説明

情報処理装置及び補正値複合方法及びプログラム

【課題】差動衛星測位方式による測位の精度を向上することを目的とする。
【解決手段】補正値生成局200において、基準局通信局210は各基準局100から観測値を収集する。生成局220は各基準局100の観測値を基に各基準局100の補正値を生成する。さらに複数種設定した基準局の組合せに対して、その組合せ内で各基準局の補正値を比較して基準局に依存する異常値を検出し除去する。さらに生成局220は、異常値が除去された補正値をその組合せ内で複合して高品質な複合補正値を生成する。移動局300または補正値生成局200は、移動局300の概略位置を囲むような基準局の組合せを抽出する。その組合せリストの中から、過去にその移動局300に対して配信した複合補正値の基準局組合せと比較して閾値以下の数だけ異なる基準局組合せを選択する。その複合補正値を移動局300に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DGPS(Differential Global Positioning System)を代表とする差動衛星測位方式における補正値パラメータ生成装置、測位装置および差動衛星測位方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
差動衛星測位方式の測位計算は、移動局受信機が行う観測値を用いた衛星測位計算の精度を向上する方式である。基準局受信機の観測値を用いて補正値を生成し、この補正値を移動局受信機の観測値に適用するのが基本的な方法である。補正値の種類は、各測位信号から得られる観測値に対する個別の補正値や、測位計算結果の座標値に対する補正値などあるが、ここでは観測値に対する補正値を対象とする。
【0003】
差動衛星測位方式の測位方法は、移動局受信機と基準局受信機が同じ測位信号を同時に観測することで、基準局受信機の観測値に含まれる誤差から移動局受信機の観測値に含まれる誤差を推定して補償するのが原理である。
ここで、基準局受信機は基準局受信機の設置座標と測位衛星の衛星軌道が既知である。従って、衛星軌道から測位衛星の座標を算出し、この既知である座標から求まる測位衛星と基準局受信機との距離と、基準局受信機の観測値から求まる測位衛星と基準局受信機との距離とを比較することで、基準局受信機の観測値に含まれる誤差を検出できる。
上記の原理から補正値を用いて高精度の測位を実現する為には移動局と基準局とが近接していることが必要になる。移動局と基準局との受信機間が離れていると、移動局と基準局とで測位信号の伝播経路が大きく異なり、互いの観測値に含まれる誤差成分の違いが大きく変化する為に、移動局受信機の観測値の誤差と基準局受信機の観測値の誤差とが一致しなくなるからである。
差動衛星測位方式用補正データの算出方式についての文献に特許文献1がある。
【特許文献1】特開2002−122652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、ある広い区域内で適切な補正値を供給する為には、複数の基準局を区域内に適切に配置する必要がある。そして移動局は、その区域内を移動する際に適切な基準局を順次選択して補正値を入手する必要がある。
しかし、要求精度を達成する為に配置すべき基準局数が、様々な制限により配置できないために、そのままでは要求精度が実現できない場合がある。
また、ある要求仕様の補正値を生成するように配置した基準局を、より高精度な仕様の補正値を生成する目的で使用したい場合がある。
また、移動しながら差動衛星測位方式による測位計算をする場合に、使用する基準局を切替えた際に、補正値の急な変動が発生して測位結果に大きな影響を与える場合がある。
【0005】
上記課題を解決する方法として、複数の基準局の補正値を複合した複合補正値を配信する方法がある。従来は、距離や仰角に依存する重み付けを適用した平均計算などを行う場合があった。
しかし、この方法は重み付けに用いる多様なパラメータを計算する必要があり、計算コストが大きい。また、各補正値の誤差を正確に把握していない為に補正値品質が管理できないという欠点があった。
【0006】
本発明は、例えば上記の課題を解決するためになされたもので、差動衛星測位方式による測位の精度を向上することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、
複数の測位衛星からの測位信号を観測する複数の基準局装置の各々について、測位衛星ごとに、観測値の誤差を補正するための補正値を生成する補正値生成部と、
各補正値について前記補正値生成部により生成された補正値の中で関連のある補正値との偏差を判定し、特定の補正値を有効補正値として選択する有効補正値選択部と、
前記有効補正値選択部により選択された有効補正値のうち測位衛星が共通する二以上の有効補正値を複合し、測位衛星ごとの複合補正値を算出する複合補正値算出部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の基準局装置の補正値を複合する際に、関連のある補正値間での偏差を判定し、異常な補正値を検出して排除するため、誤差を排除でき、精度の高い複合補正値を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1において、差動衛星測位方式の測位システムは、測位対象であり測位処理を行う移動局装置300(以下、単に移動局ともいう)と、1以上の測位衛星400の発信した測位信号410を観測する複数の基準局装置100(以下、単に基準局ともいう)と、補正値を生成する補正値生成局装置200(情報処理装置)(以下、単に補正値生成局ともいう)とを備える。
補正値生成局200と移動局300は通信回線500を経由して接続する。
基準局100は、基準局受信機110とアンテナ120と通信機130とを備える。
移動局300は、移動局受信機310とアンテナ320と通信機330とを備える。
基準局100は、測位衛星400が発信する測位信号410を、アンテナ120を経由して基準局受信機110が受信して測位衛星400とアンテナ120の間の距離を観測する。同様に移動局300も測位衛星400が発信する測位信号410を、アンテナ320を経由して移動局受信機310が受信して測位衛星400とアンテナ320の間の距離を観測する。
【0010】
補正値生成局200は、基準局通信局210と生成局220と回線通信局230とを備える。
基準局通信局210は、基準局100と通信するため手段である。
回線通信局230は、通信回線500を介して移動局300と通信するため手段である。
生成局220は、複数の擬似距離補正値(以下、単に補正値ともいう)から複合擬似距離補正値(以下、単に複合補正値ともいう)を生成する手段である。
【0011】
図2は、補正値生成局200の構成、特に、生成局220の内部構成例を示す。
図2において、補正値生成部221は、複数の基準局100の各々について、測位衛星400ごとに、観測値の誤差を補正するための補正値を生成する。
基準局選択部222は、複数の基準局100のうち、特定の移動局300を取り囲む位置にある複数の基準局100を選択基準局装置として選択する。
データベース223は、複数の基準局100の所在位置や測位衛星の軌道情報など、複合補正値を生成するために必要なデータを蓄積している。
有効補正値選択部224は、各補正値について補正値生成部221により生成された補正値の中で関連のある補正値との偏差を判定し、特定の補正値を有効補正値として選択する。有効補正値選択部224は、例えば、各補正値について、測位衛星が共通する複数の補正値との偏差を判定して、有効補正値を選択する。更には、有効補正値選択部224は、各補正値について、測位衛星が共通する複数の補正値との偏差を判定するとともに、基準局装置が共通する複数の補正値との偏差を判定して、有効補正値を選択する。
有効測位衛星選択部225は、有効補正値の選択結果に基づいて、複数の測位衛星400の中から特定の測位衛星を有効測位衛星として選択する。
複合補正値算出部226は、有効補正値選択部224により選択された有効補正値のうち測位衛星が共通する二以上の有効補正値を複合し、測位衛星ごとの複合補正値を算出する。複合補正値算出部226は、例えば、有効測位衛星選択部225により選択された有効測位衛星に対して、二以上の有効補正値を複合して複合補正値を算出する。
なお、各部の詳細な動作は、図面を参照しながら以下にて説明する。
【0012】
図3は、実施の形態1における差動衛星測位方法を示すフローチャートである。
差動衛星測位方法の1例について図3に基づいて以下に説明する。
【0013】
まず、測位対象である移動局300の概算座標を算出する(S101)。これは、例えば、各移動局300が自身の概算座標を算出することにより行われる。
ここで、移動局300の概算座標には、例えば移動局が、慣性航法装置を用いた慣性測位や、補正値を用いずにGPS衛星やGLONASS衛星などの測位衛星を用いた衛星測位などにより測位した結果の座標や、前回測位した時の座標などを利用する。
【0014】
また、各基準局100で、各測位衛星400が発信した測位信号を受信し、受信した測位信号から得られる情報(以下、観測値とする)を取得する。そして、各基準局で取得された観測値を補正値生成局200に収集する(S102)。
ここで、観測値には、例えば、測位信号を受信した局と測位信号を発信した測位衛星との距離を示す擬似距離や測位衛星の軌道情報などが含まれる。
【0015】
次に、補正値生成局200の補正値生成部221は、補正値パラメータの主要な一つである、擬似距離補正値を生成する(S103)(補正値生成ステップ)。
【0016】
基準局受信機のアンテナ位置は全て既知である。基準局ERP(I)が時刻tに受信した衛星SV(K)の観測値をPR(I、K、t)とする。この観測値PR(I、K、t)は、時刻tに受信した信号が発信された時刻の衛星SV(K)の位置と、時刻tの受信機位置との間の、距離の観測値である。
前記発信時刻における衛星SV(K)の位置を別途入手した衛星軌道パラメータを用いて計算することで、衛星SV(K)と基準局ERP(I)の間の幾何学距離ρ(I、K、t)が計算できる。観測値PR(I、K、t)と前記幾何学距離ρ(I、K、t)との差分が、補正値PRC(I、K、t)となる。
ρ(I、K、t)=PR(I、K、t)+PRC(I、K、t)
幾何学距離ρの算出における各種誤差要因の影響は、観測値PRに含まれる誤差に比較して軽微なので、幾何学距離ρ誤差は以降において検討から除外する。
【0017】
次に、補正値生成局200の基準局選択部222は、S101で算出した移動局の概算座標と既知である基準局の座標とに基づいて、複合する補正値に対応する複数の基準局を選択する(S104)。
【0018】
図4は、実施の形態1における補正値を配信する領域を含む平面図であり、緯度方向と経度方向に直交する座標系で該平面図上の位置を指定する。該平面図上に複数の基準局ERP(1)、ERP(2)、・・・、ERP(9)と移動局ROV(1)およびROV(2)が配置されている。
ここで、互いに近接する3以上の基準局ERPの位置を頂点とする多角形を該平面上に構成できる。これを基準局多角形Fとする。例えば、ERP(1)とERP(2)とERP(3)や、ERP(2)とERP(3)とERP(4)などで構成できる三角形や、ERP(1)とERP(2)とERP(3)とERP(4)や、ERP(3)とERP(4)とERP(5)とERP(6)などで構成できる四角形などが、この基準局多角形Fに該当する。
補正値PRCを配信する全領域を1以上の基準局多角形TRIが占めるように複数の基準局多角形F(1)、F(2)、・・・、F(P)を配置することは容易に実現可能である。そこで、移動局ROVの位置をその中に含む基準局多角形Fの内部にある複数の基準局ERPの補正値PRCを複合した複合補正値MPRCを移動局ROVに配信すると定義することが可能である。例えば、ERP(3)とERP(4)とERP(5)とERP(6)で構成される基準局多角形Fに含まれる基準局ERPは、前記4基準局にERP(7)を加えた5局になる。この基準局多角形Fが選択された場合は、前記5局の補正値を複合した複合補正値を配信することになる。
【0019】
複数の基準局多角形Fが移動局ROVの位置を含む場合は、後述する手順で適切な基準局多角形Fを選択し、複合に用いる複数の基準局ERPを選択する。
【0020】
次に、補正値生成局200の有効補正値選択部224は、有効な補正値を選択し、有効測位衛星選択部225は選択された有効な補正値に基づいて有効な測位衛星を選択し、また、複合補正値算出部226は、S104で選択した基準局毎にS103で生成した補正値を複合した複合補正値を算出する(S105)(有効補正値選択ステップ)(複合補正値算出ステップ)。
【0021】
まず、隣接基準局間の補正値特性相関と、基準局依存誤差について説明する。
基準局ERP(I)が自局の観測値に含まれる誤差を正確に推定することは困難であるが、隣接して配置されている基準局ERP(J)の同一観測値と比較することで、基準局ERP(I)または基準局ERP(J)に依存する観測値誤差を検出することができる。
【0022】
前記基準局依存誤差とは、基準局の周辺環境異常または基準局の個体差によって発生する誤差である。周辺環境異常とは、例えば基準局周辺の構造体と受信信号との干渉や、基準局周辺大気の温湿度変化などによる誤差であり、各衛星で誤差要因の影響が異なる為、個別の誤差が発生する。
補正値に含まれる前記基準局に依存する誤差は移動局の受信信号には含まれていないので、補正計算によって該誤差が移動局の観測量に加算され、その影響で測位誤差を発生してしまう。従って基準局に依存する誤差は補正値から排除する必要がある。
【0023】
図5は、実施の形態1における隣接基準局が受信する測位信号の伝搬経路の説明図である。
基準局ERP(1)およびERP(2)が地表に設置されており、衛星SV(1)から到来した測位信号を共通に受信する場合の測位信号の伝搬経路例を示している。
伝搬遅延に大きな影響をもつ電離層は、地上300km以上の領域に厚い層状として存在する。伝搬経路の距離が約100km以下であれば、伝搬経路間の遅延特性の相関が高いため、地上に配置した基準局ERP(1)およびERP(2)間の距離も100km程度の範囲であれば、衛星SV(1)の測位信号の伝搬遅延特性も相関が高いといえる。
また、この程度の距離にある基準局に於いては、衛星SV(1)に対する視線ベクタもほぼ同一と見なせるため、電離層を通過する距離もほぼ同一と見なせるので、測位信号の伝搬経路に依存する誤差の影響は類似していると見なせる。
即ち、隣接する基準局の補正値同士の差異が大きい場合は、どちらかの基準局の観測量に、基準局に依存する誤差が含まれている可能性がある。
【0024】
次に、基準局の個体差を原因とする前記基準局依存誤差の一つである受信機時計誤差を説明する。高精度の観測量を得る為には受信機時計の精度が必要である。通常は測位計算の際に時計誤差を同時に検出して補正するが、これを完全に除去することはできない。従って基準局が生成する補正値にも受信機時計誤差が含まれる。しかし、受信機時計誤差は全ての観測量に等しく発生するため、測位計算に使用する衛星全てに補正値を適用すれば補正値に含まれる時計誤差は除去できる。
しかし、基準局ERP(I)で観測されていない衛星SV(K)の補正値を別の基準局ERP(J)で生成し、基準局ERP(I)で観測されている衛星SV(A)の補正値PRC(I、A、t)と前記衛星SV(K)の補正値PRC(J、K、t)を同時に配信する場合には、基準局ERP(I)とERP(J)の受信機時計誤差が等しくないため、互いの受信機時計誤差が他方で観測した衛星の補正値の誤差になってしまう。従って、この場合は移動局の測位計算に於いて基準局ERP(I)およびERP(J)の受信機時計誤差を除去できない。
【0025】
前記複数の誤差条件への対策を施し、かつ簡易な手順で補正値の品質を改善する方式を図6を参照しながら以下に説明する。なお、図6に示すS1051‐S1055は、図3のS105の詳細である。
【0026】
基準局多角形Fに含まれる基準局をERP(1)、ERP(2)、・・・、ERP(N)とする。ここで、Nは基準局多角形Fに含まれる基準局数である。衛星は、SV(1)、SV(2)、・・・、SV(M)とする。ここでMは観測可能な最大衛星数である。また、時刻tにおいて基準局ERP(I)で観測されている衛星集合をSVL(I、t)とする。SVLは観測可能な衛星集合(SV(1)、SV(2)、・・・、SV(M))の部分集合になる。ここでPRC(I、K、t)は、基準局ERP(I)が時刻tにおいて生成するSV(K)の補正値である。
先ず、生成局220の有効補正値選択部224は、各衛星に対して以下の操作を行ってdPRC(I、K、t)を求める(S1051)。
dPRC(I,K,t)=PRC(I,K,t)-median(PRC(I,K,t)|I∈[1,N])
ここで、median(A)は、集合Aの中央値を意味する。また、(PRC(I、K、t)|I∈[1、N])は、基準局集合(ERP(1)、・・・、ERP(N))の各要素における、SV(K)の観測値に対する補正値の集合を意味する。
dPRC(I、K、t)は、ERP(I)における観測衛星集合(SV(K)|K∈SVL(I))の補正値集合の中央値と補正値PRC(I、K、t)との差分であり、この値の絶対値が大きいとSV(K)の補正値PRC(I、K、t)が低品質である可能性が高くなる。
【0027】
次に、生成局220の有効補正値選択部224は、以下の操作によりddPRC(I、K、t)を求める(S1052)。
ddPRC(I,K,t)=dPRC(I,K,t)-median(dPRC(I,K,t)|K∈SVL(I))
ここで、(PRC(I、K、t)|K∈SVL(I))は、ERP(I)における、観測衛星集合SVL(I)に対する補正値集合を意味する。
ddPRC(I、K、t)は、ERP(I)における、dPRC集合(dPRC(I、K、t)|K∈SVL(I))の中央値とdPRC(I、K、t)との差分であり、この値の絶対値が大きいと、SV(K)の補正値PRC(I、K、t)が低品質である可能性が高くなる。
【0028】
次に、生成局220の有効補正値選択部224は、abs(dPRC(I、K、t))とabs(ddPRC(I、K、t))が、各々所定の閾値THdとTHdd以上である場合に、PRC(I、K、t)の品質が低いと判定する。ここで、abs(A)は、Aの絶対値である。
つまり、生成局220の有効補正値選択部224は、算出した二種類の偏差がそれぞれ閾値THd未満かつTHdd未満であるPRC(I、K、t)を有効な補正値として選択する。
次に、生成局220の有効測位衛星選択部225が、ERP(I)において、abs(dPRC(I、K、t))<THd、かつ、abs(ddPRC(I、K、t))<THddである有効観測衛星集合をSVLv(I)とする(S1053)。
さらに、生成局220の有効測位衛星選択部225が、配信する衛星集合を得る為に、全基準局の有効観測衛星集合SVLvAを計算する(S1054)。
SVLvA=SVLv(1)∩SVLv(2)∩・・・∩SVLv(N)
【0029】
次に、生成局220の複合補正値算出部226が、複合補正値MPRC(K、t)を求める(S1055)。
時刻tにおける衛星SV(K)の複合補正値MPRC(K、t)は、以下の式で計算される。ここで、mean(A)は集合Aの平均値である。
(MPRC(K,t)|K∈SVLvA)=(mean(PRC(I,K,t)|I∈[1,N])|K∈SVLvA)
【0030】
最後に、補正値生成局および移動局は、S105で算出した複合補正値MPRCを用いて移動局位置の測位計算を行う(S106)。
複合補正値MPRCは通常の補正値PRCと同様に移動局の観測値PRに加算してPRに含まれている誤差を補償する。補償した観測値CPRを用いて測位計算を行うことで精度が向上する。
CPR(K、t)=PR(K、t)+MPRC(K、t)
【0031】
次に、以上の図6のS1051〜S1055の動作を、図7及び図8を参照し、例を用いて説明する。
【0032】
図7に示すように、例えば、基準局多角形Fに含まれる基準局としてERP(1)、ERP(2)、ERP(3)の3局が、図3のS104の処理で選択されたとする。また、時刻tにおいて、これら3局が測位信号を観測可能な測位衛星が、SV(A)、SV(B)、SV(C)、SV(D)の4機であるとする。
なお、図7及び図8では、時刻tを固定して処理内容を説明している。このため、dPRC(I、K、t)やddPRC(I、K、t)からパラメータtの記載を省略可能であり、図7及び図8ではdPRC(I、K)、ddPRC(I、K)というようにパラメータtを省略して表記する。
【0033】
先ず、図7の1)に示すように、生成局220の有効補正値選択部224が、dPRC(I、K)を導出する。これは、図6のS1051に対応する。
ここでは、測位衛星が共通する複数の補正値の集合から、測位衛星が共通する複数の補正値の中央値を算出し、各補正値について、測位衛星が共通する複数の補正値の中央値に対する偏差を判定する。
つまり、測位衛星が共通する複数の補正値PRC(I、K)について、中央値からの偏差dPRC(I、K)を算出する。
ここで、PRC(1、A)は基準局ERP(1)の測位衛星(A)についての補正値であり、PRC(2、A)は基準局ERP(2)の測位衛星(A)についての補正値であり、PRC(3、A)は基準局ERP(3)の測位衛星(A)についての補正値である。他についても同様である。
図7の1)の例では、測位衛星SV(A)の場合、補正値の集合PRC(I、A)(つまり、PRC(1、A)、PRC(2、A)、PRC(3、A))の中央値を算出し、各補正値について、算出した中央値からの偏差をdPRC(I、A)として算出する。
他の測位衛星SV(B)、SV(C)、SV(D)についても同様に、dPRC(I、B)、dPRC(I、C)、dPRC(I、D)を算出する。
【0034】
次に、図7の2)に示すように、生成局220の有効補正値選択部224が、ddPRC(I、K)を導出する。これは、図6のS1052に対応する。
ここでは、図7の1)で判定した各補正値の中央値に対する偏差に基づいて、基準局が共通する複数の補正値間での偏差の中央値を算出し、各補正値について、基準局が共通する複数の補正値間での偏差の中央値に対する偏差を判定する。
つまり、基地局が共通する複数の偏差dPRC(I、K)について、当該偏差の中央値からの偏差ddPRC(I、K)を算出する。
図7の2)の例では、基準局ERP(1)の場合、偏差の集合dPRC(1、K)(つまり、dPRC(1、A)、dPRC(1、B)、dPRC(1、C)、dPRC(1、D))の中央値を算出し、各偏差について、算出した中央値からの偏差をddPRC(1、K)として算出する。
他の基準局ERP(2)、ERP(3)についても同様に、ddPRC(2、K)、ddPRC(3、K)を算出する。
【0035】
次に、図8の3)に示すように、生成局220の有効補正値選択部224が、abs(dPRC(I、K))<THd、かつ、abs(ddPRC(I、K))<THddである有効観測衛星集合SVLv(I)を選択し、更に、生成局220の有効測位衛星選択部225が、SVLvAを導出する。これは、図6のS1053及びS1054に対応する。
ここでは、図8の3)に示すように、有効補正値選択部224は、abs(dPRC(I、K))<THd、かつ、abs(ddPRC(I、K))<THddである補正値PRC(I、K)を選択する。
例えば、PRC(2、B)、PRC(2、D)、PRC(3、D)以外の補正値はこの条件を満たしているとする。
このため、基準局ERP(1)については、すべての測位衛星の補正値が条件を満たしているため、有効観測衛星集合SVLv(1)には、測位衛星SV(A)〜SV(D)となる。
基準局ERP(2)については、測位衛星SV(B)とSV(D)の補正値が条件を満たさないため、有効観測衛星集合SVLv(2)には、測位衛星SV(A)とSV(C)のみが含まれる。
基準局ERP(3)については、測位衛星SV(D)の補正値が条件を満たさないため、有効観測衛星集合SVLv(3)には、測位衛星SV(A)〜SV(C)のみが含まれる。
そして、SVLvA=SVLv(1)∩SVLv(2)∩SVLv(3)であるから、全基準局での有効観測衛星集合SVLvAには、測位衛星SV(A)とSV(C)が含まれる。
このため、図8の例では、有効測位衛星選択部225は、測位衛星SV(A)とSV(C)を有効測位衛星として選択する。
【0036】
次に、図8の4)に示すように、生成局220の複合補正値算出部226が、複合補正値MPRC(K)を算出する。これは、図6のS1055に対応する。
図8の3)において、測位衛星SV(A)とSV(C)が有効測位衛星として選択されたので、測位衛星SV(A)については補正値PRC(I、A)の平均値、つまりPRC(1、A)、PRC(2、A)、PRC(3、A)の平均値が複合補正値MPRC(A)として算出される。
同様に、測位衛星SV(C)については補正値PRC(I、C)の平均値、つまりPRC(1、C)、PRC(2、C)、PRC(3、C)の平均値が複合補正値MPRC(C)として算出される。
【0037】
次に、図3のS104で示した複数の基準局多角形TRIから適切な基準局多角形Fを選択する方法を示す。
図4において、移動体がROV(1)からROV(2)に移動する場合にROV(2)に対する複合補正値を計算する際の基準局を含む基準局多角形Fを対象として考える。移動体がROV(1)に位置していた場合に選択された基準局多角形Fは基準局ERP(1)とERP(2)とERP(3)を頂点とする三角形であるとする。該基準局多角形を、その多角形に含まれる基準局番号を引数として、F(1、2、3)と記述する。
ROV(2)を含む基準局多角形は複数あるが、含まれる基準局数が少ない基準局多角形をいくつか示すと以下になる。
F(2、3、4)
F(1、2、3、4)
F(2、3、4、7)
F(1、2、3、4、7)
【0038】
上記複合補正値MPRCを用いることで基準局依存誤差を軽減することが可能であるが、これを完全に除去することは困難である。各基準局が生成する補正値に基準局依存誤差が残っていると仮定した場合に、複合対象となる基準局リストがなるべく変化しないように切替えていくことが望ましい。複合対象の変化が少なければ、複合補正値に含まれる基準局依存誤差の変動も少なくなり、複合対象を切替えた際の測位結果変動が少なくなるからである。
受信機時計誤差を適切に補償するためには複合対象となる基準局全てで観測される必要があるため、複合補正値を提供する衛星数を確保する観点からは、基準局多角形は小さい方が望ましい。つまり複合対象となる基準局数が少ない方が望ましい。
【0039】
この2つの選択基準を用いると、F(1、2、3)から変化が少ない基準局多角形はF(1、2、3、4)となる。この場合に前時刻の基準局リストと比較して異なる基準局の数dFを1と定義する。同一の基準局多角形を選択した場合のdFは0となる。また、基準局多角形F(2、3、4)を選択した場合のdFは2となる。
さらに、移動体がROV(3)に移動する場合は、基準局ERP(1)からの距離が遠くなる為、衛星数を確保する為に基準局多角形F(2、3、4)を選択するのが最適となる。この場合のdFは1となる。
【0040】
基準局多角形を切替えると複合補正値が変動するため、基準局多角形を頻繁に変更することは望ましくない。このため、過去の時間差が閾値TdT以下となる時刻のdFの積算値SdFを算出し、これが0の場合にのみ基準局多角形の変更が可能とする。
ここで、「過去の時間差」とは、現在から特定の過去の時刻までの時間差という意味である。つまり「過去の時間差が閾値TdT以下となる時刻」とは、現在時刻がTCであれば、TC−TdTからTCまでの時間を指す。
この範囲内の時間において何回か基準局多角形を切替えた場合に、個々の切替えに対してdFが定義できるため、SdFは、TC−TdTからTCまでの時間に発生したdFの積算値である。
そして、積算値SdFが0の場合にのみ基準局多角形の変更が可能とすることで、基準局多角形の切替回数を最低限に抑え、複合補正値の変動を抑える。
【0041】
この方式を図9のフローチャートを用いて説明する。なお、図9に示す処理は、生成局220の基準局選択部222において行われる。
先ず、過去の時間差が閾値TdT以下となる時刻のdFの積算値SdFを算出する(S401)。
SdFが0でない場合は、前時刻と同じ基準局多角形(現在選択されている基準局多角形)を選択して手順を終了する(S402)。
次に移動局が含まれる基準局多角形のリストFLAを生成する(S403)。このリストFLAとは、例えば、図4に示すROV(2)を含む基準局多角形の場合、前記したF(2、3、4)、F(1、2、3、4)、F(2、3、4、7)、F(1、2、3、4、7)が相当する。
次に、基準局多角形Fに含まれる基準局リストが、前時刻に用いた基準局多角形Fに含まれる基準局リストとの異なる局数dFをFLAに対して算出する(S404)。
前記dFが閾値TdF以下となる基準局多角形リストFLBを前記基準局多角形のリストFLAから抽出する(S405)。
次に、移動局の概略位置と前記抽出した基準局多角形リストFLBに含まれる、基準局多角形に含まれる各基準局との距離BLを全て算出する。
次に各基準局多角形で前記距離BLの最大値BLMを算出し、該BLMが閾値TBL以下となる基準局多角形リストFLCを前記抽出した基準局多角形リストFLBから抽出する(S406)。
FLBの中でdFが最小となる基準局多角形がFLCに含まれている場合はこれを選択する(S407)。
FLBの中で最小となるdFが0でなく、かつFLCに含まれていない場合はこれを選択する(S408)。
FLBの中で最小となるdFが0であり、かつFLCに含まれていない場合に、次に最小となるdFがFLCに含まれている場合はこれを選択する(S409)。
前記条件に合致しない場合は、前時刻と同じ基準局多角形(現在選択されている基準局多角形)を選択して手順を終了する(S410)。
なお、ステップS402及びS410では、移動局の移動の結果移動局が前時刻の基準局多角形(現在選択されている基準局多角形)内に所在していない場合、つまり、前時刻の基準局多角形が移動局を取り囲んでいない場合でも、前時刻の基準局多角形を選択する。このため、ステップS402及びS410においては、移動局を取り囲んでいないが、移動局の近傍に位置する基準局から構成される基準局多角形(前時刻の基準局多角形)を選択する場合がある。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、複合に用いる基準局の組合せにおいて、各衛星の補正値を基準局間で比較することで基準局に依存する誤差を検出し、誤差を排除することで、精度の高い複合補正値を得ることができる。
特に、複合に用いる基準局の組合せにおいて、各衛星の補正値の中央値からの偏差の絶対値が閾値以上となる補正値を複合対象から除去し、更に、各衛星の補正値の中央値からの偏差を基準局別に収集しその中央値からの偏差の絶対値が閾値以上となる補正値を複合対象から除去し、全ての基準局で補正値が生成されている衛星の補正値だけを複合対象とすることで、精度の高い複合補正値を算出することができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、測位対象が複合補正値の有効範囲から外れた際に新しく複合対象となる基準局を選定する際に、補正値変化を滑らかにすることができる。
また、複数の基準局で構成される基準局網において、配信する補正値は基準局網内の近接する複数の基準局の補正値を複合して配信するようにしている。
また、複合に用いる基準局の組合せは事前に設定されており、全ての基準局は2つ以上の基準局組合せに含まれる。
更に、複合に用いる基準局の組合せが生成する複合補正値は、基準局周辺の平面図において、組合せに含まれる基準局によって囲われる範囲およびその近傍に位置する移動局に対して適用している。
また、各移動局に配信される複合補正値を生成する基準局の組合せは、直前にその移動局に配信された複合補正値を生成する基準局の組合せと閾値以下の数だけ異なるようにしている。
また、各移動局に配信される複合補正値を生成する基準局の組合せの変化は、配信時刻以前の閾値内時刻において閾値以下である。
【0044】
以上のように、本実施の形態では、複数の測位衛星からの測位信号を観測する複数の基準局装置の各々について、測位衛星ごとに、観測値の誤差を補正するための補正値を生成する補正値生成部と、各補正値について補正値生成部により生成された補正値の中で関連のある補正値との偏差を判定し、特定の補正値を有効補正値として選択する有効補正値選択部と、有効補正値選択部により選択された有効補正値のうち測位衛星が共通する二以上の有効補正値を複合し、測位衛星ごとの複合補正値を算出する複合補正値算出部とを有する補正値生成局(情報処理装置)について説明した。
【0045】
また、本実施の形態では、有効補正値選択部は、各補正値について、測位衛星が共通する複数の補正値との偏差を判定して、有効補正値を選択することを説明した。
【0046】
また、本実施の形態では、有効補正値選択部は、各補正値について、測位衛星が共通する複数の補正値との偏差を判定するとともに、基準局装置が共通する複数の補正値との偏差を判定して、有効補正値を選択することを説明した。
【0047】
また、本実施の形態では、補正値生成局(情報処理装置)は、更に、複数の基準局装置のうち、特定の移動局装置を取り囲む位置にある複数の基準局装置を選択基準局装置として選択する基準局選択部を有し、有効補正値選択部は、選択基準局装置に対応する各補正値について前記補正値生成部により生成された補正値の中で関連のある補正値との偏差を判定し、特定の補正値を有効補正値として選択することを説明した。
【0048】
また、本実施の形態では、複数の測位衛星からの測位信号を観測する複数の基準局装置の各々について、測位衛星ごとに、観測値の誤差を補正するための補正値を生成する補正値生成部と、複数の基準局装置のうち、特定の移動局装置を取り囲む位置にある複数の基準局装置を選択基準局装置として選択する基準局選択部と、基準局選択部により選択された選択基準局装置について生成された補正値を、測位衛星ごとに複合し、測位衛星ごとの複合補正値を算出する複合補正値算出部とを有し、基準局選択部が、移動局装置が移動した場合に、前記移動局装置を取り囲む位置にある基準局装置のうち現在の選択基準局装置の構成から変化する基準局装置の数が一定数以下となる複数の基準局装置を新たな選択基準局装置として選択する補正値生成局(情報処理装置)について説明した。
【0049】
実施の形態2.
実施の形態2では、上記実施の形態1で説明した測位方法を実行するシステムの別の例について説明する。
【0050】
実施の形態2における測位システムの構成図は図1に示したものと同様である。
補正値生成局200の構成例は、図10に示す通りである。
本実施の形態においては、図2と比較して、複合補正値算出部226により算出された複合補正値の中から特定の複合補正値を選択する複合補正値選択部227が追加されている。その他の要素は、図2と同じなので、説明を省略する。
【0051】
また、図11は、実施の形態2における補正値生成局と移動局のフローチャートである。補正値生成局のフローチャートには基準局の動作が含まれる。
以下、図11に基づいて説明する。
【0052】
基準局100が測位信号410を受信して得た観測値は、通信機130を経由して補正値生成局200に伝送される。補正値生成局200は基準局通信局210を経由して複数の基準局100で得た観測値を収集する(S601)。
収集した観測値を用いて生成局220の補正値生成部221で各基準局の補正値を生成する(S602)(補正値生成ステップ)。
実施の形態1に示した手順により、S602で生成した各基準局の補正値を用いて、有効補正値選択部224が有効な補正値を選択し、有効測位衛星選択部225は選択された有効な補正値に基づいて有効な測位衛星を選択し、複合補正値算出部226が、複数の基準局補正値を複合して算出する複数の複合補正値を生成する(S603)(有効補正値選択ステップ)(複合補正値算出ステップ)。本実施の形態では、近接する基地局の組合せを複数設定しておき(実施の形態1の基準局多角形を複数設定しておき)、複数種設定した基準局の組合せのそれぞれに対して、実施の形態1に示した手順にて、有効な補正値を選択し、有効な測位衛星を選択して、複合補正値を算出する。
移動局300の移動局受信機310は、測位信号410を受信して得た観測値を用いてアンテナ320の位置の測位計算を行う(S606)。
移動局300は、S606で算出したアンテナ320の概略位置を、通信機330経由で補正値生成局200に伝送する(S607)。補正値生成局200の生成局220は、回線通信局230経由で移動局300の概略位置を入手する(S604)。
生成局220の基準局選択部222は、S604で入手した移動局300の概略位置に基づいて、実施の形態1に示した手順を用いて移動局300を取り囲む基準局多角形を選択し、複合補正値選択部227が、選択された基準局多角形に含まれる基準局についての複合補正値を選択し、回線通信局230経由で移動局300に対して伝送する(605)。
移動局300は通信機330経由で複合補正値を入手する(S608)。
移動局300の移動局受信機は、測位信号410を受信して得た観測値とS608で入手した複合補正値を用いてアンテナ320の位置を測位計算する。
補正値生成局200の動作において、S604およびS605は、複数の移動局300に対して個別の動作を行う必要がある。従って接続されている移動局300の数だけの並列処理を行うことになる。
【0053】
このように、本実施の形態では、複数の基準局装置のうち、特定の移動局装置を取り囲む位置にある複数の基準局装置を選択基準局装置として選択する基準局選択部と、複合補正値算出部により算出された複合補正値のうち選択基準局装置に対応する複合補正値を移動局装置に対する複合補正値として選択する複合補正値選択部とを有する補正値生成局(情報処理装置)について説明した。
【0054】
実施の形態3.
実施の形態3では、上記実施の形態1で説明した測位方法を実行するシステムの別の例について説明する。
【0055】
図12は、実施の形態3における測位システムの構成図である。
本実施の形態に係る補正値生成局200の構成は図10に示したものと同様である。
また、図13および図14は、実施の形態3における補正値生成局と移動局のフローチャートである。補正値生成局のフローチャートには基準局の動作が含まれる。
【0056】
図12において、測位システムは、基準局100、補正値生成局200、移動局300を備え、測位衛星400を利用する。補正値生成局200と移動局300は通信回線または放送網500を経由して接続する。
基準局100は基準局受信機110とアンテナ120と通信機130とを備える。
補正値生成局200は基準局通信局210と生成局220と回線通信局230とを備える。
移動局300は移動局受信機310とアンテナ320と通信機330と補正値選択機340を備える。
【0057】
以下、図13に基づいて説明する。
基準局100が測位信号410を受信して得た観測値は、通信機130を経由して補正値生成局200に伝送される。補正値生成局200は基準局通信局210を経由して複数の基準局100で得た観測値を収集する(S801)。
収集した観測値を用いて生成局220の補正値生成部221で各基準局の補正値を生成する(S802)(補正値生成ステップ)。
実施の形態1に示した手順により、S802で生成した各基準局の補正値を用いて、有効補正値選択部224が有効な補正値を選択し、有効測位衛星選択部225は選択された有効な補正値に基づいて有効な測位衛星を選択し、複合補正値算出部226が、複数の基準局補正値を複合して算出する複数の複合補正値を生成する(S803)(有効補正値選択ステップ)(複合補正値算出ステップ)。
本実施の形態では、近接する基地局の組合せを複数設定しておき(実施の形態1の基準局多角形を複数設定しておき)、複数種設定した基準局の組合せのそれぞれに対して、実施の形態1に示した手順にて、有効な補正値を選択し、有効な測位衛星を選択して、複合補正値を算出する。
移動局300の移動局受信機310は、測位信号410を受信して得た観測値を用いてアンテナ320の位置の測位計算を行う(S806)。
移動局300の補正値選択機340は、S806で算出したアンテナ320の概略位置に基づいて、実施の形態1に示した手順(図9)を用いて、自身を取り囲む基準局多角形を選択し、選択した基準局多角形に含まれる基準局についての複合補正値を選択し、通信機330経由で補正値生成局200に伝送する(S807)。
補正値生成局200の生成局220は、回線通信局230経由で移動局300が要求する複合補正値の選択を入手する(S804)。
生成局220では、複合補正値選択部227が、S804で入手した移動局300の複合補正値の選択に基づいて複合補正値を選択し、回線通信局230経由で移動局300に対して伝送する(S805)。
移動局300は通信機330経由で複合補正値を入手する(S808)。
移動局300の移動局受信機は、測位信号410を受信して得た観測値とS808で入手した複合補正値を用いてアンテナ320の位置を測位計算する(S809)。
補正値生成局200の動作において、S704およびS705は、複数の移動局300に対して個別の動作を行う必要がある。従って接続されている移動局300の数だけの並列処理を行うことになる。
【0058】
以下、図14に基づいて説明する。
基準局100が測位信号410を受信して得た観測値は、通信機130を経由して補正値生成局200に伝送される。
補正値生成局200は基準局通信局210を経由して複数の基準局100で得た観測値を収集する(S901)。
収集した観測値を用いて生成局220の補正値生成部221で各基準局の補正値を生成する(S902)(補正値生成ステップ)。
S902で生成した各基準局の補正値を用いて、有効補正値選択部224が有効な補正値を選択し、有効測位衛星選択部225は選択された有効な補正値に基づいて有効な測位衛星を選択し、複合補正値算出部226が、複数の基準局補正値を複合して算出する複数の複合補正値を生成する(S903)(有効補正値選択ステップ)(複合補正値算出ステップ)。
移動局300の移動局受信機310は、測位信号410を受信して得た観測値を用いてアンテナ320の位置の測位計算を行う(S905)。
移動局300の補正値選択機340は、S905で算出したアンテナ320の概略位置に基づいて、実施の形態1に示した手順を用いて複合補正値を選択する(S906)。
生成局220は全ての複合補正値を回線通信局230と放送網500を経由して複数の移動局300に対して放送する(S904)。
移動局300はS906で選択した複合補正値を、通信機330を経由して入手する(S907)。
移動局300の移動局受信機は、測位信号410を受信して得た観測値とS907で入手した複合補正値を用いてアンテナ320の位置を測位計算する(S908)。
補正値生成局200の動作において、S904は複数の移動局300に対して全ての複合補正値を放送する。移動局300は、個別に放送内容から自局が選択した複合補正値を入手可能である。
【0059】
上記実施の形態1〜3において、上記実施の形態1で説明した測位方法を実行するシステムの一例について説明した。但し、測位システムの構成は、上記実施の形態1〜3で説明した構成に限らない。また、測位システムの処理の流れは、上記実施の形態1〜3で説明した処理の流れに限らない。
例えば、補正値生成局200は複数設置してもよい。その場合は、移動局300が適切な補正値生成局200を選択して、選択した補正値生成局200から複合補正値を受信する。
また例えば、複数の補正値生成局200と各補正値生成局200を管理する主補正値生成局を設置してもよい。その場合は、移動局300は主補正値生成局に問い合わせ、主補正値生成局は移動局300からの問い合わせに対して適切な補正値生成局200を選択し、移動局300は主補正値生成局が選択した補正値生成局200から複合補正値を受信する。または、移動局300が主補正値生成局に問い合わせると主補正値生成局は適切な補正値生成局を選択して選択した補正値生成局の補正値だけを移動局300に配信する。
また例えば、各基準局100は補正値を生成し、補正値生成局200は各基準局100が生成した補正値を収集し、収集した補正値を元に基準局の選択、補正値の複合をしてもよい。
【0060】
また、上記の実施の形態1〜3では、基準局100と補正値生成局200は、別の装置としていたが、基準局100が補正値生成局200の機能を併せもつようにしてもよい。
【0061】
上記の各実施の形態において、複数の基準局が生成する補正値や基準局および移動局の観測値を併用することで、移動局から基準局までの距離が要求より長い場合でも精度を確保する方法について説明した。これは、複数の基準局が生成する補正値や基準局および移動局の観測値の間に、空間的な相関がある事を利用した方法で、複数の基準局の補正値や観測値を適切に組み合わせることで、基準局から離れた場所でも要求精度を達成可能な補正値を得る方法である。
そこで、移動局が当該区域内を移動する際に、当該区域内の任意の地点で要求精度を達成できる補正値を得る複合補正値計算方式について説明した。
また、差動衛星測位方式の計算結果に不連続が発生しないように補正値を得るための複数基準局の選択方式について説明した。
【0062】
図15は、各実施の形態における基準局100、補正値生成局200、移動局300のハードウェア構成図である。
図15において、基準局100、補正値生成局200、移動局300は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)911を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続されている。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915はLAN、インターネット、放送波受信機等に接続される。また、通信ボード915は情報入力部、出力部の一例である。
【0063】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム(OS)921、プログラム群922、ファイル群923が記憶されている。プログラム群922は、CPU911、OS921により実行される。
【0064】
上記プログラム群922には、各実施の形態の説明において「〜部」、「〜局」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群923には、各実施の形態の説明において、「〜を判定し」、「〜を判定した結果」、「〜を計算し」、「〜を計算した結果」、「〜を処理し」、「〜を処理した結果」のような表現で説明する結果情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリになどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示・抽出のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、各実施の形態の説明において、フローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0065】
また、各実施の形態の説明において「〜部」、「〜局」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「手段」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」、「〜局」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、以下に述べる「〜部」、「〜局」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、以下に述べる「〜部」、「〜局」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施の形態1における測位システムの構成図。
【図2】実施の形態1における補正値生成局の構成例を示す図。
【図3】実施の形態1における差動衛星測位方法を示すフローチャート。
【図4】補正値を配信する領域、基準局配置、移動局配置を含む平面図。
【図5】隣接基準局が受信する測位信号の伝搬経路の誤差要因説明図。
【図6】複合補正値の算出手順を示すフローチャート。
【図7】複合補正値の算出手順の例を示す図。
【図8】複合補正値の算出手順の例を示す図。
【図9】補正値を複合する基準局組合せを選択する方式のフローチャート。
【図10】実施の形態2における補正値生成局の構成例を示す図。
【図11】実施の形態2における補正値生成局と移動局のフローチャート。
【図12】実施の形態3における測位システムの構成図。
【図13】実施の形態3における補正値生成局と移動局のフローチャート。
【図14】実施の形態3における補正値生成局と移動局のフローチャート。
【図15】各実施の形態における基準局、補正値生成局、移動局のハードウェア構成図。
【符号の説明】
【0067】
100 基準局、110 基準局受信機、120 アンテナ、130 通信機、200 補正値生成局、210 基準局通信局、220 生成局、221 補正値生成部、222 基準局選択部、223 データベース、224 有効補正値選択部、225 有効測位衛星選択部、226 複合補正値算出部、227 複合補正値選択部、230 回線通信局、300 移動局、310 移動局受信機、320 アンテナ、330 通信機、340 補正値選択機、400 測位衛星、410 測位信号、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 プログラム群、923 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測位衛星からの測位信号を観測する複数の基準局装置の各々について、測位衛星ごとに、観測値の誤差を補正するための補正値を生成する補正値生成部と、
各補正値について前記補正値生成部により生成された補正値の中で関連のある補正値との偏差を判定し、特定の補正値を有効補正値として選択する有効補正値選択部と、
前記有効補正値選択部により選択された有効補正値のうち測位衛星が共通する二以上の有効補正値を複合し、測位衛星ごとの複合補正値を算出する複合補正値算出部とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記有効補正値選択部は、
各補正値について、測位衛星が共通する複数の補正値との偏差を判定して、有効補正値を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記有効補正値選択部は、
各補正値について、測位衛星が共通する複数の補正値との偏差を判定するとともに、基準局装置が共通する複数の補正値との偏差を判定して、有効補正値を選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記有効補正値選択部は、
測位衛星が共通する複数の補正値の集合から、測位衛星が共通する複数の補正値の中央値を算出し、
測位衛星が共通する複数の補正値との偏差として、各補正値について、測位衛星が共通する複数の補正値の中央値に対する偏差を判定し、
更に、判定した各補正値の中央値に対する偏差に基づいて、基準局装置が共通する複数の補正値間での偏差の中央値を算出し、
基準局装置が共通する複数の補正値との偏差として、各補正値について、基準局装置が共通する複数の補正値間での偏差の中央値に対する偏差を判定し、
補正値の中央値に対する偏差と偏差の中央値に対する偏差がいずれも一定レベル以下の補正値を有効補正値として選択することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、更に、
有効補正値の選択結果に基づいて、前記複数の測位衛星の中から特定の測位衛星を有効測位衛星として選択する有効測位衛星選択部を有し、
前記複合補正値算出部は、
選択された有効測位衛星に対して、二以上の有効補正値を複合して複合補正値を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記有効測位衛星選択部は、
対応する補正値のうち一定数以上の補正値が有効補正値として選択されている測位衛星を有効測位衛星として選択することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記有効測位衛星選択部は、
対応する補正値のうちのすべての補正値が有効補正値として選択されている測位衛星を有効測位衛星として選択することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、更に、
前記複数の基準局装置のうち、特定の移動局装置を取り囲む位置にある複数の基準局装置を選択基準局装置として選択する基準局選択部を有し、
前記有効補正値選択部は、
選択基準局装置に対応する各補正値について前記補正値生成部により生成された補正値の中で関連のある補正値との偏差を判定し、特定の補正値を有効補正値として選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理装置は、更に、
前記複数の基準局装置のうち、特定の移動局装置を取り囲む位置にある複数の基準局装置を選択基準局装置として選択する基準局選択部と、
前記複合補正値算出部により算出された複合補正値のうち選択基準局装置に対応する複合補正値を前記移動局装置に対する複合補正値として選択する複合補正値選択部とを有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、更に、
特定の移動局装置から、前記複数の基準局装置の中から選択された選択基準局装置を示す選択基準局通知を受信する受信部と、
選択基準局通知に従い、前記複合補正値算出部により算出された複合補正値のうち選択基準局装置に対応する複合補正値を前記移動局装置に対する複合補正値として選択する複合補正値選択部とを有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記基準局選択部は、
前記移動局装置が移動した場合に、前記移動局装置を取り囲む位置にある基準局装置のうち現在の選択基準局装置の構成から変化する基準局装置の数が一定数以下となる複数の基準局装置を新たな選択基準局装置として選択することを特徴とする請求項8又は9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記基準局選択部は、
前記移動局装置が移動した場合に、一定時間の間に基準局装置の変化数が一定数以上となる選択基準局装置の構成の変化があったか否かを判断し、
当該変化があった場合は、現在の選択基準局装置の構成を維持し、
当該変化がない場合は、前記移動局装置の近傍に位置する基準局装置のうち現在の選択基準局装置の構成から基準局装置が変化する数が一定数以下となる複数の基準局装置を新たな選択基準局装置として選択することを特徴とする請求項8又は9に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記基準局選択部は、
前記移動局装置の近傍に位置する基準局装置のうち現在の選択基準局装置の構成から基準局装置が変化する数が一定数以下となる複数の基準局装置であって、前記移動局装置との間の最大距離が一定距離以下となる複数の基準局装置を新たな選択基準局装置として選択することを特徴とする請求項11又は12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記基準局選択部は、
前記移動局装置を取り囲む位置にある3つ以上の基準局装置で構成される複数の基準局多角形FLAを抽出し、
抽出した複数の基準局多角形FLAの中から、現在の選択基準局装置の構成から基準局装置が変化する数が一定数以下となる一つ以上の基準局多角形FLBを選択し、
選択した基準局多角形FLBの各々について基準局多角形を構成する基準局装置の各々と前記移動局装置との間の距離を算出し、選択した基準局多角形FLBごとに前記移動局装置との間の最大距離を抽出し、前記移動局装置との間の最大距離が一定距離以下となる一つ以上の基準局多角形FLCを選択し、
選択した基準局多角形FLCの中から、現在の選択基準局装置の構成から基準局装置が変化する数が最も少ない基準局多角形を選択し、選択した基準局多角形に含まれる3つ以上の基準局装置を選択基準局装置として選択し、
他方、基準局多角形FLBの中で現在の選択基準局装置の構成に対する基準局装置の変化数が最小の基準局多角形が基準局多角形FLCに含まれず、基準局多角形FLBの中で現在の選択基準局装置の構成に対する基準局装置の変化数の最小値が0であり、基準局多角形FLBの中で現在の選択基準局装置の構成に対する基準局装置の変化数が次に小さい基準局多角形が基準局多角形FLCに含まれない場合に、現在の選択基準局装置を再度選択基準局装置として選択することを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
複数の測位衛星からの測位信号を観測する複数の基準局装置の各々について、測位衛星ごとに、観測値の誤差を補正するための補正値を生成する補正値生成部と、
前記複数の基準局装置のうち、特定の移動局装置を取り囲む位置にある複数の基準局装置を選択基準局装置として選択する基準局選択部と、
前記基準局選択部により選択された選択基準局装置について生成された補正値を、測位衛星ごとに複合し、測位衛星ごとの複合補正値を算出する複合補正値算出部とを有し、
前記基準局選択部は、
前記移動局装置が移動した場合に、前記移動局装置を取り囲む位置にある基準局装置のうち現在の選択基準局装置の構成から変化する基準局装置の数が一定数以下となる複数の基準局装置を新たな選択基準局装置として選択することを特徴とする情報処理装置。
【請求項16】
複数の測位衛星からの測位信号を観測する複数の基準局装置の各々について、測位衛星ごとに、観測値の誤差を補正するための補正値を生成する補正値生成部と、
前記補正値生成部により生成された補正値のうち測位衛星が共通する二以上の補正値を複合し、測位衛星ごとの複合補正値を算出する複合補正値算出部と、
前記複数の基準局装置のうち、特定の移動局装置を取り囲む位置にある複数の基準局装置を選択基準局装置として選択する基準局選択部と、
前記複合補正値算出部により算出された複合補正値のうち選択基準局装置に対応する複合補正値を前記移動局装置に対する複合補正値として選択する複合補正値選択部とを有し、
前記基準局選択部は、
前記移動局装置が移動した場合に、前記移動局装置を取り囲む位置にある基準局装置のうち現在の選択基準局装置の構成から変化する基準局装置の数が一定数以下となる複数の基準局装置を新たな選択基準局装置として選択することを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
前記基準局選択部は、
前記移動局装置が移動した場合に、一定時間の間に基準局装置の変化数が一定数以上となる選択基準局装置の構成の変化があったか否かを判断し、
当該変化があった場合は、現在の選択基準局装置の構成を維持し、
当該変化がない場合は、前記移動局装置を取り囲む位置にある基準局装置のうち現在の選択基準局装置の構成から基準局装置が変化する数が一定数以下となる複数の基準局装置を新たな選択基準局装置として選択することを特徴とする請求項15又は16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記基準局選択部は、
前記移動局装置を取り囲む位置にある基準局装置のうち現在の選択基準局装置の構成から基準局装置が変化する数が一定数以下となる複数の基準局装置であって、前記移動局装置との間の最大距離が一定距離以下となる複数の基準局装置を新たな選択基準局装置として選択することを特徴とする請求項15又は16に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記基準局選択部は、
前記移動局装置を取り囲む位置にある3つ以上の基準局装置で構成される複数の基準局多角形を抽出し、
抽出した複数の基準局多角形の中から、現在の選択基準局装置の構成から基準局装置が変化する数が一定数以下となる基準局多角形を選択し、
選択した基準局多角形の各々について基準局多角形を構成する基準局装置の各々と前記移動局装置との間の距離を算出し、選択した基準局多角形ごとに前記移動局装置との間の最大距離を抽出し、前記移動局装置との間の最大距離が一定距離以下となる基準局多角形を選択し、
選択した基準局多角形の中から、現在の選択基準局装置の構成から基準局装置が変化する数が最も少ない基準局多角形を選択し、選択した基準局多角形に含まれる3つ以上の基準局装置を選択基準局装置として選択することを特徴とする請求項18に記載の情報処理装置。
【請求項20】
複数の測位衛星からの測位信号を観測する複数の基準局装置の各々について、測位衛星ごとに、観測値の誤差を補正するための補正値を生成する補正値生成ステップと、
各補正値について前記補正値生成ステップにより生成された補正値の中で関連のある補正値との偏差を判定し、特定の補正値を有効補正値として選択する有効補正値選択ステップと、
前記有効補正値選択ステップにより選択された有効補正値のうち測位衛星が共通する二以上の有効補正値を複合し、測位衛星ごとの複合補正値を算出する複合補正値算出ステップとを有することを特徴とする補正値複合方法。
【請求項21】
複数の測位衛星からの測位信号を観測する複数の基準局装置の各々について、測位衛星ごとに、観測値の誤差を補正するための補正値を生成する補正値生成処理と、
各補正値について前記補正値生成処理により生成された補正値の中で関連のある補正値との偏差を判定し、特定の補正値を有効補正値として選択する有効補正値選択処理と、
前記有効補正値選択処理により選択された有効補正値のうち測位衛星が共通する二以上の有効補正値を複合し、測位衛星ごとの複合補正値を算出する複合補正値算出処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−248177(P2007−248177A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70299(P2006−70299)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】