説明

情報処理装置

【課題】記録媒体の排出中の他の記録媒体の誤挿入を防止できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】CDチェンジャ1はディスク搬送部4とストッパ機構16とMPU17を備えている。ディスク搬送部4はモータ15により回転駆動されることで機器本体内にCDを出し入れする駆動ローラ21と駆動ローラ21に近づく方向に付勢された従動ローラ22を備えている。従動ローラ22にはロータリエンコーダ25が取り付けられている。ストッパ機構16はCDが侵入することを許容する状態とCDが侵入することを規制する状態とが切換自在である。MPU17はCDを排出する際にロータリエンコーダ25がCDを排出するときに回転する方向と逆向きの方向に従動ローラ22が回転したことを検出するとストッパ機構16を機器本体内にCDが侵入することを規制する状態に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに搭載される情報処理装置に関し、更に詳しくは、記録媒体を機器本体に出し入れ可能であり、この機器本体内に収容した記録媒体に記録された情報を再生する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、移動体としての自動車のインストルメントパネル(以下インパネと呼ぶ)には、情報処理装置としてのCDプレーヤ(例えば、特許文献1参照)が取り付けられる。CDプレーヤは、記録媒体としてのCompact Disc(以下CDと呼ぶ)が記録した情報を読み出す。
【0003】
特許文献1などに示された従来のCDプレーヤは、前記インパネに取り付けられる機器本体と、前記機器本体の前面に開口した記録媒体挿入口と、CDを機器本体の内外に出し入れする搬送ユニットと、前記CDに記録された情報を読み出すための再生ユニットと、前記機器本体の前面に設けられかつ前記CDプレーヤの動作状況を表示する表示部と、前記機器本体の前面に設けられかつ前記CDプレーヤを操作するための操作部などを備えている。機器本体は、複数の板金などが互いに組み付けられて箱状に形成されたシャーシを備えている。記録媒体挿入口は、内側に前記CDが通される。
【0004】
搬送ユニットは、記録媒体挿入口内を通されたCDを所定の再生位置まで搬送したり、前記再生位置からCDを記録媒体挿入口まで搬送して該CDを機器本体内から排出する。搬送ユニットは、互いに接離自在に設けられて、互いの間に前記CDを挟みこむ駆動ローラと従動ローラとを備えている。駆動ローラと従動ローラとは、互いに接離自在に設けられかつ互いに近づく方向に付勢されている。駆動ローラは、駆動源としてのモータによりその軸芯周りに回転駆動される。従動ローラは、その軸芯周りに回転自在に設けられかつ駆動ローラとの間に挟みこんだCDが当該駆動ローラの回転駆動により機器本体に出し入れされるCDの移動に従動して回転する。搬送ユニットは、駆動ローラと従動ローラとの間にCDを挟んで、駆動ローラがモータにより回転駆動されることで、前記CDを機器本体に出し入れする。
【0005】
再生ユニットは、機器本体内に収容されたCDをクランプして、当該CDの情報を読み出す。
【0006】
表示部は、周知の蛍光表示管などで構成されている。操作部は、複数の押圧スイッチやダイヤルスイッチなどを備えている。
【0007】
前述したCDプレーヤは、搬送ユニットが機器本体にCDを出し入れし、再生ユニットが機器本体内のCDの情報を読み出して再生する。
【特許文献1】特開2000−207802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した従来のCDプレーヤは、機器本体内のCDを機器本体外に排出する際に、使用者が誤って、排出中のCDと従動ローラとの間に他のCDを挿入すると、前記従動ローラが回転自在となっているために、当該他のCDが前記排出中のCD上を滑って機器本体内に挿入されてしまうことがあった。このように、他のCDを機器本体内に挿入してしまうと、勿論、当該他のCDを再度排出することは困難で、CDプレーヤが故障してしまう原因となっていた。
【0009】
したがって、本発明の目的は、例えば、記録媒体の排出中の他の記録媒体の誤挿入を防止できる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の情報処理装置は、機器本体と、駆動源により回転駆動されることで前記機器本体内に記録媒体を出し入れする駆動ローラと、前記駆動ローラに接離自在に設けられかつ前記駆動ローラに近づく方向に付勢されているとともに前記駆動ローラとの間に前記記録媒体を挟みこむ従動ローラと、前記機器本体の外面に設けられて動作状況を表示する表示部と、を備えた情報処理装置において、前記従動ローラの回転方向を検出する検出手段と、前記機器本体内に前記記録媒体が侵入することを許容する状態と、前記機器本体内に前記記録媒体が侵入することを規制する状態とが切換自在な侵入阻止手段と、前記記録媒体を前記機器本体外に排出する際に、前記検出手段が前記記録媒体を排出するときに回転する方向と逆向きの方向に前記従動ローラが回転したことを検出すると、前記侵入阻止手段を前記機器本体内に前記記録媒体が侵入することを許容する状態から前記機器本体内に前記記録媒体が侵入することを規制する状態に切り換える制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態にかかる情報処理装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる情報処理装置は、記録媒体の排出中に、従動ローラが排出するときに回転する方向と逆向きの方向に回転すると侵入阻止手段が記録媒体の機器本体内への侵入を阻止するようにしている。こうすることで、記録媒体の排出中に、他の記録媒体が排出中の記録媒体と従動ローラとの間に挿入されても、当該他の記録媒体の機器本体内への侵入を阻止できる。したがって、記録媒体の排出中の他の記録媒体の誤挿入を確実に防止することができる。
【0012】
また、記録媒体の排出中に、従動ローラが排出するときに回転する方向と逆向きの方向に回転すると、即ち他の記録媒体が排出中の記録媒体と従動ローラとの間に挿入されると、侵入阻止手段が他の記録媒体の侵入を阻止することに加えて、かかる旨の表示部に表示するようにしても良い。この場合、使用者に記録媒体の誤挿入を喚起ことができ、記録媒体の排出中の他の記録媒体の誤挿入をより確実に防止することができる。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の一実施例にかかる情報処理装置の一例としてのCDチェンジャ1を、図1ないし図8に基づいて説明する。図1などに示すCDチェンジャ1は、自動車などの移動体に装備されて、記録媒体としてのCD2(図2などに示す)を複数収容して、これらのCD2から任意のCD2に記録された情報を読み出(再生)して、音声として出力する装置である。CD2は、勿論、円板状即ちディスク状に形成されており、コンピュータなどの電子機器で読みとることのできる情報を記録した記録媒体である。
【0014】
CDチェンジャ1は、図2に示すように、機器本体3(図1に示す)と、表示部としての表示パネル13と、操作部14と、駆動源としてのモータ15と、ディスク搬送部4と、ディスク再生部5と、収容部としてのディスク収容部6と、ディスク移動機構7と、侵入阻止部としてのストッパ機構16と、制御手段としての図示しないマイクロプロセッサ(MPU)17とを備えている。なお、以下、図2中のCD2の搬送する際に移動する方向(以下、搬送方向と呼ぶ)と平行な矢印YをCDチェンジャ1の奥行き方向と記し、奥行き方向Yに対し直交しかつCD2の表面と平行な矢印XをCDチェンジャ1の幅方向と記し、幅方向Xと奥行き方向Yとの双方に対して直交する矢印ZをCDチェンジャ1の厚み方向と記す。
【0015】
機器本体3は、合成樹脂からなる図1に示す外側ケース8と、板金などからなる図2などに示す固定シャーシ9などを備えている。外側ケース8は、扁平な箱状に形成されている。外側ケース8には、その前面8aにCD2を出し入れ可能な挿入口10が設けられている。
【0016】
挿入口10は、外側ケース8の外壁を貫通している。挿入口10は、内側にCD2を通すことができる。挿入口10を通して、前記CD2は、外側ケース8即ち機器本体3内に収容されたり、該機器本体3内から排出される。即ち、挿入口10は、CD2を機器本体3に出し入れ自在とする。
【0017】
固定シャーシ9は、外側ケース8内に収容されているとともに、該外側ケース8に固定されている。固定シャーシ9は、図2に示すように、板状の底板11と、この底板11の外縁から立設した周板12を備えている。底板11は、外側ケース8の図1中下側に位置する壁上に重ねられている。周板12は、外側ケース8の外壁上に重ねられている。
【0018】
表示パネル13は、前述した外側ケース8の前面8aに露出して設けられ、使用者に対し各種の情報を表示する表示領域としての表示面を備えている。表示パネル13は、表示面に再生中のプログラム名等の動作状況を示す情報を表示する。
【0019】
操作部14は、各種のスイッチ14aを備えている。スイッチ14aが使用者などに操作されることによって、例えば、挿入口10を通して機器本体3内に挿入されるCD2を保持する後述のホルダ19を設定するために用いられる。操作部14は、スイッチ14aが使用者に操作されることで、挿入口10を通して機器本体3外に排出されるCD2を保持したホルダ19を設定するために用いられる。操作部14は、スイッチ14aが使用者に操作されることで、複数のホルダ19に保持されたCD2のうち情報を読み出すCD2を設定するために用いられる。
【0020】
モータ15は、固定シャーシ9の底板11などに取り付けられ、前述した挿入口10の近傍に配されている。モータ15は、出力軸の軸芯が、挿入口10の長手方向即ち機器本体3の幅方向Xに沿っている。モータ15の出力軸には、ピニオン20(図2に示す)が取り付けられている。
【0021】
ディスク搬送部4は、機器本体3内に収容され、かつ挿入口10の近傍に配置されている。ディスク搬送部4は、駆動ローラ21と、従動ローラ22とを備えている。
【0022】
駆動ローラ21と従動ローラ22とは、それぞれ円柱状の棒状に形成され、互いに厚み方向Zに重ねられている。図示例では、図2に示すように、駆動ローラ21が従動ローラ22の上方に配置されている。また、駆動ローラ21と従動ローラ22とは、それぞれ、軸芯が幅方向Xと平行に配置され、軸芯周りに回転自在に固定シャーシ9などに支持されている。
【0023】
また、これらの駆動ローラ21と従動ローラ22とは、厚み方向Zに沿って移動自在に機器本体3の固定シャーシ9などに移動自在に支持されて、互いに接離自在となっている。さらに、これらの駆動ローラ21と従動ローラ22とは、図示しない付勢手段としてのコイルばねなどにより互いに近づく方向に付勢されている。駆動ローラ21と従動ローラ22とは、それぞれ、金属で構成された芯軸と、この芯軸の周りに設けられたゴムなどの合成樹脂で構成されたローラ本体とを備えている。
【0024】
さらに、駆動ローラ21の図2中の手前側の端部には、歯車23が取り付けられている。歯車23は、固定シャーシ9に回転自在に設けられた中間歯車24に噛合している。この中間歯車24は、複数の他の中間歯車24を介して前述したピニオン20と噛み合っている。このため、歯車23即ち駆動ローラ21は、モータ15によりその軸芯周りに回転駆動されることで前記機器本体3内にCD2を出し入れする。
【0025】
また、前記従動ローラ22には、検出手段としてのロータリエンコーダ25(図3に示す)が取り付けられている。即ち、CDチェンジャ1は、検出手段としてのロータリエンコーダ25を備えている。ロータリエンコーダ25は、従動ローラ22の回転方向を検出して、この回転方向を示す情報をMPU17に向かって出力する。
【0026】
前述した構成のディスク搬送部4は、駆動ローラ21と従動ローラ22との間にCD2を挟み、モータ15により駆動ローラ21が回転駆動されることで、当該CD2を機器本体3に出し入れする即ち機器本体3の内外に搬送する。ディスク搬送部4の従動ローラ22は、勿論、CD2の移動ととともに軸芯周りに回転する(即ち、移動するCD2と連れ周りする)。
【0027】
ディスク再生部5は、機器本体3内に収容されており、移動シャーシと、この移動シャーシに揺動自在に支持された揺動シャーシと、クランプ再生部とを備えている。移動シャーシは、枠状に形成され、厚み方向Z即ちCD2同士が重ねられる方向に沿って移動自在に固定シャーシ9に支持されている。
【0028】
揺動シャーシは、帯板状に形成されている。揺動シャーシは、一端部を中心として回動自在に移動シャーシに支持されている。揺動シャーシは、一端部を中心として回動することで、ディスク収容部6に収容される複数のCD2間に他端部が侵入する状態と、ディスク収容部6に収容される複数のCD2間から他端部が抜け出る状態とに亘って変位自在になっている。
【0029】
クランプ再生部は、揺動シャーシ上に設けられている。クランプ再生部は、CD2をクランプするターンテーブルと、当該ターンテーブルを回転するスピンドルモータと、ターンテーブルにクランプされたCD2の径方向に移動自在でかつCD2からの情報を読み出すピックアップなどを備えている。クランプ再生部は、揺動シャーシの他端部がCD2間に侵入して、ターンテーブルが該CD2をクランプして、スピンドルモータが当該CD2を回転する。そして、クランプ再生部は、ターンテーブルが回転しているCD2からピックアップが情報を読み出す。
【0030】
ディスク再生部5は、揺動シャーシの他端部がCD2間に侵入して、ターンテーブルがCD2をクランプするとともに、ターンテーブルがCD2を回転する。ディスク再生部5は、ピックアップが、ターンテーブルにより回転されたCD2から情報を読み出す。
【0031】
ディスク収容部6は、機器本体3内に収容されており、図2に示すように、移動シャーシ18と、複数の保持部材としてのホルダ19とを備えている。移動シャーシ18は、板金などからなり、板状に形成されている。移動シャーシ18は、固定シャーシ9の底板11と間隔をあけて平行に配されている。移動シャーシ18は、固定シャーシ9の底板11との間にディスク再生部5を位置付けている。移動シャーシ18は、前述した厚み方向Z即ちCD2同士が重ねられる方向に沿って移動自在に固定シャーシ9の周板12などに支持されている。
【0032】
ホルダ19は、合成樹脂からなり、板状に形成されている。ホルダ19の平面形状は、C字状に形成されている。ホルダ19は、底板11と移動シャーシ18との双方と平行な状態で、移動シャーシ18に支持されている。ホルダ19は、そのC字状に形成された開口部が挿入口10と相対する状態に配されている。
【0033】
ホルダ19は、挿入口10を通して機器本体3に挿入されたCD2が、開口部を通して内側に侵入することで、このCD2を保持する。複数のホルダ19は、各々が保持するCD2の外表面が互いに平行になるように、互いに重ねられて配されている。ホルダ19は、前記厚み方向Zに沿って移動自在に移動シャーシ18などに支持されている。ディスク収容部6は、CD2を保持可能な複数のホルダ19を積層配列して収容する。
【0034】
ディスク移動機構7は、機器本体3内に収容されており、ディスク再生部5とディスク収容部6の双方の移動シャーシ18を厚み方向Zに沿って移動させるとともに、ディスク収容部6の各ホルダ19を厚み方向Zに沿って移動させる。ディスク移動機構7は、機器本体3内のCD2から情報を読み出す際には、ディスク収容部6の移動シャーシ18を底板11から最も遠ざけて即ち最も上昇させて、ディスク再生部5の移動シャーシを厚み方向Zに沿って移動させる。そして、ディスク移動機構7は、ディスク収容部6のホルダ19を厚み方向Zに沿って移動させて、一つのCD2を保持したホルダ19を他のホルダ19から遠ざけて、これらのホルダ19間に揺動シャーシの他端部を侵入させて、ディスク再生部5のクランプ再生部に前述した一つのCD2から情報を読み出させる。
【0035】
ディスク移動機構7は、機器本体3の内外にCD2を出し入れする際には、ディスク再生部5の移動シャーシを底板11に最も近づけて即ち最も降下させて、ディスク収容部6の移動シャーシ18を厚み方向Zに沿って移動させる。そして、ディスク移動機構7は、ディスク収容部6のホルダ19を厚み方向Zに沿って移動させて、機器本体3に挿入されたCD2を保持する又は保持したCD2を機器本体3外に排出する一つのホルダ19を他のホルダ19から遠ざけるとともに、この一つのホルダ19をディスク搬送部4の駆動ローラ21と従動ローラ22との間と奥行き方向Yに沿って並ぶ位置に位置付けて、機器本体3に挿入されたCD2を前述した一つのホルダ19に保持させたり、前述した一つのホルダ19に保持されたCD2を機器本体3外に排出させる。
【0036】
ストッパ機構16は、図3に示すように、固定シャーシ9などに取り付けられたストッパ本体26と、このストッパ本体26から凸没自在に設けられたストッパピン27とを備えている。ストッパ本体26は、周知のソレノイドを収容している。
【0037】
ストッパ機構16は、ストッパ本体26内のソレノイドへの通電状態が切り換えられることで、ストッパピン27がストッパ本体26から凸没する。また、ストッパ本体26は、ストッパピン27が突出すると、このストッパピン27が機器本体3内に挿入されるCD2に当接して当該CD2の侵入を規制し、かつストッパピン27が没すると、このストッパピン27が機器本体3内に挿入されるCD2に当接せずに当該CD2の侵入を許容する位置に配置されている。このように、ストッパ機構16は、ストッパ本体26からストッパピン27が凸没することで、機器本体3内にCD2が侵入することを許容する状態と、機器本体3内にCD2が侵入することを規制する状態とが切換自在となっている。
【0038】
MPU17は、周知のROM、RAM、CPU、タイマーなどを内蔵したマイクロコンピュータであり、モータ15、ディスク搬送部4、ロータリエンコーダ25、ディスク再生部5、ディスク収容部6、ディスク移動機構7及びストッパ機構16の動作を制御して、CDチェンジャ1全体の制御をつかさどる。
【0039】
MPU17は、機器本体3内のCD2を排出する際に、他のCD2が前記排出中のCD2と従動ローラ22との間に挿入されると、以下のように動作する。まず、図4中のステップS1において、スイッチ14aのうち排出用のスイッチ14aが押圧操作されて、ステップS2に進む。そして、MPU17は、ステップS2では、モータ15により駆動ローラ21を機器本体3外にCD2を排出する方向K1(図5中に矢印で示す)に回転駆動して、ステップS3に進む。そして、機器本体3外に排出されるCD2は、図5に示すように、駆動ローラ21と従動ローラ22との間に挟まれて、排出される。このとき、ストッパ機構16のストッパピン27は、勿論、ストッパ本体26に没しているとともに、駆動ローラ21と従動ローラ22は、勿論、機器本体3外にCD2を排出する方向としての矢印K1,K2(図5中に矢印で示す)に沿って回転している。
【0040】
ステップS3では、MPU17は、ロータリエンコーダ25が、CD2を排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2a(図7中に矢印で示す)に従動ローラ22が回転したことを検出したか否かを判定する。MPU17は、ロータリエンコーダ25が、CD2を排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに従動ローラ22が回転したことを検出していないとステップS4に進み、検出するとステップS6に進む。そして、MPU17は、ステップS4では、CD2の排出が完了したか否かを判定し、排出が完了していないと、ステップS3に戻り、排出が完了すると、ステップS5に進んで、駆動ローラ21の回転駆動を停止する。要するに、MPU17は、CD2の排出が完了するまで、ステップS3及びステップS4を繰り返す。
【0041】
この状態で、図6に示すように、排出中のCD2と従動ローラ22との間に他のCD2が挿入されると、まず、図7に示すように、従動ローラ22が他のCD2により連れ回りして、当該従動ローラ22がCD2を排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに回転する。すると、MPU17は、ステップS3において、ロータリエンコーダ25が、CD2を排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに従動ローラ22が回転したことを検出して、ステップS6に進む。
【0042】
そして、MPU17は、ステップS6において、図7に示すように、ストッパ機構16のストッパピン27をストッパ本体26から突出させて、ステップS7に進む。こうして、MPU17は、CD2を機器本体3外に排出する際に、ロータリエンコーダ25がCD2を排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに従動ローラ22が回転したことを検出すると、ストッパ機構16を機器本体3内にCD2が侵入することを許容する状態から機器本体3内にCD2が侵入することを規制する状態に切り換える。そして、前述した他のCD2を機器本体3内に挿入しても、図8に示すように、当該他のCD2がストッパピン27に当接して、機器本体3内に完全に収容されることが規制される。
【0043】
また、MPU17は、ステップS7において、ロータリエンコーダ25がCD2を排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに従動ローラ22が回転したことを検出したこと即ち前述したCD2の排出中に他のCD2が挿入されたことを示す警告メッセージを表示パネル13に表示して、ステップS8に進む。ステップS8では、MPU17は、ロータリエンコーダ25がCD2を排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに従動ローラ22が回転したことを検出しなくなったか否か即ち前述した他のCD2が抜き取られたか否かを判定して、検出していると即ち前述した他のCD2が抜き取られていないとステップS7に戻り、検出しなくなると即ち前述した他のCD2が抜き取られるとステップS9に進む。こうして、MPU17は、ロータリエンコーダ25がCD2を排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに従動ローラ22が回転したことを検出しなくなるまで即ち前述した他のCD2が抜き取られるまで、ステップS7及びステップS8を繰り返す。そして、MPU17は、ステップS9では、ストッパ機構16のストッパピン27をストッパ本体26に没して、ステップS5に進む。
【0044】
本実施例によれば、CD2の排出中に、従動ローラ22が排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに回転するとストッパ機構16がCD2の機器本体3内への侵入を阻止する。このために、CD2の排出中に、他のCD2が排出中のCD2と従動ローラ22との間に挿入されても、当該他のCD2の機器本体3内への侵入を阻止できる。したがって、CD2の排出中の他のCD2の誤挿入を確実に防止することができる。
【0045】
また、CD2の排出中に、従動ローラ22が排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに回転すると、即ち他のCD2が排出中のCD2と従動ローラ22との間に挿入されると、ストッパ機構16が他のCD2の侵入を阻止することに加えて、かかる旨の表示パネル13に表示させる。このため、使用者にCD2の誤挿入を喚起することができ、CD2の排出中の他のCD2の誤挿入をより確実に防止することができる。
【0046】
前述した実施例では、駆動ローラ21は従動ローラ22の上方に配置されている。しかしながら、本発明では、駆動ローラ21を従動ローラ22の下方に配置しても良いことは勿論である。さらに、前述した実施例では、ストッパ機構16を周知のソレノイドなどにより構成している。しかしながら、本発明では、ストッパ機構16を周知のソレノイド以外の種々の構成としても良いことは勿論である。要するに、本発明では、ストッパ機構16は前記機器本体3内に前記CD2が侵入することを許容する状態と、前記機器本体3内に前記CD2が侵入することを規制する状態とが切換自在であれば如何なる構成であっても良い。
【0047】
前述した実施例によれば、以下のCDチェンジャが得られる。
【0048】
(付記)機器本体3と、
モータ15により回転駆動されることで前記機器本体3内にCD2を出し入れする駆動ローラ21と、
前記駆動ローラ21に接離自在に設けられかつ前記駆動ローラ21に近づく方向に付勢されているとともに前記駆動ローラ21との間に前記CD2を挟みこむ従動ローラ22と、
前記機器本体3に設けられて動作状況を表示する表示パネル13と、を備えたCDチェンジャ1において、
前記従動ローラ22の回転方向を検出するロータリエンコーダ25と、
前記機器本体3内に前記CD2が侵入することを許容する状態と、前記機器本体3内に前記CD2が侵入することを規制する状態とが切換自在なストッパ機構16と、
前記CD2を前記機器本体3外に排出する際に、前記ロータリエンコーダ25が前記CD2を排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに前記従動ローラ22が回転したことを検出すると、前記ストッパ機構16を前記機器本体3内に前記CD2が侵入することを許容する状態から前記機器本体3内に前記CD2が侵入することを規制する状態に切り換えるMPU17と、
を備えたことを特徴とするCDチェンジャ1。
【0049】
付記によれば、CD2の排出中に、従動ローラ22が排出するときに回転する方向K2と逆向きの方向K2aに回転するとストッパ機構16がCD2の機器本体3内への侵入を阻止する。このために、CD2の排出中に、他のCD2が排出中のCD2と従動ローラ22との間に挿入されても、当該他のCD2の機器本体3内への侵入を阻止できる。したがって、CD2の排出中の他のCD2の誤挿入を確実に防止することができる。
【0050】
前述した実施例では、記録媒体としてのCD2を複数収容するCDチェンジャ1を示している。しかしながら、本発明では、例えば、記録媒体としてのMD(Mini Disc)を複数収容するMDチェンジャや、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)などの他の記録媒体を複数収容する情報処理装置に適用しても良い。さらに、本発明は、各種の記録媒体を一枚のみ収容する情報処理装置に適用しても良い。
【0051】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例にかかる情報処理装置としてのCDチェンジャの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたCDチェンジャの互いに組み付けられた固定シャーシとディスク搬送部とディスク再生部とディスク収容部とディスク移動機構などを示す斜視図である。
【図3】図2に示されたCDチェンジャの要部の構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示されたCDチェンジャがCDの排出中に他のCDが挿入された際のフローチャートである。
【図5】図3に示されたCDチェンジャがCDを排出している状態を模式的に示す説明図である。
【図6】図5に示されたCDチェンジャのCDの排出中に他のCDが挿入される状態を模式的に示す説明図である。
【図7】図6に示されたCDチェンジャに他のCDが挿入されて従動ローラが排出する際に回転する方向と逆向きの方向に回転している状態を模式的に示す説明図である。
【図8】図7に示されたCDチェンジャのストッパ機構のストッパピンに他のCDが当接した状態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 CDチェンジャ(情報処理装置)
2 CD(記録媒体)
3 機器本体
13 表示パネル(表示部)
15 モータ(駆動源)
16 ストッパ機構(侵入阻止部)
17 MPU(制御手段)
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
25 ロータリエンコーダ(検出手段)
K2 CDを排出するときに回転する方向
K2a 逆向きの方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、
駆動源により回転駆動されることで前記機器本体内に記録媒体を出し入れする駆動ローラと、
前記駆動ローラに接離自在に設けられかつ前記駆動ローラに近づく方向に付勢されているとともに前記駆動ローラとの間に前記記録媒体を挟みこむ従動ローラと、
前記機器本体に設けられて動作状況を表示する表示部と、を備えた情報処理装置において、
前記従動ローラの回転方向を検出する検出手段と、
前記機器本体内に前記記録媒体が侵入することを許容する状態と、前記機器本体内に前記記録媒体が侵入することを規制する状態とが切換自在な侵入阻止手段と、
前記記録媒体を前記機器本体外に排出する際に、前記検出手段が前記記録媒体を排出するときに回転する方向と逆向きの方向に前記従動ローラが回転したことを検出すると、前記侵入阻止手段を前記機器本体内に前記記録媒体が侵入することを許容する状態から前記機器本体内に前記記録媒体が侵入することを規制する状態に切り換える制御手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記記録媒体を前記機器本体外に排出する際に、前記検出手段が前記記録媒体を排出するときに回転する方向と逆向きの方向に前記従動ローラが回転したことを検出すると、この前記従動ローラが逆向きの方向に回転したことを示す情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−55688(P2010−55688A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219617(P2008−219617)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】