説明

情報処理装置および情報処理方法

【課題】タッチパネルを用いて操作性のよい入力手段を実現させる。
【解決手段】基本倍率の画像40がディスプレイに表示されている状態で、ユーザが丸印で示す連打位置48に2回、所定時間内に接触したら、当該連打位置48を着目点50(バツ印)として4倍に拡大した画像42を表示する。さらに連打が継続し、3回目の接触がなされたときは、4倍の画像42をさらに4倍に拡大した画像44を表示する。ここで接触が3回目以後の拡大処理においては、連打位置54に関わらず、本来の着目点50を中心とする領域56を4倍に拡大した画像44を表示する。さらに連打が継続した場合も同様に、実際の連打位置60に関わらず、着目点50を中心とする領域62を拡大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示を伴う情報処理を行う情報処理装置、および当該装置で用いられる情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯ゲーム機、携帯電話、PDA(Personal Data Asistance)、タブレット端末など、携帯を想定した情報機器が普及している。このような機器はサイズ上の制約や携帯した際の利便性などの観点からその入力手段が制約される。結果として、これらの機器に特化した入力手段や機能が独自の発達を遂げてきた。
【0003】
その一端として近年では、ディスプレイにタッチパネルを搭載することにより表示と入力を同じ領域で行える装置が一般的になってきた。タッチパネルを導入すると、アイコンなどの対象物の選択や移動、ウェブページや文書の表示画面の拡大縮小、スクロール、ページめくりなどを、2次元平面にありながらあたかも現物があるかのように行うことができ、直感的な操作が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大きさに関わらず、情報機器に搭載される機能は多様化し続けている。そのような状況においては、必要な操作の種類が増えるほど操作手順を複雑化せざるを得なくなる。画面上にGUIを表示することも考えられるが、対象物を直接操作している感覚は得られにくいうえ、GUIのために本来の表示画像を小さくしたり隠蔽部分が発生したりすることになるため、表示対象によっては不向きな場合がある。そのため表示画像が見やすい状態で、操作手順を複雑化させることなく様々な操作を実現できるようにすることは、常に大きな課題である。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は表示画像に対する操作を良好に行うことのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は情報処理装置に関する。この情報処理装置は、ディスプレイに表示させた画像中、同じ位置とみなす所定範囲内の位置を指示するユーザの入力が所定時間内に複数回なされたことを連続指示操作として検知する操作情報取得部と、前記連続指示操作がなされたことが検知されたら、当該連続指示操作中の1回の指示入力ごとに前記ディスプレイに表示された画像を段階的に拡大する表示倍率制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の別の態様は情報処理方法に関する。この情報処理方法は、情報処理装置において、ディスプレイに表示させた画像中、同じ位置とみなす所定範囲内の位置を指示するユーザの入力が所定時間内に複数回なされたことを連続指示操作として検知するステップと、前記連続指示操作がなされたことが検知されたら、当該連続指示操作中の1回の指示入力ごとに前記ディスプレイに表示された画像を段階的に拡大するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、表示画像に対し良好な操作性を有する装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態における情報処理装置の外観例を示す図である。
【図2】本実施の形態における情報処理装置の構成を詳細に示す図である。
【図3】本実施の形態における連打操作と表示画像の倍率の関係を模式的に示す図である。
【図4】本実施の形態において連打操作によって拡大される表示画像の例を示す図である。
【図5】本実施の形態において拡大対象の領域が画像データの存在する領域からはみ出す場合の調整手法を説明するための図である。
【図6】本実施の形態において情報処理装置が画像の拡大、縮小処理を行う処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本実施の形態における情報処理装置の外観例を示している。情報処理装置10は携帯電話、PDA、携帯ゲーム機、タブレット端末など、表示機能とその他の情報処理機能を一体的に備えた装置のいずれでもよい。あるいは図1で示した情報処理装置10の外観を有する装置を表示および入力のための装置とし、その他の情報処理機能は当該装置と接続した別の筐体に設けるようにしてもよい。情報処理装置10は機能に応じた様々な処理機構を備えてよいが、それらは一般的な技術を利用できるため適宜説明を省略する。
【0012】
情報処理装置10は、ディスプレイ14が本体前面に配置され、その上面をタッチパネル12が覆う構成を有する。ディスプレイ14の背面にはCPU、グラフィックプロセッサ、サウンドプロセッサ、メモリなど各種情報処理に必要な機構が内蔵されている(図示せず)。ディスプレイ14は液晶ディスプレイ、EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなど一般的なディスプレイのいずれかでよい。
【0013】
タッチパネル12は抵抗膜方式、光学式、静電容量結合式など実用化されている方式のいずれかで実現し、指7やタッチペンなどによる接触点を検知する。情報処理装置10はそのほか、音声を出力するスピーカ、イヤホン接続端子、他の装置との通信を行う赤外線ポートや無線LANの機構、電池ボックスなどを備えてよいが、ここでは図示を省略している。ディスプレイ14には、メニュー画面、アイコンなどユーザの操作入力に必要な画面、情報処理の結果であるゲーム画面、動画再生画面、テキスト表示画面、静止画表示画面などを情報処理装置10の機能に応じて表示する。
【0014】
図2は情報処理装置10の構成を詳細に示している。情報処理装置10は上述したタッチパネル12、ディスプレイ14のほか、コンテンツのプログラムや各種データを記憶したコンテンツファイル記憶部16、タッチパネル12からの入力信号受信、画像データのディスプレイ14への出力を制御する入出力制御部20、タッチパネルからの入力信号を操作内容の情報に変換する操作情報変換部22、操作内容に応じてコンテンツを処理するコンテンツ処理部24、表示中の画像の倍率を制御する表示倍率制御部26、および表示画像を生成する表示画像生成部30を含む。
【0015】
図2において、様々な処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、コンテンツを処理したり画像処理を行うプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0016】
入出力制御部20は既存の方法で、タッチパネル12およびディスプレイ14と接続し、データの入出力を制御する。タッチパネル12から受信する入力信号は、タッチパネル12上でユーザが触れた接触点の座標、接触点が連続的に移動したときの座標の移動経路などを表す。タッチパネル12における接触点の検知手法はその方式によって異なるためここでは言及しない。入出力制御部20はまた、ディスプレイ14に表示画像のビデオ信号を出力する。
【0017】
コンテンツファイル記憶部16は、ユーザによるタッチパネル操作などに応じ、コンテンツ表示に係る情報処理を行うのに必要な各種データを格納する。ここで「コンテンツ」は、コンピュータゲーム、映画、音楽、小説、写真、地図、ウェブページなど、電子的な処理により表現が可能な対象であればその種類やデータの格納経路は限定されない。なお本実施の形態は、一般的な「コンテンツ」以外に、通信、スケジュール管理、住所録、表計算など一般的な情報処理に対しても適用できるが、以下の説明ではそれらも含め全て「コンテンツ」とする。
【0018】
例えばコンテンツがゲームであれば、コンテンツファイル記憶部16はそのプログラム、プレイヤーの情報、前回のプレイ時の到達レベルなどの情報を記憶する。コンテンツが映画や音楽であれば、圧縮符号化されたビデオデータ、オーディオデータと、それを復号再生するためのプログラムなどを記憶する。コンテンツファイル記憶部16は、ハードディスクドライブでもよいし、メモリカード、ROMディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどのリムーバブル記録媒体とそれに対応した読み取り装置との組み合わせでもよい。
【0019】
操作情報変換部22は、タッチパネル12からの入力信号を入出力制御部20から取得し、当該信号に含まれる接触点の座標に基づき、ユーザが意図した操作内容を特定する。例えば表示画像中にGUI(Graphical User Interface)をオンスクリーン表示している場合は、接触点の座標とGUIの位置との対応関係に基づき、接触対象のGUIに対応する操作内容を特定し、コンテンツ処理部24に通知する。
【0020】
また操作情報変換部22は、表示中のコンテンツ画像に対し連打する操作がなされたか否かを判定し、連打がなされた場合は表示倍率制御部26にその旨を通知する。ここで「連打」とは、タッチパネル12において所定の誤差範囲を考慮して同じ位置とみなされる領域内を所定時間以内の間隔で複数回触れる操作をいう。当該誤差範囲や連打とみなす時間間隔は実験などによりあらかじめ定めておく。
【0021】
コンテンツ処理部24は、コンテンツファイル記憶部16が記憶するプログラムや画像データなどを用い、操作内容に応じてゲームを進捗させたり動画や音楽を再生するために必要な処理を行う。具体的な処理手順はコンテンツの内容によって既存の技術を適用できる。
【0022】
表示倍率制御部26は、操作情報変換部22から連打がなされた旨の通知を受け取ると、当該連打時の接触回数に応じて次に表示する画像の表示倍率を決定する。また連打位置に応じて新たに表示すべき領域を決定する。そのため表示倍率制御部26は、接触回数と表示倍率とを対応づけた倍率規則テーブル28を内部メモリなどに保持する。基本的には、ディスプレイ14に表示された画像中のいずれかの箇所を連打すると、接触回数の増加とともに当該箇所をズームアップするように画像の倍率を段階的に増加させる。倍率規則テーブル28は実行するコンテンツに応じて変化させてもよい。そのためコンテンツファイルとともに提供されてもよい。
【0023】
表示画像生成部30は、コンテンツ処理部24または表示倍率制御部26からの要求に従い、出力すべき画像のデータを生成し、入出力制御部20に出力する。表示画像生成部30が生成する画像は、コンテンツ処理部24が処理した結果として新たに表示すべき画像、あるいは表示中の画像を表示倍率制御部26が決定した倍率に拡大、縮小した画像である。
【0024】
前者の場合、表示画像生成部30はコンテンツ処理部24からの指示に従い、コンテンツファイル記憶部16から必要な画像データを読み出すなどして新たな画像を描画する。後者の場合、表示画像生成部30は、表示倍率制御部26から倍率の情報および表示すべき領域の情報を受け取り、既存の技術により表示中の画像の拡大、縮小処理を行う。生成した画像は入出力制御部20内のフレームバッファに格納され、入出力制御部20が適当なタイミングでディスプレイ14に出力することにより表示される。
【0025】
図3は本実施の形態における連打操作と表示画像の倍率の関係を模式的に示している。図中、左列に示す時間軸上、時刻T1、T2、T3、・・・、Tnにおける矩形がタッチパネル12への接触タイミングを表す。時刻T1およびT2において同じ位置と見なされる所定範囲内の点への接触が所定時間ΔT以内に2回なされたことにより、連打操作であることが判定される。それとともに、図中、中列に示すように、所定の基本倍率(1倍)で表示されている表示画像を次の段階の倍率、N倍に拡大する(S1)。ここで表示される画像は、少なくとも連打した箇所を含むようにする。すなわちユーザは、画像のうち特に注目したい場所を連打することで当該場所を拡大表示させることができる。
【0026】
さらに時刻T2における接触から所定時間ΔT以内の時刻T3に、タッチパネル12上で同じ位置と見なされる点への次の接触があった場合、次の段階の倍率、N倍に表示画像を拡大する(S2)。ここでN<Nである。さらに連打が続いたら同様の拡大処理を繰り返す(S3、・・・)。そして時刻Tnで所定の最大倍率Nmax倍まで到達したら、それ以後は連打を継続しても拡大しない。このような接触回数とそれに対する表示倍率との関係、および最大倍率は倍率規則テーブル28に記載しておく。なお連打とみなす制限時間ΔTは全ての接触において同一としてもよいし、連打操作の開始が判定される1回目と2回目の接触における制限時間ΔTをその後の接触の制限時間より短くするなど、接触回数によって変化させてもよい。
【0027】
最大倍率に至る前に連打が終了したら、すなわち所定時間ΔT以内に次の接触がなかったら、その時点での表示倍率を維持する。また、基本倍率以外の倍率で画像が表示されている状態において新たに連打操作がなされた場合は、基本倍率に戻す方向、すなわち縮小方向の処理を行う。このとき接触回数によらず少なくとも連続した2回の接触によって基本倍率まで直接戻してもよいし(S5)、拡大方向の処理と同様、接触回数に応じて段階的に倍率を減少させていってもよい(S7、S8、S9)。
【0028】
あるいは、基本倍率と最大倍率以外の倍率で表示が維持されている状態において新たに連打操作がなされたときに、拡大方向、縮小方向のどちらの変化も可能とするように、連打操作に別の規則を設けてもよい。例えば倍率を上げるときは着目したい箇所の指定が必要であるが、倍率を下げるときは倍率を上げたときと逆に表示領域を戻せばよい場合が考えられる。
【0029】
このような場合は、画面の端などに倍率を下げるための領域を設けたりGUIを表示したりして、当該領域を連打することで縮小方向に表示を戻し、それ以外の画像上の箇所を連打したときは当該箇所を拡大するようにしてもよい。この態様においては、拡大方向の操作時における表示領域の履歴を保存しておき、縮小方向の操作時は当該履歴を参照して表示を戻せばよい。拡大時の履歴を参照して表示を戻す処理は、同図S7〜S9について説明した、縮小処理のみを段階的に行う場合についても同様としてよい。縮小処理を段階的に行うか否かや、拡大方向、縮小方向を決定づけるための規則などもまた、倍率規則テーブル28に記載しておく。なお情報処理装置10の背面に図示しないタッチパネルをさらに搭載し、背面への接触時には縮小するようにしてもよい。この場合も、上述したのと同様、2回の接触によって基本倍率まで直接戻してもよいし、拡大方向の処理と同様、接触回数に応じて段階的に倍率を減少させていってもよい。
【0030】
また同図に示すように2回目の接触以後は1回の接触ごとに拡大していく代わりに、常時N回(Nは2以上の整数)の連続的な接触ごとに拡大するようにしてもよい。この場合、「N回の連続的な接触操作」を判定するための制限時間および同じ位置と見なす範囲と、「N回の連続的な接触操作を連続的に行う操作」を判定するための制限時間および同じ位置と見なす範囲とを準備し、双方の操作が、制限時間内で同じ位置とみなす範囲になされているときに1段階ずつ拡大していく。縮小処理も同様である。
【0031】
図4は連打操作によって拡大される表示画像の例を示している。同図は、連打中の1回の接触に対し4倍、16倍、・・・と拡大していく例を示している。まず基本倍率の画像40がディスプレイ14に表示されている状態で、ユーザが丸印で示す連打位置48に2回、所定時間内に接触したら、当該連打位置48を着目点50(バツ印)として4倍に拡大した画像42を表示する。
【0032】
このとき表示される画像42は、元の画像40において着目点50を中心とし、縦方向、横方向に画面の1/2の大きさを有する領域46を4倍に拡大したものとする。このようにすることで、着目箇所を画面中央に配置させて拡大することができる。さらに連打が継続し、3回目の接触がなされたときは、4倍の画像42をさらに4倍に拡大した画像44を表示する。
【0033】
ただし倍率が4倍の画像42においては、本来の着目点50が画面中央に位置しているため、連打位置54がタッチパネル12の中央にない限り、着目点50は連打位置54からずれることになる。この状態で連打位置54を画像の中心として拡大表示してしまうと、本来の着目点50が中央に表示されないばかりか画面からはみ出してしまうことも考えられる。
【0034】
そこで接触が3回目以後の拡大処理においては、連打位置54に関わらず、本来の着目点50を中心とする領域56を4倍に拡大した画像44を表示する。このため、連打が開始されたときの画像、同図の例では基本倍率の画像40上における連打位置48の座標を着目点50の座標として記録しておく。そして3回目以後の接触時は、当該座標を中心とする領域を拡大する。さらに連打が継続した場合も同様に、実際の連打位置60に関わらず、着目点50を中心とする領域62を拡大する。
【0035】
ここで連打位置や次の段階の表示倍率によっては、上記の規則によって決定した拡大対象の領域(領域46、56、62など)が画像データが存在する領域からはみ出てしまう場合が考えられる。図5はそのような場合に行う拡大対象の領域の調整手法を説明するための図である。画像40は図4の画像40に対応しその外側に画像データが存在しないとする。この画像に対し、図4で示した着目点50より画像の端に近い着目点74を連打位置72とした場合、当該位置を中心とする、画面の1/4の大きさの領域は領域76となり、画像40からはみ出してしまう。
【0036】
そこで、画像データの存在しない領域が含まれないように拡大対象の領域を調整する。同図の場合、画像40からはみ出した領域76の右および下の辺を、画像40の右および下の辺に一致させるようにシフトした領域78を拡大対象とする。はみ出す辺の位置や数によらず同様に調整することにより、拡大対象の領域を画像データの存在する領域内に収める。このとき拡大後の画像における着目点は画面中央に位置しないことになる。
【0037】
しかし上記のとおり、連打が開始されたときの画像における連打位置の座標に基づき次の拡大対象の領域を決定することにより、着目点を可能な範囲で画面の中央付近に表示させることができる。また拡大が進み、はみ出した領域76が発生しなくなれば自ずと着目点は画面中央に配置される。あるいは別の態様として、着目点50を画面中央に移動させず、常に連打位置と着目点が一致するように拡大してもよい。この場合は、表示画像に対する連打位置の相対的な位置関係を常に踏襲するように、拡大対象の領域を決定すればよい。
【0038】
すなわち画面平面を構成する正規化座標系における着目点の座標を固定した状態で、表示領域の大きさのみを図4と同様に変化させていくことにより、着目点は画面上の同じ位置に表示される。この場合、原理的には連打する位置と着目点は一致した状態で拡大、縮小がなされることになる。そのため連打中の接触点の位置を接触の都度取得して着目点としてもよいし、上記態様と同様、連打が開始されたときの連打位置の座標を着目点の固定位置としてもよい。この態様において、着目点を途中で変更して拡大したあと当該着目点を固定として縮小するような場合に、画像データの存在しない領域が表示対象に含まれた際は、図5で説明したのと同様に表示対象の領域を調整すればよい。
【0039】
次にこれまで述べた構成によって実現できる情報処理装置10の動作について説明する。なおタッチパネル12の連打操作による画像拡大、縮小処理以外の情報処理および画像表示処理は、コンテンツや操作内容によって様々考えられ、一般的な技術を用いて適宜実施できるため、ここでは説明を省略する。
【0040】
図6は情報処理装置10が画像の拡大、縮小処理を行う処理手順を示すフローチャートである。まずユーザが、ディスプレイ14に表示されたメニュー画面からコンテンツを選択するなどして表示を開始する指示をタッチパネル12を介して入力すると(S10)、コンテンツ処理部24および表示画像生成部30は、コンテンツファイル記憶部16から必要なデータを読み出し初期画像をディスプレイ14に表示させる(S12)。
【0041】
この状態で、ユーザがタッチパネル12に対し連打操作を行うのを待機する(S14のN)。このときコンテンツに係るその他の操作および表示更新が適宜行われていてよい。連打が開始されたら、すなわち2回の接触が所定時間内になされたら(S14のY)、操作情報変換部22はそれを検知し、表示倍率制御部26にその旨を通知する。表示倍率制御部26は、表示中の画像が基本倍率であれば(S16のY)、タッチパネル12上の連打位置を表示中の画像上の座標に変換し着目点の座標としてレジスタなどに記憶させる(S18)。
【0042】
そして表示倍率制御部26の制御のもと、表示画像生成部30は、当該着目点を中心とする領域を、倍率規則テーブル28に従い一段階、拡大した画像を生成し、ディスプレイ14に表示させる(S20)。この時点での着目点は連打位置と一致する。また上記のとおり着目点を中心とすると元の画像からはみ出してしまう場合は、はみ出さない位置で拡大領域を決定する。所定時間内に3回目の接触があった場合は(S24のY)、レジスタに記憶させた着目点の座標を参照し、当該着目点を中心とする領域をさらに一段階、拡大表示する(S20)。
【0043】
以後、連打が終了するまで拡大処理を繰り返す(S24のY、S20)。ただし最大倍率まで拡大されたらそれ以上の拡大処理は行わない。連打が終了したら(S24のN)、表示終了の指示入力がなされない間は(S26のN)、S14に戻り連打操作がなされるのを待機する。一方、連打が開始された時点での画像が基本倍率の画像でなかったら(S14のY、S16のN)、基本倍率へ戻すように画像を縮小する(S22)。その後は拡大操作の場合と同様、次の連打を待機する(S26のN、S14)。
【0044】
S22の縮小処理は上述のとおり、拡大方向の画像の変遷を逆に辿るように段階的に縮小してもよいし、2回の接触で基本倍率まで戻してもよい。ユーザがコンテンツの表示を終了する指示入力を行ったら処理を終了する(S26のY)。なお上述のように、基本倍率や最大倍率以外の倍率から拡大、縮小の両方向の操作を連打の位置などによって選択できるようにする場合は、S16の分岐を当該連打位置など別の判定基準で行ってもよい。そして拡大方向の操作の場合はS18へ、縮小方向の操作の場合はS22へ処理を分岐する。
【0045】
以上述べた本実施の形態によれば、情報処理装置に備えられたディスプレイに画像を表示し、当該ディスプレイを覆うタッチパネルに対する連打操作で画像の拡大および縮小を実現する。具体的には連打とみなされる一連の接触回数に応じて段階的に画像を拡大する。これによりGUIを表示しないシンプルな表示態様における単純な操作で、着目点を明確にしながら所望の倍率まで徐々に変化させていくことができ、ユーザが望む画像へ効率よく到達させることができる。
【0046】
また連打を開始した位置を着目点として画面中央に位置するように拡大し、以後の連打期間では連打位置によらず当該着目点の部分を段階的に拡大していく。これにより着目点の周囲を均等に表示範囲に収めることができる。また拡大によって画面における着目点の位置が変化しても、その場所を確認することなく単にタッチパネル上の同じ位置の連打を継続するのみで当初の着目点の拡大を進めていくことができる。あるいは着目点を画面上で移動させずに拡大する。この場合、画面に対する視線を移すことなく着目部分の拡大画像を容易に確認できる。
【0047】
連打操作において一段階で拡大する倍率、最大倍率、何段階で最大倍率とするか、縮小する際の手順などをテーブルで保持し、表示するコンテンツに応じて適切に準備したり、ユーザが調整可能とすることにより、コンテンツおよびユーザの嗜好の双方に適応させた拡大、縮小処理が実現できる。
【0048】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0049】
例えば本実施の形態では、タッチパネルへのユーザの接触操作を入力情報として検知したが、ユーザが画面上の位置を指示点として入力できればタッチパネルへの接触操作でなくてもよい。例えば表示画面に表示させたポインタやアイコンなどを、マウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティックなどのポインティングデバイスで操作することにより表示画像中の位置を指示する入力を行ってもよい。この場合、例えば表示画像の所望の位置にポインタを移動させ、一般的な連続クリック操作と同様、ポインティングデバイスに具備された所定のボタンを連続で押下することにより、本実施の形態における連打操作に対応する連続指示操作を行うことができる。その後の処理は本実施の形態と同様である。
【符号の説明】
【0050】
10 情報処理装置、 12 タッチパネル、 14 ディスプレイ、 16 コンテンツファイル記憶部、 20 入出力制御部、 22 操作情報変換部、 24 コンテンツ処理部、 26 表示倍率制御部、 28 倍率規則テーブル、 30 表示画像生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイに表示させた画像中、同じ位置とみなす所定範囲内の位置を指示するユーザの入力が所定時間内に複数回なされたことを連続指示操作として検知する機能と、
前記連続指示操作がなされたことが検知されたら、当該連続指示操作中の1回の指示入力ごとに前記ディスプレイに表示された画像を段階的に拡大する機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記拡大する機能は、前記連続指示操作が開始された時点において指示された位置を着目点として記憶し、一連の連続指示操作中はその後の指示位置によらず、当該着目点を中心とした画像上の領域を段階的に拡大することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記拡大する機能は、表示画像が拡大された状態において新たに連続指示操作がなされたことが検知されたら、所定の基本倍率に縮小することを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記拡大する機能は、前記連続指示操作によって表示画像を段階的に拡大する際、表示領域の履歴を記憶し、表示画像が拡大された状態において新たに連続指示操作がなされたことが検知されたら、当該連続指示操作中の1回の指示入力ごとに、前記履歴を逆に辿るように表示画像を段階的に縮小することを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記拡大する機能は、表示画像が拡大された状態において新たに連続指示操作がなされたことが検知されたら、指示位置に応じて、同連続指示操作によって表示画像を拡大するか縮小するかを決定することを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記拡大する機能は、前記連続指示操作に応じて所定の最大倍率まで拡大したら連続指示操作が継続しているか否かに関わらず拡大処理を停止することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
ディスプレイに表示させた画像中、同じ位置とみなす所定範囲内の位置を指示するユーザの入力が所定時間内に複数回なされたことを連続指示操作として検知する操作情報取得部と、
前記連続指示操作がなされたことが検知されたら、当該連続指示操作中の1回の指示入力ごとに前記ディスプレイに表示された画像を段階的に拡大する表示倍率制御部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置において、ディスプレイに表示させた画像中、同じ位置とみなす所定範囲内の位置を指示するユーザの入力が所定時間内に複数回なされたことを連続指示操作として検知するステップと、
前記連続指示操作がなされたことが検知されたら、当該連続指示操作中の1回の指示入力ごとに前記ディスプレイに表示された画像を段階的に拡大するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
ディスプレイに表示させた画像中、同じ位置とみなす所定範囲内の位置を指示するユーザの入力が所定時間内に複数回なされたことを連続指示操作として検知する機能と、
前記連続指示操作がなされたことが検知されたら、当該連続指示操作中の1回の指示入力ごとに前記ディスプレイに表示された画像を段階的に拡大する機能と、
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109669(P2013−109669A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255505(P2011−255505)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】