説明

情報処理装置とその制御方法

【課題】使用時間を効果的に長くするような使用を利用者ができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理端末は機能部と消費電流測定部と処理部とを有している。機能部は、ユーザ設定に従って動作する。消費電流測定部は、所定時間間隔で消費電流を測定する。処理部は、消費電流測定部で測定された消費電流が所定の閾値以上であったら、ユーザ設定が消費電流の低減にどの程度貢献するかを示す貢献度に応じた情報をユーザに対して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが消費電力低減を意識して情報処理装置を使用することを可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機は多機能化が進み、音声通話以外に、メール、フルブラウザ、カメラ、赤外線通信、ゲーム、GPS(Global Positioning System)、ワンセグ(テレビ放送受信)、Bluetooth(登録商標)(近距離無線通信)などといった多くの機能が搭載されている。それらの機能は携帯電話機の電力消費を増加させる要因となっている。使用者がこれらの機能を、電力消費を意識せずに使用すると、消費電流が大きく増加して電池の消耗が早くなり、その結果、使用者は携帯電話機の使用時間が短いと感じるようになる。
【0003】
これに対して、特許文献1には、電力消費を使用者に意識させることを可能にする携帯端末が開示されている。特許文献1に開示された携帯端末は、処理自体およびその最低実行時間の実行を保証する合計保証電力と残電力量との比較結果から、動作モードを切り替えたり、メッセージを出力したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−032239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された端末装置の処理は残電力量が低下したときに行う処理なので、残電力量が十分にあるときに使用者に消費電力を意識させることができない。しかしながら、残電力量が十分にあるときにも消費電流を意識しないと、使用時間を延ばす効果が十分に得られない。
【0006】
本発明の目的は、使用時間を効果的に長くするような使用を利用者ができる情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、
ユーザ設定に従って動作する機能部と、
所定時間間隔で消費電流を測定する消費電流測定部と、
前記消費電流測定部で測定された消費電流が所定の閾値以上であったら、前記ユーザ設定が消費電流の低減にどの程度貢献するかを示す貢献度に応じた情報をユーザに対して出力する処理部と、を有している。
【0008】
本発明の制御方法は、ユーザ設定に従って動作する情報処理装置の制御方法であって、
所定時間間隔で消費電流を測定し、
測定された消費電流が所定の閾値以上であったら、前記ユーザ設定が消費電流の低減にどの程度貢献するかを示す貢献度に応じた情報をユーザに対して出力するというものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用時間を効果的に長くするような使用が可能な情報処理装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の情報処理端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例による携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例による携帯電話機40の動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施例による携帯電話機40の記憶装置部46に記憶されている設定情報を示す図である。
【図5】本実施例による携帯電話機40の画面表示の一例を示す図である。
【図6】本実施例による携帯電話機40の画面表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
まずは本発明の基本的な実施形態について説明する。図1は、本実施形態の情報処理端末の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、情報処理端末10は、機能部11、消費電流測定部12、および処理部13を有している。
【0013】
機能部11は、情報処理端末10がユーザに提供する機能をユーザ設定に従って実行する。情報処理端末10がユーザに提供する機能の例としては、音声通話、メール、フルブラウザ、カメラ、ゲーム、ワンセグテレビ等がある。機能部11は、例えば通話機能を実行するとき、通話音量のユーザ設定に従った音量の音声を出力する。
【0014】
消費電流測定部12は、所定時間間隔で情報処理端末10の消費電流を測定する。
【0015】
処理部13は、消費電流測定部12で測定された消費電流が所定の閾値以上であったら、ユーザ設定が消費電流の低減にどの程度貢献するかを示す貢献度に応じた情報をユーザに対して出力する。ユーザへの情報の出力は画面表示や音声出力により行われる。
【0016】
以上のような構成を備えた情報処理端末10によれば、残電力量が十分にあるときから使用者に消費電力を意識させることができるので、使用時間を効果的に長くするような使用を利用者に促すことができる。
【0017】
また、本実施形態における情報処理端末10では、ユーザ設定として選択可能な複数段階の設定選択肢が定められ、複数段階の設定選択肢のそれぞれに貢献度が定められている。そして、処理部13は、ユーザ設定として選択された設定選択肢に対応する貢献度を画面表示する。例えば、通話音量に6段階の設定選択肢があり、ユーザによって選択されている通話音量の消費電力削減への貢献度が画面に表示される。
【0018】
また、消費電力に影響する設定項目が複数あり、その複数の設定項目のそれぞれに複数段階の設定選択肢が予め定められている。そして、処理部13は、機能部11が実行している機能に関連する設定項目を画面表示する。また、処理部13は、機能部11が実行している機能に関連する設定項目のユーザ設定をどのように変更すると消費電流を削減できるかを示すガイダンス情報を更に画面表示する。
【0019】
例えば、ディスプレイ照明の明るさ、操作ボタンの照明がオンかオフか、音声通話の音量、ミュージックプレーヤーの音量などが設定項目に当たる。そして、例えば、機能部11が音声通話の機能を実行しているとき、音声通話に関連する設定項目である通話音量を表す情報が画面に表示され、更に通話音量を下げると消費電流が削減される旨のガイダンス情報が画面に表示される。
【0020】
ガイダンス情報の他として、ディスプレイ照明の明るさを低減すると消費電流が削減できることを示すガイダンス情報、背面ディスプレイ照明の明るさを低減すると消費電流が削減できることを示すガイダンス情報、操作ボタンの照明をオフにすると消費電流が削減できることを示すガイダンス情報、ミュージックプレーヤーの音量を小さくすることで消費電流が削減できることを示すガイダンス情報などがある。
【0021】
以下、本発明の、より具体的な実施例について説明する。
【0022】
図2は、本実施例による携帯電話機の構成を示すブロック図である。図2を参照すると、携帯電話機40は、操作部42、ディスプレイ部43、照明部44、装置電流測定部45、記憶装置部46、マイク47、アナログ/ディジタル(A/D)変換部48、ディジタル/アナログ(D/A)変換部49、レシーバ4A、データ符号化/復号処理部4B、無線部4C、およびアンテナ4Dを有している。
【0023】
操作部42は、ユーザによる操作に応じた情報を制御部41に入力する。入力される情報は、各種の機能を実行するための情報や、各設定項目の設定選択肢からユーザ設定を選択する情報などである。
【0024】
ディスプレイ部43は、各種機能の実行に伴って、制御部41からの制御により文字や画像を画面表示する。
【0025】
照明部44は、ディスプレイ部43の視認性を向上させるための照明を発光する。
【0026】
装置電流測定部45は、携帯電話機40の装置全体の消費電流を測定する。
【0027】
記憶装置部46は、設定項目、設定選択肢、ユーザ設定などの情報を記憶するメモリである。
【0028】
マイク47、A/D変換部48、D/A変換部49、レシーバ4A、データ符号化/復号処理部4B、無線部4C、アンテナ4Dは、例えば、携帯電話機の一般的機能である音声通話を実現するための機能部である。
【0029】
制御部41は、上述した各部を利用して各種機能を実行し、また各種機能の実行に伴って使用者に消費電力を意識させるための処理を実行する。
【0030】
本実施例の携帯電話機40は図1の情報処理端末10に相当する。装置電流測定部45が図1の消費電流測定部12に相当する。操作部42、ディスプレイ部43、照明部44、記憶装置部46、マイク47、A/D変換部48、D/A変換部49、レシーバ4A、データ符号化/復号処理部4B、無線部4C、およびアンテナ4Dによって情報処理端末10の機能部11および処理部13に相当する機能が実現される。
【0031】
次に、本実施例による携帯電話機40の動作について説明する。図3は、本実施例による携帯電話機40の動作を示すフローチャートである。図4は、本実施例による携帯電話機40の記憶装置部46に記憶されている設定情報を示す図である。
【0032】
図4を参照すると、各種の設定項目のそれぞれに対して、複数段階の設定選択肢と、その設定選択肢に対する貢献度が設定されている。例えば、ディスプレイ照明の明るさには、レベル1からレベル6までの設定選択肢がある。レベル1からレベル6まで順にレベルが上がるにつれて、ディスプレイ照明が明るくなる。レベル1とレベル2は貢献度が“High”であり、レベル3とレベル4は貢献度が“Middle”であり、レベル5とレベル6は貢献度が“Low”である。レベルが高い程、消費電流の低減に対する貢献度は低くなっている。
【0033】
ここでは図3のフローチャートの動作が開始される前の初期状態として、制御部41が各部を制御してユーザが所望した機能を実行しているものとする。その際、制御部41は、記憶装置部46に記憶されているユーザ設定に従って各部を制御している。
【0034】
図3を参照すると、制御部41は、任意の一定時間間隔で装置の消費電流を測定するために、タイマを発行してタイムアウトを監視する(ステップS11)。消費電流を測定する時間間隔の情報は、記憶装置部46に予め記憶されるものとする。携帯電話機40のユーザがその時間間隔を設定したり、変更したりできてもよい。
【0035】
制御部41がタイマのタイムアウトを検出すると(ステップS12)、制御部41からの指示で装置電流測定部45が装置の消費電流を測定する(ステップS13)。
【0036】
携帯電話機40は不図示の電池で駆動されており、装置の消費電流はその電池から流れる電流である。制御部41は、装置電流測定部45によって測定された電流値を記憶装置部46に記録する。
【0037】
更に、制御部41は、記憶装置部46に記録した装置消費電流の値を、記憶装置部46に予め記憶されている閾値と比較する(ステップS14)。この閾値は、一定以上の装置消費電流が流れていることを検知するための閾値である。それにより、大きな装置消費電流が流れている場合に、消費電流を低減することを使用者に意識させるための処理を行うことが可能となる。その閾値は予め定められ、記憶装置部46に記憶されている。この閾値は全ての機能に共通であってもよく、あるいは実行される機能毎に個別に閾値があってもよい。
【0038】
消費電流の値が閾値未満であれば、制御部41は使用者に消費電流を意識することを促す必要はないと判断し、消費電流の低減に十分に貢献するユーザ設定となっていることを示す貢献度をディスプレイ部43の画面に表示する(ステップS17)。例えば、貢献度が“High”であれば、制御部41はディスプレイ部43の画面上部に図5のように「eco操作度High」と表示する。
【0039】
図3のステップS14において、消費電流の値が閾値以上であれば、制御部41は、動作中の機能を抽出し、その機能に関連するユーザ設定を記憶装置部46から読み出す(ステップS15)。例えば、ブラウザが起動中でブラウザ画面をディスプレイ部43に表示していれば、制御部41は記憶装置部46からユーザ設定を読み出すことにより、ディスプレイ照明の明るさのユーザ設定がレベル1からレベル6のどれになっているか確認する。
【0040】
更に、制御部41は、ユーザ設定に対応する貢献度を確認する(ステップS16)。実行中の機能に関連する設定項目が複数ある場合には、制御部41は、例えば、各設定項目の貢献度の平均を装置としての貢献度としてもよい。また、その平均を算出する演算において各設定項目に重み付けをおこなってもよい。
【0041】
続いて、制御部41は、ユーザ設定の消費電流の低減に対する貢献度に応じた表示をディスプレイ部43の画面に表示する(ステップS17)。例えば、貢献度が“Middle”であれば、制御部41はディスプレイ部43の画面上部に図6のように「eco操作度Middle」と表示する。貢献度が“Low”であれば、制御部41はディスプレイ部43の画面上部に「eco操作度Low」と表示する。
【0042】
また、制御部41は、実行中の機能に関連する設定項目のユーザ設定をどのように変更すると消費電流を削減できるかを示すガイダンス情報を、ディスプレイ部43の画面下部に表示する。例えば、図6に示したように、ディスプレイ照明の明るさを下げることを促すガイダンス情報を表示する。
【0043】
これら一連の処理を終えると制御部41はステップS11に戻って処理を繰り返す。
【0044】
以上、本発明の実施形態および実施例について述べてきたが、本発明は、これらの実施形態および実施例だけに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、これらを組み合わせて使用したり、一部の構成を変更したりしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 情報処理端末
11 機能部
12 消費電流測定部
13 処理部
40 携帯電話機
41 制御部
42 操作部
43 ディスプレイ部
44 照明部
45 装置電流測定部
46 記憶装置部
47 マイク
48 A/D変換部
49 D/A変換部
4A レシーバ
4B 復号処理部
4C 無線部
4D アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ設定に従って動作する機能部と、
所定時間間隔で消費電流を測定する消費電流測定部と、
前記消費電流測定部で測定された消費電流が所定の閾値以上であったら、前記ユーザ設定が消費電流の低減にどの程度貢献するかを示す貢献度に応じた情報をユーザに対して出力する処理部と、を有する情報処理装置。
【請求項2】
ユーザ設定として選択可能な複数段階の設定選択肢が予め定められ、前記複数の設定選択肢のそれぞれに前記貢献度が予め定められており、
前記処理部は、前記ユーザ設定として選択された設定選択肢に対応する貢献度を画面表示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数の設定項目のそれぞれに複数段階の設定選択肢が予め定められており、
前記処理部は、前記機能部が実行している機能に関連する設定項目を画面表示する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記機能部が実行している機能に関連する設定項目のユーザ設定をどのように変更すると消費電流を削減できるかを示すガイダンス情報を更に画面表示する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置が携帯電話機である、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ユーザ設定に従って動作する情報処理装置の制御方法であって、
所定時間間隔で消費電流を測定し、
測定された消費電流が所定の閾値以上であったら、前記ユーザ設定が消費電流の低減にどの程度貢献するかを示す貢献度に応じた情報をユーザに対して出力する、情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
ユーザ設定として選択可能な複数段階の設定選択肢が予め定められ、前記複数の設定選択肢のそれぞれに前記貢献度が予め定められており、
前記ユーザ設定として選択された設定選択肢に対応する貢献度を画面表示する、請求項6に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
複数の設定項目のそれぞれに複数段階の設定選択肢が予め定められており、
実行している機能に関連する設定項目を画面表示する、請求項6または7に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記実行している機能に関連する設定項目のユーザ設定をどのように変更すると消費電流を削減できるかを示すガイダンス情報を更に画面表示する、請求項8に記載の情報処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−137810(P2012−137810A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287762(P2010−287762)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】