情報処理装置および補正制御方法
【課題】イヤホンの音質を容易に補正することができる情報処理装置を実現する。
【解決手段】実施形態によれば、測定音出力手段は、少なくとも一方がチャネル識別情報を含む第1および第2の測定音を、それぞれ左チャネルおよび右チャネルから出力端子に出力する。測定手段は、前記出力端子に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される前記測定音を収音することによって前記イヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定する。左右判定手段は、前記収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて前記左右いずれの音であるかを判定する。補正情報生成手段は、前記判定手段で左と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、前記判定手段で右と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成する。
【解決手段】実施形態によれば、測定音出力手段は、少なくとも一方がチャネル識別情報を含む第1および第2の測定音を、それぞれ左チャネルおよび右チャネルから出力端子に出力する。測定手段は、前記出力端子に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される前記測定音を収音することによって前記イヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定する。左右判定手段は、前記収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて前記左右いずれの音であるかを判定する。補正情報生成手段は、前記判定手段で左と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、前記判定手段で右と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、イヤホン音質を補正する情報処理装置および補正制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPCといった種々の情報処理装置が開発されている。この種の多くの情報処理装置では、イヤホンやヘッドホン等の外部音声出力機器(以下、イヤホンと称す)と接続し、音楽等を再生することができる。また、ユーザはイヤホンを介して情報処理装置によって再生される音楽を聴くことができる。
【0003】
一般的に、イヤホンから出力される音楽の音質は、ユーザが使用しているイヤホンの種類等によって各々異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−235809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、イヤホンはその左右の音質が必ずしも同一ではないため、同じ種類のイヤホンであっても、左右の音質にばらつきが大きいものがある。そのため、高品質なイヤホン再生音を得るためには、イヤホンの左右それぞれの音質を正しく補正できるようにすることが必要である。
【0006】
本発明は、イヤホンの音質を容易に補正することができる情報処理装置および補正制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報処理装置は、測定音出力手段と、測定手段と、左右判定手段と、補正情報生成手段と、補正手段とを具備する。測定音出力手段は、少なくとも一方がチャネル識別情報を含む第1および第2の測定音を、それぞれ左チャネルおよび右チャネルから出力端子に出力する。測定手段は、前記出力端子に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される前記測定音を収音することによって前記イヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定する。左右判定手段は、前記収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて前記左右いずれの音であるかを判定する。補正情報生成手段は、前記判定手段で左と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、前記判定手段で右と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成する。補正手段は、オーディオ再生部から出力される左チャネルの音信号の周波数特性を前記第1の補正情報に基づいて補正し、前記オーディオ再生部から出力される右チャネルの音信号の周波数特性を前記第2の補正情報に基づいて補正する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の外観を示す図。
【図2】第1の実施形態の情報処理装置のシステム構成を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態の情報処理装置で動作する音質改善プログラムの構成例を示すブロック図。
【図4】第1の実施形態の情報処理装置で使用される測定音の構成の一例を示す図。
【図5】第1の実施形態の情報処理装置によって実行される音響特性測定処理の手順の一例を示すフローチャート。
【図6】第1の実施形態の情報処理装置によって実行される左右識別処理の手順を説明するためのフローチャート。
【図7】第2の実施形態の情報処理装置で使用される測定音の構成の一例を示す図。
【図8】第2の実施形態の情報処理装置で使用される測定音の構成の他の例を示す図。
【図9】第2の実施形態の情報処理装置によって実行される音響特性測定処理の手順の一例を示すフローチャート。
【図10】第3の実施形態の情報処理装置によって実行される音響特性測定処理の手順の一例を示すフローチャート。
【図11】第3の実施形態の情報処理装置によって実行される左右識別処理の手順を説明するためのフローチャート。
【図12】第1、第2、第3の各実施形態で使用可能な測定音の構成の他の例を示す図。
【図13】第1、第2、第3の各実施形態で使用可能な測定音の構成のさらに他の例を示す図。
【図14】第1、第2、第3の各実施形態で使用可能な測定音の構成のさらに他の例を示す図。
【図15】第1、第2、第3の各実施形態で使用可能な識別信号の性質の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図である。この情報処理装置は、例えば、ラップトップ型パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型PC、スマートフォン、またはPDA等として実現され得る。以下では、この情報処理装置がラップトップ型パーソナルコンピュータ1(以下、PC1と称す)として実現されている場合を想定する。
【0010】
PC1は、図1に示すように、コンピュータ本体11とディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対し、コンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面を覆う閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。ディスプレイユニット12には、LCD(Liquid crystal display)13、及びマイクロホン16が組み込まれている。マイクロホン16は、効率良く音を収音できるようにするために、ディスプレイユニット12の正面部に設けられている。コンピュータ本体11は、薄い箱形の筐体を有しており、その上面には、キーボード14およびタッチパッド15などが配置されている。また、コンピュータ本体11の筐体側面部には、イヤホンを接続可能な音信号出力用の出力端子113が設けられている。
【0011】
イヤホンは、出力端子113と接続可能な入力端子17と、音を出力する音出力部18及び音出力部19とを備えている。PC1で再生される音は、出力端子113を介して入力端子17からイヤホンに入力される。イヤホンに入力された音は、音出力部18及び音出力部19から出力される。音出力部18及び音出力部19は、左(L)チャネル音信号に対応する音および右(R)チャネル音信号に対応する音を出力する。
【0012】
ユーザがイヤホンを使用して、PC1から送られてくる音を聴く場合、入力端子17をPC1の出力端子113に接続し、音出力部18(以下、L側とも称す)及び音出力部19(以下、R側とも称す)の各々(以下、イヤホンの左右とも称す)をユーザの左右の耳に当てる。これにより、ユーザは、ステレオで音を聴くことができる。しかしながら、ユーザが聴くことができる音の音質は、ユーザが使用しているイヤホンの性能(音響特性)に依存する。そのため、仮に、ユーザが安価で性能が低いイヤホンを使用していた場合、ユーザは低品質の音しか聴くことができない。このような場合においても、イヤホンの音質を改善することで、ユーザは高音質の音を聴くことができる。さらに、イヤホンの性能は、L側とR側とで異なる場合がある。すなわち、L側とR側の各々から出力される音の音質が異なる。そのため、L側とR側の音質をそれぞれ改善することによって、ユーザはより高音質な音を聴くことができる。
【0013】
本実施形態では、イヤホンの左右から出力される音をマイクロホン16で収音し、収音した音の音響特性から、イヤホンの左右それぞれに対応した補正フィルタを作成し、PC1からイヤホンに送られる音に対して補正フィルタを適用することで、イヤホンの左右から出力される音の音質を改善する。また、イヤホンの音出力部18から出力される音をマイクロホン16によって収音する際、図1に示すように、ユーザは、音出力部18をマイクロホン16に近づける。あるいは、音出力部18とマイクロホン16を接触させた状態で収音を行う。このようにすることによって、一般のユーザでも簡単に、低コストで高精度に、イヤホンの左右の音響特性を測定することができる。
【0014】
しかしながら、図1に示すように、ユーザが音出力部18をマイクロホン16に近づける際、ユーザは音出力部18がL側であるかR側であるかどうか判断しなければならない。仮に、ユーザが誤って音出力部18をR側だと判断し、音出力部18をマイクロホン16に近づけ、R側に対応した補正フィルタが作成された場合、L側である音出力部18から出力される音は、R側に対応した補正フィルタを適用したL側用の音の信号である。したがって、このような場合、イヤホンの左右の音質を正しく改善することができない。また、ユーザがイヤホンの左右を識別する際、ユーザはイヤホンの左右を区別できるイヤホンの「L」や「R」等の表記を見て左右を識別するが、その表記が小さく識別することが困難である、あるいは、イヤホンのデザインの仕様でその表記が見えにくい場合がある。そのため、ユーザはイヤホンの左右の判別に手間取る場合がある。さらに、左右を識別するための表記が、ユーザが直ぐに探し出すことができないような所に表示されている場合や、あるいは、イヤホンに記されていない場合もある。このようなことが原因となり、ユーザがイヤホンの左右を正しく判別できない場合がある。本実施形態では、ユーザによるイヤホンの左右の判別を行わずに、イヤホンの左右のそれぞれに対応した補正フィルタを作成し、イヤホンの左右のそれぞれから出力される音の改善を行うことができる。
【0015】
次に、図2を参照し、本実施形態のPC1のシステム構成について説明する。
図2に示すように、PC1は、LCD13、CPU(Central processing unit)101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、GPU(Graphics processing unit)105、サウンドコントローラ106、BIOS(Basic input/output system)−ROM(Read only memory)107、LAN(Local area network)コントローラ108、HDD(Hard disk drive)109、ODD(Optical disc drive)110およびEC/KBC(Embedded controller/Keyboard controller)111、スピーカ112、出力端子113、及びマイクロホン16等を有している。
【0016】
CPU101は、PC1の動作を制御するプロセッサであり、HDD109から主メモリ103にロードされる各種プログラムを実行する。CPU101によって実行される各種プログラムの中には、リソース管理を司るOS(Operating system)121や、当該OS121の配下で動作する、後述するメディアプレーヤ122及び音質改善プログラム202等が存在する。メディアプレーヤ122は、音のファイルを再生するためのアプリケーションソフトウェアである。音質改善プログラム202は、イヤホンから出力される音の音質を改善するためのアプリケーションソフトウェアである。また、CPU101は、BIOS−ROM107に格納されたBIOSも実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。
【0017】
ノースブリッジ102は、CPU101とサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスとして動作すると共に、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラとして動作する。また、ノースブリッジ102は、GPU105との通信を実行する機能を有している。
【0018】
GPU105は、ディスプレイユニット12に組み込まれたLCD13への画像表示を実行する表示コントローラである。また、GPU105は、各種プログラムが表示しようとする画像をCPU101に代わって描画するアクセラレータを搭載する。
【0019】
サウスブリッジ104は、BIOS−ROM107をアクセス制御するメモリコントローラとして動作する。また、サウスブリッジ104は、HDD109およびODD110を制御するためのIDE(Integrated Device Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106との通信を実行する機能を有している。
【0020】
サウンドコントローラ106は、音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ112または(前述のコンピュータ本体11の筐体側面部に設けられる)出力端子(イヤホン端子)113に出力するために、デジタル信号を電気信号に変換するD/Aコンバータや、電気信号を増幅するアンプリファイアなどの回路を有する。また、サウンドコントローラ106は、(前述のコンピュータ本体11に内蔵される)マイクロホン16から入力された電気信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータなどの回路を有する。
【0021】
EC/KBC111は、PC1の電力管理を行うためのエンベデッドコントローラと、キーボード14およびタッチパッド15を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。
【0022】
なお、音質改善プログラム202は、メディアプレーヤ122で実行されるアプリケーションであってもよいが、メディアプレーヤ122が実行されていない場合でも動作可能なプログラムであってもよい。
【0023】
次に、図3を参照し、本実施形態の音質改善プログラム202の詳細な機能について説明する。
図3では、音質改善プログラム202がメディアプレーヤ122内で実行されている場合を想定している。音質改善プログラム202は、信号測定部210及び補正・再生部220から構成されている。信号測定部210は、イヤホンのL側またはR側の音出力部18または音出力部19から出力される音(測定音)をマイクロホン16によって収音することによって得られる入力音信号を測定する。補正・再生部220は、出力端子113に音の信号を送る。
【0024】
信号測定部210は、測定部211、目標特性生成部213、L用補正フィルタ設計部212A、R用補正フィルタ設計部212B、及び識別部214から構成されている。
測定部211は、マイクロホン16及び識別部214と接続されている。測定部211は、出力端子113に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される測定音をマイクロホン16で収音することによってイヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定する。また、マイクロホン16で収音された入力音信号の音響特性を測定する。換言すれば、測定部211は、測定音をマイクロホン16によって収音することによって得られる入力音信号を使用して、イヤホンの音響特性を測定する。さらに、測定部211は、入力音信号の周波数特性を示す計測データを生成する。測定部211は、測定した入力音信号の音響特性及び生成した計測データを識別部214に送る。
【0025】
識別部214は、測定部211、L用補正フィルタ設計部212A、及びL用補正フィルタ設計部212Bと接続されている。識別部214は、入力音信号内に含まれるイヤホンの左右を識別するための情報(以下、キー信号またはチャネル識別情報とも称す)に基づき、イヤホンの左右を識別する。つまり、識別部214は、収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて左右いずれの音であるかを判定する。
【0026】
L用補正フィルタ設計部212A及びR用補正フィルタ設計部212Bの各々は、識別部214、目標特性生成部213と接続されている。また、L用補正フィルタ設計部212AはL用補正フィルタ221Aと接続されており、R用補正フィルタ設計部212BはR用補正フィルタ221Bと接続されている。L用補正フィルタ設計部211Aは、L用の補正フィルタを設計し、R用補正フィルタ設計部211Bは、R用の補正フィルタを設計する。識別部214が、左と判定した場合、測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、右と判定された場合、測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成する。
【0027】
具体的には、L用補正フィルタ設計部211Aについて説明すると、L用補正フィルタ設計部211Aは、識別部214を介して測定部211から送られてきた計測データが、後述する目標特性生成部213で生成された目標特性に近づくように、補正・再生部220のイコライザとして機能するL用補正フィルタ221Aを設計する。あるいは、L用補正フィルタ設計部211Aは、L用補正フィルタ221Aに適用するパラメータ等の係数を生成する。L用補正フィルタ設計部211Aによって設計されたL用の補正フィルタ、あるいはL用の補正情報やL用の補正パラメータが、L用補正フィルタ221Aに送られる。R用補正フィルタ設計部211Bについて、上述したL用補正フィルタ設計部211Aと同様に、R用補正フィルタ設計部211Bは、識別部214を介して測定部211から送られてきた計測データが、目標特性生成部213で生成された目標特性に近づくように、補正・再生部220のイコライザとして機能するR用補正フィルタ221Bを設計する。あるいは、R用補正フィルタ設計部211Bは、R用補正フィルタ221Bに適用するパラメータ等の係数を生成する。R用補正フィルタ設計部211Bによって設計されたR用の補正フィルタ、あるいはR用の補正情報やR用の補正パラメータが、R用補正フィルタ221Bに送られる。
【0028】
また、L用補正フィルタ設計部212Aは、目標となる周波数特性のデータと補正対象となる入力音信号の周波数特性計測データとの差分に基づき、L用の補正パラメータを生成する。L用補正フィルタ設計部212Aは、イヤホンの周波数特性を、目標となる周波数特性に近づけるためのL用の補正パラメータを生成する。L用の補正パラメータとしては、例えば一般的なパラメトリックイコライザで用いられるパラメータである。パラメトリックイコライザで用いられるパラメータは、例えば、中心となる周波数、調整する帯域の幅、および利得である。R用補正フィルタ設計部212Bは、目標となる周波数特性のデータと補正対象となる入力音信号の周波数特性計測データとの差分に基づき、R用の補正パラメータを生成する。R用補正フィルタ設計部212Bは、イヤホンの周波数特性を、目標となる周波数特性に近づけるためのR用の補正パラメータを生成する。R用の補正パラメータとしては、例えば、一般的なパラメトリックイコライザで用いられるパラメータである。
【0029】
なお、L用補正フィルタ設計部212A及びR用補正フィルタ設計部212Bの両方の機能を持った1つの補正フィルタ設計部で、L用の補正フィルタ及びR用の補正フィルタを設計してもよい。
【0030】
目標特性生成部213は、補正フィルタを生成する際に使用される、音響特性の基準となる目標特性を生成する。目標特性の生成方法としては、予め用意した参照用の高音質イヤホンの周波数特性をそのまま使う場合や、ユーザの好みの特性に変形して用いるなど、種々の方法が適用可能ある。また、理想的な特性を複数用意しておきユーザに選択させる方法も考えられる。
【0031】
なお、測定部211は、デジタルの音信号として、マイクロホン16から測定部211に入力された入力音信号に基づいて、音の音圧レベルを測定してもよい。そして、測定部211は、測定された音圧レベルに基づいた、入力音信号の周波数特性を示す計測データを生成する。さらに、測定部211は、生成した周波数特性を示す計測データを、一時的に図示されない信号一時記憶部等に記憶してもよい。
【0032】
補正・再生部220は、送信部222Aを含む音響信号再生部222、L用補正フィルタ221A、及びR用補正フィルタ221Bから構成されている。補正・再生部220は、信号測定部210によって測定されたイヤホンの音響特性の補正フィルタを、イヤホンの音響特性を測定する際に使用する測定音に含まれる信号(以下、測定信号と称す)と異なる音楽等の音信号(以下、再生音信号と称す)に適用し、補正フィルタを通した再生音信号をイヤホンに送る。つまり、補正・再生部220は、音響信号再生部222から出力される左チャネルの音信号の周波数特性を、識別部214で左と判定された場合に測定された音響特性に基づいて生成される第1の補正情報に基づいて補正し、音響信号再生部222から出力される右チャネルの音信号の周波数特性を、識別部214で右と判定された場合に測定された音響特性に基づいて生成される第2の補正情報に基づいて補正する。さらに、補正・再生部220は、左チャネルおよび右チャネルの各々から出力端子113に第1および第2の測定音を出力し、第1および第2の測定音は、それぞれ少なくとも一方がチャネル識別情報を含む。
【0033】
L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bの各々は、音響信号再生部222、出力端子113と接続されている。また、L用補正フィルタ221Aは、L用補正フィルタ設計部212Aと接続されており、R用補正フィルタ221Bは、R用補正フィルタ設計部212Bと接続されている。L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bの各々は、例えば一般的なパラメトリックイコライザなどである。L用補正フィルタ221Aは、L用補正フィルタ設計部212Aから送られてきたL用の補正フィルタ(L用の補正パラメータ)を用いて、イヤホンのL側に出力される音信号(以下、左チャネル音信号と称す)を補正する。R用補正フィルタ221Bは、R用補正フィルタ設計部212Bから送られてきたR用の補正フィルタ(R用の補正パラメータ)を用いて、イヤホンのR側に出力される音信号(以下、右チャネル音信号と称す)を補正する。なお、L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bは、L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bの両方の機能を有する1つの補正フィルタで代用してもよい。
【0034】
また、イヤホンは2つのチャネル(2ch)で音を出力することができ、補正・再生部220は、イヤホンのL側の音出力部18に左チャネル音信号を送り、イヤホンのR側の音出力部19に右チャネル音信号を送る。
【0035】
音響信号再生部222は、L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bと接続されており、測定信号及び再生音信号を再生する。測定信号の詳細については後述する。再生音信号は、音楽や音声等の音信号であり、ユーザはこの音信号をイヤホンを介して聴く。送信部222Aは、測定信号または再生音信号をL用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bを介して出力端子113に送る。なお、測定信号が送信部222Aから送信される場合、L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bが補正を行わないように設定されている。また、送信部222Aは、L用補正フィルタ221Aを介して左チャネル音信号を送り、R用補正フィルタ221Bを介して右チャネル音信号を送る。
【0036】
次に、図4を参照して、イヤホンの音響特性を測定する際に使用する測定音の詳細について説明する。
本実施形態では、上述したように、イヤホンの入力端子17をPC1の出力端子113に接続し、PC1からイヤホンに左チャネル音信号及び右チャネル音信号として送られてくる測定音が、イヤホンの音出力部18および音出力部19の各々から出力され、その測定音がマイクロホン16によって収音されることによって、イヤホンの音響特性が測定される。なお、以下、複数の測定信号から構成された音信号または測定信号に加えて測定信号以外の信号から構成された音信号を測定音とする。
【0037】
図4に示すように、測定音は、例えばイヤホンの周波数特性を測定するための多様な周波数成分を持つ信号(測定信号)を用いて構成される。測定信号は、例えば、TSP(Time Stretched Pulse)信号を用いることができる。他の例として、測定信号として白色雑音(ホワイトノイズ)を用いてもよい。また、測定信号はピンクノイズを用いることも可能であるが、これらに限られるものではない。
【0038】
図4において、測定音は、図中の左側の方が時間的に先に出力される信号を表している。L側の測定音40は、複数回出力される測定信号44A、44B、及び44E等の他に、測定音中の時間的に早い段階の区間(以下、初段区間と称す)にL側を識別するためのL用キー信号42を含んでいる。同様に、R側の測定音41は、複数回出力される測定信号44F、44G、及び44Jの他に、測定音41中の初段区間にR側を識別するためのR用キー信号43を含んでいる。なお、測定信号44A、44B、44E、44F、44G、及び44Jは、同じ性質を持った測定信号であるが、出力される順番の違いあるいはL側またはR側の何れに含まれる測定信号であるかを示すために区別された測定信号であってもよい。なお、図4では、測定音は時刻t3までの一定の時間出力されているが、測定音が出力される時間の長さは、測定音に含まれる測定信号の長さや、測定信号を繰り返す回数、キー信号の長さなどに依存するため、測定音が出力される時間は適宜、設計で決めることができるものであり、必ずしも一定でなくてもよい。
【0039】
なお、図4では、L用の測定音40内の測定信号及びR用の測定音41内の測定信号がそれぞれキー信号を含む例を示したが、キー信号はL用の測定音40内の測定信号及びR用の測定音41内の測定信号の少なくとも一方に含まれていればよい。すなわち、L用の測定音40及びR用の測定音41の各々の構成は、L用キー信号42がL側の測定音40に含まれており且つR用キー信号43がR側の測定音41に含まれていない構成と、あるいは、L用キー信号42がL側の測定音40に含まれておらず且つR用キー信号43がR側の測定音41に含まれている構成と、の何れかの構成であればよい。
【0040】
また、L用キー信号42及びR用キー信号43の各々は、初段区間以外の区間、例えば測定音中の時間的に途中の段階の区間(以下、途中区間と称す)または測定音中の時間的に遅い段階の区間(以下、後段区間と称す)、に含まれていてもよい。ただし、L用キー信号42及びR用キー信号43の各々を初段区間に配置した場合、時間的に最も早くL側とR側の識別結果を得ることができる効果がある。
【0041】
次に、図5を参照して、本実施形態のイヤホンの音質を改善するための処理を説明する。
ユーザによってイヤホンの左右の何れかがマイクロホン16に近づけられ、測定音の測定が開始される。なお、測定の際はイヤホンから出力される音をマイクロホン16で適切に収音できるようなイヤホンとマイクロホン16との位置関係を示すガイドをユーザに示してもよい。送信部222Aは、図4に示したようなL用の測定音及びR用の測定音をイヤホンに送信する(ステップS21)。なお、L用の測定音及びR用の測定音が、イヤホンのL用の音出力部18及びR用の音出力部19から、左チャネル音信号及び右チャネル音信号として出力されるようにすることで、ユーザがイヤホンの左右を判別することなく測定を開始することが可能となる効果がある。
【0042】
次に、送信部222Aから送信された測定音は、音出力部18及び音出力部19から出力され、入力音信号としてマイクロホン16によって収音される。識別部214は、収音された入力音信号に含まれるキー信号に基づいて、測定している測定音がL側の測定音であるかR側の測定音であるかを識別する(ステップS22)。次に、測定音に含まれる測定信号を用いてイヤホンの特性を分析する(ステップS23)。なお、ステップS23でイヤホンの特性を分析した後、ステップS22で左右の識別を行ってもよい。次に、イヤホンの両側の特性を測定したかどうかを判定する(ステップS24)。両側の特性の測定結果が得られていない場合(ステップS24のNO)、測定を行っていない側の測定を行うためにステップS21に戻る。なお、両側の特性を測定するためには、ユーザが測定を行っていない側をマイクロホン16に近づける必要があるが、その際もユーザがイヤホンの左右を判別する必要はない。
【0043】
両側の特性の測定結果が得られた場合(ステップS24のYES)、ステップS22で識別された識別結果と、ステップS23で得られた特性の分析結果とを対応付ける(ステップS25)。なお、ステップS25はステップS24の前に行ってもよい。すなわち、両側の特性を得た後、識別結果と分析結果を対応付けるのではなく、ステップS23で特性の分析結果が得られた後、測定していた測定音の識別結果と測定信号の分析結果を対応付けてもよい。そして、対応付け結果に基づき、L用の補正フィルタ及びR用の補正フィルタを作成し、その補正フィルタを用いて、通常の再生音信号(メディアプレーヤ122のようなオーディオ再生部によって音楽のようなオーディオデータを再生することによって得られる音信号)に含まれる左チャネル音信号及び右チャネル音信号を補正する(ステップS26)。これにより、左右を誤って補正することなく適切な補正を行うことができる。
【0044】
次に、図6を参照して、ステップS22の処理について、さらに詳細に説明する。
ステップS22に対応するステップ22Aは、ステップS91及びステップS92から構成される。左右の識別は、測定音に含まれるキー信号に基づいて行われる。キー信号は、図4を参照して、上述したように測定音の所定の区間に含まれている。そのため、識別部214は、キー信号が含まれる所定の区間(識別区間)に対して左右を識別するための分析を行う(ステップS91)。次に、識別部214は、その分析結果に基づき左右を識別し、その識別結果を出力する。
【0045】
このように、測定音にL側とR側のキー信号を含ませることによって、イヤホンの左右が識別される。次に、このキー信号について具体的に説明する。
左右のキー信号は、例えば、時間軸上でキー信号内のエネルギ分布の偏りに違いがある信号、周波数が異なるサイン波またはコサイン波から成る信号、または周波数帯域に偏りがある信号である。なお、エネルギ分布の偏りに違いがあるキー信号については、図15を参照して後述する。
【0046】
周波数が異なるサイン波またはコサイン波から成るキー信号を使用した場合、周波数が異なるサイン波またはコサイン波から成るキー信号は、測定周波数範囲内で周波数が離れたサイン波またはコサイン波であり、例えば、L用キー信号42が1kHzのサイン波でR用キー信号43が4kHzのサイン波である。あるいは、L用キー信号42とR用キー信号43が非倍音関係にあってもよい。例えば、L用キー信号42が1.2kHzのサイン波で、R用キー信号43が4.2kHzのサイン波である。さらに、キー信号は、複合サイン波であってもよい。例えば、L用キー信号42が1kHz〜3kHzの複合サイン波で、R用キー信号43が4kHz〜6kHzの複合サイン波である。
【0047】
周波数帯域に偏りがあるキー信号を使用した場合、例えは、L用キー信号42はハイパスフィルタ(HPF)を介した信号で、R用キー信号43はローパスフィルタ(LPF)を介した信号である。このようにすることで、周波数の偏りを利用して左右を識別できる。なお、この場合、L用キー信号42は、HPFを介して得られたL用の測定音40に含まれるキー信号であってもよいし、R用キー信号43は、LPFを介して得られたR用の測定音41に含まれるキー信号であってもよい。
【0048】
なお、上述したようなキー信号は一例であり、キー信号は左右を識別可能な信号であればよい。また、キー信号はL用の測定音40またはR用の測定音41の何れかに含まれていればよい。この場合、識別部214は、測定している入力音信号にキー信号が含まれているかどうかで左右を識別してもよい。あるいは、例えばキー信号が含まれていない場合、測定していないもう一方の側で測定された入力音信号に含まれるキー信号の識別結果に基づき、キー信号が含まれていない側を識別してもよい。
【0049】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、イヤホンの左右の判別し、左右それぞれに対応した補正フィルタを適切に作成し、イヤホンの左右の音質を適切に改善することができる。これによって、ユーザによるイヤホンの左右の判別を必要とせず、例えばユーザがイヤホンの左右から出力される音を聴いて左右を判断することや、ユーザがイヤホンの左右の表示を確認することが不要になる。したがって、イヤホンの左右の適切な判別と測定を簡単に精度よく行うことができる。そのため、ユーザが同じ側を誤って何度も測定してしまうようなヒューマンエラーを防止し、測定に費やす時間を短縮することができる。また、ユーザは、測定に用いたイヤホンで音楽等を視聴すると、理想的なイヤホンで使用して視聴した場合に近い音で聞こえるため、高音質な音楽を楽しむことができる。さらに、左右を判別するために使用するキー信号を出力される測定音の始め側の区間に入れることで、早く左右を判別することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能または構成については説明を省略する。
第2の実施形態では、イヤホンの左右の識別結果を用いて識別されていない側から出力されている音のレベルを下げる。具体的には、測定中に、測定している側がL、Rのいずれであるかが認識できた後に、測定していない側の測定音のレベルを、下げるか、もしくは、OFFにする制御をする。さらに、その識別結果をユーザが分かるように表示する。具体的には、ユーザに提示する機能、例えばGUI表示あるいは音声応答で、識別した側がイヤホンのL側あるいはR側のいずれであるかの情報をユーザに通知する。
【0051】
始めに、図7及び図8を参照し、測定音のレベルを下げた測定音の構成について説明する。
図7では、測定している入力音信号がL側の測定音40であることが、識別部211によって識別された場合を想定している。また、L用キー信号42はL用測定音40の初段区間に含まれている。識別部211による識別結果は、L用キー信号42が測定されることによって得られるため、L用キー信号42が測定された後のR用測定音51に含まれる測定信号を無音化する。具体的には、図7では、R用キー信号43の次に出力される信号から無音化される。無音化された信号は、無音化信号54A、54B、及び54等である。
【0052】
図8では、測定している入力音信号がR側の測定音41であることが、識別部211によって識別された場合を想定している。図7と同様に、L用キー信号42の次に出力される信号から無音化される。具体的には、図8で、無音化される信号は無音化信号55A、55B、及び55E等で示される。
【0053】
なお、無音化とは、測定音に含まれる測定信号の音のレベルを完全にOFFにする制御であってもよいが、測定の妨げにならないような測定音に含まれる測定信号の音の再生レベルを小さくする制御であってもよい。
次に、図9を参照し、第2の実施形態における、イヤホンの左右の音質を改善するための処理について説明する。
始めに、送信部222Aが測定音を出力する(ステップS31)。なお、ステップS31で、L側及びR側の両方から測定音を出力するため、少なくとも1回目の測定の際は、ユーザがイヤホンのL側及びR側の判別を意識することなく測定を開始することが可能となる。次に、識別部211によって左右が識別され、測定音のL側及びR側の識別結果を取得する。(ステップS32)。この識別結果を用いることによって、同時に測定していない側が決定するので、測定していない側、つまり識別されない側(ユーザが測定していない側)の測定音の出力を低減する(ステップS36)。なお、測定音の出力の低減は、測定していない側のイヤホン再生音を小さくするまたはOFFにするように、測定していない側の測定音もしくは、イヤホン再生出力の制御によって行われる。また、この際、識別されている側(測定している側)のイヤホンに対する測定音を小さくする制御は行わない。
【0054】
次に、識別された側がイヤホンの何れであるかの情報を、識別結果に基づき、ユーザに表示する(ステップS37)。あるいは、識別結果の情報に基づくガイドを提示してもよい(ステップS37)。なお、この機能は、GUI表示または音声応答などによって実現されてもよい。例えば、図2に示すLCD13に、識別結果をユーザが分かるように表示してもよい。これにより、例えばユーザは測定している側のイヤホンのL側とR側を意識せずに測定を開始したとしても、測定すると、L側とR側がどちらであるかの情報を自然に知ることが可能となる効果がある。
【0055】
次に、測定音の中に含まれる測定信号を用いて特性分析を行う(ステップS33)。また、識別された結果を用いることにより、未測定の側があるかどうかを判定する(ステップS38)。未測定の側がある場合(ステップS38のYES)、ステップS31に戻って未測定の側の測定を行う。一方、未測定の側がないと判定された場合(ステップS38のNO)、ステップS32で取得したL側及びR側の識別結果と、ステップS33で取得した特性を対応付ける(ステップS34)。そして、対応付けられた特性に対応した補正をL側及びR側に対して行うための特性補正が行われる。
【0056】
以上のように、第2の実施形態において、測定時にマイクロホンに近づけていない側のイヤホンから出力される測定音の音レベルを下げる、あるいは全く音が出ないようにすることで、測定している側の測定性能を下げることなく、さらに測定性能を改善できる。つまり、測定していない側から出力される音がマイクロホから収音されることを防止できる。そのため、測定のSN比を改善することができる。また、測定時にマイクロホンに近づけていない側からでる音のレベルを抑えることで、周りへの騒音等の影響を抑えることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の機能または構成については説明を省略する。
第3の実施形態では、収音した測定音内のキー信号(キー情報)が含まれる区間の信号を、測定音内の測定信号から得られる音響特性に基づいて補正し、この補正された信号に基づき左右の判定をする。これにより、キー信号等の測定音に含まれる左右を識別するためのキー情報の抽出をより確実に行うことができる。測定音に含まれるキー情報は、イヤホンから出力されマイクロホン16で収音されるため、収音された音に含まれるキー情報はイヤホンの特性の影響を受ける。第3の実施形態では、このような影響によるキー情報の識別精度の低下を改善することができる。
【0058】
始めに、図10を参照して、第3の実施形態の、イヤホンから出力される音の音質を改善するための処理について説明する。
送信部222Aが測定音をイヤホンに出力する(ステップS101)。次に、測定音の中に含まれる測定信号に基づき特性を分析する(ステップS102)。なお、特性の分析を行う際、測定信号のイヤホンの周波数特性を目標特性に近づける補正に必要な特性を補正特性として得てもよい。なお、目標特性はフラットに近いことが望ましいが、所定の目標特性であればよく、目標特性は予め分かっていることを考慮し補正のための特性を設計できるため、目標特性はフラットでなくてもよい。このようにして、イヤホンの特性の影響を除去するための補正特性もしくは補正フィルタが得られる。なお、補正特性とは、測定信号に含まれるイヤホンの周波数特性を目標特性に近づけるための特性である。補正特性は、例えば、イコライザのフィルタ設計時に生成される補正フィルタとして得ることができる。
【0059】
次に、収音した入力音信号内のキー信号を含む区間に対して、ステップS102で生成した補正フィルタを適用しキー信号の補正を行う。これにより、イヤホンの特性による影響を取り除いた、補正されたキー信号を用いて、識別部214はL側及びR側の識別を行うことができる。
【0060】
次に、イヤホンの両側の特性が測定されたかどうかが判定される(ステップS104)。そして、ステップS102で取得した特性と、ステップS103で取得した識別結果とを対応付ける(ステップS105)。対応付けられた特性に対応した補正をL側及びR側それぞれに対して行うための特性補正処理が行われる(ステップS106)。
【0061】
図11を参照して、図10のステップS103における識別処理について具体的に述べる。
ステップS103Aは、ステップS111及びステップS112から構成される。特性補正を用いたキー信号を含んでいる識別区間の分析を行う(ステップS111)。特性補正とは、上述したような補正フィルタ等を用いた補正である。マイクロホン16で収音した入力音信号のキー信号が含まれる区間に対して補正フィルタをかけることにより、補正された識別区間の分析を行う(ステップS111)。なお、識別区間は予めPC1内で設定されている。そして、分析結果に基づきL側及びR側の識別を行い識別結果を取得する(ステップS112)。
【0062】
以上のように、第3の実施形態において、イヤホンの特性の分析を識別処理よりも先に行い、分析処理によって得られた補正フィルタを用いてキー信号が補正されるため、補正されたキー信号を用いて左右を識別することができる。そのため、キー信号がイヤホンの特性で劣化していた場合でも、高精度に左右を識別することができる。
【0063】
(変形例)
以下、測定時に用いる測定音の構成の変形例について説明する。
図12は、L用の測定音60に含まれる測定信号と逆位相の測定信号をR用の測定音61に含ませた場合の測定音の構成例を示している。なお、逆位相の測定信号とは、時間軸上で出力される信号を反転させた信号である。例えば、測定信号としてTSP信号を用いた場合、逆位相の測定信号は時間順が逆のTSP信号を用いる。このような測定信号を使用することで、測定音にキー信号を含ませることなく左右を識別することができる。
【0064】
具体的には、例えば、図12に示すように、逆位相の測定信号は、測定信号62A、62B、及び62E等のそれぞれに対して逆位相の測定信号63A、63B、及び63E等で示される。
【0065】
次に、図13及び図14を参照して、逆位相の測定信号を用いた場合の測定していない側の信号の無音化について説明する。
図13では、L用の測定音60が測定されている場合を想定している。測定信号62Aが分析され、例えば予め設定しておいた測定信号と一致している場合、測定している測定音がL用の測定音60であることが識別されるため、測定信号62Aの次に出力される測定信号62Bに時間軸上で対応するR用の測定音71の信号(図13では、無音化信号64Aで示される)を無音化する。
【0066】
図14では、R用の測定音73が測定されている場合を想定している。逆位相の測定信号63Aが分析されることによって、測定している測定音がR用の測定音73であることが識別される。そのため、逆位相の測定信号63Aの次に出力される信号は逆位相でない測定信号、つまり測定信号と同位相の測定信号、であってもよい。具体的には、図14に示すように、逆位相の測定信号63Aの次に出力される信号を、逆位相ではない測定信号62FとしてR側に出力されてもよい。なお、測定していない側のL側の測定音72は、測定信号62Aの次に出力される信号から無音化してもよい。具体的には、図14に示すように、測定信号62Aの次に出力される信号(図14では、無音化信号65Aで示される)を無音化する。
【0067】
なお、測定音の構成のその他の例として、初期信号を用いた場合が考えられる。初期信号は、測定を行う際の測定するためのシステムの初期調整のために使用する信号である。初期信号は測定信号よりも先に出力される。このような場合は、次に示すようにキー信号を初期信号と測定信号の間に入るような測定音の構成にできる。
L側の測定音:[初期信号][L用キー信号][測定信号][測定信号]…[測定信号]
R側の測定音:[初期信号][R用キー信号][測定信号][測定信号]…[測定信号]
なお、キー信号もしくは測定信号が初期信号を兼ねる構成であってもよい。
【0068】
また、図12で示したように、逆位相の測定信号を用いた左右の識別処理は、所定の測定信号とマイクロホン16で収音される音の信号との相関で左右が判別されてもよい。さらに、L用の測定音にTSP信号を測定音として含ませ、R用の測定音に時間順が逆のTSP信号またはピンクTSP信号を用いるなど、出力される測定音の時間方向が順方向または逆方向であってもよい。また、測定音は、L用の測定音の測定信号にTSP信号を用い、R用の測定音の測定信号にピンクTSP信号を使用するなど、L用とR用で異なる性質の信号の組み合わせであってもよい。この場合も、所定の測定信号とマイクロホン16で収音される音の信号との相関で左右が判別されてもよい。
【0069】
あるいは、測定信号間の出力時間間隔が異なるような測定音の構成であってもよい。具体的には、例えば、図4に示すような、時刻t1と時刻t2の間の時間間隔が、L用の測定音とR用の測定音とで異なっている場合である。
【0070】
最後に、図15を参照して、上述した、左右を識別する際に用いる左右のキー信号に、時間軸上でのキー信号内のエネルギ分布に偏りの違いがある場合について説明する。図15に示すように、例えば、L用のキー信号は時間軸上の前半部分にエネルギが多く、逆にR用のキー信号は時間軸上の後半部分にエネルギが多く存在してもよい。なお、L用キー信号とR用キー信号はそのエネルギ分布に違いがあればよいので、図15に示すように、必ずしもL用キー信号とR用キー信号との間に対象性がある必要はない。
【0071】
また、一般的に、イヤホンやヘッドホンは低域や高域に比べると中音域の左右の特性の差が比較的小さくなるように設計されていることから、例えば1kHz付近の周波数が含まれるようなキー信号とすることで、エネルギー分布の偏りを利用した上記のような識別キーがより安定的に有効となる。
【0072】
以上説明したように、第1の実施形態乃至第3の実施形態において、ユーザがイヤホンの左右について音を聞いて左右を判断することや、ユーザがイヤホンの左右の表示を確認することなく、イヤホンの左右の適切な判別と測定を簡単に精度よく行うことができる。
【0073】
なお、本実施形態の補正制御処理の手順は全てソフトウェアによって実行することができる。このため、この補正制御処理手順を実行するプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのプログラムを通常のコンピュータにインストールして実行するだけで、第1の実施形態乃至第3の実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1…コンピュータ、16…マイクロホン、18…(L側)音出力部、19…(R側)音出力端子、40…L用の測定音、41…R用の測定音、113…出力端子(イヤホン端子)、122…メディアプレーヤ、202…音質改善プログラム、211…測定部、212A…L用補正フィルタ設計部、212B…R用補正フィルタ設計部、221A…L用補正フィルタ、221B…R用補正フィルタ、222…音響信号再生部、222A…送信部、214…識別部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、イヤホン音質を補正する情報処理装置および補正制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPCといった種々の情報処理装置が開発されている。この種の多くの情報処理装置では、イヤホンやヘッドホン等の外部音声出力機器(以下、イヤホンと称す)と接続し、音楽等を再生することができる。また、ユーザはイヤホンを介して情報処理装置によって再生される音楽を聴くことができる。
【0003】
一般的に、イヤホンから出力される音楽の音質は、ユーザが使用しているイヤホンの種類等によって各々異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−235809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、イヤホンはその左右の音質が必ずしも同一ではないため、同じ種類のイヤホンであっても、左右の音質にばらつきが大きいものがある。そのため、高品質なイヤホン再生音を得るためには、イヤホンの左右それぞれの音質を正しく補正できるようにすることが必要である。
【0006】
本発明は、イヤホンの音質を容易に補正することができる情報処理装置および補正制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報処理装置は、測定音出力手段と、測定手段と、左右判定手段と、補正情報生成手段と、補正手段とを具備する。測定音出力手段は、少なくとも一方がチャネル識別情報を含む第1および第2の測定音を、それぞれ左チャネルおよび右チャネルから出力端子に出力する。測定手段は、前記出力端子に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される前記測定音を収音することによって前記イヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定する。左右判定手段は、前記収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて前記左右いずれの音であるかを判定する。補正情報生成手段は、前記判定手段で左と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、前記判定手段で右と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成する。補正手段は、オーディオ再生部から出力される左チャネルの音信号の周波数特性を前記第1の補正情報に基づいて補正し、前記オーディオ再生部から出力される右チャネルの音信号の周波数特性を前記第2の補正情報に基づいて補正する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の外観を示す図。
【図2】第1の実施形態の情報処理装置のシステム構成を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態の情報処理装置で動作する音質改善プログラムの構成例を示すブロック図。
【図4】第1の実施形態の情報処理装置で使用される測定音の構成の一例を示す図。
【図5】第1の実施形態の情報処理装置によって実行される音響特性測定処理の手順の一例を示すフローチャート。
【図6】第1の実施形態の情報処理装置によって実行される左右識別処理の手順を説明するためのフローチャート。
【図7】第2の実施形態の情報処理装置で使用される測定音の構成の一例を示す図。
【図8】第2の実施形態の情報処理装置で使用される測定音の構成の他の例を示す図。
【図9】第2の実施形態の情報処理装置によって実行される音響特性測定処理の手順の一例を示すフローチャート。
【図10】第3の実施形態の情報処理装置によって実行される音響特性測定処理の手順の一例を示すフローチャート。
【図11】第3の実施形態の情報処理装置によって実行される左右識別処理の手順を説明するためのフローチャート。
【図12】第1、第2、第3の各実施形態で使用可能な測定音の構成の他の例を示す図。
【図13】第1、第2、第3の各実施形態で使用可能な測定音の構成のさらに他の例を示す図。
【図14】第1、第2、第3の各実施形態で使用可能な測定音の構成のさらに他の例を示す図。
【図15】第1、第2、第3の各実施形態で使用可能な識別信号の性質の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図である。この情報処理装置は、例えば、ラップトップ型パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型PC、スマートフォン、またはPDA等として実現され得る。以下では、この情報処理装置がラップトップ型パーソナルコンピュータ1(以下、PC1と称す)として実現されている場合を想定する。
【0010】
PC1は、図1に示すように、コンピュータ本体11とディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対し、コンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面を覆う閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。ディスプレイユニット12には、LCD(Liquid crystal display)13、及びマイクロホン16が組み込まれている。マイクロホン16は、効率良く音を収音できるようにするために、ディスプレイユニット12の正面部に設けられている。コンピュータ本体11は、薄い箱形の筐体を有しており、その上面には、キーボード14およびタッチパッド15などが配置されている。また、コンピュータ本体11の筐体側面部には、イヤホンを接続可能な音信号出力用の出力端子113が設けられている。
【0011】
イヤホンは、出力端子113と接続可能な入力端子17と、音を出力する音出力部18及び音出力部19とを備えている。PC1で再生される音は、出力端子113を介して入力端子17からイヤホンに入力される。イヤホンに入力された音は、音出力部18及び音出力部19から出力される。音出力部18及び音出力部19は、左(L)チャネル音信号に対応する音および右(R)チャネル音信号に対応する音を出力する。
【0012】
ユーザがイヤホンを使用して、PC1から送られてくる音を聴く場合、入力端子17をPC1の出力端子113に接続し、音出力部18(以下、L側とも称す)及び音出力部19(以下、R側とも称す)の各々(以下、イヤホンの左右とも称す)をユーザの左右の耳に当てる。これにより、ユーザは、ステレオで音を聴くことができる。しかしながら、ユーザが聴くことができる音の音質は、ユーザが使用しているイヤホンの性能(音響特性)に依存する。そのため、仮に、ユーザが安価で性能が低いイヤホンを使用していた場合、ユーザは低品質の音しか聴くことができない。このような場合においても、イヤホンの音質を改善することで、ユーザは高音質の音を聴くことができる。さらに、イヤホンの性能は、L側とR側とで異なる場合がある。すなわち、L側とR側の各々から出力される音の音質が異なる。そのため、L側とR側の音質をそれぞれ改善することによって、ユーザはより高音質な音を聴くことができる。
【0013】
本実施形態では、イヤホンの左右から出力される音をマイクロホン16で収音し、収音した音の音響特性から、イヤホンの左右それぞれに対応した補正フィルタを作成し、PC1からイヤホンに送られる音に対して補正フィルタを適用することで、イヤホンの左右から出力される音の音質を改善する。また、イヤホンの音出力部18から出力される音をマイクロホン16によって収音する際、図1に示すように、ユーザは、音出力部18をマイクロホン16に近づける。あるいは、音出力部18とマイクロホン16を接触させた状態で収音を行う。このようにすることによって、一般のユーザでも簡単に、低コストで高精度に、イヤホンの左右の音響特性を測定することができる。
【0014】
しかしながら、図1に示すように、ユーザが音出力部18をマイクロホン16に近づける際、ユーザは音出力部18がL側であるかR側であるかどうか判断しなければならない。仮に、ユーザが誤って音出力部18をR側だと判断し、音出力部18をマイクロホン16に近づけ、R側に対応した補正フィルタが作成された場合、L側である音出力部18から出力される音は、R側に対応した補正フィルタを適用したL側用の音の信号である。したがって、このような場合、イヤホンの左右の音質を正しく改善することができない。また、ユーザがイヤホンの左右を識別する際、ユーザはイヤホンの左右を区別できるイヤホンの「L」や「R」等の表記を見て左右を識別するが、その表記が小さく識別することが困難である、あるいは、イヤホンのデザインの仕様でその表記が見えにくい場合がある。そのため、ユーザはイヤホンの左右の判別に手間取る場合がある。さらに、左右を識別するための表記が、ユーザが直ぐに探し出すことができないような所に表示されている場合や、あるいは、イヤホンに記されていない場合もある。このようなことが原因となり、ユーザがイヤホンの左右を正しく判別できない場合がある。本実施形態では、ユーザによるイヤホンの左右の判別を行わずに、イヤホンの左右のそれぞれに対応した補正フィルタを作成し、イヤホンの左右のそれぞれから出力される音の改善を行うことができる。
【0015】
次に、図2を参照し、本実施形態のPC1のシステム構成について説明する。
図2に示すように、PC1は、LCD13、CPU(Central processing unit)101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、GPU(Graphics processing unit)105、サウンドコントローラ106、BIOS(Basic input/output system)−ROM(Read only memory)107、LAN(Local area network)コントローラ108、HDD(Hard disk drive)109、ODD(Optical disc drive)110およびEC/KBC(Embedded controller/Keyboard controller)111、スピーカ112、出力端子113、及びマイクロホン16等を有している。
【0016】
CPU101は、PC1の動作を制御するプロセッサであり、HDD109から主メモリ103にロードされる各種プログラムを実行する。CPU101によって実行される各種プログラムの中には、リソース管理を司るOS(Operating system)121や、当該OS121の配下で動作する、後述するメディアプレーヤ122及び音質改善プログラム202等が存在する。メディアプレーヤ122は、音のファイルを再生するためのアプリケーションソフトウェアである。音質改善プログラム202は、イヤホンから出力される音の音質を改善するためのアプリケーションソフトウェアである。また、CPU101は、BIOS−ROM107に格納されたBIOSも実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。
【0017】
ノースブリッジ102は、CPU101とサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスとして動作すると共に、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラとして動作する。また、ノースブリッジ102は、GPU105との通信を実行する機能を有している。
【0018】
GPU105は、ディスプレイユニット12に組み込まれたLCD13への画像表示を実行する表示コントローラである。また、GPU105は、各種プログラムが表示しようとする画像をCPU101に代わって描画するアクセラレータを搭載する。
【0019】
サウスブリッジ104は、BIOS−ROM107をアクセス制御するメモリコントローラとして動作する。また、サウスブリッジ104は、HDD109およびODD110を制御するためのIDE(Integrated Device Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106との通信を実行する機能を有している。
【0020】
サウンドコントローラ106は、音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ112または(前述のコンピュータ本体11の筐体側面部に設けられる)出力端子(イヤホン端子)113に出力するために、デジタル信号を電気信号に変換するD/Aコンバータや、電気信号を増幅するアンプリファイアなどの回路を有する。また、サウンドコントローラ106は、(前述のコンピュータ本体11に内蔵される)マイクロホン16から入力された電気信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータなどの回路を有する。
【0021】
EC/KBC111は、PC1の電力管理を行うためのエンベデッドコントローラと、キーボード14およびタッチパッド15を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。
【0022】
なお、音質改善プログラム202は、メディアプレーヤ122で実行されるアプリケーションであってもよいが、メディアプレーヤ122が実行されていない場合でも動作可能なプログラムであってもよい。
【0023】
次に、図3を参照し、本実施形態の音質改善プログラム202の詳細な機能について説明する。
図3では、音質改善プログラム202がメディアプレーヤ122内で実行されている場合を想定している。音質改善プログラム202は、信号測定部210及び補正・再生部220から構成されている。信号測定部210は、イヤホンのL側またはR側の音出力部18または音出力部19から出力される音(測定音)をマイクロホン16によって収音することによって得られる入力音信号を測定する。補正・再生部220は、出力端子113に音の信号を送る。
【0024】
信号測定部210は、測定部211、目標特性生成部213、L用補正フィルタ設計部212A、R用補正フィルタ設計部212B、及び識別部214から構成されている。
測定部211は、マイクロホン16及び識別部214と接続されている。測定部211は、出力端子113に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される測定音をマイクロホン16で収音することによってイヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定する。また、マイクロホン16で収音された入力音信号の音響特性を測定する。換言すれば、測定部211は、測定音をマイクロホン16によって収音することによって得られる入力音信号を使用して、イヤホンの音響特性を測定する。さらに、測定部211は、入力音信号の周波数特性を示す計測データを生成する。測定部211は、測定した入力音信号の音響特性及び生成した計測データを識別部214に送る。
【0025】
識別部214は、測定部211、L用補正フィルタ設計部212A、及びL用補正フィルタ設計部212Bと接続されている。識別部214は、入力音信号内に含まれるイヤホンの左右を識別するための情報(以下、キー信号またはチャネル識別情報とも称す)に基づき、イヤホンの左右を識別する。つまり、識別部214は、収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて左右いずれの音であるかを判定する。
【0026】
L用補正フィルタ設計部212A及びR用補正フィルタ設計部212Bの各々は、識別部214、目標特性生成部213と接続されている。また、L用補正フィルタ設計部212AはL用補正フィルタ221Aと接続されており、R用補正フィルタ設計部212BはR用補正フィルタ221Bと接続されている。L用補正フィルタ設計部211Aは、L用の補正フィルタを設計し、R用補正フィルタ設計部211Bは、R用の補正フィルタを設計する。識別部214が、左と判定した場合、測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、右と判定された場合、測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成する。
【0027】
具体的には、L用補正フィルタ設計部211Aについて説明すると、L用補正フィルタ設計部211Aは、識別部214を介して測定部211から送られてきた計測データが、後述する目標特性生成部213で生成された目標特性に近づくように、補正・再生部220のイコライザとして機能するL用補正フィルタ221Aを設計する。あるいは、L用補正フィルタ設計部211Aは、L用補正フィルタ221Aに適用するパラメータ等の係数を生成する。L用補正フィルタ設計部211Aによって設計されたL用の補正フィルタ、あるいはL用の補正情報やL用の補正パラメータが、L用補正フィルタ221Aに送られる。R用補正フィルタ設計部211Bについて、上述したL用補正フィルタ設計部211Aと同様に、R用補正フィルタ設計部211Bは、識別部214を介して測定部211から送られてきた計測データが、目標特性生成部213で生成された目標特性に近づくように、補正・再生部220のイコライザとして機能するR用補正フィルタ221Bを設計する。あるいは、R用補正フィルタ設計部211Bは、R用補正フィルタ221Bに適用するパラメータ等の係数を生成する。R用補正フィルタ設計部211Bによって設計されたR用の補正フィルタ、あるいはR用の補正情報やR用の補正パラメータが、R用補正フィルタ221Bに送られる。
【0028】
また、L用補正フィルタ設計部212Aは、目標となる周波数特性のデータと補正対象となる入力音信号の周波数特性計測データとの差分に基づき、L用の補正パラメータを生成する。L用補正フィルタ設計部212Aは、イヤホンの周波数特性を、目標となる周波数特性に近づけるためのL用の補正パラメータを生成する。L用の補正パラメータとしては、例えば一般的なパラメトリックイコライザで用いられるパラメータである。パラメトリックイコライザで用いられるパラメータは、例えば、中心となる周波数、調整する帯域の幅、および利得である。R用補正フィルタ設計部212Bは、目標となる周波数特性のデータと補正対象となる入力音信号の周波数特性計測データとの差分に基づき、R用の補正パラメータを生成する。R用補正フィルタ設計部212Bは、イヤホンの周波数特性を、目標となる周波数特性に近づけるためのR用の補正パラメータを生成する。R用の補正パラメータとしては、例えば、一般的なパラメトリックイコライザで用いられるパラメータである。
【0029】
なお、L用補正フィルタ設計部212A及びR用補正フィルタ設計部212Bの両方の機能を持った1つの補正フィルタ設計部で、L用の補正フィルタ及びR用の補正フィルタを設計してもよい。
【0030】
目標特性生成部213は、補正フィルタを生成する際に使用される、音響特性の基準となる目標特性を生成する。目標特性の生成方法としては、予め用意した参照用の高音質イヤホンの周波数特性をそのまま使う場合や、ユーザの好みの特性に変形して用いるなど、種々の方法が適用可能ある。また、理想的な特性を複数用意しておきユーザに選択させる方法も考えられる。
【0031】
なお、測定部211は、デジタルの音信号として、マイクロホン16から測定部211に入力された入力音信号に基づいて、音の音圧レベルを測定してもよい。そして、測定部211は、測定された音圧レベルに基づいた、入力音信号の周波数特性を示す計測データを生成する。さらに、測定部211は、生成した周波数特性を示す計測データを、一時的に図示されない信号一時記憶部等に記憶してもよい。
【0032】
補正・再生部220は、送信部222Aを含む音響信号再生部222、L用補正フィルタ221A、及びR用補正フィルタ221Bから構成されている。補正・再生部220は、信号測定部210によって測定されたイヤホンの音響特性の補正フィルタを、イヤホンの音響特性を測定する際に使用する測定音に含まれる信号(以下、測定信号と称す)と異なる音楽等の音信号(以下、再生音信号と称す)に適用し、補正フィルタを通した再生音信号をイヤホンに送る。つまり、補正・再生部220は、音響信号再生部222から出力される左チャネルの音信号の周波数特性を、識別部214で左と判定された場合に測定された音響特性に基づいて生成される第1の補正情報に基づいて補正し、音響信号再生部222から出力される右チャネルの音信号の周波数特性を、識別部214で右と判定された場合に測定された音響特性に基づいて生成される第2の補正情報に基づいて補正する。さらに、補正・再生部220は、左チャネルおよび右チャネルの各々から出力端子113に第1および第2の測定音を出力し、第1および第2の測定音は、それぞれ少なくとも一方がチャネル識別情報を含む。
【0033】
L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bの各々は、音響信号再生部222、出力端子113と接続されている。また、L用補正フィルタ221Aは、L用補正フィルタ設計部212Aと接続されており、R用補正フィルタ221Bは、R用補正フィルタ設計部212Bと接続されている。L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bの各々は、例えば一般的なパラメトリックイコライザなどである。L用補正フィルタ221Aは、L用補正フィルタ設計部212Aから送られてきたL用の補正フィルタ(L用の補正パラメータ)を用いて、イヤホンのL側に出力される音信号(以下、左チャネル音信号と称す)を補正する。R用補正フィルタ221Bは、R用補正フィルタ設計部212Bから送られてきたR用の補正フィルタ(R用の補正パラメータ)を用いて、イヤホンのR側に出力される音信号(以下、右チャネル音信号と称す)を補正する。なお、L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bは、L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bの両方の機能を有する1つの補正フィルタで代用してもよい。
【0034】
また、イヤホンは2つのチャネル(2ch)で音を出力することができ、補正・再生部220は、イヤホンのL側の音出力部18に左チャネル音信号を送り、イヤホンのR側の音出力部19に右チャネル音信号を送る。
【0035】
音響信号再生部222は、L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bと接続されており、測定信号及び再生音信号を再生する。測定信号の詳細については後述する。再生音信号は、音楽や音声等の音信号であり、ユーザはこの音信号をイヤホンを介して聴く。送信部222Aは、測定信号または再生音信号をL用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bを介して出力端子113に送る。なお、測定信号が送信部222Aから送信される場合、L用補正フィルタ221A及びR用補正フィルタ221Bが補正を行わないように設定されている。また、送信部222Aは、L用補正フィルタ221Aを介して左チャネル音信号を送り、R用補正フィルタ221Bを介して右チャネル音信号を送る。
【0036】
次に、図4を参照して、イヤホンの音響特性を測定する際に使用する測定音の詳細について説明する。
本実施形態では、上述したように、イヤホンの入力端子17をPC1の出力端子113に接続し、PC1からイヤホンに左チャネル音信号及び右チャネル音信号として送られてくる測定音が、イヤホンの音出力部18および音出力部19の各々から出力され、その測定音がマイクロホン16によって収音されることによって、イヤホンの音響特性が測定される。なお、以下、複数の測定信号から構成された音信号または測定信号に加えて測定信号以外の信号から構成された音信号を測定音とする。
【0037】
図4に示すように、測定音は、例えばイヤホンの周波数特性を測定するための多様な周波数成分を持つ信号(測定信号)を用いて構成される。測定信号は、例えば、TSP(Time Stretched Pulse)信号を用いることができる。他の例として、測定信号として白色雑音(ホワイトノイズ)を用いてもよい。また、測定信号はピンクノイズを用いることも可能であるが、これらに限られるものではない。
【0038】
図4において、測定音は、図中の左側の方が時間的に先に出力される信号を表している。L側の測定音40は、複数回出力される測定信号44A、44B、及び44E等の他に、測定音中の時間的に早い段階の区間(以下、初段区間と称す)にL側を識別するためのL用キー信号42を含んでいる。同様に、R側の測定音41は、複数回出力される測定信号44F、44G、及び44Jの他に、測定音41中の初段区間にR側を識別するためのR用キー信号43を含んでいる。なお、測定信号44A、44B、44E、44F、44G、及び44Jは、同じ性質を持った測定信号であるが、出力される順番の違いあるいはL側またはR側の何れに含まれる測定信号であるかを示すために区別された測定信号であってもよい。なお、図4では、測定音は時刻t3までの一定の時間出力されているが、測定音が出力される時間の長さは、測定音に含まれる測定信号の長さや、測定信号を繰り返す回数、キー信号の長さなどに依存するため、測定音が出力される時間は適宜、設計で決めることができるものであり、必ずしも一定でなくてもよい。
【0039】
なお、図4では、L用の測定音40内の測定信号及びR用の測定音41内の測定信号がそれぞれキー信号を含む例を示したが、キー信号はL用の測定音40内の測定信号及びR用の測定音41内の測定信号の少なくとも一方に含まれていればよい。すなわち、L用の測定音40及びR用の測定音41の各々の構成は、L用キー信号42がL側の測定音40に含まれており且つR用キー信号43がR側の測定音41に含まれていない構成と、あるいは、L用キー信号42がL側の測定音40に含まれておらず且つR用キー信号43がR側の測定音41に含まれている構成と、の何れかの構成であればよい。
【0040】
また、L用キー信号42及びR用キー信号43の各々は、初段区間以外の区間、例えば測定音中の時間的に途中の段階の区間(以下、途中区間と称す)または測定音中の時間的に遅い段階の区間(以下、後段区間と称す)、に含まれていてもよい。ただし、L用キー信号42及びR用キー信号43の各々を初段区間に配置した場合、時間的に最も早くL側とR側の識別結果を得ることができる効果がある。
【0041】
次に、図5を参照して、本実施形態のイヤホンの音質を改善するための処理を説明する。
ユーザによってイヤホンの左右の何れかがマイクロホン16に近づけられ、測定音の測定が開始される。なお、測定の際はイヤホンから出力される音をマイクロホン16で適切に収音できるようなイヤホンとマイクロホン16との位置関係を示すガイドをユーザに示してもよい。送信部222Aは、図4に示したようなL用の測定音及びR用の測定音をイヤホンに送信する(ステップS21)。なお、L用の測定音及びR用の測定音が、イヤホンのL用の音出力部18及びR用の音出力部19から、左チャネル音信号及び右チャネル音信号として出力されるようにすることで、ユーザがイヤホンの左右を判別することなく測定を開始することが可能となる効果がある。
【0042】
次に、送信部222Aから送信された測定音は、音出力部18及び音出力部19から出力され、入力音信号としてマイクロホン16によって収音される。識別部214は、収音された入力音信号に含まれるキー信号に基づいて、測定している測定音がL側の測定音であるかR側の測定音であるかを識別する(ステップS22)。次に、測定音に含まれる測定信号を用いてイヤホンの特性を分析する(ステップS23)。なお、ステップS23でイヤホンの特性を分析した後、ステップS22で左右の識別を行ってもよい。次に、イヤホンの両側の特性を測定したかどうかを判定する(ステップS24)。両側の特性の測定結果が得られていない場合(ステップS24のNO)、測定を行っていない側の測定を行うためにステップS21に戻る。なお、両側の特性を測定するためには、ユーザが測定を行っていない側をマイクロホン16に近づける必要があるが、その際もユーザがイヤホンの左右を判別する必要はない。
【0043】
両側の特性の測定結果が得られた場合(ステップS24のYES)、ステップS22で識別された識別結果と、ステップS23で得られた特性の分析結果とを対応付ける(ステップS25)。なお、ステップS25はステップS24の前に行ってもよい。すなわち、両側の特性を得た後、識別結果と分析結果を対応付けるのではなく、ステップS23で特性の分析結果が得られた後、測定していた測定音の識別結果と測定信号の分析結果を対応付けてもよい。そして、対応付け結果に基づき、L用の補正フィルタ及びR用の補正フィルタを作成し、その補正フィルタを用いて、通常の再生音信号(メディアプレーヤ122のようなオーディオ再生部によって音楽のようなオーディオデータを再生することによって得られる音信号)に含まれる左チャネル音信号及び右チャネル音信号を補正する(ステップS26)。これにより、左右を誤って補正することなく適切な補正を行うことができる。
【0044】
次に、図6を参照して、ステップS22の処理について、さらに詳細に説明する。
ステップS22に対応するステップ22Aは、ステップS91及びステップS92から構成される。左右の識別は、測定音に含まれるキー信号に基づいて行われる。キー信号は、図4を参照して、上述したように測定音の所定の区間に含まれている。そのため、識別部214は、キー信号が含まれる所定の区間(識別区間)に対して左右を識別するための分析を行う(ステップS91)。次に、識別部214は、その分析結果に基づき左右を識別し、その識別結果を出力する。
【0045】
このように、測定音にL側とR側のキー信号を含ませることによって、イヤホンの左右が識別される。次に、このキー信号について具体的に説明する。
左右のキー信号は、例えば、時間軸上でキー信号内のエネルギ分布の偏りに違いがある信号、周波数が異なるサイン波またはコサイン波から成る信号、または周波数帯域に偏りがある信号である。なお、エネルギ分布の偏りに違いがあるキー信号については、図15を参照して後述する。
【0046】
周波数が異なるサイン波またはコサイン波から成るキー信号を使用した場合、周波数が異なるサイン波またはコサイン波から成るキー信号は、測定周波数範囲内で周波数が離れたサイン波またはコサイン波であり、例えば、L用キー信号42が1kHzのサイン波でR用キー信号43が4kHzのサイン波である。あるいは、L用キー信号42とR用キー信号43が非倍音関係にあってもよい。例えば、L用キー信号42が1.2kHzのサイン波で、R用キー信号43が4.2kHzのサイン波である。さらに、キー信号は、複合サイン波であってもよい。例えば、L用キー信号42が1kHz〜3kHzの複合サイン波で、R用キー信号43が4kHz〜6kHzの複合サイン波である。
【0047】
周波数帯域に偏りがあるキー信号を使用した場合、例えは、L用キー信号42はハイパスフィルタ(HPF)を介した信号で、R用キー信号43はローパスフィルタ(LPF)を介した信号である。このようにすることで、周波数の偏りを利用して左右を識別できる。なお、この場合、L用キー信号42は、HPFを介して得られたL用の測定音40に含まれるキー信号であってもよいし、R用キー信号43は、LPFを介して得られたR用の測定音41に含まれるキー信号であってもよい。
【0048】
なお、上述したようなキー信号は一例であり、キー信号は左右を識別可能な信号であればよい。また、キー信号はL用の測定音40またはR用の測定音41の何れかに含まれていればよい。この場合、識別部214は、測定している入力音信号にキー信号が含まれているかどうかで左右を識別してもよい。あるいは、例えばキー信号が含まれていない場合、測定していないもう一方の側で測定された入力音信号に含まれるキー信号の識別結果に基づき、キー信号が含まれていない側を識別してもよい。
【0049】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、イヤホンの左右の判別し、左右それぞれに対応した補正フィルタを適切に作成し、イヤホンの左右の音質を適切に改善することができる。これによって、ユーザによるイヤホンの左右の判別を必要とせず、例えばユーザがイヤホンの左右から出力される音を聴いて左右を判断することや、ユーザがイヤホンの左右の表示を確認することが不要になる。したがって、イヤホンの左右の適切な判別と測定を簡単に精度よく行うことができる。そのため、ユーザが同じ側を誤って何度も測定してしまうようなヒューマンエラーを防止し、測定に費やす時間を短縮することができる。また、ユーザは、測定に用いたイヤホンで音楽等を視聴すると、理想的なイヤホンで使用して視聴した場合に近い音で聞こえるため、高音質な音楽を楽しむことができる。さらに、左右を判別するために使用するキー信号を出力される測定音の始め側の区間に入れることで、早く左右を判別することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能または構成については説明を省略する。
第2の実施形態では、イヤホンの左右の識別結果を用いて識別されていない側から出力されている音のレベルを下げる。具体的には、測定中に、測定している側がL、Rのいずれであるかが認識できた後に、測定していない側の測定音のレベルを、下げるか、もしくは、OFFにする制御をする。さらに、その識別結果をユーザが分かるように表示する。具体的には、ユーザに提示する機能、例えばGUI表示あるいは音声応答で、識別した側がイヤホンのL側あるいはR側のいずれであるかの情報をユーザに通知する。
【0051】
始めに、図7及び図8を参照し、測定音のレベルを下げた測定音の構成について説明する。
図7では、測定している入力音信号がL側の測定音40であることが、識別部211によって識別された場合を想定している。また、L用キー信号42はL用測定音40の初段区間に含まれている。識別部211による識別結果は、L用キー信号42が測定されることによって得られるため、L用キー信号42が測定された後のR用測定音51に含まれる測定信号を無音化する。具体的には、図7では、R用キー信号43の次に出力される信号から無音化される。無音化された信号は、無音化信号54A、54B、及び54等である。
【0052】
図8では、測定している入力音信号がR側の測定音41であることが、識別部211によって識別された場合を想定している。図7と同様に、L用キー信号42の次に出力される信号から無音化される。具体的には、図8で、無音化される信号は無音化信号55A、55B、及び55E等で示される。
【0053】
なお、無音化とは、測定音に含まれる測定信号の音のレベルを完全にOFFにする制御であってもよいが、測定の妨げにならないような測定音に含まれる測定信号の音の再生レベルを小さくする制御であってもよい。
次に、図9を参照し、第2の実施形態における、イヤホンの左右の音質を改善するための処理について説明する。
始めに、送信部222Aが測定音を出力する(ステップS31)。なお、ステップS31で、L側及びR側の両方から測定音を出力するため、少なくとも1回目の測定の際は、ユーザがイヤホンのL側及びR側の判別を意識することなく測定を開始することが可能となる。次に、識別部211によって左右が識別され、測定音のL側及びR側の識別結果を取得する。(ステップS32)。この識別結果を用いることによって、同時に測定していない側が決定するので、測定していない側、つまり識別されない側(ユーザが測定していない側)の測定音の出力を低減する(ステップS36)。なお、測定音の出力の低減は、測定していない側のイヤホン再生音を小さくするまたはOFFにするように、測定していない側の測定音もしくは、イヤホン再生出力の制御によって行われる。また、この際、識別されている側(測定している側)のイヤホンに対する測定音を小さくする制御は行わない。
【0054】
次に、識別された側がイヤホンの何れであるかの情報を、識別結果に基づき、ユーザに表示する(ステップS37)。あるいは、識別結果の情報に基づくガイドを提示してもよい(ステップS37)。なお、この機能は、GUI表示または音声応答などによって実現されてもよい。例えば、図2に示すLCD13に、識別結果をユーザが分かるように表示してもよい。これにより、例えばユーザは測定している側のイヤホンのL側とR側を意識せずに測定を開始したとしても、測定すると、L側とR側がどちらであるかの情報を自然に知ることが可能となる効果がある。
【0055】
次に、測定音の中に含まれる測定信号を用いて特性分析を行う(ステップS33)。また、識別された結果を用いることにより、未測定の側があるかどうかを判定する(ステップS38)。未測定の側がある場合(ステップS38のYES)、ステップS31に戻って未測定の側の測定を行う。一方、未測定の側がないと判定された場合(ステップS38のNO)、ステップS32で取得したL側及びR側の識別結果と、ステップS33で取得した特性を対応付ける(ステップS34)。そして、対応付けられた特性に対応した補正をL側及びR側に対して行うための特性補正が行われる。
【0056】
以上のように、第2の実施形態において、測定時にマイクロホンに近づけていない側のイヤホンから出力される測定音の音レベルを下げる、あるいは全く音が出ないようにすることで、測定している側の測定性能を下げることなく、さらに測定性能を改善できる。つまり、測定していない側から出力される音がマイクロホから収音されることを防止できる。そのため、測定のSN比を改善することができる。また、測定時にマイクロホンに近づけていない側からでる音のレベルを抑えることで、周りへの騒音等の影響を抑えることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の機能または構成については説明を省略する。
第3の実施形態では、収音した測定音内のキー信号(キー情報)が含まれる区間の信号を、測定音内の測定信号から得られる音響特性に基づいて補正し、この補正された信号に基づき左右の判定をする。これにより、キー信号等の測定音に含まれる左右を識別するためのキー情報の抽出をより確実に行うことができる。測定音に含まれるキー情報は、イヤホンから出力されマイクロホン16で収音されるため、収音された音に含まれるキー情報はイヤホンの特性の影響を受ける。第3の実施形態では、このような影響によるキー情報の識別精度の低下を改善することができる。
【0058】
始めに、図10を参照して、第3の実施形態の、イヤホンから出力される音の音質を改善するための処理について説明する。
送信部222Aが測定音をイヤホンに出力する(ステップS101)。次に、測定音の中に含まれる測定信号に基づき特性を分析する(ステップS102)。なお、特性の分析を行う際、測定信号のイヤホンの周波数特性を目標特性に近づける補正に必要な特性を補正特性として得てもよい。なお、目標特性はフラットに近いことが望ましいが、所定の目標特性であればよく、目標特性は予め分かっていることを考慮し補正のための特性を設計できるため、目標特性はフラットでなくてもよい。このようにして、イヤホンの特性の影響を除去するための補正特性もしくは補正フィルタが得られる。なお、補正特性とは、測定信号に含まれるイヤホンの周波数特性を目標特性に近づけるための特性である。補正特性は、例えば、イコライザのフィルタ設計時に生成される補正フィルタとして得ることができる。
【0059】
次に、収音した入力音信号内のキー信号を含む区間に対して、ステップS102で生成した補正フィルタを適用しキー信号の補正を行う。これにより、イヤホンの特性による影響を取り除いた、補正されたキー信号を用いて、識別部214はL側及びR側の識別を行うことができる。
【0060】
次に、イヤホンの両側の特性が測定されたかどうかが判定される(ステップS104)。そして、ステップS102で取得した特性と、ステップS103で取得した識別結果とを対応付ける(ステップS105)。対応付けられた特性に対応した補正をL側及びR側それぞれに対して行うための特性補正処理が行われる(ステップS106)。
【0061】
図11を参照して、図10のステップS103における識別処理について具体的に述べる。
ステップS103Aは、ステップS111及びステップS112から構成される。特性補正を用いたキー信号を含んでいる識別区間の分析を行う(ステップS111)。特性補正とは、上述したような補正フィルタ等を用いた補正である。マイクロホン16で収音した入力音信号のキー信号が含まれる区間に対して補正フィルタをかけることにより、補正された識別区間の分析を行う(ステップS111)。なお、識別区間は予めPC1内で設定されている。そして、分析結果に基づきL側及びR側の識別を行い識別結果を取得する(ステップS112)。
【0062】
以上のように、第3の実施形態において、イヤホンの特性の分析を識別処理よりも先に行い、分析処理によって得られた補正フィルタを用いてキー信号が補正されるため、補正されたキー信号を用いて左右を識別することができる。そのため、キー信号がイヤホンの特性で劣化していた場合でも、高精度に左右を識別することができる。
【0063】
(変形例)
以下、測定時に用いる測定音の構成の変形例について説明する。
図12は、L用の測定音60に含まれる測定信号と逆位相の測定信号をR用の測定音61に含ませた場合の測定音の構成例を示している。なお、逆位相の測定信号とは、時間軸上で出力される信号を反転させた信号である。例えば、測定信号としてTSP信号を用いた場合、逆位相の測定信号は時間順が逆のTSP信号を用いる。このような測定信号を使用することで、測定音にキー信号を含ませることなく左右を識別することができる。
【0064】
具体的には、例えば、図12に示すように、逆位相の測定信号は、測定信号62A、62B、及び62E等のそれぞれに対して逆位相の測定信号63A、63B、及び63E等で示される。
【0065】
次に、図13及び図14を参照して、逆位相の測定信号を用いた場合の測定していない側の信号の無音化について説明する。
図13では、L用の測定音60が測定されている場合を想定している。測定信号62Aが分析され、例えば予め設定しておいた測定信号と一致している場合、測定している測定音がL用の測定音60であることが識別されるため、測定信号62Aの次に出力される測定信号62Bに時間軸上で対応するR用の測定音71の信号(図13では、無音化信号64Aで示される)を無音化する。
【0066】
図14では、R用の測定音73が測定されている場合を想定している。逆位相の測定信号63Aが分析されることによって、測定している測定音がR用の測定音73であることが識別される。そのため、逆位相の測定信号63Aの次に出力される信号は逆位相でない測定信号、つまり測定信号と同位相の測定信号、であってもよい。具体的には、図14に示すように、逆位相の測定信号63Aの次に出力される信号を、逆位相ではない測定信号62FとしてR側に出力されてもよい。なお、測定していない側のL側の測定音72は、測定信号62Aの次に出力される信号から無音化してもよい。具体的には、図14に示すように、測定信号62Aの次に出力される信号(図14では、無音化信号65Aで示される)を無音化する。
【0067】
なお、測定音の構成のその他の例として、初期信号を用いた場合が考えられる。初期信号は、測定を行う際の測定するためのシステムの初期調整のために使用する信号である。初期信号は測定信号よりも先に出力される。このような場合は、次に示すようにキー信号を初期信号と測定信号の間に入るような測定音の構成にできる。
L側の測定音:[初期信号][L用キー信号][測定信号][測定信号]…[測定信号]
R側の測定音:[初期信号][R用キー信号][測定信号][測定信号]…[測定信号]
なお、キー信号もしくは測定信号が初期信号を兼ねる構成であってもよい。
【0068】
また、図12で示したように、逆位相の測定信号を用いた左右の識別処理は、所定の測定信号とマイクロホン16で収音される音の信号との相関で左右が判別されてもよい。さらに、L用の測定音にTSP信号を測定音として含ませ、R用の測定音に時間順が逆のTSP信号またはピンクTSP信号を用いるなど、出力される測定音の時間方向が順方向または逆方向であってもよい。また、測定音は、L用の測定音の測定信号にTSP信号を用い、R用の測定音の測定信号にピンクTSP信号を使用するなど、L用とR用で異なる性質の信号の組み合わせであってもよい。この場合も、所定の測定信号とマイクロホン16で収音される音の信号との相関で左右が判別されてもよい。
【0069】
あるいは、測定信号間の出力時間間隔が異なるような測定音の構成であってもよい。具体的には、例えば、図4に示すような、時刻t1と時刻t2の間の時間間隔が、L用の測定音とR用の測定音とで異なっている場合である。
【0070】
最後に、図15を参照して、上述した、左右を識別する際に用いる左右のキー信号に、時間軸上でのキー信号内のエネルギ分布に偏りの違いがある場合について説明する。図15に示すように、例えば、L用のキー信号は時間軸上の前半部分にエネルギが多く、逆にR用のキー信号は時間軸上の後半部分にエネルギが多く存在してもよい。なお、L用キー信号とR用キー信号はそのエネルギ分布に違いがあればよいので、図15に示すように、必ずしもL用キー信号とR用キー信号との間に対象性がある必要はない。
【0071】
また、一般的に、イヤホンやヘッドホンは低域や高域に比べると中音域の左右の特性の差が比較的小さくなるように設計されていることから、例えば1kHz付近の周波数が含まれるようなキー信号とすることで、エネルギー分布の偏りを利用した上記のような識別キーがより安定的に有効となる。
【0072】
以上説明したように、第1の実施形態乃至第3の実施形態において、ユーザがイヤホンの左右について音を聞いて左右を判断することや、ユーザがイヤホンの左右の表示を確認することなく、イヤホンの左右の適切な判別と測定を簡単に精度よく行うことができる。
【0073】
なお、本実施形態の補正制御処理の手順は全てソフトウェアによって実行することができる。このため、この補正制御処理手順を実行するプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのプログラムを通常のコンピュータにインストールして実行するだけで、第1の実施形態乃至第3の実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1…コンピュータ、16…マイクロホン、18…(L側)音出力部、19…(R側)音出力端子、40…L用の測定音、41…R用の測定音、113…出力端子(イヤホン端子)、122…メディアプレーヤ、202…音質改善プログラム、211…測定部、212A…L用補正フィルタ設計部、212B…R用補正フィルタ設計部、221A…L用補正フィルタ、221B…R用補正フィルタ、222…音響信号再生部、222A…送信部、214…識別部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方がチャネル識別情報を含む第1および第2の測定音を、それぞれ左チャネルおよび右チャネルから出力端子に出力する測定音出力手段と、
前記出力端子に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される前記測定音を収音することによって前記イヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定する測定手段と、
前記収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて前記左右いずれの音であるかを判定する左右判定手段と、
前記判定手段で左と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、前記判定手段で右と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成する補正情報生成手段と、
オーディオ再生部から出力される左チャネルの音信号の周波数特性を前記第1の補正情報に基づいて補正し、前記オーディオ再生部から出力される右チャネルの音信号の周波数特性を前記第2の補正情報に基づいて補正する補正手段とを具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記測定音出力手段は、前記左右判定手段によって前記収音された測定音が前記左チャネルの音であると判定された場合、前記右チャネル用音出力部から出力される音の音量が下がるように前記第2の測定音を制御し、前記判定手段によって前記収音された測定音が前記右チャネル音であると判定された場合、前記左チャネル用音出力部から出力される音の音量が下がるように前記第1の測定音を制御する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記左右判定手段による判定結果を画面に表示するまたは前記判定結果を音声で出力する結果提示手段をさらに具備する請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記左右判定手段は、前記収音した測定音内のチャネル識別情報が含まれる区間の信号を、前記測定音内の測定信号から得られる音響特性に基づいて補正し、前記補正された信号に基づき左右の判定をする請求項1、2または3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記補正情報生成手段は、前記測定手段によって測定された前記音響特性に基づき、前記第1の補正情報または前記第2の補正情報を含む第3の補正情報を生成し、前記補正手段は、前記第1および第2の測定音内の前記チャネル識別情報が含まれる所定の区間に対応する前記測定音内の前記所定の区間に含まれる信号を、前記第3の補正情報に基づいて補正し、前記左右判定手段は、補正された前記所定の区間に含まれる信号に基づき、前記収音された測定音が前記左チャネルの音および前記右チャネルの音のいずれであるかを判定する請求項1、2または3記載の情報処理装置。
【請求項6】
互いに異なる第1および第2の測定音を、それぞれ左チャネルおよび右チャネルから出力端子に出力する測定音出力手段と、
前記出力端子に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される前記測定音を収音することによって前記イヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定する測定手段と、
前記収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて前記左右いずれの音であるかを判定する左右判定手段と、
前記判定手段で左と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、前記判定手段で右と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成する補正情報生成手段と、
オーディオ再生部から出力される左チャネルの音信号の周波数特性を前記第1の補正情報に基づいて補正し、前記オーディオ再生部から出力される右チャネルの音信号の周波数特性を前記第2の補正情報に基づいて補正する補正手段とを具備する情報処理装置。
【請求項7】
前記測定音出力手段は、前記第1の測定音の時系列と逆の時系列の前記第2の測定音を出力する請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記測定音出力手段は、前記第1の測定音と性質が異なる音から成る前記第2の測定音を出力する請求項6記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の測定音は、それぞれ複数の測定信号を有し、
前記測定音出力手段は、前記第1の測定音に含まれる前記複数の測定信号が前記出力端子から出力される時間間隔と異なる時間間隔で前記第2の測定音に含まれる前記複数の測定信号が前記出力端子から出力する請求項6記載の情報処理装置。
【請求項10】
少なくとも一方がチャネル識別情報を含む第1および第2の測定音を、それぞれ左チャネルおよび右チャネルから出力端子に出力し、
前記出力端子に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される前記測定音を収音することによって前記イヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定し、
前記収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて前記左右いずれの音であるかを判定し、
左と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、右と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成し、
オーディオ再生部から出力される左チャネルの音信号の周波数特性を前記第1の補正情報に基づいて補正し、前記オーディオ再生部から出力される右チャネルの音信号の周波数特性を前記第2の補正情報に基づいて補正する補正制御方法。
【請求項1】
少なくとも一方がチャネル識別情報を含む第1および第2の測定音を、それぞれ左チャネルおよび右チャネルから出力端子に出力する測定音出力手段と、
前記出力端子に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される前記測定音を収音することによって前記イヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定する測定手段と、
前記収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて前記左右いずれの音であるかを判定する左右判定手段と、
前記判定手段で左と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、前記判定手段で右と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成する補正情報生成手段と、
オーディオ再生部から出力される左チャネルの音信号の周波数特性を前記第1の補正情報に基づいて補正し、前記オーディオ再生部から出力される右チャネルの音信号の周波数特性を前記第2の補正情報に基づいて補正する補正手段とを具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記測定音出力手段は、前記左右判定手段によって前記収音された測定音が前記左チャネルの音であると判定された場合、前記右チャネル用音出力部から出力される音の音量が下がるように前記第2の測定音を制御し、前記判定手段によって前記収音された測定音が前記右チャネル音であると判定された場合、前記左チャネル用音出力部から出力される音の音量が下がるように前記第1の測定音を制御する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記左右判定手段による判定結果を画面に表示するまたは前記判定結果を音声で出力する結果提示手段をさらに具備する請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記左右判定手段は、前記収音した測定音内のチャネル識別情報が含まれる区間の信号を、前記測定音内の測定信号から得られる音響特性に基づいて補正し、前記補正された信号に基づき左右の判定をする請求項1、2または3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記補正情報生成手段は、前記測定手段によって測定された前記音響特性に基づき、前記第1の補正情報または前記第2の補正情報を含む第3の補正情報を生成し、前記補正手段は、前記第1および第2の測定音内の前記チャネル識別情報が含まれる所定の区間に対応する前記測定音内の前記所定の区間に含まれる信号を、前記第3の補正情報に基づいて補正し、前記左右判定手段は、補正された前記所定の区間に含まれる信号に基づき、前記収音された測定音が前記左チャネルの音および前記右チャネルの音のいずれであるかを判定する請求項1、2または3記載の情報処理装置。
【請求項6】
互いに異なる第1および第2の測定音を、それぞれ左チャネルおよび右チャネルから出力端子に出力する測定音出力手段と、
前記出力端子に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される前記測定音を収音することによって前記イヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定する測定手段と、
前記収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて前記左右いずれの音であるかを判定する左右判定手段と、
前記判定手段で左と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、前記判定手段で右と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成する補正情報生成手段と、
オーディオ再生部から出力される左チャネルの音信号の周波数特性を前記第1の補正情報に基づいて補正し、前記オーディオ再生部から出力される右チャネルの音信号の周波数特性を前記第2の補正情報に基づいて補正する補正手段とを具備する情報処理装置。
【請求項7】
前記測定音出力手段は、前記第1の測定音の時系列と逆の時系列の前記第2の測定音を出力する請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記測定音出力手段は、前記第1の測定音と性質が異なる音から成る前記第2の測定音を出力する請求項6記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の測定音は、それぞれ複数の測定信号を有し、
前記測定音出力手段は、前記第1の測定音に含まれる前記複数の測定信号が前記出力端子から出力される時間間隔と異なる時間間隔で前記第2の測定音に含まれる前記複数の測定信号が前記出力端子から出力する請求項6記載の情報処理装置。
【請求項10】
少なくとも一方がチャネル識別情報を含む第1および第2の測定音を、それぞれ左チャネルおよび右チャネルから出力端子に出力し、
前記出力端子に接続されるイヤホンまたはヘッドホンから出力される前記測定音を収音することによって前記イヤホンまたはヘッドホンの音響特性を測定し、
前記収音された測定音に対し、チャネル識別情報の検出に基づいて前記左右いずれの音であるかを判定し、
左と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第1の補正情報を生成し、右と判定された場合、前記測定された音響特性に基づいて第2の補正情報を生成し、
オーディオ再生部から出力される左チャネルの音信号の周波数特性を前記第1の補正情報に基づいて補正し、前記オーディオ再生部から出力される右チャネルの音信号の周波数特性を前記第2の補正情報に基づいて補正する補正制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−98731(P2013−98731A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239387(P2011−239387)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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