説明

情報処理装置及び方法、並びにコンピュータプログラム

【課題】 表示画面上に表示されるコンテンツの操作性を向上させる。
【解決手段】
情報処理装置100は、少なくとも一つの表示オブジェクト210を規定するオブジェクト情報及び少なくとも一つの表示オブジェクトに対応するコマンドを規定するコマンド情報を含むコンテンツを取得する取得手段110と、コンテンツを表示画面上に表示する表示手段141に対して、コンテンツを出力する出力手段122と、表示画面上の座標を指定する操作の入力を受ける入力手段122,142と、操作の受付範囲に含まれる座標を指定する操作に応じてコマンドを実行する処理手段121,124と、コマンドに対する操作の受付範囲を、対応する表示オブジェクトの表示範囲を含み、且つ対応する表示オブジェクトの表示範囲よりも大きな領域に設定する拡大手段123とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタル放送等に含まれるデータ放送コンテンツを表示する情報処理装置及び方法、並びにコンピュータをこのような情報処理装置として機能させるコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、地上デジタル放送やBS(Broadcast Satellite)デジタル放送等により放送されるデータ放送コンテンツを受信し、表示するテレビジョン等が知られている。
【0003】
このようなデータ放送コンテンツは、表示画面に表示されるオブジェクトの表示範囲をタッチパネル等のポインティングデバイスにより選択することで、該オブジェクトに紐付けられた処理スクリプトを実行するデータコンテンツを含む場合がある。尚、このようなデータコンテンツの表示及び処理の方式は、データ放送により取得されたものに限られず、PC(Personal Computer)やスマートフォンのOS(Operating System)に採用されるGUI(Graphical User Interface)等にも見られる。
【0004】
このようなコンテンツにおいて、オブジェクトの選択を行う場合、各オブジェクトについての座標検出エリアが小さい場合や密集している場合、ユーザの操作を誤検出し、ユーザが希望するオブジェクトとは異なるオブジェクトが選択されてしまう場合がある。
【0005】
ユーザに快適な操作性を提供するために、このような誤検出を回避するための技術が研究されている。先行技術文献である特許文献1には、タッチパネル装置に関する技術として、一度目のタッチにより座標選択された部分の周辺領域を拡大表示する構成が開示されている。このような構成によれば、狭い領域にオブジェクトが密集している場合であっても、ユーザは拡大表示された領域を再度選択することで、所望のオブジェクトを選択することが出来る。
【0006】
また、特許文献2には、ユーザが指で操作するタッチパネル装置に関する技術として、パネルタッチ時に、該タッチ時に検出した第1の入力座標に対応するオブジェクトを選択するための座標範囲を拡大し、パネルから指が離れるときに検出した第2の入力位置に応じたオブジェクトを選択する方法が開示されている。これによりパネルに指が接触したときの選択位置と、該パネルから指が離れるときの選択位置とが異なる場合におけるオブジェクト選択の誤検出を回避することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−039614
【特許文献2】特開平11−175212
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、先行技術に開示される構成では、操作性の向上のために、コンテンツ内の一部のオブジェクトの拡大表示等、コンテンツにおいて本来意図されていない表示が行われることとなり、結果的にコンテンツの視認性と操作性とのトレードオフとなっている。また、特許文献2に開示の構成を適用するためには、予め選択可能なオブジェクトについて、コンテンツ情報を処理する装置側で把握している必要があり、必ずしも有効でない状況がある。
【0009】
また、ユーザが必ずしもコンテンツにおいて意図された、オブジェクト毎の座標範囲を選択するとも限られない場合がある。例として、1つの選択可能なオブジェクトと、該オブジェクトについての解説等関連情報を表示するのみで選択可能でないオブジェクトとが存在するコンテンツがある。このようなコンテンツにおいて、ユーザが選択可能でないオブジェクトを選択可能であると誤認し、選択操作を実施する場合が考えられる。このとき、ユーザに対して選択可能と誤認させることにより、結果的にユーザが希望する処理を実現出来ないこととなり、ユーザに対しては、コンテンツの操作性が優れていないとの印象を与えることとなる。このような技術的な問題については、上述した先行技術文献に開示される構成では解決されていない。
【0010】
本発明は、例えば上述の問題点に鑑み為されたものであり、選択可能なオブジェクトを含むコンテンツにおいて、本来意図される表示を変更することなく、ユーザにとって好適な操作性を有する表示を実現する情報処理装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、少なくとも一つの表示オブジェクトを規定するオブジェクト情報及び少なくとも一つの前記表示オブジェクトに対応するコマンドを規定するコマンド情報を含むコンテンツを取得する取得手段と、前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力手段と、前記表示画面上の座標を指定する操作の入力を受ける入力手段と、前記操作の受付範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて前記コマンドを実行する処理手段と、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、対応する前記表示オブジェクトの表示範囲を含み、且つ対応する前記表示オブジェクトの表示範囲よりも大きな領域に設定する拡大手段とを備える。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の情報処理方法は、少なくとも一つの表示オブジェクトを規定するオブジェクト情報及び少なくとも一つの前記表示オブジェクトに対応するコマンドを規定するコマンド情報を含むコンテンツを取得する取得工程と、前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力工程と、前記表示画面上の座標を指定する操作の入力を受ける入力工程と、前記操作の受付範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて前記コマンドを実行する処理工程と、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、対応する前記表示オブジェクトの表示範囲を含み、且つ対応する前記表示オブジェクトの表示範囲よりも大きな領域に設定する拡大工程とを備える。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のコンピュータプログラムは、少なくとも一つの表示オブジェクトを規定するオブジェクト情報及び少なくとも一つの前記表示オブジェクトに対応するコマンドを規定するコマンド情報を含むコンテンツを取得する取得手段と、前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力手段と、前記表示画面上の座標を指定する操作の入力を受ける入力手段と、前記操作の受付範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて前記コマンドを実行する処理手段と、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、対応する前記表示オブジェクトの表示範囲を含み、且つ対応する前記表示オブジェクトの表示範囲よりも大きな領域に設定する拡大手段とを備える情報処理装置に備えられるコンピュータを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記取得手段、前記出力手段、前記入力手段、前記処理手段及び前記拡大手段の少なくとも一部として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】情報処理装置の一具体例であるデータ放送受信装置の基本的な構成例を示すブロック図である。
【図2】CPUの機能について、便宜上の機能部として図示した概念図である。
【図3】表示画面上のコンテンツに含まれるボタンの配置例と、ボタン受付範囲の例とを示す図である。
【図4】コンテンツ取得時のデータ放送受信装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】コンテンツ表示時のデータ放送受信装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】拡大処理による、コンテンツ内の各ボタン受付範囲の拡大例を示す図である。
【図7】拡大処理による、コンテンツ内の各ボタン受付範囲の拡大例を示す図である。
【図8】拡大処理による、コンテンツ内の各ボタン受付範囲の拡大例を示す図である。
【図9】拡大処理による、コンテンツ内の各ボタン受付範囲の拡大例を示す図である。
【図10】拡大処理による、コンテンツ内の各ボタン受付範囲の拡大例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための最良の形態として、本発明の情報処理装置及び方法、並びにコンピュータプログラムに係る実施形態について説明する。
(情報処理装置の実施形態)
本発明の情報処理装置に係る実施形態は、少なくとも一つの表示オブジェクトを規定するオブジェクト情報及び少なくとも一つの前記表示オブジェクトに対応するコマンドを規定するコマンド情報を含むコンテンツを取得する取得手段と、前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力手段と、前記表示画面上の座標を指定する操作の入力を受ける入力手段と、前記操作の受付範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて前記コマンドを実行する処理手段と、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、対応する前記表示オブジェクトの表示範囲を含み、且つ対応する前記表示オブジェクトの表示範囲よりも大きな領域に設定する拡大手段とを備える。
【0016】
本発明の情報処理装置に係る実施形態によれば、先ず、取得手段の動作により、コンテンツが取得される。取得されたコンテンツは、出力手段の動作により、表示手段が備える表示画面等に表示される。
【0017】
本実施形態に係るコンテンツは、表示手段により表示される、ユーザにより視認、言い換えれば識別可能な何らかの表示オブジェクトと、少なくとも該表示オブジェクトの一部に対応する処理を規定する。
【0018】
本実施形態に係る表示オブジェクトは、例えば、コンテンツ上のボタンや画像、又は、ハイパーリンク等のような文字や文字の集合等であってよい。オブジェクト情報は、表示画面上に実際に表示される(言い換えれば、描画される)少なくとも1つの表示オブジェクトの表示の態様等を規定する情報である。オブジェクト情報は、例えば、表示オブジェクトの表示位置、表示範囲及び表示内容等を示す情報を含む。
【0019】
本実施形態に係るコマンドは、コンテンツに関連して、ユーザの操作等に応じて実行される何らかの処理を示す趣旨である。コマンド情報は、ユーザによる操作等に応じて実行されるコマンドの処理内容等を記述する情報であり、例えば、データ放送コンテンツにおける処理内容を規定するスクリプト等を示す。コマンド情報は、例えば、実行される処理内容、対応する表示オブジェクト情報及び該コマンドを実行する際のユーザの座標指定操作の受付範囲等を示す情報を含む。
【0020】
コマンドに対する操作の受付範囲とは、ユーザの座標指定操作の入力を該コマンドを実行するためのトリガとして受け付ける表示画面上の座標範囲を示す趣旨である。本実施形態においては、コンテンツは、何らかの表示オブジェクトに対応するコマンドを含んでいる。このような表示オブジェクトに対応するコマンドは、一般的には、対応する表示オブジェクトの表示範囲をユーザの操作の受付範囲とする。言い換えれば、表示オブジェクトの表示範囲内を指定する操作が行われる場合に、該表示オブジェクトに対応するコマンドが実行される。
【0021】
入力手段は、コンテンツに対するユーザの操作の入力を受ける構成である。本実施形態では、入力手段は、表示画面上の座標を指定するユーザの操作の入力を受け付ける。
【0022】
処理手段は、ユーザの操作等に応じて該操作により指定されるコマンドを実行する。具体的には、処理手段は、入力手段を介して入力されるユーザの操作により指定される座標が、表示画面上の表示オブジェクトのいずれかの表示範囲、言い換えれば、いずれかのコマンドに対する操作の受付範囲に含まれるか否かを判定する。いずれかのコマンドに対する操作の受付範囲内の座標を指定する操作が入力される場合、処理手段は、指定された座標を受付範囲に含むコマンドを実行する。
【0023】
拡大手段は、各コマンドについて、操作の受付範囲を、表示画面における、対応する表示オブジェクトの表示範囲を含み、且つ相対的に大きい範囲まで拡大する処理を行う。例えば、拡大手段は、コマンド情報に含まれる該コマンドについての操作の受付範囲を示す情報を、上述のように拡大したものに置換した情報を生成することで、操作の受付範囲を拡大する処理を行う。
【0024】
このような構成によれば、取得手段が取得したコンテンツについて、表示オブジェクトに対応するコマンドに対する操作の受付範囲を拡大することが出来る。
【0025】
コマンドの操作の受付範囲を拡大することで、ユーザの操作をより簡易なものとすることが出来る。例えば、入力手段として、ユーザが指で操作するタッチパネルを採用する情報処理装置は、ユーザが表示オブジェクトの表示範囲を視認しながら操作する場合でも、所望の座標を正確に指定することが容易でなく、所望の操作を実施し難いとの技術的な問題点がある。これは、表示される表示オブジェクトの表示範囲が小さい場合には、より顕著となる。そこで、各表示オブジェクトについて、対応するコマンドの操作の受付範囲を拡大することで、よりユーザの操作を受け付け易くなり、操作性の向上に繋がる。
【0026】
尚、本実施形態の情報処理装置では、拡大手段は、表示オブジェクトに対応するコマンドの操作の受付範囲を拡大する一方で、該表示オブジェクトの表示範囲等、表示画面上に表示されるコンテンツのレイアウト等は変更を加えない。このため、コンテンツ制作者が意図した表示を変更することなく、上記の効果を享受することが可能となる。
【0027】
尚、本実施形態においては、表示手段は、情報処理装置の構成要素として含まれていてもよい。このような構成として、ディスプレイ一体型の情報機器(例えば、テレビ等)が一例としてあげられる。また、表示手段は、情報処理装置の外部の構成要素として構成されていてもよい。このような構成として、ディスプレイと別体の情報機器(例えば、ディスプレイに接続されるパソコン本体や、DVD/BDレコーダ等)が一例としてあげられる。
【0028】
本発明の情報処理装置に係る実施形態の一の態様では、前記拡大手段は、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、前記コマンドに対応する前記表示オブジェクトとは異なる他の前記表示オブジェクトの表示範囲、及び前記コマンドとは異なる前記コマンドに対する前記操作の受付範囲とは重複しないよう、拡大する。
【0029】
この態様によれば、拡大手段は、一のコマンド(例えば、コマンドA)の操作の受付範囲について、該コマンドAが対応する表示オブジェクト(例えば、表示オブジェクトA)以外の表示オブジェクト(例えば、表示オブジェクトB)の表示範囲と重複しないように拡大する。
【0030】
仮に、コマンドAに対する座標指定操作の受付範囲が、例えば表示オブジェクトB等、対応する表示オブジェクトA以外の表示オブジェクトの表示範囲をも含む場合、ユーザが該コマンドAを実行することを意図しないで表示オブジェクトBの表示範囲を指定する操作を行うことでも、ユーザの意図しないコマンドAが実行される。このため、ユーザは意図しないコマンドが実行されたと感じ、操作性が悪いと感じる可能性がある。
【0031】
そこで、拡大手段は、コマンドAに対する座標指定操作の受付範囲を、例示した表示オブジェクトB等、対応する表示オブジェクトA以外の表示オブジェクトの表示範囲に重複しないよう拡大する。このように構成することで、上述のようなユーザの意図しないコマンドの実行を回避することが出来る。
【0032】
また、この態様によれば、拡大手段は、一のコマンド(例えば、コマンドA)の操作の受付範囲について、該コマンドAとは異なるコマンド(例えば、コマンドB)の操作の受付範囲と重複しないように拡大する。
【0033】
仮に、コマンドAに対する座標指定操作の受付範囲が、他のコマンドBに係る受付範囲をも含む場合、ユーザがコマンドBを実行することを意図してコマンドBの操作の受付範囲を指定する操作を行う場合に、コマンドAが実行される。このため、ユーザは意図しないコマンドが実行されたと感じ、操作性が悪いと感じる可能性がある。
【0034】
そこで、拡大手段は、コマンドAに対する座標指定操作の受付範囲を、例示したコマンドB等、他のコマンドの操作の受付範囲に重複しないよう拡大する。このように構成することで、上述のようなユーザの意図しないコマンドの実行を回避することが出来る。尚、表示画面上において、複数のコマンド(例えば、コマンドA及びコマンドB)の受付範囲が夫々配置される場合には、拡大手段は、一動作例として、各コマンドの受付範囲の中間位置を夫々のコマンドの受付範囲の上限としてもよい。このように構成することで、複数のコマンドを含むコンテンツにおいて、各コマンドに対してユーザの操作性の向上を実現することが出来る。
【0035】
本発明の情報処理装置に係る実施形態の他の態様では、前記拡大手段は、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、前記コマンドに対応する前記表示オブジェクトの表示範囲に基づく範囲まで拡大する。
【0036】
この態様によれば、拡大手段は、一のコマンド(例えば、コマンドA)の操作の受付範囲について、該コマンドAが対応する表示オブジェクト(例えば、表示オブジェクトA)の表示範囲の表示画面上の位置又は大きさ等に応じた態様で拡大する。具体的には、拡大時のコマンドAの操作の受付範囲の位置又は大きさ等を、対応する表示オブジェクトAの表示範囲の位置又は大きさ等に応じて決定する。
【0037】
一例として、拡大手段は、拡大時のコマンドの受付範囲の大きさを、対応する表示オブジェクトの表示範囲の大きさに対して、外縁部に所定のマージンを付加した大きさや、所定の係数を乗算した大きさとなるよう決定する。
例えば、上述のように、入力手段として、タッチパネルを採用する情報処理装置において、ユーザの指による座標指定が所望の座標を正確に指定することが容易でない。そこで、このようなユーザの指による操作に対応して、各コマンドの受付範囲を、夫々対応する表示オブジェクトの表示範囲に所定のマージンを付加した大きさに拡大することで、ユーザの操作性を向上することが出来る。
【0038】
他方で、コマンドの受付範囲をあまり大きくし過ぎる場合には、ユーザが該コマンドを実行することを意図しないで受付範囲内を指定する操作を行った場合、ユーザの意図しないコマンドが実行されることとなる。この場合、ユーザは、操作性が悪いと感じる可能性がある。そこで、コマンドの受付範囲の拡大時の大きさについて、対応する表示オブジェクトの表示範囲の大きさに基づいて上限を設定することで、このような操作性の悪化を抑制することが出来る。
【0039】
尚、拡大手段は、その他の手法に従って、拡大時のコマンドの受付範囲の位置又は大きさ等を、対応する表示オブジェクトの表示範囲の位置又は大きさ等に対して、決定してもよい。
【0040】
本発明の情報処理装置に係る実施形態の他の態様では、前記拡大手段は、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、前記コマンドに対応する前記表示オブジェクトに関連した表示を行う他の前記表示オブジェクトの表示範囲まで拡大する。
【0041】
この態様によれば、拡大手段は、一のコマンド(例えば、コマンドA)の操作の受付範囲を、該コマンドAに対応する表示オブジェクト(例えば、表示オブジェクトA)により表示される内容と関連する表示を行う表示オブジェクト(例えば、表示オブジェクトA’)の表示範囲に拡大する。
【0042】
表示オブジェクトAにより表示される内容と関連する表示を行う表示オブジェクトA’とは、例えば、処理スクリプトに対応する選択可能な表示オブジェクトの表示内容について説明する文章及び図等を表示する表示オブジェクトである。
【0043】
このような表示内容を有することから、ユーザは、該表示オブジェクトA’について、表示オブジェクトA及び表示オブジェクトAに対応するコマンドAとの関連性を感じる可能性がある。そこで、ユーザは、コマンドAを実行することを意図して、表示オブジェクトA’の表示範囲内を指定する操作を実行することが考えられる。しかしながら、表示オブジェクトA’の表示範囲は、コマンドAの操作の受付範囲に含まれていないため、コマンドAは実行されない。この場合、意図した処理が実行されないことから、ユーザは、該表示オブジェクトA’を含むコンテンツについて、操作性が悪いと感じる可能性がある。
【0044】
この態様の拡大手段の動作によれば、このようにユーザが関連性を感じる他の表示オブジェクトの表示範囲まで、コマンドの操作の受付範囲を拡大することが出来る。
【0045】
拡大手段は、一のコマンド及び該コマンドに対応する表示オブジェクトについて、ユーザが関連性を感じる表示オブジェクトを抽出する手法の例として、表示画面上のレイアウトに基づく判断を行ってもよい。
【0046】
例えば、表示オブジェクトA’の表示範囲が、コマンドAに対応する表示オブジェクトAの表示範囲を内部に含む場合、ユーザは、表示オブジェクトAと表示オブジェクトA’との間に関連性を感じる可能性がある。
【0047】
その他、コマンドAに対応する表示オブジェクトAと、表示オブジェクトA’とが、ユーザに対して何らかの関連性を想起させる位置関係で表示画面上に表示される場合、拡大手段は、予め設定される何らかの規定に基づいて、コマンドに関連する表示オブジェクトを抽出してもよい。
【0048】
また、他の一例として、この態様の情報処理装置は、前記コンテンツに含まれる前記オブジェクト情報及び前記コマンド情報を解析する解析手段を更に備え、前記拡大手段は、前記解析手段による解析結果に基づいて、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を拡大してもよい。
【0049】
例えば、コンテンツ制作者により、一のコマンドAに対応する表示オブジェクトAと、該コマンドAに対応していない表示オブジェクトA’とが、相互に関連性を有すると規定される場合、拡大手段は、該表示オブジェクトA’の表示範囲までコマンドAの受付範囲を拡大してもよい。
【0050】
一例として、コンテンツに含まれるオブジェクト情報及びコマンド情報において、コマンドAに対応する表示オブジェクトAと、表示オブジェクトA’との間にディレクトリの階層構造上の関連性が検出される場合に、拡大手段は、表示オブジェクトA’が表示オブジェクトAに関連するものであると判断してもよい。また、その他、各表示オブジェクトについての説明文や、表示内容に係る情報等から関連性の判断を行ってもよい。
【0051】
このような態様によれば、ユーザに対してより直感的な操作性を提供することが可能となる。
(情報処理方法の実施形態)
本発明の情報処理方法に係る実施形態は、少なくとも1つの描画オブジェクトを示すオブジェクト情報及び前記少なくとも1つの描画オブジェクトに対応する処理を規定する処理スクリプトを示すスクリプト情報の夫々を含むコンテンツを取得する取得工程と、前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力工程と、前記描画オブジェクトの表示範囲を、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトに対する受け付け範囲に指定し、前記受け付け範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトを実行する処理工程と、前記オブジェクト情報により指定される前記描画オブジェクトの描画範囲と比較して、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトの受け付け範囲を拡大する拡大工程とを備える。
【0052】
本発明の情報処理方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報処理装置に係る実施形態が享受することが出来る各種効果と同様の効果を享受することが出来る。
【0053】
尚、上述した本発明の情報処理装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明の情報処理方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態は、少なくとも1つの描画オブジェクトを示すオブジェクト情報及び前記少なくとも1つの描画オブジェクトに対応する処理を規定する処理スクリプトを示すスクリプト情報の夫々を含むコンテンツを取得する取得手段と、前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力手段と、前記描画オブジェクトの表示範囲を、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトに対する受け付け範囲に指定し、前記受け付け範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトを実行する処理手段と、前記オブジェクト情報により指定される前記描画オブジェクトの描画範囲と比較して、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトの受け付け範囲を拡大する拡大手段とを備える情報処理装置に備えられるコンピュータを制御するためのコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記取得手段、前記表示手段、前記出力手段、前記処理手段及び前記拡大手段の少なくとも一部として機能させる。
【0054】
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報処理装置に係る実施形態を比較的簡単に実現出来る。
【0055】
尚、上述した本発明の情報処理装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(情報記録媒体の実施形態)
本発明の情報記録媒体に係る実施形態は、少なくとも1つの描画オブジェクトを示すオブジェクト情報及び前記少なくとも1つの描画オブジェクトに対応する処理を規定する処理スクリプトを示すスクリプト情報の夫々を含むコンテンツを取得する取得手段と、前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力手段と、前記描画オブジェクトの表示範囲を、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトに対する受け付け範囲に指定し、前記受け付け範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトを実行する処理手段と、前記オブジェクト情報により指定される前記描画オブジェクトの描画範囲と比較して、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトの受け付け範囲を拡大する拡大手段とを備える情報処理装置に備えられるコンピュータにより読取可能なコンピュータプログラムが記録され、前記コンピュータプログラムが前記コンピュータにより読み取られることで、該コンピュータを、前記取得手段、前記表示手段、前記出力手段、前記処理手段及び前記拡大手段の少なくとも一部として機能させる。
【0056】
本発明の情報記録媒体に係る実施形態は、ROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等を一具体例とし、記録されるコンピュータプログラムをコンピュータに読み込むことで、上述した本発明の情報処理装置に係る実施形態を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該情報記録媒体は、上述した本発明の情報処理装置に係る実施形態として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)が記録される構成であってよい。
【0057】
尚、上述した本発明の情報処理装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明の情報記録媒体に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0058】
以上説明したように、本発明の情報処理装置に係る実施形態によれば、取得手段と、出力手段と、入力手段と、処理手段と、拡大手段とを備える。本発明の情報処理方法に係る実施形態によれば、取得工程と、出力工程と、入力工程と、処理工程と、拡大工程とを備える。本発明のコンピュータプログラム及び情報記録媒体に係る実施形態によれば、コンピュータを本発明の情報処理装置に係る実施形態として機能させる。
【0059】
従って、表示オブジェクトに対応するコマンドに対する操作の受付範囲を拡大し、操作性の向上を実現することが出来る。
【実施例】
【0060】
本発明の情報処理装置に係る実施例について、図面を参照して説明する。
(1)基本構成
図1は、本実施例の情報処理装置の一具体例であるデータ放送受信装置100の基本的な構成例を示すブロック図である。
【0061】
本実施例では、BMLスクリプト等のマークアップ言語により記述されるデータ放送コンテンツをコンテンツの一例として説明する。つまり、以下に説明する実施例においては、描画オブジェクトを示すオブジェクト情報、及び処理スクリプトを示すスクリプト情報は、BMLスクリプトにより記述されるものとなる。
【0062】
図1に示されるように、データ放送受信装置100は、受信部110と、CPU(Central Processing Unit)120と、メモリ130と、入出力部140と、バス150とを備える。
【0063】
受信部110は、本発明の「取得手段」の一具体例であって、アンテナ111を備え、該アンテナを介して、データ放送電波等を受信することで、該放送電波に含まれるデータ放送コンテンツを取得する。
【0064】
CPU120は、データ放送受信装置100の各部の動作を制御する装置である。CPU120は、バス150を介して各部からの信号入力を受けるとともに、各部に信号出力を行うことで、データ放送受信装置100の各部の動作を制御する。
【0065】
メモリ130は、ハードディスクドライブ等の情報記録装置である。メモリ130は、記録領域として、CPU120の動作のためのファームウェアを格納するROM領域、及びデータ放送受信装置100におけるデータ処理全般に使用されるRAM領域を備える。
【0066】
入出力部140は、ディスプレイ141及びポインティングデバイス142に更に接続され、受信部110及びCPU120と、ディスプレイ141及びポインティングデバイス142との間で信号の入出力を制御するインタフェースである。
具体的には、受信部110により受信されたコンテンツ、及び該コンテンツに対応CPU120により指示される処理内容をディスプレイ141に表示させるよう出力する。また、ポインティングデバイス142を介して入力されるユーザの操作内容をCPU120に入力する。
【0067】
ディスプレイ141は、本発明の「表示手段」の一具体例であって、受信部110により取得されたコンテンツを表示するための表示装置である。ディスプレイ141は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ブラウン管ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が一例として挙げられる。
【0068】
ポインティングデバイス142は、ディスプレイ141に表示されるコンテンツに対するユーザの操作を入力する装置である。ポインティングデバイス142は、ユーザの操作の一例として、表示画面における座標を指定した操作の入力を受け付け、操作内容を入出力部140に入力する。ポインティングデバイス142は、ディスプレイ141の表示画面上の任意の位置を直接的又は間接的に指定可能な入力装置であり、例えば、マウス、タッチパッド、及びディスプレイ141の表示画面と一体化したタッチパネル等が一例として挙げられる。
【0069】
尚、ディスプレイ141及びポインティングデバイス142は、データ放送受信装置100の外部に設けられる独立した装置であってよく、データ放送受信装置100は、ディスプレイ141及びポインティングデバイス142を含まない構成であってもよい。このように構成する場合、入出力部140は、外部の表示装置に対してコンテンツの表示を実施するという点で、本発明の「出力手段」及び「表示手段」の一例として扱われてもよい。
【0070】
バス150は、データ放送受信装置100が備える各部を接続する信号入出力用のバスである。
【0071】
続いて、図2を参照して、CPU120の動作について説明する。図2は、CPU120の機能について、便宜上の機能部として図示した概念図である。
【0072】
CPU120は、便宜上の機能部として、コンテンツ処理部121と、コンテンツ入出力部122と、拡大処理部123と、操作判定部124とを備える。
【0073】
コンテンツ処理部121は、本発明における「処理手段」の一具体例であって、受信部110が取得したコンテンツを記述するBMLデータ等のデータを解釈し、該コンテンツに含まれるオブジェクトを示すオブジェクト情報及び処理を示すスクリプト情報を取得する。コンテンツ処理部121は、コンテンツに含まれるオブジェクトについて、オブジェクト情報に応じた表示を行うよう、ディスプレイ141の動作を制御する。また、コンテンツ処理部121は、例えばユーザの操作等に応じて、コンテンツに含まれるスクリプト情報に示される処理を実行し、実行内容に応じた表示を行うよう、ディスプレイ141の動作を制御する。
【0074】
オブジェクトとは、コンテンツに含まれ、表示画面上に表示される何らかの構成要素を示す。オブジェクトに対応する処理とは、該オブジェクトを指定するユーザの操作に応じて実行される何らかの処理を示す。以降、何らかの処理に対応するオブジェクトについて、ボタン210と記載し、ボタン210以外のオブジェクトである、いずれの処理にも対応しないオブジェクトについて、部品220と記載する。
【0075】
コンテンツ処理部121は、拡大処理部123に対して、コンテンツに含まれるボタン210に関連するボタン情報と、部品220に関連する部品情報とを入力する。
【0076】
ボタン情報は、各ボタン210について、表示画面上の位置及び大きさ(言い換えれば、描画範囲)、ユーザによる座標指定操作の受付範囲、並びに必要な処理についての情報を含む。ユーザによる座標指定操作の受付範囲とは、各ボタン210について、ユーザによる座標指定操作を受け付ける範囲を、表示画面上に設定される、又は仮想的に設定される座標として示すものである。
【0077】
部品情報は、各部品220について、表示画面上の位置及び大きさ(言い換えれば、描画範囲)、並びに該部品220を含むコンテンツにおける他のボタン210との階層構造についての情報を含む。
【0078】
また、コンテンツ処理部121は、コンテンツ入出力部122に対して、コンテンツの表示内容に係るコンテンツ表示情報を入力する。
【0079】
コンテンツ入出力部122は、受信部110が取得したコンテンツについて、コンテンツ処理部121により解析された処理内容に応じた表示を行うよう、ディスプレイ141に対して、制御信号を入力する。また、コンテンツ入出力部122は、ポインティングデバイス142を介して入力されたユーザの操作を検出し、該操作において指定された座標を取得する。コンテンツ入出力部122は、取得したユーザの操作の指定座標を示す座標情報を操作判定部124に入力する。
【0080】
拡大処理部123は、コンテンツ処理部121により解析されたコンテンツに含まれるボタン210について、該ボタン210に対応する処理に対するユーザによる座標指定操作の受付範囲の拡大処理を行う。拡大処理部123は、例えば、各ボタン210についてのユーザによる座標指定操作の受付範囲を、該ボタン210の表示領域より拡大する拡大処理部123による座標指定操作の受付範囲の拡大処理の具体的態様については後に詳述する。拡大処理部123は、各ボタン210について、拡大した座標指定操作の受付範囲を含む拡大ボタン情報を操作判定部124に入力する。
【0081】
操作判定部124は、コンテンツ入出力部122より入力される座標情報に示される座標が、拡大処理部123により入力される拡大ボタン情報に示される座標指定操作の受付範囲に含まれるか否かを判定する。座標情報に示される座標が、拡大ボタン情報に示されるいずれかのボタン210の受付範囲に含まれる場合、操作判定部124は、該座標範囲に対応する処理を指定するコンテンツ制御情報を拡大処理部123に入力する。
【0082】
コンテンツ制御情報の入力を受けた拡大処理部123は、該コンテンツ制御情報をコンテンツ処理部121に入力する。コンテンツ処理部121は、スクリプト情報を参照して、入力されるコンテンツ制御情報により指定される処理を実行する。
(2)動作例
図3から図5を参照して、本実施例におけるデータ放送受信装置100の基本的な動作例について説明する。
【0083】
先ずは、図3を参照して、ディスプレイ141の表示画面200上に表示される、拡大処理が行われる以前のコンテンツについて、ボタン配置の例と、各ボタン210についてのユーザによる座標指定操作の受付範囲(以下、ボタン受付範囲と記載して説明する)の例とについて説明する。図3は、表示画面200上のコンテンツに含まれるボタン210の配置例と、ボタン受付範囲の例とを示す図である。
【0084】
図3(a)は、各ボタン210の配置、言い換えれば、表示画面上に配置される各ボタン210の描画範囲を示す。図3(a)に示される例では、表示画面200上に、ボタンA210a、ボタンB210b、ボタンC210c及びボタンD210dが配置されている。各ボタン210の描画範囲は、ユーザに対して各ボタン210の存在を認識させるよう、好適には、彩色、図又は枠等により、表示画面200上の他のオブジェクトと識別可能な態様で描画される。
【0085】
図3(b)は、各ボタン210について設定されるボタン受付範囲を示す。各ボタン210の受付範囲は、一般的には、各ボタン210の表示画面200上の描画範囲である。従って、このようなコンテンツを利用するユーザは、一般的に、各ボタン210に対応する処理を実行させるために、表示画面200上の各ボタン210の描画範囲に基づいて、座標指定操作を行っている。
【0086】
拡大処理部123は、ボタン受付範囲を、ボタン210の描画範囲と比較してより広範な範囲を含むよう設定する。このような拡大処理部123の動作を含む、データ放送受信装置100の動作の流れについて、図4を参照して説明する。
【0087】
図4は、コンテンツ取得時のデータ放送受信装置100の動作の流れを示すフローチャートである。図4に示されるように、データ放送受信装置100では、受信部110がコンテンツを取得する(ステップS101)。CPU120のコンテンツ処理部121は、取得されたコンテンツを解析し(ステップS102)、コンテンツに含まれるボタン210及び部品220に係る情報であるボタン情報及び部品情報を取得する(ステップS103)。拡大処理部123は、コンテンツのボタン情報及び部品情報に基づいて、ボタン情報に含まれるボタン受付範囲を拡大し、拡大ボタン情報を生成する(ステップS104)。CPU120のコンテンツ入出力部122は、コンテンツ処理部121により解析されたコンテンツの内容をディスプレイ141の表示画面200上に表示する(ステップS105)。
【0088】
このようなコンテンツに対する、ユーザの座標指定操作に対するデータ放送受信装置100の動作の流れについて、図5を参照して説明する。
【0089】
図5は、コンテンツ表示時のデータ放送受信装置100の動作の流れを示すフローチャートである。図5に示されるように、CPU120のコンテンツ入出力部122は、コンテンツの表示中には、入出力部140を介してポインティングデバイス142からのユーザ操作の入力を監視している(ステップS201)。ユーザの座標指定操作が検出される場合(ステップS201:Yes)、操作判定部124は、該ユーザ操作に係る座標情報に含まれる指定座標が、拡大ボタン情報に含まれるいずれかのボタン210のボタン受付範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS202)。該ユーザ操作に係る座標情報に含まれる指定座標がいずれかのボタン210のボタン受付範囲に含まれる場合、操作判定部124は、その旨をコンテンツ処理部121に通知する。コンテンツ処理部121は、該通知を受けて、指定座標が含まれるボタン受付範囲のボタン210に対応する処理を実行する(ステップS203)。尚、座標指定操作が検出されない場合、及びいずれのボタン210のボタン受付範囲にも含まれない座標が指定される場合、操作判定部124は、典型的には、何らの通知も行わない。この場合、コンテンツ入出力部122は、継続してユーザ操作の入力を監視する(ステップS201)。
(3)拡大処理例
図6から図10を参照して、本実施例における、拡大処理部123による、コンテンツ内の各ボタン受付範囲の拡大処理の例について説明する。
【0090】
図6から図10は、拡大処理部123の拡大処理による、コンテンツ内の各ボタン受付範囲の拡大例を示す図である。
【0091】
図6は、図3(a)に示されるコンテンツについて、拡大処理を行った際の各ボタン受付範囲の拡大例を示す図である。図6に示される例では、表示画面200上にボタンA210a、ボタンB210b、ボタンC210c及びボタンD210dが配置されている。
【0092】
拡大処理部123は、拡大処理の一例として、各ボタン210について、隣接しているボタン210と互いにボタン受付範囲が交わらないよう、各ボタン210のボタン受付範囲を拡大する。例えば、図6に示される例では、拡大処理部123は、表示画面200上に配置される各ボタン210のボタン受付範囲が交わらないよう、隣接するボタン210の描画範囲の中間位置を拡大時の各ボタン受付範囲の上限としている。図6では、各ボタン210のボタン受付範囲は、一点鎖線により区切られている。
【0093】
尚、複数のボタン210が相互に隙間無く並んで配置されるコンテンツにおいては、拡大処理部123は、各ボタン210のボタン受付範囲を行わない。
【0094】
表示画面200に表示されるコンテンツが1つ以上のボタン210と、1つ以上の部品220とを含む場合の拡大処理の例について、図7を参照して説明する。図7に示される例では、表示画面200上に、ボタンA210a、ボタンB210b及びボタンC210c、並びに部品A220a及び部品B220bが配置される。例えば、部品A210aは、データ放送の動画コンテンツが表示される動画領域であり、部品B210bは、コンテンツの説明等を表示する領域等である。
【0095】
このようなコンテンツにおいて、各ボタン210のボタン受付範囲を拡大する場合に、部品A210a及び部品B210bの描画範囲まで重ねて拡大する場合、却ってユーザの誤操作を誘発し、操作性を悪化させる可能性がある。
【0096】
拡大処理部123は、拡大処理の一例として、各ボタン210について、拡大時のボタン受付範囲と、隣接している部品220の描画範囲とが交わらないよう、各ボタン210のボタン受付範囲を拡大する。例えば、図7に示される例では、拡大処理部123は、表示画面200上に配置される各ボタン210の描画範囲と、各部品220との中間位置を拡大時の各ボタン受付範囲の上限としている。
【0097】
各ボタン210のボタン受付範囲を拡大することで、ユーザの操作をより簡易なものとすることが出来る。例えば、ユーザが指で操作するタッチパネル等をポインティングデバイス142として採用するデータ放送受信装置100では、ユーザがボタン210の描画範囲を視認しながら操作する場合でも、所望の座標を正確に指定することが容易でなく、所望の操作を実施し難いとの技術的な問題点がある。これは、表示されるボタン210の描画範囲が小さい場合には、より顕著となる。そこで、各ボタン210について、ボタン受付範囲を拡大することで、よりユーザの操作を受け付け易くなり、操作性の向上に繋がる。また、拡大処理部123は、ボタン210のボタン受付範囲を拡大する一方で、ボタン210の描画範囲等、表示画面200上に表示される情報については変更を加えない。このため、コンテンツ制作者が意図した表示を変更することなく、上記の効果を享受することが可能となる。
【0098】
他方で、拡大処理部123の動作により、ボタン210のボタン受付範囲を拡大する際に、ボタン受付範囲をあまりに大きく拡大する場合、却ってユーザの誤操作を誘発し、操作性を悪化させる可能性がある。このため、拡大処理部123は、ボタン210のボタン受付範囲を拡大する際に、他のボタン210のボタン受付範囲や部品220の描画範囲以外の要素に基づいて、ボタン受付範囲の拡大時の上限設定してもよい。
【0099】
例えば、図8の例では、拡大処理部123は、ボタンA210aのボタン受付範囲を拡大する際に、ボタンA210aの描画範囲の高さの半分を拡大時の上限としている。このように、拡大時のボタン210のボタン受付範囲の上限を設定することで、ユーザが表示画面200上の該ボタン210とは関係のない座標を指定した際に、ユーザの意図しない処理が実行されることを好適に回避することが出来る。
【0100】
拡大処理部123は、その他の態様で各ボタン210のボタン受付範囲を拡大してもよい。
【0101】
ユーザは、例えば、表示画面200上に表示されるコンテンツ内のボタン210の周囲又は近傍に、該ボタン210に関連する部品220が存在する場合、該部品220の描画範囲についても、ボタン210と同様に操作可能であると考えることが予想される。
【0102】
拡大処理部123は、一動作例として、各ボタン210のボタン受付範囲を、関連する部品220の描画範囲に拡大してもよい。
【0103】
具体的には、拡大処理部123は、部品情報に含まれる各部品220について、他のボタン210との階層構造についての情報を参照することで、各ボタン210に関連する部品220を抽出する。そして、拡大処理部123は、抽出した部品220に対して、対応する各ボタン210のボタン受付範囲を拡大してもよい。
【0104】
例えば、コンテンツに含まれるオブジェクト情報について解析した結果、一の部品220が、一のボタン210を下位に含む構造であることが、ディレクトリの階層構造等より検出される場合、拡大処理部123は、該一の部品220が該一のボタン210に関連する部品であると認識する。このとき、拡大処理部123は、該一のボタン210のボタン受付範囲を該一の部品220の描画範囲まで拡大し、一つのボタンとしてグループ化する。
【0105】
また、拡大処理部123は、オブジェクト情報や部品情報の解析結果に基づくことなく、その他の方法によりボタン210と関連する部品220を抽出した上で、ボタン受付範囲を拡大する処理を行ってもよい。
【0106】
一例として、図9を参照して、表示画面200上に表示されるコンテンツのレイアウトに基づく拡大処理の例について説明する。
【0107】
図9に示されるコンテンツでは、部品A220aの描画範囲内部に、部品B220b、部品C220c、部品D220d、部品E220eが配置される。部品B220bの描画範囲内部にボタンA210aが配置される。部品C220cの描画範囲内部にボタンB210bが配置される。部品D220dの描画範囲内部にボタンC210cが配置される。部品E220eの描画範囲内部にボタンD210dが配置される。
【0108】
このようなコンテンツでは、ユーザは、例えば、部品B220bの描画範囲を、ボタンA210aの一部と考えて、座標指定操作を行う可能性がある。しかしながら、実際には、部品B220bの描画範囲は、どのボタン受付範囲にも含まれていないため、該操作により何らかの処理が行われることはない。このため、ユーザは、該コンテンツについて、操作性の悪さを感じる可能性がある。
【0109】
そこで、拡大処理部123は、一動作例として、各ボタン210のボタン受付範囲を、該ボタン210の描画範囲を含む部品220の描画範囲まで拡大する
図9のコンテンツでは、拡大処理部123は、一動作例として、ボタンA210aのボタン受付範囲を部品B220bの描画範囲まで拡大し、一つのボタンとしてグループ化する。同様に、拡大処理部123は、図9に示されるコンテンツについて、ボタンB210bのボタン受付範囲を部品C220cの描画範囲まで、ボタンC210cのボタン受付範囲を部品D220dの描画範囲まで、ボタンD210dのボタン受付範囲を部品E220eの描画範囲まで、夫々拡大する。
【0110】
尚、図9に示される例では、ボタンA210aの描画範囲は、部品B220bの描画範囲だけでなく、部品A220aの描画範囲に含まれている。このことから、部品A220aがボタンA210aに関連するものと認識されることがある。しかしながら、部品A220aの描画範囲は、他のボタンB210b、ボタンC210c及びボタンD210dをも含んでいる。このため、ボタンA210aのボタン受付範囲を部品A220aの描画範囲にまで広げる場合、ユーザにコンテンツ内容を誤認させ、誤操作を誘発する可能性がある。
【0111】
そこで、拡大処理部123は、図9のように、一の部品220の描画範囲内に複数のボタン210を含む事例を検出する場合、該一の部品220の描画範囲まで各ボタン220のボタン受付範囲を拡大しないよう拡大処理を制限してもよい。
【0112】
また、部品220とボタン210との関係について、相互の描画範囲が重なり合っていない場合にも、ユーザにとって関連性を感じさせる配置であれば、ユーザは、部品220の描画範囲を、ボタン210の一部と考えて座標指定操作を行う可能性がある。
【0113】
例えば、図10には、相互に関連性を有する部品B220b及びボタンA210a、部品C220c及びボタンB210b、部品D220d及びボタンC210c、並びに部品E220e及びボタンD210dが、表示画面200上で夫々離隔して配置される例が示される。
【0114】
このようなコンテンツでは、拡大処理部123は、各ボタン210及び各部品220の相互の数及び位置関係の対応に基づいて、部品B220b及びボタンA210a、部品C220c及びボタンB210b、部品D220d及びボタンC210c、並びに部品E220e及びボタンD210dが夫々関連性を有するオブジェクトであると認識出来る。
【0115】
そこで、拡大処理部123は、一動作例として、ボタンA210aのボタン受付範囲を部品B220bの描画範囲まで拡大し、一つのボタンとしてグループ化する。同様に、拡大処理部123は、図9に示されるコンテンツについて、ボタンB210bのボタン受付範囲を部品C220cの描画範囲まで、ボタンC210cのボタン受付範囲を部品D220dの描画範囲まで、ボタンD210dのボタン受付範囲を部品E220eの描画範囲まで、夫々拡大する。
【0116】
このように、データ放送受信装置100は、一動作例として、表示画面200上に表示されるコンテンツのレイアウトに基づいて、各ボタン210のボタン受付範囲を拡大することで、ユーザに対してより直感的な操作性を提供することが可能となる。尚、このような拡大処理において、ボタン210及び部品220の夫々の数及び位置関係については、例えば、コンテンツに係るボタン情報及び部品情報から読み取ることが出来る。
【0117】
以上、説明した拡大処理部123のボタン受付範囲の拡大処理によれば、ユーザにとってより直感的な容易な操作性を提供することが出来る。また、一方で、ボタン受付範囲を拡大することでユーザにコンテンツの誤認を生じさせ、操作性の悪化に繋がる要因について、好適に回避することが出来る。従って、データ放送受信装置100のユーザは、取得されるコンテンツについて、コンテンツ制作者が意図したレイアウトで、且つより操作性を向上させた操作を行うことが出来る。
【0118】
上述した例では、BML等のデジタルデータ放送用のマークアップ言語で記述されるコンテンツを扱うデータ放送受信装置100を、本発明の情報処理装置の一具体例として説明した。しかしながら、この態様に限定されることなく、上述したオブジェクトと、オブジェクトに対応した処理とが規定され、ポインティングデバイスを用いた操作が可能なコンテンツについても、本発明のコンテンツの一例として扱ってよい。また、このようなコンテンツを処理するカーナビゲーション装置、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置についても、本発明の情報処理装置の一具体例となり得る。
【0119】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報処理装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0120】
100 データ放送受信装置、
110 受信部、
120 CPU、
121 コンテンツ処理部、
122 コンテンツ入出力部、
123 拡大処理部、
124 操作判定部、
130 メモリ、
140 入出力部、
141 ディスプレイ、
142 ポインティングデバイス、
200 表示画面、
210 ボタン、
220 部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの表示オブジェクトを規定するオブジェクト情報及び少なくとも一つの前記表示オブジェクトに対応するコマンドを規定するコマンド情報を含むコンテンツを取得する取得手段と、
前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力手段と、
前記表示画面上の座標を指定する操作の入力を受ける入力手段と、
前記操作の受付範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて前記コマンドを実行する処理手段と、
前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、対応する前記表示オブジェクトの表示範囲を含み、且つ対応する前記表示オブジェクトの表示範囲よりも大きな領域に設定する拡大手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記拡大手段は、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、前記コマンドに対応する前記表示オブジェクトとは異なる他の前記表示オブジェクトの表示範囲、及び前記コマンドとは異なる前記コマンドに対する前記操作の受付範囲とは重複しないよう、拡大することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記拡大手段は、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、前記コマンドに対応する前記表示オブジェクトの表示範囲に基づく範囲まで拡大することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記拡大手段は、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、前記コマンドに対応する前記表示オブジェクトに関連した表示を行う他の前記表示オブジェクトの表示範囲まで拡大することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コンテンツに含まれる前記オブジェクト情報及び前記コマンド情報を解析する解析手段を更に備え、
前記拡大手段は、前記解析手段による解析結果に基づいて、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を拡大することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
少なくとも一つの表示オブジェクトを規定するオブジェクト情報及び少なくとも一つの前記表示オブジェクトに対応するコマンドを規定するコマンド情報を含むコンテンツを取得する取得工程と、
前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力工程と、
前記表示画面上の座標を指定する操作の入力を受ける入力工程と、
前記操作の受付範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて前記コマンドを実行する処理工程と、
前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、対応する前記表示オブジェクトの表示範囲を含み、且つ対応する前記表示オブジェクトの表示範囲よりも大きな領域に設定する拡大工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
少なくとも一つの表示オブジェクトを規定するオブジェクト情報及び少なくとも一つの前記表示オブジェクトに対応するコマンドを規定するコマンド情報を含むコンテンツを取得する取得手段と、前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力手段と、前記表示画面上の座標を指定する操作の入力を受ける入力手段と、前記操作の受付範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて前記コマンドを実行する処理手段と、前記コマンドに対する前記操作の受付範囲を、対応する前記表示オブジェクトの表示範囲を含み、且つ対応する前記表示オブジェクトの表示範囲よりも大きな領域に設定する拡大手段とを備える情報処理装置に備えられるコンピュータを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、前記取得手段、前記出力手段、前記入力手段、前記処理手段及び前記拡大手段の少なくとも一部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータ読取可能な情報記録媒体であって、
少なくとも1つの描画オブジェクトを示すオブジェクト情報及び前記少なくとも1つの描画オブジェクトに対応する処理を規定する処理スクリプトを示すスクリプト情報の夫々を含むコンテンツを取得する取得手段と、前記コンテンツを表示画面上に表示する表示手段に対して、前記コンテンツを出力する出力手段と、前記描画オブジェクトの表示範囲を、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトに対する受け付け範囲に指定し、前記受け付け範囲に含まれる座標を指定する操作に応じて、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトを実行する処理手段と、前記オブジェクト情報により指定される前記描画オブジェクトの描画範囲と比較して、前記描画オブジェクトに対応する前記処理スクリプトの受け付け範囲を拡大する拡大手段とを備える情報処理装置に備えられるコンピュータにより読取可能なコンピュータプログラムが記録され、
前記コンピュータプログラムが前記コンピュータにより読み取られることで、該コンピュータを、前記取得手段、前記表示手段、前記出力手段、前記処理手段及び前記拡大手段の少なくとも一部として機能させることを特徴とする情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−247833(P2012−247833A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116879(P2011−116879)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】