説明

情報処理装置及びその制御方法、プログラム

【課題】減色処理による自然画の領域の劣化を抑制する。
【解決手段】表示装置へ画像データを転送する情報処理装置であって、前記表示装置と通信可能に接続する通信手段と、前記表示装置に転送する画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得した画像データについて減色処理を実行する画像処理手段と、前記取得手段により取得した画像データの自然画が含まれない領域については前記減色処理をするよう前記画像処理手段を制御し、自然画が含まれる領域については前記減色処理をしないよう前記画像処理手段を制御する制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して表示装置へ画像データを転送する情報処理装置、及びその制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、会議や研修会等でプレゼンテーションを行う際は、パーソナルコンピュータ(以下、PC)等の情報処理装置で生成された画像信号をプロジェクタなどの表示装置に送信し、スクリーンに投射することが多い。この場合、PCとプロジェクタはRGBケーブルを用いたアナログ接続によって画像信号の送受信を行う。しかしながら、接続に手間がかかる、遠隔地からの接続が困難、複数台のPCと同時に接続したい、といった理由からネットワークを介してPCとプロジェクタを接続する表示システムが注目されている。
【0003】
このような表示システムを実現するために従来では、PCに表示された画面について定期的に画面キャプチャを行い、取得した画像データをプロジェクタに送信している。
【0004】
上述した表示システムにおいては、ある程度早いフレームレートを実現するため、画面キャプチャした画像データを圧縮して送信している。例えば、XGAサイズの画面をキャプチャした時のRGBデータでは2Mbyte程度のデータサイズになってしまい、秒間30フレームを実現するためには500Mbps程度の帯域が必要になってしまう。従って、例えば、Ethernet(登録商標)などの帯域の狭いネットワークを用いて実現するのは困難である。このような理由から、画面キャプチャした画像のデータ量を縮小することが必要になってくる。データ量の削減を目的とした画像の符号化方式には、エントロピー符号化方式と呼ばれるものがある。エントロピー符号化方式には算術符号化およびハフマン符号化などが知られている。一方、エントロピー符号化を実施する前に、画面キャプチャした画像データの色数を減じる減色処理などの画像処理を行うことによりデータ量を削減することがよく行われている。
【0005】
例えば、特許文献1には、文字画像領域と自然画像領域とが混在する画像データを符号化する場合、確実に符号量の総量を一定量に制御する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−123273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、画面キャプチャした画像データの全てに対して減色処理を実施すると、ウィンドウなどの人工画を描画した領域については画像の劣化は少ないが、膨大な色数を持つ自然画を描画した領域には画像の劣化が顕著に出現してしまう。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、画面キャプチャした画像データについて、自然画の領域の減色処理をせずに、自然画領域以外の領域の減色処理をすることで、データ量を低減しつつ画像を転送することができる技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、表示装置へ画像データを転送する情報処理装置であって、前記表示装置と通信可能に接続する通信手段と、前記表示装置に転送する画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得した画像データについて減色処理を実行する画像処理手段と、前記取得手段により取得した画像データの自然画が含まれない領域については前記減色処理をするよう前記画像処理手段を制御し、自然画が含まれる領域については前記減色処理をしないよう前記画像処理手段を制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画面キャプチャした画像データについて、自然画の領域に減色処理を実施するか否か判定することで、自然画領域の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施形態の表示システムの構成図。
【図2】本実施形態の表示システムを構築するPCとプロジェクタの構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態のPCによる処理を示すフローチャート。
【図4】実施形態1のPCによる減色処理を示すフローチャート。
【図5】実施形態1のプロジェクタによる処理を示すフローチャート。
【図6】実施形態によるPC画面を例示する図。
【図7】実施形態2のPCによる減色処理を示すフローチャート。
【図8】実施形態2のプロジェクタによる処理を示すフローチャート。
【図9】実施形態2による減色量の設定例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
[実施形態1]以下に、本発明に係る表示システムをPCおよびプロジェクタにより実現した実施形態について説明する。
【0014】
<システム構成>先ず、図1および図2を参照して、本発明の表示システムの構成について説明する。図1において、表示システム10は、情報処理装置としてのPC100と表示装置としてプロジェクタ200とを備え、PC100とプロジェクタ200とは無線LANなどを介して通信可能に接続されて通信ネットワーク300を構築している。各部の機能について以下に説明する。
【0015】
PC100は、ディスプレイに表示する画像信号を、上記通信ネットワーク300を介してプロジェクタ200に送信する。プロジェクタ200は、PC100から送信される画像信号を受信して、画面に出力するためのデータ形式へ変換する。このとき、ユーザがマウス100aを操作することによって、PC100におけるウィンドウシステム上のポインタが操作されるが、このポインタの表示位置に関する情報は、上記画像信号とは別にプロジェクタ200へ送信される。なお、上記ウィンドウシステムとは、例えばマイクロソフト社のオペレーティングシステム(以下、OS)であるWindows(登録商標)によって実現される、Graphical User Interface(GUI)のことである。このウィンドウシステムは、複数のタスクに固有の枠領域(ウィンドウ)を割当てて画面出力を多重化する仕組みを有する。
【0016】
次に、図2を参照して、図1のPC100とプロジェクタ200の構成について説明する。図2において、PC100は、CPU101と、CPU101の処理手順を記述した制御プログラムを記憶するためのROM102と、ワークメモリとしてのRAM103と、ハードディスクドライブ104と、を備える。また、PC100は、LAN等を経由してプロジェクタ200やサーバなどと通信するためのインタフェースであるネットワークIF105を備える。また、PC100は、キーボードやポインティングデバイス(マウスなど)により入力されるユーザ操作を受け付けるユーザIF106を備える。さらに、PC100は、ディスプレイに表示するための画像信号が記憶されているVRAM107と、画像処理部108と、表示制御部109と、液晶ディスプレイなどの表示部110と、これら各要素を接続する内部バス111と、を備える。
【0017】
プロジェクタ200は、CPU201と、CPU201の処理手順を記述した制御プログラムを記憶するためのROM202と、ワークメモリとしてのRAM203と、PC100との接続用インタフェースであるネットワークIF204と、を備える。また、プロジェクタ200は、各種の操作ボタンやリモコンなどにより入力されるユーザ操作を受け付けるユーザIF205と、画像を出力するための投射画像制御部206と、を備える。さらに、プロジェクタ200は、画像を投射する液晶パネル及びその駆動ドライバ、レンズ及びその駆動系及び光源で構成される投射部207と、これら各要素を接続する内部バス208と、を備える。
【0018】
図6は本実施形態におけるPC100の表示部110に表示される表示画面を例示している。図6において、表示部110の画面600には、所定の枠領域としてアクティブ(操作状態)なウィンドウ601及び非アクティブ(非操作状態)なウィンドウ602、603と、ポインタ604とが表示されている。アクティブなウィンドウ601は最前面に表示されており、その裏にウィンドウ602、さらにその裏にウィンドウ603がそれぞれ表示されている。
【0019】
<PCにおける動作>次に、図3を参照して、PC100で表示部110の表示画面(PC100が表示させている画面)をプロジェクタ200に送信して表示させる場合の、本実施形態のPC100における動作について説明する。なお、図3において、PC100の動作は、以下の動作をPC100に実行させるためのコンピュータプログラムをRAM103に展開し、CPU101によって、PC100の各部を制御することにより実行される。PC100の画面をプロジェクタ200に転送する動作の開始の指示を受け、表示制御部109により表示部110に出力されている画面をキャプチャする(S1)。ここでは、PC100は、Windows(登録商標)のApplication Programming Interface(以下、API)である関数BitBlitを用いてVRAM107に保持する画面データを取得する。ステップS1で画面データを取得した後、PC100は、表示部110の最前面に表示されているアクティブなウィンドウをAPIである関数GetWindowTextで取得する(S2)。次に、PC100は、APIである関数GetWindowRectを用いて各ウィンドウにおける左上の原点座標(X1、Y1)、X軸座標上のウィンドウサイズ、Y軸座標上のウィンドウサイズ情報を取得する(S3)。
【0020】
次に、PC100は、各ウィンドウのハンドル情報とレイヤ情報は、GetNextWindowで取得し、取得した各ウィンドウのサイズ情報と、アクティブなウィンドウサイズ情報よりレイヤの順番を把握する。そして、レイヤの順番と各ウィンドウの座標とサイズ情報により、表示部110に表示されている、各ウィンドウの画素数を算出する(S4)。例えば、図6に示すようなアクティブなウィンドウ601においてはウィンドウサイズが表示画素数となる。ウィンドウ602においては、ウィンドウ601によって隠れている領域を減算した領域が表示画素数となる。次に、PC100は、APIである関数GetCursorInfoによりポインタ位置としての座標情報を取得する(S5)。ポインタ位置の座標情報を取得した後は、PC100は、APIである関数GetWindowTextにより、各ウィンドウのアプリケーションを特定する(S6)。次に、PC100は、画像処理部108によりステップS1で取得した画面データの色数を削減する減色処理を実行する(S7)。
【0021】
<減色処理>ここで、図4を参照して、ステップS7での減色処理について説明する。なお、図4において、PC100の動作は、以下の動作をPC100に実行させるためのコンピュータプログラムをRAM103に展開し、CPU101によって、PC100の各部を制御することにより実行される。まず、PC100は、ステップ4で算出した各ウィンドウの画素数から最も画素数の大きいウィンドウが所定の第2の画素数より大きいか否かを判定する(S10)。この第2の画素数は、PC100の表示制御部109が表示部110に表示している画像全体の画素数に応じて変更される。例えば表示制御部109が表示部110に表示させている全体の表示画素数が1600×1200画素であれば1280×1024=1,310,720を第2の画素数とする。また、PC100が表示部110に表示させている全体の表示画素数が1024×768画素であれば800×600=480,000を第2の画素数とする。すなわち、S10では、最も大きいウィンドウの表示領域の画素数が画面全体の画素数に対して所定の割合より大きいか否かを判定している。本実施形態では、画素数を用いたが、単に、最も大きいウィンドウの表示領域のサイズが画面全体のサイズに対して所定の割合より大きいか否かを判定しても良い。
【0022】
そして、PC100は、ステップS10での判定の結果、最も画素数の大きいウィンドウが所定の画素数よりも小さいと判定した場合には、表示部110にするウィンドウごとに自然画の領域に減色処理を行うか否か処理判定を行う(S11〜S19)。PC100は、最も画素数の大きいウィンドウが所定の第2の画素数よりも小さいと判定された場合には、ステップS11に進み、画面データにおける各画素間のデータの差を比較することにより自然画が含まれているか判定する。ここでは、簡単にランレングスの圧縮処理をかけて元画像よりもファイルサイズが大きくなった場合に各ピクセルデータのデータのバラツキが大きいため自然画が含まれていると判定するが、この判定方法に限定するものでない。ステップS11での判定の結果、自然画が含まれていないと判定された場合、PC100は画像処理部108により減色処理を実行する(S16)。この減色処理は、例えば24ビットで取得したRGBデータを16ビットのRGBデータに変換するような階調数を削減する処理である。詳しくは、RED、GREEN、BLUEの各色が8ビットで表現される24ビットのRGBデータに対して、R(RED),B(BLUE)を5ビット、G(GREEN)を6ビットに削減した16ビットのデータに変換する処理を行う。RGBの各色のビット数で削減された分は詳細な色データを表現するビットであり、単純に24ビットのRGBの各ビットを切り捨てることで簡単に階調を落とすことができる。
【0023】
PC100は、ステップS11での判定の結果、自然画が含まれていると判定した場合には、ステップS12に進み、該当するウィンドウのアプリケーションが予め設定されている減色対象のアプリケーションであるか判定する。なお、ウィンドウのアプリケーションが何であるかは、図3のステップS6と同様にAPIである関数GetWindowTextにより、各ウィンドウのアプリケーションを特定する。ステップS12での判定の結果、減色指定されている場合には、PC100は画像処理部108により減色処理を行う一方(S16)、減色指定されていなければ、ステップS13に進んで、該当するウィンドウがアクティブであるかを判定する。アクティブなウィンドウであるか否かの情報は図3のステップS2により取得済みである。
【0024】
ステップS13での判定の結果、該当するウィンドウがアクティブでない場合(S13でNO)、PC100は画像処理部108により減色処理を行う(S16)。また、アクティブなウィンドウならば(S13でYES)、ステップS14に進み、PC100は、そのウィンドウの枠領域内にポインタが置かれているか判定する。次に、PC100は、該当するウィンドウの枠領域内にポインタが置かれていない場合(S14でNO)、画像処理部108により減色処理を行う(S16)。また、ポインタが置かれているならば(S14でYES)、ステップS15に進み、該当するウィンドウが所定の第1の画素数以下であるか判定する。但し、第2の画素数>第1の画素数とする。
【0025】
所定の第1の画素数は、ステップS10と同様に表示部110に表示されている全体の画像の画素数に応じて変更される。例えば1600×1200画素であれば120×100=12,000を第1の画素数とし、1024×768画素であれば80×60=4,800を第1の画素数とする。ステップS15での判定の結果、所定の第1の画素数以下の場合(S15でYES)、PC100は、画像処理部108で減色処理を行った後に(S16)、ステップS17に進む。また、第1の画素数以下でない場合(S15でNO)、減色処理を行わずにステップS17に進む。
【0026】
ステップS17において、PC100は、表示部110に表示されている全てのウィンドウについてステップS11以降の処理を行ったか判定する。ここで、未処理のウィンドウがある場合にはステップS11に戻る。また、全てのウィンドウの処理が終わっていれば、表示部110の全てのウィンドウの裏に表示された背景(例えば、Windows(登録商標)のデスクトップ画面領域)に自然画が含まれているか判定する(S18)。自然画が含まれていなければ、PC100の画像処理部108が背景に対して減色処理を行い(S19)、自然画であれば、本処理を終了する。
【0027】
次に、上記ステップS10において、最も画素数の大きいウィンドウが所定の第2の画素数より大きい場合(S10でYES)、PC100は、該当する最も画素数の大きいウィンドウに自然画が含まれているか判定する(S20)。自然画が含まれている場合には、PC100の画像処理部108は、該当する最も画素数の大きいウィンドウの枠領域以外について減色処理を行った後(S21)、図3のステップS8に戻る。一方、自然画が含まれていない場合には画面全体について減色処理を行った後(S22)、処理を終えて図3のステップS8に進む。
【0028】
なお、上記ステップS11〜S15までの処理の順番は上述した説明の順番に限定されるものではなく、また、あるステップでの処理を省略することもできる。
【0029】
図3に戻り、PC100は、ステップS7にて減色処理を終えた後、画像処理部108により減色処理を行った画像データを含めて全ての画像データについてランレングス圧縮方式により圧縮処理を行う。なお、圧縮方式は、上記ランレングス圧縮方式に限定されるものではない。
【0030】
次に、ステップS9では、PC100は、圧縮された画像データに、減色方式を示したヘッダデータを付加してネットワークI/F105により通信ネットワーク300を介してプロジェクタ200に送信する。本例では、ネットワークI/F105は、例えばEthernet(登録商標)であって、TCP/IPプロトコルにより画像データを転送するものとする。なお、通信ネットワーク300を他の通信ネットワークとしてもよく、プロトコルも同様に他のプロトコルであっても構わない。
【0031】
<プロジェクタにおける動作>次に、図5を参照して、本実施形態のプロジェクタ200における動作について説明する。なお、図5において、プロジェクタ200の動作は、以下の動作をプロジェクタ200に実行させるためのコンピュータプログラムをRAM203に展開し、CPU201によって、プロジェクタ200の各部を制御することにより実行される。図5において、プロジェクタ200は、PC100から通信ネットワーク300を介して転送される画像データをネットワークI/F204により受信する(S30)。次に、プロジェクタ200は、PC100において圧縮した方式に基づいて受信した画像データをデコードする(S31)。なお、プロジェクタ200は、予めPC100から圧縮方式の情報を取得しているものとする。
【0032】
ステップS31でデコード処理が終了すると、プロジェクタ200は、ヘッダデータに付加された減色方式に基づいて16ビットに変換された画像データの各RGBデータを8ビットに変換し、24ビットRGBデータとして生成する(S32)。次に、処理済の画像データを投射画像制御部206により投射部207に投射する(S34)。そして、投影終了の指示が有るか否かを判定し(S35)、投影が終了しない場合には、画像の受信が終了したか否かを判定する(S36)。投影終了、受信終了しない場合には、受信した画像データを受信する度に投影してゆくことになる。また、投影終了の指示があったり、画像の受信が終了したりすると、PC100から転送された画像を投影する処理を終了する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、画面キャプチャした画像データについて、自然画の領域に減色処理を実施するか否か判定することで、自然画領域の劣化を抑制することができる。また、本実施形態では、ウィンドウ領域に関しては減色処理をするかしないか、を決定するようにしていたが、「減色処理をしない」場合を、「減色処理をする場合に比べて、減色される色の数が少なくなるように減色する」場合に置き換えても良い。
【0034】
[実施形態2]次に、実施形態2について説明する。上述した実施形態1ではウィンドウの状態に応じて減色処理を実行したのに対して、実施形態2はウィンドウの状態に応じて減色量を調整して減色処理を行う例である。なお、本実施形態の表示システム10、PC100及びプロジェクタ200は、図1で説明した構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。また、本実施形態における全体の処理の流れは図3と同様であり、図3におけるステップS7の減色処理の内容だけが異なっているため、以下では、図7を参照して、本実施形態におけるステップS7での減色処理について説明する。なお、図7において、PC100の動作は、以下の動作をPC100に実行させるためのコンピュータプログラムをRAM103に展開し、CPU101によって、PC100の各部を制御することにより実行される。
【0035】
先ず、PC100は、図3のステップS2〜S6で取得したウィンドウ情報を用いて減色量の設定を行う(S40)。
【0036】
この減色量の設定は、該当するウィンドウがアクティブである場合、表示部110に表示されているウィンドウサイズ、ポインタ位置がウィンドウの枠領域内に存在するか、ウィンドウのアプリケーションの種類により決定される。図9に減色量の設定例を示す。図9に示すように、人工画であれば元画像に対して3/8のサイズに圧縮した減色量(901)、自然画であれば元画像に対して2/3のサイズに圧縮した減色量(902)を設定する。また、アクティブなウィンドウであれば2/3(903)、ウィンドウサイズが全画面の2/3より大きければ2/3(904)、ウィンドウサイズが全画面の2/3以下且つ1/3以上であれば1/2(905)といった減色量を設定する。さらに、ウィンドウサイズが全画面の1/3以下であれば(906)、マウスの位置がウィンドウ内に存在すれば2/3(907)、ウィンドウのアプリケーションの種類が画像処理用ソフトウェアであれば2/3(908)といった減色量を設定する。さらにまた、ウィンドウのアプリケーションの種類がプレゼンテーション用ソフトウェアであれば1/2(909)、ウィンドウのアプリケーションの種類が他のソフトウェアであれば3/8(910)といった減色量を設定する。なお、複数のカテゴリの条件を満たす場合には適宜、各条件における最大の減色量に設定するか、あるいは最小の減色量に設定する。
【0037】
次に、PC100は、ステップS40にて設定された減色量に基づいて減色処理を実行する。この減色処理は、RGB画像をYUV画像に変換する。具体的には、R(RED)は赤色成分、G(GREEN)は緑色成分、B(BLUE)は青色成分、Yは輝度、Uは「青み」成分、Vは「赤み」成分を表し、RGBとYUVの変換は、以下の式で行う。
【0038】
Y= 0.2990R+0.5870G+0.1140B
U=−0.1684R−0.3316G+0.5000B
V= 0.5000R−0.4187G−0.0813B
なお、上記式の係数は一般的なYUV変換に使用される係数であって変更してもよい。
【0039】
上記式に従い減色処理を行うが、減色量が2/3であればYUV4:2:2方式のようにU・V成分を2回に1回間引く方式を使用して画像サイズ2/3に圧縮する。同様に、減色量が1/2であればYUV4:1:1を使用し、減色量が3/8であればYUV9を使用するといったように、各圧縮率に応じて設定する減色方式を変更する。
【0040】
次に、PC100は、上記ステップS40、S41においてウィンドウごとに減色処理を実行し、全てのウィンドウに対して減色処理を実行したか判定する(S42)。そして、全てのウィンドウに対して減色処理が実行されていない場合にはステップS40に戻る。また、全てのウィンドウに対して減色処理を実行した場合には、PC100は、表示部110に表示されている画面において全てのウィンドウ以外の領域である背景(例えば、Windows(登録商標)のデスクトップ画面領域)の減色量を設定する(S43)。ここでの減色量の設定は、図9に示すように人工画(901)であれば3/8、自然画であれば2/3(902)の圧縮率で減色処理を行うか、あるいは予め固定された減色量であっても良い。
【0041】
次に、PC100は、ステップS43にて設定された減色量に従って、ステップS41の減色処理を実施する(S44)。
【0042】
上記ステップS40〜S44の処理を終了した後、PC100は、図3のステップS8での圧縮処理を実行し、ステップS9で圧縮したデータに、減色方式を含むヘッダデータを付加してネットワークI/F105を介して通信する。
【0043】
次に、図8を参照して、本実施形態のプロジェクタ200における動作について説明する。なお、図8において、プロジェクタ200の動作は、以下の動作をプロジェクタ200に実行させるためのコンピュータプログラムをRAM203に展開し、CPU201によって、プロジェクタ200の各部を制御することにより実行される。図8において、プロジェクタ200は、PC100から通信ネットワーク300を介して転送される画像データをネットワークI/F204により受信する(S50)。次に、プロジェクタ200は、PC100において圧縮した方式に基づいて受信した画像データをデコードする(S51)。なお、プロジェクタ200は、予めPC100から圧縮方式の情報を取得しているものとする。ステップS51でデコード処理が終了すると、プロジェクタ200は、ヘッダデータに付加された減色方式に基づいてYUVで表現された画像データをRGBに変換する(S52)。この減色処理は、YUV画像をRGB画像に変換する。具体的には、R(RED)は赤色成分、G(GREEN)は緑色成分、B(BLUE)は青色成分、Yは輝度、Uは「青み」成分、Vは「赤み」成分を表し、RGBとYUVの変換は、以下の式で行う。
【0044】
R=Y+1.4020V
G=Y−0.3441U−0.7139V
B=Y+1.7718U−0.0012V
そして、処理済の画像データを投射画像制御部206により投射部207に投射する(S54)。そして、投影終了の指示が有るか否かを判定し(S55)、投影が終了しない場合には、画像の受信が終了したか否かを判定する(S56)。投影終了、受信終了しない場合には、受信した画像データを受信する度に投影してゆくことになる。また、投影終了の指示があったり、画像の受信が終了したりすると、PC100から転送された画像を投影する処理を終了する。
【0045】
なお、上述した実施形態では、PC100のOSとしてWindows(登録商標)を例に説明したが、その他のOSであって、PC100の表示画面とキャプチャした画面データに相違があるものであれば、どのような形態のものであっても適用できる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、実施形態1の効果に加えて、ウィンドウのサイズまたは画素数やウィンドウの状態、隣り合うがその色のバラツキが多い自然画か人工画かに応じて減色量を調整して減色処理を行うことができる。
【0047】
[他の実施形態]本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上記実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置へ画像データを転送する情報処理装置であって、
前記表示装置と通信可能に接続する通信手段と、
前記表示装置に転送する画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した画像データについて減色処理を実行する画像処理手段と、
前記取得手段により取得した画像データの自然画が含まれない領域については前記減色処理をするよう前記画像処理手段を制御し、自然画が含まれる領域については前記減色処理をしないよう前記画像処理手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記取得手段により取得した画像データの自然画が含まれる領域の画素数が所定の画素数より小さい場合には、前記自然画が含まれる領域の画像に減色処理をするよう前記画像処理手段を制御し、前記取得手段により取得した画像データの自然画が含まれる領域の画素数が所定の画素数より大きい場合には、前記自然画が含まれる領域の画像に減色処理をしないよう前記画像処理手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記自然画が含まれる領域が、操作状態と非操作状態の2つの状態を持つことができるウィンドウシステムにおけるウィンドウ領域であって、
前記制御手段は、前記取得手段により取得した画像データの自然画が含まれる領域の画素数が所定の画素数より小さい場合であっても、当該自然画が含まれる領域が前記非操作状態であった場合には、前記減色処理しないよう前記画像処理手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記取得手段により取得した画像データの自然画が含まれる領域の画素数が所定の画素数より小さい場合であっても、前記自然画が含まれる領域を操作するためのポインタの位置が当該自然画が含まれる領域の中にある場合には、前記減色処理しないよう前記画像処理手段を制御することを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
表示装置と通信可能に接続する通信手段を有し、前記表示装置へ画像データを転送する情報処理装置の制御方法であって、
前記表示装置に転送する画像データを取得する取得工程と、
前記取得工程により取得した画像データについて減色処理を実行する画像処理工程と、
前記画像処理工程において、前記取得工程により取得した画像データの自然画が含まれない領域については前記減色処理をし、自然画が含まれる領域については前記減色処理をしないよう制御する制御工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項6】
前記制御工程では、前記画像処理工程において、前記取得工程により取得した画像データの自然画が含まれる領域の画素数が所定の画素数より小さい場合には、前記自然画が含まれる領域の画像に前記減色処理をし、前記取得工程により取得した画像データの自然画が含まれる領域の画素数が所定の画素数より大きい場合には、前記自然画が含まれる領域の画像に前記減色処理をしないよう制御されることを特徴とする請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−15639(P2012−15639A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148022(P2010−148022)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】