説明

情報処理装置

【課題】より簡便に認証に用いる指を正しい位置に導き認証処理を実行できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報処理装置は、筐体と、指紋センサと、指検出手段と、認証手段と、起動手段とを具備する。指紋センサは、筐体上面に設けられ、指紋データを読み取る。指検出手段は、指紋センサから所定の間隔を置いて設けられる。認証手段は、指検出手段で指が検出されると指紋センサを読み取り、指紋データに基づいて認証の成否を判別する。起動手段は、認証手段による認証が成功した場合に情報処理装置を起動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は認証処理を行う情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機密情報の漏洩を防止するため、情報処理装置においてセキュリティへの取り組みがなされている。従来の情報処理装置におけるセキュリティ機能として、指の静脈パターンを用いて認証を行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−43571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指の静脈パターンを用いて認証を行う情報処理装置において、指の静脈パターンを撮影する際に、カメラに対して正しい位置に指を置くために様々な工夫がこれまでになされてきた。例えば、カメラに設けられるシャッターをスライドして開く動作や、キーボードの特定のキーや追加されたスイッチを押す動作により、指の静脈パターンを撮影するカメラに対して登録時と同じ位置に指を置くことができるというものであった。
【0005】
以上のように従来の情報処理装置においては、ユーザが認証時に上記の特定の動作を行わなければならなかったので、より簡便に認証に用いる指を正しい位置に導き認証処理を行いたいという要求があった。
【0006】
本発明の目的は、より簡便に認証に用いる指を正しい位置に導き認証処理を実行できる情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報処理装置は、筐体と、指紋センサと、指検出手段と、認証手段と、起動手段とを具備する。指紋センサは、筐体上面に設けられ、指紋データを読み取る。指検出手段は、指紋センサから所定の間隔を置いて設けられる。認証手段は、指検出手段で指が検出されると指紋センサを読み取り、指紋データに基づいて認証の成否を判別する。起動手段は、認証手段による認証が成功した場合に情報処理装置を起動させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態のパーソナルコンピュータの外観図である。
【図2】実施形態のパーソナルコンピュータの機能ブロック図である。
【図3】実施形態の指紋認証を実行する際の情報処理装置の断面図である。
【図4】実施形態の指紋認証を実行する際のスワイプ動作を説明する図である。
【図5】実施形態の指紋認証処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施形態の変形例であるフィルムタイプ指紋センサの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の情報処理装置の外観図である。情報処理装置として、パーソナルコンピュータ1を例に説明をする。
パーソナルコンピュータ1は、コンピュータ本体2とディスプレイユニット3とが、ヒンジ5を介して回動自在に設けられている。コンピュータ本体2は、タッチパッド6と、キーボード7と、電源スイッチ8と、指紋センサ22とを有する。表示ユニット2には、中央部にディスプレイ4が設けられている。
【0010】
実施の形態において、ディスプレイ4に対向してパーソナルコンピュータ1を使用するユーザから見て上方向を上、下方向を下、左側を左、ユーザから見て右側を右、手前側を手前、奥側を奥と定義する。
【0011】
ディスプレイ4は、基板に実装されるグラフィックチップから送出される映像信号に基づいて、映像を表示する。ディスプレイ4は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等である。
【0012】
本体筐体2aは、上面にタッチパッド6やキーボード7等の操作デバイスを有し、内部に基板や、HDD(Hard Disk Drive)16等を収容する。また、本体筐体2aのパームレスト部には指紋センサ22が設けられ、指紋センサ22の約1センチメートル奥側に指位置マーク26が表示されている。指位置マーク26の位置の本体筐体2a内には、指検出部25が設けられている。
【0013】
指紋センサ22は、ユーザに対して目立たない形状及び色で構成される。例えば本体筐体2aが黒色である場合は指紋センサ22の表面も黒色とし、周囲の本体筐体2aに対して凹凸が少なくフラットな形状とする。
【0014】
一方、指紋センサ22の奥側に表示される指位置マーク26は、本体筐体2aから目立つように構成される。例えば、本体筐体2aとは異なる色で表示され、ユーザに対して指紋認証を行うために指を置く位置即ち指紋認証開始位置として三角形の矢印記号が表示される。
【0015】
このように、本体筐体2aと一体化するように指紋センサ22を設け、本体筐体2aから目立つように指位置マーク26を設けると、ユーザは目立つ表示となっている指位置マーク26に指の腹の部分を置きスワイプ動作(ユーザの指の指紋を指紋センサ22に読み取らせる動作)を開始する。換言すると、ユーザにとっては注意を引く指位置マーク26に指紋認証を行うデバイスがあるように見え、指位置マーク26がダミーの指紋センサの役割を担う。このように指位置マーク26を指紋センサ22の奥側に設けることにより、指紋センサ22上に指の第一関節が置かれた状態でスワイプ動作が開始されるので、第一関節から先端までの広い範囲の指紋イメージを採取することができる。
【0016】
更に、指位置マーク26は、本体筐体2aをくり抜いて透光性部材を埋め込み、下からLED31を点灯させる形態でも良い。LED31からの発光によって表示を行うことで更に目立たせることが出来る。
【0017】
また、LED31の点灯の形態(色や点滅間隔)を異ならせるとしても良い。即ち、指紋センサIC23が起動し指が置かれることを待機している状態や、指紋認証の結果が成功/失敗した状態を示すために、各状態に対応させて点灯形態を制御する。例えば、LED31を、指待機状態では緑色に点灯させ、指紋認証が成功した場合は緑色に点滅させ、指紋認証が失敗した場合は赤色に点滅させることで、ユーザに指紋認証の状態を通知することができる。このようにLED31を用いた指位置マーク26では、指を置く位置のみならず指紋認証のステータスをユーザに対して通知することが可能となる。
【0018】
タッチパッド6は、本体筐体2a上面に設けられるポインティングデバイスである。タッチパッド6の操作により、画面の遷移やアイコンの選択等の操作信号が各部に伝送される。
【0019】
キーボード7は、本体筐体2a上面に設けられる入力デバイスである。キーボード7のボタン操作により、文字入力やアイコンの選択等の操作信号が各部に伝送される。
【0020】
電源スイッチ8は、ユーザによる操作に応じてパーソナルコンピュータ1をパワーオン/パワーオフする制御信号を入力する。
次に、図2を用いてパーソナルコンピュータ1の機能について説明する。図2は、本実施の形態におけるパーソナルコンピュータ1の機能ブロック図である。
パーソナルコンピュータ1は、ディスプレイ4と、タッチパッド6と、キーボード7と、電源スイッチ8と、CPU10と、ノースブリッジ11と、主メモリ12と、グラフィックスコントローラ13と、VRAM14と、サウスブリッジ15と、HDD16と、BIOS−ROM17と、EC/KBC18と、電源コントローラ19と、バッテリ20と、ACアダプタ21と、指紋センサIC23と、指検出部25と、指紋コントローラIC27と、フラッシュメモリ27aと、LED31とから構成される。
【0021】
CPU10は、本パーソナルコンピュータ1の動作を制御するために設けられたプロセッサであり、HDD16から主メモリ12にロードされるオペレーティングシステム(OS50)及び各種アプリケーションプログラムを実行する。またCPU10は、BIOS−ROM17に格納されたシステムBIOS51を主メモリ12にロードした後、実行する。システムBIOS51はハードウェア制御のためのプログラムである。また、CPU10は指紋認証アプリケーション52を実行し、パーソナルコンピュータ1の起動時に認証を行う。
【0022】
ノースブリッジ11は、CPU10のローカルバスとサウスブリッジ15との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ11には主メモリ12をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。またノースブリッジ11はAGP(Accelerated Graphics Port)バス等を介してグラフィックスコントローラ13との通信を実行する機能も有している。
【0023】
主メモリ12は、HDD16に記憶されるオペレーティングシステム(OS50)及び各種アプリケーションプログラムや、BIOS−ROM17に格納されたシステムBIOS51を展開されるためのいわゆるワーキングメモリである。
【0024】
グラフィックスコントローラ13は、本コンピュータのディスプレイモニタとして使用されるディスプレイ4を制御する表示コントローラである。このグラフィックスコントローラ13はオペレーティングシステム/アプリケーションプログラムによってVRAM14に描画された表示データから、ディスプレイ4に表示すべき表示イメージを形成する映像信号を生成する。
【0025】
サウスブリッジ15は、BIOS−ROM17へのアクセスや、HDD16及びODD(Optical Disk Drive)等のディスクドライブ(I/Oデバイス)の制御を行う。
【0026】
HDD16は、OS50及び各種アプリケーションプログラム等を記憶する記憶装置である。
BIOS−ROM17は、ハードウェア制御のためのプログラムであるシステムBIOS51を格納する書き換え可能な不揮発性メモリである。
EC/KBC18は、入力手段としてのタッチパッド6、キーボード7の制御を行う。EC/KBC18はパーソナルコンピュータ1のシステム状況に関わらず、各種のデバイス(周辺機器、センサ、電源回路等)を監視し制御するワンチップ・マイコンである。またEC/KBC18は、ユーザによる電源スイッチ8の操作に応じて、電源コントローラ19と共同して、本パーソナルコンピュータ1をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0027】
電源コントローラ19は、外部電源がACアダプタ21を介して供給されている場合、ACアダプタ21から供給される外部電源を用いてパーソナルコンピュータ1の各コンポーネントに供給すべきシステム電源を生成する。また、電源コントローラ19は、外部電源がACアダプタ21を介して供給されていない場合、バッテリ20を用いてパーソナルコンピュータ1の各コンポーネント(コンピュータ本体2及びディスプレイユニット3)に供給すべきシステム電源を生成する。
【0028】
指紋センサIC23は、指紋センサ22上でスワイプされた指の指紋イメージを読み取り、指紋コントローラIC27に入力する。指紋センサIC23は、指検出部25で指が検出されると指紋イメージの読み取りを開始する。
【0029】
指検出部25は、導体で構成され、指紋センサIC23の指検出入力ピンに接続されている。指検出部25は、指が接触すると電位の変化を検出し、これを指紋センサIC23へ入力する。指検出部25が設けられている位置の本体筐体2a上には、指位置マーク26が設けられる。尚、指位置マーク26には、LED31を用いて発光させる形態としても良い。LED31を用いる場合、LED31は指紋コントローラIC27に接続し、指紋コントローラIC27によって制御される。
【0030】
指紋コントローラIC27は、指紋センサIC23から入力されたユーザの指紋イメージを用いた認証処理を行う。指紋コントローラIC27は、例えばUSBコントローラを備え、USBで指紋センサIC23と接続されている。また、指紋コントローラIC27は、ユーザの指紋データ及び指紋認証アルゴリズムが組み込まれたファームウェアを実装したフラッシュメモリ27aを備えている。
【0031】
フラッシュメモリ27aは、指紋認証を実行するか否か設定(有効/無効)や、パーソナルコンピュータ1の使用を許可するユーザの指紋の特徴点を示すパラメータ等(以後、指紋データと呼ぶ)が格納されている。指紋コントローラIC27は、フラッシュメモリ27aで指紋認証が有効に設定されている場合、指紋センサIC23から入力されたユーザの指紋イメージから特徴点を抽出し、フラッシュメモリ27aに登録している指紋データと比較することで認証を行う。
【0032】
また、指紋コントローラIC27は汎用入出力ポートを有し、指位置マーク26としてLED31を用いる場合は、LED31の制御を行う。即ち、指紋コントローラIC27は、フラッシュメモリ27aに記憶されている指紋センサ22の状態とLED31の点灯形態との対応情報を参照して、指紋センサ22の状態と対応付けられている形態でLED31を点灯させる。
【0033】
指紋センサ22の状態の例として、指紋センサIC23が起動して指検出部25で指を検出していない場合には指待機状態、指紋センサIC23で採取した指紋イメージが登録している指紋イメージと一致した場合は指紋認証成功状態、指紋センサIC23で採取した指紋イメージが登録している指紋認証失敗状態が挙げられる。例えば、指紋センサ22の状態に対応付けたLED31の点灯形態として、指待機状態では緑色で点灯、指紋認証成功状態では緑色で点滅、指紋認証失敗状態では赤色で点滅させても良い。
【0034】
次に、図1に示した(A)−(A´)線に沿った断面構造について、図3を用いて説明する。図3は、実施形態の指紋認証を実行する際のパーソナルコンピュータ1の断面図である。
【0035】
図3に示すように、ユーザは本体筐体2a上に目立つように設けられている指位置マーク26に指100を合わせて指紋認証を開始する。上述のように指位置マーク26の位置の本体筐体2a内部には指検出部25が設けられているので、指位置マーク26に指100が接触されると指検出部25で電位の変化が検出される。
【0036】
図3に示すように、指100には、指の先端部101と、指の腹102と、指の第一関節103とがある。ユーザが指100で物体を触る場合、最初に物体に接触する部分は通常指の腹102である。指検出部25と指紋センサ22とは、指の腹102と指の第一関節103との平均的な間隔である約1センチメートルの間隔を隔てて設置されている。
【0037】
指検出部25と指紋センサ22とは導体28で接続されている。指紋センサ22はプリント基板30とはんだボール29を介して実装されている。
次に、図4を用いて、本実施の形態における指紋認証の流れについて説明する。図4は、実施形態の指紋認証を実行する際のスワイプ動作を説明する図である。図4(1)はスワイプ動作開始時を示す図で、図4(2)はスワイプ動作中を示す図である。
【0038】
まず、指紋センサ22及び指検出部25の位置関係について説明する。指検出部25は、指紋センサ22に対して本体筐体2aの奥側に所定の間隔を隔てて配置される。本実施形態において所定の間隔とは、指の腹の中心から指の第一関節までの平均的な長さ(約1センチメートル)とする。
【0039】
次に、以上のように配置された指紋センサ22及び指検出部25を用いて指紋認証を行う場合のスワイプ動作について説明する。まず、図4(1)に示すように、パーソナルコンピュータ1の起動に指紋認証を行う設定としている場合、ユーザは本体筐体2a上で目立つように形成されている指位置マーク26に指の腹102を置く。すると、指位置マーク26の下に設けられている指検出部25に指の腹102が接触し、指検出部25で電位の変化が検出される。指検出部25から電位の変化が指紋センサIC23へ通知され、指紋センサIC23は指紋イメージの読み込みを開始する。ユーザが指位置マーク26に指の腹102を置いている際、指紋センサ22上には指の第一関節103が位置している。
【0040】
次に、図4(2)に示すように、指紋認証を行うために(A´)側即ち本体筐体2aの手前側へスワイプさせると、指紋センサ22上を指の第一関節103から指の先端部101が通過する。即ち、指紋センサ22では指の第一関節全体の指紋イメージを読み込むことができる。
【0041】
次に、図5を用いて本実施の形態における指紋認証手順について説明する。図5は、実施形態の指紋認証処理手順を示すフローチャートである。
まず、ユーザはパーソナルコンピュータ1の電源スイッチ8を押下する(ステップS11)。次に、BIOS51は、パーソナルコンピュータ1を構成するハードウェアを初期化する(ステップS12)。
【0042】
次に、指紋コントローラIC27は、指紋認証が有効に設定されているか否かを判別する(ステップS13)。即ち、指紋コントローラIC27はフラッシュメモリ27aに記憶されている指紋認証の設定(有効/無効)を読み出す。
【0043】
ステップS13で判別した結果、指紋認証が有効に設定されている場合(ステップS13のYes)、BIOS51は指紋センサIC23を起動させる(ステップS14)。一方、ステップS13で判別した結果、指紋認証が無効に設定されている場合(ステップS13のNo)、BIOS51は指紋認証を行わずにOS50を起動させる(ステップS19)。
【0044】
指紋センサIC23が起動されると、指紋コントローラIC27は指検出部25で指が検出されたか否かを判別する(ステップS15)。即ち、指紋コントローラIC27は導体28で接続されている指検出部25において、電位の変化が検出されたか否かを判別する。
【0045】
ステップS15で判別した結果、指検出部25で指を検出していないと判別した場合(ステップS15のNo)、ステップS15に戻る。即ち、指紋コントローラIC27は指を検出したと判別するまで指待機状態となる。
【0046】
一方、ステップS15で判別した結果、指検出部25で指を検出したと判別した場合(ステップS15のYes)、指紋センサIC23は指紋イメージの読み取りを開始する(ステップS16)。指検出部25に指の腹102が置かれた時即ち指紋センサIC23に指の第一関節103が置かれている状態から、指紋センサIC23は指紋イメージの読み取りを開始するので指100の第一関節全体の指紋イメージを採取することができる。
【0047】
指紋コントローラIC27は、指紋センサIC23から指紋イメージが入力されると、フラッシュメモリ27aに指紋データが登録されているか否かを判別する(ステップS17)。ステップS17で判別した結果、指紋データが登録されていないと判別した場合(ステップS17のNo)、ステップS19に進み、OS50を起動させ指紋認証アプリケーション52によって指紋データ登録を行う。
【0048】
一方、ステップS17で判別した結果、指紋データが登録されていると判別した場合(ステップS17のYes)、次に指紋コントローラIC27は入力された指紋イメージの特徴点を示す指紋データと、登録している指紋データとが一致するか否かを判別する(ステップS18)。即ち、指紋認証を実行中のユーザが、正当な使用権限を有するユーザであるか否かを判別する。指紋データが一致するか否かの判別方法については説明を省略するが、例えば指紋の特徴点を数点比較することで指紋が一致するか否か判別することが出来る。
【0049】
ステップS18で判別した結果、入力された指紋データと、登録済みの指紋データとが一致すると判別した場合(ステップS18のYes)、BIOS51はOS50を起動する。一方、ステップS18で判別した結果、入力された指紋データと、登録済みの指紋データとが一致しないと判別した場合(ステップS18のNo)、BIOS51はOS50を起動しない。以上で、本実施の形態における指紋認証手順は終了する。
【0050】
尚、指紋認証の有効/無効の設定は、ユーザが切り替えて設定可能であるが、初期設定では無効に設定し、指紋の登録がされると自動的に有効と設定するとしても良い。
【0051】
以上のように構成される本実施の形態によれば、指を置くことを促す指位置マーク26を指紋センサ22の奥側に設けることで、指紋認証を行うユーザは指100を指位置マーク26に置いてスワイプ動作を開始する。更に、指位置マーク26を設ける位置に指検出部25を内蔵し、この指検出部25で電位の変化から指の接触を検出して指紋センサIC23で指紋イメージの読み取りを開始する。即ち、指位置マーク26に指の腹102が置かれている状態では指紋センサ22には指の第一関節103が置かれているので、指の第一関節103から指紋イメージの採取が開始することが出来る。従って、より広範囲の指紋イメージを採取することができ指紋イメージの登録率が向上する。
【0052】
指位置マーク26を設けない場合、ユーザは指紋センサ22に指の腹102を置いた状態からスワイプ動作を開始するので、指紋センサ22に含まれる指紋センサIC23では指の腹102から指の先端部101までの指紋イメージしか採取することが出来なかった。本実施の形態によれば、指位置マーク26を設けることにより、スワイプ開始時に指の第一関節103が指紋センサ22上に置かれるため、指紋センサIC23は指の第一関節103から指の先端部101にかけての指紋イメージを読み取ることが出来る。従って、本実施の形態によれば、指紋登録率が向上すると共に指紋認証率が向上する。即ち、指紋センサ22において、正当な使用権限者を誤って拒否することや、使用権限を所持していない者を誤って受け入れることが減少する。
【0053】
また、指紋センサ22がサスペンド機能を有する場合、サスペンド状態から通常の動作状態に復帰するためには時間を要する。従って、指検出部25を設けていない場合は指紋センサ22に指の腹102を置いてから復帰するため、指の腹102よりも指の先端部101側に進んでから指紋イメージの採取が開始されることになる。換言すると、指紋認証に必要な領域(指紋の特徴点を抽出することが出来る領域)の大部分が指紋センサ22上を通過していないため、指紋イメージの採取に失敗する可能性が高い。
【0054】
これに対し、本実施の形態のように指検出部25を指紋センサ22の奥側に設ける場合、指検出部25で指を検出してからサスペンド状態から復帰が開始されるため、指紋イメージの採取が指の腹102から指の先端部101に進んだ状態から開始されることが無い。即ち、本実施の形態においては、指の第一関節103から指の腹102に進んだ位置で指紋イメージの採取が開始されるため、指紋認証に必要な指紋の特徴点を採取に失敗する可能性が低下する。従って、本実施の形態によれば、省電力を実現すると共に指紋登録率及び指紋認証率を向上することが出来る。
【0055】
次に、本実施の形態の変形例について図6を用いて説明する。図6は、実施形態の変形例であるフィルムタイプ指紋センサの外観図である。フィルムタイプ指紋センサ32は、フラットケーブル36を介してプリント基板30に接続される。フィルムタイプ指紋センサ32を用いる場合、図6に示すようにフィルムの形状を縦長にし、指検出部34と指紋イメージセンサ35とを所定の距離を置いて設けると共に、指検出部34と指紋イメージセンサ35とは電気的に接続されている。ここで所定の距離とは、指の腹102と指の第一関節103との平均的な間隔である約1センチメートルであるとする。指検出部34上には指位置マーク33を設け、ユーザが指紋認証を行う場合に指の腹102を指位置マーク33に置くように促す。
【0056】
指検出部34は、指位置マーク33に指が接触すると電位の変化を検出し、検出結果を指紋イメージセンサ35に通知する。指紋イメージセンサ35は、指検出部34からの通知を受信すると、指紋イメージの読み込みを開始する。指検出部34に指の腹102が置かれている時、指紋イメージセンサ35の位置には指の第一関節103が置かれている。従って、指紋イメージセンサ35は、指紋イメージの読み込みを指の第一関節103から開始するため、指100の第一関節全体の指紋イメージを読み込むことが出来る。
【0057】
尚、実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…パーソナルコンピュータ、2…コンピュータ本体、2a…本体筐体、3…ディスプレイユニット、4…ディスプレイ、5…ヒンジ、6…タッチパッド、7…キーボード、8…電源スイッチ、10…CPU、11…ノースブリッジ、12…主メモリ、13…グラフィックコントローラ、14…VRAM、15…サウスブリッジ、16…HDD、17…BIOS−ROM、18…EC/KBC、19…電源コントローラ、20…バッテリ、21…ACアダプタ、22…指紋センサ、23…指紋センサIC、24…ベゼル、25…指検出部、26…指位置マーク、27…指紋コントローラIC、27a…フラッシュメモリ、28…導体、29…はんだボール、30…プリント基板、31…LED、32…フィルムタイプ指紋センサ、33…指位置マーク、34…指検出部、35…指紋イメージセンサ、36…フラットケーブル、50…OS、51…BIOS、52…指紋認証アプリケーション、100…指、101…指の先端部、102…指の腹、103…指の第一関節。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋データに基づいて起動を制御する情報処理装置であって、
筐体と、
前記筐体の上面に設けられ、指紋データを読み取る指紋センサと、
前記指紋センサから所定の間隔を置いて設けられる指検出手段と、
前記指検出手段で指が検出されると、前記指紋センサで指紋データを読み取り、前記指紋データに基づいて認証の成否を判定する認証手段と、
前記認証手段による認証が成功した場合に前記情報処理装置を起動させる起動手段と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記指紋センサは、前記指検出手段よりも前記上面の端部に近い位置に設けられる請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記筐体は、ヒンジを介して回動可能に設けられる表示装置を有し、
前記指検出手段は、前記指紋センサよりも前記ヒンジに近い位置に設けられる請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記上面は、前記指検出手段が設けられる位置にマークを有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記指検出手段は、前記上面上の電位の変化に基づいて指を検出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記指検出手段は、発光部を有し、前記筐体外に光を発光する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記発光部は、前記認証手段における認証の成否に対応付けられた形態で点灯する請求項6に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−8985(P2012−8985A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146941(P2010−146941)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】