説明

情報処理装置と情報処理方法とプログラム

【課題】 自動応答可能なデータを高頻度で受け取る環境でも省電力状態に移行できるようにする。
【解決手段】 通信制御部26は、MACドライバ部34によってパケットを受信すると、パケット種類判断部36が受信したパケットの種類を判断し、そのパケットの種類により、ネットワークアプリ部30又はネットワークスタック部33で受信パケットの処理を行い、必要であれば応答パケットを生成してMACドライバ部34を介して応答の送信をする。さらに、受信パケットに対してAブロックの自動応答部で自動応答可能なパケットと判断したら、自動応答に切り替えると共にBブロックへの給電を停止する指示をAブロックの電源管理部に送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファクシミリ装置、スキャナ装置、プリンタ、複写機、それらの機能を併せ持った複合機、パーソナルコンピュータを含む情報処理装置と情報処理方法とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク機器として、ネットワーク上に設けたファクシミリ装置、プリンタ、複写機、複合機、パーソナルコンピュータを含む情報処理装置が多用されている。
上記の情報処理装置には、自装置で処理すべきパケットをネットワークを介して一定期間受け取っていない場合、自装置を省電力モードに移行させる機能を備えたものがある。
また、ネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)からの定期的な問い合わせのパケットなどの限定されたパケットのみを省電力モードで応答する機能(「自動応答機能」という)を持つ情報処理装置が存在する。
【0003】
この自動応答機能を実行する機能部は、自装置の主要部への給電を停止した省電力モード中でも給電が維持されている。
従来、省電力モードを維持するため、省電力モード中にネットワークから受信したパケットに対し、自装置での処理を必要とするか否かを判断し、処理が必要ない場合は省電力モードを維持したまま応答パケットを生成して返送する情報処理装置(例えば、特許文献1参照)があった。
また、省電力モードを維持するため、パケットが自動応答可能か否かを判定し、省電力モードを維持したまま応答パケットを生成して返送する情報処理装置(例えば、特許文献2参照)があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の情報処理装置では、例えば、画像形成装置の場合、プリント機能が複数人で利用されている環境では、PCからの定期的な問い合わせのパケットも高頻度で受け取ることになる。
このような場合、問い合わせのパケットについては自動応答機能のみでも対応することができる場合があるにもかかわらず、通常モードから省電力モードになかなか移行できないという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、自動応答可能なデータを高頻度で受け取る環境でも省電力状態に移行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記の目的を達成するため、装置の全体を制御する制御手段と、制御手段への給電とその給電の停止を制御する給電制御手段と、制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、上記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答手段とを備え、制御手段は、給電状態のときに受信したデータの応答データを生成して応答した後、上記受信したデータが応答手段によって応答可能なデータであることを確認した場合、給電制御手段に制御手段への給電を停止させる指示を送る手段を有する情報処理装置を提供する。
【0006】
また、装置の全体を制御する制御手段と、制御手段への給電とその給電の停止を制御する給電制御手段と、制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、上記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答手段とを備え、制御手段は、給電状態のときに応答手段によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認した場合、給電制御手段に制御手段への給電を停止させる指示を送る手段を有する情報処理装置にするとよい。
【0007】
さらに、装置の全体を制御する制御手段への給電とその給電の停止を制御する給電制御手順と、制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、上記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答手順と、制御手段が給電状態のときに受信したデータの応答データを生成して応答した後、上記受信したデータが応答手順によって応答可能なデータであることを確認した場合、給電制御手順によって制御手段への給電を停止させる指示を送る手順とを有する情報処理方法を提供する。
【0008】
また、装置の全体を制御する制御手段への給電とその給電の停止を制御する給電制御手順と、制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、上記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答手順と、制御手段が給電状態のときに応答手順によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認した場合、給電制御手順に制御手段への給電を停止させる指示を送る手順とを有する情報処理方法にするとよい。
【0009】
さらに、装置の全体を制御する制御手段を有するコンピュータに、制御手段への給電とその給電の停止を制御する給電制御機能と、制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、上記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答機能と、制御手段が給電状態のときに受信したデータの応答データを生成して応答した後、上記受信したデータが応答機能によって応答可能なデータであることを確認した場合、給電制御機能に制御手段への給電を停止させる指示を送る機能とを実現させるためのプログラムを提供する。
【0010】
また、装置の全体を制御する制御手段を有するコンピュータに、制御手段への給電とその給電の停止を制御する給電制御機能と、制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、上記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答機能と、制御手段が給電状態のときに応答機能によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認した場合、給電制御機能に制御手段への給電を停止させる指示を送る機能とを実現させるためのプログラムにするとよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明による情報処理装置と情報処理方法は、自動応答可能なデータを高頻度で受け取る環境でも省電力状態に移行することができる。
また、この発明によるプログラムは、コンピュータに自動応答可能なデータを高頻度で受け取る環境でも省電力状態に移行できるようにするための機能を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図3に示す通信制御部の内部の主要な機能部の構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】図3に示す通信制御部の内部の主要な機能部の他の構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】図4に示すCPUの主要な機能部を示す機能ブロック図である。
【図4】発明の一実施形態である画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示すBブロックに給電されている状態の時に図3に示す通信制御部が実施する処理を示すフローチャート図である。
【図6】図4に示すBブロックに給電されている状態の時に図3に示す通信制御部が実施する他の処理を示すフローチャート図である。
【図7】図4に示すBブロックに給電されている状態の時に図3に示す通信制御部が実施するさらに他の処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図4は、発明の一実施形態である画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
図4に示す画像形成装置は情報処理装置に相当し、給電の区分単位にAブロック1、Bブロック2、Cブロック3、及びDブロック4を含む機能部を備えている。
電源部5は、商用電源に接続した電源又は蓄電池であり、この画像形成装置への電力を供給する。
【0014】
Aブロック1は、物理層部(physical layer:PHY)10、セレクタ11、自動応答部12、及び電源管理部13を備えている。
PHY10は、ローカルエリアネットワーク(LAN)と接続し、LAN上のPCや他の画像形成装置とパケットデータの送受信をする。
セレクタ11は、PHY10によって受信したパケットデータ(以下「パケット」と略称する)の流れの切り替えを行う。
【0015】
Bブロック2への給電がされているモードの時には端子aの接続先を端子bに切り替え、PHY10によって受信したパケットをMAC17へ出力する。
また、Bブロック2への給電が停止され、Aブロック1で自動応答機能を実行するモードの時には端子aの接続先を端子cに切り替え、PHY10によって受信したパケットを自動応答部12へ出力する。
この切り替え制御は電源管理部13が行う。
【0016】
自動応答部12は、Bブロック2への給電が停止されている状態の省電力モード時、PHY10によって受信したパケットのパターンマッチを行って自動応答可能なパケットか否かを判断する。
そして、自動応答可能なパケットと判断した場合、その受信パケットに対する応答パケットを生成し、セレクタ11を介してPHY10によって相手先へ送信する。
また、自動応答部12は、自動応答できないパケットと判断した場合、電源管理部13へBブロック2への給電を依頼する。
【0017】
この自動応答部12は、制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、受信したデータへの応答データを生成して応答する応答手順の処理を実行して、制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、受信したデータへの応答データを生成して応答する応答機能を実現した機能部である。
すなわち、この自動応答部12は、制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、受信したデータへの応答データを生成して応答する応答手段の機能を果たす。
【0018】
電源管理部13は、電源部5と接続し、この画像形成装置のAブロック1〜Dブロック4を含む各ブロックへの給電と給電の停止の電源管理を行う。
この電源管理部13は、装置の全体を制御する制御手段への給電とその給電の停止を制御する給電制御手順の処理を実行して、制御手段への給電とその給電の停止を制御する給電制御機能を実現した機能部である。
すなわち、この電源管理部13は、制御手段への給電とその給電の停止を制御する給電制御手段の機能を果たす。
【0019】
Bブロック2は、CPU15、メモリ16、及びメディアアクセス制御部(Media Access Control:MAC)17を備えている。
CPU15は、メモリ16に記憶されたプログラムを実行することにより、この画像形成装置の全体の制御を司る。
このBブロック2は、画像形成装置の全体を制御する制御手段の機能を果たす。
【0020】
メモリ16は、ROM及びRAMを備えた記憶部であり、CPU15が実行するプログラムを記憶する。また、メモリ16は、CPU15が各種の制御処理を実行する際の作業領域を提供する。
MAC17は、PHY10によって受信したパケットをセレクタ11を介して受信する。
【0021】
また、MAC17は、その受信パケットのフレームの送受信制御や誤り検出を行う。
Cブロック3は、プロッタ18を備えている。
プロッタ18は、印刷部であり、CPU15の制御によってプリント機能及びコピー機能を実行したときの印刷を行う。
【0022】
Dブロック4は、スキャナ19を備えている。
スキャナ19は、画像読取部であり、CPU15の制御によって画像読み取り機能及びコピー機能を実行したときに原稿の画像を光学的に読み取る。
また、この実施形態の画像形成装置は、図示を省略したが、ファクシミリ通信を行う機能部のブロック、自動原稿給送装置(ADF)のブロック、又は用紙搬送機構のブロックを含む他の各ブロックも備えている。
そして、この実施形態の画像形成装置は、電源管理部13がそれらの各ブロックへの給電と給電遮断の制御を各種の省電力モードに応じて行う。
【0023】
この実施形態の画像形成装置は、Bブロック2への給電がされた状態の場合、例えば、通常モードの場合、電源管理部13はセレクタ11の端子aが端子bに接続するように切り替えている。
したがって、PHY10はLANからパケットを受信するとMAC17へ出力する。
また、省電力モードの内、Bブロック2への給電が停止された状態の時には、電源管理部13はセレクタ11の端子aが端子cに接続するように切り替えている。
したがって、PHY10はLANからパケットを受信すると自動応答部12へ出力する。
【0024】
次に、この実施形態における上記CPU15の主要な機能部について説明する。
図3は、図4に示したCPU15の主要な機能部を示す機能ブロック図である。
以下の各部は、CPU15がメモリ16のプログラムを実行することによって実現される機能部である。
プリント機能制御部20は、図4のプロッタ18を用いたプリント機能に関する制御を行う。
コピー機能制御部21は、図4のプロッタ18とスキャナ19とを用いたコピー(複写)機能に関する制御を行う。
【0025】
画像読取機能制御部22は、図4のスキャナ19を用いた画像読取機能に関する制御を行う。
メモリ管理制御部23は、図4のメモリ16の管理を行う。
画像加工制御部24は、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ通信機能を含む各機能に必要な各種の画像加工処理を行う。
この画像加工処理には、TIFF、JPEGを含む各種の圧縮データへのデータ変換も含む。
【0026】
プリンタ言語制御部25は、プリンタアプリであり、通信制御部26から受信したパケットのプリンタジョブデータを解析し、図4のプロッタ18でプリントするための画像化を行う。
通信制御部26は、図4のMAC17を介した通信制御を含む各種の処理を行う。
プロッタ制御部27は、図4のプロッタ18の動作制御を行う。
スキャナ制御部28は、図4のスキャナ19の動作制御を行う。
【0027】
次に、この実施形態における上記通信制御部26の内部の主要な機能部について説明する。
図1は、図3に示した通信制御部26の内部の主要な機能部の構成例を示す機能ブロック図である。
通信制御部26は、ネットワークアプリケーション部(図中「ネットワークアプリ部」と略称する)30、ネットワークスタック部33、MACドライバ部34、タイマ35、及びパケット種類判断部36を備えている。
【0028】
ネットワークアプリ部30は、プリント機能、スキャナ機能を含む機能毎のネットワーク制御を行う。
例えば、印刷データ通信部31、ネットワーク管理通信部32を備えている。
印刷データ通信部31は、PCからの印刷データを受信し、プリンタアプリであるプリンタ言語制御部25にデータを渡すポート(port)9100がある。
このポートとは、外部とデータを入出力するためのソフトウェア又はハードウェアのインターフェースである。
【0029】
また、RFC(Request For Comment)1179で規定されている手順に従い、PCからの印刷データを受信し、プリンタアプリであるプリンタ言語制御部25にデータを渡すLPDプロトコル(Line Printer Daemon Protocol)がある。
【0030】
上記RFCは、インターネットに関する技術の標準を定める団体であるIETFによって規定された使用であり、例えば、IP(RFC791)、TCP(RFC793)、HTTP(RFC2616)、FTP(RFC959)などインターネットで利用されるプロトコルや、その他インターネットに関わるさまざまな技術の仕様がある。
また、上記LPDプロトコルはネットワーク・プリンタへ接続するプロトコルの一種である。
【0031】
ネットワーク管理通信部32は、LAN上の機器の管理のための通信を司る。
例えば、ネットワーク機器の状態取得など監視に使われるSNMP(Simple Network Management Protocol)がある。
SNMPは、ネットワーク管理のために規定されたプロトコル(通信規約)に基づく機能部である。
このSNMPは、LANに接続されたルータ、ハブを含む通信機器を、LANを通じて監視あるいは制御するためのものである。
【0032】
なお、SNMPは、TCP/IP接続のネットワークに用いられることが多いが、TCPではなくUDP上で用いられることもある。
上記監視や制御の対象となる通信機器は、MIB(Management Information Base)と呼ばれるデータベースに管理されている。
そして、MIBの規定に従って、モデムの利用状況を調べたり、あるいは設定をリセットしたりといった機器の設定管理を行うことができる。
ネットワークスタック部33は、IP層、トランスポート層の制御を行う。これは公知なので詳細な説明を省略する。
【0033】
MACドライバ部34は、MAC17の制御を行う。これも公知なので詳細な説明を省略する。
タイマ35は、時間のカウント値をカウントする。
このタイマ35のカウント値はパケット種類判断部36によって操作される。
パケット種類判断部36は、図4のMAC17によって受信したパケットがネットワーク管理通信部32で処理するパケットの種類か、ネットワークスタック部33で処理するパケットの種類かの判断を行う。
【0034】
また、パケット種類判断部36は、図4のMAC17によって受信したパケットがAブロック1で自動応答可能なパケットの種類か否かの判断を行う。
この通信制御部26は、Bブロック2が給電状態のときに受信したデータの応答データを生成して応答した後、受信したデータがAブロック1で応答可能なデータであることを確認した場合、電源管理部13によってBブロック2への給電を停止させる指示を送る手順の処理を実行する。
【0035】
その処理の実行によって、Bブロック2が給電状態のときに受信したデータの応答データを生成して応答した後、受信したデータがAブロック1で応答可能なデータであることを確認した場合、電源管理部13によってBブロック2への給電を停止させる指示を送る機能を果たす。
すなわち、通信制御部26は、Bブロック2が給電状態のときに受信したデータの応答データを生成して応答した後、受信したデータがAブロック1によって応答可能なデータであることを確認した場合、電源管理部13にBブロック2への給電を停止させる指示を送る手段の機能を果たす。
【0036】
また、通信制御部26は、Bブロック2が給電状態のときにAブロック1によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認した場合、電源管理部13にBブロック2への給電を停止させる指示を送る手順の処理を実行する。
その処理の実行によって、Bブロック2が給電状態のときにAブロック1によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認した場合、電源管理部13にBブロック2への給電を停止させる指示を送る機能を果たす。
【0037】
すなわち、通信制御部26は、Bブロック2が給電状態のときにAブロック1によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認した場合、電源管理部13にBブロック2への給電を停止させる指示を送る手段の機能を果たす。
さらに、通信制御部26は、Aブロック1によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認中は、Aブロック1によって応答可能なデータの受信があっても一定期間の計測を継続する手順の処理を実行する。
【0038】
その処理の実行によって、Aブロック1によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認中は、Aブロック1によって応答可能なデータの受信があっても一定期間の計測を継続する機能を果たす。
すなわち、通信制御部26は、Aブロック1によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認中は、Aブロック1によって応答可能なデータの受信があっても一定期間の計測を継続する手段の機能を果たす。
【0039】
さらにまた、通信制御部26は、Aブロック1によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認中に、Aブロック1によって応答可能で且つ予め設定された種類のデータを受信した場合、電源管理部13にBブロック2への給電を停止させる指示を送る手順を実行する。
【0040】
その処理の実行によって、Aブロック1によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認中に、Aブロック1によって応答可能で且つ予め設定された種類のデータを受信した場合、電源管理部13にBブロック2への給電を停止させる指示を送る機能を果たす。
【0041】
すなわち、通信制御部26は、Aブロック1によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認中に、Aブロック1によって応答可能で且つ予め設定された種類のデータを受信した場合、電源管理部13にBブロック2への給電を停止させる指示を送る手段の機能を果たす。
【0042】
図1に示した通信制御部26の内部構成例では、パケット種類判断部36を他の内部機能部と独立して設けている場合を示した。
しかし、図2に示すように、ネットワークアプリ部30′のネットワーク管理通信部32′の内部にパケット種類判断部37を、ネットワークスタック部33′の内部にパケット種類判断部38をそれぞれ設ける構成にしても良い。
ネットワークアプリ部30′は、内部にパケット種類判断部37を設けた他は上記ネットワークアプリ部30と同じ機能を果たす。
【0043】
また、ネットワークスタック部33′は、内部にパケット種類判断部38を設けた他は上記ネットワークスタック部33と同じ機能を果たす。
この構成例の場合、パケット種類判断部37は、図4のMAC17によって受信したパケットがネットワーク管理通信部32′で処理するパケットの種類か否かを判断する。
また、パケット種類判断部38は、図4のMAC17によって受信したパケットがネットワークスタック部33′で処理するパケットの種類か否かを判断する。
【0044】
次に、Bブロック2に給電されている状態の時に通信制御部26が実施する処理について説明する。
図5は、Bブロック2に給電されている状態の時に通信制御部26が実施する処理を示すフローチャート図である。
Bブロック2は電源部5からの給電中の状態である。
例えば、通常モードの時である。
図1の通信制御部26は、ステップ(図中「S」で示す)1では、MACドライバ部34が図4のMAC17からのパケットを受信する。
【0045】
ステップ2では、受信パケット処理を実行する。
この受信パケット処理では、図1のパケット種類判断部36が受信したパケットの種類を判断する。
その判断したパケットの種類に応じて、図1のネットワークアプリ部30又はネットワークスタック部33で受信パケットの処理を行う。
また、必要であれば応答パケットを生成してMACドライバ部34を介して応答の送信をする。
【0046】
ステップ3では、受信パケットに対して図4のAブロック1で自動応答可能(予め決められた応答可能)か否かを判断する。
このステップ3の処理により、給電状態のときに受信したデータの応答データを生成して応答した後、受信したデータがAブロック1によって応答可能なデータであることを確認することができる。
【0047】
ステップ3で受信パケットに対して図4のAブロック1で自動応答可能と判断したら、ステップ4で自動応答に切り替えると共に、図4のBブロック2への給電を停止する指示を図4のAブロック1の電源管理部13に送る。
そして、この処理を終了する。
図4の電源管理部13は、セレクタ11の端子aを端子cに接続する切り替えをする。
【0048】
その後、電源部5からBブロック2への給電を停止して省電力モードに移行させる。
また、Cブロック3、Dブロック4を含む他のブロックへの給電を停止するとよい。
このようにして、図4のBブロック2への給電中に、図4のAブロック1で自動応答可能なパケットを受信した場合は、応答後に図4のBブロック2への給電を停止する省電力モードに移行することができる。
【0049】
すなわち、画像形成装置は、LAN上のPCからの定期的な問い合わせのパケットも高頻度で受け取る環境でも、通常モードから省電力モードに移行することができる。
したがって、画像形成装置における省電力効果を高めることができる。
一方、ステップ3の判断で受信パケットに対して図4のAブロック1で自動応答可能ではない(自動応答不可能)と判断したら、この処理を終了する。
なお、図2に示した通信制御部26の内部構成の場合、上記ステップ2の処理を図2のパケット種類判断部37あるいは38のいずれかで行うようにすると良い。
【0050】
次に、Bブロック2に給電されている状態の時に通信制御部26が実施する他の処理について説明する。
図6は、Bブロック2に給電されている状態の時に通信制御部26が実施する他の処理を示すフローチャート図である。
Bブロック2は電源部5からの給電中の状態である。
例えば、通常モードの時である。
【0051】
図1の通信制御部26は、ステップ(図中「S」で示す)11では、図1のタイマ35のカウント値を初期化(0に設定)して時間のカウントを開始する。
ステップ12では、図1のMACドライバ部34がパケットを受信したか否かを判断する。受信したと判断したらステップ15へ進み、受信しないと判断したらステップ13へ進む。
【0052】
ステップ13では、タイマ35のカウント値=10000(ms:ミリセコンド)か否かを判断する。
すなわち、タイマ35で10秒がカウントされたか否かを判断する。
このカウント値=10000は、予め設定した一定時間に相当する。
この一定時間をカウントするまでに、図4のAブロック1で自動応答不可能なパケットの受信がなければ、図4のBブロック2での処理が必要なパケットの受信が一定期間無かったことを確認することができる。
この一定期間の値は、ユーザの要求に応じて他の値に設定することができる。
【0053】
ステップ13でカウント値=10000と判断したら、ステップ17へ進む。また、カウント値=10000ではないと判断したら、ステップ14へ進む。
ステップ14では、タイマ35のカウント値に1を加算する。
その後、ステップ12へ戻ってタイマ35のカウントを継続する。
上記ステップ11〜14の処理は、通信制御部26が図4のAブロック1によって自動応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認する処理に相当する。
ステップ15では、受信パケットは自動応答できないか否かを判断する。
【0054】
すなわち、このステップ15の判断処理では、受信したパケットが図4のAブロック1で自動応答不可能か否かを判断する。
この自動応答不可能のパケットの場合、Bブロック2で処理をしなければならない。
自動応答不可能のパケットには、例えば、LAN上のPCから印刷を依頼された印刷データのパケット等がある。
ステップ15で受信パケットは自動応答できないと判断したらステップ16へ進む。
また、受信パケットは自動応答できると判断したらステップ13へ進む。
【0055】
このステップ15の判断では、図4のAブロック1で自動応答不可能なパケットの受信が一定期間無かったことを確認中、図4のAブロック1で自動応答可能なパケットの受信があったことを確認している。
そして、図4のAブロック1で自動応答不可能なパケットの受信が一定期間無かったことを確認中、図4のAブロック1で自動応答可能なパケットの受信があった場合でも、ステップ13へ進んで一定期間の計測を継続する。
【0056】
一方、ステップ15で受信パケットは自動応答できないと判断したら、ステップ16でタイマ35のカウント値=0にリセットする。
そして、ステップ12へ戻る。
また、ステップ13でタイマ35のカウント値=10000と判断したら、ステップ17でタイマ35のカウント値=0にリセットする。
その後、ステップ18で自動応答に切り替えると共に図4のBブロック2への給電を停止する指示を図4のAブロック1の電源管理部13に送る。
そして、この処理を終了する。
【0057】
図4の電源管理部13は、セレクタ11の端子aを端子cに接続する切り替えをする。
そして、電源部5からBブロック2への給電を停止して省電力モードに移行させる。
また、Cブロック3、Dブロック4を含む他のブロックへの給電を停止するとよい。
このようにして、図4のBブロック2への給電中に、Bブロック2で処理しなければならないパケットの受信が一定期間、この実施形態では10秒間なかったことを確認する。
【0058】
その確認をした場合、図4のBブロック2への給電を停止する省電力モードに移行することができる。
上述した処理を実行することにより、画像形成装置は、LAN上のPCからの定期的な問い合わせのパケットも高頻度で受け取る環境でも、通常モードから省電力モードに移行することができる。
したがって、画像形成装置における省電力効果を高めることができる。
【0059】
次に、Bブロック2に給電されている状態の時に通信制御部26が実施するさらに他の処理について説明する。
図7は、Bブロック2に給電されている状態の時に通信制御部26が実施するさらに他の処理を示すフローチャート図である。
Bブロック2は電源部5からの給電中の状態である。例えば、通常モードの時である。
図1の通信制御部26は、ステップ(図中「S」で示す)21では、図1のタイマ35のカウント値を0に初期化して時間のカウントを開始する。
【0060】
ステップ22では、図1のMACドライバ部34がパケットを受信したか否かを判断する。
受信したと判断したらステップ25へ進み、受信しなかったと判断したらステップ23へ進む。
ステップ23で、タイマ35のカウント値=10000(ms)か否かを判断する。
タイマ35のカウント値=10000と判断したらステップ28へ進む。
また、タイマ35のカウント値=10000ではないと判断したらステップ24へ進む。
【0061】
ステップ24では、タイマ35のカウント値に1を加算する。
その後、ステップ22へ戻ってタイマ35のカウントを継続する。
上記ステップ21〜24の処理は、通信制御部26が図4のAブロック1によって自動応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認する処理に相当する。
ステップ25では、受信パケットは自動応答できないか否かを判断する。
【0062】
すなわち、ステップ25の判断処理により、受信したパケットが図4のAブロック1で自動応答不可能か否かを判断する。
そして、自動応答不可能のパケットの場合はBブロック2で処理をする。
ステップ25で受信パケットは自動応答できないと判断したらステップ26へ進む。
また、受信パケットは自動応答できると判断したらステップ27へ進む。
このステップ25の判断では、図4のAブロック1で自動応答不可能なパケットの受信が一定期間無かったことを確認中、図4のAブロック1で自動応答可能なパケットの受信があったことを確認する。
【0063】
受信パケットの種類には様々有るが、例えば、TCPは再送保障があるため、例え画像形成装置の電源を切ってパケットロスを起こしても再送が保障されるパケットである。
このような種類のパケットを受信した場合は直ちに省電力モードに移行してもよい。
そこで、ステップ27では、パケットの種類がTCPか否かを判断する。
ステップ27でパケットの種類がTCPと判断したら、ステップ28でタイマ35のカウント値=0にリセットする。
【0064】
その後、ステップ29で自動応答に切り替えると共に図4のBブロック2への給電を停止する指示を図4のAブロック1の電源管理部13に送る。
そして、この処理を終了する。
なお、この実施形態では、TCPの場合を説明したが、再送保証のあるその他のパケットでも同様に動作させることができる。
【0065】
図4の電源管理部13は、セレクタ11の端子aを端子cに接続する切り替えをする。
そして、電源部5からBブロック2への給電を停止して省電力モードに移行させる。
また、Cブロック3、Dブロック4を含む他のブロックへの給電を停止するとよい。
このようにして、図4のBブロック2への給電中に、再送保証のある種類のパケットを受信した場合は、一定期間を待たずして、図4のBブロック2への給電を停止する省電力モードに移行することができる。
【0066】
すなわち、画像形成装置は、LAN上のPCからの定期的な問い合わせのパケットも高頻度で受け取る環境でも、通常モードから省電力モードに移行することができる。
したがって、この画像形成装置によれば、省電力効果を高めることができる。
一方、ステップ27でパケットの種類がTCPではないと判断したら、ステップ23へ進む。
【0067】
このようにして、図4のAブロック1で自動応答不可能なパケットの受信が一定期間無かったことを確認中、TCPを除く、図4のAブロック1で自動応答可能なパケットの受信があった場合にはステップ23へ進んで一定期間の計測を継続する。
ステップ25で受信パケットは自動応答できないと判断したら、ステップ26でタイマ35のカウント値=0にリセットする。
【0068】
その後、ステップ22へ戻る。
そして、ステップ23でタイマ35のカウント値=10000と判断したら、ステップ28でタイマ35のカウント値=0にリセットする。
その後、ステップ29で自動応答に切り替えると共に図4のBブロック2への給電を停止する指示を図4のAブロック1の電源管理部13に送る。
そして、この処理を終了する。
【0069】
図4の電源管理部13は、セレクタ11の端子aを端子cに接続する切り替えをする。
そして、電源部5からBブロック2への給電を停止して省電力モードに移行させる。
また、Cブロック3、Dブロック4を含む他のブロックへの給電を停止するとよい。
このようにして、図4のBブロック2への給電中に、Bブロック2で処理しなければならないパケットの受信が一定期間、この実施形態では10秒間なかったことを確認したら、図4のBブロック2への給電を停止する省電力モードに移行することができる。
【0070】
上記処理を実行することにより、画像形成装置は、LAN上のPCからの定期的な問い合わせのパケットも高頻度で受け取る環境でも、通常モードから省電力モードに移行することができる。
したがって、この実施形態の画像形成装置によれば、省電力効果を高めることができる。
上述したように、この実施形態の画像形成装置は、自動応答可能なパケットのみを受けている場合は、低電力モードに移行できると判断するので、自動応答可能なパケットを高頻度で受け取る環境でも低電力モードに移行できる。
よって、従来よりも省エネ性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0071】
1:Aブロック 2:Bブロック 3:Cブロック 4:Dブロック 5:電源部 10:PHY 11:セレクタ 12:自動応答部 13:電源管理部 15:CPU 16:メモリ 17:MAC 18:プロッタ 19:スキャナ 20:プリント機能制御部 21:コピー機能制御部 22:画像読取機能制御部 23:メモリ管理制御部 24:画像加工制御部 25:プリンタ言語制御部 26:通信制御部 27:プロッタ制御部 28:スキャナ制御部 30、30′:ネットワークアプリ部 31:印刷データ通信部 32、32′:ネットワーク管理通信部 33、33′:ネットワークスタック部 34:MACドライバ部 35:タイマ 36、37、38:パケット種類判断部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2009−29102号公報
【特許文献2】特開2009−151537号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の全体を制御する制御手段と、
前記制御手段への給電と該給電の停止を制御する給電制御手段と、
前記制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、前記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答手段とを備え、
前記制御手段は、給電状態のときに受信したデータの応答データを生成して応答した後、前記受信したデータが前記応答手段によって応答可能なデータであることを確認した場合、前記給電制御手段に前記制御手段への給電を停止させる指示を送る手段を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
装置の全体を制御する制御手段と、
前記制御手段への給電と該給電の停止を制御する給電制御手段と、
前記制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、前記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答手段とを備え、
前記制御手段は、給電状態のときに前記応答手段によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認した場合、前記給電制御手段に前記制御手段への給電を停止させる指示を送る手段を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記応答手段によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認中は、前記応答手段によって応答可能なデータの受信があっても前記一定期間の計測を継続する手段を有することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記応答手段によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認中に、前記応答手段によって応答可能で且つ予め設定された種類のデータを受信した場合、前記給電制御手段に前記制御手段への給電を停止させる指示を送る手段を有することを特徴とする請求項2又は3記載の情報処理装置。
【請求項5】
装置の全体を制御する制御手段への給電と該給電の停止を制御する給電制御手順と、
前記制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、前記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答手順と、
前記制御手段が給電状態のときに受信したデータの応答データを生成して応答した後、前記受信したデータが前記応答手順によって応答可能なデータであることを確認した場合、前記給電制御手順によって前記制御手段への給電を停止させる指示を送る手順とを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
装置の全体を制御する制御手段への給電と該給電の停止を制御する給電制御手順と、
前記制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、前記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答手順と、
前記制御手段が給電状態のときに前記応答手順によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認した場合、前記給電制御手順に前記制御手段への給電を停止させる指示を送る手順とを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
装置の全体を制御する制御手段を有するコンピュータに、
前記制御手段への給電と該給電の停止を制御する給電制御機能と、
前記制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、前記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答機能と、
前記制御手段が給電状態のときに受信したデータの応答データを生成して応答した後、前記受信したデータが前記応答機能によって応答可能なデータであることを確認した場合、前記給電制御機能に前記制御手段への給電を停止させる指示を送る機能とを実現させるためのプログラム。
【請求項8】
装置の全体を制御する制御手段を有するコンピュータに、
前記制御手段への給電と該給電の停止を制御する給電制御機能と、
前記制御手段が給電停止状態のときに受信したデータについて、予め決められた応答可能なデータであることを確認した場合、前記受信したデータへの応答データを生成して応答する応答機能と、
前記制御手段が給電状態のときに前記応答機能によって応答不可能なデータの受信が一定期間無かったことを確認した場合、前記給電制御機能に前記制御手段への給電を停止させる指示を送る機能とを実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−25667(P2013−25667A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161809(P2011−161809)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】