説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】患者が傷病に罹患している程度及び可能性の少なくとも一方を、従来よりも精度よく利用者に提示することができる情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】医療文書情報取得部30が、患者を表す患者情報を含む医療情報が記録された文書情報である医療文書情報を取得する。診療履歴情報取得部36が、各医療文書情報に対応する、患者に関する診療履歴を示す診療履歴情報を取得する。罹患指標出力部42が、医療文書情報取得部30が取得する医療文書情報、及び、診療履歴情報取得部36が取得する診療履歴情報に応じた、患者が傷病に罹患している程度及び可能性の少なくとも一方を表す指標である罹患指標を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、情報処理システムが活用される場面が増加してきている。特許文献1には、入力された患者症状情報と、病院情報マシンから提供を受けたカルテ情報との双方に基づいて、患者マシンに病名を通知するシステムが開示されている。また、癌患者の罹患率、死亡率、生存率など、癌対策を直接評価する指標の計算のため、対象とする癌患者の情報を収集することを目的として、各病院から診断、治療、予後に関する情報を集め、整理・保管し、集計・解析をする仕組みが確立されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−287961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、患者が傷病に罹患している程度及び可能性の少なくとも一方を、従来よりも精度よく利用者に提示することができる情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、情報処理装置であって、患者を表す患者情報を含む医療情報が記録された文書情報である少なくとも1つの医療文書情報を取得する医療文書情報取得手段と、前記各医療文書情報に対応する、前記患者に関する診療履歴を示す少なくとも1つの診療履歴情報を取得する診療履歴情報取得手段と、前記医療文書情報取得手段が取得する少なくとも1つの医療文書情報、及び、前記診療履歴情報取得手段が取得する少なくとも1つの診療履歴情報に応じた、前記患者が傷病に罹患している程度及び可能性の少なくとも一方を表す指標である罹患指標を出力する罹患指標出力手段と、を含むこととしたものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置であって、前記医療文書情報取得手段が、前記医療情報の記録に関連する時期を示す記録関連時期情報に関連付けられている前記医療文書情報を取得して、前記診療履歴情報取得手段が、患者に対する診療に関連する時期を示す診療関連時期情報に関連付けられている前記診療履歴情報であって、関連付けられている診療関連時期情報が、前記医療文書情報取得手段が取得する医療文書情報に関連付けられている記録関連時期情報に対応する前記診療履歴情報を取得することとしたものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、前記診療履歴情報取得手段が、前記各医療文書情報について、当該医療文書情報に対応する診療履歴情報、及び、当該医療文書情報に関連付けられている他の医療文書情報に対応する診療履歴情報を取得することとしたものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、前記罹患指標出力手段が、前記医療文書情報に含まれる文字列、及び、前記診療履歴情報に含まれる文字列、の少なくとも一方に基づいて値が決定される前記罹患指標を出力することとしたものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、前記罹患指標出力手段が、前記医療文書情報に基づいて決定される値を、前記診療履歴情報に基づいて補正した前記罹患指標を出力することとしたものである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、前記医療文書情報を、当該医療文書情報に対応する前記罹患指標の値に応じた態様で出力する医療文書情報出力手段、をさらに含むこととしたものである。
【0011】
請求項7に記載の発明は、プログラムであって、患者を表す患者情報を含む医療情報が記録された文書情報である少なくとも1つの医療文書情報を取得する医療文書情報取得手段、前記各医療文書情報に対応する、前記患者に関する診療履歴を示す少なくとも1つの診療履歴情報を取得する診療履歴情報取得手段、前記医療文書情報取得手段が取得する少なくとも1つの医療文書情報、及び、前記診療履歴情報取得手段が取得する少なくとも1つの診療履歴情報に応じた、前記患者が傷病に罹患している程度及び可能性の少なくとも一方を表す指標である罹患指標を出力する罹患指標出力手段、としてコンピュータを機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,7に記載の発明によれば、本構成を有さない場合と比較して、患者が傷病に罹患している程度及び可能性の少なくとも一方を精度よく利用者に提示することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、関連する時期が互いに対応する医療文書情報と診療履歴情報とに応じた罹患指標を利用者に提示することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、医療文書情報と、その医療文書情報に関連する他の医療文書情報に対応する診療履歴情報と、に応じた罹患指標を利用者に提示することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、文字列に基づく罹患指標を利用者に提示することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、医療文書情報に応じた値が診療履歴情報により補正された罹患指標を利用者に提示することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有さない場合と比較して、医療文書情報に対応する罹患指標を利用者が容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置により実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】医療文書情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】キーワード情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図5】アクセス履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】発注履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図7】診療履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る情報処理装置で行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図9】本実施形態に係る情報処理装置で行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図10】文書関係情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図11】本実施形態に係る情報処理装置で行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図12】癌登録候補者表示画面の一例を示す図である。
【図13】医療文書一覧表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1のハードウェア構成図に例示するように、本実施形態における情報処理装置10は、例えば、制御部12、記憶部14、ユーザインタフェース(UI)部16、を含んでいる。これらの要素は、バスなどを介して接続される。
【0021】
制御部12は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、情報処理装置10にインストールされるプログラムに従って動作する。記憶部14は、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである。記憶部14には、制御部12によって実行されるプログラムなどが記憶される。また、記憶部14は、制御部12のワークメモリとしても動作する。UI部16は、ディスプレイ、マイク、マウス、キーボードなどであり、利用者が行った操作の内容や、利用者が入力した音声を制御部12に出力する。また、このUI部16は、制御部12から入力される指示に従って情報を表示出力したり音声出力したりする。
【0022】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置10により実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。図2に例示するように、本実施形態では、情報処理装置10は、例えば、医療文書情報記憶部20、キーワード情報記憶部22、アクセス履歴情報記憶部24、発注履歴情報記憶部26、診療履歴情報記憶部28、医療文書情報取得部30、検索処理実行部32、文書関係抽出部34、診療履歴情報取得部36、病名特定部38、罹患指標算出部40、罹患指標出力部42、を含むものとして機能する。医療文書情報記憶部20、キーワード情報記憶部22、アクセス履歴情報記憶部24、発注履歴情報記憶部26、診療履歴情報記憶部28、は記憶部14を主として実現される。その他の要素は制御部12を主として実現される。
【0023】
これらの要素は、コンピュータである情報処理装置10にインストールされたプログラムを、情報処理装置10の制御部12で実行することにより実現されている。このプログラムは、例えば、CD−ROM、DVD−ROMなどのコンピュータ可読な情報伝達媒体(情報記憶媒体)を介して、あるいは、インターネットなどの通信手段を介して情報処理装置10に供給される。
【0024】
医療文書情報記憶部20には、医療情報が記録された文書情報である少なくとも1つの医療文書情報44が記憶されている(図3参照)。医療文書情報44は、例えば、患者に対して行われる診療を記録した文書(例えば、放射線治療記録、病理診断検査報告、細胞診検査報告、など)を示す情報である。図3は、医療文書情報44のデータ構造の一例を示す図である。図3に例示するように、医療文書情報44は、例えば、医療文書情報44の識別子である文書識別子と、医療文書情報44の種別を示す文書種別情報と、医療文書情報44に対応する患者の識別子である患者識別子と、医療文書情報44の記録に関連する時期(例えば、作成日時や診療日時など)を表す記録関連時期情報と、診療における判定を示す診療判定情報と、診療された組織を示す組織情報と、を含む。なお、図3に例示する内容は、医療文書情報44に文書として(コンテンツとして)含まれていてもよい。
【0025】
キーワード情報記憶部22には、図4に例示する、医療文書情報44に対する検索処理を実行する際に用いられるキーワード情報46が記憶されている。図4は、キーワード情報46のデータ構造の一例を示す図である。図4に例示するように、キーワード情報46は、検索条件を表す文字列である検索条件文字列と、患者が傷病に罹患している程度及び可能性の少なくとも一方を表す指標(罹患指標)の一例であるk−flagと、を含んでいる。本実施形態では、k−flagは、例えば、0から10までの間のいずれかの整数である。k−flagの詳細については後述する。
【0026】
なお、本実施形態においては、後述するe−flagやp−flagも罹患指標の一例である。本実施形態では、e−flagやp−flagは、例えば、0から10までの範囲の実数値をとる。そして、本実施形態では、これらの罹患指標の値の範囲がその範囲に対応する文字列と関連付けられてキーワード情報記憶部22に記憶されている。
【0027】
なお、本実施形態では、罹患指標は、患者が癌に罹患している可能性を表している。そして、医療文書情報44に含まれる診療判定情報は、例えば、組織診や細胞診の結果などを示している。そして、例えば、検索条件文字列が癌に罹患している可能性が高いことを表しているほど、その検索条件文字列に関連付けられているk−flagの値が大きくなるようにk−flagの値が設定されている。
【0028】
アクセス履歴情報記憶部24には、医療文書情報44に対するアクセス履歴(例えば、医療文書情報44に対する利用者からの処理要求に応じた、その処理の実行履歴)を示すアクセス履歴情報48が記憶されている。図5は、アクセス履歴情報48のデータ構造の一例を示す図である。図5に例示するように、アクセス履歴情報48は、例えば、アクセスの開始時期(例えば、文書の新規作成や閲覧などを開始した日時)を示す開始時期情報と、アクセスの終了時期(例えば、文書の新規作成や閲覧などを終了した日時)を示す終了時期情報と、アクセスの対象となる医療文書情報44の識別子である文書識別子と、アクセスを行った利用者を示すアクセス利用者情報と、アクセスの際に医療文書情報44に対して実行された処理の内容(例えば、「新規作成」や「閲覧」や「更新」など)を表す処理内容情報と、を含む。
【0029】
発注履歴情報記憶部26には、図6に例示する、医療文書情報44を基礎にしたアプリケーションプログラムを実行することにより実現される発注処理の履歴を示す発注履歴情報50が記憶されている。本実施形態では、情報処理装置10において、例えば、医療文書情報44を基礎にしたアプリケーションプログラムの一例である発注アプリケーションプログラムが実行されているとする。そして、治療計画の医療文書情報44がディスプレイなどのUI部16に表示出力されている際に、利用者が、治療計画の医療文書情報44に対する、病理検査の発注操作を行うと、発注アプリケーションプログラムは、病理検査の担当医師に対して、病理検査が発注された旨を通知(例えば、電子メールなどにより通知)するようになっている。図6は、発注履歴情報50のデータ構造の一例を示す図である。図6に例示するように、発注履歴情報50は、情報処理装置10において発注処理が実行された時期(具体的には、例えば、発注アプリケーションプログラムにより、医師に対して診療が発注された旨を示す電子メールなどが通知された日時など)を示す発注時期情報、発注された処理(上述の例では病理検査)に対応する医療文書情報44の文書識別子に対応する発注先文書識別子、発注処理を行った利用者を示す発注者情報、発注元の医療文書情報44(上述の例では治療計画)の文書識別子に対応する発注元文書識別子、を含んでいる。
【0030】
診療履歴情報記憶部28は、図7に例示する、患者に対して行われた診療(例えば、診断や治療や手術など)の履歴を示す診療履歴情報52を記憶する。図7に例示するように、診療履歴情報52は、診療に関連する時期(例えば、診療が行われた日時)に対応する診療関連時期情報、診療の対象となった患者の識別子である患者識別子、診療を担当した医師の名称を示す医師名情報、患者が罹患していると診断された病名を示す病名情報、などを含む。診療関連時期情報は、具体的には、例えば、患者が病気に罹患している明らかな証拠が得られた検査が行われた日時や、医師が治療を行うにあたっての問題リスト(プロブレムリスト)を作成した日時や、紹介状が書かれた日時、などを示している。診療履歴情報記憶部28は、例えば、保健医療情報システム(Health Imformation System(HIS))の一部として構成されていてもよい。
【0031】
本実施形態では、情報処理装置10は、例えば、処理の対象となる患者の患者識別子を受け付けて、その患者が癌に罹患している可能性を算出して、その可能性を表す罹患指標を出力する処理を実行する。ここで、本実施形態に係る情報処理装置10で行われる処理の流れの一例を、図8に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0032】
まず、医療文書情報取得部30が、利用者から受け付けた患者識別子を含む医療文書情報44を医療文書情報記憶部20から少なくとも1つ取得する(S101)。なお、ここで、医療文書情報44から図3に例示する各項目に対応する値を抽出する処理を実行してもよい。
【0033】
そして、検索処理実行部32は、本処理例に例示する処理が行われていない医療文書情報44を1つ選択して、その医療文書情報44に対して、キーワード情報46に含まれる各検索条件文字列を検索条件とする検索処理を実行する。罹患指標算出部40は、具体的には、例えば、医療文書情報44に含まれる診療判定情報と、キーワード情報46に含まれる各検索条件文字列と、が対応するか否かを判定する(S102)。
【0034】
そして、検索処理実行部32が、医療文書情報44に含まれる診療判定情報に対応する検索条件文字列が存在するか否かを確認する(S103)。本実施形態では、検索条件文字列に対応する診療判定情報を、例えば、癌診断を支持する証拠として取り扱う。存在しない場合は(S103:N)、後述のS106に例示する処理を実行する。存在する場合は(S103:Y)、文書関係抽出部34、診療履歴情報取得部36、及び、病名特定部38が、S102に例示する処理で選択された医療文書情報44に対応する病名を特定する(S104)。S104に例示する処理の詳細については後述する。
【0035】
そして、罹患指標算出部40が、S104に例示する処理により特定された病名に基づいて、罹患指標の一例であるe−flagの値を算出する(S105)。e−flagの算出処理の詳細については後述する。
【0036】
そして、罹患指標算出部40が、S101に例示する処理で取得したすべての医療文書情報44について上述の処理を実行したか否かを確認する(S106)。すべての医療文書情報44について上述の処理を実行していない場合は(S106:N)、まだ上述の処理を実行していない医療文書情報44について、罹患指標算出部40は、S102に例示する処理以降の処理を実行する。
【0037】
すべての医療文書情報44について上述の処理を実行している場合は(S106:Y)、罹患指標算出部40が、S101に例示する処理で取得した各医療文書情報44に対応するe−flagの値のうちの最大の値を、処理の対象となる患者の罹患指標であるp−flagの値として算出する(S107)。このようにして、本処理例では、患者が癌に罹患している可能性を表す罹患指標であるp−flagの値が算出される。
【0038】
次に、上述のS104に例示する処理の詳細について、図9に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0039】
まず、文書関係抽出部34が、アクセス履歴情報48及び発注履歴情報50に基づいて、処理の対象となる医療文書情報44に関連付けられる医療文書情報44を少なくとも1つ特定する(S201)。そして、文書関係抽出部34が、S201に例示する処理により特定された医療文書情報44に基づいて、図10に例示する文書関係情報54を生成する(S202)。図10は文書関係情報54のデータ構造の一例を示す図である。本実施形態では、文書関係情報54は、図10に例示するようなグラフ構造の情報であり、各ノード56が医療文書情報44(図10に例示する文書関係情報54では文書識別子と文書種別情報とが示されている)に対応し、各リンク58が医療文書情報44間の参照関係(図10に例示する文書関係情報54では矢印にて表現されている参照関係リンク58aに対応する)又は発注関係(図10に例示する文書関係情報54では丸印に接続された直線により表現されている発注関係リンク58bに対応する)に対応する。
【0040】
文書関係抽出部34は、例えば、アクセス履歴情報48に基づいて、医療文書情報44同士の参照関係を特定する。文書関係抽出部34は、例えば、ある医療文書情報44の新規作成の間に、予め定められた時間(例えば、10分)以上、他の医療文書情報44を閲覧している場合は、これら2つの医療文書情報44同士に参照関係が存在すると特定する。図5に例示するアクセス履歴情報48では、文書識別子が0003である医療文書情報44の新規作成の間に、文書識別子が0001である医療文書情報44を30分閲覧している。この場合は、文書関係抽出部34は、文書識別子が0003である医療文書情報44から文書識別子が0001である医療文書情報44への参照関係が存在すると特定する。図10に例示する参照関係リンク58aでは、参照元のノード56から参照先のノード56へと矢印が伸びている。
【0041】
また、文書関係抽出部34は、例えば、発注履歴情報50に基づいて、医療文書情報44同士の発注関係を特定する。文書関係抽出部34は、例えば、発注履歴情報50に含まれる発注元文書識別子に対応する医療文書情報44から発注履歴情報50に含まれる発注先文書識別子に対応する医療文書情報44への発注関係を特定する。文書関係抽出部34は、例えば、図6に例示する発注履歴情報50に基づいて、文書識別子が0002である医療文書情報44から文書識別子が0003である医療文書情報44への発注関係、及び、文書識別子が0002である医療文書情報44から文書識別子が0004である医療文書情報44への発注関係を特定する。図10に例示する発注関係リンク58bでは、発注先の医療文書情報44側に丸印が付されている。
【0042】
そして、診療履歴情報取得部36が、文書関係情報54において、上述のS102に例示する処理で選択された医療文書情報44に対応するノード56を起点として、そのノード56からのリンク58の数が予め定められた数(例えば、2つ)以内であるノード56に対応する医療文書情報44を特定する(S203)。そして、診療履歴情報取得部36が、各医療文書情報44について、その医療文書情報44に含まれる記録関連時期情報に対応する診療関連時期情報が含まれる診療履歴情報52を少なくとも1つ取得する(S204)。そして、病名特定部38が、公知の辞書データなどに基づいて、それらの診療履歴情報52に含まれる病名情報が示す病名のうち、最も癌の可能性が高い病名を特定する(S205)。このようにして、S102に例示する処理で選択された医療文書情報44に対応する病名が特定される。なお、S205に例示する処理において、病名特定部38が、医療文書情報44に含まれる組織情報が示す文字列(例えば、「胃」)に対応する病名を特定するようにしてもよい。
【0043】
次に、上述のS105に例示する処理の詳細について、図11に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0044】
まず、罹患指標算出部40は、S102に例示する処理において診療判定情報に対応すると判定された検索条件文字列それぞれに関連付けられているk−flagの値のうちの最大の値を特定する(S301)。そして、罹患指標算出部40は、S104に例示する処理において特定された病名に対応するk−flagの値をキーワード情報46に基づいて特定する(S302)。そして、罹患指標算出部40は、S302に例示する処理において特定されたk−flagの値に、予め定められた値γ(0<γ<1)を乗じた値βを算出する(S303)。そして、罹患指標算出部40は、S301に例示する処理で特定された値(k−flagの最大値)に上述の値βを足した値をe−flagの値として算出する(S304)。なお、罹患指標算出部40は、S301に例示する処理で特定された値(k−flagの最大値)が10である場合は、e−flagの値は10と算出する。また、S304に例示する処理により算出される値が10を超える場合は、罹患指標算出部40は、e−flagの値を10とする。例えば、上述のS301に例示する処理で特定される医療文書情報44に対応するk−flagの値が9であり、γの値が0.07であり、上述のS302に例示する処理で特定される、診療履歴情報52に含まれる病名情報に対応するk−flagの値が10である場合には、罹患指標算出部40は、e−flagの値を、9+0.07×10=9.7と算出する。以上のようにして、医療文書情報44に対応する罹患指標であるk−flagの値に基づいて、この医療文書情報44に対応する診療履歴情報52により補正された罹患指標であるe−flagの値が算出される。e−flagの値は、例えば、医療文書情報44に基づいて決定されるk−flagの値を、診療履歴情報52に基づいて補正した値であるといえる。
【0045】
罹患指標出力部42は、本実施形態では、利用からの要求に応じて、癌に罹患している可能性が高い患者について、図12に例示する、癌登録候補者情報60が含まれる癌登録候補者表示画面62をディスプレイなどのUI部16に表示出力する。罹患指標出力部42は、例えば、上述のS101〜S107に例示する処理により算出されたp−flagの値が予め定められた値以上である患者について、図12に例示する癌登録候補者情報60をディスプレイなどのUI部16に表示出力する。癌登録候補者情報60は、患者識別子と、p−flagに対応する診療履歴情報52に含まれる診療関連時期情報と、p−flagの値と、p−flagに対応する診療履歴情報52に含まれる病名情報が示す病名と、を含む癌登録候補者情報60をディスプレイなどのUI部16に表示出力する。このように、罹患指標出力部42は罹患指標を出力する。図12に例示するように、罹患指標出力部42は、p−flagの値が大きい患者から降順に癌登録候補者情報60を表示出力するようにしてもよい。
【0046】
また、罹患指標出力部42は、本実施形態では、利用者からの要求に応じて、癌登録候補者情報60に示されている患者の医療文書情報44の一覧表示画面をディスプレイなどのUI部16に表示出力する。図13は、医療文書情報44の一覧表示画面(医療文書一覧表示画面64)の一例を示す図である。図13に例示するように、罹患指標出力部42は、対応するe−flagの値が予め定められた値以上である医療文書情報44について、その内容をe−flagの値及びその値に対応する文字列が示されたタグ66に関連付けて医療文書一覧表示画面64に表示出力する。なお、罹患指標出力部42は、e−flagの値に応じた色のタグ66を医療文書情報44に付して表示出力するようにしてもよい。また、罹患指標出力部42は、e−flagの値に応じた表示態様(例えば、e−flagの値に応じたフォントや太さや大きさなど)の文字列が示されたタグ66を医療文書情報44に付して表示出力するようにしてもよい。また、罹患指標出力部42は、対応するe−flagの値が予め定められた値よりも小さい医療文書情報44については、医療文書一覧表示画面64に表示出力しない。癌登録候補者情報60や医療文書一覧表示画面64は、具体的には、例えば、癌登録システムへの登録などの場面において活用される。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0048】
例えば、罹患指標算出部40が、医療文書情報44に対応するk−flagが予め定められた値よりも大きい(あるいは、予め定められた値以上)である場合に、その医療文書情報44に含まれる患者識別子を癌登録候補者リストに追加するようにしてもよい。そして、罹患指標出力部42が、癌登録候補者リストに含まれる患者識別子に対応する患者について、癌登録候補者情報60を表示出力するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態を、例えば、情報処理装置10に接続された記憶装置が、医療文書情報記憶部20、キーワード情報記憶部22、アクセス履歴情報記憶部24、発注履歴情報記憶部26、診療履歴情報記憶部28のうちの少なくとも1つを含むよう構成した分散型の情報処理システムに応用してもよい。
【0050】
なお、上記の具体的な数値や文字列は例示であり、これらの数値や文字列には限定されない。
【符号の説明】
【0051】
10 情報処理装置、12 制御部、14 記憶部、16 ユーザインタフェース(UI)部、20 医療文書情報記憶部、22 キーワード情報記憶部、24 アクセス履歴情報記憶部、26 発注履歴情報記憶部、28 診療履歴情報記憶部、30 医療文書情報取得部、32 検索処理実行部、34 文書関係抽出部、36 診療履歴情報取得部、38 病名特定部、40 罹患指標算出部、42 罹患指標出力部、44 医療文書情報、46 キーワード情報、48 アクセス履歴情報、50 発注履歴情報、52 診療履歴情報、54 文書関係情報、56 ノード、58 リンク、58a 参照関係リンク、58b 発注関係リンク、60 癌登録候補者情報、62 癌登録候補者表示画面、64 医療文書一覧表示画面、66 タグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を表す患者情報を含む医療情報が記録された文書情報である少なくとも1つの医療文書情報を取得する医療文書情報取得手段と、
前記各医療文書情報に対応する、前記患者に関する診療履歴を示す少なくとも1つの診療履歴情報を取得する診療履歴情報取得手段と、
前記医療文書情報取得手段が取得する少なくとも1つの医療文書情報、及び、前記診療履歴情報取得手段が取得する少なくとも1つの診療履歴情報に応じた、前記患者が傷病に罹患している程度及び可能性の少なくとも一方を表す指標である罹患指標を出力する罹患指標出力手段と、
を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記医療文書情報取得手段が、前記医療情報の記録に関連する時期を示す記録関連時期情報に関連付けられている前記医療文書情報を取得して、
前記診療履歴情報取得手段が、患者に対する診療に関連する時期を示す診療関連時期情報に関連付けられている前記診療履歴情報であって、関連付けられている診療関連時期情報が、前記医療文書情報取得手段が取得する医療文書情報に関連付けられている記録関連時期情報に対応する前記診療履歴情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記診療履歴情報取得手段が、前記各医療文書情報について、当該医療文書情報に対応する診療履歴情報、及び、当該医療文書情報に関連付けられている他の医療文書情報に対応する診療履歴情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記罹患指標出力手段が、前記医療文書情報に含まれる文字列、及び、前記診療履歴情報に含まれる文字列、の少なくとも一方に基づいて値が決定される前記罹患指標を出力する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記罹患指標出力手段が、前記医療文書情報に基づいて決定される値を、前記診療履歴情報に基づいて補正した前記罹患指標を出力する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記医療文書情報を、当該医療文書情報に対応する前記罹患指標の値に応じた態様で出力する医療文書情報出力手段、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
患者を表す患者情報を含む医療情報が記録された文書情報である少なくとも1つの医療文書情報を取得する医療文書情報取得手段、
前記各医療文書情報に対応する、前記患者に関する診療履歴を示す少なくとも1つの診療履歴情報を取得する診療履歴情報取得手段、
前記医療文書情報取得手段が取得する少なくとも1つの医療文書情報、及び、前記診療履歴情報取得手段が取得する少なくとも1つの診療履歴情報に応じた、前記患者が傷病に罹患している程度及び可能性の少なくとも一方を表す指標である罹患指標を出力する罹患指標出力手段、
としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−44057(P2011−44057A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192818(P2009−192818)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】