説明

情報処理装置

【課題】情報処理装置において、バッテリパックを取り外すことなく、バッテリパックを取り外したことと同様の電源供給停止の状態を作る。
【解決手段】バッテリパック50と情報処理装置1本体との接続を検出してバッテリパック50に接続情報(ローレベルの信号SYS_PRS)を出力する検出部42と、接続情報(ローレベルの信号SYS_PRS)を取得したバッテリパック50から電力(+VBATT)が供給される電源回路31とを備える。さらに、ユーザによる操作が可能な操作子20と、該操作子20が操作されたとき、バッテリパック50に未接続情報(ハイレベルの信号SYS_PRS)を出力し、検出部42により接続を検出していても接続情報(ローレベルの信号SYS_PRS)の出力を停止する停止部42とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パーソナルコンピュータ等のバッテリパックを装着した情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パーソナルコンピュータはバッテリパックを容易に着脱できるものが主流である。一般に、ノート型パーソナルコンピュータの本体部の背面に、バッテリパックを着脱自在なバッテリ装着部が設けられている。バッテリパックは、ノート型パーソナルコンピュータの本体部の底面と略平行な方向に挿入されることで、バッテリパック装着部に装着される。バッテリパック装着部はコネクタを有しており、当該コネクタとバッテリパックが有するコネクタとを接続することで、ノート型パーソナルコンピュータの本体部とバッテリパックとの接続が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のとおり、ノート型パーソナルコンピュータは、本体部(本体ユニット)に対して着脱自在なバッテリパックを備える。本体ユニットには、複数の電子部品等が実装されたプリント基板、放熱ユニット、HDD又はSSD(Solid State Drive)といったドライブ類などが搭載されている。プリント基板には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の電子部品が実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−157442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ノート型パーソナルコンピュータが動作中にバッテリパックが外れると動作やデータの保全に支障が出る恐れがある。そこで、ノート型パーソナルコンピュータの本体部(本体ユニット)背面には、通常バッテリパックの着脱を安全に行うためのスライド操作部が設けられる。この本体部(本体ユニット)背面のスライド操作部を操作することで、本体部に対してバッテリパックを容易かつ確実に着脱することができる。それにより、本体部への電源供給を停止する必要がある場合に、バッテリパックを簡単に取り外して電源供給を停止できる。例えば、バッテリパックを簡単に取り外して、バッテリパック内のマイコン(マイクロコントローラ:microcontroller)を初期化したり、メモリの取り替えを安全に行ったりすることが可能になる。
【0006】
ここで、ノート型パーソナルコンピュータの本体部背面の外観の美観を向上させる目的で、バッテリパック、ドライブ類、メモリ等を本体ユニット内部において近くに配置し、ビス留めされた蓋で覆って本体ユニットに搭載することを想定する。バッテリパック、ドライブ類、メモリ等をまとめて覆う蓋をビス留めした場合には、スライド操作部のためのスライド機構とそのスペースが必要なくなるので、本体部背面がすっきりして美観が向上する。しかし、バッテリパックの着脱の際には、ビス(雄ネジ)を外して本体ユニットから蓋を開ける必要があり、バッテリパックの円滑な取り外し及び再装着を困難にしていた。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、ノート型パーソナルコンピュータなどの情報処理装置において、バッテリパックを取り外すことなく、バッテリパックを取り外したことと同様の電源供給停止の状態を作れるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、押している間はバッテリパックを抜いた状態と同様の状態を実現する操作子を情報処理装置に設け、操作子を操作してバッテリパックによる電力供給を制御できるように構成する。具体的には以下のとおりである。
本発明の一側面の情報処理装置は、バッテリパックと情報処理装置本体との接続を検出してバッテリパックに接続情報を出力する検出部と、接続情報を取得したバッテリパックから電力が供給される電源回路とを備える。さらに、ユーザによる操作が可能な操作子と、該操作子が操作されたとき、バッテリパックに未接続情報を出力し、検出部により接続を検出していても接続情報の出力を停止する停止部とを備える。
【0009】
上記構成によれば、バッテリパックと情報処理装置本体とが接続した状態において、情報処理装置に設けた操作子が操作されると、バッテリパックに未接続情報を出力し、バッテリパックから情報処理装置本体への電源の供給が停止される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、情報処理装置からバッテリパックを取り外すことなく、バッテリパックを取り外したことと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態における情報処理装置の裏面の蓋を付けた状態の斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態における情報処理装置の裏面の蓋を開けた状態の斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態における情報処理装置の裏面の蓋を付けた状態の平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態における情報処理装置の裏面の蓋を開けた状態の平面図である。
【図5】本発明の一実施の形態における情報処理装置の裏面に形成された操作子用の穴付近を拡大した平面図である。
【図6】図5に示すX−X線における断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態における情報処理装置の電源制御回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。説明は下記の順で行う。本実施の形態では情報処理装置としてノート型パーソナルコンピュータを一例に挙げて説明する。なお、各図において共通の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
・情報処理装置の外観
・操作子の構造
・電源制御回路の構成
・電源制御回路の動作
【0013】
[情報処理装置の外観]
図1は、本発明の一実施の形態における情報処理装置の裏面の蓋を付けたところを下から見上げた状態の斜視図である。図2は、本発明の一実施の形態における情報処理装置の裏面の蓋を開けたところを下から見上げた状態の斜視図である。図3は、本発明の一実施の形態における情報処理装置の裏面の蓋を付けた状態の平面図である。図4は、本発明の一実施の形態における情報処理装置の裏面の蓋を開けた状態の平面図である。図3及び4において、下側はユーザから見て情報処理装置1の正面側、上側はユーザから見て情報処理装置1の背面側である。
【0014】
情報処理装置1は、表示部2と、本体部3と、表示部2と本体部3とを連結するヒンジ(図示略)とを備えている。
【0015】
表示部2は、ヒンジを介して本体部3に対して開閉可能である。表示部2は、情報を表示するための画面となる表示パネル(図示略)を有し、閉じた状態で表示パネルが本体部3に対面する。表示パネルに表示される情報は、本体部3に設けられた制御部の制御の元で、表示部2筐体内に設けられた表示処理を行う図示しない表示処理ユニットにより生成される。
【0016】
本体部3は、本体部3の上面側の部分を構成する図示しないパームレストユニット(キーボードユニット)と、本体部3の底面側の部分を構成する本体ユニット4とを備える。本体部3は、パームレストユニットと本体ユニット4とが組み合わされて一体化される。
【0017】
本体ユニット4には、複数の電子部品等が実装されたプリント基板、放熱ユニット、ハードディスクドライブなどのドライブ類などが搭載されている。プリント基板には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の電子部品が実装されている。
【0018】
情報処理装置1は、本体部3(本体ユニット4)に対して着脱自在なバッテリパック(図示略)を備える。バッテリパックとしては、例えばリチウムイオンポリマーバッテリなどが用いられる。図2及び図4に示すように、情報処理装置1の本体部3(本体ユニット4)の裏側の背面近くには、バッテリパックの着脱が可能な凹空間10が設けられている。凹空間10は、バッテリ装着部10aと、HDD装着部と、メモリ装着部に区分される。図2及び図4では、バッテリ装着部10aからバッテリパックが取り外され、HDD装着部にHDD12(補助記憶装置の一例)が、メモリ装着部にメモリ13(主記録装置の一例)がそれぞれ装着された例を示している。
【0019】
本体ユニット4の凹空間10の縁の一部に係合穴11a〜11eが設けられている。係合穴11a〜11eに蓋5の不図示の係合突起を係合させて蓋5を凹空間10の上にのせ、その状態でビス6a,6b(図1及び図3参照)を締めてビス留めすることにより、本体ユニット4に蓋5を付ける(固定する)ことができる。本実施の形態では、バッテリパック、HDD12及びメモリ13を凹空間10に収納して一つの蓋5で覆い、ビス留めする。これにより、バッテリパック、HDD12及びメモリ13を別々の空間に収納して複数の蓋で覆いビス留めすることと比較して、大きな蓋5が本体ユニット4の裏側の外装面の一部として見えるようになり、外観の美観が向上する。
【0020】
なお、本実施の形態では、バッテリ等の修理・交換の際には蓋5を開けられるようにビス留めにより蓋5を固定しているが、ユーザの通常使用の場合に蓋5が容易に外れないように蓋5が固定されればこれに限らない。蓋5を本体ユニット4に固定する手段としては、例えば接着、溶着などが挙げられる。
【0021】
本体ユニット4に形成した穴7は、ユーザが本体ユニット4に設けられた操作子を押す際に細い棒状の部材を挿入するためのものである。図5は、情報処理装置1の裏面の操作子用の穴7付近を拡大した平面図を示している。ビス8は、本体ユニット4をパームレストユニットと固定するためのものである。また本体ユニット4から蓋9を開けて情報処理装置1にドッキングステーション(機能拡張ユニット)を接続することにより、情報処理装置1の機能を拡張できるようにしている。
【0022】
[操作子の構造]
次に、本体ユニット4内部に設けられた操作子の概要について説明する。
図6は、図5に示すX−X線における断面図である。情報処理装置1は、本体ユニット4の筐体と該本体ユニット4に搭載されたプリント基板22との間に、操作子としてボタン20を備える。ボタン20は断面形状が下に凸形状のボタン本体20aを有し、ボタン本体20aとプリント基板22との間には弾性部材21a,21bが設けられている。ユーザが細い棒状の部材を穴7に挿入してボタン本体20aの上面20tを押して、ボタン本体20aの下面20bがプリント基板22の配線部等に接触しているときボタン20がオンした状態になる。このボタン20は、ユーザが細い棒状の部材をボタン本体20aから離すと、ボタン本体20aの下面20bが弾性部材21a,21bの弾性力によってプリント基板22の配線部等から離れる。
【0023】
上述のように、ボタン20は、穴7に細い棒状の部材を通して操作しなければならず、言わばボタン20が隠されたような構造及び配置としてユーザが容易に操作できないようになっている。したがって、通常の使用においてユーザが誤ってボタン20を操作することがなく、誤操作を防止できる。ボタン20を押している間、後述する電源制御回路によりバッテリパックを抜いたことと同様の効果を得る。
【0024】
なお、図6に示したボタン20は操作子の一例であって、ユーザが操作子を操作したときにオンし、操作子を操作しないときはオフするものであって、ユーザが容易に操作できない構造や配置であればよい。
【0025】
[電源制御回路の構成]
次に、図7を参照して、情報処理装置1が備える電源制御回路を説明する。
図7では、情報処理装置1のバッテリ装着部10a(図2、図4参照)にバッテリパック50が装着されている。また、情報処理装置1はACアダプタ38が接続され、商用電源より入力された交流電圧がACアダプタ38によって直流電圧に変換されて情報処理装置1に供給される。
【0026】
情報処理装置1は、バッテリパック50から入力される電力及びACアダプタから入力される電力の制御と切り替え、バッテリパック50との信号の送受信を行う電源制御回路30を備えている。電源制御回路30は、電源回路31と、制御部32と、ボタン20と、nチャンネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)41,42と、抵抗素子43,44と、容量素子45とを備える。本実施の形態では、スイッチング素子の一例としてnチャンネルMOSFET(以下、「nMOSFET」と称す)を用いているが、この例に限られない。電気的にオンとオフを切り替えられるものであればよく、他のトランジスタや他のスイッチング素子を用いることができる。
【0027】
電源制御回路30の電源回路31の一の入力端子は、端子37(電源端子)と接続し、その端子37はACアダプタ38のプラグと接続している。また、電源回路31の他の入力端子は端子36と接続している。さらに、電源回路31は抵抗素子43を介してnMOSFET41のドレイン端子に接続しており、そのドレイン端子は制御部32の入力端子と接続している。nMOSFET41のソース端子は端子35に接続している。また、nMOSFET41のゲート端子は、抵抗素子44を介して端子33と接続するとともに、ボタン20を介してグラウンドに接続している。nMOSFET41のゲート端子は、さらにnMOSFET42のゲート端子に接続している。nMOSFET42のゲート端子は容量素子45を介してグラウンドに接続し、そのソース端子はグラウンドに直接接続している。nMOSFET42のドレイン端子は、端子34に接続している。
【0028】
nMOSFET41,42(検出部、停止部の一例)のオン/オフの動作は、端子33から入力される信号SYS_PRS_VR又はボタン20のオン/オフにより制御される。端子33から入力される信号SYS_PRS_VRは、情報処理装置1内部に保持されているRTCバッテリを用いているため、バッテリパック50およびACアダプタ38が未接続時でも信号SYS_PRS_VRの出力が可能である。抵抗素子43,44及び容量素子45は、nMOSFET41,42の定格、信号SYS_PRS_VRや+Vccの値に応じて決定される。
【0029】
バッテリパック50は、バッテリ(図示略)を含む電源回路51と、該電源回路51と接続した制御回路52を備える。制御回路52は端子53,54と接続し、バッテリパック50は端子55と接続している。バッテリパック50の端子53,54,55はそれぞれ情報処理装置1の端子34,35,36と一対一に接続している。端子34,35,36はバッテリ装着部10aに配置されたコネクタ(図示略)に設けられ、端子53,54,55はバッテリパック50に配置されたコネクタに設けられる。情報処理装置1のコネクタとバッテリパック50のコネクタを接続することで、端子34,35,36と対応する端子53,54,55が接続する。
【0030】
電源制御回路30の電源回路31は、ACアダプタ38又はバッテリパック50から供給される電力を利用して、電源制御回路30に電力を供給したり、HDD12やプリント基板のメモリ13等へ電力を供給したりする。また、端子33に信号SYS_PRS_VRを供給する。この電源回路31は、制御部32の制御下で、ACアダプタ38又はバッテリパック50から供給される電力の切り替えを行う。制御部32は、電源制御回路30を制御するブロックであり、例えばEC(Embedded Controller)が用いられる。
【0031】
例えば端子36を通じてバッテリパック50から電源回路31へ電力+VBATTが供給されている場合、制御部32は、バッテリパック50からの電力を使用する。また、例えばACアダプタ38及びバッテリパック50の双方から電力が供給されている場合、制御部32は、ACアダプタから供給された電力を使用するとともに、バッテリパック50のバッテリを充電する。この電源回路31におけるACアダプタ38からの電力とバッテリパック50からの電力の切り替えの形態は一例であって、この例に限るものではない。
【0032】
情報処理装置1の端子34から出力される信号SYS_PRSは、情報処理装置1にバッテリパック50を接続時、ゲート端子に信号SYS_PRS_VRが入力されたnMOSFET42によりローレベルに引かれる、すなわちほぼゼロレベルになる。それにより、バッテリパック50の制御回路52は、端子53を通じてバッテリパック50に情報処理装置1が接続されたことを検出する。なお、ロー(Low)レベルは0V、ハイ(High)レベル(ドレイン飽和電流に対する電圧)は例えば3.3Vである。
【0033】
情報処理装置1の端子35に入力される信号BATT_PRSは、情報処理装置1にバッテリパック50を接続時、バッテリパック50側のnMOSFET41によりローレベルに引かれる、すなわちほぼゼロレベルになる。それにより、情報処理装置1の制御部32は、端子35及びnMOSFET41を通じて、情報処理装置1にバッテリパック50が接続されたことを検出する。
【0034】
電力+VBATTは、バッテリパック50の電源回路51から情報処理装置1の電源回路31へ出力される電力である。バッテリパック50が情報処理装置1と接続しているときのみ電源回路51から電力+VBATTが出力され、バッテリパック50が未装着又はボタン20がオン(ボタン本体20aを押下)しているときは出力されない。
【0035】
[電源制御回路の動作]
バッテリパック50を情報処理装置1に装着時、未装着時及びボタン20を押下時のそれぞれの条件ごとに、電源制御回路30の動作を説明する。
【0036】
(バッテリパック50を装着時)
まず、情報処理装置1にバッテリパック50が装着されている場合を説明する。このとき、ACアダプタ38が情報処理装置1に接続していないものとする。
nMOSFET41,42のゲート端子に対し、端子33及び抵抗素子44を介して電源回路31から信号SYS_PRS_VRが供給され、nMOSFET41、42がオンする。nMOSFET42のオンによって情報処理装置1側の端子34(バッテリパック50側の端子53)に流れる信号SYS_PRSがローレベルに引かれる。情報処理装置1にバッテリパック50が装着されているときは、ローレベルの信号SYS_PRSは、バッテリパック50に情報処理装置1が接続されていることを示す接続情報に相当する。
【0037】
そして、バッテリパック50の制御回路52はこの接続情報により情報処理装置1が接続されたことを検出し、制御回路52は電源回路51に電力+VBATTを出力するよう制御信号を送る。電源回路51は、その制御信号を受けて情報処理装置1へ電力+VBATTを出力する。また、バッテリパック50側で、端子54(情報処理装置1側の端子35)に流れる信号BATT_PRSをローレベルに引くことにより、情報処理装置1の制御部32は、バッテリパック50が接続されたことを検出する。
【0038】
(バッテリパック50を未装着時)
次に、情報処理装置1にバッテリパック50が未装着である場合を説明する。このとき、ACアダプタ38が情報処理装置1に接続しているものとする。
情報処理装置1にバッテリパック50が未装着であるときは、バッテリパック50と情報処理装置1が接続していないので、情報処理装置1の端子34〜36は開放状態である。nMOSFET41,42のゲート端子に対し、端子33及び抵抗素子44を介して信号SYS_PRS_VRを供給してnMOSFETがオンの状態でも、バッテリパック50と情報処理装置1が接続していない。そのため、バッテリパック50側の端子53に流れる信号SYS_PRSがハイレベルとなる。ハイレベルの信号SYS_PRSは、バッテリパック50に情報処理装置1が接続されていることを示す未接続情報に相当する。
【0039】
そして、バッテリパック50の制御回路52は情報処理装置1が未接続であることを検出し、制御回路52は電源回路51に電力+VBATTを出力するための制御信号を出力しない。それにより、電源回路51は、情報処理装置1へ電力+VBATTを出力しない。また、バッテリパック50側で、端子54(情報処理装置1側の端子35)に流れる信号BATT_PRSをハイレベルにすることにより、情報処理装置1の制御部32は、バッテリパック50が未接続であることを検出する。
【0040】
(ボタン20を押下時)
次に、情報処理装置1裏面のボタン20(図6参照)をユーザが押下した場合を説明する。このとき、情報処理装置1にバッテリパック50が接続されており、ACアダプタ38は接続されていないものとする。
情報処理装置1裏面のボタン20が押下されてオンしている間、nMOSFET41,42のゲート端子がグラウンドと接続する。これにより、nMOSFET41,42のゲート端子に対し、端子33及び抵抗素子44を介して電源回路31から信号SYS_PRS_VRが入力されず、nMOSFET42がオフする。nMOSFET42のオフによって、情報処理装置1側の端子34(バッテリパック50側の端子53)に流れる信号SYS_PRSがローレベルに引かれずハイレベルとなる。ハイレベルの信号SYS_PRSは、バッテリパック50に情報処理装置1が接続されていることを示す未接続情報に相当する。
【0041】
そして、バッテリパック50の制御回路52はこの未接続情報により情報処理装置1が未接続であることを検出し、電源回路51に電力+VBATTを出力するための制御信号の出力を停止する。それにより、電源回路51は、情報処理装置1への電力+VBATTの出力を停止する。また、バッテリパック50側で、端子54(情報処理装置1側の端子35)に流れる信号BATT_PRSをローレベルに引いてもnMOSFET42がオフのため、情報処理装置1の制御部32は、バッテリパック50が未接続であると認識する。
【0042】
以下、バッテリパック50を情報処理装置1に装着時、未装着時及びボタン20を押下時のそれぞれの条件における、信号SYS_PRS、信号BATT_PRS及び電力+VBATTの状態を表1に示す。
【表1】

【0043】
表1に示すように、バッテリパック50を情報処理装置1に未装着時とボタン押下時における、信号SYS_PRS、信号BATT_PRS及び電力+VBATTの3つの状態が同じである。すなわち、ユーザによりボタン20が押下されている間、バッテリパック50を情報処理装置1から取り外したことと同じ状態を擬似的に作り出している。
【0044】
すなわち、ボタン20が押下されている間、バッテリパック50の制御回路52へ信号SYS_PRSを出力し、バッテリパック50の制御回路52をリセットする。それにより、バッテリパック50の電源回路51からの電力+VBATTの出力を停止させる。そして、バッテリパック50を情報処理装置1から取り外すことなくボタン20の押下を止めると、バッテリパック50の電源回路51からの電力+VBATTの出力が再開される。このように、ボタン20を操作することにより、情報処理装置1からバッテリパック50を取り外すことなく、バッテリパック50を取り外して再装着したことと同様の効果を得ることが可能である。
【0045】
(ボタン20押下時にバッテリパック50のみ接続)
なお、上述した実施の形態では、情報処理装置1とバッテリパック50との間で通信を行い、バッテリパック50側で信号SYS_PRSを、情報処理装置1側で信号BATT_PRSを検出している。しかし、情報処理装置1にバッテリパック50だけが接続している場合は、情報処理装置1に電力を供給するのはバッテリパック50のみである。この場合、バッテリパック50による電力+VBATTの出力を制御すればよいので、少なくともバッテリパック50側で信号SYS_PRSの状態を検出できればよく、情報処理装置1側で信号BATT_PRSを検出しない構成としてもよい。
【0046】
例えば、制御部32は情報処理装置1とバッテリパック50間で行われる充電や放電等を制御しているので、制御部32の動作が正常でないときには当該制御部32のリセット(初期化)も必要である。そのため、情報処理装置1側で信号BATT_PRSの状態を検出して情報処理装置1にバッテリパック50が接続しているか否かを認識できるようにし、接続していないと認識した場合には制御部32のリセットを行うようにすることも可能である。また、制御回路52はバッテリパックの充電や放電等を制御しているので、制御回路52の動作が正常でないときには当該制御回路52のリセット(初期化)も必要である。そのため、バッテリパック50側で信号SYS_PRSの状態を検出してバッテリパック50に情報処理装置1が接続しているか否かを認識できるようにし、接続していないと認識した場合には制御回路52のリセットを行うようにすることも可能である。
【0047】
(ボタン20押下時にバッテリパック50とACアダプタ38が接続)
ボタン20を操作時にはACアダプタ38を抜いておくことが望ましいが、ユーザが間違えてACアダプタ38を情報処理装置1に指したままボタン20の操作を行う可能性もある。すなわち、ボタン20を押下時に、情報処理装置1にバッテリパック50とACアダプタ38の両方が接続していることがある。この場合、情報処理装置1の制御部32は、バッテリパック50とACアダプタ38の双方に対して制御を行う。
【0048】
例えば、制御回路52はバッテリパックの充電や放電等を制御しているので、制御回路52の動作が正常でないときには当該制御回路52のリセット(初期化)も必要である。そのため、バッテリパック50側で信号SYS_PRSの状態を検出してバッテリパック50に情報処理装置1が接続しているか否かを認識できるようにし、接続していないと認識した場合には制御回路52のリセットを行うようにすることも可能である。
【0049】
なお、本実施の形態における電源回路31は一例として内部に容量素子等を用いた充電回路を有する。それにより、情報処理装置1にACアダプタ38が接続されていない状態でバッテリパック50を取り外しても、充電回路が放電することにより一定の秒数(例えば1秒)の間、電圧+VCCの電力など必要な電力を必要な回路へ供給できる。それにより、バッテリパック50を取り外した瞬間及びその後において電源制御回路30が確実に動作する。それゆえ、情報処理装置1内の図示しない各ブロックが安全に動作する。
【0050】
また、上述した実施の形態では、バッテリパック、HDDなどのドライブ類、メモリ等が情報処理装置内にまとめて収納され一つの蓋で覆われている例を説明したが、本発明を蓋が一つでない場合やビス留めしていない場合にも適用することは可能である。
【0051】
以上、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、応用例を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1…情報処理装置、 3…本体部、 4…本体ユニット、 5…蓋、 6a,6b…ビス、 7…穴、 9…蓋、 10…凹空間、 10a…バッテリ装着部、 12…HDD、13…メモリ、 20…ボタン、20a…ボタン本体、 30…電源制御回路、 31…電源回路、 32…制御部、 33〜37…端子、 38…ACアダプタ、 41,42…スイッチング素子、 50…バッテリパック、 51…電源回路、 52…制御回路、53〜55…端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックと情報処理装置本体との接続を検出して前記バッテリパックに接続情報を出力する検出部と、
前記接続情報を取得した前記バッテリパックから電力が供給される電源回路と、
ユーザによる操作が可能な操作子と、
前記操作子が操作されたとき、前記バッテリパックに未接続情報を出力し、前記検出部により前記接続を検出していても前記接続情報の出力を停止する停止部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記バッテリパックは、前記情報処理装置本体に設けられた凹空間に収納され、蓋で固定されている
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記蓋は前記情報処理装置本体にビス留めされている
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記凹空間に前記バッテリパック以外のデバイスが収納されている
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記凹空間に前記バッテリパック、主記録装置、補助記憶装置が収納されている
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記操作子に対する操作は前記情報処理装置本体に設けられた穴を通じて行われ、前記停止部は前記操作子が操作されている間のみ前記未接続情報の出力を行う
請求項2乃至5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
バッテリパックと情報処理装置本体との接続を検出して前記バッテリパックに接続情報を出力する検出部と、
前記接続情報を取得した場合に情報処理装置本体に電力を供給するバッテリパックと、
ユーザによる操作が可能な操作子と、
前記操作子が操作されたとき、前記バッテリパックに未接続情報を出力し、前記検出部により前記接続を検出していても前記接続情報の出力を停止する停止部と、
を備える情報処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−133467(P2012−133467A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283252(P2010−283252)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】