説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】複数のポインティングデバイスが接続された情報処理装置において、各ポインティングデバイスの操作に対応する機能をユーザが自由に設定できるようにするとともに、複数のポインティングデバイスが接続された際の操作性を向上させる。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置1によれば、I/Oポート14を介してポインティングデバイスP1又はP2の何れかにより操作信号が入力されると、ユーザ定義設定ファイル135においてポインティングデバイスP1、P2の制御に使用するものとして設定されているユーザ定義ファイルが参照され、当該操作信号が入力されたポートに接続されているポインティングデバイスの、当該入力された操作信号に対応する機能が取得され、取得された機能に対応する処理が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポインティングデバイスの操作に対応する機能をユーザが設定可能な情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のポインティングデバイスを一台のシステムで使用するための技術として、例えば、特許文献1には、複数のポインタ端末が接続されている際に、先に稼動したポインタの移動信号のみを用いて1つの表示画像内のカーソルを制御するマルチポインタシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−292832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、情報処理装置としてノートパソコンが普及しつつあるが、ノートパソコンの場合、サムパッドやスティックポイント等のポインティングデバイスが予め接続されている。これらのポインティングデバイスに加え、更にマウスを接続して使用するユーザも多い。
【0005】
しかしながら、従来、複数のポインティングデバイスを情報処理装置に接続しても、各ポインティングデバイスの操作に対応する機能は固定的であって、自由にユーザが機能を設定することができなかった。また、複数のポインティングデバイスが接続されているため、誤って意図しないポインティングデバイスに触れてしまうことによる誤動作が生じることがあった。更に、複数のポインティングデバイスが接続されていても、固定的な機能のみにしか使用できないため、複数のポインティングデバイスの有効利用を図り、操作性を向上させることができなかった。
【0006】
本発明の課題は、複数のポインティングデバイスが接続された情報処理装置において、各ポインティングデバイスの操作に対応する機能をユーザが自由に設定できるようにするとともに、複数のポインティングデバイスが接続された際の操作性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の情報処理装置は、
複数のポインティングデバイスと、
前記各ポインティングデバイスの操作に対応する機能を設定する設定手段と、
前記設定手段による設定情報を記憶する記憶手段と、
前記複数のポインティングデバイスの何れかにより操作信号が入力された際に、前記記憶手段に記憶された設定情報に基づいて、当該ポインティングデバイスの操作に対して設定されている機能に応じた処理を実行する制御手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記設定手段は、前記各ポインティングデバイスの操作に対応する機能として、当該操作を無効とする設定が可能であり、
前記制御手段は、前記複数のポインティングデバイスの何れかにより操作信号が入力された際に、前記記憶手段を参照し、前記記憶手段において当該操作信号の操作に対応する機能として当該操作を無効とする設定情報が記憶されている場合は、処理の実行を行わないことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記設定手段は、前記各ポインティングデバイスの移動操作に対応する機能として、ホイール動作への変換機能を設定可能であり、
前記制御手段は、前記複数のポインティングデバイスの何れかにより移動操作を示す操作信号が入力された際に、前記記憶手段を参照し、前記記憶手段において当該ポインティングデバイスの移動操作に対応する機能としてホイール動作への変換機能を示す設定情報が記憶されている場合は、当該ポインティングデバイスの移動量をホイールの移動量に変換する処理を実行することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記設定手段は、前記各ポインティングデバイスの押下操作に対応する機能として、左右クリック動作への変換機能を設定可能であり、
前記制御手段は、前記複数のポインティングデバイスの何れかにより押下操作を示す操作信号が入力された際に、前記記憶手段を参照し、前記記憶手段において当該ポインティングデバイスの押下操作に対応する機能として左右クリック動作への変換機能を示す設定情報が記憶されている場合、前記複数のポインティングデバイスのうちの他のポインティングデバイスからの操作信号の入力を待機し、前記他のポインティングデバイスから右クリック操作を示す操作信号が入力されると、右クリック機能に応じた処理を実行することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記設定手段は、前記各ポインティングデバイスの押下操作に対応する機能として、前記各ポインティングデバイスにおける押下位置の座標を仮想デスクトップアプリケーションへ通知する機能を設定可能であり、
前記制御手段は、前記複数のポインティングデバイスの何れかにより押下操作を示す操作信号が入力された際に、前記記憶手段を参照し、前記記憶手段において当該ポインティングデバイスの押下操作に対応する機能として当該ポインティングデバイスにおける押下位置の座標を仮想デスクトップアプリケーションへ通知する機能を示す設定情報が記憶されている場合、当該ポインティングデバイスの押下された位置座標を取得して前記仮想デスクトップアプリケーションへ通知する処理を実行することを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、
コンピュータを、
複数のポインティングデバイスが接続された際に、前記各ポインティングデバイスの操作に対応する機能を設定する設定手段、
前記設定手段による設定情報を記憶する記憶手段、
前記複数のポインティングデバイスの何れかにより操作信号が入力された際に、前記記憶手段に記憶された設定情報に基づいて、当該ポインティングデバイスの操作に対して設定されている機能に応じた処理を実行する制御手段、
として機能させるためのプログラムであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、6に記載の発明によれば、情報処理装置において複数のポインティングデバイスが接続された際に、各ポインティングデバイスの操作に対応する機能をユーザが自由に設定することが可能となり、複数のポインティングデバイスが接続された際の操作性を向上させることが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、情報処理装置に接続された各ポインティングデバイスの操作に対応する機能として、当該操作を無効とする設定が可能であるので、誤操作によるユーザの意図しない誤動作を防止することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、情報処理装置に接続された各ポインティングデバイスの移動操作に対応する機能としてホイール動作への変換機能を設定可能であり、ポインティングデバイスの移動量をホイールの移動量に変換することができるので、ホイール機能のないマウスでホイール機能を実現することが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、情報処理装置に接続された各ポインティングデバイスの押下操作に対応する機能として左右クリック動作への変換機能を設定可能であるので、例えば、タッチパネルの押下操作等の、従来の機能では右クリック機能が実現できなかったポインティングデバイスを用いて、右クリック機能を実現させることが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、ポインティングデバイスの押下操作に対応する機能として、当該ポインティングデバイスの押下位置の座標を仮想デスクトップアプリケーションへ通知する機能を設定可能であるので、例えば、サムパッドの押下操作に対応する機能として、サムパッドの押下位置の座標を仮想デスクトップアプリケーションに通知する機能を設定しておけば、ポインタの移動操作なしで、サムパッドの押下操作のみで迅速に仮想デスクトップの画面を切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る情報処理装置1の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の固定定義ファイル130のデータ格納例を示す図である。
【図3】(a)は、ユーザ定義ファイル131のデータ格納例を示す図、(b)は、ユーザ定義ファイル132のデータ格納例を示す図である。
【図4】(a)は、ユーザ定義ファイル133のデータ格納例を示す図、(b)は、ユーザ定義ファイル134のデータ格納例を示す図である。
【図5】図1のCPU11により実行されるユーザ定義ファイル読込処理を示すフローチャートである。
【図6】図1のCPU11により実行されるポインティングデバイス制御処理を示すフローチャートである。
【図7】(a)は、ポインティングデバイスP1としてサムパッドが接続され、ポインティングデバイスP2としてマウスが接続されている場合の情報処理装置1の外観構成例を示す図、(b)は、(a)におけるサムパッドの誤操作を模式的に示す図である。
【図8】(a)は、ポインティングデバイスP1としてサムパッドが接続され、ポインティングデバイスP2としてマウスが接続されている場合の表示部16、キーボード15、ポインティングデバイスP1、P2を示す図、(b)は、図8(a)のポインティングデバイスP1の移動操作例を模式的に示す図、(c)は、ユーザ定義ファイル132が設定されている場合に(b)の移動操作の結果、表示部16に表示される画面例を示す図である。
【図9】(a)は、ポインティングデバイスP1としてタッチパネルが接続され、ポインティングデバイスP2としてマウスが接続されている場合の表示部16、ポインティングデバイスP1、P2を示す図、(b)はユーザ定義ファイル133が設定されている場合にタッチパネルの押下操作を行ったときの処理結果を示す図、(c)はユーザ定義ファイル133が設定されている場合にタッチパネルの押下操作及びマウスの右クリック操作を行ったときの処理結果を示す図である。
【図10】(a)は、仮想デスクトップ画面の一例を示す図、(b)は、従来の仮想デスクトップ画面の切替操作を模式的に示す図、(c)は、ユーザ定義ファイル134が設定されている場合における仮想デスクトップ画面の切替操作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態における情報処理装置1の機能的構成を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置1は、CPU11、RAM12、記憶部13、I/Oポート14等を備えて構成され、各部はバス17を介して接続されている。I/Oポート14には、マウス、サムパッド、タッチパネル等の複数のポインティングデバイスP1、P2が接続可能となっている。また、I/Oポート14には、キーボード15、CRT(Cathode Ray Tube)又はLCD(Liquid Crystal Display)等により構成された表示部16が接続されている。なお、本実施形態においては、I/Oポート14に接続可能なポインティングデバイスを2個として説明するが、これに限定されない。
【0020】
CPU(Central Processing Unit )11は、記憶部13に記憶されているシステムプログラムを読み出し、RAM12内に形成されたワークエリアに展開し、該システムプログラムに従って情報処理装置1の各装置を制御する。また、CPU11は、記憶部13に記憶されている各種処理プログラム、アプリケーションプログラムを読み出してワークエリアに展開し、読み出されたプログラムとの協働によるソフトウエア処理により、各種処理を実行する。
【0021】
RAM(Random Access Memory)12は、CPU11により実行されるシステムプログラム、各種処理プログラム、アプリケーションプログラム、各処理において処理中のデータ、処理結果などを一時的に格納するワークエリアを形成する。
【0022】
記憶部13は、HDD(Hard Disc Drive)や不揮発性の半導体メモリ等により構成され、CPU11で実行されるシステムプログラム、各種処理プログラム、アプリケーションプログラム、各種データ等を記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU11は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0023】
本実施形態において、記憶部13は、図1に示すように、記憶手段として、固定定義ファイル130、ユーザ定義ファイル131、ユーザ定義ファイル132、ユーザ定義ファイル133、ユーザ定義ファイル134、ユーザ定義設定ファイル135を記憶している。
【0024】
固定定義ファイル130は、図2に示すように、「操作」領域、「機能」領域を有し、ポインティングデバイスの操作を示す情報と、その操作に対応する機能としてデフォルトで定義されている機能を示す情報とを対応付けて記憶する。
【0025】
ここで、右クリック機能とは、実行中のアプリケーションに対し、「右クリック」操作の操作信号が入力されたことを通知する機能である。実行中のアプリケーションでは、当該アプリケーションプログラムにおいて「右クリック」操作の操作信号が入力されたことをトリガとして実行することとして定義されている処理(例えば、実行可能な処理のメニュー表示等)を行う。
また、左クリック機能とは、実行中のアプリケーションに対し、「左クリック」操作の操作信号が入力されたことを通知する機能である。実行中のアプリケーションでは、当該アプリケーションプログラムにおいて「左クリック」操作の操作信号が入力されたことをトリガとして実行することとして定義されている処理(例えば、ポインタの位置決め等)を行う。
また、ホイールUp機能とは、実行中のアプリケーションに対し、入力された「ホイールUp」操作の操作信号に応じたホイールUp移動量を通知する機能である。実行中のアプリケーションでは、当該アプリケーションプログラムにおいてホイールUp移動量に応じて実行することとして定義されている処理(例えば、ホイールUp移動量に応じた画面の上方向へのスクロール等)を行う。
また、ホイールDown機能とは、実行中のアプリケーションに対し、入力された「ホイールDown」操作の操作信号に応じたホイールDown移動量を通知する機能である。実行中のアプリケーションでは、当該アプリケーションプログラムにおいてホイールDown移動量に応じて実行することとして定義されている処理(例えば、ホイールDown移動量に応じた画面の下方向へのスクロール等)を行う。
また、ホイールright機能とは、実行中のアプリケーションに対し、入力された「ホイールright」操作の操作信号に応じたホイールright移動量を通知する機能である。実行中のアプリケーションでは、当該アプリケーションプログラムにおいてホイールright移動量に応じて実行することとして定義されている処理(例えば、ホイールright移動量に応じた画面の右方向へのスクロール等)を行う。
また、ホイールleft機能とは、実行中のアプリケーションに対し、入力された「ホイールleft」操作の操作信号に応じたホイールleft移動量を通知する機能である。実行中のアプリケーションでは、当該アプリケーションプログラムにおいてホイールleft移動量に応じて実行することとして定義されている処理(例えば、ホイールleft移動量に応じた画面の左方向へのスクロール等)を行う。
また、ホイールpush機能とは、実行中のアプリケーションに対し、「ホイールpush」操作の操作信号を通知する機能である。実行中のアプリケーションでは、当該アプリケーションプログラムにおいて「ホイールpush」操作の操作信号が入力されたことをトリガとして実行することとして定義されている処理を行う。
また、移動機能とは、実行中のアプリケーションに対し、入力された「移動」操作の操作信号に応じたポインティングデバイスの移動量を通知する機能である。実行中のアプリケーションでは、当該アプリケーションプログラムにおいて、ポインティングデバイスの移動量に応じて実行することとして定義されている処理(例えば、ポインティングデバイスの移動量に応じたポインタの移動等)を行う。
【0026】
なお、ポインティングデバイスが表示部16に備えられたタッチパネル又はサムパドの場合、それらの押下操作は、左クリック操作として検出される。
【0027】
ユーザ定義ファイル131〜134は、図3(a)(b)、図4(a)(b)に示すように、「ポインティングデバイスNO.」領域、「操作」領域、「機能」領域を有し、I/Oポート14を介して接続されたポインティングデバイスを識別するためのポインティングNO.(ここでは、P1、P2とする)毎に、ポインティングデバイスの操作を示す情報と、その操作に対応する機能としてユーザにより設定された機能を示す情報とを対応付けて記憶する。
【0028】
ユーザ定義ファイルは、設定手段により設定された、即ち、表示部16の表示画面に表示されるユーザ定義設定画面(図示せず)上におけるユーザによるキーボード15やポインティングデバイスP1、P2の操作により設定された、ポインティングデバイスP1、P2の操作に対応する機能を示す設定情報を格納するファイルである。なお、ユーザ定義設定画面においては、ポインティングデバイスP1、P2における各操作に対し、設定可能な機能を候補として表示し、その中からユーザが選択するように構成することが好ましい。本実施形態においては、ポインティングデバイスP1、P2の各操作に対応して、「左クリック機能」、「右クリック機能」、「ホイールUp機能」、「ホイールDown機能」、「ホイールright機能」、「ホイールleft機能」、「移動機能」を選択可能な他、移動操作に対しては、「ホイール動作への変換機能」を選択することができ、左クリック操作に対しては、「左右クリック動作への変換機能」及び「仮想デスクトップAPへの通知機能」を選択することが可能である。各機能については、詳細を後述する。更に、各操作に対し、各操作を無効とし処理を実行しないことを選択することも可能である。
なお、本実施形態では、4つのユーザ定義ファイル131〜134がすでに記憶部13に記憶されていることとしているが、新たにユーザ定義設定画面から設定を行い、新たなユーザ定義ファイルを記憶することも可能である。
【0029】
ユーザ定義設定ファイル135は、記憶部13に記憶されているユーザ定義ファイル(ここでは、ユーザ定義ファイル131〜134)のうち、実際にポインティングデバイスを制御する際に使用するユーザ定義ファイル名を格納する。具体的には、表示部16の表示画面に表示される図示しないユーザ定義ファイル設定画面において、記憶部13に記憶されているユーザ定義ファイル(ここでは、ユーザ定義ファイル131〜134)の一覧が表示され、この一覧からユーザによるキーボード15やポインティングデバイスP1、P2の操作により指定されたユーザ定義ファイルのファイル名がユーザ定義設定ファイル135に記憶される。なお、本実施形態において、ユーザ定義ファイル131のファイル名は「ポインティングデバイスP1無視」、ユーザ定義ファイル132のファイル名は「Tilt Wheelマウスエミュレート」、ユーザ定義ファイル133のファイル名は「タッチパネルでのクリック」、ユーザ定義ファイル134のファイル名は「仮想デスクトップ」であることとする。
【0030】
図1に戻り、I/Oポート14は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、PS/2等の規格に準じた入出力ポートであり、周辺機器(以下、デバイスという)をCPU11に接続し、CPU11とデバイスとの間のデータ送受信を制御する。I/Oポート14は、1以上のコントローラ及びコントローラにより制御される複数のポートを含む。I/Oポート14内のコントローラは、当該コントローラ制御下の何れかのポートにデバイスが接続されると、固有のポートアドレスを割り当てることによりデバイスを識別するとともに、接続されたデバイスの製品情報(ベンダID、プロダクトID、製造番号等)を取得し、接続されたデバイスの種類等を判別する。
【0031】
本実施形態において、I/Oポート14には、キーボード15、表示部16が接続されている。また、I/Oポート14には、ポインティングデバイスP1、P2が接続可能となっている。
【0032】
なお、CPU11は、I/Oポート14のコントローラにより、接続されたデバイスにポートアドレスが割り当てられ、接続されたデバイスの製品情報等が取得されると、コントローラ毎に、各ポートアドレスに接続されたデバイスの情報(製品情報等)をポートアドレスに対応付けて記憶部13に記憶する。また、ポインティングデバイスが接続された場合には、ポインティングデバイスNO.(P1又はP2)を付与し、ポインティングデバイスNO.及び製品情報をポートアドレスに対応付けて記憶部13に記憶する。
【0033】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図5は、CPU11により実行されるユーザ定義ファイル読込処理を示すフローチャートである。当該処理は、情報処理装置1が起動された際に、CPU11と記憶部13に記憶されているユーザ定義ファイル読込処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。
【0034】
まず、ユーザ定義設定ファイル135がRAM12に読み込まれる(ステップS1)。次いで、読み込まれたユーザ定義設定ファイル135の内容が判別され、判別の結果、ユーザ定義設定ファイル135の内容がファイル名「ポインティングデバイスP1無視」であると判別されると(ステップS2;YES)、ファイル名「ポインティングデバイスP1無視」のユーザ定義ファイル、即ち、ユーザ定義ファイル131がRAM12に読み込まれ(ステップS3)、本処理は終了する。読み込まれたユーザ定義設定ファイル135の内容がファイル名「ポインティングデバイスP1無視」ではないと判別されると(ステップS2;NO)、処理はステップS4へ移行する。
【0035】
ステップS4において、読み込まれたユーザ定義設定ファイル135の内容がファイル名「Tilt Wheelマウスエミュレート」であると判別されると(ステップS4;YES)、ファイル名「Tilt Wheelマウスエミュレート」のユーザ定義ファイル、即ち、ユーザ定義ファイル132がRAM12に読み込まれ(ステップS5)、本処理は終了する。読み込まれたユーザ定義設定ファイル135の内容がファイル名「Tilt Wheelマウスエミュレート」ではないと判別されると(ステップS4;NO)、処理はステップS6へ移行する。
【0036】
ステップS6において、読み込まれたユーザ定義設定ファイル135の内容がファイル名「タッチパネルでのクリック」であると判別されると(ステップS6;YES)、ファイル名「タッチパネルでのクリック」のユーザ定義ファイル、即ち、ユーザ定義ファイル133がRAM12に読み込まれ(ステップS7)、本処理は終了する。読み込まれたユーザ定義設定ファイル135の内容がファイル名「タッチパネルでのクリック」ではないと判別されると(ステップS6;NO)、処理はステップS8へ移行する。
【0037】
ステップS8においては、ファイル名「仮想デスクトップ」のユーザ定義ファイル、即ち、ユーザ定義ファイル134がRAM12に読み込まれ(ステップS8)、本処理は終了する。
【0038】
図6は、CPU11により実行されるポインティングデバイス制御処理を示すフローチャートである。当該処理は、アプリケーションの実行中に、I/Oポート14においてポインティングデバイス(P1又はP2)からの操作信号が入力され、ポインティングデバイスによる入力割り込みが発生した際に、CPU11と記憶部13に記憶されているポインティングデバイス制御処理プログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現される処理である。当該処理の実行により、制御手段が実現される。
【0039】
I/Oポート14に接続されたポインティングデバイス(P1又はP2)による入力割り込みが発生すると、I/Oポート14に接続されているポインティングデバイスの数が判断され、I/Oポート14に接続されているポインティングデバイスの数が2個であると判断されると(ステップS21;2個)、操作信号が入力されたポートのポートアドレスが判別され(ステップS22)、図5のユーザ定義ファイル読込処理においてRAM12に読み出されたユーザ定義ファイル(ユーザ定義ファイル131〜134の何れか)が参照され、当該ファイルから、当該判別されたポートアドレスのポートに接続されたポインティングデバイスにおける、入力された操作信号に対応する機能が取得される(ステップS23)。
【0040】
判別されたポートアドレスのポートを介して入力された操作信号が移動操作を示す操作信号であり、ステップS23において取得された機能が、「ホイール動作への変換」である場合(ステップS24;YES)、入力された操作信号に基づき検出されるポインティングデバイスの横方向(表示部16の画面に対して横方向)の移動量がホイールの左右移動量に変換され、実行中のアプリケーションに通知される(ステップS25)。また、入力された操作信号に基づき検出されるポインティングデバイスの縦方向の移動量がホイールの上下移動量に変換され、実行中のアプリケーションに通知され(ステップS26)、本処理は終了し、割り込み前の処理に戻る。
【0041】
ポインティングデバイスの横方向の移動量とホイールの左右移動量の変換は、下記の(式1)により行われる。
(式1)
ホイールの左右移動量=ポインティングデバイスの横方向の移動量×変換係数α
なお、変換係数αは、ユーザが任意に設定することが可能である。
ポインティングデバイスの縦方向の移動量とホイールの上下移動量の変換は、下記の(式2)により行われる。
(式2)
ホイールの上下移動量=ポインティングデバイスの縦方向の移動量×変換係数β
なお、変換係数βは、ユーザが任意に設定することが可能である。
【0042】
ステップS23において取得された機能が、「ホイール動作への変換」ではなく(ステップS24;NO)、「左右クリック動作への変換」である場合(ステップS27;YES)、I/Oポート14を介して他のポインティングデバイスによる右クリックの操作信号の入力が待機され、所定時間内に他のポインティングデバイスから右クリックの操作信号が入力されると(ステップS28;YES)、実行中のアプリケーションに、「右クリック」操作の操作信号が入力されたことが通知される(ステップS29)。所定時間内に右クリック操作の操作信号が入力されなければ(ステップS28;NO)、実行中のアプリケーションに、「左クリック」操作の操作信号が入力されたことが通知され(ステップS30)、本処理は終了し、割り込み前の処理に戻る。
【0043】
ステップS23において取得された機能が、「ホイール動作への変換」でも「左右クリック動作への変換」でもなく(ステップS27;NO)、「仮想デスクトップAP(アプリケーション)への通知」である場合(ステップS31;YES)、サムパッドの押下操作(タップ)された位置の座標が取得され(ステップS32)、取得された位置座標が仮想デスクトップAPへ通知され(ステップS33)、本処理は終了し、割り込み前の処理に戻る。
【0044】
ステップS23において取得された機能が、「ホイール動作への変換」、「左右クリック動作への変換」、「仮想デスクトップAPへの通知」の何れでもなく、「なし」である場合(ステップS34;YES)、本処理は終了し、割り込み前の処理に戻る。
【0045】
ステップS23において取得された機能が、「ホイール動作への変換」、「左右クリック動作への変換」、「仮想デスクトップAPへの通知」の何れでもなく、「なし」でもない場合(ステップS34;NO)、取得された機能に対応する処理が実行され(ステップS35)、本処理は終了し、割り込み前の処理に戻る。
【0046】
一方、ステップS21において、I/Oポート14に接続されているポインティングデバイスの数が1個であると判断されると(ステップS21;1個)、固定定義ファイル130がRAM12に読み出され、固定定義ファイル130において、入力された操作信号に対応付けられている機能に対応する処理が実行され(ステップS36)、本処理は終了する。
【0047】
例えば、I/Oポート14にポインティングデバイスP1としてサムパッドが接続され、ポインティングデバイスP2としてマウスが接続されている場合、ユーザ定義設定ファイル135にファイル名「ポインティングデバイスP1無視」を設定しておけば、即ち、図3(a)に示すユーザ定義ファイル131を設定しておけば、マウスP2やキーボード15の操作中に誤ってサムパッドP1に触れてしまって押下(タップ)されても、この操作に対応する機能は「なし」であるので、この操作に応じて処理は実行されず、ユーザの意図しない誤動作を防止することが可能となる。例えば、情報処理装置1が図7(a)に示すような、予めサムパッドP1が内蔵されているノートPCであり、サムパッドが使いづらくマウスP2を外部接続して使用している場合には、図7(b)に示すような、誤ってポインティングデバイスP1に触れてしまうという誤操作が生じる可能性が大きいので有効である。
【0048】
また、図8(a)に示すように、I/Oポート14のポインティングデバイスP1としてサムパッド(又は、マウス)が接続され、ポインティングデバイスP2としてマウスが接続されている場合、ユーザ定義設定ファイル135にファイル名「Tilt Wheelマウスエミュレート」を設定しておけば、即ち、図3(b)に示すユーザ定義ファイル132を設定しておけば、図8(b)に示すような、ポインティングデバイスP1であるサムパッド上の移動操作(又は、マウスの移動操作)で、Tilt Wheelマウスにより上下左右のホイール操作を行ったのと同様に、画面のスクロール等が可能となる(図8(c)参照)。更に、Tilt Wheelマウスでは、構造上斜め方向へのホイール操作は正確にすることはできないが、サムパッド上における斜め方向への移動は正確に検出できるので、斜め方向への画面スクロールも正確に行うことが可能となる。
【0049】
また、図9(a)に示すように、表示部16にタッチパネルが重畳されており、I/Oポート14にポインティングデバイスP1としてタッチパネルが接続され、ポインティングデバイスP2としてマウスが接続されている場合、ユーザ定義設定ファイル135にファイル名「左右クリック動作への変換」を設定しておけば、即ち、図4(a)に示すユーザ定義ファイル133を設定しておけば、タッチパネルを使用している場合においても、右クリック機能を実現することが可能となる。例えば、図9(b)に示すように、表示部16の画面上の操作ボタンが押下操作(P1による左クリック操作)された後、所定時間以内にマウスP2の操作を行わなければ、実行中のアプリケーションプログラムにおいて、押下された位置座標の左クリック操作信号の入力をトリガとして実行することとして定義されている処理が実行される。図9(c)に示すように、タッチパネルが重畳された表示部16の画面上の操作ボタンが押下(P1による左クリック)された後、マウスP2の右クリック操作を行えば、実行中のアプリケーションプログラムにおいて、押下された位置座標の右クリック操作信号の入力をトリガとして実行することとして定義されている処理が実行される。このように、タッチパネルP1を接続した構成であっても、右クリック機能を実現し、右クリック操作信号の入力に対して定義されている処理をアプリケーション側に実行させることが可能となる。
【0050】
また、I/Oポート14にポインティングデバイスP1としてサムパッドが接続され、ポインティングデバイスP2としてマウスが接続され、仮想デスクトップAPが起動されている場合、ユーザ定義設定ファイル135にファイル名「仮想デスクトップAPへの通知」を設定しておけば、即ち、図4(b)に示すユーザ定義ファイル134を設定しておけば、ポインティングデバイスP1であるサムパッド上の押下操作(左クリック操作)のみで、画面切り替えが可能となる。
【0051】
図10(a)は、仮想デスクトップAPを起動している場合の表示部16の画面例を示す図である。ここでは、4つの仮想デスクトップ画面が存在する場合を例に示している。図10(a)に示すように、仮想デスクトップ画面は、デスクトップ画面切替エリア16aを有しており、このデスクトップ画面切替エリア16aにおいては、従来、マウス等の左クリック操作された番号に対応する画面に切り替えられる。例えば、図10(a)に示す画面において、従来のように、マウスの左クリック操作により画面をPAGE1からPAGE4に切り替えたい場合、図10(b)に示すように、ユーザは、マウスを移動させて画面上のポインタA1をデスクトップ画面切替エリア16aの4番アイコンに移動させてから左クリック操作を行わなければならなかったが、ユーザ定義ファイル134を設定しておけば、図10(c)に示すように、サムパッドP1の対応する位置を押下するだけで、迅速に所望の画面への切り替えを行うことが可能となる。
【0052】
以上説明したように、情報処理装置1によれば、ユーザにより複数のポインティングデバイスP1、P2の各ポインティングデバイスの操作に対応する機能が設定されると、その設定情報がユーザ定義ファイルとして記憶部13に記憶される。複数のユーザ定義ファイルが記憶されている場合、ポインティングデバイスの制御に使用するユーザ定義ファイルが設定されると、そのファイル名がユーザ定義設定ファイル135に記憶される。情報処理装置1の起動時には、ユーザ定義設定ファイル135に記憶されたファイル名のユーザ定義ファイルがRAM12に読み込まれ、I/Oポート14を介してポインティングデバイスP1、P2の何れかにより操作信号が入力されると、読み込まれたユーザ定義ファイルが参照され、当該操作信号が入力されたポートに接続されているポインティングデバイスの当該入力された操作信号に対応する機能が取得され、取得された機能に対応する処理が実行される。
【0053】
従って、各ポインティングデバイスの操作に対応する機能をユーザが自由に設定することが可能となり、複数のポインティングデバイスが接続された際の操作性を向上させることが可能となる。
【0054】
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明に係る情報処理装置1の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0055】
例えば、ポインティングデバイスとしては、マウス、サムパッド、タッチパネル、スティックポイント等を例にとり説明したが、トラックボール等、他のポインティングデバイスであってもよい。
【0056】
また、上記実施形態においては、2個のポインティングデバイスが接続可能である場合を例にとり説明したが、3個以上のポインティングデバイスが接続可能な場合であっても、ユーザ定義ファイルで各ポインティングデバイスの操作に応じた機能を設定すれば対応可能である。
【0057】
その他、情報処理装置1の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 情報処理装置
11 CPU
12 RAM
13 記憶部
130 固定定義ファイル
131、132、133、134 ユーザ定義ファイル
135 ユーザ定義設定ファイル
14 I/Oポート
15 キーボード
16 表示部
17 バス
P1、P2 ポインティングデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポインティングデバイスと、
前記各ポインティングデバイスの操作に対応する機能を設定する設定手段と、
前記設定手段による設定情報を記憶する記憶手段と、
前記複数のポインティングデバイスの何れかにより操作信号が入力された際に、前記記憶手段に記憶された設定情報に基づいて、当該ポインティングデバイスの操作に対して設定されている機能に応じた処理を実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記各ポインティングデバイスの操作に対応する機能として、当該操作を無効とする設定が可能であり、
前記制御手段は、前記複数のポインティングデバイスの何れかにより操作信号が入力された際に、前記記憶手段を参照し、前記記憶手段において当該操作信号の操作に対応する機能として当該操作を無効とする設定情報が記憶されている場合は、処理の実行を行わないことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記各ポインティングデバイスの移動操作に対応する機能として、ホイール動作への変換機能を設定可能であり、
前記制御手段は、前記複数のポインティングデバイスの何れかにより移動操作を示す操作信号が入力された際に、前記記憶手段を参照し、前記記憶手段において当該ポインティングデバイスの移動操作に対応する機能としてホイール動作への変換機能を示す設定情報が記憶されている場合は、当該ポインティングデバイスの移動量をホイールの移動量に変換する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記各ポインティングデバイスの押下操作に対応する機能として、左右クリック動作への変換機能を設定可能であり、
前記制御手段は、前記複数のポインティングデバイスの何れかにより押下操作を示す操作信号が入力された際に、前記記憶手段を参照し、前記記憶手段において当該ポインティングデバイスの押下操作に対応する機能として左右クリック動作への変換機能を示す設定情報が記憶されている場合、前記複数のポインティングデバイスのうちの他のポインティングデバイスからの操作信号の入力を待機し、前記他のポインティングデバイスから右クリック操作を示す操作信号が入力されると、右クリック機能に応じた処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記各ポインティングデバイスの押下操作に対応する機能として、前記各ポインティングデバイスにおける押下位置の座標を仮想デスクトップアプリケーションへ通知する機能を設定可能であり、
前記制御手段は、前記複数のポインティングデバイスの何れかにより押下操作を示す操作信号が入力された際に、前記記憶手段を参照し、前記記憶手段において当該ポインティングデバイスの押下操作に対応する機能として当該ポインティングデバイスにおける押下位置の座標を仮想デスクトップアプリケーションへ通知する機能を示す設定情報が記憶されている場合、当該ポインティングデバイスの押下された位置座標を取得して前記仮想デスクトップアプリケーションへ通知する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
複数のポインティングデバイスが接続された際に、前記各ポインティングデバイスの操作に対応する機能を設定する設定手段、
前記設定手段による設定情報を記憶する記憶手段、
前記複数のポインティングデバイスの何れかにより操作信号が入力された際に、前記記憶手段に記憶された設定情報に基づいて、当該ポインティングデバイスの操作に対して設定されている機能に応じた処理を実行する制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−99137(P2012−99137A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2746(P2012−2746)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2006−58113(P2006−58113)の分割
【原出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】