説明

情報処理装置、管理装置、情報処理システム、及びプログラム

【課題】 電源部を二重化し、互いに異なる系の交流入力電源を供給する様にしても、安定度や電気料金格差等の理由で、片系運転されることもあり、入力電源の停電や瞬断が起こるとシステムダウンを引き起こすことがあった。
【解決手段】 情報処理装置14は2重化された電源部11,12を備え、各電源部には互いに異なる系の交流電源が供給され、又出力電位が最低許容電位には至らないが電圧低下と認められる警告電位も含めて検出し診断プロセッサ15に通知する電源異常検出回路111、121を有し、診断プロセッサ15に前記通知を履歴として記録する履歴部151と、これを読み出し警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析部152と、該判定されると保守員端末2或いはコンソール3に通報する通報部154手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、管理装置、情報処理システム、及びプログラムに関し、特にそれぞれの入力電源の系が異なり、並列運転され、また警告レベルの異常電位も検出し通知する複数の電源部を含む情報処理装置、これらより警告レベルを含む電源の異常通知を受け予防的に対処する管理装置、これらを含む情報処理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力供給が比較的不安定な、例えば欧米などでは、電源部を二重化構成などにして、複数の電力会社と契約し、二つ以上の電力供給を行っていることがある。
【0003】
日本国内においても、昨今の電力自由化の推進から、近い将来、複数の電力会社からの電力供給も現実のものになると予想される。
【0004】
そして、競争原理に則り、電力の低料金化が進むと考えられるが、それに伴って供給クオリティーの低下という弊害も免れないものと考える。
【0005】
また、商用電源が不安定な場合に、負荷側の障害の発生や蓄電池の放電回数の増加を防ぐ様にした装置として、下記の無停電電源装置がある。
【0006】
商用電源を入力として整流し、蓄電池に蓄え、これを交流電力に変換するインバータと商用電源入力を直結するバイパス回路と、異常発生履歴から商用電源の安定性を監視し、商用電源が所定の時間以上継続して安定しているときはバイパス回路を選択し出力し、商用電源に異常が発生したとき、所定の時間が経過するまでインバータを選択し出力する(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平7−147743号公報(第1ページ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の様に、電源部を二重化し、それぞれに互いに異なる電力会社からの交流入力電源を供給する様にしても、安定度の具合いや電気料金格差などを理由に常に両系の電源をオン状態にしているとは限らず、片系電源のみでシステム運転しているようなこともある。
【0009】
このような状況においては、稼動系への入力電源の停電や瞬断が起こると対処のしようがなく、システムダウンを引き起こすという課題がある。
【0010】
また、上記供給クオリティーの低下を念頭に置くと給電の安定度を観測し予測することが必要となってくるという課題がある。
【0011】
上記無停電電源装置は、受けた単一の商用電源を内部で二系統(内一系統はバイパス)にするもので、異なる複数系統の商用電源を受けることを前提とした上記課題を解決するものではない。また電力供給用の蓄電池を必要とする。
【0012】
本発明の目的は、上記課題を解決する、情報処理装置、管理装置、情報処理システム、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の情報処理システムは、情報処理装置の電源部に、出力電位が最低許容電位には至らないが電圧低下と認められる警告電位も含めて検出し電源異常として通知する手段と、前記情報処理装置に接続された管理装置に、前記通知を履歴として記録する手段と、前記警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定し、達する場合に保守員端末或いはコンソールに通報する手段とを有する。
【0014】
本発明の第2の情報処理システムは、情報処理装置とこれの状態を管理する管理装置を備え、前記情報処理装置は、データ処理部と、互いに異なるAC入力を受け前記データ処理部へ並列に電源を供給できる複数の電源部を含み、前記管理装置が、前記電源部の状態を管理する情報処理システムであって、各電源部に、最低許容電位には至らないが電圧低下と認められる警告電位も含めて検出し、検出した電源異常を前記管理装置へ通知する電源異常検出手段を有し、前記管理装置に、通知される電源異常を履歴として記録する手段と、前記記録をチェックし警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手段と、該判定された場合に、その旨を保守員端末或いはコンソールに通報する通報手段を有する。
【0015】
本発明の第3の情報処理システムは、前記第2の情報処理システムであって、前記通報手段が、前記判定をした場合に前記情報処理装置のオペレーティングシステムにも通報し、前記オペレーティングシステムが前記通報を契機としてシャットダウン処理をする。
【0016】
本発明の第4の情報処理システムは、情報処理装置とこれの状態を管理する管理装置を備え、前記情報処理装置は、データ処理部と、互いに異なるAC入力を受け前記データ処理部へ並列に電源を供給できる複数の電源部を含み、前記管理装置が、前記電源部の状態を管理し、制御する情報処理システムであって、各電源部に、最低許容電位には至らないが電圧低下と認められる警告電位も含めて検出し、検出した電源異常を前記管理装置へ通知する電源異常検出手段と、運転状態を前記管理装置へ通知する手段と、前記管理装置からの指示により運転開始する手段とを有し、前記管理装置に、通知される電源異常を履歴として記録する手段と、前記記録をチェックし警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手段と、該判定された場合に前記情報処理装置の各電源部の運転状態をチェックし単独運転状態であれば、他の電源部へ運転を指示し並列運転状態にする電源制御手段と、前記発生回数が条件に達した旨と並列運転されている電源部の有無と並列運転指示の結果とを保守員端末或いはコンソールに通報する通報手段を有する。
【0017】
本発明の第5の情報処理システムは、前記第4の情報処理システムであって、前記運転状態を前記管理装置へ通知する手段は、運転状態として出力電圧状態と、供給スイッチの状態とを通知し、前記電源制御手段が、前記判定がされた場合に、供給スイッチがオン状態の電源部が単独であれば、前記単独運転状態と判定し、供給スイッチがオフ状態の他の電源部について、出力電圧状態が所定電圧状態でなければ入力電源投入を指示し、出力電圧状態が所定電圧状態になったことを確認し供給スイッチのオンを指示する様にした。
【0018】
本発明の第6の情報処理システムは、前記第2、又は第4の情報処理システムであって、前記解析手段が保守員端末或いはコンソールから、電源異常に関する統計情報要求を受けると、期間と間隔の条件を要求元装置から取得する手段と、電源異常の履歴記録の期間内の記録を指定間隔ごとに纏める統計処理手段を有し、前記通報手段が統計処理結果を要求元装置に返信する手段を有する。
【0019】
本発明の第1の情報処理装置は、データ処理部と、互いに異なるAC入力を受け前記データ処理部へ並列に電源を供給できる複数の電源部を含み、各電源部に、最低許容電位には至らないが電圧低下と認められる警告電位も含めて検出し、検出した電源異常を、接続する管理装置へ通知する電源異常検出手段を有する。
【0020】
本発明の第2の情報処理装置は、前記第1の情報処理装置であって、更に、管理装置からの電源異常予兆通報を契機としてシャットダウン処理をするオペレーティングシステムを有する。
【0021】
本発明の第3の情報処理装置は、前記第1の情報処理装置であって、更に、各電源部に、運転状態を前記管理装置へ通知する手段と、前記管理装置からの指示により運転開始する手段とを有する。
【0022】
本発明の第1の管理装置は、接続されている情報処理装置から通知される電源異常を履歴として記録する手段と、前記記録をチェックし、警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手段と、該判定された場合に、その旨をネットワークを通じ保守員端末或いはコンソールに通報する通報手段を有する。
【0023】
本発明の第2の管理装置は、前記第1の管理装置であって、前記通報手段が、前記判定がされた場合に、接続されている情報処理装置のオペレーティングシステムに電源異常予兆通報を行う。
【0024】
本発明の第3の管理装置は、接続されている情報処理装置から通知される電源異常を履歴として記録する手段と、前記記録をチェックし、警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手段と、該判定された場合に各電源部の運転状態をチェックし単独運転状態であれば、他の電源部の運転を指示し並列運転状態にする電源制御手段と、前記発生回数が条件に達した旨と並列運転されている電源部の有無と並列運転指示の結果とを、ネットワークを通じ保守員端末或いはコンソールに通報する通報手段を有する。
【0025】
本発明の第4の管理装置は、前記第1、又は第3の管理装置であって、前記解析手段が保守員端末或いはコンソールから、電源異常に関する統計情報要求を受けると、期間と間隔の条件を要求元装置から取得する手段と、電源異常の履歴記録の期間内の記録を指定間隔ごとに纏める統計処理手段を有し、前記通報手段が統計処理結果を要求元装置に返信する手段を有する。
【0026】
本発明の第1のプログラムは、接続されている情報処理装置から通知される電源異常を履歴として記録する手順と、前記記録をチェックし、警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手順と、該判定された場合に、その旨をネットワークを通じ保守員端末或いはコンソールに通報する通報手順を管理コンピュータに実行させる。
【0027】
本発明の第2のプログラムは、前記第1のプログラムであって、前記判定がされた場合に、接続されている情報処理装置のオペレーティングシステムに電源異常予兆通報を行う手順を管理コンピュータに実行させる。
【0028】
本発明の第3のプログラムは、接続されている情報処理装置から通知される電源異常を履歴として記録する手順と、前記記録をチェックし、警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手順と、該判定された場合に各電源部の運転状態をチェックし単独運転状態であれば、他の電源部の運転を指示し並列運転状態にする電源制御手順と、前記発生回数が条件に達した旨と並列運転されている電源部の有無と並列運転指示の結果とを、ネットワークを通じ保守員端末或いはコンソールに通報する通報手順とを管理コンピュータに実行させる。
【0029】
本発明の第4のプログラムは、前記第1、又は第3のプログラムであって、前記保守員端末或いはコンソールから、電源異常に関する統計情報要求を受けると、期間と間隔の条件を要求元装置から取得する手順と、電源異常の履歴記録の期間内の記録を指定間隔ごとに纏める統計処理手順と、統計処理結果を要求元装置に返信する手順を管理コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0030】
管理装置からの通報を受けることで、給電が不安定な状態であると判断した場合には、もし、このとき、片系の電源供給だけでシステム稼動させていた場合に、もう片系の電源を立ち上げ、給電を二重化させておくことで、近い将来、起こり得るかも知れない停電や瞬断に備え、システムダウンを未然に防止することが可能となる。
【0031】
また、情報処理装置のオペレーティングシステムに通知することで、オペレーティングシステムがシステムを自らシャットダウンさせることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の情報処理システムの第1の実施形態の全体構成を示したブロック図である。
【0033】
情報処理システム1は、情報処理装置14とこれの状態を管理する管理装置としての診断プロセッサ15を含む。情報処理装置14は並列運転もできる二つ電源部、1系電源部11と2系電源部12とデータ処理部13を含む。
【0034】
1系電源部11は電力会社(A)91から商用のAC電力供給を受けており、単一でもシステムを稼動させることが出来る能力を持つ。
【0035】
また、2系電源部12は電力会社(B)92から商用のAC電力供給を受けており、単一でもシステムを稼動させることが出来る能力を持つ。
【0036】
1系電源部11と2系電源部12は二重化構成となっており、同時に入力が給電され、共にDC電源出力をデータ処理部13へ供給する並列運転状態であれば、片系からの給電が途絶えたとしても、残る系からのDC電源でデータ処理部13への動作電源供給を継続することできる。
【0037】
また、1系電源部11は、電力供給に異常があった場合に、それを検出し、さらに診断プロセッサ15へ通知する電源異常検出回路111を内蔵している。同様に、2系電源部12は、電力供給に異常があった場合に、それを検出し、さらに診断プロセッサ15へ通知する電源異常検出回路121を内蔵している。
【0038】
診断プロセッサ15は、CPUやメモリの他情報処理装置14とのインタフェース部を持ち、プログラム制御で動作する管理装置であり、1系電源部11および2系電源部12に内蔵されている電源異常検出回路111、121からの電源異常通知を受けるとそれを記録し履歴として残す履歴部151と、履歴部151の電源異常の発生記録に基づき、過去に遡って、指定された期間や指定時間単位に何回発生したかを解析し、決められた条件を満足すると、その旨を通報部153に渡す解析部152と、その旨を保守員端末2或いはコンソール3、及びデータ処理部13のOS(オペレーティングシステム)131に通報する通報部153を備えている。
【0039】
前記履歴部151、解析部152、通報部153は診断プロセッサ15を各部に対応のプログラムで制御することで実現する。
【0040】
また、解析部152は保守員端末2或いはコンソール3から、電源異常に関する統計情報要求を受けると、期間、間隔等の条件を要求元から取得し、履歴部151の電源異常の発生記録の内期間内の記録を指定間隔ごとに纏める統計処理を行なう機能を有し、通報部153は処理結果(一覧情報)を要求元装置に返信する機能も有している。
【0041】
履歴部151には履歴記憶部を備え、解析部152には期間と通報を発生させる条件の記憶部を備え、通報部153には通知先通信アドレス情報の記憶部を備えており、これらは不揮発性の記憶部である。
【0042】
次に、本発明の第1の実施形態の動作について図面を参照して説明する。1系電源部11及び2系電源部12は、コンデンサを持つことで、入力電源に瞬間的な電位降下があったとしても、その時間が数十ミリ秒の範囲であれば、コンデンサからの放電により、著しい電圧低下を押さえ、最低許容電位内に収めることで、システム稼動に影響を与えないだけの耐力を持たせることができる。
【0043】
このような仕組みにおいて、さらに、定格電位と最低許容電位との範囲内で、電圧の低下と認められる電位を、警告すべき電位状態(警告電位状態)とみなし、検出することのできる電源異常検出回路111或いは121を備えている。
【0044】
警告電位状態とは、図2の(2)に示す様に、最低許容電位以上ではあるが、瞬間的な警告レベル以下の低下を起こした状態である。尚、図2の(3)は、DC電源出力レベルが、瞬間的ではあるが最低許容電位を下回り、システム運転を継続できない障害電位状態を示し、(1)は警告電位を下回らない、無視できる電位状態(警告電位に達していない状態)を示す。
【0045】
尚、定格電位>警告電位>最低許容電位であり、供給電位が警告電位から最低許容電位の範囲に達すると電源異常検出回路111,或いは121が警告状態と判断する。
【0046】
次に、診断プロセッサ15が電源異常通知を受信したときの処理を図3のフローチャートを参照し説明する。
【0047】
1系電源部11,或いは2系電源部12の何れかが警告電位状態を診断プロセッサ15に通知すると、診断プロセッサ15は、その電源部の運転停止状態によるものか否かを判断する(ステップA1)。運転停止状態でなければ、その発生日時を履歴情報として履歴部151の記憶部に記録する(ステップA2)。
【0048】
診断プロセッサ15内の解析部152では、事前に指定された単位時間内に、異常電位を検出した回数をカウントし、事前に定められた回数を越えたか判定し越えた場合に(ステップA3)、通報部153を呼び出し、通報部153は回数と時刻を保守員端末2或いはコンソール(オペレータコンソ−ル)3に通報する(ステップA4)。
【0049】
例えば、連続7日の間に10回を越えたら通報したり、あるいは、24時間に2回を越えたら通報するように自由に指定することができる。
【0050】
この結果から、給電が不安定な状態であると判断した場合には、もし、このとき、片系の電源供給だけでシステム稼動させていた場合に、もう片系の電源を立ち上げ、給電を二重化させておくことで、近い将来、起こり得るかも知れない停電や瞬断に備え、システムダウンを未然に防止することが可能となる。
【0051】
更にステップA4で、保守員端末2或いはコンソール(オペレータコンソ−ル)3への通知の他、データ処理部13のOS131にも通知する様にすることで、システムの使用状況により、致命的な場面を回避するために、OS131がシステムを自らシャットダウンさせることも可能となる。
【0052】
例えば、OS131は、走行状態や一度起動され待機している状態のAP(アプリケーションプログラム)等のそれぞれに終了指示をし、AP等は他装置と通信中であれば打ち切りを相手に通知し、また仕掛かり中の処理を終えファイルへの反映をし、使用中ファイルのクローズを要求し終了処理をし、OS131に終了を通知する。OS131は全てのAP等から終了通知を受けシャットダウンする。
【0053】
尚、電源異常検出回路111や電源異常検出回路121が、電源部を運転停止させたときの電圧降下については、診断プロセッサ15への通知を事前に抑止する例もありこの場合は、診断プロセッサ15はステップA1は実行しない。
【0054】
また、ステップ3の判定処理を開始するトリガを事前に指定された単位時間とせずに、ステップ2で履歴を追加した場合にその電源部の記録をチェックするようにしてもよい。
【0055】
次に、保守員端末2或いはコンソール3(要求元装置)から電源異常徴候の統計情報を取得する動作について図4のフローチャートを参照し説明する。
【0056】
診断プロセッサ15の解析部152は要求元装置から統計情報要求を受けると(ステップC1)、確認したい期間の内の開始日時を取得する(ステップC2)。
【0057】
ここで開始日時を取得するとは、入力指示メッセージあるいは入力画面情報を要求元装置の要求元プログラム(診断プロセッサアクセスプログラム、或いはブラウザ)に送信し、表示を行わせ、その応答としての入力情報を要求元プログラムから受信することである。
【0058】
解析部152は、確認したい期間の内の終了日時を取得し(ステップC3)、更に時間間隔の指定を取得する(ステップC4)。解析部152は、履歴部151を通じて、過去に遡って、対応する期間の記録を履歴記憶部より読み出し(ステップC5)、異常電位が検出された回数を単位時間毎カウントし、電源部の系毎に統計処理をし一覧情報を作成し、通報部153に渡す(ステップC6)。
【0059】
通報部153が一覧情報を要求元装置の要求元プログラムに送信し、画面表示させる(ステップC7)。
【0060】
一覧表示の一例を図5(1)、及び(2)に示す。(1)は、開始日時を2005年6月6日00時00分00秒とし、終了日時を2005年7月24日00時00分00秒迄とし、間隔を24時間とした場合の例である。
【0061】
ここで*は1回を表すようにしてもよいが、10回や100回を表すようにする例もある。
【0062】
(2)は、開始日時、終了日時は(1)と同様とし、間隔を168時間(1週間)とした場合の例である。
【0063】
この統計情報を元に、保守員は、電源部それぞれの系の安定具合を認識することが可能となり、必要ならば、比較的安定している系のみ残して、もう片系の電源を落とすことができる。
【0064】
次に、本発明の情報処理システムの第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図6は本発明の第2の実施形態の全体構成を示したブロック図である。
【0065】
本実施形態では、1系電源部11B,2系電源部12Bのそれぞれは診断プロセッサ15Bに運転状態通知を送信し、診断プロセッサ15Bから各電源部に運転指示を行う。
【0066】
即ち、診断プロセッサ15Bが、障害の徴候としての異常電位を検出した回数をカウントし、事前に定められた回数を越えた場合に、自動的に、片系運転かどうかをチェックしそうであれば、もう一方の系の電源を立ち上げ並列運転状態にしておく。
【0067】
解析部152は異常電位を検出のカウントが、事前に定められた回数を越えた場合に電源制御部154を呼び出し、電源制御部154は、運転状態をチェックし、片系運転状態であれば、もう一方の系の電源の運転を指示する。
【0068】
履歴部151、解析部152、通報部153、電源制御部154は、診断プロセッサ15Bを各部に対応のプログラムで制御することで実現する。
【0069】
図7は1系電源部11Bの構成を示したブロック図である。1系電源部11Bは、電源異常検出回路111と、定電圧制御機能の付いたAC/DC変換部112と、コンデンサ113と、入力スイッチ回路114,給電スイッチ回路115を含む。
【0070】
電源異常検出回路111は、電源レベルモニタ回路1111と、モニタ回路用電源部1112を含み、モニタ回路用電源部1112は、制御用電源を入力とした充電回路と電池(バッテリ)を含み、充電電圧と電池電圧を並列にして、電源レベルモニタ回路1111に供給されている。
【0071】
電源レベルモニタ回路1111は、AC/DC変換部112の出力電位と警告電位との比較器、前記出力電位と最低許容電位との比較器、警告電位と最低許容電位の各電位発生回路等を含む。

【0072】
入力スイッチ回路114は自己ホールド機能も持つリレー回路で、給電スイッチ回路115は、FET(電界効果トランジスタ)スイッチ及びそのゲート駆動状態を保持する回路、或いは自己ホールド機能も持つリレー回路等である。
【0073】
2系電源部12Bの構成も同様である。1系電源部11Bの動作概要を説明すると、入力オントリガ信号を通じ駆動電圧を受けると、入力スイッチ回路114がメイクし、AC/DC変換部112にAC入力が供給され、この出力や制御用電源が立ち上がり、入力スイッチ回路114の自己ホールドが働きメイク状態が保持される。
【0074】
コンデンサ113が充電されると、電源レベルモニタ回路1111の定格電圧信号がオンとなり、診断プロセッサ15Bから、給電オントリガ指示を受け、給電スイッチ回路115をオン(導通)状態にし、1系DC出力もデータ処理部13に供給される。
【0075】
又、給電スイッチオン状態がアクティブになり診断プロセッサ15Bに通知される。
【0076】
次に、診断プロセッサ15Bが電源異常通知を受信したときの処理を図8のフローチャートを参照し説明する。
【0077】
1系電源部11,或いは2系電源部12の何れかが警告電位状態を診断プロセッサ15Bに通知すると、診断プロセッサ15Bは、その電源部の運転停止状態によるものか否かを判断する(ステップB1)。運転停止状態でなければ、その発生日時を履歴情報として履歴部151の記憶部に記録する(ステップB2)。
【0078】
診断プロセッサ15B内の解析部152では、事前に指定された単位時間内に、警告電位を検出した回数をカウントし、事前に定められた回数を越えたか判定し越えた場合に電源制御部154を呼び出す(ステップB3)。
電源制御部154は、両系の給電スイッチがオン状態かチェックし片系の給電スイッチのみがオン状態であれば(ステップB4)、給電スイッチがオフの系の定格電圧信号がアクティブでなければ(ステップB5)、入力オントリガを駆動する(ステップB6)。
【0079】
定格電圧信号がアクティブになったとき(ステップB7)、或いはステップB5でアクティブであれば、給電オンのトリガ指示を行なった後、給電スイッチオン状態を確認する(ステップB9)。
【0080】
通報部153を呼び出し、通報部153は異常発生回数と時刻と所定の条件に達した旨と、並列運転されている電源部の有無と、片系運転であった場合の他方の系を運転状態(DC出力供給状態)に出来たかどうかを保守員端末2或いはコンソール3に通報する(ステップB10)。
【0081】
尚、ステップB4で、両系の給電スイッチがオン状態であれば、通報部153を呼び出し、通報部153は異常発生回数と時刻と所定の条件に達した旨を通報する。
【0082】
ステップB5で、給電スイッチがオフの系の定格電圧信号が既にアクティブであれば直ぐにステップB9に進む。
【0083】
また、保守員端末2或いはコンソール3(要求元装置)から電源異常徴候の統計情報を取得する動作については前記第1の実施形態と同様である。
【0084】
以上の第2の実施形態の説明では、給電スイッチオンの指示も診断プロセッサ15から行う例で説明したが、入力オントリガを受けた後、出力が定格電位状態になると、電源部11や12が自動的に給電スイッチをオンにする様にしてもよい。
【0085】
また、スイッチを介さずにAC入力電源が入力される小容量の充電回路と電池との並列出力とで、モニタ回路用電源を含む電源部の制御用電源を供給する構成にしてもよい。
【0086】
この様にすれば、診断プロセッサ15からの入力オントリガを通常のドライバ出力等に出来る。
【0087】
この様に、第2の実施形態では、診断プロセッサ等の管理装置が、電源部からの警告レベルの通報を監視し、給電が不安定な状態であると判定した場合には、片系運転かをチェックしそうであれば、もう一方の系の電源部を立ち上げ、給電を二重化(並列運転)にしておく。従って、オペレータや保守員に依存することなく、近い将来起こり得る停電や瞬断に備え、システムダウンを未然に防止することが可能となる。
【0088】
以上の第1や第2の実施形態の説明では、情報処理装置の電源部も含めた状態管理、制御を行う管理装置を診断プロセッサ15としたが、サービスプロセッサ等であってもよい。
【0089】
以上の第1や第2の実施形態の説明では、情報処理装置の電源を、1系電源部と2系電源部を備える二重化構成の例で説明したが、三重化以上の構成であっても、同様に構成できる。
【0090】
即ち、管理装置が運転状態の各電源部から、異常通知を受ける様にし、各電源部毎の異常履歴を記録するようにし、設定された周期のタイミングになると、各電源部毎の異常履歴記録を順次読み出し、異常発生回数が設定された所定の条件に達するかを判定すればよい。
【0091】
また、所定の条件に達すると判定されると、2台以上の並列運転状態かをチェックし、そうでなければ、2台以上の並列運転状態に設定する。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、高い可用性と信頼性が要求される大型の情報処理システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の情報処理システムの第1の実施形態の全体構成を示したブロック図。
【図2】警告電位状態を説明するための図。
【図3】本発明の第1の実施形態の診断プロセッサが電源異常通知を受信したときの処理を示すフローチャート。
【図4】本発明の第1の実施形態の診断プロセッサが要求元装置から電源異常徴候の統計情報要求を受けた場合の処理を示すフローチャート。
【図5】電源異常の時系列的一覧表示の例を示す図。
【図6】本発明の情報処理システムの第2の実施形態の全体構成を示したブロック図。
【図7】図7は1系電源部11Bの構成を示したブロック図。
【図8】本発明の第2の実施形態の診断プロセッサが電源異常通知を受信したときの処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0094】
1 情報処理システム
11 1系電源部
111 電源異常検出回路
1111 電源レベルモニタ回路
1112 モニタ回路用電源部
112 AC/DC変換部
113 コンデンサ
114 入力スイッチ回路
115 給電スイッチ回路
12 2系電源部
121 電源異常検出回路
13 データ処理部
131 OS
14 情報処理装置
15、15B 診断プロセッサ
151 履歴部
152 解析部
153 通報部
154 電源制御部
2 保守員端末
3 コンソール
91 電力会社(A)
92 電力会社(B)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の電源部に、出力電位が最低許容電位には至らないが電圧低下と認められる警告電位も含めて検出し電源異常として通知する手段と、
前記情報処理装置に接続された管理装置に、前記通知を履歴として記録する手段と、前記警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定し、達する場合に保守員端末或いはコンソールに通報する手段とを有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
情報処理装置とこれの状態を管理する管理装置を備え、前記情報処理装置は、データ処理部と、互いに異なるAC入力を受け前記データ処理部へ並列に電源を供給できる複数の電源部を含み、前記管理装置が、前記電源部の状態を管理する情報処理システムであって、
各電源部に、最低許容電位には至らないが電圧低下と認められる警告電位も含めて検出し、検出した電源異常を前記管理装置へ通知する電源異常検出手段を有し、
前記管理装置に、通知される電源異常を履歴として記録する手段と、前記記録をチェックし警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手段と、該判定された場合に、その旨を保守員端末或いはコンソールに通報する通報手段を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
前記通報手段が、前記判定をした場合に前記情報処理装置のオペレーティングシステムにも通報し、
前記オペレーティングシステムが前記通報を契機としてシャットダウン処理をすることを特徴とする請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
情報処理装置とこれの状態を管理する管理装置を備え、前記情報処理装置は、データ処理部と、互いに異なるAC入力を受け前記データ処理部へ並列に電源を供給できる複数の電源部を含み、前記管理装置が、前記電源部の状態を管理し、制御する情報処理システムであって、
各電源部に、最低許容電位には至らないが電圧低下と認められる警告電位も含めて検出し、検出した電源異常を前記管理装置へ通知する電源異常検出手段と、運転状態を前記管理装置へ通知する手段と、前記管理装置からの指示により運転開始する手段とを有し、
前記管理装置に、通知される電源異常を履歴として記録する手段と、前記記録をチェックし警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手段と、該判定された場合に前記情報処理装置の各電源部の運転状態をチェックし単独運転状態であれば、他の電源部へ運転を指示し並列運転状態にする電源制御手段と、前記発生回数が条件に達した旨と並列運転されている電源部の有無と並列運転指示の結果とを保守員端末或いはコンソールに通報する通報手段を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
前記運転状態を前記管理装置へ通知する手段は、運転状態として出力電圧状態と、供給スイッチの状態とを通知し、
前記電源制御手段が、前記判定がされた場合に、供給スイッチがオン状態の電源部が単独であれば、前記単独運転状態と判定し、供給スイッチがオフ状態の他の電源部について、出力電圧状態が所定電圧状態でなければ入力電源投入を指示し、出力電圧状態が所定電圧状態になったことを確認し供給スイッチのオンを指示する様にしたことを特徴とする請求項4記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記解析手段が保守員端末或いはコンソールから、電源異常に関する統計情報要求を受けると、期間と間隔の条件を要求元装置から取得する手段と、電源異常の履歴記録の期間内の記録を指定間隔ごとに纏める統計処理手段を有し、
前記通報手段が統計処理結果を要求元装置に返信する手段を有することを特徴とする請求項2、又は4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
データ処理部と、互いに異なるAC入力を受け前記データ処理部へ並列に電源を供給できる複数の電源部を含み、
各電源部に、最低許容電位には至らないが電圧低下と認められる警告電位も含めて検出し、検出した電源異常を、接続する管理装置へ通知する電源異常検出手段を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
更に、管理装置からの電源異常予兆通報を契機としてシャットダウン処理をするオペレーティングシステムを有することを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
更に、各電源部に、運転状態を前記管理装置へ通知する手段と、前記管理装置からの指示により運転開始する手段とを有することを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項10】
接続されている情報処理装置から通知される電源異常を履歴として記録する手段と、前記記録をチェックし、警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手段と、該判定された場合に、その旨をネットワークを通じ保守員端末或いはコンソールに通報する通報手段を有することを特徴とする管理装置。
【請求項11】
前記通報手段が、前記判定がされた場合に、接続されている情報処理装置のオペレーティングシステムに電源異常予兆通報を行うことを特徴とする請求項10記載の管理装置。
【請求項12】
接続されている情報処理装置から通知される電源異常を履歴として記録する手段と、前記記録をチェックし、警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手段と、該判定された場合に各電源部の運転状態をチェックし単独運転状態であれば、他の電源部の運転を指示し並列運転状態にする電源制御手段と、前記発生回数が条件に達した旨と並列運転されている電源部の有無と並列運転指示の結果とを、ネットワークを通じ保守員端末或いはコンソールに通報する通報手段を有することを特徴とする管理装置。
【請求項13】
前記解析手段が保守員端末或いはコンソールから、電源異常に関する統計情報要求を受けると、期間と間隔の条件を要求元装置から取得する手段と、電源異常の履歴記録の期間内の記録を指定間隔ごとに纏める統計処理手段を有し、
前記通報手段が統計処理結果を要求元装置に返信する手段を有することを特徴とする請求項10、又は12に記載の管理装置。
【請求項14】
接続されている情報処理装置から通知される電源異常を履歴として記録する手順と、前記記録をチェックし、警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手順と、該判定された場合に、その旨をネットワークを通じ保守員端末或いはコンソールに通報する通報手順を管理コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項14記載のプログラムであって、前記判定がされた場合に、接続されている情報処理装置のオペレーティングシステムに電源異常予兆通報を行う手順を管理コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
接続されている情報処理装置から通知される電源異常を履歴として記録する手順と、前記記録をチェックし、警告電位の発生回数が予め定められた条件に達するかを判定する解析手順と、該判定された場合に各電源部の運転状態をチェックし単独運転状態であれば、他の電源部の運転を指示し並列運転状態にする電源制御手順と、前記発生回数が条件に達した旨と並列運転されている電源部の有無と並列運転指示の結果とを、ネットワークを通じ保守員端末或いはコンソールに通報する通報手順とを管理コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
請求項14、又は16に記載のプログラムであって、保守員端末或いはコンソールから、電源異常に関する統計情報要求を受けると、期間と間隔の条件を要求元装置から取得する手順と、電源異常の履歴記録の期間内の記録を指定間隔ごとに纏める統計処理手順と、統計処理結果を要求元装置に返信する手順を管理コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−172535(P2007−172535A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372839(P2005−372839)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】