説明

情報処理装置およびタッチパネル制御方法

【課題】例えば拡張ユニットに装着された状況下における使い勝手を向上させる情報処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、拡張ユニットに着脱自在な情報処理装置は、表示面上にタッチパネルが設けられたディスプレイ装置と、前記情報処理装置が前記拡張ユニットに装着された場合、前記タッチパネルの感度を上げるタッチパネル制御手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、タブレットPC(Personal computer)などと称されるタッチパネルを備えた情報処理装置に好適なタッチパネル制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄いボード状の筐体を有し、筐体の前面に配置されたタッチパネルディスプレイによって操作入力を受け付ける情報処理装置が急速に普及し始めている。この種の情報処理装置は、タブレットPCなどと称されている。また、この種の情報処理装置には、バッテリの充電や機能拡張のために、ドッカーなどと称される拡張ユニットが用意されている場合が少なくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−298537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薄いボード状の筐体を有するタブレットPC用のドッカーの中には、タッチパネルディスプレイを直立させた状態でタブレットPCを保持するように構成されているものも存在する。このようなドッカーは、特にクレードルなどと称されている。そして、このようなドッカーの場合、ユーザは、例えば、バッテリを充電させながら、タブレットPCを使用すること、つまりタッチパネルディスプレイ上でタッチ操作を行うことが可能である。
【0005】
しかしながら、ドッカーに装着した状態で、タブレットPCに対するタッチ操作を行う場合は、例えばドッカーごと後退してしまう等により、タブレットPCを手で持って使用する場合や、タブレットPCを直接机上に置いて使用する場合と比較して、ユーザの意図した通りに感知されないことが多いといった問題があった。
【0006】
本発明は、例えば拡張ユニットに装着された状況下における使い勝手を向上させる情報処理装置およびタッチパネル制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、拡張ユニットに着脱自在な情報処理装置において、表示面上にタッチパネルが設けられたディスプレイ装置と、前記情報処理装置が前記拡張ユニットに装着された場合、前記タッチパネルの感度を上げるタッチパネル制御手段とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態の情報処理装置の外観を示す図。
【図2】実施形態の情報処理装置のシステム構成を示す図。
【図3】実施形態の情報処理装置が実行するタッチパネル制御の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の情報処理装置1の外観を示す図である。本情報処理装置1は、薄いボード状の筐体を有し、筐体の前面にタッチパネルディスプレイ16が配置されたいわゆるタブレットPCとして実現されている。ユーザは、タッチパネルディスプレイ16上でタッチ操作を行うことで、本情報処理装置1に対して動作指示を与える。また、本情報処理装置1には、バッテリの充電や機能拡張のために、ドッカーなどと称される拡張ユニット2が用意されている。
【0011】
図1(A)は、本情報処理装置1が拡張ユニット2に装着された状態を示しており、図1(B)は、拡張ユニット2の背面を示している。
【0012】
図1(A)に示したように、情報処理装置1は、タッチパネルディスプレイ16の表示面を直立させた状態で拡張ユニット2に装着される。また、図1(B)に示したように、拡張ユニット2の背面には、ACアダプタ、HDMI(High-definition multimedia interface)ケーブル、USB(Universal serial bus)デバイス等を接続するためのコネクタ2aが設けられている。よって、本情報処理装置1は、拡張ユニット2に装着することで、例えばバッテリを充電させながら利用すること等が可能である。
【0013】
ところで、図1(A)に示される、拡張ユニット2に装着された状態の情報処理装置1に対して動作指示を与える場合、つまりタッチパネルディスプレイ16上でタッチ操作を行う場合、拡張ユニット2ごと後退してしまう等により、そのタッチ操作が意図した通りに感知されないことも少なくない。そこで、本情報処理装置1は、拡張ユニット2に装着された状況下における使い勝手を向上させる仕組みを備えたものであり、以下、この点について詳述する。
【0014】
図2は、本情報処理装置のシステム構成を示す図である。図2に示すように、本情報処理装置1は、CPU(Central processing unit)11、MCH(Memory controller hub)12、主メモリ13、ICH(I/O controller hub)14、GPU(Graphics processing unit:表示コントローラ)15およびビデオメモリ(VRAM)15Aを有している。また、本情報処理装置1は、タッチパネルディスプレイ16、BIOS(Basic input/output system)−ROM(Read only memory)17、EEPROM(Electrically erasable programmable ROM)18、SSD(Solid state drive)19、ドッキングポート20およびEC(Embedded controller)21を有している。
【0015】
CPU11は、本情報処理装置1の動作を制御するプロセッサであり、例えばSSD19から主メモリ13にロードされる各種プログラムを実行する。CPU11によって実行される各種プログラムの中には、リソース管理を司るOS100や、当該OS100の配下で動作する、後述するタッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110および各種アプリケーションプログラム120等が存在する。また、CPU11は、BIOS−ROM17に格納されたBIOSも実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。
【0016】
MCH12は、CPU11とICH14との間を接続するブリッジとして動作すると共に、主メモリ13をアクセス制御するメモリコントローラとして動作する。また、MCH12は、GPU15との通信を実行する機能を有している。
【0017】
GPU15は、ビデオメモリ15Aを使って、タッチパネルディスプレイ16に組み込まれたLCD(Liquid crystal display)161への画像表示を実行する表示コントローラである。また、GPU15は、各種プログラムが表示しようとする画像をCPU11に代わって描画するアクセラレータを搭載する。
【0018】
ICH14は、BIOS−ROM17およびEEPROM18をアクセス制御するメモリコントローラとして動作する。また、ICH14は、SSD19を制御するためのIDE(Integrated Device Electronics)コントローラを内蔵する。ICH14には、ドッキングポート20が接続される。ドッキングポート20は、本情報処理装置1が拡張ユニット2に装着された際に、拡張ユニット2との間で電源ラインや信号ラインを導通させる連結部である。
【0019】
ICH14は、ドッキングポート20を介して本情報処理装置1と拡張ユニット2とが電気的に接続されたこと、または、本情報処理装置1と拡張ユニット2とが電気的に切り離されたことを検知した場合、これらの事象を示す情報を自身のレジスタに格納すると共に、割り込みを発生させることによってCPU11に通知することで、当該レジスタに格納した情報をCPU11に読み取らせる。これにより、情報処理装置1が拡張ユニット2に装着されたというイベントの発生と、情報処理装置1が拡張ユニット2から取り外されたというイベントの発生とがOS100に伝達される。OS100は、後述するタッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110に対して、これらのイベントの発生を通知する。さらに、ICH14は、EC21と通信する機能も有している。以下では、情報処理装置1を拡張ユニット2に装着することをドック、情報処理装置1を拡張ユニット2から取り外すことをアンドックと称することがある。
【0020】
EEPROM18は、例えば本情報処理装置1の識別情報などを格納するための記憶媒体である。そして、EC21は、本情報処理装置1の電力管理を行うためのエンベデッドコントローラである。また、EC21は、タッチパネルディスプレイ16上でのタッチ操作によるデータ入力を制御するための入力コントローラを内蔵する。
【0021】
タッチパネルディスプレイ16には、LCD161のほか、タッチパネル162が組み込まれている。LCD161に重ね合わせて配置されるタッチパネル162は、センサ162AとMCU(Micro controller unit)162Bとを有している。タッチパネル162上でタッチ操作が行われると、その位置がセンサ162Aによって検出され、当該タッチパネル162上の位置を含む入力情報がMCU162Bによって出力される。MCU162Bが出力する入力情報は、EC21に導かれ、EC21は、この入力情報を自身のレジスタに格納すると共に、割り込みを発生させることによってCPU11に通知することで、当該レジスタに格納した入力情報をCPU11に読み取らせる。これにより、タッチパネル162上でのタッチ操作というイベントの発生がOS100に伝達される。OS100は、例えばタッチパネル162上の位置に対応するLCD161上の位置に操作画面(ウィンドウ)を表示する各種アプリケーションプログラム120に対して、このイベントの発生を通知する。
【0022】
タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110は、タッチパネル162上でタッチ操作が行われたことをセンサ162Aが検知するために用いるしきい値を、本情報処理装置1が置かれた状況に応じて設定するプログラムである。タッチパネル162は、感圧式または静電容量式のいずれも適用可能である。感圧式の場合、タッチ操作が行われたと判定するしきい値として圧力値が用いられる。センサ162Aは、与えられた圧力値を越える圧力を検知した場合、その箇所でタッチ操作が行われたものと判定する。一方、静電容量式の場合には、タッチ操作が行われたと判定するしきい値として静電容量値が用いられる。タッチパネル162上でのタッチ操作が強い力で行われる程、タッチパネル162の上層部と下層部とが広い範囲で近接状態となるので、静電容量値が大きくなる。センサ162Aは、与えられた静電容量値を越える静電容量を検知した場合、その箇所でタッチ操作が行われたものと判定する。タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110は、ICH14に接続されたEC21を介し、タッチパネル162のMCU162Bに対して、センサ162Aに適用されるしきい値の設定要求を発行する。
【0023】
前述したように、タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110には、情報処理装置1が拡張ユニット2に装着されたというイベントの発生と、情報処理装置1が拡張ユニット2から取り外されたというイベントの発生とが、OS100から通知される。そこで、タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110は、第1に、情報処理装置1が拡張ユニット2に装着されたというイベントの発生の通知をOS100から受けた場合、タッチパネル162の感度を上げるための処理を実行する。
【0024】
より具体的には、タッチパネル162が感圧式の場合、タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110は、センサ162Aにしきい値として与えられる圧力値を小さくする。これにより、それまでよりも弱い力でタッチ操作が行われても、そのタッチ操作が認識されることになる。また、タッチパネル162が静電容量式の場合には、タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110は、センサ162Aにしきい値として与えられる静電容量値を小さくする。この場合も、それまでよりも弱い力でタッチ操作が行われても、そのタッチ操作が認識されることになる。
【0025】
また、タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110は、第2に、情報処理装置1が拡張ユニット2から取り外されたというイベントの発生の通知をOS100から受けた場合、タッチパネル162の感度を初期状態に戻すための処理を実行する。より具体的には、タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110は、センサ162Aのしきい値を初期値にリセットする指示を(EC21経由で)MCU162Bに発行する。
【0026】
これにより、例えば手に持って利用する場合等の使用感を変化させることなく、拡張ユニット2に装着された状態の情報処理装置1でタッチ操作を行う場合に、そのタッチ操作が意図した通りに感知されるように制御することができる。
【0027】
図3は、本情報処理装置1が実行するタッチパネル制御の手順を示すフローチャートである。
【0028】
タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110は、情報処理装置1が拡張ユニット2に装着されたことが検知された場合(ブロックA1のYES)、タッチパネル162の感度を上げる(ブロックA2)。
【0029】
また、タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム110は、情報処理装置1が拡張ユニット2から取り外されたことが検知された場合(ブロックA3のYES)、タッチパネル162の感度を初期値に戻す(ブロックA4)。
【0030】
以上のように、本情報処理装置1によれば、拡張ユニットに装着された状況下における使い勝手を向上させることが実現される。
【0031】
なお、以上では、本情報処理装置1が拡張ユニット2に装着されたことを契機にタッチパネル162の感度を上げ、本情報処理装置1が拡張ユニット2から取り外されたことを契機にタッチパネル162の感度を初期値に戻す例を説明したが、このタッチパネルの制御手法は、これに限定されるものではない。本情報処理装置1が所定の状況下に置かれたことを契機にタッチパネル162の感度を上げ、本情報処理装置1が所定の状況下から脱したことを契機にタッチパネル162の感度を初期値に戻すことは、様々に応用が可能である。
【0032】
例えば、タッチパネルディスプレイ16の表示面が直立した状態にあるか否かを検出するための加速度センサを設け、この加速度センサによって検知されるタッチパネルディスプレイ16の表示面が配置されている角度が予め定められた範囲内にあるか否かで、タッチパネル162の感度を上げたり、タッチパネル162の感度を初期値に戻したりといった制御を行うことも可能である。
【0033】
なお、本実施形態の動作制御処理は、ソフトウェア(プログラム)によって実現することができるので、このソフトウェアを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのソフトウェアを通常のコンピュータにインストールして実行することにより、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1…情報処理装置、2…拡張ユニット、2a…コネクタ、11…CPU、12…MCH、13…主メモリ、14…ICH、15…GPU、15A…ビデオメモリ、16…タッチパネルディスプレイ、17…BIOS−ROM、18…EEPROM18、19…SSD、20…ドッキングポート、21…EC、100…OS、110…タッチパネル感度制御ユーティリティプログラム、120…各種アプリケーションプログラム、161…LCD、162…タッチパネル、162A…センサ、162B…MCU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張ユニットに着脱自在な情報処理装置において、
表示面上にタッチパネルが設けられたディスプレイ装置と、
前記情報処理装置が前記拡張ユニットに装着された場合、前記タッチパネルの感度を上げるタッチパネル制御手段と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記タッチパネル制御装置は、前記情報処理装置が前記拡張ユニットから取り外された場合、前記タッチパネルの感度を初期値に戻す請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記タッチパネルは、感圧式のタッチパネルであり、
前記タッチパネル制御手段は、前記タッチパネル上でタッチ操作が行われたか否かを判定するためのしきい値とする圧力値を下げることにより、前記タッチパネルの感度を上げる請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記タッチパネルは、静電容量式のタッチパネルであり、
前記タッチパネル制御手段は、前記タッチパネル上でタッチ操作が行われたか否かを判定するためのしきい値とする静電容量値を下げることにより、前記タッチパネルの感度を上げる請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
表示面上にタッチパネルが設けられたディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置が所定の状況下に置かれたことを検知した場合、前記タッチパネルの感度を上げるタッチパネル制御手段と、
を具備する情報処理装置。
【請求項6】
前記ディスプレイ装置がその表示面を直立させた状態に置かれているか否かを検知する検出手段をさらに具備し、
前記タッチパネル制御手段は、前記検出手段により前記ディスプレイ装置がその表示面を直立させた状態に置かれていることが検出された場合、前記タッチパネルの感度を上げる請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記タッチパネル制御手段は、前記検出手段により前記ディスプレイ装置がその表示面を直立させた状態から脱したことが検出された場合、前記タッチパネルの感度を初期値に戻す請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記タッチパネルは、感圧式のタッチパネルであり、
前記タッチパネル制御手段は、前記タッチパネル上でタッチ操作が行われたか否かを判定するためのしきい値とする圧力値を下げることにより、前記タッチパネルの感度を上げる請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記タッチパネルは、静電容量式のタッチパネルであり、
前記タッチパネル制御手段は、前記タッチパネル上でタッチ操作が行われたか否かを判定するためのしきい値とする静電容量値を下げることにより、前記タッチパネルの感度を上げる請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項10】
表示面上にタッチパネルが設けられたディスプレイ装置を有し、拡張ユニットに着脱自在な情報処理装置のタッチパネル制御方法であって、
前記情報処理装置が前記拡張ユニットに装着された場合、前記タッチパネルの感度を上げるタッチパネル制御方法。
【請求項11】
前記情報処理装置が前記拡張ユニットから取り外された場合、前記タッチパネルの感度を初期値に戻す請求項10に記載のタッチパネル制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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