説明

情報処理装置

【課題】記録媒体のデータを効率的に管理する技術を提供する。
【解決手段】ゲーム記録メディア70は、ゲームプログラムと、ゲームプログラムが使用可能なデータファイルを特定するための設定情報とを含むゲームファイルを記録する。記録メディア80は、データファイルを記録する。取得部102が、ゲーム記録メディア70から設定情報を取得し、探索部104が、取得した設定情報をもとに、記録メディア80において、ゲームプログラムが使用可能なデータファイルを探索する。コピー部106は、データファイルが検出された場合に、ゲーム記録メディア70に、検出されたデータファイルをコピーする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置などの情報処理装置で実行される情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゲームソフトウェアは、光ディスクや光磁気ディスク、ブルーレイディスクなどのROM媒体の形態で流通、販売されている。ROM媒体に記録されたゲームソフトウェアは書き換えることができないため、ゲームソフトウェアの一部のバグを修正したり、機能を変更するためには、パッチを当てることで対応する。特許文献1は、記録媒体に記録されたバージョン情報とパッチファイルに含まれるバージョン情報とを比較し、より新しいバージョン情報が付与されている起動ファイルをメモリにロードして、ゲーム起動処理を実行するゲーム装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US2008/0141018号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターネットの発達により、ゲームプログラムを含むゲームファイルやパッチファイルを、サーバからインターネット経由でユーザ端末に配信する環境が構築されている。この環境のもと、ユーザ端末がオリジナルのゲームには存在しない新たなキャラクタなどを含むデータファイルをダウンロードすることで、オリジナルのゲームに、新たなゲームキャラクタを追加することも可能となっている。
【0005】
一方で、今なお、ゲームソフトウェアは、記録媒体の形態で流通、販売されている。従来は、ROM媒体にゲームソフトウェアが記録されていたため、追加のデータファイルを書き込むことはできなかったが、ゲームソフトウェアが記録された記録媒体に、書込可能な記憶領域をもたせると、新たなゲームキャラクタなどを含む追加のデータファイルを書き込むことも可能となる。これにより、ゲームの実行に必要なプログラムおよびデータファイルを1つの記録媒体に収めることができるため、ユーザは、どのゲーム装置に記録媒体を装着しても、新たなキャラクタが登場するゲームを楽しむことができるようになる。そこで、記録媒体に、効率的にデータファイルを書き込むことのできるシステムの開発が望まれる。
【0006】
そこで本発明は、記録媒体のデータを効率的に管理する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報処理装置は、アプリケーションプログラムと、アプリケーションプログラムが使用可能なデータファイルを特定するための設定情報とを少なくとも含むアプリケーションファイルを記録する第1記録媒体と、データファイルを記録する第2記録媒体と、データファイルのコピー機能を有する処理部とを備える。処理部は、第1記録媒体から設定情報を取得する取得部と、取得した設定情報をもとに、第2記録媒体において、アプリケーションプログラムが使用可能なデータファイルを探索する探索部と、探索部によりデータファイルが検出された場合に、第1記録媒体に、検出されたデータファイルをコピーするコピー部とを有する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の情報処理技術によると、記録媒体のデータを効率的に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例にかかる情報処理システムを示す図である。
【図2】実施例にかかる情報処理装置の外観の一例を示す図である。
【図3】情報処理装置の機能ブロック図である。
【図4】(a)は追加データファイルのディレクトリの基本構成を示す図であり、(b)は具体的な追加データファイルのディレクトリ構成を示す図である。
【図5】(a)はゲームファイルのディレクトリの基本構成を示す図であり、(b)は具体的なゲームファイルのディレクトリ構成を示す図である。
【図6】設定ファイルの内容を示す図である。
【図7】情報処理装置におけるコピー処理を実行するための機能ブロックを示す図である。
【図8】コピーされたABCTENNIS1の追加データファイルのディレクトリ構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施例にかかる情報処理システム1を示す。情報処理システム1は、ユーザ端末である情報処理装置10と、ファイル提供サーバ12とを備える。ファイル提供サーバ12は、ゲームプログラムを含むゲームファイルを提供するゲームファイル提供サーバ12aと、ゲームに適用するパッチファイルを提供するパッチファイル提供サーバ12bと、ゲームで使用するデータファイルを提供するデータファイル提供サーバ12cとを含む。
【0012】
情報処理装置10、ゲームファイル提供サーバ12a、パッチファイル提供サーバ12b、データファイル提供サーバ12cは、インターネットや有線LANなどのネットワーク4を介して通信可能に接続される。情報処理装置10は無線通信機能を有し、アクセスポイント(以下、「AP」と呼ぶ)2を介してネットワーク4に接続して、ファイル提供サーバ12から所望のファイルをダウンロードする。AP2は、無線LAN(Local Area Network)で情報処理装置10を他のアクセスポイントに接続したり、情報処理装置10をネットワーク4に接続する中継装置として機能する。このように情報処理装置10は、無線LAN方式による通信機能を有してもよいが、第3世代移動通信システムなどの携帯電話通信方式により携帯電話網に接続して、ファイル提供サーバ12からファイルをダウンロードしてもよい。
【0013】
ゲームファイル提供サーバ12a、パッチファイル提供サーバ12b、データファイル提供サーバ12cは、単一のサーバから構成されてもよいが、複数のサーバから構成されてもよい。また、ゲームファイル提供サーバ12a、パッチファイル提供サーバ12b、データファイル提供サーバ12cの2以上の組み合わせが、1つのサーバから構成されてもよい。
【0014】
ゲームファイル提供サーバ12aは、ゲームファイルを提供する。ゲームファイルは、起動ファイル、ゲームプログラムなどのゲームを実行するためのファイル群、および情報処理装置10のシステムソフトウェアが使用するファイル群を含んでいる。ゲームプログラムは、ゲームの実行に必要なプログラムであり、ゲームプログラムを走らせることで、ゲームが進行する。起動ファイルは、ゲームプログラムを起動するためのプログラムであり、起動ファイルを実行すると、ゲームプログラムが呼び出されて実行される。システムソフトウェアが使用するファイル群は、たとえば、情報処理装置10におけるメニュー画面に表示されるゲームアイコン画像などを含む。
【0015】
パッチファイル提供サーバ12bは、ゲームに適用するパッチファイルを提供する。パッチファイルは、バグを修正したゲームプログラムや、ゲーム機能を変更するためのデータファイルなどを含む。パッチファイルはゲームファイルと同じファイル構成を有し、ゲームファイルに含まれるコンテンツと置き換えられるべきコンテンツを含んでいる。なお、ここで「コンテンツ」とは、ゲームファイルやパッチファイルに含まれるプログラムやデータファイルなどを統一的に表現する用語として用いている。
【0016】
データファイル提供サーバ12cは、オリジナルのゲーム進行に追加される新たなキャラクタやゲームシーンなどを構成するデータファイルを提供する。データファイル提供サーバ12cにより保持されるデータファイルは、オリジナルのゲーム進行に対して追加的に使用されることから、以下においては「追加データファイル」と呼ぶ。
【0017】
図2は、実施例にかかる情報処理装置10の外観の一例を示す。図2に示す情報処理装置10は携帯型端末であり、無線通信機能を搭載する。なお情報処理装置10は、ケーブルを介してネットワーク4に接続してもよく、また携帯型端末に限らず、据置型端末であってもよい。
【0018】
図2に示すように、情報処理装置10の表側、すなわち、ユーザが情報処理装置10を把持して操作するときにユーザに面する側には、指示入力ボタン21、方向キー22、Rボタン23、Lボタン24などの入力装置20と、表示装置68が備えられている。表示装置68には、ユーザの指やスタイラスペンなどによる接触を検知するためのタッチパネル69が併設されている。情報処理装置10の内部には、情報処理装置10の傾きを検知するモーションセンサ25が備えられている。なお情報処理装置10の裏側に、背面タッチパネルが備えられてもよい。
【0019】
情報処理装置10の側面には、メモリカードなどの記録メディアを装着するためのスロット(図示せず)などの収容部が設けられる。また、情報処理装置10の側面には、ゲームファイルを記録した記録メディアを装着するためのスロット(図示せず)などの収容部も設けられる。
【0020】
ユーザは、情報処理装置10を両手で把持した状態で、例えば、右手親指で指示入力ボタン21を操作し、左手親指で方向キー22を操作し、右手人差し指又は中指でRボタン23を操作し、左手人差し指又は中指でLボタン24を操作することができる。またタッチパネル69を操作する場合には、情報処理装置10を両手で把持した状態で、それぞれの親指でタッチパネル69を操作してもよく、また情報処理装置10を左手で把持した状態で、右手でタッチパネル69を操作し、左手親指で方向キー22を操作し、左手人差し指又は中指でLボタン24を操作してもよい。
【0021】
図3は、情報処理装置10の機能ブロック図である。表示装置68は、情報処理装置10の各機能により生成される画像を表示する。表示装置68は、液晶表示装置であってもよいし、有機EL表示装置であってもよい。タッチパネル69は、表示装置68の上に重ね合わせて設けられ、ユーザの指やペンなどによる接触を検知する。タッチパネル69は、抵抗膜方式、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式など、いずれの方式のものであってもよい。情報処理装置10では、表示装置68およびタッチパネル69によりディスプレイが構成される。
【0022】
無線通信モジュール30はIEEE802.11b/g等の通信規格に準拠した無線LANモジュールによって構成され、AP2を介して、ネットワーク4に接続する。なお無線通信モジュール30は、他の情報処理装置10とアドホックモードで直接通信してもよい。携帯電話モジュール32は、ITU(International Telecommunication Union;国際電気通信連合)によって定められたIMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000)規格に準拠した第3世代(3rd Generation)デジタル携帯電話方式に対応し、携帯電話網6に接続する。携帯電話モジュール32には、携帯電話の電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたSIMカードが挿入される。
【0023】
インタフェース50において、LED(Light Emitting Diode)51は、無線通信モジュール30や携帯電話モジュール32などがデータの送受信をしている際に点滅する。モーションセンサ25は、情報処理装置10の動きを検知する。マイク52は、情報処理装置10の周辺の音声を入力する。スピーカ53は、情報処理装置10の各機能により生成される音声を出力する。ステレオ入出力端子54は、外部のマイクからステレオ音声を入力し、外部のヘッドフォンなどへステレオ音声を出力する。入力装置20は、前述した操作キーなどを含み、ユーザの操作入力を受け付ける。
【0024】
CPU(Central Processing Unit)40は、メインメモリ44にロードされたプログラムなどを実行する。GPU(Graphics Processing Unit)42は、画像処理に必要な計算を実行する。メインメモリ44は、RAM(Random Access Memory)などにより構成され、情報処理装置10で動作するプログラムやデータなどを記憶する。ストレージ46は、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)などにより構成され、プログラムやデータなどを記録する。ストレージ46は、後述する記録メディア80に対して、内蔵型の補助記憶装置として利用される。
【0025】
GPS(Global Positioning System)制御部60は、GPS衛星からの信号を受信し、現在位置を算出する。USB制御部61は、USB(Universal Serial Bus)で接続された周辺装置との間の通信を制御する。ビデオ出力制御部64は、HDMIなどの規格に基づいて、外部表示装置へビデオ信号を出力する。メモリカード制御部62は、スロットなどの収容部(図示せず)に装着されたフラッシュメモリなどの記録メディア80との間のデータの読み書きを制御する。リムーバブルな記録メディア80が収容部に装着されると、記録メディア80は、外付け型の補助記憶装置として利用される。メディアドライブ63は、ゲームファイルを記録したゲーム記録メディア70が装着される収容部であり、ゲーム記録メディア70との間のデータの読み書きを制御する。以上の各機能ブロックはバス90によって互いに接続されている。
【0026】
ゲーム記録メディア70は、たとえばカートリッジタイプの記録媒体であり、ゲームショップないしはインターネット上の仮想ゲームショップにおいて販売され、流通される。ユーザは、ゲーム記録メディア70を購入すると、ゲーム記録メディア70をメディアドライブ63に装着することで、ゲームを楽しむことができる。
【0027】
本実施例のゲーム記録メディア70には、書込可能な記憶領域が設けられており、たとえば、パッチファイルや追加データファイルなどが書き込まれる。したがってゲーム記録メディア70は、書込および読出可能な領域と、ゲームファイルが記録された読出専用領域とを有する記録媒体である。
【0028】
なお本実施例の情報処理装置10は、ゲームファイルをゲームファイル提供サーバ12aよりダウンロードして、記録メディア80にインストールすることもできる。このように、情報処理装置10は、ゲーム記録メディア70に記録されたゲームファイル、またはインストールされたゲームファイルを実行する機能を有している。
【0029】
以下、実施例の背景および概要を述べる。
ゲームの中には、いわゆる「シリーズ物」と呼ばれるものがあり、特に人気のゲームでは、数年ごとにバージョンアップが施されて、発売される。このようなゲームのシリーズ物では、古いゲームのデータファイルを、新しいゲームでも引き継ぎ可能とする機能が設定されて、新しいゲームの購入意欲を高める工夫がなされているものが多い。
【0030】
たとえばユーザが過去に、ABCTENNIS1のゲームファイルを記録メディア80にインストールして、プレイしていたとする。ここで、ゲームタイトル「ABCTENNIS1」に含まれる「1」は、ABCTENNISシリーズのバージョン1を示す。ユーザは、データファイル提供サーバ12cから追加データファイルを記録メディア80にダウンロードし、新たなキャラクタなどを追加して、ABCTENNIS1をプレイしている。
【0031】
このような状況のもと、ユーザは、ABCTENNIS2のゲーム記録メディア70を購入する。ゲームタイトル「ABCTENNIS2」に含まれる「2」は、ABCTENNISシリーズのバージョン2を示す。バージョン情報は、大きい数字ほど新しいゲームであることを意味し、したがって、ゲーム記録メディア70には、記録メディア80に記録されている「ABCTENNIS1」よりも新しい「ABCTENNIS2」のゲームファイルが記録されている。この「ABCTENNIS2」は、「ABCTENNIS1」の追加データファイルを使用可能な設定となっている。
【0032】
ユーザがゲーム記録メディア70をメディアドライブ63に装着すると、情報処理装置10のシステムソフトウェアが、「ABCTENNIS2」を起動する前に、記録メディア80において、「ABCTENNIS2」が使用できるデータファイルが存在するか探索する。この場合、記録メディア80には、「ABCTENNIS1」の追加データファイルが存在しているため、システムソフトウェアは、ゲーム記録メディア70の書込可能領域に、「ABCTENNIS1」の追加データファイルをコピーする。これにより、「ABCTENNIS2」のゲーム実行に使用できる追加データファイルを、1つのゲーム記録メディア70に納めることができるため、ユーザが、ゲーム記録メディア70を別の情報処理装置に装着しても、ゲームプログラムが「ABCTENNIS1」の追加データファイルを使用することができる。
【0033】
なお情報処理装置10において、「ABCTENNIS2」のパッチファイルや追加データファイルをファイル提供サーバ12からダウンロードすると、これらのファイルは、すべてゲーム記録メディア70に記録される。これにより、「ABCTENNIS2」のゲーム実行に必要なプログラムやデータファイルのすべてを、1つのゲーム記録メディア70に納めることができる。
【0034】
図4(a)は、追加データファイルのディレクトリの基本構成を示す。ここで“exmemory:”は、記録メディア80を指定し、図4(a)に示すディレクトリ構成は、記録メディア80内の格納位置を示している。追加データファイルは、“adddata”ディレクトリに格納される。全ての追加データファイルには、ゲームを特定するタイトルIDと、それぞれを識別するための追加データIDとが設定されており、“adddata”ディレクトリにおいて、各追加データファイルは、タイトルID(title_id)および追加データID(add_id)で特定されるサブディレクトリに格納される。なお、ディレクトリを構成する“title_id”は、タイトルIDそのものであってもよく、またタイトルIDから生成されるコードであってもよい。以下では、説明の便宜上、タイトルIDを、ゲームタイトルと置き換えて説明するが、タイトルIDは、実際にはバイナリコードによって表現された品番コードであってよい。“files or dirs”は、ファイルまたはディレクトリを統一的に表現しており、追加データを構成するファイル群が格納されている状態を示している。
【0035】
図4(b)は、ABCTENNIS1の追加データファイルのディレクトリ構成を示す。“(title_id)”には、ゲームタイトル「ABCTENNIS1」の識別情報が設定されるが、上記したように説明の便宜上、ゲームタイトルを記述している。この例では、add_id1、add_id2、add_id3を追加データIDとする3つの追加データファイルが記録メディア80に記録されており、それぞれ、追加データIDで特定されるディレクトリにデータファイルが格納されている。
【0036】
図5(a)は、ゲームファイルのディレクトリの基本構成を示す。ここで“cartridge:”は、ゲーム記録メディア70を指定し、図5(a)に示すディレクトリ構成は、ゲーム記録メディア70内の格納位置を示している。ゲームファイルは、“game”ディレクトリに格納される。ゲーム記録メディア70において、“game”ディレクトリで特定される記憶領域は、読出専用であり、データの書き換えや追加、削除などをすることはできない。
【0037】
ゲームファイルには、自身を一意に識別するためのタイトルIDが設定されており、“game”ディレクトリにおいて、ゲームファイルは、タイトルID(title_id)で特定されるサブディレクトリに格納される。なお、サブディレクトリを構成する“title_id”は、タイトルIDそのものであってもよく、またタイトルIDから生成されるコードであってもよい。
【0038】
“boot_game.b”は、ユーザからの起動指示を受けて、システムソフトウェアが最初に起動する起動ファイルである。“files or dirs”は、ファイルまたはディレクトリを統一的に表現しており、ゲームを構成するファイル群が格納されている状態を示している。“sys”には、システムソフトウェアが使用するファイル群が格納される。このファイル群は、タイトルIDが記述された設定ファイルや、システムソフトウェアがメニュー画面に表示するアイコン画像ファイルなどを含んでいる。
【0039】
図5(b)は、ABCTENNIS2のゲームファイルのディレクトリ構成を示す。“(title_id)”には、ゲームタイトル「ABCTENNIS2」の識別情報が設定されるが、上記したように、説明の便宜上、ゲームタイトルを記述している。“boot_game.b”は、ゲームの起動ファイルであり、“program.ex”は、ゲームプログラムであり、“data1.dat”は、ゲームのデータファイルである。
【0040】
また“sys”ディレクトリにおいて、“parameter.a”は、システムソフトウェアで使用されるゲームの設定ファイルであり、“icon0.p”は、メニュー画面に表示されるアイコン画像データであり、“game_info.c”は、メニュー画面に表示されるゲームの情報データである。
【0041】
図6は、設定ファイルの内容を示す。設定ファイル(parameter.a)は、XMLフォーマットのファイルであってもよい。設定ファイルには、タイトルID、描画解像度、音声出力フォーマット、データを使用可能なタイトルIDなどの設定情報が含まれる。図6に示す例では、タイトルIDが“ABCTENNIS2”、描画解像度が1920×1080、音声出力フォーマットが5.1chに設定されている。
【0042】
本実施例において「データを使用可能なタイトルID」は、ゲームプログラムが使用可能なデータファイルを特定するための設定情報であり、具体的には、「ABCTENNIS2」が、追加データファイルを使用可能なゲームのタイトルIDを特定する情報である。いわゆるシリーズ物では、バージョンの高いゲームが、バージョンの低いゲームの追加データファイルを使用可能な仕組みが設定されていることがある。本実施例では、「ABCTENNIS2」が、「ABCTENNIS1」の追加データファイルが使用可能な設定となっており、したがって、「データを使用可能なタイトルID」が“ABCTENNIS1”に設定されている。以下、「データを使用可能なタイトルID」を、「使用可能ID」と呼ぶ。
【0043】
図7は、情報処理装置10におけるコピー処理を実行するための機能ブロックを示す。図7では、メインメモリ44やGPU42などの図示は省略している。情報処理装置10は、処理部100、ゲーム記録メディア70および記録メディア80を備える。ここでは、ゲーム記録メディア70が、ゲームプログラムと、ゲームプログラムが使用可能なデータファイルを特定するための設定情報とを少なくとも含むゲームファイルを記録する第1記録媒体を構成し、記録メディア80が、追加のデータファイルを記録する第2記録媒体を構成する。処理部100は、データファイルのコピー機能を有し、取得部102、探索部104およびコピー部106を備える。
【0044】
処理部100の構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、CPU40、メインメモリ44、メインメモリ44にロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0045】
処理部100によるコピー機能は、情報処理装置10のシステムソフトウェアにより実現される。システムソフトウェアは、ゲーム記録メディア70がメディアドライブ63に装着されたことを検出すると、自動的に処理部100によるコピー機能を起動する。なお、このコピー機能は、システムソフトウェア本体によって実現されてもよく、またユーティリティソフトウェアによって実現されてもよい。
【0046】
取得部102は、ゲーム記録メディア70に記録されているゲームファイルから、sysディレクトリ(図5(b)参照)に含まれているファイルを参照して、設定ファイル(parameter.a)を取得する。設定ファイルには、ゲーム記録メディア70に記録されているABCTENNIS1のゲームプログラムが使用可能なデータファイルを特定するための設定情報(使用可能ID)が含まれている。
【0047】
探索部104は、使用可能IDをもとに、記録メディア80(図4(b)参照)において、ゲームプログラムが使用可能な追加データファイルを探索する。本実施例において、使用可能IDは、ABCTENNIS2とは異なるゲーム(ABCTENNIS1)のタイトルIDであり、記録メディア80において追加データファイルは、使用可能IDで特定されるディレクトリに格納されている。したがって探索部104は、記録メディア80において、使用可能IDで特定されるディレクトリを見つけることで、ABCTENNIS2のゲームプログラムが使用可能なデータファイルを検出することができる。
【0048】
探索部104が、ABCTENNIS1の追加データファイルを検出すると、コピー部106は、検出された追加データファイルを、ゲーム記録メディア70の書込可能領域にコピーする。
【0049】
図8は、探索部104によりコピーされたABCTENNIS1の追加データファイルのディレクトリ構成を示す。コピー部106は、記録メディア80における追加データファイルのディレクトリ構成に変更を加えることなく、そのままゲーム記録メディア70へのコピー処理を行う。このように、ゲーム記録メディア70がメディアドライブ63の収容部に装着されると、処理部100が自動的にコピー機能を実行することで、ゲーム起動前に、ABCTENNIS1の追加データファイルをゲーム記録メディア70に記録することが可能となる。
【0050】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施例では、アプリケーションの例としてゲームを示したが、それ以外のアプリケーションであってもよい。
【0051】
処理部100によるコピー機能は、ゲーム記録メディア70がメディアドライブ63の収容部に装着されるたびに起動される。そのため、コピー部106は、探索部104により検出された追加データファイルが既にゲーム記録メディア70に記録されている場合には、ゲーム記録メディア70にコピーしないようにする。たとえばコピー部106は、ゲーム記録メディア70から、追加データファイルの情報を取得し、探索部104により検出された追加データファイルの情報と比較して、同一の追加データファイルについてはコピーしないように書込処理を制御してもよい。
【0052】
また、本実施例では、コピーする対象が追加データファイルである場合について説明したが、セーブデータファイルも含まれてよい。
【0053】
また、本実施例では、使用可能IDとして、ゲーム記録メディア70に記録されているゲームと異なるゲームタイトルのIDが設定ファイルに含まれている例を示したが、使用可能IDは、さらに追加データIDを含んでもよい。たとえば、「ABCTENNIS2」は、「ABCTENNIS1」の追加データファイルのうち、add_id1、add_id2の追加データIDで特定される追加データファイルは使用できるが、add_id3の追加データIDで特定される追加データファイルは使用できないと設定することも可能であり、探索部104は、追加データIDを含む使用可能IDをもとに、使用可能な追加データファイルを探索する。
【0054】
また、設定ファイルには、使用可能IDとして、ゲーム記録メディア70に記録されているゲームと同一のタイトルIDが含まれてもよい。これにより、記録メディア80にインストールされているゲームと、ゲーム記録メディア70に記録されているゲームとが同一の場合であっても、記録メディア80に記録されている追加データファイルを、ゲーム記録メディア70にコピーすることが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・情報処理システム、10・・・情報処理装置、12・・・ファイル提供サーバ、40・・・CPU、46・・・ストレージ、62・・・メモリカード制御部、63・・・メディアドライブ、70・・・ゲーム記録メディア、80・・・記録メディア、100・・・処理部、102・・・取得部、104・・・探索部、106・・・コピー部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションプログラムと、アプリケーションプログラムが使用可能なデータファイルを特定するための設定情報とを少なくとも含むアプリケーションファイルを記録する第1記録媒体と、
データファイルを記録する第2記録媒体と、
データファイルのコピー機能を有する処理部と、を備えた情報処理装置であって、
前記処理部は、
前記第1記録媒体から設定情報を取得する取得部と、
取得した設定情報をもとに、前記第2記録媒体において、アプリケーションプログラムが使用可能なデータファイルを探索する探索部と、
前記探索部によりデータファイルが検出された場合に、前記第1記録媒体に、検出されたデータファイルをコピーするコピー部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1記録媒体は、書込可能な領域と、アプリケーションファイルが記録された読出専用領域とを有する記録媒体であって、
前記第1記録媒体が当該情報処理装置の収容部に装着されると、前記処理部がコピー機能を実行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
設定情報は、前記アプリケーションプログラムが実行するアプリケーションとは異なるアプリケーションを特定する識別情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コピー部は、検出されたデータファイルが、既に前記第1記録媒体に記録されている場合には、コピーしないことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータに、
アプリケーションプログラムと、アプリケーションプログラムが使用可能なデータファイルを特定するための設定情報とを少なくとも含むアプリケーションファイルを記録する第1記録媒体から、設定情報を取得する機能と、
取得した設定情報をもとに、データファイルを記録する第2記録媒体において、アプリケーションプログラムが使用可能なデータファイルを探索する機能と、
データファイルが検出された場合に、前記第1記録媒体に、検出されたデータファイルをコピーする機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−152354(P2012−152354A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13409(P2011−13409)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】