説明

情報処理装置および情報処理装置の制御方法、ならびに、プログラム

【課題】USBホストコントローラが搭載された装置の省電力化をより効率的に行う。
【解決手段】低電力モード時における動作要否を設定する動作要否情報と、USB機器の識別情報とを関連付けた設定テーブルを予め作成する。低電力モードへの移行時に、USBホストコントローラに接続されているUSB機器から識別情報を取得し、取得した識別情報に対応する設定テーブルのエントリにおける動作要否情報を確認する。接続される全てのUSB機器について、動作要否情報が動作否に設定されている場合、USBホストコントローラに対する電源供給を停止する。一方、接続されるUSB機器のうち少なくとも1つのUSB機器の動作要否情報が動作要に設定されている場合、USBホストコントローラに対する電源供給を継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器を挿抜可能に接続するインターフェイスを有する情報処理装置および情報処理装置の制御方法、ならびに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子機器同士を接続する方法として、ホストマシンと複数の周辺機器(デバイス)との間をシリアル通信で接続する、USB(Universal Serial Bus)接続が普及している。USBは、活線挿抜が可能なインターフェイス規格であり、機器の動作中における抜き取りや接続が可能となっている。
【0003】
このUSBが広く普及したことを受けて、レーザプリンタといった単機能の画像形成装置や、スキャナ機能、複写機能、印刷機能およびFAX機能といった複数の機能を1台の筐体で実現するMFP(Multi Function Printer)といった画像形成装置においても、USBホストインターフェイスが搭載されることが多くなってきている。これらの画像形成装置では、例えば、IC(Integrated Circuit)カードリーダといった常時接続して用いるようなオプション装置や、フラッシュメモリなどの一時的に接続して用いるようなデバイスが、外部機器としてUSB接続される。
【0004】
一方、近年では、画像形成装置に対し、消費電力を低くしたいという要求が高まっている。一般的に、画像形成装置では、印刷などの画像形成動作を行っていない待機状態において、画像形成装置内において各種デバイスに対する電源供給を停止することで、消費電力を抑えた低電力モードを実現している。
【0005】
この低電力モードにおいては、画像形成装置に搭載されるUSBホストコントローラに対しても、動作が必要ない場合に電源供給を停止させて消費電力を抑えられることが好ましい。特許文献1には、USBホストコントローラにUSBデバイスが接続されているか否かに応じて、USBホストコントローラを停止させるか否かを判定する技術が開示されている。特許文献1によれば、USBデバイスが接続されていない場合にUSBホストコントローラを停止させることができるため、省電力を実現できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、USBホストコントローラ接続可能な機器であるUSB機器には、様々な種類がある。上述した画像形成装置のUSBホストコントローラに接続するUSB機器としては、例えば、個人認証を行うためのICカードリーダや、画像データなどを保存するためのフラッシュメモリなどが考えられる。
【0007】
このように、多くの種類のUSB機器が接続可能である場合、接続されるUSB機器の種類に応じて低電力モードにおける動作の要否が異なることが考えられる。例えば、ICカードリーダは、低電力モードにおいて動作していることが望ましい。一方、フラッシュメモリは、低電力モードにおいて動作している必要が無い。
【0008】
しかしながら、従来では、このような、低電力モードの要否をUSB機器毎に判定することが困難であるという問題点があった。例えば、上述した特許文献1では、USBホストコントローラに対してUSB機器が一つでも接続されていれば、USBホストコントローラの機能を有効としており、USB機器毎にUSBホストコントローラの機能の有効/無効を判定するものではなかった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、USBホストコントローラが搭載された装置の省電力化をより効率的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、動作モードとして、動作の必要の無い部分に対する電源の供給を制限する低電力モードを持つ情報処理装置であって、外部機器との間の通信を制御する通信制御手段と、外部機器を識別する識別情報と、低電力モードでの外部機器の動作要否を示す動作要否情報とを関連付けて予め記憶するテーブルと、低電力モードへの移行時に、通信制御手段に接続された外部機器から識別情報を取得し、テーブルに基づき、識別情報に対応する動作要否情報が動作否を示す場合に、通信制御手段に対する電源の供給を制限し、動作要否情報が動作要を示す場合に、通信制御手段に対する電源の供給を継続するように制御する電源制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、動作モードとして、動作の必要の無い部分に対する電源の供給を制限する低電力モードを持つ情報処理装置の制御方法であって、情報処理装置は、外部機器との間の通信を制御する通信制御手段と、外部機器を識別する識別情報と、低電力モード時での外部機器の動作要否を示す動作要否情報とを関連付けて予め記憶するテーブルとを備え、電源制御手段が、低電力モードへの移行時に、通信制御手段に接続された外部機器から識別情報を取得する取得ステップと、電源制御手段が、テーブルに基づき、取得ステップで取得された識別情報に対応する動作要否情報が動作否を示す場合に、通信制御手段に対する電源の供給を制限し、動作要否情報が動作要を示す場合に、通信制御手段に対する電源の供給を継続するように制御する電源制御ステップとを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、動作モードとして、動作の必要の無い部分に対する電源の供給を制限する低電力モードを持つ情報処理装置を制御するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、情報処理装置は、外部機器との間の通信を制御する通信制御手段と、外部機器を識別する識別情報と、低電力モード時での外部機器の動作要否を示す動作要否情報とを関連付けて予め記憶するテーブルとを備え、低電力モードへの移行時に、通信制御手段に接続された外部機器から識別情報を取得する取得ステップと、テーブルに基づき、取得ステップで取得された識別情報に対応する動作要否情報が動作否を示す場合に、通信制御手段に対する電源の供給を制限し、動作要否情報が動作要を示す場合に、通信制御手段に対する電源の供給を継続するように制御する電源制御ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、USBホストコントローラが搭載された装置の省電力化をより効率的に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に適用可能な情報処理装置としての画像形成装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に適用可能な画像形成装置の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。
【図3】図3は、デバイスディスクリプタを示す略線図である。
【図4】図4は、コンフィグレーションディスクリプタを示す略線図である。
【図5】図5は、インターフェイスディスクリプタを示す略線図である。
【図6】図6は、エンドポイントディスクリプタを示す略線図である。
【図7】図7は、ディスクリプタ取得処理の一例のシーケンスを示すシーケンス図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施形態による設定テーブルの一例の構成を示す略線図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施形態による、低電力モードに移行する際の一例の処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の第1の実施形態による、低電力モード時に移行した場合の電源制御について説明するためのブロック図である。
【図11】図11は、本発明の第1の実施形態による、低電力モード時に移行した場合の電源制御について説明するためのブロック図である。
【図12】図12は、低電力モードに移行処理中に新規接続USB機器の認識処理を保留にする場合の第1のシーケンスの例を示すシーケンス図である。
【図13】図13は、低電力モードに移行処理中に新規接続USB機器の認識処理を保留にする場合の第2のシーケンスの例を示すシーケンス図である。
【図14】図14は、本発明の第1の実施形態の変形例による設定テーブルの一例の構成を示す略線図である。
【図15】図15は、本発明の第2の実施形態による、低電力モードに移行する際の一例の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る情報処理装置としての画像形成装置の実施形態を詳細に説明する。本発明に係る情報処理装置は、低電力モードにおける各USB機器の動作要否を設定するための情報を設定テーブルとして予め記憶している。そして、低電力モードへの移行時に、接続されたUSB機器の識別情報を取得して設定テーブルを参照し、接続されたUSB機器のうち、少なくとも1つが低電力モード時に動作要に設定されている場合に、USBホストコントローラに対する電源の供給を継続し、全て低電力モード時に動作否である場合には、USBホストコントローラに対する電源の供給を制限する。低電力モードにおいて、低電力モード時に動作している必要のあるUSB機器が接続されている場合にのみ、USBホストコントローラに対して継続して電源供給がなされるため、効率的に省電力化を行うことができる。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に適用可能な情報処理装置としての画像形成装置1の一例の構成を示す。制御部10において、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)20に対して、CPU(Central Processing Unit)21と、RAM(Random Access Memory)22と、HDD(Hard Disk Drive)23と、PCI(Peripheral Component Interconnect Bus)バス15および30とが接続される。
【0017】
PCIバス30に対して、例えばシリアルI/F40と、NIC(Network Interface Card)41と、USBデバイス42と、USBホストコントローラ43とが接続されると共に、その他のH/W(ハードウェア)44が接続される。
【0018】
ASIC20は、CPU21と、RAM22、HDD23およびPCIバス30との間の通信の調停を行う。HDD23は、各種データや、CPU21が動作するためのプログラムが予め格納される。CPU21は、HDD23に格納されるプログラムに従い、RAM22をワークメモリとして用いて、この画像形成装置1の全体の動作を制御する。このとき、プログラムの動作に伴い生成される中間データをHDD23に一時的に格納してもよい。また、HDD23は、後述する、PCIバス15を介して供給される画像データなどを格納する。また、ユーザ操作に応じた操作部14からの制御信号が、ASIC20を介してCPU21に供給される。これにより、ユーザ操作に応じた画像形成装置1の制御が可能となる。
【0019】
シリアルI/F40は、例えばRS−232Cといったシリアル通信のためのインターフェイスである。NIC41は、インターネットやLAN(Local Area Network)に対する通信を制御する。USBデバイス42は、この画像形成装置1に内蔵され、固定的に用いられるUSB機器である。以下では、画像形成装置1において内部的に接続され固定的に用いられるUSB機器をUSBデバイス42と呼び、後述する、USBホストコントローラ43により画像形成装置1に対して外部的に接続されるUSB機器2a、2bと区別する。
【0020】
USBホストコントローラ43は、USBによるバスの管理を行う。USBホストコントローラ43は、複数のUSB機器2a、2bを接続することができる。USBホストコントローラ43は、USB機器2a、2bが接続されると、接続されたこれらUSB機器2a、2bに対してバスアドレスを動的に割り当てると共に、USB機器2a、2bと通信を行い、当該USB機器2a、2bからディスクリプタと呼ばれる情報を取得する。
【0021】
本第1の実施形態のUSBホストコントローラ43として適用可能なハードウェアとしては、EHCI(Enhanced Host Controller Interface)やOHCI(Open Host Controller Interface)が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0022】
PCIバス15に対して、スキャナ装置11、プロッタ装置12およびFAX制御ユニット13が接続される。スキャナ装置11は、原稿画像を読みとって画像データとして出力し、PCIバス15およびASIC20を介してCPU21に供給され、HDD23に格納される。プロッタ装置12は、例えばHDD23から読み出された画像データがASIC20およびPCIバス15を介して供給され、この画像データに基づき用紙に対して印字処理を行う。FAX制御ユニット13は、例えば公衆電話回線と接続され、スキャナ装置11で読み取った原稿画像を、指定した送信先に送信する。
【0023】
PCIバス15に対して、さらに、電源ユニット50が接続される。電源ユニット50は、CPU21の制御に従い、この画像形成装置1の各部に電源を供給する。このとき、この画像形成装置1の動作モードが省電力動作を行う低電力モードである場合、電源ユニット50は、画像形成装置1の各部のうち、CPU21の指示に従い低電力モードにおいて動作を行わないように定められた部分に対する電源の供給を制限する。例えば、操作部14に対する低電力モードへの移行を指示するユーザ操作、この画像形成装置1に対して所定の時間操作がなされない場合、予め指定された時刻などにより、この画像形成装置1が低電力モードに移行される。
【0024】
図2は、図1に示した画像形成装置1の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。なお、図2において、上述の図1と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。画像形成装置1において、スキャナ装置11、プロッタ装置12、FAX制御ユニット13およびその他H/W44は、画像形成装置1に装着されるハードウェアであるエンジン制御ボード130に接続され、エンジンI/F102を介してOS(Operating System)100と通信を行う。
【0025】
汎用のOSであるOS100と、後述するアプリケーションからの処理要求を解釈してハードウェア資源の獲得要求を発生させるコントロールサービスと、1または複数のハードウェア資源の管理を行い、コントロールサービスからの獲得要求を調停する図示されないシステムリソースマネージャとを含んでプラットフォームが構成される。
【0026】
コントロールサービスは、図2の例では、システム全体の制御を提供するシステム制御サービス120と、FAX制御ユニット13の制御を提供するFAX制御サービス123と、スキャナ装置11およびプロッタ装置12の制御を提供するエンジン制御サービス124と、メモリ(RAM22およびHDD23)の制御を提供するメモリ制御サービス125と、操作部14の制御を提供する操作部制御サービス126と、NIC41の制御を提供するネットワーク制御サービス127を含む。プラットフォームは、予め定義された関数により各アプリケーションから処理要求を受信可能とするAPI(Application Programming Interface)101を有する。
【0027】
本第1の実施形態では、コントロールサービスとして、USB機器制御サービス121およびUSB機器管理サービス122をさらに含む。USB機器制御サービス121およびUSB機器管理サービス122は、USBホストコントローラ43に接続されているUSB機器の制御および管理を行う。例えば、USB機器管理サービス122は、USBホストコントローラ43に対してどのようなUSB機器が接続されているかを把握している。
【0028】
ここで、OS100は、機能の一部に、ソフトウェアとUSB機器のハードウェアとの中継を行うUSBドライバ140を含む。USB機器制御サービス121およびUSB機器管理サービス122によるUSB機器の制御および管理は、このUSBドライバ140を介して行われる。OS100は、例えば、後述するアプリケーションからの要求に従ったUSB機器制御サービス121およびUSB機器管理サービス122の指示により、USBドライバ140を介してUSBホストコントローラ43を制御する。なお、PCI I/F103は、図1に示したPCIバス15および30のインターフェイスである。
【0029】
アプリケーションは、図2の例では、コピー処理用のアプリケーションであるコピーアプリケーション110、印字処理用のアプリケーションであるプリンタアプリケーション111、スキャナ処理用のアプリケーションであるスキャナアプリケーション112およびFAXの送受信用のアプリケーションであるFAXアプリケーション113、ならびに、NIC41によりインターネット通信を行った場合のデータ転送処理などを行うWebアプリケーション114を含む。
【0030】
これらアプリケーションの各プロセス、コントロールサービスの各プロセスは、関数呼び出しとその戻り値送信およびメッセージの送受信によってプロセス間通信を行いながら、コピー処理、印字処理、画像読み取り処理、FAX処理などの、画像形成処理に係るユーザサービスを実現している。
【0031】
電源ユニット50は、例えば、OS100の制御に従い、この画像形成装置1の動作モードが通常モードであれば、画像形成装置1の各部に電源を供給する。一方、低電力モードの場合であれば、画像形成装置1の予め定められた部分にのみ電源を供給し、電力の消費を抑える。
【0032】
なお、図2に示した各コントロールサービスや各アプリケーション、OS100などのプログラムは、予めHDD23などに格納されて提供される。これに限らず、これらプログラムの一部または全部を、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク、脱着可能な不揮発性メモリといった記憶媒体に格納して提供してもよい。この場合、当該記憶媒体を読み取り可能なドライブ装置を画像形成装置1に接続し、このドライブ装置で記憶媒体に格納されたプログラムを読み出してHDD23などに所定に格納する。さらに、NIC41を介してネットワークからこれらのプログラムを取得するようにしてもよい。
【0033】
(USB通信手順)
次に、USB機器2a、2bがUSBホストコントローラ43に対して接続された際の、通信までの手順について、概略的に説明する。先ず、例えばUSB機器2aがUSBホストコントローラ43のUSB機器接続ポートに接続され、USBホストコントローラ43にUSB機器2aが認識されると、USBホストコントローラ43は、接続されたUSB機器2aに対してアドレスを割り当てる。
【0034】
USBホストコントローラ43は、接続されたUSB機器2aに対するアドレスの割り当てが行われると、当該USB機器2aのディスクリプタの取得を開始する。USB通信では、USBホストコントローラ43とUSB機器2aとの通信シーケンスにおいて、USBホストコントローラ43は、ターゲットであるUSB機器2aからコントロール転送によってディスクリプタを取得する。ディスクリプタは、ターゲットの特性、属性などの情報を含み、デバイスディスクリプタ、コンフィグレーションディスクリプタ、インターフェイスディスクリプタおよびエンドポイントディスクリプタの4種類がある。
【0035】
なお、以下では、適宜、これらデバイスディスクリプタ、コンフィグレーションディスクリプタ、インターフェイスディスクリプタおよびエンドポイントディスクリプタの4つのディスクリプタを纏めて標準ディスクリプタと呼ぶ。
【0036】
図3〜図6を用いて、これら4種類のディスクリプタについて、概略的に説明する。なお、図3〜図6において、オフセットは、先頭からのバイト数を示す。各フィールドは、図3〜図6においてフィールド名の右に示されるデータ長を有し、各ディスクリプタにおいて、オフセットとデータ長とから、特定のフィールドにアクセスすることができる。
【0037】
図3は、デバイスディスクリプタを示す。デバイスディスクリプタは、このディスクリプタを送信したUSB機器を識別するための情報が含まれる。図3において、デバイスディスクリプタは、フィールドbLength、フィールドbDescriptorType、フィールドbcdUSB、フィールドbDeviceClass、フィールドbDeviceSubclass、フィールドbDeviceProtocol、フィールドbMaxPacketSize0、フィールドidVendor、フィールドidProduct、フィールドbcdDevice、フィールドiManufacturer、フィールドiProduct、フィールドiSerialNumberおよびフィールドbNumConfigurationを含む。
【0038】
これらのうち、フィールドbLengthおよびフィールドbDescriptorTypeは、それぞれディスクリプタのバイト長と種類を示す。これらフィールドbLengthおよびフィールドbDescriptorTypeは、各ディスクリプタに設けられる。
【0039】
デバイスディスクリプタにおいて、フィールドbDeviceClass、フィールドbDeviceSubclassおよびフィールドbDeviceProtocolは、このディスクリプタを送信したUSB機器の機能を示す。また、フィールドidVendorは、このディスクリプタを送信したUSB機器のベンダを識別するベンダIDである。同様に、フィールドidProductは、ディスクリプタを送信したUSB機器の製品を示す。これらフィールドidVendorおよびフィールドidProductにより、USB機器の機種を識別することができる。
【0040】
図4は、コンフィグレーションディスクリプタを示す。コンフィグレーションディスクリプタは、ターゲットのUSB構成情報を含み、インターフェイスディスクリプタの数を示す情報を持つ。図4において、コンフィグレーションディスクリプタは、フィールドbLength、フィールドbDescriptorType、フィールドwTotalLength、フィールドbNumInterface、フィールドbConfigurationValueおよびフィールドiConfuguration、フィールドbmAttributesおよびフィールドbMaxPowerを含む。
【0041】
コンフィグレーションディスクリプタにおいて、フィールドbmAttributesは、第6ビットがこのディスクリプタを送信したUSB機器がセルフパワーおよびバスパワーの何れに対応しているかを示す。また、当該フィールドbmAttributesの第5ビットは、当該USB機器におけるリモートウェークアップ機能のサポートの有無を示す。
【0042】
図5は、インターフェイスディスクリプタを示す。インターフェイスディスクリプタは、インターフェイスの情報を含み、インターフェイスが持つエンドポイントディスクリプタの数を持つ。図5において、インターフェイスディスクリプタは、フィールドbLength、フィールドbDescriptorType、フィールドbInterfaceNumber、フィールドbAlternateSetting、フィールドbNumEndpoint、フィールドbInterfaceClass、フィールドbInterfaceSubclass、フィールドbInterfaceProtocolおよびフィールドiInterfaceを含む。
【0043】
また、図6は、エンドポイントディスクリプタを示す。エンドポイントディスクリプタは、通信用のポートであるエンドポイントの情報を含む。図6において、エンドポイントディスクリプタは、フィールドbLength、フィールドbDescriptorType、フィールドbEndpointAddress、フィールドbmAttributes、フィールドwMaxPacketSizeおよびフィールドbIntervalを含む。なお、図5および図6に示したインターフェイスディスクリプタおよびエンドポイントディスクリプタは、本発明と深い関連がないため、説明を省略する。
【0044】
図7は、このディスクリプタ取得処理の一例のシーケンスを示す。図7の例では、USBホストコントローラ43は、USB機器2aから、処理aでデバイスディスクリプタを取得し、処理bでコンフィグレーションディスクリプタ、インターフェイスディスクリプタおよびエンドポイントディスクリプタを取得している。
【0045】
すなわち、USBホストコントローラ43は、USB機器2aに対して、標準リクエストであるコマンドGET_DESCRIPTORを、デバイスディスクリプタを指定するパラメータを指定して発行する(SEQ100)。USB機器2aは、このコマンドに応答して、デバイスディスクリプタをUSBホストコントローラ43に返す(SEQ101)。
【0046】
以降、同様にして、USBホストコントローラ43は、コンフィグレーションディスクリプタを指定するパラメータをコマンドGET_DESCRIPTORに指定してUSB機器2aに対して発行し、コンフィグレーションディスクリプタを取得する(SEQ102、SEQ103)。USBホストコントローラ43は、以降同様にしてSEQ102およびSEQ103の処理を繰り返し、USB機器2aからインターフェイスディスクリプタおよびエンドポイントディスクリプタを取得する。
【0047】
(第1の実施形態による設定テーブル)
次に、本発明の第1の実施形態による設定テーブルについて説明する。上述したように、本発明では、低電力モード時に動作を行う必要があるか否か(以下、「低電力モード時の動作要否」のように記述する)をUSB機器に対して設定する設定テーブルを、画像形成装置1が予め有する。本第1の実施形態では、USB機器2a、2bの機種を示す情報を、低電力モード時の動作要否を設定する情報に関連付けて設定テーブルに格納する。設定テーブルは、予め作成し、画像形成装置1が有する不揮発性の記憶媒体、例えばHDD23に格納しておく。
【0048】
図8は、本第1の実施形態による設定テーブルの一例の構成を示す。本第1の実施形態では、USBホストコントローラ43に接続されるUSB機器の識別情報として、当該USB機器の機種を示す情報を用いる。この例では、設定テーブルは、デバイスディスクリプタに含まれる、製造元(ベンダ)を示すフィールドidVendorと、製品(プロダクト)を示すフィールドidProductとを、動作要否を示す動作要否情報と関連付けたエントリを含んで構成される。すなわち、この例では、製造元を示す情報と製品を示す情報とを、USB機器の機種を識別する識別情報として用いている。
【0049】
また、動作要否情報は、この例では、値が”1”および”0”の何れかを取る動作要否フラグを用いている。例えば、この動作要否フラグの値が”1”で「要」、すなわち、フィールドidVendorおよびフィールドidProductで識別されるUSB機器に対し、低電力モード時でも動作している必要があることが示される。また、動作要否フラグの値が”0”で「否」、すなわち、フィールドidVendorおよびフィールドidProductで識別されるUSB機器に対し、低電力モード時に動作している必要が無いことが示される。
【0050】
図8の例では、フィールドidVendorおよびフィールドidProductがそれぞれ値「0x05CA」および値「0x2218」で示されるUSB機器(ICカードリーダとする)と、それぞれ値「0x05CA」および値「0x0105」で示されるUSB機器とが動作要否フラグの値を”1”とされ、低電力モード時に動作する必要のあることが示されている。また、フィールドidVendorおよびフィールドidProductがそれぞれ値「0xFFFF」および値「0x0001」で示されるUSB機器(USBハブとする)は、動作要否フラグの値を”0”とされ、低電力モード時において動作している必要の無いことが示されている。なお、各フィールドの値のうち「0x」は、後続する文字列が16進表記の数であることを示す。
【0051】
(第1の実施形態による処理)
図9は、本第1の実施形態による、低電力モードに移行する際の一例の処理を示すフローチャートである。このフローチャートにおける各処理は、プログラムに従ったCPU21の制御により実行される。より具体的には、図9のフローチャートにおける各処理は、コントロールサービスにおけるUSB機器管理サービス122により実行される。操作部14に対するユーザ操作や、タイマ処理などにより画像形成装置1の動作モードが低電力モードに移行する際に、この図9のフローチャートによる処理が開始される。
【0052】
最初のステップS100で、CPU21は、USBホストコントローラ43に対して、USBホストコントローラ43に接続されているUSB機器2a、2bから標準ディスクリプタを取得するよう、要求する。USBホストコントローラ43は、この要求に応じて、図7を用いて説明したような手順で以て、USBホストコントローラ43に接続されたUSB機器2a、2bのうち1つのUSB機器(例えばUSB機器2a)の標準ディスクリプタを取得する。取得された標準ディスクリプタは、CPU21に渡される。
【0053】
次のステップS101で、CPU21は、ステップS100で取得されUSBホストコントローラ43から渡された標準ディスクリプタのデバイスディスクリプタから、識別情報として用いるフィールドidVendorおよびフィールドidProductを取り出す。そして、取り出したフィールドidVendorおよびフィールドidProductと、HDD23に予め格納されている設定テーブルとを比較し、取り出したフィールドidVendorおよびフィールドidProductと一致する設定テーブルのエントリの有無を判定する(ステップS102)。若し、ステップS102で一致するエントリが無いと判定された場合、CPU21は、処理を後述するステップS105に移行させる。
【0054】
一方、ステップS102で一致するエントリが有ると判定された場合、CPU21は、処理をステップS103に移行させ、当該エントリにおける動作要否フラグの値を確認する。そして、次のステップS104で、当該動作要否フラグの値が要否のうち何れを示す値であるかを判定する。若し、当該動作要否フラグの値が”1”、すなわち対象のUSB機器(例えばUSB機器2a)が低電力モード時においても動作している必要がある(要)と判定した場合、処理を後述するステップS107に移行させる。
【0055】
一方、ステップS104で、当該動作要否フラグの値が”0”、すなわち対象のUSB機器が低電力モード時において動作している必要が無い(否)と判定した場合、CPU21は、処理をステップS105に移行させる。
【0056】
ステップS105では、CPU21は、USBホストコントローラ43に接続されている全てのUSB機器2a、2bに対する処理が終了したか否かを判定する。若し、終了していないと判定されたら、処理をステップS100に戻し、USBホストコントローラ43に接続されている次のUSB機器(例えばUSB機器2b)について、同様の処理を行う。一方、ステップS105で、全てのUSB機器2a、2bに対する処理が終了したと判定したら、処理をステップS106に移行させる。
【0057】
ステップS106の時点では、USBホストコントローラ43に接続される全てのUSB機器2a、2bについて、低電力モード時に動作している必要が無いと判定されている。したがって、CPU21は、ステップS106で、USBホストコントローラ43に対する電源の供給を制限するように制御する。例えば、CPU21は、電源ユニット50を制御して、USBホストコントローラ43に対する電源の供給を停止させる。そして、処理がステップS107に移行される。
【0058】
ステップS107では、CPU21は、低電力モードにおけるその他の動作、すなわち、USBホストコントローラ43に対する電源制御以外の動作に処理を移行させる。低電力モードにおけるその他の動作は、例えば、操作部14に設けられる表示デバイスに対する電源供給の停止や、HDD23の停止処理などが考えられる。
【0059】
ここで、上述したステップS104で、動作要否フラグの値が”1”であり対象のUSB機器が低電力モード時においても動作している必要があると判定した場合に、処理がこのステップS107に移行されている。これは、USBホストコントローラ43に接続されているUSB機器のうち、1つでも低電力モード時においても動作している必要がある機器が存在する場合、USBホストコントローラ43に対する電源供給の制限を行わず、通常通り電源供給を行うことを意味する。
【0060】
図10および図11を用いて、上述した図8の設定テーブルおよび図9のフローチャートに従い低電力モード時に移行した場合の、画像形成装置1における各ハードウェアに対する電源制御について説明する。
【0061】
図10は、USBホストコントローラ43に対して、低電力モード時においても動作している必要があるUSB機器2a(ICカードリーダとする)が接続されている場合の例である。この例では、USB機器2aは、識別情報として、標準ディスクリプタにおけるデバイスディスクリプタのフィールドidVendorおよびフィールドidProductに、それぞれ値「0x05CA」および値「0x2218」が格納されているものとする。
【0062】
この場合、図9のフローチャートにおけるステップS100で、USB機器2aから識別情報200を含む標準ディスクリプタが取得される。図8に示した設定テーブルには、取得した識別情報200と一致するエントリが存在する(ステップS101、S102)。そこで、CPU21は、当該エントリにおける動作要否フラグの値を確認する(ステップS103)。図8の例では、この動作要否フラグの値が”1”とされ、USB機器2aが低電力モード時においても動作している必要がある(動作要)と判定される(ステップS104)。
【0063】
CPU21は、ステップS104の判定結果に応じて、画像形成装置1の各部に対する電源の供給を制御する。この、USB機器2aが低電力モード時においても動作している必要がある例では、低電力モードへの移行に際して、例えばスキャナ装置11、プロッタ装置12、操作部14およびHDD23(それぞれ図10において斜線を付して示す)に対する電源の供給を制限する。これに対して、USBホストコントローラ43に対する電源の供給は制限せず、継続して行う。一例として、CPU21は、電源ユニット50を制御して、これらスキャナ装置11、プロッタ装置12、操作部14およびHDD23に対する電源の供給を停止する。
【0064】
このように電源供給を制御することで、低電力モード時において、USBホストコントローラ43と、USBホストコントローラ43に接続されるUSB機器2aとが動作可能とされると共に、省電力化も可能となる。USB機器2aがICカードリーダであるこの例では、低電力モード時においても、ユーザ認証などを行うためのICカードの読み取りを、ICカードリーダであるUSB機器2aにより行うことができる。
【0065】
図11は、USBホストコントローラ43に対して、低電力モード時において動作している必要が無いUSB機器2b(USBハブとする)が接続されている場合の例である。この例では、USB機器2bは、識別情報として、標準ディスクリプタにおけるデバイスディスクリプタのフィールドidVendorおよびフィールドidProductに、それぞれ値「0xFFFF」および値「0x0001」が格納されているものとする。
【0066】
この場合において、図8に示した設定テーブルには、図9のフローチャートにおけるステップS100でUSB機器2bから取得した標準ディスクリプタに含まれる識別情報200’と一致するエントリが存在する(ステップS101、S102)。そこで、CPU21は、当該エントリにおける動作要否フラグの値を確認する(ステップS103)。図8の例では、この動作要否フラグの値が”0”とされ、USB機器2bが低電力モード時において動作している必要が無い(動作否)と判定される(ステップS104)。
【0067】
CPU21は、ステップS104の判定結果に応じて、画像形成装置1の各部に対する電源の供給を制御する。この、USB機器2bが低電力モード時において動作している必要が無い例では、低電力モードへの移行に際して、例えばスキャナ装置11、プロッタ装置12、操作部14、HDD23、USBホストコントローラ43(それぞれ図11において斜線を付して示す)に対する電源の供給を制限する。一例として、CPU21は、電源ユニット50を制御して、スキャナ装置11、プロッタ装置12、操作部14、HDD23、USBホストコントローラ43に対する電源の供給を停止する。
【0068】
またこの場合、USBホストコントローラ43に対する電源の供給が停止されることで、USBホストコントローラ43に接続されるUSB機器2bに対する電源の供給も停止される(USB機器2bの電源がバスパワー供給の場合)。これにより、効果的な省電力化が可能となる。
【0069】
(低電力モード移行処理中の新規接続USB機器の認識処理)
USB機器は、活線挿抜が可能とされているため、低電力モードへの移行処理中に、USBホストコントローラ43に対して、新規にUSB機器が接続される場合が起こり得る。本第1の実施形態では、低電力モードへの移行時に、USBホストコントローラ43による、新規に接続されるUSB機器の認識処理を保留にする。そして、USBホストコントローラ43に対して既に接続されているUSB機器が、低電力モード時においても動作している必要の有無の判定結果に応じて、保留していた新規接続のUSB機器の認識処理を再開するか否かを決定する。
【0070】
図12は、低電力モードに移行処理中に新規接続USB機器の認識処理を保留にする場合の第1のシーケンスの例を示す。操作部14に対するユーザ操作やタイマ処理などにより低電力モードへの移行イベントが発生すると(SEQ110)、システム制御サービス120は、USB機器管理サービス122に対して低電力モードへの移行を通知する(SEQ111)。この通知を受けたUSB機器管理サービス122は、図9のフローチャートによる処理を開始させると共に、OS100に対して、USB機器の接続検出処理を停止させる旨を要求する(SEQ112)。
【0071】
OS100は、SEQ112による要求に応じて、例えばUSBホストコントローラ43に対して、新たに接続されるUSB機器の検出処理を保留するように命令する。この命令に応じて、USBホストコントローラ43は、例えばSEQ112後に新たにUSB機器の接続による割り込みがかけられても(SEQ113)、このUSB機器に対する認識処理、例えば当該USB機器に対するアドレス割り当てや標準ディスクリプタ取得処理などを行わない。
【0072】
USB機器管理サービス122は、処理が図9のフローチャートのステップS104まで進み、処理対象のUSB機器が低電力モード時においても動作している必要があると判定した場合、上述したように、処理をステップS107に移行させる。それと共に、USB機器管理サービス122は、OS100に対してUSB機器の接続検出処理を再開させる旨を要求する(SEQ114)。OS100は、この要求に応じて上述のSEQ113において保留していた、新たに接続されるUSB機器の検出処理を再開させる。
【0073】
さらに、USB機器管理サービス122は、システム制御サービス120に対して、USBホストコントローラ43の低電力モード時の動作が必要である旨を通知する(SEQ115)。システム制御サービス120は、この通知に応じて、OS100に対して低電力モードへの移行を要求する(SEQ116)。OS100は、この要求に応じて、USBホストコントローラ43を除く、予め決められた部分への電源の供給を制限する。例えば、OS100は、図10を用いて説明したように、電源ユニット50を制御して、画像形成装置1におけるスキャナ装置11、プロッタ装置12、操作部14およびHDD23に対する電源の供給を停止させる。
【0074】
図13は、低電力モードに移行処理中に新規接続USB機器の認識処理を保留にする場合の第2のシーケンスの例を示す。なお、図13において、上述の図12と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。低電力モードへの移行イベントが発生すると(SEQ110)、システム制御サービス120がUSB機器管理サービス122に対して低電力モードへの移行を通知し(SEQ111)、USB機器管理サービス122は、この通知に応じて図9のフローチャートによる処理を開始させると共に、OS100に対して、USB機器の接続検出処理を停止させる旨を要求する(SEQ112)。OS100は、この要求に応じて、USBホストコントローラ43に対して、新たに接続されるUSB機器の検出処理を保留するように命令する。
【0075】
USB機器管理サービス122は、処理が図9のフローチャートのステップS104まで進み、処理対象のUSB機器が低電力モード時においても動作している必要が無いと判定した場合、上述したように、処理をステップS105に移行させる。そして、現時点でUSBホストコントローラ43に接続が認識されている全てのUSB機器に対してステップS100〜ステップS104の処理が終了していない場合には、処理をステップS100に戻して次のUSB機器に対する処理を行う。
【0076】
一方、USB機器管理サービス122は、USBホストコントローラ43に認識されている全てのUSB機器について、低電力モード時においても動作している必要が無いと判定した場合、その旨をシステム制御サービス120に通知する(SEQ120)。上述の図12の場合と異なり、OS100に対するUSB機器の接続検出処理の再開要求は行わない。
【0077】
システム制御サービス120は、USB機器管理サービス122からの通知に応じて、USBホストコントローラ43に対する電源供給の停止を要求する(SEQ121)。この要求に応じて、OS100は、例えば電源ユニット50を制御して、USBホストコントローラ43に対する電源供給を停止させる。さらに、システム制御サービス120は、OS100に対して低電力モードへの移行を要求する(SEQ122)。すなわち、この場合には、USB機器の接続検出処理を保留したまま、低電力モードに移行させることになる。OS100は、この要求に応じて、USBホストコントローラ43を含む、予め決められた部分への電源の供給を制限する。例えば、OS100は、図11を用いて説明したように、電源ユニット50を制御して、画像形成装置1におけるスキャナ装置11、プロッタ装置12、操作部14およびHDD23などに対する電源の供給を停止させる。
【0078】
このように、本第1の実施形態では、接続されるUSB機器が低電力モード時において動作する必要を要するか否かに応じて、低電力モードに移行した際の電源供給を制御することで、USB機器による必要な機能を有効化しつつ、効率的に省電力化を行うことができる。
【0079】
(第1の実施形態の変形例)
次に、上述した本発明の第1の実施形態の変形例について説明する。上述の第1の実施形態では、USBホストコントローラ43に接続されるUSB機器を識別するための識別情報として、当該USB機器の機種を示す情報を用いていた。これに対して、本第1の実施形態の変形例では、USB機器の種類を示す情報を、当該USB機器を識別するための識別情報として用いる。
【0080】
図14は、本第1の実施形態の変形例による設定テーブルの一例の構成を示す。この例では、設定テーブルは、デバイスディスクリプタに含まれる、USB機器の種類を示すフィールドbDeviceClass、フィールドbDeviceSubclassおよびフィールドbDeviceProtocolを、動作要否情報(動作要否フラグ)と関連付けたエントリを含んで構成される。
【0081】
また、識別情報としてフィールドbDeviceClass、フィールドbDeviceSubclassおよびフィールドbDeviceProtocolを用いる場合、エントリの値として、任意の値が許されることを意味する、所謂ワイルドカード「*」を用いることができる。
【0082】
図14の例では、1行目のエントリは、フィールドbDeviceClass、フィールドbDeviceSubclassおよびフィールドbDeviceProtocolがそれぞれ値「0x0B」、値「*」および値「*」とされて、値”1”の動作要否フラグとが関連付けられ、フィールドbDeviceSubclassおよびフィールドbDeviceProtocolの値が任意であることを示している。この1行目のエントリは、例えばスマートカードを示している。同様に、2行目のエントリは、各フィールドがそれぞれ値「0x03」、値「*」および値「0x01」とされて、値”1”の動作要否フラグとが関連付けられ、フィールドbDeviceSubclassの値が任意であることを示している。この2行目のエントリは、例えばUSBキーボードを示している。また、3行目のエントリは、各フィールドがそれぞれ値「0x09」、値「0x00」および値「*」とされて、値”0”の動作要否フラグとが関連付けられ、フィールドbDeviceProtocolの値が任意であることを示している。この3行目のエントリは、例えばUSBハブを示している。
【0083】
このようにエントリを設けた設定テーブルによっても、上述した第1の実施形態と同様の処理により、接続されるUSB機器が低電力モード時において動作する必要を要するか否かに応じて、低電力モードに移行した際の電源供給を制御することで、USB機器による必要な機能を有効化しつつ、効率的に省電力化を行うことができる。
【0084】
また、設定テーブルを、USB機器の種類を示す情報を用いて構成しているため、USB機器の製造元や機種に関わらず、USB機器の機能などに応じて低電力モード時の処理を適用することができる。
【0085】
なお、上述の第1の実施形態と、本変形例とを組み合わせて、設定テーブルをUSB機器の機種を示す情報と、種類を示す情報とを用いて構成してもよい。この場合、USB機器の識別情報としてフィールドidVendor、フィールドidProduct、フィールドbDeviceClass、フィールドbDeviceSubclassおよびフィールドbDeviceProtocolを取得し、これら全てのフィールドの値と、設定テーブルの値とを比較する。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本第2の実施形態では、USB機器がリモートウェイクアップ機能に対応している場合の例である。ここで、USB規格におけるリモートウェイクアップ機能について、概略的に説明する。
【0087】
USBにおいて、バスは、動作状態とサスペンド状態との2状態を持つ。動作状態は、バスがアクティブな状態であり、動作状態において、USB機器に対してフレームの開始を示すSOF(Start Of Frame)を所定間隔で送信する。また、動作状態では、USBホストコントローラからUSB機器に対してUSBケーブルを介して電源が供給される。サスペンド状態は、バスがアイドル状態となる。例えば、サスペンド状態では、USBホストコントローラは、USB機器に対するSOFの送信を停止すると共に、USB機器に対する電源の供給を制限する。これにより、USBホストコントローラにおける消費電力が低減される。
【0088】
リモートウェイクアップ機能は、サスペンド状態のUSB機器が自分でサスペンド状態を解除できる機能である。例えば、USB機器は、タイマ処理など所定のトリガにより、サスペンド状態に移行した時点から所定の時間が経過した場合に、USBホストコントローラに対してリモートウェイクアップ信号を送信する。USBホストコントローラは、この信号を受信すると、バスをアイドル状態からアクティブな状態に遷移させる。
【0089】
本第2の実施形態では、USBホストコントローラ43は、接続されるUSB機器が低電力モード時において動作している必要があるとされた場合に、当該USB機器がリモートウェイクアップ機能を有しているか否かを確認する。そして、有していると判定されたら、当該USB機器が接続されるUSB機器接続ポートをサスペンド状態として、次のUSB機器に対する処理に移行する。
【0090】
なお、本第2の実施形態において、情報処理装置として、第1の実施形態で図1および図2を用いて説明した画像形成装置1をそのまま適用できる。また、USB機器2a、2bの低電力モード時の動作要否を判定するための設定テーブルも、第1の実施形態または第1の実施形態の変形例で、図8または図14を用いて説明した設定テーブルをそのまま用いることができる。
【0091】
図15は、本第2の実施形態による、低電力モードに移行する際の一例の処理を示すフローチャートである。このフローチャートにおける各処理は、プログラムに従ったCPU21の制御により実行される。より具体的には、図15のフローチャートにおける各処理は、コントロールサービスにおけるUSB機器管理サービス122により実行される。操作部14に対するユーザ操作や、タイマ処理などにより画像形成装置1の動作モードが低電力モードに移行する際に、この図15のフローチャートによる処理が開始される。
【0092】
最初のステップS200で、CPU21は、フラグFLAGの値を”0”として初期化する。そして、次のステップS201で、USBホストコントローラ43に対して、USBホストコントローラ43に接続されているUSB機器2a、2bから標準ディスクリプタを取得するよう、要求する。USBホストコントローラ43は、この要求に応じて、USBホストコントローラ43に接続された、例えばUSB機器2aの標準ディスクリプタを取得し、CPU21に渡す。
【0093】
次のステップS202で、CPU21は、ステップS201の処理によりUSBホストコントローラ43から渡された標準ディスクリプタから、識別情報として設定テーブルに予め設定されたフィールドを取り出す。そして、取り出したフィールドと、HDD23に予め格納されている設定テーブルとを比較し、取り出したフィールドの値と一致する設定テーブルのエントリの有無を判定する(ステップS203)。若し、ステップS203で一致するエントリが無いと判定された場合、CPU21は、処理を後述するステップS209に移行させる。
【0094】
一方、ステップS203で一致するエントリが有ると判定された場合、CPU21は、処理をステップS204に移行させ、当該エントリにおける動作要否フラグの値を確認する。そして、次のステップS205で、当該動作要否フラグの値が要否のうち何れを示す値であるかを判定し、当該動作要否フラグの値が”1”であり、対象のUSB機器(例えばUSB機器2a)が低電力モード時においても動作している必要がある(要)と判定した場合、処理をステップS206に移行させる。
【0095】
若し、当該動作要否フラグの値が”0”であり、対象のUSB機器が低電力モード時に動作している必要が無い(否)と判定した場合は、処理を後述するステップS209に移行させる。
【0096】
ステップS206で、CPU21は、フラグFLAGの値を”1”として、処理をステップS207に移行させる。ステップS207で、CPU21は、対象のUSB機器(例えばUSB機器2a)がリモートウェイクアップ機能を有しているか否かを判定する。例えば、CPU21は、上述のステップS201で取得された標準ディスクリプタにおけるコンフィグレーションディスクリプタから、リモートウェイクアップ機能の有無を示すフィールドbmAttributesの第5ビットの値を取り出し、この値が「リモートウェイクアップ機能のサポート有り」を示しているか否かを判定する。若し、サポート無しを示していると判定した場合は、処理を後述するステップS209に移行させる。
【0097】
一方、ステップS207で、フィールドbmAttributesの第5ビットの値がリモートウェイクアップ機能のサポート有りを示していると判定した場合は、処理をステップS208に移行させる。ステップS208では、CPU21は、USBホストコントローラ43に対して、対象のUSB機器が接続されているUSB機器接続ポートをサスペンド状態にするよう、命令する。USBホストコントローラ43は、この命令に従い、当該USB機器接続ポートをサスペンド状態にする。CPU21は、処理をステップS209に移行させる。
【0098】
ステップS209では、CPU21は、USBホストコントローラ43に接続されている全てのUSB機器2a、2bに対する処理が終了したか否かを判定する。若し、終了していないと判定されたら、処理をステップS201に戻し、USBホストコントローラ43に接続されている次のUSB機器(例えばUSB機器2b)について、同様の処理を行う。一方、ステップS209で、全てのUSB機器2a、2bに対する処理が終了したと判定したら、処理をステップS210に移行させる。
【0099】
ステップS210では、CPU21は、フラグFLAGの値が”0”であるか否かを判定する。若し、フラグFLAGの値が”0”であると判定したら、処理をステップS211に移行させる。この場合、USBホストコントローラ43に接続された全てのUSB機器2a、2bが低電力モード時に動作している必要が無いと判断できる。そのため、CPU21は、例えば電源ユニット50を制御して、USBホストコントローラ43に対する電源の供給を制限する。
【0100】
そして、CPU21は、処理をステップS212に移行させ、低電力モードにおけるその他の処理、すなわち、USBホストコントローラ43に対する電源制御以外の動作に処理を移行させる。
【0101】
一方、ステップS210において、フラグFLAGの値が”1”であると判定した場合、CPU21は、処理をステップS212に移行させる。すなわち、この場合、USBホストコントローラ43に接続されたUSB機器2a、2bのうち少なくとも1つが、低電力モード時に動作している必要があると判断できる。そのため、USBホストコントローラ43に対して継続して電源を供給する。
【0102】
このように、本第2の実施形態によれば、低電力モード時に動作している必要があるUSB機器の接続を検出した場合に、フラグFLAGを用いてその旨を記憶していると共に、当該USB機器がリモートウェイクアップ機能を有するか否かを判定する。そのため、低電力モードへの移行時に、低電力モード時に動作している必要があり、且つ、リモートウェイクアップ機能を有するUSB機器の接続ポートをサスペンド状態とすることができ、より効率的な省電力化が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 画像形成装置
2a,2b USB機器
11 スキャナ装置
12 プロッタ装置
13 FAX制御ユニット
14 操作部
15,30 PCIバス
21 CPU
23 HDD
43 USBホストコントローラ
50 電源ユニット
100 OS
120 システム制御サービス
121 USB機器制御サービス
122 USB機器管理サービス
140 USBドライバ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2000−010907号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作モードとして、動作の必要の無い部分に対する電源の供給を制限する低電力モードを持つ情報処理装置であって、
外部機器との間の通信を制御する通信制御手段と、
外部機器を識別する識別情報と、前記低電力モードでの該外部機器の動作要否を示す動作要否情報とを関連付けて予め記憶するテーブルと、
前記低電力モードへの移行時に、前記通信制御手段に接続された外部機器から識別情報を取得し、前記テーブルに基づき、該識別情報に対応する動作要否情報が動作否を示す場合に、前記通信制御手段に対する電源の供給を制限し、該動作要否情報が動作要を示す場合に、前記通信制御手段に対する電源の供給を継続するように制御する電源制御手段と
を備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、
前記低電力モードへの移行時に、前記通信制御手段に接続された外部機器から取得した識別情報に対応する前記動作要否情報が動作要を示し、且つ、該外部機器がリモートウェイクアップに対応している場合に、該外部機器をサスペンド状態に移行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電源制御手段は、
前記低電力モードに移行する際に、前記通信制御手段に対して新たに接続される外部機器の検出を停止すると共に、前記通信制御手段に接続されている外部機器から識別情報を取得し、該識別情報に対応する前記動作要否情報が動作要に設定されている場合に、該検出を再開させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電源制御手段は、
前記低電力モードへの移行時に、前記通信制御手段に接続されている外部機器から取得した識別情報に対応する識別情報が前記テーブルに記憶されていない場合に、前記通信制御手段に対する電源の供給を制限するように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電源制御手段は、
前記通信制御手段に接続される少なくとも1の外部機器の識別情報に対応する前記動作要否情報が動作要を示す場合に、前記通信制御手段に対する電源の供給を継続するように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記識別情報は、外部機器の機種を識別する情報である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記識別情報は、外部機器の機能を示す情報である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
動作モードとして、動作の必要の無い部分に対する電源の供給を制限する低電力モードを持つ情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置は、
外部機器との間の通信を制御する通信制御手段と、
外部機器を識別する識別情報と、前記低電力モード時での該外部機器の動作要否を示す動作要否情報とを関連付けて予め記憶するテーブルと
を備え、
電源制御手段が、前記低電力モードへの移行時に、前記通信制御手段に接続された外部機器から識別情報を取得する取得ステップと、
前記電源制御手段が、前記テーブルに基づき、前記取得ステップで取得された識別情報に対応する前記動作要否情報が動作否を示す場合に、前記通信制御手段に対する電源の供給を制限し、該動作要否情報が動作要を示す場合に、前記通信制御手段に対する電源の供給を継続するように制御する電源制御ステップと
を備える
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
動作モードとして、動作の必要の無い部分に対する電源の供給を制限する低電力モードを持つ情報処理装置を制御するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置は、
外部機器との間の通信を制御する通信制御手段と、
外部機器を識別する識別情報と、前記低電力モード時での該外部機器の動作要否を示す動作要否情報とを関連付けて予め記憶するテーブルと
を備え、
前記低電力モードへの移行時に、前記通信制御手段に接続された外部機器から識別情報を取得する取得ステップと、
前記テーブルに基づき、前記取得ステップで取得された識別情報に対応する前記動作要否情報が動作否を示す場合に、前記通信制御手段に対する電源の供給を制限し、該動作要否情報が動作要を示す場合に、前記通信制御手段に対する電源の供給を継続するように制御する電源制御ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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