実際の削減割合と前記目標となる削減割合とを識別可能に表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、CO2排出量や消費電力量等の画像形成装置で消費される資源(いわゆる環境コスト)の削減目標を達成するために推奨する印刷設定を判断可能な情報を提供することができる。即ち、個別の事情に合わせた最適な印刷ポリシーを判断するための情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例を示す情報処理装置を適用可能な情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】デバイス120のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】情報処理装置110のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】情報処理装置110で実行されるCO2排出量の削減予測を行う処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】実施例1におけるCO2排出量の集計結果を表示するUI400の一例を示す図である。
【図6】実施例1におけるCO2排出量のユーザごとの集計結果を表示するUI500の一例を示す図である。
【図7】実施例2におけるCO2排出量の集計結果を表示するUI400の一例を示す図である。
【図8】実施例2におけるCO2排出量の集計結果を表示するUI400の他の例を示す図である。
【図9】実施例3におけるCO2排出量のユーザごとの集計結果を表示するUI500の一例を示す図である。
【図10】実施例4において節約予測の対象とする印刷実績の種類を設定するUI600の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の一実施例を示す情報処理装置を適用可能な情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施例の情報処理システムでは、情報処理装置110とデバイス120とがネットワーク100を介して通信可能に接続されている。
情報処理装置110は、後述する図3に示すようなハードウェア構成を有するコンピュータである。デバイス120は、後述する図2に示すようなハードウェア構成を有する複写機やプリンタ、複合機などの画像形成装置(以下、デバイスという)である。
【0013】
情報処理装置110は、通信部113、計算部112、インタフェース(IF)111等の機能を有する。以下、詳細に説明する。
通信部113は、ネットワークに接続する機能を持ち、ネットワーク100を介してデバイス120と通信を行う機能を有する。計算部112は、通信部113を介してデバイス120から印刷実績(ジョブ情報)等の情報(履歴情報)を取得し、CO2排出量および消費電力量等の消費資源量の計算を行う機能を有する。なお、本実施例では、画像形成装置の消費資源量の例として、CO2排出量および消費電力量を用いて説明するが、画像形成装置の消費資源量は、これらに限定されるものではない。
【0014】
インタフェース(IF)111は、情報処理装置110を操作する管理者等の操作を受け付ける機能を有する。なお、IF111は、情報処理装置110に接続されたモニタ310(図3)にユーザインタフェース(UI)を表示して操作受け付ける構成でもよいし、Webサービスを構成し、他のコンピュータからWebブラウザを介した操作を受け付ける構成であってもよい。
【0015】
デバイス120は、通信部121、印刷部122、ジョブ情報管理部123等の機能を有する。以下、詳細に説明する。
デバイス120の通信部121は、ネットワークに接続する機能を持ち、ネットワーク100を介して情報処理装置110と通信を行う機能を有する。印刷部122は、ユーザによるデバイスの直接操作あるいはネットワーク経由の印刷要求を受け付け、印刷を実行する機能を有する。
【0016】
ジョブ情報管理部123は、印刷部122が印刷した結果の印刷実績(ジョブ情報)を保存する機能を有する。ジョブ情報管理部123で管理される印刷実績(ジョブ情報)は、情報処理装置110からの要求に応じて通信部121から情報処理装置110に送信される。なお、デバイス120は、1台でも複数台でもよい。
【0017】
図2は、図1に示したデバイス120のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
CPU201は、制御プログラム等に基づいてシステムバス204に接続される印刷部(プリンタエンジン)206に出力情報としての画像信号を出力する。なお、制御プログラムは、ROM202やハードディスクドライブ(HDD)209等にコンピュータ読み取り可能に記録される。
【0018】
CPU201は、ネットワークインタフェイスカード(NIC)208を介してネットワーク100上のコンピュータやデバイス120等との通信処理が可能となっている。RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0019】
操作部205は、操作のためのボタン、スイッチ、およびタッチパネル式の表示装置等が配されている。ディスクコントローラ(DKC)207は、HDD209へのデータの書き込み、読み出しを制御する。なお、HDDの代わりに、他の記憶装置(例えば、SSD(Solid State Drive))を用いてもよい。
【0020】
なお、図1に示した通信部121、印刷部122、ジョブ情報管理部123の機能は、CPU201がROM202やHDD209等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0021】
図3は、図1に示した情報処理装置110のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
CPU301は、RAM303をワークメモリとして、ROM302やハードディスクドライブ(HDD)311等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを実行し、システムバス304を介して後述する各構成を制御する。
【0022】
HDD311は、オペレーティングシステム(OS)や各種プログラムやデータを格納する。CPU301は、ディスクコントローラ(DKC)307を介して、HDD311およびディスクドライブ312にアクセスし、各種プログラム等をHDD311にインストールする。
【0023】
CPU301は、ネットワークインタフェイスカード(NIC)308を介して、ネットワーク100を介した他のコンピュータ、デバイス等とも通信可能である。
CPU301は、プログラムに従い、ビデオカード(VC)306を介してモニタ310にユーザインタフェイス(UI)を表示する。ユーザは、キーボード(KB)309やマウスなどのポインティングデバイスを操作して、UIに対する指示や入力を行なう。CPU301は、キーボードコントローラ(KBC)305を介してからユーザ指示や入力を受け付け、ユーザ指示や入力に応じて様々な処理を実行する。
【0024】
なお、図1に示したIF111、計算部112、通信部113の機能は、CPU301がROM302やHDD311等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
即ち、本システムは、情報処理装置110およびデバイス120等の情報処理装置上で協調動作するプログラムによって実現される。プログラムは、各情報処理装置の不揮発性記憶領域にコンピュータ読み取り可能に記録されており、RAMに読みだされCPUによって実行される。
【0025】
以下、図4〜図6を参照して、実施例1のデバイス使用におけるCO2排出量及び消費電力量の削減予測を行う処理について説明する。
図4は、情報処理装置110で実行されるCO2排出量及び消費電力量の削減予測を行う処理の一例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、CPU301がROM302やHDD311等にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0026】
デバイス120の印刷部122において、印刷が実行されると、デバイス120のジョブ情報管理部123は、印刷実績をデバイス120のHDD209に格納する。
印刷実績は、印刷ページ数、印刷枚数、印刷設定、用紙種類などのジョブ情報を含む。印刷設定には、両面印刷、集約印刷等の設定情報を含む。両面印刷および集約印刷の設定は、デバイスにて消費される資源を節約可能な印刷設定であり、節約印刷設定と呼ぶ。なお、集約印刷とは、複数ページの原稿を1ページに集約して印刷するもので、2ページの原稿を1ページに集約した場合を「2in1」、4ページの原稿を1ページに集約した場合を「4in1」と呼ぶ。
【0027】
情報処理装置110の通信部113は、デバイス120から印刷実績を取得する(S700)。印刷実績の取得は、情報処理装置110が定期的にデバイス120と通信して取得しても良いし、ジョブ実行完了時にデバイス120から情報処理装置110に送信しても良い。なお、情報処理装置110が取得した印刷実績は、情報処理装置110のHDD311等に保持される。
【0028】
次に、情報処理装置110の計算部112は、一定の期間ごとにCO2排出量及び消費電力量(以下、CO2排出量等という)の集計を行う(CO2排出量実績計算;S701)。CO2排出量実績計算は、全ユーザ、及びユーザ毎に行う。なお、上記一定の期間とは、例えば月ごととする。この一定の期間は、管理者の設定可能であり、情報処理装置110のHDD209に記憶される。なお、前回までの(ここでは前月までの)のCO2排出量等の実績計算結果は、情報処理装置110のHDD311に保持されているものとする。
【0029】
CO2排出量実績計算は、情報処理装置110の例えばHDD311内に格納された計算式を用いて行う。以下、詳細に説明する。
例えば、情報処理装置110は、用紙種類ごとに、その用紙を作成するために排出される1枚あたりのCO2排出量を保持し、印刷実績内の用紙枚数情報から、用紙によるCO2排出量を算出する。詳細には、印刷実績内の用紙種類ごとの用紙枚数情報と用紙種類ごとの1枚あたりのCO2排出量とをそれぞれ乗算して合算することにより、用紙によるCO2排出量を算出する。
【0030】
また、情報処理装置110は、デバイス機種や印刷内容ごとにかかる1枚あたりの消費電力量および消費電力量をCO2排出量に換算する情報を保持し、ジョブ情報から、消費電力量によるCO2排出量を算出する。詳細には、例えば、ジョブ情報内のデバイス機種と用紙内容の組み合わせごとの印刷枚数とデバイス機種と用紙内容の組み合わせごとの1枚あたりの消費電力量とを乗算してデバイス機種と用紙内容の組み合わせごとの消費電力量を算出し、デバイス機種と用紙内容の組み合わせごとの換算式を用いてデバイス機種と用紙内容の組み合わせごとのCO2排出量を算出する。さらに、デバイス機種と用紙内容の組み合わせごとの消費電力量およびCO2排出量をそれぞれ合算して、消費電力量および消費電力量によるCO2排出量を算出する。
【0031】
さらに、用紙によるCO2排出量と消費電力量によるCO2排出量を足し合わせてCO2排出量を算出する。そして、各算出結果を、HDD311に保持しておく。また、このようなCO2排出量実績計算をユーザごとにも行い、HDD311に保持しておくものとする。なお、途中で算出された全ユーザ及びユーザ毎の消費電力量も、HDD311に保持しておくものとする。
【0032】
以上のようなCO2排出量実績計算を完了すると、情報処理装置110の計算部112が後述するS702〜S705の処理を実行し、その算出結果をIF111がUI400(図5)として情報処理装置110のモニタ310に表示するように制御する。
【0033】
ここで、S702〜S705の処理を説明する前に、図5を用いてUI400について説明する。
図5は、実施例1におけるCO2排出量の集計結果を表示するUI(ユーザインタフェース)400の一例を示す図である。
UI400は、情報処理装置110のIF111によりモニタ310上に表示される。
UI400は、集計項目(CO2排出量/消費電力量)を選択する項目選択コントロール401を有する。なお、項目選択コントロール401の初期値は、CO2排出量とする。以下、項目選択コントロール401で、CO2排出量が選択されている場合を例に説明する。
【0034】
UI400には、上記S701で算出したCO2排出量実績に基づく棒グラフ405が表示される。この棒グラフ405は、上述の図4のS701のCO2実績計算結果に基づいて表示される。なお、本例では、2011年の1年間のCO2排出量実績を、月ごとに累積表示しているが、1年間(1〜12月)でなくとも、その前月までのCO2排出量実績を表示するようにしてもよい。例えば、9月に図4の処理を実行し、1〜8月までのCO2排出量実績を月ごとに累積表示してもよい。
【0035】
また、UI400は、節約印刷設定のパターンを選択するパターン選択コントロール402を有する。なお、節約印刷設定パターンは、例えば、「2in1」、「4in1」、「両面」、「2in1 かつ 両面」、「4in1 かつ 両面」等とする。ユーザは、パターン選択コントロール402により、UI400で削減予測を表示したい節約印刷設定を選択することができる。なお、本実施例では、パターン選択コントロール402の初期値を「2in1」とする。
【0036】
また、UI400は、削減予測で使用したい節約印刷の割合を指定する割合指定コントロール403を有する。割合指定コントロール403は、例えばスライダーとし、つまみを動かして、0%から100%の間を指定可能とする。ユーザは、この割合指定コントロール403によりUI400で削減予測を表示したい削減割合を指定することができる。
【0037】
UI400では、割合指定コントロール403で指定される削減割合(%)に基づいて、CO2排出量が計算され、節約予測結果の棒グラフ406として、印刷実績のCO2排出量の棒グラフ405の前面に表示される。印刷実績のCO2排出量の棒グラフ405と節約予測結果の棒グラフ406とは、識別可能に表示される。
【0038】
以下に、節約印刷を行った場合のCO2排出量の予測結果の計算方法の一例を示す。
節約印刷設定が「2in1」の場合は、全てのページを1ページを1枚に印刷する集約しない印刷設定で印刷した場合のCO2排出量を計算し、それを節約印刷0%とする。また、全ての集約可能なページを「2in1」で印刷した場合のCO2排出量を計算し、それを節約印刷100%とする。「4in1」の場合も同様とする。
【0039】
「両面」の場合は、全てのページを片面で印刷した場合のCO2排出量を計算し、それを節約印刷0%とする。また、全ての両面印刷可能なページを「両面」で印刷した場合のCO2排出量を計算し、それを節約印刷100%とする。
【0040】
「2in1 かつ 両面」の場合は、全てのページを集約しない印刷設定かつ片面で印刷した場合のCO2排出量を計算し、それを節約印刷0%とする。また、全ての集約可能で両面印刷可能なページを「2in1 かつ 両面」で印刷した場合のCO2排出量を計算し、それを節約印刷100%とする。「4in1 かつ 両面」も同様とする。
【0041】
節約印刷が0%から100%の間のCO2排出量は、割合で計算する。例えば、節約印刷0%のCO2排出量が100gで、節約印刷100%のCO2排出量が50gであった場合、差異が50gである。50gを100で割り、節約印刷が1%増えるとCO2排出量が0.5g減少すると計算する。節約印刷50%ならCO2排出量が75g、節約印刷75%ならCO2排出量が62.5gと計算する。
【0042】
なお、本実施例では、割合指定コントロール403の初期値を例えば「0%」とする。即ち、初期状態では、節約予測結果の棒グラフ406の値は、CO2排出量実績に基づく棒グラフ405の値と同じものとなる。そして、ユーザが割合指定コントロール403で削減割合を上げていくと、この操作に応じて、節約予測結果の棒グラフ406の値が下がっていくこととなる。なお、割合指定コントロール403で指定される割合指定の初期値は、情報処理装置110のHDD311に格納されており、管理者が変更可能である。
【0043】
また、割合指定コントロール403のスライダー上には、実績の削減割合408が表示される。実績の削減割合408は、上記図4のS701で算出したCO2排出量実績に対応するスライダー位置に表示される。
【0044】
また、UI400は、CO2排出量の目標値(本実施例では年間目標値)を設定する目標設定コントロール404と、更新ボタン420を有する。CO2排出量の目標値は、例えば年間の総CO2排出量を設定するためのものである。ユーザは、目標設定コントロール404にCO2排出量の目標値を入力して更新ボタン420を押下することにより、CO2排出量の目標値を設定することができる。なお、本実施例では、目標設定コントロール404の初期値を例えば「1000g」とする。なお、目標値の初期値は、情報処理装置110のHDD311に格納されており、管理者が変更可能である。
【0045】
また、UI400では、目標設定コントロール404に設定された目標値に対応する線グラフ407が表される。なお、本例では、線グラフ407は、一直線のグラフとして示されているが、例えば、月毎のCO2排出割合に応じて折れ線グラフとしてもよい(もちろんスプライン等の曲線でもよい)。例えば、特定の期間(6月と12月等)で1年の70%のCO2を排出しているような使用傾向のユーザがいる。このようなユーザの場合、この使用傾向に応じた割合で、年間の目標値を月毎に割り振り、折れ線グラフ等で目標値に対応する値を表示する。
【0046】
また、割合指定コントロール403のスライダー上には、目標値達成に必要な削減割合409が表示される。目標値達成に必要な削減割合409は、目標設定コントロール404に設定された目標値に対応するスライダー位置に表示される。なお、上述した実績の削減割合408(実際の削減割合)と、目標値達成に必要な削減割合409(目標となる削減割合)とは、識別可能に表示される。
【0047】
以下、図4のS702以降の処理について説明する。
S702〜S705において、情報処理装置110の計算部112は、節約印刷設定パターンごとに、節約印刷0%と100%のCO2排出量算出(S703;第1の分析ステップ)、実績の削減割合算出(S704)、目標値達成に必要な削減割合算出(S705)を行う(S704及びS705;第2の分析ステップ)。以下、詳細に説明する。
【0048】
S702では、情報処理装置110の計算部112は、未だ割合を算出していない(S703〜S705の処理を実行していない)節約印刷設定パターンがあるか否かを判定する。
【0049】
そして、未だ割合を算出していない節約印刷設定パターンがあると判定した場合(S702でYes)、情報処理装置110の計算部112は、未だ割合を算出していない節約印刷設定パターンを選択し(以下、カレントの節約印刷設定パターン)、S703に処理を進める。
【0050】
S703では、情報処理装置110の計算部112は、カレントの節約印刷設定パターンの節約印刷を0%実行した場合のCO2排出量と、該節約印刷を100%実行した場合のCO2排出量(第1の消費資源量)とを算出する(求める)。さらに、計算部112は、カレントの節約印刷設定パターンの節約印刷が1%増えると減少するCO2排出量を計算し、情報処理装置110のHDD311に格納する。
【0051】
S704では、情報処理装置110の計算部112は、カレントの節約印刷設定パターンの節約印刷について、上記S700で取得した印刷実績が既にどれだけの削減割合節約されているか(実際の削減割合(第2の消費資源量の割合))を、上記S703の計算結果を用いて算出する(求める)。そして、この算出結果を情報処理装置110のRAM303又はHDD311に格納する。この算出結果を用いて、実績の削減割合408が表示されることとなる。
【0052】
上記実績の削減割合を算出する際の計算式を以下に示す。
(実績の削減割合)=((節約印刷0%排出量)−(排出量実績))/(節約印刷1%増で減少する排出量)
なお、上記の計算結果がマイナスとなった場合は「0%」、100%を超えた場合は「100%」と補正するようにしてもよい。
【0053】
さらに、情報処理装置110の計算部112は、図示しないが、上記S701で取得した印刷実績の印刷を、カレントの節約印刷設定パターンと割合指定コントロール403のスライダー上のつまみがある位置の割合で、節約印刷行った場合のCO2排出量の予測(節約予測結果)を算出し(第3の分析ステップ)、この算出結果を情報処理装置110のRAM303又はHDD311に格納する。この算出結果を用いて、節約予測結果の棒グラフ406が表示されることとなる。なお、割合指定コントロール403で指定される割合は所定の初期値(例えば0%)に設定されており、UI400の表示前は、この初期値で算出される。
【0054】
S705では、情報処理装置110の計算部112は、カレントの節約印刷設定パターンの節約印刷について、目標設定コントロール404で設定される目標値に達成するために必要な削減割合(目標となる削減割合(第3の消費資源量の割合))を、上記S703の計算結果を用いて算出する(求める)。そして、算出結果を情報処理装置110のRAM303又はHDD311に格納する。この算出結果を用いて、目標値達成に必要な削減割合409が表示されることとなる。なお、目標設定コントロール404で設定される目標値は所定の初期値(例えば1000g)に設定されており、この時点ではユーザから目標設定コントロール404への設定がなされる前であるため、この初期値で算出される。
【0055】
上記実績の目標達成に必要な削減割合を算出する際の計算式を以下に示す。
(目標達成に必要な削減割合)=((節約印刷0%排出量)−(目標値))/(節約印刷1%増で減少する排出量)
なお、上記の計算結果がマイナスとなった場合は「0%」、100%を超えた場合は「100%」と補正するようにしてもよい。
【0056】
そして、情報処理装置110の計算部112は、S705の処理を終了すると、S702に処理を戻す。
そして、情報処理装置110の計算部112が全ての節約印刷設定パターンについて割合の算出を終了したと判定した場合(S702でNo)、情報処理装置110のIF111が、S706の処理を実行する。
【0057】
S706では、情報処理装置110のIF111は、計算部112の計算結果に基づいて、節約印刷設定の初期値に対応するCO2排出量の集計結果をUI400(図5)に表示する。なお、パターン選択コントロール402で選択される節約印刷設定のパターンは所定の初期値(例えば2in1)に設定されており、この初期値に対応するCO2排出量の集計結果が表示される。
【0058】
この際、情報処理装置110のIF111は、上記S701で計算部112が算出したCO2排出量実績計算結果に基づいて棒グラフ405を表示する。また、IF111は、上記S704の実績の削減割合算出結果に基づいて、対応する節約印刷設定のパターンについて実績の削減割合408を、割合指定コントロール403のスライダー上に表示する。また、IF111は、目標設定コントロール404の初期値に基づいて、目標値に対応する線グラフ407を表示する。また、IF111は、上記S705の目標達成に必要な削減割合算出結果に基づいて、対応する節約印刷設定のパターンについて目標達成に必要な削減割合409を割合指定コントロール403のスライダー上に表示する。また、IF111は、上記S704で計算部112が算出した節約予測結果に基づいて、対応する節約印刷設定のパターンについて節約予測結果の棒グラフ406を表示する。
【0059】
以上のように、割合指定コントロール403で指定した割合における節約予測結果と、目標値を比較可能な状態で表示することで、目標値を達成するために必要な節約印刷設定パターンの割合の情報を提供することができる。
【0060】
なお、上記の説明では、割合指定コントロール403による割合指定の初期値と、目標設定コントロール404で設定される目標値の初期値を別々に設けたが、割合指定の初期値を、目標値の初期値の達成に必要な削減割合とてもよい。この場合、UI400の初期表示状態では、目標達成に必要な削減割合409の表示位置と、割合指定コントロール403のスライダーのつまみの位置が同じ位置となる。
【0061】
以上のようなCO2排出量実績計算及びUI400の表示が完了すると、情報処理装置110のIF111は、UI400からの入力、例えばパターン選択コントロール402での節約印刷設定のパターンの変更、割合指定コントロール403での割合指定の変更、目標設定コントロール404からの目標値の変更等を、受け付けるように制御する。
【0062】
そして、これらの入力を検知すると、情報処理装置110の計算部112は、再計算が必要な部分のみを再計算し、該再計算結果に基づいて、IF111がUI400を再表示する。例えば、パターン選択コントロール402で節約印刷設定のパターンが変更された場合は、変更された節約印刷設定のパターンに対応する計算結果を、情報処理装置110のRAM303又はHDD311から読み出して、UI400を再表示する。また、割合指定コントロール403で割合指定が変更された場合は、図4のS704の計算を再実行し、変更された割合指定に対応する計算結果を、UI400を再表示する。また、コントロール404で目標値が変更された場合は、図4のS705の計算を再実行し、変更された目標値に対応する計算結果を、UI400を再表示する。
【0063】
なお、情報処理装置110のIF111は、UI400上で、CO2排出量実績に基づく棒グラフ405(又は節約予測結果の棒グラフ406)の、月ごとの棒グラフの選択を受け付け、この選択に応じて、選択された月のユーザごとの集計結果を図6のUI500のように表示することができる。
【0064】
図6は、実施例1におけるCO2排出量のユーザごとの集計結果を表示するUI500の一例を示す図である。
UI500は、情報処理装置110のIF111によりモニタ310上に表示される。
なお、情報処理装置110は、ある月の棒グラフの選択された際に、計算部112によりユーザ毎のCO2排出量の集計を行ってもよいし、予め図4の各ステップでユーザ毎の計算を行って記憶しておいてもよい。
【0065】
節約印刷設定パターンの選択方法、及び割合の指定方法、CO2排出量の実績の棒グラフと節約予測結果の棒グラフの表示方法は、UI400の例と同様である。
情報処理装置110のIF111は、UI500上で、ポインティングデバイスの操作などにより、あるユーザの棒グラフが選択されたことを検知すると、選択された節約印刷設定パターンにおいて、そのユーザの印刷実績が既にどれだけの割合節約されているかを、501に示すように表示する。
【0066】
以上のように、ユーザごとのCO2排出量の実績と割合指定における節約予測結果とを、比較可能な状態で表示することで、ユーザごとのCO2排出量の情報を提供することができる。
【0067】
本例では、ユーザごとのCO2排出量グラフについて説明したが、他の集計単位にも適用可能である。例えば、一定の期間ごと、或いはユーザグループごと、デバイスごと、デバイスグループごとに集計したグラフに適用することもできる。
【0068】
また、印刷時に印刷目的別(例えば、下書き、清書等)にコードを付加して印刷を実行し、印刷実績のジョブ情報の一部として保持することで、印刷目的別の集計を行うことができる。その場合、本例を印刷目的ごとのグラフに適用することもできる。
なお、これまでCO2排出量の計算について説明したが、消費電力量についても同様である。
【0069】
図5のUI400(及びUI500)上での項目選択コントロール401の切り替えに応じて、情報処理装置110のIF111がCO2排出量のグラフと消費電力量のグラフを切り替えて表示するようにしてもよい。
【0070】
このように、項目選択コントロール401で集計項目が切り換えられた場合、目標設定コントロール404の目標値は、CO2排出量、消費電力量を新たに設定する構成でも良いし、CO2排出量の目標値から、自動で消費電力量の目標値を算出しても良い(その逆でも良い)。例えば、CO2排出量の目標値のうち、一定の割合を消費電力量によるCO2排出量であるとして、自動で消費電力量の目標値を算出する。一定の割合とは、例えば、昨年度の実績を用いる。昨年度の用紙によるCO2排出量が30000g、消費電力量によるCO2排出量が70000gであった場合は、CO2排出量の目標値の70%分が消費電力量によるものであると判断する。そのCO2排出量を消費電力量に換算したものを、消費電力量の目標値とする。このようなCO2排出量を消費電力量に変換するための割合を、HDDに記憶させておき、管理者により変更可能にしてもよい。
【0071】
なお、項目選択コントロール401で集計項目が切り換えられた場合の計算は、予め図4の各ステップで行っておきRAM303又はHDD311に記憶しておいてもよいし、項目選択コントロール401の切り替えに応じて、計算部112が新たに計算してもよい。
【0072】
以上のように、節約印刷設定を実行した場合のシミュレーションを行うことにより、CO2排出量や消費電力量の目標値を達成するために推奨する印刷設定を、全体で又はユーザごとに判断可能な情報を提供することができる。
【0073】
なお、本実施例では、項目選択コントロール401、パターン選択コントロール402、割合指定コントロール403、目標設定コントロール404の初期値に基づいて、節約印刷設定を実行した場合の予測値等を計算してUI400を表示し、その後、各コントロール401〜404の切り替えられると、必要に応じて予測値を再計算してUI400を再表示する構成を説明した。しかし、図4のS701の直後、即ち、節約予測結果を計算する前に、各コントロール401〜404の入力を受け付け、該入力された値に基づいて、計算部112が節約印刷設定を実行した場合の予測を計算してUI400を表示するようにしてもよい。
【実施例2】
【0074】
実施例2では、図7を用いて、複数の節約印刷設定パターンを連携させて、節約予測結果の表示を行う方法を説明する。なお、実施例1と同様の構成や手順については、その詳細説明を省略する。
【0075】
図7は、実施例2におけるCO2排出量の集計結果を表示するUI400の一例を示す図であり、図5と同一のものには同一の符号を付してある。
実施例1においては、集約印刷の場合、節約印刷設定として「2in1」、「4in1」のどちらかを選択していたが、本実施例のパターン選択コントロール402では、「集約印刷」として両方を合わせた選択肢を提供する。
【0076】
計算部112による、「集約印刷」のCO2排出量の予測結果の計算方法は、全てのページを集約しない印刷設定で印刷した場合のCO2排出量を計算し、それを節約印刷0%とする。また、全ての集約可能なページを「2in1」で印刷した場合のCO2排出量を計算し、それを「2in1」100%とする。さらに、全ての集約可能なページを「4in1」で印刷した場合のCO2排出量を計算し、それを「4in1」100%とする。
【0077】
そして、IF111は、割合指定コントロール403のスライダー上に、「2in1」100%の位置(410)と、「4in1」100%の位置(411)を表示する。スライダーのつまみが0%から「2in1」100%の間のCO2排出量の予測の計算と表示は、実施例1と同様である。また、スライダーのつまみが「2in1」100%から「4in1」100%の間は、スライダーのつまみで指定される割合を「4in1」にし、且つ、残りを可能な限り「2in1」にした場合のCO2排出量を計算し、棒グラフ406に反映する。
【0078】
このような構成により、可能な限り「2in1」にしても目標値を達成できていない場合でも、引き続き更に「4in1」(「2in1」と比較して削減率が大きい)にした場合の予測を容易に行うことができる。
【0079】
本実施例は、節約印刷設定パターンのうち、集約印刷の2つのパターンを連携させる例を説明したが、連携させるパターンはこの限りではない。例えば、「両面」、「2in1」、及び「4in1」を連携させるようにしても良い。この場合、つまみの指定する値を大きくしていくと、まず最初は「両面」にしていき、100%両面にし終わると、「両面 かつ 2in1」にしていく。更に、100%「両面 かつ 2in1」にし終わると、更に「両面 かつ 4in1」にしていき、その節約予測結果を表示する。節約印刷設定パターンを連携する場合、どの節約印刷設定パターンから先に行うかを選択可能としても良い。
【0080】
また、別の節約印刷設定パターンの連携方法として、複数の節約印刷設定パターンをそれぞれ適用する割合を指定し、CO2排出量の節約予測結果を表示する方法について、図8を用いて説明する。
【0081】
図8は、実施例2におけるCO2排出量の集計結果を表示するUI400の他の例を示す図であり、図5、図7と同一のものには同一の符号を付してある。
図8に示すパターン選択コントロール415は、節約印刷設定パターンとして、「2in1」、「4in1」、及び「両面」のうち2つを選択する構成となっている(即ち、必ず2選択する必要がある)。
【0082】
図8のUI400は、印刷実績全体のうち、節約印刷の予測を行う割合を指定する割合指定コントロール412を有する。本実施例では、ドロップダウンリストとし、リストから割合を選択可能とする。例えば、50%を選択した場合、印刷実績の全体の50%を節約印刷の予測対象とする。
【0083】
図8のUI400は、節約印刷設定パターンそれぞれの割合を選択可能なパターン割合指定コントロール413を有する。例えば、パターン選択コントロール415で「2in1」と「両面」を選択していた場合、割合指定コントロール412で選択した50%のうち、「2in1」と「両面」にする割合を、パターン割合指定コントロール413で指定する。即ち、パターン割合指定コントロール413のつまみが一番右(両面側)に移動されると「2in1」0%且つ「両面」50%に割合指定され、一方、パターン割合指定コントロール413のつまみが一番左(2in1側)に移動されると「2in1」50%且つ「両面」0%に割合指定される。なお、指定された割合は、IF111により、414のように表示される。この例では、パターン割合指定コントロール413のつまみが一番左(2in1側)から3/5の位置のため、削減割合の50%が「2in1」と「両面」に3:2の割合で配分され、「2in1」30%且つ「両面」20%に割合指定される。
情報処理装置110の計算部112は、図8のUI400で指定された割合でCO2排出量を計算し、その結果をIF111が棒グラフ406として表示する。
【0084】
以上の構成により、複数の節約印刷設定パターンを連携させた節約印刷設定を実行した場合のシミュレーションを行うことにより、CO2排出量や消費電力量の目標値を達成するために推奨する印刷設定を判断可能な情報を提供することができる。
【実施例3】
【0085】
実施例3では、図9を用いて、選択した1以上のユーザを対象として、節約印刷の予測を行う方法について説明する。なお、実施例1と同様の構成や手順については、その詳細説明を省略する。
【0086】
図9は、実施例3におけるCO2排出量のユーザごとの集計結果を表示するUI500の一例を示す図であり、図6と同一のものには同一の符号を付してある。
本例では、ユーザを集計単位とした場合について説明するが、他の集計単位にも適用可能である。例えば、一定の期間ごと、或いはユーザグループごと、デバイスごと、デバイスグループごとの集計単位にも適用可能である。
【0087】
本実施例では、情報処理装置110のIF111は、実施例1で図6を用いて説明した方法により、ユーザごとのCO2排出量の実績と節約予測結果をUI500(図9)として表示する。
【0088】
この表示において、実績と節約予測結果の差異が大きいユーザは、節約印刷していないとみなすことができる。大多数のユーザは節約印刷をしていて、特定のユーザのみ節約印刷していないような場合、特定のユーザのみに注意を促せばCO2排出量の目標値を達成できる場合がある。本実施例では、そのような場合のために、特定のユーザのみを対象にした節約印刷の予測を行う機能を提供する。
【0089】
情報処理装置110のIF111は、図9のUI500のユーザごとのCO2排出量グラフにおいて、実績と節約予測結果の差異が大きいユーザの棒グラフを、502のように、枠線の太さや色を変えるなどして強調表示する。或いは、予めそのユーザの棒グラフを選択状態にしてもよい。
【0090】
図9のUI500は、印刷実績のCO2排出量の棒グラフ上で、1以上の特定のユーザを選択可能とし、選択されたユーザのみの実績を、節約予測の算出対象とする対象指定機能を有する。印刷実績のCO2排出量の棒グラフ上で1以上の特定のユーザが選択された状態で、情報処理装置110のKB309の所定のキー(例えば、Enterキー)が押下されると、情報処理装置110の計算部112は、選択された節約印刷設定パターンと、UI500の割合指定コントロール403のスライダー上のつまみがある位置の割合で、選択されたユーザの実績を対象として節約印刷行った場合のCO2排出量(節約予測結果)を算出する。そして、情報処理装置110のIF111が、上記計算部112の算出結果を、CO2排出量を節約予測結果としてUI500上に表示する。
【0091】
さらに、情報処理装置110の計算部112が選択されたユーザの実績を対象として、節約印刷の割合を0%から増やしていき、年間目標値を達成できたところで、IF111が、その割合で目標値が達成できたことが分かる表示(目標達成に必要な削減割合504)を、割合指定コントロール403のスライダー上に表示する。
【0092】
以下、目標達成に必要な削減割合504の算出処理の例を具体的に説明する。
例えば、目標値が500g、現在の全ユーザのトータルの実績が520gである場合を例に説明する。この場合、目標達成には、「520g−500g=20g」より、あと20g減らす必要がある。
【0093】
また、節約予測を行う対象のユーザをユーザAとし、ユーザAの節約印刷0%排出量を100g、ユーザAの節約印刷100%排出量を50g、ユーザAの現在の排出量を80gとすると、ユーザAの節約印刷1%増で減少する排出量は0.5gとなる。
【0094】
そして、ユーザAの実際の節約率は、以下のように計算される。
ユーザAの実際の節約率=(100−80)÷0.5=40%
ユーザAのCO2排出量を20g減らすには、「20÷0.5=40」となり、ユーザAは、あと40%減らす必要がある。
現在、ユーザAは既に40%節約しているので、ユーザAは、40%+40%で節約率80%とすると、ユーザAは目標値を達成することができる。即ち、この例では、ユーザAの目標値達成に必要な削減割合は「80%」と算出される。
【0095】
なお、節約予測を行う対象のユーザが複数(ユーザAとユーザB)の場合も同様である。上記「ユーザA」のところを、「ユーザAとユーザB」のように置き換えることにより、同様にユーザAとユーザBの目標値達成に必要な削減割合を算出可能である。
【0096】
なお、実績と節約予測結果の差異が大きいが、印刷ページ数が所定数より少なく、CO2排出量が少ないユーザなどは、強調表示の対象から外すか、或いは、503のように、区別した強調表示としてもよい。
【0097】
以上の構成により、一部のユーザ(特に実績と節約予測結果の差異が大きいユーザ)を選択し、該選択されたユーザが節約印刷設定を実行した場合のシミュレーションを行うことで、CO2排出量や消費電力量の目標値を達成するために、一部のユーザ(特に節約をしていないユーザ)に推奨する印刷設定を判断可能な情報を提供することができる。
【0098】
なお、集計単位として、期間ごと、ユーザグループごと、デバイスごと、デバイスグループごとを用いた場合も、上記集計単位としてユーザを用いた場合と同様である。
【0099】
なお、情報処理装置110が節約予測するデバイスが複数存在する場合、一部のデバイスでは設定できない節約印刷設定が、パターン選択コントロール402で選択される場合がある。例えば、両面印刷できないデバイスが含まれる場合に、節約印刷設定として両面を含むものが選択される場合がある。このような場合、パターン選択コントロール402で選択された節約印刷設定で印刷可能なデバイスのみを対象として節約予測処理を行うように構成する。具体的な計算方法等は、上記選択されたユーザのみを対象とした節約予測処理と同様である。
【実施例4】
【0100】
実施例4では、図10を用いて、CO2排出量の節約予測の対象とする印刷実績の種類を設定する方法を説明する。なお、実施例1と同様の構成や手順については、その詳細説明を省略する。
【0101】
図10は、実施例4において節約予測の対象とする印刷実績の種類を設定するUI600の一例を示す図である。
UI600は、情報処理装置110のIF111によりモニタ310上に表示される。
UI600では、図4のS700において、情報処理装置110が取得する印刷実績に含まれるジョブ情報の項目ごとに、対象か対象外かを選択することで、節約予測の対象とする印刷実績の種類を指定可能とする。UI600で指定される印刷実績の種類は、図10に示すように、例えば、用紙サイズ、用紙種類、カラー/モノクロ、印刷目的、原稿種類の少なくとも1つを含むものとする。
【0102】
例えば、図10のUI600では、項目のチェックボックスにチェックを入れたものを対象とする。図10の例では、用紙サイズの欄で「A4」のみがチェックされており、用紙サイズについては「A4」のみ対象としていることを表している。
【0103】
情報処理装置110の計算部112は、UI600での設定に基づき、対象の印刷実績のみを対象として節約予測の計算を行う。
例えば、ある企業においては、日常の印刷はA4で、設計図の印刷はA3にしているような場合がある。日常の印刷は、「両面」や「2in1」にすることができるが、細かい図を印刷する設計図は「両面」や「2in1」にすることができない。そのような場合、節約印刷を「両面」100%にすると目標値が達成できるとしても、実際には、100%両面にすることはできないため、実情に合わない予測結果となってしまう。そこで、A3を対象外とすることで、実情に基づいた節約予測を行うことができるようになる。
【0104】
なお、本実施例における計算部112の計算方法については、UI600でチェックされた項目に対応する印刷ジョブのみを計算対象とする他は、図4のS701〜S705で説明した方法と同様である。
【0105】
以上の構成により、UI600から節約予測の対象とする印刷実績の種類を設定することにより、選択された種類の印刷ジョブについて節約印刷設定を実行した場合のシミュレーションを行うことで、CO2排出量や消費電力量の目標値を達成するために、特定の種類のジョブを実行する際に推奨する印刷設定を判断可能な情報を提供することができる。
【0106】
以上説明したように、本発明の各実施例によれば、様々な節約印刷設定を実行した場合のシミュレーションを行って、CO2排出量や消費電力量等の画像形成装置で消費される資源(いわゆる環境コスト)の目標値を達成するために推奨する印刷設定を判断可能な情報を提供することができる。よって、個別の事情に合わせた最適な印刷ポリシーを判断するための情報を提供することができる。
【0107】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0108】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0109】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0110】
110 情報処理装置
111 IF
112 計算部
113 通信部
120 デバイス
121 通信部
122 印刷部
123 ジョブ情報管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置で実行された印刷ジョブの履歴情報を取得する取得手段と、
前記画像形成装置において消費される資源の節約に関する目標値を入力するための入力手段と、
前記資源を節約可能な印刷設定を示す節約印刷設定を選択するための選択手段と、
前記履歴情報に対応する全ての印刷ジョブに前記選択手段で選択された節約印刷設定を適用しなかった場合に比べ前記全ての印刷ジョブに前記節約印刷設定を適用した場合に削減される第1の消費資源量を求める第1の分析手段と、
前記第1の消費資源量に対する、前記履歴情報に対応する印刷ジョブで実際に削減された第2の消費資源量の割合を示す実際の削減割合と、前記目標値を達成するために必要な第3の消費資源量の割合を示す目標となる削減割合とを求める第2の分析手段と、
前記実際の削減割合と前記目標となる削減割合とを識別可能に表示する表示手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記消費資源量は、CO2排出量又は消費電力量であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記CO2排出量は、用紙を作成するために排出されるCO2の排出量と、印刷により排出されるCO2の排出量とを含むことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記節約印刷設定は、複数ページを1ページに集約して印刷する集約印刷と、両面印刷の少なくともいずれか一方を適用した印刷設定であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記節約印刷設定の割合を指定するための指定手段と、
前記履歴情報に対応する印刷ジョブの実際の消費資源量と、前記履歴情報に対応する印刷ジョブに前記選択手段で選択された節約印刷設定を前記指定手段で指定された割合で適用した場合に予測される消費資源量とを求める第3の分析手段とを有し、
前記表示手段は、前記第3の分析手段で求められた前記実際の消費資源量と前記予測される消費資源量とを識別可能に表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第3の分析手段は、前記実際の消費資源量と、前記予測される消費資源量とを集計単位ごとに求め、
前記表示手段は、前記実際の消費資源量と、前記予測される消費資源量とを集計単位ごとに表示することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記集計単位は、ユーザ、ユーザのグループ、画像形成装置、画像形成装置のグループ、期間、又は印刷目的であることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記選択手段は、連携して適用する複数の節約印刷設定を選択するものであり、
前記指定手段は、前記選択手段で選択された複数の節約印刷設定のいずれかの割合を指定するものであり、
前記第3の分析手段は、前記指定手段で指定された節約印刷設定を前記指定された割合だけ適用し、残りの割合に対して前記指定手段で割合を指定された節約印刷設定と連携する、より消費資源量の削減率の小さい節約印刷設定を可能なかぎり適用した場合に予測される消費資源量を求めることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記選択手段は、複数の節約印刷設定を選択するものであり、
前記指定手段は、前記選択手段で選択された複数の節約印刷設定の全体の割合と、前記全体の割合の中の個別の割合とを指定するものであり、
前記第3の分析手段は、前記履歴情報に対応する印刷ジョブの前記全体の割合に対して、前記選択手段で選択された複数の節約印刷設定を前記個別の割合で適用した場合に予測される消費資源量とを求めることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記履歴情報に対応する印刷ジョブのうち、分析の対象とする印刷ジョブの種類を指定する対象指定手段を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記対象指定手段で指定される種類は、用紙サイズ、用紙種類、カラー/モノクロ、印刷目的、原稿種類の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置の制御方法であって、
画像形成装置で実行された印刷ジョブの履歴情報を取得する取得ステップと、
前記画像形成装置において消費される資源の節約に関する目標値の入力を受け付ける入力ステップと、
前記資源を節約可能な印刷設定を示す節約印刷設定の選択を受け付ける選択ステップと、
前記履歴情報に対応する全ての印刷ジョブに前記選択ステップで選択された節約印刷設定を適用しなかった場合に比べ前記全ての印刷ジョブに前記節約印刷設定を適用した場合に削減される第1の消費資源量を求める第1の分析ステップと、
前記第1の消費資源量に対する、前記履歴情報に対応する印刷ジョブで実際に削減された第2の消費資源量の割合を示す実際の削減割合と、前記目標値を達成するために必要な第3の消費資源量の割合を示す目標となる削減割合とを求める第2の分析ステップと、
前記実際の削減割合と前記目標となる削減割合とを識別可能に表示する表示ステップと、
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載された手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−89003(P2013−89003A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228605(P2011−228605)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】