説明

情報処理装置、画像形成装置、画像形成システムおよび印刷制御プログラム

【課題】ユーザがドキュメントなどの印刷出力を意図している状況において、ユーザが最終的な印刷ジョブの送信指示を行うことを忘れてしまった場合でも、画像形成装置において印刷出力を行えるようにする。
【解決手段】ネットワーク4を介して画像形成装置3に接続され、その画像形成装置3に対して印刷ジョブJBを送信するプリンタドライバがインストールされた情報処理装置2は、ユーザによって入力される印刷指示に基づき、表示装置23に対して印刷設定画面23aを表示する。情報処理装置2は、その印刷設定画面23aが表示されている状態でユーザによる操作入力が所定時間行われなかった場合、情報処理装置2は、プリンタドライバを自動的に起動し、印刷設定画面23aに対する設定内容に基づく印刷ジョブJBを生成させると共に、その印刷ジョブJBを画像形成装置3に自動送信させる構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成装置、画像形成システムおよび印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータなどの情報処理装置を用いて編集作成したドキュメントを、印刷機能を備えた画像形成装置で印刷出力することが広く行われている。また従来、情報処理装置で編集したドキュメントの印刷出力を行う際、印刷に要する処理時間を短縮するための技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、情報処理装置におけるドキュメント作成中の過程において、ユーザによる印刷指示がなされる前であっても、その作成途中のドキュメントに関する印刷データ(印刷ジョブ)を画像形成装置へ予め送信しておくことにより、画像形成装置における印刷時間を短縮する技術が開示されている。この従来技術では、情報処理装置においてドキュメントを編集するためのアプリケーションが起動している状態のとき、一定時間が経過するタイミング、或いは、アプリケーションが作成中のドキュメントを自動保存するタイミングや、ユーザが作成中のドキュメントの保存指示を行ったタイミングで、情報処理装置がその作成中のドキュメントに関する印刷データを予め画像形成装置に送信する。
【0004】
上記従来技術は、ユーザが印刷指示を行う前であっても、ユーザが印刷出力することを意図していないタイミングで印刷データを予め画像形成装置に送信するものである。そのため、ユーザにとっては、印刷出力を予定していない編集途中の段階でドキュメントに関する印刷データが情報処理装置から上記のタイミングで画像形成装置に送信されてしまうことになる。その結果、画像形成装置は、印刷出力される予定のない印刷データについても記憶保存しておかなければならなくなり、ハードディスク装置などの記憶領域を必要以上に消費して効率が悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−69093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、情報処理装置においてドキュメントの編集操作を行うためのアプリケーションが起動している状態で、ユーザが編集作成したドキュメントの印刷出力を行う場合、ユーザはアプリケーションに対して印刷指示を行う。すると、アプリケーションは、情報処理装置における表示装置に印刷ダイアログなどの印刷設定画面を表示する。この印刷設定画面が表示された状態で、ユーザは、印刷出力を行う画像形成装置に対応したプリンタドライバを選択する操作や、その選択したプリンタドライバに対する詳細な設定操作などの各種印刷設定を行う。そしてユーザが印刷設定画面に対して印刷ジョブの送信指示を行うと、情報処理装置は、ユーザによって選択されたプリンタドライバを起動して印刷ジョブを画像形成装置に送信する。したがって、ユーザは、印刷設定画面が表示されている状態で印刷ジョブの送信指示を行った後、画像形成装置の設置場所まで移動すれば所望のドキュメントが印刷出力された印刷物を取得することができる。
【0007】
ところが、近年の画像形成装置は多機能化されており、印刷設定画面で設定可能な設定項目の数が増加してきている。そのため、ユーザが所望の印刷設定を行う際に印刷設定画面の画面遷移が頻発し、ユーザはそれら個々の画面に対して設定操作を行っていかなければならない。
【0008】
このような状況の下では、ユーザが印刷設定のための操作を行っているときに、例えば突然の電話や来客など、突発的な割り込み業務が発生すると、印刷ジョブの送信指示を行う前にその設定操作を中断しなければならないこともある。そして割り込み業務が終了すると、ユーザは、印刷ジョブの送信指示を未だ行っていないことを忘れてしまい、印刷物を取得するために画像形成装置の設置場所まで移動してしまうケースが生じ得る。
【0009】
また、印刷設定画面の画面遷移がサブウィンドウを表示する態様で行われる場合には、そのサブウィンドウに対する設定操作を行ってサブウィンドウを閉じる操作を行うと、その操作が印刷ジョブの送信指示であると勘違いしてしまい、ユーザが画像形成装置の設置場所まで移動してしまうケースも生じ得る。
【0010】
しかし、上記のようなケースでは、ユーザによる印刷ジョブの送信操作が行われていないため、情報処理装置から画像形成装置に対して印刷ジョブは未だ送信されていない状態である。したがって、ユーザは、画像形成装置の設置場所まで移動しても印刷物を取得することはできない。それ故、ユーザは再び情報処理装置の設置場所まで戻ってあらためて印刷ジョブの送信操作を行わなければならず、操作性が悪いという問題がある。さらに、このような操作性に関する問題は、業務効率の低下を招く要因となる。
【0011】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ユーザがドキュメントなどの印刷出力を意図している状況において、ユーザが最終的な印刷ジョブの送信指示を行うことを忘れてしまった場合でも画像形成装置において印刷出力を行うことを可能にする情報処理装置、画像形成装置、画像形成システムおよび印刷制御プログラムを提供することを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、ネットワークを介して画像形成装置に接続され、前記画像形成装置に対して印刷ジョブを送信するプリンタドライバがインストールされた情報処理装置であって、ユーザによる操作入力を受け付ける操作入力手段と、各種情報を表示する表示手段と、前記操作入力手段に入力される印刷指示に基づき、前記表示手段に対して印刷設定画面を表示する表示制御手段と、前記表示制御手段によって前記印刷設定画面が表示されている状態で前記操作入力手段に対する操作入力が所定時間行われなかった場合、前記プリンタドライバを起動し、前記プリンタドライバに、前記印刷設定画面に対する設定内容に基づく印刷ジョブを生成させると共に、該印刷ジョブを前記画像形成装置に自動送信させるドライバ制御手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0013】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記ドライバ制御手段は、前記プリンタドライバに印刷ジョブの自動送信を行わせる際、前記プリンタドライバに対して前記画像形成装置における所定の記憶領域に印刷ジョブを保存させる設定を行うことを特徴とする構成である。
【0014】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置において、前記ドライバ制御手段は、前記プリンタドライバに印刷ジョブの自動送信を行わせる際、該印刷ジョブに対し、自動送信による印刷ジョブであることを示す識別情報を付加させることを特徴とする構成である。
【0015】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置において、前記ドライバ制御手段は、前記プリンタドライバに印刷ジョブの自動送信を行わせた後に前記操作入力手段を介して印刷ジョブの送信実行が指示された場合、前記プリンタドライバを起動し、前記プリンタドライバに、前記印刷設定画面に対する設定内容に基づく印刷ジョブを生成させると共に、当該印刷ジョブに、先に自動送信された印刷ジョブと同一の印刷ジョブであることを示す識別情報を付加させて前記画像形成装置に送信させることを特徴とする構成である。
【0016】
請求項5にかかる発明は、ネットワークを介して受信する印刷ジョブに基づいて印刷出力を行う画像形成装置であって、印刷ジョブを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信される印刷ジョブに付加されている識別情報に基づき印刷ジョブの種類を判別するジョブ判別手段と、前記ジョブ判別手段において自動送信による印刷ジョブであると判別された場合、前記受信手段によって受信された印刷ジョブを所定の記憶領域へ保存するジョブ管理手段と、を備え、前記ジョブ管理手段は、前記記憶領域に印刷ジョブを保存した後、当該印刷ジョブに基づく印刷出力が行われることなく所定時間が経過した場合、当該印刷ジョブを前記記憶領域から削除することを特徴とする構成である。
【0017】
請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記受信手段によって受信された印刷ジョブが前記ジョブ判別手段において前記記憶領域に保存されている印刷ジョブと同一であると判別された場合、前記ジョブ管理手段は、前記記憶領域に保存されている印刷ジョブを、前記受信手段によって受信された印刷ジョブに差し替えることを特徴とする構成である。
【0018】
請求項7にかかる発明は、請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記ジョブ判別手段は、印刷ジョブに付加されている識別情報に基づいて更にユーザを特定し、前記ジョブ管理手段は、印刷ジョブを保存する際、前記ジョブ判別手段によって特定されるユーザに対応する記憶領域に印刷ジョブを保存することを特徴とする構成である。
【0019】
請求項8にかかる発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、各種情報を表示する表示手段と、ユーザによる操作入力を受け付ける操作入力手段と、前記操作入力手段に対する操作を行うユーザを認証するユーザ認証手段と、を更に備え、前記ジョブ管理手段は、前記ユーザ認証手段によってユーザが特定された場合、その特定されたユーザに対応する記憶領域に保存されている印刷ジョブを読み出し、前記表示手段に印刷出力可能な印刷ジョブとして表示すると共に、前記操作入力手段を介して選択される印刷ジョブに基づいて印刷出力を開始させることを特徴とする構成である。
【0020】
請求項9にかかる発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記ジョブ管理手段は、前記ユーザ認証手段によって特定されたユーザに対応する記憶領域から読み出した印刷ジョブを前記表示手段に表示する際、前記ジョブ判別手段において自動送信による印刷ジョブであると判別された印刷ジョブを、その他の印刷ジョブと区別した表示態様で表示することを特徴とする構成である。
【0021】
請求項10にかかる発明は、ネットワークを介して受信する印刷ジョブに基づいて印刷出力を行う画像形成装置と、前記画像形成装置に対して印刷ジョブを送信するプリンタドライバがインストールされた情報処理装置とを有する画像形成システムであって、前記情報処理装置は、ユーザからの印刷指示に基づいて所定の表示装置に印刷設定画面を表示すると共に、前記印刷設定画面を表示している状態でユーザからの操作入力が所定時間行われなかった場合、前記プリンタドライバを起動することにより前記印刷設定画面に対する設定内容に基づく印刷ジョブを生成して前記画像形成装置に自動送信する構成であり、前記画像形成装置は、前記情報処理装置から自動送信される印刷ジョブを受信した場合、当該印刷ジョブを所定の記憶領域へ保存すると共に、当該印刷ジョブに基づく印刷出力が行われることなく所定時間が経過することにより当該印刷ジョブを前記記憶領域から削除する構成であることを特徴としている。
【0022】
請求項11にかかる発明は、請求項10に記載の画像形成システムにおいて、前記情報処理装置は、印刷ジョブの自動送信を行った後に、ユーザによる印刷ジョブの送信実行が指示された場合、前記プリンタドライバを再び起動し、前記印刷設定画面に対する設定内容に基づいて印刷ジョブを再度生成することにより、先に自動送信した印刷ジョブと同一の印刷ジョブを前記画像形成装置に送信する構成であり、前記画像形成装置は、前記記憶領域に保存されている印刷ジョブと同一の印刷ジョブを受信した場合、前記記憶領域に保存されている印刷ジョブを、あらたに受信した印刷ジョブに差し替えることを特徴としている。
【0023】
請求項12にかかる発明は、画像形成装置に印刷ジョブを出力するためのプリンタドライバがインストールされたコンピュータにおいて実行される印刷制御プログラムであって、前記コンピュータにおいて印刷設定画面が表示されているとき、前記コンピュータに、ユーザによる操作入力を検知させるステップと、前記印刷設定画面が表示されている状態でユーザによる操作入力が検知されない状態が所定時間継続した場合、前記コンピュータに、前記プリンタドライバを起動させ、前記印刷設定画面に対する設定内容に基づく印刷ジョブを生成させると共に、当該印刷ジョブを前記画像形成装置に自動送信させるステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
【0024】
請求項13にかかる発明は、請求項12に記載の印刷制御プログラムにおいて、印刷ジョブの自動送信を行わせた後、印刷ジョブの送信実行を指示する操作入力が検知された場合、前記コンピュータに、前記プリンタドライバを起動させ、前記印刷設定画面に対する設定内容に基づいて、先に自動送信させた印刷ジョブと同一の印刷ジョブを再び前記画像形成装置に送信させるステップ、を更に実行させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ユーザがドキュメントなどの印刷出力を意図している状況において、ユーザが情報処理装置に対する最終的な印刷ジョブの送信指示を行うことを忘れてしまった場合でも、画像形成装置において印刷出力を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】画像形成システムの一構成例を示す図である。
【図2】情報処理装置のハードウェア構成および機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】情報処理装置において表示装置に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図4】画像形成装置のハードウェア構成および機能構成の一例を示すブロック図である。
【図5】情報処理装置において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】画像形成装置において行われる主たる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】画像形成装置において行われる印刷ジョブ受信処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】画像形成装置において行われる削除判定処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】画像形成装置において行われるジョブ実行処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】画像形成装置の表示部に表示される一覧表示画面の一例を示す図である。
【図11】画像形成システムにおける印刷出力の一態様を説明する図である。
【図12】情報処理装置において印刷ジョブの自動送信を行うまでの所定時間を設定する場合に表示装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【図13】画像形成装置において自動送信による印刷ジョブを保存しておく時間を設定する場合に表示部に表示される設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0028】
図1は、本実施形態における画像形成システム1の一構成例を示す図である。この画像形成システム1は、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)なで構成される情報処理装置2と、少なくとも1つの画像形成装置3とが、LAN(Local Area Network)などのネットワーク4を介して相互にデータ通信可能な構成である。画像形成装置3は、例えばプリンタ機能、スキャン機能、FAX機能などの複数の機能が搭載された複合機などで構成され、情報処理装置2から送信される印刷ジョブをネットワーク4経由で受信し、その受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力を行うことが可能である。尚、図例では、ネットワーク4に2台の画像形成装置3a,3bが接続されている場合を例示しているが、画像形成装置3の台数はこれに限定されるものではなく、任意である。
【0029】
また図1に示すように、ネットワーク4にはサーバ装置5が接続されている。このサーバ装置5は、ハードディスク装置などで構成される記憶装置6を備えており、その記憶装置6に予めユーザ情報7が記憶されている。このサーバ装置5は、画像形成装置3を使用するユーザを認証するための認証サーバとして機能するものである。すなわち、ユーザ情報7には、画像形成装置3a,3bのそれぞれを使用することが予め許可されたユーザに関する情報が登録されており、サーバ装置5は、各画像形成装置3a,3bから送信される認証要求に基づいて認証処理を行う。
【0030】
各画像形成装置3a,3bは、サーバ装置5における認証処理が認証成功となり、ユーザを特定することができると、そのユーザをログインユーザとして動作状態をログイン状態へと移行させる。画像形成装置3a,3bがログイン状態に移行すると、ログインユーザは、画像形成装置3a,3bの各機能を利用することができるようになる。
【0031】
情報処理装置2は、例えばユーザAが使用するパーソナルコンピュータによって構成される。この情報処理装置2には、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体9を介して予め様々なプログラムがインストールされている。また、そのようなプログラムは、ネットワーク4を介して情報処理装置2にインストールされるものであっても構わない。それらプログラムの中には、画像形成装置3a,3bのそれぞれに対して印刷ジョブを送信するためのプリンタドライバが含まれている。そのため、情報処理装置2は、各画像形成装置3a,3bに対応するプリンタドライバを起動することにより、ネットワーク4を介して各画像形成装置3a,3bに印刷ジョブを送信することができる。尚、図1には、ユーザAが使用する情報処理装置2だけがネットワーク4に接続される構成例を示しているが、例えばユーザAとは異なるユーザが使用する別の情報処理装置がさらに接続された構成であっても構わない。
【0032】
図2は、情報処理装置2のハードウェア構成および機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、情報処理装置2は、ハードウェア構成として、CPU20と、メモリ21と、記憶装置22と、表示装置23と、操作入力装置24と、ネットワークインタフェース25とを備えている。CPU20は、情報処理装置2にインストールされているプログラムを読み出して実行する。メモリ21は、CPU20がプログラムを実行することに伴って発生する一時的なデータなどを記憶するためのものである。記憶装置22は、ハードディスク装置などで構成される不揮発性の記憶手段である。表示装置23は、カラー液晶ディスプレイなどで構成され、各種情報を表示する。操作入力装置24は、キーボードやマウスなどを備えて構成され、ユーザAによる各種操作入力を受け付けるものである。ネットワークインタフェース25は、情報処理装置2をネットワーク4に接続するためのものである。
【0033】
記憶装置22には、情報処理装置2に予めインストールされる各種プログラムが記憶されている。すなわち、記憶装置22には、図2に示すように、情報処理装置2のオペレーティングシステム(OS)である基本プログラム26と、本実施形態における特徴的なプログラムである印刷制御プログラム27と、情報処理装置2においてドキュメントなどの編集を行うためのアプリケーションプログラム28と、画像形成装置3a,3bのそれぞれに対応するプリンタドライバ29a,29bとが記憶されている。尚、プリンタドライバ29aは画像形成装置3aに対して印刷ジョブを送信するためのプログラムであり、プリンタドライバ29bは画像形成装置3bに対して印刷ジョブを送信するためのプログラムである。
【0034】
CPU20は、情報処理装置2に電源が投入されると、記憶装置22から基本プログラム26を自動的に読み出して実行する。そしてCPU20は、基本プログラム26の起動が完了すると、さらに印刷制御プログラム27を自動的に読み出して実行することにより、印刷制御プログラム27によって実現されるドライバ制御部203をCPU20に常駐させた状態とする。CPU20は、上記のようにして情報処理装置2の起動処理を完了させると、その後はユーザAによるアプリケーションプログラム28の実行指示に基づき、記憶装置22からアプリケーションプログラム28を読み出して実行する。またCPU20は、プリンタドライバ29a,29bのいずれか一方を実行することにより、画像形成装置3a又は3bに対して印刷ジョブを送信する。
【0035】
このようにCPU20は、記憶装置22に記憶されている各種プログラムを実行することにより、アプリケーション部201、表示制御部202、ドライバ制御部203およびプリンタドライバ204として機能する。
【0036】
アプリケーション部201は、CPU20がアプリケーションプログラム28を実行することによって実現される処理部である。このアプリケーション部201は、ユーザAによる操作入力に基づいてドキュメントなどの編集処理を実行する。
【0037】
表示制御部202は、表示装置23に表示するための各種表示画面を生成し、表示装置23に対して出力する処理部である。この表示制御部202は、例えばCPU20が基本プログラム26を実行することにより実現される機能である。アプリケーション部201が機能しているとき、表示制御部202は、アプリケーション部201によって生成される表示画面をそのまま表示装置23に対して出力する。そのため、表示装置23には、アプリケーション部201によるドキュメントなどを編集するための編集画面が表示される。また表示装置23にドキュメントなどの編集画面が表示されている状態で、ユーザAが操作入力装置24に対してそのドキュメントの印刷指示を行うと、表示制御部202は、表示装置23に印刷ダイアログなどの印刷設定画面を表示する。
【0038】
図3は、表示制御部202によって表示装置23に表示される印刷設定画面23aの一例を示す図である。この印刷設定画面23aが表示されているとき、ユーザAは、印刷ジョブを送信する画像形成装置を選択したり、その選択した画像形成装置に対応するプリンタドライバに関する詳細な設定操作を行ったり、ドキュメントなどの印刷対象データの印刷範囲を指定したり、印刷部数を指定したりする操作を行うことができる。
【0039】
例えば、印刷設定画面23aには、印刷ジョブの送信対象として選択された画像形成装置3の名称を表示する名称表示欄51が設けられており、この名称表示欄51の右側にはプルダウンボタン52が設けられている。ユーザAは、操作入力装置24に含まれるマウスを操作することにより、印刷設定画面23aにおいてマウスポインタMPを移動させ、プルダウンボタン52のクリック操作を行うと、画像形成装置3a,3bの名称がプルダウンメニュー形式で一覧表示される。ユーザAは、その一覧表示の中から印刷ジョブの送信対象となる1つの画像形成装置3を選択することができる。このような選択操作が行われない場合、名称表示欄51には、ユーザAによって予めデフォルト設定されている画像形成装置3が選択された状態として表示される。尚、このようにして画像形成装置3の選択操作が行われると、それに伴い、複数のプリンタドライバ29a,29bのうちから一の実行対象となるプリンタドライバが決定される。
【0040】
また名称表示欄51とプルダウンボタン52の更に右側には、実行対象となるプリンタドライバに対する詳細な設定を行うためのプロパティボタン53が表示される。ユーザAは、マウスを操作することによってこのプロパティボタン53のクリック操作を行うと、印刷設定画面23aの表示内容が、名称表示欄51において選択されている画像形成装置3に対応したプリンタドライバの詳細な設定画面に遷移する。そしてユーザAは、画面遷移後に表示されるプリンタドライバの詳細な設定画面に対し、印刷出力を行う際に適用される様々な設定値を所望の値に設定することができるようになる。尚、このような画面遷移は、図2に示す印刷設定画面23aとは異なるサブウィンドウを新たに表示することによって実現されるものであっても構わない。この場合、ユーザAによる設定操作に基づいて複数種類のサブウィンドウが表示されるものであっても構わない。
【0041】
そしてユーザAは、所望の設定操作を行った後、選択した画像形成装置3に対して印刷ジョブの送信指示を行う際には、図3に示す印刷設定画面23aにおいて最下部に表示されるOKボタン54のクリック操作を行う。すなわち、OKボタン54は、ユーザAが行う最終的な指示として、選択した画像形成装置3に対して印刷ジョブの送信指示を行うためにユーザAが意図的に操作する操作ボタンとなっている。尚、OKボタン54の右側に設けられたキャンセルボタンは、ユーザAが最終的に印刷ジョブの送信を行うことなく、印刷設定画面23aの表示状態をキャンセルする場合に操作するためのボタンである。
【0042】
したがって、ユーザAが自ら意図的な操作を行うことにより、選択した画像形成装置3に対して印刷ジョブを送信する場合には、図3に示すような印刷設定画面23aが表示されている状態で最終的にOKボタン54を手動でクリック操作することが必要となっている。
【0043】
図2に戻り、ドライバ制御部203は、上述したようにCPU20が印刷制御プログラム27を実行することによって実現される機能である。このドライバ制御部203は、情報処理装置2において基本プログラム26が起動されることに伴ってCPU20に常駐し、表示制御部202によって印刷設定画面23aが表示されたか否かを監視する。そして印刷設定画面23aが表示装置23に表示されると、ドライバ制御部203は、その印刷設定画面23aが表示されている状態でユーザAによる操作入力が行われない時間の計測動作を開始する。この計測動作は、例えばユーザAによる操作入力が検知される都度リセットされる。そしてリセット後は再び始めから計測動作が開始される。
【0044】
ドライバ制御部203は、表示装置23に印刷設定画面23aが表示されている状態で操作入力装置24に対するユーザAによる操作入力が所定時間以上継続して行われなかった場合、CPU20にプリンタドライバ29a,29bのいずれか一方を実行させる。このとき実行対象となるプリンタドライバは、その時点で印刷設定画面23aの名称表示欄51に表示されている画像形成装置3に対応するプリンタドライバである。つまり、ドライバ制御部203は、印刷設定画面23aが表示されている状態でその印刷設定画面23aに対する操作が所定時間以上行われなかった場合、その時点で選択された状態となっている画像形成装置3に対応するプリンタドライバをCPU20に自動的に実行させることにより、CPU20においてプリンタドライバ204を機能させる。尚、この場合の所定時間は、ユーザAが予め所望の時間に設定しておくことが可能である。
【0045】
またドライバ制御部203は、表示装置23に印刷設定画面23aが表示されている状態でユーザAによる最終的な印刷ジョブの送信指示が行われた場合にも、CPU20においてプリンタドライバ204を機能させる。この場合、ドライバ制御部203は、記憶装置22に記憶されているプリンタドライバ29a,29bのうち、印刷設定画面23aにおいてユーザAによって選択された画像形成装置3に対応するプリンタドライバをCPU20において実行させる。したがって、この場合においてもCPU20においてプリンタドライバ204が機能する。
【0046】
プリンタドライバ204は、記憶装置22に記憶されているプリンタドライバ29a,29bのうちのいずれか一方が実行されることによって機能し、画像形成装置3a,3bの一方に対して印刷ジョブ(印刷データ)の送信を行う処理部である。このプリンタドライバ204は、ドライバ制御部203からの指示に基づき、アプリケーション部201によって作成されるドキュメントなどの印刷対象データに関する印刷ジョブを生成し、その印刷ジョブを、ネットワークインタフェース25を介して画像形成装置3a又は3bに送信する。
【0047】
表示装置23に印刷設定画面23aが表示されている状態で操作入力装置24に対するユーザAによる操作入力が所定時間以上継続して行われなかった場合、ドライバ制御部203は、その時点での印刷設定画面23aに対する設定内容を反映させてプリンタドライバ204に印刷ジョブを自動生成させると共に、その印刷ジョブを送信させる。つまり、この場合は、ユーザAによる最終的な印刷ジョブの送信指示が行われていない状態であっても、その時点での設定内容を反映させた印刷ジョブが自動生成され、その印刷ジョブが画像形成装置3a又は3bに対して自動送信される。
【0048】
またドライバ制御部203は、プリンタドライバ204に印刷ジョブの自動送信を行わせる際、プリンタドライバ204に対して画像形成装置3における所定の記憶領域に印刷ジョブを保存させる設定を行う。このような設定は、例えば自動送信される印刷ジョブに対し、自動送信による印刷ジョブであることを示す識別情報を付加させるものであっても良い。その結果、プリンタドライバ204は、印刷ジョブの自動送信を行う際には、画像形成装置3に対し、その印刷ジョブに基づいて直ちに印刷出力を行うのではなく、その印刷ジョブを所定の記憶領域に保存しておくように指示するようになる。
【0049】
またドライバ制御部203は、ユーザAによって最終的な印刷ジョブの送信指示が行われた場合にも、上記と同様に、プリンタドライバ204を起動させる。そして印刷ジョブの送信指示が行われた時点での印刷設定画面23aに対する設定内容を反映させてプリンタドライバ204に印刷ジョブを生成させ、ユーザAによって選択された画像形成装置3にその印刷ジョブを送信させる。ただし、この場合の送信態様は、上述した自動送信とは異なり、ユーザAの手動操作に基づく送信、すなわち手動送信となる。
【0050】
ドライバ制御部203は、プリンタドライバ204に、このような手動送信による印刷ジョブの送信を行わせる際、それより以前に同一の印刷対象データについて印刷ジョブの自動送信を行っていれば、手動送信による印刷ジョブに対し、先に自動送信された印刷ジョブと同一の印刷ジョブであることを示す識別情報を付加させる。尚、同一の印刷対象データであるか否かの判断は、例えばドキュメントなどの印刷対象データのファイル名などが同一であるか否かに基づいて行われる。このような識別情報を付加することにより、画像形成装置3が自動送信による印刷ジョブを受信した後に手動送信による印刷ジョブを受信した場合には、それらの印刷ジョブが同一の印刷ジョブであることを識別することができるようになる。
【0051】
次に画像形成装置3のハードウェア構成および機能構成について説明する。本実施形態では2つの画像形成装置3a,3bはそれぞれ同様の構成となっている。図4は、画像形成装置3のハードウェア構成および機能構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、画像形成装置3は、ハードウェア構成として、ネットワークインタフェース30と、操作パネル31と、CPU32と、メモリ33と、記憶装置34と、画像読取部35と、画像形成部36とを備えている。
【0052】
ネットワークインタフェース30は、画像形成装置3をネットワーク4に接続するためのものである。情報処理装置2から送信される印刷ジョブは、このネットワークインタフェース30を介して受信される。
【0053】
操作パネル31は、画像形成装置3を使用するユーザとのユーザインタフェースとなるものである。この操作パネル31は、ユーザに対して各種情報を表示する表示部31aと、ユーザからの各種操作入力を受け付ける操作入力部31bとを備えている。表示部31aは、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成される。操作入力部31bは、表示部31aの表示画面上に配置されるタッチパネルキーや、表示画面の周囲に配置される押しボタンキーなどで構成される。画像形成装置3を使用するユーザは、まず始めに、この操作パネル31に対してユーザIDやパスワードなどを入力するログイン操作を行う。その結果、画像形成装置3がログイン状態へと移行すると、ユーザは、画像形成装置3の各機能を使用することができるようになる。そのようなログイン状態では、ユーザは、例えば画像形成装置3の記憶装置34に保存されている印刷ジョブJBを指定して印刷出力を行わせることも可能になる。
【0054】
CPU32は、画像形成装置3に電源が投入されることに伴い、所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部の動作を制御する。メモリ33は、CPU32によるプログラムの実行に伴って発生する一時的なデータなどを記憶するためのものである。
【0055】
記憶装置34は、例えばハードディスク装置などで構成される不揮発性の記憶手段である。この記憶装置34には、例えば複数の記憶領域34a,34b,34cが設けられている。各記憶領域34a,34b,34cは、画像形成装置3を使用するユーザに対して個別に割り当てられた記憶領域である。例えば記憶領域34aはユーザAが占有できる記憶領域となっており、ユーザA以外のユーザがこの記憶領域34aへアクセスすることが制限される記憶領域である。また記憶領域34b,34cは、ユーザB,Cのそれぞれが占有する記憶領域となっている。例えば、ユーザAの情報処理装置2からネットワーク4を介して画像形成装置3に自動送信される印刷ジョブJBは、記憶装置34においてユーザAが占有する記憶領域34aに保存される。
【0056】
画像読取部35は、原稿を読み取って画像データを生成する処理部である。この画像読取部35は、画像形成装置3において、スキャン機能に関するジョブが実行されるときに動作し、ユーザによってセットされる原稿の読み取りを行うように構成される。
【0057】
画像形成部36は、CPU32からの指示に基づいて印刷用紙などのシート材に画像形成を行い、印刷出力を行う処理部である。この画像形成部36は、画像形成装置3において印刷ジョブが実行されるときに動作し、CPU32から出力される印刷ジョブに基づいて印刷出力を行う。
【0058】
上記構成においてCPU32は所定のプログラムを実行することにより、ジョブ受信部321、ジョブ判別部322、ジョブ管理部323、ユーザ認証部324およびジョブ実行部325として機能する。
【0059】
ジョブ受信部321は、情報処理装置2からネットワーク4に送出される印刷ジョブJBを、ネットワークインタフェース30を介して受信する処理部である。このジョブ受信部321は、印刷ジョブJBを受信すると、ジョブ判別部322を機能させる。
【0060】
ジョブ判別部322は、ジョブ受信部321において受信された印刷ジョブJBに付加されている情報に基づき、その印刷ジョブJBの種類を判別する処理部である。より具体的に説明すると、このジョブ判別部322は、ジョブ受信部321において受信された印刷ジョブJBの送信元であるユーザを特定すると共に、その印刷ジョブJBが自動送信による印刷ジョブであるか、手動送信による印刷ジョブであるかを判別する。また、ジョブ判別部322は、ジョブ受信部321において受信された印刷ジョブJBが手動送信による印刷ジョブである場合、それに対応する自動送信による印刷ジョブが既に記憶装置34に保存されているか否かを判別する。そしてジョブ判別部322は、そのような判別結果をジョブ管理部323に通知する。
【0061】
ジョブ管理部323は、ジョブ受信部321において受信される印刷ジョブJBを管理する処理部である。例えばジョブ受信部321において受信された印刷ジョブJBがジョブ判別部322において自動送信による印刷ジョブであると判別された場合、ジョブ管理部323は、その印刷ジョブJBを、送信元ユーザであるユーザAに対応する記憶領域34aに保存して管理する。
【0062】
ユーザ認証部324は、画像形成装置3を使用するユーザのユーザ認証を行う処理部である。このユーザ認証部324は、ユーザが操作パネル31に対するログイン操作を行うことによって入力されるユーザIDやパスワードなどを含む認証要求を、ネットワークインタフェース30を介してサーバ装置5に送信する。そしてサーバ装置5において行われる認証処理が認証成功となった場合、それによって特定されるユーザをログインユーザとし、画像形成装置3の動作状態をログイン状態へと移行させる。尚、ログイン状態においてログインユーザがログアウト操作を行った場合、ユーザ認証部324は、画像形成装置3の動作状態をログイン状態から、待機状態であるログアウト状態へと移行させる。
【0063】
ジョブ管理部323は、ユーザ認証部324によって動作状態がログイン状態へと移行すると、ログインユーザに対応する記憶領域34a,34b,34cに印刷ジョブJBが保存されているか否かを判断する。例えば、ユーザAがログインユーザとしてログイン状態へ移行した場合、ジョブ管理部323は、ユーザAに対応する記憶領域34aに印刷ジョブJBが保存されているか否かを判断する。そして記憶領域34aに印刷ジョブJBが保存されている場合、ジョブ管理部323は、記憶領域34aに保存されている印刷ジョブJBを全て読み出し、操作パネル31の表示部31aに対して実行可能な印刷ジョブとして印刷ジョブJBの一覧表示を行う。そしてユーザAによって印刷ジョブが選択され、実行指示が行われると、ジョブ実行部325を機能させる。
【0064】
ジョブ実行部325は、ジョブ管理部323からの指示に基づいて各種のジョブの実行を制御する処理部である。このジョブ実行部325は、画像読取部35および画像形成部36のそれぞれを動作制御するように構成されている。特に印刷ジョブを実行する場合、ジョブ実行部325は、実行対象となる印刷ジョブを画像形成部36に出力し、その印刷ジョブに基づく印刷出力が行われるように制御する。
【0065】
上記のような機能構成において、ジョブ管理部323は、情報処理装置2によって自動送信された印刷ジョブJBを記憶領域34aに保存した後、その印刷ジョブJBに基づく印刷出力が行われることなく所定時間が経過した場合、その印刷ジョブJBを記憶領域34aから削除する。このような所定時間は、例えば画像形成装置3の管理者によって予め設定された時間が適用される。つまり、本実施形態では、情報処理装置2から自動送信される印刷ジョブJBが画像形成装置3において所定時間保持される。そのため、画像形成装置3において自動送信による印刷ジョブJBが保持されている期間中にユーザAが画像形成装置3にログインすると、仮にユーザAがそれ以前に最終的な印刷ジョブの送信指示を行っていなくても、その自動送信による印刷ジョブJBに基づいて印刷出力を行うことが可能である。
【0066】
また印刷ジョブJBが記憶領域34aに保存されている状態で、ジョブ受信部321がその印刷ジョブJBと同一の印刷ジョブを受信した場合、ジョブ管理部323は、先に記憶領域34aに保存されている印刷ジョブJBを、ジョブ受信部321によってあらたに受信された印刷ジョブに差し替える。例えば、自動送信による印刷ジョブJBが記憶領域34aに保存された後、手動送信による同一の印刷ジョブがあらたに受信されると、ジョブ管理部323は、記憶領域34aにおいて既に保存されている自動送信の印刷ジョブJBを削除し、あらたに受信した手動送信による同一の印刷ジョブを記憶領域34aに保存する。これにより、記憶領域34aに保存される印刷ジョブJBは、ユーザAによる意図的で且つ最終的な設定内容を反映させた印刷ジョブに更新される。その後、ユーザAが画像形成装置3にログインし、更新された印刷ジョブJBの実行指示を行った場合、ジョブ管理部323は、その更新された印刷ジョブJBに基づいて印刷出力を行うように制御する。
【0067】
次に情報処理装置2および画像形成装置3のそれぞれにおける具体的な動作について説明する。
【0068】
まず図5は、情報処理装置2において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、情報処理装置2においてアプリケーション部201が機能している状態で、ユーザAによる印刷指示が検知されることに伴って開始される処理であり、主として上述したドライバ制御部203によって行われる処理である。ドライバ制御部203は、ユーザAによる印刷指示を検知すると、まず表示装置23に対して印刷設定画面23aを表示する(ステップS10)。これに伴い、ドライバ制御部203は、ユーザAによる操作入力が行われない状態での経過時間をカウントするための時間計測を開始する(ステップS11)。そしてドライバ制御部203は、ユーザAによる操作入力が検知されたか否かを判断する(ステップS12)。
【0069】
ユーザAによる操作入力が検知されていない場合(ステップS12でNO)、ドライバ制御部203は、ステップS11で計測を開始した時間が所定時間をカウントしているか否かを判断する(ステップS13)。ここで所定時間が経過していない場合(ステップS13でNO)、ステップS12へ戻る。したがって、ユーザAによる操作入力が行われない状態であっても、所定時間が経過するまでの間は、ステップS12,S13の判断処理が繰り返し実行される。
【0070】
そして所定時間が経過した場合(ステップS13でYES)、ドライバ制御部203は、印刷設定画面23aに対する現在の設定状態を取得し(ステップS14)、その印刷設定画面23aで選択された状態となっている画像形成装置3に対応するプリンタドライバ204を起動させる(ステップS15)。ドライバ制御部203は、プリンタドライバ204にその時点での設定状態を反映させた印刷ジョブを生成させ(ステップS16)、その印刷ジョブを画像形成装置3に対して自動送信させる(ステップS17)。このとき送信される印刷ジョブには、自動送信による印刷ジョブであることを示す識別情報が付加される。その後、ドライバ制御部203は、ユーザAによる操作入力が検知されるまで待機する状態となる(ステップS18)。
【0071】
ステップS12又はステップS18でユーザAによる操作入力が検知されると、ドライバ制御部203は、ユーザAによって行われた操作が印刷設定画面23aの表示内容を更新させる操作であるか否かを判断する(ステップS19)。その結果、印刷設定画面23aの表示内容を更新させる操作である場合(ステップS19でYES)、ドライバ制御部203は、表示装置23に表示されている印刷設定画面23aを更新させる(ステップS20)。この場合の画面更新では、ユーザAによって行われた操作内容を印刷設定画面23aに反映させる処理が行われる。またユーザAによる操作に基づいて行われる印刷設定画面23aの画面遷移や、サブウィンドウの表示/非表示を切り替える処理なども、この画面更新に含まれる。そして印刷設定画面23aを更新させると、ドライバ制御部203は、現在計測中の時間をリセットする(ステップS21)。そしてステップS11へ戻る。
【0072】
一方、ユーザAによって行われた操作が印刷設定画面23aの表示内容を更新させる操作でなかった場合(ステップS19でNO)、ドライバ制御部203は、ユーザAによって行われた最終的な操作が印刷ジョブの送信指示であるか否かを判断する(ステップS22)。その結果、ユーザAによる最終的な操作として印刷ジョブの送信指示が行われた場合には(ステップS22でYES)、印刷設定画面23aに対する現在の設定状態を取得し(ステップS23)、その印刷設定画面23aで選択された状態となっている画像形成装置3に対応するプリンタドライバ204を起動させる(ステップS24)。そしてドライバ制御部203は、プリンタドライバ204に最終的な設定状態を反映させた印刷ジョブを生成させ(ステップS25)、その印刷ジョブを画像形成装置3に対して送信させる(ステップS26)。このとき送信される印刷ジョブには、ユーザAの操作に基づく手動送信による印刷ジョブであることを示す識別情報が付加される。またこのとき、先に自動送信による印刷ジョブが送信されている場合には、その印刷ジョブと同一の印刷ジョブであることを示す情報が付加される。そして手動送信による印刷ジョブの送信が完了すると、印刷設定画面23aが非表示となり、この処理が終了する。
【0073】
したがって、情報処理装置2は、ユーザAの意図に基づいて表示装置23に印刷設定画面23aを表示している状態で、その印刷設定画面23aに対する操作入力が所定時間行われなかった場合、プリンタドライバ204を自動的に起動させ、その時点での印刷設定画面23aに対する設定内容に基づいて印刷ジョブJBを生成し、一の画像形成装置3に対してその印刷ジョブJBを予め自動送信しておく。またユーザAが最終的な指示として、印刷設定画面23aに対して印刷ジョブの送信指示を行った場合、情報処理装置2は、そのようなユーザAの手動操作に基づいてその時点での印刷設定画面23aに対する設定内容を反映させた印刷ジョブJBを送信する。そして情報処理装置2は、画像形成装置3に対して印刷ジョブJBを送信する際、自動送信による印刷ジョブと、手動送信による印刷ジョブとのいずれであるかを識別するための識別情報を付して印刷ジョブJBの送信を行うように構成される。
【0074】
次に図6乃至図9は、画像形成装置3において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。図6は、画像形成装置3において行われる主たる処理手順を示している。この図6に示す処理は、例えば画像形成装置3において一定時間間隔で繰り返し行われる処理となっている。画像形成装置3は、この処理を開始すると、ネットワーク4を介して印刷ジョブJBを受信したか否かを判断する(ステップS30)。そして印刷ジョブJBを受信していれば(ステップS30でYES)、印刷ジョブ受信処理を実行する(ステップS31)。尚、印刷ジョブJBを受信していない場合には、印刷ジョブ受信処理(ステップS31)は行われない。
【0075】
次に画像形成装置3は、記憶装置34に自動送信による印刷ジョブJBが保存されているか否かを判断する(ステップS32)。そして自動送信による印刷ジョブJBが保存されていれば(ステップS32でYES)、削除判定処理を実行する(ステップS33)。尚、自動送信による印刷ジョブJBを保存していない場合には、削除判定処理(ステップS33)は行われない。
【0076】
次に画像形成装置3は、操作パネル31に対するログイン操作が行われたか否かを判断する(ステップS34)。そしてログイン操作が行われた場合(ステップS34でYES)、ユーザ認証処理を行う(ステップS35)。このユーザ認証処理(ステップS35)では、サーバ装置5に対して認証要求を送信する処理が行われると共に、サーバ装置5から認証結果を受信する処理が行われる。また認証成功となった場合には、画像形成装置3の動作状態をログイン状態へと移行させる処理も行われる。そして画像形成装置3は、サーバ装置5の動作状態がログインユーザによるログイン状態へと移行したか否かを判断する(ステップS36)。その結果、ログイン状態へと移行した場合(ステップS36でYES)、画像形成装置3は、印刷ジョブ実行処理を実行する(ステップS37)。尚、操作パネル31に対するログイン操作が行われていない場合には(ステップS34でNO)、ステップS35〜S37の処理は行われず、またログイン状態へと移行しなかった場合には(ステップS36でNO)、ステップS37の処理は行われない。
【0077】
図7は、印刷ジョブ受信処理(ステップS31)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置3が印刷ジョブJBを受信した場合、まずその受信した印刷ジョブJBの種類を判別するための印刷ジョブ判別処理が行われる(ステップS40)。そして画像形成装置3は、その判別結果に基づき、受信した印刷ジョブJBが自動送信による印刷ジョブであるか否かを判断する(ステップS41)。
【0078】
受信した印刷ジョブJBが自動送信による印刷ジョブである場合(ステップS41でYES)、画像形成装置3は、その印刷ジョブJBの送信元であるユーザを特定し、さらにその特定したユーザの記憶領域を特定する(ステップS42)。そして画像形成装置3は、その特定した記憶領域に対し、情報処理装置2から自動送信された印刷ジョブJBを保存して処理を終了する(ステップS43)。
【0079】
一方、受信した印刷ジョブJBが自動送信によるものではなく、ユーザの手動動作に基づく手動送信によるものである場合(ステップS41でNO)、画像形成装置3は、その印刷ジョブJBの送信元であるユーザを特定し、さらにその特定したユーザの記憶領域を特定する(ステップS44)。そして画像形成装置3は、その特定した記憶領域に、受信した印刷ジョブJBと同一の印刷ジョブが既に記憶されているか否かを判断する(ステップS45)。その結果、同一の印刷ジョブが既に記憶されている場合(ステップS45でYES)、画像形成装置3は、特定した記憶領域に既に記憶されている同一の印刷ジョブを、あらたに受信した印刷ジョブJBに差し替える(ステップS46)。これに対し、同一の印刷ジョブが記憶されていない場合(ステップS45でNO)、画像形成装置3は、特定した記憶領域に対し、受信した印刷ジョブJBをあらたに保存する(ステップS47)。
【0080】
そして画像形成装置3は、受信した印刷ジョブJBに基づく印刷出力を直ちに行うか否かを判断する(ステップS48)。尚、印刷ジョブJBに付加された情報には、印刷出力を直ちに行うか否かの設定が含まれており、画像形成装置3は、その情報に基づいて直ぐに印刷出力を行うか否かを判断する。その結果、直ちに印刷出力を行う場合(ステップS48でYES)、画像形成装置3は、ステップS46又はS47で保存した印刷ジョブJBを読み出し、その印刷ジョブJBに基づいてジョブの実行を行うことにより、印刷出力を開始する(ステップS49)。そしてジョブの実行が終了すると、ステップS46又はS47で保存した印刷ジョブJBを削除し(ステップS50)、処理を終了する。尚、受信した印刷ジョブJBに基づく印刷出力を直ちに行わない場合には、ステップS49,S50の処理をスキップして処理を終了する。
【0081】
次に図8は、削除判定処理(ステップS33)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置3は、自動送信による印刷ジョブJBを記憶装置34に保存している場合、まず現在日時に関する情報を取得する(ステップS60)。この情報は、例えば画像形成装置3の内部時計などから取得される。次に画像形成装置3は、自動送信による印刷ジョブJBを保存した保存日時を取得する(ステップS61)。そして画像形成装置3は、自動送信による印刷ジョブJBを保存した保存日時と、現在日時とを比較し、印刷ジョブJBを保存してから所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS62)。その結果、所定時間が経過している場合(ステップS62でYES)、画像形成装置3は、自動送信による印刷ジョブJBを記憶領域から削除する(ステップS63)。これに対し、所定時間が経過していない場合(ステップS62でNO)、自動送信よる印刷ジョブJBを削除することなく、処理を終了する。
【0082】
次に図9は、ジョブ実行処理(ステップS37)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置3は、ログイン状態へと移行すると、ログインユーザに対応する記憶領域を特定する(ステップS70)。例えばユーザAがログインユーザである場合、ユーザAに対応する記憶領域34aを特定する。そして画像形成装置3は、その特定した記憶領域に印刷ジョブJBが保存されているか否かを判断する(ステップS71)。その結果、少なくとも1つの印刷ジョブJBが保存されている場合(ステップS71でYES)、画像形成装置3は、その記憶領域に保存されている印刷ジョブJBを全て読み出し、操作パネル31の表示部31aに、実行可能な印刷ジョブの一覧表示画面を表示する(ステップS72)。
【0083】
図10は、このとき表示部31aに表示される一覧表示画面の一例を示す図である。このような一覧表示画面は、上述したジョブ管理部323によって作成され、表示部31aに表示される。図10に示すように、この画面には、実行可能な印刷ジョブのリスト61が含まれる。このリスト61に含まれる印刷ジョブは、ログインユーザ(ユーザA)に対応する記憶領域34aに保存されている印刷ジョブである。ジョブ管理部323は、このような一覧表示画面を表示部31aに表示する際、自動送信による印刷ジョブと、その他の印刷ジョブ(すなわち、手動送信による印刷ジョブ)とを区別した表示態様で表示する。図10に示す例では、リスト61にジョブ送信形態に関する情報が含まれており、自動送信による印刷ジョブの場合はそのジョブ送信形態の欄に「自動」と表示され、手動送信による印刷ジョブの場合はそのジョブ送信形態の欄に「手動」と表示されるようになっている。したがって、ログインユーザは、一覧表示画面の中から印刷出力を行う印刷ジョブの選択操作を行う際に、印刷ジョブが自動送信と手動送信とのいずれによって送信されたジョブであるかを把握することができる。
【0084】
図9に戻り、画像形成装置3は、上記のような一覧表示画面を表示した後、ログインユーザによる印刷ジョブの選択操作を受け付ける(ステップS73)。そしてログインユーザによって少なくとも1つの印刷ジョブが選択された状態でOKボタン62の押下操作が行われると、画像形成装置3は、その選択された印刷ジョブJBを記憶領域34aから読み出し、その印刷ジョブJBに基づいてジョブの実行を行うことにより、印刷出力を開始する(ステップS74)。そしてジョブの実行が終了すると、その印刷ジョブJBを記憶領域34aから削除し(ステップS75)、処理を終了する。
【0085】
画像形成装置3において上記のような処理が行われることにより、画像形成装置3は、情報処理装置2によって自動送信される印刷ジョブJBを所定時間保持しておくことができる。そして、その所定時間が経過するまでの間に、その自動送信による印刷ジョブJBの送信元であるユーザAが画像形成装置3にログインした場合には、その自動送信による印刷ジョブJBに基づいて印刷出力を行うことが可能である。
【0086】
図11は、本実施形態の画像形成システム1における印刷出力の一態様を説明する図である。図11に示すように、例えばユーザAが自身の情報処理装置2を操作することによって印刷対象となるドキュメントなどを作成した後、情報処理装置2に対して印刷指示を行うと、情報処理装置2の表示装置23には印刷設定画面23aが表示される。表示装置23に印刷設定画面23aが表示されると、ユーザAは、印刷設定画面23aに対する各種の設定操作を行った後、最終的に印刷ジョブの送信指示を行う。しかし、そのような設定操作の途中で急な呼び出しなどがあると、ユーザAは、最終的な印刷ジョブの送信指示を行う前に、情報処理装置2から離れてしまうこともある。この場合、情報処理装置2は、表示装置23に印刷設定画面23aを表示した状態のままで放置される。
【0087】
そしてユーザAが情報処理装置2に対する操作を行わなくなってから所定時間が経過すると、情報処理装置2は、図11に示すように、その時点での印刷設定画面23aに対する設定内容を反映した印刷ジョブJBを生成し、その印刷ジョブJBを画像形成装置3に自動送信する。このとき印刷ジョブJBの送信先となる画像形成装置3は、印刷設定画面23aにおいてその時点で選択された状態となっている1つの画像形成装置3aである。そして画像形成装置3aは、情報処理装置2から自動送信される印刷ジョブJBを受信すると、その印刷ジョブJBをユーザAに対応する記憶領域34aに保存する。
【0088】
その後、ユーザAが所要を済ませ、自席に戻る前に画像形成装置3aの設置場所に立ち寄った場合、操作パネル31に対してログイン操作を行うと、情報処理装置2から自動送信された印刷ジョブJBが実行可能なジョブとして表示される。そのため、ユーザAは、それ以前に最終的な印刷ジョブの送信指示を行っていない場合でも、その自動送信させた印刷ジョブJBを選択して実行指示を行うことにより、その場で印刷物PMを取得することができるようになる。
【0089】
したがって、本実施形態によれば、ユーザが情報処理装置2を操作する過程において最終的な印刷ジョブの送信指示を行うことを忘れてしまった場合でも、情報処理装置2が画像形成装置3に対して印刷ジョブJBの自動送信を行うため、画像形成装置3においてその自動送信された印刷ジョブJBを実行することにより、印刷出力を行うことが可能である。
【0090】
次に図12は、情報処理装置2において印刷ジョブの自動送信を行うまでの所定時間を設定する場合に表示装置23に表示される設定画面23bの一例を示す図である。この設定画面23bは、例えば情報処理装置2においてドライバ制御部203が機能している状態で、ユーザAが所定の操作を行うことにより表示装置23に表示される。この設定画面23bには、現在の設定時間が表示される表示欄71と、現在の設定時間の変更操作を行うためのプルダウンボタン72と、変更した設定時間を確定させるためのOKボタン73と、変更した設定時間をキャンセルするためのキャンセルボタン74とが含まれる。ユーザAは、このような設定画面23bが表示されている状態で表示欄71に表示されている設定時間を変更するときには、プルダウンボタン72をクリックする。すると、変更可能な設定時間の一覧メニューが表示されるので、ユーザAは、一覧メニューの中から所望の時間を選択し、OKボタン73をクリックすることにより設定時間を変更することができる。尚、このような設定時間は、例えば数分程度から数十分程度の範囲内でユーザAが自由に設定できるようにしても良い。
【0091】
図12の例では、ユーザAが2分を設定した場合を示している。この場合、印刷設定画面23aが表示されている状態でユーザAによる操作入力が2分以上継続して行われなかった場合、情報処理装置2は、プリンタドライバ204を自動的に起動し、その時点での印刷設定画面23aへの設定内容を反映させた印刷ジョブJBを生成して画像形成装置3に自動送信するようになる。
【0092】
次に図13は、画像形成装置3において自動送信による印刷ジョブを保存しておく時間を設定する場合に表示部31aに表示される設定画面の一例を示す図である。この設定画面は、例えば画像形成装置3に管理者がログインしている状態で、その管理者が所定の操作を行うことにより表示部31aに表示される。この設定画面には、現在の保存時間が表示される表示欄81と、現在の保存時間の変更操作を行うためのプルダウンボタン82と、変更した保存時間を確定させるためのOKボタン83とが含まれる。管理者は、このような設定画面が表示されている状態で表示欄81に表示されている保存時間を変更するとき、プルダウンボタン82の押下操作を行う。すると、変更可能な保存時間の一覧メニューが表示されるので、管理者は、一覧メニューの中から所望の時間を選択し、OKボタン83の押下操作を行うことにより保存時間を変更することができる。尚、このような保存時間は、例えば数時間程度から数日程度の範囲内で管理者が自由に設定できるようにしても良い。
【0093】
図13の例では、管理者が24時間を設定した場合を示している。この場合、画像形成装置3は、記憶装置34に自動送信による印刷ジョブJBを保存した後、その印刷ジョブJBに基づく印刷出力が行われることなく24時間が経過すると、その印刷ジョブJBを記憶装置34から削除するようになる。
【0094】
以上のように、本実施形態における情報処理装置2は、ユーザによる印刷指示が検知されると、表示装置23に対して印刷設定画面23aを表示する。そして、その印刷設定画面23aが表示されている状態で操作入力装置24に対する操作入力が所定時間行われなかった場合、プリンタドライバ204を自動的に起動し、そのプリンタドライバ204に、印刷設定画面23aに対する設定内容に基づく印刷ジョブJBを生成させると共に、その印刷ジョブJBを画像形成装置3に対して自動送信する構成である。つまり、本実施形態では、ユーザがドキュメントなどの印刷出力を行う意志がある場合にのみ、印刷ジョブJBを自動生成して予め画像形成装置3に送信しておくことができる構成となっている。したがって、従来と比較すると、本実施形態では、ユーザが印刷出力を予定していない印刷ジョブは自動送信されないため、画像形成装置3の記憶装置34を印刷予定のない印刷ジョブが占有してしまうという問題は生じない。
【0095】
また上記構成によれば、印刷設定画面23aが表示されている状態で、仮にユーザが最終的な印刷ジョブの送信指示を行うことを忘れてしまった場合でも、そのユーザが画像形成装置3の設置場所まで移動して所定の操作を行うと、その場で印刷物PMを取得することができる。それ故、ユーザは再び情報処理装置2の設置場所まで戻ってあらためて印刷ジョブの送信操作を行う必要がなくなるので、印刷物PMを取得するための操作性が向上し、ひいては業務効率を向上させることもできるようになる。
【0096】
また本実施形態の情報処理装置2は、印刷ジョブJBの自動送信を行った後、操作入力装置24を介して印刷ジョブの送信指示を検知すると、プリンタドライバ204を起動し、そのプリンタドライバ204に、印刷設定画面24aに対する設定内容に基づく印刷ジョブJBを生成させると共に、その印刷ジョブJBに、先に自動送信された印刷ジョブと同一の印刷ジョブであることを示す識別情報を付加した状態で画像形成装置3に送信する構成である。このような構成によれば、画像形成装置3が、自動送信による印刷ジョブを受信した後、手動送信による印刷ジョブを受信すると、先に受信した自動送信による印刷ジョブを、その後に受信する手動送信による同一の印刷ジョブに差し替えることができる。
【0097】
一方、本実施形態における画像形成装置3は、ネットワーク4を介して印刷ジョブJBを受信すると、その印刷ジョブJBに付加されている識別情報に基づき印刷ジョブJBの種類を判別する。そして、受信した印刷ジョブJBが自動送信による印刷ジョブであると判別した場合、その印刷ジョブJBを所定の記憶領域34aへ保存して管理する。また画像形成装置3は、所定の記憶領域34aに自動送信による印刷ジョブJBを保存した後、その印刷ジョブJBに基づく印刷出力が行われることなく所定時間が経過した場合には、その印刷ジョブJBを自動的に削除する構成である。このような構成によれば、自動送信による印刷ジョブJBを保存してから所定時間が経過するまでであれば、その自動送信による印刷ジョブJBに基づいて印刷出力を行うことができる。また、所定時間が経過しても印刷出力されない印刷ジョブJBを自動的に削除するので、画像形成装置3の記憶装置34が印刷予定のない印刷ジョブによって占有してしまうことを防止することができる。
【0098】
また本実施形態の画像形成装置3は、ネットワーク4を介して受信された印刷ジョブJBが既に記憶装置34に保存されている印刷ジョブと同一である場合、記憶装置34に保存されている印刷ジョブを、あらたに受信された印刷ジョブJBに差し替える構成である。したがって、記憶装置34に不要な印刷ジョブが残ってしまうことを良好に防止することができる。
【0099】
また本実施形態の画像形成装置3は、自動送信による印刷ジョブJBを受信した場合、その印刷ジョブJBに付加されている識別情報に基づいてユーザを特定し、その印刷ジョブJBを保存する際にはその特定されたユーザに対応する記憶領域34aに印刷ジョブJBを保存する構成である。したがって、自動送信よる印刷ジョブJBが異なるユーザによって読み出されたり、或いは実行されたりすることを未然に防止することができ、ドキュメントなどの内容が第三者に見られてしまうことを抑制できる。その結果、高いセキュリティが確保されるという利点がある。
【0100】
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0101】
例えば、上記実施形態において画像形成装置3は、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能などの複数の機能が搭載された複合機などで構成される場合を例示した。しかし、画像形成装置は複数の機能を備えたものに限定されるものではなく、少なくとも印刷出力を行うためのプリンタ機能を備えたものであれば良い。
【0102】
また上記実施形態では、特に言及しなかったが、情報処理装置2において印刷設定画面23aが表示されている状態のとき、ユーザによる操作が行われている状態と、ユーザによる操作が中断した状態とが繰り返し発生するケースも想定される。このような場合には、ユーザによる操作が中断する都度、所定時間経過後に印刷ジョブJBを繰り返し自動送信しておくことが好ましい。またこの場合には、その都度、その時点での設定内容を反映させた印刷ジョブJBを生成することが好ましい。そして画像形成装置3は、自動送信による同一の印刷ジョブJBを繰り返し受信することになるが、そのような場合にはその都度、記憶装置34に保存している自動送信の印刷ジョブJBを最新の印刷ジョブに更新することが好ましい。このような構成とすれば、画像形成装置3において記憶装置34に保存される自動送信による印刷ジョブJBを、常にユーザによる最新の設定状態が反映された印刷ジョブに更新することができるようになる。
【符号の説明】
【0103】
1 画像形成システム
2 情報処理装置
3(3a,3b) 画像形成装置
23 表示装置(表示手段)
23a 印刷設定画面
24 操作入力装置(操作入力手段)
27 印刷制御プログラム
29a,29b プリンタドライバ(プログラム)
202 表示制御部(表示制御手段)
203 ドライバ制御部(ドライバ制御手段)
204 プリンタドライバ(機能部)
31 操作パネル
31a 表示部(表示手段)
31b 操作入力部(操作入力手段)
321 ジョブ受信部(受信手段)
322 ジョブ判別部(ジョブ判別手段)
323 ジョブ管理部(ジョブ管理手段)
324 ユーザ認証部(ユーザ認証手段)
34 記憶装置
34a,34b,34c 記憶領域
JB 印刷ジョブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して画像形成装置に接続され、前記画像形成装置に対して印刷ジョブを送信するプリンタドライバがインストールされた情報処理装置であって、
ユーザによる操作入力を受け付ける操作入力手段と、
各種情報を表示する表示手段と、
前記操作入力手段に入力される印刷指示に基づき、前記表示手段に対して印刷設定画面を表示する表示制御手段と、
前記表示制御手段によって前記印刷設定画面が表示されている状態で前記操作入力手段に対する操作入力が所定時間行われなかった場合、前記プリンタドライバを起動し、前記プリンタドライバに、前記印刷設定画面に対する設定内容に基づく印刷ジョブを生成させると共に、該印刷ジョブを前記画像形成装置に自動送信させるドライバ制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ドライバ制御手段は、前記プリンタドライバに印刷ジョブの自動送信を行わせる際、前記プリンタドライバに対して前記画像形成装置における所定の記憶領域に印刷ジョブを保存させる設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ドライバ制御手段は、前記プリンタドライバに印刷ジョブの自動送信を行わせる際、該印刷ジョブに対し、自動送信による印刷ジョブであることを示す識別情報を付加させることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ドライバ制御手段は、前記プリンタドライバに印刷ジョブの自動送信を行わせた後に前記操作入力手段を介して印刷ジョブの送信実行が指示された場合、前記プリンタドライバを起動し、前記プリンタドライバに、前記印刷設定画面に対する設定内容に基づく印刷ジョブを生成させると共に、当該印刷ジョブに、先に自動送信された印刷ジョブと同一の印刷ジョブであることを示す識別情報を付加させて前記画像形成装置に送信させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
ネットワークを介して受信する印刷ジョブに基づいて印刷出力を行う画像形成装置であって、
印刷ジョブを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信される印刷ジョブに付加されている識別情報に基づき印刷ジョブの種類を判別するジョブ判別手段と、
前記ジョブ判別手段において自動送信による印刷ジョブであると判別された場合、前記受信手段によって受信された印刷ジョブを所定の記憶領域へ保存するジョブ管理手段と、
を備え、
前記ジョブ管理手段は、前記記憶領域に印刷ジョブを保存した後、当該印刷ジョブに基づく印刷出力が行われることなく所定時間が経過した場合、当該印刷ジョブを前記記憶領域から削除することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記受信手段によって受信された印刷ジョブが前記ジョブ判別手段において前記記憶領域に保存されている印刷ジョブと同一であると判別された場合、前記ジョブ管理手段は、前記記憶領域に保存されている印刷ジョブを、前記受信手段によって受信された印刷ジョブに差し替えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ジョブ判別手段は、印刷ジョブに付加されている識別情報に基づいて更にユーザを特定し、
前記ジョブ管理手段は、印刷ジョブを保存する際、前記ジョブ判別手段によって特定されるユーザに対応する記憶領域に印刷ジョブを保存することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
各種情報を表示する表示手段と、
ユーザによる操作入力を受け付ける操作入力手段と、
前記操作入力手段に対する操作を行うユーザを認証するユーザ認証手段と、
を更に備え、
前記ジョブ管理手段は、前記ユーザ認証手段によってユーザが特定された場合、その特定されたユーザに対応する記憶領域に保存されている印刷ジョブを読み出し、前記表示手段に印刷出力可能な印刷ジョブとして表示すると共に、前記操作入力手段を介して選択される印刷ジョブに基づいて印刷出力を開始させることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ジョブ管理手段は、前記ユーザ認証手段によって特定されたユーザに対応する記憶領域から読み出した印刷ジョブを前記表示手段に表示する際、前記ジョブ判別手段において自動送信による印刷ジョブであると判別された印刷ジョブを、その他の印刷ジョブと区別した表示態様で表示することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
ネットワークを介して受信する印刷ジョブに基づいて印刷出力を行う画像形成装置と、前記画像形成装置に対して印刷ジョブを送信するプリンタドライバがインストールされた情報処理装置とを有する画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、ユーザからの印刷指示に基づいて所定の表示装置に印刷設定画面を表示すると共に、前記印刷設定画面を表示している状態でユーザからの操作入力が所定時間行われなかった場合、前記プリンタドライバを起動することにより前記印刷設定画面に対する設定内容に基づく印刷ジョブを生成して前記画像形成装置に自動送信する構成であり、
前記画像形成装置は、前記情報処理装置から自動送信される印刷ジョブを受信した場合、当該印刷ジョブを所定の記憶領域へ保存すると共に、当該印刷ジョブに基づく印刷出力が行われることなく所定時間が経過することにより当該印刷ジョブを前記記憶領域から削除する構成であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
前記情報処理装置は、印刷ジョブの自動送信を行った後に、ユーザによる印刷ジョブの送信実行が指示された場合、前記プリンタドライバを再び起動し、前記印刷設定画面に対する設定内容に基づいて印刷ジョブを再度生成することにより、先に自動送信した印刷ジョブと同一の印刷ジョブを前記画像形成装置に送信する構成であり、
前記画像形成装置は、前記記憶領域に保存されている印刷ジョブと同一の印刷ジョブを受信した場合、前記記憶領域に保存されている印刷ジョブを、あらたに受信した印刷ジョブに差し替えることを特徴とする請求項10に記載の画像形成システム。
【請求項12】
画像形成装置に印刷ジョブを出力するためのプリンタドライバがインストールされたコンピュータにおいて実行される印刷制御プログラムであって、
前記コンピュータにおいて印刷設定画面が表示されているとき、前記コンピュータに、ユーザによる操作入力を検知させるステップと、
前記印刷設定画面が表示されている状態でユーザによる操作入力が検知されない状態が所定時間継続した場合、前記コンピュータに、前記プリンタドライバを起動させ、前記印刷設定画面に対する設定内容に基づく印刷ジョブを生成させると共に、当該印刷ジョブを前記画像形成装置に自動送信させるステップと、
を実行させることを特徴とする印刷制御プログラム。
【請求項13】
印刷ジョブの自動送信を行わせた後、印刷ジョブの送信実行を指示する操作入力が検知された場合、前記コンピュータに、前記プリンタドライバを起動させ、前記印刷設定画面に対する設定内容に基づいて、先に自動送信させた印刷ジョブと同一の印刷ジョブを再び前記画像形成装置に送信させるステップ、
を更に実行させることを特徴とする請求項12に記載の印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−54612(P2013−54612A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193433(P2011−193433)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】