説明

情報処理装置

【課題】接続された携帯端末装置に対応して実行可能な複数の機能を利用者が選択することができる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】車載装置50は、複数の機能が備わった携帯端末装置10が接続可能であり、複数の機能に対応する特定動作を選択的に行う。車載装置50は、携帯端末装置が接続されたときに、携帯端末装置10に備わった複数の機能を所定の順番で検出するUSB機能検出部110と、一の機能が検出される毎にこの機能の存在を示す起動アイコンが追加される機能選択画面を作成する機能選択画面作成部120と、機能選択画面を表示する表示処理部56、表示部55とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBインタフェース等を介して接続された携帯端末装置に対応して実行可能な複数の機能を検出して表示したり実行を指示する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、USBデバイスが接続されたときに、このUSBデバイスに備わった機能を実行するようにした情報処理装置が知られている。例えば、USBメモリが接続されたときに、このUSBメモリに記録された楽曲データや映像データの検索や再生を行うようにしたコンテンツデータ再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、従来から、コンピュータの表示画面にアプリケーションのアイコンを表示する際に、次に起動される可能性が高いアイコンを所定の配置で表示することにより、起動操作時にユーザがアイコンを探す負担を軽減するようにしたアイコン表示処理方法(例えば、特許文献2参照。)や、アイコンの選択回数をもとにアイコンの整列順序を決定することにより、作業効率を向上させるようにしたアイコンの表示制御方法(例えば、特許文献3参照。)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−159170号公報(第6−9頁、図1−8)
【特許文献2】特開2005−327069号公報(第5−9頁、図1−13)
【特許文献3】特開2001−5585号公報(第4−7頁、図1−9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたコンテンツデータ再生装置として情報処理装置が動作するためには、情報処理装置は、コンテンツデータ再生装置としての機能を備えるとともに、USBメモリが接続された際にこのUSBメモリの機能を検出する必要がある。具体的には、楽曲データや映像データが記録されたUSBメモリにはUSBドライバやマス・ストレージ・クラス(Mass Storage Class)ドライバが実装されており、情報処理装置は、これらの実装状態を検出することでコンテンツデータ再生装置としての動作を開始する。
【0006】
ところで、USBメモリ等の各種のUSBデバイスが接続可能な情報処理装置(例えば、USBインタフェースを備えた車載装置)は、USBデバイスが1つの機能を備えることを前提としている。上述したコンテンツデータ再生装置として動作する情報処理装置の場合には、USBドライバやマス・ストレージ・クラスドライバを実装したUSBデバイスが接続されることを想定しており、このような情報処理装置では、これらのドライバの実装を検出すると、接続されたUSBデバイスに他の機能が備わっていても、このUSBデバイスを上述したUSBメモリとして認識してコンテンツデータ再生装置として動作することになる。
【0007】
ところが、最近は、スマートフォンと称される携帯電話機と携帯情報端末(PDA)の機能を併せ持った高機能の携帯端末装置が普及しつつある。このような携帯端末装置がUSBインタフェースを備えている場合には、情報処理装置側から見ると、携帯端末装置は複数の機能を備えたUSBデバイスと考えることができる。
【0008】
また、車載装置の画面上から携帯端末装置の操作が可能となるターミナルモードと称されるインタフェース規格が実用化段階にある。このターミナルモードでは、携帯端末装置に備わったタッチパネルの表示内容と同じ内容を車載装置の画面に表示することで、車載装置のタッチパネルを用いて携帯端末装置に対する各種の操作が可能となる。例えば、携帯端末装置に、このようなターミナルモードの機能や、上述したUSBメモリの機能、さらには、記録された楽曲データ等を携帯端末自身で再生する音楽プレーヤの機能を備える場合が考えられる。しかし、従来は、情報処理装置としての車載装置は、USBデバイスとしての携帯端末装置の1つの機能を検出し、この機能に対応する動作を行うため、車載装置に携帯端末装置が接続された際に、携帯端末装置に備わった複数の機能を情報処理装置の利用者が選択することができないという問題があった。例えば、ターミナルモードの機能を有する携帯端末装置が接続された場合にターミナルモードに対応した動作を行うように情報処理装置の設定がなされている場合には、利用者が情報処理装置を操作してターミナルモード以外の機能を選択することができなかった。また、情報処理装置において携帯端末装置に備わった複数の機能を選択することができない以上、単体製品のアイコンの表示方法である特許文献2、3に開示された手法を用いて、情報処理装置において携帯端末装置に備わった複数の機能を利用者が選択することはできない。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、接続された携帯端末装置に対応して実行可能な複数の機能を利用者が選択することができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、複数の機能が備わった携帯端末装置が接続可能であり、複数の機能に対応する特定動作を選択的に行う情報処理装置において、携帯端末装置が接続されたときに、携帯端末装置に備わった複数の機能を所定の順番で検出する機能検出手段と、機能検出手段によって一の機能が検出される毎に、この機能の存在を示す機能提示画像が追加される機能選択画面を作成する機能選択画面作成手段と、機能選択画面を表示する表示手段とを備えている。
【0011】
このように、携帯端末装置に備わった複数の機能の検出が情報処理装置側で行われ、検出された順番で各機能の存在を示す機能提示画像が機能選択画面に追加されるため、利用者はこの機能選択画面を用いることで、接続された携帯端末装置に対応して実行可能な複数の機能の中からいずれかを選択することが可能となる。
【0012】
また、上述した機能選択画面に含まれる一あるいは複数の機能提示画像の中から、利用者の指示に応じて一の機能提示画像を選択する機能選択処理手段と、機能選択処理手段によって選択された機能提示画像に対応する特定動作を実行する機能実行手段とをさらに備えることが望ましい。これにより、機能選択画面を用いて携帯端末装置に備わったいずれかの機能を選択するだけで、この機能に対応する情報処理装置の特定動作を開始させることができる。
【0013】
また、上述した複数の機能にはあらかじめ優先順位が設定されており、機能検出手段によって複数の機能を検出する順番は、この優先順位が高い順であることが望ましい。これにより、優先順位が高い順に機能選択画面に機能提示画像が追加されるため、優先順位が高い機能を選択するまでの待ち時間を短縮することができる。
【0014】
また、利用者の指示に応じて優先順位を設定する優先順位設定手段をさらに備えることが望ましい。これにより、利用者毎に機能提示画像の表示順番を設定することができ、利用者毎に利用を希望する機能に対応する特定動作を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0015】
また、対応する特定動作の起動時間が短い順に優先順位が高く設定されていることが望ましい。これにより、特定動作を開始するまでの待ち時間が最短となる機能の選択が可能となる。
【0016】
また、上述した携帯端末装置の前回の接続時に最後に実行された特定動作に対応する機能について優先順位が最も高く設定されていることが望ましい。これにより、前回実行していた機能を最先に選択可能とすることができ、利用者が同じ機能を選択する場合の使い勝手を向上させることができる。
【0017】
また、上述した携帯端末装置は、自装置が有する複数の機能を特定する機能特定情報を有しており、機能検出手段は、機能特定情報に基づいた順番で複数の機能を検出することが望ましい。接続される携帯端末装置が有する機能特定情報に基づいて機能の検出を行うことにより、携帯端末装置の仕様を反映させた順番で機能を検索することが可能となる。
【0018】
また、上述した携帯端末装置が有線接続手段を介して接続されることが望ましい。具体的には、上述した有線接続手段は、USBインタフェースを介した接続であることが望ましい。これにより、USBインタフェースを介して接続される各種の携帯端末装置に備わった複数の機能を検出して選択可能状態とすることができる。
【0019】
また、上述した携帯端末装置が無線接続手段を介して接続されることが望ましい。具体的には、上述した無線接続手段は、無線LANあるいはブルートゥース(登録商標)を介した接続であることが望ましい。これにより、無線LANやブルートゥースを介して接続される各種の携帯端末装置に備わった複数の機能を検出して選択可能状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態の車載システムの全体構成を示す図である。
【図2】車載装置の詳細構成を示す図である。
【図3】携帯端末装置に備わった複数の機能を検出して各機能に対応する特定動作を起動するまでの車載装置の動作手順を示す流れ図である。
【図4】機能選択画面の表示例を示す図である。
【図5】各機能に対応するUSBデバイスのソフトウエア構成を示す図である。
【図6】機能選択画面の表示例を示す図である。
【図7】機能選択画面の他の表示例を示す図である。
【図8】機能選択画面の他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した一実施形態の車載システムについて、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態の車載システムの全体構成を示す図である。図1に示す車載システムは、互いに接続される携帯端末装置10と車載装置50とを含んで構成されている。携帯端末装置10には複数の機能が備わっており、情報処理装置としての車載装置50は、携帯末装置10が接続されたときに、この携帯末装置10に備わった複数の機能に対応する特定動作を選択的に行う。
【0022】
携帯端末装置10は、例えば一般にはスマートフォンと称される携帯端末であって、携帯電話機と携帯情報端末の機能を有する。この携帯端末装置10は、制御部12、操作部13A、タッチパネル13B、入力処理部14、表示部15、表示処理部16、電話処理部18、楽曲・映像データ記憶部20、オーディオ処理部22、増幅器23、スピーカ24、USB(Universal Serial Bus)インタフェース部(USB I/F)26を備えている。
【0023】
制御部12は、携帯端末装置10の全体を制御するためのものであり、ROMやRAMに格納された所定のプログラムをCPUで実行することにより実現される。操作部13Aは、各種のスイッチを含んでいる。タッチパネル13Bは、表示部15の画面の一部が利用者によって指し示されたときにその指示位置を検出する。利用者は、タッチパネル13Bあるいは操作部13Aを用いて、各種の操作指示や各種の入力を行うことができる。入力処理部14は、操作部13Aおよびタッチパネル13Bの操作内容を監視し、利用者による入力内容を検出する。
【0024】
表示部15は、LCD(液晶表示装置)等で構成されている。表示処理部16は、複数の操作アイコンが含まれる操作画面や制御部12によって作成された画面を表示部15に表示する。電話処理部18は、携帯電話機としての処理を行う。例えば、電話処理部18は、基地局(図示せず)との間で発着信処理を行って通話処理やインターネット接続処理等を行う。
【0025】
楽曲・映像データ記憶部20は、楽曲データや映像データおよびこれらの付属データを格納する。例えば、フラッシュメモリやRAMなどの半導体メモリあるいはハードディスク装置などを用いて構成されている。オーディオ処理部22は、携帯端末装置10が音楽プレーヤとして動作する際に、楽曲・映像データ記憶部20から読み出された楽曲データを再生するためのものであり、データ形式毎の音声復号処理等を行ってオーディオ信号を出力する。このオーディオ信号は、増幅器23によって増幅され、スピーカ24から出力される。USBインタフェース部26は、USBデバイス(ターゲット)としての携帯端末装置10とUSBホストとしての車載装置50との間で信号の入出力を行うためのものであり、USBターゲットコントローラを含んでいる。
【0026】
本実施形態では、上述した携帯端末装置10は、車載装置50に接続されたときに、(1)音楽プレーヤ、(2)マスストレージ、(3)ターミナルモードで動作する端末装置としての機能を有するものとして、以下の説明を行う。
【0027】
携帯端末装置10が「(1)音楽プレーヤ」として動作する場合には、楽曲・映像データ記憶部20から読み出した楽曲データの再生動作が携帯端末装置10で行われるが、その再生対象の楽曲の指定や再生開始/終了指示など利用者からの指示入力、再生音のスピーカからの出力などは車載装置50において行われる。この機能を実現するために、制御部12は、音楽プレーヤ処理部12Aを有する。
【0028】
また、携帯端末装置10が「(2)マスストレージ」として動作する場合には、上述した音楽プレーヤと類似の動作が車載装置50において行われ、楽曲・映像データ記憶部20から読み出された楽曲データや映像データが車載装置50に送られ、車載装置50においてこれらのデータの再生(音楽再生や映像表示)が行われる。この機能を実現するために、制御部12は、マスストレージ処理部12Bを有する。
【0029】
さらに、携帯端末装置10が「ターミナルモードで動作する端末装置」として動作する場合とは、携帯端末装置10の表示画面と同じ画面が車載装置50にも表示され、携帯端末装置10のタッチパネル13Bを用いた各種の操作が車載装置50に備わったタッチパネルを用いても同様に行うことができる。この機能を実現するために、制御部12は、TM(ターミナルモード)処理部12Cを有する。なお、ターミナルモード(Terminal Mode)とは、車載電子制御ユニット(ECU)と携帯機器間のインタフェースの標準化組織CE4A(Consumer Electronics for Automotive)が定めたインタフェース規格である。
【0030】
図2は、車載装置50の詳細構成を示す図である。図2に示すように、車載装置50は、制御部52、操作部53A、タッチパネル53B、入力処理部54、表示部55、表示処理部56、オーディオ処理部58、増幅器59、スピーカ60、USBインタフェース部(USB IF)62を備えている。
【0031】
制御部52は、車載装置50の全体を制御するためのものであり、ROMやRAMに格納された所定のプログラムをCPUで実行することにより実現される。制御部52の詳細については後述する。操作部53Aは、車載装置50の筐体に備わった各種のキーやスイッチ、操作つまみ等を含んでいる。タッチパネル53Bは、表示部55の画面の一部が利用者によって指し示されたときにその指示位置を検出する。利用者は、タッチパネル53Bあるいは操作部53Aを用いて、各種の操作指示や各種の入力を行うことができる。入力処理部54は、操作部53Aおよびタッチパネル53Bの操作内容を監視し、利用者による操作内容を検出する。表示部55は、LCD等で構成されている。表示処理部56は、複数の操作アイコンが含まれる操作画面や制御部52によって作成された画面を表示部55に表示する。
【0032】
オーディオ処理部58は、楽曲データを再生するためのものであり、データ形式毎の音声復号処理等を行ってオーディオ信号を出力する。このオーディオ信号は、増幅器59によって増幅され、スピーカ60から出力される。USBインタフェース部62は、USBホストとしての車載装置50とUSBデバイスとしての携帯端末装置10との間で信号の入出力を行うためのものであり、USBホストコントローラを含んでいる。
【0033】
また、制御部52は、音楽プレーヤ処理部100、マスストレージ処理部102、TM(ターミナルモード)処理部104、USB機能検出部110、検出順番設定部112、機能選択画面作成部120、機能選択処理部122、優先順位設定部124を有する。
【0034】
音楽プレーヤ処理部100は、携帯端末装置10が音楽プレーヤとして動作する場合にこれに対応する特定動作を行う。例えば、音楽プレーヤとしての携帯端末装置10に対して、再生対象の楽曲の指定や再生開始/終了指示など利用者からの指示入力、オーディオ処理部58に対する楽曲データの入力等の処理が音楽プレーヤ処理部100によって行われる。
【0035】
マスストレージ処理部102は、携帯端末装置10がマスストレージとして動作する場合にこれに対応する特定動作を行う。例えば、接続された携帯端末装置10内の楽曲・映像データ記憶部20に記録されたコンテンツデータ(楽曲データや映像データ)を解析し、解析結果に基づいてコンテンツリスト(コンテンツデータのフォルダ構成、ファイル構成およびファイル属性(アーティスト名、アルバム名、楽曲名等)が含まれる)を作成したり、携帯端末装置10から取得した楽曲データをオーディオ処理部58に入力する形式のデータに変換することにより楽曲の再生を行ったり、この再生動作に際して利用者による再生箇所の選択や音量変更等を行うための再生メニュー画面を作成する処理がマスストレージ処理部102によって行われる。
【0036】
TM処理部104は、携帯端末装置10がターミナルモードで動作する場合にこれに対応する特定動作(ターミナルモードで動作する端末装置の動作)を行う。例えば、携帯端末装置10の表示内容を示す画像データが送られてきたときに同じ内容の画面を表示する処理や、携帯端末装置10のタッチパネル13Bを用いた操作と同様の操作をタッチパネル53Bを用いて実現する処理がTM処理部104によって行われる。
【0037】
USB機能検出部110は、車載装置50に携帯端末装置10が接続されたときに、携帯端末装置10に備わった複数の機能を所定の順番で検出する。
【0038】
検出順番設定部112は、USB機能検出部110において複数の機能(本実施形態の場合は、音楽プレーヤ、マスストレージ、ターミナルモードの3つの機能)を検出する際の検出順番を設定する。例えば、複数の機能のそれぞれに異なる優先順位が設定される場合に優先順位が高い順に検出を行う場合や、USBデバイスとしての携帯端末装置10が有するディスクリプタの内容に対応した順番で検出を行う場合などが考えられる。
【0039】
複数の機能のそれぞれに設定される優先順位としては、あらかじめ設計段階等において決めておく場合の他に、優先順位設定部124を用いて利用者自身が設定する場合が考えられる。また、携帯端末装置10を前回接続したときに最後に実行された機能の優先順位を最も高くしたり(この前提として、最後に実行された機能を特定する情報を保持しておく必要がある)、特定動作の起動時間(音楽プレーヤ100、マスストレージ処理部102、TM処理部104のそれぞれを起動した際に実際に利用者に対してオーディオ音の出力やターミナルモードに対応する画像表示などが開始されるまでの時間)が短い順に優先順位が高くなるようにする場合が考えられる。
【0040】
また、上述したディスクリプタには、USBデバイスに備わった複数の機能を特定する機能特定情報が含まれる。例えば、ディスクリプタには複数の機能のそれぞれに対応するクラス情報が含まれており、このクラス情報が含まれるデータ列の内容を調べ、クラス情報が抽出された順に、このクラス情報に対応する機能の検出が行われる。このディスクリプタは、例えば携帯端末装置10のUSBインタフェース部26に内蔵されている。
【0041】
機能選択画面作成部120は、USB機能検出部110によって携帯端末装置10の一の機能が検出される毎に、この機能の存在を示す機能提示画像(例えば、各機能に対応して車載装置50で実行される特定動作の起動を指示する起動アイコン)が追加される機能選択画面を作成する。この機能選択画面は、表示処理部56によって表示部55に表示される。
【0042】
機能選択処理部122は、表示された機能選択画面に含まれる一あるいは複数の起動アイコンの中から、利用者の指示に応じて一の起動アイコンを選択する。利用者による指示は、操作部53Aあるいはタッチパネル53Bを用いて行われる。
【0043】
優先順位設定部124は、検出順番設定部112によって設定される複数の機能のそれぞれの優先順位を利用者の指示に応じて設定する。例えば、上述した複数の起動アイコンの一覧が含まれる優先順位設定画面が作成、表示され、優先順位が高い順に利用者が起動アイコンを指定することにより優先順位の設定が行われる。なお、この優先順位設定画面に含まれる起動アイコンは、その時点で接続された携帯端末装置10に備わった複数の機能に対応したものではなく、車載装置50において実行可能な特定動作に対応するすべての起動アイコンが含まれる。
【0044】
上述したUSB機能検出部110が機能検出手段に、機能選択画面作成部120が機能選択画面作成手段に、表示処理部56、表示部55が表示手段に、機能選択処理部122が機能選択処理手段に、音楽プレーヤ処理部100、マスストレージ処理部102、TM処理部104が機能実行手段に、優先順位設定部124が優先順位設定手段にそれぞれ対応する。
【0045】
本実施形態の車載システムはこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。図3は、携帯端末装置10に備わった複数の機能を検出して各機能に対応する特定動作を起動するまでの車載装置50の動作手順を示す流れ図であり、優先順位が高い順に機能を検出する場合の動作手順が示されている。
【0046】
車載装置50に電源が投入されて動作を開始すると、USB機能検出部110は、USBデバイスが接続されたか否かを判定する(ステップ100)。接続されない場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、USBデバイスとしての携帯端末装置10が接続されると、ステップ100の判定において肯定判断が行われる。
【0047】
次に、機能選択画面作成部120は機能選択画面を作成し、表示処理部56はこの機能選択画面を表示部に表示する(ステップ102)。なお、車載装置50の動作開始直後は、携帯端末装置10に備わった機能が一つも検出されていないため、起動アイコンが含まれない機能選択画面が作成され、表示される。図4は、機能選択画面の表示例を示す図であり、車載装置50の動作開始直後の状態が示されている。
【0048】
次に、機能選択処理部122は、表示中の機能選択画面に含まれるいずれかの起動アイコンが選択されたか否かを判定する(ステップ104)。起動アイコンが選択されない場合には否定判断が行われ、次に、USB機能検出部110は、機能検出動作が終了したか否かを判定する(ステップ106)。機能検出動作が終了していない場合には否定判断が行われ、USB機能検出部110は、優先順位が高い順に検出対象となる機能を決定する(ステップ108)。例えば、本実施形態では、携帯端末装置10に備わった3つの機能(音楽プレーヤ、マスストレージ、ターミナルモード)の中では、ターミナルモード、マスストレージ、音楽プレーヤの順で高い優先順位が設定されているものとすると(この優先順位は、利用者自身が設定する場合の他、利用者が設定する前からあらかじめ決められている場合が考えられる)、まず最初にターミナルモードの機能が検索対象として決定される。
【0049】
次に、USB機能検出部110は、検索対象として決定された機能が携帯端末装置10に備わっているか否かを判定する(ステップ110)。ところで、各機能の検出に要する時間は、各機能毎に異なっている。
【0050】
図5は、各機能に対応するUSBデバイスのソフトウエア(プロトコル)構成を示す図である。携帯端末装置10の音楽プレーヤの機能を車載装置50で利用する場合には、携帯端末装置10には、図5(A)に示すように、USBドライバとSICDC(Still Image Capture Device Class)ドライバを実装する必要があり、これらの存在を確認するため、携帯端末装置10の音楽プレーヤ機能の検出に例えば3秒を要する。
【0051】
また、携帯端末装置10のマスストレージの機能を車載装置50で利用する場合には、携帯端末装置10には、図5(B)に示すように、USBドライバとMSC(Mass Storage Class)ドライバを実装する必要があり、これらの存在を確認するため、携帯端末装置10のマスストレージ機能の検出に例えば1秒を要する。
【0052】
また、携帯端末装置10のターミナルモードの機能を車載装置50で利用する場合には、携帯端末装置10には、図5(C)に示すように、USBドライバとCDC(Communication Device Class)ドライバの他にTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet)、UPnP(Universal Plug and Play)、VNC(Virtual Network Computing)、RTP(Real-time Transport Protocol)の各プロトコルを実装した上で携帯端末装置10と車載装置50との間で通信による確認を行う必要があり、携帯端末装置10のターミナルモード機能の検出に例えば10秒〜30秒の時間を要する(ターミナルモード機能を有する場合には10秒で検出することができるが、有しない場合には何回かの通信によるデータの送受信が必要になるため機能を有しないことを確認するために30秒程度を要する)。
【0053】
例えば、ステップ108においてターミナルモードの機能が検索対象として決定された後、USB機能検出部110は、携帯端末装置10にターミナルモードの機能が備わっていることを10秒で検出し、ステップ110において肯定判断を行う。次に、機能選択画面作成部120は、USB機能検出部110によって検出されたターミナルモードの機能に対応する特定動作(TM処理部104による処理)の起動を指示する起動アイコンを機能選択画面に追加する(ステップ112)。この起動アイコンが追加された機能選択画面は、表示処理部56によって表示部55に表示される。
【0054】
図6は、機能選択画面の表示例を示す図であり、ターミナルモードの機能に対応する起動アイコンが追加された状態が示されている。図6に示す機能選択画面では、図4に示した機能選択画面に対して、TM処理部104による処理の開始を指示するために利用者が選択可能な起動アイコンS1が追加されている。
【0055】
図7は、機能選択画面の他の表示例を示す図であり、さらにマスストレージ機能に対応する起動アイコンS2が追加された状態が示されている。また、図8は機能選択画面の他の表示例を示す図であり、さらに音楽プレーヤ機能に対応する起動アイコンS3が追加された状態が示されている。
【0056】
このようにして機能選択画面に各起動アイコンが追加されると、その都度ステップ104に戻って、起動アイコン選択の有無判定以降が繰り返される。なお、検索対象の機能が携帯端末装置10に備わっていない場合にはステップ110の判定において否定判断が行われ、機能選択画面に起動アイコンが追加されることなくステップ104に戻って、起動アイコン選択の有無判定以降が繰り返される。
【0057】
また、図6〜図8のいずれかに示す機能選択画面が表示された状態でいずれかの起動アイコンが利用者によって選択されると、ステップ104の判定において肯定判断が行われる。次に、機能選択処理部122は、この選択された起動アイコンに対応する起動指示を、この起動アイコンに対応する音楽プレーヤ処理部100等に対して行う。具体的には、起動アイコンS1が選択された場合にはTM処理部104に起動指示が送られる。起動アイコンS2が選択された場合にはマスストレージ処理部102に起動指示が送られる。起動アイコンS3が選択された場合には音楽プレーヤ処理部100に起動指示が送られる。以後、起動指示を受け取った処理部において特定動作が実行される(ステップ114)。
【0058】
このように、本実施形態では、携帯端末装置50に備わった複数の機能の検出が車載装置50側で行われ、検出された順番で各機能の存在を示す起動アイコンが機能選択画面に追加されるため、利用者はこの機能選択画面を用いることで、接続された携帯端末装置10に対応して実行可能な複数の機能の中からいずれかを選択することが可能となる。また、機能選択画面内の起動アイコンを選択するだけで、各起動アイコンに対応する車載装置50の特定動作を開始させることができ、操作の簡略化による操作性の向上が可能となる。
【0059】
また、携帯端末装置10に備わった複数の機能を検出する際に、優先順位が高い順に検出を行っており、優先順位が高い順に機能選択画面に起動アイコンが追加されるため、優先順位が高い機能を選択するまでの待ち時間を短縮することができる。また、優先順位設定部124を用いて利用者の指示に応じて優先順位を設定する場合には、利用者毎に起動アイコンの表示順番を設定することができ、利用者毎に利用を希望する機能に対応する特定動作を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0060】
また、対応する特定動作の起動時間が短い順に優先順位を高く設定する場合には、特定動作を開始するまでの待ち時間が最短となる機能の選択が可能となる。また、携帯端末装置10の前回の接続時に最後に実行された特定動作に対応する機能について優先順位を最も高く設定する場合には、前回実行していた機能を最先に選択可能とすることができ、利用者が同じ機能を選択する場合の使い勝手を向上させることができる。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、携帯端末装置10に備わった複数の機能を検出する際に優先順位が高い順に検出する動作手順を図3に示す流れ図で説明したが、携帯端末装置10が有するディスクリプタの内容に対応した順番で機能の検出を行うようにしてもよい。この場合には、図3に示すステップ108(優先順位が高い順に検出機能を決定)を、携帯端末装置10からディスクリプタの内容を取得し(全体ではなく必要部分のみでよい)、このディスクリプタの記述順に検出機能を決定するステップ108Aの動作に置き換えればよい。これにより、携帯端末装置10の仕様を反映させた順番で機能を検索することが可能となる。
【0062】
また、上述した実施形態では、車載装置50と携帯端末装置10の接続をUSBインタフェースを介して行う場合について説明したが、これらの間の接続は他の方法を用いるようにしてもよい。例えば、IEEE1394ケーブル等の他の有線接続手段を介して行う場合や、無線LANやブルートゥースなどの無線接続手段を介して行う場合が考えられる。また、これらの他の接続手段を用いた場合には、USBインタフェース部26、62を各接続手段に対応したインタフェース部に置き換えればよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、車載装置50に携帯端末装置10が接続される場合について説明したが、USBインタフェース(あるいは他の接続手段)を介して接続可能な他のUSBデバイスであって複数の機能を有する他の携帯端末装置についても本発明を適用することができる。例えば、電話機能を有しない携帯端末装置やタブレット型の携帯端末装置などの用いる場合が考えられる。また、情報処理装置として車載装置50を用いたが、車両以外に搭載あるいは設置される他の情報処理装置を用いる場合にも本発明を適用することができる。
【0064】
また、上述した実施形態では、起動アイコンが含まれる機能選択画面を表示するようにしたが、起動アイコンの代わりに起動対象の特定動作を示す文字列がリスト表示された機能選択画面を用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
上述したように、本発明によれば、携帯端末装置10に備わった複数の機能の検出が車載装置50側で行われ、検出された順番で各機能の存在を示す起動アイコンが機能選択画面に追加されるため、利用者はこの機能選択画面を用いることで、接続された携帯端末装置10に対応して実行可能な複数の機能の中からいずれかを選択することが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
10 携帯端末装置
50 車載装置
12、52 制御部
12A、100 音楽プレーヤ処理部
12B、102 マスストレージ処理部
12C、104 TM処理部
13A、53A 操作部
13B、53B タッチパネル
14、54 入力処理部
15、55 表示部
16、56 表示処理部
18 電話処理部
20 楽曲・映像データ記憶部
22、58 オーディオ処理部
23、59 増幅器
24、60 スピーカ
26、62 USBインタフェース部(USB I/F)
110 USB機能検出部
112 検出順番設定部
120 機能選択画面作成部
122 機能選択処理部
124 優先順位設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能が備わった携帯端末装置が接続可能であり、前記複数の機能に対応する特定動作を選択的に行う情報処理装置において、
前記携帯端末装置が接続されたときに、前記携帯端末装置に備わった複数の機能を所定の順番で検出する機能検出手段と、
前記機能検出手段によって一の機能が検出される毎に、この機能の存在を示す機能提示画像が追加される機能選択画面を作成する機能選択画面作成手段と、
前記機能選択画面を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記機能選択画面に含まれる一あるいは複数の前記機能提示画像の中から、利用者の指示に応じて一の前記機能提示画像を選択する機能選択処理手段と、
前記機能選択処理手段によって選択された前記機能提示画像に対応する前記特定動作を実行する機能実行手段と、
をさらに備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記複数の機能にはあらかじめ優先順位が設定されており、
前記機能検出手段によって前記複数の機能を検出する順番は、この優先順位が高い順であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
利用者の指示に応じて前記優先順位を設定する優先順位設定手段をさらに備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項3において、
対応する前記特定動作の起動時間が短い順に前記優先順位が高く設定されていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記携帯端末装置の前回の接続時に最後に実行された前記特定動作に対応する機能について前記優先順位が最も高く設定されていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1または2において、
前記携帯端末装置は、自装置が有する前記複数の機能を特定する機能特定情報を有しており、
前記機能検出手段は、前記機能特定情報に基づいた順番で前記複数の機能を検出することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記携帯端末装置が有線接続手段を介して接続されることを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記有線接続手段は、USBインタフェースを介した接続であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記携帯端末装置が無線接続手段を介して接続されることを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記無線接続手段は、無線LANあるいはブルートゥースを介した接続であることを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−84187(P2013−84187A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224791(P2011−224791)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】