説明

情報処理装置および情報処理システム

【課題】アップデートを行う操作者の利便性を向上させることが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ROM113aと、RAM113bと、更新ソフトウェア700を記憶するサーバーSVと接続される通信部114と、更新ソフトウェア700の動作確認指示の受け付けを行う操作パネル101と、動作確認指示を操作パネル101が受けた場合に、ROM113aに書き込まれているソフトウェア600を更新ソフトウェア700に書き換えることなく、更新ソフトウェア700をサーバーSVからRAM113bに読み込ませて起動する主制御部110と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置などの情報処理装置には、通常、ROMやRAMなどが設けられている。そして、たとえば、ハードウェアの基本的な制御を行うためのソフトウェアは、ROMに書き込まれ、RAMに展開される。
【0003】
ところで、バグ修正や機能追加などの理由により、ROMに書き込まれたソフトウェアのアップデート(従前のソフトウェアから更新ソフトウェアへの書き換え処理)を行わなければならない場合がある。このような場合には、たとえば、外部メモリーやパーソナルコンピューターなどを情報処理装置に直接接続し、ROMに記憶されている従前のソフトウェアを更新ソフトウェアに書き換える。あるいは、更新ソフトウェアを記憶するサーバーと情報処理装置とを通信ネットワークなどで接続し、更新ソフトウェアをネット経由で入手することによって、ROMに記憶されている従前のソフトウェアを更新ソフトウェアに書き換えることもある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−243905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、操作者によっては、アップデート(従前のソフトウェアから更新ソフトウェアへの書き換え処理)を行った後に、何らかの理由(たとえば、更新ソフトウェアが動作しない、あるいは、更新ソフトウェアの新機能が必要ではなかった、など)でアップデートを行う前の状態に戻したい場合がある。しかしながら、アップデートを行う前の状態に戻すためには、更新ソフトウェアから従前のソフトウェアへの書き換え処理を行わなければならず、操作者からすると利便性が悪い。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、アップデートを行う操作者の利便性を向上させることが可能な情報処理装置および情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、ソフトウェアが書き込まれる不揮発性記憶部と、ソフトウェアを実行するための作業領域となる揮発性記憶部と、不揮発性記憶部に記憶されたソフトウェアよりもバージョンが新しい更新ソフトウェアを記憶する外部装置と接続される通信部と、更新ソフトウェアの動作確認指示の受け付けを行う操作部と、動作確認指示を操作部が受けた場合に、不揮発性記憶部に書き込まれている従前のソフトウェアを更新ソフトウェアに書き換えることなく、更新ソフトウェアを外部装置から揮発性記憶部に読み込ませて起動する制御部と、を備えている。
【0008】
このように、本発明の情報処理装置では、外部装置に記憶された更新ソフトウェアの動作確認指示の受け付けを操作部が行うようになっている。そして、制御部は、動作確認指示を操作部が受けた場合に、不揮発性記憶部に書き込まれている従前のソフトウェアを更新ソフトウェアに書き換えることなく、更新ソフトウェアを外部装置から揮発性記憶部に読み込ませて起動する。したがって、操作者からすると、操作部に対して動作確認指示を行うことにより、アップデート(従前のソフトウェアから更新ソフトウェアへの書き換え処理)を行う前に、更新ソフトウェアの動作確認を行うことができる(たとえば、更新ソフトウェアが正常に動作するか否かを確認することもできるし、更新ソフトウェアの新機能が本当に必要であるか否かを確認することもできる)。そして、更新ソフトウェアの動作確認の結果、更新ソフトウェアに何らかの問題があったとしても、更新ソフトウェアは不揮発性記憶部に書き込まれているわけではないので、更新ソフトウェアから従前のソフトウェアへの書き換え処理を行う必要がない。これにより、操作者の利便性が向上する。
【0009】
たとえば、バグ修正などを行っているメーカーの開発者(操作者の一例)からすると、開発中の修正ソフトウェア(更新ソフトウェアに相当)の動作確認(デバッグ)を行いたい場合がある。このとき、情報処理装置内の旧バージョンのソフトウェアを修正ソフトウェアに更新してテストすることがある。テスト完了後、再びテストを行うためには、情報処理装置内の修正ソフトウェアを旧バージョンに戻す作業が必要となる。しかし、本発明では、実際にアップデートまでは行わず、仮想的に揮発性記憶部に修正ソフトウェアを記憶させて起動するので、情報処理装置内の修正ソフトウェアを旧バージョンに戻す作業が不要となる。したがって、修正ソフトウェアの動作確認を効率的に行うことができる(開発工数を短縮することができる)。
【0010】
上記構成において、好ましくは、通信部は、更新ソフトウェアが存在するか否かを示す更新情報を外部装置から定期的に入手し、操作部は、更新ソフトウェアが存在することを示す更新情報を通信部が入手したときに、更新ソフトウェアが存在する旨を報知し、動作確認指示の受け付けを行う。このように構成すれば、操作者からすると、ソフトウェアの更新があった後、直ちに、更新ソフトウェアの動作確認あるいはアップデートを行うことができるので、利便性が良い。言い換えると、ソフトウェアの更新があった後、更新ソフトウェアの動作確認あるいはアップデートが行われずに放置されるのを抑制することができる。
【0011】
上記構成において、好ましくは、操作部は、更新ソフトウェアが存在することを示す更新情報を通信部が入手したときに、動作確認指示の受け付けを行うとともに、不揮発性記憶部に書き込まれている従前のソフトウェアから更新ソフトウェアへの書き換え指示の受け付けも行う。このように構成すれば、更新ソフトウェアの動作確認が不要な操作者からすると、直ちにアップデート(従前のソフトウェアから更新ソフトウェアへの書き換え処理)を行うことができるので、利便性が良い。
【0012】
上記構成において、好ましくは、操作部は、表示部を有する操作表示部であり、操作表示部は、動作確認指示の受け付けに際して、動作確認指示を受け付けるための動作確認受付キーを表示する。このように、動作確認受付キーを操作表示部に表示すれば、容易に、ソフトウェアの更新があったことを報知することができる。また、操作者からすると、動作確認受付キーを押下するだけで更新ソフトウェアの動作確認を行うことができるので、利便性が良い。
【0013】
本発明の情報処理システムは、上記した情報処理装置と、その情報処理装置と通信可能に接続され、情報処理装置に対して更新ソフトウェアを送信する外部装置と、を備えている。このように構成された情報処理システムでは、アップデートを行う操作者の利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、アップデートを行う操作者の利便性を向上させることが可能な情報処理装置および情報処理システムを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成装置(情報処理装置)の概略図
【図2】図1に示した画像形成装置のハードウェア構成を示したブロック図
【図3】図1に示した画像形成装置において行われる更新ソフトウェアの動作確認処理を説明するための図
【図4】図1に示した画像形成装置において行われる更新ソフトウェアの動作確認指示の受け付け処理を説明するための図(操作パネルにアップデートダイアログが表示されているときの図)
【図5】図1に示した画像形成装置がアップデート情報(更新ソフトウェアが存在することを示す更新情報)を受信したときに行われる動作を説明するためのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図1を参照して、本発明の一実施形態による情報処理装置としての画像形成装置100の全体構成について説明する。
【0017】
本実施形態による画像形成装置100は、複合機であり、コピー、プリンター、スキャナーおよびファックスなどの複数種のジョブの実行が可能である。そして、この画像形成装置100は、操作パネル101(操作部、操作表示部)、画像読取部102、給紙部103、搬送路104、画像形成部105および定着部106などを備える。
【0018】
操作パネル101は、表示面がタッチパネルで覆われた液晶表示部11を含む。液晶表示部11には、各種設定などを行うためのメニューおよび設定キー(ソフトキー)が表示されるとともに、装置状態などを示すメッセージも表示される。また、操作パネル101には、数値入力が必要な設定指示を受け付けるためのテンキー12(ハードキー)や、各種ジョブの実行開始の指示を受け付けるためのスタートキー13(ハードキー)なども設けられている。
【0019】
画像読取部102は、原稿を読み取って画像データを生成する。この画像読取部102には、図示しないが、露光ランプ、ミラー、レンズおよびイメージセンサーなどの光学系部材が設けられている。そして、画像読取部102は、載置読取用コンタクトガラス21に載置される原稿を読み取る際、露光ランプの光を原稿に照射し、反射光を受けたイメージセンサーの出力値をA/D変換した後、A/D変換後のデータに対して各種補正(シェーディング補正など)を施すことによって、画像データを生成する。これにより、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データに基づき印刷を行うことができる。また、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データを蓄積することもできる。
【0020】
また、画像読取部102には、原稿カバー22が設けられている。そして、載置読取用コンタクトガラス21による原稿の読み取り時には、載置読取用コンタクトガラス21に載置された原稿を原稿カバー22で押えることができるようになっている。なお、この原稿カバー22に原稿搬送装置としての機能を持たせても良い。この場合には、原稿カバー22によって、送り読取用コンタクトガラス23に原稿を1枚ずつ送ることができるようになる。
【0021】
給紙部103は、用紙Pを収容するカセット31を複数有し、それら複数のカセット31に収容された用紙Pを搬送路104に供給する。この給紙部103には、収容された用紙Pを引き出すピックアップローラー32や、用紙Pの重送を抑制するための分離ローラー対33などが設けられている。
【0022】
搬送路104は、装置内部において用紙Pを搬送する。具体的に言うと、給紙部103から供給された用紙Pは、搬送路104によって、画像形成部105および定着部106をこの順番で通過し、排出トレイ41にまで導かれる。この搬送路104には、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラー対42が設けられている。さらに、用紙Pを画像形成部105の手前で待機させ、タイミングを合わせて画像形成部105に送り出すレジストローラー対43も設けられている。
【0023】
画像形成部105は、画像データに基づきトナー像を形成し、そのトナー像を用紙Pに転写する。画像形成部105は、感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55およびクリーニング装置56などを含んでいる。
【0024】
トナー像の形成プロセスおよびトナー像の用紙Pへの転写プロセスとしては、まず、感光体ドラム51を回転駆動させ、その感光体ドラム51の表面を帯電装置52で所定電位に帯電させる。また、露光装置53は、画像データに基づき光ビームLを出力し、感光体ドラム51の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム51の表面に静電潜像を形成する。続いて、現像装置54は、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。
【0025】
そして、転写ローラー55は、感光体ドラム51の表面に圧接する。この後、レジストローラー対43がタイミングを計り、転写ローラー55と感光体ドラム51との間に用紙Pを進入させる。このとき、転写ローラー55には所定の電圧が印加される。これによって、感光体ドラム51の表面のトナー像が用紙Pに転写される。なお、転写プロセスが終わると、クリーニング装置56は、感光体ドラム51の表面に残留するトナーなどを除去する。
【0026】
定着部106は、用紙Pに転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させる。この定着部106は、発熱源を内蔵する定着ローラー61と、定着ローラー61に圧接される加圧ローラー62とを含んでいる。そして、トナー像が転写された用紙Pは、定着ローラー61と加圧ローラー62との間を通過することで、加熱・加圧される。これにより、用紙Pにトナー像が定着され、印刷が完了する。そして、印刷済みの用紙Pは、搬送路104に導かれ、搬送ローラー対42によって排出トレイ41に送られる。
【0027】
次に、図2を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0028】
画像形成装置100は、主制御部110(制御部)を含んでいる。そして、主制御部110は、中央演算処理装置であるCPU111や画像処理部112などを有する。画像処理部112は、画像処理専用のASICやメモリーなどからなっており、画像データに対して、拡大/縮小、濃度変換およびデータ形式変換などの各種の画像処理を施す。
【0029】
また、主制御部110は、操作パネル101、画像読取部102、給紙部103、搬送路104、画像形成部105および定着部106などと接続される。そして、主制御部110は、記憶部113に記憶されたソフトウェアに基づいて、各部の制御や演算などを行う。なお、主制御部110は、全体制御や画像処理を行う部分と、各種回転体を回転させるモーターのオン/オフの制御を行う部分とに分割されていてもよい。
【0030】
記憶部113は、フラッシュメモリーなどのROM113a(不揮発性記憶部)、RAM113b(揮発性記憶部)およびHDD113cなどの揮発性の記憶装置と不揮発性の記憶装置とを含む。たとえば、ソフトウェアは、ROM113aに書き込まれる。そして、RAM113bは、ROM113aに記憶されたソフトウェアを実行するための作業領域となる。
【0031】
主制御部110に接続される操作パネル101は、表示制御部14を有する。表示制御部14は、CPUやICなどからなり、液晶表示部11に表示された設定キーがユーザーによって押下されると、タッチパネルの出力を受けて押下位置の座標を特定する。これによって、液晶表示部11に対するユーザーの押下位置(ユーザーが押下した設定キー)が特定される。タッチパネルの出力と押下位置の座標との対応を示すテーブルなどのデータは、たとえば、記憶部15(あるいは、記憶部113)に記憶される。なお、主制御部110が表示制御を行うようになっていても良い。
【0032】
また、主制御部110は、通信部114と接続される。通信部114は、たとえば、外部のコンピューター200とネットワーク(あるいは、通信ケーブル)を介して通信可能に接続される。これにより、コンピューター200から送信された画像データに基づき印刷を行うことができる。また、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データをコンピューター200に送信することもできる。さらに、通信部114にモデムなどを内蔵してもよく、この場合、電話回線などのネットワークを介して、外部のファックス装置300とファックス通信を行うことができる。
【0033】
また、主制御部110は、USBメモリーなどの外部記憶媒体400の装着が可能な装着部115と接続される。このため、外部記憶媒体400に記憶された画像データに基づき印刷を行うことができる。また、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データを外部記憶媒体400に蓄積することもできる。
【0034】
次に、図3を参照して、画像形成装置100のソフトウェア構成について説明する。
【0035】
画像形成装置100は、システムの起動(再起動)を行うためのブートプログラム500をROM113aの一領域に格納している。なお、ROM113aのブートプログラム500が格納された一領域には、書き換えプログラムなども記憶されている。また、ROM113aの他領域には、ハードウェアの基本的な制御を行うためのソフトウェア600(カーネル601やアプリケーション602など)が書き込まれている。カーネル601は、オペレーティングシステム(OS)の中核部分をなすソフトウェアである。アプリケーション602は、OS上で動作するソフトウェアであり、たとえば、コピーアプリ、プリンターアプリ、スキャナーアプリおよびファックスアプリなどを含む。
【0036】
そして、画像形成装置100に電源が投入される(再起動される)と、主制御部110は、ROM113aに格納されたブートプログラム500に従ってカーネル601をRAM113bに読み出し、OSを起動する。続いて、主制御部110は、アプリケーション602をRAM113bに読み出し、コピーアプリなどの各種アプリを起動する。
【0037】
ここで、本実施形態では、ソフトウェア600が更新された場合、更新ソフトウェア700(カーネル701やアプリケーション702など)をサーバーSV(外部装置)から入手するようにしている。すなわち、更新ソフトウェア700をサーバーSVから入手するため、ネットワークNTを介して、画像形成装置100の通信部114とサーバーSVとを通信可能に接続している。なお、本実施形態においては、画像形成装置100およびサーバーSVを含む画像形成システムSYが情報処理システムに相当する。
【0038】
たとえば、画像形成装置100の通信部114は、サーバーSVと通信し、更新ソフトウェア700が存在するか否かを示す更新情報をサーバーSVから定期的に入手するようになっている。更新ソフトウェア700が存在することを示す更新情報を通信部114が入手すると、主制御部110は、更新ソフトウェア700が存在することを操作者に報知するための処理を行う。たとえば、主制御部110は、更新ソフトウェア700が存在することを報知するための報知情報を操作パネル101の液晶表示部11に表示させる。これにより、操作者に対してアップデート(従前のソフトウェア600から更新ソフトウェア700への書き換え処理)を促すことができる。なお、ここで述べた操作者とは、一般のユーザーだけでなく、画像形成装置100のメンテナンスを行うサービスマンや、メーカーの開発者などを含む。以下の説明では、一般のユーザー、サービスマンおよびメーカーの開発者を総じて単に操作者と称することがある。
【0039】
ところで、アップデート(従前のソフトウェア600から更新ソフトウェア700への書き換え処理)を行った後、更新ソフトウェア700が動作しないなどの理由で、アップデートを行う前の状態に戻す必要が生じる場合がある。しかし、アップデートを行う前の状態に戻すためには、更新ソフトウェア700から従前のソフトウェア600への書き換え処理を行わなければならず、手間がかかる。
【0040】
そこで、本実施形態では、図3に示すように、ROM113aに書き込まれている従前のソフトウェア600を更新ソフトウェア700に書き換えることなく、更新ソフトウェア700をサーバーSVからRAM113bに読み込ませて起動することができるようになっている。言い換えると、アップデート(従前のソフトウェア600から更新ソフトウェア700への書き換え処理)を行う前に、更新ソフトウェア700の動作確認を行うことができるようになっている。
【0041】
具体的には、更新ソフトウェア700が存在することを示す更新情報を通信部114が入手したときに、更新ソフトウェア700の動作確認指示の受け付けを操作パネル101が行う。このとき、操作パネル101は、図4に示すようなアップデートダイアログDを液晶表示部11に表示させる。
【0042】
アップデートダイアログDには、たとえば、ソフトウェア600が更新されたことや、最新バージョンなどを示すメッセージが含まれている。そして、このようなメッセージと共に、更新ソフトウェア700の動作確認指示を受け付けるための動作確認受付キーK1がアップデートダイアログDに配されている。さらに、アップデート指示(従前のソフトウェア600から更新ソフトウェア700への書き換え指示)を受け付けるためのアップデート受付キーK2もアップデートダイアログDに配されている。たとえば、動作確認受付キーK1には、「更新ソフトウェアの動作確認を行う」という文字列が付され、アップデート受付キーK2には、「アップデートを行う」という文字列が付されている。
【0043】
そして、更新ソフトウェア700の動作確認を行いたい操作者は、アップデートダイアログDの動作確認受付キーK1を押下する。操作者によって動作確認受付キーK1が押下されると(更新ソフトウェア700の動作確認指示を操作パネル101が操作者から受け付けると)、主制御部110は、更新ソフトウェア700をサーバーSVから入手するため、通信部114にサーバーSVとの通信を行わせ、更新ソフトウェア700を入手させる。そして、主制御部110は、通信部114が入手した更新ソフトウェア700をRAM113bに読み込ませ、更新ソフトウェア700を起動する。これにより、操作者は、更新ソフトウェア700の動作確認を行った上で、アップデート(従前のソフトウェア600から更新ソフトウェア700への書き換え処理)を実際に行うか否かを判断することができる。
【0044】
たとえば、主制御部110は、アップデートダイアログDのアップデート受付キーK2または終了キーK3が操作者によって押下されるまで、アップデートダイアログDを操作パネル101に表示させ続ける。そして、更新ソフトウェア700の動作確認を行った操作者は、アップデート(従前のソフトウェア600から更新ソフトウェア700への書き換え処理)が必要であると判断すれば、アップデートダイアログDのアップデート受付キーK2を押下する。
【0045】
そして、アップデートダイアログDのアップデート受付キーK2が操作者によって押下されると(アップデート指示を操作パネル101が操作者から受け付けると)、主制御部110は、アップデートを行うための処理を開始する。すなわち、主制御部110は、ROM113aに更新ソフトウェア700を書き込ませる。たとえば、従前のソフトウェア600の全部を更新ソフトウェア700に書き換える。なお、従前のソフトウェア600を部分的に更新しても良い。
【0046】
次に、図5を参照して、更新ソフトウェア700が存在することを示す更新情報を画像形成装置100がサーバーSVから受信したときに行われる動作の流れを説明する。
【0047】
この図5のフローのスタート時点では、更新ソフトウェア700がサーバーSVに記憶されているとする。さらに、そのサーバーSVと画像形成装置100(通信部114)とが通信しているとする。そして、更新ソフトウェア700が存在することを示す更新情報を画像形成部100(通信部114)がサーバーSVから入手したとき、図5のフローがスタートする。
【0048】
ステップS1において、主制御部110は、アップデートダイアログD(図4参照)を操作パネル101に表示させる。すなわち、操作パネル101は、更新ソフトウェア700の動作確認指示の受け付けを行う。
【0049】
ステップS2において、主制御部110は、更新ソフトウェア700の動作確認指示を受け付けたか否か(アップデートダイアログDの動作確認受付キーK1が押下されたか否か)を判断する。そして、更新ソフトウェア700の動作確認指示を受け付けた場合には、ステップS3に移行する。一方で、更新ソフトウェア700の動作確認指示を受け付けなければ、ステップS4に移行する。
【0050】
なお、操作パネル101は、たとえば、アップデートダイアログDのアップデート受付キーK2または終了キーK3が操作者によって押下されるまで、アップデートダイアログDを表示し続ける。
【0051】
ステップS3に移行すると、主制御部110は、ROM113aに書き込まれている従前のソフトウェア600を更新ソフトウェア700に書き換えることなく、更新ソフトウェア700をRAM113bに読み込ませて起動する。これにより、操作者は、更新ソフトウェア700の動作確認を行うことができる。なお、更新ソフトウェアをRAM113bに読み込ませるのに先立って、画像形成装置100の再起動を行うことにより、RAM113bをリセットしてもよい。
【0052】
ステップS4において、主制御部110は、アップデート指示を受け付けたか否か(アップデートダイアログDのアップデート受付キーK2が押下されたか否か)を判断する。そして、アップデート指示を受け付けた場合には、ステップS5に移行する。その一方、アップデート指示を受け付けなければ(たとえば、アップデートダイアログDの終了キーK3が押下されれば)、アップデートを行わずに終了する。
【0053】
ステップS5に移行すると、主制御部110は、アップデート(従前のソフトウェア600から更新ソフトウェア700への書き換え処理)を開始する。
【0054】
本実施形態では、上記のように、サーバーSV(外部装置)に記憶された更新ソフトウェア700の動作確認指示の受け付けを操作パネル101(操作部、操作表示部)が行うようになっている。そして、主制御部110(制御部)は、動作確認指示を操作パネル101が受けた場合に、ROM113a(不揮発性記憶部)に書き込まれている従前のソフトウェアを更新ソフトウェア700に書き換えることなく、更新ソフトウェア700をサーバーSVからRAM113b(揮発性記憶部)に読み込ませて起動する。したがって、操作者からすると、操作パネル101に対して動作確認指示を行うことにより、アップデート(従前のソフトウェア600から更新ソフトウェア700への書き換え処理)を行う前に、更新ソフトウェア700の動作確認を行うことができる(たとえば、更新ソフトウェア700が正常に動作するか否かを確認することもできるし、更新ソフトウェア700の新機能が本当に必要であるか否かを確認することもできる)。そして、更新ソフトウェア700の動作確認の結果、更新ソフトウェア700に何らかの問題があったとしても、更新ソフトウェア700はROM113aに書き込まれているわけではないので、更新ソフトウェア700から従前のソフトウェア600への書き換え処理を行う必要がない。これにより、操作者の利便性が向上する。
【0055】
たとえば、バグ修正などを行っているメーカーの開発者(操作者の一例)からすると、修正ソフトウェア(更新ソフトウェア700に相当)の動作確認に際してアップデートが不要となれば、修正ソフトウェアの動作確認を効率的に行うことができる(開発工数を短縮することができる)。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、通信部114は、更新ソフトウェア700が存在するか否かを示す更新情報をサーバーSVから定期的に入手し、操作パネル101は、更新ソフトウェア700が存在することを示す更新情報を通信部114が入手したときに、更新ソフトウェア700が存在する旨を報知し、動作確認指示の受け付けを行う。このように構成すれば、操作者からすると、ソフトウェア600の更新があった後、直ちに、更新ソフトウェア700の動作確認あるいはアップデートを行うことができるので、利便性が良い。言い換えると、ソフトウェア600の更新があった後、更新ソフトウェア700の動作確認あるいはアップデートが行われずに放置されるのを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、操作パネル101は、動作確認指示の受け付けに際して、動作確認指示を受け付けるための動作確認受付キーK1(アップデートダイアログD)を表示する。このように、動作確認受付キーK1(アップデートダイアログD)を操作パネル101に表示すれば、容易に、ソフトウェア600の更新があったことを報知することができる。また、操作者からすると、動作確認受付キーK1を押下するだけで更新ソフトウェア700の動作確認を行うことができるので、利便性が良い。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、操作パネル101は、更新ソフトウェア700が存在することを示す更新情報を通信部114が入手したときに、動作確認指示の受け付けを行うとともに、ROM113aに書き込まれている従前のソフトウェア600から更新ソフトウェア700への書き換え指示の受け付けも行う。このように構成すれば、更新ソフトウェア700の動作確認が不要な操作者からすると、直ちにアップデート(従前のソフトウェア600から更新ソフトウェア700への書き換え処理)を行うことができるので、利便性が良い。
【0059】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
たとえば、上記実施形態では、本発明の情報処理装置を画像形成装置100に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、画像形成装置100以外の情報処理装置にも適用可能である。
【0061】
また、上記実施形態では、サーバーSVに記憶された更新ソフトウェア700の動作確認を行う場合について説明したが、更新ソフトウェア700が外部記憶媒体400に記憶されている場合にも、更新ソフトウェア700の動作確認を行うことができる。なお、この場合には、外部記憶媒体400を装着するための装着部115が本発明の「通信部」に相当する。
【符号の説明】
【0062】
100 画像形成装置(情報処理装置)
101 操作パネル(操作部、操作表示部)
110 主制御部(制御部)
113a ROM(不揮発性記憶部)
113b RAM(揮発性記憶部)
114 通信部
115 装着部(通信部)
SV サーバー(外部装置)
SY 画像形成システム(情報処理システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアが書き込まれる不揮発性記憶部と、
ソフトウェアを実行するための作業領域となる揮発性記憶部と、
前記不揮発性記憶部に記憶されたソフトウェアよりもバージョンが新しい更新ソフトウェアを記憶する外部装置と接続される通信部と、
前記更新ソフトウェアの動作確認指示の受け付けを行う操作部と、
前記動作確認指示を前記操作部が受けた場合に、前記不揮発性記憶部に書き込まれている従前のソフトウェアを前記更新ソフトウェアに書き換えることなく、前記更新ソフトウェアを前記外部装置から前記揮発性記憶部に読み込ませて起動する制御部と、を備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記更新ソフトウェアが存在するか否かを示す更新情報を前記外部装置から定期的に入手し、
前記操作部は、前記更新ソフトウェアが存在することを示す更新情報を前記通信部が入手したときに、前記更新ソフトウェアが存在する旨を報知し、前記動作確認指示の受け付けを行うことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記更新ソフトウェアが存在することを示す更新情報を前記通信部が入手したときに、前記動作確認指示の受け付けを行うとともに、前記不揮発性記憶部に書き込まれている従前のソフトウェアから前記更新ソフトウェアへの書き換え指示の受け付けも行うことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記操作部は、表示部を有する操作表示部であり、
前記操作表示部は、前記動作確認指示の受け付けに際して、前記動作確認指示を受け付けるための動作確認受付キーを表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置と通信可能に接続され、前記情報処理装置に対して更新ソフトウェアを送信する外部装置と、を備えていることを特徴とする情報処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−97421(P2013−97421A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236975(P2011−236975)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】