情報処理装置
【課題】所定の平面上で指定された位置の座標情報を取得する座標情報取得装置であるタブレット上へページを混同して入力された情報を、入力後に容易に分類する。
【解決手段】座標情報入力装置によりあらかじめ定めた一定時間より長い間座標情報の入力が行われない場合に、ユーザが表示媒体のページめくりを行っているために入力が行われないものと判断し、ページ更新情報を挿入する。t1からt2までは入力があり、t2からt3までは入力が行われず、t3からt4までは入力が行われている。ここで、閾値をTthと定め、入力が中断した時刻をtn-1、入力を再開した時刻をtnとすると、入力されていない時間TはT=tn−tn-1である。このとき、T>Tthの場合、ページ分割を行い、T<Tthの場合分割を行わない。したがって、T23<Tthのため分割は行われず、また、T45>Tthのためページ分割が行われる。
【解決手段】座標情報入力装置によりあらかじめ定めた一定時間より長い間座標情報の入力が行われない場合に、ユーザが表示媒体のページめくりを行っているために入力が行われないものと判断し、ページ更新情報を挿入する。t1からt2までは入力があり、t2からt3までは入力が行われず、t3からt4までは入力が行われている。ここで、閾値をTthと定め、入力が中断した時刻をtn-1、入力を再開した時刻をtnとすると、入力されていない時間TはT=tn−tn-1である。このとき、T>Tthの場合、ページ分割を行い、T<Tthの場合分割を行わない。したがって、T23<Tthのため分割は行われず、また、T45>Tthのためページ分割が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの高度化、ネットワークの高速化に伴いさまざまな書類処理の電子化が進み、その量は増加している。これら増大した電子情報を、その表示、入力の観点から考えるに、電子書類の表示は基本的にCRTやLCDなどのディスプレィへ行なわれる。しかし、未だにディスプレィの解像度は紙への印刷物には及ばず、またディスプレィでは複数ページにわたる書類全体を一覧することは不可能である。これらの理由から、ペーパーレス化が求められている電子書類さえもいったん紙に印刷されているのが現状である。
【0003】
一方、電子書類の入力の点を考えると、紙とペンを利用した記入インタフェースは長く人間が慣れ親しんだものであり、コンピュータ化が進んだ今日でも依然として大きな利点を持ち続けている。
【0004】
上記のように、容易な一覧性、慣れ親しんだ記入のしやすさなどの紙が持つ長所によって、書類処理の電子化が進んだ今日においてもなお、紙を用いた業務は減少せず、紙の使用量はむしろ増加し、紙と電子書類とを結び付ける機器の重要性はますます増加している。
【0005】
ここで従来、紙とペンを用いた業務のコンピュータ化への試みとしてはコンピュータ表示装置と入力装置を一体化した、いわゆるペンベースコンピュータと呼ばれるものがある。これは紙を使用せず、コンピュータの表示部であるLCDの上に座標入力装置である透明タブレットを重ね合わせたものであり、タブレットから得られた座標に従い、入力点を画面に直接表示するものである。この方法は特に表示画面のコストが高価なものとなり、またLCDはガラス板などを用いるものが多く、重く、また非常に壊れ易いものとなる。またディスプレィの表示には電力を必要とするため、たとえば携帯型の情報機器として電池によって駆動することを考えると常時表示することは不可能である。そのため簡単な書類を閲覧する場合にもいちいちシステムをたち上げる必要があり、少なくとも数十秒程度の起動時間が無駄に必要とされる。また前述したようにLCDの解像度、一覧性は未だ印刷物に比べて著しく劣るものであり、ペンコンピュータの表示解像度は印刷物に劣るものとなる。
【0006】
また、別の試みとして、座標入力装置であるタブレットの上に通常の紙を設置し、紙に記入した座標をそのまま取り込む装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、表示は紙で行い、座標取得、記憶はペンコンピュータ同様、タブレットとコンピュータが行なうため、ペンコンピュータに比べて、壊れやすい表示装置であるLCDを必要とせず、紙の高い解像度を利用できるという長所を持つ。
【0007】
また、特許文献2においても紙状に形成された書き換え可能な表示媒体をタブレットの上に設置し、表示、座標取得を行なう同様の装置が提案されており、これも紙が持つ高解像度という長所を備えており、さらに書き換え可能であるという長所も併せ持つ。
【0008】
【特許文献1】特開平7−200134号公報
【特許文献2】特開平9−101864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、紙がもつ容易な一覧性という長所を活かすためには複数の紙を使い分ける必要がある。ここで、特許文献1、特許文献2のいずれにおいても複数のページを区別する手段が欠如しており、そのため、複数のページを入れ替えたり、ノート状に束ねた複数ページをめぐりながら記入した場合、異なったページヘ記入したにもかかわらず同じページに入力されてしまう。
【0010】
こうしたページの混同を避けるために例えば特許文献2においてはページ送り、ページ戻しのボタンをそれぞれタブレットに設置し、ページをめくったり、入れ替えた場合に操作者がページ送りを指示する構成をとっているが、実際の利用時において操作者がぺージ送りの操作を忘れてしまうことがあるため、異なったページヘの入力が同一ページヘの入力として混同されることが多くあり、非実用的である。
【0011】
また、特許文献1では新しいページの設置つまり古いページの除去をタブレットに設置したマイクによって収音した紙を破り取る音で検出する構成をとっているが、ページの設置などによって生ずる音は小さく、また安定しないので、紙の発する音を用いて安定にページの設置、交換を検出することが困難である。また、紙に設置したチェックマークをチェックすることによって、新しいページを検出する構成も言及されているが、前述のページ送りボタンの操作と同様、操作者がチェックマークの記入を忘れることがあるため、非実用的である。
【0012】
このように複数の紙を使用した場合、複数のページに渡る情報を混同して同一のページへの入力としやすいという問題のため、従来技術では事実上一枚毎のページの利用しか出来ず、複数の紙を用いたときの高い一覧性という長所を活かせないという不具合が存在した。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、紙とタブレットを利用したコンピュータ入力装置に関わる上記の問題点を解決するために、所定の平面上で指定された位置の座標情報を取得する座標情報取得装置であるタブレット上へページを混同して入力された情報を、入力後に容易に分類する手段を提供し、紙の特徴を生かした情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、所定の平面上で指定された位置の座標情報と、当該座標情報を取得した時刻とを対応づけた情報を受信する受信手段と、前記時刻間の差分に基づいて前記座標情報の入力がない無入力時間を計測する手段と、計測された前記無入力時間と閾値との比較を行なう手段と、前記無入力時間が前記閾値より大きい場合に、当該無入力時間を構成する前記情報間でページ分割することを判断する判断手段と、を備える。
【0015】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1記載の情報処理装置において、前記判断手段は、前記無入力時間が前記閾値より小さい場合であっても、当該無入力時間の前後での位置の指定が一定範囲内にある場合には、当該無入力時間でページ分割することを判断する。
【0016】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2記載の情報処理装置において、前記受信手段により受信した前記座標情報を当該座標情報に対応付けられた前記時刻に従って時系列に沿って表示する手段と、時系列に沿って表示された前記座標情報に対し、ページ分割位置を指定する手段と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、所定の平面上で指定された位置の座標情報を取得する座標情報取得装置であるタブレット上へページを混同して入力された情報を、入力後に容易に分類することができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明によれば、ユーザは誤ったページ分割を持つ複数ページの座標情報を正しいページ分割に容易に編集することが可能となり、情報処理装置の利便性が著しく向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、この発明の一実施の形態である情報処理システムの全体構成を示す斜視図である。この情報処理システムは、大きく分けて二つの装置によって構成される。すなわち、座標情報の入力と一時記憶などを行う座標情報入力装置1と、情報の分割と記憶などを行う座標情報編集装置2である。座標情報入力装置1は携帯可能に構成され、情報を入力し、記録し、必要に応じてそれをホストである座標情報編集装置2に送信する。座標情報編集装置2は受信した信号をページごとに分割し、記憶する。分割は座標情報編集装置2によって自動的に行われるが、使用者が任意に編集することも可能である。
【0020】
座標情報入力装置1についてさらに詳細に説明する。座標情報入力装置1は、携帯可能に形成された座標情報記録装置3と、座標情報記録装置3に設置して利用される紙状の表示媒体4と、表示媒体4に記入できるペン状の記入装置5からなる。
【0021】
図2に座標情報記録装置3の斜視図を、図3に座標情報記録装置3の機能ブロック図を示す。座標情報記録装置3は、主にタブレットに代表される、所定の平面上で指定された位置の座標情報を取得する座標情報取得装置11と、タイマー回路などによって構成され座標が入力された時刻を計測する時刻計測装置12と、メモリー回路などによって構成され取得した座標情報と計測時刻とを記憶する座標情報記憶装置13と、記憶された座標情報および計測時刻などを必要に応じて送信する送信装置14とを備えていて、これらはデータバスによって電気的に接続されている。座標情報記録装置3は携帯可能に構成され、ほかに駆動用電池、制御用マイクロコンピュータなどの周辺回路15を備えている。また、複数の表示媒体4を用いて記入する際に、座標情報取得装置11で取得する座標情報に明示的にページの更新を示すためのページ送りボタン16を備えている。そこで、座標情報記憶装置13は、座標情報、計測時間とともにページ更新情報も記憶する。
【0022】
表示媒体4は、座標情報取得装置11の上に設置されて用いられる紙状のものであり、好適なものとしては普通紙がある。記入装置5は、表示媒体に記入することが可能なペン状の装置であり、表示媒体4と、座標情報取得装置11とに応じてスタイラスペンなどが用いられる。表示媒体4は、複数の表示媒体4を取り替えながら、記入装置5で入力を行うこともできる。座標情報取得装置11および記入装置5としては、好適なものとして相互誘導をその原理としたタブレットを用いることができる。
【0023】
以上のように構成された座標情報入力装置1は再生装置や大きく重くなりがちなLCDやCRTなどの表示装置を備えていないため、軽量で頑丈に製造することができる。
【0024】
図4に座標情報編集装置2の機能ブロック図を示す。座標情報編集装置2は、送信装置14から送信された情報を受信する受信装置21と、受信した情報を記憶する受信情報記憶装置22と、記憶された座標情報を再生する再生装置23と、再生された情報を電子的に表示するLCDやCRTなどによって構成される表示装置24と、座標情報をページごとに区切る座標情報分割装置25と、分割された情報を再び記憶する記憶装置26からなっており、これらはデータバスによって接続されている。記憶装置26は受信情報記憶装置22と同一の記憶装置としてもよい。また、座標情報編集装置2は、これらの装置を制御するマイクロコンピュータなどの制御回路27を備えている。
【0025】
座標情報分割装置25は、分割規則記憶装置31と、ページ情報挿入装置32と、分割位置調整装置33とからなる。分割規則記憶装置31は、受信情報記憶装置22に記憶されている座標情報をページごとに分割するための規則である分割規則を記憶している。ページ情報挿入装置32は、分割規則記憶装置31に記憶された分割規則に従い、受信情報記憶装置22に記憶されている座標情報にページ情報を挿入する。分割位置調整装置33は、ページ情報挿入装置32によりページ分割された座標情報のページ分割の仕方を所望に修正することを可能とする。
【0026】
以上のような情報処理システムにおいて行われる処理は、主に次の3つの処理である。すなわち、第1に座標情報入力装置1による情報の入力、記憶、第2に座標情報入力装置1と座標情報編集装置2との間の情報の送受信、第3に座標情報編集装置2による情報の分割、再記憶である。
【0027】
まず、座標情報入力装置1による情報の入力、記憶についてさらに詳しく説明する。ユーザは通常の紙にペンで記録するように座標情報取得装置11の上に設置された表示媒体4に記入装置5で情報を記入する。このとき座標情報取得装置11上の記入装置5の軌跡である座標情報と、その座標情報を取得した時刻とが座標情報記憶装置13に記憶される。また、複数の紙をめくりながら記入するように、複数の表示媒体4をめぐりながら、あるいは座標情報取得装置11に載せ代えながら記入することも可能であり、このときも座標情報と時刻が座標情報記憶装置13に記憶される。このとき、ページ送りボタン16により、ユーザが明示的にページ更新情報を与えることもでき、座標情報、時刻とともにページ更新情報も座標情報記憶装置13に記憶される。図5に、座標情報記憶装置13のデータ構造の例を示す。図5に示すように、第1段目にはデータ番号、第2段目には記入された場所の座標情報取得装置11上のX座標、Y座標、第3段目には記入された時刻を記憶し、第4段目にはページ更新情報を記憶する(図5の例では、ページ更新情報が記憶されていない)。
【0028】
こうして記録された情報は送信装置14、受信装置21を通じて座標情報編集装置2に送られる。この情報の送受信はRS232C規格などの有線接続による電気的な接続や、IrDAなどの光学的な無線接続によって実現される。座標情報編集装置2による情報の分割、再記憶は次のように行う。まず、座標情報編集装置2では、受信した情報を受信情報記憶装置22に蓄える。受信情報記憶装置22に蓄えられた情報は再生装置23により記憶された時刻にしたがって再生される。再生された情報は、座標情報分割装置25によって分割規則にしたがってページごとに分割される。表示装置24は分割された情報をページごとに表示する。
【0029】
座標情報分割装置25によって行われる分割は必ずしも正しい分割が行われるとは限らない。そこで、使用者は表示装置24による表示に従い、ページの分割結果を検証し、ページ分割調整装置33を用いて編集することで正しい分割を行う。分割された情報はページごとに記憶装置26に蓄えられる。
【0030】
次に、座標情報分割装置25によるページ分割の例を説明する。まず分割規則が時間情報に基づくものである場合について述べる。まず、座標情報入力装置1によりあらかじめ定めた一定時間より長い間座標情報の入力が行われない場合に、ユーザが表示媒体4のページめくりを行っているために入力が行われないものと判断し、ページ更新情報を挿入する。図6は、このような場合を説明する図である。同図において、横軸は時間であり、縦軸は前記座標情報の入力の有無を示す。入力が行われた場合ビットを立てて表示している。この例では、t1からt2までは入力があり、t2からt3までは入力が行われず、t3からt4までは入力が行われている。ここで、閾値をTthと定め、入力が中断した時刻をtn-1、入力を再開した時刻をtnとすると、入力されていない時間TはT=tn−tn-1である。このとき、T>Tthの場合、ページ分割を行い、T<Tthの場合分割を行わない。図6の例では、T23<Tthのため分割は行われず、また、T45>Tthのためページ分割が行われる。図7に図6の場合にページ分割を行った例を示す。すなわち、図7は、図5に示したあらかじめページ番号が与えられていないデータ群を上記の規則に従って分割し、データ番号1〜4のデータを1ページ目、データ番号5〜のデータを2ページ目としている。
【0031】
ここで、あらかじめ定めた閾値Tthは編集、分割作業中に調整することもできる。このとき、座標情報分割装置25には閾値設定用スライダを備え、ユーザは表示装置24による分割後の表示によって検証しながら、より正しい分割が行われるよう閾値Tthを調整する。また、座標情報入力装置1が備えている座標情報記憶装置13の記憶内容にページ更新情報を含んでおり、この情報を用いてページを分割する。図8は、ページ更新情報を含んだ場合の座標入力の時系列の動きの例を示すタイミングチャートである。ここで、入力が短時間途絶えた時刻t2と時刻t3の間の時刻t23においてページ更新ボタン16が押され、ページ更新情報が入力されている。そのため情報を入力していないT23の時間が短くて、T23<Tthであるにもかかわらず、ページが分割される。
【0032】
以上の時間情報に基づく自動ページ分割の流れを図9のフローチャートを参照して説明する。まず、データは記録された時系列に従って再生装置23により再生される(ステップS1)。次に、再生されたデータにページ更新情報があるかないか、すなわち、ページ送りボタン16の操作があったか否かが判断され(ステップS2)、ページ更新情報がある場合、ページが更新され(ステップS3)、ページ更新情報が無い場合、ステップS4に進む。このステップS4ではデータに座標が入力されているか、いないかが判断される(ステップS4)。入力がある場合、再びステップS1に戻る。入力がない場合、入力がない時間Tを計測する(ステップS5)。そして、無入力時間Tと閾値Tthとの比較を行ない(ステップS6)、T<Tthの場合、ステップS1に戻る。T>Tthの場合、ページが更新され(ステップS7)、再びステップS1に戻る。
【0033】
次に図10を参照して編集作業の例を述べる。図10(a)左図は、実際の入力の1ページ目であり、図10(a)右図は、実際の入力の2ページ目である。図10(b)(c)は、編集作業を行う際の表示装置24に表示される画面表示の例である。図10(b)左図は座標情報分割装置25によって分割された1ページ目であり、図10(b)右図は2ページ目であり、実際には1ページ目に入力された文字「1」が誤って判断されて2ページ目に分割されて表示されている(太線で表示)。また、図10(b)下図は分割位置調整装置33による表示装置24の表示であり、入力された情報を時系列に沿って表示し、また、時間軸上の相対的なページ分割位置が表示されている。ここで、ユーザはスライダ34を調整し、ページ分割を正しく編集する。図10(c)左図、図10(c)右図は、それぞれ誤ってページ分割を調整した1ページ目、2ページ目の表示装置24への表示の例であり、スライダ34が正しい位置に調整されていない。そのため、実際には2ページ目に入力されて文字「ぺ」の一部である「へ」が1ページ目に表示されている(太線で表示)。図10(d)はスライダ34を調整し、正しく分割された例である。
【0034】
次に、ページの分割規則に座標情報を用いた場合の例を説明する。データ1〜6があって、データ1、データ4およびデータ5のxy座標、記入時刻tをそれぞれ{x1,y1,t1},{x4,y4,t4},{x5,y5,t5}とし、x1=x5,y1=y5,t5−t4<Tthとする。このとき、t5−t4<Tthであるため、前記した時間情報による分割作業のみでページ分割を行う場合にはデータ4とデータ5の間では分割は行われない。しかし、この例では入力されたデータ1とデータ5の座標が同一である。同じページの同じ座標に2度記入することは通常ありえないため、データ4とデータ5の間でページを分割する。また、このとき座標は正確に同一である必要はなく、ある一定範囲内に近接していればよい。これにより、データ1〜6に関して、例えば、図11に示す表のようにページ分割がなされる。
【0035】
なお、座標情報分割装置25によるページ分割は上記のように自動的に行われるが必ずしも完全に正しく行われない場合がある。ページ分割がユーザの意図に反して行われた場合、すでに記したように分割位置調整装置33によって編集を行う。
【0036】
以上説明した座標情報編集装置2が行う一連の処理を図12に示すフローチャートを参照してまとめて説明する。まず、座標情報入力装置1から受信装置21からデータを受信して(ステップS11)、その受信データを受信情報記憶装置22に一時記憶し(ステップS12)、このデータを時系列に応じて再生装置23で再生し(ステップS13)この再生データを座標情報分割装置25で分割規則に沿って自動でページ分割し(ステップS14)、このページ分割後のデータを表示装置24に表示する(ステップS15)。ユーザは、ページ分割後のデータを分割位置調整装置33で正しいページ分割に編集し(ステップS16)、この編集後のデータは記憶装置26に記憶される(ステップS17)。
【0037】
以上説明したように、ユーザは座標情報分割装置25によって行われた誤ったページ分割を持つ複数ページの座標情報を分割位置調整装置33により正しいページ分割に容易に編集することが可能となり、情報処理システムの利便性が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施の形態である情報処理システムの全体構成を示す斜視図である。
【図2】情報処理システムの座標情報入力装置を構成する座標情報記録装置の斜視図である。
【図3】座標情報記録装置のブロック図である。
【図4】情報処理システムの座標情報編集装置の機能ブロック図である。
【図5】座標情報入力装置の座標情報記憶装置のデータ構造の例を示す表である。
【図6】座標情報編集装置の座標情報分割装置によるページ分割を説明するタイミングチャートである。
【図7】座標情報分割装置によるページ分割を説明する表である。
【図8】座標情報編集装置の座標情報分割装置によるページ分割を説明するタイミングチャートである。
【図9】座標情報分割装置による時間情報に基づく自動ページ分割の流れを説明するフローチャートである。
【図10】座標情報編集装置の分割位置調整装置によるページ分割の編集作業を説明する図である。
【図11】座標情報分割装置による座標情報に基づく自動ページ分割を説明する表である。
【図12】座標情報編集装置が行う一連の処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 座標情報入力装置
2 座標情報編集装置
11 座標情報取得装置
12 時刻計測装置
13 座標情報記憶装置
14 送信装置
21 受信装置
22 受信情報記憶装置
23 再生装置
24 表示装置
25 座標情報分割装置
33 分割位置調整装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの高度化、ネットワークの高速化に伴いさまざまな書類処理の電子化が進み、その量は増加している。これら増大した電子情報を、その表示、入力の観点から考えるに、電子書類の表示は基本的にCRTやLCDなどのディスプレィへ行なわれる。しかし、未だにディスプレィの解像度は紙への印刷物には及ばず、またディスプレィでは複数ページにわたる書類全体を一覧することは不可能である。これらの理由から、ペーパーレス化が求められている電子書類さえもいったん紙に印刷されているのが現状である。
【0003】
一方、電子書類の入力の点を考えると、紙とペンを利用した記入インタフェースは長く人間が慣れ親しんだものであり、コンピュータ化が進んだ今日でも依然として大きな利点を持ち続けている。
【0004】
上記のように、容易な一覧性、慣れ親しんだ記入のしやすさなどの紙が持つ長所によって、書類処理の電子化が進んだ今日においてもなお、紙を用いた業務は減少せず、紙の使用量はむしろ増加し、紙と電子書類とを結び付ける機器の重要性はますます増加している。
【0005】
ここで従来、紙とペンを用いた業務のコンピュータ化への試みとしてはコンピュータ表示装置と入力装置を一体化した、いわゆるペンベースコンピュータと呼ばれるものがある。これは紙を使用せず、コンピュータの表示部であるLCDの上に座標入力装置である透明タブレットを重ね合わせたものであり、タブレットから得られた座標に従い、入力点を画面に直接表示するものである。この方法は特に表示画面のコストが高価なものとなり、またLCDはガラス板などを用いるものが多く、重く、また非常に壊れ易いものとなる。またディスプレィの表示には電力を必要とするため、たとえば携帯型の情報機器として電池によって駆動することを考えると常時表示することは不可能である。そのため簡単な書類を閲覧する場合にもいちいちシステムをたち上げる必要があり、少なくとも数十秒程度の起動時間が無駄に必要とされる。また前述したようにLCDの解像度、一覧性は未だ印刷物に比べて著しく劣るものであり、ペンコンピュータの表示解像度は印刷物に劣るものとなる。
【0006】
また、別の試みとして、座標入力装置であるタブレットの上に通常の紙を設置し、紙に記入した座標をそのまま取り込む装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、表示は紙で行い、座標取得、記憶はペンコンピュータ同様、タブレットとコンピュータが行なうため、ペンコンピュータに比べて、壊れやすい表示装置であるLCDを必要とせず、紙の高い解像度を利用できるという長所を持つ。
【0007】
また、特許文献2においても紙状に形成された書き換え可能な表示媒体をタブレットの上に設置し、表示、座標取得を行なう同様の装置が提案されており、これも紙が持つ高解像度という長所を備えており、さらに書き換え可能であるという長所も併せ持つ。
【0008】
【特許文献1】特開平7−200134号公報
【特許文献2】特開平9−101864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、紙がもつ容易な一覧性という長所を活かすためには複数の紙を使い分ける必要がある。ここで、特許文献1、特許文献2のいずれにおいても複数のページを区別する手段が欠如しており、そのため、複数のページを入れ替えたり、ノート状に束ねた複数ページをめぐりながら記入した場合、異なったページヘ記入したにもかかわらず同じページに入力されてしまう。
【0010】
こうしたページの混同を避けるために例えば特許文献2においてはページ送り、ページ戻しのボタンをそれぞれタブレットに設置し、ページをめくったり、入れ替えた場合に操作者がページ送りを指示する構成をとっているが、実際の利用時において操作者がぺージ送りの操作を忘れてしまうことがあるため、異なったページヘの入力が同一ページヘの入力として混同されることが多くあり、非実用的である。
【0011】
また、特許文献1では新しいページの設置つまり古いページの除去をタブレットに設置したマイクによって収音した紙を破り取る音で検出する構成をとっているが、ページの設置などによって生ずる音は小さく、また安定しないので、紙の発する音を用いて安定にページの設置、交換を検出することが困難である。また、紙に設置したチェックマークをチェックすることによって、新しいページを検出する構成も言及されているが、前述のページ送りボタンの操作と同様、操作者がチェックマークの記入を忘れることがあるため、非実用的である。
【0012】
このように複数の紙を使用した場合、複数のページに渡る情報を混同して同一のページへの入力としやすいという問題のため、従来技術では事実上一枚毎のページの利用しか出来ず、複数の紙を用いたときの高い一覧性という長所を活かせないという不具合が存在した。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、紙とタブレットを利用したコンピュータ入力装置に関わる上記の問題点を解決するために、所定の平面上で指定された位置の座標情報を取得する座標情報取得装置であるタブレット上へページを混同して入力された情報を、入力後に容易に分類する手段を提供し、紙の特徴を生かした情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、所定の平面上で指定された位置の座標情報と、当該座標情報を取得した時刻とを対応づけた情報を受信する受信手段と、前記時刻間の差分に基づいて前記座標情報の入力がない無入力時間を計測する手段と、計測された前記無入力時間と閾値との比較を行なう手段と、前記無入力時間が前記閾値より大きい場合に、当該無入力時間を構成する前記情報間でページ分割することを判断する判断手段と、を備える。
【0015】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1記載の情報処理装置において、前記判断手段は、前記無入力時間が前記閾値より小さい場合であっても、当該無入力時間の前後での位置の指定が一定範囲内にある場合には、当該無入力時間でページ分割することを判断する。
【0016】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2記載の情報処理装置において、前記受信手段により受信した前記座標情報を当該座標情報に対応付けられた前記時刻に従って時系列に沿って表示する手段と、時系列に沿って表示された前記座標情報に対し、ページ分割位置を指定する手段と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、所定の平面上で指定された位置の座標情報を取得する座標情報取得装置であるタブレット上へページを混同して入力された情報を、入力後に容易に分類することができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明によれば、ユーザは誤ったページ分割を持つ複数ページの座標情報を正しいページ分割に容易に編集することが可能となり、情報処理装置の利便性が著しく向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、この発明の一実施の形態である情報処理システムの全体構成を示す斜視図である。この情報処理システムは、大きく分けて二つの装置によって構成される。すなわち、座標情報の入力と一時記憶などを行う座標情報入力装置1と、情報の分割と記憶などを行う座標情報編集装置2である。座標情報入力装置1は携帯可能に構成され、情報を入力し、記録し、必要に応じてそれをホストである座標情報編集装置2に送信する。座標情報編集装置2は受信した信号をページごとに分割し、記憶する。分割は座標情報編集装置2によって自動的に行われるが、使用者が任意に編集することも可能である。
【0020】
座標情報入力装置1についてさらに詳細に説明する。座標情報入力装置1は、携帯可能に形成された座標情報記録装置3と、座標情報記録装置3に設置して利用される紙状の表示媒体4と、表示媒体4に記入できるペン状の記入装置5からなる。
【0021】
図2に座標情報記録装置3の斜視図を、図3に座標情報記録装置3の機能ブロック図を示す。座標情報記録装置3は、主にタブレットに代表される、所定の平面上で指定された位置の座標情報を取得する座標情報取得装置11と、タイマー回路などによって構成され座標が入力された時刻を計測する時刻計測装置12と、メモリー回路などによって構成され取得した座標情報と計測時刻とを記憶する座標情報記憶装置13と、記憶された座標情報および計測時刻などを必要に応じて送信する送信装置14とを備えていて、これらはデータバスによって電気的に接続されている。座標情報記録装置3は携帯可能に構成され、ほかに駆動用電池、制御用マイクロコンピュータなどの周辺回路15を備えている。また、複数の表示媒体4を用いて記入する際に、座標情報取得装置11で取得する座標情報に明示的にページの更新を示すためのページ送りボタン16を備えている。そこで、座標情報記憶装置13は、座標情報、計測時間とともにページ更新情報も記憶する。
【0022】
表示媒体4は、座標情報取得装置11の上に設置されて用いられる紙状のものであり、好適なものとしては普通紙がある。記入装置5は、表示媒体に記入することが可能なペン状の装置であり、表示媒体4と、座標情報取得装置11とに応じてスタイラスペンなどが用いられる。表示媒体4は、複数の表示媒体4を取り替えながら、記入装置5で入力を行うこともできる。座標情報取得装置11および記入装置5としては、好適なものとして相互誘導をその原理としたタブレットを用いることができる。
【0023】
以上のように構成された座標情報入力装置1は再生装置や大きく重くなりがちなLCDやCRTなどの表示装置を備えていないため、軽量で頑丈に製造することができる。
【0024】
図4に座標情報編集装置2の機能ブロック図を示す。座標情報編集装置2は、送信装置14から送信された情報を受信する受信装置21と、受信した情報を記憶する受信情報記憶装置22と、記憶された座標情報を再生する再生装置23と、再生された情報を電子的に表示するLCDやCRTなどによって構成される表示装置24と、座標情報をページごとに区切る座標情報分割装置25と、分割された情報を再び記憶する記憶装置26からなっており、これらはデータバスによって接続されている。記憶装置26は受信情報記憶装置22と同一の記憶装置としてもよい。また、座標情報編集装置2は、これらの装置を制御するマイクロコンピュータなどの制御回路27を備えている。
【0025】
座標情報分割装置25は、分割規則記憶装置31と、ページ情報挿入装置32と、分割位置調整装置33とからなる。分割規則記憶装置31は、受信情報記憶装置22に記憶されている座標情報をページごとに分割するための規則である分割規則を記憶している。ページ情報挿入装置32は、分割規則記憶装置31に記憶された分割規則に従い、受信情報記憶装置22に記憶されている座標情報にページ情報を挿入する。分割位置調整装置33は、ページ情報挿入装置32によりページ分割された座標情報のページ分割の仕方を所望に修正することを可能とする。
【0026】
以上のような情報処理システムにおいて行われる処理は、主に次の3つの処理である。すなわち、第1に座標情報入力装置1による情報の入力、記憶、第2に座標情報入力装置1と座標情報編集装置2との間の情報の送受信、第3に座標情報編集装置2による情報の分割、再記憶である。
【0027】
まず、座標情報入力装置1による情報の入力、記憶についてさらに詳しく説明する。ユーザは通常の紙にペンで記録するように座標情報取得装置11の上に設置された表示媒体4に記入装置5で情報を記入する。このとき座標情報取得装置11上の記入装置5の軌跡である座標情報と、その座標情報を取得した時刻とが座標情報記憶装置13に記憶される。また、複数の紙をめくりながら記入するように、複数の表示媒体4をめぐりながら、あるいは座標情報取得装置11に載せ代えながら記入することも可能であり、このときも座標情報と時刻が座標情報記憶装置13に記憶される。このとき、ページ送りボタン16により、ユーザが明示的にページ更新情報を与えることもでき、座標情報、時刻とともにページ更新情報も座標情報記憶装置13に記憶される。図5に、座標情報記憶装置13のデータ構造の例を示す。図5に示すように、第1段目にはデータ番号、第2段目には記入された場所の座標情報取得装置11上のX座標、Y座標、第3段目には記入された時刻を記憶し、第4段目にはページ更新情報を記憶する(図5の例では、ページ更新情報が記憶されていない)。
【0028】
こうして記録された情報は送信装置14、受信装置21を通じて座標情報編集装置2に送られる。この情報の送受信はRS232C規格などの有線接続による電気的な接続や、IrDAなどの光学的な無線接続によって実現される。座標情報編集装置2による情報の分割、再記憶は次のように行う。まず、座標情報編集装置2では、受信した情報を受信情報記憶装置22に蓄える。受信情報記憶装置22に蓄えられた情報は再生装置23により記憶された時刻にしたがって再生される。再生された情報は、座標情報分割装置25によって分割規則にしたがってページごとに分割される。表示装置24は分割された情報をページごとに表示する。
【0029】
座標情報分割装置25によって行われる分割は必ずしも正しい分割が行われるとは限らない。そこで、使用者は表示装置24による表示に従い、ページの分割結果を検証し、ページ分割調整装置33を用いて編集することで正しい分割を行う。分割された情報はページごとに記憶装置26に蓄えられる。
【0030】
次に、座標情報分割装置25によるページ分割の例を説明する。まず分割規則が時間情報に基づくものである場合について述べる。まず、座標情報入力装置1によりあらかじめ定めた一定時間より長い間座標情報の入力が行われない場合に、ユーザが表示媒体4のページめくりを行っているために入力が行われないものと判断し、ページ更新情報を挿入する。図6は、このような場合を説明する図である。同図において、横軸は時間であり、縦軸は前記座標情報の入力の有無を示す。入力が行われた場合ビットを立てて表示している。この例では、t1からt2までは入力があり、t2からt3までは入力が行われず、t3からt4までは入力が行われている。ここで、閾値をTthと定め、入力が中断した時刻をtn-1、入力を再開した時刻をtnとすると、入力されていない時間TはT=tn−tn-1である。このとき、T>Tthの場合、ページ分割を行い、T<Tthの場合分割を行わない。図6の例では、T23<Tthのため分割は行われず、また、T45>Tthのためページ分割が行われる。図7に図6の場合にページ分割を行った例を示す。すなわち、図7は、図5に示したあらかじめページ番号が与えられていないデータ群を上記の規則に従って分割し、データ番号1〜4のデータを1ページ目、データ番号5〜のデータを2ページ目としている。
【0031】
ここで、あらかじめ定めた閾値Tthは編集、分割作業中に調整することもできる。このとき、座標情報分割装置25には閾値設定用スライダを備え、ユーザは表示装置24による分割後の表示によって検証しながら、より正しい分割が行われるよう閾値Tthを調整する。また、座標情報入力装置1が備えている座標情報記憶装置13の記憶内容にページ更新情報を含んでおり、この情報を用いてページを分割する。図8は、ページ更新情報を含んだ場合の座標入力の時系列の動きの例を示すタイミングチャートである。ここで、入力が短時間途絶えた時刻t2と時刻t3の間の時刻t23においてページ更新ボタン16が押され、ページ更新情報が入力されている。そのため情報を入力していないT23の時間が短くて、T23<Tthであるにもかかわらず、ページが分割される。
【0032】
以上の時間情報に基づく自動ページ分割の流れを図9のフローチャートを参照して説明する。まず、データは記録された時系列に従って再生装置23により再生される(ステップS1)。次に、再生されたデータにページ更新情報があるかないか、すなわち、ページ送りボタン16の操作があったか否かが判断され(ステップS2)、ページ更新情報がある場合、ページが更新され(ステップS3)、ページ更新情報が無い場合、ステップS4に進む。このステップS4ではデータに座標が入力されているか、いないかが判断される(ステップS4)。入力がある場合、再びステップS1に戻る。入力がない場合、入力がない時間Tを計測する(ステップS5)。そして、無入力時間Tと閾値Tthとの比較を行ない(ステップS6)、T<Tthの場合、ステップS1に戻る。T>Tthの場合、ページが更新され(ステップS7)、再びステップS1に戻る。
【0033】
次に図10を参照して編集作業の例を述べる。図10(a)左図は、実際の入力の1ページ目であり、図10(a)右図は、実際の入力の2ページ目である。図10(b)(c)は、編集作業を行う際の表示装置24に表示される画面表示の例である。図10(b)左図は座標情報分割装置25によって分割された1ページ目であり、図10(b)右図は2ページ目であり、実際には1ページ目に入力された文字「1」が誤って判断されて2ページ目に分割されて表示されている(太線で表示)。また、図10(b)下図は分割位置調整装置33による表示装置24の表示であり、入力された情報を時系列に沿って表示し、また、時間軸上の相対的なページ分割位置が表示されている。ここで、ユーザはスライダ34を調整し、ページ分割を正しく編集する。図10(c)左図、図10(c)右図は、それぞれ誤ってページ分割を調整した1ページ目、2ページ目の表示装置24への表示の例であり、スライダ34が正しい位置に調整されていない。そのため、実際には2ページ目に入力されて文字「ぺ」の一部である「へ」が1ページ目に表示されている(太線で表示)。図10(d)はスライダ34を調整し、正しく分割された例である。
【0034】
次に、ページの分割規則に座標情報を用いた場合の例を説明する。データ1〜6があって、データ1、データ4およびデータ5のxy座標、記入時刻tをそれぞれ{x1,y1,t1},{x4,y4,t4},{x5,y5,t5}とし、x1=x5,y1=y5,t5−t4<Tthとする。このとき、t5−t4<Tthであるため、前記した時間情報による分割作業のみでページ分割を行う場合にはデータ4とデータ5の間では分割は行われない。しかし、この例では入力されたデータ1とデータ5の座標が同一である。同じページの同じ座標に2度記入することは通常ありえないため、データ4とデータ5の間でページを分割する。また、このとき座標は正確に同一である必要はなく、ある一定範囲内に近接していればよい。これにより、データ1〜6に関して、例えば、図11に示す表のようにページ分割がなされる。
【0035】
なお、座標情報分割装置25によるページ分割は上記のように自動的に行われるが必ずしも完全に正しく行われない場合がある。ページ分割がユーザの意図に反して行われた場合、すでに記したように分割位置調整装置33によって編集を行う。
【0036】
以上説明した座標情報編集装置2が行う一連の処理を図12に示すフローチャートを参照してまとめて説明する。まず、座標情報入力装置1から受信装置21からデータを受信して(ステップS11)、その受信データを受信情報記憶装置22に一時記憶し(ステップS12)、このデータを時系列に応じて再生装置23で再生し(ステップS13)この再生データを座標情報分割装置25で分割規則に沿って自動でページ分割し(ステップS14)、このページ分割後のデータを表示装置24に表示する(ステップS15)。ユーザは、ページ分割後のデータを分割位置調整装置33で正しいページ分割に編集し(ステップS16)、この編集後のデータは記憶装置26に記憶される(ステップS17)。
【0037】
以上説明したように、ユーザは座標情報分割装置25によって行われた誤ったページ分割を持つ複数ページの座標情報を分割位置調整装置33により正しいページ分割に容易に編集することが可能となり、情報処理システムの利便性が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の一実施の形態である情報処理システムの全体構成を示す斜視図である。
【図2】情報処理システムの座標情報入力装置を構成する座標情報記録装置の斜視図である。
【図3】座標情報記録装置のブロック図である。
【図4】情報処理システムの座標情報編集装置の機能ブロック図である。
【図5】座標情報入力装置の座標情報記憶装置のデータ構造の例を示す表である。
【図6】座標情報編集装置の座標情報分割装置によるページ分割を説明するタイミングチャートである。
【図7】座標情報分割装置によるページ分割を説明する表である。
【図8】座標情報編集装置の座標情報分割装置によるページ分割を説明するタイミングチャートである。
【図9】座標情報分割装置による時間情報に基づく自動ページ分割の流れを説明するフローチャートである。
【図10】座標情報編集装置の分割位置調整装置によるページ分割の編集作業を説明する図である。
【図11】座標情報分割装置による座標情報に基づく自動ページ分割を説明する表である。
【図12】座標情報編集装置が行う一連の処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 座標情報入力装置
2 座標情報編集装置
11 座標情報取得装置
12 時刻計測装置
13 座標情報記憶装置
14 送信装置
21 受信装置
22 受信情報記憶装置
23 再生装置
24 表示装置
25 座標情報分割装置
33 分割位置調整装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の平面上で指定された位置の座標情報と、当該座標情報を取得した時刻とを対応づけた情報を受信する受信手段と、
前記時刻間の差分に基づいて前記座標情報の入力がない無入力時間を計測する手段と、
計測された前記無入力時間と閾値との比較を行なう手段と、
前記無入力時間が前記閾値より大きい場合に、当該無入力時間を構成する前記情報間でページ分割することを判断する判断手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記無入力時間が前記閾値より小さい場合であっても、当該無入力時間の前後での位置の指定が一定範囲内にある場合には、当該無入力時間でページ分割することを判断する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記受信手段により受信した前記座標情報を当該座標情報に対応付けられた前記時刻に従って時系列に沿って表示する手段と、
時系列に沿って表示された前記座標情報に対し、ページ分割位置を指定する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項1】
所定の平面上で指定された位置の座標情報と、当該座標情報を取得した時刻とを対応づけた情報を受信する受信手段と、
前記時刻間の差分に基づいて前記座標情報の入力がない無入力時間を計測する手段と、
計測された前記無入力時間と閾値との比較を行なう手段と、
前記無入力時間が前記閾値より大きい場合に、当該無入力時間を構成する前記情報間でページ分割することを判断する判断手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記無入力時間が前記閾値より小さい場合であっても、当該無入力時間の前後での位置の指定が一定範囲内にある場合には、当該無入力時間でページ分割することを判断する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記受信手段により受信した前記座標情報を当該座標情報に対応付けられた前記時刻に従って時系列に沿って表示する手段と、
時系列に沿って表示された前記座標情報に対し、ページ分割位置を指定する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−139809(P2006−139809A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28855(P2006−28855)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【分割の表示】特願平11−3714の分割
【原出願日】平成11年1月11日(1999.1.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【分割の表示】特願平11−3714の分割
【原出願日】平成11年1月11日(1999.1.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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