説明

情報処理装置および情報処理システム

【課題】ある生体物質と相互作用を有する生体物質を抽出する情報処理装置および情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、複数の生体物質の識別情報と、前記複数の生体物質間の相互作用の情報とを受け付ける手段と、前記複数の生体物質の識別情報のうち指定された1以上の種物質の識別情報を受け付ける手段と、前記種物質の識別情報および前記複数の生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記複数の生体物質の活性値を(時刻tにおける)決定する手段と、前記決定する手段により決定された前記複数の生体物質の活性値のうち閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報を特定する手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体内には、タンパク、遺伝子、糖質、脂質等の物質(生体物質:biological substance)が存在する。これらの生体物質は生体内で、酵素、抗体、サイトカイン、生理活性物質(physiologically active substance)、情報伝達物質(signal messenger)等として機能する。
【0003】
生体内において、ある生体物質の機能は別の生体物質からの作用によって修飾される。例えば、あるタンパクの機能は別のタンパクからの作用により修飾され、ある遺伝子の発現は別の遺伝子からの作用により調節される。
【0004】
近年、疾患に関わる生体物質の動向や、薬剤が生体に与える影響を解明しようとする研究が盛んに行われている。このような研究の目的の一つは、着目する生体物質について、当該生体物質に関連する生体物質との相互作用を分析することで、着目する生体物質の疾患または薬剤に対する影響を推定することである。例えば、非特許文献1は、種々のヒトの癌に関するネットワークにおいて、創薬対象または診断バイオマーカーとして潜在的に機能しうる遺伝子を同定できることについて言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Shiraishi,Tetsuya AND Matsuyama, Shinako AND Kitano, Hiroaki, Large-Scale Analysis of Network Bistability for Human Cancers, PLoS Comput Biol,DOI:10.1371/journal.pcbi.1000851,Vol:6,No.7,pages e1000851,July,2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ある生体物質と相互作用を有する生体物質を抽出する情報処理装置および情報処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.本発明の一態様の情報処理装置は、
複数の生体物質の識別情報と、前記複数の生体物質間の相互作用の情報とを受け付ける手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のうち指定された1以上の種物質の識別情報を受け付ける手段と、
前記種物質の識別情報および前記複数の生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記複数の生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する手段と、
前記決定する手段により決定された前記複数の生体物質の活性値のうち閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報を特定する手段と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
2.上記情報処理装置は、(1)ないし(4)のいずれかの態様であってもよい。
(1)上記情報処理装置は、
前記決定する手段が第1の決定手段であり、
前記特定する手段により特定された、前記生体物質の識別情報および当該生体物質間の相互作用の情報を第1の種文書関連データ群とし、
前記第1の種文書関連データ群を構成する前記生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記第1の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第2の決定手段と、
前記第1の種文書関連データ群から、前記種文書の識別情報と当該種文書に関連する生体物質間の相互作用の情報とを削除して、第2の種文書関連データ群を作成する手段と、
前記第2の種文書関連データ群を構成する前記生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記第2の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第3の決定手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、前記第2の決定手段で得られた活性値と、前記第3の決定手段で得られた活性値とを比較する手段と、
をさらに含む。
【0009】
(2)上記情報処理装置は、
前記決定する手段が第1の決定手段であり、
前記特定する手段により特定された、前記生体物質の識別情報および当該生体物質間の相互作用の情報を第1の種文書関連データ群とし、
前記第1の種文書関連データ群を構成する前記生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記第1の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第2の決定手段と、
前記第1の種文書関連データ群において前記種文書の識別情報と当該種文書に関連する生体物質間の相互作用の情報に重みづけをしたうえで、前記第1の種文書関連データ群を構成する前記生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記第1の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第3の決定手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、前記第2の決定手段で得られた活性値と、前記第3の決定手段で得られた活性値とを比較する手段と、
をさらに含む。
【0010】
(3)上記情報処理装置は、
前記決定する手段が第1の決定手段であり、
前記複数の生体物質の識別情報から前記種文書の識別情報を削除する手段と、
前記複数の生体物質の相互作用の情報から、前記種文書の相互作用の情報を削除する手段と、
前記種文書が削除された前記複数の生体物質の情報と、前記種文書の相互作用の情報が削除された前記生体物質間の相互作用の情報とに基づいて活性伝搬処理を実行して、各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第2の決定手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、前記第1の決定手段で得られた活性値と、前記第2の決定手段で得られた活性値とを比較する手段と、
をさらに含む。
【0011】
(4)上記情報処理装置は、
前記決定する手段が第1の決定手段であり、
前記種文書の識別情報に重みづけをしたうえで、前記生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第2の決定手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、前記第1の決定手段で得られた活性値と、前記第2の決定手段で得られた活性値とを比較する手段と、
をさらに含む。
【0012】
3.本発明の別の態様に係る情報処理システムは、
複数の生体物質の識別情報と、前記複数の生体物質間の相互作用の情報とを記憶する手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のうち指定された1以上の種物質の識別情報を受け付ける手段と、
前記種物質の識別情報および前記複数の生体物質間の相互作用の情報間に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記複数の生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する手段と、
前記決定する手段により決定された前記複数の生体物質の活性値のうち閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報を特定する手段と、
を含む。
【発明の効果】
【0013】
上記1の情報処理装置によれば、種物質と関連性を有する生体物質との相互作用の情報が得られる。
【0014】
上記2の(1)の情報処理装置によれば、種物質が他の生体物質に及ぼす作用を予測することができる。
【0015】
上記2の(2)の情報処理装置によれば、種物質が他の生体物質に及ぼす作用を予測することができる。
【0016】
上記2の(3)の情報処理装置によれば、種物質が種物質以外の複数の生体物質に及ぼす作用を予測することができる。
【0017】
上記2の(4)の情報処理装置によれば、種物質が種物質以外の複数の生体物質に及ぼす作用を予測することができる。
【0018】
上記3の情報処理システムによれば、種物質と関連性を有する生体物質との相互作用の情報が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【図2】生体物質ネットワークの一例を示す模式図である。
【図3】生体物質識別情報特定部により特定されたノードを示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置による情報処理のフロー図である。
【図5】閾値以上の活性値を有する複数の生体物質の情報と当該複数の生体物質間の相互作用の情報とを含むテーブルの一例を示す図である。
【図6】(A)は活性伝搬処理結果テーブルの一例を示す図であり、(B)は活性伝搬処理結果の表示画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【図8】第1の種文書関連データ群を構成する生体物質ネットワークの一例を示す模式図である。
【図9】第3の活性値決定部により特定されたノードを示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置による情報処理のフロー図である。
【図11】第1の種文書関連データ群を構成する複数の生体物質の情報と複数の生体物質間の相互作用の情報とを含むテーブルの一例を示す図である。
【図12】(A)は活性伝搬処理結果テーブルの一例を示す図であり、(B)は活性伝搬処理結果の表示画面の一例を示す図である。
【図13】第2の種文書関連データ群を構成する複数の生体物質の情報と複数の生体物質間の相互作用の情報とを含むテーブルの一例を示す図である。
【図14】(A)は活性伝搬処理結果テーブルの一例を示す図であり、(B)は活性伝搬処理結果の表示画面の一例を示す図である。
【図15】(A)は活性値比較処理結果テーブルの一例を示す図であり、(B)は活性値比較処理結果の表示画面の一例を示す図である。
【図16】(A)は活性伝搬処理結果テーブルの一例を示す図であり、(B)は活性伝搬処理結果の表示画面の一例を示す図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係る情報処理装置による情報処理のフロー図である。
【図18】第1の種文書関連データ群を構成する生体物質ネットワークの一例を示す模式図である。
【図19】第2の活性値決定部により作成されたノードを示す図である。
【図20】記憶部に格納される複数の生体物質の情報と複数の生体物質間の相互作用の情報とを含むテーブルの一例を示す図である。
【図21】本発明の第3実施形態に係る情報処理装置による情報処理のフロー図である。
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る情報処理装置および情報処理システムについて具体的に説明する。
【0021】
1.第1実施形態
1.1.情報処理装置10
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の機能ブロック図を示す。図1に示されるように、情報処理装置10は、記憶部12と、制御部14と、表示部16とを含む。各部の機能は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されたプログラムが、媒体読取装置(図示せず)を用いてコンピュータシステムである情報処理装置10に読み込まれ実行されることで実現されるものとしてよい。なお、プログラムは、情報記憶媒体によって情報処理装置10に供給されてもよいし、あるいは、インターネット、イントラネット等のデータ通信ネットワークを介して供給されてもよい。
【0022】
記憶部12は、半導体メモリや磁気ディスク等の記憶装置を含み、データやプログラムを記憶する。本実施形態では、記憶部12には、複数の生体物質の識別情報と、複数の生体物質間の相互作用の情報とが格納されている。記憶部12に格納される複数の生体物質の識別情報は生体物質を特定する情報であり、複数の生体物質間の相互作用の情報は、生体物質の相互作用に関する識別情報である。なお、本実施形態では、図1に示されるように、情報処理装置10が記憶部12を含む例を示したが、記憶部12が情報処理装置10には含まれず、記憶部(サーバ)12に格納された情報(複数の生体物質の識別情報および複数の生体物質間の相互作用の情報)が、データ通信ネットワークを介して制御部14に供給されてもよい。
【0023】
記憶部12には、生体物質および生体物質間の相互作用の情報に基づく生体物質ネットワークの情報を例えば以下のようにして記憶することとしてよい。すなわち、記憶部12は、生体物質ネットワークに含まれる生体物質の数をNとすると、N個の生体物質1〜Nの各情報とともに、生体物質iと生体物質jとの相互作用Lij(iおよびjは1乃至Nの整数である)の情報を定めたデータを記憶することとしてよい。
【0024】
図5は、記憶部12に格納される複数の生体物質と複数の生体物質間の相互作用の情報とを含むテーブルの一例を示す図である。図5に示されるテーブルには、記憶部12に格納される生体物質と、当該生体物質と相互作用を有する生体物質とが規定されている。なお、本実施形態においては、図5に示されるように、生体物質間の相互作用は、相互作用がある場合または相互作用がない場合の2通りで規定されている例を示したが、あるいは、生体物質間の相互作用の強弱を3通り以上で規定してもよい(後述する第2および第3実施形態でも同様である)。記憶部12に格納される複数の生体物質と複数の生体物質間の相互作用の情報は既存のものを用いてもよく、または新たに作成されたものであってもよい。この複数の生体物質と複数の生体物質間の相互作用の情報として知られているものとしては、例えば、http://itolab.cb.k.u-tokyo.ac.jp/Y2H/(平成22年12月26日検索)で公開されている酵母のタンパク質相互作用のデータベースが挙げられる。
【0025】
生体物質はタンパク、遺伝子、糖質、脂質等の生体内に存在する物質である。これらの生体物質は生体内で、酵素、抗体、サイトカイン、生理活性物質(physiologically active substance)、情報伝達物質(signal messenger)等として機能する。遺伝子には、DNA、RNA等のヌクレオチド配列が含まれる。中でも、生体物質はタンパクまたは遺伝子であってもよい。生体内では、あるタンパクの発現または消失が他のタンパクの発現または消失に影響を及ぼすことがあり、ある遺伝子の発現または消失が他の遺伝子の発現または消失に影響を及ぼすことがある。
【0026】
本実施形態に係る情報処理装置10によれば、後述する生体物質識別情報特定部28が、活性値決定部26により決定された複数の生体物質の活性値のうち閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報を特定することにより、ある生体物質の発現または消失が他の生体物質の発現または消失に及ぼす影響が特定され、その結果、ある生体物質に関与する薬剤が、生体内で他の生体物質にどのような影響を及ぼすかを予測する。
【0027】
図2は、記憶部12に記憶される複数の生体物質の識別情報および複数の生体物質間の相互作用の情報を、上述したデータに基づき接続して表示した生体物質ネットワークの一例を示す模式図である。図2に示される生体物質ネットワークでは、2つの異なる生体物質(ノード)i,j間に相互作用が存在する場合、リンクijが存在するものとし、丸はそれぞれ1つの生体物質に対応し、生体物質間のリンクは相互作用の有無に対応し、生体物質間のリンクは有向リンクであり、矢印の向きは相互作用の向きを示している(後述する図3、図8、図9、図18、および図19でも同様の意義を有する。)。図2に示した例では、矢印の元にある生体物質が矢印の先にある物質に作用することを表している。すなわち、図2において、リンクijは、生体物質iが生体物質jに作用を及ぼすことを表している。
【0028】
図1に示すように、制御部14は、生体物質識別情報受付部22と、生体物質間相互作用情報受付部23と、種物質識別情報受付部25と、活性値決定部26と、生体物質識別情報特定部28とを備える。
【0029】
生体物質識別情報受付部22は、複数の生体情報の識別情報を受け付ける。また、生体物質間相互作用情報受付部23は、複数の生体物質間の相互作用の情報を受け付ける。上述したように、複数の生体情報の識別情報および複数の生体物質間の相互作用の情報は記憶部12に記憶されている。また、種物質識別情報受付部25は、情報処理装置10の利用者により指定された1以上の種物質の識別情報を受け付ける。種物質は、情報処理装置10の利用者により選択された生体物質であり、より具体的には、種物質は、情報処理装置10の利用者が注目している現象または症状に関連する生体物質であってもよい。
【0030】
種物質識別情報受付部25は、複数の生体物質の識別情報のうち指定された1以上の種物質の識別情報を受け付ける。種物質の識別情報は情報処理装置10の利用者によって選択される。より具体的には、種物質の識別情報は、情報処理装置10の利用者によって、情報処理装置10に接続されたコンピュータ端末(図示せず)から入力されて、データ通信ネットワークを介して種物質識別情報受付部25に供給されてもよい。
【0031】
活性値決定部26は、前記種物質の識別情報および前記複数の生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、複数の生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する。すなわち、活性伝播処理では、複数のデータ要素(生体物質の識別情報)の少なくとも一部を種要素(種物質の識別情報)に設定し、当該種要素にデータ値を付与するとともに、当該種要素に付与された値を要素間のリンク(生体物質間の相互作用の情報)に基づいて伝播させる。データ値の活性伝播処理は、予め定められた条件を満足するまで継続して行うこととしてよい。以下、活性値決定部26による具体的な処理を説明する。
【0032】
活性値決定部26は、種要素(種物質の識別情報)に初期値を入力し、データ要素(生体物質の識別情報)間に設定された相互作用情報(例えば、上述したLij)に基づいて、上記種要素(種物質の識別情報)に入力された値に基づく出力値を順次、相互作用を有するデータ要素(生体物質の識別情報)に入力していくデータ値の伝播処理を行う。
【0033】
活性値決定部26は、上記のデータ値の伝播処理を、例えば伝播による各要素のデータ変化量が閾値を超えなくなるという終了条件や、伝播処理の回数が予め定めた回数に達した等の終了条件を満たすまで繰り返し行う。なお、データの伝播処理の具体的なアルゴリズムは、例えば「Allison Woodruff, Rich Gossweiler, James Pitkow, Ed H. Chi, and Stuart K. Card “Enhancing a Digital Book with a Reading Recommender”」、「特開2006−133844号公報(特許文献1)」、「特開2006−243804号公報(特許文献3)」、「特開2007−241459号公報(特許文献3)」に記載の方法や、活性拡散、連続不動点アトラクター力学系、ページランクアルゴリズム(非特許文献2:awrence Page, Sergey Brin, Rajeev Motwani, Terry Winograd, 'The PageRank Citation Ranking: Bringing Order to the Web', 1998, http://www-db.stanford.edu/~backrub/pageranksub.ps(平成22年12月20日検索))等の手法を用いることとしてよい。
【0034】
本実施形態では、上述の連続不動点アトラクター力学系(非特許文献3:岡本洋 脳における記憶想起とのアナロジーによる大規模複雑ネットワークからの情報抽出 人工知能基本問題研究会(第78回)資料 35-41 (2010))により、複数の生体物質の活性値を求める方法を用いた場合を例にとり、以下に説明する。
【0035】
生体物質をノードとし、異なる生体物質の間に相互作用がある場合「リンクがある」とし、異なる生体物質の間に相互作用がない場合「リンクがない」とする。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置10において、生体物質ネットワークを定める隣接行列をA=(Anm)としたとき、生体物質iが生体物質jに作用を及ぼすときAnm=1、そうでないときAnm=0であるとし、生体物質nが種物質である場合τ=1、そうでない場合τ=0としてベクトルτを求める。
【0036】
また、時刻tにおけるノードnの「活性」をx(t)(n=1,…N)とする。ベクトルx(t)の時間発展を非特許文献2に記載された方法(連続アトラクター力学系)で定める。すなわち、初期条件を下記式(1)で定め、で定め、ベクトルx(t)=(x(t),…x(t))からベクトルx(t+1)への更新を下記式(2a)ないし式(2c)で定める:
【数1】

上記の規則に従ってベクトルx(t)を更新してゆくと、ベクトルx(t)はやがてベクトルτに連続的に依存した定常状態に収束する。活性値決定部26は、データ値の伝播が予め定められた平衡状態に達すると、その時点での各生体物質のデータ値に基づいて、以下の伝播処理結果テーブルを生成する。
【0037】
生体物質識別情報特定部28は、活性値決定部26にて決定されたノード(複数の生体物質)の活性値のうち閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報を特定する。この場合、閾値以上の活性値を有する生体物質がL個ある場合、生体物質識別情報特定部28において、上記定常状態において、獲得した活性値の高いものから順に、閾値以上の活性値を有するL個の活性値が特定される。
【0038】
図6(A)には、活性値決定部26により行われた活性伝播処理後において、高い活性値を有する生体物質から順に並べた活性伝播処理結果テーブルの一例を示す。このように、種物質を基点として活性伝播処理を行うことで、活性値が高い順(種物質との関連性が高い順)に生体物質が特定される。
【0039】
表示部16は、生体物質識別情報特定部28による処理結果を示すグラフィックデータに基づいてディスプレイに画面を表示する。図6(B)は、表示部16に表示される処理結果表示画面の一例を示す図である。
【0040】
図3に示されるように、生体物質識別情報特定部28により特定された、閾値以上の活性値を有するL個の生体物質に対応するノード(複数の生体物質の識別情報)とその間のリンク(生体物質の相互作用の情報)とから構成されるネットワークを、種物質関連ネットワークとして抽出してもよい。図3には、図2に示される生体物質ネットワークにおいて、生体物質識別情報特定部28により特定された、閾値以上の活性値を有する生体物質に対応するノード(複数の生体物質の識別情報)が網掛けで示されている。
【0041】
次に、図4に示されるフロー図を参照しながら、情報処理装置10により行われるデータ処理の一連の流れを説明する。
【0042】
情報処理装置10は、記憶部12に記憶される複数の生体物質の識別情報および複数の生体物質の相互作用の情報を受け付け(S101)、利用者からの1以上の種物質の識別情報の入力を受け付ける(S102)。
【0043】
次に、情報処理装置10は、受け付けた種物質の識別情報に初期データ値を付与して、付与したデータ値を生体物質間のリンクに従って伝播させる処理(上述の活性伝播処理)を行う(S103)。情報処理装置10は、上記式(2a)ないし(2c)にしたがって、上記の活性伝播処理が予め定められた終了条件を満たすか否かを判断し(S104)、条件を満たさないと判断する場合には(S104:N)、上記活性伝播処理を条件が満たされるまで繰り返し実行する。そして、情報処理装置10は、上記活性伝播処理が条件を満たすと判断する場合には(S104:Y)、活性伝播処理の結果得られる各生体物質の活性値に基づいて、閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報を特定し、当該生体物質の順位付けを行う(S105)。そして、情報処理装置10は、上記順位付けが行われた生体物質を、その順位に応じた態様、例えば活性値が高い順に生体物質を上から順に表示する等して、利用者により入力された種物質に関する処理結果を表示する(S106)。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10では、利用者により指定された種物質について、生体物質間のリンクに基づく生体物質間の関係性を反映した順位付けが行われる。
【0045】
1.2.変形例
本実施形態に係る情報処理装置10の一変形例として、活性値決定部26における活性伝搬処理で用いた上記式(2a)ないし(2c)を下記式(6)に置換した例が挙げられる。なお、後述する第2および第3実施形態における活性伝搬処理でも、上記式(2a)ないし(2c)を下記式(6)に置換してもよい。なお、下記式(6)の一般的性質は非特許文献3に記載されている。下記式(6)において、ベクトルxの初期状態の選び方は特に限定されない。
【0046】
【数2】

【0047】
上記式(6)に従ってベクトルx(t)を更新してゆくと、ベクトルx(t)はやがてベクトルτに連続的に依存した定常状態に収束する。定常状態において、獲得した活性値の高いものから順にL個を選ぶ。これらL個の生体物質(ノード)とその間の相互作用(リンク)からなるネットワークを生体物質ネットワークとして出力する。
【0048】
1.3.特徴
本実施形態に係る情報処理装置10によれば、種物質に関連する生体物質の識別情報を特定する。これにより、種物質に関連する生体物質から構成される生体物質ネットワークが得られる。また、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、種物質が他の生体物質に影響が生じるかどうかを予測する。
【0049】
近年、タンパクや遺伝子等のネットワークを創薬に役立てることが試みられている。本実施形態に係る情報処理装置10によれば、種物質に関連する生体物質から構成される生体物質ネットワークを「地図」として用いることにより例えば、注目する現象・症状に関わる「標的」としてある生体物質を抑えることで他の生体物質を制御できるかを判定する。さらに、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、生体物質ネットワークの中で制御したい生体物質を制御し、それ以外の生体物質には大きな影響(副作用)を及ぼさないような生体物質を特定する。
【0050】
2.第2実施形態
2.1.情報処理装置20
図7は、本実施形態に係る情報処理装置20の機能ブロック図を示す。本実施形態に係る情報処理装置20は、記憶部12と、制御部14と、表示部16とを備える。なお、本実施形態に係る情報処理装置20において、本実施形態に係る情報処理装置10と同じ機能を有する要素は、同じ符号を付して示す。
【0051】
制御部24は、生体物質識別情報受付部22と、生体物質間相互作用情報受付部23と、種物質識別情報受付部25と、(第1の)活性値決定部26と、生体物質識別情報特定部28とを備える点で、第1実施形態に係る情報処理装置10の制御部14と同じである。また、制御部24は、第1のデータ群作成部29と、第2の活性値決定部36と、第2のデータ群作成部39と、第3の活性値決定部46と、データ比較部48とを備える。
【0052】
第1のデータ群作成部29は、生体物質識別情報特定部28にて特定された閾値以上の活性値を有する生体物質識別情報と、その生体物質の相互作用の情報とから構成される第1の種文書関連データ群を作成する。
【0053】
図8は、第1の種文書関連データ群を構成する複数の生体物質の識別情報および複数の生体物質間の相互作用の情報を表示した生体物質ネットワークの一例を示す模式図である。
【0054】
図8に示される生体物質ネットワークでは、第1のデータ群作成部29によって特定された、閾値以上の活性値を有する生体物質を示すノードが実線の丸(網掛け)で示されている。すなわち、図8および図9では、閾値以上の活性値を有するノードが実線の丸で示され、閾値未満の活性値を有するノードが破線の丸で示されている。また、図8および図9では、閾値以上の活性値を有する生体物質を示すノード間の作用が実線の矢印で示され、閾値以上の活性値を有する生体物質を示すノードが、閾値未満の活性値を有する生体物質を示すノードに及ぼす作用と、閾値未満の活性値を有する生体物質を示すノードが、閾値以上の活性値を有する生体物質を示すノードに及ぼす作用とが破線の矢印で示されている。
【0055】
第2の活性値決定部36は、第1の種文書関連データ群を構成する生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、第1の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する。すなわち、第2の活性値決定部36では、前記閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報と、当該生体物質間の相互作用の情報とに基づいて、活性伝搬処理を行う。
【0056】
図11は、第1の種文書関連データ群を構成する複数の生体物質の情報と複数の生体物質の相互作用の情報とを含むテーブルの一例を示す図である。図11に示されるテーブルには、生体物質識別情報特定部28で特定された、閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報と、当該生体物質の相互作用の情報とが含まれている。図11において網掛けで示される部分は、後述する種物質の識別情報および種物質と関連する生体物質の情報であり、これらの情報は、後述する2のデータ群作成部39にて削除される。
【0057】
図12の(A)は、第2の活性値決定部36による活性伝搬処理結果テーブルの一例を示す図であり、図12の(B)は、表示部16に表示される、第2の活性値決定部36による活性伝搬処理結果の表示画面の一例を示す図である。図12の(B)には、種物質を生体物質1とした場合の活性伝搬処理結果が示されている。
【0058】
第2の活性値決定部36は、閾値以上の活性値を有する生体物質を示すノード(図8において網掛けで示されているノード)と当該ノードの相互作用の情報とに基づいて活性伝搬処理を行う。活性伝搬処理の方法は、上述の第1実施形態に例示された方法を用いる。より具体的には、ページランクアルゴリズム(上述の第1実施形態の変形例に示された式(6)においてρ=0としたもの)を用いて活性伝搬処理を行う。
【0059】
第2のデータ群作成部39は、第1の種文書関連データ群から、種文書の識別情報と当該種文書に関連する生体物質間の相互作用の情報とを削除して、第2の種文書関連データ群を作成する。
【0060】
本実施形態に係る情報処理装置20では、第2のデータ群作成部39が、図8において太い点線で囲まれたノード(種物質の識別情報、すなわち、本実施形態では生体物質1の識別情報)とこのノードの相互作用の情報とを第1の種文書関連データ群から削除して、第2の種文書関連データ群を作成する。
【0061】
図13は、第2の種文書関連データ群を構成する複数の生体物質の情報と複数の生体物質間の相互作用の情報とを含むテーブルの一例を示す図である。第2のデータ群作成部39は、図11にて網掛けで示された生体物質の識別情報および当該生体物質の相互作用の情報を第1の種文書関連データ群から削除して、第2の種文書関連データ群を作成する。
【0062】
第3の活性値決定部46は、第2の種文書関連データ群を構成する生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、第2の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する。活性伝搬処理の方法は、上述の第1実施形態に例示された方法を用いる。より具体的には、ページランクアルゴリズム(上述の第1実施形態の変形例に示された式(6)においてρ=0としたもの)を用いて活性伝搬処理を行う。
【0063】
第3の活性値決定部46によって、図9に示されるように、種物質を除く各ノード(生体物質の識別情報)について活性値が決定される。
【0064】
図14の(A)は、第3の活性値決定部46により決定された活性伝搬処理結果テーブルの一例を示す図であり、図14の(B)は、表示部16に表示される、第3の活性値決定部46により決定された活性伝搬処理結果の表示画面の一例を示す図である。すなわち、図14の(B)には、種物質である生体物質1を削除した場合の活性伝搬処理結果が示されている。
【0065】
データ比較部48は、複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、第2の活性値決定部36で得られた活性値と、第3の活性値決定部46で得られた活性値とを比較する。図15の(A)は、データ比較部48による活性値の比較処理結果テーブルの一例を示す図であり、図15の(B)は、データ比較部48による活性値比較処理結果の表示画面の一例を示す図である。図15の(B)には、種物質である生体物質1を削除した場合の活性伝搬処理結果が示されている。図15(B)には、第3の活性値決定部46で得られた活性値C1と、第2の活性値決定部36で得られた活性値C2との差(C1−C2)が大きい生体物質から順に示されている。
【0066】
より具体的には、ある生体物質において、第3の活性値決定部46で決定された活性値C1と、第2の活性値決定部36で得られた活性値C2との差(絶対値)が大きい生体物質ほど、種物質による影響が大きいと推測される。
【0067】
このように、本実施形態に係る情報処理装置20は、種物質が他の生体物質に影響が生じるかどうかを予測する。
【0068】
次に、図10に示されるフロー図を参照しながら、情報処理装置20により行われるデータ処理の一連の流れを説明する。
【0069】
情報処理装置20は、記憶部12に記憶される複数の生体物質の識別情報および複数の生体物質の相互作用の情報を受け付け(S201)、利用者からの1以上の種物質の識別情報の入力を受け付ける(S202)。
【0070】
次に、情報処理装置20は、受け付けた種物質の識別情報に初期データ値を付与して、付与したデータ値を生体物質間のリンクに従って伝播させる処理(第1の活性伝播処理)を行う(S203)。情報処理装置20は、上記第1実施形態に示された式(2a)ないし(2c)にしたがって、上記の活性伝播処理が予め定められた終了条件を満たすか否かを判断し(S204)、条件を満たさないと判断する場合には(S204:N)、上記活性伝播処理を条件が満たされるまで繰り返し実行する。そして、情報処理装置20は、上記活性伝播処理が条件を満たすと判断する場合には(S204:Y)、活性伝播処理の結果得られる各生体物質の活性値に基づいて、閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報を特定し、当該生体物質の順位付けを行う(S205)。上記処理において、S201〜S205は、上述の第1実施形態に係る情報処理装置10の処理S101〜S105に対応する。
【0071】
次いで、閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報と、当該生体物質の識別情報とから構成される第1の種文書関連データ群を作成し(S206)、この第1種文書関連データ群について、ページランクアルゴリズムにしたがって第2の活性伝搬処理を行う(S207)。すなわち、情報処理装置20は、上記第1実施形態の変形例に示された式(6)にしたがって、上記の活性伝播処理が予め定められた終了条件を満たすか否かを判断し(S208)、条件を満たさないと判断する場合には(S208:N)、上記活性伝播処理を条件が満たされるまで繰り返し実行する。そして、情報処理装置20は、上記活性伝播処理が条件を満たすと判断する場合には(S208:Y)、活性伝播処理の結果得られる各生体物質の活性値に基づいて、当該生体物質の順位付けを行い、第1の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する(S209)。次いで、第1の種文書関連データ群から、種文書の識別情報と当該種文書に関連する生体物質間の相互作用の情報とを削除して、第2の種文書関連データ群を作成し(S210)、さらに、第2の種文書関連データ群を構成する生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて第3の活性伝搬処理を実行して、第2の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する(S211)。すなわち、情報処理装置20は、上記第1実施形態の変形例に示された式(6)にしたがって、上記の活性伝播処理が予め定められた終了条件を満たすか否かを判断し(S212)、条件を満たさないと判断する場合には(S212:N)、上記活性伝播処理を条件が満たされるまで繰り返し実行する。そして、情報処理装置20は、上記活性伝播処理が条件を満たすと判断する場合には(S212:Y)、活性伝播処理の結果得られる各生体物質の活性値に基づいて、当該生体物質の順位付けを行い、第2の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する(S213)。次いで、複数の生体物質の識別情報のそれぞれについて、第2の活性伝搬処理で得られた活性値と、第3の活性伝搬処理で得られた活性値とを比較する(S214)。そして、情報処理装置20は、活性値が比較された生体物質について、例えば活性値の差(絶対値)が大きい順に生体物質を表示する等して、処理結果を表示する(S215)。
【0072】
2.3.変形例
次に、本実施形態に係る情報処理装置20の一変形例を示す。本実施形態に係る情報処理装置20において、第2のデータ群作成部39において、第1の種文書関連データ群から、種文書の識別情報と当該種文書に関連する生体物質間の相互作用の情報とを削除する代わりに、本変形例に係る情報処理装置では、第2のデータ群作成部39において、第1の種文書関連データ群において種文書の識別情報と当該種文書に関連する生体物質間の相互作用の情報に重みづけをして第2の種文書関連データ群を作成し、この第2の種文書関連データ群を構成する生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、第2の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する。この場合、上記式(6)においてρ>0として活性伝搬処理を行う。
【0073】
図16の(A)は、本変形例の第3の活性値決定部46における活性伝搬処理結果テーブルの一例を示す図であり、図16の(B)は、表示部16に表示される、本変形例の第3の活性値決定部46における活性伝搬処理結果の表示画面の一例を示す図である。
【0074】
データ比較部48は、複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、第2の活性値決定部36で得られた活性値と、第3の活性値決定部46で得られた活性値とを比較する。図16の(A)は、表示部16に表示される、本変形例のデータ比較部48による活性値の比較処理結果テーブルの一例を示す図であり、図16(B)は、本変形例のデータ比較部48による活性値比較処理結果の表示画面の一例を示す図である。図16の(B)には、種物質である生体物質1を重みづけした場合の活性伝搬処理結果が示されている。図16(B)には、本変形例の第3の活性値決定部46で得られた活性値C1と、本変形例の第2の活性値決定部36で得られた活性値C2との差(C1−C2)が大きい生体物質から順に示されている。
【0075】
より具体的には、ある生体物質において、本変形例の第3の活性値決定部46で決定された活性値C1と、本変形例の第2の活性値決定部36で得られた活性値C2との差(絶対値)が大きい生体物質ほど、種物質による影響が大きいと推測される。
【0076】
このように、本実施形態に係る情報処理装置20の変形例においても、種物質が他の生体物質に影響が生じるかどうかを予測する。
【0077】
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置20では、上記第1の実施形態において、上記式(6)においてρ=0である場合、個々の生体物質の識別情報(ノード)の活性値を定める。…(A)
そして、ある生体物質の識別情報(ノード)を指定し、このノードを抑制した場合の影響を調べる場合、複数の生体物質の識別情報と当該複数の生体物質間の相互情報とから構成される生体物質ネットワークから前記ノードを削除して得られるネットワークにおいて、上記式(6)(ただしρ=0)により、各ノードの活性値を定める。…(B)
一方、本実施形態に係る情報処理装置20の変形例に示されているように、ある生体物質を指定し、これを活性化した場合の影響を調べる場合、複数の生体物質の識別情報と当該複数の生体物質間の相互情報とから構成されるネットワークにおいて前記ノードをベクトルτで表わし、上記式(6)(ただしρ>0)により各ノードの活性値を定める。…(C)
個々のノードについて、上記式(A)から得られた活性値と上記式(B)で得られた活性値との差、または、上記式(A)から得られた活性値と上記(C)で得られた活性値との差(絶対値)を計算する。これらの差が大きいノードに対応する生体物質ほど、指定された生体物質の抑制または活性化により、大きな影響を受けると解釈される。
【0078】
3.第3実施形態
3.1.情報処理装置30
図7は、本実施形態に係る情報処理装置30の機能ブロック図を示す。本実施形態に係る情報処理装置30は、記憶部12と、制御部14と、表示部16とを備える。なお、本実施形態に係る情報処理装置30において、本実施形態に係る情報処理装置10と同じ機能を有する要素は、同じ符号を付して示す。
【0079】
制御部34は第1実施形態に係る情報処理装置10の制御部14と同様に、生体物質識別情報受付部22と、生体物質間相互作用情報受付部23と、種物質識別情報受付部25と、(第1の)活性値決定部26と、生体物質識別情報特定部28とを備える。また、制御部34はさらに、第1のデータ群作成部29と、第2のデータ群作成部39と、第2の活性値決定部36と、データ比較部48とを備える。
【0080】
本実施形態に係る情報処理装置30において、生体物質識別情報受付部22、生体物質間相互作用情報受付部23、種物質識別情報受付部25、(第1の)活性値決定部26、および生体物質識別情報特定部28は、上述の第1実施形態に係る情報処理装置10の各部に対応し、同様の機能を有するため、詳細な説明を省略する。すなわち、第1の活性値決定部26によって、閾値以上の活性値を有する複数の生体物質の情報と当該複数の生体物質間の相互作用の情報とが得られる(図6(A)および図6(B)参照)。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置30では、第1実施形態に係る情報処理装置10のように、図5に示される複数の生体物質の情報と当該複数の生体物質間の相互作用の情報とに基づいて第1の活性値決定部26を行うことにより、図6(A)に示される活性伝搬処理結果が得られる。
【0081】
図18は、記憶部12に記憶される複数の生体物質の識別情報および複数の生体物質間の相互作用の情報を、上述したデータに基づき接続して表示した生体物質ネットワークの一例を示す模式図である。
【0082】
図18に示される生体物質ネットワークでは、第1のデータ群作成部29によって特定された、閾値以上の活性値を有する生体物質を示すノードが網掛けで示されている。
【0083】
第1のデータ群作成部29は、生体物質識別情報特定部28にて特定された閾値以上の活性値を有する生体物質識別情報と、その生体物質の相互作用の情報とから構成される第1の種文書関連データ群を作成する。
【0084】
第2のデータ群作成部39は、第1の種文書関連データ群から、種文書の識別情報および前記種文書の相互作用の情報を削除して、第2の種文書関連データ群を作成する。すなわち、第2のデータ群作成部39は、第1の種文書関連データ群を構成する前記閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報から種物質の識別情報を削除し、第1の種文書関連データ群を構成する前記複数の生体物質の相互作用の情報から種文書の相互作用の情報を削除する。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置30では、第2のデータ群作成部39が、図18において太い点線で囲まれたノード(種物質の識別情報、すなわち、本実施形態では生体物質1の識別情報)とこのノードの相互作用の情報とを第1の種文書関連データ群から削除して、第2の種文書関連データ群を作成する。
【0085】
第2の活性値決定部36は、第2のデータ群作成部39によって、種文書の識別情報および種文書の相互作用の情報が第1の種文書関連データ群から削除された第2の種文書関連データ群に基づいて活性伝搬処理を実行する。すなわち、第2の活性値決定部36は、前記種文書が削除された前記複数の生体物質の情報と、前記種文書の相互作用の情報が削除された前記生体物質間の相互作用の情報とに基づいて活性伝搬処理を実行して、各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する。活性伝搬処理の方法は、上述の第1実施形態に例示された方法を用いる。より具体的には、上述の第1実施形態の変形例に示された式(2a)ないし(2c)におけるIを下記式(9)に置き換える(λ>0)。
【数3】

上記式(9)において、nが指定されたノードならばα=1、そうでないならばα=0である。
【0086】
図20は、情報処理装置30の記憶部12に格納される複数の生体物質の情報と複数の生体物質間の相互作用の情報とを含むテーブルの一例を示す図であり、図14の(A)は、情報処理装置30の第2の活性値決定部36による活性伝搬処理結果テーブルの一例を示す図であり、図14の(B)は、情報処理装置30の第2の活性値決定部36による活性伝搬処理結果の表示画面の一例を示す図である。なお、図20において網掛けで示された部分は、第2のデータ群作成部39によって削除される種文書の識別情報および種文書の相互作用の情報を示す。第2の活性値決定部36によって、図19に示されるように、種物質を除く各ノード(生体物質の識別情報)について活性値が決定される。
【0087】
データ比較部48は、複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、第1の活性値決定部26で得られた活性値と、第2の活性値決定部36で得られた活性値とを比較する。図15の(A)は、データ比較部48による活性値の比較処理結果テーブルの一例を示す図であり、図15の(B)は、表示部16に表示される、データ比較部48によるデータ比較結果の表示画面の一例を示す図である。図15(B)には、本変形例の第2の活性値決定部36で得られた活性値C3と、本変形例の第1の活性値決定部26で得られた活性値C4との差(C3−C4)が大きい生体物質から順に示されている。
【0088】
より具体的には、ある生体物質において、本変形例の第2の活性値決定部36で決定された活性値C3と、本変形例の第1の活性値決定部26で得られた活性値C4との差(絶対値)が大きい生体物質ほど、種物質による影響が大きいと推測される。
【0089】
このように、本実施形態に係る情報処理装置30によれば、種物質が他の生体物質に影響が生じるかどうかを予測する。
【0090】
次に、図21に示されるフロー図を参照しながら、情報処理装置30により行われるデータ処理の一連の流れを説明する。
【0091】
情報処理装置30は、記憶部12に記憶される複数の生体物質の識別情報および複数の生体物質の相互作用の情報を受け付け(S301)、利用者からの1以上の種物質の識別情報の入力を受け付ける(S302)。
【0092】
次に、情報処理装置30は、受け付けた種物質の識別情報に初期データ値を付与して、付与したデータ値を生体物質間のリンクに従って伝播させる処理(第1の活性伝播処理)を行う(S303)。情報処理装置30は、上記第1実施形態に示された式(2a)ないし(2c)にしたがって、上記の活性伝播処理が予め定められた終了条件を満たすか否かを判断し(S304)、条件を満たさないと判断する場合には(S304:N)、上記活性伝播処理を条件が満たされるまで繰り返し実行する。そして、情報処理装置30は、上記活性伝播処理が条件を満たすと判断する場合には(S304:Y)、活性伝播処理の結果得られる各生体物質の活性値に基づいて、閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報を特定し、当該生体物質の順位付けを行う(S305)。上記処理において、S301〜S305は、上述の第1実施形態に係る情報処理装置10の処理S101〜S105に対応する。
【0093】
次いで、閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報と、当該生体物質の識別情報とから構成される第1の種文書関連データ群を作成し(S306)、第1の種文書関連データ群から、種文書の識別情報および前記種文書の相互作用の情報を削除して、第2の種文書関連データ群を作成する(S307)。そして、この第2種文書関連データ群について、ページランクアルゴリズムにしたがって第2の活性伝搬処理を行う(S308)。すなわち、情報処理装置30は、上記第1実施形態の変形例に示された式(6)にしたがって、上記の活性伝播処理が予め定められた終了条件を満たすか否かを判断し(S309)、条件を満たさないと判断する場合には(S309:N)、上記活性伝播処理を条件が満たされるまで繰り返し実行する。そして、情報処理装置30は、上記活性伝播処理が条件を満たすと判断する場合には(S309:Y)、活性伝播処理の結果得られる各生体物質の活性値に基づいて、当該生体物質の順位付けを行い、第2の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する(S310)。次いで、複数の生体物質の識別情報のそれぞれについて、第1の活性伝搬処理で得られた活性値と、第2の活性伝搬処理で得られた活性値とを比較する(S311)。そして、情報処理装置30は、活性値が比較された生体物質について、例えば活性値の差(絶対値)が大きい順に生体物質を表示する等して、処理結果を表示する(S312)。
【0094】
3.3.変形例
次に、本実施形態に係る情報処理装置30の一変形例を示す。本実施形態に係る情報処理装置30において、第2のデータ群作成部39において、第1の種文書関連データ群から、種文書の識別情報と当該種文書に関連する生体物質間の相互作用の情報とを削除する代わりに、本変形例に係る情報処理装置では、第2のデータ群作成部39において、第1の種文書関連データ群において種文書の識別情報と当該種文書に関連する生体物質間の相互作用の情報に重みづけをして第2の種文書関連データ群を作成し、この第2の種文書関連データ群を構成する生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、第2の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する。この場合、上記式(6)においてρ>0として活性伝搬処理を行う。
【0095】
図16の(A)は、本変形例の第2の活性値決定部36における活性伝搬処理結果テーブルの一例を示す図であり、図16の(B)は、本変形例の第2の活性値決定部36における活性伝搬処理結果の表示画面の一例を示す図である。
【0096】
データ比較部48は、複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、第2の活性値決定部36で得られた活性値と、第3の活性値決定部46で得られた活性値とを比較する。図16の(A)は、本変形例のデータ比較部48による活性値の比較処理結果テーブルの一例を示す図であり、図16の(B)は、本変形例のデータ比較部48による活性値比較処理結果の表示画面の一例を示す図である。図16の(B)には、種物質である生体物質1を重みづけした場合の活性伝搬処理結果が示されている。図16(B)には、本変形例の第2の活性値決定部36で得られた活性値C1と、本変形例の第1の活性値決定部26で得られた活性値C2との差(C1−C2)が大きい生体物質から順に示されている。
【0097】
より具体的には、ある生体物質において、本変形例の第2の活性値決定部36で決定された活性値C1と、本変形例の第1の活性値決定部26で得られた活性値C2との差(絶対値)が大きい生体物質ほど、種物質による影響が大きいと推測される。
【0098】
このように、本実施形態に係る情報処理装置30の変形例においても、種物質が他の生体物質に影響が生じるかどうかを予測する。
【0099】
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置30では、記憶部12に格納されている複数の生体物質および複数の生体物質間の相互作用の情報に基づいて、個々の生体物質の識別情報(ノード)の活性値を定める。
…(D)
そして、ある生体物質の識別情報(ノード)を指定し、このノードを抑制した場合の影響を調べる場合、複数の生体物質の識別情報と当該複数の生体物質間の相互情報とから構成される生体物質ネットワークから前記ノードを削除して得られるネットワークにおいて、上記式(2a)、上記式(2b)および上記式(2c)にしたがって、各ノードの活性値を定める。…(E)
一方、本実施形態に係る情報処理装置30の変形例に示されているように、ある生体物質を指定し、これを活性化した場合の影響を調べる場合、複数の生体物質の識別情報と当該複数の生体物質間の相互情報とから構成されるネットワークにおいて、上記式(2a)、上記式(2b)および上記式(2c)におけるIを上記式(9)に置き換えて(λ>0)、指定されたノードに重みづけをする(バイアスをかける)。
…(F)
個々のノードについて、上記式(D)から得られた活性値と上記式(E)で得られた活性値との差、または、上記式(D)から得られた活性値と上記(F)で得られた活性値との差(絶対値)を計算する。これらの差が大きいノードに対応する生体物質ほど、指定された生体物質の抑制または活性化により、大きな影響を受けると解釈される。
【0100】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、この分野の通常の知識を有する当業者によって多様な変更、変形または置換をしてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10,20,30 情報処理装置、12 記憶部、14,24,34 制御部、16 表示部、22 生体物質識別情報受付部、23 生体物質間相互作用情報受付部、25 種物質識別情報受付部、26 活性値決定部(第1の活性値決定部)、28 生体物質識別情報特定部、29 第1のデータ群作成部、36 活性値決定部(第2の活性値決定部)、39 第2のデータ群作成部、46 活性値決定部(第3の活性値決定部)、48 データ比較部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生体物質の識別情報と、前記複数の生体物質間の相互作用の情報とを受け付ける手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のうち指定された1以上の種物質の識別情報を受け付ける手段と、
前記種物質の識別情報および前記複数の生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記複数の生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する手段と、
前記決定する手段により決定された前記複数の生体物質の活性値のうち閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報を特定する手段と、
を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記決定する手段が第1の決定手段であり、
前記特定する手段により特定された、前記生体物質の識別情報および当該生体物質間の相互作用の情報を第1の種文書関連データ群とし、
前記第1の種文書関連データ群を構成する前記生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記第1の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第2の決定手段と、
前記第1の種文書関連データ群から、前記種文書の識別情報と当該種文書に関連する生体物質間の相互作用の情報とを削除して、第2の種文書関連データ群を作成する手段と、
前記第2の種文書関連データ群を構成する前記生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記第2の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第3の決定手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、前記第2の決定手段で得られた活性値と、前記第3の決定手段で得られた活性値とを比較する手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定する手段が第1の決定手段であり、
前記特定する手段により特定された、前記生体物質の識別情報および当該生体物質間の相互作用の情報を第1の種文書関連データ群とし、
前記第1の種文書関連データ群を構成する前記生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記第1の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第2の決定手段と、
前記第1の種文書関連データ群において前記種文書の識別情報と当該種文書に関連する生体物質間の相互作用の情報に重みづけをしたうえで、前記第1の種文書関連データ群を構成する前記生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記第1の種文書関連データ群を構成する各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第3の決定手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、前記第2の決定手段で得られた活性値と、前記第3の決定手段で得られた活性値とを比較する手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定する手段が第1の決定手段であり、
前記複数の生体物質の識別情報から前記種文書の識別情報を削除する手段と、
前記複数の生体物質の相互作用の情報から、前記種文書の相互作用の情報を削除する手段と、
前記種文書が削除された前記複数の生体物質の情報と、前記種文書の相互作用の情報が削除された前記生体物質間の相互作用の情報とに基づいて活性伝搬処理を実行して、各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第2の決定手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、前記第1の決定手段で得られた活性値と、前記第2の決定手段で得られた活性値とを比較する手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定する手段が第1の決定手段であり、
前記種文書の識別情報に重みづけをしたうえで、前記生体物質の識別情報および前記生体物質間の相互作用の情報に基づいて活性伝搬処理を実行して、各生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する第2の決定手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のそれぞれに対応する、前記第1の決定手段で得られた活性値と、前記第2の決定手段で得られた活性値とを比較する手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数の生体物質の識別情報と、前記複数の生体物質間の相互作用の情報とを記憶する手段と、
前記複数の生体物質の識別情報のうち指定された1以上の種物質の識別情報を受け付ける手段と、
前記種物質の識別情報および前記複数の生体物質間の相互作用の情報間に基づいて活性伝搬処理を実行して、前記複数の生体物質の活性値(時刻tにおける)を決定する手段と、
前記決定する手段により決定された前記複数の生体物質の活性値のうち閾値以上の活性値を有する生体物質の識別情報を特定する手段と、
を含むことを特徴とする情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−164224(P2012−164224A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25393(P2011−25393)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】