説明

情報処理装置、障害影響評価方法およびプログラム

【課題】交通機関の正常な運行に支障を与える障害のユーザに対する影響をより正確に評価することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】非接触ICカード16は、交通機関の予め定められた通常経路と、交通機関のユーザが利用した経路および時刻を示す利用履歴とを記録する。CPU19は、利用履歴において、通常経路の端部を結ぶ、通常経路とは異なる例外経路が利用されていることが示されている場合、利用履歴に基づいて、通常経路の通過にかかる時間と例外経路の通過にかかる時間との差分を、交通機関の運行に支障を与える障害のユーザに対する影響として評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通機関の正常な運行に支障を与える障害のユーザに対する影響を評価する情報処理装置、障害影響評価方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機のような情報処理装置には、予め設定された設定時刻にアラームを報知する時刻報知機能を備えたものがある。時刻報知機能は、例えば、交通機関を利用して目標時刻までに目的地に到着できるように、目覚めの時刻や出発する時刻を報知させるために利用されている。
【0003】
しかしながら、従来の時刻報知機能では、アラームを報知する時刻はユーザにて設定された一定時刻であるので、悪天候などが原因で交通機関の運行などにユーザの予期しない支障が発生すると、アラームが報知された時刻に目覚めたり出発したりしても、目標時刻に目的地に到達することができないことがあった。
【0004】
これに対して、特許文献1には、FM多重放送にて配信されている現在の自動車の渋滞状況に基づいて、自動車が予定地に到着するまでにかかる時間を予測し、その時間に応じた報知時刻を設定する準備開始時刻報知装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、電車の遅延などの運行障害の有無や運行障害を引き起こす運行障害事由の種類などを示す運行障害情報を所定のサーバから取得し、その運行障害情報に基づいて、アラームを報知する設定時刻の前倒しを行うか否かを判断する注意喚起システムが記載されている。この注意喚起システムでは、設定時刻の前倒しを行うと判断すると、ユーザが運行障害事由の種類に応じて設定した時間分だけ設定時刻の前倒しを行う。
【0006】
また、特許文献3には、サーバが、ユーザから目的地やその目的地に到着する目標時刻などを含むリクエストを受け付け、そのリクエストに応じたアラームの報知時刻を、地図情報や時刻表情報などを用いて算出するアラームサービスシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−304556号公報
【特許文献2】特開2010−097281号公報
【特許文献3】特開2002−073574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3に記載の技術では、アラームの報知時刻を設定するために使用される情報は、自動車の渋滞状況、運行障害情報および地図情報のように、全てのユーザに対して共通であるため、交通機関の正常な運行に支障を与える障害のユーザに対する影響を正確に評価することは困難である。
【0009】
このため、例えば、ユーザの歩行速度などの個人的な特性がアラームの報知時刻に反映されず、適切な報知時刻と実際のアラームが報知される報知時刻との誤差が大きくなる可能性がある。なお、このような誤差は、ユーザが車椅子を使用する場合などにおいて、顕著になる可能性が高い。
【0010】
なお、特許文献1に記載の技術では、FM多重放送にて配信されている渋滞状況は、通常、広域な地域に対するものであるため、ユーザに影響を与える狭域な地域における渋滞状況を取得するのに時間がかかるという問題もある。
【0011】
また、特許文献2および3に記載の技術では、報知時刻を調整するためには特定のサーバが必要とるため、サーバの負荷やネットワークのトラフィックが過大になるという問題もある。
【0012】
本発明は、上述した各問題点を鑑みてなされたものであり、交通機関の正常な運行に支障を与える障害のユーザに対する影響をより正確に評価することが可能な情報処理装置、障害影響評価方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による情報処理装置は、交通機関の予め定められた通常経路と、前記交通機関のユーザが利用した経路および時刻を示す利用履歴とを記録する記録部と、前記利用履歴において、前記通常経路の端部を結ぶ、前記通常経路とは異なる例外経路が利用されていることが示されている場合、前記利用履歴に基づいて、前記通常経路の通過にかかる時間と前記例外経路の通過にかかる時間との差分を、前記交通機関の運行に支障を与える障害のユーザに対する影響として評価する制御部と、を有する。
【0014】
本発明による報知方法は、交通機関の予め定められた通常経路と、前記交通機関のユーザが利用した経路および時刻を示す利用履歴とを記録し、前記利用履歴において、前記通常経路の端部を結ぶ、前記通常経路とは異なる例外経路が利用されていることが示されている場合、前記利用履歴に基づいて、前記通常経路の通過にかかる時間と前記例外経路の通過にかかる時間との差分を、前記交通機関の運行に支障を与える障害のユーザに対する影響として評価する。
【0015】
本発明によるプログラムは、交通機関の予め定められた通常経路と、前記交通機関のユーザが利用した経路および時刻を示す利用履歴とを記録する手順と、前記利用履歴において、前記通常経路の端部を結ぶ、前記通常経路とは異なる例外経路が利用されていることが示されている場合、前記利用履歴に基づいて、前記通常経路の通過にかかる時間と前記例外経路の通過にかかる時間との差分を、前記交通機関の運行に支障を与える障害のユーザに対する影響として評価する手順とを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、交通機関の正常な運行に支障を与える障害のユーザに対する影響をより正確に評価することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態である携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図2】定期券情報の一例を示す図である。
【図3】利用履歴情報の一例を示す図である。
【図4】RAMの機能的な構成の一例を示す図である。
【図5】定時実行処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】例外学習処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】例外予測処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態である携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図9】ユーザが通勤で利用する経路の一例を示す図である。
【図10】定期券情報の具体例を示す図である。
【図11】利用履歴情報の具体例を示す図である。
【図12】利用履歴情報の他の具体例を示す図である。
【図13】例外情報の具体例を示す図である。
【図14】通常経路以外の地域にも延びている路線の一例を示す図である。
【図15】気象情報の一例を示す図である。
【図16】地域情報の変化例を示す図である。
【図17】追加設定時間の修正例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有するものには同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態である携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す携帯端末装置1は、時報することが可能な情報処理装置であり、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット型PC(Personal computer)、ノート型PCまたはゲーム機などである。
【0021】
携帯端末装置1は、表示部11と、スピーカ12と、時計部13と、通信部14と、操作部15と、非接触IC(integrated circuit)カード16と、ROM(Read Only Memory)17と、RAM(Random Access Memory)18と、CPU(Central Processing Unit)19とを有する。
【0022】
表示部11は、種々の情報を表示する。
【0023】
スピーカ12は、アラームなどの種々の情報を音声でユーザに報知する報知部である。
【0024】
時計部13は、現在時刻を測定し、予め定められた設定時刻になったことを検知する。時計部13は、設定時刻になったことを検知すると、設定時刻であることを示す時報信号をCPU19に通知する。
【0025】
通信部14は、地域天気情報サーバ2とネットワーク3を介して接続する。
【0026】
地域天気情報サーバ2は、地理的な地域を特定する地域IDごとに、その地域で過去に発生した特定の事象に関する事象情報である過去事象情報と、その地域で発生が予測される特定の事象に関する事象情報である予測事象情報を格納する。特定の事象は、交通機関の運行に支障を与える可能性がある事象であり、例えば、気象現象である。また、事象情報は、例えば、降水量、風速、温度および湿度などの気象量である。また、地域は、例えば、行政区域(市区町村)ごとに分けられる。
【0027】
以下では、特定の事象を降雨として、事象情報は降水量であるとする。また、過去事象情報を過去降水量、予測事象情報を予測降水量と称する。
【0028】
操作部15は、携帯端末装置1のユーザにて操作され、その操作に応じた情報を受け付ける。例えば、操作部15は、時刻をユーザに報知するための時刻報知情報であるアラームを報知する指定時刻や、指定時刻を補正するための補正量を調整する学習動作を行うか否かを示す学習可否情報を受け付ける。
【0029】
非接触ICカード16は、電子マネー機能付きの電子定期券であり、ユーザが改札を通過する際などに自動改札装置(不図示)と無線通信を行って、交通機関を利用するための改札通過認証を行う認証機能などの種々の機能を有する。
【0030】
また、非接触ICカード16は、交通機関における各路線の経路のうち、定期券にて利用可能な経路である通常経路を示す定期券情報や、交通機関における各路線を利用した利用履歴を示す利用履歴情報を記録する記録部としても機能する。利用履歴情報は、交通機関の経路のうちのユーザが利用した経路および時刻を示す。
【0031】
図2は、定期券情報の一例を示す図である。図2において、定期券情報201は、定期券の有効期限や定期券を特定するための券番号などを示す基本情報202と、通常経路の端駅の駅名である端駅情報203および204と、通常経路内の経由駅の駅名である経由駅情報205および206とを有する。なお、経由駅情報は、図2では2つ示されているが、実際には、ないこともあるし、1または3つ以上存在することもある。端駅情報203および204と経由駅情報205および206とによって通常経路が示されている。また、定期券情報は、定期券の購入または更新時などに登録される。
【0032】
図3は、利用履歴情報の一例を示す図である。図3において、利用履歴情報301は、ユーザが入場した駅の入場駅名やその駅に入場した入場時刻などを示す入場情報302と、ユーザが退場した駅の退場駅名やその駅を退場した退場時刻などを示す退場情報303とを有する。
【0033】
入場情報302および退場情報303は、例えば、ユーザが駅の入退場を行うたびに、非接触ICカード16が自動改札装置との無線通信を用いて生成する。このため、利用履歴情報301には、図3に示すように複数の入場情報302および退場情報303が存在してもよい。
【0034】
図1の説明に戻る。ROM17は、CPU19にて読み取り可能な記録媒体であり、CPU19の動作を規定するプログラムを格納する。また、ROM17は、路線の駅名と路線が通過する地域である通過地域を特定する地域IDとを路線ごとに示す路線データベースを格納する格納部としても機能する。
【0035】
RAM18は、携帯端末装置1を制御するための制御情報を記憶する記憶部である。
【0036】
図4は、RAM18の機能的な構成とRAM18に格納されている制御データの一例を示す図である。図4において、RAM18は、動作制御情報記憶部21と、例外情報記憶部22と、地域情報記憶部23とを有する。
【0037】
動作制御情報記憶部21は、操作部15が受け付けた指定時刻と、指定時刻を補正する補正値と、学習動作を行うか否かを示す学習動作指定フラグとを記憶する。以下、学習動作指定フラグにおいて、学習動作を行うことをオン、学習動作を行わないことをオフとする。
【0038】
例外情報記憶部22は、大雨などの現象によって交通機関に障害が発生し、路線の運行に支障が生じた際のユーザの行動を示す例外情報を記憶する。運行の支障には、遅延や運休があるが、以下では、運行の支障を遅延として説明する。
【0039】
例外情報は、通常経路を通る通常路線を示す通常路線情報と、通常経路の端駅間を結ぶ、通常経路とは異なる例外経路を示す例外経路情報と、通常経路および例外経路のそれぞれを利用した際に端駅間の移動にかかった所要時間の差分である追加時間とを有する。
【0040】
なお、例外経路は複数あってもよいので、例外情報記憶部22は、例外経路を特定する例外番号ごとに例外情報を記憶してもよいが、以下では例外情報は一つであるとして説明する。
【0041】
地域情報記憶部23は、通常路線が通過する通常通過地域に関する通過地域情報を含む通過地域データベースを記憶する。なお、通常通過地域が複数ある場合、通過地域データベースは、通過地域情報を通常通過地域ごとに示す。
【0042】
通過地域情報は、通過地域を特定する地域IDと、通過地域に関連する例外情報を特定する例外番号と、通常路線に遅延が発生したときの、通過地域における降水量の最小値である例外minと、通常路線に遅延が発生していないときの、通過地域における降水量の最大値である正常maxとを含む。
【0043】
図1の説明に戻る。CPU19は、ROM17に記録されたプログラムを読み取り、その読み取ったプログラムを実行して、携帯端末装置1全体を制御する制御部である。
【0044】
例えば、CPU19は、操作部15が受け付けた指定時刻を、RAM18の動作制御情報記憶部21に記憶したり、操作部15が受け付けた学習可否情報に応じて、動作制御情報記憶部21に記憶された学習動作指定フラグの値を変更したりする。
【0045】
また、学習動作指定フラグがオンの場合、CPU19は、定期的に、非接触ICカード16に記録された利用履歴情報を確認して、例外経路が利用されているか否かを判断する。例外経路が利用されている場合、CPU19は、その利用履歴情報に基づいて、通常経路の通過にかかる時間と例外経路の通過にかかる時間との差分を、交通機関の運行に支障を与える障害のユーザに対する影響として評価する。そして、CPU19は、その差分を追加時間として含む例外情報を生成して、RAM18の例外情報記憶部22に記憶する。
【0046】
また、CPU19は、定期的に、利用履歴情報に基づいて、通常通過地域ごとに、通常経路が利用される時間帯の過去降水量および予測降水量のそれぞれを、対象過去降水量および対象予測降水量として、通信部14を用いて地域天気情報サーバ2から取得する。CPU19は、その対象過去降水量および対象予測降水量に基づいて、通常路線に遅延が発生するか否かを予測する。
【0047】
具体的には、CPU19は、通常通過地域ごとに、対象過去降水量に基づいて、正常maxおよび例外minを含む通過地域情報を生成して、RAM18の地域情報記憶部23に記憶する。そして、CPU19は、正常maxが例外minより低い通常通過地域において、例外minより予測降水量の値が大きい地域が存在する場合、通常路線に遅延が生じると予測する。
【0048】
通常路線に遅延が生じないと予測した場合、CPU19は、RAM18の動作制御情報記憶部21内の指定時刻を設定時刻として時計部13に設定する。
【0049】
一方、通常路線に遅延が生じると予測した場合、CPU19は、RAM18の例外情報記憶部22に記憶された例外情報内の追加時間を補正値として動作制御情報記憶部21に記憶する。そして、CPU19は、指定時刻から補正値を減算した補正時刻を設定時刻として時計部13に設定する。
【0050】
また、CPU19は、時計部13から時報信号を受け付けると、スピーカ12からアラームを出力することで、時報を行う。
【0051】
次に携帯端末装置1の動作を説明する。
【0052】
図5は、携帯端末装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0053】
CPU19は、時計部13を監視し、予め定められた処理開始時刻になるたびに、以下の定時実行処理を開始する。処理開始時刻は、予め設定されていてもよいし、ユーザにて設定されてもよい。以下では、処理開始時刻は、日付が変わる午前0時であるとする。
【0054】
定時実行処理では、先ず、CPU19は、RAM18の動作制御情報記憶部21に記憶されている学習動作指定フラグを確認して、学習動作を実行するか否かを判断する(ステップS1)。
【0055】
学習動作を実行しない場合、CPU19は、後述するステップS16の処理に移行する。一方、学習動作を実行する場合、CPU19は、非接触ICカード16から利用履歴情報を取得する(ステップS2)。そして、CPU19は、非接触ICカード16内の定期券情報内の2つの端駅情報を確認し、利用履歴情報における、端駅情報の一方が示す駅名を含む入場駅情報から、端駅情報の他方が示す駅名を含む退場駅情報までの情報(入場駅情報および退場駅情報)をレコードとし、最初のレコードを利用履歴情報から抽出する(ステップS3)。なお、ステップS2において、CPU19は、以前に取得されていない前日分の利用履歴情報を取得するものとする。
【0056】
レコードを抽出すると、CPU19は、その抽出したレコードと、非接触ICカード16内の定期券情報と照合して、定期券情報に記載された駅名と異なる駅名を含む例外駅名情報がレコードの中に存在するか否かを判断する(ステップS4)。
【0057】
例外駅名情報が存在する場合、CPU19は、RAM18の例外情報記憶部22から、例外駅名情報が示す例外駅名を含む例外経路情報を検索して(ステップS5)、例外駅名が既に登録されているか否かを判断する(ステップS6)。
【0058】
例外駅名が登録されていない場合、CPU19は、新しい例外経路が使用されたと判断して、非接触ICカード16に記憶された定期券情報内の駅名情報と、ROM17に格納されている路線データベースとに基づいて、通常経路を通る路線の路線名を特定し、その路線名を示す通常経路情報を生成する。そして、CPU19は、例外駅名を示す例外経路情報をさらに生成し、その通常経路情報および例外経路情報を含む例外情報を例外情報記憶部22に記憶する(ステップS7)。
【0059】
その後、CPU19は、抽出されたレコードの最初の入場情報および最後の退場情報のそれぞれが示す時刻の差分を、例外経路の通過にかかる例外通過時間として求める。そして、CPU19は、例外通過時間と、通常経路の通過にかかる通常通過時間との差分を追加時間として算出する(ステップS8)。そして、CPU19は、追加時間をステップS7で例外情報記憶部22に記憶した例外情報に追加する(ステップS9)。
【0060】
ここで通常通過時間は、例外駅名情報を含まないレコードである通常レコードの最初の入場情報および最後の退場情報のそれぞれが示す時刻の差分である。このため、CPU19は、非接触ICカード16内の利用履歴情報から通常レコードを特定し、その特定した通常レコードに基づいて、通常通過時間を算出する。
【0061】
また、ステップS6において例外駅名が登録されている場合、CPU19は、既に登録されている例外経路が利用されたと判断して、抽出したレコードの最後の退場駅情報が示す時刻を、例外経路を利用したときに目的地に到着する例外到着時刻として求める(ステップS10)。そして、CPU19は、その例外到着時刻と、通常経路を利用したときに目的地に到着する通常到着時刻との差分が閾値未満か否かを判断して、通常到着時刻が例外到着時刻に近いか否かを判断する(ステップS11)。
【0062】
ここで通常到着時刻は、抽出したレコードと最後の退場駅情報が同じ通常レコードの最後の退場駅情報が示す退場時刻である。このため、CPU19は、非接触ICカード16内の利用履歴情報から上記のような通常レコードを特定し、その特定した通常レコードに基づいて、通常到着時刻を算出する。
【0063】
ステップS11にて通常到着時刻が例外到着時刻に近い場合、CPU19は、ステップS8の処理を実行する。
【0064】
また、ステップS11にて通常到着時刻が例外到着時刻から遠い場合、および、ステップS9を終了した場合、CPU19は、通常路線に遅延が発生して例外経路を利用したことを示す内部フラグを立てる(ステップS12)。
【0065】
ステップS13で内部フラグが立てられた場合、および、ステップS4で例外駅名情報が存在しないと判断された場合、CPU19は、利用履歴情報から最後のレコードを抽出したか否かを確認する(ステップS13)。
【0066】
最後のレコードを抽出していない場合、CPU19は、利用履歴情報から次のレコードを抽出し(ステップS14)、ステップS4の処理に戻る
一方、最後のレコードを抽出している場合、CPU19は、CPU19は、前日の降水量からより適切な通過地域情報を学習する例外学習処理を実行し(ステップS15)、その後、路線の遅延を予測して指定時刻を補正する例外予測処理を実行する(ステップS16)。これにより、定時実行処理が終了する。なお、ステップS15およびS16の処理の詳細な説明は後述する。
【0067】
図6は、ステップS15の例外学習処理をより詳細に説明するためのフローチャートである。
【0068】
例外学習処理では、CPU19は、先ず、RAM18の地域情報記憶部23を確認して(ステップS21)、通過地域データベースが地域情報記憶部23に記憶されているか否かを判断する(ステップS22)。
【0069】
通過地域データベースが地域情報記憶部23に記憶されていない場合、CPU19は、非接触ICカード16から定期券情報を取得する(ステップS23)。そして、CPU19は、その定期券情報内の端駅情報および経由駅情報と、ROM17に格納されている路線データベースとに基づいて通過地域データベースを生成し、その通過地域データベースを地域情報記憶部23に記憶する(ステップS24)。なお、この通過地域データベース内の正常maxおよび例外minは予め定められた初期値である。正常maxの初期値は0であり、例外minの初期値は、実際の降水量としてはあり得ないような大きな値であるとする。
【0070】
ステップS22において通過地域データベースが地域情報記憶部23に記憶されている場合、および、ステップS24で通過地域データベースを地域情報記憶部23に記憶した場合、CPU19は、その通過地域データベースから地域IDを1つ取得する(ステップS25)。
【0071】
そして、CPU19は、通信部14を用いて、ネットワーク3を介して地域天気情報サーバ2と接続し、地域天気情報サーバ2から、取得した地域IDに対応する過去降水量のうち、前日の通常経路が利用される通過時間帯の過去降水量である対象過去降水量を取得する(ステップS26)。なお、通過時間帯は、利用履歴情報から特定することができる。
【0072】
CPU19は、内部フラグが立てられている否かを確認する(ステップS27)。
【0073】
内部フラグが立てられている場合、CPU19は、対象過去降水量が例外min未満か否かを判断する(ステップS28)。
【0074】
対象過去降水量が例外min未満の場合、CPU19は、対象過去降水量が正常max以下か否かを判断する(ステップS29)。
【0075】
対象過去降水量が正常max超の場合、CPU19は、対象過去降水量を例外minとして、取得した地域IDを含む通過地域情報に登録する。そして、CPU19は、取得した地域IDにて特定される地域を通過する通常路線を示す通常路線情報を含む例外情報を、ROM17内の路線データベースを用いて特定し、その例外情報の例外番号を、取得した地域IDを含む通過地域情報に登録する(ステップS30)。
【0076】
ステップS28で降水量が例外min以上の場合、ステップS29で降水量が正常max以下の場合、および、ステップ30を終了した場合、CPU19は、全ての地域IDを取得したか否かを判断する(ステップS31)。CPU19は、全ての地域IDを取得した場合、例外学習処理を終了し、全ての地域IDを取得していない場合、ステップS25の処理に戻って、新しい地域IDを取得する。
【0077】
また、ステップS27で内部フラグが立てられていない場合、CPU19は、降水量が例外min以上か否かを判断する(ステップS32)。
【0078】
降水量が例外min以上の場合、CPU19は、例外minを初期化する(ステップS33)。
【0079】
降水量が例外min未満の場合、および、例外minを初期化した場合、CPU19は、降水量が正常max超か否かを判断する(ステップS34)。
【0080】
降水量が正常max超の場合、CPU19は、降水量を正常maxとして本通過地域情報に登録する(ステップS35)。なお、降水量が正常max以下の場合、および正常maxを登録した場合、CPU19は、ステップ31の処理に移行する。
【0081】
図7は、例外予測処理をより詳細に説明するためのフローチャートである。
【0082】
例外予測処理では、CPU19は、先ず、例外予測結果を例外なしに初期化し(ステップS41)、その後、RAM18の地域情報記憶部23に記憶されている通過地域データベースから地域IDを1つ取得する(ステップS42)。なお、例外予測結果は、RAM18に記憶されているものとしている。
【0083】
CPU19は、地域IDを含む通過地域情報内の例外minが初期値未満か否かを判断する(ステップS43)。
【0084】
例外minが初期値未満の場合、CPU19は、通信部14を用いて、ネットワーク3を介して地域天気情報サーバ2と接続し、取得した地域IDに対応する予測降水量のうち、当日の通常経路が利用される通過時間帯の予測降水量である対象予測降水量を取得する(ステップS44)。
【0085】
その後、CPU19は、対象予測降水量が例外min以上か否かを判断する(ステップS45)。
【0086】
対象予測降水量が例外min以上の場合、CPU19は、取得した地域IDを含む通過地域情報内の例外番号を、RAM18内の例外予測結果に追加する(ステップS46)。
【0087】
ステップS43で例外minが初期値以上の場合、ステップS45で対象予測降水量が例外min未満の場合、および、ステップS46を終了した場合、CPU19は、全ての地域IDを取得したか否かを判断する(ステップS47)。
【0088】
全ての地域IDを取得していない場合、CPU19は、ステップS42の処理に戻って、新しい地域IDを取得する。一方、全ての地域IDを取得した場合、CPU19は、RAM18内の例外予測結果に例外番号が存在するか否かを判断して、路線に遅延が発生する可能性があるか否かを判断する(ステップS48)。
【0089】
例外番号が存在しない場合、CPU19は、路線に遅延が発生する可能性がなりと判断して、CPU19は、動作制御情報記憶部21内の補正値を0にクリアして、動作制御情報記憶部21内の指定時刻を設定時刻として時計部13に設定し(ステップ49)、例外予測処理を終了する。
【0090】
一方、例外番号が存在する場合、CPU19は、例外予測結果内の例外番号に対応する例外情報の追加時間を参照する(ステップS50)。そしてCPU19は、その追加時間を補正値として動作制御情報記憶部21に記憶するとともに、動作制御情報記憶部21内の指定時刻から補正値を減算した補正時間を設定時間として時計部13に設定し(ステップS51)、例外予測処理を終了する。
【0091】
なお、以上の動作において、学習動作指定フラグがオフの場合、定時実行処理のうちの例外予測処理のみが行われるので、指定時刻が十分適切に補正されるようになった場合、ユーザは学習動作フラグをオフにすることが望ましい。この場合、路線の遅延の発生に寄与する地域の予測降水量のみが地域天気情報サーバ3から取得されるので、ネットワークのトラフィック、地域天気情報サーバ3の負荷、通信費、携帯端末装置1の消費電力および動作速度の低下などを抑制することができる。
【0092】
以上説明したように本実施形態によれば、ユーザが交通機関を利用した経路および時刻に基づいて、交通機関の運行に支障を与える障害のユーザに対する影響が評価されるので、ユーザの歩行速度などの個人的な特性を考慮した評価が可能になり、交通機関の正常な運行に支障を与える障害のユーザに対する影響をより正確に評価することが可能になる。
【0093】
また、ユーザが使用する路線が通過する地域における事象情報を取得に基づいて、路線の運行に支障が発生するか否かが予測される。このため、ユーザに影響を与えない地域における事象情報を取得しなくてもよくなるので、その予測に係る時間を短縮することが可能になるとともに、特定のサーバの負荷やネットワークのトラフィックを軽減することが可能になる。
【0094】
また、ユーザが交通機関を利用した経路および時刻に基づいて、時報が行われる時刻が補正されるので、時報を行う時刻を、ユーザの個人的な特性を考慮して、適切に補正することが可能になる。
【0095】
次に本発明の他の実施形態について説明する。
【0096】
また、路線データベースは、ROM17に格納されていたが、携帯端末装置1とは別の外部装置に格納されていてもよい。この場合、ネットワークのトラフィックは増加する可能性があるが、ROM17の容量を低減することができるという効果が得られる。
【0097】
また、自宅から駅までが離れており、通常時は、自転車を使用して駅に到着しているが、雨や雪の日は、バスなどの特定の交通機関を利用する場合がある。
【0098】
この場合、利用履歴情報には、通常経路の端駅に対応する入場駅情報の前や退場駅情報の後に、バスステーションに対応する入場駅情報や退場駅情報が記録される。このため、CPU19は、端駅情報の一方が示す駅名を含む入場駅情報の前の、バスステーションに対応する入場駅情報から、端駅情報の他方が示す駅名を含む退場駅情報の後のバスステーションに対応する退場駅情報までをレコードとする。
【0099】
この場合、第1の実施形態では、上記のレコードは、バスステーションに対応する入場駅情報などの例外駅名情報となるので、バスが通過する地域における降水量は取得されない。しかしながら、バスを利用するか否かは、自宅やバスステーションを含む地域の降水量に依存すると考えられるので、CPU19は、バスステーションを含む地域を通常地域と通常通過地域とみなして、その地域における降水量を取得してもよい。または、CPU19は、バスを含む例外路線が通過する地域の降水量を取得するようにしてもよい。
【0100】
また、携帯端末装置1は、図8に示す構成でもよい。図8に示す携帯端末装置1は、記録部31と制御部32とを有する。
【0101】
記録部31は、非接触ICカードなどであり、交通機関の予め定められた通常経路と、交通機関のユーザが利用した経路および時刻を示す利用履歴とを記録する。なお、通常経路は、定期券にて利用可能な経路でもよいし、ユーザにて登録された経路でもよい。
【0102】
制御部32は、記録部31の利用履歴において、通常経路の端部を結ぶ、通常経路とは異なる例外経路が利用されていることが示されている場合、その利用履歴に基づいて、通常経路の通過にかかる時間と例外経路の通過にかかる時間との差分を、交通機関の運行に支障を与える障害のユーザに対する影響として評価する。
【0103】
このような構成でも、個人的な特性を考慮した評価が可能になるので、交通機関の正常な運行に支障を与える障害のユーザに対する影響をより正確に評価することが可能になる。
【実施例】
【0104】
図9は、携帯端末装置1のユーザが通勤で利用する経路の一例を示す図である。図9において、実線は、通常経路を表し、点線は、例外経路を表す。
【0105】
通常経路は、端駅が京浜東北線の蕨駅および武蔵野線の南流山であり、ユーザは、蕨駅から南浦和駅で武蔵野線に乗り換えて南流山まで通勤している。この場合、非接触ICカード16には、図10に示すような、端駅情報として蕨駅および南流山駅、経由駅情報として南浦和および東川口などを含む定期券情報が保持される。これにより、ユーザが通常路線として京浜東北線と武蔵野線を利用していることもわかる。
【0106】
例外経路は、悪天候などが原因で通常路線が遅延したためにユーザが通勤に利用した経路を表している。このとき、ユーザは、蕨駅から京浜東北線を通常とは逆方向に乗車して日暮里まで行き、日暮里で地下鉄に乗り換え、その地下鉄で北千住に行った後、さらに北千住から電車を利用して南流山に到着している。
【0107】
図11および図12は、図9および10の例における非接触ICカード16が保持している利用履歴情報の一例を示す図である。なお、図11および図12では、ユーザが利用した路線を分かりやすくするために、駅名の前には、その駅を運営する運営組織の略称(営など)が示されている。
【0108】
図11では、ユーザが通常経路のみを利用して通勤している場合の利用履歴情報が示されており、朝の時間帯では、乗車駅が蕨駅、降車駅が南流山駅であり、夕方の時間帯では、乗車駅が南流山駅、降車駅が蕨駅となっている。
【0109】
図12では、ユーザが例外経路を利用して通勤したことがある場合の利用履歴情報が示されており、ユーザは2月4日の出退社時および2月5日の退社時には通常経路で通勤したが、2月5日の出社時には例外経路を利用したことが示されている。
【0110】
図13は、図12で示した利用履歴情報を有するときの例外情報を示す図である。図13では、例外情報は、例外経路情報として西日暮里と北千住を有し、追加時間として21分を有し、通常路線として武蔵野線を有している。なお、追加時間は、2月4日などの通常経路を利用したときの通勤時間が44分(=8:20−7:36)であり、2月5日の例外経路を利用したときの通勤時間が65分であることから算出される。なお、例外情報は複数あってもよいが、ここでは説明を簡潔に行うため、一つだけとしている。
【0111】
ところで、公共交通機関の遅延の原因が悪天候の場合、その悪天候は通常経路内の通常通過地域のみで発生しているとは限らない。例えば、図14にて実線で表されている武蔵野線(実線)のように、ユーザが利用する路線は通常経路以外にも延びている場合があり、その通常経路以外の地域で悪天候が発生していることもある。
【0112】
このため、路線ごとに通過地域に関する地域情報は、上述のようにROM17に格納されており、携帯端末装置1は、地域天気情報サーバ2からこれらの通過地域の任意の時刻の気象情報を得ることができる。図15は、気象情報の一例を示す図である。図15では、4回分の気象情報が示されており、各地域の降雨量と、遅延発生の有無とが示されている。
【0113】
実際の学習動作では、京浜東北線も含めた全ての地域の情報を処理するが、ここで、説明の便宜のために図16で示した3つの地域(小平市、戸田市および三郷市)を例に説明する。
【0114】
学習動作では、例外minの初期値として99が設定される。これが設定されている地域は、路線に遅延を発生させやすいウィークポイント(以後、弱い部分であることを象徴的に表す「アキレス腱」という名称を使用する)ではない地域を現している。また、正常maxの初期値として0が設定されている。
【0115】
例えば小平市の場合、利用した電車が通過する時間帯の降雨量は、その電車の運行に遅延が起きたときに25ミリであった。また、記録4では20ミリで、電車の運行に遅延が発生しているため、この地域で20ミリの雨が降ると電車の運行に支障を来たす可能性があることが定義される。
【0116】
戸田市では、遅延が起きたときに15ミリの降雨が観測されたため、15ミリの雨が降ると電車の運行に支障を来たす可能性が示唆される。しかし、翌日には20ミリの降雨で遅延が発生しないため、15ミリで例外が発生するという仮定は、否定され、例外minは初期値の99に戻る。同時に正常maxとして20ミリが設定されるため、記録4で5ミリの降雨で例外が発生したことは地域情報には学習されない。
【0117】
三郷市では記録1で小平市と同じ25ミリの降雨が観測されている。記録2では例外が発生していないが、降雨量は10ミリであったので25ミリの降雨で例外が発生する可能性は否定されない。しかし、記録3で25ミリの降雨があったにもかかわらず例外が発生しなかったため、25ミリの降雨が要因となる可能性は否定され、99に戻る。
【0118】
以上の動作により、4回の観測から学習された結果は、小平市のみが遅延の原因となりやすく、その最低降雨量は20ミリである、言い換えると小平市で20ミリ以上の雨が予測されているときは電車の遅延が予測される。
【0119】
この記録1または記録4のときに前述の例外情報の格納が行われており、本説明では説明を簡潔にするために例外情報は1種類としているので、その例外情報番号は1である。
【0120】
そこで例外minの小平市20ミリという情報は例外情報1と関連付けられて地域情報(ID=小平市)の例外番号に1が格納され、小平市に20ミリ以上の雨が降る可能性があれば、アラームの報知時刻を21分早める必要があることがわかる。
【0121】
さらに、図11の記録では2月5日の朝は蕨駅にいつもと同じ7:35前後に入場しており、南流山に21分遅れて到着している。これは、駅に行ってから異常に気がついてあわてて対応したが、予定している時刻に到着できなかった記録の例である。
【0122】
このときの記録は図17(a)に示されている。一方、図17(b)では、ユーザが携帯端末装置1の機能を用いて、遅延を予測して行動した、2月15日の入社時の履歴を含む履歴情報が示されている。図17に示されているように、2月15日の入社時には、出発時刻が14分早まり、南流山に通常とほとんど変わらない時刻に到着している。このときは所要時間の差は11分であり、目的は南流山に遅延せずに到着することであるので、こちらの時間差を設定するのが正しい。よって、例外情報の追加時間は11分に書き換えられる。
【0123】
本実施例では、最初に追加時間を登録する場合には、到着時刻が通常時の到着時間と近くなくても登録されが、それ以降は到着時刻が通常時刻に近い場合に追加時間の値を更新するようにしている。そのため、この例では最初は、21分早く時報が行われるが鳴動することになるが、学習が進んで追加時間を書き換えた後は、11分早く時報が行われるように修正される。
【0124】
以上説明した各実施形態および各実施例において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【0125】
例えば、報知部としてスピーカを用いてアラームを音声で出力して時報を行っていたが、報知部はスピーカに限らず適宜変更可能である。例えば、報知部は、時報を振動で行うバイブレーションなどでもよい。
【0126】
また、交通機関の運行に支障を与える可能性がある特定の事象として気象現象(特に降雨)を例に説明したが、特定の事象は、気象現象に限らず、例えば、火災などの災害や、信号などの故障でもよい。
【0127】
また、以上説明した携帯端末装置の機能は、専用のハードウェアで実現されてもよいし、その機能を実現するためのプログラムを、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませ実行させることで、実現されてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 携帯端末装置
11 表示部
12 スピーカ
13 時計部
14 通信部
15 操作部
16 非接触ICカード
17 ROM
18 RAM
19 CPU
21 動作制御情報記憶部
22 例外情報記憶部
23 地域情報記憶部
31 記録部
32 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関の予め定められた通常経路と、前記交通機関のユーザが利用した経路および時刻を示す利用履歴とを記録する記録部と、
前記利用履歴において、前記通常経路の端部を結ぶ、前記通常経路とは異なる例外経路が利用されていることが示されている場合、前記利用履歴に基づいて、前記通常経路の通過にかかる時間と前記例外経路の通過にかかる時間との差分を、前記交通機関の運行に支障を与える障害のユーザに対する影響として評価する制御部と、を有する情報処理装置。
【請求項2】
地理的な地域ごとに、当該地域で過去に発生した特定の事象に関する過去事象情報と、当該地域で発生が予測される前記特定の事象に関する予測事象情報とを格納するサーバと接続する通信部をさらに有し、
前記制御部は、前記利用履歴に基づいて、前記交通機関における前記通常経路を通る路線が通過する通過地域における、前記通常経路が利用される時間帯の過去事象情報および予測事象情報のそれぞれを、対象過去情報および対象予測情報として前記サーバから前記通信部を用いて取得し、当該過去事象情報および当該予測事象情報に基づいて、前記路線の運行に支障が発生するか否かを予測する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
報知部と、
予め指定された指定時刻を記憶する記憶部と、
現在時刻を測定し、予め設定された設定時刻になったことを検知する時計部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記路線の運行に支障が発生しないと予測した場合、前記指定時刻を前記設定時刻として前記時計部に設定し、前記路線の運行に支障が発生すると予測した場合、前記指定時刻から前記差分を減算した補正時刻を前記設定時刻として前記時計部に設定し、前記時計部にて前記設定時刻になったことが検知されると、前記報知部を用いて時報する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記事象は、気象現象であり、
前記過去事象情報および前記予測事象情報は、前記気象現象の気象量である、請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記対象過去情報のうちの前記例外経路が利用されたときの過去対象情報の最小値より、前記対象予測情報の値が大きい前記通過地域が存在する場合、前記路線の運行に支障が発生すると予測する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記対象過去情報のうちの前記通常経路が利用されたときの対象過去情報の最大値が前記最小値より低い通過地域において、前記最小値より前記予測対象情報の値が大きい前記通過地域が存在する場合、前記路線の運行に支障が発生すると予測する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
交通機関の予め定められた通常経路と、前記交通機関のユーザが利用した経路および時刻を示す利用履歴とを記録し、
前記利用履歴において、前記通常経路の端部を結ぶ、前記通常経路とは異なる例外経路が利用されていることが示されている場合、前記利用履歴に基づいて、前記通常経路の通過にかかる時間と前記例外経路の通過にかかる時間との差分を、前記交通機関の運行に支障を与える障害のユーザに対する影響として評価する、障害影響評価方法。
【請求項8】
交通機関の予め定められた通常経路と、前記交通機関のユーザが利用した経路および時刻を示す利用履歴とを記録する手順と、
前記利用履歴において、前記通常経路の端部を結ぶ、前記通常経路とは異なる例外経路が利用されていることが示されている場合、前記利用履歴に基づいて、前記通常経路の通過にかかる時間と前記例外経路の通過にかかる時間との差分を、前記交通機関の運行に支障を与える障害のユーザに対する影響として評価する手順とを、コンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−4012(P2013−4012A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137410(P2011−137410)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)