説明

情報処理装置

【課題】トップ側前面や側面を下にして床に当たった場合でも、トップ側からボトム側に衝撃が分散し、ヒンジ自体、ヒンジとの境目も壊れにくくなる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】ボトム2と、ボトム2に対して開閉可能に取り付けられたトップ3とを備えたクラムシェル型の情報処理装置において、トップ3の側面全周にトップ3の側面から外方に向けて突出するとともに、ボトム2に対してトップ3を閉じた場合に、少なくともボトム2の前面および両側面において被さるラバーバンパー4を設けたので、トップ3側前面や側面を下にして床に当たった場合でも、トップ3側からボトム2側に衝撃が分散し、ヒンジ自体、ヒンジとの境目も壊れにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトムとボトムに対して開閉可能に取り付けられたトップとを備えたクラムシェル型の情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不注意などにより、クラムシェル型の情報処理装置を床に落とした場合には、ボトム側に搭載した電子部品が壊れたり、トップ側に搭載した液晶表示器(LCD)が壊れたりする。このように、クラムシェル型の情報処理装置を床に落とした場合であっても、ボトム側に搭載した電子部品が壊れたり、トップ側に搭載した液晶表示器が壊れたりすることがないように、ボトム側の角隅部、トップ側の両側縁部にバンパーを取り付けたクラムシェル型の情報処理装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−149272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ボトム側の角隅部、トップ側の両側縁部にバンパーを取り付けたクラムシェル型の情報処理装置であっても、トップ側前面や側面を下にして床に当たった場合には、トップをボトムに対して開閉可能に支持するヒンジに衝撃が集中する。これにより、ヒンジ自体、ヒンジとの境目(トップ側、ボトム側)が壊れる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、トップ側前面や側面を下にして床に当たった場合でも、トップ側からボトム側に衝撃が分散し、ヒンジ自体、ヒンジとの境目も壊れにくくなる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ボトムと、該ボトムに対して開閉可能に取り付けられたトップとを備えたクラムシェル型の情報処理装置において、前記トップの側面全周に前記トップの側面から外方に向けて突出するとともに、前記ボトムに対して前記トップを閉じた場合に、少なくとも前記ボトムの前面および両側面において被さるバンパーを設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記ボトムに対して前記トップを開閉可能に取り付けるヒンジ軸をボトムに設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記バンパーが、前記ボトムに対して前記トップを閉じた場合に前記ボトムと前記トップとの間に挟まれる凸部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる情報処理装置は、トップの側面全周にトップの側面から外方に向けて突出するとともに、ボトムに対してトップを閉じた場合に、少なくともボトムの前面および両側面において被さるバンパーを設けたので、トップ側前面や側面を下にして床に当たった場合でも、トップ側からボトム側に衝撃が分散し、ヒンジ自体、ヒンジとの境目も壊れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるノートパソコンを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したノートパソコンの正面図である。
【図3】図3は、図1に示したノートパソコンの左側面図である。
【図4】図4は、図1に示したノートパソコンの右側面図である。
【図5】図5は、図1に示したノートパソコンの背面図である。
【図6】図6は、図3に示したラバーバンパーまわりの構成を示す概念斜視図である。
【図7】図7は、図3に示したラバーバンパーまわりの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる情報処理装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。ここでは、ボトムと、ボトムに対して開閉可能に取り付けたトップとを有するクラムシェル型のノートパソコンを例に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態であるノートパソコンを示す斜視図である。図2は、図1に示したノートパソコンの正面図、図3は、図1に示したノートパソコンの左側面図、図4は、図1に示したノートパソコンの右側面図、図5は、図1に示したノートパソコンの背面図である。また、図6は、図3に示したラバーバンパーまわりの構成を示す概念斜視図であり、図7は、図3に示したラバーバンパーまわりの構成を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、ノートパソコン1は、ボトム(本体)2と、ボトム2に対して開閉可能に取り付けたトップ(蓋体)3とを備えたクラムシェル型のものであり、トップ3を閉じた場合にボトム2と重なるように、ボトム2とトップ3とは、略同一の平面形状を有している。また、ボトム2には、ボトム2に対してトップ3を開閉可能に取り付けるヒンジ軸Oが設けてあり、トップ3の内側面(ボトム2に対してトップ3を閉じた場合に、ボトム2に対向する面)から内側(ボトム2側)に突出したヒンジ部3aを回転可能に支持している(図5参照)。
【0014】
図7に示すように、トップ3は、フレーム31と、フレーム31に取り付けられた液晶表示器(LCD)32と、フレーム31に取り付けられたデコレーションカバー33とを備えて構成してある。フレーム31は、液晶表示器32を取り付けるための枠体であり、トップ3の内側となる部分(トップ3を閉じた場合にボトム2と対向する部分)に液晶表示器32が取り付けられ、トップ3の外側となる部分にデコレーションカバー33が取り付けられる。
【0015】
また、図1〜図7に示すように、トップ3を構成するフレーム31の側面全周には、ラバーバンパー(バンパー)4が設けてある。ラバーバンパー4は、トップ3およびボトム2を衝撃から保護するためのもので、ボトム2に対してトップ3を閉じた状態でノートパソコン1を床に落とした場合に、最初にラバーバンパー4が当たるように、トップ3の側面から外方に向けて突出するように設けてある。
【0016】
また、図6および図7に示すように、ラバーバンパー4の下縁部4aは、ボトム2に対してトップ3を閉じた場合に、ボトム2の前面および両側面において被さるように、トップ3の内側面からボトム2側に突出して形成される。これにより、ボトム2に対してトップ3を閉じた状態でラバーバンパー4に衝撃が加わると、その衝撃は、トップ3とボトム2に分散して伝わることになる。したがって、トップ3の外周にのみラバーバンパーを設け、トップ3だけに衝撃が伝わる場合よりも衝撃が緩和することになり、ヒンジ軸Oに伝わる衝撃も緩和される。
【0017】
なお、ボトム2に対してトップ3を閉じた場合に、ボトム2の前面および両側面においてラバーバンパー4の下縁部4aが被さる量は、1〜2mm程度であり、本実施の形態では、1.5mmが重なるように、形成してある。
【0018】
また、図7に示すように、ラバーバンパー4の内側面には、ボトム2に対してトップ3を閉じた場合にボトム2とトップ3との間に挟まれる凸部4bを有している。
【0019】
このように構成されるラバーバンパー4は、衝撃を吸収するゴムで形成され、ABS樹脂で形成されるフレーム31と二色成形することにより、フレーム31と一体に形成される。
【0020】
また、図7に示すように、液晶表示器32の前面縁部には、枠34が設けられる。枠34は、液晶表示器32の前面縁部を押さえるためのもので、これにより、液晶表示器32のエッジ部分も覆い隠される。また、枠34の前面には、スペーサラバー35が設けてある。スペーサラバー35は、ボトムに対してトップを閉じた場合に、ボトムとトップ(枠)との間に挟まり、上述したラバーバンパー4に形成した凸部4bとともに、ボトム2に対してトップ3を閉める時の衝撃を緩和する。また、スペーサラバー35は、ラバーバンパー4に形成した凸部4bと一体に見えるように、ラバーバンパー4と同一の材質、同一のカラーで凸部4bとの間に隙間が生じないように取り付けられる。
【0021】
このように形成されるスペーサラバー35は、ラバーバンパー4と同様、衝撃を吸収するゴムで形成され、ABS樹脂で形成される枠34と二色成形することにより、枠34と一体に形成される。
【0022】
上述した本発明の実施の形態であるノートパソコン1は、トップ3(フレーム31)の側面外周にトップ3の側面から外方に向けて突出するとともに、ボトム2に対してトップ3を閉じた場合に、下縁部4aがボトム2の前面および両側面において被さるラバーバンパー4を設けたので、トップ3側前面や側面を下に床に当たった場合でも、トップ3側からボトム2側に衝撃が分散し、ヒンジ自体、ヒンジとの境目も壊れにくくなる。
【0023】
また、ボトム2に対してトップ3を閉じた場合に、ラバーバンパー4の下縁部4aがボトム2の前面および両側面において被さるので、ノートパソコン1を持ち運ぶ場合にも、ボトム2とトップ3とが当たることにより生じる音(カタカタ音)を抑制できる。さらに、ホコリの侵入抑制の効果も期待できる。
【0024】
また、ボトム2に対してトップ3を開閉可能に取り付けるヒンジ軸Oをボトム2に設けたので、本実施の形態のように、トップ3の側面全周にラバーバンパー4を設けても、トップ3が厚くならない。
【0025】
さらに、ラバーバンパー4が、ボトム2に対してトップ3を閉じた場合に、ボトム2とトップ3との間に挟まれる凸部4bを有するので、ボトム2に対してトップ3を閉じた場合に衝撃を抑制する。これにより、ボトム2に対してトップ3を閉じる場合に生じる音(開閉音)も抑制される。
【0026】
なお、上述した実施の形態であるノートパソコン1では、ラバーバンパー4の下縁部4aがボトム2の前面および両側面において被さるとし、ラバーバンパー4の下縁部4aがボトム2の背面において被さるか否かに言及していないが、ラバーバンパー4の下縁部4aがボトム2の背面において被さるように構成してもよいし、被さらないように構成してもよい。これは、ヒンジ軸O側を下に床に当たってもヒンジ軸Oに加わるモーメントが小さいと考えられること、ボトム2の背面側にヒンジ軸Oが設けられ、ヒンジ軸O側(ボトムの背面側)において、ボトム2に対してトップ3が開閉されないこと、ヒンジ軸O側を上に持ち運ぶので、ヒンジ軸O側を下に床に当たる可能性小さいこと、等を考慮したものである。
【0027】
また、ヒンジ軸Oをボトム2に設けることとしたが、ヒンジ軸Oをトップ3に設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 ノートパソコン
2 ボトム
3 トップ
3a ヒンジ部
O ヒンジ軸
31 フレーム
32 液晶表示器
33 デコレーションカバー
34 枠
35 スペーサラバー
4 ラバーバンパー(バンパー)
4a 下縁部
4b 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトムと、
該ボトムに対して開閉可能に取り付けられたトップと
を備えたクラムシェル型の情報処理装置において、
前記トップの側面全周に前記トップの側面から外方に向けて突出するとともに、前記ボトムに対して前記トップを閉じた場合に、少なくとも前記ボトムの前面および両側面において被さるバンパーを設けたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ボトムに対して前記トップを開閉可能に取り付けるヒンジ軸をボトムに設けたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記バンパーは、前記ボトムに対して前記トップを閉じた場合に前記ボトムと前記トップとの間に挟まれる凸部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77082(P2013−77082A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215629(P2011−215629)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】