説明

情報処理装置、通信方法、およびプログラム

【課題】リーダ/ライタと情報処理装置との間における通信距離を伸ばすことが可能な情報処理装置、通信方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】外部装置から送信される所定周波数の搬送波信号を非接触式に受信する通信アンテナと、通信アンテナにおける搬送波信号の受信を検出する受信検出部と、通信アンテナが受信した搬送波信号を復調する復調部と、受信検出部の検出結果に基づいて復調部が復調した搬送波信号をデータ処理し、処理結果に応じて、外部装置への応答に係る負荷変調を制御する第1制御信号と、外部装置からみたインピーダンスの変化を制御する第2制御信号とを出力するデータ処理部と、第1制御信号に基づいて負荷変調を選択的に行う負荷変調部と、第2制御信号に基づいて、通信アンテナとデータ処理部との接続の状態を選択的に切り替え、インピーダンスを変化させるインピーダンス調整部とを備える情報処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、通信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触式IC(Integrated Circuit)カードや、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、非接触式ICチップを搭載した携帯電話など、リーダ/ライタ(または、リーダ/ライタ機能を有する通信装置/情報処理装置)と非接触式に通信可能な情報処理装置が普及している。
【0003】
リーダ/ライタと、ICカード、携帯電話などの情報処理装置とは、例えば13.56MHzなど特定の周波数の磁界(搬送波)を通信に使用している。具体的には、リーダ/ライタが搬送波信号をのせた搬送波を送信し、搬送波をアンテナで受信したICカードなどの情報処理装置が負荷変調によって受信した搬送波信号に対する応答信号を返信することにより、リーダ/ライタと情報処理装置とは通信を行うことができる。
【0004】
また、上記のようなリーダ/ライタと非接触式に通信可能な情報処理装置は、耐タンパ性を有するICチップを備えることにより、例えば、電子マネーなどデータの改竄が問題となるデータの送受信や更新を安全に行うことができる。したがって、上記のようなリーダ/ライタと非接触式に通信可能なICチップを搭載した情報処理装置を利用した様々なサービスの提供が社会的に広がっている。そして、サービスの提供の広がりに伴い、ICカードや携帯電話などの非接触式ICチップを搭載した情報処理装置の普及がさらに進んでいる。
【0005】
このような中、リーダ/ライタと情報処理装置との間における正常に通信可能な通信距離をより伸ばすための技術が開発されている。アンテナの役目を果たすコイルに中間タップを設けることによって、アンテナにおける共振周波数を高める技術としては、例えば、特許文献1が挙げられる。また、内部電源から供給される電力を利用して変調を行う技術としては、例えば、特許文献2が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】特開2007−58381号公報
【特許文献2】特開2003−30611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アンテナの役目を果たすコイルに中間タップを設けることによってアンテナにおける共振周波数を高める技術を用いる従来の情報処理装置は、単に共振周波数を高めているに過ぎない。そのため、アンテナにおける共振周波数を高める技術を用いる従来の情報処理装置は、リーダ/ライタとの間の通信において最適な共振周波数を保つことができるとは限らない。よって、アンテナにおける共振周波数を高める技術を用いたとしても、リーダ/ライタと情報処理装置との間における正常に通信可能な通信距離を伸ばすことについては、望むべくもない。
【0008】
また、内部電源から供給される電力を利用して変調を行う技術を用いる従来の情報処理装置は、リーダ/ライタとの通信のための電源を必要とする。したがって、内部電源から供給される電力を利用して変調を行う技術は、例えばICカードなど、一般的に内部電源を有さない装置に適用することはできない。また、内部電源から供給される電力を利用して変調を行う技術が、例えば、携帯電話などのように一般的に内部電源を有する装置に適用されたとしても、リーダ/ライタとの通信のために(より厳密には、変調のために)常に電力を消費する必要がある。ここで、携帯電話などが備える内部電源が供給できる電力の総量には限りがある。そのため、携帯電話などの可搬型の装置に対して、内部電源から供給される電力を利用して変調を行う技術を適用した場合には、リーダ/ライタとの通信の度に限られた電力を消費するため、その分、当該装置が有する他の機能を働かせることが可能な時間が削られることとなる。したがって、内部電源から供給される電力を利用して変調を行う技術を内部電源を有する装置に適用したとしても、例えば、装置の駆動時間が短くなるなどの弊害は避けられない。
【0009】
したがって、リーダ/ライタと情報処理装置との間における正常に通信可能な通信距離をより伸ばすための従来の技術を適用したとしても、リーダ/ライタと情報処理装置との間の通信距離を伸ばすことができるとは限らない。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、リーダ/ライタと情報処理装置との間における正常に通信可能な通信距離を伸ばすことが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、通信方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、外部装置から送信される所定周波数の搬送波信号を非接触式に受信する通信アンテナと、上記通信アンテナにおける上記搬送波信号の受信を検出する受信検出部と、上記通信アンテナが受信した上記搬送波信号を復調する復調部と、上記受信検出部の検出結果に基づいて上記復調部が復調した搬送波信号をデータ処理し、処理結果に応じて、上記外部装置への応答に係る負荷変調を制御する第1制御信号と、上記外部装置からみたインピーダンスの変化を制御する第2制御信号とを出力するデータ処理部と、上記第1制御信号に基づいて上記負荷変調を選択的に行う負荷変調部と、上記第2制御信号に基づいて、上記通信アンテナと上記データ処理部との接続の状態を選択的に切り替え、上記インピーダンスを変化させるインピーダンス調整部とを備える情報処理装置が提供される。
【0012】
かかる構成により、リーダ/ライタと情報処理装置との間における正常に通信可能な通信距離を伸ばすことができる。
【0013】
また、上記データ処理部がデータ処理を行うために用いる駆動電圧を供給する電源と、上記受信検出部における検出結果に基づいて、上記駆動電圧を選択的に上記データ処理部に供給させるスイッチング部とをさらに備えてもよい。
【0014】
また、上記データ処理部は、上記受信検出部が上記搬送波信号の受信を検出した場合には、上記通信アンテナと上記データ処理部とを接続状態とするための第1の第1制御信号を出力し、上記データ処理が完了した場合には、上記通信アンテナと上記データ処理部との接続状態を解除するための第2の第1制御信号を出力し、上記第2の第1制御信号の出力と同期して上記第2制御信号の出力を行ってもよい。
【0015】
また、上記データ処理部は、上記データ処理が完了した場合には、上記通信アンテナと上記データ処理部との接続状態を解除するための第2の第1制御信号を出力し、上記第2の第1制御信号の出力と同期して上記第2制御信号の出力を行い、上記第2制御信号の出力が完了した場合には、上記通信アンテナと上記データ処理部とを接続状態とするための第1の第1制御信号を出力してもよい。
【0016】
また、上記情報処理装置は携帯型通信装置であってもよい。
【0017】
また、上記情報処理装置はICカードであってもよい。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、外部装置から送信される所定周波数の搬送波信号を非接触式に受信するステップと、上記受信するステップにおける上記搬送波信号の受信を検出するステップと、上記受信するステップにおいて受信された上記搬送波信号を復調するステップと、上記検出するステップにおける検出結果に基づいて上記復調するステップにおいて復調された搬送波信号をデータ処理し、処理結果に応じて、上記外部装置への応答に係る負荷変調を制御する第1制御信号と、上記外部装置からみたインピーダンスの変化を制御する第2制御信号とを出力するステップと、上記第1制御信号に基づいて上記負荷変調を選択的に行うステップと、上記第2制御信号に基づいて、上記外部装置からみたインピーダンスを選択的に変化させるステップとを有する通信方法が提供される。
【0019】
かかる方法を用いることにより、リーダ/ライタと情報処理装置との間における正常に通信可能な通信距離を伸ばすことができる。
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点によれば、外部装置から送信される所定周波数の搬送波信号を非接触式に受信するステップ、上記受信するステップにおける上記搬送波信号の受信を検出するステップ、上記受信するステップにおいて受信された上記搬送波信号を復調するステップ、上記検出するステップにおける検出結果に基づいて上記復調するステップにおいて復調された搬送波信号をデータ処理し、処理結果に応じて、上記外部装置への応答に係る負荷変調を制御する第1制御信号と、上記外部装置からみたインピーダンスの変化を制御する第2制御信号とを出力するステップ、上記第1制御信号に基づいて上記負荷変調を選択的に行うステップ、上記第2制御信号に基づいて、上記外部装置からみたインピーダンスを選択的に変化させるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0021】
かかるプログラムを用いることにより、リーダ/ライタと情報処理装置との間における正常に通信可能な通信距離を伸ばすことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、リーダ/ライタと情報処理装置との間における正常に通信可能な通信距離を伸ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
(本発明の実施形態に係る通信システムの概略)
まず、本発明の実施形態に係る通信システム(以下、「通信システム1000」とよぶ)の概略について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る通信システム1000の概略を説明するための説明図である。ここで、図1は、リーダ/ライタ100(外部装置)と情報処理装置150とからなる通信システム1000の一例を示しており、情報処理装置150の一例としてICカードを示している。
【0025】
通信システム1000では、リーダ/ライタ100が、例えば13.56MHzなど特定の周波数の磁界(以下、「搬送波」という。)を送信し、搬送波を受信した情報処理装置150が負荷変調を行うことによって、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間で通信が行われる。以下、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間の通信がどのようにして行われるかについて説明する。
【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る通信システム1000における通信の概略を説明するための第1の説明図である。ここで、図2は、リーダ/ライタ100および情報処理装置150それぞれの構成を概略的に示している。
【0027】
[リーダ/ライタ100の概略]
図2を参照すると、リーダ/ライタ100は、搬送波信号生成部102と、搬送波送信部104とを備える。
【0028】
搬送波信号生成部102は、制御部(図示せず)からの搬送波信号生成命令を受け、搬送波信号生成命令に応じた搬送波信号を生成する。ここで、図2では、搬送波信号生成部102として交流電源が示されているが、本発明の実施形態に係る搬送波信号生成部102は、上記に限られず、例えば、ASK変調(Amplitude Shift Keying)する変調回路(図示せず)と、変調回路の出力を増幅する増幅回路(図示せず)で構成することができる。なお、搬送波信号生成部102が生成する搬送波信号には、例えば、情報処理装置150に対する各種処理命令や処理するデータを含めることができるが、上記に限られない。
【0029】
搬送波送信部104は、例えば、所定のインダクタンスをもつコイル(インダクタ)を備え、搬送波信号生成部102が生成した搬送波信号に応じた搬送波を送信する。また、搬送波送信部104は、情報処理装置150からの応答信号を受信することもできる。つまり、搬送波送信部104は、リーダ/ライタ100の通信アンテナとしての役目を果たすことができる。ここで、図2では、搬送波送信部104がコイルとキャパシタからなる共振回路で構成された例を示している。
【0030】
リーダ/ライタ100は、上記の構成によって、搬送波信号に応じた搬送波を送信することができる。
【0031】
[情報処理装置150の概略]
情報処理装置150は、通信アンテナ152と、負荷Zとを有する。ここで、負荷Zは、情報処理装置150が備える、リーダ/ライタ100との通信に係るICチップを等価的に示したものである。
【0032】
通信アンテナ152は、所定のインダクタンスをもつコイル(インダクタ)と、所定の静電容量をもつキャパシタとからなる共振回路で構成され、搬送波の受信に応じて電磁誘導により誘起電圧を生じさせる。そして、通信アンテナ152は、所定の共振周波数で誘起電圧を共振させた受信電圧を出力する。ここで、通信アンテナ152における共振周波数は、例えば、13.56MHzなど搬送波の周波数に合わせて設定することができる。通信アンテナ152は、上記構成により、搬送波を受信し、また、負荷変調によって搬送波に対する反磁界を発生させてリーダ/ライタ100に対する応答を行うことができる。
【0033】
ここで、負荷変調とは、情報処理装置150がインピーダンス(負荷インピーダンス)を選択的に変動させることによって、リーダ/ライタ100へと応答を行う変調方式である。リーダ/ライタ100は、負荷変調によって生じるリーダ/ライタ100からみた情報処理装置150のインピーダンスの変化を、情報処理装置150からの応答信号として検出する。より具体的には、情報処理装置150は送信する応答信号に応じた負荷変調によって搬送波に対する反磁界を発生させ、リーダ/ライタ100は、例えば、当該反磁界の影響によって搬送波送信部104のアンテナ端に生じる電圧の変化を検出することによって、上記応答信号を復調する。
【0034】
図3は、本発明の実施形態に係る通信システム1000における通信の概略を説明するための第2の説明図である。ここで、図3は、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間の距離をある一定の距離に保ち、情報処理装置150が備えるICチップのインピーダンスを0.1Ω〜1MΩの間で変化させた場合における、リーダ/ライタ100のアンテナ端Pの電圧の変化の一例を示している。
【0035】
図3に示すように、リーダ/ライタ100のアンテナ端の電圧は、情報処理装置150のインピーダンスの変化に応じて変化することが分かる。したがって、リーダ/ライタ100は、情報処理装置150におけるインピーダンスの変化の前後におけるアンテナ端の電圧の差分「ΔV」を検出することによって、情報処理装置150から送信される応答信号を復調することができる。ここで、アンテナ端の電圧の差分「ΔV」を用いた応答信号の復調は、アンテナ端における電圧の振幅変化を利用して応答信号を復調することに相当する。
【0036】
通信システム1000では、上記のように、リーダ/ライタ100が搬送波を送信し、情報処理装置150が負荷変調を行うことによって、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間で非接触式に通信が行われる。
【0037】
(本発明の実施形態に係る通信距離を伸ばすためのアプローチ)
上述したように、通信システム1000では、情報処理装置150がインピーダンスを変化させ、リーダ/ライタ100が当該インピーダンスの変化を検出することによって、情報処理装置150からリーダ/ライタ100へと応答信号が伝達される。ここで、図3に示すように、情報処理装置150におけるインピーダンスの変化が大きければ大きい程、リーダ/ライタ100のアンテナ端における電圧の差分「ΔV」は大きくなる。また、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間の距離が大きくなればなる程、リーダ/ライタ100の通信アンテナ(搬送波送信部104)と情報処理装置150の通信アンテナ152との結合は弱くなるので、リーダ/ライタ100のアンテナ端における電圧の差分「ΔV」はより小さくなる。つまり、情報処理装置150がインピーダンスの変化をより大きくすれば、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との距離がより大きくなったとしても、リーダ/ライタ100が、電圧の差分「ΔV」を応答信号として検出できる可能性をより高めることができる。
【0038】
したがって、通信システム1000では、情報処理装置150が応答信号の送信に際してインピーダンスの変化をより大きくすることによって、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間の通信距離の延長を図る。
【0039】
(従来の通信システムが本発明の実施形態に係るアプローチを用いることができない理由)
本発明の実施形態に係るアプローチを用いて通信距離の延長を図ることが可能な通信システム1000の構成について説明する前に、従来の通信システムが本発明の実施形態に係るアプローチを用いることができない理由について説明する。
【0040】
[従来の通信システムの構成]
図4は、従来の通信システムの構成の一例を示す説明図である。図4を参照すると、従来の通信システムは、リーダ/ライタ10と、情報処理装置50とを有する。
【0041】
〔リーダ/ライタ10〕
リーダ/ライタ10は、搬送波信号生成部12と、搬送波送信部14と、復調部16と、制御部18とを備える。また、リーダ/ライタ10は、例えば、ホストコンピュータ20と接続され、ホストコンピュータ20からの送信命令に応じて搬送波信号を送信することができる。
【0042】
搬送波信号生成部12は、制御部18からの搬送波信号生成命令を受け、搬送波信号生成命令に応じた搬送波信号を生成する。
【0043】
搬送波送信部14は、例えば、所定のインダクタンスをもつコイル(インダクタ)を備え、搬送波信号生成部12が生成した搬送波信号に応じた搬送波を送信する。また、搬送波送信部14は、情報処理装置50からの応答信号を受信することもできる。つまり、搬送波送信部14は、リーダ/ライタ10の通信アンテナとしての役目を果たす。
【0044】
復調部16は、例えば、搬送波送信部14のアンテナ端における電圧の振幅変化を包絡線検波し、検波した信号を2値化することによって、情報処理装置50からの応答信号を復調する。
【0045】
制御部18は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などで構成され、復調部16が復調したデータをホストコンピュータ20へ送信する、または、復調部16が復調したデータに基づいて搬送波信号生成命令を生成するなど、様々な処理を行う。
【0046】
リーダ/ライタ10は、例えば、上記のような構成によって、搬送波を送信し、情報処理装置50から送信される応答信号を復調することができる。
【0047】
〔情報処理装置50〕
情報処理装置50は、搬送波を受信可能な通信アンテナ52と、受信された搬送波に基づいて搬送波信号を復調して処理し、負荷変調により応答信号を送信可能なICチップ54とを備える。
【0048】
通信アンテナ52は、所定のインダクタンスをもつコイル(インダクタ)L10と、所定の静電容量をもつキャパシタC10とからなる共振回路で構成され、搬送波の受信に応じて電磁誘導により誘起電圧を生じさせる。そして、通信アンテナ52は、所定の共振周波数で誘起電圧を共振させた受信電圧を出力する。ここで、通信アンテナ52における共振周波数は、例えば、13.56MHzなど搬送波の周波数に合わせて設定される。通信アンテナ52は、上記構成により、搬送波を受信し、また、ICチップ54が備える負荷変調部66において行われる負荷変調によって応答信号の送信を行う。
【0049】
<ICチップ54の構成>
ICチップ54は、キャリア検出部56と、検波部58と、レギュレータ(Regulator)60と、復調部62と、データ処理部64と、負荷変調部66とを備える。また、ICチップ54は、データ処理部64が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM68、データ処理部64により実行されるプログラム、演算結果、実行状態などを一次記憶するRAM70、データ処理部64が処理するデータを記憶可能な記録媒体72などを備える。データ処理部64と、ROM68、RAM70、記録媒体72とは、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)74によって接続される。
【0050】
キャリア検出部56は、通信アンテナ52から伝達される受信電圧に基づいて、例えば、矩形の検出信号を生成し、当該検出信号をデータ処理部64へ伝達する。また、データ処理部64は、伝達される上記検出信号を、例えば、データ処理のための処理クロックとして用いる。ここで、上記検出信号は、通信アンテナ52から伝達される受信電圧に基づくものであるので、リーダ/ライタ10から送信される搬送波の周波数と同期することとなる。したがって、情報処理装置50は、キャリア検出部56を備えることによって、リーダ/ライタ10との間の処理を、リーダ/ライタ10と同期して行うことができる。
【0051】
検波部58は、通信アンテナ52から出力される受信電圧を整流する。ここで、検波部58は、例えば、ダイオードD10と、キャパシタC11で構成される。
【0052】
レギュレータ60は、受信電圧を平滑、定電圧化し、データ処理部64へ駆動電圧を出力する。ここで、レギュレータ60は、受信電圧の直流成分を駆動電圧として用いる。
【0053】
復調部62は、受信電圧に基づいて搬送波信号を復調し、搬送波に含まれる搬送波信号に対応するデータ(例えば、ハイレベルとローレベルとの2値化されたデータ信号)を出力する。ここで、復調部62は、受信電圧の交流成分をデータとして出力する。
【0054】
データ処理部64は、レギュレータ60から出力される駆動電圧を電源として駆動し、復調部62において復調されたデータの処理を行う。ここで、データ処理部64は、例えば、MPUで構成される。また、データ処理部64は、処理結果に応じて、負荷変調部66に対して選択的に負荷変調を制御するための制御信号を送信する。
【0055】
負荷変調部66は、例えば、負荷ZとスイッチSW10とを備え、データ処理部64から伝達される制御信号に応じて負荷Zを選択的に接続することによって負荷変調を行う。ここで、スイッチSW10は、例えば、pチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)や、nチャネル型のMOSFETで構成される。
【0056】
負荷変調部66において負荷変調が行われることにより、リーダ/ライタ10からみた情報処理装置50のインピーダンスが変化する。リーダ/ライタ10は、上記インピーダンスの変化を、例えば、搬送波送信部14のアンテナ端における電圧の振幅変化を利用して検出することによって、情報処理装置50がリーダ/ライタ10へ送信した応答信号を受信する。
【0057】
情報処理装置50は、例えば、上記のような構成により、リーダ/ライタ10から送信される搬送波を受信して、搬送波信号をデータ処理し、処理結果に応じた応答信号をリーダ/ライタ10へ送信することができる。
【0058】
[従来の通信システムにおける問題]
図4に示すように、従来の通信システムでは、情報処理装置50が負荷Zを選択的に接続して負荷変調を行うことによりインピーダンスを変化させることによって、リーダ/ライタ10への応答を行う。ここで、従来の通信システムに対して本発明の実施形態に係るアプローチを適用する手段としては、例えば抵抗値がより大きな抵抗を負荷Zとして用いることが挙げられる。
【0059】
しかしながら、情報処理装置50が、負荷変調部66の負荷Zを抵抗値がより大きな抵抗で構成した場合には、負荷Zにおいて消費される電力はより大きなものとなる。ここで、情報処理装置50が、受信した搬送波から得られる電力には限りがある。よって、上記の場合には、レギュレータ60から出力される駆動電圧が小さくなり、データ処理部64が駆動電圧を用いて駆動することができなくなる恐れがある。特に、情報処理装置50が、例えば、ICカードのように別途の電源を有さない装置である場合には、データ処理部64が駆動電圧を用いて駆動することができないことは、リーダ/ライタ10と情報処理装置50との間の通信そのものが成立しなくなることを意味する。また、情報処理装置50が内部電源を有する構成であったとしても、上記の場合には、例えば、情報処理装置50の駆動時間が短くなるなどの弊害は避けられない。
【0060】
したがって、図4に示すような従来の通信システムにおいて本発明の実施形態に係るアプローチを適用したとしても、リーダ/ライタ10と情報処理装置50との間の通信距離を伸ばすことができるとは限らない。
【0061】
上述したように、従来の通信システムには本発明の実施形態に係るアプローチを適用してもリーダ/ライタと情報処理装置との間の通信距離を安定的に伸ばす効果は望むべくもない。そこで、次に、本発明の実施形態に係るアプローチによる通信距離の延長を実現可能な本発明の実施形態に係る通信システム1000の構成について説明する。
【0062】
(第1の実施形態に係る通信システム)
図5は、本発明の第1の実施形態に係る通信システムを示す説明図である。図5を参照すると、第1の実施形態に係る通信システム(以下、「通信システム1100」とよぶ場合がある。)は、リーダ/ライタ100(外部装置)と、情報処理装置150とを有する。
【0063】
[リーダ/ライタ100]
リーダ/ライタ100は、搬送波信号生成部102と、搬送波送信部104と、復調部106と、制御部108とを備える。また、リーダ/ライタ100は、例えば、ホストコンピュータ120と接続され、ホストコンピュータ120からの送信命令に応じて搬送波信号を送信することができる。
【0064】
また、リーダ/ライタ100は、制御部108が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(Read Only Memory;図示せず)、制御部108により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(Random Access Memory;図示せず)、制御部108における演算結果や実行状態を保持するレジスタ(register;図示せず)、通信を暗号化するための暗号化回路(図示せず)、リーダ/ライタ100において用いられるアプリケーション、データなどを記憶可能な記憶部(図示せず)、ホストコンピュータ120や他の回路などと接続するためのインタフェース(図示せず)などを備えてもよい。リーダ/ライタ100は、例えば、データの伝送路としてのバスにより各構成要素間を接続することができる。ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、フラッシュメモリ(flash memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられるが、上記に限られない。また、インタフェースとしては、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)や、ネットワーク端子などが挙げられるが、上記に限られない
【0065】
搬送波信号生成部102は、制御部108からの搬送波信号生成命令を受け、搬送波信号生成命令に応じた搬送波信号を生成する。ここで、図5では、搬送波信号生成部102として交流電源が示されているが、本発明の実施形態に係る搬送波信号生成部102は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る搬送波信号生成部102は、ASK変調する変調回路(図示せず)と、変調回路の出力を増幅する増幅回路(図示せず)とで構成することができる。なお、搬送波信号生成部102が生成する搬送波信号には、例えば、情報処理装置150に対する各種処理命令や処理するデータを含めることができるが、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る搬送波信号は、情報処理装置150に対して電力供給を行う搬送波を搬送波送信部104に発生させるための信号であってもよい。
【0066】
搬送波送信部104は、例えば、所定のインダクタンスをもつコイル(インダクタ)を備え、搬送波信号生成部102が生成した搬送波信号に応じた搬送波を送信する。また、搬送波送信部104は、情報処理装置150からの応答信号を受信することもできる。つまり、搬送波送信部104は、リーダ/ライタ100の通信アンテナとしての役目を果たすことができる。ここで、図5では、搬送波送信部104がコイルで構成されている例を示しているが、本発明の実施形態に係る搬送波送信部104は、上記に限られず、例えば、さらにキャパシタを備えることにより共振回路を構成してもよい。
【0067】
復調部106は、例えば、搬送波送信部104のアンテナ端における電圧の振幅変化を包絡線検波し、検波した信号を2値化することによって、情報処理装置150からの応答信号を復調する。なお、復調部106における応答信号の復調手段は、上記に限られず、例えば、搬送波送信部104のアンテナ端における電圧の位相変化を用いて応答信号を復調することもできる。
【0068】
制御部108は、例えば、MPUなどで構成され、復調部106が復調したデータをホストコンピュータ120へ送信する、または、復調部106が復調したデータに基づいて搬送波信号生成命令を生成するなど、様々な処理を行うことができる。
【0069】
リーダ/ライタ100は、例えば、上記のような構成によって、搬送波を送信し、情報処理装置150から送信される応答信号を復調することができる。
【0070】
[情報処理装置150]
情報処理装置150は、搬送波を受信可能な通信アンテナ152と、受信された搬送波に基づいて搬送波信号を復調して処理し、負荷変調により応答信号を送信させるICチップ154とを備える。
【0071】
通信アンテナ152は、例えば、所定のインダクタンスをもつコイル(インダクタ)L1と、所定の静電容量をもつキャパシタC1とからなる共振回路で構成され、搬送波の受信に応じて電磁誘導により誘起電圧を生じさせる。そして、通信アンテナ152は、所定の共振周波数で誘起電圧を共振させた受信電圧を出力する。ここで、通信アンテナ152における共振周波数は、例えば、13.56MHzなど搬送波の周波数に合わせて設定される。通信アンテナ152は、上記構成により、搬送波を受信し、また、ICチップ154が備える負荷変調部166において行われる負荷変調によって応答信号の送信を行う。
【0072】
〔ICチップ154の構成〕
ICチップ154は、キャリア検出部156(受信検出部)と、検波部158と、レギュレータ160と、復調部162と、データ処理部164と、負荷変調部166と、インピーダンス調整部168とを備える。なお、図5では示していないが、ICチップ154は、例えば、過電圧や過電流がデータ処理部164に印加されることを防止するための保護回路(図示せず)をさらに備えることができる。ここで、保護回路(図示せず)としては、例えば、ダイオード等で構成されたクランプ回路が挙げられるが、上記に限られない。
【0073】
また、ICチップ154は、データ処理部164が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM170、データ処理部164により実行されるプログラム、演算結果、実行状態などを一次記憶するRAM172、データ処理部164が処理するデータを記憶可能な記録媒体174などを備える。データ処理部164と、ROM170、RAM172、記録媒体174とは、例えば、データの伝送路としてのバス176によって接続される。ここで、記録媒体174としては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。
【0074】
キャリア検出部156は、通信アンテナ152から伝達される受信電圧に基づいて、例えば、矩形の検出信号を生成し、当該検出信号をデータ処理部164へ伝達する。また、データ処理部164は、伝達される上記検出信号を、例えば、データ処理のための処理クロックとして用いる。ここで、上記検出信号は、通信アンテナ152から伝達される受信電圧に基づくものであるので、リーダ/ライタ100から送信される搬送波の周波数と同期することとなる。したがって、情報処理装置150は、キャリア検出部156を備えることによって、リーダ/ライタ100との間の処理を、リーダ/ライタ100と同期して行うことができる。
【0075】
検波部158は、通信アンテナ152から出力される受信電圧を整流する。ここで、検波部158は、ダイオードD1と、キャパシタC2で構成することができるが、上記に限られない。
【0076】
レギュレータ160は、受信電圧を平滑、定電圧化し、データ処理部164へ駆動電圧を出力する。ここで、レギュレータ160は、受信電圧の直流成分を駆動電圧として用いることができる。
【0077】
復調部162は、受信電圧に基づいて搬送波信号を復調し、搬送波に含まれる搬送波信号に対応するデータ(例えば、ハイレベルとローレベルとの2値化されたデータ信号)を出力する。ここで、復調部162は、受信電圧の交流成分をデータとして出力することができる。
【0078】
データ処理部164は、レギュレータ160から出力される駆動電圧を電源として駆動し、復調部162において復調されたデータの処理を行う。ここで、データ処理部164は、例えば、MPUで構成することができるが、上記に限られない。
【0079】
また、データ処理部164は、処理結果に応じて、リーダ/ライタ100(外部装置)への応答に係る負荷変調を制御する第1制御信号と、リーダ/ライタ100(外部装置)からみたインピーダンスの変化を制御する第2制御信号とをそれぞれ選択的に生成する。そして、データ処理部164は、第1制御信号を負荷変調部166へと選択的に出力し、また、第2制御信号をインピーダンス調整部168へと選択的に出力する。データ処理部164における第1制御信号および第2制御信号の選択的な出力例については、後述する。
【0080】
負荷変調部166は、例えば、負荷ZとスイッチSW1とを備え、データ処理部164から伝達される第1制御信号に応じて負荷Zを選択的に接続する(有効化する)ことによって負荷変調を行う。ここで、負荷Zは、例えば、所定の抵抗値を有する抵抗で構成されるが、上記に限られない。また、スイッチSW1は、例えば、pチャネル型のMOSFETや、nチャネル型のMOSFETで構成されるが、上記に限られない。
【0081】
負荷変調部166において負荷変調が行われることによって、リーダ/ライタ100からみた情報処理装置150のインピーダンスが変化することとなる。
【0082】
インピーダンス調整部168は、例えば、スイッチSW2を備え、データ処理部164から伝達される第2制御信号に応じて通信アンテナ152とデータ処理部164との接続の状態を選択的に切り替える。ここで、スイッチSW2がオフの場合には、リーダ/ライタ100からみたインピーダンスは、復調部162およびデータ処理部164に相当する分大きくなる。また、上記のようにスイッチSW2をオフの状態で、負荷変調部166が負荷変調を行った場合には、負荷変調によって生じるリーダ/ライタ100からみたインピーダンスの変化は、スイッチSW2をオンの状態のときよりもより大きくなる。したがって、インピーダンス調整部168は、情報処理装置150において、リーダ/ライタ100からみたインピーダンスを調整する役目を果たす。
【0083】
また、スイッチSW2は、例えば、pチャネル型のMOSFETや、nチャネル型のMOSFETで構成することができるが、上記に限られない。例えば、スイッチSW2は、第2制御信号に応じてオン/オフ可能な任意の素子で実現することができる。
【0084】
ここで、負荷変調部166が備える負荷Zの抵抗値は、インピーダンス調整部168におけるインピーダンスの調整には依存しない。つまり、情報処理装置150は、インピーダンス調整部168を備えることによって、負荷変調において消費する電力を増やすことなく、リーダ/ライタ100からみたインピーダンスの変化をより大きなものとすることができる。
【0085】
ICチップ154は、上記のような構成によって、通信アンテナ152が受信した搬送波信号を処理し、負荷変調によって通信アンテナ152から応答信号を送信させることができる。また、ICチップ154は、インピーダンス調整部168を備えることによって、負荷変調によって生じさせるリーダ/ライタ100からみたインピーダンスの変化をより大きなものとすることができる。なお、図5では、情報処理装置150が、ICチップ154を備える構成を示しているが、上記に限られず、ICチップ154の構成をICチップとして実現しない構成とすることもできる。
【0086】
したがって、情報処理装置150は、上記の構成によって、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間における正常に通信可能な通信距離をより伸ばすことができる。
【0087】
[通信システム1100における処理の流れ]
次に、上述したリーダ/ライタ100および情報処理装置150からなる通信システム1100における通信に係る処理の流れを示す。
【0088】
〔第1の例〕
図6は、本発明の第1の実施形態に係る通信システム1100における通信に係る処理の流れの第1の例を示す説明図である。なお、図6では、説明の便宜上、情報処理装置150からリーダ/ライタ100への応答(負荷変調)を1回だけ示しているが、上記に限られない。例えば、通信システム1100では、図6に示すステップS102〜S112までの処理を、通信システム1100において提供されるサービスに関する処理が完了するまで複数回繰り返すことができる。
【0089】
情報処理装置150は、リーダ/ライタ100から定期的/非定期的、あるいは継続的に送信される搬送波の受信を検出する(S100)。ここで、情報処理装置150は、例えば、キャリア検出部156が、通信アンテナ152において電磁誘導により発生する誘起電圧に基づく検出信号をデータ処理部164に伝達することによって、ステップS100の処理を行うことができる。
【0090】
ステップS100において搬送波の受信を検出した情報処理装置150は、インピーダンス調整部168のスイッチSW2をオンの状態に切り替える(S102)。ここで、情報処理装置150は、データ処理部164が、キャリア検出部156から伝達される検出信号に基づいて通信アンテナ152とデータ処理部164とを接続状態とするための第1の第1制御信号を出力することによって、ステップS102の処理を行うことができる。また、第1の第1制御信号の信号レベルは、例えば、インピーダンス調整部168のスイッチSW2の導電型に応じて、ハイレベルまたはローレベルに設定される。
【0091】
ステップS102の処理によって通信アンテナ152とデータ処理部164とが接続状態となる。よって、ステップS102の処理により情報処理装置150では、リーダ/ライタ100から送信される搬送波信号を処理するための準備が整うこととなる。
【0092】
リーダ/ライタ100は、各種コマンドを示す搬送波信号をのせた搬送波を送信する(S104)。ここで、上記各種コマンドとしては、例えば、情報処理装置150を捕捉するためのポーリング(polling)に係る通信要求や、ICチップ154の記録媒体174に記憶されたデータを読み出し/書き込みするための命令、記録媒体174に記録させるためのデータなどが挙げられるが、上記に限られない。
【0093】
ステップS104において送信された搬送波を受信した情報処理装置150は、搬送波信号を復調し、復調された搬送波信号に基づいて上記各種コマンドに応じたデータ処理を行う(S106)。
【0094】
そして、情報処理装置150は、ステップS106におけるデータ処理の結果、リーダ/ライタ100へと応答を行う場合には、インピーダンス調整部168のスイッチSW2をオフの状態に切り替える(S108)。ここで、情報処理装置150は、データ処理部164が、通信アンテナ152とデータ処理部164とを接続状態を解除するための第2の第1制御信号を出力することによって、ステップS108の処理を行うことができる。また、第2の第1制御信号の信号レベルは、例えば、インピーダンス調整部168のスイッチSW2の導電型に応じて、ハイレベルまたはローレベルに設定される。
【0095】
また、情報処理装置150は、ステップS106における処理の結果、リーダ/ライタ100へと応答を行う場合には、負荷変調を行って応答信号を送信する(S110)。ここで、情報処理装置150は、データ処理部164が、応答の内容に応じて第2制御情報を負荷変調部166へと選択的に出力することによって、ステップS110の処理を行うことができる。
【0096】
なお、図6では、ステップS108の処理の後にステップS110の処理が行われる例を示しているが、上記に限られない。例えば、情報処理装置150は、ステップS108の処理とステップS110の処理とを同期して行うことができる。また、リーダ/ライタ100との間の一連の処理が完了していない場合には、情報処理装置150は、例えば、ステップS110の処理の終了後、ステップS102からの処理を繰り返す。
【0097】
リーダ/ライタ100は、例えば、搬送波送信部104のアンテナ端の電圧の変化に基づいて、ステップS110において送信された応答信号を復調し、応答信号に係るデータ処理を行う(S112)。また、リーダ/ライタ100は、情報処理装置150との間の一連の処理が完了していない場合には、ステップS104からの処理を繰り返す。
【0098】
通信システム1100における第1の例に係る処理では、図6に示すように、情報処理装置150が、負荷変調により応答を行う前に、あるいは、負荷変調の開始と同期してインピーダンス調整部168のスイッチSW2をオフの状態に切り替える。したがって、情報処理装置150は、負荷変調によって生じさせるリーダ/ライタ100からみたインピーダンスの変化をより大きなものとすることができるので、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間の通信距離をより伸ばすことができる。
【0099】
〔第2の例〕
図7は、本発明の第1の実施形態に係る通信システム1100における通信に係る処理の流れの第2の例を示す説明図である。なお、図7では、説明の便宜上、情報処理装置150からリーダ/ライタ100への応答(負荷変調)を1回だけ示しているが、上記に限られない。例えば、通信システム1100では、図7に示すステップS202〜S210までの処理を、サービスに関する処理が完了するまで複数回繰り返すことができる。
【0100】
情報処理装置150は、図6に示すステップS100と同様に、リーダ/ライタ100から定期的/非定期的、あるいは継続的に送信される搬送波の受信を検出する(S200)。
【0101】
また、リーダ/ライタ100は、図6に示すステップS104と同様に、各種コマンドを示す搬送波信号をのせた搬送波を送信する(S202)。
【0102】
ステップS202において送信された搬送波を受信した情報処理装置150は、図6に示すステップS106と同様に、搬送波信号を復調し、復調された搬送波信号に基づいて上記各種コマンドに応じたデータ処理を行う(S204)。
【0103】
そして、情報処理装置150は、ステップS204におけるデータ処理の結果、リーダ/ライタ100へと応答を行う場合には、図6に示すステップS108と同様に、インピーダンス調整部168のスイッチSW2をオフの状態に切り替える(S206)。
【0104】
また、情報処理装置150は、ステップS204における処理の結果、リーダ/ライタ100へと応答を行う場合には、図6に示すステップS110と同様に、負荷変調を行って応答信号を送信する(S208)。
【0105】
なお、図7では、ステップS206の処理の後にステップS208の処理が行われる例を示しているが、上記に限られない。例えば、情報処理装置150は、ステップS206の処理とステップS208の処理とを同期して行うことができる。また、リーダ/ライタ100との間の一連の処理が完了していない場合には、情報処理装置150は、例えば、ステップS208の処理の終了後、リーダ/ライタ100から送信される各種コマンドに応じてステップS204からの処理を繰り返す。
【0106】
リーダ/ライタ100は、図6に示すステップS112と同様に、ステップS208において送信された応答信号を復調し、応答信号に係るデータ処理を行う(S210)。また、リーダ/ライタ100は、情報処理装置150との間の一連の処理が完了していない場合には、ステップS202からの処理を繰り返す。
【0107】
リーダ/ライタ100との間の一連の処理が完了すると、情報処理装置150は、図6に示すステップS102と同様に、インピーダンス調整部168のスイッチSW2をオンの状態に切り替える(S212)。ここで、情報処理装置150は、例えば、リーダ/ライタ100から送信される処理完了通知の受信に基づいて、リーダ/ライタ100との間の一連の処理が完了したか否かを判定することができるが、上記に限られない。
【0108】
通信システム1100における第2の例に係る処理では、図7に示すように、情報処理装置150が、負荷変調により応答を行う前に、あるいは、負荷変調の開始と同期してインピーダンス調整部168のスイッチSW2をオフの状態に切り替える。したがって、情報処理装置150は、負荷変調によって生じさせるリーダ/ライタ100からみたインピーダンスの変化をより大きなものとすることができるので、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間の通信距離をより伸ばすことができる。
【0109】
以上のように、第1の実施形態に係る通信システム1100では、情報処理装置150が負荷変調によって生じさせるリーダ/ライタ100からみたインピーダンスの変化をより大きなものとさせることによって、通信距離の延長を図る。ここで、情報処理装置150は、インピーダンス調整部168を備えることによってリーダ/ライタ100からみたインピーダンスを調整するので、負荷変調に要する消費電力量は、インピーダンスの調整に依存しない。したがって、情報処理装置150は、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間の通信距離を安定的に延長させることができる。
【0110】
また、情報処理装置150がより小さな通信アンテナ152を備える場合であっても、情報処理装置150は、インピーダンスの調整を行うことができるので、通信アンテナ152のサイズによって通信距離が短くなる影響を抑えることができる。したがって、情報処理装置150は、通信アンテナ152の小型化と、ある一定以上の通信距離の維持との両立を図ることができる。
【0111】
以上、本発明の第1の実施形態に係る通信システム1100を構成する構成要素としてリーダ/ライタ100を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、リーダ/ライタ機能(すなわち、搬送波を主体的に送信する機能)を有する携帯電話などの携帯型通信装置、リーダ/ライタ機能を有するPC(Personal Computer)などのコンピュータなど様々な機器に適用することができる。
【0112】
また、本発明の第1の実施形態に係る通信システム1100を構成する構成要素として情報処理装置150を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、RFIDタグ、ICカードなど、リーダ/ライタ100から送信される搬送波から得られる電力を用いて駆動可能な様々な機器に適用することができる。
【0113】
(第1の実施形態の通信システム1100に係るプログラム)
コンピュータを、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置150として機能させるためのプログラムによって、リーダ/ライタと情報処理装置との間における正常に通信可能な通信距離を伸ばすことができる。
【0114】
(第1の実施形態の通信システム1100に係る通信方法)
次に、本発明の第1の実施形態の通信システム1100に係る通信方法について説明する。図8は、本発明の第1の実施形態の通信システム1100に係る通信方法の一例を示す流れ図である。ここで、図8は、情報処理装置150に適用可能な通信方法の一例を示している。
【0115】
情報処理装置150は、リーダ/ライタ100から送信される搬送波を受信し(S300)、受信された搬送波に基づいて搬送波信号を復調する(S302)。ここで、情報処理装置150は、例えば、搬送波の受信に応じて電磁誘導により通信アンテナ152に発生する誘起電圧の交流成分から搬送波信号を復調することができる。
【0116】
ステップS302において搬送波信号が復調されると、情報処理装置150は、復調された搬送波信号に基づいてデータ処理を行う(S304)。ステップS304においてデータ処理が行われると、情報処理装置150は、リーダ/ライタ100に対する応答を行うか否かを判定する(S306)。ここで、情報処理装置150は、ステップS304において行われる処理が全て完了したときに応答を行うと判定することができるが、上記に限られない。例えば、情報処理装置150は、ステップS304における処理が段階的に完了したときに、応答を行うと判定することもできる。ここで、図8は、ステップS304において行われる処理が全て完了したときに応答を行う場合を例示している。
【0117】
ステップS306においてリーダ/ライタ100に対する応答を行うと判定されない場合には、情報処理装置150は、ステップS304からの処理を繰り返す。
【0118】
また、ステップS306においてリーダ/ライタ100に対する応答を行うと判定された場合には、情報処理装置150は、負荷変調によって生じさせるリーダ/ライタ100からみたインピーダンスの変化量を調整する(S308)。ここで、情報処理装置150は、インピーダンス調整部168のスイッチSW2をオフの状態に切り替えることによって、ステップS308の処理を行うことができる。
【0119】
ステップS308においてインピーダンスの変化量が調整されると、情報処理装置150は、負荷変調を行い、リーダ/ライタ100へと応答信号を送信する(S310)。
【0120】
図8に示す通信方法を用いることによって、情報処理装置150は、リーダ/ライタ100と情報処理装置150との間における正常に通信可能な通信距離を伸ばすことができる。
【0121】
(第2の実施形態に係る通信システム)
上記では、本発明の実施形態に係る通信システム1000として、リーダ/ライタ100から送信される搬送波から得られる電力を用いて駆動可能な情報処理装置150を有する通信システム1100について説明した。しかしながら、本発明の実施形態に係る通信システム1000は、リーダ/ライタ100から送信される搬送波から得られる電力を用いて駆動可能な情報処理装置150を有する構成に限られない。そこで、次に、本発明の第2の実施形態に係る通信システム(以下、「通信システム1200」とよぶ場合がある。)として、内部電源を備える情報処理装置を有する構成について説明する。
【0122】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る通信システム1200を示す説明図である。図9を参照すると、通信システム1200は、リーダ/ライタ100(外部装置)と、情報処理装置200とを有する。ここで、図9に示すリーダ/ライタ100は、図5に示す第1の実施形態に係るリーダ/ライタ100と同様の構成を有することができる。よって、以下では、リーダ/ライタ100についての説明を省略し、情報処理装置200について説明する。
【0123】
[情報処理装置200]
情報処理装置200は、通信アンテナ152と、ICチップ202と、電源204と、MPU206と、ROM208と、RAM210と、記録媒体212と、入出力インタフェースと214と、操作入力デバイス216と、表示デバイス218と、通信インタフェース220とを備える。また、情報処理装置200は、例えば、データの伝送路としてのバス222で各構成要素間を接続する。
【0124】
通信アンテナ152は、図5に示す通信アンテナ152と同様の構成をとることができる。したがって、通信アンテナ152は、搬送波を受信し、また、負荷変調によって搬送波に対する反磁界を発生させてリーダ/ライタ100に対する応答を行うことができる。
【0125】
ICチップ202は、通信アンテナ152が受信した搬送波に基づいて搬送波信号を復調して処理し、負荷変調により応答信号を送信させる。以下、ICチップ202の構成について説明する。
【0126】
〔ICチップ202の構成〕
ICチップ202は、キャリア検出部230(受信検出部)と、電力供給スイッチング部232(スイッチング部)と、検波部158と、レギュレータ160と、復調部162と、データ処理部164と、負荷変調部166と、インピーダンス調整部168とを備える。なお、図9では示していないが、ICチップ202は、図5に示す第1の実施形態に係るICチップ154と同様に、例えば、過電圧や過電流がデータ処理部164に印加されることを防止するための保護回路(図示せず)をさらに備えることができる。
【0127】
また、ICチップ202は、ROM170、RAM172、記録媒体174、UART234などを備える。データ処理部164と、ROM170、RAM172、記録媒体174、UART234とは、例えば、データの伝送路としてのバス176によって接続される。また、ICチップ202は、ICチップ202外の構成要素との間のインタフェースとしての役割を果たすUART234を介してICチップ202外のバス222と接続される。ここで、ROM170、RAM172、および記録媒体174は、それぞれ図5に示す第1の実施形態に係るROM170、RAM172、および記録媒体174と同様の構成、機能を有することができる。
【0128】
キャリア検出部230は、図5に示す第1の実施形態に係るキャリア検出部156と同様に、通信アンテナ152から伝達される受信電圧に基づいて、例えば、矩形の検出信号(第1の検出信号)を生成し、当該検出信号をデータ処理部164へ伝達する。また、キャリア検出部230は、受信電圧が通信アンテナ152から伝達されている間、電力供給スイッチング部232に対して、第2の検出信号を伝達する。ここで、上記第2の検出信号は、搬送波(搬送波信号)が受信されたことを示す検出結果に相当する。また、キャリア検出部230は、例えば、通信アンテナ152から伝達される受信電圧そのものを第2の検出信号とすることができるが、上記に限られない。例えば、キャリア検出部230は、受信電圧を分圧したものを第2の検出信号とすることもできる。
【0129】
電力供給スイッチング部232は、スイッチSW3を備え、キャリア検出部230から伝達される第2の検出信号に基づいて、選択的に電源204から供給される電力VDDをデータ処理部へ供給する。ここで、スイッチSW3は、例えば、pチャネル型のMOSFETや、nチャネル型のMOSFETで構成されるが、上記に限られない。
【0130】
検波部158は、図5に示す第1の実施形態に係る検波部158と同様に、通信アンテナ152から出力される受信電圧を整流する。また、レギュレータ160は、図5に示す第1の実施形態に係るレギュレータ160と同様に、受信電圧を平滑、定電圧化し、データ処理部164へ駆動電圧を出力する。
【0131】
復調部162は、図5に示す第1の実施形態に係る復調部162と同様に、受信電圧に基づいて搬送波信号を復調し、搬送波に含まれる搬送波信号に対応するデータ(例えば、ハイレベルとローレベルとの2値化されたデータ信号)を出力する。
【0132】
データ処理部164は、図5に示す第1の実施形態に係るデータ処理部164と同様に、レギュレータ160から出力される駆動電圧を電源として駆動し、復調部162において復調されたデータの処理を行う。また、データ処理部164には電力供給スイッチング部232を介して電源204から電圧VDDが供給されるので、データ処理部164は、さらに電圧VDDを用いてデータ処理を行うことができる。
【0133】
上記のように、データ処理部164に電源204から電圧VDDが供給されることによって、仮にレギュレータ160から出力される駆動電圧が駆動に必要な値以下であったとしても、データ処理部164は、データ処理を行うことができる。情報処理装置200が、インピーダンス調整部168によってインピーダンスを調整した状態(すなわち、SW2がオフの状態)で、負荷変調によってインピーダンスを小さくした場合には、レギュレータ160から出力される駆動電圧は小さくなる。ここで、情報処理装置200では、データ処理部164に電源204から電圧VDDが供給されるので、データ処理が実行できない事態の発生をより確実に防止することができる。
【0134】
また、データ処理部164は、図5に示す第1の実施形態に係るデータ処理部164と同様に、処理結果に応じて、第1制御信号と第2制御信号とをそれぞれ選択的に生成する。そして、データ処理部164は、第1制御信号を負荷変調部166へと選択的に出力し、また、第2制御信号をインピーダンス調整部168へと選択的に出力する。
【0135】
負荷変調部166は、図5に示す第1の実施形態に係る負荷変調部166と同様の構成を有し、データ処理部164から伝達される第1制御信号に応じて負荷Zを選択的に接続することによって負荷変調を行う。
【0136】
インピーダンス調整部168は、図5に示す第1の実施形態に係るインピーダンス調整部168と同様の構成を有し、データ処理部164から伝達される第2制御信号に応じて通信アンテナ152とデータ処理部164との接続の状態を選択的に切り替える。つまり、インピーダンス調整部168は、情報処理装置200において、リーダ/ライタ100からみたインピーダンスを調整する役目を果たす。
【0137】
ICチップ202は、上記のような構成によって、通信アンテナ152が受信した搬送波信号を処理し、負荷変調によって通信アンテナ152から応答信号を送信させることができる。また、ICチップ202は、インピーダンス調整部168を備えるので、図5に示す第1の実施形態に係るICチップ154と同様に、負荷変調によって生じさせるリーダ/ライタ100からみたインピーダンスの変化をより大きなものとすることができる。さらに、ICチップ202は、電源204から供給される電圧VDDを用いてデータ処理を行うことができるので、より確実にデータ処理を行うことができる。
【0138】
なお、図9では、情報処理装置200が、ICチップ202を備える構成を示しているが、上記に限られず、ICチップ202の構成をICチップとして実現しない構成とすることもできる。
【0139】
電源204は、情報処理装置200が備える内部電源であり、情報処理装置200の各部に駆動電圧を供給する。なお、図9では、説明の便宜上、電源204から出力される電圧VDDがICチップ202(より厳密には、電力供給スイッチング部232)に供給されることを示しているが、上記に限られない。ここで、電源204としては、例えば、リチウムイオン二次電池(lithium-ion rechargeable battery)などの二次電池が挙げられるが、上記に限られない。
【0140】
MPU206は、情報処理装置200全体を制御する制御部として機能する。ROM208は、MPU206が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶し、また、RAM210は、MPU206により実行されるプログラムなどを一次記憶する。
【0141】
記録媒体212は、情報処理装置200における記憶部として機能し、例えば、各種アプリケーションなどを記憶する。ここで、記録媒体212としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、EEPROM、フラッシュメモリ、MRAM、FeRAM、PRAMなどの不揮発性メモリなどが挙げられるが、上記に限られない。
【0142】
入出力インタフェース214は、例えば、操作入力デバイス216や、表示デバイス218を接続する。ここで、入出力インタフェース214としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子や、DVI(Digital Visual Interface)端子、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子などが挙げられるが、上記に限られない。また、操作入力デバイス216は、例えば、ボタン、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなど、情報処理装置200上に備えられ、情報処理装置200の内部で入出力インタフェース214と接続される。また、表示デバイス218は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)や有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display;または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)とも呼ばれる。)など、情報処理装置200上に備えられ、情報処理装置200の内部で入出力インタフェース214と接続される。なお、入出力インタフェース214は、情報処理装置200の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)や、表示デバイス(例えば、外部ディスプレイなど)と接続することもできることは、言うまでもない。
【0143】
通信インタフェース220は、情報処理装置200が備える通信手段であり、ネットワークを介して(あるいは、直接的に)サーバ(Server)などの外部装置と無線/有線で通信を行うための通信部として機能する。ここで、ネットワークとしては、例えば、LANやWAN(Wide Area Network)などの有線ネットワーク、基地局を介した無線WAN(WWAN;Wireless Wide Area Network)や無線MAN(WMAN;Wireless Metropolitan Area Network)などの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルを用いたインターネットなどが挙げられるが、上記に限られない。また、通信インタフェース220としては、例えば、通信アンテナおよびRF回路(無線通信)や、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)、IEEE802.11bポートおよび送受信回路(無線通信)、あるいはLAN(Local Area Network)端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられるが、上記に限られない。例えば、通信インタフェース220は、上記ネットワークに対応する構成とすることができる。
【0144】
情報処理装置200は、図5に示す第1の実施形態に係るICチップ154と基本的に同様の構成を有するICチップ202を備え、リーダ/ライタ100からみたインピーダンスの調整を行った上で、負荷変調を行う。したがって、情報処理装置200は、上記の構成であっても、図5に示す第1の実施形態に係る情報処理装置150と同様に、リーダ/ライタ100と情報処理装置200との間における正常に通信可能な通信距離をより伸ばすことができる。
【0145】
以上のように、第2の実施形態に係る通信システム1200では、第1の実施形態に係る通信システム1100と同様に、情報処理装置200が負荷変調によって生じさせるリーダ/ライタ100からみたインピーダンスの変化をより大きなものとさせることによって、通信距離の延長を図る。ここで、情報処理装置200は、インピーダンス調整部168を備えることによってリーダ/ライタ100からみたインピーダンスを調整するので、負荷変調に要する消費電力量は、インピーダンスの調整に依存しない。したがって、情報処理装置200は、リーダ/ライタ100と情報処理装置200との間の通信距離を安定的に延長させることができる。
【0146】
また、情報処理装置200がより小さな通信アンテナ152を備える場合であっても、情報処理装置200は、第1の実施形態に係る情報処理装置150と同様にインピーダンスの調整を行うことができるので、通信アンテナ152のサイズによって通信距離が短くなる影響を抑えることができる。したがって、情報処理装置200は、通信アンテナ152の小型化と、ある一定以上の通信距離の維持との両立を図ることができる。
【0147】
さらに、情報処理装置200は、電源204を備え、リーダ/ライタ100から送信される搬送波の受信に応じて選択的に、ICチップ202のデータ処理部164に対して電圧VDDを供給する。したがって、情報処理装置200は、ICチップ202のデータ処理部164においてデータ処理が実行できない事態の発生をより確実に防止することができる。
【0148】
[第2の実施形態に係る通信システム1200を構成する情報処理装置の変形例]
図9に示す第2の実施形態に係る通信システム1200では、検波部158の後段に負荷変調部166が備えられる構成を有するICチップ202を備える、情報処理装置200を示した。しかしながら、第2の実施形態に係る通信システムを構成する情報処理装置の構成は、図9の構成に限られない。
【0149】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る通信システムの変形例を示す説明図である。図10を参照すると、変形例に係る情報処理装置250は、検波部158の前段に負荷変調部254が備えられる構成を有するICチップ202を備える。上記の構成であっても、情報処理装置250は、第1調整信号に応じてインピーダンスの調整を行い、第2調整信号に応じて負荷変調を行うことができる。したがって、変形例に係る情報処理装置250は、図9に示す第2の実施形態に係る情報処理装置200と同様の効果を奏することができる。
【0150】
なお、第1の実施形態では示さなかったが、図10に示す負荷変調部254の構成は、図5に示す第1の実施形態に係る情報処理装置150に適用することができる。
【0151】
以上、本発明の第2の実施形態に係る通信システム1200を構成する構成要素として情報処理装置200、250を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、ICチップを搭載した携帯電話などの携帯型通信装置、ICチップを搭載したPCなどのコンピュータなど、内部電源を有し、リーダ/ライタ100との間で非接触通信可能な様々な機器に適用することができる。
【0152】
(第2の実施形態の通信システム1200に係るプログラム)
コンピュータを、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置200(または情報処理装置250)として機能させるためのプログラムによって、リーダ/ライタと情報処理装置との間における正常に通信可能な通信距離を伸ばすことができる。
【0153】
(第2の実施形態の通信システム1200に係る通信方法)
次に、本発明の第2の実施形態の通信システム1200に係る通信方法について説明する。図11は、本発明の第2の実施形態の通信システム1200に係る通信方法の一例を示す流れ図である。ここで、図11は、情報処理装置200(または情報処理装置250)に適用可能な通信方法の一例を示している。
【0154】
情報処理装置200は、図8に示すステップS300と同様に、リーダ/ライタ100から送信される搬送波を受信する(S400)。ステップS400において搬送波が受信されると、情報処理装置200は、搬送波の受信を検出して選択的に電源電圧(電圧VDD)をICチップ202に供給する(S402)。
【0155】
また、情報処理装置200は、図8に示すステップS302と同様に、受信された搬送波に基づいて搬送波信号を復調する(S404)。
【0156】
ステップS404において搬送波信号が復調されると、情報処理装置200は、復調された搬送波信号に基づいてデータ処理を行う(S406)。ここで、情報処理装置200は、ステップS402において供給される電源電圧(電圧VDD)を用いてステップS406の処理を行うことができる。
【0157】
ステップS406においてデータ処理が行われると、情報処理装置200は、図8に示すステップS306と同様に、リーダ/ライタ100に対する応答を行うか否かを判定する(S408)。ここで、図11は、ステップS406において行われる処理が全て完了したときに応答を行う場合を例示している。
【0158】
ステップS408においてリーダ/ライタ100に対する応答を行うと判定されない場合には、情報処理装置200は、ステップS406からの処理を繰り返す。
【0159】
また、ステップS408においてリーダ/ライタ100に対する応答を行うと判定された場合には、情報処理装置200は、図8に示すステップS308と同様に、負荷変調によって生じさせるリーダ/ライタ100からみたインピーダンスの変化量を調整する(S410)。
【0160】
ステップS410においてインピーダンスの変化量が調整されると、情報処理装置200は、図8に示すステップS310と同様に、負荷変調を行い、リーダ/ライタ100へと応答信号を送信する(S412)。
【0161】
図11に示す通信方法を用いることによって、情報処理装置200は、リーダ/ライタ100と情報処理装置200との間における正常に通信可能な通信距離を伸ばすことができる。また、情報処理装置200は、図11に示す通信方法を用いることによって、ICチップ202のデータ処理部164においてデータ処理が実行できない事態の発生をより確実に防止することができる。
【0162】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0163】
例えば、上記では、コンピュータを、本発明の実施形態に係る情報処理装置150、200、250として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本発明の実施形態は、さらに、上記プログラムを記憶させた記憶媒体も併せて提供することができる。
【0164】
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの概略を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る通信システムの概略を説明するための第2の説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る通信システムにおける通信の概略を説明するための第2の説明図である。
【図4】従来の通信システムの構成の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る通信システムを示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る通信システムにおける通信に係る処理の流れの第1の例を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る通信システムにおける通信に係る処理の流れの第2の例を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の通信システムに係る通信方法の一例を示す流れ図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る通信システムを示す説明図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る通信システムの変形例を示す説明図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の通信システムに係る通信方法の一例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0166】
10、100 リーダ/ライタ
16、62、106、162 復調部
20、120 ホストコンピュータ
50、150、200、250 情報処理装置
52、152 通信アンテナ
54、154、202 ICチップ
56、156、230 キャリア検出部
64、164 データ処理部
66、166、254 負荷変調部
168 インピーダンス調整部
232 電力供給スイッチング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から送信される所定周波数の搬送波信号を非接触式に受信する通信アンテナと;
前記通信アンテナにおける前記搬送波信号の受信を検出する受信検出部と;
前記通信アンテナが受信した前記搬送波信号を復調する復調部と;
前記受信検出部の検出結果に基づいて前記復調部が復調した搬送波信号をデータ処理し、処理結果に応じて、前記外部装置への応答に係る負荷変調を制御する第1制御信号と、前記外部装置からみたインピーダンスの変化を制御する第2制御信号とを出力するデータ処理部と;
前記第1制御信号に基づいて前記負荷変調を選択的に行う負荷変調部と;
前記第2制御信号に基づいて、前記通信アンテナと前記データ処理部との接続の状態を選択的に切り替え、前記インピーダンスを変化させるインピーダンス調整部と;
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記データ処理部がデータ処理を行うために用いる駆動電圧を供給する電源と;
前記受信検出部における検出結果に基づいて、前記駆動電圧を選択的に前記データ処理部に供給させるスイッチング部と;
をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データ処理部は、
前記受信検出部が前記搬送波信号の受信を検出した場合には、前記通信アンテナと前記データ処理部とを接続状態とするための第1の第1制御信号を出力し、
前記データ処理が完了した場合には、前記通信アンテナと前記データ処理部との接続状態を解除するための第2の第1制御信号を出力し、前記第2の第1制御信号の出力と同期して前記第2制御信号の出力を行う、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記データ処理部は、
前記データ処理が完了した場合には、前記通信アンテナと前記データ処理部との接続状態を解除するための第2の第1制御信号を出力し、前記第2の第1制御信号の出力と同期して前記第2制御信号の出力を行い、
前記第2制御信号の出力が完了した場合には、前記通信アンテナと前記データ処理部とを接続状態とするための第1の第1制御信号を出力する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は携帯型通信装置である、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置はICカードである、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
外部装置から送信される所定周波数の搬送波信号を非接触式に受信するステップと;
前記受信するステップにおける前記搬送波信号の受信を検出するステップと;
前記受信するステップにおいて受信された前記搬送波信号を復調するステップと;
前記検出するステップにおける検出結果に基づいて前記復調するステップにおいて復調された搬送波信号をデータ処理し、処理結果に応じて、前記外部装置への応答に係る負荷変調を制御する第1制御信号と、前記外部装置からみたインピーダンスの変化を制御する第2制御信号とを出力するステップと;
前記第1制御信号に基づいて前記負荷変調を選択的に行うステップと;
前記第2制御信号に基づいて、前記外部装置からみたインピーダンスを選択的に変化させるステップと;
を有する、通信方法。
【請求項8】
外部装置から送信される所定周波数の搬送波信号を非接触式に受信するステップ;
前記受信するステップにおける前記搬送波信号の受信を検出するステップ;
前記受信するステップにおいて受信された前記搬送波信号を復調するステップ;
前記検出するステップにおける検出結果に基づいて前記復調するステップにおいて復調された搬送波信号をデータ処理し、処理結果に応じて、前記外部装置への応答に係る負荷変調を制御する第1制御信号と、前記外部装置からみたインピーダンスの変化を制御する第2制御信号とを出力するステップ;
前記第1制御信号に基づいて前記負荷変調を選択的に行うステップ;
前記第2制御信号に基づいて、前記外部装置からみたインピーダンスを選択的に変化させるステップ;
をコンピュータに実行させるためのプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−296061(P2009−296061A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144979(P2008−144979)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】