説明

情報処理装置、方法およびプログラム

【課題】適切な書類の撮影データを取得する。
【解決手段】実施形態に係る情報処理装置は、書類の種別と、撮影部と書類との位置関係が適切な場合の画像データにおける書類の縦横比データとを対応づけたサイズデータが記憶された記憶装置と、撮影部が前記書類を撮影して生成された画像データを取得して、記憶装置に記憶する取得手段と、サイズデータを読み出し、画像データから検出された書類のエッジの比率に最も近い縦横比データを特定するサイズ特定手段と、取得手段によって取得された画像データを表示するとともに、サイズ特定手段により特定された縦横比データに基づいて、撮影部と書類との位置関係が適切な場合の当該書類の位置を示す理想枠を表示するプレビュー手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、書類を撮影した画像データを処理する情報処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理装置の発達に伴い、小型化および高性能化が著しい。これに伴い、保険会社などの営業担当者が、ノートパソコンなどの情報処理装置を携行して顧客の元を訪れ、職務に当たる機会が増えている。
【0003】
例えば、顧客が記入した申込書などの書類に基づいて、営業担当者が、携行したノートパソコンにデータを入力するとともに、その書類を撮影して電子データ化して、エビデンスデータとして保管する場合が考えられる。ここで、書類を撮影した電子データを保管する際、エビデンスデータとして保管することに対して顧客の同意を得るため、顧客の前で電子データ化して保管することが好ましい。また、文字の可読性などのエビデンスデータとしての画質を備えていることが、リアルタイムに確認できることが好ましい。
【0004】
文字の可読性など、エビデンスデータに求められる条件を備えていることを、営業担当者がリアルタイムに確認するためには、客先で画像を取り込む必要がある。また、文字のそのように取得した画像の可読性を担保するために、常に一定のレベル以上の画質で撮影可能な仕組みが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−213215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の技術でエビデンスデータに求められる条件を備えた撮影データを取得することは、困難である。
【0007】
適切な書類の撮影データを取得することのできる情報処理装置、方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る情報処理装置は、書類の種別と、撮影部と書類との位置関係が適切な場合の画像データにおける書類の縦横比データとを対応づけたサイズデータが記憶された記憶装置と、撮影部が前記書類を撮影して生成された画像データを取得して、記憶装置に記憶する取得手段と、サイズデータを読み出し、画像データから検出された書類のエッジの比率に最も近い縦横比データを特定するサイズ特定手段と、取得手段によって取得された画像データを表示するとともに、サイズ特定手段により特定された縦横比データに基づいて、撮影部と書類との位置関係が適切な場合の当該書類の位置を示す理想枠を表示するプレビュー手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の外観を説明する図である。
【図2】第1の実施形態に係る情報処理装置が、書類を撮影する様子を説明する図である。
【図3】第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成図である。
【図4】第1の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る情報処理装置のサイズデータのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【図6】第1の実施形態に係る情報処理装置の処理を説明するフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係る情報処理装置の画像データの補正の処理を説明する図である。
【図8】第2の実施形態に係る情報処理装置が、書類を撮影する様子を説明する図である。(その1)
【図9】第2の実施形態に係る情報処理装置が、書類を撮影する様子を説明する図である。(その2)
【図10】第2の実施形態に係る情報処理装置が、書類を撮影する様子を説明する図である。(その3)
【図11】第2の実施形態に係る情報処理装置のサイズデータのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【図12】第3の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【図13】第3の実施形態に係る情報処理装置が表示する画面の例を説明する図である。
【図14】第3の実施形態に係る情報処理装置の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る情報処理装置1は、書類を撮影した画像データを処理する。情報処理装置1は、例えば、図1のように、タブレット形コンピュータ(スレートPC)である。第1の実施形態に係る情報処理装置1の表面は、図1(a)に示すように、表示部105備える。また表示部105を備えた面と対向する裏面は、図1(b)に示すように、撮影部121を備える。情報処理装置1の表示部105は、タッチパネルを備える。情報処理装置1で実行されるソフトウェアによって、表示部105にキーボードやボタンなどが表示される。ユーザは、表示されたキーボードやボタンをタッチすることにより、情報処理装置1に指示を入力することができる。また、情報処理装置1にキーボードやマウスが接続されてもよいし、情報処理装置1の筐体に、指示を入力するボタンが設けられてもよい。
【0012】
情報処理装置1で書類3を撮影する場合を説明する。図2に示すように、書類3は、机などの台の上に設置される。例えばユーザは情報処理装置1を両手で把持し、情報処理装置1の撮影部121を書類3に向け、書類3の上部から撮影する。ここで、情報処理装置1の表示部105には、撮影部121によって撮影された書類3の画像データが逐次プレビュー表示されるとともに、理想枠51が表示される。図2においては、書類3は矩形である。書類3を上方向から撮影するので、書類3は、表示部105に矩形の形状の書類部52として表示される。情報処理装置1の表示部105は、ユーザ側に位置するので、ユーザは表示部105で撮影される様子を確認しながら、書類3と情報処理装置1の位置関係を調節することができる。
【0013】
理想枠51は、画像データにおける、撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合の表示部105上の書類3の位置を、表示部105上に示すものである。画像データが表示部105に逐次プレビュー表示されるので、ユーザは、表示部105をみながら、表示部105に表示された書類部52が、理想枠51に合うように、情報処理装置1の位置を調整する。ここで、撮影部121と書類3との「位置関係が適切な場合」とは、例えば、書類3をエビデンスデータとして保存する場合、そのエビデンスデータとしての画質を備える画像データを撮影できる位置関係であることを言う。第1の実施形態において、この位置関係は、書類3と情報処理装置1の角度や距離に依存する。情報処理装置1が書類3の画像データを保存する目的に応じて、適切な位置関係は異なってもよい。
【0014】
図2に示す例において理想枠51は、撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合に表示部105にプレビューされる書類部52を囲う形状を備える。理想枠51の形状は、書類部52を囲う形状に限られず、例えば、書類部52の角を、「L」字上のマーカーを施す形状なども考えられる。
【0015】
図3に示すように、第1の実施形態に係る情報処理装置1は、中央処理制御装置101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、入出力インタフェース109および画像データ生成部123が、バス110を介して接続されている。入出力インタフェース109には、入力装置104、表示部105、通信制御装置106、記憶装置107およびリムーバブルディスク108が接続されている。画像データ生成部123には、第1の撮影部121および第2の撮影部が接続されている。
【0016】
撮影部121は、例えばCCDであって、書類3から受けた光を電気信号に変換する。撮影部121は、電気信号を、画像データ生成部122に入力する。撮影部121は、例えば、情報処理装置1に固定され、かつ内蔵されたCCDである。
【0017】
撮影部121は、例えば、情報処理装置1に固定可能であって、USBポート等を介して接続可能なカメラであってもよい。ここで、「固定可能」とは、情報処理装置1と撮影部121が別のハードウェアで構成されており、撮影部121が、フックなどの接続部材によって取り外し可能な状態で情報処理装置1に固定できることを言う。この場合、撮影部121は、USBポートなどの外部インタフェースを介して、中央処理制御装置101に画像データを入力する。
【0018】
画像データ生成部122は、撮影部121から受信した電気信号を画像データに変換して、バス110に送出する回路である。第1の実施形態に係る画像データ生成部122は、画像データ生成部122は、回路基盤により実装されてもよいし、ソフトウェアプログラムによって実装されてもよい。
【0019】
中央処理制御装置101は、入力装置104からの入力信号に基づいてROM102から情報処理装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、さらに記憶装置107に記憶されたオペレーティングシステムを読み出す。さらに中央処理制御装置101は、入力装置104や通信制御装置106などの入力信号に基づいて、各種装置の制御を行ったり、RAM103や記憶装置107などに記憶されたプログラムおよびデータを読み出してRAM103にロードするとともに、RAM103から読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、データの計算または加工など、後述する一連の処理を実現する処理装置である。
【0020】
入力装置104は、操作者が各種の操作を入力するキーボード104a、マウス104bなどの入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成し、入出力インタフェース109およびバス110を介して中央処理制御装置101に送信される。
【0021】
表示部105は、例えば液晶ディスプレイである。表示部105は、中央処理制御装置101からバス110および入出力インタフェース109を介して表示部105において表示させる出力信号を受信し、例えば中央処理制御装置101の処理結果などを表示する。第1の実施形態に係る情報処理装置1の表示部105には、タッチパネル105aが施されており、ユーザが表示部105の画面をタッチすることにより、入力信号を中央処理制御装置101に送信することができる。
【0022】
通信制御装置106は、LANカード、モデム、アンテナなどの装置であり、情報処理装置1をインターネット、LAN、携帯電話網などの通信ネットワークに接続する装置である。通信制御装置106を介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インタフェース109およびバス110を介して中央処理制御装置101に送受信される。
【0023】
記憶装置107は半導体記憶装置や磁気ディスク装置であって、中央処理制御装置101で実行されるプログラムやデータが記憶されている。リムーバブルディスク108は、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インタフェース109およびバス110を介して中央処理制御装置101に送受信される。
【0024】
第1の実施形態に係る情報処理装置1の記憶装置107には、情報処理プログラムが記憶されるとともに、図4示すように、記憶装置107は、画像データ記憶部11、サイズデータ記憶部12、理想枠データ記憶部13および保存画像データ記憶部14を備える。また、情報処理プログラムが情報処理装置1の中央処理制御装置101に読み込まれ実行されることによって、取得手段21、サイズ特定手段22、プレビュー手段23、保存手段25が情報処理装置1に実装される。
【0025】
画像データ記憶部11は、記憶装置107のうち、撮影部121および画像データ生成部122によって生成された画像データ11aが記憶された記憶領域である。画像データ11aは、撮影部121および取得手段21により逐次入力される。
【0026】
サイズデータ記憶部12は、記憶装置107のうち、サイズデータ12aが記憶された記憶領域である。サイズデータ12aは、書類の種別と、撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合の、画像データにおける書類の縦横比データとを対応づけたデータである。サイズデータ12aには、第1の実施形態に係る情報処理装置1がエビデンスデータとして保存する必要のある書類3の種別と、その縦横比データとを含む。ここで縦横比データとは、書類3の縦方向と横方向の比率のデータである。図2に示すように、第1の実施形態においては、表示部105の長手方向が横方向であるが、撮影部121の位置や撮影方法によって、異なる場合もある。
【0027】
サイズデータ12aは、例えば、図5に示すデータ構造とデータの例を備える。書類種別として、情報処理装置1が保存する書類3の種別が挙げられている。さらに各書類3の種別に、それぞれの書類の縦横比が対応づけられている。図5に示す例では書類3のサイズも含まれているが、書類3のサイズは含まれていなくても良い。
【0028】
理想枠データ記憶部13は、記憶装置107のうち、理想枠データ13aが記憶された記憶領域である。理想枠データ13aは、撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合の書類3の位置を示すデータである。理想枠データ13aには、表示部105に表示する理想枠51の表示位置のデータや、理想枠51の角の座標位置のデータが含まれてもよい。理想枠データ13aは、後述の理想枠描画手段24において表示部105に理想枠51を表示するときや、保存手段25において書類部52の位置と比較するときに、参照される。
【0029】
例えば、書類3の種別がA4とB5は、縦横比が同一であるので、書類3の種別が異なっても、同じ理想枠を適用することが可能である。従って、第1の実施形態において、理想枠データ13aは、書類3の位置を示すデータを含むところ、この書類3の位置を示すデータは、書類3の種別ごとに設定されても良いし、書類3の縦横比ごとに設定されても良い。
【0030】
保存画像データ記憶部14は、記憶装置107のうち保存画像データ14aが記憶された記憶領域である。保存画像データ14aは、画像データ記憶部11に記憶された複数の画像データ11aのいずれかの画像データであって、後述する保存手段25によって処理された画像データである。具体的には、保存手段25が、図2に示す書類部52のエッジと理想枠51との距離の差分が所定値内になったタイミングを検出すると、その時点の画像データ11aを補正して、保存画像データ13aとして保存画像データ記憶部13に格納する。
【0031】
取得手段21は、撮影部121が書類3を撮影して生成された画像データを取得して、記憶装置107に記憶する。取得手段21は、撮影部121によって撮影された電気信号に基づいて、画像データ生成部122で生成された画像データ11aを取得して、取得した画像データ11aを画像データ記憶部11に記憶する。取得手段21は、撮影部121から入力される画像データを逐次画像データ記憶部11に記憶し、プレビュー手段23がプレビューすることにより、表示部105に動画の様に表示される。
【0032】
サイズ特定手段22は、サイズデータ12aを読み出し、画像データ11aから検出された書類3のエッジの比率に最も近い縦横比データを特定する。サイズ特定手段22はまず、画像データ11aから、書類3が撮影された部分である撮影部52を特定するために、書類3のエッジを検出する。サイズ特定手段22は、例えば、画像データ11aにおいて色調変化率の大きい部分を、書類3のエッジ部分として検出する。また書類3の色や書類3が設置された机の色などが予めわかっている場合、エッジ検出手段23は、画像データ11aからそれぞれの色の境界を検出して、書類3のエッジとしてもよい。次に、サイズ特定手段22は、画像データ11aの書類部分の少なくとも隣り合う2辺のエッジの長さを算出する。サイズ特定手段22は、サイズデータ12aから、この2辺の比率に最も近い縦横比データに対応づけられた書類種別を抽出する。
【0033】
図2に示すように撮影すると、書類3と情報処理装置1が平行でない場合、図2の表示部105に表示されるように、書類3で台形形状に撮影される。従ってサイズ特定手段22は、書類3の4辺全ての長さを算出し、長辺と短辺の比率を算出することにより、書類種別を特定する精度を高めることができる。
【0034】
プレビュー手段23は、取得手段21によって取得された画像データ11aを表示するとともに、サイズ特定手段22により特定された縦横比データに基づいて、理想枠51を表示する。ここで理想枠51は、撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合の、表示部105における書類3の位置を示すガイドである。プレビュー手段23は、理想枠描画手段24を備える。
【0035】
理想枠描画手段24は、理想枠データ13aから、サイズ特定手段22により特定された縦横比データから判定された書類種別に対応づけられる理想枠を、画像データ11aに描画する。理想枠描画手段24は、例えば、画像データ11aを表示するレイヤーに、理想枠51を表示するレイヤーを重ねて表示部105に表示しても良い。ユーザは、表示部105に表示された理想枠51の中に、書類部52が収まるように、書類3と情報処理装置1の位置や角度を調整する。
【0036】
保存手段25は、理想枠51の中に、書類部52が収まったか否かを判定する。保存手段25は、理想枠51の中に書類部52が納まったと判定すると、そのタイミングの画像データ11aに基づいて、保存画像データ14aを保存する。ここで保存手段25は、例えば書類部52と理想枠51との距離の差分が所定値内の場合に、理想枠51に書類部52が収まったと判断しても良い。保存手段25は、保存画像選択手段26、補正手段27、電子透かし挿入手段28を備える。
【0037】
保存画像選択手段26は、理想枠51の中に書類部52が収まったタイミングで、複数の画像データ11aを取得する。具体的には、中央処理制御装置101が、撮影部121に、例えば1秒あたり30枚を撮影する指示を入力することで、複数の画像データ11aを取得することができる。このように自動的に撮影することにより、ユーザが撮影ボタンを押下する手間を省き、手ブレ要素を軽減することができる。
【0038】
保存画像選択手段26は、取得した複数の画像データ11aのうち、最もブレの少ない画像を、保存候補画像データとして選択する。ブレの少ない画像とは、階調変化率が小さくコントラストが高い画像である。具体的には、保存画像選択手段26は、取得した複数の画像データ11aのそれぞれについて、画像の階調変化率および鮮鋭度を算出して、最もブレの少ない画像を選択する。
【0039】
補正手段27は、保存画像選択手段26によって選択された保存候補画像データを、台形補正、トリミング、影消去などの補正をする。
【0040】
図6を参照して、補正手段27による画像の補整処理を説明する。図6(a)に示すように、保存画像選択手段25により選択された画像データ11aにおいて、書類部52は台形形状の場合がある。また、情報処理装置1は、図2に示すように書類3の上部から書類3を撮影するので、書類3に情報処理装置1の影が生じる場合がある。この場合画像データ11aは、情報処理装置1の影が生じた影部53を含む場合がある。
【0041】
このような画像データ11aに対して補正手段27は、台形補正して図6(b)に示すような画像を生成する。図6(a)において、矩形の書類3が、画像データ11aの上部が狭く下部が広く撮影されているので、画像データ11aの上部を拡張するように台形補正する。これにより補正手段27は、図6(b)に示すように、矩形の書類部52aを含む画像データを取得することができる。
【0042】
さらに補正手段27は、図6(b)に示す画像データから、影を削除する。ここで「影」は、書類3の地色より輝度が低いが、書類3上の文字色よりも輝度の高い所定値内の画像領域であると考えられる。この所定値は、影として特定するべき輝度値の範囲で、例えば予め定められるデータである。書類3の色は白であることが一般的であると考えられる。そこで補正手段27は、書類3の画像データ11aの輝度分布から、書類3の地色を特定するとともに書類3上の文字色を特定して、画像データ11a上の影部分を特定する。このとき、影部分から、書類3上の文字色部分は、除外される。補正手段27は、このように特定された影部分の色を、書類の地色に置換する。これにより補正手段27は、図6(c)に示すように、書類部52bの地色が均一の画像データを取得することができる。
【0043】
補正手段27は、図6(c)に示す画像データから、書類以外の部分をトリミングし、書類3のみの画像データを取得する。このとき補正手段27は、プレビュー手段23で描画した理想枠の情報を用いて、書類以外の部分をトリミングしても良い。例えば補正手段27は、図6(c)に示す画像データのうち、理想枠の座標より外の部分を削除することにより、書類部分のみを含む保存画像候補データを取得することができる。
【0044】
図6に示す補正の処理順序は単なる一例であって、適宜変更可能である。また図6に示す補正処理は一例であって、この一部の処理が割愛されても良いし、さらに他の補正処理がなされても良い。
【0045】
電子透かし挿入部28は、補正手段27による補正後の保存画像候補データに、電子透かしを挿入して、保存画像データ14aを生成する。電子透かし挿入部28は、そのエビデンスデータを取得した日時、取得端末、取得者などの情報を、電子透かしとして挿入する。
【0046】
図7を参照して、第1の実施形態に係る情報処理装置1の処理を説明する。
【0047】
まずステップS101においてサイズ特定手段22は、画像データ記憶部11から画像データ11aを読み出す。ステップS102においてサイズ特定手段102は、ステップS101で読み出した画像データ11aのエッジを検出して、書類部分の縦横比を算出すする。ステップS103においてサイズ特定手段103は、この画像データ11aで表示された書類3に適切な理想枠を決定する。
【0048】
ステップS104においてプレビュー手段23は、画像データ11aを読み出し、ステップS105において、理想枠とともに画像データを表示部105にプレビュー表示する。このとき、情報処理装置1の表示部105には、例えば、図2に示すように、書類3と理想枠が表示される。
【0049】
ステップS106において保存手段25は、ステップS104で読み出した画像データについて書類3のエッジ部分を検出し、ステップS107において、その書類3のエッジ部分が、ステップS103で特定した理想枠51の内側か否かを判定する。理想枠51の中に書類部52が収まっていない場合、ステップS104に戻り、プレビュー手段23は新たな画像データを表示する。なおここで、再度書類3のエッジを取得した際、サイズ特定手段22が、縦横比を算出してサイズデータ12aを比較し、書類3の種別を判定し、新たに判定された書類3の種別に対応する理想枠を用いて、ステップS105およびステップS106の処理を実行しても良い。
【0050】
一方、理想枠51の中に書類部52が収まったと判断される場合、保存手段25はステップS108において、所定枚数自動撮影し、複数の保存候補画像データを取得し、ステップS109において最もブレの少ない保存候補画像データを選択する。さらにステップS110において保存手段25は、ステップS109で取得した保存候補画像データについて、台形補正、影消去、トリミングなどの補正をし、ステップS111において電子透かしを挿入する。ステップS112において保存手段25は、電子透かしが挿入された保存候補画像データを、保存画像データ14aとして、保存画像データ記憶部14に記憶する。
【0051】
このように第1の実施形態に係る情報処理装置1は、画像データ11aに含まれる書類部52から、書類3の種別を特定して理想枠51を表示することにより、ユーザに、撮影部121と書類3との位置関係を容易に調整させることができる。また、このような理想枠51を表示して画像データ11aを取得することにより、情報処理装置1は、書類3の全体をフレーム内に納め、かつ最大の画像を取得することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、情報処理装置1と書類3の距離を自在に変更できる場合について説明したが、第2の実施形態では、撮影部121と書類3との距離が固定可能な場合を説明する。
【0053】
撮影部121と書類3との距離が固定可能な場合とは、例えば図8ないし図10に示すように、第2の実施形態に係る情報処理装置1aの形状と書類3の設置場所によって、 撮影部121と書類3とがほぼ一定の距離になる場合を言う。
【0054】
図8は、第1の実施形態と同様に、情報処理装置1aはタブレット形コンピュータであって、情報処理装置1aをスタンド5に設置する場合を説明する。スタンド5に設置することにより、情報処理装置1aは固定され、書類3との距離もほぼ一定の距離になる。
【0055】
図9は、一般的なノートコンピュータであって、撮影部121は、ノートコンピュータの表示部の上部に設けられている場合を説明する。ノートコンピュータのキーボード上に書類3を設置し、表示部とキーボード部との開閉角度をほぼ90度にすることにより、情報処理装置1aは固定され、書類3との距離もほぼ一定の距離になる。
【0056】
図10は、一般的なノートコンピュータであって、撮影部121は、ノートコンピュータの表示部の背面に設けられている場合を説明する。ノートコンピュータの表示部の裏側の台上に書類3を設置し、表示部とキーボード部とを90度以下程度の角度にすることにより、情報処理装置1aは固定され、書類3との距離もほぼ一定の距離になる。
【0057】
このように撮影部121と書類3との距離が固定可能な場合、画像データ11aにおける書類部52のサイズによって、書類3のサイズを特定することができる。従って第2の実施形態において、書類部52のエッジの縦横比ではなく、書類部52のサイズによって書類3の種別を特定し、理想枠を表示する場合について説明する。
【0058】
第2の実施形態に係るサイズデータ12bには、書類の種別に、撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合の書類3の画素サイズデータがさらに関連づけられている。
【0059】
図11に示す第2の実施形態に係るサイズデータ12bは、図5に示す第1の実施形態に係るサイズデータ12aと比べて画素サイズの項目を備えている点が異なる。
【0060】
第2の実施形態に係るサイズ特定手段22aは、画像データ11aから検出された書類3のエッジの画素数に最も近い画素サイズデータを特定する。サイズ特定手段22は、画像データ11aから書類部52のエッジを検出し、その書類部52の4辺で囲まれる領域サイズを算出する。さらに、サイズデータ12bを参照して、算出された領域サイズに最も近い画素サイズを持つ書類種別を特定する。
【0061】
第2の実施形態に係るプレビュー手段23aは、サイズ特定手段22aにより特定された画素サイズデータに基づいて、表示部105に理想枠を表示する。
【0062】
このような第2の実施形態に係る情報処理装置1aは、書類3と撮影部121の距離がわかることにより、A4とB5など、形は同じでサイズが異なる書類の種別も判断して、理想枠を表示することができる。
【0063】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る情報処理装置1bは、コンポジットによってノイズを除去する。また、第3の実施形態では、第1の実施形態と比べて、理想枠の表示手法も異なる。
【0064】
図12に示す第3の実施形態に係る情報処理装置1bは、図4に示す第1の実施形態に係る情報処理装置1と比べて、サイズ特定手段を備えておらず、プレビュー手段および保存手段の処理が異なる。
【0065】
第3の実施形態に係るプレビュー手段23aは、理想枠描画手段24aを備える。理想枠描画手段24aは、理想枠データ13aに基づいて表示部105に理想枠を表示する。第1の実施形態においては、書類種別をソフトウェアが判別していたが、第3の実施形態においては、書類種別を判別しなくても良い。例えば、ユーザが書類種別を情報処理装置1bに入力しても良いし、情報処理装置1bが1種類の書類種別のみ扱い、理想枠データ13aにその1種類の書類種別の理想枠データのみが含まれていても良い。
【0066】
第3の実施形態に係るプレビュー手段23aは、例えば、図13に示すような理想枠を表示する。図13に示す理想枠は、第1の理想枠51aおよび第2の理想枠51bを備える。第3の実施形態において、第1の理想枠51aおよび第2の理想枠51bの間に、書類部52のエッジが入った場合に、保存手段25aは、そのタイミングの画像データ11aに基づいて、保存画像データ14aを保存する。
【0067】
図13(a)においては、書類部52のエッジは、第1の理想枠51aおよび第2の理想枠51bの間に納まっていない。ユーザが書類3などの位置を変更することにより、図13(b)に示すように書類部52のエッジが、第1の理想枠51aおよび第2の理想枠51bの間に納まると、保存手段25aは、保存データ14aを保存する。
【0068】
保存手段14aは、図4に示す第1の実施形態に係る情報処理装置1と比べて、コンポジットノイズ除去手段29を備えている点が異なる。また、保存画像選択手段および補正手段の処理も異なる。
【0069】
保存画像選択手段26aは、理想枠51の中に書類部52が収まったタイミングで、複数の画像データ11aを取得する。さらに保存画像選択手段26aは、取得した複数の画像データ11aのうち、最もブレの少ない所定数の画像を、保存候補画像データとして選択する。具体的には、保存画像選択手段26は、取得した複数の画像データ11aのそれぞれについて、画像の階調変化率および鮮鋭度を算出して、階調変化率が小さくコントラストが高い、ブレの少ない所定素の画像を選択する。
【0070】
補正手段27aは、複数の画像データの書類3が撮影された部分を抽出して台形補正する。例えば補正手段27aは、保存画像選択手段26によって選択された保存候補画像データを、台形補正、トリミング、影消去などの補正をする。第1の実施形態においては、保存選択手段26によって選ばれた1枚の画像のみを補整していたが、第3の実施形態に係る補正手段27aは、保存画像選択手段26aによって選択された全ての画像について、補正する。
【0071】
コンポジットノイズ除去手段29は、補正手段27aによって補正された後の複数の保存候補画像データから、コンポジットノイズを除去した保存画像データを生成する。例えば、8枚の保存候補画像データを用いてコンポジットによってノイズを除去する場合、各保存候補画像データの不透明度を1/12にしたデータを、各画素で重畳する。コンポジットノイズ除去手段29は、補正手段27aにおいて台形補正などされた補正後の保存候補画像データを用いることにより、書類のエッジを一致させることができる。これにより、有効にノイズを除去することができる。
【0072】
また、書類3に位置合わせのためのローテーションマークを付して、各保存候補画像データのローテーションマークに基づいて、書類を撮影した画素を一致させても良い。情報処理装置1bの筐体部分などに書類の設置位置を示すガイド表示などをプリントし、そのガイド表示も含めて撮影することにより、複数の画像における書類部52のエッジを一致させても良い。
【0073】
図14を参照して、第3の実施形態に係る情報処理装置1bの処理を説明する。
【0074】
ステップS201においてプレビュー手段23aは、画像データ11aを読み出し、ステップS202において、理想枠とともに画像データを表示部105にプレビュー表示する。このとき、情報処理装置1bの表示部105には、例えば、図13に示すように、書類3と理想枠が表示される。
【0075】
ステップS204において保存手段25aは、ステップS203で読み出した画像データについて書類3のエッジ部分を検出し、ステップS204において、その書類3のエッジ部分が、第1の理想枠51aと第2の理想枠51bの間か否かを判定する。第1の理想枠51aと第2の理想枠51bの間でない場合、ステップS204に戻り、プレビュー手段23aは新たな画像データを表示する。
【0076】
一方、第1の理想枠51aと第2の理想枠51bの間であると判断される場合、保存手段25aはステップS205において、所定枚数自動撮影し、複数の保存候補画像データを取得し、ステップS206においてブレの少ない複数の保存候補画像データを選択する。さらにステップS207において保存手段25aは、ステップS206で取得した複数の保存候補画像データそれぞれについて、台形補正、影消去、トリミングなどの補正をする。ステップS208において保存手段25aは、ステップS207で補正された複数の保存候補画像データのコンポジットによってノイズを除去し、ステップS209において電子透かしを挿入する。ステップS210において保存手段25aは、電子透かしが挿入された保存候補画像データを、保存画像データ14aとして、保存画像データ記憶部14に記憶する。
【0077】
以上説明した少なくとも一つの実施形態に係る情報処理装置は、適切な書類の撮影データを取得することができる。
【0078】
なお、以上説明した少なくとも一つの実施形態に係る情報処理装置の処理の順序は、上記の説明の通りに限定するものではない。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 情報処理装置
3 書類
5 スタンド
11 画像データ記憶部
12 サイズデータ記憶部
13 理想枠データ記憶部
13 保存画像データ記憶部
21 取得手段
22 サイズ特定手段
23 プレビュー手段
24 理想枠描画手段
25 保存手段
26 保存画像選択手段
27 台形手段
28 電子透かし挿入手段
29 コンポジットノイズ除去手段
51 理想枠
52 書類部
101 中央処理制御装置
102 ROM
103 RAM
104 入力装置
105 表示部
105a タッチパネル
106 通信制御装置
107 記憶装置
108 リムーバブルディスク
109 入出力インタフェース
110 バス
121 撮影部
122 画像データ変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書類を撮影した画像データを処理する情報処理装置であって、
書類の種別と、撮影部と当該書類との位置関係が適切な場合の画像データにおける当該書類の縦横比データとを対応づけたサイズデータが記憶された記憶装置と、
前記撮影部が前記書類を撮影して生成された画像データを取得して、前記記憶装置に記憶する取得手段と、
前記サイズデータを読み出し、前記画像データから検出された前記書類のエッジの比率に最も近い縦横比データを特定するサイズ特定手段と、
前記取得手段によって取得された画像データを表示するとともに、前記サイズ特定手段により特定された縦横比データに基づいて、前記撮影部と前記書類との位置関係が適切な場合の当該書類の位置を示す理想枠を表示するプレビュー手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記撮影部と前記書類との距離が固定可能な場合、前記サイズデータには、前記書類の種別に、撮影部と当該書類との位置関係が適切な場合の当該書類の画素サイズデータがさらに関連づけられており、
前記サイズ特定手段は、前記画像データから検出された前記書類のエッジの画素数に最も近い画素サイズデータを特定し、
前記プレビュー手段は、前記サイズ特定手段により特定された画素サイズデータに基づいて、前記理想枠を表示する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
書類を撮影した画像データを処理する情報処理方法であって、
撮影部が書類を撮影して生成された画像データを取得して、記憶装置に記憶する取得ステップと、
前記書類の種別と、前記撮影部と当該書類との位置関係が適切な場合の当該書類の縦横比データとを対応づけたサイズデータを読み出し、前記画像データから検出された前記書類のエッジの比率に最も近い縦横比データを特定するサイズ特定手段と、
前記取得ステップにおいて取得された画像データを表示するとともに、前記サイズ特定ステップにおいて特定された縦横比データに基づいて、前記撮影部と前記書類との位置関係が適切な場合の当該書類の位置を示す理想枠を表示するプレビューステップと、
を備える情報処理方法。
【請求項4】
書類を撮影した画像データを処理する情報処理プログラムであって、
コンピュータを、
撮影部が書類を撮影して生成された画像データを取得して、記憶装置に記憶する取得手段と、
前記書類の種別と、前記撮影部と当該書類との位置関係が適切な場合の当該書類の縦横比データとを対応づけたサイズデータを読み出し、前記画像データから検出された前記書類のエッジの比率に最も近い縦横比データを特定するサイズ特定手段と、
前記取得手段によって取得された画像データを表示するとともに、前記サイズ特定手段により特定された縦横比データに基づいて、前記撮影部と前記書類との位置関係が適切な場合の当該書類の位置を示す理想枠を表示するプレビュー手段
として機能させる情報処理プログラム。
【請求項5】
書類を撮影した画像データを処理する情報処理装置であって、
撮影部が書類を撮影して生成された複数の画像データを取得して、記憶装置に記憶する取得手段と、
前記取得手段によって取得された複数の画像データの前記書類が撮影された部分を抽出して台形補正するとともに、コンポジットノイズを除去した保存画像データを生成するコンポジットノイズ除去手段
を備える情報処理装置。
【請求項6】
前記コンポジットノイズ除去手段は、前記取得手段によって取得された複数の画像データのうち、鮮鋭度の高い複数の画像データに基づいて、前記保存画像データを生成する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
書類を撮影した画像データを処理する情報処理方法であって、
撮影部が書類を撮影して生成された複数の画像データを取得して、記憶装置に記憶する取得ステップと、
取得ステップにおいて取得された複数の画像データの前記書類が撮影された部分を抽出して台形補正するとともに、コンポジットノイズを除去した保存画像データを生成するコンポジットノイズ除去ステップ
を備える情報処理方法。
【請求項8】
書類を撮影した画像データを処理する情報処理プログラムであって、
コンピュータを、
撮影部が書類を撮影して生成された複数の画像データを取得して、記憶装置に記憶する取得手段と、
前記取得手段によって取得された複数の画像データの前記書類が撮影された部分を抽出して台形補正するとともに、コンポジットノイズを除去した保存画像データを生成するコンポジットノイズ除去手段
として機能させる情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−108720(P2012−108720A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256907(P2010−256907)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】