情報処理装置及びプログラム
【課題】複数の対象物がある場合であっても識別処理にかかる負担を低減することが可能な情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態の情報処理装置は、取込手段と、検出手段と、選択手段と、表示制御手段と、商品識別手段とを備える。取込手段は、撮像手段が撮像した画像を取り込む。検出手段は、前記取込手段により取り込まれた画像に含まれる対象物の全部または一部を検出する。選択手段は、前記検出手段が複数の対象物を検出した場合に、いずれか1つの対象物を選択する。表示制御手段は、前記取込手段により取り込まれた画像上に、前記選択手段により選択された対象物が複数の対象物のうちいずれの対象物であるかを表示する。商品識別手段は、前記選択手段が選択した対象物の全部または一部の画像と、各商品の基準画像とがどの程度類似しているかを示す類似度に基づいて、前記撮像手段によって撮像された商品を識別する。
【解決手段】実施形態の情報処理装置は、取込手段と、検出手段と、選択手段と、表示制御手段と、商品識別手段とを備える。取込手段は、撮像手段が撮像した画像を取り込む。検出手段は、前記取込手段により取り込まれた画像に含まれる対象物の全部または一部を検出する。選択手段は、前記検出手段が複数の対象物を検出した場合に、いずれか1つの対象物を選択する。表示制御手段は、前記取込手段により取り込まれた画像上に、前記選択手段により選択された対象物が複数の対象物のうちいずれの対象物であるかを表示する。商品識別手段は、前記選択手段が選択した対象物の全部または一部の画像と、各商品の基準画像とがどの程度類似しているかを示す類似度に基づいて、前記撮像手段によって撮像された商品を識別する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を撮像した画像データから当該対象物の特徴量を抽出し、予め用意された照合用のデータ(特徴量)と比較することで、当該物品の種別等を認識(検出)する一般物体認識に係る技術が存在している。また、この一般物体認識に係る技術を、青果品等の商品の識別に用いて、識別された商品を売上登録する店舗システムが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら従来技術においては、画像データにおいて複数の対象物が検出された場合に、識別処理にかかる負担が大きいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態の情報処理装置は、取込手段と、検出手段と、選択手段と、表示制御手段と、商品識別手段とを備える。取込手段は、撮像手段が撮像した画像を取り込む。検出手段は、前記取込手段により取り込まれた画像に含まれる対象物の全部または一部を検出する。選択手段は、前記検出手段が複数の対象物を検出した場合に、いずれか1つの対象物を選択する。表示制御手段は、前記取込手段により取り込まれた画像上に、前記選択手段により選択された対象物が複数の対象物のうちいずれの対象物であるかを表示する。商品識別手段は、前記選択手段が選択した対象物の全部または一部の画像と、各商品の基準画像とがどの程度類似しているかを示す類似度に基づいて、前記撮像手段によって撮像された商品を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、本実施形態に係るチェックアウトシステム(店舗システム)の一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、POS端末及び商品読取装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、PLUファイルのデータ構成を例示する概念図である。
【図4】図4は、POS端末及び商品読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、画像取込部によって取り込まれたフレーム画像の一例を示す図である。
【図6】図6は、画像領域の頂点の位置に基づいて1つの画像領域を選択する方法を説明する図である。
【図7】図7は、画像領域の重心の位置に基づいて1つの画像領域を選択する方法を説明する図である。
【図8】図8は、選択された画像領域が表示された表示画面の一例を示す図である。
【図9】図9は、選択された画像領域が表示された表示画面のその他の例を示す図である。
【図10】図10は、選択された画像領域を異なる輝度で表示した場合の画面例を示す図である。
【図11】図11は、チェックアウトシステムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、チェックアウトシステム1の一例を示す斜視図である。図1に示すように、チェックアウトシステム1は、商品に関する情報を読み取る商品読取装置101と、一取引に係る商品の登録、精算を行うPOS端末11とを備える。以下では、商品読取装置101を本実施形態にかかる情報処理装置として適用する例について説明する。尚、以下では、複数の図面に示される同様の構成については同一の符号を付して示し、その重複する説明を省略する場合がある。
【0007】
POS端末11は、チェックアウト台41上のドロワ21上面に載置されている。ドロワ21は、POS端末11によって開放動作の制御を受ける。POS端末11の上面には、オペレータ(店員)によって押下操作されるキーボード22が配置されている。キーボード22を操作するオペレータから見てキーボード22よりも奥側には、オペレータに向けて情報を表示する表示デバイス23が設けられている。表示デバイス23は、その表示面23aに情報を表示する。表示面23aには、タッチパネル26が積層されている。表示デバイス23よりもさらに奥側には、顧客用表示デバイス24が回転可能に立設されている。顧客用表示デバイス24は、その表示面24aに情報を表示する。なお、図1に示す顧客用表示デバイス24は、表示面24aを図1中手前側に向けているが、表示面24aが図1中奥側に向くように顧客用表示デバイス24を回転させることによって、顧客用表示デバイス24は顧客に向けて情報を表示する。
【0008】
POS端末11が載置されているチェックアウト台41とL字を形成するようにして、横長テーブル状のカウンタ台151が配置されている。カウンタ台151の上面には、荷受け面152が形成されている。荷受け面152には、商品Gを収納する買物カゴ153が載置される。買物カゴ153は、顧客によって持ち込まれる第1の買物カゴ153aと、第1の買物カゴ153aから商品読取装置101を挟んだ位置に載置される第2の買物カゴ153bとに分けて考えることができる。なお、買物カゴ153は、いわゆるカゴ形状のものに限るものではなく、トレー等であってもよい。また、買物カゴ153(第2の買物カゴ153b)は、いわゆるカゴ形状のものに限らず、箱状や袋状等であってもよい。
【0009】
カウンタ台151の荷受け面152には、POS端末11とデータ送受信可能に接続された商品読取装置101が設置されている。商品読取装置101は、薄型矩形形状のハウジング102を備える。ハウジング102の正面には読取窓103が配置されている。ハウジング102の上部には、表示・操作部104が取り付けられている。表示・操作部104には、タッチパネル105が表面に積層された表示デバイス106が設けられている。表示デバイス106の右隣にはキーボード107が配設されている。キーボード107の右隣には、図示しないカードリーダのカード読取溝108が設けられている。オペレータから見て表示・操作部104の裏面左奥側には、顧客に情報を提供するための顧客用表示デバイス109が設置されている。
【0010】
このような商品読取装置101は、商品読取部110(図2参照)を備えている。商品読取部110は、読取窓103の奥側に撮像部164(図2参照)を配置している。
【0011】
顧客によって持ち込まれた第1の買物カゴ153aには、一取引に係る商品Gが収納されている。第1の買物カゴ153a内の商品Gは、商品読取装置101を操作するオペレータにより第2の買物カゴ153bに移動される。この移動過程で、商品Gが商品読取装置101の読取窓103に向けられる。この際、読取窓103内に配置された撮像部164(図2参照)は商品Gを撮像する。
【0012】
商品読取装置101では、撮像部164により撮像された画像に含まれる商品Gが、後述するPLUファイルF1(図3参照)に登録されたどの商品に対応するかを指定させるための画面を表示・操作部104に表示し、指定された商品の商品IDをPOS端末11に通知する。POS端末11では、商品読取装置101から通知される商品IDに基づき、当該商品IDに対応する商品の商品分類、商品名、単価等の売上登録に係る情報を、売上マスタファイル(図示しない)等に記録して売上登録を行う。
【0013】
図2は、POS端末11及び商品読取装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末11は、情報処理を実行する情報処理部としてのマイクロコンピュータ60を備える。マイクロコンピュータ60は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU(Central Processing Unit)61に、ROM(Read Only Memory)62とRAM(Random Access Memory)63とがバス接続されて構成されている。
【0014】
POS端末11のCPU61には、前述したドロワ21、キーボード22、表示デバイス23、タッチパネル26、顧客用表示デバイス24がいずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。これらは、CPU61による制御を受ける。
【0015】
キーボード22は、「1」、「2」、「3」…等の数字や「×」という乗算の演算子が上面に表示されているテンキー22d、仮締めキー22e、及び締めキー22fを含む。
【0016】
POS端末11のCPU61には、HDD64(Hard Disk Drive)が接続されている。HDD64には、プログラムや各種ファイルが記憶されている。HDD64に記憶されているプログラムや各種ファイルは、POS端末11の起動時に、その全部又は一部がRAM63にコピーされてCPU61により実行される。HDD64に記憶されているプログラムの一例は、商品販売データ処理用のプログラムPRである。HDD64に記憶されているファイルの一例は、ストアコンピュータSCから配信されて格納されているPLUファイルF1である。
【0017】
PLUファイルF1は、店舗に陳列して販売する商品Gの各々について、商品Gの売上登録にかかる情報と、その商品Gの画像との関連付けが設定された商品ファイルである。
【0018】
図3は、PLUファイルF1のデータ構成を例示する概念図である。図3に示すように、PLUファイルF1は、商品Gごとに、ユニークに割り当てられた商品ID、商品Gが属する商品分類、商品名、単価等の商品に関する情報と、その商品を撮像した商品画像とを、その商品Gの商品情報として格納するファイルである。なお、PLUファイルF1は、後述する接続インターフェース65を介し、商品読取装置101が読み出し可能に構成されている。
【0019】
なお、PLUファイルF1のデータ構成は図3の例に限らず、例えば、商品画像から読み取られる色合いや表面の凹凸状況等特徴量を、各商品について格納する形態としてもよい。
【0020】
図2に戻り、POS端末11のCPU61には、ストアコンピュータSCとデータ通信を実行するための通信インターフェース25が入出力回路(図示せず)を介して接続されている。ストアコンピュータSCは、店舗のバックヤード等に設置されている。ストアコンピュータSCのHDD(図示せず)には、POS端末11に配信されるPLUファイルF1が格納されている。
【0021】
さらに、POS端末11のCPU61には、商品読取装置101との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース65が接続されている。接続インターフェース65には、商品読取装置101が接続されている。また、POS端末11のCPU61には、レシート等に印字を行うプリンタ66が接続されている。POS端末11は、CPU61の制御の下、一取引の取引内容をレシートに印字する。
【0022】
商品読取装置101も、マイクロコンピュータ160を備える。マイクロコンピュータ160は、CPU161にROM162とRAM163とがバス接続されて構成されている。ROM162には、CPU161によって実行されるプログラムが記憶されている。CPU161には、撮像部164、音声出力部165が各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。撮像部164、音声出力部165は、CPU161によって動作が制御される。表示・操作部104は接続インターフェース176を介して、商品読取部110及びPOS端末11に接続されている。表示・操作部104は、商品読取部110のCPU161、POS端末11のCPU61によって動作が制御される。
【0023】
撮像部164は、カラーCCDイメージセンサやカラーCMOSイメージセンサ等であり、CPU161の制御の下で読取窓103からの撮像を行う撮像手段である。例えば撮像部164では30fpsの動画像の撮像を行う。撮像部164が所定のフレームレートで順次撮像したフレーム画像(撮像画像)はRAM163に保存される。
【0024】
音声出力部165は、予め設定された警告音等を発生するための音声回路とスピーカ等である。音声出力部165は、CPU161の制御の下で警告音や音声による報知を行う。
【0025】
さらに、CPU161には、POS端末11の接続インターフェース65に接続して、POS端末11との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース175が接続されている。また、CPU161は、接続インターフェース175を介して、表示・操作部104との間でデータ送受信を行う。
【0026】
次に、CPU161、CPU61がプログラムを実行することで実現されるCPU161、CPU61の機能構成について、図4を参照して説明する。
【0027】
図4は、POS端末11及び商品読取装置101の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、商品読取装置101のCPU161は、ROM162が格納するプログラムを実行することにより、画像取込部51、画像領域検出部52、画像領域選択部53、類似度算出部54、商品候補提示部55、入力受付部56、情報出力部57としての機能を備える。また、同様に、POS端末11のCPU61は、プログラムPRを実行することにより、売上登録部611としての機能を備える。
【0028】
画像取込部51は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164に撮像動作を開始させる。撮像部164は、撮像部164の読取領域に対するフレーム画像R(図5参照)を撮像し、RAM163に格納する。画像取込部51は、RAM163に保存された順に従ってフレーム画像を順次取り込む。
【0029】
図5は、画像取込部51によって取り込まれたフレーム画像Rの一例を示す図である。図5に示すように、オペレータが読取窓103に商品をかざすと、撮像部164の読取領域には撮像対象物である商品の全部または一部が撮影される。図5では、対象物として2つの商品G1、G2(特に限定しない場合には商品Gという)が撮影された場合を示している。尚、例えばオペレータの手などの商品以外の対象物が撮影された場合には、フレーム画像Rに当該対象物の全部または一部が含まれる。
【0030】
画像領域検出部52は、画像取込部51により取り込まれたフレーム画像Rに含まれる対象物の全部または一部を検出(抽出)する。より詳細には、画像領域検出部52は、フレーム画像Rに含まれる商品Gの全部または一部を含む画像領域を、パターンマッチング技術等を用いて検出する。具体的には、取り込まれたフレーム画像を2値化した画像から輪郭線等を抽出する。次いで、前回のフレーム画像から抽出された輪郭線と、今回のフレーム画像から抽出された輪郭線とを比較して、対象物が含まれる画像領域を検出する。
【0031】
図5の例では、画像領域検出部52は、商品G1を含む画像領域A1と、商品G2を含む画像領域A2とを検出する。尚、画像領域の形状は特に限定されるものではなく、図5のように矩形であってもよいし、円形状、楕円形状などその他の形状であってもよく、これらが回転した形状であってもよい。
【0032】
画像領域選択部53は、画像領域検出部52が複数の対象物を検出した場合に、いずれか1つの対象物を選択する。より詳細には、画像領域選択部53は、画像領域検出部52によって画像領域が複数検出された場合に、対象物(商品G)の全部または一部を含む画像領域のフレーム画像R内における位置に基づいて、いずれか1つの画像領域を選択する。
【0033】
図6は、本実施形態において、画像領域の頂点の位置に基づいて1つの画像領域を選択する方法を説明する図である。画像領域選択部53は、各画像領域A1、A2の左上隅の頂点P1、P2と、フレーム画像Rの左上の頂点Pとの距離が最も近い画像領域を1つ選択する。一例として、画像領域選択部53は、頂点Pと頂点P1とを結ぶ線分B1の長さと、頂点Pと頂点P2とを結ぶ線分B2の長さとを比較し、長さが短い方の画像領域A1を選択する。
【0034】
尚、上述では、各画像領域A1、A2の左上隅の頂点P1、P2の位置を比較したが、画像領域A1、A2のその他の部分の位置を比較してもよい。その他の例として、画像領域A1、A2の重心の位置同士を比較してもよい。
【0035】
図7は、画像領域の重心の位置に基づいて1つの画像領域を選択する方法を説明する図である。図7では、上述のように商品G1、G2に対する2つの画像領域A1、A2がそれぞれ検出された場合を用いて説明する。画像領域選択部53は、画像領域の重心が、フレーム画像Rの重心Cに最も近い画像領域を1つ選択する。一例として、画像領域選択部53は、画像領域A1の重心C1とフレーム画像Rの重心Cとを結ぶ線分B3の長さと、画像領域A2の重心C2とフレーム画像Rの重心Cとを結ぶ線分B4の長さとを比較して、重心Cに最も近い重心を有する画像領域を1つ選択する。図7の例では、画像領域選択部53は、重心Cと重心C1の距離よりも重心Cと重心C2の距離の方が近いと判定し、重心C2を有する画像領域A2を選択する。
【0036】
尚、上述では、画像領域同士の位置関係を、頂点位置や重心位置に基づいて比較したが、位置関係を比較する際に用いられる各画像領域に対する位置は特に限定されるものではなく、その他の位置を用いて1つの画像領域を選択してもよい。また、上述では画像領域の重心を用いて位置関係を比較したが、画像領域が含む対象物の全部または一部に対して重心を求め、この位置関係を比較するとしてもよい。また、この場合に、画像領域内の輝度や色情報に基づいて対象物の重心を求めるとしてもよい。
【0037】
画像領域選択部53(表示制御手段)は、上述のようにして選択された対象物が複数の対象物のうちいずれの対象物であるかを、枠やマーク等を用いてフレーム画像R上に表示する。即ち画像領域選択部53は、上述のように選択された1つの画像領域を含む枠を表示したり、対象物近傍にマーク等を表示したりして、選択された対象物をオペレータに報知する。
【0038】
図8、図9は、選択された画像領域が表示された表示画面の一例を示す図である。画像領域選択部53は、図6で上述したように商品G1、G2から商品G1が選択された場合には、商品G1の画像領域A1を囲む枠W1を表示することにより、画像識別処理の対象である商品G1をオペレータに報知する。また、画像領域選択部53は、図7で上述したように商品G1、G2から商品G2が選択された場合には、商品G2の画像領域A2を囲む枠W2を表示することにより、画像識別処理の対象である商品G2をオペレータに報知する。
【0039】
尚、枠W1、W2は商品G1または商品G2が唯一に選択されていることが明示されればその形状や表示位置、大きさ、色は特に限定されるものではなく、円形状や楕円形状など、矩形以外の形状の枠を用いてもよい。また、枠の大きさは、選択された画像領域より大きくてもよいし、画像領域よりも小さくてもよい。また、選択された画像領域は、枠以外のもので表示されてもよく、矢印等のマークなどによって選択された画像領域がどこにあるかを表示してもよい。また、選択された画像領域と、それ以外の領域との輝度や色、コントラスト等を変えて、選択された画像領域を示してもよい。さらに、これらを組合わせて表示を行うとしてもよい。
【0040】
図10は、選択された画像領域を異なる輝度で表示した場合の画面例を示す図である。図10に示すように、画像領域選択部53は、選択された画像領域A2と、フレーム画像R内のその他の領域とを異なる輝度で表示し、画像領域A2以外の領域をグレイアウトさせて表示させるとしてもよい。これにより、選択された画像領域A2を際立たせて表示し、選択された領域を視認しやすくすることができる。
【0041】
類似度算出部54は、画像領域選択部53が選択した画像領域に含まれる商品Gの全部または一部の画像から、商品Gの色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を特徴量として読み取る。なお、類似度算出部54は、処理時間の短縮を図るため、商品Gの輪郭や大きさは考慮しないものとする。
【0042】
また、類似度算出部54は、PLUファイルF1に登録された各商品(以下、登録商品という)の商品画像から、当該登録商品の色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を特徴量として読み取り、商品Gの特徴量とそれぞれ比較することで、商品GとPLUファイルF1に登録された商品との類似度を算出する。ここで、類似度は、PLUファイルF1に記憶されている各商品の商品画像を100%=「類似度:1.0」とした場合に、商品Gの全部または一部の画像がどの程度類似しているかを示すものである。なお、例えば、色合いと表面の凹凸状況とでは、重み付けを変えて類似度を算出してもよい。
【0043】
このように画像中に含まれる物体を認識することは一般物体認識(generic object recognition)と呼ばれている。このような一般物体認識については、下記の文献において各種認識技術が解説されている。
柳井 啓司,“一般物体認識の現状と今後”,情報処理学会論文誌,Vol.48,No.SIG16 [平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://mm.cs.uec.ac.jp/IPSJ-TCVIM-Yanai.pdf >
【0044】
また、画像をオブジェクトごとに領域分割することによって一般物体認識を行う技術が、下記の文献において解説されている。
Jamie Shottonら,“Semantic Texton Forests for Image Categorization and Segmentation”,[平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.145.3036&rep=rep1&type=pdf >
【0045】
なお、撮像された商品Gの画像と、PLUファイルF1に登録された登録商品の商品画像との類似度の算出方法は特に問わないものとする。例えば、撮像された商品Gの画像と、PLUファイルF1に登録された各登録商品との類似度を絶対評価として算出してもよいし、相対評価として算出してもよい。
【0046】
類似度を絶対評価として算出する場合、撮像された商品Gの画像と、PLUファイルF1に登録された各登録商品とを1対1で比較し、この比較の結果導出される類似度をそのまま採用すればよい。また、類似度を相対評価として算出する場合、PLUファイルF1に5つの登録商品(商品GA、GB、GC、GD、GE)が登録されていたとすると、撮像された商品Gは、商品GAに対して類似度が0.6、商品GBに対しては類似度が0.1、商品GCに対しては類似度が0.1、商品GDに対しては類似度が0.1、商品GEに対しては類似度が0.1等、各登録商品との類似度の総和が1.0(100%)となるよう算出すればよい。
【0047】
商品候補提示部55は、類似度算出部54が算出した類似度に基づいて、撮像部164が撮像した商品Gの候補(以下、商品候補という)を表示デバイス106に表示させる。より詳細には、商品候補提示部55は、類似度が所定値以上となった登録商品を商品候補とする。そして、この登録商品のイラスト画像および商品名をPLUファイルF1から読み出し、類似度の高いものから、表示デバイス106の表示画面上に順次表示させる。
【0048】
このように、類似度算出部54及び商品候補提示部55は、画像領域選択部53が選択した画像領域に含まれる対象物の画像と、登録商品の商品画像との類似度に基づいて、撮像部164によって撮像された商品を識別する商品識別手段として機能する。
【0049】
図8、図9に示すように、フレーム画像Rの表示領域の隣には商品候補を提示するための商品候補提示領域83が設けられている。商品候補提示領域83には、選択された画像領域に含まれる商品画像と類似度の高い登録商品から順に、その商品候補のイラスト画像または商品名が表示される。
【0050】
即ち、図8では、枠W1で選択されている商品G1の画像と類似度の高い登録商品から順に、その商品候補のイラスト画像G11、G12、G13および各商品名が表示されている。図9では、枠W2で選択されている商品G2の画像と類似度の高い登録商品から順に、その商品候補のイラスト画像G21、G22、G23および各商品名が表示されている。これらイラスト画像G11〜G13(図8参照)、G21〜G23(図9参照)はタッチパネル105に対する選択操作に応じて選択可能に構成されている。また、商品候補提示領域83の下部には、商品リストから商品を選択するための選択ボタン84が設けられており、商品リストから選択された商品は売上登録される商品として処理される。
【0051】
尚、図8、図9では、商品G1、G2の商品候補としてそれぞれ商品候補が3つずつ表示された例を示したが、商品候補の数や表示方法は特に限定されるものではない。また、イラスト画像の代わりに商品画像(写真)が表示されてもよい。
【0052】
入力受付部56は、タッチパネル105またはキーボード107を介して表示デバイス106の表示に対応する各種入力操作を受付ける。また、入力受付部56は、表示デバイス106に表示された商品候補の中からいずれか1つの商品候補に対する選択操作を受付ける。入力受付部56は、選択された登録商品を、商品Gに対応する商品として受付ける。
【0053】
情報出力部57は、入力受付部56が受付けた商品について、その商品を示す情報(例えば、商品IDや商品名、選択された商品画像の画像ファイル名等)を、接続インターフェース175を介してPOS端末11に出力する。
【0054】
尚、情報出力部57は、タッチパネル105又はキーボード107を介して別途入力された販売個数を、商品ID等とともにPOS端末11に出力するとしてもよい。また、情報出力部57がPOS端末11に出力する情報としては、情報出力部57がPLUファイルF1から読み出した商品IDを直接通知してもよいし、商品IDを特定することが可能な商品画像のファイル名や商品名を通知してもよいし、その商品IDの格納場所(PLUファイルF1での格納アドレス)をPOS端末11に通知してもよい。
【0055】
POS端末11の売上登録部611は、情報出力部57から出力された商品IDと販売個数とに基づいて、対応する商品の売上登録を行う。具体的に、売上登録部611は、PLUファイルF1を参照して、通知された商品ID及び当該商品IDに対応する商品分類、商品名、単価等を、販売個数とともに売上マスタファイル等に記録して売上登録を行う。
【0056】
次に、チェックアウトシステム1の動作について詳細に説明する。図11は、チェックアウトシステム1の動作例を示すフローチャートである。
【0057】
先ず、商品読取装置101の動作について説明する。POS端末11による商品登録の開始等に応じて処理が開始されると、画像取込部51は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164による撮像を開始する(ステップS11)。
【0058】
画像取込部51は、撮像部164が撮像してRAM163に保存されたフレーム画像Rを取り込む(ステップS12)。次いで、画像領域検出部52は、画像取込部51が取り込んだフレーム画像Rに含まれる商品Gの全部または一部を含む画像領域を検出する(ステップS13)。
【0059】
画像領域選択部53は、複数の画像領域が検出されたか否かを判定する(ステップS14)。画像領域が1つだけ検出された場合(ステップS14:No)にはステップS17に移行する。画像領域が複数検出された場合(ステップS14:Yes)には、画像領域選択部53は、上述したように画像領域の位置関係に基づいていずれか1つの画像領域を選択する(ステップS15)。また、画像領域選択部53は、フレーム画像R(図9参照)上に、ステップS15で選択された画像領域を囲う枠を表示する(ステップS16)。
【0060】
続いて、類似度算出部54は、ステップS14で画像領域が1つだけ検出されたと判定された場合(ステップS14:No)には、その1つの画像領域に含まれる商品と登録商品との類似度を算出する(ステップS17)。また、類似度算出部54は、ステップS14で画像領域が複数あると判定された場合(ステップS14:Yes)にはステップS15で選択された1つの画像領域に含まれる商品と登録商品との類似度を算出する(ステップS17)。
【0061】
そして、商品候補提示部55は、ステップS17で算出された類似度に基づいて、商品候補となる登録商品の商品画像および商品名を、類似度の高い順にソートして商品候補提示領域83(図9参照)に表示する(ステップS18)。
【0062】
入力受付部56は、登録商品の商品画像に対する選択操作を受付けたか否かを判定する(ステップS19)。選択を受付けない場合(ステップS19:No)にはステップS12に移行する。選択を受付けた場合(ステップS19:Yes)には、入力受付部56は、選択された登録商品を売上登録する商品として判定する。そして、情報出力部57は、ステップS19で選択された登録商品の商品ID等を、キーボード107を介して別途入力された販売個数とともにPOS端末11に出力する(ステップS20)。
【0063】
次に、CPU161は、POS端末11から商品登録の終了通知等による業務終了の有無を判定する(ステップS21)。業務を継続する場合(ステップS21:No)、CPU161は、ステップS12へ処理を戻して処理を継続させる。業務を終了する場合(ステップS21:Yes)、画像取込部51は、撮像部164に撮像オフ信号を出力して撮像部164による撮像を終了し(ステップS22)、処理を終了する。
【0064】
なお、上述のステップS20では、キーボード107を介して販売個数の入力を受付けるとしたが、販売個数の入力方法は特に限定されるものではない。例えば、選択された画像領域にタッチする回数を販売個数として受付けてもよい。
【0065】
次に、POS端末11の動作について説明する。まず、キーボード22の操作指示による商品登録の開始等に応じて処理が開始されると、CPU61は、商品読取装置101がステップS20で出力した、確定商品の商品IDとその販売個数とを受信する(ステップS31)。次いで、売上登録部611は、ステップS31で受信した商品ID及び販売個数に基づいて、PLUファイルF1から商品種別や単価等を読み出し、商品読取装置101で読み取られた商品Gの売上を売上マスタファイル(不図示)に登録する(ステップS32)。続いて、CPU61は、キーボード22の操作指示による売上登録の終了等による業務終了の有無を判定する(ステップS33)。業務を継続する場合(ステップS33:No)、CPU61は、ステップS31へ再び戻り処理を継続させる。業務を終了する場合(ステップS33:Yes)、CPU61は処理を終了する。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。また、上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0067】
例えば、複数の画像領域から1つの画像領域を選択する方法は、上述した例に限定されるものではなく、その他の方法を用いてもよい。一例として、画像領域選択部53は、各画像領域(A1、A2等)における輝度など、画像領域内の画像データを比較することによって、複数の画像領域から1つの画像領域を選択してもよい。また、いずれの比較方法を用いるか、或いはその比較方法に用いられるパラメータ等は、ユーザによって選択可能または変更可能に構成されてもよい。
【0068】
また、上述では、対象物として商品の全部または一部を含む画像領域を検出するとしたが、対象物は商品に限定されるものではない。例えばオペレータの手がその他の対象物として撮像された場合であって、類似度に基づいて対象物が手であると判定された場合に、画像領域選択部53は、手を含む画像領域を除外して、それ以外の画像領域から1つの対象物を選択する形態としてもよい。
【0069】
また、上述した各表示画面の構成は、図8、図9の例に限らず、他の要素を表示するための表示領域や操作ボタンを設ける形態としてよい。
【0070】
また、上記実施形態では、POS端末11がPLUファイルF1を備える形態としたが、これに限らず、商品読取装置101がPLUファイルF1を備える形態としてもよいし、POS端末11及び商品読取装置101がアクセス可能な外部装置がPLUファイルF1を備える形態としてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、商品読取装置101が類似度算出部54の機能を有するとしたが、これに限らず、POS端末11が類似度算出部54の機能を備えて、類似度の算出結果を商品読取装置101に出力する形態としてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、POS端末11と商品読取装置101との2台構成としたが、これに限らず、POS端末11及び商品読取装置101の機能を備えた1台構成の装置としてもよい。
【0073】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0074】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0075】
以上のように、上述した実施形態によれば、フレーム画像に対象物が複数検出された場合に、いずれか1つの対象物を選択し、この対象物に対して商品の識別を行う。従って、複数の対象物が検出された場合でも1つの対象物に絞って識別処理を行うので、識別処理にかかる負担を低減することが可能な情報処理装置およびプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0076】
1…チェックアウトシステム、11…POS端末、101…商品読取装置、51…画像取込部、52…画像領域検出部、53…画像領域選択部、54…類似度算出部、55…商品候補提示部、56…入力受付部、57…情報出力部、611…売上登録部、106…表示デバイス、83…商品候補提示領域、84…選択ボタン、A1、A2…画像領域、B1、B2、B3、B4…線分、C、C1、C2…重心、G、G1、G2…商品、G11〜G13、G21〜G23…イラスト画像、P、P1、P2…頂点、R…フレーム画像、W1、W2…枠
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2003−173369号公報
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を撮像した画像データから当該対象物の特徴量を抽出し、予め用意された照合用のデータ(特徴量)と比較することで、当該物品の種別等を認識(検出)する一般物体認識に係る技術が存在している。また、この一般物体認識に係る技術を、青果品等の商品の識別に用いて、識別された商品を売上登録する店舗システムが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら従来技術においては、画像データにおいて複数の対象物が検出された場合に、識別処理にかかる負担が大きいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態の情報処理装置は、取込手段と、検出手段と、選択手段と、表示制御手段と、商品識別手段とを備える。取込手段は、撮像手段が撮像した画像を取り込む。検出手段は、前記取込手段により取り込まれた画像に含まれる対象物の全部または一部を検出する。選択手段は、前記検出手段が複数の対象物を検出した場合に、いずれか1つの対象物を選択する。表示制御手段は、前記取込手段により取り込まれた画像上に、前記選択手段により選択された対象物が複数の対象物のうちいずれの対象物であるかを表示する。商品識別手段は、前記選択手段が選択した対象物の全部または一部の画像と、各商品の基準画像とがどの程度類似しているかを示す類似度に基づいて、前記撮像手段によって撮像された商品を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、本実施形態に係るチェックアウトシステム(店舗システム)の一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、POS端末及び商品読取装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、PLUファイルのデータ構成を例示する概念図である。
【図4】図4は、POS端末及び商品読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、画像取込部によって取り込まれたフレーム画像の一例を示す図である。
【図6】図6は、画像領域の頂点の位置に基づいて1つの画像領域を選択する方法を説明する図である。
【図7】図7は、画像領域の重心の位置に基づいて1つの画像領域を選択する方法を説明する図である。
【図8】図8は、選択された画像領域が表示された表示画面の一例を示す図である。
【図9】図9は、選択された画像領域が表示された表示画面のその他の例を示す図である。
【図10】図10は、選択された画像領域を異なる輝度で表示した場合の画面例を示す図である。
【図11】図11は、チェックアウトシステムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、チェックアウトシステム1の一例を示す斜視図である。図1に示すように、チェックアウトシステム1は、商品に関する情報を読み取る商品読取装置101と、一取引に係る商品の登録、精算を行うPOS端末11とを備える。以下では、商品読取装置101を本実施形態にかかる情報処理装置として適用する例について説明する。尚、以下では、複数の図面に示される同様の構成については同一の符号を付して示し、その重複する説明を省略する場合がある。
【0007】
POS端末11は、チェックアウト台41上のドロワ21上面に載置されている。ドロワ21は、POS端末11によって開放動作の制御を受ける。POS端末11の上面には、オペレータ(店員)によって押下操作されるキーボード22が配置されている。キーボード22を操作するオペレータから見てキーボード22よりも奥側には、オペレータに向けて情報を表示する表示デバイス23が設けられている。表示デバイス23は、その表示面23aに情報を表示する。表示面23aには、タッチパネル26が積層されている。表示デバイス23よりもさらに奥側には、顧客用表示デバイス24が回転可能に立設されている。顧客用表示デバイス24は、その表示面24aに情報を表示する。なお、図1に示す顧客用表示デバイス24は、表示面24aを図1中手前側に向けているが、表示面24aが図1中奥側に向くように顧客用表示デバイス24を回転させることによって、顧客用表示デバイス24は顧客に向けて情報を表示する。
【0008】
POS端末11が載置されているチェックアウト台41とL字を形成するようにして、横長テーブル状のカウンタ台151が配置されている。カウンタ台151の上面には、荷受け面152が形成されている。荷受け面152には、商品Gを収納する買物カゴ153が載置される。買物カゴ153は、顧客によって持ち込まれる第1の買物カゴ153aと、第1の買物カゴ153aから商品読取装置101を挟んだ位置に載置される第2の買物カゴ153bとに分けて考えることができる。なお、買物カゴ153は、いわゆるカゴ形状のものに限るものではなく、トレー等であってもよい。また、買物カゴ153(第2の買物カゴ153b)は、いわゆるカゴ形状のものに限らず、箱状や袋状等であってもよい。
【0009】
カウンタ台151の荷受け面152には、POS端末11とデータ送受信可能に接続された商品読取装置101が設置されている。商品読取装置101は、薄型矩形形状のハウジング102を備える。ハウジング102の正面には読取窓103が配置されている。ハウジング102の上部には、表示・操作部104が取り付けられている。表示・操作部104には、タッチパネル105が表面に積層された表示デバイス106が設けられている。表示デバイス106の右隣にはキーボード107が配設されている。キーボード107の右隣には、図示しないカードリーダのカード読取溝108が設けられている。オペレータから見て表示・操作部104の裏面左奥側には、顧客に情報を提供するための顧客用表示デバイス109が設置されている。
【0010】
このような商品読取装置101は、商品読取部110(図2参照)を備えている。商品読取部110は、読取窓103の奥側に撮像部164(図2参照)を配置している。
【0011】
顧客によって持ち込まれた第1の買物カゴ153aには、一取引に係る商品Gが収納されている。第1の買物カゴ153a内の商品Gは、商品読取装置101を操作するオペレータにより第2の買物カゴ153bに移動される。この移動過程で、商品Gが商品読取装置101の読取窓103に向けられる。この際、読取窓103内に配置された撮像部164(図2参照)は商品Gを撮像する。
【0012】
商品読取装置101では、撮像部164により撮像された画像に含まれる商品Gが、後述するPLUファイルF1(図3参照)に登録されたどの商品に対応するかを指定させるための画面を表示・操作部104に表示し、指定された商品の商品IDをPOS端末11に通知する。POS端末11では、商品読取装置101から通知される商品IDに基づき、当該商品IDに対応する商品の商品分類、商品名、単価等の売上登録に係る情報を、売上マスタファイル(図示しない)等に記録して売上登録を行う。
【0013】
図2は、POS端末11及び商品読取装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末11は、情報処理を実行する情報処理部としてのマイクロコンピュータ60を備える。マイクロコンピュータ60は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU(Central Processing Unit)61に、ROM(Read Only Memory)62とRAM(Random Access Memory)63とがバス接続されて構成されている。
【0014】
POS端末11のCPU61には、前述したドロワ21、キーボード22、表示デバイス23、タッチパネル26、顧客用表示デバイス24がいずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。これらは、CPU61による制御を受ける。
【0015】
キーボード22は、「1」、「2」、「3」…等の数字や「×」という乗算の演算子が上面に表示されているテンキー22d、仮締めキー22e、及び締めキー22fを含む。
【0016】
POS端末11のCPU61には、HDD64(Hard Disk Drive)が接続されている。HDD64には、プログラムや各種ファイルが記憶されている。HDD64に記憶されているプログラムや各種ファイルは、POS端末11の起動時に、その全部又は一部がRAM63にコピーされてCPU61により実行される。HDD64に記憶されているプログラムの一例は、商品販売データ処理用のプログラムPRである。HDD64に記憶されているファイルの一例は、ストアコンピュータSCから配信されて格納されているPLUファイルF1である。
【0017】
PLUファイルF1は、店舗に陳列して販売する商品Gの各々について、商品Gの売上登録にかかる情報と、その商品Gの画像との関連付けが設定された商品ファイルである。
【0018】
図3は、PLUファイルF1のデータ構成を例示する概念図である。図3に示すように、PLUファイルF1は、商品Gごとに、ユニークに割り当てられた商品ID、商品Gが属する商品分類、商品名、単価等の商品に関する情報と、その商品を撮像した商品画像とを、その商品Gの商品情報として格納するファイルである。なお、PLUファイルF1は、後述する接続インターフェース65を介し、商品読取装置101が読み出し可能に構成されている。
【0019】
なお、PLUファイルF1のデータ構成は図3の例に限らず、例えば、商品画像から読み取られる色合いや表面の凹凸状況等特徴量を、各商品について格納する形態としてもよい。
【0020】
図2に戻り、POS端末11のCPU61には、ストアコンピュータSCとデータ通信を実行するための通信インターフェース25が入出力回路(図示せず)を介して接続されている。ストアコンピュータSCは、店舗のバックヤード等に設置されている。ストアコンピュータSCのHDD(図示せず)には、POS端末11に配信されるPLUファイルF1が格納されている。
【0021】
さらに、POS端末11のCPU61には、商品読取装置101との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース65が接続されている。接続インターフェース65には、商品読取装置101が接続されている。また、POS端末11のCPU61には、レシート等に印字を行うプリンタ66が接続されている。POS端末11は、CPU61の制御の下、一取引の取引内容をレシートに印字する。
【0022】
商品読取装置101も、マイクロコンピュータ160を備える。マイクロコンピュータ160は、CPU161にROM162とRAM163とがバス接続されて構成されている。ROM162には、CPU161によって実行されるプログラムが記憶されている。CPU161には、撮像部164、音声出力部165が各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。撮像部164、音声出力部165は、CPU161によって動作が制御される。表示・操作部104は接続インターフェース176を介して、商品読取部110及びPOS端末11に接続されている。表示・操作部104は、商品読取部110のCPU161、POS端末11のCPU61によって動作が制御される。
【0023】
撮像部164は、カラーCCDイメージセンサやカラーCMOSイメージセンサ等であり、CPU161の制御の下で読取窓103からの撮像を行う撮像手段である。例えば撮像部164では30fpsの動画像の撮像を行う。撮像部164が所定のフレームレートで順次撮像したフレーム画像(撮像画像)はRAM163に保存される。
【0024】
音声出力部165は、予め設定された警告音等を発生するための音声回路とスピーカ等である。音声出力部165は、CPU161の制御の下で警告音や音声による報知を行う。
【0025】
さらに、CPU161には、POS端末11の接続インターフェース65に接続して、POS端末11との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース175が接続されている。また、CPU161は、接続インターフェース175を介して、表示・操作部104との間でデータ送受信を行う。
【0026】
次に、CPU161、CPU61がプログラムを実行することで実現されるCPU161、CPU61の機能構成について、図4を参照して説明する。
【0027】
図4は、POS端末11及び商品読取装置101の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、商品読取装置101のCPU161は、ROM162が格納するプログラムを実行することにより、画像取込部51、画像領域検出部52、画像領域選択部53、類似度算出部54、商品候補提示部55、入力受付部56、情報出力部57としての機能を備える。また、同様に、POS端末11のCPU61は、プログラムPRを実行することにより、売上登録部611としての機能を備える。
【0028】
画像取込部51は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164に撮像動作を開始させる。撮像部164は、撮像部164の読取領域に対するフレーム画像R(図5参照)を撮像し、RAM163に格納する。画像取込部51は、RAM163に保存された順に従ってフレーム画像を順次取り込む。
【0029】
図5は、画像取込部51によって取り込まれたフレーム画像Rの一例を示す図である。図5に示すように、オペレータが読取窓103に商品をかざすと、撮像部164の読取領域には撮像対象物である商品の全部または一部が撮影される。図5では、対象物として2つの商品G1、G2(特に限定しない場合には商品Gという)が撮影された場合を示している。尚、例えばオペレータの手などの商品以外の対象物が撮影された場合には、フレーム画像Rに当該対象物の全部または一部が含まれる。
【0030】
画像領域検出部52は、画像取込部51により取り込まれたフレーム画像Rに含まれる対象物の全部または一部を検出(抽出)する。より詳細には、画像領域検出部52は、フレーム画像Rに含まれる商品Gの全部または一部を含む画像領域を、パターンマッチング技術等を用いて検出する。具体的には、取り込まれたフレーム画像を2値化した画像から輪郭線等を抽出する。次いで、前回のフレーム画像から抽出された輪郭線と、今回のフレーム画像から抽出された輪郭線とを比較して、対象物が含まれる画像領域を検出する。
【0031】
図5の例では、画像領域検出部52は、商品G1を含む画像領域A1と、商品G2を含む画像領域A2とを検出する。尚、画像領域の形状は特に限定されるものではなく、図5のように矩形であってもよいし、円形状、楕円形状などその他の形状であってもよく、これらが回転した形状であってもよい。
【0032】
画像領域選択部53は、画像領域検出部52が複数の対象物を検出した場合に、いずれか1つの対象物を選択する。より詳細には、画像領域選択部53は、画像領域検出部52によって画像領域が複数検出された場合に、対象物(商品G)の全部または一部を含む画像領域のフレーム画像R内における位置に基づいて、いずれか1つの画像領域を選択する。
【0033】
図6は、本実施形態において、画像領域の頂点の位置に基づいて1つの画像領域を選択する方法を説明する図である。画像領域選択部53は、各画像領域A1、A2の左上隅の頂点P1、P2と、フレーム画像Rの左上の頂点Pとの距離が最も近い画像領域を1つ選択する。一例として、画像領域選択部53は、頂点Pと頂点P1とを結ぶ線分B1の長さと、頂点Pと頂点P2とを結ぶ線分B2の長さとを比較し、長さが短い方の画像領域A1を選択する。
【0034】
尚、上述では、各画像領域A1、A2の左上隅の頂点P1、P2の位置を比較したが、画像領域A1、A2のその他の部分の位置を比較してもよい。その他の例として、画像領域A1、A2の重心の位置同士を比較してもよい。
【0035】
図7は、画像領域の重心の位置に基づいて1つの画像領域を選択する方法を説明する図である。図7では、上述のように商品G1、G2に対する2つの画像領域A1、A2がそれぞれ検出された場合を用いて説明する。画像領域選択部53は、画像領域の重心が、フレーム画像Rの重心Cに最も近い画像領域を1つ選択する。一例として、画像領域選択部53は、画像領域A1の重心C1とフレーム画像Rの重心Cとを結ぶ線分B3の長さと、画像領域A2の重心C2とフレーム画像Rの重心Cとを結ぶ線分B4の長さとを比較して、重心Cに最も近い重心を有する画像領域を1つ選択する。図7の例では、画像領域選択部53は、重心Cと重心C1の距離よりも重心Cと重心C2の距離の方が近いと判定し、重心C2を有する画像領域A2を選択する。
【0036】
尚、上述では、画像領域同士の位置関係を、頂点位置や重心位置に基づいて比較したが、位置関係を比較する際に用いられる各画像領域に対する位置は特に限定されるものではなく、その他の位置を用いて1つの画像領域を選択してもよい。また、上述では画像領域の重心を用いて位置関係を比較したが、画像領域が含む対象物の全部または一部に対して重心を求め、この位置関係を比較するとしてもよい。また、この場合に、画像領域内の輝度や色情報に基づいて対象物の重心を求めるとしてもよい。
【0037】
画像領域選択部53(表示制御手段)は、上述のようにして選択された対象物が複数の対象物のうちいずれの対象物であるかを、枠やマーク等を用いてフレーム画像R上に表示する。即ち画像領域選択部53は、上述のように選択された1つの画像領域を含む枠を表示したり、対象物近傍にマーク等を表示したりして、選択された対象物をオペレータに報知する。
【0038】
図8、図9は、選択された画像領域が表示された表示画面の一例を示す図である。画像領域選択部53は、図6で上述したように商品G1、G2から商品G1が選択された場合には、商品G1の画像領域A1を囲む枠W1を表示することにより、画像識別処理の対象である商品G1をオペレータに報知する。また、画像領域選択部53は、図7で上述したように商品G1、G2から商品G2が選択された場合には、商品G2の画像領域A2を囲む枠W2を表示することにより、画像識別処理の対象である商品G2をオペレータに報知する。
【0039】
尚、枠W1、W2は商品G1または商品G2が唯一に選択されていることが明示されればその形状や表示位置、大きさ、色は特に限定されるものではなく、円形状や楕円形状など、矩形以外の形状の枠を用いてもよい。また、枠の大きさは、選択された画像領域より大きくてもよいし、画像領域よりも小さくてもよい。また、選択された画像領域は、枠以外のもので表示されてもよく、矢印等のマークなどによって選択された画像領域がどこにあるかを表示してもよい。また、選択された画像領域と、それ以外の領域との輝度や色、コントラスト等を変えて、選択された画像領域を示してもよい。さらに、これらを組合わせて表示を行うとしてもよい。
【0040】
図10は、選択された画像領域を異なる輝度で表示した場合の画面例を示す図である。図10に示すように、画像領域選択部53は、選択された画像領域A2と、フレーム画像R内のその他の領域とを異なる輝度で表示し、画像領域A2以外の領域をグレイアウトさせて表示させるとしてもよい。これにより、選択された画像領域A2を際立たせて表示し、選択された領域を視認しやすくすることができる。
【0041】
類似度算出部54は、画像領域選択部53が選択した画像領域に含まれる商品Gの全部または一部の画像から、商品Gの色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を特徴量として読み取る。なお、類似度算出部54は、処理時間の短縮を図るため、商品Gの輪郭や大きさは考慮しないものとする。
【0042】
また、類似度算出部54は、PLUファイルF1に登録された各商品(以下、登録商品という)の商品画像から、当該登録商品の色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を特徴量として読み取り、商品Gの特徴量とそれぞれ比較することで、商品GとPLUファイルF1に登録された商品との類似度を算出する。ここで、類似度は、PLUファイルF1に記憶されている各商品の商品画像を100%=「類似度:1.0」とした場合に、商品Gの全部または一部の画像がどの程度類似しているかを示すものである。なお、例えば、色合いと表面の凹凸状況とでは、重み付けを変えて類似度を算出してもよい。
【0043】
このように画像中に含まれる物体を認識することは一般物体認識(generic object recognition)と呼ばれている。このような一般物体認識については、下記の文献において各種認識技術が解説されている。
柳井 啓司,“一般物体認識の現状と今後”,情報処理学会論文誌,Vol.48,No.SIG16 [平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://mm.cs.uec.ac.jp/IPSJ-TCVIM-Yanai.pdf >
【0044】
また、画像をオブジェクトごとに領域分割することによって一般物体認識を行う技術が、下記の文献において解説されている。
Jamie Shottonら,“Semantic Texton Forests for Image Categorization and Segmentation”,[平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.145.3036&rep=rep1&type=pdf >
【0045】
なお、撮像された商品Gの画像と、PLUファイルF1に登録された登録商品の商品画像との類似度の算出方法は特に問わないものとする。例えば、撮像された商品Gの画像と、PLUファイルF1に登録された各登録商品との類似度を絶対評価として算出してもよいし、相対評価として算出してもよい。
【0046】
類似度を絶対評価として算出する場合、撮像された商品Gの画像と、PLUファイルF1に登録された各登録商品とを1対1で比較し、この比較の結果導出される類似度をそのまま採用すればよい。また、類似度を相対評価として算出する場合、PLUファイルF1に5つの登録商品(商品GA、GB、GC、GD、GE)が登録されていたとすると、撮像された商品Gは、商品GAに対して類似度が0.6、商品GBに対しては類似度が0.1、商品GCに対しては類似度が0.1、商品GDに対しては類似度が0.1、商品GEに対しては類似度が0.1等、各登録商品との類似度の総和が1.0(100%)となるよう算出すればよい。
【0047】
商品候補提示部55は、類似度算出部54が算出した類似度に基づいて、撮像部164が撮像した商品Gの候補(以下、商品候補という)を表示デバイス106に表示させる。より詳細には、商品候補提示部55は、類似度が所定値以上となった登録商品を商品候補とする。そして、この登録商品のイラスト画像および商品名をPLUファイルF1から読み出し、類似度の高いものから、表示デバイス106の表示画面上に順次表示させる。
【0048】
このように、類似度算出部54及び商品候補提示部55は、画像領域選択部53が選択した画像領域に含まれる対象物の画像と、登録商品の商品画像との類似度に基づいて、撮像部164によって撮像された商品を識別する商品識別手段として機能する。
【0049】
図8、図9に示すように、フレーム画像Rの表示領域の隣には商品候補を提示するための商品候補提示領域83が設けられている。商品候補提示領域83には、選択された画像領域に含まれる商品画像と類似度の高い登録商品から順に、その商品候補のイラスト画像または商品名が表示される。
【0050】
即ち、図8では、枠W1で選択されている商品G1の画像と類似度の高い登録商品から順に、その商品候補のイラスト画像G11、G12、G13および各商品名が表示されている。図9では、枠W2で選択されている商品G2の画像と類似度の高い登録商品から順に、その商品候補のイラスト画像G21、G22、G23および各商品名が表示されている。これらイラスト画像G11〜G13(図8参照)、G21〜G23(図9参照)はタッチパネル105に対する選択操作に応じて選択可能に構成されている。また、商品候補提示領域83の下部には、商品リストから商品を選択するための選択ボタン84が設けられており、商品リストから選択された商品は売上登録される商品として処理される。
【0051】
尚、図8、図9では、商品G1、G2の商品候補としてそれぞれ商品候補が3つずつ表示された例を示したが、商品候補の数や表示方法は特に限定されるものではない。また、イラスト画像の代わりに商品画像(写真)が表示されてもよい。
【0052】
入力受付部56は、タッチパネル105またはキーボード107を介して表示デバイス106の表示に対応する各種入力操作を受付ける。また、入力受付部56は、表示デバイス106に表示された商品候補の中からいずれか1つの商品候補に対する選択操作を受付ける。入力受付部56は、選択された登録商品を、商品Gに対応する商品として受付ける。
【0053】
情報出力部57は、入力受付部56が受付けた商品について、その商品を示す情報(例えば、商品IDや商品名、選択された商品画像の画像ファイル名等)を、接続インターフェース175を介してPOS端末11に出力する。
【0054】
尚、情報出力部57は、タッチパネル105又はキーボード107を介して別途入力された販売個数を、商品ID等とともにPOS端末11に出力するとしてもよい。また、情報出力部57がPOS端末11に出力する情報としては、情報出力部57がPLUファイルF1から読み出した商品IDを直接通知してもよいし、商品IDを特定することが可能な商品画像のファイル名や商品名を通知してもよいし、その商品IDの格納場所(PLUファイルF1での格納アドレス)をPOS端末11に通知してもよい。
【0055】
POS端末11の売上登録部611は、情報出力部57から出力された商品IDと販売個数とに基づいて、対応する商品の売上登録を行う。具体的に、売上登録部611は、PLUファイルF1を参照して、通知された商品ID及び当該商品IDに対応する商品分類、商品名、単価等を、販売個数とともに売上マスタファイル等に記録して売上登録を行う。
【0056】
次に、チェックアウトシステム1の動作について詳細に説明する。図11は、チェックアウトシステム1の動作例を示すフローチャートである。
【0057】
先ず、商品読取装置101の動作について説明する。POS端末11による商品登録の開始等に応じて処理が開始されると、画像取込部51は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164による撮像を開始する(ステップS11)。
【0058】
画像取込部51は、撮像部164が撮像してRAM163に保存されたフレーム画像Rを取り込む(ステップS12)。次いで、画像領域検出部52は、画像取込部51が取り込んだフレーム画像Rに含まれる商品Gの全部または一部を含む画像領域を検出する(ステップS13)。
【0059】
画像領域選択部53は、複数の画像領域が検出されたか否かを判定する(ステップS14)。画像領域が1つだけ検出された場合(ステップS14:No)にはステップS17に移行する。画像領域が複数検出された場合(ステップS14:Yes)には、画像領域選択部53は、上述したように画像領域の位置関係に基づいていずれか1つの画像領域を選択する(ステップS15)。また、画像領域選択部53は、フレーム画像R(図9参照)上に、ステップS15で選択された画像領域を囲う枠を表示する(ステップS16)。
【0060】
続いて、類似度算出部54は、ステップS14で画像領域が1つだけ検出されたと判定された場合(ステップS14:No)には、その1つの画像領域に含まれる商品と登録商品との類似度を算出する(ステップS17)。また、類似度算出部54は、ステップS14で画像領域が複数あると判定された場合(ステップS14:Yes)にはステップS15で選択された1つの画像領域に含まれる商品と登録商品との類似度を算出する(ステップS17)。
【0061】
そして、商品候補提示部55は、ステップS17で算出された類似度に基づいて、商品候補となる登録商品の商品画像および商品名を、類似度の高い順にソートして商品候補提示領域83(図9参照)に表示する(ステップS18)。
【0062】
入力受付部56は、登録商品の商品画像に対する選択操作を受付けたか否かを判定する(ステップS19)。選択を受付けない場合(ステップS19:No)にはステップS12に移行する。選択を受付けた場合(ステップS19:Yes)には、入力受付部56は、選択された登録商品を売上登録する商品として判定する。そして、情報出力部57は、ステップS19で選択された登録商品の商品ID等を、キーボード107を介して別途入力された販売個数とともにPOS端末11に出力する(ステップS20)。
【0063】
次に、CPU161は、POS端末11から商品登録の終了通知等による業務終了の有無を判定する(ステップS21)。業務を継続する場合(ステップS21:No)、CPU161は、ステップS12へ処理を戻して処理を継続させる。業務を終了する場合(ステップS21:Yes)、画像取込部51は、撮像部164に撮像オフ信号を出力して撮像部164による撮像を終了し(ステップS22)、処理を終了する。
【0064】
なお、上述のステップS20では、キーボード107を介して販売個数の入力を受付けるとしたが、販売個数の入力方法は特に限定されるものではない。例えば、選択された画像領域にタッチする回数を販売個数として受付けてもよい。
【0065】
次に、POS端末11の動作について説明する。まず、キーボード22の操作指示による商品登録の開始等に応じて処理が開始されると、CPU61は、商品読取装置101がステップS20で出力した、確定商品の商品IDとその販売個数とを受信する(ステップS31)。次いで、売上登録部611は、ステップS31で受信した商品ID及び販売個数に基づいて、PLUファイルF1から商品種別や単価等を読み出し、商品読取装置101で読み取られた商品Gの売上を売上マスタファイル(不図示)に登録する(ステップS32)。続いて、CPU61は、キーボード22の操作指示による売上登録の終了等による業務終了の有無を判定する(ステップS33)。業務を継続する場合(ステップS33:No)、CPU61は、ステップS31へ再び戻り処理を継続させる。業務を終了する場合(ステップS33:Yes)、CPU61は処理を終了する。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。また、上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0067】
例えば、複数の画像領域から1つの画像領域を選択する方法は、上述した例に限定されるものではなく、その他の方法を用いてもよい。一例として、画像領域選択部53は、各画像領域(A1、A2等)における輝度など、画像領域内の画像データを比較することによって、複数の画像領域から1つの画像領域を選択してもよい。また、いずれの比較方法を用いるか、或いはその比較方法に用いられるパラメータ等は、ユーザによって選択可能または変更可能に構成されてもよい。
【0068】
また、上述では、対象物として商品の全部または一部を含む画像領域を検出するとしたが、対象物は商品に限定されるものではない。例えばオペレータの手がその他の対象物として撮像された場合であって、類似度に基づいて対象物が手であると判定された場合に、画像領域選択部53は、手を含む画像領域を除外して、それ以外の画像領域から1つの対象物を選択する形態としてもよい。
【0069】
また、上述した各表示画面の構成は、図8、図9の例に限らず、他の要素を表示するための表示領域や操作ボタンを設ける形態としてよい。
【0070】
また、上記実施形態では、POS端末11がPLUファイルF1を備える形態としたが、これに限らず、商品読取装置101がPLUファイルF1を備える形態としてもよいし、POS端末11及び商品読取装置101がアクセス可能な外部装置がPLUファイルF1を備える形態としてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、商品読取装置101が類似度算出部54の機能を有するとしたが、これに限らず、POS端末11が類似度算出部54の機能を備えて、類似度の算出結果を商品読取装置101に出力する形態としてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、POS端末11と商品読取装置101との2台構成としたが、これに限らず、POS端末11及び商品読取装置101の機能を備えた1台構成の装置としてもよい。
【0073】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0074】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0075】
以上のように、上述した実施形態によれば、フレーム画像に対象物が複数検出された場合に、いずれか1つの対象物を選択し、この対象物に対して商品の識別を行う。従って、複数の対象物が検出された場合でも1つの対象物に絞って識別処理を行うので、識別処理にかかる負担を低減することが可能な情報処理装置およびプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0076】
1…チェックアウトシステム、11…POS端末、101…商品読取装置、51…画像取込部、52…画像領域検出部、53…画像領域選択部、54…類似度算出部、55…商品候補提示部、56…入力受付部、57…情報出力部、611…売上登録部、106…表示デバイス、83…商品候補提示領域、84…選択ボタン、A1、A2…画像領域、B1、B2、B3、B4…線分、C、C1、C2…重心、G、G1、G2…商品、G11〜G13、G21〜G23…イラスト画像、P、P1、P2…頂点、R…フレーム画像、W1、W2…枠
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2003−173369号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段が撮像した画像を取り込む取込手段と、
前記取込手段により取り込まれた画像に含まれる対象物の全部または一部を検出する検出手段と、
前記検出手段が複数の対象物を検出した場合に、いずれか1つの対象物を選択する選択手段と、
前記取込手段により取り込まれた画像上に、前記選択手段により選択された対象物が複数の対象物のうちいずれの対象物であるかを表示する表示制御手段と、
前記選択手段が選択した対象物の全部または一部の画像と、各商品の基準画像とがどの程度類似しているかを示す類似度に基づいて、前記撮像手段によって撮像された商品を識別する商品識別手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記対象物の全部または一部を含む画像領域を検出し、
前記選択手段は、前記画像領域が複数検出された場合に、前記取込手段により取り込まれた画像における前記画像領域の位置に基づいて、いずれか1つの前記画像領域を選択し、
前記商品識別手段は、前記選択手段が選択した前記画像領域に含まれる対象物の画像と、前記基準画像との前記類似度に基づいて、前記撮像手段によって撮像された商品を識別する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は更に、前記取込手段により取り込まれた前記各画像領域の輝度に基づいて、いずれか1つの前記画像領域を選択する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記取込手段により取り込まれた画像上に、前記選択手段により選択された前記画像領域を含む枠を表示する、請求項2または3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記商品識別手段は、前記選択手段により選択された1つの対象物と前記基準画像との前記類似度に基づいて、前記撮像手段により撮像された商品の候補を識別し、
前記表示制御手段は、前記取込手段により取り込まれた画像上に前記選択手段により選択された対象物がいずれの対象物であるかを表示するとともに、前記商品識別手段により識別された前記商品の候補に関する情報を、前記類似度の順に並べて表示する、
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置を制御するコンピュータを、
撮像手段が撮像した画像を取り込む取込手段と、
前記取込手段により取り込まれた画像に含まれる対象物の全部または一部を検出する検出手段と、
前記検出手段が複数の対象物を検出した場合に、いずれか1つの対象物を選択する選択手段と、
前記取込手段により取り込まれた画像上に、前記選択手段により選択された対象物が複数の対象物のうちいずれの対象物であるかを表示する表示制御手段と、
前記選択手段が選択した対象物の全部または一部の画像と、各商品の基準画像とがどの程度類似しているかを示す類似度に基づいて、前記撮像手段によって撮像された商品を識別する商品識別手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
撮像手段が撮像した画像を取り込む取込手段と、
前記取込手段により取り込まれた画像に含まれる対象物の全部または一部を検出する検出手段と、
前記検出手段が複数の対象物を検出した場合に、いずれか1つの対象物を選択する選択手段と、
前記取込手段により取り込まれた画像上に、前記選択手段により選択された対象物が複数の対象物のうちいずれの対象物であるかを表示する表示制御手段と、
前記選択手段が選択した対象物の全部または一部の画像と、各商品の基準画像とがどの程度類似しているかを示す類似度に基づいて、前記撮像手段によって撮像された商品を識別する商品識別手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記対象物の全部または一部を含む画像領域を検出し、
前記選択手段は、前記画像領域が複数検出された場合に、前記取込手段により取り込まれた画像における前記画像領域の位置に基づいて、いずれか1つの前記画像領域を選択し、
前記商品識別手段は、前記選択手段が選択した前記画像領域に含まれる対象物の画像と、前記基準画像との前記類似度に基づいて、前記撮像手段によって撮像された商品を識別する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は更に、前記取込手段により取り込まれた前記各画像領域の輝度に基づいて、いずれか1つの前記画像領域を選択する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記取込手段により取り込まれた画像上に、前記選択手段により選択された前記画像領域を含む枠を表示する、請求項2または3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記商品識別手段は、前記選択手段により選択された1つの対象物と前記基準画像との前記類似度に基づいて、前記撮像手段により撮像された商品の候補を識別し、
前記表示制御手段は、前記取込手段により取り込まれた画像上に前記選択手段により選択された対象物がいずれの対象物であるかを表示するとともに、前記商品識別手段により識別された前記商品の候補に関する情報を、前記類似度の順に並べて表示する、
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置を制御するコンピュータを、
撮像手段が撮像した画像を取り込む取込手段と、
前記取込手段により取り込まれた画像に含まれる対象物の全部または一部を検出する検出手段と、
前記検出手段が複数の対象物を検出した場合に、いずれか1つの対象物を選択する選択手段と、
前記取込手段により取り込まれた画像上に、前記選択手段により選択された対象物が複数の対象物のうちいずれの対象物であるかを表示する表示制御手段と、
前記選択手段が選択した対象物の全部または一部の画像と、各商品の基準画像とがどの程度類似しているかを示す類似度に基づいて、前記撮像手段によって撮像された商品を識別する商品識別手段と、
として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−89090(P2013−89090A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230091(P2011−230091)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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