情報処理装置、情報処理装置の電源制御方法およびプログラム
【課題】ICモジュールに対して駆動電源を効率的に供給可能な、情報処理装置、情報処理装置の電源制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】ICモジュール10を通じて行われるリーダライタ50との通信を終了すると(ステップS41)タイマを起動し(ステップS42)、所定間隔で外部から受信した電波を検知するのに対応して、電波の送出開始を検知する(ステップS43)たびにタイマを再起動し(ステップS42)、電波の送出開始を検知せずに、所定間隔よりも長い第1期間の経過をタイマにより確認すると(ステップS44)、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、ICモジュールへの電源供給をリセットする(ステップS45)。
【解決手段】ICモジュール10を通じて行われるリーダライタ50との通信を終了すると(ステップS41)タイマを起動し(ステップS42)、所定間隔で外部から受信した電波を検知するのに対応して、電波の送出開始を検知する(ステップS43)たびにタイマを再起動し(ステップS42)、電波の送出開始を検知せずに、所定間隔よりも長い第1期間の経過をタイマにより確認すると(ステップS44)、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、ICモジュールへの電源供給をリセットする(ステップS45)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の電源制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、近距離無線通信により通信情報を送受信可能なICモジュールが普及しており、ICモジュールを搭載した情報処理装置も開発されている。ICモジュールは、電磁波を媒体としてリーダライタ等の外部装置との間で通信情報を送受信する。ICモジュールは、電磁波を媒体として駆動用の電源を供給される場合もあるが、情報処理装置からも電源を供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−067075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、情報処理装置では、外部装置から送出される電波の検波情報に基づき、ICモジュールへの電源供給が制御されている。しかし、従来の電源制御方法は、以下のような課題を有している。
【0005】
情報処理装置では、外部装置と通信を開始する前の状態で、ノイズの混入、振幅の変動等により偶発的に所定レベルを超えた電波を検知すると、必要以上の電源が供給されてしまう場合がある。外部装置の省電源消費化のために所定間隔でオン/オフされる電波を検知した場合も同様である。
【0006】
また、外部装置との通信を終了させるために、検波情報を利用する際において、情報処理装置が本来通信すべき外部装置以外の同種の電波を用いる他の外部装置にかざされた場合、他の外部装置から送出される電波を検知してしまい、電源供給が誤って継続されてしまう場合がある。また、本来通信すべき外部装置で必要な一定期間に亘って電源供給を継続する設定では、データの再送や処理期間の変更に対応可能な最大の設定を採用する必要があるため、電源供給が必要以上に継続されてしまう場合がある。
【0007】
また、通信を終了した後の状態で、他の通信相手を検出するために外部装置から送信されるポーリング要求の電波を検知すると、必要以上の電源が供給されてしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、ICモジュールに対して駆動電源を効率的に供給可能な、情報処理装置、情報処理装置の電源制御方法およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある観点によれば、外部装置と通信を行うICモジュールと、外部装置が送出する電波を検知する検波部と、起動された後の時間経過を計測するタイマと、ICモジュールに電源を供給する電源供給部と、電波の検知結果とタイマの値の判定結果に基づき電源の供給量を制御する制御部とを備え、制御部は、外部装置との通信を終了した後にタイマを起動し、検波部が所定間隔で外部から受信した電波を検知するのに対応して、電波の送出開始が検知されるたびにタイマを再起動し、電波の送出開始が検知されずに、所定間隔よりも長い第1期間の経過をタイマにより確認すると、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、ICモジュールへの電源供給をリセットする、情報処理装置が提供される。
【0010】
制御部は、外部装置との通信を開始する前に、電波の送出開始が検知された後に送出終了が検知されるまでの期間をタイマにより計測し、ポーリング要求に対応する電波の送出期間に相当する第2期間の経過をタイマにより確認すると、外部装置との通信を開始するために、ICモジュールへの電源供給量を制御してもよい。
【0011】
制御部は、外部装置との通信を開始する前に、電波の送出終了が検知された後に送出開始が検知されるまでの期間をタイマにより計測し、間欠的に送信されるポーリング要求間の電波の非送出期間に相当する第3期間の経過をタイマにより確認すると、外部装置との通信を開始するために、ICモジュールへの電源供給量を制御してもよい。
【0012】
制御部は、外部装置との通信を開始した時にタイマを起動し、ICモジュールが外部装置から適切な通信パケットを受信するたびにタイマを再起動し、適切な通信データが受信されずに、制御部で実行中のアプリケーションで定められている受信期間よりも長い第4期間の経過をタイマにより確認すると、外部装置との通信を開始するために、ICモジュールへの電源供給量を制御してもよい。
【0013】
本発明の他の観点によれば、ICモジュールを通じて行われる外部装置との通信を終了するとタイマを起動し、所定間隔で外部から受信した電波を検知するのに対応して、電波の送出開始を検知するたびにタイマを再起動し、電波の送出開始を検知せずに、所定間隔よりも長い第1期間の経過をタイマにより確認すると、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、ICモジュールへの電源供給をリセットすることを含む、情報処理装置の電源制御方法が提供される。
【0014】
本発明の他の観点によれば、前述した情報処理装置の電源制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。ここで、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体を用いて提供されてもよく、通信手段等を介して提供されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ICモジュールに対して駆動電源を効率的に供給可能な、情報処理装置、情報処理装置の電源制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の電源制御方法の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【図3】検波情報に基づく電源制御方法を示すフロー図である。
【図4】CE機器の状態遷移を示す図である。
【図5】通信前状態の第1の電源制御方法を示すフロー図である。
【図6】通信前状態の第1の電源制御方法を示すシーケンス図である。
【図7】通信前状態の第2の電源制御方法を示すフロー図である。
【図8】通信前状態の第2の電源制御方法を示すシーケンス図である。
【図9】通信中状態の電源制御方法を示すフロー図である。
【図10】通信中状態の電源制御方法を示すシーケンス図である。
【図11】通信後状態の電源制御方法を示すフロー図である。
【図12】通信後状態の電源制御方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
[1.電源制御方法の概要]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る情報処理装置の電源制御方法の概要について説明する。図1に示すように、不図示の情報処理装置に搭載されたICモジュール10は、リーダライタ等の外部装置50と近距離無線通信を行う。
【0019】
ICモジュール10では、通信の開始を待機している状態(通信前状態ST1)で、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信を開始するために電源供給が制御される(電源供給量が増加される)。通信前状態ST1の所定条件は、電波の送出開始から送出終了までの期間がポーリング要求時の電波の送出期間(第2期間)とほぼ一致すること、または電波の送出終了から送出開始までの期間がポーリング要求間の電波の非送出期間(第3期間)とほぼ一致することで満たされる。これにより、通信前状態ST1でノイズの混入等に起因して電波を検知しても、所定条件が満たされない限り、通信を開始するために電源供給量が増加されない。また、間欠送出される電波を検知した場合も同様である。よって、通信前状態ST1で不要な電源供給が抑制されることで、ICモジュール10に対して駆動電源を効率的に供給することができる。
【0020】
また、通信を開始した状態(通信中状態ST2)で、通信情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信を終了するために電源供給が制御される(電源供給量が減少される)。通信中状態ST2の所定条件は、情報処理装置で実行中のアプリケーション毎に定められている受信期間よりも長い所定期間(第4期間)内に正常な通信パケットが外部装置50から受信されないことで満たされる。これにより、通信中状態ST2で他の外部装置からの電波を検知しても、所定条件が満たされないことで、電源供給が誤って継続されなくなる。また、正常な通信パケットを所定期間内に受信しなければ、通信を終了するために電源供給が制御される(電源供給量が減少される)ので、一定期間に亘って電源供給を継続する必要がなくなる。よって、通信中状態ST2で不要な電源供給が抑制されることで、ICモジュール10に対して駆動電源を効率的に供給することができる。
【0021】
また、通信を終了した状態(通信後状態ST3)で、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信前状態ST1に移行して通信の開始を待機するために電源供給がリセットされる。通信後状態ST3の所定条件は、ポーリング要求の送信間隔よりも長い所定期間(第1期間)内に電波の送出開始が検知されないことで満たされる。これにより、通信後状態ST3で他の通信相手に向けたポーリング要求の電波を検知しても、所定条件が満たされないことで、通信を開始するために電源供給量が増加されなくなる。よって、通信後状態ST3で不要な電源供給が抑制されることで、ICモジュール10に対して駆動電源を効率的に供給することができる。
【0022】
[2.情報処理装置システムの構成]
つぎに、図2を参照して、本発明の実施形態に係る情報処理装置30システムの構成について説明する。図2に示すように、情報処理システムでは、情報処理装置30と外部装置50との間で近距離無線通信が行われる。近距離無線通信は、例えば13MHz帯の単一周波数の搬送波を利用して、互いに数10cm程度離れた通信装置間で行われ、互いに接触した通信装置間で行われてもよい。
【0023】
情報処理装置30は、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話、コンシューマ・エレクトロニクス機器(CE機器)等である。外部装置50は、不図示のコントローラに接続されたリーダライタ等である。なお、リーダライタとコントローラは、一体に構成されてもよく、別体に構成されてもよい。以下では、情報処理装置30がCE機器であり、外部装置50がリーダライタである場合について説明する。
【0024】
CE機器30は、ICモジュール10、電源供給部15、タイマ16およびホスト20(制御部)を含んでいる。なお、ICモジュール10は、CE機器30に内蔵されてもよく、CE機器30に着脱自在に装着されてもよい。ICモジュール10は、アンテナコイル11、検波部12、通信部13および制御部14を含んでいる。
【0025】
アンテナコイル11は、外部から受信した信号を検波部12と通信部13に供給し、通信部13から供給された信号を外部に送信する。検波部12は、ローパスフィルタ、整合回路、検波用ダイオード等からなり、アンテナコイル11から供給される信号を検知する。検波部12は、所定の周波数およびレベルを有する電波の送出・非送出を示す検波信号をホスト20に供給する。検波信号は、例えば、電波の送出期間に亘って持続するLow信号と、電波の非送出期間に亘って持続するHigh信号として供給される。この場合、High信号からLow信号への変化が電波の送出開始信号に相当し、Low信号からHigh信号への変化が電波の送出終了信号に相当する。
【0026】
通信部13は、復調回路、負荷変調回路等からなり、近距離無線通信のための送受信処理を行う。通信部13は、受信信号に含まれる通信情報を制御部14に供給し、制御部14から供給される通信情報を送信信号としてアンテナコイル11に供給する。通信情報は、リーダライタ50から受信するポーリング要求、書込要求、書込データ、読出要求等であり、リーダライタ50に送信するポーリング応答、書込応答、読出応答、読出データ等である。
【0027】
制御部14は、データ等を記憶するメモリを含み、通信部13による送受信処理を制御する。制御部14は、不図示のインタフェースを通じてホスト20との間で制御情報、データ等を授受する。制御部14は、リーダライタ50からの通信情報が、ホスト20により実行中のアプリケーションにより想定される正常な通信パケットであるかを判定し、判定結果を示す判定信号をホスト20に供給する。なお、通信パケットの判定は、ホスト20側で行われてもよい。
【0028】
電源供給部15は、ICモジュール10、タイマ16およびホスト20に電源を供給する。電源供給部15は、ホスト20の制御に応じて、ICモジュール10に対する電源供給を制御する。なお、電源は、通信部13および制御部14に供給されるが、アンテナコイル11の電磁誘導により駆動する検波部12には供給されなくてもよい。また、図中では、タイマ16とホスト20への電源供給ラインが省略されている。タイマ16は、ホスト20の制御に応じて起動(再起動)され、起動(再起動)後の経過時間を計測する。なお、タイマ16は、各通信状態の所定条件をそれぞれに計測するために、所定条件毎にそれぞれ設けられてもよい。
【0029】
ホスト20(CE機器30の制御部)は、CPU、ROM、RAM等からなり、CE機器30の動作に必要な演算や制御を行う。ホスト20は、ROM等に格納されたプログラムを読出してRAM等に展開して実行することで、本発明の実施形態に係る電源制御方法を実行する。ホスト20は、検波部12からの検波信号および/または通信情報の判定信号に応じて、タイマ16を制御する。ホスト20は、タイマ値を判定し、通信状態毎に設定される所定条件が満たされると、電源供給部15からICモジュール10への電源供給を制御する。なお、通信状態毎の所定条件は、ROM等から読み出される。
【0030】
[3.電源制御方法]
つぎに、図3から図12を参照して、本発明の実施形態に係るCE機器30の電源制御方法について説明する。図3は、検波情報に基づく電源制御方法を示すフロー図である。図4は、CE機器30の状態遷移を示す図である。図5から図8は、通信前状態ST1の電源制御方法を示すフロー図とシーケンス図である。図9と図10は、通信中状態ST2の電源制御方法を示すフロー図とシーケンス図である。図11と図12は、通信後状態ST3の電源制御方法を示すフロー図とシーケンス図である。なお、シーケンス図中のドットハッチングは、電波の送出期間を示している。
【0031】
図3に示すように、リーダライタ50は、ポーリング要求を送信するために所定の電波を送出する(磁界を発する)。ICモジュール10は、通信前状態ST1(通信待機状態)において、所定の電波を検知すると、送出開始信号をホスト20に供給する。ホスト20は、送出開始信号を受けると、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御し(電源供給量を増加させ)、通信を初期化する。
【0032】
ICモジュール10は、通信中状態ST2において、ポーリング要求をリーダライタ50から受信し、ポーリング応答をリーダライタ50に送信することで、リーダライタ50との間で通信接続を確立する。通信接続を確立すると、ICモジュール10は、リーダライタ50からの書込要求に応じて、ホスト20と協働して書込処理を行い、書込応答をリーダライタ50に送信する。また、ICモジュール10は、リーダライタ50からの読出要求に応じて、ホスト20と協働して読出処理を行い、読出応答をリーダライタ50に送信する。
【0033】
リーダライタ50は、通信を終了するために電波の送出を終了する。ICモジュール10は、通信中状態ST2において、所定の電波を検知しなくなると、送出終了信号をホスト20に供給する。ホスト20は、送出終了信号を受けると、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を減少させる)。ホスト20は、通信後状態ST3において、所定期間に亘って所定の電波が検知されなければ、通信前状態ST1(通信待機状態)に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給をリセットする(電源供給量をさらに減少させる)。
【0034】
図4に示すように、通信前状態ST1(通信待機状態)において、CE機器30は、検波可能であるが通信不能な状態にあり、他の状態に比べて電源消費が最小となる。通信中状態ST2において、CE機器30は、検波可能かつ通信可能な状態にあり、他の状態に比べて電源消費が最大となる。通信後状態ST3において、CE機器30は、検波可能であり電源リセット処理可能であるが通信不能な状態にあり、電源消費が小さくなる。
【0035】
電源制御方法では、通信前状態ST1(通信待機状態)において、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が増加される)。通信中状態ST2において、通信情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が減少される)。通信後状態ST3において、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信前状態ST1(通信待機状態)に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給がリセットされる(電源供給量がさらに減少される)。
【0036】
[3−1.通信前状態ST1(通信待機状態)の電源制御]
まず、図5から図8を参照して、通信前状態ST1の電源制御方法について説明する。なお、通信前状態ST1では、図5および図6に示す電波の送出期間に基づく第1の電源制御と、図7および図8に示す電波の非送出期間に基づく第2の電源制御とのうちいずれか一方が行われてもよく、両方が組合せて行われてもよい。
【0037】
まず、図5および図6を参照して、通信前状態ST1の第1の電源制御について説明する。ホスト20は、通信前状態ST1にあると、通信前状態ST1の電源制御を実行する。図5に示すように、ホスト20は、ICモジュール10から送出開始信号を受けたかを判定し(ステップS11)、送出開始信号を受けると、以下の処理を行う。ホスト20は、送出開始信号に応じてタイマ16を起動した後(ステップS12)、ICモジュール10から送出終了信号を受けたかを判定する(ステップS13)。ホスト20は、送出終了信号を受けると、送出終了信号を受けた時点のタイマ値が所定条件を満たすかを判定する(ステップS14)。
【0038】
ホスト20は、タイマ値、つまり電波の送出開始から送出終了までの期間が、ポーリング要求時の電波の送出期間(第2期間)に相当するかを判定する。なお、ポーリング要求時の電波の送出期間(第2期間)とは、リーダライタ50が電波の送出を開始した後、ポーリング要求を送信し、ICモジュール10からのポーリング応答の受信を所定期間に亘って待機し、電波の送出を終了するまでの期間を意味する。この送出期間は、通信プロトコルにより予め設定されている。
【0039】
そして、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たす場合に、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を増加する)(ステップS15)。ICモジュール10では、電源供給を受けて、通信機能が実行可能となる。一方、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさない場合に、ステップS11の処理に復帰し、送出開始信号を受けたかを判定する。
【0040】
図6に示すように、ICモジュール10が通信前状態ST1にある場合、ホスト20は、図5に示した電源制御方法を実行する。ところで、ICモジュール10は、通信前状態ST1において、ノイズの混入、振幅の変動等に起因して偶発的に所定の電波を検知する場合がある。また、ICモジュール10は、リーダライタ50の省電源消費化のために、所定間隔で間欠的に送出される所定の電波を検知する場合がある。
【0041】
ICモジュール10は、ノイズ混入または間欠送出に起因して所定の電波を検知する。図6では、ノイズ1、2の混入に起因して検知する電波を想定している。この場合、ICモジュール10は、送出開始信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出開始信号に応じてタイマ16を起動(またはタイマ値をリセットして再起動)する。ICモジュール10は、所定の電波を検知しなくなると、送出終了信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出終了信号に応じてタイマ値を判定する。
【0042】
ここで、ノイズ混入等に起因する電波の持続時間と、ポーリング要求時の電波の送出期間(第2期間)とがほぼ一致する可能性は非常に低い。このため、ノイズ混入等に起因して所定の電波が検知されても、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさないと判定する。よって、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が増加される)ことがない。
【0043】
一方、ICモジュール10は、ポーリング要求時に所定の電波を検知する。図6では、ポーリング要求1の送信時に検知する電波を想定している。この場合も、ICモジュール10は、送出開始信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出開始信号に応じてタイマ16を起動(またはタイマ値をリセットして再起動)する。ICモジュール10は、所定の電波を検知しなくなると、送出終了信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出終了信号に応じてタイマ値を判定する。
【0044】
ここで、ポーリング要求時の電波は、通信プロトコルにより設定された送出期間(第2期間)に亘って送出される。このため、ポーリング要求1時に所定の電波を検知すると、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たすと判定する。よって、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が増加される)。
【0045】
そして、ICモジュール10は、通信中状態ST2において、ポーリング要求2をリーダライタ50から受信し、ポーリング応答2をリーダライタ50に送信することで、リーダライタ50との間で通信接続を確立する。なお、ICモジュール10は、通信中状態ST2への移行が生じる前には、検波可能であるが通信不能な状態にあるので、ポーリング要求を受信できず、リーダライタ50との間で通信接続を確立できない。
【0046】
つぎに、図7および図8を参照して、通信前状態ST1の第2の電源制御について説明する。なお、以下の説明では、図5および図6と重複する説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、ホスト20は、ICモジュール10から送出終了信号を受けたかを判定し(ステップS21)、送出終了信号を受けると、以下の処理を行う。ホスト20は、送出終了信号に応じてタイマ16を起動した後(ステップS22)、ICモジュール10から送出開始信号を受けたかを判定する(ステップS23)。ホスト20は、送出開始信号を受けると、送出開始信号を受けた時点のタイマ値が所定条件を満たすかを判定する(ステップS24)。
【0048】
ホスト20は、タイマ値、つまり、電波の送出終了から送出開始までの期間が、間欠的にポーリング要求を繰返す場合のポーリング要求間の電波の非送出期間(第3期間)に相当するかを判定する。なお、ポーリング要求間の電波の非送出期間(第3期間)とは、リーダライタ50がポーリング要求時の電波の送出を終了した後、次のポーリング要求の電波の送出を開始するまでの期間を意味する。この非送出期間は、通信プロトコルにより予め設定されている。
【0049】
そして、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たす場合に、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を増加する)(ステップS25)。ICモジュール10では、電源供給を受けて、通信機能が実行可能となる。一方、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさない場合に、ステップS21の処理に復帰し、送出終了信号を受けたかを判定する。
【0050】
図8に示すように、ICモジュール10が通信前状態ST1にある場合、ホスト20は、図7に示した電源制御方法を実行する。ICモジュール10は、ノイズ混入または間欠送出に起因して所定の電波を検知する。図8では、ノイズ1、2の混入に起因して検知する電波を想定している。この場合、ICモジュール10は、所定の電波を検知しなくなると送出終了信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出終了信号に応じてタイマ16を起動(またはタイマ値をリセットして再起動)する。ICモジュール10は、所定の電波を再び検知すると、送出開始信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出開始信号に応じてタイマ値を判定する。
【0051】
ここで、ノイズ混入等に起因する電波の発生間隔と、ポーリング要求間の電波の非送出期間(第3期間)とがほぼ一致する可能性は非常に低い。このため、ノイズ混入等に起因して所定の電波が検知されても、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさないと判定する。よって、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が増加される)ことがない。
【0052】
一方、ICモジュール10は、ポーリング要求時に所定の電波を検知する。図8では、ポーリング要求1の送信時に検知する電波を想定している。この場合も、ICモジュール10は、所定の電波を検知しなくなると送出終了信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出終了信号に応じてタイマ16を起動(またはタイマ値をリセットして再起動)する。ICモジュール10は、所定の電波を検知すると、送出開始信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出開始信号に応じてタイマ値を判定する。
【0053】
ここで、間欠的なポーリング要求の電波は、通信プロトコルにより設定された所定の非送出期間(第3期間)を隔てて送出される。このため、ポーリング要求1時の電波の送出終了後に所定の非送出期間を隔てて送出される、ポーリング要求2の所定の電波を検知すると、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たすと判定する。よって、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が増加される)。
【0054】
そして、ICモジュール10は、通信中状態ST2において、ポーリング要求2をリーダライタ50から受信し、ポーリング応答2をリーダライタ50に送信することで、リーダライタ50との間で通信接続を確立する。なお、ICモジュール10は、通信中状態ST2への移行が生じる前には、検波可能であるが通信不能な状態にあるので、ポーリング要求を受信できず、リーダライタ50との間で通信接続を確立できない。
【0055】
[3−2.通信中状態ST2の電源制御]
つぎに、図9および図10を参照して、通信中状態ST2の電源制御方法について説明する。ホスト20は、通信中状態ST2にあると、通信中状態ST2の電源制御を実行する。図9に示すように、ホスト20は、通信前状態ST1から通信中状態ST2への移行が生じたか(または通信が初期化されたか)を判定し(ステップS31)、状態の移行が生じると、以下の処理を行う。ホスト20は、状態の移行に応じてタイマ16を起動した後(ステップS32)、ICモジュール10から正常な通信パケットを受けていないかを判定する(ステップS33)。ホスト20は、正常な通信パケットを受けると、ステップS32に復帰し、タイマ値をリセットしてタイマ16を再起動する。ホスト20は、正常な通信パケットを受けるまで、タイマ値が所定条件を満たすかを継続して判定する。
【0056】
なお、通信パケットとは、書込要求や読出要求等の通信要求時にリーダライタ50からICモジュール10に送信されるコマンド、データ等を含む通信情報である。正常な通信パケットとは、ホスト20で実行中のアプリケーションにより想定される通信パケットである。
【0057】
ホスト20は、タイマ値、つまり通信中状態ST2への移行から正常な通信パケットを最初に受けるまでの期間、または正常な通信パケットを受けてから次の正常な通信パケットを受けるまでの期間が、所定の期間(第4期間)を超えているかを判定する。所定期間(第4期間)とは、通信中状態ST2への移行から最初の通信要求の正常な通信パケットを受けるまでの受信期間よりも長い期間、または通信要求の正常な通信パケットを受けてから、次の通信要求の正常な通信要求を受けるまでの受信期間よりも長い期間を意味する。この所定期間は、CE機器30で実行中のアプリケーション毎に設定されており、CE機器30とリーダライタ50の間で共有されている。
【0058】
そして、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たす場合に、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を減少する)(ステップS35)。ICモジュール10では、通信後状態ST3に移行すると、通信機能が実行不能となる。一方、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさない場合に、ステップS33の処理に復帰し、正常な通信パケットを受けていないかを判定する。
【0059】
図10に示すように、ICモジュール10が通信中状態ST2にある場合、ホスト20は、図9に示した電源制御方法を実行する。ところで、ICモジュール10は、通信中状態ST2において、データ通信に想定される期間に亘って、電源供給を継続的に受けなければならない。しかし、リーダライタ50との通信を終了する前に、異なるアプリケーションを実行している他のリーダライタ50からの電波を検知すると、通信接続を確立できないにもかかわらず、電源供給が誤って継続されてしまう場合がある。また、一定期間に亘って電源供給を継続する設定では、データの再送や処理期間の変更に対応した設定を採用すると、電源供給が必要以上に継続されてしまう場合がある。
【0060】
ICモジュール10は、通信前状態ST1において、通信前状態ST1の電源制御方法で説明した所定条件を満たす電波を検知すると、送出開始信号をホスト20に供給し、ホスト20は、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を増加する)。通信中状態ST2への移行が生じると、ホスト20は、状態の移行に応じてタイマ16を起動する。ホスト20は、通信中のリーダライタ50から正常な通信パケットを受取るまで、タイマ値が所定条件を満たすかを継続して判定する。
【0061】
ICモジュール10は、ポーリング要求をリーダライタ50から受信すると、ポーリング応答をリーダライタ50に送信する。ICモジュール10は、書込要求をリーダライタ50から受信すると、割込信号に続いて通信パケットをホスト20に供給した後、送信用の通信パケットをホスト20から供給され、書込応答をリーダライタ50に送信する。また、ICモジュール10は、読出要求をリーダライタ50から受信すると、割込信号に続いて通信パケットをホスト20に供給した後、送信用の通信パケットをホスト20から供給され、読出応答をリーダライタ50に送信する。ICモジュール10は、通信中状態ST2において、所定の電波を検知しなくなると、送出終了信号をホスト20に供給する。
【0062】
ここで、ホスト20は、通信中状態ST2への移行後、所定期間内に正常な通信パケットを受取り、正常な通信パケットを受取った後、所定期間(第4期間)内に次の正常な通信パケットを受取る。図10では、書込要求時と読出要求時の通信パケットが正常な通信パケットとして受取られる。そして、正常な通信パケットを受取るたびに、タイマ値をリセットしてタイマ16が再起動される。このため、通信中のリーダライタ50から通信パケットを受取っていれば、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさないと判定する。よって、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が減少される)ことがない。
【0063】
一方、ホスト20は、通信中のリーダライタ50から通信パケットを受取らなくなり、または他のリーダライタ50から通信パケットを受取るようになると、所定期間(第4期間)内に正常な通信パケットを受取れなくなる。図10では、読出要求時の通信パケットに続いて、通信中のリーダライタ50から通信パケットを受取れなくなる場合を想定している。すると、ホスト20は、タイマ値をリセットできず、所定期間(第4期間)が経過してしまい、タイマ値が所定条件を満たすと判定する。なお、他のリーダライタ50から通信パケットを受取る場合でも、正常な通信パケットではないので、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たすと判定する。よって、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が減少される)。
【0064】
[3−3.通信後状態ST3の電源制御]
つぎに、図11および図12を参照して、通信後状態ST3の電源制御方法について説明する。ホスト20は、通信後状態ST3にあると、通信後状態ST3の電源制御を実行する。図11に示すように、ホスト20は、通信中状態ST2から通信後状態ST3への移行が生じたかを判定し(ステップS41)、通信後状態ST3への移行が生じると、以下の処理を行う。ホスト20は、状態の移行に応じてタイマ16を起動した後(ステップS42)、ICモジュール10から送出開始信号を受けていないかを判定する(ステップS43)。ホスト20は、送出開始信号を受けると、ステップS42に復帰し、タイマ値をリセットしてタイマ16を再起動する。ホスト20は、送出開始信号を受けるまで、タイマ値が所定条件を満たすかを継続して判定する(ステップS44)。
【0065】
ホスト20は、タイマ値、つまり通信後状態ST3への移行から最初に電波を受けるまでの期間、または間欠的に送信される電波を受けるまでの期間が、所定期間(第1期間)を超えているかを判定する。所定期間(第1期間)とは、通信後状態ST3への移行から最初のポーリング要求時の電波の送出が開始されるまでの期間よりも長い期間、ポーリング要求時の電波の送出が開始されてから、次のポーリング要求時の電波の送出が開始されるまでの期間よりも長い期間を意味する。なお、ポーリング要求時の電波の送出間隔は、通信プロトコルにより予め設定されており、所定期間は、CE機器30とリーダライタ50の間で共有されている。
【0066】
そして、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たす場合に、通信前状態ST1に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給をリセットする(ステップS45)。ICモジュール10では、電源供給がリセットされると、検波機能のみが実行可能となる。一方、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさない場合に、ステップS43の処理に復帰し、送出開始信号を受けていないかを判定する。
【0067】
図12に示すように、ICモジュール10が通信後状態ST3にある場合、ホスト20は、図11に示した電源制御方法を実行する。ところで、CE機器30は、通信後状態ST3において、リーダライタ50との通信を終了した後に、通信前状態ST1(通信待機状態)に移行しようとしても、他の通信相手を検出するためにリーダライタ50から送信されるポーリング要求の電波を検知すると、電源供給が継続されてしまう場合がある。特に、リーダライタ50からの電波を検知可能な位置にCE機器30が放置されると、通信前状態ST1に半永久的に移行できず、電源が長期に亘って浪費されてしまう。
【0068】
ICモジュール10は、通信中状態ST2において、所定の電波の送出終了を検知すると、送出終了信号をホスト20に供給する。ホスト20は、送出終了信号を受けると、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を減少する)。
【0069】
通信後状態ST3への移行が生じると、ホスト20は、状態の移行に応じてタイマ16を起動する。ICモジュール10は、ポーリング要求を送信するための所定の電波を検知すると、送出開始信号をホスト20に供給する。ホスト20は、送出開始信号を受けるまで、タイマ値が所定条件を満たすかを継続して判定する。ホスト20は、送出開始信号を受けると、タイマ値をリセットしてタイマ16を再起動する。なお、単純な電波の有無の検知は、検波部12の検波結果により検知できるが、電波の送出開始と送出終了の検知については、ホスト20が直前の電波の検波情報との比較を行うことにより判断することができる。
【0070】
ここで、CE機器30がリーダライタ50の電波を検知可能な位置にある場合、ホスト20は、通信後状態ST3への移行後、所定期間(第1期間)内に送出開始信号を受取り、送出開始信号を受取った後、所定期間(第1期間)内に次の送出開始信号を受取る。図10では、ポーリング要求1、2の送信時に送出開始信号が受取られる。そして、送出開始信号を受取るたびに、タイマ値をリセットしてタイマ16が再起動される。このため、CE機器30がリーダライタ50の電波を検知可能な位置にある場合、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさないと判定する。よって、通信前状態ST1(通信待機状態)に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給がリセットされる(電源供給量がさらに減少される)ことがない。
【0071】
一方、CE機器30がリーダライタ50の電波を検知不能な位置に移動された場合、ホスト20は、通信後状態ST3への移行後、所定期間(第1期間)内に最初の送出開始信号を受取れなくなり、または送出開始信号を受取った後、所定期間(第1期間)内に次の送出開始信号を受取れなくなる。図10では、ポーリング要求2の送信後に送出開始信号を受取れなくなる。すると、ホスト20は、タイマ値をリセットできず、所定期間(第1期間)が経過してしまい、タイマ値が所定条件を満たすと判定する。よって、通信前状態ST1(通信待機状態)に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給がリセットされる(電源供給量がさらに減少される)。
【0072】
[4.まとめ]
以上説明したように、本発明の実施形態に係る電源制御方法によれば、ICモジュール10では、通信の開始を待機している状態(通信前状態ST1)で、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信を開始するために電源供給が制御される(電源供給量が増加される)。これにより、通信前状態ST1でノイズの混入等に起因して電波を検知しても、所定条件が満たされない限り、通信を開始するために電源供給量が増加されない。また、間欠送出される電波を検知した場合も同様である。
【0073】
また、通信を開始した状態(通信中状態ST2)で、通信情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信を終了するために電源供給が制御される(電源供給量が減少される)。これにより、通信中状態ST2で他の外部装置からの電波を検知しても、所定条件が満たされることで、電源供給が誤って継続されなくなる。また、正常な通信パケットを所定期間内に受信しなければ、通信を終了するために電源供給が制御される(電源供給量が減少される)ので、一定期間に亘って電源供給を継続する必要がなくなる。
【0074】
また、通信を終了した状態(通信後状態ST3)で、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信前状態ST1に移行して通信の開始を待機するために電源供給がリセットされる。これにより、通信後状態ST3で他の通信相手に向けたポーリング要求の電波を検知しても、所定条件が満たされることで、通信を開始するために電源供給量が増加されなくなる。
【0075】
よって、通信前状態ST1(通信待機状態)、通信中状態ST2、通信後状態ST3のそれぞれで、不要な電源供給が抑制されることで、ICモジュール10に対して駆動電源を効率的に供給することができる。
【0076】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0077】
10 ICモジュール
11 アンテナコイル
12 検波部
13 通信部
14 制御部
15 電源供給部
16 タイマ
20 ホスト(制御部)
30 CE機器
50 リーダライタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の電源制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、近距離無線通信により通信情報を送受信可能なICモジュールが普及しており、ICモジュールを搭載した情報処理装置も開発されている。ICモジュールは、電磁波を媒体としてリーダライタ等の外部装置との間で通信情報を送受信する。ICモジュールは、電磁波を媒体として駆動用の電源を供給される場合もあるが、情報処理装置からも電源を供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−067075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、情報処理装置では、外部装置から送出される電波の検波情報に基づき、ICモジュールへの電源供給が制御されている。しかし、従来の電源制御方法は、以下のような課題を有している。
【0005】
情報処理装置では、外部装置と通信を開始する前の状態で、ノイズの混入、振幅の変動等により偶発的に所定レベルを超えた電波を検知すると、必要以上の電源が供給されてしまう場合がある。外部装置の省電源消費化のために所定間隔でオン/オフされる電波を検知した場合も同様である。
【0006】
また、外部装置との通信を終了させるために、検波情報を利用する際において、情報処理装置が本来通信すべき外部装置以外の同種の電波を用いる他の外部装置にかざされた場合、他の外部装置から送出される電波を検知してしまい、電源供給が誤って継続されてしまう場合がある。また、本来通信すべき外部装置で必要な一定期間に亘って電源供給を継続する設定では、データの再送や処理期間の変更に対応可能な最大の設定を採用する必要があるため、電源供給が必要以上に継続されてしまう場合がある。
【0007】
また、通信を終了した後の状態で、他の通信相手を検出するために外部装置から送信されるポーリング要求の電波を検知すると、必要以上の電源が供給されてしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、ICモジュールに対して駆動電源を効率的に供給可能な、情報処理装置、情報処理装置の電源制御方法およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある観点によれば、外部装置と通信を行うICモジュールと、外部装置が送出する電波を検知する検波部と、起動された後の時間経過を計測するタイマと、ICモジュールに電源を供給する電源供給部と、電波の検知結果とタイマの値の判定結果に基づき電源の供給量を制御する制御部とを備え、制御部は、外部装置との通信を終了した後にタイマを起動し、検波部が所定間隔で外部から受信した電波を検知するのに対応して、電波の送出開始が検知されるたびにタイマを再起動し、電波の送出開始が検知されずに、所定間隔よりも長い第1期間の経過をタイマにより確認すると、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、ICモジュールへの電源供給をリセットする、情報処理装置が提供される。
【0010】
制御部は、外部装置との通信を開始する前に、電波の送出開始が検知された後に送出終了が検知されるまでの期間をタイマにより計測し、ポーリング要求に対応する電波の送出期間に相当する第2期間の経過をタイマにより確認すると、外部装置との通信を開始するために、ICモジュールへの電源供給量を制御してもよい。
【0011】
制御部は、外部装置との通信を開始する前に、電波の送出終了が検知された後に送出開始が検知されるまでの期間をタイマにより計測し、間欠的に送信されるポーリング要求間の電波の非送出期間に相当する第3期間の経過をタイマにより確認すると、外部装置との通信を開始するために、ICモジュールへの電源供給量を制御してもよい。
【0012】
制御部は、外部装置との通信を開始した時にタイマを起動し、ICモジュールが外部装置から適切な通信パケットを受信するたびにタイマを再起動し、適切な通信データが受信されずに、制御部で実行中のアプリケーションで定められている受信期間よりも長い第4期間の経過をタイマにより確認すると、外部装置との通信を開始するために、ICモジュールへの電源供給量を制御してもよい。
【0013】
本発明の他の観点によれば、ICモジュールを通じて行われる外部装置との通信を終了するとタイマを起動し、所定間隔で外部から受信した電波を検知するのに対応して、電波の送出開始を検知するたびにタイマを再起動し、電波の送出開始を検知せずに、所定間隔よりも長い第1期間の経過をタイマにより確認すると、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、ICモジュールへの電源供給をリセットすることを含む、情報処理装置の電源制御方法が提供される。
【0014】
本発明の他の観点によれば、前述した情報処理装置の電源制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。ここで、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体を用いて提供されてもよく、通信手段等を介して提供されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ICモジュールに対して駆動電源を効率的に供給可能な、情報処理装置、情報処理装置の電源制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の電源制御方法の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【図3】検波情報に基づく電源制御方法を示すフロー図である。
【図4】CE機器の状態遷移を示す図である。
【図5】通信前状態の第1の電源制御方法を示すフロー図である。
【図6】通信前状態の第1の電源制御方法を示すシーケンス図である。
【図7】通信前状態の第2の電源制御方法を示すフロー図である。
【図8】通信前状態の第2の電源制御方法を示すシーケンス図である。
【図9】通信中状態の電源制御方法を示すフロー図である。
【図10】通信中状態の電源制御方法を示すシーケンス図である。
【図11】通信後状態の電源制御方法を示すフロー図である。
【図12】通信後状態の電源制御方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
[1.電源制御方法の概要]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る情報処理装置の電源制御方法の概要について説明する。図1に示すように、不図示の情報処理装置に搭載されたICモジュール10は、リーダライタ等の外部装置50と近距離無線通信を行う。
【0019】
ICモジュール10では、通信の開始を待機している状態(通信前状態ST1)で、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信を開始するために電源供給が制御される(電源供給量が増加される)。通信前状態ST1の所定条件は、電波の送出開始から送出終了までの期間がポーリング要求時の電波の送出期間(第2期間)とほぼ一致すること、または電波の送出終了から送出開始までの期間がポーリング要求間の電波の非送出期間(第3期間)とほぼ一致することで満たされる。これにより、通信前状態ST1でノイズの混入等に起因して電波を検知しても、所定条件が満たされない限り、通信を開始するために電源供給量が増加されない。また、間欠送出される電波を検知した場合も同様である。よって、通信前状態ST1で不要な電源供給が抑制されることで、ICモジュール10に対して駆動電源を効率的に供給することができる。
【0020】
また、通信を開始した状態(通信中状態ST2)で、通信情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信を終了するために電源供給が制御される(電源供給量が減少される)。通信中状態ST2の所定条件は、情報処理装置で実行中のアプリケーション毎に定められている受信期間よりも長い所定期間(第4期間)内に正常な通信パケットが外部装置50から受信されないことで満たされる。これにより、通信中状態ST2で他の外部装置からの電波を検知しても、所定条件が満たされないことで、電源供給が誤って継続されなくなる。また、正常な通信パケットを所定期間内に受信しなければ、通信を終了するために電源供給が制御される(電源供給量が減少される)ので、一定期間に亘って電源供給を継続する必要がなくなる。よって、通信中状態ST2で不要な電源供給が抑制されることで、ICモジュール10に対して駆動電源を効率的に供給することができる。
【0021】
また、通信を終了した状態(通信後状態ST3)で、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信前状態ST1に移行して通信の開始を待機するために電源供給がリセットされる。通信後状態ST3の所定条件は、ポーリング要求の送信間隔よりも長い所定期間(第1期間)内に電波の送出開始が検知されないことで満たされる。これにより、通信後状態ST3で他の通信相手に向けたポーリング要求の電波を検知しても、所定条件が満たされないことで、通信を開始するために電源供給量が増加されなくなる。よって、通信後状態ST3で不要な電源供給が抑制されることで、ICモジュール10に対して駆動電源を効率的に供給することができる。
【0022】
[2.情報処理装置システムの構成]
つぎに、図2を参照して、本発明の実施形態に係る情報処理装置30システムの構成について説明する。図2に示すように、情報処理システムでは、情報処理装置30と外部装置50との間で近距離無線通信が行われる。近距離無線通信は、例えば13MHz帯の単一周波数の搬送波を利用して、互いに数10cm程度離れた通信装置間で行われ、互いに接触した通信装置間で行われてもよい。
【0023】
情報処理装置30は、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話、コンシューマ・エレクトロニクス機器(CE機器)等である。外部装置50は、不図示のコントローラに接続されたリーダライタ等である。なお、リーダライタとコントローラは、一体に構成されてもよく、別体に構成されてもよい。以下では、情報処理装置30がCE機器であり、外部装置50がリーダライタである場合について説明する。
【0024】
CE機器30は、ICモジュール10、電源供給部15、タイマ16およびホスト20(制御部)を含んでいる。なお、ICモジュール10は、CE機器30に内蔵されてもよく、CE機器30に着脱自在に装着されてもよい。ICモジュール10は、アンテナコイル11、検波部12、通信部13および制御部14を含んでいる。
【0025】
アンテナコイル11は、外部から受信した信号を検波部12と通信部13に供給し、通信部13から供給された信号を外部に送信する。検波部12は、ローパスフィルタ、整合回路、検波用ダイオード等からなり、アンテナコイル11から供給される信号を検知する。検波部12は、所定の周波数およびレベルを有する電波の送出・非送出を示す検波信号をホスト20に供給する。検波信号は、例えば、電波の送出期間に亘って持続するLow信号と、電波の非送出期間に亘って持続するHigh信号として供給される。この場合、High信号からLow信号への変化が電波の送出開始信号に相当し、Low信号からHigh信号への変化が電波の送出終了信号に相当する。
【0026】
通信部13は、復調回路、負荷変調回路等からなり、近距離無線通信のための送受信処理を行う。通信部13は、受信信号に含まれる通信情報を制御部14に供給し、制御部14から供給される通信情報を送信信号としてアンテナコイル11に供給する。通信情報は、リーダライタ50から受信するポーリング要求、書込要求、書込データ、読出要求等であり、リーダライタ50に送信するポーリング応答、書込応答、読出応答、読出データ等である。
【0027】
制御部14は、データ等を記憶するメモリを含み、通信部13による送受信処理を制御する。制御部14は、不図示のインタフェースを通じてホスト20との間で制御情報、データ等を授受する。制御部14は、リーダライタ50からの通信情報が、ホスト20により実行中のアプリケーションにより想定される正常な通信パケットであるかを判定し、判定結果を示す判定信号をホスト20に供給する。なお、通信パケットの判定は、ホスト20側で行われてもよい。
【0028】
電源供給部15は、ICモジュール10、タイマ16およびホスト20に電源を供給する。電源供給部15は、ホスト20の制御に応じて、ICモジュール10に対する電源供給を制御する。なお、電源は、通信部13および制御部14に供給されるが、アンテナコイル11の電磁誘導により駆動する検波部12には供給されなくてもよい。また、図中では、タイマ16とホスト20への電源供給ラインが省略されている。タイマ16は、ホスト20の制御に応じて起動(再起動)され、起動(再起動)後の経過時間を計測する。なお、タイマ16は、各通信状態の所定条件をそれぞれに計測するために、所定条件毎にそれぞれ設けられてもよい。
【0029】
ホスト20(CE機器30の制御部)は、CPU、ROM、RAM等からなり、CE機器30の動作に必要な演算や制御を行う。ホスト20は、ROM等に格納されたプログラムを読出してRAM等に展開して実行することで、本発明の実施形態に係る電源制御方法を実行する。ホスト20は、検波部12からの検波信号および/または通信情報の判定信号に応じて、タイマ16を制御する。ホスト20は、タイマ値を判定し、通信状態毎に設定される所定条件が満たされると、電源供給部15からICモジュール10への電源供給を制御する。なお、通信状態毎の所定条件は、ROM等から読み出される。
【0030】
[3.電源制御方法]
つぎに、図3から図12を参照して、本発明の実施形態に係るCE機器30の電源制御方法について説明する。図3は、検波情報に基づく電源制御方法を示すフロー図である。図4は、CE機器30の状態遷移を示す図である。図5から図8は、通信前状態ST1の電源制御方法を示すフロー図とシーケンス図である。図9と図10は、通信中状態ST2の電源制御方法を示すフロー図とシーケンス図である。図11と図12は、通信後状態ST3の電源制御方法を示すフロー図とシーケンス図である。なお、シーケンス図中のドットハッチングは、電波の送出期間を示している。
【0031】
図3に示すように、リーダライタ50は、ポーリング要求を送信するために所定の電波を送出する(磁界を発する)。ICモジュール10は、通信前状態ST1(通信待機状態)において、所定の電波を検知すると、送出開始信号をホスト20に供給する。ホスト20は、送出開始信号を受けると、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御し(電源供給量を増加させ)、通信を初期化する。
【0032】
ICモジュール10は、通信中状態ST2において、ポーリング要求をリーダライタ50から受信し、ポーリング応答をリーダライタ50に送信することで、リーダライタ50との間で通信接続を確立する。通信接続を確立すると、ICモジュール10は、リーダライタ50からの書込要求に応じて、ホスト20と協働して書込処理を行い、書込応答をリーダライタ50に送信する。また、ICモジュール10は、リーダライタ50からの読出要求に応じて、ホスト20と協働して読出処理を行い、読出応答をリーダライタ50に送信する。
【0033】
リーダライタ50は、通信を終了するために電波の送出を終了する。ICモジュール10は、通信中状態ST2において、所定の電波を検知しなくなると、送出終了信号をホスト20に供給する。ホスト20は、送出終了信号を受けると、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を減少させる)。ホスト20は、通信後状態ST3において、所定期間に亘って所定の電波が検知されなければ、通信前状態ST1(通信待機状態)に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給をリセットする(電源供給量をさらに減少させる)。
【0034】
図4に示すように、通信前状態ST1(通信待機状態)において、CE機器30は、検波可能であるが通信不能な状態にあり、他の状態に比べて電源消費が最小となる。通信中状態ST2において、CE機器30は、検波可能かつ通信可能な状態にあり、他の状態に比べて電源消費が最大となる。通信後状態ST3において、CE機器30は、検波可能であり電源リセット処理可能であるが通信不能な状態にあり、電源消費が小さくなる。
【0035】
電源制御方法では、通信前状態ST1(通信待機状態)において、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が増加される)。通信中状態ST2において、通信情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が減少される)。通信後状態ST3において、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信前状態ST1(通信待機状態)に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給がリセットされる(電源供給量がさらに減少される)。
【0036】
[3−1.通信前状態ST1(通信待機状態)の電源制御]
まず、図5から図8を参照して、通信前状態ST1の電源制御方法について説明する。なお、通信前状態ST1では、図5および図6に示す電波の送出期間に基づく第1の電源制御と、図7および図8に示す電波の非送出期間に基づく第2の電源制御とのうちいずれか一方が行われてもよく、両方が組合せて行われてもよい。
【0037】
まず、図5および図6を参照して、通信前状態ST1の第1の電源制御について説明する。ホスト20は、通信前状態ST1にあると、通信前状態ST1の電源制御を実行する。図5に示すように、ホスト20は、ICモジュール10から送出開始信号を受けたかを判定し(ステップS11)、送出開始信号を受けると、以下の処理を行う。ホスト20は、送出開始信号に応じてタイマ16を起動した後(ステップS12)、ICモジュール10から送出終了信号を受けたかを判定する(ステップS13)。ホスト20は、送出終了信号を受けると、送出終了信号を受けた時点のタイマ値が所定条件を満たすかを判定する(ステップS14)。
【0038】
ホスト20は、タイマ値、つまり電波の送出開始から送出終了までの期間が、ポーリング要求時の電波の送出期間(第2期間)に相当するかを判定する。なお、ポーリング要求時の電波の送出期間(第2期間)とは、リーダライタ50が電波の送出を開始した後、ポーリング要求を送信し、ICモジュール10からのポーリング応答の受信を所定期間に亘って待機し、電波の送出を終了するまでの期間を意味する。この送出期間は、通信プロトコルにより予め設定されている。
【0039】
そして、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たす場合に、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を増加する)(ステップS15)。ICモジュール10では、電源供給を受けて、通信機能が実行可能となる。一方、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさない場合に、ステップS11の処理に復帰し、送出開始信号を受けたかを判定する。
【0040】
図6に示すように、ICモジュール10が通信前状態ST1にある場合、ホスト20は、図5に示した電源制御方法を実行する。ところで、ICモジュール10は、通信前状態ST1において、ノイズの混入、振幅の変動等に起因して偶発的に所定の電波を検知する場合がある。また、ICモジュール10は、リーダライタ50の省電源消費化のために、所定間隔で間欠的に送出される所定の電波を検知する場合がある。
【0041】
ICモジュール10は、ノイズ混入または間欠送出に起因して所定の電波を検知する。図6では、ノイズ1、2の混入に起因して検知する電波を想定している。この場合、ICモジュール10は、送出開始信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出開始信号に応じてタイマ16を起動(またはタイマ値をリセットして再起動)する。ICモジュール10は、所定の電波を検知しなくなると、送出終了信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出終了信号に応じてタイマ値を判定する。
【0042】
ここで、ノイズ混入等に起因する電波の持続時間と、ポーリング要求時の電波の送出期間(第2期間)とがほぼ一致する可能性は非常に低い。このため、ノイズ混入等に起因して所定の電波が検知されても、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさないと判定する。よって、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が増加される)ことがない。
【0043】
一方、ICモジュール10は、ポーリング要求時に所定の電波を検知する。図6では、ポーリング要求1の送信時に検知する電波を想定している。この場合も、ICモジュール10は、送出開始信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出開始信号に応じてタイマ16を起動(またはタイマ値をリセットして再起動)する。ICモジュール10は、所定の電波を検知しなくなると、送出終了信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出終了信号に応じてタイマ値を判定する。
【0044】
ここで、ポーリング要求時の電波は、通信プロトコルにより設定された送出期間(第2期間)に亘って送出される。このため、ポーリング要求1時に所定の電波を検知すると、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たすと判定する。よって、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が増加される)。
【0045】
そして、ICモジュール10は、通信中状態ST2において、ポーリング要求2をリーダライタ50から受信し、ポーリング応答2をリーダライタ50に送信することで、リーダライタ50との間で通信接続を確立する。なお、ICモジュール10は、通信中状態ST2への移行が生じる前には、検波可能であるが通信不能な状態にあるので、ポーリング要求を受信できず、リーダライタ50との間で通信接続を確立できない。
【0046】
つぎに、図7および図8を参照して、通信前状態ST1の第2の電源制御について説明する。なお、以下の説明では、図5および図6と重複する説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、ホスト20は、ICモジュール10から送出終了信号を受けたかを判定し(ステップS21)、送出終了信号を受けると、以下の処理を行う。ホスト20は、送出終了信号に応じてタイマ16を起動した後(ステップS22)、ICモジュール10から送出開始信号を受けたかを判定する(ステップS23)。ホスト20は、送出開始信号を受けると、送出開始信号を受けた時点のタイマ値が所定条件を満たすかを判定する(ステップS24)。
【0048】
ホスト20は、タイマ値、つまり、電波の送出終了から送出開始までの期間が、間欠的にポーリング要求を繰返す場合のポーリング要求間の電波の非送出期間(第3期間)に相当するかを判定する。なお、ポーリング要求間の電波の非送出期間(第3期間)とは、リーダライタ50がポーリング要求時の電波の送出を終了した後、次のポーリング要求の電波の送出を開始するまでの期間を意味する。この非送出期間は、通信プロトコルにより予め設定されている。
【0049】
そして、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たす場合に、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を増加する)(ステップS25)。ICモジュール10では、電源供給を受けて、通信機能が実行可能となる。一方、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさない場合に、ステップS21の処理に復帰し、送出終了信号を受けたかを判定する。
【0050】
図8に示すように、ICモジュール10が通信前状態ST1にある場合、ホスト20は、図7に示した電源制御方法を実行する。ICモジュール10は、ノイズ混入または間欠送出に起因して所定の電波を検知する。図8では、ノイズ1、2の混入に起因して検知する電波を想定している。この場合、ICモジュール10は、所定の電波を検知しなくなると送出終了信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出終了信号に応じてタイマ16を起動(またはタイマ値をリセットして再起動)する。ICモジュール10は、所定の電波を再び検知すると、送出開始信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出開始信号に応じてタイマ値を判定する。
【0051】
ここで、ノイズ混入等に起因する電波の発生間隔と、ポーリング要求間の電波の非送出期間(第3期間)とがほぼ一致する可能性は非常に低い。このため、ノイズ混入等に起因して所定の電波が検知されても、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさないと判定する。よって、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が増加される)ことがない。
【0052】
一方、ICモジュール10は、ポーリング要求時に所定の電波を検知する。図8では、ポーリング要求1の送信時に検知する電波を想定している。この場合も、ICモジュール10は、所定の電波を検知しなくなると送出終了信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出終了信号に応じてタイマ16を起動(またはタイマ値をリセットして再起動)する。ICモジュール10は、所定の電波を検知すると、送出開始信号をホスト20に供給し、ホスト20は、送出開始信号に応じてタイマ値を判定する。
【0053】
ここで、間欠的なポーリング要求の電波は、通信プロトコルにより設定された所定の非送出期間(第3期間)を隔てて送出される。このため、ポーリング要求1時の電波の送出終了後に所定の非送出期間を隔てて送出される、ポーリング要求2の所定の電波を検知すると、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たすと判定する。よって、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が増加される)。
【0054】
そして、ICモジュール10は、通信中状態ST2において、ポーリング要求2をリーダライタ50から受信し、ポーリング応答2をリーダライタ50に送信することで、リーダライタ50との間で通信接続を確立する。なお、ICモジュール10は、通信中状態ST2への移行が生じる前には、検波可能であるが通信不能な状態にあるので、ポーリング要求を受信できず、リーダライタ50との間で通信接続を確立できない。
【0055】
[3−2.通信中状態ST2の電源制御]
つぎに、図9および図10を参照して、通信中状態ST2の電源制御方法について説明する。ホスト20は、通信中状態ST2にあると、通信中状態ST2の電源制御を実行する。図9に示すように、ホスト20は、通信前状態ST1から通信中状態ST2への移行が生じたか(または通信が初期化されたか)を判定し(ステップS31)、状態の移行が生じると、以下の処理を行う。ホスト20は、状態の移行に応じてタイマ16を起動した後(ステップS32)、ICモジュール10から正常な通信パケットを受けていないかを判定する(ステップS33)。ホスト20は、正常な通信パケットを受けると、ステップS32に復帰し、タイマ値をリセットしてタイマ16を再起動する。ホスト20は、正常な通信パケットを受けるまで、タイマ値が所定条件を満たすかを継続して判定する。
【0056】
なお、通信パケットとは、書込要求や読出要求等の通信要求時にリーダライタ50からICモジュール10に送信されるコマンド、データ等を含む通信情報である。正常な通信パケットとは、ホスト20で実行中のアプリケーションにより想定される通信パケットである。
【0057】
ホスト20は、タイマ値、つまり通信中状態ST2への移行から正常な通信パケットを最初に受けるまでの期間、または正常な通信パケットを受けてから次の正常な通信パケットを受けるまでの期間が、所定の期間(第4期間)を超えているかを判定する。所定期間(第4期間)とは、通信中状態ST2への移行から最初の通信要求の正常な通信パケットを受けるまでの受信期間よりも長い期間、または通信要求の正常な通信パケットを受けてから、次の通信要求の正常な通信要求を受けるまでの受信期間よりも長い期間を意味する。この所定期間は、CE機器30で実行中のアプリケーション毎に設定されており、CE機器30とリーダライタ50の間で共有されている。
【0058】
そして、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たす場合に、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を減少する)(ステップS35)。ICモジュール10では、通信後状態ST3に移行すると、通信機能が実行不能となる。一方、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさない場合に、ステップS33の処理に復帰し、正常な通信パケットを受けていないかを判定する。
【0059】
図10に示すように、ICモジュール10が通信中状態ST2にある場合、ホスト20は、図9に示した電源制御方法を実行する。ところで、ICモジュール10は、通信中状態ST2において、データ通信に想定される期間に亘って、電源供給を継続的に受けなければならない。しかし、リーダライタ50との通信を終了する前に、異なるアプリケーションを実行している他のリーダライタ50からの電波を検知すると、通信接続を確立できないにもかかわらず、電源供給が誤って継続されてしまう場合がある。また、一定期間に亘って電源供給を継続する設定では、データの再送や処理期間の変更に対応した設定を採用すると、電源供給が必要以上に継続されてしまう場合がある。
【0060】
ICモジュール10は、通信前状態ST1において、通信前状態ST1の電源制御方法で説明した所定条件を満たす電波を検知すると、送出開始信号をホスト20に供給し、ホスト20は、通信中状態ST2に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を増加する)。通信中状態ST2への移行が生じると、ホスト20は、状態の移行に応じてタイマ16を起動する。ホスト20は、通信中のリーダライタ50から正常な通信パケットを受取るまで、タイマ値が所定条件を満たすかを継続して判定する。
【0061】
ICモジュール10は、ポーリング要求をリーダライタ50から受信すると、ポーリング応答をリーダライタ50に送信する。ICモジュール10は、書込要求をリーダライタ50から受信すると、割込信号に続いて通信パケットをホスト20に供給した後、送信用の通信パケットをホスト20から供給され、書込応答をリーダライタ50に送信する。また、ICモジュール10は、読出要求をリーダライタ50から受信すると、割込信号に続いて通信パケットをホスト20に供給した後、送信用の通信パケットをホスト20から供給され、読出応答をリーダライタ50に送信する。ICモジュール10は、通信中状態ST2において、所定の電波を検知しなくなると、送出終了信号をホスト20に供給する。
【0062】
ここで、ホスト20は、通信中状態ST2への移行後、所定期間内に正常な通信パケットを受取り、正常な通信パケットを受取った後、所定期間(第4期間)内に次の正常な通信パケットを受取る。図10では、書込要求時と読出要求時の通信パケットが正常な通信パケットとして受取られる。そして、正常な通信パケットを受取るたびに、タイマ値をリセットしてタイマ16が再起動される。このため、通信中のリーダライタ50から通信パケットを受取っていれば、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさないと判定する。よって、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が減少される)ことがない。
【0063】
一方、ホスト20は、通信中のリーダライタ50から通信パケットを受取らなくなり、または他のリーダライタ50から通信パケットを受取るようになると、所定期間(第4期間)内に正常な通信パケットを受取れなくなる。図10では、読出要求時の通信パケットに続いて、通信中のリーダライタ50から通信パケットを受取れなくなる場合を想定している。すると、ホスト20は、タイマ値をリセットできず、所定期間(第4期間)が経過してしまい、タイマ値が所定条件を満たすと判定する。なお、他のリーダライタ50から通信パケットを受取る場合でも、正常な通信パケットではないので、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たすと判定する。よって、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給が制御される(電源供給量が減少される)。
【0064】
[3−3.通信後状態ST3の電源制御]
つぎに、図11および図12を参照して、通信後状態ST3の電源制御方法について説明する。ホスト20は、通信後状態ST3にあると、通信後状態ST3の電源制御を実行する。図11に示すように、ホスト20は、通信中状態ST2から通信後状態ST3への移行が生じたかを判定し(ステップS41)、通信後状態ST3への移行が生じると、以下の処理を行う。ホスト20は、状態の移行に応じてタイマ16を起動した後(ステップS42)、ICモジュール10から送出開始信号を受けていないかを判定する(ステップS43)。ホスト20は、送出開始信号を受けると、ステップS42に復帰し、タイマ値をリセットしてタイマ16を再起動する。ホスト20は、送出開始信号を受けるまで、タイマ値が所定条件を満たすかを継続して判定する(ステップS44)。
【0065】
ホスト20は、タイマ値、つまり通信後状態ST3への移行から最初に電波を受けるまでの期間、または間欠的に送信される電波を受けるまでの期間が、所定期間(第1期間)を超えているかを判定する。所定期間(第1期間)とは、通信後状態ST3への移行から最初のポーリング要求時の電波の送出が開始されるまでの期間よりも長い期間、ポーリング要求時の電波の送出が開始されてから、次のポーリング要求時の電波の送出が開始されるまでの期間よりも長い期間を意味する。なお、ポーリング要求時の電波の送出間隔は、通信プロトコルにより予め設定されており、所定期間は、CE機器30とリーダライタ50の間で共有されている。
【0066】
そして、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たす場合に、通信前状態ST1に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給をリセットする(ステップS45)。ICモジュール10では、電源供給がリセットされると、検波機能のみが実行可能となる。一方、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさない場合に、ステップS43の処理に復帰し、送出開始信号を受けていないかを判定する。
【0067】
図12に示すように、ICモジュール10が通信後状態ST3にある場合、ホスト20は、図11に示した電源制御方法を実行する。ところで、CE機器30は、通信後状態ST3において、リーダライタ50との通信を終了した後に、通信前状態ST1(通信待機状態)に移行しようとしても、他の通信相手を検出するためにリーダライタ50から送信されるポーリング要求の電波を検知すると、電源供給が継続されてしまう場合がある。特に、リーダライタ50からの電波を検知可能な位置にCE機器30が放置されると、通信前状態ST1に半永久的に移行できず、電源が長期に亘って浪費されてしまう。
【0068】
ICモジュール10は、通信中状態ST2において、所定の電波の送出終了を検知すると、送出終了信号をホスト20に供給する。ホスト20は、送出終了信号を受けると、通信後状態ST3に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給を制御する(電源供給量を減少する)。
【0069】
通信後状態ST3への移行が生じると、ホスト20は、状態の移行に応じてタイマ16を起動する。ICモジュール10は、ポーリング要求を送信するための所定の電波を検知すると、送出開始信号をホスト20に供給する。ホスト20は、送出開始信号を受けるまで、タイマ値が所定条件を満たすかを継続して判定する。ホスト20は、送出開始信号を受けると、タイマ値をリセットしてタイマ16を再起動する。なお、単純な電波の有無の検知は、検波部12の検波結果により検知できるが、電波の送出開始と送出終了の検知については、ホスト20が直前の電波の検波情報との比較を行うことにより判断することができる。
【0070】
ここで、CE機器30がリーダライタ50の電波を検知可能な位置にある場合、ホスト20は、通信後状態ST3への移行後、所定期間(第1期間)内に送出開始信号を受取り、送出開始信号を受取った後、所定期間(第1期間)内に次の送出開始信号を受取る。図10では、ポーリング要求1、2の送信時に送出開始信号が受取られる。そして、送出開始信号を受取るたびに、タイマ値をリセットしてタイマ16が再起動される。このため、CE機器30がリーダライタ50の電波を検知可能な位置にある場合、ホスト20は、タイマ値が所定条件を満たさないと判定する。よって、通信前状態ST1(通信待機状態)に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給がリセットされる(電源供給量がさらに減少される)ことがない。
【0071】
一方、CE機器30がリーダライタ50の電波を検知不能な位置に移動された場合、ホスト20は、通信後状態ST3への移行後、所定期間(第1期間)内に最初の送出開始信号を受取れなくなり、または送出開始信号を受取った後、所定期間(第1期間)内に次の送出開始信号を受取れなくなる。図10では、ポーリング要求2の送信後に送出開始信号を受取れなくなる。すると、ホスト20は、タイマ値をリセットできず、所定期間(第1期間)が経過してしまい、タイマ値が所定条件を満たすと判定する。よって、通信前状態ST1(通信待機状態)に移行するために、ICモジュール10に対する電源供給がリセットされる(電源供給量がさらに減少される)。
【0072】
[4.まとめ]
以上説明したように、本発明の実施形態に係る電源制御方法によれば、ICモジュール10では、通信の開始を待機している状態(通信前状態ST1)で、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信を開始するために電源供給が制御される(電源供給量が増加される)。これにより、通信前状態ST1でノイズの混入等に起因して電波を検知しても、所定条件が満たされない限り、通信を開始するために電源供給量が増加されない。また、間欠送出される電波を検知した場合も同様である。
【0073】
また、通信を開始した状態(通信中状態ST2)で、通信情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信を終了するために電源供給が制御される(電源供給量が減少される)。これにより、通信中状態ST2で他の外部装置からの電波を検知しても、所定条件が満たされることで、電源供給が誤って継続されなくなる。また、正常な通信パケットを所定期間内に受信しなければ、通信を終了するために電源供給が制御される(電源供給量が減少される)ので、一定期間に亘って電源供給を継続する必要がなくなる。
【0074】
また、通信を終了した状態(通信後状態ST3)で、検波情報に基づくタイマ判定の結果が所定条件を満たすと、通信前状態ST1に移行して通信の開始を待機するために電源供給がリセットされる。これにより、通信後状態ST3で他の通信相手に向けたポーリング要求の電波を検知しても、所定条件が満たされることで、通信を開始するために電源供給量が増加されなくなる。
【0075】
よって、通信前状態ST1(通信待機状態)、通信中状態ST2、通信後状態ST3のそれぞれで、不要な電源供給が抑制されることで、ICモジュール10に対して駆動電源を効率的に供給することができる。
【0076】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0077】
10 ICモジュール
11 アンテナコイル
12 検波部
13 通信部
14 制御部
15 電源供給部
16 タイマ
20 ホスト(制御部)
30 CE機器
50 リーダライタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信を行うICモジュールと、
電波を検知する検波部と、
起動された後の時間経過を計測するタイマと、
前記ICモジュールに電源を供給する電源供給部と、
前記電波の検知結果と前記タイマの値の判定結果に基づき前記電源の供給量を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記外部装置との通信を終了した後に前記タイマを起動し、前記検波部が所定間隔で外部から受信した電波を検知するのに対応して、電波の送出開始が検知されるたびに前記タイマを再起動し、前記電波の送出開始が検知されずに、前記所定間隔よりも長い第1期間の経過を前記タイマにより確認すると、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、前記ICモジュールへの電源供給をリセットする、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記外部装置との通信を開始する前に、前記電波の送出開始が検知された後に送出終了が検知されるまでの期間を前記タイマにより計測し、ポーリング要求に対応する電波の送出期間に相当する第2期間の経過を前記タイマにより確認すると、前記外部装置との通信を開始するために、前記ICモジュールへの電源供給量を制御する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記外部装置との通信を開始する前に、電波の送出終了が検知された後に送出開始が検知されるまでの期間を前記タイマにより計測し、間欠的に送信されるポーリング要求間の電波の非送出期間に相当する第3期間の経過を前記タイマにより確認すると、前記外部装置との通信を開始するために、前記ICモジュールへの電源供給量を制御する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記外部装置との通信を開始した時に前記タイマを起動し、前記ICモジュールが前記外部装置から適切な通信パケットを受信するたびに前記タイマを再起動し、前記適切な通信データが受信されずに、前記制御部で実行中のアプリケーションで定められている受信期間よりも長い第4期間の経過を前記タイマにより確認すると、前記外部装置との通信を終了するために、前記ICモジュールへの電源供給量を制御する、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ICモジュールを通じて行われる外部装置との通信を終了するとタイマを起動し、
所定間隔で前記外部装置から送信されるポーリング要求に対応して、電波の送出開始を検知するたびに前記タイマを再起動し、
前記電波の送出開始を検知せずに、前記所定間隔よりも長い第1期間の経過を前記タイマにより確認すると、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、前記ICモジュールへの電源供給をリセットすること
を含む、情報処理装置の電源制御方法。
【請求項6】
ICモジュールを通じて行われる外部装置との通信を終了するとタイマを起動し、
所定間隔で外部から受信した電波を検知するのに対応して、電波の送出開始を検知するたびに前記タイマを再起動し、
前記電波の送出開始を検知せずに、前記所定間隔よりも長い第1期間の経過を前記タイマにより確認すると、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、前記ICモジュールへの電源供給をリセットすること
を含む、情報処理装置の電源制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
外部装置と通信を行うICモジュールと、
電波を検知する検波部と、
起動された後の時間経過を計測するタイマと、
前記ICモジュールに電源を供給する電源供給部と、
前記電波の検知結果と前記タイマの値の判定結果に基づき前記電源の供給量を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記外部装置との通信を終了した後に前記タイマを起動し、前記検波部が所定間隔で外部から受信した電波を検知するのに対応して、電波の送出開始が検知されるたびに前記タイマを再起動し、前記電波の送出開始が検知されずに、前記所定間隔よりも長い第1期間の経過を前記タイマにより確認すると、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、前記ICモジュールへの電源供給をリセットする、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記外部装置との通信を開始する前に、前記電波の送出開始が検知された後に送出終了が検知されるまでの期間を前記タイマにより計測し、ポーリング要求に対応する電波の送出期間に相当する第2期間の経過を前記タイマにより確認すると、前記外部装置との通信を開始するために、前記ICモジュールへの電源供給量を制御する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記外部装置との通信を開始する前に、電波の送出終了が検知された後に送出開始が検知されるまでの期間を前記タイマにより計測し、間欠的に送信されるポーリング要求間の電波の非送出期間に相当する第3期間の経過を前記タイマにより確認すると、前記外部装置との通信を開始するために、前記ICモジュールへの電源供給量を制御する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記外部装置との通信を開始した時に前記タイマを起動し、前記ICモジュールが前記外部装置から適切な通信パケットを受信するたびに前記タイマを再起動し、前記適切な通信データが受信されずに、前記制御部で実行中のアプリケーションで定められている受信期間よりも長い第4期間の経過を前記タイマにより確認すると、前記外部装置との通信を終了するために、前記ICモジュールへの電源供給量を制御する、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ICモジュールを通じて行われる外部装置との通信を終了するとタイマを起動し、
所定間隔で前記外部装置から送信されるポーリング要求に対応して、電波の送出開始を検知するたびに前記タイマを再起動し、
前記電波の送出開始を検知せずに、前記所定間隔よりも長い第1期間の経過を前記タイマにより確認すると、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、前記ICモジュールへの電源供給をリセットすること
を含む、情報処理装置の電源制御方法。
【請求項6】
ICモジュールを通じて行われる外部装置との通信を終了するとタイマを起動し、
所定間隔で外部から受信した電波を検知するのに対応して、電波の送出開始を検知するたびに前記タイマを再起動し、
前記電波の送出開始を検知せずに、前記所定間隔よりも長い第1期間の経過を前記タイマにより確認すると、通信を開始する前の通信待機状態に移行するために、前記ICモジュールへの電源供給をリセットすること
を含む、情報処理装置の電源制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−181687(P2012−181687A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44273(P2011−44273)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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