説明

情報処理装置および情報処理方法

【課題】タッチパネルを用いて操作性のよい入力手段を実現させる。
【解決手段】通常状態においてディスプレイ14に表示される画像40には、選択できるアイテムなどがある場所が6つのアイコン42a、42b、42c、42d、42e、42fによって示されている。画像40において、ユーザが接触点44に接触したら、当該接触点44から所定範囲内にある4つのアイコン42a、42b、42c、42dを検出し、接触点44を中心とした所定半径の円周48上に等間隔で位置するように配置を変化させた画像46を表示する。各アイコンには、元の画像40において当該アイコンが表示されていた場所を指す指針図形を付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示を伴う情報処理を行う情報処理装置、および当該装置で用いられる情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯ゲーム機、携帯電話、PDA(Personal Data Asistance)、タブレット端末など、携帯を想定した情報機器が普及している。このような機器はサイズ上の制約や携帯した際の利便性などの観点からその入力手段が制約される。結果として、これらの機器に特化した入力手段や機能が独自の発達を遂げてきた。
【0003】
その一端として近年では、ディスプレイにタッチパネルを搭載することにより表示と入力を同じ領域で行える装置が一般的になってきた。タッチパネルを導入すると、アイコンなどの対象物の選択や移動、ウェブページや文書の表示画面の拡大縮小、スクロール、ページめくりなどを、2次元平面にありながらあたかも現物があるかのように行うことができ、直感的な操作が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大きさに関わらず、情報機器に搭載される機能は多様化し続けている。そのような状況においてタッチパネルを入力手段とする場合、表示させる情報が高度化するほど、また画面サイズが小さくなるほど細かい操作が必要となり、ユーザにとってストレスとなりやすい。特に指の接触によってそのような操作を行う場合、タッチペンやポインティングデバイスを用いた指示と比較し、その接触面積に起因した誤操作を生みやすい。そのため画面サイズや操作対象のオブジェクトのサイズによらず、容易な操作が行えるようにすることは常に大きな課題である。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は高度化した情報表示であっても操作性の良好な入力手段を実現できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は情報処理装置に関する。この情報処理装置は、ユーザが入力した、表示画像における指定位置に係る情報を取得し、表示画像において指定位置から所定範囲内にあるGUI(Graphical User Interface)を検出する操作情報取得部と、操作情報取得部が複数のGUIを検出した場合、前記表示画像におけるGUIの配置を変化させるGUI配置制御部と、配置を変化させたGUIに対するユーザの操作に応じて、当該GUIに対応する情報処理を実行する情報処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の別の態様は情報処理方法に関する。この情報処理方法は、情報処理装置において、ユーザが入力した、表示画像における指定位置に係る情報を取得し、前記表示画像において前記指定位置から所定範囲内にあるGUI(Graphical User Interface)を検出するステップと、複数のGUIが検出された場合、表示画像におけるGUIの配置を変化させディスプレイに表示するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、高度化した情報表示に対し良好な操作性を有する装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態における情報処理装置の外観例を示す図である。
【図2】本実施の形態における情報処理装置の構成を詳細に示す図である。
【図3】本実施の形態におけるGUIの配置の変更前後の表示画像の例を示す図である。
【図4】本実施の形態において操作情報変換部が複数のアイコンの配置を変化させるか否かを判定する手法を説明するための図である。
【図5】本実施の形態において操作情報変換部が複数のアイコンの配置を変化させるか否かを判定する別の手法を説明するための図である。
【図6】本実施の形態において情報処理装置がGUIの選択入力を受け付ける処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本実施の形態における情報処理装置の外観例を示している。情報処理装置10は携帯電話、PDA、携帯ゲーム機、タブレット端末など、表示機能とその他の情報処理機能を一体的に備えた装置のいずれでもよい。あるいは図1で示した情報処理装置10の外観を有する装置を表示および入力のための装置とし、その他の情報処理機能は当該装置と接続した別の筐体に設けるようにしてもよい。情報処理装置10は機能に応じた様々な処理機構を備えてよいが、それらは一般的な技術を利用できるため適宜説明を省略する。
【0012】
情報処理装置10は、ディスプレイ14が本体前面に配置され、その上面をタッチパネル12が覆う構成を有する。ディスプレイ14の背面にはCPU、グラフィックプロセッサ、サウンドプロセッサ、メモリなど各種情報処理に必要な機構が内蔵されている(図示せず)。ディスプレイ14は液晶ディスプレイ、EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなど一般的なディスプレイのいずれかでよい。
【0013】
タッチパネル12は抵抗膜方式、光学式、静電容量結合式など実用化されている方式のいずれかで実現し、指7による接触点を検知する。情報処理装置10はそのほか、音声を出力するスピーカ、イヤホン接続端子、他の装置との通信を行う赤外線ポートや無線LANの機構、電池ボックスなどを備えてよいが、ここでは図示を省略している。ディスプレイ14には、メニュー画面、アイコンなどユーザの操作入力に必要な画面、情報処理の結果であるゲーム画面、動画再生画面、テキスト表示画面、静止画表示画面などを情報処理装置10の機能に応じて表示する。
【0014】
図2は情報処理装置10の構成を詳細に示している。情報処理装置10は上述したタッチパネル12、ディスプレイ14のほか、コンテンツのプログラムや各種データを記憶したコンテンツファイル記憶部16、タッチパネル12からの入力信号受信、画像データのディスプレイ14への出力を制御する入出力制御部20、タッチパネルからの入力信号を操作内容の情報に変換する操作情報変換部22、操作内容に応じてコンテンツを処理するコンテンツ処理部24、接触点に応じてGUIの配置を制御するGUI配置制御部26、および表示画像を生成する表示画像生成部30を含む。
【0015】
図2において、様々な処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、コンテンツを処理したり画像処理を行うプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0016】
入出力制御部20は既存の方法で、タッチパネル12およびディスプレイ14と接続し、データの入出力を制御する。タッチパネル12から受信する入力信号は、タッチパネル12上でユーザが触れた接触点の座標、接触点が連続的に移動したときの座標の移動経路などを表す。タッチパネル12における接触点の検知手法はその方式によって異なるためここでは言及しない。入出力制御部20はまた、ディスプレイ14に表示画像のビデオ信号を出力する。
【0017】
コンテンツファイル記憶部16は、ユーザによるタッチパネル操作などに応じ、コンテンツ表示に係る情報処理を行うのに必要な各種データを格納する。ここで「コンテンツ」は、コンピュータゲーム、映画、音楽、小説、写真、地図、ウェブページなど、電子的な処理により表現が可能な対象であればその種類やデータの格納経路は限定されない。なお本実施の形態は、一般的な「コンテンツ」以外に、通信、スケジュール管理、住所録、表計算など一般的な情報処理に対しても適用できるが、以下の説明ではそれらも含め全て「コンテンツ」とする。
【0018】
例えばコンテンツがゲームであれば、コンテンツファイル記憶部16はそのプログラム、プレイヤーの情報、前回のプレイ時の到達レベルなどの情報を記憶する。コンテンツが映画や音楽であれば、圧縮符号化されたビデオデータ、オーディオデータと、それを復号再生するためのプログラムなどを記憶する。コンテンツファイル記憶部16は、ハードディスクドライブでもよいし、メモリカード、ROMディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどのリムーバブル記録媒体とそれに対応した読み取り装置との組み合わせでもよい。
【0019】
操作情報変換部22は、タッチパネル12からの入力信号を入出力制御部20から取得し、当該信号に含まれる接触点の座標に基づき、ユーザが意図した操作内容を特定する。例えば表示画像中にGUI(Graphical User Interface)をオンスクリーン表示している場合は、接触点の座標とGUIの位置との対応関係に基づき、接触対象のGUIに対応する操作内容を特定し、コンテンツ処理部24に通知する。
【0020】
ここで、接触点から所定の範囲内にGUIが複数、存在している場合、操作情報変換部22はまず、GUI配置制御部26にその旨を通知する。例えばディスプレイ14に表示した仮想世界、地図、3次元オブジェクトなどにおける複数の箇所を選択肢としてそれぞれアイコンで示し、選択入力を受け付ける場合、画像の縮尺率や視点の位置によってアイコンが密集してしまうことが考えられる。
【0021】
このように複数のGUIが近接した状態において、指の接触によりそのいずれかを正確に指示するのは容易でない。わずかな指のぶれによって意図しないGUIへの操作がなされたと認識されてしまう状況は、ユーザにとってストレスとなる。そこで本実施の形態では、接触点の近傍に複数のGUIが位置する状態を検出し、そのような場合はそれらのGUIの間隔を広げるように一時的に配置を変化させる。
【0022】
そしてユーザが本来意図したGUIへ改めて接触することにより、操作情報変換部22は当該GUIへの操作がなされたと認識して対応する操作内容をコンテンツ処理部24に通知する。操作情報変換部22はまた、間隔を広げたGUIの配置を元に戻す操作がなされたことを検出し、GUI配置制御部26にその旨を通知する。
【0023】
コンテンツ処理部24は、コンテンツファイル記憶部16が記憶するプログラムや画像データなどを用い、操作内容に応じてゲームを進捗させたり各種コンテンツを表示するために必要な処理を行う。このときコンテンツファイルにおける設定などに応じて、選択肢を表すアイコンなどのUIをコンテンツ画像に重ねて表示する。コンテンツ処理部24が行うGUI描画のための処理は、コンテンツ作成者の意図などに応じて一般的な技術を適用してよい。
【0024】
GUI配置制御部26は上述のとおり、操作情報変換部22からの通知に従い、GUIの間隔を広げるように配置を変化させたり元に戻したりする。間隔を広げる場合、操作情報変換部22から接触点の位置情報と、配置を変化させる対象となる複数のGUIの識別情報および位置情報を受け取る。GUIの識別情報はコンテンツファイル記憶部16に格納されたコンテンツファイルにおいてGUIの画像データと対応づけられている。
【0025】
そしてGUI配置制御部26は、配置変更後の各GUIの位置を、接触点の位置に基づき決定し、GUIの識別情報と対応づけて表示画像生成部30に通知する。配置を元に戻す場合は、内部のメモリなどに一時記憶させておいた各GUIの元の位置情報を、GUIの識別情報と対応づけて表示画像生成部30に通知する。配置を戻す場合を含め、GUIの配置を変化させる都度、GUI配置制御部26は各GUIの識別情報と変化後の位置情報を操作情報変換部22にも通知する。これにより操作情報変換部22は、自らが保持するGUIの位置情報を常に最新のものに更新し、接触点に対応するGUI、ひいては操作内容を正確に特定する。
【0026】
表示画像生成部30は、コンテンツ処理部24またはGUI配置制御部26からの要求に従い、出力すべき画像のデータを生成し、入出力制御部20に出力する。表示画像生成部30が生成する画像は、コンテンツ処理部24が処理した結果として新たに表示すべき画像、あるいはGUI配置制御部26が指定した位置へGUIを配置させた画像である。
【0027】
前者の場合、表示画像生成部30はコンテンツ処理部24からの指示に従い、コンテンツファイル記憶部16から必要な画像データを読み出すなどして新たな画像を描画する。後者の場合、表示画像生成部30は、通知された識別情報に対応するGUIの画像データをコンテンツファイル記憶部16から読み出し、指定された位置にGUIを移動させた画像を描画する。生成した画像は入出力制御部20内のフレームバッファに格納され、入出力制御部20が適当なタイミングでディスプレイ14に出力することにより表示される。
【0028】
図3はGUIの配置の変更前後の表示画像の例を示している。まず通常状態においてディスプレイ14に表示される画像40は、一例として仮想世界を表現しており、コンテンツの内容に応じてコンテンツ処理部24が情報処理を行った結果として表示される。この画像40において、選択できるアイテムなどがある場所が6つのアイコン42a、42b、42c、42d、42e、42fによって示されている。
【0029】
同図では円内に「1」〜「6」の番号がそれぞれ表示された図形をアイコン42a、42b、42c、42d、42e、42fとしているが、アイコンとして表示する情報や形は特に限定されず、コンテンツ作成時に適宜決定してよい。例えば選択対象のアイテムそのものの画像をアイコンとしたり名称を文字情報として表示したりしてもよい。またGUIはアイテムを選択するアイコンに限らず、情報処理装置10が提供する機能やファイルを選択するアイコンやボタンなど、ユーザの接触によって選択入力を受け付けるために選択肢を画像化したものであればその種類は限定されない。
【0030】
画像40において、ユーザが黒丸印で示す接触点44に接触したら、操作情報変換部22は、当該接触点44から所定範囲内に複数のアイコンが位置するか否かを判定する。例えば同図において、「1」〜「4」が表示された4つのアイコン42a、42b、42c、42dが当該範囲内にあると判定されたとする。するとGUI配置制御部26の制御のもと、間隔を広げるようにそれらのアイコン42a、42b、42c、42dの配置を変化させた画像46が表示される。なお配置を変化させる判定基準となる「所定範囲」はアイコンによって異なっていてもよい。具体例は後述する。
【0031】
画像46において4つのアイコン42a、42b、42c、42dは、接触点44を中心とした所定半径の円周48上に等間隔で配置される。すなわちアイコンの数Nに応じて円周48をN等分する位置に各アイコンを配置する。そして各アイコンには、元の画像40において当該アイコンが表示されていた場所を指す指針図形を付加する(例えばアイコン42aに対する指針図形50a)。指針図形はアイコンとその元の位置とを対応づける図形であればその形状は限定されず、同図に示す針状の図形のほか、矢印、直線、曲線などでもよい。指針図形が可能な限り交差しないように、各アイコンは円周48上、それぞれ元の位置に近い位置に配置することが望ましい。
【0032】
画像40から画像46への移行段階を、各アイコンが移動しつつ指針図形が伸張していくアニメーションにより表してもよい。なお元の画像40の接触点44に対する接触は一般的な「タッチ」としてなされる短時間の接触でよく、変化後の画像46が表示されている時点ではユーザは指を離していてよい。また接触点44の黒丸や円周48は説明のための図形であり画像として表示する主旨ではない。
【0033】
ただし演出上、接触点44や円周48を視認できるように画像に加工を施してもよい。例えば画像46において選択可能なアイコンを、移動させたアイコン42a、42b、42c、42dのみに限定する場合、これらのアイコンをその他のアイコンや画像より際だたせるために、円周48によって囲まれる円内の領域や円周48を中心線とする円形の帯状の領域にぼかし効果を加えたり単色で塗りつぶしたりしてもよい。また円周48の代わりに直線や、矩形、多角形、何らかのシンボルマークの外周などでもよい。さらに配置を変化させるアイコンの数が大きいほど円周48のサイズを大きくするなど、円周48のサイズを適応的に変化させてもよい。
【0034】
変化後の画像46が表示されている状態でユーザが円周48上のいずれかのアイコンに接触したら、操作情報変換部22は当該アイコンが選択されたと認識し、それに対応づけられた操作内容を特定することにより、コンテンツ処理部24が適宜情報処理を実行する。例えば当該アイコンが表すアイテムをズームアップしたり、アイコンに対応づけられたファイルの内容を表示したり別のプログラムを起動したりする。なお、画像40に対する接触点44への接触を始点とし、画像46への変化後の所望のアイコンへの接触を終点とする連続的な接触点の移動によって当該アイコンへの操作を一度に行えるようにしてもよい。
【0035】
一方、ユーザが画像46中、円周48上のアイコン以外の所定の領域、例えば円周48の外側の領域に接触したら、GUI配置制御部26の制御のもと、移動していたアイコンが元の位置に戻されることにより画像40が再び表示される。このとき画像46において、円周48上に移動させたアイコン以外のアイコンへの接触を無効とすると、元に戻す操作とアイコンの選択操作が混同しない。あるいは、元の接触点44の位置を視認できるように図形で表示させておき、当該図形への接触を元に戻す操作としてもよい。この場合、画像46において円周48の外側に存在するアイコンも選択対象とすることができる。
【0036】
図4は操作情報変換部22が複数のアイコンの配置を変化させるか否かを判定する手法を説明するための図である。同図において矩形60はスクリーン平面を表し、図3の画像40に表示された6つのアイコン42a、42b、42c、42d、42e、42fが同じように配置されているとする。操作情報変換部22は、コンテンツ処理部24がコンテンツ表示に係る処理によって決定した各アイコンのスクリーン座標系における位置座標を常時取得する。
【0037】
そして入出力制御部20から、タッチパネル12における接触点44の位置情報を取得すると、操作情報変換部22はそれをスクリーン座標系の位置座標に変換する。同図においてアイコン42a、42b、42c、42d、42e、42f、接触点44を円形の図形で表しているが、操作情報変換部22が保持する情報は、その円形の中心の座標などである。
【0038】
そして接触点44の座標を中心として所定の半径を有する円形の判定領域62を設定し、当該判定領域62内に位置座標が含まれるアイコンを検出する。すなわち当該半径をしきい値として接触点からの距離がしきい値以下のアイコンを検出する。このアイコンが複数個あったら、配置を変化させる必要があると判定し、GUI配置制御部26にその旨を通知する。同図の場合、アイコン42a、42b、42c、42dが検出され、図3に示すように円周上に等間隔で配置される。
【0039】
判定領域62の半径は、画面の大きさ、表示するアイコンの大きさ、平均的な指の大きさなどに応じて決定する。決定した情報をコンテンツファイルに含めることによりコンテンツに応じて変化させてもよい。なお好適には、判定領域62より、それを配置させる円周、例えば図3で示した円周48のサイズを大きくすることにより、密集したアイコンを展開するという目的により適った表示変化を印象づけることができる。
【0040】
図5はアイコンの配置を変化させるか否かを判定する別の手法を説明するための図である。図の表し方およびアイコンの配置は図4と同様である。この場合、操作情報変換部22は、コンテンツ処理部24から取得した各アイコンの座標に基づき、当該座標を中心とし所定の半径を有する判定領域を、個々のアイコンに対して設定する。同図においてアイコン42a、42b、42c、42d、42e、42fに対し、判定領域72a、72b、72c、72d、72e、72fがそれぞれ設定されている。
【0041】
そして接触点44の座標を判定領域内に含むアイコンを検出する。この場合も、判定領域の半径をしきい値として、接触点からの距離がしきい値以下のアイコンを検出していることになる。このアイコンが複数個あったら、配置を変化させる必要があると判定する。同図の場合もアイコン42a、42b、42c、42dが検出され円周上に等間隔で配置される。このような判定手法を適用する場合、判定領域の半径は、全てのアイコンで同一にしてもよいし、アイコンによって異ならせてもよい。例えば同図の「5」で表示されるアイコン42eの判定領域72eは、その他のアイコンの判定領域より大きい。
【0042】
判定領域を大きくすると、接触点からの距離が多少、離れていても、アイコン配置を変化させた後の画像において当該アイコンを選択対象に含めることができる。この性質を利用して、アイコンの選択頻度や重要度に応じて判定領域の大きさを異ならせることにより、選択対象となる機会を増減させることができ、選択効率が向上する。重要度などに応じて決定した各アイコンの判定領域の大きさに係る情報はコンテンツファイルに含めておく。またゲームの進捗度合いなどによってアイコンの重要度が変化するような場合は、判定領域の大きさにいくつかのパターンを設定しておき進捗度合いによって切り替えてもよい。
【0043】
このようにアイコンの重要度に応じて選択対象となる機会を増減させる態様は、図4の場合においても実現可能である。すなわち接触点を中心とする判定領域として大、小の2つのサイズを準備しておき、アイコンには重要度を対応づけておく。そして小さい方の判定領域内にある全アイコン、および、それ以外のアイコンのうち大きい方の判定領域内にある、重要度がしきい値以上のアイコンを選択対象とすることにより、接触点から多少離れていても重要度の高いアイコンを選択対象とすることができる。同様に、3つ以上のサイズの判定領域により多段階に判定してもよい。
【0044】
次にこれまで述べた構成によって実現できる情報処理装置10の動作について説明する。なお複数のGUIからの選択操作に係る処理以外の情報処理および画像表示処理は、コンテンツや操作内容によって様々考えられ、一般的な技術を用いて適宜実施できるため、ここでは説明を省略する。
【0045】
図6は情報処理装置10がGUIの選択入力を受け付ける処理手順を示すフローチャートである。まずユーザが、ディスプレイ14に表示されたメニュー画面からコンテンツを選択するなどして表示を開始する指示をタッチパネル12を介して入力すると(S10)、コンテンツ処理部24および表示画像生成部30は、コンテンツファイル記憶部16から必要なデータを読み出し、コンテンツの画像や必要なGUIの画像をディスプレイ14に表示させる(S12)。
【0046】
この状態で、ユーザがタッチパネル12に接触するのを待機する(S14のN)。このときGUIの選択受け付け処理以外のコンテンツに係る処理および表示更新が適宜行われていてよい。接触がなされたら、操作情報変換部22はそれを検知する(S14のY)。そして図4で説明した、接触点を囲む判定領域に対するGUIの位置座標の内外判定、あるいは図5で説明した、GUIを囲む判定領域に対する接触点の内外判定のいずれかを行い、接触点から所定範囲内に複数のGUIが存在するか否かを判定する(S16)。
【0047】
接触点の近傍に複数のGUIが検出されたら(S16のY)、GUI配置制御部26は接触点を中心とする円周上に等間隔に配置されるように各GUIの位置を決定し、表示画像生成部30が表示を更新する(S18)。このとき操作情報変換部22からは、接触点の位置座標、GUIの識別情報とともにGUIの元の位置座標が通知され、GUI配置制御部26はその位置座標を内部のメモリなどに一時的に記憶させる。
【0048】
GUIの配置が変更された画像においてユーザがいずれかのGUIを選択する接触を行ったら(S20のY)、操作情報変換部22はそれを検知し、選択されたGUIに対応する操作内容を特定してコンテンツ処理部24に通知することにより適宜対応する情報処理が実行される(S24)。一方、GUIの配置が変更された画像においてユーザがいずれのGUIも選択せず、その他の所定領域に接触したら(S20のN)、操作情報変換部22がその旨をGUI配置制御部26に通知することにより、GUIの配置を元に戻す(S22)。
【0049】
そしてその状態で次の接触操作を待機する(S14のN)。GUIを元に戻す際は、S18において内部メモリなどに記憶させておいた元の位置座標を参照すればよい。S16において接触点の近傍に一つのGUIのみが存在した場合は(S16のN)、当該GUIが選択されたものとみなし、操作情報変換部22は対応する操作内容を特定してコンテンツ処理部24に通知する。これにより適宜対応する情報処理が実行される(S24)。
【0050】
ユーザがコンテンツの表示を終了する指示入力を行わない間は(S26のN)、S14からS24の処理を繰り返し、表示を終了する指示入力がなされたら処理を終了する(S26のY)。S24の情報処理の結果、選択肢としてのGUIを表示させる必要がなくなった場合も同フローチャートに示す処理は終了する。
【0051】
以上述べた本実施の形態によれば、情報処理装置に備えられたディスプレイに表示した画像中のアイコンなど選択肢を表すGUIをタッチパネルへの接触によって選択する際、接触点近傍で複数のGUIが近接した状態を検出し、その間隔を広げた画像を表示する。そしてそのいずれかからの選択入力を改め受け付け、対応する処理を実行する。これにより、GUIが密集している状態が発生しても、ユーザの意図しないGUIの選択が認識されてしまったり、それを回避するために慎重な接触操作が強いられたり、といった状況がなくなり、選択操作が容易になる。
【0052】
接触が面によってなされ、接触点として検知されるポイントが比較的広範囲に分散しやすい指による操作ほど、また、GUIのサイズが制限されやすい小型の装置ほど、この構成によってより高い効果が見込める。またそのような画面サイズの変化によるGUIの配置への配慮の必要性が低くなるため、コンテンツ作成時の作成者側の負担も軽減される。
【0053】
接触点近傍で密集していた複数のGUIは、接触点を中心とした円周上に等間隔で配置され、それぞれ元の位置を示す指針図形が付加される。また選択操作を中断する場合はアイコン以外の領域に接触することにより、移動させていたGUIの配置を元に戻す。この円周上への移動および元の位置への復元は、接触点を中心とする限定的な領域内の変化であるため、ユーザが視点を大幅にずらすことなく変化を認識できるうえ、指針図形を表示させても煩雑にならない。結果として、当初選択しようとしていたGUIを見失うことなく確実かつ容易に選択できる。
【0054】
さらに、密集していると判定する拠り所となる判定領域を、GUIのサイズや画面サイズ、コンテンツ画像などに応じて適応的に設定することにより、必要以上のアイコンが移動したり意図したGUIが選択対象から外れたり、といった不具合の発生を抑えることができる。判定領域をアイコン側に設定することにより、アイコンの重要度などに応じてさらに細かい最適化が可能となる。
【0055】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0056】
例えば本実施の形態では、タッチパネルへのユーザの接触操作を入力情報として検知したが、ユーザが画面上の位置を指示点として入力できればタッチパネルへの接触操作でなくてもよい。例えば表示画面に表示させたポインタやアイコンなどを、マウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティックなどのポインティングデバイスで操作することにより表示画像中の位置を指定入力してもよい。
【0057】
またタッチパネルを導入するか否かに関わらず、入力情報として取得する位置は、本実施の形態で説明した接触点の位置座標のような「点」単位でもよいし、広がりのある領域単位でもよい。例えばポインタの移動により所望の領域を囲むように境界線を描画すると当該領域内の図形の一部などを選択領域とできる既存の技術を適用し、入力情報としてもよい。この場合、指定領域内に複数のGUIが存在するときに、当該GUIの間隔を広げるように配置を変化させる。このときの配置を形作る円の中心は、例えば指定領域の重心などとする。指定した領域内にあるGUIが1つのみであったら、当該GUIを直接選択したのと同様の処理としてもよい。
【0058】
さらに本実施の形態は、GUIの間隔を広げる方向に配置を変化させる態様であったが、目的によっては、分散したGUIの間隔を狭める方向に配置を変化させる処理も同様に実現できる。これを応用し、複数種類のGUIが混在しているとき、まずそれらを種類ごとにまとめることにより複数のGUI群を形成し、当該GUI群の単位で、図3に示したように等間隔で配置させてもよい。例えばGUIたる多数のゲームのキャラクターを移動させたり各自で移動したりした結果、キャラクターの種類が高密度で混在した状態となってしまい操作がしにくいような場合に、このように種類別に群を形成して配置し、当該群単位での移動などの操作を可能としてもよい。
【0059】
GUIの種類は、GUIの画像データなどと対応づけてあらかじめ設定しておく。GUI配置制御部26が当該対応情報に基づき、対象のGUIを分類すれば、その後の処理は本実施の形態と同様である。このような場合、領域単位での指定によって、まとめる対象のGUIが分散していてもそれらを自由に選択できる。このようにしてまとめた種類ごとに操作可能とすると、特にディスプレイのサイズが限定的な携帯端末など、密集した小さいGUIなどの1つ1つを操作するのが困難になりやすい装置では特に有効である。
【符号の説明】
【0060】
10 情報処理装置、 12 タッチパネル、 14 ディスプレイ、 16 コンテンツファイル記憶部、 20 入出力制御部、 22 操作情報変換部、 24 コンテンツ処理部、 26 GUI配置制御部、 30 表示画像生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが入力した、表示画像における指定位置に係る情報を取得し、前記表示画像において前記指定位置から所定範囲内にあるGUI(Graphical User Interface)を検出する機能と、
複数のGUIが検出された場合、前記表示画像におけるGUIの配置を変化させディスプレイに表示する機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記GUIを検出する機能は、前記指定位置との距離がしきい値以下であるGUIを検出し、
前記ディスプレイに表示する機能は、前記指定位置を中心とする円周上に、検出された複数のGUIを等間隔で配置することにより、GUI同士の間隔を広げることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記GUIを検出する機能はGUIごとに設定されたしきい値と前記指定位置との距離をGUIごとに比較することにより、前記指定位置から所定範囲内にあるGUIを検出することを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記GUIを検出する機能は、前記指定位置として指定された領域内にあるGUIを検出し、
前記ディスプレイに表示する機能は、検出された複数のGUIを設定された種類に応じて分類し、同類のGUIごとにまとめて配置することにより、GUIの種類ごとの操作を可能とすることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記ディスプレイに表示する機能は、GUIの配置を変化させた画像における、当該GUI以外の所定の領域内の位置を指定するユーザの入力に応じて、当該GUIの配置を元に戻すことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記ディスプレイに表示する機能は、配置を変化させたGUIの元の位置を指示する図形を、各GUIの図形に付加することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
ユーザが入力した、表示画像における指定位置に係る情報を取得し、前記表示画像において前記指定位置から所定範囲内にあるGUI(Graphical User Interface)を検出する操作情報取得部と、
前記操作情報取得部が複数のGUIを検出した場合、前記表示画像におけるGUIの配置を変化させるGUI配置制御部と、
配置を変化させたGUIに対するユーザの操作に応じて、当該GUIに対応する情報処理を実行する情報処理部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置において、ユーザが入力した、表示画像における指定位置に係る情報を取得し、前記表示画像において前記指定位置から所定範囲内にあるGUI(Graphical User Interface)を検出するステップと、
複数のGUIが検出された場合、前記表示画像におけるGUIの配置を変化させディスプレイに表示するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
ユーザが入力した、表示画像における指定位置に係る情報を取得し、前記表示画像において前記指定位置から所定範囲内にあるGUI(Graphical User Interface)を検出する機能と、
複数のGUIが検出された場合、前記表示画像におけるGUIの配置を変化させディスプレイに表示する機能と、
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109668(P2013−109668A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255504(P2011−255504)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】