説明

情報処理装置およびデバイス認識方法

【課題】 外部メモリ(すなわち認証キー)としての機能を実行させることができるとともに、モデム機能としての実行させることができる情報処理装置およびデバイス認識方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 デバイスコントローラ103は携帯端末200がOSを記憶する外部メモリとしてマウント処理し、RAM102上にRAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)を確保する。そして、RAM102上に確保されたRAMDisk領域102aに携帯端末200に記憶されているOS本体部分を構成する複数のプログラムファイルを転送する。転送処理後、デバイスコントローラ103は、外部メモリとして接続された携帯端末200に対してアンマウント処理を行う。その後、デバイスコントローラ103は、携帯端末200がモデム機能に切り換えられた場合に、モデムとして携帯端末200を認識する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部端末と接続する情報処理装置およびデバイス認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業内にてテレワークが促進され、社内だけではなくサテライトオフィスや、自宅にて仕事を行うワークスタイルが登場してきた。できる限り社内と同じ環境で仕事をするために、社外からセキュアに社内IT資産(サーバ、情報処理端末等)を利用できる仕組みとしてシンクライアントが利用されている。
【0003】
ここで社内情報の漏洩等を防止するために、個人専用の認証キーを用いて、社員が社外で利用する情報処理端末を専用シンクライアント端末化することが考えられている。例えば、下記特許文献1には、シンクライアント端末として機能させるために、認証情報などを記憶した耐タンパストレージ機能を有したストレージデバイスを挿入し、サーバに対して遠隔操作させることが記載されている。
【特許文献1】特許3918827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯電話などの携帯端末は外部メモリとして機能させることができ、シンクライアント端末として機能させるために、携帯端末のメモリに認証キーおよびOS(Operating System)を記憶しておき、PCなどの情報処理装置の起動時に当該携帯端末からOSをブートすることで、情報処理装置をシンクライアント端末として機能させることが考えられている。この場合、OSをブートした後にシンクライアント端末として機能するには、携帯電話の通信機能を利用してサーバと接続および通信を行なう必要がある。
【0005】
しかしながら、携帯端末を外部メモリとして機能させると、その携帯端末のモデム機能を用いた通信を実行することができないという問題がある。通常、携帯端末と情報処理装置とはUSB(Universal Serial Bus)を用いて接続するものであるが、携帯端末の規格上、情報処理装置は携帯端末を外部メモリとして認識させた場合には、同時にモデムとして認識することができない。また、情報処理装置からの指示により、外部メモリとしての認識を解除し、モデムとして再認識させることも同様に出来ない。この場合、ユーザの操作により強制的に切り換えることは可能であるが、その場合には、外部メモリとしての機能を失うため、OSに関わるファイルアクセスが不能となりシンクライアント端末の動作に支障をきたす。
【0006】
上記問題の回避方法として、携帯電話の通信機能を使用せず無線LANなどを利用する方法、携帯電話を外部メモリとして使用せず、OSは他の外部媒体を利用する方法(従来技術)も考えられるが、前者は移動可能な地域が制約され、後者は、複数のデバイスを携帯する必要があり利便性が悪い。
【0007】
したがって、外部メモリ機能とモデム機能とを有する携帯端末を利用したシンクライアント端末が、移動地域の広さおよび利便性の観点から好ましいが、当該携帯端末にOSおよび認証キーを記憶させておき、このOSを情報処理装置において起動させた後に、サーバと接続しようとした場合に携帯端末のモデム機能を実行することができず、シンクライアント端末は実現できなかった。
【0008】
そこで、上述の課題を解決するために、本発明は、接続される携帯端末が外部メモリとしての機能を実行させることができるとともに、外部メモリ機能以外の他の機能としての実行させることができる情報処理装置およびデバイス認識方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、プログラムファイルを記憶する外部メモリ機能および外部端末と通信するための通信機能を有する携帯端末と接続する情報処理装置において、前記プログラムファイルが起動する際のワークエリアを展開するとともに、アクセス可能なRAMディスク領域を形成可能なRAMと、前記携帯端末と接続するとともに、当該携帯端末の機能に応じて認識処理を行うインターフェース手段と、前記インターフェース手段に接続された前記携帯端末がプログラムファイルを記憶する外部メモリとして機能している場合に、前記携帯端末を外部メモリとしてマウント処理をするマウント手段と、前記マウント手段により前記携帯端末が外部メモリとしてマウントされると、前記RAMにRAMディスク領域を確保する確保手段と、前記確保手段により確保されたRAMディスク領域に前記携帯端末に記憶されている複数のプログラムファイルを転送する転送手段と、前記転送手段によるプログラムファイルの転送処理後、前記インターフェース手段に外部メモリとして接続された携帯端末に対するアンマウント処理を行うアンマウント処理手段とを備え、前記インターフェース手段は、前記携帯端末が他の機能に切り換えられた場合に、再度当該機能に応じた認識処理を行うよう構成されている。
【0010】
この発明によれば、携帯端末が外部メモリとして接続されている場合に、当該携帯端末を外部メモリとしてマウントし、そして、RAMにRAMディスク領域を確保する。確保されたRAMディスク領域に携帯端末に記憶されている複数のプログラムファイルを転送し、プログラムファイルの転送処理後、外部メモリとして接続された携帯端末に対してアンマウント処理を行う。その後、前記携帯端末が他の機能に切り換えられた場合に、再度当該機能に応じた認識処理を行う。
【0011】
これにより、携帯端末からプログラムファイルを取り出す必要がなくなり、外部メモリとして記憶された携帯端末を、例えば他の機能を実行させることができ、携帯端末1台で、外部メモリとして機能させることができるとともに、他の機能を実行させることができる。
【0012】
また、本発明の情報処理装置は、前記携帯端末は、通信機能と外部メモリ機能とを切換可能に構成されており、前記アンマウント手段によりアンマウントされた後、前記インターフェース手段により、前記携帯端末が通信端末として認識された場合には、前記携帯端末を介して外部と通信を実行する通信手段をさらに備えることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、外部メモリとして認識された携帯端末に対するアンマウント処理後、携帯端末が通信端末として認識された場合には、当該携帯端末を介して外部と通信を実行することができる。よって、1台の携帯端末でOSを起動させることができるとともに、通信端末として機能させることができる。
【0014】
また、本発明の情報処理装置は、前記転送手段により転送されたプログラムファイルは、圧縮されたプログラムファイルであって、当該圧縮された圧縮プログラムファイルは、前記RAMディスク領域に圧縮された状態で記憶され、アプリケーションが起動されると、当該アプリケーションに応じた圧縮プログラムファイルの解凍処理を行って、前記RAMディスクに展開する解凍手段と、前記解凍手段により解凍されると、当該解凍されたプログラムファイルの読み込み処理を行う読込手段と、をさらに備えることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、圧縮プログラムファイルがRAMディスク領域に記憶され、起動されたアプリケーションに応じて必要な圧縮プログラムファイルを解凍し、使用することができ、RAMディスクの使用効率を高めることができる。外部デバイスからOSなどのプログラムファイルを取り込んだ場合には、プログラムファイルの数、サイズ等が大きいことが予想されるため、特に有効である。
【0016】
ところで、本発明は、上記のように情報処理装置の発明として記述できる他に、以下のように、デバイス認識方法の発明としても記述することができる。これらはカテゴリーが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用・効果を奏する。
【0017】
すなわち、本発明のデバイス認識方法は、プログラムファイルを記憶する外部メモリ機能および外部端末と通信するための通信機能を有する携帯端末と接続するとともに、当該携帯電話の機能に応じて認識処理を行うインターフェース手段と、プログラムファイルが起動する際のワークエリアを展開するとともに、アクセス可能なRAMディスク領域を形成可能なRAMとを有する情報処理装置のデバイス認識方法において、前記インターフェース手段に接続された前記携帯端末がプログラムファイルを記憶する外部メモリとして機能している場合に、前記携帯端末を外部メモリとしてマウント処理をするマウントステップと、前記マウントステップにより前記携帯端末が外部メモリとしてマウントされると、前記RAMにRAMディスク領域を確保する確保ステップと、前記確保ステップにより確保されたRAMディスク領域に前記携帯端末に記憶されている複数のプログラムファイルを転送する転送ステップと、前記転送ステップによるプログラムファイルの転送処理後、前記インターフェース手段に外部メモリとして接続された携帯端末に対するアンマウント処理を行うアンマウント処理ステップと、アンマウント処理後、前記インターフェース手段は、前記携帯端末が他の機能に切り換えられた場合に、再度当該機能に応じた認識処理を行う認識処理ステップと、を備えている。
【0018】
また、本発明のデバイス認識方法は、前記携帯端末は、通信機能と外部メモリ機能とを切換可能に構成されており、前記アンマウントステップによりアンマウントされた後、前記インターフェース手段により、前記携帯端末が通信端末として認識された場合には、前記携帯端末を介して外部と通信を実行する通信ステップをさらに備えることが好ましい。
【0019】
また、本発明のデバイス認識方法は、前記転送ステップにより転送されたプログラムファイルは、圧縮されたプログラムファイルであって、当該圧縮された圧縮プログラムファイルは、前記RAMディスク領域に圧縮された状態で記憶され、アプリケーションが起動されると、当該アプリケーションに必要な圧縮プログラムファイルの解凍処理を行って、前記RAMディスクに展開する解凍ステップと、記解凍ステップにより解凍されると、当該解凍されたプログラムファイルの読み込み処理を行う読込ステップと、をさらに備えること好ましい。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、情報処理装置は外部メモリとして機能している携帯端末から必要なプログラムファイルを取り出す必要がなくなり、携帯端末を、他の機能を実行させることができ、携帯端末1台で、外部メモリして機能させることができるとともに、他の機能を実行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、本実施形態の情報処理装置100に対して、外部メモリ機能およびモデム機能を有する携帯端末200を接続したときの外観図である。図1に示されるように、情報処理装置100と携帯端末200とは、USBケーブルを用いて接続されており、情報処理装置100は、USBケーブルを介して携帯端末200が接続されていることを認識することができる。さらに、この携帯端末200は、外部メモリ機能およびモデム機能を有しており、ユーザが手動によりいずれの機能を持ったデバイスとして情報処理装置100に認識させることができる。なお、ここでは携帯端末200は、認証キーとしての機能を有するものであり、情報処理装置100に携帯端末200をUSBケーブルを介して接続することにより、認証処理を可能とし、情報処理装置100を使用者は使用することができる。
【0023】
図2は、情報処理装置100の構成を示すブロック図である。図2に示されるように、情報処理装置100は、CPU101、RAM102(RAMDisk領域102a)、デバイスコントローラ103(マウント手段、アンマウント手段、確保手段、転送手段、通信手段)、BIOSROM104および近距離有線通信部105(インタフェース手段)を含んで構成されている。なお、図示していないが、情報処理装置100は、キーボード等の操作部、ディスプレイなどの表示部、そのほか、ROMなどを備えている。なお、本実施形態においては、シンクライアント端末として情報処理装置100を機能させることを目的としているため、ハードディスクは不要としているが、ハードディスクを備えてもよい。以下、各構成について説明する。
【0024】
CPU101は、情報処理装置100を総括制御する部分であり、本実施形態においては、特に、RAM102に対してRAMDisk領域102aを作成する処理などのほか、BIOSの読み込み処理、OSの起動処理、外部及び内部の記憶デバイスに対するマウント処理およびアンマウント処理のための指示を行う部分である。さらに、CPU101は、携帯端末200から出力されるboot loaderに含まれている手順プログラムにしたがって、OSの初期化処理、OSコア部分(OSを起動するための基本プログラム)の起動、RAMDisk領域の作成指示、初期スクリプトの展開処理、RAM Disk領域のマウント処理、携帯端末200のマウント処理、OSのコピー、OSの起動、OSが実行するためのOS用ファイルの展開、OS上で動作するための各種アプリケーション(通信処理を実行するためのアプリケーション(通信手段)など)の起動処理およびその実行処理を行う。
【0025】
RAM102は、OSおよびアプリケーションなどのソフトウエアを展開するメモリである。RAM102には、CPU101からの指示のもと、RAMDisk領域102aが形成され、CPU101から必要に応じてRAM Disk領域102aに記憶されたファイル等が読み出される。
【0026】
RAM Disk領域102aは、初期スクリプト用の実行プログラムを記憶する部分である初期スクリプト用領域102a−1と、OSを起動および実行するためのプログラム(OS本体部分:OSを実行するための実行ファイル群)を記憶する部分であるOS本体用領域102a−2とを含んでいる。そして、各領域は、デバイスコントローラ103による処理にしたがって、携帯端末200に記憶されている初期スクリプトおよびOS本体部分が転送され、記憶する。また、デバイスコントローラ103による処理にしたがって、OSを実行するための圧縮さされたライブラリファイルの解凍処理およびその展開を行う領域である。このRAMDisk領域102aに記憶されているファイルは、デバイスコントローラ103によりアクセス可能に保持される。
【0027】
デバイスコントローラ103は、CPU101からの指示に基づいて、BIOSなどの読み込み処理、携帯端末200が外部メモリとして接続された場合には、そのためのマウント処理/アンマウント処理、および携帯端末200およびRAMDisk領域102aに対してデータを読み出すためのアクセス処理を行う部分である。また、デバイスコントローラ103は、外部メモリとしてマウントされた携帯端末200に対してアンマウント処理を行った後、ユーザ操作により携帯端末200を外部メモリ機能からモデム機能に切り換えられた場合には、当該携帯端末200をモデムとして認識し利用することができる。
【0028】
BIOS ROM104は、BIOS(BasicInput/Output System)を記憶するメモリである。
【0029】
近距離有線通信部105は、携帯端末200と通信接続するインターフェース部分である。例えば、この近距離有線通信部105は、USBケーブルを装着か可能なコネクタを有しており、上述CPU101は、USBケーブルを介して接続された携帯端末200を認識することができる。
【0030】
つぎに、上述情報処理装置100に接続される携帯端末200の構成について説明する。図3は、携帯端末200の構成を示すブロック図である。図3に示すように、携帯端末200は、メモリ201、モデム202、コントローラ203、および近距離有線通信部204を含んで構成されている。
【0031】
メモリ201は、情報処理装置100と近距離有線通信部204を介して接続することにより携帯端末200を外部メモリとして機能させるための記憶手段である。
【0032】
モデム202は、情報処理装置100と近距離有線通信部204を介して接続することにより携帯端末200をモデムとして機能させるための手段である。
【0033】
コントローラ203は、メモリ201およびモデム202を切り換えるための切換手段である。コントローラ203は、ユーザ操作にしたがって切換処理を行う。
【0034】
近距離有線通信部204は、情報処理装置100と通信接続するインターフェース部分である。例えば、この近距離有線通信部204は、USBケーブルを装着か可能なコネクタを有しており、情報処理装置100により、外部メモリとしてまたはモデムとして認識される。
【0035】
USIM(Universal Subscriber Identity Module)205は、携帯端末200に対して着脱自在に備え付けられており、携帯端末200の加入者情報等を記憶するメモリモジュールである。さらにこのUSIM205は、認証キー保存領域を備え、上述の通り情報処理装置100を使用するに当たっての認証キーを記憶するものである。情報処理装置100は、このUSIM205に記憶されている認証キーを読み取ることにより使用者が適正なものか否かを判断することができる。
【0036】
このように構成された情報処理装置100は、近距離優先通信部105を介して携帯端末200が外部メモリとして設定されていた場合に、接続することにより、携帯端末200を外部メモリとして認識させることができ、また携帯端末200がモデムとして設定されていた場合に、接続することによりモデムとして認識させることができる。したがって、情報処理装置100は、携帯端末200に記憶されているOSを用いて起動させた後、当該携帯端末200をアンマウント処理することにより、通信のために携帯端末200を通信デバイスとして認識し、利用することができる。
【0037】
つぎに、この情報処理装置100の動作について説明する。図4は、情報処理装置100の動作を示すシーケンス図である。
【0038】
まず、情報処理装置100の電源がオンされると(S101)、CPU101によりBIOSの読み込み要求がデバイスコントローラ103に対して行われ、デバイスコントローラ103では、BIOSROM104に対して読み出し処理(ReadRecord)が行われ、その応答であるRackが返信される(S102)。CPU101では、Rackが返信されると、携帯端末200に対する読み出し処理(DISKRR)が、デバイスコントローラ103を介して行われ、デバイスコントローラ103では、MBR(Master Boot Record)の読み出し処理が行われる(S103)。そして、CPU101では、MBRの読み込みが行われ、ブート先の特定がなされる(S104)。
【0039】
そして、CPU101により、MBRの読み込みにより得られたブート先に対して、Boot Loaderの読み込み指令が携帯端末200に対して行われる(S105)。OSコアを含んだBoot Loaderの読み込みが行われると、CPU101により、Boot Loaderに含まれている各種手順プログラムにしたがって、OS起動のための初期化処理が行われ(S106)、携帯端末200から取得されたOSコア部分が起動される(S107)。
【0040】
CPU101では、OSコア部分が起動されると、デバイスコントローラ103に対してRAM102上にRAMDisk領域102a(初期スクリプト用領域102a−1、OS本体用領域102a−2)を生成するよう指示がなされ、そして、デバイスコントローラ103により、RAM102上に初期スクリプト用、OS本体用の各領域を含んだRAMDisk領域102aが生成される(S108)。RAM Disk領域102aは、RAM102上に形成されたものであって、初期スクリプト用領域102a−1およびOS本体用領域102a−2はそれぞれディスクとして認識される(S109)。
【0041】
つぎに、CPU101では、初期スクリプトの展開処理が行われる(S110)。この要求が行われるとともに、RAMDisk領域102aに形成されている初期スクリプト用領域102a−1に対してマウント処理が行われる(S110a)。そいて、デバイスコントローラ103により初期スクリプトの展開要求がRAMDisk領域102a(初期スクリプト用領域102a−1)に対して行われる。RAMDisk領域102a(初期スクリプト用領域102a−1)では、初期スクリプトの展開処理が行われ、初期スクリプトの読み込みが行われる(S111)。
【0042】
デバイスコントローラ103では、OS本体をRAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に転送、起動するための初期スクリプトの読み込みがCPU101に対して行われ、CPU101では、初期スクリプトが起動し(S112)、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)がマウントされるように、CPU101によりマウント処理の指令がなされる(S113)。デバイスコントローラ103では、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)がマウントされ、デバイスコントローラ103からマウントの完了の旨がCPU101に対して行われる(S114)。
【0043】
つぎに、携帯端末200をアンマウント処理し、認証キーに基づく認証処理を行うときの処理について説明する。図5は携帯端末200をアンマウント処理するときのシーケンス図である。
【0044】
デバイスコントローラ103では、CPU101に対して、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)のマウントの完了通知が行われると、CPU101では、先に読み込まれた初期スクリプトにしたがって、携帯端末200に対するマウント処理が行われる(S115)。そして、CPU101により、OS本体部分のコピー処理が行われるよう、コピー指令が携帯端末200に対して出力される(S116)。デバイスコントローラ103により、このコピー指令に従って、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に対するOSの転送処理が行われ(S117)、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)ではOS本体部分がコピー(記憶)される(S118)。
【0045】
デバイスコントローラ103では、OS本体部分の転送処理が完了すると、転送処理完了の旨の通知がCPU101に対して出力され(S119)、CPU101では、デバイスコントローラ103を介して、携帯端末200のアンマウント処理が行われる(S120)。そして、アンマウント処理が完了すると、CPU101によりOS本体部分の読み込み処理が行われるようにOSコア部分の読み込み指令がデバイスコントローラ103に対して出力される(S121)。
【0046】
デバイスコントローラ103では、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)から、まずOS本体部分を読み出すために、OS本体部分の読み込み指令がなされ、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)からデバイスコントローラ103へのOS本体部分の転送処理が行われる(S122)。デバイスコントローラ103により、読み出したOS本体部分がCPU101に出力される(S123)。
【0047】
そして、このOSコア部分を用いてOSの起動処理が行われる(S124)。起動処理に際して、起動に用いられる各種ファイルの展開処理が開始され、OS用ファイル展開指令がデバイスコントローラ103に出力される(S125)。デバイスコントローラ103では、CPU101からの指令に基づいて、OS用ファイル展開指令が、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に出力される(S126)。RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)では、OSの動作に必要とされるOS用ファイル展開処理がなされる(S127)。そして、デバイスコントローラ103では、展開完了の旨の通知を受けると(S128)、CPU101に対して展開完了の通知が出力される(S129)。
【0048】
OS起動後、CPU101により携帯端末200に対して認証キーの取得指示が行われ、デバイスコントローラ103により、認証キーの取得処理が行われる。ここでは、携帯端末200に備えられているUSIM205に記憶されている加入者情報、識別情報などを認証キーとして取得される。そして、CPU101により、取得された認証キーが予め情報処理装置100において保持されている認証キーと比較し判断され、一致している場合には、すなわち正当な携帯端末200からの接続であることが認識されると、情報処理装置100はユーザにより操作可能となる(S130)。なお、ここで正当な認証キーではないとCPU101により判断されると、ユーザ操作が許可されない。また、ここでは、携帯端末200をモデムとして認識し、モデムと通信する際の標準命令体系であるATコマンドにより携帯端末200と通信することにより、認証キーが取得されるため、アンマウント処理したとしても、認証キーの取得処理は可能となる。
【0049】
以上の処理により、CPU101によりマウントされた携帯端末200に記憶されているOSを用いた起動を行うことができるとともに、外部メモリとして認識された携帯端末200を一旦アンマウントすることで、携帯端末200をモデムとして機能させたい場合に、携帯端末200をモデムとして認識させることができる。よって、携帯端末200を用いて情報処理装置100をシンクライアントとして使用する際に、携帯端末200一つだけを用いて、外部メモリおよびモデムの2種類のデバイスとして機能させることができる。
【0050】
つぎに、RAM Disk領域102a(OS本体用領域102a−2)に記憶されているOS(ライブラリファイル)を利用しつつ、アプリケーションを起動させるときの処理について説明する。図5は、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に記憶されているOS(ライブラリを含む)を利用してアプリケーションを起動させるときの処理を示すシーケンス図である。
【0051】
ユーザがユーザインターフェイスを介してアプリケーションの起動操作をすることにより、アプリケーションが起動され(S201)、この起動したアプリケーションに応じて、デバイスコントローラ103に対して、OSにおけるプログラム/ライブラリの読み込み要求が行われる(S202)。なお、当該アプリケーションの実行に必要なプログラム/ライブラリがRAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に記憶されているか否かを判断するために、デバイスコントローラ103によりRAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)にアクセスが実行され、判断されるが、ここでは省略している。
【0052】
そして、デバイスコントローラ103では、RAMDisk領域102aに対してプログラム/ライブラリの読み込み要求が行われ、起動したアプリケーションに必要とされる、プログラム/ライブラリが、デバイスコントローラ103に対して転送される(S203)。デバイスコントローラ103では転送されたプログラム/ライブラリをCPU101に対して読み込む(S204)。
【0053】
これにより、RAM Disk領域102aに記憶されているOS(ライブラリファイルなどを含む)を利用した処理を行うことができる。なお、プログラム/ライブラリの読み込み処理を行うときには、携帯端末200はアンマウント処理されているため、携帯端末200に対するアクセス処理は行われない。
【0054】
つぎに、アプリケーションの起動に応じてRAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)から追加ライブラリを読み出すときの処理について説明する。図6は、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に記憶されているOS(ライブラリを含む)を利用してアプリケーションを起動させるときに、追加ライブラリがある場合の処理を示すシーケンス図である。
【0055】
ユーザがアプリケーションの起動操作をすることにより、アプリケーションが起動され(S301)、この起動したアプリケーションに応じて、デバイスコントローラ103に対して、追加ライブラリの解凍指令が行われる(S302)。なお、当該アプリケーションの実行に必要なプログラム/ライブラリがRAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に記憶されているか否かを判断するために、デバイスコントローラ103によりRAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)にアクセスが実行され、判断されるが、省略している。ここでは、プログラム/ライブラリが解凍されていないと判断され、解凍指令がCPU101より出力される。
【0056】
そして、デバイスコントローラ103では、この解凍指令に従って、追加ライブラリ解凍指令がRAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に対して出力され(S303)、ライブラリの解凍処理が行い、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)上において解凍したライブラリの展開処理が行われる(S304)。
【0057】
デバイスコントローラ103では、ライブラリの解凍処理の通知を受けると、CPU101に対して解凍完了の旨が通知される(S306)。CPU101では、解凍完了の通知を受けると、デバイスコントローラ103に対して読み込み要求が行われる(S307)。デバイスコントローラ103では、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に対してプログラム/ライブラリの読み込み要求が行われ、起動したアプリケーションに必要とされる、プログラム/ライブラリが、デバイスコントローラ103に対して転送される(S308)。デバイスコントローラ103では転送されたプログラム/ライブラリをCPU101に対して読み込む(S309)。
【0058】
本実施形態では、携帯端末200に記憶され、RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)にコピーされたOS本体部分(プログラム/ライブラリを含む)は、圧縮された状態で記憶されている。図6で示される例では、起動したアプリケーションに応じて必要とされるプログラム/ライブラリが、CPU101により判断され、必要とされるプログラム/ライブラリを解凍するよう、デバイスコントローラ103を介して処理が実行される。
【0059】
また、プログラム/ライブラリの実行が終了した場合には、圧縮指令により当該プログラム/ライブラリを圧縮して、RAMDisk領域102aに保存するようにしてもよい。更に、上記では、OS本体部分全体を圧縮した状態としたが、相対的に使用頻度の低いプログラム/ライブラリのみを圧縮した状態としておいても良い。
【0060】
つぎに、本実施形態の情報処理装置100の作用効果について説明する。本実施形態の情報処理装置100において、デバイスコントローラ103は携帯端末200がOSを記憶する外部メモリとして接続されているか否かを認識する。そして、携帯端末200がOS・認証キーを記憶する外部メモリとしてマウント処理が行われた場合に、CPU101からの指示に従ってデバイスコントローラ103がRAM102上にRAMDisk領域102a(初期スクリプト用領域102a−1、OS本体用領域102a−2)を確保する。
【0061】
そして、デバイスコントローラ103は、RAM102上に確保されたRAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に携帯端末200に記憶されているOS本体部分を構成する複数のプログラムファイルを転送する。RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)は、転送されたプログラムファイルを記憶する。転送処理後、デバイスコントローラ103は、外部メモリとして接続された携帯端末200に対してアンマウント処理を行う。RAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)を用いて起動されたOS上で起動されたアプリケーションは、必要に応じてRAMDisk領域102a(OS本体用領域102a−2)に記憶されているプログラムファイルを読み込み可能とする。
【0062】
これにより、外部メモリとして機能している携帯端末200からOSなどの実行に必要なプログラムファイルを取り出す必要がなくなり、携帯端末200を、例えばモデムとして機能させることができ、携帯端末1台で、シンクライアントのためのOSの起動用などの外部メモリとして機能させることができるとともに、通信手段として機能させることができる。
【0063】
また、本実施形態の情報処理装置100において、デバイスコントローラ103は、外部メモリとして接続された携帯端末200に対するアンマウント処理後、携帯端末200が通信端末として認識された場合には、CPU101において実行される通信アプリケーションは、当該携帯端末200を介して外部と通信を実行することができる。よって、1台の携帯端末で外部メモリとして機能させることができるとともに、通信端末として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態の情報処理装置100に対して、携帯端末200を接続したときの外観図である。
【図2】情報処理装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】携帯端末200の構成を示すブロック図である。
【図4】情報処理装置100の動作を示すシーケンス図である。
【図5】情報処理装置100の動作を示すシーケンス図である。
【図6】RAM Disk領域102aに記憶されているOS(ライブラリを含む)を利用してアプリケーションを起動させるときの処理を示すシーケンス図である。
【図7】RAM Disk領域102aに記憶されているOS(ライブラリを含む)を利用してアプリケーションを起動させるときに、追加ライブラリがある場合の処理を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0065】
100…情報処理装置、CPU…101、102a…RAMDisk領域、103…デバイスコントローラ、104…BIOS ROM、105…近距離有線通信部、200…携帯端末、201…メモリ、202…モデム、203…コントローラ、204…近距離有線通信部、205…USIM。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムファイルを記憶する外部メモリ機能および外部端末と通信するための通信機能を有する携帯端末と接続する情報処理装置において、
前記プログラムファイルが起動する際のワークエリアを展開するとともに、アクセス可能なRAMディスク領域を形成可能なRAMと、
前記携帯端末と接続するとともに、当該携帯端末の機能に応じて認識処理を行うインターフェース手段と、
前記インターフェース手段に接続された前記携帯端末がプログラムファイルを記憶する外部メモリとして機能している場合に、前記携帯端末を外部メモリとしてマウント処理をするマウント手段と、
前記マウント手段により前記携帯端末が外部メモリとしてマウントされると、前記RAMにRAMディスク領域を確保する確保手段と、
前記確保手段により確保されたRAMディスク領域に前記携帯端末に記憶されている複数のプログラムファイルを転送する転送手段と、
前記転送手段によるプログラムファイルの転送処理後、前記インターフェース手段に外部メモリとして接続された携帯端末に対するアンマウント処理を行うアンマウント処理手段とを備え、
前記インターフェース手段は、前記携帯端末が他の機能に切り換えられた場合に、再度当該機能に応じた認識処理を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記携帯端末は、通信機能と外部メモリ機能とを切換可能に構成されており、
前記アンマウント手段によりアンマウントされた後、前記インターフェース手段により、前記携帯端末が通信端末として認識された場合には、前記携帯端末を介して外部と通信を実行する通信手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記転送手段により転送されたプログラムファイルは、圧縮されたプログラムファイルであって、当該圧縮された圧縮プログラムファイルは、前記RAMディスク領域に圧縮された状態で記憶され、
アプリケーションが起動されると、当該アプリケーションに応じた圧縮プログラムファイルの解凍処理を行って、前記RAMディスクに展開する解凍手段と、
前記解凍手段により解凍されると、当該解凍されたプログラムファイルの読み込み処理を行う読込手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
プログラムファイルを記憶する外部メモリ機能および外部端末と通信するための通信機能を有する携帯端末と接続するとともに、当該携帯電話の機能に応じて認識処理を行うインターフェース手段と、プログラムファイルが起動する際のワークエリアを展開するとともに、アクセス可能なRAMディスク領域を形成可能なRAMとを有する情報処理装置のデバイス認識方法において、
前記インターフェース手段に接続された前記携帯端末がプログラムファイルを記憶する外部メモリとして機能している場合に、前記携帯端末を外部メモリとしてマウント処理をするマウントステップと、
前記マウントステップにより前記携帯端末が外部メモリとしてマウントされると、前記RAMにRAMディスク領域を確保する確保ステップと、
前記確保ステップにより確保されたRAMディスク領域に前記携帯端末に記憶されている複数のプログラムファイルを転送する転送ステップと、
前記転送ステップによるプログラムファイルの転送処理後、前記インターフェース手段に外部メモリとして接続された携帯端末に対するアンマウント処理を行うアンマウント処理ステップと、
アンマウント処理後、前記インターフェース手段は、前記携帯端末が他の機能に切り換えられた場合に、再度当該機能に応じた認識処理を行う認識処理ステップと、を備えるデバイス認識方法。
【請求項5】
前記携帯端末は、通信機能と外部メモリ機能とを切換可能に構成されており、
前記アンマウントステップによりアンマウントされた後、前記インターフェース手段により、前記携帯端末が通信端末として認識された場合には、前記携帯端末を介して外部と通信を実行する通信ステップをさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載のデバイス認識方法。
【請求項6】
前記転送ステップにより転送されたプログラムファイルは、圧縮されたプログラムファイルであって、当該圧縮された圧縮プログラムファイルは、前記RAMディスク領域に圧縮された状態で記憶され、
アプリケーションが起動されると、当該アプリケーションに必要な圧縮プログラムファイルの解凍処理を行って、前記RAMディスクに展開する解凍ステップと、
前記解凍ステップにより解凍されると、当該解凍されたプログラムファイルの読み込み処理を行う読込ステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項4または5に記載のデバイス認識方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−92240(P2010−92240A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261056(P2008−261056)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(503172138)株式会社応用電子 (23)
【Fターム(参考)】