情報処理装置、集積回路、データ転送制御方法、データ転送制御用プログラム、プログラム記録媒体、プログラム伝送媒体、及びデータ記録媒体
メディア利用管理部22は、メモリカード13に記憶されたメディアIDを読み取るとともに、所定の時間間隔で、データ転送中における各時刻を示す最終更新時刻情報を取得し、メディアID、及び最終更新時刻情報を含めて状態情報として利用管理メモリ104に記録する。メディア利用管理部22は、更に、メモリカード13にも最終更新時刻情報を状態情報として記録する。転送再開判定部24は、データ転送を開始するとき、装着されたメモリカード13、及び利用管理メモリ104の双方に記憶された状態情報に含まれるメディアID、及び最終更新時刻情報を照合する。照合の結果、双方が保持する状態情報が互いに一致しておれば、転送再開制御部25は、最新更新時刻情報が示すデータ位置からのデータの転送を、データ転送処理部21に再開させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な記録媒体と自身との間でデータの転送を行う情報処理装置、上記情報処理装置の部品としての集積回路、上記情報処理装置を制御するデータ転送制御方法、上記情報処理装置を制御するデータ転送制御用プログラム、当該データ転送制御用プログラムを記録したプログラム記録媒体、上記データ転送制御用プログラムを保持するプログラム伝送媒体、及び上記情報処理装置によるデータ転送に供されたデータ記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークの高速化やパーソナルコンピュータ、デジタルテレビジョン受信機等の一般家庭への急速な普及により、高画質の映像や高音質の音声等、デジタル化されたコンテンツデータの形式で、データを配布することが極めて容易に実現し得るようになった。さらに、一般のユーザでも容易にデジタルコンテンツデータ(以下、コンテンツと呼ぶ)を扱うことが可能となるに従い、種々のコンテンツを提供するサービスも普及している。また、ハードディスク装置やDVD(Digital Versatile Disc)、SD(Secure Digital)メモリカード(商品名)など記録媒体の多様化とともに、記録媒体の大容量化も急速に進みつつある。このため、SDメモリカードのような小型の記録媒体であっても、例えば、2時間分の映画番組など大容量データとなるコンテンツを記録することが可能となり、一般家庭であっても膨大な量のコンテンツを所有することができるようになりつつある。
【0003】
コンテンツを記録可能な記録媒体の一つとして、半導体メモリを内蔵した半導体記録媒体がある。さらに、半導体記録媒体として、カード状の形状とした半導体メモリカード(以下、メモリカードと呼ぶ)が知られている。メモリカードは、内部に、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリを備えている。メモリカードは、半導体メモリに映像データや音声データを書き込んだり、読み出したりすることにより、コンテンツの録画や再生などを可能にする。
【0004】
メモリカードとしては、例えば、上記のSDメモリカード(商品名)、メモリスティック(商品名)、スマートメディア(商品名)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、あるいはMMCと呼ばれるマルチメディアカード等がある。メモリカードは、大容量のデータ記録が可能なDVDと比較すると、より小型、コンパクトである。このためメモリカードは、例えば、携帯電話や、あるいは携帯プレーヤのような持ち運びが可能な情報処理機器に装着して、コンテンツを記録したり、あるいは再生するなどの用途に利用されつつある。また、パーソナルコンピュータ等にも、メモリカードが着脱可能なインタフェースが設けられつつある。
【0005】
このように各種の情報処理装置等にメモリカードが装着できるようになると、例えば、外出先などでは携帯電話機で各種データを収集してメモリカードに記録し、家庭内ではそのメモリカードをパーソナルコンピュータに装着し直し、パーソナルコンピュータを用いて、収集した各種データを編集するような利用が可能となる。あるいは、パーソナルコンピュータを用いて編集した音楽データをメモリカードに記録し、外出先では、そのメモリカードを携帯プレーヤに装着し、再生するような利用形態もあり得る。このように、メモリカードのコンパクト性を生かした各種の利用形態が考えられる。
【0006】
一方、メモリカードは、上述したように小型、コンパクトであるため、携帯しながら利用されることが多く、コンテンツの再生や記録の中断が頻繁に起こるであろうと予測される。例えば、携帯音楽プレーヤにメモリカードを利用する場合、携帯しながら音楽を再生することが多いため、音楽データの再生を一時中断し、再び音楽再生を再開するという利用の仕方が多いものと考えられる。さらに、メモリカードは容易に装置本体に着脱可能であるため、電源をオン、すなわち、電源を投入したままでメモリカードを抜き差ししてしまう頻度も比較的高いものと予想される。また、携帯電話機にメモリカードを装着し、携帯電話機を用いてコンテンツのダウンロードサービスを利用するような場合、無線エリア外に出るとか、あるいは無線伝送路の品質劣化により回線断が発生し、ダウンロードが中断され、その結果、コンテンツの途中までしかメモリカードには記録されなかったといった不具合も考えられる。
【0007】
このため、メモリカードを装着してデータの記録再生を行うことが可能な情報処理装置において、記録再生のためのデータ転送が中断した後に、継続してその記録再生が可能かどうかを判断し、その判断に基づいて、中断後の記録再生を行なう技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
図13は、特許文献1に開示されるように、中断したデータ転送の再開判定機能を有した従来の通信端末装置の構成を示すブロック図である。図13において、通信端末装置99は、通信部991、制御部992、メモリカードインタフェース993、記憶部994、及びユーザインタフェース995を備えている。それにより通信端末装置99は、コンテンツサーバ91から通信ネットワークを介してダウンロードされるデータを受信する。通信端末装置99は更に、受信したデータを、通信端末装置99のメモリカードインタフェース993を介し、メモリカードインタフェース993に装着されたメモリカード93に記録する。
【0009】
通信部991は、コンテンツサーバ91からダウンロードされるデータを受信するものである。ユーザインタフェース995は、ユーザに対するインタフェースとして機能するものである。制御部992は、ダウンロードデータの記録の中断やその再開の制御、及びダウンロードデータの処理を含めて、通信端末装置99の各部の制御を行なう。記憶部994は、ダウンロードデータの記録の中断や記録の再開の制御のための情報、及びダウンロードデータの処理のための情報を含めて、通信端末装置99の各部の制御を行なうための情報を記憶する。メモリカードインタフェース993は、装着されたメモリカード93に対するインタフェースとして機能する。
【0010】
記憶部994には、通信端末装置99の個々を識別するための端末IDが端末ID記憶領域941に記憶される。また、ダウンロードが行なわれるごとに、制御部992のダウンロード中断制御機能921により、実行中のダウンロードを他のダウンロードと識別するためのダウンロード識別情報がダウンロード識別情報記憶領域942に記憶され、さらに、メモリカード93の管理領域931にも端末IDとダウンロード識別情報とが記録される。
【0011】
また、ユーザによりユーザインタフェース995からダウンロード要求が入力された場合、制御部992のダウンロード再開判定機能922により、端末ID記憶領域941と管理領域931とに記憶されたそれぞれの端末ID、及びダウンロード識別情報記憶領域942と管理領域931とに記憶されたそれぞれのダウンロード識別情報が照合される。さらに、ダウンロード再開判定機能922は、メモリカード93にダウンロード中途で中断したデータが存在する場合、照合結果をもとに、このダウンロード中断データについてダウンロードの再開が可能であるか否かを判定する。再開判定の結果、中断から継続してダウンロードの再開が可能であると判断された場合、制御部992のダウンロード再開制御機能923により、中断から継続するようにダウンロードが再開され、中断後のデータがメモリカード93に記録される。
【0012】
以上の構成により、ダウンロード中断前に使用していた通信端末装置と同一の通信端末装置を使用し、ユーザがダウンロード中断前に使用していたメモリカードと同一のメモリカードを使用した場合にのみダウンロードを再開することができ、これにより同一のコンテンツを構成するコンテンツが複数のメモリカードに分かれて格納される不具合を防止することができる。
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示される従来技術は、ダウンロードの再開を、コンテンツ単位でしか行い得ないという問題点があった。例えば、ダウンロードの対象とされるデータが音楽コンテンツである場合、10曲をまとめてダウンロードする際に、5曲目のダウンロート中に中断が生じたときには、5曲目の先頭からダウンロードを再開せざるを得なかった。既に述べたように、現今においてSDメモリカードは、2時間の長さの映画コンテンツを記録し得るだけの記憶容量を獲得しつつある。かかる長大なコンテンツのダウンロード中に中断が発生すると、最大2時間ほども逆戻りしてダウンロードを再開しなければならない。
【0014】
メモリカードは、上述したように各種の機器や装置に対し頻繁に着脱が行なわれるため、ダウンロードの中断が生じる原因として、上述したもの以外に、例えば、メモリカード装着時の接触不良や、記録再生中に発生する接触不良、あるいは誤って電源をオフ状態、すなわち、電源断の状態とすることも考えられる。長大なコンテンツをダウンロードしている最中に、かかる原因により頻繁に中断が生じるのでは、通信端末装置及びメモリカードの利便性が損なわれ兼ねない。
【特許文献1】特開2002−288142号公報
【発明の開示】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、着脱可能な記録媒体に対するデータ転送中に中断が生じた場合に、記録媒体の同一性を確認した上で、コンテンツ単位よりも短い戻り時間で転送を再開することを可能にする技術を提供することを目的とする。
【0016】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るものは、情報処理装置であって、前記情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、前記記録媒体を管理する媒体管理部と、を備えている。そして、当該媒体管理部は、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録部と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録部と、を有している。
【0017】
前記情報処理装置は、更に、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定部と、前記転送再開判定部の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御部と、を備えている。
【0018】
本発明の目的、特徴、局面、及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(1.構成)
図1は、本発明の一実施の形態による情報処理装置の構成を示すブロック図である。この情報処理装置は通信端末装置10として具体化されている。通信端末装置10は、データの記録再生機能を有し、且つ通信機能を備えている。通信端末装置10は、更に、本発明の記録媒体の実施形態に該当するメモリカードが着脱可能なインタフェースを備えている。メモリカードをインタフェースに装着することにより、当該メモリカードに対してデータの記録再生処理を行うことが可能となっている。
【0021】
通信端末装置10は、例えば、SDメモリカードなどのメモリカードを装着し、SDメモリカードに記録された画像データを表示画面に表示したり、逆に、インターネット網に接続して音声や画像データで構成されるコンテンツをSDメモリカードにダウンロードするなどの機能を備えた携帯電話機として、更に具体化することが可能である。以下において、通信端末装置10は、このような携帯電話機として構成されているものとする。
【0022】
図1に示すように、通信端末装置10は主要な要素として、通信部101、制御部102、メモリカードインタフェース103、利用管理メモリ104、ユーザインタフェース105、データメモリ106、及び外部インタフェース107を備える。それにより通信端末装置10は、通信ネットワークを介して、無線により、デジタルデータである音声データや画像データなどの送受信を行なう。また、通信端末装置10は、メモリカードインタフェース103を介し、メモリカードインタフェース103に装着されたメモリカード13との間でデジタルデータ(以下、適宜、データと呼ぶ)の転送を行なうことにより、メモリカード13に対してデータを記録したり、あるいはメモリカード13からデータを読み込んだりする。通信端末装置10は、それによりコンテンツ等の記録や再生を行なう。
【0023】
通信部101は、基地局等との通信を行ない、それによりデータを送受信するものである。制御部102は、後述するデータ転送の中断やその再開の制御を含めて、通信端末装置10の各部の制御を行なう。メモリカードインタフェース103は、装着されたメモリカード13に対するインタフェースとして機能する。利用管理メモリ104は、通信端末装置10の利用に関する情報などを記憶する。ユーザインタフェース105は、ユーザに対するインタフェースとして機能する。データメモリ106は、送受信したデータやアプリケーション機能で利用するコンテンツ等を記憶する。外部インタフェース107は、外部装置と通信端末装置10との間でのデータ或いはプログラム等の送受信を可能にするインタフェースであり、例えば、USB等のシリアルインタフェースを有している。
【0024】
制御部102は、通信端末装置10の各部の制御や処理機能を備えた主制御部であり、通信部101と接続した通信に関する制御や処理、ユーザインタフェース105と接続してユーザからの指示を受け付けたり、情報を表示するなどユーザインタフェース105に関する制御や処理、あるいは、メモリカード13にデータを転送してそのデータをメモリカード13に記録したり、メモリカード13から転送されるデータを受け取り、コンテンツの再生処理を行なうなどの基本的な制御、処理機能を備えている。さらに、制御部102は、これらの基本的な制御、処理機能に加えて、メモリカード13との間でのデータ転送中に中断が生じたとき、その中断から継続してデータ転送の再開が可能であるかどうかを判定する機能、及びその判定に基づいてデータ転送を行なう機能を有している。なお、以下、説明を分かりやすくするため、機能ブロックを用いてこのような機能を実現する例を挙げて説明するが、例えば、プログラムメモリに記録したプログラムの各ステップをマイクロコンピュータに実行させることで実現してもよく、このようなマイクロコンピュータなどで実現するのがより一般的である。
【0025】
制御部102をマイクロコンピュータ等のコンピュータで実現する場合には、当該コンピュータは、不図示のCPU(Central Processing Unit;中央演算処理部)、このCPUの動作を規定するプログラムを格納する不図示のRAM(Random Access Memory)或いはROM(Read Only Memory)、一時的にデータを保管する不図示のRAM等の記憶部を有する。上記プログラムは、ROM、フレキシブルディスク、CD−ROM等の記録媒体131を通じて供給することも、電話回線、ネットワーク等の伝送媒体133を通じて供給することも可能である。図1には、記録媒体131としてCD−ROMが描かれており、伝送媒体133として無線の伝送媒体が描かれている。
【0026】
記録媒体131としてCD−ROMに記録されたプログラムは、外部装置としてのCD−ROM読取装置132を外部インタフェース107へ接続することにより、読み出すことができ、更に通信端末装置10が有する不図示のRAM或いは小型ハードディスク等の記憶装置に格納することができる。記録媒体131としてROMの形態でプログラムが供給される場合には、当該ROMを通信端末装置10に搭載することにより、制御部102は上記プログラムに従った処理を実行可能となる。
【0027】
伝送媒体133を通じて供給される上記プログラムは、通信部101を通じて受信され、通信端末装置10が有する不図示のRAM或いは小型ハードディスク等の記憶装置に格納される。伝送媒体133は、上記の通り有線の伝送媒体に限られない。また、伝送媒体133は通信線路のみでなく、通信線路を中継する中継装置、例えばルータ等も含む。
【0028】
制御部102は主要な要素として、データ転送部21、メディア利用管理部22、更新時刻生成部23、転送再開判定部24及び転送再開制御部25を備えている。データ転送処理部21は、データメモリ106とメモリカードインタフェース103を介して接続されたメモリカード13との間のデータ転送により、メモリカード13に対するデータの記録再生に関する処理を行なう。すなわち、データ転送処理部21は、ユーザインタフェース105が有するボタン或いはキー等の入力部53を通じて、メモリカード13への記録の指示を受け付けると、データメモリ106に記憶したコンテンツ等のデータを、メモリカードインタフェース103を介して接続されたメモリカード13にデータ転送するとともに、転送したデータをメモリカード13に記録する。
【0029】
また、データ転送処理部21は、入力部53を通じてメモリカード13の読み出しの指示を受け付けると、メモリカード13に記憶されたコンテンツ等のデータを、メモリカードインタフェース103を介して接続されたメモリカード13からデータ転送するようにメモリカード13を制御し、メモリカード13から転送されたデータをデータメモリ106に一時記録したり、そのデータの内容をユーザインタフェース105が有する表示部52に直接に表示させる再生を行ったりする。表示部52は、本発明の表示部の実施形態、及びデータ再生部の実施形態の何れにも該当するもので、例えばLCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示画面、及びスピーカを有することにより画像及び音声を表示・再生する。
【0030】
なお、通信端末装置10とメモリカード13との間で行われるデータ転送は、通信端末装置10における、データメモリ106との間でのデータ転送のみならず、通信部101との間でのデータ転送や、ユーザインタフェース105とのデータ転送、更には外部インタフェースとのデータ転送の形態を採ることができる。以下においては、これらの転送形態のうち、データメモリ106との間でのデータ転送を代表例として主に説明する。
【0031】
メディア利用管理部22、更新時刻生成部23、及び転送再開判定部24は、利用管理メモリ104と協働して、メモリカード13と通信端末装置10との間でのデータ転送中に中断が生じたときに、その中断から継続してデータ転送の再開が可能であるかどうかを判定することを可能にする。
【0032】
メディア利用管理部22は、本発明の媒体管理部の実施の形態に該当し、通信端末装置10とメモリカード13との間でデータ転送が行われるごとに、データ転送の中断に備えて、各データ転送処理によるメモリカード13の利用状態を示す状態情報を作成する。状態情報は、実行されるデータ転送に関して、処理内容及び処理状態を示す情報である。この状態情報には、個々のメモリカード13を識別するための媒体識別情報であるメディアID、個々の通信端末装置10を識別するための装置識別情報である端末ID、及び所定の時間間隔でデータ転送中における各時刻を示す最終更新時刻情報が含まれる。
【0033】
最終更新時刻情報は、本発明の位置特定情報に含まれる時刻情報の実施形態に該当する。また、状態情報は、本発明の共通情報の実施形態及び位置特定情報の実施形態の何れにも該当する。図1に示すようにメディア利用管理部22は、共通情報記録部27及び特定情報記録部28を含んでいる。共通情報記録部27は、状態情報のうち共通情報に該当するものを利用管理メモリ104とメモリカード13との少なくとも一方に書き込み、特定情報記録部28は、状態情報のうち最終更新時刻情報等の位置特定情報を、利用管理メモリ104とメモリカード13との双方に書き込む。なお、データ及び情報は、何れも物理的実体としては信号である点において変わりはないが、本明細書では、ユーザが転送の対象とするものを特に「データ」と称し、それ以外のものを「情報」と称することとしている。
【0034】
利用管理メモリ104は、本発明の記憶部の実施形態に該当するもので、メディア利用管理部22が作成した、各データ転送処理における状態情報を記憶するメモリである。また、利用管理メモリ104には、個々の通信端末装置10を識別するための装置識別情報である端末IDが、端末ID領域42に記憶される。また、各データ転送ごとの状態情報は、それぞれのデータ転送に対応して複数設けられた状態情報領域41に記憶される。
【0035】
メディア利用管理部22は、メモリカード13と通信端末装置10との間でデータ転送が実行されると、装着されたメモリカード13に記憶されたメディアIDを読み出し、読み出したメディアIDを利用管理メモリ104の状態情報領域41に記録する。また、更新時刻生成部23は、所定の時間間隔で、各時刻を示す時刻情報をメディア利用管理部22に通知する。メディア利用管理部22は、データ転送が実行されると、更新時刻生成部23からの時刻情報を利用し、データ転送中における各時刻を示す最終更新時刻情報を生成し、所定の時間間隔で利用管理メモリ104の状態情報領域41に記録する。さらに、メディア利用管理部22は、データ転送を実行中のメモリカード13に対して、端末IDを記録するとともに、生成した最終更新時刻情報を所定の時間間隔で記録する。
【0036】
メディア利用管理部22は、データ転送中において、以上のような処理を実行することにより、メモリカード13と利用管理メモリ104との双方に対して、所定の時間間隔で同一の状態情報を記憶させる。このように、メディア利用管理部22により、データ転送処理の処理内容及び処理状態に関する情報を、状態情報として利用管理メモリ104に記憶するとともに、装着されたメモリカード13に状態情報を記録する媒体利用管理機能が実現される。
【0037】
転送再開判定部24は、例えば、ユーザインタフェース105において、メモリカード13へのデータの記録を要求する操作、或いはメモリカード13からのデータの再生等の読み出しを要求する操作が行われた場合、データ転送の開始に先立ち、メモリカード13に保存されている過去のデータ転送に関わる状態情報を順次読み出す。これとともに、転送再開判定部24は、装着されたメモリカード13に対応したメディアIDを利用管理メモリ104から読み出す。さらに、転送再開判定部24は、メモリカード13からと利用管理メモリ104からとの、端末ID、メディアID、及び最終更新時刻情報をそれぞれ照合する。
【0038】
転送再開制御部25は、これらの端末ID、メディアID、及び最終更新時刻情報がともに一致した場合に限り、データ転送の再開が可能な転送中断データが存在すると判断してデータ転送の再開制御に移行する。すなわち、転送再開制御部25は、上記転送再開判定部24において、転送再開が可能な転送中断データが存在すると判断された場合に、中断された箇所からのデータの転送を開始するようデータ転送処理部21を制御する。これにより、データ転送処理部21は、中断された箇所からのデータ転送を開始する。一方、転送再開制御部25は、照合されたデータのうち、何れか一つでも一致しなければデータ転送の再開不可能と判断して新規データ転送のための制御に移行する。
【0039】
図2は、メモリカード13の記憶領域の構成を示すブロック図である。メモリカード13は、通信端末装置10から転送された記録のためのデータを記憶する通常領域300と、著作権に関した権利情報など外部アクセス等からの保護が必要な情報を記憶する保護領域310と、メモリカード13の識別情報であるメディアIDを記憶するメディアID記憶領域32とを有している。また、通常領域300には、中断することなく記録が完了したデータが、そのデータを管理する管理情報とともに記憶される領域39に加えて、記録や再生が中断したデータが管理情報とともに記憶される領域30が設けられている。また、保護領域310は、通常領域300に記憶される各データに対応した権利情報に加えて、データ転送が中断した通常領域300内のデータにそれぞれ対応づけて状態情報が記憶される領域31を有している。
【0040】
保護領域310に対しては相互認証なしにはアクセスすることができず、一方、通常領域300には、通常にアクセスすることが可能である。SDメモリカードの規格例では、著作権を有するコンテンツを格納する場合には、相互認証に成功した後、そのコンテンツの著作権情報(図1の権利情報に該当する)がカード毎の固有の鍵で暗号化された上で、保護領域310に格納される。当該鍵は、上記のメディアIDに該当する。一方、コンテンツは、当該コンテンツの著作権情報と上記鍵とによって暗号化された上で、通常領域300へ格納される。著作権を有するコンテンツをSDメモリカードから読み出す場合には、相互認証が成功した後、そのコンテンツの著作権情報が保護領域310から読み出され、上記鍵によって復号化される。また、通常領域300に格納されている暗号化されたコンテンツは、当該コンテンツの著作権情報と上記鍵とによって復号化され、それによって再生可能な情報に復元される。
【0041】
このようにSDメモリカードでは、通常領域300に格納された暗号化されたコンテンツは、自由に読み出して他のカードにコピーすることも可能であるが、保護領域310に格納された著作権情報は、他のカードへコピー等することができない。その結果、読み出されたコンテンツは再生することができず、それにより不正なコピーを防止することができる。仮に、保護領域310に格納された著作権情報が何らかの方法で不正にコピーされたとしても、当該著作権情報は各カードに固有の鍵で暗号化されているため、復号化することができない。
【0042】
図1の例においても、望ましくは、権利情報及び状態情報は、メディアIDを鍵として暗号化した上で、保護領域310に格納される。また望ましくは、データは、権利情報(又は状態情報をも含めて)及びメディアIDを鍵として暗号化した上で、通常領域300に格納される。
【0043】
図1に示すように通信端末装置10は、更に、電源としての電池51を備えている。また望ましくは、制御部102は、電源中断検出部61、再開指示検出部63、及び着脱検出部64を更に有している。電源中断検出部61は、データ転送の中途において、電池51の出力が所定レベルを下回るなどの電源の中断と、その後の再供給を検出するものである。再開指示検出部63は、ユーザが入力部53を通じてデータの転送の中断を指示したり、中断後にデータの転送の再開を指示したりした場合に、これらの指示があったことを検出するものである。着脱検出部64は、データ転送の中途において、メモリカード13の脱着及び装着を検出するものである。
【0044】
電源中断検出部61による電源の再供給の検出、再開指示検出部63による転送再開の指示の検出、及び着脱検出部64によるメモリカード13の再装着の検出のうちの何れかの検出があると、制御部102はデータ転送再開のための処理を開始する。すなわち、メディア利用管理部22は状態情報の読出しを行い、転送再開判定部24はデータの転送再開が可能かどうかの判定を行う。
【0045】
(2.動作)
以下、メモリカード13を装着した通信端末装置10の動作について説明する。図3は、データ転送の過程における制御部102の処理手順を示すフローチャートである。通信端末装置10において、ユーザがデータ転送の要求をユーザインタフェース105の入力部53等を通じて指示すると、制御部102は、図3に示すデータ転送処理を開始する。
【0046】
処理が始まると、まず、メディア利用管理部22は、装着されたメモリカード13から、そのメモリカード13のメディアID領域32に記憶されたメディアIDを読み取る。さらに、メディア利用管理部22は、読み取ったメディアIDを利用管理メモリ104の状態情報領域41に記録する。これにより、利用管理メモリ104の状態情報領域41には、装着されたメモリカード13のメディアIDが記憶される(ステップS102)。
【0047】
次に、メディア利用管理部22は、利用管理メモリ104に記憶した本通信端末装置10の端末IDを読み取り、メモリカード13の保護領域310に確保した領域31に端末IDを書き込む。これにより、メモリカード13の保護領域310には、メモリカード13を装着した通信端末装置10の端末IDが記憶される(ステップS104)。以上のステップS102及びS104の処理は、メディア利用管理部22のうち、特に共通情報記録部27によって実行される。
【0048】
次に、メディア利用管理部22は、更新時刻生成部23から時刻情報を取得し(ステップS106)、取得した時刻情報を最終更新時刻情報として、利用管理メモリ104の状態情報領域41に記録する。これにより、利用管理メモリ104の状態情報領域41には、データ転送処理における一つの時刻を示す情報が最終更新時刻情報として記憶される(ステップS108)。以上のステップS106及びS108の処理は、メディア利用管理部22のうち、特に位置特定情報記録部28によって実行される。
【0049】
なお、このとき、最終更新時刻情報とともに、データ転送処理の処理内容、及び処理状態に関する情報を状態情報として記憶してもよい。処理内容の例としては、通信端末装置10からメモリカード13にデータを転送するのか、あるいはメモリカード13から通信端末装置10へデータを転送するのかを示す情報や、その転送処理が、データを複写するコピー処理、データを移動させるムーブ処理、あるいはデータを再生するためのどの処理なのかを示す情報などが挙げられる。また、処理内容の他の例として、印刷するためのデータを転送するための処理であるプリント処理を示す情報であってもよい。さらには、暗号化して記憶しているコンテンツを転送してメモリカード13に記録し、その記録に対して、記憶させたコンテンツに対応する権利情報の権利回数を通信端末装置10において一つ減るように更新するチェックアウト処理や、逆に、暗号化して記憶しているコンテンツをメモリカード13から読み出し、メモリカード13に記憶していたコンテンツを消去することで、そのコンテンツに対応する権利情報の権利回数を通信端末装置10において一つ増やすように更新するチェックイン処理などの処理も伴なう場合には、その処理内容も含めて状態情報として記憶してもよい。これらの処理内容に関する情報は、メディア利用管理部22のうち、特に共通情報記録部27によって記録が行われる。
【0050】
また、処理状態に関する情報としては、最終更新時刻情報に加えて、或いはそれに代えて、転送開始からの転送データ量を示すデータ量情報や、転送開始からの相対時間を示す相対時間情報などを含めてもよい。これらの処理状態に関する情報は、メディア利用管理部22のうち、特に位置特定情報記録部28によって記録が行われる。
【0051】
次に、メディア利用管理部22は、利用管理メモリ104に記録したのと同一の最終更新時刻情報を、メモリカード13の保護領域310に確保した領域31に書き込む。このとき、この最終更新時刻情報に上述したような状態情報を含めてメモリカード13に書き込んでもよい(ステップS110)。ステップS110の処理は、メディア利用管理部22のうち、特に位置特定情報記録部28によって実行される。
【0052】
次に、データ転送処理部21が、ユーザからの指示内容に従ったデータの転送を行なう(ステップS112)。次に、制御部102は、データ転送処理部21によるデータの転送が完了したかどうかを判定する(ステップS114)。データの転送が完了しないと判定された場合には(ステップS114で「いいえ」)、処理はステップS106に戻り、ステップS106以降の処理が繰り返される。また、データの転送が完了したと判定された場合には(ステップS114で「はい」)、制御部102は、データの転送処理を終了する。
【0053】
以上説明した手順に従った処理により、利用管理メモリ104とメモリカード13とには、それぞれ相手方のメディアIDと端末IDとが記憶される。さらに、ステップS106からステップS114までの処理の一巡(ループ)を、所定の時間間隔をもって反復することにより、利用管理メモリ104とメモリカード13とに、その処理の一巡ごとの時刻を示す最終更新時刻情報が記憶される。
【0054】
なお、ステップS106からステップS114に至る一巡の処理を反復実行する単位としては、メモリカード13に書き込むためのブロック単位の整数倍とすることが好ましい。例えば、メモリカード13としてSDメモリカードの場合、最小の書き込みブロック単位は512バイトであるセクタ単位であり、一巡の処理を反復する単位は、当該セクタ単位の整数倍にあたるグループ単位、或いはクラスタ単位とすることが好ましい。このとき、反復単位が大きすぎると、中断から復旧するための再実行部分が増えることとなる。また、逆に、単位が小さすぎると、オーバヘッドが大きくなる。このため、両者のバランスを考えて、選択することとなる。
【0055】
SDメモリカードの例を挙げると、256メガバイトのSDメモリカードを用い、FAT16と呼ばれるファイルシステムを利用したとき、1クラスタは16キロバイトであり、このクラスタあたり32セクタとなる。このときのファイルシステムが管理するFAT情報は64セクタであり、オーバヘッドも考慮すると、少なくともそれよりも大きい単位であるほうが好ましい。以上のような点を考慮して、ステップS106からステップS114の一巡の処理を反復実行する単位として、例えば、256セクタとするよい。すなわち、SDメモリカードの場合には、所定の時間間隔で利用管理メモリに記録する最終更新時刻情報は、例えば、256セクタ分の書き込みごとに更新するようにすればよい。また、例えば、256メガバイトのSDメモリカードでは256セクタ分の書き込みごと、128メガバイトのSDメモリカードでは128セクタ分の書き込みごとに更新というように、メモリカード13の容量や性能などそのメモリカードの仕様に応じて、利用管理メモリに記録する最終更新時刻情報の更新間隔を可変するような構成とすることで、より柔軟な中断再開処理が可能となる。
【0056】
このような手順に従ったデータ転送処理が進行している中途で、例えば、ユーザが誤って通信端末装置10の電源をオフにしたり、あるいはユーザが誤ってメモリカード13を通信端末装置10から抜いてしまうと、このデータ転送処理が中断されることとなる。データ転送の中断が生じた後、ユーザが中断前の通信端末装置10、及びメモリカード13を用いて、中断が生じたデータ転送を入力部53等を通じて再度指示したとき、制御部102は、中断が生じたデータ転送の再開が可能かどうかを判定するための処理を行なう。
【0057】
電源オフ等の誤操作の後にユーザが転送開始を指示した場合だけでなく、既に述べたように、電源出力の低下後の再供給(すなわち電源中断検出部61による検出)、及び入力部53等を通じてユーザが意図してデータ転送を中断し更に再開を指示した場合(すなわち、再開指示検出部63による検出)にも、制御部102は転送再開可能か否かについての判定処理を行うのが望ましい。また、メモリカード13の脱着後に再装着が有った場合に、制御部102は、ユーザの指示を待つことなく、着脱検出部64による検出に基づいて、自動的にデータ転送再開のための処理を開始してもよい。
【0058】
図4は、制御部102の転送再開判定部24により実行されるデータ転送再開の判定の手順、及び転送再開制御部25により実行される転送再開制御の手順を示すフローチャートである。通信端末装置10において、例えばユーザがデータ転送再開の要求をユーザインタフェース105を通じて指示すると、制御部102は、図4に示すデータ転送再開判定処理を開始する。
【0059】
処理が始まると、まず、転送再開判定部24は、データ転送を再開するために装着されたメモリカード13にアクセスし、そのメモリカード13の保護領域310に状態情報が記録されているかどうかを判定する(ステップS201)。状態情報が記録されていない場合には(ステップS201で「いいえ」)、転送再開判定部24は、後述するステップS216へ処理を進める。また、状態情報が記録されている場合には(ステップS201で「はい」)、転送再開判定部24はステップS202へ処理を進める。
【0060】
転送再開判定部24は、処理をステップS202へ進めると、まず、メモリカード13から、そのメモリカード13のメディアID領域32に記憶されたメディアIDとともに、保護領域に記憶された状態情報を一つ選択して読み出す(ステップS202)。次に、転送再開判定部24は、メモリカード13から読み出した状態情報に含まれる端末IDが本通信端末装置10の端末IDと一致するかどうか判定する(ステップS204)。一致しない場合には(ステップS204で「いいえ」)、転送再開判定部24は処理をステップS210へ進める。
【0061】
転送再開判定部24は、ステップS210において、そのメモリカード13の保護領域310に、他の状態情報が記録されているかどうかを判定する。他の状態情報が記録されていない場合には(ステップS210で「いいえ」)、転送再開判定部24は、後述するステップS216へ処理を進める。また、状態情報が記録されている場合には(ステップS210で「はい」)、転送再開判定部24は、ステップS202へ処理を戻し、保護領域310に記憶された次の状態情報を読み出す。また、ステップS204において、それぞれに記憶した端末IDが一致した場合には(ステップS204で「はい」)、転送再開判定部24は、ステップS206へ処理を進める。
【0062】
次に、転送再開判定部24は、ステップS206へ処理を進めると、読み出したメモリカード13のメディアIDが、利用管理メモリ104に記憶されたメディアIDと一致するかどうか判定する(ステップS206)。一致しない場合には(ステップS206で「いいえ」)、転送再開判定部24は、ステップS210へ処理を進める。また、ステップS206において、それぞれに記憶したメディアIDが一致した場合には(ステップS206で「はい」)、転送再開判定部24は、ステップS208へ処理を進める。
【0063】
次に、転送再開判定部24は、ステップS208へ処理を進めると、読み出したメモリカード13の最終時刻更新情報が、利用管理メモリ104に記憶された最終時刻更新情報と一致するかどうか判定する(ステップS208)。一致しない場合には(ステップS208で「いいえ」)、転送再開判定部24は、ステップS210へ処理を進める。また、ステップS208において、それぞれに記憶した最終時刻更新情報が一致した場合には(ステップS208で「はい」)、転送再開判定部24は、ステップS212へ処理を進める。すなわち、転送再開判定部24は、ステップS204からステップS208までの判定結果において、利用管理メモリ104とメモリカード13とに記憶された端末ID、メディアID、及び最終時刻更新情報のすべてが一致した場合、現在の通信端末装置10、及びメモリカード13が、データ転送の中断が生じたときと、同一、かつ同一状態を保持した通信端末装置10、及びメモリカード13であると判定する。
【0064】
転送再開判定部24は、通信端末装置10、及びメモリカード13について、データ転送中断の前後での、個体の同一性、及び状態の同一性を肯定する判定を行うと(ステップS204〜S208の全てにおいて「はい」)、再開が可能な中断データが存在することを、ユーザインタフェース105を通じてユーザへ通知する(ステップS212)。この通知は、例えばユーザインタフェース105の表示部52に判定の結果を表示させることにより行われる。さらに、転送再開判定部24は、この判定結果を転送再開制御部25に通知する。
【0065】
ユーザは、ユーザインタフェース105を通じた、再開可能な中断データが存在する旨の通知に基づき、データ転送を再開するかどうかをユーザインタフェース105の入力部53等を通じて指示する。転送再開制御部25は、このユーザインタフェース105を通じてデータ転送を再開するよう指示されたかどうかを判定する(ステップS214)。データ転送を再開するよう指示されたと判定した場合(ステップS214で「はい」)、転送再開制御部25は、ステップS218へ処理を進める。ステップS218において、転送再開制御部25は、データ転送処理部21に対して、データ転送の中断から再開するよう制御する。また、転送再開制御部25は、ユーザインタフェース105を通じてデータ転送を再度初めから開始するよう指示されたと判定した場合(ステップS214で「いいえ」)、ステップS216へ処理を進める。ステップS216において、転送再開制御部25は、データ転送処理部21に対してデータ転送を再度初めから開始するよう制御する。
【0066】
以上、図4の手順に従った処理により、ユーザが中断時と同じ通信端末装置10、及びメモリカード13を使用してデータ転送の再開を行おうとした場合には、通信端末装置10の利用管理メモリ104に保持されている自身の端末ID、相手側のメディアID、及び最終時刻更新情報と、メモリカード13に保存されている相手側の端末ID、自身のメディアID、及び最終時刻更新情報とがそれぞれ一致するため、データ転送の再開が可能と判断されてデータ転送の再開制御が実行される。
【0067】
一方、仮にユーザが、中断時の通信端末装置10とは別の通信端末装置10(10Aと仮に記載する)を使用し、中断前の通信端末装置10に接続されていたメモリカード13を装着して、データ転送の再開のための操作を行ったとする。この場合には、中断時とは異なる端末IDが通信端末装置10Aに保持されているため、この端末IDと、メモリカード13に保存されている端末IDとは異なる。このため、転送再開判定部24は、ステップS204の照合において両端末IDが不一致であると判定する。また、転送再開制御部25は、転送再開判定部24による不一致との判定結果に基づき、データ転送の再開を禁止し、データ転送の再開の代わりに再度初めからデータ転送を行うようデータ転送処理部21を制御する。
【0068】
また、ユーザが、中断が発生したデータ転送において使用していた通信端末装置10と同じ通信端末装置10を使用していながら、中断時に使用していたメモリカード13とは別のメモリカード13(13Aと仮に記載する)を使用してデータ転送の要求操作を行ったとする。この場合には、中断前に通信端末装置10に保持されたメディアIDと、別のメモリカード13Aに保存されているメディアIDとは異なるため、転送再開判定部24は、ステップS206の照合において両メディアIDは不一致と判定する。この結果に基づき、転送再開制御部25は、データ転送の再開を禁止し、データ転送の再開の代わりに再度初めからデータ転送を行うようデータ転送処理部21を制御する。
【0069】
また、ユーザが、中断が発生したメモリカード13のデータ転送が実行されたデータに対して、例えば、他の装置などを利用して書き換え操作などを行ない、さらにデータ転送において使用していた通信端末装置10と書き換え操作がなされたメモリカード13とを使用してデータ転送の要求操作を行ったとする。この場合には、中断前に通信端末装置10に記録された最終更新時刻情報と同一の最終更新時刻情報がメモリカード13に存在しなくなり、この通信端末装置10の最終更新時刻情報と、メモリカード13に保存されている最終更新時刻情報とは異なることとなる。このため、転送再開判定部24は、ステップS208の照合において両最終更新時刻情報は不一致と判定する。この判定結果に基づき、転送再開制御部25は、データ転送の再開を禁止し、データ転送の再開の代わりに再度初めからデータ転送を行うようデータ転送処理部21を制御する。
【0070】
このように、本実施の形態における通信端末装置10によれば、中断時点で使用していた通信端末装置10と、そのときのメモリカード13と個体が同一であって且つ同一の状態を保持したメモリカード13とを使用してデータ転送の再開を行なおうとした場合にのみ、データ転送を再開することができる。これにより、大容量データの記録媒体へのデータ転送時など時間のかかるサービス利用時に、メモリカード等の記録媒体の挿抜や電源断等によって転送が中断されても、メモリカードの同一性をより正確に判定して、転送を継続的に開始できることとなり、記録や再生完了分の時間を無駄にすることがなく情報処理装置を継続して利用することが可能となる。
【0071】
なお、メモリカード13を通信端末装置10に挿入したとき、メモリカード13が同一の状態を保持していないと判断された場合の処理として、次のような処理が可能である。すなわち、メモリカード13に対して、転送対象とされるデータの先頭からデータ転送を開始し、メモリカード13に既に記録されたデータに上書きするように記録したり、あるいは、メモリカード13に既に記録されたデータを消去し、その後、転送されたデータを記録したりする処理を採ることが可能である。
【0072】
図5は、データ転送時において中断が生じた場合の動作例を示すグラフである。図5では、データ転送の一例として、通信端末装置10からメモリカード13にコンテンツを移動させるムーブ処理を取り上げている。このようなムーブ処理において、中断が発生し、その中断からムーブ処理を再開した例を挙げて説明する。
【0073】
図5において、時刻t0にコンテンツのムーブ処理が開始される。時刻t0から開始されたムーブ処理のためのデータ転送において、通信端末装置10の利用管理メモリ104、及びメモリカード13には所定の時間間隔、すなわち時刻t1、t2、t3というように、各時刻に相当する最終更新時刻情報が記録される。このようなムーブ処理のためのデータ転送中において、例えば、電源のオフやメモリカードの抜き取りなどが時刻tAに発生すると、図5に示すようにデータ転送の中断が発生する。なお、このような中断の検出は、例えば、制御部102の着脱検出部64が、メモリカード挿入蓋の開きを検出したり、制御部102の電源中断検出部61が電源電圧の低下を検出することで実現できる。
【0074】
中断が発生したことにより、ユーザが中断時と同じ通信端末装置10、及びメモリカード13を使用してデータ転送の再開を行なうと、時刻tBから時刻tCにおいて、通信端末装置10の利用管理メモリ104に保持されている自身の端末ID、相手側のメディアID、及び最終時刻更新情報と、メモリカード13に保存されている相手側の端末ID、自身のメディアID、及び最終時刻更新情報とがそれぞれ照合される。さらに、その照合の結果それぞれが一致するため、データ転送の再開が可能と判断されて、時刻tCにデータ転送の再開制御が実行される。すなわち、ムーブ処理が再開され、時刻tDのムーブ処理が終了するまでデータ転送処理が継続される。
【0075】
一方、本実施の形態による中断の再開処理を行なわず、中断後に再度、コンテンツの先頭からムーブ処理を実行した場合には、図5に示す時刻t0’からムーブ処理が実行されることとなる。この場合、再開したムーブ処理に要する時間は、(tD−t0’)となる。これに対して、本発明のデータ転送中断の再開判定方法を利用してムーブ処理を再開した場合には、再開したムーブ処理に要する時間は、(tD−tB)となる。
【0076】
このように、本実施の形態によるデータ転送中断の再開判定方法を利用してムーブ処理を再開することにより、中断後に再度コンテンツの先頭からムーブ処理を行なう場合に比べて、(tB−t0’)だけ早くムーブ処理を完了することが可能となる。状態情報の照合処理等に要する時間(tC−tB)は、現実には1秒をも要しない短時間であるので、本発明によって短縮される時間(tB−t0’)は、時間(tC−tB)、言い換えると時間(t3−t0)に実質的に等しい。すなわち、本発明によって、実質的に時間(t3−t0)に相当する転送時間を短縮することが可能となる。
【0077】
以上述べたように、例えば、大容量のムーブ処理を実行中において中断が発生したとしても、その中断から再開してムーブ処理を継続できるため、完了分の時間を無駄にすることがなく情報処理装置を継続して利用することが可能となる。既に述べたように、通信端末装置10は、ユーザの不注意やユーザが意識しない状態で発生する中断にのみ対応し得るものである必要はない。例えば、データを転送するために長時間の転送時間を要する場合に、ユーザインタフェース105の入力部53等を通じてユーザが意識的に指示することにより、転送を中断させるような構成を採ることが可能である。それにより、例えば1時間のデータ転送時間を要するデータ転送を実行する途中において、ユーザの都合により転送を中断する必要が生じたためにユーザ指示があって、それによりデータ転送を一時中断し、時間を置いた後、更にユーザの指示により継続処理を実行することが可能となる。制御部102が再開指示検出部63を有することにより、このような制御を実現することができる。
【0078】
(3.共通情報の他の例)
図6は、通信端末装置10が、データ転送中断の再開判定に利用する状態情報の他の例を示す図である。図6に示すように、データ転送中断の再開を判定するために、データ転送の中断前後の通信端末装置10とメモリカード13との同一性を確認する情報として、上述した、端末ID、メディアID、最終時刻更新情報に加えて、データ転送するデータを識別するためのコンテンツID(コンテンツ識別情報)や転送データのデータ容量を示すデータサイズ情報などをも利用することができる。コンテンツIDは、本発明のデータ識別情報の実施形態に該当する。コンテンツIDを状態情報に含めることにより、同一のメモリカード13に対するデータ転送の中断が、複数のコンテンツについて生じているときに、それらのうちの任意の一つのコンテンツについて、他のコンテンツから区別してデータ転送を再開することができる。
【0079】
これとは逆に、中断したデータ転送の再開の可否を判定するためにデータ転送の中断前後での同一性を確認するための情報として、上述した、メディアID及び最終時刻更新情報のみを用いてもよい。この場合においても、メモリカード13と通信端末装置10との間で、中断前の最終更新時刻を照合することができるため、照合対象とされるメモリカード13が中断前のメモリカード13であるかどうかを確認することが可能である。
【0080】
また、最終時刻更新情報を共通情報としてメモリカード13と利用管理メモリ42との双方に記録することなく、メモリカード13にのみ記録し、メディアIDのみを共通情報とする形態を採ることも可能である。この場合においても、精度は劣るがメモリカード13の同一性を判定することは可能である。同一のメディアIDが双方に保持されておれば、そのことは、これを保持する通信端末装置10によって同一のメモリカード13に対するデータの転送が行われていたことを示すものに相違ないからである。
【0081】
更に、共通情報として、メディアIDに代えて、装置ID或いは、他の何らかの情報を用いることも可能である。この場合においても、通信端末装置10とメモリカード13との間で共通情報が一致しておれば、そのことは、当該共通情報を保持する通信端末装置10によって同一のメモリカード13に対するデータの転送が行われていたことを示すものとなる。それにより、メモリカード13の同一性について、確認を得ることができる。
【0082】
(4.集積回路)
上記の実施形態では、通信端末装置10の制御部102は、マイクロコンピュータによって構成された。これに対して、プログラムを要しないLSI(Large Scale Integrated circuit)等の集積回路で制御部102を構成することも可能である。例えば、図1に示した制御部102のうち、メディア利用管理部22、転送再開判定部24、及び転送再開制御部25をLSI70として構成することが可能である。当該LSI70を部品として利用することにより、制御部102を容易且つ小型に形成することができ、しかも処理の速度を高めることができる。
【0083】
また、テータ転送処理部21を含めてLSIで構成しても良く、更に更新時刻生成部23をLSIに含めてもよい。また、制御部102の全体を単一のLSIで構成することも可能であり、制御部102と利用管理メモリ42とを単一のLSIで構成することも可能である。更に、制御部102、通信部101、利用管理メモリ42、データメモリ106、及びメモリカードインタフェース103を、単一のLSIで構成することも可能である。
【0084】
(5.位置特定情報の他の例)
上記の実施の形態では、最終更新時刻情報として実時刻を示す情報が用いられた。これに対して、最終更新時刻情報として、データの各位置を表示すべき時刻を指示するためにデータの各位置に埋め込まれているタイムスタンプ、例えばMPEG規格等で規定されるPTS(Presentation Time Stamp)を採ることも可能である。PTSは、復号機がデータを表示装置等に再生すべき時刻を指示するタイムスタンプである。この場合、図1に示したメディア利用管理部22の特定情報記録部28が、コンテンツに埋め込まれたPTSを、データ転送処理部21が転送を行っているコンテンツから抽出し、利用管理メモリ42及びメモリカード13に書き込むことにより、状態情報としてのPTSの記録を実現することができる。従って、制御部102は更新時刻生成部23を要しない。
【0085】
図7は、メモリカード13から画像データを読み出して表示部52等に再生する場合に、最終更新時刻情報としてPTSが用いられる好ましい例を示すタイミング図である。図7に示すように、メモリカード13からデータ読出しのタイミングと、表示部52等への再生のタイミングとの間には、わずかながらずれが生じる。このため図7に示すように、データの読出し及び再生の過程で、利用管理メモリ42とメモリカード13とには、再生されつつあるデータのPTSが記録されるのが望ましい。
【0086】
メモリカード挿入蓋の開きが検出される等により、読出及び再生が中断した時には、再生が終了した最終のPTS値(A)が、利用管理メモリ42とメモリカード13とに記録されている。その後、メモリカード挿入蓋が閉じられる等により、データ転送再開の判定処理(図4)が実行され、その結果、転送を再開すべき場合には、データ転送処理部21は、再生が終了した最終のPTS値(A)が示すデータ位置から読出及び再生を開始する。それによりユーザは、再生の中断前後において、画像の連続感を損なうことなく画像を鑑賞することが可能となる。
【0087】
図8は、通信端末装置10が動画像データをメモリカード13へ記録する場合に、最終更新時刻情報としてPTSが用いられる好ましい例を示すタイミング図である。図8の例は特に、図1のユーザインタフェース105がカメラを有しており、当該カメラにより撮像して得られる動画像データがデータメモリ106に格納され、更に、格納されたデータがメモリカード13へ記録される場合を特に想定している。
【0088】
図8に示すように、カメラからのデータ出力のタイミングと、メモリカード13へのデータ記録のタイミングとの間には、わずかながらずれが生じる。このため図8に示すように、データの記録の過程で、利用管理メモリ42とメモリカード13とは、記録されつつあるデータのPTSが記録されるのが望ましい。データの記録が中断した時には、記録が終了した最終のPTS値(A)が、利用管理メモリ42とメモリカード13とに記録されている。その後、転送を再開すべき場合には、データ転送処理部21は、記録が終了した最終のPTS値(A)が示すデータ位置から記録を開始する。それにより、記録の中断前後において、データの損失及び重複なしにデータをメモリカード13へ記録することができる。
【0089】
既に述べたように、処理状態に関する情報として、最終更新時刻情報に加えて、或いはそれに代えて、転送開始からの相対時間を示す相対時間情報を用いることが可能である。この場合に、相対時間情報は、時間、分、秒等の単位で時間の長さを表現する情報のみならず、時間の長さに対応づけられる他の情報であっても良い。例えば、更新時刻生成部23がクロックパルスを計数するカウンタとして構成され、特定情報記録部28は、カウンタの計数値を相対時間情報としてメモリカード13等に記録しても良い。カウンタは、クロックパルスに同期して計数値を“1”ずつインクリメント或いはデクリメントする通常の形態だけでなく、計数値に“1”以外の値を加算又は減算する形態、或いは計数値にランダムな値を加算または減算する形態を採ることも可能である。
【0090】
また、処理状態に関する情報として、最終更新時刻情報、相対時間情報、及びデータ量情報のみならず、一般に、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報(本明細書において「位置特定情報」と仮称する)を用いることが可能である。それにより、転送再開の際に、位置特定情報が示す転送が既に終了しているデータ上の位置のうち、転送の最終位置(すなわち中断位置)に最も近い位置から、データ転送を再開することができる。
【0091】
更に、上記各実施の形態では、特定情報記録部28は、最終更新時刻情報を利用管理メモリ42とメモリカード13とに、前の情報を更新する形式で書き込んだ。これに対し、最終更新時刻情報等の位置特定情報を、利用管理メモリ42とメモリカード13とに、既に書き込まれた情報を残したまま、新たに書き込むように特定情報記録部28を構成することも可能である。この場合には、転送再開判定部24は、利用管理メモリ42とメモリカード13とに書き込まれた位置特定情報のうち、最終のものを照合するとよい。
【0092】
転送再開判定部24が照合に成功することによりデータ転送が再開され、新たな最終更新時刻情報等の位置特定情報の記録が始まった後には、転送再開前の位置特定情報はもはや無用である。従って、制御部102の例えば特定情報記録部28は、転送再開後には転送再開前の位置特定情報を利用管理メモリ10及びメモリカード13から消去してもよい。位置特定情報が更新的に記録される場合には、格別の処理を実行するまでもなく、転送再開後には転送再開前の位置特定情報は、新たな情報に更新されることにより消去される。
【0093】
(6.様々な記録媒体への適用可能性)
以上の実施の形態による通信端末装置10は、データ転送の対象としてSDメモリカードなどのメモリカード13を用いるものであった。しかしながら本発明は、メモリカード13に限らず、例えば、Blu−ray、DVDなど着脱可能な記録媒体を装着して記録再生等のデータ転送を行なう情報処理装置一般に適用することができる。これらの記録媒体には独自の規格が定められているが、以下に示すように、本発明は規格の変更を伴うことなく何れの記録媒体にも適用可能である。
【0094】
図9は、SDメモリカード等のメモリカードのディレクトリ構造を示す説明図である。各コンテンツは、当該メモリの規格内のフォルダであるコンテンツフォルダ内に生成されたファイルに格納される。異なるコンテンツは、異なるコンテンツフォルダに格納される。コンテンツ付属情報ファイルは、コンテンツに付属する情報を格納するファイルであり、コンテンツファイルはコンテンツ本体を格納するファイルである。また、サムネイル画像ファイルは、コンテンツに対応するサムネイル画像を格納するファイルである。
【0095】
一方、状態情報の格納場所として、以下の2形態を採ることが可能である。第1の形態では、規格で定められたファイルである管理情報フォルダ内の管理情報ファイル内の予約(Reserved)領域に、2つのフィールドが割り当てられ、これらのフィールドにコンテンツ識別情報(図6参照)と最終更新時刻情報とがそれぞれ格納される。メディアIDは、SDメモリカード内の所定の領域に既に保持されている。保持されていない場合には、同じく管理情報ファイル内の予約領域に、フィールドを別途確保し、当該フィールドにメディアIDを格納すると良い。
【0096】
第2の形態では、プライベートフォルダ内に格納された規格外のプライベートファイルに、2つのフィールドが割り当てられ、これらのフィールドにコンテンツ識別情報と最終更新時刻情報とがそれぞれ格納される。メディアIDがSDメモリカード内の所定の領域に保持されていない場合には、同じくプライベートファイル内に、フィールドを別途確保し、当該フィールドにメディアIDを格納すると良い。
【0097】
コンテンツとファイルとの間の関係は、記録媒体の種別毎に定まっており、それぞれの媒体の種別に応じて、コンテンツがファイルに格納される。例えばSDメモリカードでは、図10に示すように、1つのコンテンツが1又は複数のファイルに格納される。また、1つのコンテンツに対応するコンテンツ付属情報は、1つのファイルに格納される。また、図9を引用しつつ既に述べたように、1つのコンテンツは、1つのフォルダ内に格納される。
【0098】
Blu−rayにおいては、図11に示すように、1つのコンテンツが1又は複数のファイルに格納される。図11では、1つのコンテンツが1つのファイルに格納される例を示している。また、1つのコンテンツに対応するコンテンツ付属情報は、1つのファイルに格納される。しかしながら、SDメモリカードとは異なり、複数のコンテンツが1つのフォルダ内に格納され、複数のコンテンツに対応するコンテンツ付属情報が、別の1つのフォルダに格納される。DVDにおいては、図12に示すように、複数のコンテンツが1つのファイルに格納され、複数のコンテンツに対応するコンテンツ付属情報が別の1つのファイルに格納される。
【0099】
データ転送処理部21及びメディア利用管理部22は、このような記録媒体の種別によって定まる仕様(規格を含む)に従って、データ転送及び情報の記録を行うように構成することが可能である。それにより、様々な記録媒体に対応可能な通信端末装置10を実現することができる。
【0100】
(7.実施の形態の概要)
本発明の実施の形態の概要を以下に記載する。
【0101】
(1)ある情報処理装置は、前記情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、前記記録媒体を管理する媒体管理部と、を備えている。
【0102】
そして、当該媒体管理部は、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録部と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録部と、を有している。
【0103】
前記情報処理装置は、更に、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定部と、前記転送再開判定部の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御部と、を備えている。
【0104】
この構成によれば、データの転送開始前又は転送中に、共通情報記録部が記録媒体と記憶部との少なくとも一方に共通情報を書き込むことにより、記録媒体と記憶部との双方に共通情報が保持される。共通情報は、記録媒体と記憶部との一方に予め記録されているもの、例えば記録媒体を識別するための媒体識別情報、或いは情報処理装置を識別するための装置識別情報であれば、他方にのみ書き込まれることにより双方に保持され、何れにも記録されていないものであれば、双方に書き込まれることにより双方に保持される。更に、データ転送中においては、位置特定情報が反復的に前記記録媒体に書き込まれる。すなわち、データ転送が進行するのに伴い、データの転送終了位置を特定し得る情報が、反復して記録媒体に書き込まれる。
【0105】
データ転送が何らかの原因により中断した後にデータの転送を再開する際には、転送再開に先立って転送再開判定部が、記録媒体と情報処理装置の記憶部とに共通情報が保持されているか否かを判定する。すなわち、予め定められた種類の情報である所定種類の情報の全てについて、同一のものが記録媒体と記憶部とに保持されているか否かが判定される。転送再開判定部の判定が肯定的である場合、すなわち記録媒体と情報処理装置の記憶部とに共通情報が保持されている旨の判定が得られた場合は、判定の対象とされる記録媒体と、転送再開前に行われ中断した転送の対象とされた記録媒体との同一性が確認された場合に該当する。転送再開制御部は、かかる場合に、記録媒体に書き込まれている位置特定情報のうちの最終のものが示すデータ上の位置から、データの転送再開をデータ転送処理部に行わせる。
【0106】
従って、記録媒体の同一性が確認されたことを前提として、最終の位置特定情報が示す位置、すなわち位置特定情報が示す転送が既に終了しているデータ上の位置のうち、転送の最終位置に最も近い位置から、データ転送が再開される。それにより、データの転送再開が適切である場合に限り転送再開することができるとともに、当該データ転送の開始位置、即ち転送対象であるデータがコンテンツである場合においてコンテンツの先頭にまで戻ることなくデータの転送を再開することが可能となる。
【0107】
なお、転送とは、情報処理装置から記録媒体へのデータの記録、その逆に、記録媒体から情報処理装置へのデータの読出しの何れの形態をも包含する概念である。また、データの記録は、コピー(複写)及びムーブ(移動)の何れでも良く、更に、再生権利情報の移転を伴うチェックアウトの形態であってもよい。更に、データの記録は、記録先に既に記録されているデータを消去した後に、記録すべきデータを書き込む形態と、記録先に既に記録されているデータに記録すべきデータを上書きする形態との何れをも包含する。
【0108】
また、データの読出しは、情報処理装置内にデータを記憶する記憶手段が備わっている場合に、当該記憶手段へのコピー及びムーブの何れでも良く、再生権利情報の移転を伴うチェックインの形態であっても良い。更に、データの読出しは、情報処理装置内に画像表示装置等の再生手段が備わっており、且つデータが画像データ等の再生可能なデータである場合に、当該再生手段へデータを転送することによりデータを再生させるものであってもよい。更に、データの読出しは、情報処理装置内に通信手段が備わっている場合に、転送されたデータを当該通信手段を通じて外部へ送信するものであってもよい。
【0109】
なお、データのコピーとは、転送元にデータを残しつつデータを転送する形態を意味し、データのムーブとは、転送元にデータを残さずにデータを転送する形態を意味する。
【0110】
(2)ある情報処理装置は情報処理装置(1)であって、前記特定情報記録部は、前記位置特定情報を前記データの転送中に反復的に前記記録媒体と前記記憶部との双方に書き込み、前記転送再開判定部は、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が、前記共通情報に加えて前記位置特定情報のうちの最終のものを同一内容で保持するか否かについての判定を行うものである。
【0111】
この構成によれば、位置特定情報が、データの転送中に前記記録媒体と前記記憶部との双方に書き込まれ、転送再開判定部は、位置特定情報のうちの最終のものがあたかも共通情報の一部を構成するものとして、共通情報の存否を判定するので、記録媒体の同一性がより高い精度で判定される。
【0112】
(3)ある情報処理装置は情報処理装置(1)又は(2)であって、前記特定情報記録部は、前記位置特定情報の反復的な書き込みを更新的に行うものである。
【0113】
この構成によれば、位置特定情報の反復的な書き込みが、前情報を更新する形式で行われるので、位置特定情報を格納するための記録媒体の記憶容量、及び位置特定情報が記憶部にも書き込まれる場合には記憶部の記憶容量を節減することができる。更に、記録されている位置特定情報が、最終の位置特定情報に該当するので、転送再開制御部は転送再開すべきデータ上の位置を示す最終の位置特定情報を容易に特定することが可能となる。また、転送再開判定部が、最終の位置特定情報をあたかも共通情報の一部として判定を行う場合には、転送再開判定部は最終の位置特定情報を容易に探索することが可能となる。
【0114】
(4)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(3)の何れかであって、前記共通情報は、前記記録媒体を識別するための媒体識別情報を含んでいるものである。
【0115】
この構成によれば、共通情報が媒体識別情報を含んでいるので、共通情報記録部は、共通情報として情報処理装置の記憶部に媒体識別情報を書き込むのみで、当該媒体識別情報を記録媒体と記憶部との双方に保持させることができる。また、媒体識別情報によって記録媒体を識別することができるので、記録媒体の同一性の判定がより精度良く行われ得る。
【0116】
(5)ある情報処理装置は情報処理装置(4)であって、前記媒体管理部は、前記記憶部へ書き込むべき情報を、前記媒体識別情報に対応付けて前記記憶部へ書き込むものである。
【0117】
この構成によれば、媒体管理部が、記憶部へ書き込むべき情報を媒体識別情報に対応付けて書き込むので、情報処理装置は、複数の記録媒体に対するデータ転送の中断、再開に対応することができる。すなわち、データ転送が中断した記録媒体が複数ある場合においても、そのうちの任意の一つについてデータ転送を再開することが可能となる。
【0118】
(6)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(5)の何れかであって、前記共通情報は、前記情報処理装置自身を識別するための装置識別情報を含んでいるものである。
【0119】
この構成によれば、共通情報が装置識別情報を含んでいるので、共通情報記録部は、共通情報として記録媒体に装置識別情報を書き込むのみで、当該装置識別情報を記録媒体と記憶部との双方に保持させることができる。
【0120】
(7)ある情報処理装置は情報処理装置(6)であって、前記媒体管理部は、前記記録媒体へ書き込むべき情報を、前記装置識別情報に対応付けて前記記録媒体へ書き込むものである。
【0121】
この構成によれば、媒体管理部が、記録媒体へ書き込むべき情報を装置識別情報に対応付けて書き込むので、記録媒体は、複数の情報処理装置によるデータ転送の中断、再開に対応することができる。すなわち、複数の情報処理装置によるデータ転送が中断した場合においても、そのうちの任意の一つについてデータ転送を再開することが可能となる。
【0122】
(8)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(7)の何れかであって、前記共通情報は、転送中の前記データを識別するためのデータ識別情報を含んでいるものである。
【0123】
この構成によれば、共通情報がデータ識別情報を含んでいるので、記録媒体の同一性判定の精度が更に高められる。また、同一記録媒体に対するデータ転送の中断が、複数のデータについて生じているときに、それらのうちの任意の一つのデータについて、他のデータから区別してデータ転送を再開することができる。
【0124】
(9)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(8)の何れかであって、前記位置特定情報は、転送中における時刻を示す情報である時刻情報を含んでいるものである。
【0125】
この構成によれば、位置特定情報が時刻情報を含むので、特定情報記録部は例えばクロック等が発生する時刻を用いて、位置特定情報の書き込みを容易に実行することができる。また、時刻情報に基づいて転送が終了したデータ上の位置を特定することができる。ここで転送中における時刻として、実時刻のみならず、例えば、データの各位置を表示すべき時刻を指示するためにデータの各位置に埋め込まれているタイムスタンプ、例えばMPEG規格等で規定されるPTS(Presentation Time Stamp)を採ることも可能である。
【0126】
(10)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(9)の何れかであって、前記位置特定情報は、転送開始からの時間を示す情報である相対時間情報を含んでいるものである。
【0127】
この構成によれば、位置特定情報が相対時間情報を含むので、特定情報記録部は、例えば転送開始時に時間測定を開始するクロック等が発生する時間を用いて、位置特定情報の書き込みを容易に実行することができる。ここで相対時間情報は、時間、分、秒等の単位で時間の長さを表現する情報のみならず、時間の長さに対応づけられる他の情報であっても良い。例えば、相対時間情報は、カウンタが一定時間毎に更新するカウント値であってもよい。
【0128】
(11)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(10)の何れかであって、前記位置特定情報は、転送開始からの転送データ量を示すデータ量情報を含んでいるものである。
【0129】
この構成によれば、位置特定情報がデータ量情報を含むので、特定情報記録部は転送中において、例えば既に転送が終了したデータ量を計測することにより、位置特定情報の書き込みを容易に実行することができる。
【0130】
(12)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(11)の何れかであって、前記特定情報記録部は、転送前データの再構成を可能にする転送単位の整数倍の間隔をもって、前記位置特定情報の書込みを行うものである。
【0131】
この構成によれば、位置特定情報の書き込みが、転送前データの再構成を可能にする転送単位の整数倍の間隔をもって行われるので、転送と同時に再生が行われる場合に、転送再開直後から円滑にデータの再生を行うことができる。上記転送単位の一例として、MPEG規格等に基づくGOP(Group Of Picture)を挙げることができる。
【0132】
(13)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(11)の何れかであって、前記特定情報記録部は、前記記録媒体の仕様が規定する転送単位の整数倍の間隔をもって、前記位置特定情報の書込みを行うものである。
【0133】
この構成によれば、特定情報記録部が、記録媒体の仕様が規定する転送単位の整数倍の間隔をもって、記録媒体への位置特定情報の書込みを行うので、記録媒体の仕様に従って支障なく位置特定情報の書き込みを行うことができる。記録媒体の仕様が規定する転送単位の一例として、SD(Secure Digital)メモリカードにおける512バイトのセクタ単位を挙げることができる。
【0134】
(14)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(13)の何れかであって、前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、暗号化した上で前記記録媒体に書き込むものである。
【0135】
この構成によれば、媒体管理部が、記録媒体に書き込むべき情報を、暗号化した上で書き込むので、書き込まれた情報が容易には解読されない。従って、書き込まれた情報がユーザ等によって改変されることにより、本来転送再開すべきでない場合に、誤って転送を再開する不具合を抑制することができる。
【0136】
(15)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(14)の何れかであって、前記記録媒体が通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有する場合に、前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、前記保護領域に書き込むものである。
【0137】
この構成によれば、記録媒体が通常領域と保護領域とを有する場合に、媒体管理部は、記録媒体に書き込むべき情報を保護領域に書き込むので、共通情報及び位置特定情報の改ざんを防止することができる。
【0138】
(16)ある情報処理装置は情報処理装置(15)であって、前記記録媒体が通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有する場合に、前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、前記前記保護領域に加えて前記通常領域にも書き込み、前記転送再開判定部は、前記保護領域に書き込まれた内容と前記通常領域に書き込まれた内容とが一致しないときには、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持しないものと判定するものである。
【0139】
この構成によれば、記録媒体が通常領域と保護領域とを有する場合に、媒体管理部は、記録媒体に書き込むべき情報を保護領域のみならず、通常領域にも書き込み、転送再開の際に、それらが一致しないと判定されると転送の再開は行われないので、共通情報又は位置特定情報の改ざんがあった場合に、誤った転送の再開が行われることを防止することができる。
【0140】
(17)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(16)の何れかであって、前記転送再開制御部は、前記転送再開判定部の判定が否定的である場合に、前記データの先頭位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に開始させるものである。
【0141】
この構成によれば、転送再開判定部の判定が否定的である場合、すなわち記録媒体と情報処理装置の記憶部とに共通情報が保持されていない場合は、転送中断前後の記録媒体の同一性が否定的である場合に該当する。転送再開制御部はかかる場合に、データ転送処理部にデータの先頭位置からの転送を開始させるので、誤った転送再開を冒すことなく誤りのないデータの転送が達成される。
【0142】
(18)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(17)の何れかであって、前記データ転送の中途において、電源の中断後の再供給を検出する電源中断検出部を、更に備え、前記転送再開判定部は、前記電源中断検出部による検出があった場合に前記判定を行うものである。
【0143】
この構成によれば、電源中断検出部が備わるので、例えば電池切れ後の再充電、電源スイッチのオフ後のオンなど、電源の中断後に再供給があったことが検出される。そして転送再開判定部は、電源中断検出部による検出があると、記録媒体と記憶部との双方が共通情報を保持するか否かについての判定を行う。その結果、転送再開制御部は、転送再開判定部による肯定的な判定があれば、データ転送処理部にデータ転送の再開を行わせる。従って、電源中断後の再供給時に、データ転送の再開が適切である場合には自動的に再開が行われるので、情報処理装置の利便性が向上する。
【0144】
(19)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(18)の何れかであって、前記データ転送の中途において、前記記録媒体の脱着後の装着を検出する着脱検出部を、更に備え、前記転送再開判定部は、前記着脱検出部による検出があった場合に前記判定を行うものである。
【0145】
この構成によれば、着脱検出部が備わるので、記録媒体の脱着後の装着が検出される。そして転送再開判定部は、着脱検出部による検出があると、記録媒体と記憶部との双方が共通情報を保持するか否かについての判定を行う。その結果、転送再開制御部は、転送再開判定部による肯定的な判定があれば、データ転送処理部にデータ転送の再開を行わせる。従って、記録媒体の脱着後の装着があったときに、データ転送の再開が適切である場合には自動的に再開が行われるので、情報処理装置の利便性が向上する。
【0146】
(20)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(19)の何れかであって、前記データ転送の中途において、ユーザによる転送中断指示後の転送再開指示があったことを検出する再開指示検出部を、更に備え、前記転送再開判定部は、前記再開指示検出部による検出があった場合に前記判定を行うものである。
【0147】
この構成によれば、再開指示検出部が備わるので、例えばデータが長大であるためにユーザがデータの転送を一旦中断させ、その後の都合に合わせて転送再開を指示すると、当該指示が検出される。そして転送再開判定部は、再開指示検出部による検出があると、記録媒体と記憶部との双方が共通情報を保持するか否かについての判定を行う。その結果、転送再開制御部は、転送再開判定部による肯定的な判定があれば、データ転送処理部にデータ転送の再開を行わせる。従って、ユーザによる転送中断指示後の転送再開指示があったときに、データ転送の再開が適切である場合には再開が行われるので、情報処理装置の利便性が向上する。
【0148】
(21)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(20)の何れかであって、前記転送再開判定部は、前記判定が肯定的である場合に、当該判定の結果をユーザへ通知し、前記転送再開制御部は、前記通知に応答して転送再開を行う旨の指示をユーザが指示した場合に限り、前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させるものである。
【0149】
この構成によれば、転送再開判定部の判定が肯定的であっても、ユーザの意向の問合せがなされ、ユーザが転送再開の意思を伝えた場合に限って転送の再開が行われる。従って、ユーザの意向に反してデータの転送が実行されるという不都合が回避される。
【0150】
(22)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(21)の何れかであって、前記データ転送処理部は、前記データの転送として、前記データを前記記録媒体へ記録する記録処理と、前記データを前記記録媒体から読み出す読出処理とを選択可能に実行するものであり、前記データ転送処理部が前記記録媒体から読み出した前記データを再生するデータ再生部を、更に備えるものである。
【0151】
この構成によれば、データ再生部が備わり、データ転送処理部が記録処理と読出処理とを選択可能に実行するので、記録媒体にデータを記録することができ、且つ記録媒体からデータを読出し、更に再生することができる。又、データの記録又は再生の再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、記録又は再生の対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく記録又は再生を再開することが可能となる。
【0152】
(23)ある情報処理装置は情報処理装置(22)であって、前記データ転送処理部が前記記録媒体へ記録すべき前記データを外部から受信する通信部を、更に備えるものである。
【0153】
この構成によれば、通信部が備わるので、外部から受信したデータを記録媒体へ記録することができる。特に、外部から受信したデータの記録に中断があっても、記録の再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、記録の対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく記録を再開することが可能となる。
【0154】
(24)ある集積回路は情報処理装置(1)ないし(23)の何れかの製造に用いられる部品としての集積回路であって、前記媒体管理部と、前記再開判定部と、前記転送再開制御部とを単一の半導体基板に形成して成るものである。
【0155】
この構成によれば、本発明の情報処理装置を構成する媒体管理部と、再開判定部と、転送再開制御部とが、単一の半導体基板に形成されているので、本発明の情報処理装置を効率よく且つコンパクトに作り上げることができる。
【0156】
(25)ある集積回路は集積回路(24)であって、前記データ転送処理部を更に前記単一の半導体基板に形成して成るものである。
【0157】
この構成によれば、単一の半導体基板にデータ転送処理部が形成されているので、本発明の情報処理装置を更に効率よく且つコンパクトに作り上げることができる。
【0158】
(26)ある集積回路は集積回路(24)又は(25)であって、前記記憶部を更に前記単一の半導体基板に形成して成るものである。
【0159】
この構成によれば、単一の半導体基板に記憶部が形成されているので、本発明の情報処理装置を一層効率よく且つコンパクトに作り上げることができる。
【0160】
(27)あるデータ転送制御方法は、情報処理装置を制御するデータ転送制御方法であって、前記情報処理装置は、当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、を備えている。
【0161】
そして、前記データ転送制御方法は、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録工程と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録工程と、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定工程と、前記転送再開判定工程の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御工程と、を備えるものである。
【0162】
この構成によれば、データの転送開始前又は転送中に、記録媒体と記憶部との少なくとも一方に共通情報を書き込むことにより、記録媒体と記憶部との双方に共通情報が保持される。更に、データ転送中においては、位置特定情報が反復的に前記記録媒体に書き込まれる。データ転送が何らかの原因により中断した後にデータの転送を再開する際には、転送再開に先立って転送再開判定工程が、記録媒体と記憶部とに共通情報が保持されているか否かを判定する。そして、転送再開制御工程は、転送再開判定工程の判定が肯定的である場合に、記録媒体に書き込まれている位置特定情報のうちの最終のものが示すデータ上の位置から、データの転送再開をデータ転送処理部に行わせる。従って、本発明の情報処理装置について述べた理由と同様の理由により、記録媒体の同一性が確認されたことを前提として、最終の位置特定情報が示す位置からデータ転送が再開される。それにより、データの転送再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、転送対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく転送を再開することが可能となる。
【0163】
(28)あるデータ転送制御用プログラムは、情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのデータ転送制御用プログラムであって、前記情報処理装置は、当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、前記コンピュータと、を備えている。
【0164】
そして、前記データ転送制御用プログラムは、前記コンピュータを、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムである。
【0165】
この構成によれば、データ転送制御用プログラムがコンピュータにより実行されることにより、データの転送開始前又は転送中に、記録媒体と記憶部との少なくとも一方に共通情報が書き込まれ、それにより記録媒体と記憶部との双方に共通情報が保持される。更に、データ転送中においては、位置特定情報が反復的に前記記録媒体に書き込まれる。データ転送が何らかの原因により中断した後にデータの転送を再開する際には、転送再開に先立って、記録媒体と記憶部とに共通情報が保持されているか否かが判定される。そして、当該判定が肯定的である場合に、上記コンピュータは、記録媒体に書き込まれている位置特定情報のうちの最終のものが示すデータ上の位置から、データの転送再開をデータ転送処理部に行わせる。従って、本発明の情報処理装置について述べた理由と同様の理由により、記録媒体の同一性が確認されたことを前提として、最終の位置特定情報が示す位置からデータ転送が再開される。それにより、データの転送再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、転送対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく転送を再開することが可能となる。
【0166】
なお、プログラムを実行するコンピュータは、データ転送処理部の機能をも実現するものであっても良い。この場合においても、データ転送制御用プログラムを実行するコンピュータが、自身の一部としてのデータ転送処理部を制御することに変わりはない。
【0167】
(29)あるプログラム記録媒体は、情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのプログラムを記録したプログラム記録媒体であって、前記情報処理装置は、当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、前記コンピュータと、を備えている。
【0168】
そして、前記プログラム記録媒体は、前記コンピュータを、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムを記録したプログラム記録媒体である。
【0169】
この構成によれば、プログラム記録媒体に記録されるプログラムがコンピュータにより実行されることにより、データの転送開始前又は転送中に、記録媒体と記憶部との少なくとも一方に共通情報が書き込まれ、それにより記録媒体と記憶部との双方に共通情報が保持される。更に、データ転送中においては、位置特定情報が反復的に前記記録媒体に書き込まれる。データ転送が何らかの原因により中断した後にデータの転送を再開する際には、転送再開に先立って、記録媒体と記憶部とに共通情報が保持されているか否かが判定される。そして、当該判定が肯定的である場合に、上記コンピュータは、記録媒体に書き込まれている位置特定情報のうちの最終のものが示すデータ上の位置から、データの転送再開をデータ転送処理部に行わせる。従って、本発明の情報処理装置について述べた理由と同様の理由により、記録媒体の同一性が確認されたことを前提として、最終の位置特定情報が示す位置からデータ転送が再開される。それにより、データの転送再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、転送対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく転送を再開することが可能となる。
【0170】
なお、プログラムを実行するコンピュータは、データ転送処理部の機能をも実現するものであっても良い。この場合においても、プログラム記録媒体に記録されるプログラムを実行するコンピュータが、自身の一部としてのデータ転送処理部を制御することに変わりはない。
【0171】
(30)あるプログラム伝送媒体は、情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのプログラムを保持したプログラム伝送媒体であって、前記情報処理装置は、当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、前記コンピュータと、を備えている。
【0172】
そして、前記プログラム伝送媒体は、前記コンピュータを、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムを保持した伝送媒体である。
【0173】
この構成によれば、プログラム伝送媒体に保持されるプログラムがコンピュータに読み込まれ、実行されることにより、データの転送開始前又は転送中に、記録媒体と記憶部との少なくとも一方に共通情報が書き込まれ、それにより記録媒体と記憶部との双方に共通情報が保持される。更に、データ転送中においては、位置特定情報が反復的に前記記録媒体に書き込まれる。データ転送が何らかの原因により中断した後にデータの転送を再開する際には、転送再開に先立って、記録媒体と記憶部とに共通情報が保持されているか否かが判定される。そして、当該判定が肯定的である場合に、上記コンピュータは、記録媒体に書き込まれている位置特定情報のうちの最終のものが示すデータ上の位置から、データの転送再開をデータ転送処理部に行わせる。従って、本発明の情報処理装置について述べた理由と同様の理由により、記録媒体の同一性が確認されたことを前提として、最終の位置特定情報が示す位置からデータ転送が再開される。それにより、データの転送再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、転送対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく転送を再開することが可能となる。
【0174】
なお、プログラムを実行するコンピュータは、データ転送処理部の機能をも実現するものであっても良い。この場合においても、プログラム伝送媒体に保持されるプログラムを読み取って実行するコンピュータが、自身の一部としてのデータ転送処理部を制御することに変わりはない。
【0175】
(31)あるデータ記録媒体は、情報処理装置(1)ないし(23)の何れかに着脱可能であって、前記データと前記共通情報と前記位置特定情報とが書き込まれている前記記録媒体としてのデータ記録媒体である。
【0176】
この構成によるデータ記録媒体は、本発明の情報処理装置に着脱可能であり、且つ共通情報と位置特定情報とが書き込まれているので、本発明の情報処理装置に装着することにより、データの転送再開が適切である場合に限り、中断したデータ転送を再開することが可能となる。また、転送対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく転送を再開することが可能となる。
【0177】
(32)あるデータ記録媒体はデータ記録媒体(31)であって、通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有し、前記データは前記通常領域に記録されており、前記共通情報と前記位置特定情報とは、少なくとも前記保護領域に書き込まれているものである。
【0178】
この構成によるデータ記録媒体は、通常領域と保護領域とを有し、共通情報と位置特定情報とは、少なくとも前記保護領域に書き込まれているので、共通情報及び位置特定情報の改ざんを防止し、或いは改ざんがあった場合に誤った転送再開を防止することができる。
【0179】
本願は、日本国特許出願である特願2004−143473号(2004年5月13日出願)を基礎としている。本基礎出願の内容は本願に合体される。
【0180】
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明の情報処理装置、集積回路、データ転送制御方法、データ転送制御用プログラム、プログラム記録媒体、プログラム伝送媒体、及びデータ記録媒体は、着脱可能な記録媒体に対するデータ転送中に中断が生じた場合に、記録媒体の同一性を確認した上で、コンテンツ単位よりも短い戻り時間で転送を再開することを可能にするので、産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明の一実施の形態による情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の装置に適用される記録媒体の記憶領域の構成を示すブロック図である。
【図3】データ転送の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】データ転送再開の判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】データ転送時において中断が生じた場合の動作例を示すグラフである。
【図6】図1の装置が用いる状態情報の他の例を示す説明図である。
【図7】最終更新時刻情報としてPTSを用いたときの再生動作の例を示すタイミング図である。
【図8】最終更新時刻情報としてPTSを用いたときの記録動作の例を示すタイミング図である。
【図9】メモリカードのディレクトリ構造を示す説明図である。
【図10】SDメモリカードについてコンテンツとファイルの関係を示す説明図である。
【図11】Blu−rayについてコンテンツとファイルの関係を示す説明図である。
【図12】DVDについてコンテンツとファイルの関係を示す説明図である。
【図13】従来のデータ転送中断の再開判定機能を有した通信端末装置の構成を示すブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な記録媒体と自身との間でデータの転送を行う情報処理装置、上記情報処理装置の部品としての集積回路、上記情報処理装置を制御するデータ転送制御方法、上記情報処理装置を制御するデータ転送制御用プログラム、当該データ転送制御用プログラムを記録したプログラム記録媒体、上記データ転送制御用プログラムを保持するプログラム伝送媒体、及び上記情報処理装置によるデータ転送に供されたデータ記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークの高速化やパーソナルコンピュータ、デジタルテレビジョン受信機等の一般家庭への急速な普及により、高画質の映像や高音質の音声等、デジタル化されたコンテンツデータの形式で、データを配布することが極めて容易に実現し得るようになった。さらに、一般のユーザでも容易にデジタルコンテンツデータ(以下、コンテンツと呼ぶ)を扱うことが可能となるに従い、種々のコンテンツを提供するサービスも普及している。また、ハードディスク装置やDVD(Digital Versatile Disc)、SD(Secure Digital)メモリカード(商品名)など記録媒体の多様化とともに、記録媒体の大容量化も急速に進みつつある。このため、SDメモリカードのような小型の記録媒体であっても、例えば、2時間分の映画番組など大容量データとなるコンテンツを記録することが可能となり、一般家庭であっても膨大な量のコンテンツを所有することができるようになりつつある。
【0003】
コンテンツを記録可能な記録媒体の一つとして、半導体メモリを内蔵した半導体記録媒体がある。さらに、半導体記録媒体として、カード状の形状とした半導体メモリカード(以下、メモリカードと呼ぶ)が知られている。メモリカードは、内部に、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリを備えている。メモリカードは、半導体メモリに映像データや音声データを書き込んだり、読み出したりすることにより、コンテンツの録画や再生などを可能にする。
【0004】
メモリカードとしては、例えば、上記のSDメモリカード(商品名)、メモリスティック(商品名)、スマートメディア(商品名)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、あるいはMMCと呼ばれるマルチメディアカード等がある。メモリカードは、大容量のデータ記録が可能なDVDと比較すると、より小型、コンパクトである。このためメモリカードは、例えば、携帯電話や、あるいは携帯プレーヤのような持ち運びが可能な情報処理機器に装着して、コンテンツを記録したり、あるいは再生するなどの用途に利用されつつある。また、パーソナルコンピュータ等にも、メモリカードが着脱可能なインタフェースが設けられつつある。
【0005】
このように各種の情報処理装置等にメモリカードが装着できるようになると、例えば、外出先などでは携帯電話機で各種データを収集してメモリカードに記録し、家庭内ではそのメモリカードをパーソナルコンピュータに装着し直し、パーソナルコンピュータを用いて、収集した各種データを編集するような利用が可能となる。あるいは、パーソナルコンピュータを用いて編集した音楽データをメモリカードに記録し、外出先では、そのメモリカードを携帯プレーヤに装着し、再生するような利用形態もあり得る。このように、メモリカードのコンパクト性を生かした各種の利用形態が考えられる。
【0006】
一方、メモリカードは、上述したように小型、コンパクトであるため、携帯しながら利用されることが多く、コンテンツの再生や記録の中断が頻繁に起こるであろうと予測される。例えば、携帯音楽プレーヤにメモリカードを利用する場合、携帯しながら音楽を再生することが多いため、音楽データの再生を一時中断し、再び音楽再生を再開するという利用の仕方が多いものと考えられる。さらに、メモリカードは容易に装置本体に着脱可能であるため、電源をオン、すなわち、電源を投入したままでメモリカードを抜き差ししてしまう頻度も比較的高いものと予想される。また、携帯電話機にメモリカードを装着し、携帯電話機を用いてコンテンツのダウンロードサービスを利用するような場合、無線エリア外に出るとか、あるいは無線伝送路の品質劣化により回線断が発生し、ダウンロードが中断され、その結果、コンテンツの途中までしかメモリカードには記録されなかったといった不具合も考えられる。
【0007】
このため、メモリカードを装着してデータの記録再生を行うことが可能な情報処理装置において、記録再生のためのデータ転送が中断した後に、継続してその記録再生が可能かどうかを判断し、その判断に基づいて、中断後の記録再生を行なう技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
図13は、特許文献1に開示されるように、中断したデータ転送の再開判定機能を有した従来の通信端末装置の構成を示すブロック図である。図13において、通信端末装置99は、通信部991、制御部992、メモリカードインタフェース993、記憶部994、及びユーザインタフェース995を備えている。それにより通信端末装置99は、コンテンツサーバ91から通信ネットワークを介してダウンロードされるデータを受信する。通信端末装置99は更に、受信したデータを、通信端末装置99のメモリカードインタフェース993を介し、メモリカードインタフェース993に装着されたメモリカード93に記録する。
【0009】
通信部991は、コンテンツサーバ91からダウンロードされるデータを受信するものである。ユーザインタフェース995は、ユーザに対するインタフェースとして機能するものである。制御部992は、ダウンロードデータの記録の中断やその再開の制御、及びダウンロードデータの処理を含めて、通信端末装置99の各部の制御を行なう。記憶部994は、ダウンロードデータの記録の中断や記録の再開の制御のための情報、及びダウンロードデータの処理のための情報を含めて、通信端末装置99の各部の制御を行なうための情報を記憶する。メモリカードインタフェース993は、装着されたメモリカード93に対するインタフェースとして機能する。
【0010】
記憶部994には、通信端末装置99の個々を識別するための端末IDが端末ID記憶領域941に記憶される。また、ダウンロードが行なわれるごとに、制御部992のダウンロード中断制御機能921により、実行中のダウンロードを他のダウンロードと識別するためのダウンロード識別情報がダウンロード識別情報記憶領域942に記憶され、さらに、メモリカード93の管理領域931にも端末IDとダウンロード識別情報とが記録される。
【0011】
また、ユーザによりユーザインタフェース995からダウンロード要求が入力された場合、制御部992のダウンロード再開判定機能922により、端末ID記憶領域941と管理領域931とに記憶されたそれぞれの端末ID、及びダウンロード識別情報記憶領域942と管理領域931とに記憶されたそれぞれのダウンロード識別情報が照合される。さらに、ダウンロード再開判定機能922は、メモリカード93にダウンロード中途で中断したデータが存在する場合、照合結果をもとに、このダウンロード中断データについてダウンロードの再開が可能であるか否かを判定する。再開判定の結果、中断から継続してダウンロードの再開が可能であると判断された場合、制御部992のダウンロード再開制御機能923により、中断から継続するようにダウンロードが再開され、中断後のデータがメモリカード93に記録される。
【0012】
以上の構成により、ダウンロード中断前に使用していた通信端末装置と同一の通信端末装置を使用し、ユーザがダウンロード中断前に使用していたメモリカードと同一のメモリカードを使用した場合にのみダウンロードを再開することができ、これにより同一のコンテンツを構成するコンテンツが複数のメモリカードに分かれて格納される不具合を防止することができる。
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示される従来技術は、ダウンロードの再開を、コンテンツ単位でしか行い得ないという問題点があった。例えば、ダウンロードの対象とされるデータが音楽コンテンツである場合、10曲をまとめてダウンロードする際に、5曲目のダウンロート中に中断が生じたときには、5曲目の先頭からダウンロードを再開せざるを得なかった。既に述べたように、現今においてSDメモリカードは、2時間の長さの映画コンテンツを記録し得るだけの記憶容量を獲得しつつある。かかる長大なコンテンツのダウンロード中に中断が発生すると、最大2時間ほども逆戻りしてダウンロードを再開しなければならない。
【0014】
メモリカードは、上述したように各種の機器や装置に対し頻繁に着脱が行なわれるため、ダウンロードの中断が生じる原因として、上述したもの以外に、例えば、メモリカード装着時の接触不良や、記録再生中に発生する接触不良、あるいは誤って電源をオフ状態、すなわち、電源断の状態とすることも考えられる。長大なコンテンツをダウンロードしている最中に、かかる原因により頻繁に中断が生じるのでは、通信端末装置及びメモリカードの利便性が損なわれ兼ねない。
【特許文献1】特開2002−288142号公報
【発明の開示】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、着脱可能な記録媒体に対するデータ転送中に中断が生じた場合に、記録媒体の同一性を確認した上で、コンテンツ単位よりも短い戻り時間で転送を再開することを可能にする技術を提供することを目的とする。
【0016】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るものは、情報処理装置であって、前記情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、前記記録媒体を管理する媒体管理部と、を備えている。そして、当該媒体管理部は、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録部と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録部と、を有している。
【0017】
前記情報処理装置は、更に、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定部と、前記転送再開判定部の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御部と、を備えている。
【0018】
本発明の目的、特徴、局面、及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(1.構成)
図1は、本発明の一実施の形態による情報処理装置の構成を示すブロック図である。この情報処理装置は通信端末装置10として具体化されている。通信端末装置10は、データの記録再生機能を有し、且つ通信機能を備えている。通信端末装置10は、更に、本発明の記録媒体の実施形態に該当するメモリカードが着脱可能なインタフェースを備えている。メモリカードをインタフェースに装着することにより、当該メモリカードに対してデータの記録再生処理を行うことが可能となっている。
【0021】
通信端末装置10は、例えば、SDメモリカードなどのメモリカードを装着し、SDメモリカードに記録された画像データを表示画面に表示したり、逆に、インターネット網に接続して音声や画像データで構成されるコンテンツをSDメモリカードにダウンロードするなどの機能を備えた携帯電話機として、更に具体化することが可能である。以下において、通信端末装置10は、このような携帯電話機として構成されているものとする。
【0022】
図1に示すように、通信端末装置10は主要な要素として、通信部101、制御部102、メモリカードインタフェース103、利用管理メモリ104、ユーザインタフェース105、データメモリ106、及び外部インタフェース107を備える。それにより通信端末装置10は、通信ネットワークを介して、無線により、デジタルデータである音声データや画像データなどの送受信を行なう。また、通信端末装置10は、メモリカードインタフェース103を介し、メモリカードインタフェース103に装着されたメモリカード13との間でデジタルデータ(以下、適宜、データと呼ぶ)の転送を行なうことにより、メモリカード13に対してデータを記録したり、あるいはメモリカード13からデータを読み込んだりする。通信端末装置10は、それによりコンテンツ等の記録や再生を行なう。
【0023】
通信部101は、基地局等との通信を行ない、それによりデータを送受信するものである。制御部102は、後述するデータ転送の中断やその再開の制御を含めて、通信端末装置10の各部の制御を行なう。メモリカードインタフェース103は、装着されたメモリカード13に対するインタフェースとして機能する。利用管理メモリ104は、通信端末装置10の利用に関する情報などを記憶する。ユーザインタフェース105は、ユーザに対するインタフェースとして機能する。データメモリ106は、送受信したデータやアプリケーション機能で利用するコンテンツ等を記憶する。外部インタフェース107は、外部装置と通信端末装置10との間でのデータ或いはプログラム等の送受信を可能にするインタフェースであり、例えば、USB等のシリアルインタフェースを有している。
【0024】
制御部102は、通信端末装置10の各部の制御や処理機能を備えた主制御部であり、通信部101と接続した通信に関する制御や処理、ユーザインタフェース105と接続してユーザからの指示を受け付けたり、情報を表示するなどユーザインタフェース105に関する制御や処理、あるいは、メモリカード13にデータを転送してそのデータをメモリカード13に記録したり、メモリカード13から転送されるデータを受け取り、コンテンツの再生処理を行なうなどの基本的な制御、処理機能を備えている。さらに、制御部102は、これらの基本的な制御、処理機能に加えて、メモリカード13との間でのデータ転送中に中断が生じたとき、その中断から継続してデータ転送の再開が可能であるかどうかを判定する機能、及びその判定に基づいてデータ転送を行なう機能を有している。なお、以下、説明を分かりやすくするため、機能ブロックを用いてこのような機能を実現する例を挙げて説明するが、例えば、プログラムメモリに記録したプログラムの各ステップをマイクロコンピュータに実行させることで実現してもよく、このようなマイクロコンピュータなどで実現するのがより一般的である。
【0025】
制御部102をマイクロコンピュータ等のコンピュータで実現する場合には、当該コンピュータは、不図示のCPU(Central Processing Unit;中央演算処理部)、このCPUの動作を規定するプログラムを格納する不図示のRAM(Random Access Memory)或いはROM(Read Only Memory)、一時的にデータを保管する不図示のRAM等の記憶部を有する。上記プログラムは、ROM、フレキシブルディスク、CD−ROM等の記録媒体131を通じて供給することも、電話回線、ネットワーク等の伝送媒体133を通じて供給することも可能である。図1には、記録媒体131としてCD−ROMが描かれており、伝送媒体133として無線の伝送媒体が描かれている。
【0026】
記録媒体131としてCD−ROMに記録されたプログラムは、外部装置としてのCD−ROM読取装置132を外部インタフェース107へ接続することにより、読み出すことができ、更に通信端末装置10が有する不図示のRAM或いは小型ハードディスク等の記憶装置に格納することができる。記録媒体131としてROMの形態でプログラムが供給される場合には、当該ROMを通信端末装置10に搭載することにより、制御部102は上記プログラムに従った処理を実行可能となる。
【0027】
伝送媒体133を通じて供給される上記プログラムは、通信部101を通じて受信され、通信端末装置10が有する不図示のRAM或いは小型ハードディスク等の記憶装置に格納される。伝送媒体133は、上記の通り有線の伝送媒体に限られない。また、伝送媒体133は通信線路のみでなく、通信線路を中継する中継装置、例えばルータ等も含む。
【0028】
制御部102は主要な要素として、データ転送部21、メディア利用管理部22、更新時刻生成部23、転送再開判定部24及び転送再開制御部25を備えている。データ転送処理部21は、データメモリ106とメモリカードインタフェース103を介して接続されたメモリカード13との間のデータ転送により、メモリカード13に対するデータの記録再生に関する処理を行なう。すなわち、データ転送処理部21は、ユーザインタフェース105が有するボタン或いはキー等の入力部53を通じて、メモリカード13への記録の指示を受け付けると、データメモリ106に記憶したコンテンツ等のデータを、メモリカードインタフェース103を介して接続されたメモリカード13にデータ転送するとともに、転送したデータをメモリカード13に記録する。
【0029】
また、データ転送処理部21は、入力部53を通じてメモリカード13の読み出しの指示を受け付けると、メモリカード13に記憶されたコンテンツ等のデータを、メモリカードインタフェース103を介して接続されたメモリカード13からデータ転送するようにメモリカード13を制御し、メモリカード13から転送されたデータをデータメモリ106に一時記録したり、そのデータの内容をユーザインタフェース105が有する表示部52に直接に表示させる再生を行ったりする。表示部52は、本発明の表示部の実施形態、及びデータ再生部の実施形態の何れにも該当するもので、例えばLCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示画面、及びスピーカを有することにより画像及び音声を表示・再生する。
【0030】
なお、通信端末装置10とメモリカード13との間で行われるデータ転送は、通信端末装置10における、データメモリ106との間でのデータ転送のみならず、通信部101との間でのデータ転送や、ユーザインタフェース105とのデータ転送、更には外部インタフェースとのデータ転送の形態を採ることができる。以下においては、これらの転送形態のうち、データメモリ106との間でのデータ転送を代表例として主に説明する。
【0031】
メディア利用管理部22、更新時刻生成部23、及び転送再開判定部24は、利用管理メモリ104と協働して、メモリカード13と通信端末装置10との間でのデータ転送中に中断が生じたときに、その中断から継続してデータ転送の再開が可能であるかどうかを判定することを可能にする。
【0032】
メディア利用管理部22は、本発明の媒体管理部の実施の形態に該当し、通信端末装置10とメモリカード13との間でデータ転送が行われるごとに、データ転送の中断に備えて、各データ転送処理によるメモリカード13の利用状態を示す状態情報を作成する。状態情報は、実行されるデータ転送に関して、処理内容及び処理状態を示す情報である。この状態情報には、個々のメモリカード13を識別するための媒体識別情報であるメディアID、個々の通信端末装置10を識別するための装置識別情報である端末ID、及び所定の時間間隔でデータ転送中における各時刻を示す最終更新時刻情報が含まれる。
【0033】
最終更新時刻情報は、本発明の位置特定情報に含まれる時刻情報の実施形態に該当する。また、状態情報は、本発明の共通情報の実施形態及び位置特定情報の実施形態の何れにも該当する。図1に示すようにメディア利用管理部22は、共通情報記録部27及び特定情報記録部28を含んでいる。共通情報記録部27は、状態情報のうち共通情報に該当するものを利用管理メモリ104とメモリカード13との少なくとも一方に書き込み、特定情報記録部28は、状態情報のうち最終更新時刻情報等の位置特定情報を、利用管理メモリ104とメモリカード13との双方に書き込む。なお、データ及び情報は、何れも物理的実体としては信号である点において変わりはないが、本明細書では、ユーザが転送の対象とするものを特に「データ」と称し、それ以外のものを「情報」と称することとしている。
【0034】
利用管理メモリ104は、本発明の記憶部の実施形態に該当するもので、メディア利用管理部22が作成した、各データ転送処理における状態情報を記憶するメモリである。また、利用管理メモリ104には、個々の通信端末装置10を識別するための装置識別情報である端末IDが、端末ID領域42に記憶される。また、各データ転送ごとの状態情報は、それぞれのデータ転送に対応して複数設けられた状態情報領域41に記憶される。
【0035】
メディア利用管理部22は、メモリカード13と通信端末装置10との間でデータ転送が実行されると、装着されたメモリカード13に記憶されたメディアIDを読み出し、読み出したメディアIDを利用管理メモリ104の状態情報領域41に記録する。また、更新時刻生成部23は、所定の時間間隔で、各時刻を示す時刻情報をメディア利用管理部22に通知する。メディア利用管理部22は、データ転送が実行されると、更新時刻生成部23からの時刻情報を利用し、データ転送中における各時刻を示す最終更新時刻情報を生成し、所定の時間間隔で利用管理メモリ104の状態情報領域41に記録する。さらに、メディア利用管理部22は、データ転送を実行中のメモリカード13に対して、端末IDを記録するとともに、生成した最終更新時刻情報を所定の時間間隔で記録する。
【0036】
メディア利用管理部22は、データ転送中において、以上のような処理を実行することにより、メモリカード13と利用管理メモリ104との双方に対して、所定の時間間隔で同一の状態情報を記憶させる。このように、メディア利用管理部22により、データ転送処理の処理内容及び処理状態に関する情報を、状態情報として利用管理メモリ104に記憶するとともに、装着されたメモリカード13に状態情報を記録する媒体利用管理機能が実現される。
【0037】
転送再開判定部24は、例えば、ユーザインタフェース105において、メモリカード13へのデータの記録を要求する操作、或いはメモリカード13からのデータの再生等の読み出しを要求する操作が行われた場合、データ転送の開始に先立ち、メモリカード13に保存されている過去のデータ転送に関わる状態情報を順次読み出す。これとともに、転送再開判定部24は、装着されたメモリカード13に対応したメディアIDを利用管理メモリ104から読み出す。さらに、転送再開判定部24は、メモリカード13からと利用管理メモリ104からとの、端末ID、メディアID、及び最終更新時刻情報をそれぞれ照合する。
【0038】
転送再開制御部25は、これらの端末ID、メディアID、及び最終更新時刻情報がともに一致した場合に限り、データ転送の再開が可能な転送中断データが存在すると判断してデータ転送の再開制御に移行する。すなわち、転送再開制御部25は、上記転送再開判定部24において、転送再開が可能な転送中断データが存在すると判断された場合に、中断された箇所からのデータの転送を開始するようデータ転送処理部21を制御する。これにより、データ転送処理部21は、中断された箇所からのデータ転送を開始する。一方、転送再開制御部25は、照合されたデータのうち、何れか一つでも一致しなければデータ転送の再開不可能と判断して新規データ転送のための制御に移行する。
【0039】
図2は、メモリカード13の記憶領域の構成を示すブロック図である。メモリカード13は、通信端末装置10から転送された記録のためのデータを記憶する通常領域300と、著作権に関した権利情報など外部アクセス等からの保護が必要な情報を記憶する保護領域310と、メモリカード13の識別情報であるメディアIDを記憶するメディアID記憶領域32とを有している。また、通常領域300には、中断することなく記録が完了したデータが、そのデータを管理する管理情報とともに記憶される領域39に加えて、記録や再生が中断したデータが管理情報とともに記憶される領域30が設けられている。また、保護領域310は、通常領域300に記憶される各データに対応した権利情報に加えて、データ転送が中断した通常領域300内のデータにそれぞれ対応づけて状態情報が記憶される領域31を有している。
【0040】
保護領域310に対しては相互認証なしにはアクセスすることができず、一方、通常領域300には、通常にアクセスすることが可能である。SDメモリカードの規格例では、著作権を有するコンテンツを格納する場合には、相互認証に成功した後、そのコンテンツの著作権情報(図1の権利情報に該当する)がカード毎の固有の鍵で暗号化された上で、保護領域310に格納される。当該鍵は、上記のメディアIDに該当する。一方、コンテンツは、当該コンテンツの著作権情報と上記鍵とによって暗号化された上で、通常領域300へ格納される。著作権を有するコンテンツをSDメモリカードから読み出す場合には、相互認証が成功した後、そのコンテンツの著作権情報が保護領域310から読み出され、上記鍵によって復号化される。また、通常領域300に格納されている暗号化されたコンテンツは、当該コンテンツの著作権情報と上記鍵とによって復号化され、それによって再生可能な情報に復元される。
【0041】
このようにSDメモリカードでは、通常領域300に格納された暗号化されたコンテンツは、自由に読み出して他のカードにコピーすることも可能であるが、保護領域310に格納された著作権情報は、他のカードへコピー等することができない。その結果、読み出されたコンテンツは再生することができず、それにより不正なコピーを防止することができる。仮に、保護領域310に格納された著作権情報が何らかの方法で不正にコピーされたとしても、当該著作権情報は各カードに固有の鍵で暗号化されているため、復号化することができない。
【0042】
図1の例においても、望ましくは、権利情報及び状態情報は、メディアIDを鍵として暗号化した上で、保護領域310に格納される。また望ましくは、データは、権利情報(又は状態情報をも含めて)及びメディアIDを鍵として暗号化した上で、通常領域300に格納される。
【0043】
図1に示すように通信端末装置10は、更に、電源としての電池51を備えている。また望ましくは、制御部102は、電源中断検出部61、再開指示検出部63、及び着脱検出部64を更に有している。電源中断検出部61は、データ転送の中途において、電池51の出力が所定レベルを下回るなどの電源の中断と、その後の再供給を検出するものである。再開指示検出部63は、ユーザが入力部53を通じてデータの転送の中断を指示したり、中断後にデータの転送の再開を指示したりした場合に、これらの指示があったことを検出するものである。着脱検出部64は、データ転送の中途において、メモリカード13の脱着及び装着を検出するものである。
【0044】
電源中断検出部61による電源の再供給の検出、再開指示検出部63による転送再開の指示の検出、及び着脱検出部64によるメモリカード13の再装着の検出のうちの何れかの検出があると、制御部102はデータ転送再開のための処理を開始する。すなわち、メディア利用管理部22は状態情報の読出しを行い、転送再開判定部24はデータの転送再開が可能かどうかの判定を行う。
【0045】
(2.動作)
以下、メモリカード13を装着した通信端末装置10の動作について説明する。図3は、データ転送の過程における制御部102の処理手順を示すフローチャートである。通信端末装置10において、ユーザがデータ転送の要求をユーザインタフェース105の入力部53等を通じて指示すると、制御部102は、図3に示すデータ転送処理を開始する。
【0046】
処理が始まると、まず、メディア利用管理部22は、装着されたメモリカード13から、そのメモリカード13のメディアID領域32に記憶されたメディアIDを読み取る。さらに、メディア利用管理部22は、読み取ったメディアIDを利用管理メモリ104の状態情報領域41に記録する。これにより、利用管理メモリ104の状態情報領域41には、装着されたメモリカード13のメディアIDが記憶される(ステップS102)。
【0047】
次に、メディア利用管理部22は、利用管理メモリ104に記憶した本通信端末装置10の端末IDを読み取り、メモリカード13の保護領域310に確保した領域31に端末IDを書き込む。これにより、メモリカード13の保護領域310には、メモリカード13を装着した通信端末装置10の端末IDが記憶される(ステップS104)。以上のステップS102及びS104の処理は、メディア利用管理部22のうち、特に共通情報記録部27によって実行される。
【0048】
次に、メディア利用管理部22は、更新時刻生成部23から時刻情報を取得し(ステップS106)、取得した時刻情報を最終更新時刻情報として、利用管理メモリ104の状態情報領域41に記録する。これにより、利用管理メモリ104の状態情報領域41には、データ転送処理における一つの時刻を示す情報が最終更新時刻情報として記憶される(ステップS108)。以上のステップS106及びS108の処理は、メディア利用管理部22のうち、特に位置特定情報記録部28によって実行される。
【0049】
なお、このとき、最終更新時刻情報とともに、データ転送処理の処理内容、及び処理状態に関する情報を状態情報として記憶してもよい。処理内容の例としては、通信端末装置10からメモリカード13にデータを転送するのか、あるいはメモリカード13から通信端末装置10へデータを転送するのかを示す情報や、その転送処理が、データを複写するコピー処理、データを移動させるムーブ処理、あるいはデータを再生するためのどの処理なのかを示す情報などが挙げられる。また、処理内容の他の例として、印刷するためのデータを転送するための処理であるプリント処理を示す情報であってもよい。さらには、暗号化して記憶しているコンテンツを転送してメモリカード13に記録し、その記録に対して、記憶させたコンテンツに対応する権利情報の権利回数を通信端末装置10において一つ減るように更新するチェックアウト処理や、逆に、暗号化して記憶しているコンテンツをメモリカード13から読み出し、メモリカード13に記憶していたコンテンツを消去することで、そのコンテンツに対応する権利情報の権利回数を通信端末装置10において一つ増やすように更新するチェックイン処理などの処理も伴なう場合には、その処理内容も含めて状態情報として記憶してもよい。これらの処理内容に関する情報は、メディア利用管理部22のうち、特に共通情報記録部27によって記録が行われる。
【0050】
また、処理状態に関する情報としては、最終更新時刻情報に加えて、或いはそれに代えて、転送開始からの転送データ量を示すデータ量情報や、転送開始からの相対時間を示す相対時間情報などを含めてもよい。これらの処理状態に関する情報は、メディア利用管理部22のうち、特に位置特定情報記録部28によって記録が行われる。
【0051】
次に、メディア利用管理部22は、利用管理メモリ104に記録したのと同一の最終更新時刻情報を、メモリカード13の保護領域310に確保した領域31に書き込む。このとき、この最終更新時刻情報に上述したような状態情報を含めてメモリカード13に書き込んでもよい(ステップS110)。ステップS110の処理は、メディア利用管理部22のうち、特に位置特定情報記録部28によって実行される。
【0052】
次に、データ転送処理部21が、ユーザからの指示内容に従ったデータの転送を行なう(ステップS112)。次に、制御部102は、データ転送処理部21によるデータの転送が完了したかどうかを判定する(ステップS114)。データの転送が完了しないと判定された場合には(ステップS114で「いいえ」)、処理はステップS106に戻り、ステップS106以降の処理が繰り返される。また、データの転送が完了したと判定された場合には(ステップS114で「はい」)、制御部102は、データの転送処理を終了する。
【0053】
以上説明した手順に従った処理により、利用管理メモリ104とメモリカード13とには、それぞれ相手方のメディアIDと端末IDとが記憶される。さらに、ステップS106からステップS114までの処理の一巡(ループ)を、所定の時間間隔をもって反復することにより、利用管理メモリ104とメモリカード13とに、その処理の一巡ごとの時刻を示す最終更新時刻情報が記憶される。
【0054】
なお、ステップS106からステップS114に至る一巡の処理を反復実行する単位としては、メモリカード13に書き込むためのブロック単位の整数倍とすることが好ましい。例えば、メモリカード13としてSDメモリカードの場合、最小の書き込みブロック単位は512バイトであるセクタ単位であり、一巡の処理を反復する単位は、当該セクタ単位の整数倍にあたるグループ単位、或いはクラスタ単位とすることが好ましい。このとき、反復単位が大きすぎると、中断から復旧するための再実行部分が増えることとなる。また、逆に、単位が小さすぎると、オーバヘッドが大きくなる。このため、両者のバランスを考えて、選択することとなる。
【0055】
SDメモリカードの例を挙げると、256メガバイトのSDメモリカードを用い、FAT16と呼ばれるファイルシステムを利用したとき、1クラスタは16キロバイトであり、このクラスタあたり32セクタとなる。このときのファイルシステムが管理するFAT情報は64セクタであり、オーバヘッドも考慮すると、少なくともそれよりも大きい単位であるほうが好ましい。以上のような点を考慮して、ステップS106からステップS114の一巡の処理を反復実行する単位として、例えば、256セクタとするよい。すなわち、SDメモリカードの場合には、所定の時間間隔で利用管理メモリに記録する最終更新時刻情報は、例えば、256セクタ分の書き込みごとに更新するようにすればよい。また、例えば、256メガバイトのSDメモリカードでは256セクタ分の書き込みごと、128メガバイトのSDメモリカードでは128セクタ分の書き込みごとに更新というように、メモリカード13の容量や性能などそのメモリカードの仕様に応じて、利用管理メモリに記録する最終更新時刻情報の更新間隔を可変するような構成とすることで、より柔軟な中断再開処理が可能となる。
【0056】
このような手順に従ったデータ転送処理が進行している中途で、例えば、ユーザが誤って通信端末装置10の電源をオフにしたり、あるいはユーザが誤ってメモリカード13を通信端末装置10から抜いてしまうと、このデータ転送処理が中断されることとなる。データ転送の中断が生じた後、ユーザが中断前の通信端末装置10、及びメモリカード13を用いて、中断が生じたデータ転送を入力部53等を通じて再度指示したとき、制御部102は、中断が生じたデータ転送の再開が可能かどうかを判定するための処理を行なう。
【0057】
電源オフ等の誤操作の後にユーザが転送開始を指示した場合だけでなく、既に述べたように、電源出力の低下後の再供給(すなわち電源中断検出部61による検出)、及び入力部53等を通じてユーザが意図してデータ転送を中断し更に再開を指示した場合(すなわち、再開指示検出部63による検出)にも、制御部102は転送再開可能か否かについての判定処理を行うのが望ましい。また、メモリカード13の脱着後に再装着が有った場合に、制御部102は、ユーザの指示を待つことなく、着脱検出部64による検出に基づいて、自動的にデータ転送再開のための処理を開始してもよい。
【0058】
図4は、制御部102の転送再開判定部24により実行されるデータ転送再開の判定の手順、及び転送再開制御部25により実行される転送再開制御の手順を示すフローチャートである。通信端末装置10において、例えばユーザがデータ転送再開の要求をユーザインタフェース105を通じて指示すると、制御部102は、図4に示すデータ転送再開判定処理を開始する。
【0059】
処理が始まると、まず、転送再開判定部24は、データ転送を再開するために装着されたメモリカード13にアクセスし、そのメモリカード13の保護領域310に状態情報が記録されているかどうかを判定する(ステップS201)。状態情報が記録されていない場合には(ステップS201で「いいえ」)、転送再開判定部24は、後述するステップS216へ処理を進める。また、状態情報が記録されている場合には(ステップS201で「はい」)、転送再開判定部24はステップS202へ処理を進める。
【0060】
転送再開判定部24は、処理をステップS202へ進めると、まず、メモリカード13から、そのメモリカード13のメディアID領域32に記憶されたメディアIDとともに、保護領域に記憶された状態情報を一つ選択して読み出す(ステップS202)。次に、転送再開判定部24は、メモリカード13から読み出した状態情報に含まれる端末IDが本通信端末装置10の端末IDと一致するかどうか判定する(ステップS204)。一致しない場合には(ステップS204で「いいえ」)、転送再開判定部24は処理をステップS210へ進める。
【0061】
転送再開判定部24は、ステップS210において、そのメモリカード13の保護領域310に、他の状態情報が記録されているかどうかを判定する。他の状態情報が記録されていない場合には(ステップS210で「いいえ」)、転送再開判定部24は、後述するステップS216へ処理を進める。また、状態情報が記録されている場合には(ステップS210で「はい」)、転送再開判定部24は、ステップS202へ処理を戻し、保護領域310に記憶された次の状態情報を読み出す。また、ステップS204において、それぞれに記憶した端末IDが一致した場合には(ステップS204で「はい」)、転送再開判定部24は、ステップS206へ処理を進める。
【0062】
次に、転送再開判定部24は、ステップS206へ処理を進めると、読み出したメモリカード13のメディアIDが、利用管理メモリ104に記憶されたメディアIDと一致するかどうか判定する(ステップS206)。一致しない場合には(ステップS206で「いいえ」)、転送再開判定部24は、ステップS210へ処理を進める。また、ステップS206において、それぞれに記憶したメディアIDが一致した場合には(ステップS206で「はい」)、転送再開判定部24は、ステップS208へ処理を進める。
【0063】
次に、転送再開判定部24は、ステップS208へ処理を進めると、読み出したメモリカード13の最終時刻更新情報が、利用管理メモリ104に記憶された最終時刻更新情報と一致するかどうか判定する(ステップS208)。一致しない場合には(ステップS208で「いいえ」)、転送再開判定部24は、ステップS210へ処理を進める。また、ステップS208において、それぞれに記憶した最終時刻更新情報が一致した場合には(ステップS208で「はい」)、転送再開判定部24は、ステップS212へ処理を進める。すなわち、転送再開判定部24は、ステップS204からステップS208までの判定結果において、利用管理メモリ104とメモリカード13とに記憶された端末ID、メディアID、及び最終時刻更新情報のすべてが一致した場合、現在の通信端末装置10、及びメモリカード13が、データ転送の中断が生じたときと、同一、かつ同一状態を保持した通信端末装置10、及びメモリカード13であると判定する。
【0064】
転送再開判定部24は、通信端末装置10、及びメモリカード13について、データ転送中断の前後での、個体の同一性、及び状態の同一性を肯定する判定を行うと(ステップS204〜S208の全てにおいて「はい」)、再開が可能な中断データが存在することを、ユーザインタフェース105を通じてユーザへ通知する(ステップS212)。この通知は、例えばユーザインタフェース105の表示部52に判定の結果を表示させることにより行われる。さらに、転送再開判定部24は、この判定結果を転送再開制御部25に通知する。
【0065】
ユーザは、ユーザインタフェース105を通じた、再開可能な中断データが存在する旨の通知に基づき、データ転送を再開するかどうかをユーザインタフェース105の入力部53等を通じて指示する。転送再開制御部25は、このユーザインタフェース105を通じてデータ転送を再開するよう指示されたかどうかを判定する(ステップS214)。データ転送を再開するよう指示されたと判定した場合(ステップS214で「はい」)、転送再開制御部25は、ステップS218へ処理を進める。ステップS218において、転送再開制御部25は、データ転送処理部21に対して、データ転送の中断から再開するよう制御する。また、転送再開制御部25は、ユーザインタフェース105を通じてデータ転送を再度初めから開始するよう指示されたと判定した場合(ステップS214で「いいえ」)、ステップS216へ処理を進める。ステップS216において、転送再開制御部25は、データ転送処理部21に対してデータ転送を再度初めから開始するよう制御する。
【0066】
以上、図4の手順に従った処理により、ユーザが中断時と同じ通信端末装置10、及びメモリカード13を使用してデータ転送の再開を行おうとした場合には、通信端末装置10の利用管理メモリ104に保持されている自身の端末ID、相手側のメディアID、及び最終時刻更新情報と、メモリカード13に保存されている相手側の端末ID、自身のメディアID、及び最終時刻更新情報とがそれぞれ一致するため、データ転送の再開が可能と判断されてデータ転送の再開制御が実行される。
【0067】
一方、仮にユーザが、中断時の通信端末装置10とは別の通信端末装置10(10Aと仮に記載する)を使用し、中断前の通信端末装置10に接続されていたメモリカード13を装着して、データ転送の再開のための操作を行ったとする。この場合には、中断時とは異なる端末IDが通信端末装置10Aに保持されているため、この端末IDと、メモリカード13に保存されている端末IDとは異なる。このため、転送再開判定部24は、ステップS204の照合において両端末IDが不一致であると判定する。また、転送再開制御部25は、転送再開判定部24による不一致との判定結果に基づき、データ転送の再開を禁止し、データ転送の再開の代わりに再度初めからデータ転送を行うようデータ転送処理部21を制御する。
【0068】
また、ユーザが、中断が発生したデータ転送において使用していた通信端末装置10と同じ通信端末装置10を使用していながら、中断時に使用していたメモリカード13とは別のメモリカード13(13Aと仮に記載する)を使用してデータ転送の要求操作を行ったとする。この場合には、中断前に通信端末装置10に保持されたメディアIDと、別のメモリカード13Aに保存されているメディアIDとは異なるため、転送再開判定部24は、ステップS206の照合において両メディアIDは不一致と判定する。この結果に基づき、転送再開制御部25は、データ転送の再開を禁止し、データ転送の再開の代わりに再度初めからデータ転送を行うようデータ転送処理部21を制御する。
【0069】
また、ユーザが、中断が発生したメモリカード13のデータ転送が実行されたデータに対して、例えば、他の装置などを利用して書き換え操作などを行ない、さらにデータ転送において使用していた通信端末装置10と書き換え操作がなされたメモリカード13とを使用してデータ転送の要求操作を行ったとする。この場合には、中断前に通信端末装置10に記録された最終更新時刻情報と同一の最終更新時刻情報がメモリカード13に存在しなくなり、この通信端末装置10の最終更新時刻情報と、メモリカード13に保存されている最終更新時刻情報とは異なることとなる。このため、転送再開判定部24は、ステップS208の照合において両最終更新時刻情報は不一致と判定する。この判定結果に基づき、転送再開制御部25は、データ転送の再開を禁止し、データ転送の再開の代わりに再度初めからデータ転送を行うようデータ転送処理部21を制御する。
【0070】
このように、本実施の形態における通信端末装置10によれば、中断時点で使用していた通信端末装置10と、そのときのメモリカード13と個体が同一であって且つ同一の状態を保持したメモリカード13とを使用してデータ転送の再開を行なおうとした場合にのみ、データ転送を再開することができる。これにより、大容量データの記録媒体へのデータ転送時など時間のかかるサービス利用時に、メモリカード等の記録媒体の挿抜や電源断等によって転送が中断されても、メモリカードの同一性をより正確に判定して、転送を継続的に開始できることとなり、記録や再生完了分の時間を無駄にすることがなく情報処理装置を継続して利用することが可能となる。
【0071】
なお、メモリカード13を通信端末装置10に挿入したとき、メモリカード13が同一の状態を保持していないと判断された場合の処理として、次のような処理が可能である。すなわち、メモリカード13に対して、転送対象とされるデータの先頭からデータ転送を開始し、メモリカード13に既に記録されたデータに上書きするように記録したり、あるいは、メモリカード13に既に記録されたデータを消去し、その後、転送されたデータを記録したりする処理を採ることが可能である。
【0072】
図5は、データ転送時において中断が生じた場合の動作例を示すグラフである。図5では、データ転送の一例として、通信端末装置10からメモリカード13にコンテンツを移動させるムーブ処理を取り上げている。このようなムーブ処理において、中断が発生し、その中断からムーブ処理を再開した例を挙げて説明する。
【0073】
図5において、時刻t0にコンテンツのムーブ処理が開始される。時刻t0から開始されたムーブ処理のためのデータ転送において、通信端末装置10の利用管理メモリ104、及びメモリカード13には所定の時間間隔、すなわち時刻t1、t2、t3というように、各時刻に相当する最終更新時刻情報が記録される。このようなムーブ処理のためのデータ転送中において、例えば、電源のオフやメモリカードの抜き取りなどが時刻tAに発生すると、図5に示すようにデータ転送の中断が発生する。なお、このような中断の検出は、例えば、制御部102の着脱検出部64が、メモリカード挿入蓋の開きを検出したり、制御部102の電源中断検出部61が電源電圧の低下を検出することで実現できる。
【0074】
中断が発生したことにより、ユーザが中断時と同じ通信端末装置10、及びメモリカード13を使用してデータ転送の再開を行なうと、時刻tBから時刻tCにおいて、通信端末装置10の利用管理メモリ104に保持されている自身の端末ID、相手側のメディアID、及び最終時刻更新情報と、メモリカード13に保存されている相手側の端末ID、自身のメディアID、及び最終時刻更新情報とがそれぞれ照合される。さらに、その照合の結果それぞれが一致するため、データ転送の再開が可能と判断されて、時刻tCにデータ転送の再開制御が実行される。すなわち、ムーブ処理が再開され、時刻tDのムーブ処理が終了するまでデータ転送処理が継続される。
【0075】
一方、本実施の形態による中断の再開処理を行なわず、中断後に再度、コンテンツの先頭からムーブ処理を実行した場合には、図5に示す時刻t0’からムーブ処理が実行されることとなる。この場合、再開したムーブ処理に要する時間は、(tD−t0’)となる。これに対して、本発明のデータ転送中断の再開判定方法を利用してムーブ処理を再開した場合には、再開したムーブ処理に要する時間は、(tD−tB)となる。
【0076】
このように、本実施の形態によるデータ転送中断の再開判定方法を利用してムーブ処理を再開することにより、中断後に再度コンテンツの先頭からムーブ処理を行なう場合に比べて、(tB−t0’)だけ早くムーブ処理を完了することが可能となる。状態情報の照合処理等に要する時間(tC−tB)は、現実には1秒をも要しない短時間であるので、本発明によって短縮される時間(tB−t0’)は、時間(tC−tB)、言い換えると時間(t3−t0)に実質的に等しい。すなわち、本発明によって、実質的に時間(t3−t0)に相当する転送時間を短縮することが可能となる。
【0077】
以上述べたように、例えば、大容量のムーブ処理を実行中において中断が発生したとしても、その中断から再開してムーブ処理を継続できるため、完了分の時間を無駄にすることがなく情報処理装置を継続して利用することが可能となる。既に述べたように、通信端末装置10は、ユーザの不注意やユーザが意識しない状態で発生する中断にのみ対応し得るものである必要はない。例えば、データを転送するために長時間の転送時間を要する場合に、ユーザインタフェース105の入力部53等を通じてユーザが意識的に指示することにより、転送を中断させるような構成を採ることが可能である。それにより、例えば1時間のデータ転送時間を要するデータ転送を実行する途中において、ユーザの都合により転送を中断する必要が生じたためにユーザ指示があって、それによりデータ転送を一時中断し、時間を置いた後、更にユーザの指示により継続処理を実行することが可能となる。制御部102が再開指示検出部63を有することにより、このような制御を実現することができる。
【0078】
(3.共通情報の他の例)
図6は、通信端末装置10が、データ転送中断の再開判定に利用する状態情報の他の例を示す図である。図6に示すように、データ転送中断の再開を判定するために、データ転送の中断前後の通信端末装置10とメモリカード13との同一性を確認する情報として、上述した、端末ID、メディアID、最終時刻更新情報に加えて、データ転送するデータを識別するためのコンテンツID(コンテンツ識別情報)や転送データのデータ容量を示すデータサイズ情報などをも利用することができる。コンテンツIDは、本発明のデータ識別情報の実施形態に該当する。コンテンツIDを状態情報に含めることにより、同一のメモリカード13に対するデータ転送の中断が、複数のコンテンツについて生じているときに、それらのうちの任意の一つのコンテンツについて、他のコンテンツから区別してデータ転送を再開することができる。
【0079】
これとは逆に、中断したデータ転送の再開の可否を判定するためにデータ転送の中断前後での同一性を確認するための情報として、上述した、メディアID及び最終時刻更新情報のみを用いてもよい。この場合においても、メモリカード13と通信端末装置10との間で、中断前の最終更新時刻を照合することができるため、照合対象とされるメモリカード13が中断前のメモリカード13であるかどうかを確認することが可能である。
【0080】
また、最終時刻更新情報を共通情報としてメモリカード13と利用管理メモリ42との双方に記録することなく、メモリカード13にのみ記録し、メディアIDのみを共通情報とする形態を採ることも可能である。この場合においても、精度は劣るがメモリカード13の同一性を判定することは可能である。同一のメディアIDが双方に保持されておれば、そのことは、これを保持する通信端末装置10によって同一のメモリカード13に対するデータの転送が行われていたことを示すものに相違ないからである。
【0081】
更に、共通情報として、メディアIDに代えて、装置ID或いは、他の何らかの情報を用いることも可能である。この場合においても、通信端末装置10とメモリカード13との間で共通情報が一致しておれば、そのことは、当該共通情報を保持する通信端末装置10によって同一のメモリカード13に対するデータの転送が行われていたことを示すものとなる。それにより、メモリカード13の同一性について、確認を得ることができる。
【0082】
(4.集積回路)
上記の実施形態では、通信端末装置10の制御部102は、マイクロコンピュータによって構成された。これに対して、プログラムを要しないLSI(Large Scale Integrated circuit)等の集積回路で制御部102を構成することも可能である。例えば、図1に示した制御部102のうち、メディア利用管理部22、転送再開判定部24、及び転送再開制御部25をLSI70として構成することが可能である。当該LSI70を部品として利用することにより、制御部102を容易且つ小型に形成することができ、しかも処理の速度を高めることができる。
【0083】
また、テータ転送処理部21を含めてLSIで構成しても良く、更に更新時刻生成部23をLSIに含めてもよい。また、制御部102の全体を単一のLSIで構成することも可能であり、制御部102と利用管理メモリ42とを単一のLSIで構成することも可能である。更に、制御部102、通信部101、利用管理メモリ42、データメモリ106、及びメモリカードインタフェース103を、単一のLSIで構成することも可能である。
【0084】
(5.位置特定情報の他の例)
上記の実施の形態では、最終更新時刻情報として実時刻を示す情報が用いられた。これに対して、最終更新時刻情報として、データの各位置を表示すべき時刻を指示するためにデータの各位置に埋め込まれているタイムスタンプ、例えばMPEG規格等で規定されるPTS(Presentation Time Stamp)を採ることも可能である。PTSは、復号機がデータを表示装置等に再生すべき時刻を指示するタイムスタンプである。この場合、図1に示したメディア利用管理部22の特定情報記録部28が、コンテンツに埋め込まれたPTSを、データ転送処理部21が転送を行っているコンテンツから抽出し、利用管理メモリ42及びメモリカード13に書き込むことにより、状態情報としてのPTSの記録を実現することができる。従って、制御部102は更新時刻生成部23を要しない。
【0085】
図7は、メモリカード13から画像データを読み出して表示部52等に再生する場合に、最終更新時刻情報としてPTSが用いられる好ましい例を示すタイミング図である。図7に示すように、メモリカード13からデータ読出しのタイミングと、表示部52等への再生のタイミングとの間には、わずかながらずれが生じる。このため図7に示すように、データの読出し及び再生の過程で、利用管理メモリ42とメモリカード13とには、再生されつつあるデータのPTSが記録されるのが望ましい。
【0086】
メモリカード挿入蓋の開きが検出される等により、読出及び再生が中断した時には、再生が終了した最終のPTS値(A)が、利用管理メモリ42とメモリカード13とに記録されている。その後、メモリカード挿入蓋が閉じられる等により、データ転送再開の判定処理(図4)が実行され、その結果、転送を再開すべき場合には、データ転送処理部21は、再生が終了した最終のPTS値(A)が示すデータ位置から読出及び再生を開始する。それによりユーザは、再生の中断前後において、画像の連続感を損なうことなく画像を鑑賞することが可能となる。
【0087】
図8は、通信端末装置10が動画像データをメモリカード13へ記録する場合に、最終更新時刻情報としてPTSが用いられる好ましい例を示すタイミング図である。図8の例は特に、図1のユーザインタフェース105がカメラを有しており、当該カメラにより撮像して得られる動画像データがデータメモリ106に格納され、更に、格納されたデータがメモリカード13へ記録される場合を特に想定している。
【0088】
図8に示すように、カメラからのデータ出力のタイミングと、メモリカード13へのデータ記録のタイミングとの間には、わずかながらずれが生じる。このため図8に示すように、データの記録の過程で、利用管理メモリ42とメモリカード13とは、記録されつつあるデータのPTSが記録されるのが望ましい。データの記録が中断した時には、記録が終了した最終のPTS値(A)が、利用管理メモリ42とメモリカード13とに記録されている。その後、転送を再開すべき場合には、データ転送処理部21は、記録が終了した最終のPTS値(A)が示すデータ位置から記録を開始する。それにより、記録の中断前後において、データの損失及び重複なしにデータをメモリカード13へ記録することができる。
【0089】
既に述べたように、処理状態に関する情報として、最終更新時刻情報に加えて、或いはそれに代えて、転送開始からの相対時間を示す相対時間情報を用いることが可能である。この場合に、相対時間情報は、時間、分、秒等の単位で時間の長さを表現する情報のみならず、時間の長さに対応づけられる他の情報であっても良い。例えば、更新時刻生成部23がクロックパルスを計数するカウンタとして構成され、特定情報記録部28は、カウンタの計数値を相対時間情報としてメモリカード13等に記録しても良い。カウンタは、クロックパルスに同期して計数値を“1”ずつインクリメント或いはデクリメントする通常の形態だけでなく、計数値に“1”以外の値を加算又は減算する形態、或いは計数値にランダムな値を加算または減算する形態を採ることも可能である。
【0090】
また、処理状態に関する情報として、最終更新時刻情報、相対時間情報、及びデータ量情報のみならず、一般に、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報(本明細書において「位置特定情報」と仮称する)を用いることが可能である。それにより、転送再開の際に、位置特定情報が示す転送が既に終了しているデータ上の位置のうち、転送の最終位置(すなわち中断位置)に最も近い位置から、データ転送を再開することができる。
【0091】
更に、上記各実施の形態では、特定情報記録部28は、最終更新時刻情報を利用管理メモリ42とメモリカード13とに、前の情報を更新する形式で書き込んだ。これに対し、最終更新時刻情報等の位置特定情報を、利用管理メモリ42とメモリカード13とに、既に書き込まれた情報を残したまま、新たに書き込むように特定情報記録部28を構成することも可能である。この場合には、転送再開判定部24は、利用管理メモリ42とメモリカード13とに書き込まれた位置特定情報のうち、最終のものを照合するとよい。
【0092】
転送再開判定部24が照合に成功することによりデータ転送が再開され、新たな最終更新時刻情報等の位置特定情報の記録が始まった後には、転送再開前の位置特定情報はもはや無用である。従って、制御部102の例えば特定情報記録部28は、転送再開後には転送再開前の位置特定情報を利用管理メモリ10及びメモリカード13から消去してもよい。位置特定情報が更新的に記録される場合には、格別の処理を実行するまでもなく、転送再開後には転送再開前の位置特定情報は、新たな情報に更新されることにより消去される。
【0093】
(6.様々な記録媒体への適用可能性)
以上の実施の形態による通信端末装置10は、データ転送の対象としてSDメモリカードなどのメモリカード13を用いるものであった。しかしながら本発明は、メモリカード13に限らず、例えば、Blu−ray、DVDなど着脱可能な記録媒体を装着して記録再生等のデータ転送を行なう情報処理装置一般に適用することができる。これらの記録媒体には独自の規格が定められているが、以下に示すように、本発明は規格の変更を伴うことなく何れの記録媒体にも適用可能である。
【0094】
図9は、SDメモリカード等のメモリカードのディレクトリ構造を示す説明図である。各コンテンツは、当該メモリの規格内のフォルダであるコンテンツフォルダ内に生成されたファイルに格納される。異なるコンテンツは、異なるコンテンツフォルダに格納される。コンテンツ付属情報ファイルは、コンテンツに付属する情報を格納するファイルであり、コンテンツファイルはコンテンツ本体を格納するファイルである。また、サムネイル画像ファイルは、コンテンツに対応するサムネイル画像を格納するファイルである。
【0095】
一方、状態情報の格納場所として、以下の2形態を採ることが可能である。第1の形態では、規格で定められたファイルである管理情報フォルダ内の管理情報ファイル内の予約(Reserved)領域に、2つのフィールドが割り当てられ、これらのフィールドにコンテンツ識別情報(図6参照)と最終更新時刻情報とがそれぞれ格納される。メディアIDは、SDメモリカード内の所定の領域に既に保持されている。保持されていない場合には、同じく管理情報ファイル内の予約領域に、フィールドを別途確保し、当該フィールドにメディアIDを格納すると良い。
【0096】
第2の形態では、プライベートフォルダ内に格納された規格外のプライベートファイルに、2つのフィールドが割り当てられ、これらのフィールドにコンテンツ識別情報と最終更新時刻情報とがそれぞれ格納される。メディアIDがSDメモリカード内の所定の領域に保持されていない場合には、同じくプライベートファイル内に、フィールドを別途確保し、当該フィールドにメディアIDを格納すると良い。
【0097】
コンテンツとファイルとの間の関係は、記録媒体の種別毎に定まっており、それぞれの媒体の種別に応じて、コンテンツがファイルに格納される。例えばSDメモリカードでは、図10に示すように、1つのコンテンツが1又は複数のファイルに格納される。また、1つのコンテンツに対応するコンテンツ付属情報は、1つのファイルに格納される。また、図9を引用しつつ既に述べたように、1つのコンテンツは、1つのフォルダ内に格納される。
【0098】
Blu−rayにおいては、図11に示すように、1つのコンテンツが1又は複数のファイルに格納される。図11では、1つのコンテンツが1つのファイルに格納される例を示している。また、1つのコンテンツに対応するコンテンツ付属情報は、1つのファイルに格納される。しかしながら、SDメモリカードとは異なり、複数のコンテンツが1つのフォルダ内に格納され、複数のコンテンツに対応するコンテンツ付属情報が、別の1つのフォルダに格納される。DVDにおいては、図12に示すように、複数のコンテンツが1つのファイルに格納され、複数のコンテンツに対応するコンテンツ付属情報が別の1つのファイルに格納される。
【0099】
データ転送処理部21及びメディア利用管理部22は、このような記録媒体の種別によって定まる仕様(規格を含む)に従って、データ転送及び情報の記録を行うように構成することが可能である。それにより、様々な記録媒体に対応可能な通信端末装置10を実現することができる。
【0100】
(7.実施の形態の概要)
本発明の実施の形態の概要を以下に記載する。
【0101】
(1)ある情報処理装置は、前記情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、前記記録媒体を管理する媒体管理部と、を備えている。
【0102】
そして、当該媒体管理部は、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録部と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録部と、を有している。
【0103】
前記情報処理装置は、更に、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定部と、前記転送再開判定部の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御部と、を備えている。
【0104】
この構成によれば、データの転送開始前又は転送中に、共通情報記録部が記録媒体と記憶部との少なくとも一方に共通情報を書き込むことにより、記録媒体と記憶部との双方に共通情報が保持される。共通情報は、記録媒体と記憶部との一方に予め記録されているもの、例えば記録媒体を識別するための媒体識別情報、或いは情報処理装置を識別するための装置識別情報であれば、他方にのみ書き込まれることにより双方に保持され、何れにも記録されていないものであれば、双方に書き込まれることにより双方に保持される。更に、データ転送中においては、位置特定情報が反復的に前記記録媒体に書き込まれる。すなわち、データ転送が進行するのに伴い、データの転送終了位置を特定し得る情報が、反復して記録媒体に書き込まれる。
【0105】
データ転送が何らかの原因により中断した後にデータの転送を再開する際には、転送再開に先立って転送再開判定部が、記録媒体と情報処理装置の記憶部とに共通情報が保持されているか否かを判定する。すなわち、予め定められた種類の情報である所定種類の情報の全てについて、同一のものが記録媒体と記憶部とに保持されているか否かが判定される。転送再開判定部の判定が肯定的である場合、すなわち記録媒体と情報処理装置の記憶部とに共通情報が保持されている旨の判定が得られた場合は、判定の対象とされる記録媒体と、転送再開前に行われ中断した転送の対象とされた記録媒体との同一性が確認された場合に該当する。転送再開制御部は、かかる場合に、記録媒体に書き込まれている位置特定情報のうちの最終のものが示すデータ上の位置から、データの転送再開をデータ転送処理部に行わせる。
【0106】
従って、記録媒体の同一性が確認されたことを前提として、最終の位置特定情報が示す位置、すなわち位置特定情報が示す転送が既に終了しているデータ上の位置のうち、転送の最終位置に最も近い位置から、データ転送が再開される。それにより、データの転送再開が適切である場合に限り転送再開することができるとともに、当該データ転送の開始位置、即ち転送対象であるデータがコンテンツである場合においてコンテンツの先頭にまで戻ることなくデータの転送を再開することが可能となる。
【0107】
なお、転送とは、情報処理装置から記録媒体へのデータの記録、その逆に、記録媒体から情報処理装置へのデータの読出しの何れの形態をも包含する概念である。また、データの記録は、コピー(複写)及びムーブ(移動)の何れでも良く、更に、再生権利情報の移転を伴うチェックアウトの形態であってもよい。更に、データの記録は、記録先に既に記録されているデータを消去した後に、記録すべきデータを書き込む形態と、記録先に既に記録されているデータに記録すべきデータを上書きする形態との何れをも包含する。
【0108】
また、データの読出しは、情報処理装置内にデータを記憶する記憶手段が備わっている場合に、当該記憶手段へのコピー及びムーブの何れでも良く、再生権利情報の移転を伴うチェックインの形態であっても良い。更に、データの読出しは、情報処理装置内に画像表示装置等の再生手段が備わっており、且つデータが画像データ等の再生可能なデータである場合に、当該再生手段へデータを転送することによりデータを再生させるものであってもよい。更に、データの読出しは、情報処理装置内に通信手段が備わっている場合に、転送されたデータを当該通信手段を通じて外部へ送信するものであってもよい。
【0109】
なお、データのコピーとは、転送元にデータを残しつつデータを転送する形態を意味し、データのムーブとは、転送元にデータを残さずにデータを転送する形態を意味する。
【0110】
(2)ある情報処理装置は情報処理装置(1)であって、前記特定情報記録部は、前記位置特定情報を前記データの転送中に反復的に前記記録媒体と前記記憶部との双方に書き込み、前記転送再開判定部は、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が、前記共通情報に加えて前記位置特定情報のうちの最終のものを同一内容で保持するか否かについての判定を行うものである。
【0111】
この構成によれば、位置特定情報が、データの転送中に前記記録媒体と前記記憶部との双方に書き込まれ、転送再開判定部は、位置特定情報のうちの最終のものがあたかも共通情報の一部を構成するものとして、共通情報の存否を判定するので、記録媒体の同一性がより高い精度で判定される。
【0112】
(3)ある情報処理装置は情報処理装置(1)又は(2)であって、前記特定情報記録部は、前記位置特定情報の反復的な書き込みを更新的に行うものである。
【0113】
この構成によれば、位置特定情報の反復的な書き込みが、前情報を更新する形式で行われるので、位置特定情報を格納するための記録媒体の記憶容量、及び位置特定情報が記憶部にも書き込まれる場合には記憶部の記憶容量を節減することができる。更に、記録されている位置特定情報が、最終の位置特定情報に該当するので、転送再開制御部は転送再開すべきデータ上の位置を示す最終の位置特定情報を容易に特定することが可能となる。また、転送再開判定部が、最終の位置特定情報をあたかも共通情報の一部として判定を行う場合には、転送再開判定部は最終の位置特定情報を容易に探索することが可能となる。
【0114】
(4)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(3)の何れかであって、前記共通情報は、前記記録媒体を識別するための媒体識別情報を含んでいるものである。
【0115】
この構成によれば、共通情報が媒体識別情報を含んでいるので、共通情報記録部は、共通情報として情報処理装置の記憶部に媒体識別情報を書き込むのみで、当該媒体識別情報を記録媒体と記憶部との双方に保持させることができる。また、媒体識別情報によって記録媒体を識別することができるので、記録媒体の同一性の判定がより精度良く行われ得る。
【0116】
(5)ある情報処理装置は情報処理装置(4)であって、前記媒体管理部は、前記記憶部へ書き込むべき情報を、前記媒体識別情報に対応付けて前記記憶部へ書き込むものである。
【0117】
この構成によれば、媒体管理部が、記憶部へ書き込むべき情報を媒体識別情報に対応付けて書き込むので、情報処理装置は、複数の記録媒体に対するデータ転送の中断、再開に対応することができる。すなわち、データ転送が中断した記録媒体が複数ある場合においても、そのうちの任意の一つについてデータ転送を再開することが可能となる。
【0118】
(6)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(5)の何れかであって、前記共通情報は、前記情報処理装置自身を識別するための装置識別情報を含んでいるものである。
【0119】
この構成によれば、共通情報が装置識別情報を含んでいるので、共通情報記録部は、共通情報として記録媒体に装置識別情報を書き込むのみで、当該装置識別情報を記録媒体と記憶部との双方に保持させることができる。
【0120】
(7)ある情報処理装置は情報処理装置(6)であって、前記媒体管理部は、前記記録媒体へ書き込むべき情報を、前記装置識別情報に対応付けて前記記録媒体へ書き込むものである。
【0121】
この構成によれば、媒体管理部が、記録媒体へ書き込むべき情報を装置識別情報に対応付けて書き込むので、記録媒体は、複数の情報処理装置によるデータ転送の中断、再開に対応することができる。すなわち、複数の情報処理装置によるデータ転送が中断した場合においても、そのうちの任意の一つについてデータ転送を再開することが可能となる。
【0122】
(8)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(7)の何れかであって、前記共通情報は、転送中の前記データを識別するためのデータ識別情報を含んでいるものである。
【0123】
この構成によれば、共通情報がデータ識別情報を含んでいるので、記録媒体の同一性判定の精度が更に高められる。また、同一記録媒体に対するデータ転送の中断が、複数のデータについて生じているときに、それらのうちの任意の一つのデータについて、他のデータから区別してデータ転送を再開することができる。
【0124】
(9)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(8)の何れかであって、前記位置特定情報は、転送中における時刻を示す情報である時刻情報を含んでいるものである。
【0125】
この構成によれば、位置特定情報が時刻情報を含むので、特定情報記録部は例えばクロック等が発生する時刻を用いて、位置特定情報の書き込みを容易に実行することができる。また、時刻情報に基づいて転送が終了したデータ上の位置を特定することができる。ここで転送中における時刻として、実時刻のみならず、例えば、データの各位置を表示すべき時刻を指示するためにデータの各位置に埋め込まれているタイムスタンプ、例えばMPEG規格等で規定されるPTS(Presentation Time Stamp)を採ることも可能である。
【0126】
(10)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(9)の何れかであって、前記位置特定情報は、転送開始からの時間を示す情報である相対時間情報を含んでいるものである。
【0127】
この構成によれば、位置特定情報が相対時間情報を含むので、特定情報記録部は、例えば転送開始時に時間測定を開始するクロック等が発生する時間を用いて、位置特定情報の書き込みを容易に実行することができる。ここで相対時間情報は、時間、分、秒等の単位で時間の長さを表現する情報のみならず、時間の長さに対応づけられる他の情報であっても良い。例えば、相対時間情報は、カウンタが一定時間毎に更新するカウント値であってもよい。
【0128】
(11)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(10)の何れかであって、前記位置特定情報は、転送開始からの転送データ量を示すデータ量情報を含んでいるものである。
【0129】
この構成によれば、位置特定情報がデータ量情報を含むので、特定情報記録部は転送中において、例えば既に転送が終了したデータ量を計測することにより、位置特定情報の書き込みを容易に実行することができる。
【0130】
(12)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(11)の何れかであって、前記特定情報記録部は、転送前データの再構成を可能にする転送単位の整数倍の間隔をもって、前記位置特定情報の書込みを行うものである。
【0131】
この構成によれば、位置特定情報の書き込みが、転送前データの再構成を可能にする転送単位の整数倍の間隔をもって行われるので、転送と同時に再生が行われる場合に、転送再開直後から円滑にデータの再生を行うことができる。上記転送単位の一例として、MPEG規格等に基づくGOP(Group Of Picture)を挙げることができる。
【0132】
(13)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(11)の何れかであって、前記特定情報記録部は、前記記録媒体の仕様が規定する転送単位の整数倍の間隔をもって、前記位置特定情報の書込みを行うものである。
【0133】
この構成によれば、特定情報記録部が、記録媒体の仕様が規定する転送単位の整数倍の間隔をもって、記録媒体への位置特定情報の書込みを行うので、記録媒体の仕様に従って支障なく位置特定情報の書き込みを行うことができる。記録媒体の仕様が規定する転送単位の一例として、SD(Secure Digital)メモリカードにおける512バイトのセクタ単位を挙げることができる。
【0134】
(14)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(13)の何れかであって、前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、暗号化した上で前記記録媒体に書き込むものである。
【0135】
この構成によれば、媒体管理部が、記録媒体に書き込むべき情報を、暗号化した上で書き込むので、書き込まれた情報が容易には解読されない。従って、書き込まれた情報がユーザ等によって改変されることにより、本来転送再開すべきでない場合に、誤って転送を再開する不具合を抑制することができる。
【0136】
(15)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(14)の何れかであって、前記記録媒体が通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有する場合に、前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、前記保護領域に書き込むものである。
【0137】
この構成によれば、記録媒体が通常領域と保護領域とを有する場合に、媒体管理部は、記録媒体に書き込むべき情報を保護領域に書き込むので、共通情報及び位置特定情報の改ざんを防止することができる。
【0138】
(16)ある情報処理装置は情報処理装置(15)であって、前記記録媒体が通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有する場合に、前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、前記前記保護領域に加えて前記通常領域にも書き込み、前記転送再開判定部は、前記保護領域に書き込まれた内容と前記通常領域に書き込まれた内容とが一致しないときには、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持しないものと判定するものである。
【0139】
この構成によれば、記録媒体が通常領域と保護領域とを有する場合に、媒体管理部は、記録媒体に書き込むべき情報を保護領域のみならず、通常領域にも書き込み、転送再開の際に、それらが一致しないと判定されると転送の再開は行われないので、共通情報又は位置特定情報の改ざんがあった場合に、誤った転送の再開が行われることを防止することができる。
【0140】
(17)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(16)の何れかであって、前記転送再開制御部は、前記転送再開判定部の判定が否定的である場合に、前記データの先頭位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に開始させるものである。
【0141】
この構成によれば、転送再開判定部の判定が否定的である場合、すなわち記録媒体と情報処理装置の記憶部とに共通情報が保持されていない場合は、転送中断前後の記録媒体の同一性が否定的である場合に該当する。転送再開制御部はかかる場合に、データ転送処理部にデータの先頭位置からの転送を開始させるので、誤った転送再開を冒すことなく誤りのないデータの転送が達成される。
【0142】
(18)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(17)の何れかであって、前記データ転送の中途において、電源の中断後の再供給を検出する電源中断検出部を、更に備え、前記転送再開判定部は、前記電源中断検出部による検出があった場合に前記判定を行うものである。
【0143】
この構成によれば、電源中断検出部が備わるので、例えば電池切れ後の再充電、電源スイッチのオフ後のオンなど、電源の中断後に再供給があったことが検出される。そして転送再開判定部は、電源中断検出部による検出があると、記録媒体と記憶部との双方が共通情報を保持するか否かについての判定を行う。その結果、転送再開制御部は、転送再開判定部による肯定的な判定があれば、データ転送処理部にデータ転送の再開を行わせる。従って、電源中断後の再供給時に、データ転送の再開が適切である場合には自動的に再開が行われるので、情報処理装置の利便性が向上する。
【0144】
(19)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(18)の何れかであって、前記データ転送の中途において、前記記録媒体の脱着後の装着を検出する着脱検出部を、更に備え、前記転送再開判定部は、前記着脱検出部による検出があった場合に前記判定を行うものである。
【0145】
この構成によれば、着脱検出部が備わるので、記録媒体の脱着後の装着が検出される。そして転送再開判定部は、着脱検出部による検出があると、記録媒体と記憶部との双方が共通情報を保持するか否かについての判定を行う。その結果、転送再開制御部は、転送再開判定部による肯定的な判定があれば、データ転送処理部にデータ転送の再開を行わせる。従って、記録媒体の脱着後の装着があったときに、データ転送の再開が適切である場合には自動的に再開が行われるので、情報処理装置の利便性が向上する。
【0146】
(20)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(19)の何れかであって、前記データ転送の中途において、ユーザによる転送中断指示後の転送再開指示があったことを検出する再開指示検出部を、更に備え、前記転送再開判定部は、前記再開指示検出部による検出があった場合に前記判定を行うものである。
【0147】
この構成によれば、再開指示検出部が備わるので、例えばデータが長大であるためにユーザがデータの転送を一旦中断させ、その後の都合に合わせて転送再開を指示すると、当該指示が検出される。そして転送再開判定部は、再開指示検出部による検出があると、記録媒体と記憶部との双方が共通情報を保持するか否かについての判定を行う。その結果、転送再開制御部は、転送再開判定部による肯定的な判定があれば、データ転送処理部にデータ転送の再開を行わせる。従って、ユーザによる転送中断指示後の転送再開指示があったときに、データ転送の再開が適切である場合には再開が行われるので、情報処理装置の利便性が向上する。
【0148】
(21)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(20)の何れかであって、前記転送再開判定部は、前記判定が肯定的である場合に、当該判定の結果をユーザへ通知し、前記転送再開制御部は、前記通知に応答して転送再開を行う旨の指示をユーザが指示した場合に限り、前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させるものである。
【0149】
この構成によれば、転送再開判定部の判定が肯定的であっても、ユーザの意向の問合せがなされ、ユーザが転送再開の意思を伝えた場合に限って転送の再開が行われる。従って、ユーザの意向に反してデータの転送が実行されるという不都合が回避される。
【0150】
(22)ある情報処理装置は情報処理装置(1)ないし(21)の何れかであって、前記データ転送処理部は、前記データの転送として、前記データを前記記録媒体へ記録する記録処理と、前記データを前記記録媒体から読み出す読出処理とを選択可能に実行するものであり、前記データ転送処理部が前記記録媒体から読み出した前記データを再生するデータ再生部を、更に備えるものである。
【0151】
この構成によれば、データ再生部が備わり、データ転送処理部が記録処理と読出処理とを選択可能に実行するので、記録媒体にデータを記録することができ、且つ記録媒体からデータを読出し、更に再生することができる。又、データの記録又は再生の再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、記録又は再生の対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく記録又は再生を再開することが可能となる。
【0152】
(23)ある情報処理装置は情報処理装置(22)であって、前記データ転送処理部が前記記録媒体へ記録すべき前記データを外部から受信する通信部を、更に備えるものである。
【0153】
この構成によれば、通信部が備わるので、外部から受信したデータを記録媒体へ記録することができる。特に、外部から受信したデータの記録に中断があっても、記録の再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、記録の対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく記録を再開することが可能となる。
【0154】
(24)ある集積回路は情報処理装置(1)ないし(23)の何れかの製造に用いられる部品としての集積回路であって、前記媒体管理部と、前記再開判定部と、前記転送再開制御部とを単一の半導体基板に形成して成るものである。
【0155】
この構成によれば、本発明の情報処理装置を構成する媒体管理部と、再開判定部と、転送再開制御部とが、単一の半導体基板に形成されているので、本発明の情報処理装置を効率よく且つコンパクトに作り上げることができる。
【0156】
(25)ある集積回路は集積回路(24)であって、前記データ転送処理部を更に前記単一の半導体基板に形成して成るものである。
【0157】
この構成によれば、単一の半導体基板にデータ転送処理部が形成されているので、本発明の情報処理装置を更に効率よく且つコンパクトに作り上げることができる。
【0158】
(26)ある集積回路は集積回路(24)又は(25)であって、前記記憶部を更に前記単一の半導体基板に形成して成るものである。
【0159】
この構成によれば、単一の半導体基板に記憶部が形成されているので、本発明の情報処理装置を一層効率よく且つコンパクトに作り上げることができる。
【0160】
(27)あるデータ転送制御方法は、情報処理装置を制御するデータ転送制御方法であって、前記情報処理装置は、当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、を備えている。
【0161】
そして、前記データ転送制御方法は、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録工程と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録工程と、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定工程と、前記転送再開判定工程の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御工程と、を備えるものである。
【0162】
この構成によれば、データの転送開始前又は転送中に、記録媒体と記憶部との少なくとも一方に共通情報を書き込むことにより、記録媒体と記憶部との双方に共通情報が保持される。更に、データ転送中においては、位置特定情報が反復的に前記記録媒体に書き込まれる。データ転送が何らかの原因により中断した後にデータの転送を再開する際には、転送再開に先立って転送再開判定工程が、記録媒体と記憶部とに共通情報が保持されているか否かを判定する。そして、転送再開制御工程は、転送再開判定工程の判定が肯定的である場合に、記録媒体に書き込まれている位置特定情報のうちの最終のものが示すデータ上の位置から、データの転送再開をデータ転送処理部に行わせる。従って、本発明の情報処理装置について述べた理由と同様の理由により、記録媒体の同一性が確認されたことを前提として、最終の位置特定情報が示す位置からデータ転送が再開される。それにより、データの転送再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、転送対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく転送を再開することが可能となる。
【0163】
(28)あるデータ転送制御用プログラムは、情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのデータ転送制御用プログラムであって、前記情報処理装置は、当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、前記コンピュータと、を備えている。
【0164】
そして、前記データ転送制御用プログラムは、前記コンピュータを、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムである。
【0165】
この構成によれば、データ転送制御用プログラムがコンピュータにより実行されることにより、データの転送開始前又は転送中に、記録媒体と記憶部との少なくとも一方に共通情報が書き込まれ、それにより記録媒体と記憶部との双方に共通情報が保持される。更に、データ転送中においては、位置特定情報が反復的に前記記録媒体に書き込まれる。データ転送が何らかの原因により中断した後にデータの転送を再開する際には、転送再開に先立って、記録媒体と記憶部とに共通情報が保持されているか否かが判定される。そして、当該判定が肯定的である場合に、上記コンピュータは、記録媒体に書き込まれている位置特定情報のうちの最終のものが示すデータ上の位置から、データの転送再開をデータ転送処理部に行わせる。従って、本発明の情報処理装置について述べた理由と同様の理由により、記録媒体の同一性が確認されたことを前提として、最終の位置特定情報が示す位置からデータ転送が再開される。それにより、データの転送再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、転送対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく転送を再開することが可能となる。
【0166】
なお、プログラムを実行するコンピュータは、データ転送処理部の機能をも実現するものであっても良い。この場合においても、データ転送制御用プログラムを実行するコンピュータが、自身の一部としてのデータ転送処理部を制御することに変わりはない。
【0167】
(29)あるプログラム記録媒体は、情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのプログラムを記録したプログラム記録媒体であって、前記情報処理装置は、当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、前記コンピュータと、を備えている。
【0168】
そして、前記プログラム記録媒体は、前記コンピュータを、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムを記録したプログラム記録媒体である。
【0169】
この構成によれば、プログラム記録媒体に記録されるプログラムがコンピュータにより実行されることにより、データの転送開始前又は転送中に、記録媒体と記憶部との少なくとも一方に共通情報が書き込まれ、それにより記録媒体と記憶部との双方に共通情報が保持される。更に、データ転送中においては、位置特定情報が反復的に前記記録媒体に書き込まれる。データ転送が何らかの原因により中断した後にデータの転送を再開する際には、転送再開に先立って、記録媒体と記憶部とに共通情報が保持されているか否かが判定される。そして、当該判定が肯定的である場合に、上記コンピュータは、記録媒体に書き込まれている位置特定情報のうちの最終のものが示すデータ上の位置から、データの転送再開をデータ転送処理部に行わせる。従って、本発明の情報処理装置について述べた理由と同様の理由により、記録媒体の同一性が確認されたことを前提として、最終の位置特定情報が示す位置からデータ転送が再開される。それにより、データの転送再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、転送対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく転送を再開することが可能となる。
【0170】
なお、プログラムを実行するコンピュータは、データ転送処理部の機能をも実現するものであっても良い。この場合においても、プログラム記録媒体に記録されるプログラムを実行するコンピュータが、自身の一部としてのデータ転送処理部を制御することに変わりはない。
【0171】
(30)あるプログラム伝送媒体は、情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのプログラムを保持したプログラム伝送媒体であって、前記情報処理装置は、当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、情報を記憶するための記憶部と、前記コンピュータと、を備えている。
【0172】
そして、前記プログラム伝送媒体は、前記コンピュータを、前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムを保持した伝送媒体である。
【0173】
この構成によれば、プログラム伝送媒体に保持されるプログラムがコンピュータに読み込まれ、実行されることにより、データの転送開始前又は転送中に、記録媒体と記憶部との少なくとも一方に共通情報が書き込まれ、それにより記録媒体と記憶部との双方に共通情報が保持される。更に、データ転送中においては、位置特定情報が反復的に前記記録媒体に書き込まれる。データ転送が何らかの原因により中断した後にデータの転送を再開する際には、転送再開に先立って、記録媒体と記憶部とに共通情報が保持されているか否かが判定される。そして、当該判定が肯定的である場合に、上記コンピュータは、記録媒体に書き込まれている位置特定情報のうちの最終のものが示すデータ上の位置から、データの転送再開をデータ転送処理部に行わせる。従って、本発明の情報処理装置について述べた理由と同様の理由により、記録媒体の同一性が確認されたことを前提として、最終の位置特定情報が示す位置からデータ転送が再開される。それにより、データの転送再開が適切である場合に限り再開することができるとともに、転送対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく転送を再開することが可能となる。
【0174】
なお、プログラムを実行するコンピュータは、データ転送処理部の機能をも実現するものであっても良い。この場合においても、プログラム伝送媒体に保持されるプログラムを読み取って実行するコンピュータが、自身の一部としてのデータ転送処理部を制御することに変わりはない。
【0175】
(31)あるデータ記録媒体は、情報処理装置(1)ないし(23)の何れかに着脱可能であって、前記データと前記共通情報と前記位置特定情報とが書き込まれている前記記録媒体としてのデータ記録媒体である。
【0176】
この構成によるデータ記録媒体は、本発明の情報処理装置に着脱可能であり、且つ共通情報と位置特定情報とが書き込まれているので、本発明の情報処理装置に装着することにより、データの転送再開が適切である場合に限り、中断したデータ転送を再開することが可能となる。また、転送対象であるデータがコンテンツである場合において、コンテンツの先頭にまで戻ることなく転送を再開することが可能となる。
【0177】
(32)あるデータ記録媒体はデータ記録媒体(31)であって、通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有し、前記データは前記通常領域に記録されており、前記共通情報と前記位置特定情報とは、少なくとも前記保護領域に書き込まれているものである。
【0178】
この構成によるデータ記録媒体は、通常領域と保護領域とを有し、共通情報と位置特定情報とは、少なくとも前記保護領域に書き込まれているので、共通情報及び位置特定情報の改ざんを防止し、或いは改ざんがあった場合に誤った転送再開を防止することができる。
【0179】
本願は、日本国特許出願である特願2004−143473号(2004年5月13日出願)を基礎としている。本基礎出願の内容は本願に合体される。
【0180】
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明の情報処理装置、集積回路、データ転送制御方法、データ転送制御用プログラム、プログラム記録媒体、プログラム伝送媒体、及びデータ記録媒体は、着脱可能な記録媒体に対するデータ転送中に中断が生じた場合に、記録媒体の同一性を確認した上で、コンテンツ単位よりも短い戻り時間で転送を再開することを可能にするので、産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明の一実施の形態による情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の装置に適用される記録媒体の記憶領域の構成を示すブロック図である。
【図3】データ転送の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】データ転送再開の判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】データ転送時において中断が生じた場合の動作例を示すグラフである。
【図6】図1の装置が用いる状態情報の他の例を示す説明図である。
【図7】最終更新時刻情報としてPTSを用いたときの再生動作の例を示すタイミング図である。
【図8】最終更新時刻情報としてPTSを用いたときの記録動作の例を示すタイミング図である。
【図9】メモリカードのディレクトリ構造を示す説明図である。
【図10】SDメモリカードについてコンテンツとファイルの関係を示す説明図である。
【図11】Blu−rayについてコンテンツとファイルの関係を示す説明図である。
【図12】DVDについてコンテンツとファイルの関係を示す説明図である。
【図13】従来のデータ転送中断の再開判定機能を有した通信端末装置の構成を示すブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
前記情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、
情報を記憶するための記憶部と、
前記記録媒体を管理する媒体管理部と、を備え、
当該媒体管理部は、
前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録部と、
転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録部と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定部と、
前記転送再開判定部の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御部と、を更に備える情報処理装置。
【請求項2】
前記特定情報記録部は、前記位置特定情報を前記データの転送中に反復的に前記記録媒体と前記記憶部との双方に書き込み、
前記転送再開判定部は、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が、前記共通情報に加えて前記位置特定情報のうちの最終のものを同一内容で保持するか否かについての判定を行う請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定情報記録部は、前記位置特定情報の反復的な書き込みを更新的に行う請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記共通情報は、前記記録媒体を識別するための媒体識別情報を含んでいる請求項1ないし3の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記媒体管理部は、前記記憶部へ書き込むべき情報を、前記媒体識別情報に対応付けて前記記憶部へ書き込む請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記共通情報は、前記情報処理装置自身を識別するための装置識別情報を含んでいる請求項1ないし5の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記媒体管理部は、前記記録媒体へ書き込むべき情報を、前記装置識別情報に対応付けて前記記録媒体へ書き込む請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記共通情報は、転送中の前記データを識別するためのデータ識別情報を含んでいる請求項1ないし7の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記位置特定情報は、転送中における時刻を示す情報である時刻情報を含んでいる請求項1ないし8の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記位置特定情報は、転送開始からの時間を示す情報である相対時間情報を含んでいる請求項1ないし9の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記位置特定情報は、転送開始からの転送データ量を示すデータ量情報を含んでいる請求項1ないし10の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記特定情報記録部は、転送前データの再構成を可能にする転送単位の整数倍の間隔をもって、前記位置特定情報の書込みを行う請求項1ないし11の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記特定情報記録部は、前記記録媒体の仕様が規定する転送単位の整数倍の間隔をもって、前記位置特定情報の書込みを行う請求項1ないし11の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、暗号化した上で前記記録媒体に書き込む請求項1ないし13の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記記録媒体が通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有する場合に、前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、前記保護領域に書き込む請求項1ないし14の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記記録媒体が通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有する場合に、前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、前記前記保護領域に加えて前記通常領域にも書き込み、前記転送再開判定部は、前記保護領域に書き込まれた内容と前記通常領域に書き込まれた内容とが一致しないときには、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持しないものと判定する請求項15記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記転送再開制御部は、前記転送再開判定部の判定が否定的である場合に、前記データの先頭位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に開始させる請求項1ないし16の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記データ転送の中途において、電源の中断後の再供給を検出する電源中断検出部を、更に備え、
前記転送再開判定部は、前記電源中断検出部による検出があった場合に前記判定を行う請求項1ないし17の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記データ転送の中途において、前記記録媒体の脱着後の装着を検出する着脱検出部を、更に備え、
前記転送再開判定部は、前記着脱検出部による検出があった場合に前記判定を行う請求項1ないし18の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記データ転送の中途において、ユーザによる転送中断指示後の転送再開指示があったことを検出する再開指示検出部を、更に備え、
前記転送再開判定部は、前記再開指示検出部による検出があった場合に前記判定を行う請求項1ないし19の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記転送再開判定部は、前記判定が肯定的である場合に、当該判定の結果をユーザへ通知し、
前記転送再開制御部は、前記通知に応答して転送再開を行う旨の指示をユーザが指示した場合に限り、前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる請求項1ないし20の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記データ転送処理部は、前記データの転送として、前記データを前記記録媒体へ記録する記録処理と、前記データを前記記録媒体から読み出す読出処理とを選択可能に実行するものであり、
前記データ転送処理部が前記記録媒体から読み出した前記データを再生するデータ再生部を、更に備える請求項1ないし21の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記データ転送処理部が前記記録媒体へ記録すべき前記データを外部から受信する通信部を、更に備える請求項22記載の情報処理装置。
【請求項24】
請求項1ないし23の何れかに記載の情報処理装置の製造に用いられる部品としての集積回路であって、
前記媒体管理部と、前記再開判定部と、前記転送再開制御部とを単一の半導体基板に形成して成る集積回路。
【請求項25】
前記データ転送処理部を更に前記単一の半導体基板に形成して成る請求項24記載の集積回路。
【請求項26】
前記記憶部を更に前記単一の半導体基板に形成して成る請求項24又は25記載の集積回路。
【請求項27】
情報処理装置を制御するデータ転送制御方法であって、
前記情報処理装置は、
当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、
情報を記憶するための記憶部と、を備えており、
前記データ転送制御方法は、
前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録工程と、
転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録工程と、
前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定工程と、
前記転送再開判定工程の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御工程と、を備えるデータ転送制御方法。
【請求項28】
情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのデータ転送制御用プログラムであって、
前記情報処理装置は、
当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、
情報を記憶するための記憶部と、
前記コンピュータと、を備えており、
前記データ転送制御用プログラムは、前記コンピュータを、
前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、
転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、
前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、
前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムであるデータ転送制御用プログラム。
【請求項29】
情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのプログラムを記録したプログラム記録媒体であって、
前記情報処理装置は、
当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、
情報を記憶するための記憶部と、
前記コンピュータと、を備えており、
前記プログラム記録媒体は、前記コンピュータを、
前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、
転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、
前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、
前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムを記録したプログラム記録媒体であるコンピュータ読取り可能なプログラム記録媒体。
【請求項30】
情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのプログラムを保持したプログラム伝送媒体であって、
前記情報処理装置は、
当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、
情報を記憶するための記憶部と、
前記コンピュータと、を備えており、
前記プログラム伝送媒体は、前記コンピュータを、
前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、
転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、
前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、
前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムを保持した伝送媒体であるプログラム伝送媒体。
【請求項31】
請求項1ないし23の何れかに記載の情報処理装置に着脱可能なデータ記録媒体であって、
前記データと前記共通情報と前記位置特定情報とが書き込まれている前記記録媒体としてのデータ記録媒体。
【請求項32】
通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有し、
前記データは前記通常領域に記録されており、
前記共通情報と前記位置特定情報とは、少なくとも前記保護領域に書き込まれている請求項31記載のデータ記録媒体。
【請求項1】
情報処理装置であって、
前記情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、
情報を記憶するための記憶部と、
前記記録媒体を管理する媒体管理部と、を備え、
当該媒体管理部は、
前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録部と、
転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録部と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定部と、
前記転送再開判定部の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御部と、を更に備える情報処理装置。
【請求項2】
前記特定情報記録部は、前記位置特定情報を前記データの転送中に反復的に前記記録媒体と前記記憶部との双方に書き込み、
前記転送再開判定部は、前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が、前記共通情報に加えて前記位置特定情報のうちの最終のものを同一内容で保持するか否かについての判定を行う請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定情報記録部は、前記位置特定情報の反復的な書き込みを更新的に行う請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記共通情報は、前記記録媒体を識別するための媒体識別情報を含んでいる請求項1ないし3の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記媒体管理部は、前記記憶部へ書き込むべき情報を、前記媒体識別情報に対応付けて前記記憶部へ書き込む請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記共通情報は、前記情報処理装置自身を識別するための装置識別情報を含んでいる請求項1ないし5の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記媒体管理部は、前記記録媒体へ書き込むべき情報を、前記装置識別情報に対応付けて前記記録媒体へ書き込む請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記共通情報は、転送中の前記データを識別するためのデータ識別情報を含んでいる請求項1ないし7の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記位置特定情報は、転送中における時刻を示す情報である時刻情報を含んでいる請求項1ないし8の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記位置特定情報は、転送開始からの時間を示す情報である相対時間情報を含んでいる請求項1ないし9の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記位置特定情報は、転送開始からの転送データ量を示すデータ量情報を含んでいる請求項1ないし10の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記特定情報記録部は、転送前データの再構成を可能にする転送単位の整数倍の間隔をもって、前記位置特定情報の書込みを行う請求項1ないし11の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記特定情報記録部は、前記記録媒体の仕様が規定する転送単位の整数倍の間隔をもって、前記位置特定情報の書込みを行う請求項1ないし11の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、暗号化した上で前記記録媒体に書き込む請求項1ないし13の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記記録媒体が通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有する場合に、前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、前記保護領域に書き込む請求項1ないし14の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記記録媒体が通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有する場合に、前記媒体管理部は、前記記録媒体に書き込むべき情報を、前記前記保護領域に加えて前記通常領域にも書き込み、前記転送再開判定部は、前記保護領域に書き込まれた内容と前記通常領域に書き込まれた内容とが一致しないときには、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持しないものと判定する請求項15記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記転送再開制御部は、前記転送再開判定部の判定が否定的である場合に、前記データの先頭位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に開始させる請求項1ないし16の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記データ転送の中途において、電源の中断後の再供給を検出する電源中断検出部を、更に備え、
前記転送再開判定部は、前記電源中断検出部による検出があった場合に前記判定を行う請求項1ないし17の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記データ転送の中途において、前記記録媒体の脱着後の装着を検出する着脱検出部を、更に備え、
前記転送再開判定部は、前記着脱検出部による検出があった場合に前記判定を行う請求項1ないし18の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記データ転送の中途において、ユーザによる転送中断指示後の転送再開指示があったことを検出する再開指示検出部を、更に備え、
前記転送再開判定部は、前記再開指示検出部による検出があった場合に前記判定を行う請求項1ないし19の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記転送再開判定部は、前記判定が肯定的である場合に、当該判定の結果をユーザへ通知し、
前記転送再開制御部は、前記通知に応答して転送再開を行う旨の指示をユーザが指示した場合に限り、前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる請求項1ないし20の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記データ転送処理部は、前記データの転送として、前記データを前記記録媒体へ記録する記録処理と、前記データを前記記録媒体から読み出す読出処理とを選択可能に実行するものであり、
前記データ転送処理部が前記記録媒体から読み出した前記データを再生するデータ再生部を、更に備える請求項1ないし21の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記データ転送処理部が前記記録媒体へ記録すべき前記データを外部から受信する通信部を、更に備える請求項22記載の情報処理装置。
【請求項24】
請求項1ないし23の何れかに記載の情報処理装置の製造に用いられる部品としての集積回路であって、
前記媒体管理部と、前記再開判定部と、前記転送再開制御部とを単一の半導体基板に形成して成る集積回路。
【請求項25】
前記データ転送処理部を更に前記単一の半導体基板に形成して成る請求項24記載の集積回路。
【請求項26】
前記記憶部を更に前記単一の半導体基板に形成して成る請求項24又は25記載の集積回路。
【請求項27】
情報処理装置を制御するデータ転送制御方法であって、
前記情報処理装置は、
当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、
情報を記憶するための記憶部と、を備えており、
前記データ転送制御方法は、
前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録工程と、
転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録工程と、
前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定工程と、
前記転送再開判定工程の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御工程と、を備えるデータ転送制御方法。
【請求項28】
情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのデータ転送制御用プログラムであって、
前記情報処理装置は、
当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、
情報を記憶するための記憶部と、
前記コンピュータと、を備えており、
前記データ転送制御用プログラムは、前記コンピュータを、
前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、
転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、
前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、
前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムであるデータ転送制御用プログラム。
【請求項29】
情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのプログラムを記録したプログラム記録媒体であって、
前記情報処理装置は、
当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、
情報を記憶するための記憶部と、
前記コンピュータと、を備えており、
前記プログラム記録媒体は、前記コンピュータを、
前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、
転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、
前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、
前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムを記録したプログラム記録媒体であるコンピュータ読取り可能なプログラム記録媒体。
【請求項30】
情報処理装置に組み込まれたコンピュータを実行させるためのプログラムを保持したプログラム伝送媒体であって、
前記情報処理装置は、
当該情報処理装置と着脱可能な記録媒体との間でのデータの転送を行うデータ転送処理部と、
情報を記憶するための記憶部と、
前記コンピュータと、を備えており、
前記プログラム伝送媒体は、前記コンピュータを、
前記データの転送開始前又は転送中に、前記記録媒体と前記記憶部との少なくとも一方に同一の所定種類の情報である共通情報を書き込むことにより、前記記録媒体と前記記憶部との双方に前記共通情報を保持させる共通情報記録手段と、
転送が終了したデータ上の位置を特定し得る情報である位置特定情報を、前記データの転送中に反復的に前記記録媒体に書き込む特定情報記録手段と、
前記データの転送中断後の転送再開前に、前記記録媒体と前記記憶部との双方が前記共通情報を保持するか否かについての判定を行う転送再開判定手段と、
前記転送再開判定手段の判定が肯定的である場合に限り、前記記録媒体に書き込まれている前記位置特定情報のうち最終のものが示すデータ上の位置から前記データの転送を前記データ転送処理部に再開させる転送再開制御手段として機能させるためのプログラムを保持した伝送媒体であるプログラム伝送媒体。
【請求項31】
請求項1ないし23の何れかに記載の情報処理装置に着脱可能なデータ記録媒体であって、
前記データと前記共通情報と前記位置特定情報とが書き込まれている前記記録媒体としてのデータ記録媒体。
【請求項32】
通常にアクセス可能な通常領域と相互認証なしにはアクセスできない保護領域とを有し、
前記データは前記通常領域に記録されており、
前記共通情報と前記位置特定情報とは、少なくとも前記保護領域に書き込まれている請求項31記載のデータ記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−537500(P2007−537500A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540835(P2006−540835)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/JP2005/007366
【国際公開番号】WO2005/111772
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/JP2005/007366
【国際公開番号】WO2005/111772
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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