説明

情報処理装置および情報処理方法

【課題】 自律的に電力の供給を制御可能な情報処理装置において、さらなる低消費電力化を実現すること。
【解決手段】 情報処理装置1は、各機能部に電力を供給しない状態を基本とし、動作が必要な場合にのみ電力を供給して処理を行わせる。また、動作が必要となった場合に、記録モードでCPU20が動作することにより、他の機能部において処理が行われていても、必要な動作に関する命令の発行が終了することに対応してCPU20の動作が終了する。したがって、消費電力の大きいCPU20の動作時間をより短縮することができるため、従来の低消費電力化技術を適用した情報処理装置に比して、さらなる低消費電力化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内部における電力の供給を自律的に制御可能な情報処理装置およびその情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータシステム技術の分野においては、処理を行っていない場合に装置内部における電力の供給を停止し、装置に対する入力操作が行われた場合等、処理の必要が生じた場合に、瞬時に電力の供給を再開することにより、待機時における消費電力を削減する電力制御技術が開発されている。
例えば、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯型の機器においては、一定時間操作が行われない場合、CPUが低周波数で動作すると共に、周辺回路への電力の供給を停止する低消費電力モードに自動的に移行し、操作が行われた場合に、通常の状態に復帰して処理を行うことにより、待機時の消費電力の削減を図るものが知られている。
【0003】
また、デバイスが使用されない場合に電力の供給を停止する省電力化方法に関する技術が、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2004−206530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術を含め、従来の技術においては、操作が行われる等により処理の必要が生じた場合、命令の発行を行うCPU等の制御部については、処理が終了するまで常に動作する必要があった。
そして、一般にCPU等の制御部は消費電力が大きいことから、機器が一旦動作を開始した後において消費電力を削減することは困難であった。
【0005】
本発明の課題は、自律的に電力の供給を制御可能な情報処理装置において、さらなる低消費電力化を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明は、
装置を構成する各機能部における電力の供給を自律的に制御する情報処理装置であって、各機能部(例えば、図2に示す各機能部)に対する電力の供給を制御するマネジメント部(例えば、図2のパワーマネジメント回路10)と、自装置において動作の必要が生じた場合に、該動作に関わる命令の発行を行う実行制御部(例えば、図2のCPU20)と、前記実行制御部によって発行された命令が記録される命令記録部(例えば、図2のNVRAM40)とを含み、前記マネジメント部は、前記実行制御部が命令の発行を終了することに対応して、該実行制御部への電力の供給を停止すると共に、前記実行制御部によって発行された命令に関わる前記機能部に電力の供給を開始し、該機能部は、前記命令記録部に記録された命令を実行することを特徴としている。
【0007】
このような構成により、情報処理装置において動作が必要となった場合に、他の機能部において処理が行われていても、必要な動作に関する命令の発行が終了することに対応して実行制御部の動作が終了する。
したがって、消費電力の大きいCPU等を含む実行制御部の動作時間をより短縮することができるため、従来の低消費電力化技術を適用した情報処理装置に比して、さらなる低消費電力化を実現することができる。
【0008】
また、前記命令記録部は、記録された情報を不揮発的に保持する不揮発性メモリによって構成されていることを特徴としている。
このような構成により、実行制御部が動作を停止した後、発行された命令を低消費電力で保持することができる。
また、前記実行制御部は、組み込まれた基本ソフトウェアのアプリケーションプログラムインターフェースに対し、発行された命令が前記命令記録部に記録される記録モードと、発行された命令が前記機能部において順次実行されるAPIモードとに対応する動作のいずれかを、指定に応じて切り換えて実行することを特徴としている。
【0009】
このような構成により、動作を指示するためのアプリケーションプログラムインターフェースを変更することなく、モードを切り換えることのみで、より低消費電力な記録モードに移行することができる
したがって、アプリケーションプログラムあるいはユーザにとって、使用が容易な装置とすることが可能となる。
【0010】
また、前記マネジメント部は、前記実行制御部によって発行された命令に関わる前記機能部に電力の供給を行う際に、該機能部に電力の供給を開始し、電力の供給が安定した後、該機能部にクロックを供給し、さらに該機能部に対して動作の可否を示すリセット信号を動作が許可されていることを示す状態(例えば、ハイレベルの状態)に変更し、引き続いて前記処理の実行を指示する制御信号を該機能部に入力する電源投入シーケンスを実行し、前記機能部は、前記マネジメント部によって、動作が許可されていることを示す状態に前記リセット信号が変更された後、該機能部において処理の実行が可能な状態となったことを示すREADY信号を送信するREADY信号送信手段を備え、前記マネジメント部は、前記電源投入シーケンスにおいて、前記実行制御部によって発行された命令に関わる前記機能部についての前記リセット信号を、動作が許可されていることを示す状態に変更した後、該機能部に備えられた前記READY信号送信手段からREADY信号を受信することに対応して、前記制御信号を該機能部に入力すると共に、処理の終了に対応して、該機能部における電力の供給を停止することを特徴としている。
【0011】
このような構成により、情報処理装置においては、各機能部に電力を供給しない状態を基本とし、動作が必要な場合にのみ電力を供給して処理を行わせる。そして、このとき、電力の供給、クロックの供給およびリセットの解除を経る電源投入シーケンスが実行されると共に、電源投入シーケンスにおいては、各機能部において動作が可能な場合に、READY信号が出力される。
【0012】
したがって、各機能部において電源が切断された状態を基本とし、入力操作等に対応して電源の投入が繰り返される場合であっても、電源の投入から処理の開始までの待ち時間を短縮することができ、より迅速に処理を行うことが可能となる。
また、前記マネジメント部は、前記実行制御部を含む各機能部に対して電力を供給しない状態を基本状態とし、いずれかの前記機能部における処理の必要が生じた場合に、前記実行制御部に対して前記電源投入シーケンスを実行し、処理の実行が可能となった該実行制御部が他の前記機能部に指示を与える場合に、その対象となる前記機能部に対して前記電源投入シーケンスを実行することを特徴としている。
【0013】
このような構成により、電力が供給されていない実行制御部に電源を投入した後、その実行制御部が処理の実現に必要な機能部に対して適切なタイミングで電源の投入および電力の供給停止を行うことができ、より効率的な処理を行うことが可能となる。
所定の前記機能部からなり、電力の供給を行う際の制御単位となるパワーマネジメントドメインが複数構成され、前記マネジメント部は、所定の機能部における処理の必要が生じた場合に、該機能部を含むパワーマネジメントドメインごとに電力を供給することを特徴としている。
【0014】
このような構成により、処理を実行する上で、同時に動作する可能性の高い機能部あるいは一連の処理を行う機能部等、機能的に密接な関係を有する機能部を一まとまりとして実行可能な状態とできるため、それぞれの機能部に順次電源投入シーケンスを実行する場合に比べ、より迅速に処理を行うことが可能となる。
また、本発明は、
装置を構成する各機能部における電力の供給を自律的に制御する情報処理装置における情報処理方法であって、自装置において動作の必要が生じた場合に、該動作に関わる命令の発行を行うと共に、発行された命令を記録しておき、該命令の発行を終了することに対応して命令の発行を行う機能部への電力の供給を停止させると共に、前記発行された命令に関わる前記機能部に電力の供給を開始し、該機能部において、前記記録された命令を実行することを特徴としている。
【0015】
このように、本発明によれば、自律的に電力の供給を制御可能な情報処理装置において、さらなる低消費電力化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照して本発明に係る情報処理装置の実施の形態を説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、本発明に係る情報処理装置1の外観構成を示す図である。
なお、本実施の形態においては、情報処理装置1が電子ブックのコンテンツを閲覧するための電子ブックリーダとして構成された場合について説明する。
【0017】
図1において、情報処理装置1は、本体2と、ディスプレイ3と、ページ戻りボタン4と、ページめくりボタン5と、一覧表示ボタン6と、決定ボタン7と、通信コネクタ8と、メモリカードスロット9とを含んで構成される。
本体2は、情報処理装置1を構成する各種機能部を備えており、前面には、ディスプレイ3と、ページ戻りボタン4と、ページめくりボタン5と、一覧表示ボタン6と、決定ボタン7とを備え、左側面には、通信コネクタ8と、メモリカードスロット9とを備えている。また、本体2は、内部に後述するCPU20あるいはディスプレイコントローラ70といった各種機能を実現するための装置を備えている。
【0018】
ディスプレイ3は、例えばA4サイズの高画素密度(多ピクセル)である表示装置によって構成され、ディスプレイコントローラ70の制御に応じて、所定画素に画素データを表示する。
また、ディスプレイ3は、記憶性の表示装置(電源を切断しても表示画面が維持される表示装置)である。そのため、表示画面の状態を維持するためには電力が不要となることから、情報処理装置1をより低消費電力化することができる。
【0019】
なお、ディスプレイ3として、例えば、電気泳動ディスプレイ、コレステリック液晶ディスプレイ、帯電トナーを利用したディスプレイ、ツイストボールを利用したディスプレイあるいはエレクトロデポジションディスプレイ等が採用可能である。
ページ戻りボタン4は、現在表示されているページを戻すためのボタンであり、ページめくりボタン5は、現在表示されているページを進めるためのボタンである。
【0020】
一覧表示ボタン6は、メモリカードに記憶されているコンテンツに含まれるページを一覧表示させるためのボタンである。なお、メモリカードに記憶されているコンテンツには、一覧表示用のページとして、各ページの画面が縮小されたデータ(以下、「縮小画面データ」という。)が記憶されている。
決定ボタン7は、ユーザが全面表示させるページを選択するためのボタンである。
【0021】
これら、ページ戻りボタン4、ページめくりボタン5、一覧表示ボタン6および決定ボタン7の押下信号は、後述するパワーマネジメント回路10を介して、CPU20に入力される。
通信コネクタ8は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを接続するためのコネクタであり、接続された通信ケーブルを介して、情報の送受信あるいは電力の供給を受けることが可能となる。
【0022】
メモリカードスロット9は、メモリカードを読み書きするためのインターフェースであり、電子ブックのコンテンツを記憶したメモリカードが装着されることにより、そのメモリカードに記憶されたコンテンツを読み込むことが可能となる。
次に、情報処理装置1の内部構成について説明する。
図2は、情報処理装置1の内部構成を示す機能ブロック図である。
【0023】
図2において、情報処理装置1は、パワーマネジメント回路10と、CPU20と、ROM(Read Only Memory)30と、NVRAM40と、RAM50と、グラフィックアクセラレータ(以下、「GA」という。)60と、ディスプレイコントローラ70と、メモリカードコントローラ80と、通信コントローラ90とを含んで構成される。なお、パワーマネジメント回路10を除くこれらの各機能部はバス100によって接続され、パワーマネジメント回路10は、CPU20と直接接続されている。また、パワーマネジメント回路10は、パワーマネジメントドメイン(後述)それぞれと、電力の供給を行うための給電ラインによって接続されている。さらに、パワーマネジメント回路10は、各機能部とクロック制御線、リセット信号線およびREADY信号線によって接続されている。
【0024】
情報処理装置1における各機能部は、電力の供給に関する複数のグループを構成しているため、初めに、このグループ(以下、「パワーマネジメントドメイン」という。)について説明する。
本発明に係る情報処理装置1は、各機能部に電力を供給しない状態を基本とし、動作が必要な場合にのみ電力を供給して処理を行わせ、処理の終了後には、再び電力の供給を停止する電力制御を行うものである。
【0025】
このとき、入力された命令に応じた処理を実行する上で、同時に動作する可能性の高い機能部あるいは一連の処理を行う機能部等、機能的に密接な関係を有する機能部を同一のパワーマネジメントドメインとして電力の供給を行うこととし、他のパワーマネジメントドメインとは独立して電力の供給を制御する。
このように、機能的に密接な関係を有する機能部を同一のパワーマネジメントドメインとして電力制御を行うことにより、各機能部それぞれを対象として電力制御を行うより、回路規模および制御の容易性の面で有利なものとなる。
【0026】
図2に示す機能構成においては、上述の観点から、CPU20を含むCPUドメイン、ROM30およびNVRAM40を含む不揮発性ドメイン、RAM50を含む揮発性ドメイン、GA60、ディスプレイコントローラ70およびディスプレイ3を含む描画ドメイン、メモリカードコントローラ80を含むメモリカードドメイン、通信コントローラ90を含む通信ドメインが形成されており、これら各ドメインを単位として、パワーマネジメント回路10が給電を制御する。
【0027】
続いて、図2に示す各機能部について説明する。
パワーマネジメント回路10は、不図示のバッテリから供給された電力を受けて、所定のパワーマネジメントドメインに電力を供給する。
具体的には、パワーマネジメント回路10は、ページ戻りボタン4、ページめくりボタン5、一覧表示ボタン6あるいは決定ボタン7の押下信号や、通信コネクタ8における通信ケーブルの接続あるいはメモリカードスロット9におけるメモリカードの接続を検出する信号を受けた場合、電力の供給が停止されているCPU20に対して電力を供給する。そして、パワーマネジメント回路10は、電力の供給が再開され、動作状態にあるCPU20に対し、発生したイベント、即ち、いずれのボタンの押下信号が入力されたか、あるいは、通信ケーブルの接続が検出されたか、あるいは、メモリカードの接続が検出されたかのいずれかを示す信号(以下、「イベント通知信号」という。)を送信する。
【0028】
また、パワーマネジメント回路10は、ボタンが押下されること等によって、いずれかのパワーマネジメントドメインに対する電力の供給の必要が生じると、そのパワーマネジメントドメインに対して電力を供給し、パワーマネジメントドメインに対する電力の供給の必要がなくなると、そのパワーマネジメントドメインに対する電力の供給を停止する。
ここで、パワーマネジメント回路10は、各機能部における処理の必要が生じた場合に、まず、その機能部を含むパワーマネジメントドメインに電力を供給し、続いてクロックを供給し、さらに、リセット信号の解除を行ってから、その機能部に処理の実行を指示する制御信号を出力する。各機能部に処理の実行を指示する制御信号を出力する方法としては、上述したパワーマネジメント回路10によって出力する方法の他、CPU20がイベント通知信号の受信に対応して出力する方法を採用することも可能である。
【0029】
このとき、パワーマネジメント回路10は、電力の供給開始後、電力レベルが安定するまでの所定時間Taを待ってからクロックの供給を開始する。
また、パワーマネジメント回路10は、クロックの供給開始後、クロックの状態が安定するまでの所定時間Tbを待ってからリセットを解除する。なお、リセット信号は、負論理で構成され、ローレベルの場合には、リセットがかかり動作を許可しない状態を示し、ハイレベルの場合には、リセットが解除され動作を許可する状態を示す。
【0030】
さらに、パワーマネジメント回路10は、リセットの解除後、原則として、各機能部の初期化が終了するまでの所定時間Tcを待ってから、制御信号を出力するものであるが、後述するように、各機能部において予定より早期に動作可能な状態となり、処理の実行について準備が完了したことを示すREADY信号を受信した場合には、READY信号の受信に対応して、制御信号を出力する。
【0031】
なお、パワーマネジメント回路10は、例えば低クロックで動作する小型のFPGA(Field Programmable Gate Array)等、CPU20より低消費電力なハードウェアによって構成することが可能である。このような構成とすることにより、パワーマネジメント回路10にのみ電力を常時供給しておけば、一般に消費電力の大きいCPU20に対して電力を常時供給しておく必要がなくなる。
【0032】
CPU20は、情報処理装置1全体を制御するものであり、ROM30に記憶された各種プログラムを読み出して実行する。例えば、CPU20は、パワーマネジメント回路10を介して入力される各種信号に対応して、後述する情報処理装置1のシステム制御処理における各種処理のためのプログラムをROM30から読み出して実行する。
このとき、CPU20は、OS(Operating System)のAPI(Application Program Interface)を呼び出すことにより、システム制御処理における各種命令を実行する。そして、CPU20は、各種処理結果をNVRAM40あるいはRAM50の所定領域に格納する。
【0033】
ここで、情報処理装置1に組み込まれるOSのAPIにおいては、低消費電力で動作するための記録モードと、通常の電力供給により動作するAPIモードとが用意されており、各命令は、これらのモードに対応する動作が定義されている。CPU20は、選択されているモードに応じて、各APIに対応する動作を行う。
図3は、各種APIのモードに応じた動作内容を示す図である。
【0034】
図3において、APIとして“RecStart”、“RecEnd”、“InitScreen”、“DrawLine”、“GPUHalt”、“GPUStart”、“CPUHalt”、“GPUPowerOn”の動作が定義されている。
“RecStart”は、記録モードに遷移するためのAPIであり、NVRAM40のアドレス(BufferAddress)を引数とする。APIモードにおいて“RecStart”が実行されると、CPU20は、情報処理装置1の状態を記録モードに遷移させ、NVRAM40のアドレス(BufferAddress)を指定した状態となる。なお、記録モードにおいては、“RecStart”は使用されない。
【0035】
“RecEnd”は、記録モードを終了し、APIモードに遷移するためのAPIである。なお、APIモードにおいては、“RecEnd”は使用されない。
“InitScreen”は、スクリーン(ディスプレイ3)の初期化のためのAPIである。APIモードにおいて“InitScreen”が実行されると、CPU20は、スクリーン(ディスプレイ3)の初期化を行う。また、記録モードにおいて“InitScreen”が実行されると、CPU20は、スクリーンの初期化を行う命令コード(ここでは“0x01”とする)をNVRAM40に記録する。
【0036】
“DrawLine”は、直線を描画するためのAPIであり、直線の始点のx、y座標(StartX,StartY)および直線の終点のx、y座標(EndX,EndY)を引数とする。APIモードにおいて“DrawLine”が実行されると、CPU20は、スクリーン上の座標(StartX,StartY)と座標(EndX,EndY)とを結ぶ直線を描画する。また、記録モードにおいて“DrawLine”が実行されると、CPU20は、スクリーン上の座標(StartX,StartY)と座標(EndX,EndY)とを結ぶ直線を描画する命令コード(ここでは“0x02,StartX,StartY,EndX,EndY”とする)をNVRAM40に記録する。
【0037】
“GPUHalt”は、描画ドメインに対する電力の供給を停止するためのAPIである。APIモードにおいて、“GPUHalt”が実行されると、CPU20は、描画ドメインを構成する各部の動作を停止し、描画ドメインに対する電力の供給を停止する。また、記録モードにおいて“GPUHalt”が実行されると、CPU20は、描画ドメインを構成する各部の動作を停止し、描画ドメインに対する電力の供給を停止する命令コード(ここでは“0xFF”とする)をNVRAM40に記録する。
【0038】
“GPUStart”は、GA60に命令の解釈および実行を開始させるAPIである。APIモードにおいて、“GPUStart”が実行されると、CPU20は、GA60に対し、NVRAM40に記録された命令コードの解釈および実行を指示する。このとき実行される命令コードは、CPU20によってNVRAM40の所定アドレス(BufferAddress)を先頭とする領域に順に記録されている。なお、記録モードにおいては、“GPUStart”は使用されない。
【0039】
“CPUHalt”は、CPUドメインに対する電力の供給を停止するためのAPIである。APIモードにおいて、“CPUHalt”が実行されると、CPU20は、CPU20における動作を停止し、CPUドメインに対する電力の供給を停止する。なお、記録モードにおいては、“CPUHalt”は使用されない。
“GPUPowerOn”は、描画ドメインに対する電力の供給を開始するためのAPIである。APIモードにおいて、“GPUPowerOn”が実行されると、CPU20は、描画ドメインに対する電力の供給を開始する。
【0040】
なお、APIの種類としては図3に示すものに限らず、必要な動作に関しては種々のAPIについて、記録モードおよびAPIモードに対応する動作を定義しておくことが可能である。
図2に戻り、ROM30は、例えばフラッシュROM等の不揮発性のメモリによって構成され、ROM30には、オペレーティングシステムプログラム(OS)および電子ブックのビューア等のアプリケーションプログラムが記憶されている。
【0041】
NVRAM40は、FRAM(Ferroelectric Random Access Memory)あるいはMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)等の不揮発性のメモリによって構成され、例えば電子ブックのコンテンツが閲覧されている場合であれば、閲覧中のページ番号といったように、情報処理装置1の電源が切断された場合にも保存しておく必要のあるデータが記憶される。
【0042】
なお、NVRAM40は、上述のように、電源によるバックアップが不要な不揮発性メモリで構成することが可能である他、SRAM等、揮発性のメモリを専用の電源でバックアップすることにより、擬似的な不揮発性メモリとする構成も採用可能である。
RAM50は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)あるいはSDRAM(Synchronous DRAM)といった揮発性のメモリによって構成され、CPU20が処理を実行する際にワークエリアを形成すると共に、その処理結果を記憶する。
【0043】
GA60は、CPU20の命令に従って、APIモードあるいは記録モードに対応した動作を行い、ディスプレイ3に表示する画像の描画処理を高速に行うハードウェアである。具体的には、GA60は、CPU20から入力されたベクトル図形をラスタ図形に展開するといった処理を行う。そして、GA60は、描画処理を行った図形をディスプレイ3に描画するための描画データとしてディスプレイコントローラ70に出力する。このとき、GA60は、直接ディスプレイコントローラ70に描画データを送ることができるが、RAM50やNVRAM40に一旦描画データを格納してから送ることも可能である。この場合、RAM50やNVRAM40に格納された描画データを後に再利用することが可能となる。
【0044】
ディスプレイコントローラ70は、ディスプレイ3を直接制御し、GA60から入力された描画データをディスプレイ3に表示させる。
具体的には、ディスプレイコントローラ70は、GA60から入力された描画データを参照して、ディスプレイ3のXドライバおよびYドライバを駆動することにより、描画対象であるラスタ図形をディスプレイ3に表示させる。
【0045】
メモリカードコントローラ80は、メモリカードスロット9に備えられるインターフェース回路であり、CPU20の指示に従って、メモリカードに記録されたデータの読み書きを行う。
通信コントローラ90は、通信コネクタ8に備えられるインターフェース回路であり、CPU20の指示に従って、通信ケーブルを介した情報の送受信を行う。
【0046】
ここで、図2に示す各機能部は、パワーマネジメント回路10によってリセットが解除された後、内部状態を初期化する初期化手順回路(不図示)を備えている。具体的には、この初期化手順回路は、リセット信号線の電圧レベルがローレベルからハイレベルに変化すると、各機能部の内部において情報を保持しているレジスタにデフォルト値をセットし、外部インターフェースを持っている場合は、所定の手順に沿って初期化信号を送信する。その後、処理の実行が可能な状態が確立したことを示すREDY信号をREADY信号線を介してパワーマネジメント回路10に送信する。
【0047】
次に、動作を説明する。
本実施の形態における情報処理装置1は、上述の構成の下、入力操作が行われた場合等、動作が必要な場合にのみ電源が投入され、必要な動作が終了すると、再び電源が切断された状態となる。そして、電源が投入される場合に、所定の電源投入シーケンスを経て、各機能部における処理に移行する。さらに、このように電源が投入される場合、入力操作の内容に応じて、動作させる必要があるパワーマネジメントドメインにのみ電力が供給される。そして、各機能部に動作を行わせる際においても、CPU20が記録モードによる命令の発行を行うことで、消費電力の大きいCPU20の動作時間を可能な限り短縮する。これらの動作により、情報処理装置1においては、不要な消費電力の発生を防ぐことができ、従来に比して、さらなる低消費電力化を図ることが可能となる。
【0048】
まず、CPU20が、動作の必要が生じた機能部に対して記録モードによる命令の発行を行う場合の動作について説明する。なお、ここでは、CPU20がGA60に対する描画命令を発行する場合を例に挙げて説明する。
図4は、CPU20が記録モードによって命令を発行する際の動作例を示すフローチャートである。また、図5は、図4に示すフローチャートに対応するメモリマップの遷移図である。
【0049】
図4において、記録モードによる動作を行う場合、CPU20は、NVRAM40の記憶領域を確保するためのAPIを呼び出す(ステップP1)。このAPIが呼び出されると、確保された記憶領域(以下、「命令バッファ」と言う。)の先頭アドレス(BufferAddress)が返される。
次に、CPU20は、命令バッファの先頭アドレスを引数として指定し、記録モードを開始するAPI(RecStart)を呼び出す(ステップP2)。これにより、情報処理装置1のステータスは記録モードに移行する。
【0050】
続いて、CPU20は、スクリーンの初期化を行うためのAPI(InitScreen)を呼び出し、スクリーンの初期化命令を命令バッファの先頭領域に記録する(ステップP3)。
さらに、CPU20は、直線を描画するためのAPI(DrawLine)を呼び出し、直線を描画するための命令を、命令バッファの先頭領域に続く第2の領域に記録する(ステップP4)。
【0051】
なお、ステップP3およびステップP4に示す動作は一例として示したものであり、一般に、ステップP3,P4には、スクリーンへの描画内容に応じた描画命令の記録動作が挿入される。
そして、CPU20は、直線の描画後にGA60を含む描画ドメインに対する電力の供給を停止するためのAPI(GPUHalt)を呼び出し、描画ドメインを停止するための命令を、命令バッファの第2の領域に続く第3の領域に記録する(ステップP5)。
【0052】
すると、CPU20は、記録モードを終了するためのAPI(RecEnd)を呼び出し、記録モードからAPIモードに移行する(ステップP6)。
次いで、CPU20は、描画ドメインに対する電力の供給を開始するためのAPI(GPUPowerOn)を呼び出し、GA60を含む描画ドメインに対する電力の供給を開始する(ステップP7)。
【0053】
続いて、CPU20は、GA60に命令の解釈および実行を開始させるAPI(GPUStart)を呼び出し、GA60に命令の解釈および実行の開始を指示する(ステップP8)。
ここで、現在処理を行っている描画命令に関しては、CPU20は動作する必要がなくなることから、CPU20は、描画ドメインにおける処理の終了を待つことなく、CPUドメインに対する電力の供給を停止するためのAPI(CPUHalt)を呼び出し、CPU20の動作を停止すると共に、CPUドメインに対する電力の供給を停止させる(ステップP9)。
【0054】
そして、命令の発行に関する動作は終了し、描画ドメインにおける処理が行われる。
このような手順によれば、情報処理装置1において動作の必要が生ずることにより、CPU20が命令を発行し、各機能部が処理を行うプロセスにおいても、消費電力の大きいCPU20の動作時間を可能な限り短縮することができ、また、例えばGA60のように消費電力の大きい機能部における動作時間も短縮できることから、情報処理装置1を従来に比して極めて低消費電力なものとすることができる。
【0055】
次に、情報処理装置1における電源投入シーケンスについて説明する。
図6は、情報処理装置1において、各機能部に電源を投入する場合の電源投入シーケンスを示すタイミングチャートである。
なお、ここでは、電源が投入される機能部がGA60である場合を例に挙げて説明する。
【0056】
図6において、パワーマネジメント回路10がGA60における処理が必要であると判定した場合、時間Twを待った後、まず、描画ドメインに電力を供給する(時刻t1)。なお、このときの待ち時間Twは、突入電流の集中を防ぐために設定されたタイミングパラメータである。
そして、パワーマネジメント回路10は、電力レベルが安定した状態になるまでの時間(時間Ta)を待った後、描画ドメインに含まれる各機能部に対し、クロックの供給を開始する(時刻t2)。
【0057】
続いて、パワーマネジメント回路10は、クロック信号が安定した状態になるまでの時間(時間Tb)を待った後、GA60に対するリセットを解除する(時刻t3)。
すると、パワーマネジメント回路10は、各機能部の初期化手順にかかる時間(時間Tc)を待つ状態に移行する。
ここで、GA60は、時刻t3においてリセットが解除され、内部状態の初期化が終了した場合に、パワーマネジメント回路10にREADY信号を送信する(時刻t4)。パワーマネジメント回路10がREADY信号を受信した時刻t4が、GA60の使用可能点となる。
【0058】
すると、パワーマネジメント回路10がGA60からREADY信号を受信することに対応して、GA60に処理の実行を指示する制御信号が出力される。
なお、上述した待ち時間Tcの間にREADY信号を受信しない場合、パワーマネジメント回路10は、待ち時間Tcの経過を待って、GA60に制御信号を出力する。
続いて、上述の記録モードによる動作および電源投入シーケンスの具体的な適用場面となるシステム制御処理について説明する。
【0059】
図7は、情報処理装置1が実行するシステム制御処理を示すフローチャートである。
また、図8は、システム制御処理における表示画面例を示す図である。以下、図8に示す表示画面を適宜参照しつつ、システム制御処理について説明する。
図7において、ユーザによって、いずれかのボタンに対する操作、通信ケーブルの接続あるいはメモリカードの接続が行われると(ステップS1)、パワーマネジメント回路10は、CPUドメイン、不揮発性ドメインおよび揮発性ドメインに電力を供給する(ステップS2)。このとき、CPUドメイン、不揮発性ドメインおよび揮発性ドメインの各部に含まれる機能部それぞれにおいて、図6に示す電源投入シーケンスが実行される。
【0060】
すると、CPU20は、ROM30に記憶されたOSおよびアプリケーションプログラムの実行を開始すると共に、RAM50の所定領域をワークメモリとして確保する(ステップS3)。
次に、CPU20は、パワーマネジメント回路10からイベント通知信号を取得し(ステップS4)、発生したイベントの内容を判定する(ステップS5)。
【0061】
ステップS5において、発生したイベントがいずれかのボタンに対する入力操作であると判定した場合、CPU20は、入力操作されたボタンの種別を判定する(ステップS6)。
ステップS6において、ページ戻りボタン4が入力操作されたと判定した場合、CPU20は、NVRAM40から現在閲覧中のページ番号を取得し(ステップS7)、そのページ番号から“1”減じて現在閲覧中のページを1ページ戻す(ステップS8)。
【0062】
また、ステップS6において、ページめくりボタン5が入力操作されたと判定した場合、CPU20は、NVRAM40から現在閲覧中のページ番号を取得し(ステップS9)、そのページ番号に“1”加算して現在閲覧中のページを1ページ進める(ステップS10)。
ステップS8およびステップS10の後、パワーマネジメント回路10は、メモリカードドメインに電力を供給し(ステップS11)、新たに現在閲覧中のページとなったページのデータをメモリカードから読み込む(ステップS12)。ステップS11では、メモリカードドメインに含まれるメモリカードコントローラ80において、図6に示す電源投入シーケンスが実行される。
【0063】
そして、パワーマネジメント回路10は、メモリカードドメインに対する電力の供給を停止し(ステップS13)、記録モードへの移行処理(図4のステップP1,P2に示す命令バッファの確保および記録モードを開始するAPIの呼び出し)を実行する(ステップS14)。このとき、描画ドメインに含まれる機能部それぞれにおいて、図6に示す電源投入シーケンスが実行される。
【0064】
すると、CPU20は、現在閲覧中のページを記録モードで描画する処理(図4のステップP3〜P5に示すスクリーンの初期化命令、各種描画命令および描画ドメインの停止命令を命令バッファに記録する処理)を実行する(ステップS15)。
次いで、CPU20は、記録モードからAPIモードへ復帰する処理(図4のステップP6に示す記録モードを終了するAPIの呼び出し)を実行する(ステップS16)。
【0065】
続いて、パワーマネジメント回路10は、描画ドメインに描画を行わせる処理(図4のステップP7,P8に示す描画ドメインに対する電力供給および描画命令の解釈・実行)を実行する(ステップS17)。これにより、現在閲覧中のページが表示される(図8(a)参照)。
その後、パワーマネジメント回路10は、CPUドメインおよび揮発性ドメインへの電力の供給を停止する処理(図4のステップP9に示すCPU20への電力供給を停止する処理)を実行する(ステップS18)。なお、ステップS18において、NVRAM40に記憶されたデータは、電力の供給停止後も保持される。
【0066】
なお、ここでは、記録モードによる動作に関連する部分として、ページ戻りボタン4あるいはページ戻りボタン5が押下された場合の動作について説明したが、ステップ5においてボタンの押下以外のイベントが発生したと判定した場合や、ステップS6において、他のボタンが押下されたと判定した場合には、それらに対応する動作が行われる。
例えば、ステップS6において一覧表示ボタン6が入力操作されたと判定した場合、CPU20は、メモリカードドメインおよび描画ドメインに電力を供給し、一覧表示用の縮小画面データを読み込んで縮小画面データを一覧表示(図8(b)参照)させ、表示するページ選択用のカーソルを現在閲覧中のページに表示させる(図8(c)参照)。
【0067】
また、ステップS5において、通信ケーブルが接続されたと判定した場合、描画ドメインに電力が供給され、CPU20は、通信ケーブルからデータを受信中である旨の表示(図8(d)参照)を行わせると共に、通信ケーブルからのデータの受信が終了すると、データの受信が終了した旨の表示(図8(e)参照)を行わせる。
以上のように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、各機能部に電力を供給しない状態を基本とし、動作が必要な場合にのみ電力を供給して処理を行わせる。また、動作が必要となった場合に、記録モードでCPU20が動作することにより、図9に示すように、他の機能部において処理が行われていても、必要な動作に関する命令の発行が終了することに対応してCPU20の動作が終了する。
【0068】
したがって、消費電力の大きいCPU20の動作時間をより短縮することができるため、従来の低消費電力化技術を適用した情報処理装置に比して、さらなる低消費電力化を実現することができる。
また、動作が必要な機能部に電力を供給する際、電力の供給、クロックの供給およびリセット信号の解除を経る電源投入シーケンスが実行されると共に、電源投入シーケンスにおいては、各機能部において動作が可能となった場合に、READY信号が出力される。
【0069】
したがって、情報処理装置1の各部において電源が切断された状態を基本とし、入力操作等に対応して電源の投入が繰り返される場合であっても、電源の投入から処理の開始までの待ち時間を短縮することができ、より迅速に処理を行うことが可能となる。
このような効果によって、特に、リーク電流が問題となるCPU20についても、電力を供給しない状態を基本とすることができることから、情報処理装置1を極めて低消費電力な装置とすることが可能となる。
【0070】
また、情報処理装置1は、パワーマネジメントドメインを単位として電力の供給を行うことから、各機能部それぞれを対象として電力制御を行うより、回路規模および制御の容易性の面で有利なものとなる。さらに、それぞれのパワーマネジメントドメインに含まれる各機能部において、同時に電源投入シーケンスが実行されるため、動作の必要が生じた機能部ごとに順次電源投入シーケンスを実行するより、処理を迅速に行うことが可能となる。
【0071】
即ち、自律的に電力の供給を制御可能な情報処理装置において、さらなる低消費電力化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る情報処理装置1の外観構成を示す図である。
【図2】情報処理装置1の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】各種APIのモードに応じた動作内容を示す図である。
【図4】CPU20が記録モードによって命令を発行する際の動作例を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すフローチャートに対応するメモリマップの遷移図である。
【図6】情報処理装置1において、各機能部に電源を投入する場合の電源投入シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図7】情報処理装置1が実行するシステム制御処理を示すフローチャートである。
【図8】システム制御処理における表示画面例を示す図である。
【図9】本発明と従来の低消費電力化技術の場合とについて、処理の実行時における各機能部の動作状態を比較して示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 情報処理装置、2 本体、3 ディスプレイ、4 ページ戻りボタン、5 ページめくりボタン、6 一覧表示ボタン、7 決定ボタン、8 通信コネクタ、9 メモリカードスロット、10 パワーマネジメント回路、20 CPU、30 ROM、40 NVRAM、50 RAM、60 GA、70 ディスプレイコントローラ、80 メモリカードコントローラ、90 通信コントローラ、100 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を構成する各機能部における電力の供給を自律的に制御する情報処理装置であって、
各機能部に対する電力の供給を制御するマネジメント部と、
自装置において動作の必要が生じた場合に、該動作に関わる命令の発行を行う実行制御部と、
前記実行制御部によって発行された命令が記録される命令記録部と、
を含み、
前記マネジメント部は、前記実行制御部が命令の発行を終了することに対応して、該実行制御部への電力の供給を停止すると共に、前記実行制御部によって発行された命令に関わる前記機能部に電力の供給を開始し、該機能部は、前記命令記録部に記録された命令を実行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記命令記録部は、記録された情報を不揮発的に保持する不揮発性メモリによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記実行制御部は、組み込まれた基本ソフトウェアのアプリケーションプログラムインターフェースに対し、発行された命令が前記命令記録部に記録される記録モードと、発行された命令が前記機能部において順次実行されるAPIモードとに対応する動作のいずれかを、指定に応じて切り換えて実行することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記マネジメント部は、前記実行制御部によって発行された命令に関わる前記機能部に電力の供給を行う際に、該機能部に電力の供給を開始し、電力の供給が安定した後、該機能部にクロックを供給し、さらに該機能部に対して動作の可否を示すリセット信号を動作が許可されていることを示す状態に変更し、引き続いて前記処理の実行を指示する制御信号を該機能部に入力する電源投入シーケンスを実行し、
前記機能部は、前記マネジメント部によって、動作が許可されていることを示す状態に前記リセット信号が変更された後、該機能部において処理の実行が可能な状態となったことを示すREADY信号を送信するREADY信号送信手段を備え、
前記マネジメント部は、前記電源投入シーケンスにおいて、前記実行制御部によって発行された命令に関わる前記機能部についての前記リセット信号を、動作が許可されていることを示す状態に変更した後、該機能部に備えられた前記READY信号送信手段からREADY信号を受信することに対応して、前記制御信号を該機能部に入力すると共に、処理の終了に対応して、該機能部における電力の供給を停止することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記マネジメント部は、前記実行制御部を含む各機能部に対して電力を供給しない状態を基本状態とし、いずれかの前記機能部における処理の必要が生じた場合に、前記実行制御部に対して前記電源投入シーケンスを実行し、処理の実行が可能となった該実行制御部が他の前記機能部に指示を与える場合に、その対象となる前記機能部に対して前記電源投入シーケンスを実行することを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
所定の前記機能部からなり、電力の供給を行う際の制御単位となるパワーマネジメントドメインが複数構成され、
前記マネジメント部は、所定の機能部における処理の必要が生じた場合に、該機能部を含むパワーマネジメントドメインごとに電力を供給することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
装置を構成する各機能部における電力の供給を自律的に制御する情報処理装置における情報処理方法であって、
自装置において動作の必要が生じた場合に、該動作に関わる命令の発行を行うと共に、発行された命令を記録しておき、
該命令の発行を終了することに対応して命令の発行を行う機能部への電力の供給を停止させると共に、前記発行された命令に関わる前記機能部に電力の供給を開始し、該機能部において、前記記録された命令を実行することを特徴とする情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−172059(P2006−172059A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362539(P2004−362539)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】