説明

情報処理装置

【課題】複数個の二次電池パックの各々の充放電回数を簡便に求めることができる情報処理装置の提供。
【解決手段】充放電実行部(21、22、23)は、複数個の二次電池パック(11、12、13)の各々の充放電回数を、当該二次電池パックへの充電の実行時に当該二次電池パックの満充電状態を検出した回数、当該二次電池パックからの放電の実行時に当該二次電池パックの残容量が、前記満充電状態での最大残容量値と残容量ゼロとの間の所定値に等しくなる中間状態を検出した回数、及び当該二次電池パックからの放電の実行時に当該二次電池パックの残容量が、前記所定値よりも前記残容量ゼロに近いニアゼロ値に等しくなる残容量ニアゼロ状態を検出した回数に基づいて求めることを特徴とする情報処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の二次電池パックを備えた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数個の二次電池パックを装備した情報処理装置においては、複数個の二次電池パックをファーストバッテリやセカンドバッテリなどといった呼称によって定義を行い、ファーストバッテリが優先的に使用されるように充放電を行う技術が用いられている。二次電池パックは充放電を繰り返すことによって劣化が進行する特性を持つ。このため、前述した技術を適用した場合、ファーストバッテリーが優先的に充放電を繰り返すため、ファーストバッテリーの劣化が他のバッテリーと比較して劣化が進行するものとなる。
【0003】
情報処理装置が、二次電池パックの脱着が容易に可能な製品であれば、ファーストバッテリーの劣化に伴い当該二次電池パックのみ交換することは比較的容易な作業である。
【0004】
しかしながら、情報処理装置が、複数個の二次電池パックを組込んだ組込み機器の場合、二次電池パックの脱着が容易にできない場合もある。このような組込み機器の場合は複数個の二次電池パックが可能な限り同じレベルで劣化していき、複数個の二次電池パックを同時期に交換できることが、保守を簡素化する点で望まれている。
【0005】
特許文献1(特開2005−168103号公報)は、段落[0046]に、デュアルバッテリシステムにおいて、メイン電池52およびセカンド電池53の充放電サイクル数が均一となるように切換制御を実施することを開示している。
【0006】
また、上記特許文献1は、段落[0034]には、CPU120は、観察された電圧値と電流値とをサイクル数に換算することで充放電サイクル数を把握することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−168103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、上記特許文献1では、観察された電圧値と電流値とをサイクル数に換算することで充放電サイクル数を把握している。しかしながら、上記特許文献1には、複数個の二次電池パックの各々の充放電回数の具体的な求め方について開示がない。
【0009】
本発明の目的は、放電を実行する際、複数個の二次電池パックの各々の充放電回数に基づいて複数個の二次電池パックの一つを選択し、選択された二次電池パックからの放電を実行する情報処理装置であって、複数個の二次電池パックの各々の充放電回数を簡便に求めることができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
複数個の二次電池パックと、該複数個の二次電池パックへの充電及び前記複数個の二次電池パックからの放電を実行する充放電実行部とを備え、該充放電実行部は、前記放電を実行する際、前記複数個の二次電池パックの各々の充放電回数に基づいて前記複数個の二次電池パックの一つを、選択された二次電池パックとして選択し、該選択された二次電池パックからの放電を実行する情報処理装置であって、
前記充放電実行部は、前記複数個の二次電池パックの各々の前記充放電回数を、
当該二次電池パックへの前記充電の実行時に当該二次電池パックの満充電状態を検出した回数、
当該二次電池パックからの前記放電の実行時に当該二次電池パックの残容量が、前記満充電状態での最大残容量値と残容量ゼロとの間の所定値に等しくなる中間状態を検出した回数、及び
当該二次電池パックからの前記放電の実行時に当該二次電池パックの残容量が、前記所定値よりも前記残容量ゼロに近いニアゼロ値に等しくなる残容量ニアゼロ状態を検出した回数
に基づいて求めることを特徴とする情報処理装置が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に従えば、複数個の二次電池パックの各々の充放電回数を簡便に求めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態による情報処理装置のブロック図である。
【図2】図1に示された情報処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示された情報処理装置の動作を説明するためのグラフである。
【図4】図1に示された情報処理装置における制御ICへの電力供給回路を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による情報処理装置10が示されている。この第1の実施形態による情報処理装置10は、複数個の二次電池パック11、12、及び13と、複数個の二次電池パック11、12、及び13への充電及び複数個の二次電池パック11、12、及び13からの放電を実行する充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)とを備えている。二次電池パック11、12、及び13は、それぞれ、ファーストバッテリ、セカンドバッテリ、及びサードバッテリとも呼ばれ、情報処理装置10に装着されている。充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)は、バッテリ切替回路21、充放電切替回路22、及び制御IC (Integrated Circuit)23を有する。
【0015】
情報処理装置10は、装置本体27を、放電対象となる負荷として備えている。装置本体27は、情報処理装置10の本来の機能を構成するIC等を有する。充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)は、前記充電として、外部電源(図示せず)から複数個の二次電池パック11、12、及び13への充電を実行し、前記放電として、複数個の二次電池パック11、12、及び13から装置本体27への放電を実行する。前記外部電源は、AC(Alternating Current)電源、即ち、商用電源である。
【0016】
情報処理装置10は、ACアダプタ25及び充電IC26を備え、充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)は、前記充電として、前記外部電源(AC電源)からACアダプタ25及び充電IC26を介して複数個の二次電池パック11、12、及び13への充電を実行する。
【0017】
充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)は、前記放電を実行する際、複数個の二次電池パック11、12、及び13の各々の充放電回数に基づいて複数個の二次電池パック11、12、及び13の一つを、選択された二次電池パックとして選択し、該選択された二次電池パックからの放電を実行するものである。
【0018】
具体的には、充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)は、前記放電を実行する際、複数個の二次電池パック11、12、及び13のうち前記充放電回数が最も少ない二次電池パックを前記選択された二次電池パックとして選択し、該選択された二次電池パックからの放電を実行するものである。
【0019】
充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)は、複数個の二次電池パック11、12、13の各々の前記充放電回数を、
当該二次電池パックへの前記充電の実行時に当該二次電池パックの満充電状態(第1検出ポイント)を検出した回数、
当該二次電池パックからの前記放電の実行時に当該二次電池パックの残容量が、前記満充電状態での最大残容量値(100%)と(残容量ゼロ状態での)残容量ゼロ(0%)との間の所定値(例えば、50%)に等しくなる中間状態(第2検出ポイント)を検出した回数、及び
当該二次電池パックからの前記放電の実行時に当該二次電池パックの残容量が、前記所定値(例えば、50%)よりも前記残容量ゼロ(0%)に近いニアゼロ値(例えば、5%)に等しくなる残容量ニアゼロ状態(第3検出ポイント)を検出した回数
に基づいて求めるものである。
【0020】
具体的には、充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)は、複数個の二次電池パック11、12、13の各々の前記充放電回数を、
当該二次電池パックの満充電状態(第1検出ポイント)を検出した回数と、
当該二次電池パックの中間状態(第2検出ポイント)を検出した回数と、
当該二次電池パックの残容量ニアゼロ状態(第3検出ポイント)を検出した回数との合計値として求めるものである。或いは、図2に図示して後に説明するように、充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)は、複数個の二次電池パック11、12、13の各々の前記充放電回数を、前記合計値を3つの検出ポイントのポイント数3で割って得られる平均値として求めるものである。
【0021】
このようにして、充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)は、複数個の二次電池パック11、12、及び13の各々の充放電回数を求め、前記放電を実行する際、複数個の二次電池パック11、12、及び13のうち前記充放電回数が最も少ない二次電池パックを選択し、選択された二次電池パックからの放電を実行する。このように充放電回数の最も少ない二次電池パックを優先的に放電させることにより、二次電池パック11、12、及び13の充放電による劣化の進行状態を可能な限り均一化させる。
【0022】
なお、充放電実行部(21、22、及び23を含む部分)は、複数個の二次電池パック11、12、及び13の各々の前記充放電回数を、
前記最大残容量値(100%)と前記ニアゼロ値(例えば、5%)との間の別の所定値(例えば、75%或いは25%)に等しくなる別の中間状態を検出した回数
にも基づいて求めるようにしてもよい(後に本発明による第2の実施形態として説明する)。
【0023】
以下、図1に示した第1の実施形態による情報処理装置10の構成について詳細に説明する。
【0024】
図1において、3個の二次電池パック11、12、及び13が充放電回路(21及び22)を介して二次電池パック11、12、及び13の充放電を制御するための制御IC23に接続されている。この制御IC23は、本発明の特徴である優先放電する二次電池パックを決定するロジックを持ったファームウェア24が書き込まれているものである。
【0025】
図1は、情報処理装置10に3個の二次電池パック11、12、及び13が装着された状態であり、二次電池パック11、12、及び13の各々は制御IC23に接続されている。この制御IC23は、二次電池パック11、12、及び13の充放電を制御する機能や、3個の二次電池パック11、12、及び13の使用優先順位を決定する機能を有する。これら機能は制御IC23のファームウェア24によって実現される。
【0026】
制御IC23は、以下の機能も有する。
【0027】
(1)充電のためのACアダプタ(電源ユニット)25がAC電源に接続されたか否かを監視し、ACアダプタ25がAC電源に接続された場合は、充放電切替回路22を「充電」に切り替え、ACアダプタ25がAC電源に接続されていない場合は、充放電切替回路22を「放電」に切り替える。ACアダプタ(電源ユニット)25がAC電源に接続されたか否かは、例えば、ACアダプタ(電源ユニット)から充電IC26へのDC(Direct Current)出力を検知することによって行う。
【0028】
(2)ファーストバッテリ(二次電池パック11)、セカンドバッテリ(二次電池パック12)、及びサードバッテリ(二次電池パック13)の電圧を検知し、電圧によってバッテリ11、12、及び13の各々の残容量を把握する。
【0029】
(3)バッテリ切替回路21を制御し、バッテリ11、12、及び13のうち、充放電切替回路22に接続する一つのバッテリを選択する。
【0030】
また、制御IC23は、
“C(100%)11”で表される「二次電池パック(ファーストバッテリ)11の満充電検出カウンタ」、
“C(50%)11”で表される「二次電池パック(ファーストバッテリ)11の50%検出カウンタ」、
“C(5%)11”で表される「二次電池パック(ファーストバッテリ)11の5%検出カウンタ」、
“M(AVE)11”で表される「二次電池パック(ファーストバッテリ)11の平均値格納メモリ」、
“C(100%)12”で表される「二次電池パック(セカンドバッテリ)12の満充電検出カウンタ」、
“C(50%)12”で表される「二次電池パック(セカンドバッテリ)12の50%検出カウンタ」、
“C(5%)12”で表される「二次電池パック(セカンドバッテリ)12の5%検出カウンタ」、
“M(AVE)12”で表される「二次電池パック(セカンドバッテリ)12の平均値格納メモリ」、
“C(100%)13”で表される「二次電池パック(サードバッテリ)13の満充電検出カウンタ」、
“C(50%)13”で表される「二次電池パック(サードバッテリ)13の50%検出カウンタ」、
“C(5%)13”で表される「二次電池パック(サードバッテリ)13の5%検出カウンタ」、及び
“M(AVE)13”で表される「二次電池パック(サードバッテリ)13の平均値格納メモリ」を有する。これらのカウンタやメモリについては、後述する。
【0031】
二次電池パック11、12、及び13は、情報処理装置10において、装置本体27の機能を動作されるための電源として使用される。二次電池パック11、12、及び13は、例えば携帯型のパーソナルコンピュータや携帯電話などの情報処理装置10に使用されている。携帯型であるが故に、情報処理装置10は装着された二次電池パックの残容量をモニタリングできる様に作られており、二次電池パックの残容量を検出するのに必要な主たる要素の一つに二次電池パックの電圧がある。これは二次電池パックの電圧が残容量によって変動するためであり、当業者には一般的に知られていることである。また、二次電池パックの電圧は残容量検出に必要な一つの要素であり、より正確に二次電池パックの残容量を検出するには、温度や電流など幾つかの要素を組み合わせることが必要なことも当業者には良く知られていることであり、必要に応じて、電圧の外の要素を検知し、二次電池パックの残容量を検出するようにすればよい。
【0032】
以下、図1に示した第1の実施形態による情報処理装置10の動作について詳細に説明する。
【0033】
詳細な二次電池パックの残容量の検出構成や方法については一般的な技術であるためここでは割愛する。ここでは、図1に示す3個の二次電池パック11、12、及び13の劣化を均一にする方法について図2のフローチャートをも参照して以下に説明する。制御IC23は、以下の機能も有する。
【0034】
制御IC23は、上述したとおり、充電のためのACアダプタ25がAC電源に接続されたか否かを、ACアダプタ接続判断ステップ(ACアダプタ接続?)において、監視し、ACアダプタ25がAC電源に接続された場合は、充放電切替回路22を「充電」に切り替える。
【0035】
制御IC23は、ACアダプタ25がAC電源に接続された場合は、ファーストバッテリ(二次電池パック11)、セカンドバッテリ(二次電池パック12)、及びサードバッテリ(二次電池パック13)の残容量を確認し、全てのバッテリ11、12、及び13が満充電か否かを判断する。全てのバッテリ11、12、及び13が満充電であれば、充電完了し、前記ACアダプタ接続判断ステップ(ACアダプタ接続?)に戻る。全てのバッテリ11、12、及び13が満充電でなければ、最も残容量の少ないバッテリは、ファーストバッテリ(二次電池パック11)、セカンドバッテリ(二次電池パック12)、或いはサードバッテリ(二次電池パック13)かを判断し、最も残容量の少ないバッテリを選択されたバッテリとして選択する。なお、残容量が、ファーストバッテリ(二次電池パック11)、セカンドバッテリ(二次電池パック12)、及びサードバッテリ(二次電池パック13)のうちの三つにおいて同じである場合、三つのバッテリのうちいずれか一つを選択する。また、残容量の最小値が、ファーストバッテリ(二次電池パック11)、セカンドバッテリ(二次電池パック12)、及びサードバッテリ(二次電池パック13)のうちの二つにおいて同じである場合も、二つのバッテリのうちいずれか一つを選択する。
【0036】
続いて、制御IC23は、選択されたバッテリの充電を開始し、選択されたバッテリの満充電を検出するまで、選択されたバッテリの充電を行う。制御IC23は、選択されたバッテリの満充電を検出すると、選択されたバッテリの満充電検出カウンタを+1して、前記ACアダプタ接続判断ステップ(ACアダプタ接続?)に戻る。この際、例えば、選択されたバッテリがファーストバッテリ(二次電池パック11)であれば、“C(100%)11”で表される満充電検出カウンタを+1する。「満充電検出」の検出ポイントを図3に示す。なお、図3は、二次電池パックの残容量(縦軸)と時間tとの関係を示すグラフである。
【0037】
制御IC23は、上述したとおり、充電のためのACアダプタ25がAC電源に接続されたか否かを、ACアダプタ接続判断ステップ(ACアダプタ接続?)において、監視しており、ACアダプタ25がAC電源に接続されていない場合は、充放電切替回路22を「放電」に切り替える。
【0038】
制御IC23は、前記ACアダプタ接続判断ステップ(ACアダプタ接続?)において、ACアダプタ25がAC電源に接続されていない場合は、ファーストバッテリ(二次電池パック11)、セカンドバッテリ(二次電池パック12)、及びサードバッテリ(二次電池パック13)の残容量を確認し、全てのバッテリ11、12、及び13が残容量5%未満か否かを判断する。全てのバッテリ11、12、及び13が残容量5%未満であれば、装置本体27のCPU(Central Processing Unit)28へ割込を発行し、放電完了する。CPU28は、情報処理装置10の動作を制御しているものであり、前述の割込を受けたCPU28は、システムシャットダウンの処理を行う。全てのバッテリ11、12、及び13が残容量5%未満でなければ、バッテリ11、12、及び13の各々における、満充電検出カウンタのカウント数、50%検出カウンタのカウント数、及び5%検出カウンタのカウント数の合計値を3つの検出ポイントのポイント数3で割って得られる平均値を求め、この平均値をサイクルカウンタ値として平均値格納メモリに格納し記録する。なお、平均値の代りに前記合計値をサイクルカウンタ値として同様の格納メモリに格納し記録してもよい。制御IC23は、残容量が5%以上あるバッテリの中でサイクルカウンタ値の最小値は、ファーストバッテリ(二次電池パック11)、セカンドバッテリ(二次電池パック12)、或いはサードバッテリ(二次電池パック13)かを判断し、最小値のサイクルカウンタ値を有するバッテリを選択されたバッテリとして選択し、選択されたバッテリの放電を開始する。なお、サイクルカウンタ値が、ファーストバッテリ(二次電池パック11)、セカンドバッテリ(二次電池パック12)、及びサードバッテリ(二次電池パック13)のうちの三つにおいて同じである場合、三つのバッテリのうちいずれか一つを選択する。また、サイクルカウンタ値の最小値が、ファーストバッテリ(二次電池パック11)、セカンドバッテリ(二次電池パック12)、及びサードバッテリ(二次電池パック13)のうちの二つにおいて同じである場合も、二つのバッテリのうちいずれか一つを選択する。
【0039】
続いて、制御IC23は、選択されたバッテリの残容量が50%以上かを判断し、50%以上であれば、選択されたバッテリの残容量50%が放電状態で検出か否かを判断する。選択されたバッテリの残容量50%が放電状態で検出されれば、制御IC23は、選択されたバッテリの50%検出カウンタを+1し、選択されたバッテリの残容量が5%以上かの判断に進む。
【0040】
この際、例えば、選択されたバッテリがファーストバッテリ(二次電池パック11)であれば、“C(50%)11”で表される50%検出カウンタを+1する。50%検出の検出ポイントを「放電状態50%」にて図3に示す。
【0041】
制御IC23は、選択されたバッテリの残容量が50%以上かを判断し、50%以上でない場合も、選択されたバッテリの残容量が5%以上かの判断に進む。そして、制御IC23は、選択されたバッテリの残容量5%が放電状態で検出されれば、選択されたバッテリの5%検出カウンタを+1し、前記ACアダプタ接続判断ステップ(ACアダプタ接続?)に戻る。
【0042】
この際、例えば、選択されたバッテリがファーストバッテリ(二次電池パック11)であれば、“C(5%)11”で表される5%検出カウンタを+1する。5%検出の検出ポイントを「放電状態5%」にて図3に示す。
【0043】
図2のフローチャートにも示す通り、制御IC23には二次電池パック11、12、及び13の各々に対して3つの状態(3つの検出ポイント)を検出した時に回数を計上するカウンタ機能を搭載する。一つは満充電(第1検出ポイント)を検出した場合、一つはバッテリ残容量が放電状態で50%(第2検出ポイント)を検出した場合、もう一つはバッテリ残容量が放電状態で5%(第3検出ポイント)を検出した場合である。図3に3つの検出ポイントを示す。次に各々カウントした結果の平均値(平均値は、前述したとおり、「第1検出ポイントを検出した回数」と、「第2検出ポイントを検出した回数」と、「第3検出ポイントを検出した回数」との合計値を、3つの検出ポイントのポイント数3で割って得られる)を計算し、この平均値をサイクルカウンタ値として制御IC23に記録する。なお、平均値の代りに前記合計値をサイクルカウンタ値として制御IC23に記録してもよい。二次電池パックは、例えば0%及び100%の最小及び最大残容量値で充放電を行った時の方が、50%及び100%のような残容量で充放電を行った時より1回あたりの劣化は大きい。つまり、最小及び最大残容量での充放電を行った時の方が、同じ充放電回数であっても劣化は進行しており、前述したサイクルカウンタ値は3つの検出ポイントの平均値(或いは、前記合計値)であるため、値が大きいほど劣化が進行していることを判別することが可能となる。このサイクルカウンタの値から制御IC23は優先的に放電する二次電池パックを適切に決定することになる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では情報処理装置に装着された複数個の二次電池パックに対して、充放電の実行回数を計上するカウンタ機能を搭載させることで、劣化の少ない二次電池パックを優先的に放電させる機能を実現させることができる。
【0045】
図4を参照すると、図1に示された情報処理装置10における制御IC23への電力供給回路が示されている。制御IC23の電源は、バッテリ11、12、13、もしくはACアダプタ25からの供給によるものである。実際には、制御IC23への電力供給回路は、ACアダプタ25、バッテリ11、12、13のダイオードOR接続となっており、ACアダプタ25、バッテリ11、12、13のうちの一番高い電圧のものから、レーギュレータ30を介して制御IC23への電力供給がなされる。
【0046】
本発明による第2の実施形態として、その基本的構成は上記の通りであるが、以下示す構成要素を加えることも可能である。
【0047】
一つは、上記第1の実施形態では、満充電検出、放電状態での50%検出、放電状態での5%検出と3つの検出ポイントを例に挙げたが、これを更に細かく検出することでより精度の高いサイクルカウンタ値を求めることが可能である。例えば、満充電検出、放電状態での66%検出、放電状態での33%検出、放電状態での5%検出と4つの検出ポイントを検出する、また、満充電検出、放電状態での75%検出、放電状態での50%検出、放電状態での25%検出、放電状態での5%検出と5つの検出ポイントを検出する等である。検出するポイントは制御IC23に記録できる容量や、情報処理装置10に求められる要求仕様によって適切に決定すればよい。
【0048】
以上、実施形態を参照して本願発明を詳細に説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解できる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 情報処理装置
11 二次電池パック(ファーストバッテリ)
12 二次電池パック(セカンドバッテリ)
13 二次電池パック(サードバッテリ)
21 バッテリ切替回路
22 充放電切替回路
23 制御IC
24 ファームウエア
25 ACアダプタ
26 充電IC
27 装置本体
28 CPU
C(100%)11 二次電池パック(ファーストバッテリ)11の満充電検出カウンタ
C(50%)11 二次電池パック(ファーストバッテリ)11の50%検出カウンタ
C(5%)11 二次電池パック(ファーストバッテリ)11の5%検出カウンタ
M(AVE)11 二次電池パック(ファーストバッテリ)11の平均値格納メモリ
C(100%)12 二次電池パック(セカンドバッテリ)12の満充電検出カウンタ
C(50%)12 二次電池パック(セカンドバッテリ)12の50%検出カウンタ
C(5%)12 二次電池パック(セカンドバッテリ)12の5%検出カウンタ
M(AVE)12 二次電池パック(セカンドバッテリ)12の平均値格納メモリ
C(100%)13 二次電池パック(サードバッテリ)13の満充電検出カウンタ
C(50%)13 二次電池パック(サードバッテリ)13の50%検出カウンタ
C(5%)13 二次電池パック(サードバッテリ)13の5%検出カウンタ
M(AVE)13 二次電池パック(サードバッテリ)13の平均値格納メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の二次電池パックと、該複数個の二次電池パックへの充電及び前記複数個の二次電池パックからの放電を実行する充放電実行部とを備え、該充放電実行部は、前記放電を実行する際、前記複数個の二次電池パックの各々の充放電回数に基づいて前記複数個の二次電池パックの一つを、選択された二次電池パックとして選択し、該選択された二次電池パックからの放電を実行する情報処理装置であって、
前記充放電実行部は、前記複数個の二次電池パックの各々の前記充放電回数を、
当該二次電池パックへの前記充電の実行時に当該二次電池パックの満充電状態を検出した回数、
当該二次電池パックからの前記放電の実行時に当該二次電池パックの残容量が、前記満充電状態での最大残容量値と残容量ゼロとの間の所定値に等しくなる中間状態を検出した回数、及び
当該二次電池パックからの前記放電の実行時に当該二次電池パックの残容量が、前記所定値よりも前記残容量ゼロに近いニアゼロ値に等しくなる残容量ニアゼロ状態を検出した回数
に基づいて求めることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記充放電実行部は、前記複数個の二次電池パックの各々の前記充放電回数を、
前記最大残容量値と前記ニアゼロ値との間の別の所定値に等しくなる別の中間状態を検出した回数
にも基づいて求めることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、装置本体を備え、前記充放電実行部は、前記充電として、外部電源から前記複数個の二次電池パックへの充電を実行し、前記放電として、前記複数個の二次電池パックから前記装置本体への放電を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、ACアダプタを備え、前記充放電実行部は、前記充電として、前記外部電源から前記ACアダプタを介して前記複数個の二次電池パックへの充電を実行することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記充放電実行部は、前記放電を実行する際、前記複数個の二次電池パックのうち前記充放電回数が最も少ない二次電池パックを前記選択された二次電池パックとして選択し、該選択された二次電池パックからの放電を実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−205335(P2012−205335A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65367(P2011−65367)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】