説明

情報処理装置

【課題】ヒンジから本体部の内部への飲料の侵入を防ぐことができる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】本体部に表示部を開閉可能に支持するヒンジ4に本体部と表示部とを接続する制御/電源ケーブル、アンテナケーブルが通る配線溝42Aを形成した情報処理装置において、配線溝42Aと、配線溝42Aを通る制御/電源ケーブル、アンテナケーブルとの間にシール部材6を備えたので、ヒンジ4から本体部の内部への飲料の侵入を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部と表示部とを接続し、表示部を開閉可能に支持するヒンジを備えた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カップからこぼれた飲料がヒンジの周辺領域から電子部品の設置領域に侵入しないように、本体部の内部にヒンジの周辺領域と電子部品の設置領域とを隔てる起立壁を設けるとともに、ヒンジの周辺領域に排水口を設けた情報処理装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−250617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した情報処理装置は、本体部の内部に設けた起立壁がヒンジの周辺領域と電子部品の設置領域とを隔てるだけで、ヒンジから本体部の内部への飲料の侵入を防ぐことができない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ヒンジから本体部の内部への飲料の侵入を防ぐことができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、本体部に表示部を開閉可能に支持するヒンジに本体部と表示部とを接続するケーブルが通る通路を形成した情報処理装置において、前記通路と前記通路を通るケーブルとの間にシール部材を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記シール部材が、前記通路の内壁面に形成した凸条が嵌る凹溝を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記シール部材が、本体部を構成する筐体の内部に設けた起立壁に支持されたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記シール部材が、ヒンジの側面に設けたフランジに装着する装着部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記装着部は、前記フランジが嵌る凹溝を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記装着部は、本体部を構成する上蓋が被覆することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる情報処理装置は、通路と通路を通るケーブルとの間にシール部材を備えたので、ヒンジから本体部の内部への飲料の侵入を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるノートパソコンを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したノートパソコンの表示部を示す斜視図である。
【図3】図3は、シール部材を取り付けたヒンジを示す斜視図であって、ブラケット部側から見た斜視図である。
【図4】図4は、シール部材を取り付けたヒンジを示す斜視図であって、ヒンジ軸側から見た斜視図である。
【図5】図5は、シール部材を取り付けたヒンジを示す斜視図であって、配線溝側から見た斜視図である。
【図6】図6は、図1に示したノートパソコンのヒンジ取付構造を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6に示したヒンジ取付構造の要部を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7に示したヒンジ取付構造を示す断面図である。
【図9】図9は、図7に示したヒンジを示す斜視図である。
【図10】図10は、図7に示したシール部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる情報処理装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態であるノートパソコンの外観を示す斜視図である。また、図2は、図1に示したノートパソコンの表示部を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の実施の形態であるノートパソコン1は、本体部2と表示部3とにより構成してある。また、本体部2と表示部3とは、ヒンジ4により接続してあり、ヒンジ4は、表示部3を本体部2に対して開閉可能に支持している。
【0017】
また、図2に示すように、本体部2と表示部3とを接続するヒンジ4は、本体部2と表示部3とを接続するケーブル5を通す配線溝42A(図8参照)を有している。そして、図2において左側となるヒンジ4に設けた配線溝には、本体部2と表示部3を構成する液晶パネル31との間で制御信号を送受信するとともに、液晶パネル31に電源を供給するための制御/電源ケーブル51Lと、本体部2と表示部3に内蔵した無線LAN/WANの無線通信アンテナ(図示せず)とを接続するアンテナケーブル52とが通される。また、図2において右側となるヒンジ4に設けた配線溝42Aには、本体部2と表示部3を構成するLEDバックライト(図示せず)との間で制御信号を送受信するとともに、LEDバックライトに電源を供給する制御/電源ケーブル51Rと、本体部2と表示部3に内蔵した無線LAN/WANの無線通信アンテナ(図示せず)とを接続するアンテナケーブル52とが通される。
【0018】
図3〜図5は、シール部材を取り付けたヒンジを示す斜視図であって、図3はブラケット部側から見た斜視図、図4はヒンジ軸側から見た斜視図、図5は配線溝側から見た斜視図である。また、図6は、図1に示したノートパソコンのヒンジ取付構造を示す斜視図である。図7は、図6に示したヒンジ取付構造の要部を示す斜視図である。図8は、図7に示したヒンジ取付構造を示す断面図である。また、図9は、図7に示したヒンジを示す斜視図であり、図10は、図7に示したシール部材を示す斜視図である。
【0019】
ここでは、図1および図2において右側となるヒンジ4を図示して説明するが、左側となるヒンジ4は、右側となるヒンジ4と左右対称である点を除いて異なるところはないので説明を省略する。
【0020】
図3〜図5に示すように、ヒンジ4は、ヒンジ本体40、ヒンジ軸43、ヒンジアーム44を有している。
【0021】
ヒンジ本体40は、ブラケット部41とハウジング部42とからなり、ヒンジ本体40の一部を構成するブラケット部41は、ヒンジ本体40を本体部2に取り付けるためのもので、直方体形状に形成してある。また、ブラケット部41の下面には雌ネジ41aが形成してあり(図3参照)、ブラケット部41の側面には雌ネジ41bが形成してある(図5参照)。そして、図8に示すように、本体部2を構成する筐体21の底壁を挿通した雄ネジがブラケット部41の下面に設けた雌ネジ41aに螺合し、本体部2を構成する筐体21の背壁を挿通した雄ネジがブラケット部41の側面に設けた雌ネジ41bに螺合することにより、ヒンジ本体40は本体部2に取り付けられる。
【0022】
ヒンジ本体40の一部を構成するハウジング部42は、ヒンジ軸43を回動可能に支持するとともに、制御/電源ケーブル51R(制御/電源ケーブル51L)、アンテナケーブル52を通すためのもので、ブラケット部41の上に設けてある。図8に示すように、ハウジング部42は、ヒンジ軸43の軸方向に延在した細長い直方体形状に形成してあり、その外側(図8において右側)となる一端側には、ヒンジ軸43を支承する軸穴42Bが設けてある。また、ハウジング部42の内側となる他端側(図8において左側)には、制御/電源ケーブル51R(制御/電源ケーブル51L)、アンテナケーブル52を通す配線溝42Aが設けてある。図8に示すように、配線溝42Aの中心軸は、軸穴42Bの軸線と略一致しており、表示部3を開閉しても制御/電源ケーブル51R(制御/電源ケーブル51L)、アンテナケーブル52に大きな負荷が作用することはない。また、図8および図9に示すように、配線溝42Aの開放側端部となる内壁面には、後述するシール部材6を装着するための凸条42A1が形成してある。
【0023】
図8に示すように、ヒンジ軸43は、表示部3を開閉可能に支持するためのもので、ハウジング部42に設けた軸穴42Bに支承してある。また、ヒンジ軸43と軸穴42Bとの間には、適度な摺動抵抗が作用し、表示部3を任意の位置で支持する一方、表示部3に適度な操作力を作用させることにより、表示部を任意の位置まで開閉させることができる。また、図3〜図5に示すように、ヒンジ軸43の開放端部には、表示部3を取り付けるための、取付部43Aが設けてある。取付部43Aには、表示部3を構成する液晶パネル31を取り付けるためのネジ穴43A1が設けてある。
【0024】
ヒンジアーム44は、表示部3を取り付けるためのもので、ヒンジ軸43の取付部43Aの側面に取り付けてある。また、ヒンジアーム44には、表示部3が取り付けられ、ヒンジアーム44に作用した操作力がヒンジ軸43に確実に伝達される。
【0025】
また、上述した配線溝42Aと配線溝42Aを通る制御/電源ケーブル51R(制御/電源ケーブル51L)、アンテナケーブル52との間には、シール部材6が設けてある。シール部材6は、配線溝42Aと制御/電源ケーブル51R(制御/電源ケーブル51L)、アンテナケーブル52との間から飲料が侵入する事態を防ぐためのもので、弾性変形可能な材料、たとえば、ゴムにより構成してある。また、シール部材6は、ケーブル枠部6A、開放枠部6a、装着部(側枠部6b、端枠部6c)を有している。
【0026】
図8に示すように、ケーブル枠部6Aは、上述した凸条42A1に装着される部分であり、その外周には、凸条42A1が嵌る凹溝6A2を有している。また、図10に示すように、ケーブル枠部6Aの中心には、ケーブル穴6A1が設けてある。ケーブル穴6A1は、配線溝42Aを通る制御/電源ケーブル51R(制御/電源ケーブル51L)、アンテナケーブル52を通すための穴であり、たとえば、大径の制御/電源ケーブル51R(制御/電源ケーブル51L)が1本、小径のアンテナケーブル52が3本、通るだけの大きさに形成してある。また、ケーブル穴6A1の上部にスリットを設けることにより、ケーブル穴6A1とケーブル枠部6Aの外部とが連通しており、ケーブル枠部6Aの外側からケーブル穴6A1に制御/電源ケーブル51R(制御/電源ケーブル51L)、アンテナケーブル52を通すことが可能である。
【0027】
図8に示すように、開放枠部6aは、ケーブル枠部6Aの下部に設けられ、筐体21に設けた起立壁21Aに支持される。装着部(側枠部6b、端枠部6c)は、ハウジング部42の外周二辺(本体部2の内側に面する側面とヒンジ軸43が設けられた端面)に設けたフランジ42b,42c(図9参照)に装着する部分であり、図10に示すように、側枠部6bと端枠部6cとを有している。側枠部6bは、開放枠部6aの端部からハウジング部42の側面(本体部2の内側に面する側面)に沿って設けられ、その内側には、ハウジング部42の側面に設けたフランジ42bが嵌る凹溝6b1が設けてある。端枠部6cは、側枠部6bの端部からハウジング部42の端面(ヒンジ軸が設けられた端面)に沿って設けられ、その内側には、ハウジング部42の端面に設けたフランジ42cが嵌る凹溝6c1が設けてある。
【0028】
また、図6および図7に示すように、シール部材6の装着部のまわりは、本体部2を構成する上蓋22により被覆してある。上蓋22の下面には、シール部材6の開放枠部6a、側枠部6b、端枠部6cに密着するリブが設けてあり、上蓋22とシール部材6との間から本体部2の内部への飲料の侵入を防いでいる。
【0029】
上述した本発明の実施の形態であるノートパソコン1は、配線溝42Aと配線溝42Aを通る制御/電源ケーブル51R(制御/電源ケーブル51L)、アンテナケーブル52との間にシール部材6を備えたので、カップからこぼれた飲料がヒンジ4にかかっても、ヒンジ4から本体部2の内部への飲料の侵入を防ぐことができる。
【0030】
また、シール部材6のケーブル枠部6Aには、配線溝42Aの開放側端部となる内壁面に形成した凸条42A1が嵌る凹溝6A2が形成してあるので、シール部材6のケーブル枠部6Aは位置決めされ、シール部材6のケーブル枠部6Aと配線溝42Aの内壁面との間からの飲料の侵入を防ぐことができる。
【0031】
また、シール部材6の開放枠部6aは、本体部2を構成する筐体21の内部に設けた起立壁21Aに支持されるので、シール部材6の開放枠部6aと起立壁21Aとの間からの飲料の侵入を防ぐことができる。
【0032】
また、シール部材6は、ハウジング部42の側面に設けたフランジ42b、42cに装着する装着部(側枠部6b、端枠部6c)を有するので、ヒンジ4にシール部材6を装着した状態でヒンジ4を筐体21に取り付けることができる。
【0033】
また、装着部(側枠部6b、端枠部6c)は、フランジ42b、42cが嵌る凹溝6c1を有するので、ヒンジ4に取り付けたシール部材6は脱落しにくくなる。
【0034】
また、装着部(側枠部6b、端枠部6c)は、本体部2を構成する上蓋22が被覆するとともに、上蓋22に設けたリブが装着部(側枠部6b、端枠部6c)に密着し、上蓋22と装着部(側枠部6b、端枠部6c)との間からの飲料の侵入を防ぐことができる。
【0035】
さらに、ヒンジ本体40の一部を構成するブラケット部41は、本体部2を構成する筐体21の底壁を挿通した雄ネジと、本体部2を構成する筐体21の背壁を挿通した雄ネジとにより固定され、シール部材6を構成する開放枠部6aと側枠部6bとは、本体部の筐体21の起立壁21Aと強固に密着し、飲料の侵入を防いでいる。
【符号の説明】
【0036】
1 ノートパソコン(情報処理装置)
2 本体部
21 筐体
21A 起立壁
22 上蓋
3 表示部
31 液晶パネル
4 ヒンジ
40 ヒンジ本体
41 ブラケット部
41a 雌ネジ
41b 雌ネジ
42 ハウジング部
42A 配線溝(通路)
42A1 凸条
42b,42c フランジ
43 ヒンジ軸
43A 取付部
43A1 ネジ穴
44 ヒンジアーム
5 ケーブル
51L,51R 制御/電源ケーブル
52 アンテナケーブル
6 シール部材
6A ケーブル枠部
6A1 ケーブル穴
6A2 凹溝
6a 開放枠部
6b 側枠部
6b1 凹溝
6c 端枠部
6c1 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部に表示部を開閉可能に支持するヒンジに本体部と表示部とを接続するケーブルが通る通路を形成した情報処理装置において、
前記通路と前記通路を通るケーブルとの間にシール部材を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記シール部材は、前記通路の内壁面に形成した凸条が嵌る凹溝を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記シール部材は、本体部を構成する筐体の内部に設けた起立壁に支持されたことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記シール部材は、ヒンジの側面に設けたフランジに装着する装着部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記装着部は、前記フランジが嵌る凹溝を有することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記装着部は、本体部を構成する上蓋が被覆することを特徴とする請求項4または5に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−185663(P2012−185663A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48061(P2011−48061)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】