説明

情報出力サービス提供システム、及び該システムを構成する携帯情報端末、出力装置、中継装置

【課題】当発明が解決しようとする主たる課題は、ユビキタス情報環境において、携帯電話をはじめとした携帯情報端末が保持する情報を、情報処理性能と出力性能の高い、設置型又は大型の出力装置においてソフトウェア処理し、出力することを可能とすることである。
【解決方法】本発明は、携帯情報端末が保持する対象情報を、近距離無線通信により他の出力装置(ディスプレイ装置、スピーカ装置等)に送信し、この情報を該出力装置上で動作するソフトウェアにおいて処理し、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールする該ソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報を、利用者の手元にある該携帯情報端末の備える操作入力手段を通じて操作、入力、又は加工することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
情報出力サービス提供システム、及び該システムを構成する携帯情報端末、出力装置、中継装置
【技術分野】
【0002】
本発明は、携帯情報端末が、物理的にまたは実質的に保持する情報を、近距離無線通信手段によって別の出力装置に送信し、該情報を該出力装置において出力するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
携帯情報端末の取り扱う情報を、近距離無線通信手段によって接続された他の装置において表示するための表示システムはこれまでにも考案されてきた。例えば、特許文献1において記載された表示システムを利用すれば、携帯情報端末で受信した電子メール等の情報を、わざわざ携帯電話を取り出さなくても、腕時計において確認することができるしくみを可能とするものである。しかしながら、このシステムでは、表示装置として腕時計のような小型装置が想定されていて、携帯情報端末の表示能力の限界を拡張する趣旨のものではない。また、外部表示装置に表示された情報の内容を携帯情報端末から操作することも想定されていない。
【0004】
携帯情報端末の取り扱う情報を、近距離無線通信手段によって接続された他の装置において表示するためのシステムであって、携帯情報端末の表示能力の限界を克服するために考案されたシステムの例としては、特許文献2に記載されたものが挙げられる。これは、携帯情報端末の出力情報を、ヘッド・セットに送信し、比較的精度の高い画像や音声を再生することのできるヘッド・セットにおいて視聴することを可能とするものである。しかしながら、ヘッド・セットは持ち歩くのが面倒であり、必要が生じたときに保持していなければ利用することができないというデメリットもある。また、ヘッド・セットはあくまでも個人的なツールであるため、例えば出力された情報を複数の人間で共有するためには特別な工夫が必要となる。さらに、取り扱う情報としては、画像や音声の再生が主な目的とされており、例えば携帯情報端末の保持するドキュメントを閲覧しながら編集する用途などを含めた、汎用的な用途に対応することが想定されたものではない。
【0005】
別の例としては、特許文献3に記載された表示装置が挙げられる。これは、TV電話機能を有する携帯電話機が、近距離無線通信手段によって接続された、該携帯電話機よりも高い表示能力を有する付属装置に対し、相手先から受信したTV電話信号を送信し、該付属装置においてこれを表示するというものである(クレームは特に通信品質の劣化時においても通話を維持する方法に焦点を当てている)。しかしながら、該表示装置は携帯情報端末の付属品として位置づけられており、設置型または大型の装置ではない以上、その表示能力の拡張性には限界がある。また、該表示装置は個人的な用途に用いられることが前提とされており、携帯情報端末の表示能力を拡張するための社会的インフラを拡充しようという発想に結びつくものではない。また、上記ヘッド・セットと同様に、持ち歩くのが面倒であり、また汎用的な用途に対応することが想定されたものではない。
【0006】
一方、パーソナル・コンピュータにおける出力情報を、近距離無線通信手段を通じて受信し、これを出力する手段を具備する、ワイヤレス・プロジェクタ等の外部出力装置も考案されている(例えば、特許文献4に記載されたもの)。これは、主に情報表示能力が極端に制限されているわけでもない、パーソナル・コンピュータの取り扱う出力情報を、出力情報の共有等を可能とするため、大画面に拡大して出力することが想定されたものである。これを、出力能力の制約が大きい携帯情報端末の取り扱う情報を出力するための目的において用いることも可能である。この方法を用いれば、携帯情報端末の表示能力を拡張した上で、かなり汎用的な用途において利用することが可能となる。しかしながら、この方法では、ディスプレイ用の出力信号を、携帯情報端末から、近距離無線通信手段を用いて、出力装置に送信しなければならない。送信しなければならない情報が大きいため、ワイヤレス・プロジェクタの高い表示能力に相応しい十分な通信速度を確保できる通信手段を実現しない限り、その表示能力を最大限に活用することはできない。また、一通りの情報処理を全て携帯情報端末において処理することが必要であるため、携帯情報端末の処理能力がシステムのボトルネックとなる可能性もある。
【0007】
また、携帯情報端末の取り扱う情報を、近距離無線通信手段によって接続された他の装置において表示するためのシステムであって、携帯情報端末の表示能力を拡張するための社会的インフラを拡充しようという発想に立ったものとしては、特許文献5に記載されたものを挙げることができる。このシステムでは、メールのように外部から受信した情報のうち、携帯情報端末で出力することのできない情報を携帯情報端末の「表示能力データ」に基づいて自動的に抽出し、これに関する情報を、より高い表示能力を有する他の表示装置に近距離無線通信手段を通じて送信し、この表示装置において携帯情報端末で表示することのできない情報を表示するというものである。表示装置において、利用に応じた課金を実施するための手段や、表示装置が携帯情報端末からの要求を受けて、必要な情報をメール・サーバから直接受信する手段なども考案されており、携帯情報端末の表示能力を拡張するための社会的インフラを拡充しようという発想が持たれていることが読み取れる。しかしながら、このシステムは、携帯情報端末が、メールなど外部から受信した情報のうち、携帯情報端末で取り扱うことのできない情報を自動的に抽出し、これを他の表示装置で確認することを目標としており、あらかじめ携帯情報端末が物理的にまたは実質的に保持する情報を表示することや、携帯情報端末で表示することも可能であるものの、より大きく表示したいニーズに応じて外部の表示装置で表示すること、利用者がそれらの情報を外部の表示装置で見ることを自分の意思で選択すること、などは想定されておらず、用途には制約があった。また、該出力装置の利用は、個人的な利用が前提とされており、例えば複数の携帯情報端末から受信した情報を同時に出力するなどの用途は想定されていない。また、表示された情報を携帯情報端末での操作によって編集するなどの用途は想定されていない。また、表示装置において直接何らかの操作を行うことが前提とされており、携帯情報端末のみを操作することによって情報を表示することは想定されておらず、表示装置を通じて目的とする情報を参照するためには手数を踏まなくてはならない。
【0008】
一方、携帯情報端末の取り扱う情報を、携帯情報端末の表示能力の限界を克服するために、近距離無線通信手段によって接続された他の装置において表示するためのシステムであって、該表示装置において表示された情報を、手元の携帯情報端末での操作を通じて、操作したり、編集したりするために考案されたシステムの例としては、特許文献6に記載されたものを挙げることができる。これは、携帯電話が具備する、少数のボタンを用いてアルファベットや五十音を入力するという入力手段を通じて、ダイヤル番号などの情報を入力することの不便さを解決することなどを目的として、携帯電話において生成した表示情報をテレビなどの外部表示装置に送信し、外部出力装置においてこれを表示するという解決が考案された。しかしながらこのシステムでは、携帯情報端末において表示情報を生成した上で、これを表示装置に送信するという解決が採用されているため、例えば赤外線を用いた情報送信手段では、あまり大きな情報をリアルタイムに表示装置に送信することができず、結局表示装置の表示能力を最大限に活用することができない恐れがある。また、基本的に表示情報を生成するための負荷を携帯情報端末が負うこととなるので、あまり負荷の高いアプリケーションをストレスなく動作させることができないという問題が残されている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−78965
【特許文献2】特開2002−57961
【特許文献3】特開2001−333163
【特許文献4】特開2003−229865
【特許文献5】特開2001−111607
【特許文献6】特開平9−237145
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
携帯電話をはじめとした携帯情報端末は、何処にでも持参し、様々なシチュエーションにおいて必要な情報へのアクセスを可能とする優れた装置である。しかしながら、携帯可能性を追求すればするほど、出力手段の制約が大きくなってしまうという欠点がある。携帯可能性を追求するには、装置の大きさ、重さ、消費電力を小さく抑えなければならないためである。例えば、携帯電話の情報を表示するためのディスプレイが小さく、多量の情報を一覧することを困難としてきた。また、高齢者等、小さな文字や図表の閲覧を苦手とする人の利用を妨げてきた。また、スピーカ機能に関しては、年々優れたものを備えた装置が開発されているものの、高音質の音声を発生させる性能や、多人数または大空間で音声をシェアする性能に関しては、大きな制約がある。さらに、携帯情報端末における情報処理性能はあまり高くないため、あまり負荷の高いソフトウェアを動作させることはできない。そうした状況があるため、出力情報を操作することや出力情報の内容に応じた操作をすることを困難としてきた。
【0011】
これに対し、本発明は以下の課題を解決するものである。第一に、携帯電話をはじめとした携帯情報端末が物理的に又は実質的に保持する対象情報を、他の出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)を通して出力し、手元にある該携帯情報端末の操作入力手段を通じて操作する手段を提供することにより、利用者が該対象情報を参照する際における該携帯情報端末の表示能力の限界を克服する。第二に、利用者が該出力装置を通じて出力される出力情報を参照しながら、手元にある該携帯情報端末の具備する操作入力手段を用いて、該対象情報を編集することを可能とする。第三に、該出力装置として、屋内外を問わず任意の場所に設置された又は大型の出力装置を用いることにより、該利用者が特別な出力装置を持ち歩かなくても、生活空間や社会インフラのなかに散在する様々な出力装置において、該対象情報の出力サービスの提供を受けることを可能とする。第四に、該携帯情報端末が物理的又は実質的に保持する情報を参照又は編集する際のソフトウェア処理に関わる主なタスクを該出力装置において処理することにより、該携帯情報端末の情報処理能力が上記プロセスのボトルネックにならないようにする。第五に、該携帯情報端末と該出力装置との間の近距離無線通信において、比較的容量の大きい場合が多い出力信号(直ぐに出力可能な状態に処理された信号)ではなく、比較的容量が小さい場合が多い対象情報(記号化や圧縮がなされた状態で保存されたデジタル・データ)をやり取りすることにより、該近距離無線通信の通信速度が上記プロセスのボトルネックにならないようにする。第六に、場合によっては、携帯情報端末が物理的に又は実質的に保持する対象情報を複数の人間が同時に参照し、情報を共有することを可能とする。
【0012】
通常、携帯情報端末の保持する情報を出力するには、携帯情報端末における操作に基づき、該携帯情報端末においてソフトウェア処理することにより得られた出力情報を、該携帯情報端末が具備する出力手段を用いて出力する(図1)。一方、該携帯情報端末の出力性能の問題を克服するために考案されてきた従来の技術は、携帯情報端末における操作に基づき、該携帯情報端末においてソフトウェア処理することにより得られた出力情報を外部出力装置に送信し、該出力信号を該出力装置が具備する出力手段によって出力するというものである(図2)。これに対し、本発明に記載されたシステムでは、携帯情報端末における操作に基づき、該携帯情報端末が保持する対象情報を外部出力装置に送信し、該対象情報を外部出力装置においてソフトウェア処理することにより得られた出力情報を、該出力装置が具備する出力手段によって出力する(図3)。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、携帯電話をはじめとした携帯情報端末が保持する情報を、他の出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)を通して出力し、手元にある該携帯情報端末の操作入力手段を通じて操作する手段を提供することにより、上記課題を解決する。
【0014】
請求項1に記載の発明は、相互に近距離通信可能な範囲に位置する、携帯情報端末と、設置型又は大型の出力装置とで構成されるシステムであって、該出力装置において、該携帯情報端末と近距離無線通信を確立する第一近距離無線通信手段と、情報を出力する情報出力手段と、該携帯情報端末から該第一近距離無線通信手段を通じて、情報出力サービスの提供を要求する要求信号を受信する要求信号受信処理と、該要求信号受信処理によって受信された該要求信号が正当なものであること、又は該要求信号の送り手が該情報出力サービスの提供を受けることを許可されたものであることのうち、少なくともいずれかを確認する要求信号認証処理と、該要求信号認証処理の要件が満たされた場合に、第一近距離無線通信手段を通じて、該携帯情報端末に、情報出力サービスの提供を許可するサービス提供許可信号を送信する許可信号送信処理と、情報出力サービス提供モードに移行する提供モード開始処理と、情報出力サービス提供モードにおいて、該携帯情報端末から第一近距離無線通信手段を通じて、該携帯情報端末が物理的又は実質的に保持する情報(以下、「対象情報」)を受信する対象情報受信処理と、該対象情報を出力するために用いるソフトウェアを動作させるソフトウェア処理と、ソフトウェア処理により得られた出力情報を、該情報出力手段を通じて出力する出力処理と、該携帯情報端末から第一近距離無線通信手段を通じて操作入力情報を受信し、該操作入力情報に基づき、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報のうち少なくともいずれかを操作、修正、又は加工する情報操作加工処理と、情報出力サービス提供モードの終了条件を満たしていることが判定された場合に、該情報出力サービス提供モードを終了させる終了処理とを実行する第一情報処理手段とを備え、該携帯情報端末において、該出力装置と近距離無線通信を確立する第二近距離無線通信手段と、該携帯情報端末が取り扱う情報を保持する情報記録手段と、該携帯情報端末が物理的に又は実質的に保持する情報を読み出す情報読出手段と、該携帯情報端末の利用者による操作又は入力を受け付ける操作入力手段と、情報出力サービスの提供を要求する要求信号を生成し、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する要求信号送信処理と、第二近距離無線通信手段を通じて、該サービス提供許可信号を受信する許可信号受信処理と、情報出力外注モードに移行する外注モード開始処理と、情報出力外注モードにおいて、該情報読出手段を通じて自身が物理的に又は実質的に保持する情報(対象情報)を読み出す対象情報読出処理と、該対象情報を第二近距離無線通信手段を通じて該出力装置に送信する対象情報送信処理と、該操作入力手段を通じて該携帯情報端末の利用者の操作又は入力により発生した操作入力情報を、第二近距離無線通信手段を通じて該出力装置に送信する操作入力情報送信処理と、該情報出力外注モードの終了条件を満たしていることが判定された場合に、該情報出力外注モードを終了させる外注モード終了処理とを実行する第二情報処理手段とを備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、出力装置の備える第一情報処理手段は情報操作加工処理を実行せず、該携帯情報端末の備える第二情報処理手段は操作入力情報送信処理を実行しないことを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、第一近距離無線通信手段と、情報出力手段と、第一情報処理手段と、ソフトウェア記録手段とを備える設置型又は大型の出力装置と、第二近距離無線通信手段と、情報記録手段と、情報読出手段と、操作入力手段と、第二情報処理手段とを備える携帯情報端末とで構成され、該出力装置と該携帯情報端末とが互いの近距離無線通信手段を通じて通信可能な範囲に位置するシステムであって、下記の手順によって、該携帯情報端末が物理的又は実質的に保持する情報を該出力装置において出力する、情報出力サービスを提供することを特徴とする。(イ)該携帯情報端末において、第二情報処理手段は、該情報出力サービスの提供を要求する要求信号を生成し、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する。(ロ)該出力装置において、第一情報処理手段は、第一近距離無線通信手段を通じて、該要求信号を受信する。(ハ)該出力装置において、第一情報処理手段は、該要求信号が正当なものであるかどうか、又は該要求信号の送り手が該情報出力サービスの提供を受けることを許可されたものであるかどうかのうち、少なくともいずれかを確認する。(ニ)該出力装置において、該要求信号が正当なものであること、又は該携帯情報端末が該情報出力サービスの提供を受けることを許可されたものであることのうち、少なくともいずれかが確認された場合には、第一情報処理手段は、第一近距離無線通信手段を通じて、該携帯情報端末に、該情報出力サービスの提供を許可するサービス提供許可信号を送信し、情報出力サービス提供モードに移行する。(ホ)該携帯情報端末において、第二情報処理手段は、第二近距離無線通信手段を通じて、該サービス提供許可信号を受信し、該情報出力サービスの提供を受ける出力外注モードに移行する。(ヘ)該携帯情報端末において、第二情報処理手段は、該情報読出手段を通じて、自身が物理的に又は実質的に保持する情報(以下、「対象情報」)を読み出し、該対象情報を、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する。(ト)該出力装置において、第一情報処理手段は、第一近距離無線通信手段を通じて、該対象情報を受信する。(チ)該出力装置において、第一情報処理手段は、該対象情報を出力するために用いるソフトウェアを動作させ、該情報出力手段を通じて、該対象情報を出力する。(リ)該携帯情報端末において、第二情報処理手段は、該携帯情報端末の利用者が、操作入力手段を通じて、該携帯情報端末を操作することにより発生した操作入力情報を、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する。(ヌ)該出力装置において、第一情報処理手段は、第一無線通信手段を通じて、該操作入力情報を受信し、該操作入力情報に基づき、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報を操作、修正、又は加工する(情報操作加工処理)。(ル)新たに、該携帯情報端末の利用者が、該操作入力手段を通じて該携帯情報端末を操作することにより操作入力情報が発生した場合には、必要に応じて(リ)〜(ヌ)を繰り返す。(ヲ)該携帯情報端末において、第二情報処理手段が、新たに、該対象情報を、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する場合には、必要に応じて(ヘ)〜(ル)を繰り返す。(ワ)次の(A)及び(B)のうち、少なくとも一つの手順を処理する。(A)該出力装置において、第一情報処理手段が、情報出力サービス提供モードの終了条件を満たしていることを判定した場合、第一情報処理手段は、該情報表示サービス提供モードを終了させ、必要に応じて、第一近距離無線通信手段を通じて、該情報出力サービスを終了させる終了信号を、該携帯情報端末に通知し、通知された該携帯情報端末において、第二情報処理手段は、該情報出力外注モードを終了させる。(B)該携帯情報端末において、第二情報処理手段が、情報出力外注モードの終了条件を満たしていることを判定した場合、第二情報処理手段は、該情報出力外注モードを終了させ、必要に応じて、第二近距離無線通信手段を通じて、該情報出力サービスを終了させる終了信号を、該出力装置に通知し、通知された該出力装置において、第一情報処理手段は、該情報表示サービス提供モードを終了させる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、該携帯情報端末の利用者が、該操作入力手段を通じて該携帯情報端末を操作することにより、該操作入力情報に基づき、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報を操作、修正、又は加工するプロセスを持たないことを特徴とする。
【0018】
請求項1〜4に記載された発明に関連し、図4は該携帯情報端末と該出力装置とを含むシステムの概要である(ただし、請求項2、4については、図中の「操作入力情報送信処理」と「情報操作加工処理」は実行されない)。図5は、携帯情報端末の状態遷移図である。ただし、(a)は請求項1、3に記載された携帯情報端末の状態遷移図を示し、(b)は請求項2、4に記載された携帯情報端末の状態遷移図を示す。図6は、出力装置の状態遷移図である。ただし、(a)は、請求項1、3に記載された出力装置の状態遷移図を示し、(b)は、請求項2、4に記載された出力装置の状態遷移図を示す。図7は、携帯情報端末と出力装置とその他関連装置との相互作用の例を示す。
【0019】
請求項5に記載の発明は、システムの構成要素として、さらに該携帯情報端末が実質的に保持する情報を記録するネットワーク上のヴァーチャル・ディスク・サーバを加え、該対象情報が該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて管理されている遠隔対象情報であり、該携帯情報端末において、さらに該ヴァーチャル・ディスク・サーバとネットワーク接続された基地局と無線通信する無線通信手段を備え、該情報読出手段は、該無線通信手段を通じて、ヴァーチャル・ディスク・サーバから、該携帯情報端末が実質的に保持する情報(遠隔対象情報)を読み出し、第二情報処理手段は、該遠隔対象情報を、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する処理を実行し、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて、該遠隔対象情報を記録する遠隔対象情報記録手段と、該携帯情報端末からの要求に応じて、該携帯情報端末の該情報読出手段に対して、該遠隔対象情報へのアクセス・サービスを提供するアクセス・サービス提供処理を実行する、第三情報処理手段とを備え、該出力装置において、第一情報処理手段は、該携帯情報端末から、第一近距離無線通信手段を通じて、該対象情報を受信する処理の代わりに、該遠隔対象情報を受信する処理を実行し、以下、受信した該遠隔対象情報を、受信した対象情報と同様に扱うことを特徴とする(図9)。
【0020】
請求項6に記載の発明は、該携帯情報端末が、該携帯情報端末がアクセスすることのできるネットワーク上の情報を指定し、該情報にアクセスするために必要な情報を該出力装置に送信し、該出力装置が直接ネットワーク上の該遠隔対象情報を参照することにより、該遠隔対象情報を獲得し、以下、これを対象情報と同様に扱うことを特徴とする。システムの構成要素として、さらに該携帯情報端末が実質的に保持する情報を記録するネットワーク上のヴァーチャル・ディスク・サーバを加え、該対象情報が該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて管理されている遠隔対象情報であり、該携帯情報端末において、さらに該ヴァーチャル・ディスク・サーバとネットワーク接続された基地局と無線通信する無線通信手段を備え、第二情報処理手段は、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に、該対象情報を送信する処理の代わりに、該ヴァーチャル・ディスク・サーバが管理する該遠隔対象情報にアクセスするために用いられる、遠隔対象情報アクセス情報を送信する処理を実行し、該出力装置において、さらに該ヴァーチャル・ディスク・サーバとネットワーク接続するネットワーク接続手段を備え、第一情報処理手段は、第一近距離無線通信手段を通じて、該対象情報を受信する処理の代わりに、該遠隔対象情報アクセス情報を受信し、該遠隔対象情報アクセス情報に基づき、該ネットワーク接続手段を通じて、該ヴァーチャル・ディスク・サーバに対して、該遠隔対象情報の送信を要求する送信要求情報を送信する処理と、該ネットワーク接続手段を通じて、該ヴァーチャル・ディスク・サーバから、該遠隔対象情報を受信する処理とを実行し、以下、受信した該遠隔対象情報を、受信した対象情報と同様に扱い、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて、該遠隔対象情報を記録する遠隔対象情報記録手段と、該出力装置から該送信要求情報を受信する処理と、該送信要求情報に基づき該遠隔対象情報記録手段から該遠隔対象情報を読み出す処理と、該送信要求情報に基づき該出力装置に対して該遠隔対象情報を送信する処理とを実行する、第三情報処理手段とを備える(図10)。
【0021】
請求項7に記載の発明は、該携帯情報端末が、該携帯情報端末がアクセスすることのできるネットワーク上の情報を該出力装置に送信するよう、ネットワーク接続された他の管理サーバに指示を出すことを特徴とする。システムの構成要素として、さらに該携帯情報端末が実質的に保持する情報を記録するネットワーク上のヴァーチャル・ディスク・サーバを加え、該対象情報が該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて管理されている遠隔対象情報であり、該携帯情報端末において、さらに該ヴァーチャル・ディスク・サーバとネットワーク接続された基地局と無線通信する無線通信手段を備え、第二情報処理手段は、第二近距離無線通信手段を通じて該出力装置に、該対象情報を送信する処理の代わりに、該無線通信手段を通じて該ヴァーチャル・ディスク・サーバに、該遠隔対象情報を該出力装置に送信するよう要求する送信要求情報を送信する処理を実行し、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて、該遠隔対象情報を記録する遠隔対象情報記録手段と、該携帯情報端末から該送信要求情報を受信する処理と、該送信要求情報に基づき、該遠隔対象情報記録手段から該遠隔対象情報を読み出す処理と、該出力装置に対して該遠隔対象情報を送信する処理とを実行する、第三情報処理手段とを備え、該出力装置において、さらに該ヴァーチャル・ディスク・サーバとネットワーク接続するネットワーク接続手段を備え、該第一情報処理手段は、該第一近距離無線通信手段を通じて、該対象情報を受信する処理の代わりに、該ネットワーク接続手段を通じて、該ヴァーチャル・ディスク・サーバから、該遠隔対象情報を受信する処理を実行し、以下、受信した該遠隔対象情報を、受信した対象情報と同様に扱う(図11)。
【0022】
請求項8に記載の発明は、当該出力装置が視覚的に情報を提示する機能を有するディスプレイ装置であることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明は、当該出力装置が音声情報を音波として出力する機能を有するスピーカ装置であることを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の発明は、当該出力装置が情報を紙等の媒体に印刷する機能を有するプリンタ装置であることを特徴とする。
【0025】
請求項11に記載の発明は、システムの構成要素として、さらに該出力装置とネットワーク接続された認証サーバを加え、該出力装置において、第一情報処理手段の実行する該要求信号認証処理が、該要求信号又は該要求信号に含まれる認証情報を、該認証サーバに送信し、該認証サーバから認証結果又は該認証結果に関連する情報を受信することにより実行され、該認証サーバにおいて、該出力装置から、該要求信号又は該要求信号に含まれる認証情報を受信する認証サーバ要求信号受信手段と、該認証サーバ要求信号受信手段によって受信された該要求信号又は該要求信号に含まれる認証情報を認証する要求信号認証手段と、該要求信号認証手段によって得られた認証結果又は該認証結果に関連する情報を該出力装置に送信する認証結果送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項12に記載の発明は、該携帯情報端末から該出力装置に提供される要求信号が、該携帯情報端末又はその利用者が契約しているサービスの内容を特定するサービス内容特定情報を含むものであり、該出力装置において、第一情報処理手段の実行する要求信号認証処理は、必要に応じて該サービス内容特定情報が正当なものであるかを判別し、該出力装置は該サービス内容特定情報の内容に応じた情報出力サービスを提供することを特徴とする。
【0027】
請求項13に記載の発明は、該出力装置において、該携帯情報端末から受信した該要求信号に応じて該対象情報を出力する度に、該携帯情報端末による該出力装置の利用状況に関する利用状況情報を、該携帯情報端末又はその利用者を特定することのできる識別情報と関連付けて記録し、又はネットワークを通じて他の装置に送信する利用状況記録送信手段を備えていることを特徴とする。
【0028】
請求項14に記載の発明は、該携帯情報端末において音声入力手段を備え、該携帯情報端末から該出力装置に送信される該操作入力情報が、該音声入力手段を通じて入力された音声情報、又は該音声情報に対してテキスト化若しくは記号化等の処理を施したものであることを特徴とする。
【0029】
請求項15に記載の発明は、利用者が、該出力装置、又は該携帯情報端末のうち、少なくとも一方から出力された物理的信号によって、選択対象を特定する情報を確認しながら、手元の携帯情報端末を操作することにより、対象情報を出力する出力装置を選ぶものである。該携帯情報端末が第二近距離無線通信手段によって通信可能な範囲に複数の出力装置が存在し、該出力装置又は該携帯情報端末のうち少なくともいずれかにおいて、利用者が出力装置を特定することのできる物理的信号を、該利用者の認識できる状態で発信する出力装置特定信号発信手段を備え、該携帯情報端末において、該利用者が、該出力装置特定信号発信手段によって発信された物理的信号に反応して、該対象情報を出力する出力装置を指定する情報を入力する出力装置指定情報入力手段を備え、該携帯情報端末は該出力装置指定情報入力手段によって指定された出力装置との間で第二近距離無線通信手段によって通信を確立し、該指定された出力装置から該情報出力サービスの提供を受けることを特徴とする。
【0030】
請求項16に記載の発明は、該出力装置に送信される該要求信号、該対象情報若しくは該遠隔対象情報、又は該操作入力情報のうち、少なくともいずれかが暗号化されたものであり、該出力装置において、さらに、該暗号化情報を復号化する復号化手段を備え、第一情報処理手段が、該情報出力サービス提供モードを終了させる終了処理を実行する際に、該対象情報、該遠隔対象情報、又は該対象情報若しくは該遠隔対象情報を操作、修正、若しくは加工することによって得られた情報のうち、少なくともいずれかを、消去する又は読み取り不能な状態とする対象情報消去処理を実行することを特徴とする。
【0031】
請求項17に記載の発明は、請求項1〜16のいずれかに記載されたシステムであって、該出力装置において、第一情報処理手段は、該情報操作加工処理によって操作、修正、又は加工された結果として得られた更新情報を、該携帯情報端末、又は該ヴァーチャル・ディスク・サーバのうち、少なくともいずれか(以下、「記録先」と記載)に送信する更新情報送信処理を実行し、該記録先において、該出力装置から送信された該更新情報を受信する更新情報受信手段と、該更新情報受信手段により受信された該更新情報を記録する更新情報記録手段とを備えたことを特徴とする。
【0032】
請求項18に記載の発明は、システムを構成する携帯情報端末が複数存在し、このいずれの携帯情報端末も、請求項1〜17のいずれかに記載された携帯情報端末の要件を満たすことを特徴とする(図12の(a)参照)。
【0033】
請求項19に記載の発明は、システムを構成する出力装置が複数存在し、このいずれの出力装置も、請求項1〜17のいずれかに記載された出力装置の要件を満たすことを特徴とする(図13の(a)参照)。
【0034】
請求項20に記載の発明は、システムを構成する携帯情報端末及び出力装置が複数存在し、このいずれの携帯情報端末も、請求項1〜17のいずれかに記載された携帯情報端末の要件を満たし、かつ、このいずれの出力装置も、請求項1〜17のいずれかに記載された出力装置の要件を満たすことを特徴とする(図14の(a)参照)。
【0035】
請求項21に記載の発明は、請求項1〜20のいずれかに記載された出力装置である。
【0036】
請求項22に記載の中継装置は、本発明に記載された出力装置の機能を十分に具備しない外部出力装置を用いて、本発明に記載された出力装置の機能を果たすための解決を提供するものである。出力手段及び出力情報入力端子(VGA入力端子、RGB入力端子、ビデオ信号入力端子、音声信号入力端子等)を備えた、設置型又は大型の外部出力装置に、該出力情報入力端子への接続を通じて出力情報を送信する出力情報送信手段と、請求項1〜20のいずれかに記載された携帯情報端末から、近距離無線通信手段を通じて対象情報を受信する対象情報受信手段と、該対象情報を処理し該出力情報を得るためのソフトウェアを動作させるソフトウェア動作手段とを具備することにより、該外部出力装置と協同して請求項21に記載された出力装置を実現する。設置型又は大型の外部出力装置は、一つだけあっても、複数あっても構わない。複数の設置型又は大型の外部出力装置と接続する場合には、複数の出力情報送信手段を装備し、該ソフトウェア等において複数の出力情報送信手段に提供する情報を制御するための処理手続きを実装する。
【0037】
請求項23に記載の発明は、請求項1〜20のいずれかに記載された携帯情報端末である。
【0038】
請求項24に記載の発明は、請求項23に記載されたものには該当しないことを除き該携帯情報端末と同等の機能を有する携帯情報端末がその機能を果たすために必要とし、その本体において本来具備する出力手段のうち、少なくとも一部を具備していないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
請求項1〜4に記載されたシステムは、以下のことを可能とする。第一に、携帯電話をはじめとした携帯情報端末が物理的に又は実質的に保持する対象情報を、他の出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)を通して出力し、手元にある該携帯情報端末の操作入力手段を通じて操作又は入力する手段を提供することにより、利用者が該対象情報を参照する際における該携帯情報端末の出力能力の限界を克服することを可能とする。第二に、該出力装置として、屋内外を問わず任意の場所に設置された又は大型の出力装置を用いることにより、該利用者が特別な出力装置を持ち歩かなくても、生活空間や社会インフラのなかに散在する様々な出力装置において、該対象情報の出力サービスの提供を受けることを可能とする。第三に、該携帯情報端末が物理的又は実質的に保持する情報を参照又は編集する際のソフトウェア処理に関わる主なタスクを該出力装置において処理することにより、該携帯情報端末の情報処理能力が上記プロセスのボトルネックにならないようにすることを可能とする。第四に、該携帯情報端末と該出力装置との間の近距離無線通信において、比較的容量の大きい場合が多い出力信号(直ぐに出力可能な状態に処理された信号)ではなく、比較的容量が小さい場合が多い対象情報(記号化や圧縮がなされた状態で保存されたデジタル・データ)をやり取りすることにより、該近距離無線通信の通信速度が上記プロセスのボトルネックにならないようにすることを可能とする。第五に、場合によっては、携帯情報端末が物理的に又は実質的に保持する対象情報を複数の人間が同時に参照し、情報を共有することを可能とする。さらに、請求項1及び3に記載されたシステムは、利用者が該出力装置を通じて出力される出力情報を参照しながら、手元にある該携帯情報端末の具備する操作入力手段を用いて、該対象情報を編集することを可能とする。
【0040】
請求項5〜7に記載されたシステムは、該携帯情報端末が実質的に保持する情報を記録するヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて記録されている遠隔対象情報を、出力の対象として取り扱うことを可能とする。携帯情報端末は、小型化及び軽量化の要請から、情報記録手段を有する設置型又は大型の装置との比較において、大量の情報を保持する記録手段を物理的に具備することができない。このとき、該携帯情報端末は、該携帯情報端末とネットワーク接続されたヴァーチャル・ディスク・サーバを利用することにより、該携帯情報端末が具備する記録手段において物理的に保持していない情報であっても、物理的には該ヴァーチャル・ディスク・サーバが具備する記録手段において記録されている情報を、実質的に保持し、上記の制約を克服することができる。特に、携帯情報端末によるブロードバンド通信の普及により、携帯情報端末によるヴァーチャル・ディスク・サーバの活用が、よりストレスなく実現される環境が整備されてきた。請求項5〜7に記載されたシステムは、該携帯情報端末が実質的に保持する情報を記録するヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて記録されている大量の遠隔対象情報を、出力の対象として取り扱うことを可能とする。また、情報技術の発展に伴い、個人が複数の情報端末を利用するケースが一般化してきた。このとき、個人は自身が利用する複数の情報端末において同じ情報を共有したいといったニーズを持つが、このニーズを満たすための有力な手段はヴァーチャル・ディスク・サーバを活用することである。これにより、個人は該ヴァーチャル・ディスク・サーバの具備する記録手段において物理的に保持されている情報を、自身の利用するパーソナル・コンピュータにおいても、携帯情報端末においても、その他の情報端末においても、実質的に保持することができ、これらの装置の具備する記録手段において物理的に保持されている情報と全く同じ感覚で利用することができる。請求項5〜7に記載されたシステムは、該携帯情報端末を含む複数の端末が実質的に保持する情報を記録するヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて記録されている遠隔対象情報を、出力の対象として取り扱うことを可能とする。
【0041】
さらに、請求項6〜7に記載されたシステムは、該携帯情報端末を含む複数の端末が実質的に保持する情報を記録するヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて記録されている遠隔対象情報を、該ヴァーチャル・ディスク・サーバと該出力装置とを接続するネットワークを通じて、該出力装置に直接送信することを可能とする。該出力装置は設置型(又は大型)の装置であり、光ファイバーなどの有線によるネットワーク接続手段を具備することが期待され、又該ヴァーチャル・ディスク・サーバも同様であることが期待されるため、該ヴァーチャル・ディスク・サーバと該出力装置とを接続するネットワークは高速通信が可能である場合が想定される。一方、該携帯情報端末と該ヴァーチャル・ディスク・サーバとの間の通信、及び該携帯情報端末と該出力装置との間の通信は、無線により実現されるものであり、上記ネットワークを通じた通信よりも通信速度が低いことが想定される。この場合、請求項5に記載されたシステムを用いて、携帯情報端末と該ヴァーチャル・ディスク・サーバとの間の通信、及び該携帯情報端末と該出力装置との間の通信を経て、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて保持されている遠隔対象情報を該出力装置に送信するよりも、請求項6〜7に記載されたシステムを用いて、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて保持されている遠隔対象情報を直接該出力装置に送信するしくみを利用することの方が、より短時間で必要な通信を処理することが可能となり、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて保持されている遠隔対象情報をより快適に出力することができると期待される。
【0042】
請求項8に記載されたシステムによれば、携帯情報端末の具備する、比較的表示能力の低いディスプレイでは取り扱うことのできない情報、又は取り扱いにくい情報を、比較的表示能力の高い外部のディスプレイ装置を用いて出力することにより、利用者は快適に閲覧、操作することができるようになる。
【0043】
請求項9に記載されたシステムによれば、携帯情報端末の具備する、比較的音声出力能力の低いスピーカでは取り扱うことのできない音声情報、取り扱いにくい音声情報、又は音質が維持できない音声情報を、比較的音声出力能力の高い外部のスピーカ装置を用いて出力することにより、利用者は快適に聴くことができるようになる。
【0044】
請求項10に記載されたシステムによれば、携帯情報端末の具備する、比較的表示能力の低いディスプレイや、印刷性能の低い簡易プリンタによる印刷では取り扱うことのできない情報、又は取り扱いにくい情報を、比較的印刷性能の高い外部のプリンタ装置を用いて出力することにより、利用者は目的とする情報を快適に閲覧することのできる印刷物を得ることができる。また、該プリンタとして、RFIDを印刷する機能及び該RFIDに情報を記録する機能を有するRFIDプリンタを用いれば、該携帯情報端末の保持する情報を、該RFIDプリンタにおいて、RFIDリーダによりデジタル情報として参照することのできる状態のまま、紙等の媒体に出力することができる。
【0045】
請求項1〜4に記載されたシステムを構成する該出力装置の具備する第一情報処理手段による要求信号認証処理は、該携帯情報端末から送信された要求信号又は該要求信号に含まれる認証情報を認証することにより、該出力装置の提供する情報出力サービスを、予め登録された会員又は特定の条件を満たす利用者のみに提供することを可能とするものであるが、請求項11に記載されたシステムは、特に、該出力装置とは別の認証サーバを活用することにより、様々な場所に設置された複数の出力装置が提供する情報出力サービスの認証を、該認証サーバにおいて集中管理することを可能とする。これにより、本発明に記載された情報出力サービスの事業展開を効果的に進めることが可能となると期待される。
【0046】
請求項12に記載されたシステムは、該出力装置は、該携帯情報端末に対し、該携帯情報端末又はその利用者が契約しているサービスの内容の範囲においてのみ、情報出力サービスを提供することを可能とする。とりわけ、該システムが請求項11に記載された認証サーバを備えていない場合や、何らかの理由で該認証サーバとのネットワークが切断されている場合においても、サービスの内容の範囲を特定することを可能とする。
【0047】
請求項13に記載されたシステムは、該携帯情報端末による該出力装置の利用状況に関する利用状況情報を記録することにより、該携帯情報端末毎に出力装置の利用状況に応じた課金を実施することを可能とする。
【0048】
請求項14に記載されたシステムは、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報を、操作、修正、又は加工するための入力を、該携帯情報端末が備えるマイクを通じ、音声にて入力することを可能とする。携帯電話など、携帯情報端末における操作や入力には、主として携帯情報端末に設置されたボタンが用いられる。しかし、携帯情報端末の備えることのできるボタンの数は、携帯性を重視する携帯情報端末の性質上、ある程度制限されざるを得ず、またボタン操作そのものを苦手とする人も多い。そのため、誰でも気軽に操作又は入力することや、複雑な操作又は入力を行うことが困難である場合も多い。一方、請求項14に記載されたシステムを用いることにより、該携帯情報端末のマイクを通じ、誰でも気軽に操作又は入力することや、複雑な操作又は入力を行うことが可能になると期待される。
【0049】
請求項15に記載されたシステムは、特に該携帯情報端末が第二近距離無線通信手段によって通信可能な範囲に複数の出力装置が存在する場合に、利用者が指定した出力装置において対象情報を出力することを可能とする。また、該携帯情報端末が第二近距離無線通信手段によって通信可能な範囲に唯一つの出力装置しか存在しない場合であっても(その場合であっても該利用者にとっては該範囲に唯一つの出力装置しか存在しないことが必ずしも保証されているとは限らないため、該利用者にとっては該範囲に複数の出力装置が存在する可能性が意識されるため)、対象情報を出力する出力装置を確認したうえで、出力することを可能とする。該携帯情報端末が第二近距離無線通信手段によって通信可能な範囲に複数の出力装置が存在し、対象情報を出力する出力装置が指定又は確認されない場合、以下のような問題が発生する。第一に、必要もないのに同時に複数の出力装置で出力されてしまう恐れがある。第二に、一人の利用者が複数の出力装置を占有することにより他の利用者が出力装置を利用できなくなる恐れがある。第三に、対象情報が意図しない出力装置で出力され、出力情報が確認しにくくなる恐れがある。第四に、意図しない出力装置で出力されることにより、対象情報が意図しない他者の目にさらされ、それにより利用者の秘密が脅かされる恐れがある。請求項15に記載されたシステムを用いることにより、これらの問題を回避することができる。
【0050】
請求項16に記載されたシステムは、本発明に記載の情報出力サービスを利用する際のセキュリティを高めることを可能とする。具体的には、以下の二つの効果が期待される。第一に、該出力装置に送信される情報が暗号化されたものであることにより、該出力装置に送信される情報が途中で傍受された場合であっても、第三者又は第三者の使用する任意の装置が傍受された情報を複合化することが困難な場合、この傍受が情報漏洩に直結するリスクを抑制することができる。第二に、利用者が該出力装置の利用を終了する際に、該出力装置において、該利用者の操作において取り扱われた全ての情報を消去する又は読み取り不能な状態とすることにより、該利用者の次に該出力装置を利用する第三者が該利用者の操作において取り扱われた情報を参照しようとしても、この情報が参照されることはなく、該利用者の情報の秘密が第三者に漏洩するリスクを抑制することができる。
【0051】
請求項17に記載されたシステムは、該携帯情報端末での操作を通じて、該出力装置において、対象情報(又は遠隔対象情報)を操作、修正、又は加工された結果得られた更新情報を、該携帯情報端末又は該携帯情報端末のアクセス可能なヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて保存することを可能とする。
【0052】
請求項18に記載されたシステムの効果としては、以下のものが挙げられる。第一に、複数の携帯情報端末の利用者に対し、各携帯情報端末が実質的に保持する対象情報を該出力装置の備える情報出力手段において出力する情報出力サービスを、時間、表示領域、表示角度等を区切った上で、同時に又は同一のシステムにおいて提供することができることである。第二に、複数の携帯情報端末の利用者に対し、各携帯情報端末が実質的に保持する対象情報を、該出力装置で動作する同一のソフトウェアにおいて表示し、各携帯情報端末の利用者が各携帯情報端末において入力する操作入力情報を通じて、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報に対する操作、加工、入力等の処理を行い、複数の利用者が該ソフトウェアにおいて実行されるプロセスを共有することを可能とする。例えば、請求項18に記載されたシステムの第四の実施例において記載されたように、複数の利用者が、該出力装置で動作する同一のソフトウェアを用いてゲームを楽しむこと等を可能とする。
【0053】
請求項19に記載されたシステムは、第一に、複数の出力装置を用いて、様々な情報(例えば、性質の異なる情報や種類の異なる情報)を同時に出力することを可能とする。例えば、聴衆の前で講演をする際に、複数の出力装置(聴衆に提示する大型ディスプレイ、聴衆に音声情報を聞かせるためのスピーカ、講演者のために準備されたテーブルに備えられた講演者用ディスプレイ等)を活用して、効果的なプレゼンテーションを実施することを可能とする。第二に、情報出力サービスの利用者が移動しながら該情報出力サービスの提供を受ける際に、該利用者に該情報出力サービスを提供する出力装置を切り換えながら、該利用者が連続的に該情報出力サービスの提供を受けることを可能とする。例えば、該出力情報が音楽情報であり、該出力装置が該音楽情報を再生するスピーカである場合、該情報出力サービスの利用者が歩行しながら、該利用者の歩行経路に配置された多数の出力装置のなかから、常に該利用者にとって最適なスピーカを通じて、音声出力サービスを連続的に提供することを可能とする。また、該出力装置として、情報出力の方向をコントロールする稼動部及び該稼動部の制御システムを具備したプロジェクタを用いる場合、該利用者は一定の角度で見下ろすことのできる自身の進む歩行路(又はその傍の壁面)に表示される対象情報を常に確認しながら移動することができるシステムを提供することを可能とする。
【0054】
請求項20に記載されたシステムは、携帯情報端末を利用する複数の利用者が、複数の出力装置を用いて、情報又は情報によって提供される情報出力サービスを共有することを可能とする。例えば、請求項20に記載されたシステムの第一の実施例は、携帯情報端末を利用し、会議又はディスカッションに参加する複数の利用者が、複数の出力装置を用いて情報を効果的に共有することを可能とする。また、請求項20に記載されたシステムの第二の実施例は、複数の利用者が同時に複数の出力装置を活用したゲームに参加してスコアを競うことを可能とする。
【0055】
請求項21に記載された出力装置は、いつでもどこへでも携帯することのできる携帯性能に優れている一方で、例えば大量の情報を一覧することが困難である等、情報出力性能に制約のある携帯情報端末が実質的に保持する情報を、設置型又は大型の出力装置であるがゆえに備えることのできる、より高性能の出力手段を用いて出力し、利用者が該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報に対する操作、加工、入力等の処理を行うことを可能とする。
【0056】
請求項22に記載された中継装置は、本発明に記載された出力装置の機能を実現するのに十分な第一近距離無線通信手段又は第一情報処理手段を具備しない外部出力装置を用いて、本発明に記載された出力装置の機能を果たす装置を実現することを可能とする。そのため、本発明に記載されたシステムを実現する際においても、既存の設置型又は大型の出力装置を、レガシー・システムとして、有効に活用することができる。一般に、設置型又は大型の出力装置は、携帯型又は小型の装置に比べ、導入のコストが高く、長期間使用することが想定されている場合が多く、このようなレガシー・システムを、新しい仕組みにおいても有効活用していくことの、経済的な利点は大きい。また、複数の設置型又は大型の外部出力装置を接続する場合には、複数の出力手段の同期をとりながら、効果的な情報出力サービスの提供が可能になると期待される。
【0057】
請求項23に記載された携帯情報端末は、いつでもどこへでも携帯することのできる携帯性能に優れている一方、例えば大量の情報を一覧することが困難である等、情報出力性能に制約のある携帯情報端末が実質的に保持する情報を、設置型又は大型であるがゆえに出力性能の高い出力装置の具備する出力手段を用いて出力し、利用者が該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された該対象情報に対する操作、入力、又は加工することを可能とする。
【0058】
請求項24に記載された携帯情報端末の効果は以下の通りである。何らかの機能を有する携帯情報端末が、該機能を果たすために外部の出力手段を活用とすることを前提とすれば、該機能を果たすために必要な出力手段を、該携帯情報端末がその本体において全て具備する必然性は失われる。請求項24に記載されたように、携帯情報端末の構造として、該出力手段の一部又は全てを本体において具備しない設計を採用することにより、携帯情報端末は、さらに小型化、軽量化、省電力化されることが可能となり、また製造コストを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0059】
請求項1〜4に記載されたシステムを構成する出力装置の実施例としては、光や音声による物理的信号を出力する出力装置と、印刷物等の実体を伴う出力物を出力する出力装置とが想定される。具体的には、ディスプレイ、スピーカ、プロジェクタ、テレビ、プリンタ、発光ダイオード、バイブレータ、出力装置を具備したコンピュータ等、対象情報を何らかの物理的方法で出力する手段を具備する、様々な、設置型又は大型の出力装置に、本発明で記載されたシステムを構成するために必要な手段を追加したものを挙げることができる。また、出力装置として、タッチパネル型ディスプレイに本発明で記載されたシステムを構成するために必要な手段を追加したものを用いる場合、該出力装置において出力される出力情報に対して、該携帯情報端末と該タッチパネルとの両方の操作入力手段において、操作入力を行うことを可能とすることができる。該出力装置の設置場所としては、街角、屋内など、様々な場所が想定される。
【0060】
請求項1〜4に記載されたシステムを構成する携帯情報端末の実施例としては、携帯電話、PDA、ノートパソコン、携帯型音楽プレイヤー、腕時計、携帯型ラジオ、携帯型テレビ、身体装着型の電子器具、身体内臓型の電子器具、操作入力手段付の記録装置(本発明に記載されたシステムにおいて利用することに特化することを想定した装置)等、様々な携帯情報端末に、本発明で記載されたシステムを構成するために必要な手段を追加したものを挙げることができる。
【0061】
請求項1〜4に記載されたシステムにおいて取り扱われる対象情報には、該携帯情報端末自身が保有する対象情報(該携帯情報端末が対象情報を物理的に保持する場合)と、該携帯情報端末が無線通信手段を通じてアクセス可能なネットワーク上の対象情報(遠隔対象情報)(該携帯情報端末が対象情報を実質的に保持する場合)と、が含まれる。このとき、該携帯情報端末が無線通信手段を通じてアクセス可能なネットワーク上の遠隔対象情報である場合の実施例は、請求項5〜7の実施例を参照するものとする。対象情報の形態としては、ドキュメント情報、プレゼンテーション情報、表情報、画像情報、音声情報、動画情報、状態保持情報(ゲーム等で用いる)、スケジュール情報、連絡先情報、さらにこれらの情報を組み合わせた複合情報等、少なくとも該出力装置において動作するソフトウェアによってそのままの状態で再生、閲覧又は編集等することのできるコンテンツ情報を含む、様々な形態の情報を取り扱うことが可能である。ただし、取り扱うことのできる対象情報の形態は、該出力装置によって出力可能なものでなくてはならないため、どのような出力装置を適用するかによって異なる。
【0062】
また、請求項1〜4に記載されたシステムにおいて、該携帯情報端末と該出力装置との間の通信を可能とする近距離ワイヤレス通信手段は、該携帯情報端末と該出力装置との間でケーブル接続を介さずに通信するための手段であり、これには、Bluetooth、赤外線、無線LAN、非接触ICタグ等、による通信手段が含まれる。該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報への、該携帯情報端末の利用者による操作、入力、編集等の操作は、全て該携帯情報端末の具備する操作入力手段を通じて入力することができる。ただし、これらの操作の一部又は全てを該出力装置に備えられた操作入力手段を通じて入力することを妨げるものではない(例えば、該出力装置にタッチパネル型ディスプレイを用いる場合は、該携帯情報端末の具備する操作入力手段を通じて入力することができる操作と同様の操作を該タッチパネル型ディスプレイの具備する操作入力手段を通じて入力することができるようにしておくことが期待される)。
【0063】
従って、請求項1〜4に記載されたシステムの実施例としては、これらの各要素を適当な形で組み合わせた様々なものを挙げることができる。
【0064】
また、対象情報の出力に用いるソフトウェアの実装形態としては、該出力装置において、対象情報の出力に用いるソフトウェアの選定を行う場合と、行わない場合とが考えられる。ソフトウェアの選定を行う場合には、次の形態が考えられる。該出力装置において、携帯情報端末からの受信が想定される情報形式の対象情報を出力するためのソフトウェアを予めインストールしておく。該出力装置は、受信した対象情報の形式に応じて、該対象情報を出力するのに必要なソフトウェアを選定し、これを用いて対象情報を出力する。例えば、マイクロソフト・ワード形式の対象情報を受信した場合にはマイクロソフト・ワードを用い、HTML形式の対象情報を受信した場合には、Webブラウザを用いるといった具合に、最適なソフトウェアを用いる。これらのソフトウェアは、該携帯情報端末からの要求信号を受信する前から予め立ち上げておいてもよいし、その都度立ち上げても構わない。実際の運用においては、使用頻度の高いものは予め立ち上げておいて、使用頻度の低いものはその都度立ち上げることが望ましいと考えられる。
【0065】
ソフトウェアの選定を行わない場合には、次の4つの形態が考えられる。第一は、いつも一定の対象情報出力用のソフトウェアを用いるようにするというものである。例えば、どのような情報形式の対象情報を受信しても、専用のブラウザを用いて出力し、出力できない対象情報の受信した場合には、出力できない旨のメッセージを出力するようにする。第二は、携帯情報端末から対象情報の出力に用いるソフトウェアを指定する指定情報を受信し、該指定情報において指定されたソフトウェアを用いて出力するというものである。第三は、対象情報の出力に用いるソフトウェアを、該携帯情報端末から、又は該携帯情報端末からの指示を受けた上でネットワーク通信可能な別の装置から、受信し、これを用いる場合である。該出力装置が該携帯情報端末から受信した対象情報を出力するソフトウェアを保持していない場合等において有効である。第四は、対象情報を表示するのに特別なソフトウェアを用いた情報処理が必要のない状態で対象情報を受信するというものである。具体的には、ディスプレイ用の信号を直接受信し、これを画一的に処理することにより、対象情報を表示するというものである。
【0066】
なお、上記第四の形態は、利用者にとって本発明に記載のシステムと同様の振る舞いをすることが少なくとも理論的には可能であるため、ここに列挙したが、主たるソフトウェア処理を実行するのが該携帯情報端末であるため、本発明の範囲には含まれない。例えば、従来技術の欄において記載されたワイヤレス・プロジェクタはこれに該当する。実装上は、該携帯情報端末と該出力装置との間の通信速度がボトルネックになる可能性が高く、他の形態と比較して、大きな制約を受けることになる可能性が高いという問題がある。その他の形態を用いる場合、即ち携帯情報端末の保持する対象情報をコントロールするために用いるソフトウェアの処理を、該出力装置にアウトソースする場合には、携帯情報端末の計算資源を節約することや、処理速度を早くすることが可能となる、といった利点を挙げることができる。これは、設置型の出力装置においては、携帯型の装置と比較して、小型化、軽量化、省電力化の要求が著しく低いため、低コストで、処理能力の高い情報処理リソースを配置することができるためである。
【0067】
以上のように、対象情報の表示に用いるソフトウェアの実装形態としては、様々なものが考えられるが、必ずしもこのいずれかである必要はなく、また上記形態のうちの複数のしくみを組み合わせたものを採用することも可能である。例えば、該出力装置において、まず対象情報を出力するためのソフトウェアの選定を試み、対象情報を出力するためのソフトウェアが見つかった場合にはこれを用い、見つからない場合には、対象情報の出力に用いるソフトウェアを、該携帯情報端末から、又は該携帯情報端末からの指示を受けた上でネットワーク通信可能な別の装置から、受信し、これを用いる方式に切り換えるといったように、柔軟な設計が適用されることが期待される。
【0068】
なお、該出力装置における情報出力サービス提供モードの終了条件の具体例としては、該携帯情報端末から終了信号を受信したこと、該携帯情報端末との通信が一定時間途絶えること、該携帯情報端末よりもプライオリティの高い携帯情報端末からの要求信号を受信すること、緊急事態が発生したことの通知を受信すること、等が考えられる。また、該携帯情報端末における情報出力外注モードの終了条件の具体例としては、該出力装置から終了信号を受信したこと、該出力装置との通信が一定時間途絶えること、該携帯情報端末の利用者から該情報出力外注モードを終了させる操作入力情報の入力が受け付けられたこと、等が考えられる。
【実施例2】
【0069】
ここで、本発明に記載されたシステムを用いて情報出力サービスを利用する一つの例として、該携帯情報端末において物理的に保持されるMSワード形式のドキュメントを、該出力装置に送信し、これを該出力装置において具備された出力手段を通じて出力し、該携帯情報端末において保持された操作入力手段を通じて、操作入力を行うというプロセスについて取り上げてみる。
【0070】
利用者は、自身が利用する携帯電話(該携帯情報端末)を操作し、該携帯電話と、該携帯電話の具備する近距離通信手段であるBluetoothを通じて近距離通信可能な領域にある外部ディスプレイ装置(該出力装置)に対して、該携帯電話の具備する情報を該外部ディスプレイ装置にて出力することを要求する要求信号を、該Bluetoothを通じて送信する。
【0071】
該外部ディスプレイ装置は、該外部ディスプレイ装置が具備する近距離通信手段であるBluetoothを通じて該要求信号を受信し、該要求信号が正当なものであるかどうかを確認する(例えば、該要求信号には、該携帯電話のID及びパスワードが含まれていて、該ID及びパスワードを、該外部ディスプレイ装置がアクセス可能なデータベースに保持されているID及びパスワードと照合し、同じものがあるかどうかを確認する)。該要求信号が正当なものであることが確認されれば、該外部ディスプレイ装置は、該携帯電話に対して、該Bluetoothを通じて、該外部ディスプレイ装置が該携帯電話に対して情報出力サービスの提供を許可する許可信号を送信し、該携帯電話に対する情報出力サービス提供モードに移行する。該携帯電話は、該外部ディスプレイ装置から、該Bluetoothを通じて、該許可信号を受信し、情報出力外注モードに移行する。
【0072】
次に利用者は、該携帯電話の具備する記録手段において保持される情報のなかから、該携帯電話の具備するディスプレイにおいて表示される、該記録手段におけるディレクトリ構造を確認しながら、該携帯電話の具備するボタンやダイヤル(操作入力手段)を操作して、目的とするMSワード形式のドキュメント(対象情報)を選択し、これを、該Bluetoothを通じて該外部ディスプレイ装置に送信する(このとき、該携帯電話がディスプレイを具備していない場合(又は具備していても該携帯電話での表示を好まない場合)は、該記録手段におけるディレクトリ構造に関する情報を、該Bluetoothを通じて外部ディスプレイ装置に送信し、これを外部ディスプレイ装置において確認することができる設計を用いることも可能である。その場合、該ディレクトリ構造における移動に関する情報処理は該携帯電話で処理し、またカレントディレクトリ等に関する情報は該携帯電話で特定し、該外部ディスプレイ装置にはこの処理の結果や特定の結果として得られた情報を送信し、該外部ディスプレイ装置はこれを表示する)。
【0073】
該外部ディスプレイ装置は、該Bluetoothを通じて該対象情報を受信し、該対象情報を開くのに相応しいソフトウェアとして、MSワードを立ち上げ、該MSワードを用いて該対象情報を開き、該外部ディスプレイ装置の具備するディスプレイ(該出力手段)を通じて、これを出力する。該利用者は、この内容を確認する。
【0074】
その際、該利用者は、該携帯電話の具備する操作入力手段を通じて、該対象情報又は出力内容に関する操作又は入力に関わる操作入力情報を入力し、該携帯情報端末は、該Bluetoothを通じて該操作入力情報を該外部ディスプレイ装置に送信し、該外部ディスプレイ装置は、該Bluetoothを通じて該操作入力情報を受信し、該操作入力情報に基づき、該外部ディスプレイ装置の具備するディスプレイに表示された表示内容、該表示内容をコントロールするソフトウェア(MSワード)、又は該外部ディスプレイ装置に送信された対象情報への操作、入力、編集等を実行する。このとき、該操作、入力、編集等の内容についての具体例としては、上下左右ボタンの操作による表示領域やカーソルの移動、文字入力ボタンの操作(又はマイクを通じた音声の入力)によるテキスト入力、メニューボタンと他のボタンを組み合わせた操作等による、文字やオブジェクトの消去、オブジェクトの追加、プロパティの変更、スタイルの変更、図形の描画、カット&ペースト、コピー、変換、挿入、保存等が挙げられ、該MSワードを通常使用する際に想定される一通りの処理を可能としておくことが想定される。複雑な処理を指定する場合には、該MSワードを通常使用する際と同様に、該外部ディスプレイ装置の具備するディスプレイにおいて表示されるメニューやガイダンスを確認しながら、処理内容を指定することができる。
【0075】
該対象情報を開くソフトウェアがMSワード以外のものである場合においても、該ソフトウェアを使用する際において本来想定されている処理が一通りできるようにしておくことが想定される。そのため、どのソフトウェアを使用する場合にも感覚的に操作入力することができるよう、統一された操作入力ルールを共有しておくことが望ましい。該利用者が該情報出力サービスの利用において目的とする作業が一通り終了したときに、該利用者は、該携帯情報端末において具備される操作入力手段を通じて、該情報出力サービスを終了させることを指示する終了信号を、該Bluetoothを通じて該外部ディスプレイ装置に送信する。該外部ディスプレイ装置は、該Bluetoothを通じて該終了信号を受信し、該終了信号に基づき該情報出力サービス提供モードを終了させる。
【0076】
また、該出力装置として、本発明に記載されたシステムを構成するために必要な手段を具備したカラオケデッキを適用する場合、該携帯情報端末において保持されるオリジナルの音楽情報を該カラオケデッキに転送し、該カラオケデッキにおいて再生することが可能となる。従来、携帯電話をカラオケデッキで再生するためのリモコンとして用いた技術が考案されている(例えば、特開2004−045495、特開2003−162286、特開2002−082679、特開2002−006868、特開2001−215977等、多数)。しかしながら、これらの技術では、該携帯情報端末から該カラオケデッキに、そのままの状態では再生することのできない楽曲IDのみを送信するものであり、目的の楽曲を再生するためには該楽曲IDを用いてデータベースを検索し、再生用の音楽情報をダウンロードしてくることが必要であり、例えば該携帯情報端末において保持されるオリジナルの音楽情報を再生することができないという制約があった。
【0077】
上記では、単純なドキュメント・ファイルを閲覧、編集する際のプロセスの例を示したが、他にも様々な用途で活用することが可能である。プレゼンテーション資料を閲覧する場合であれば、次のような用途が可能である。例えば、初対面の他人に自己紹介するとき、名刺交換だけでは伝えることのできない自分に関する詳細な情報を伝えたい場合、予め自己紹介用のスライドを携帯電話において保持し、最寄りの出力装置を探して(外食店内、販売店内、企業内、街頭等どこでも可)、この自己紹介用のスライドを使って、自分とはどういう人物であるかを紹介することができる。或いは、外出先で急にプロジェクト紹介をしなければならなくなったが、手持ちの紙ベースのプロジェクト案内ではうまく伝えることができないといった場合(又は情報管理上の都合により記録情報としては提供したくない場合)、プレゼンテーション用のノートパソコンをその場に持参していなくても、最寄りの出力装置を探し、いつも持ち歩いている携帯電話において保持しているプレゼンテーション資料を使ってプレゼンテーションをすることができる。また、スケジュール・データを閲覧、編集する場合には、携帯電話に備えられたディスプレイでは一覧することのできない月間スケジュールを、より表示能力の高い最寄りの出力装置を用いて閲覧、編集することができる。さらに、地図情報を参照する場合には、携帯電話に備えられた解像度の低いディスプレイでは、詳細を省略した簡易版の地図しか表示できないことに対し、本発明に記載されたシステムを用いれば、表示するのに高い解像度が要求される細かい文字や図画を含む地図情報を、より表示能力の高い最寄りの出力装置を用いて参照することができる。
【実施例3】
【0078】
請求項5に記載されたシステムにおけるヴァーチャル・ディスク・サーバの実施例は、情報サービス業者による携帯情報端末に対するストレージ・サービスを提供するもの(図8)、又は個人の利用するパーソナル・コンピュータであって、携帯情報端末からの要求に応じて、該ヴァーチャル・ディスク・サーバの具備する記録手段おいて保持する情報を読み出し該携帯情報端末に供給する機能と、該携帯情報端末から受信した情報を該記録手段に記録する機能とを有するもの、が挙げられる。いずれの場合であっても、請求項5に記載されたシステムを実現するために、該ヴァーチャル・ディスク・サーバは特別な追加手段を備えている必要はなく、該ヴァーチャル・ディスク・サーバに対するアクセスに関するコントロールは全て該携帯情報端末において処理する。
【実施例4】
【0079】
請求項6に記載されたシステムにおけるヴァーチャル・ディスク・サーバの第一の実施例は、情報サービス業者による、携帯情報端末に対するストレージ・サービスを提供する通常のヴァーチャル・ディスク・サーバの機能を有するものである。該ヴァーチャル・ディスク・サーバは、該ストレージ・サービスを提供する利用者に対し、アカウント名及びパスワードを発行し、該利用者の利用する端末からのアクセスにおける所定の手続きにより、該パスワードを変更する手段を提供する。このしくみを用いて、該携帯情報端末は、擬似的なワン・タイム・パスワードを実現する。
【0080】
該利用者が、請求項6に記載の出力装置による出力サービスを利用して、該ヴァーチャル・ディスク・サーバの保持する遠隔対象情報の出力の提供を受ける場合、該携帯情報端末は、該携帯情報端末の備える記録手段において保持する該ヴァーチャル・ディスク・サーバへアクセスするための情報(該ヴァーチャル・ディスク・サーバのアドレス、該利用者のアカウント名、該アカウント名に対するパスワード(以下、「元パスワード」))を利用して、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにアクセスし、該アカウント名に対するパスワードを、元パスワードから、一時パスワードに変更する。該一時パスワードは、該携帯情報端末において、乱数ジェネレータや偶然に基づく情報、利用者の操作に基づく情報等を用いて、発生させられたものを用いる。
【0081】
次に、該携帯情報端末は、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて保持される遠隔対象情報を引き出すために必要な情報(該ヴァーチャル・ディスク・サーバのアドレス、該利用者のアカウント名、該アカウント名に対する一時パスワード、該遠隔対象情報のファイル名等)を、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する。該出力装置は、第一近距離無線通信手段を通じて、該情報を受信し、該情報を用いて該ヴァーチャル・ディスク・サーバにアクセスし、該遠隔対象情報を引き出す。該出力装置は、該ヴァーチャル・ディスク・サーバから、該遠隔対象情報の受信を終えた旨を該携帯情報端末に通知する。該携帯情報端末は、該通知を受けると、再び該ヴァーチャル・ディスク・サーバにアクセスし、該携帯情報端末の備える記録手段において保持する該ヴァーチャル・ディスク・サーバへアクセスするための情報を利用して、該アカウント名に対するパスワードを、一時パスワードから、元パスワードに変更する。これにより、該携帯情報端末は、該出力装置に、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにアクセスするための元パスワードを通知することなく、該出力装置が、該ヴァーチャル・ディスク・サーバから、該遠隔対象情報を引き出すことを可能とする。なお、上記プロセスにおけるパスワードの変更に関わる中間処理は、該携帯情報端末及び該出力装置が備えるプログラムにおいて、自動的に処理するのであって、該利用者がわざわざ行うものではない。
【0082】
上記実施例においては、該出力装置が、該携帯情報端末からの要求により、該ヴァーチャル・ディスク・サーバから、該遠隔対象情報を引き出すプロセスについて記述したが、該出力装置が、該ヴァーチャル・ディスク・サーバに該遠隔対象情報を記録するプロセスにおいても同様の手順を経て実現することができる。また、上記実施例においては、該出力装置が、該携帯情報端末からの要求により、該ヴァーチャル・ディスク・サーバから、該遠隔対象情報を引き出す(又は記録する)一度のプロセス毎に、擬似的なワン・タイム・パスワードを設定することが想定されているが、該携帯情報端末からの要求に基づく該出力装置による一連の出力サービスが終了するまでの間、同じ一時パスワードを用いるという手順を取ることもできる。この場合、例えば、該出力サービスにおいて、終了処理が実行される際に、該一時パスワードを該元パスワードに変更するのに必要な手続きを取らせることにより実現することができる。また、いずれの場合であっても、該携帯情報端末と該出力装置との通信が途絶えるなどの事情により、不意に該出力サービスが終了される場合には、該出力装置においては即時該ヴァーチャル・ディスク・サーバへのアクセスを終了し、また該携帯情報端末において、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにアクセスし、該アカウント名に対するパスワードを、一時パスワードから、元パスワードに変更する手続きを取る。
【実施例5】
【0083】
請求項6に記載されたシステムにおけるヴァーチャル・ディスク・サーバの第二の実施例は、上記実施例では、ストレージ・サービスを提供する通常のヴァーチャル・ディスク・サーバを用いたものであることに対し、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて別段の機能を具備することができるケースにおいて実現可能な、次のようなものである。該ヴァーチャル・ディスク・サーバは、該アカウント名に対する元のパスワードを維持したまま、該アカウント名に対応する一時パスワードを発行し、又は該携帯情報端末からの要求により該アカウント名に対応する一時パスワードを設定し、又は該アカウント名に対応する一時的な一時アカウント名及び該一時アカウント名に対応する一時パスワードを発行し、これを該携帯情報端末に通知する。該携帯情報端末は、該出力装置に、該出力装置が該ヴァーチャル・ディスク・サーバから該遠隔対象情報を獲得するために必要な情報(該ヴァーチャル・ディスク・サーバのアドレス、該アカウント名(又は該一時アカウント名)、該一時パスワード、該遠隔対象情報のファイル名等)を送信し、該出力装置はこの情報を用いて該ヴァーチャル・ディスク・サーバから該遠隔対象情報を獲得する。
【0084】
該一時パスワード(及び該一時アカウント名)は、一時的に有効なものであり、この一時的である範囲としては、例えば、一度だけ有効であるケース、一定時間有効であるケース、又は回数による条件と時間による条件の組み合わせなどが想定される。また、該一時パスワード(及び該一時アカウント名)は、該携帯情報端末により指定された、該遠隔対象情報に対してアクセスする場合のみ有効であることとする等の利用制約が与えられたものであることも可能である。該出力装置は、該一時パスワード(及び該一時アカウント名)を獲得した場合であっても、これらの条件の範囲を超えて、該ヴァーチャル・ディスク・サーバにアクセスすることはできず、万が一、該出力装置において悪意のあるプログラムが保持されている場合であっても、該ヴァーチャル・ディスク・サーバに対して与えられる影響を最小限に留めることが可能となる。
【実施例6】
【0085】
請求項7に記載されたシステムの実施例は、情報サービス業者による、携帯情報端末に対するストレージ・サービスを提供する通常のヴァーチャル・ディスク・サーバの機能を有するものに、特別な機能を追加したものを用いた、下記の例である。ただし他の請求項の実施例に共通する部分の記載は省略する。携帯情報端末は、該携帯情報端末が該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて記録されている情報を参照する際に、通常送信しなければならない情報(該携帯情報端末のIDやパスワード、参照の対象となる情報を特定する情報を含む)に加え、該携帯情報端末が実質的に保有する情報を出力する出力装置を少なくとも特定できる情報(必要に応じて、該出力装置のアドレスを含み、該アドレスを含まない場合には、該情報と該アドレスとの対照テーブルを使用することで対処する場合も想定される)と、該出力装置から発行された情報(例えば、該出力装置が発行する、一時的に有効なアクセスキー)又は該携帯情報端末が発行する情報(例えば、該携帯情報端末が発行する、該携帯情報端末と該出力装置との間の一時的な通信を特定する、一時的に有効なアクセスキー)とを、該無線通信手段を通じて、該ヴァーチャル・ディスク・サーバに送信する。
【0086】
該ヴァーチャル・ディスク・サーバでは、これらの情報を受信し、該遠隔対象情報(上記、参照の対象となる情報)と、該出力装置から発行された情報、該携帯情報端末が発行する情報、又は該携帯情報端末を特定できる情報(該携帯情報端末のID)のうち少なくともいずれかとを、該出力装置に送信する。該出力装置では、これらの情報を受信し、受信した情報が、該出力装置が情報出力サービスを提供する該携帯情報端末からの要求による正当なものであることを確認した上で、該携帯情報端末からの依頼に基づく情報出力サービスを提供する。
【0087】
この正当なものであることの確認は、下記のように行う。該出力装置が、該出力装置から発行された情報を受信した場合、これを該出力装置が該携帯情報端末に対し近い過去に発行した情報として保持されているものと比較して、同一又は対照可能なものであるかを確認する。該出力装置が、該携帯情報端末が発行する情報を受信した場合、これを該携帯情報端末が近い過去に発行した情報として保持されているものと比較して、同一又は対照可能なものであるかを確認する(又は該出力装置は、これを該携帯情報端末に送信し、該携帯情報端末は、該携帯情報端末が近い過去に発行した情報として保持されているものと比較して、同一又は対照可能なものであるかを確認し、その結果を該出力装置に送信し、該出力装置はその内容を確認する)。該出力装置が、該携帯情報端末を特定できる情報を受信した場合、これが該出力装置が情報出力サービスを提供する該携帯情報端末と一致するかどうかを確認する。こうした確認をクリアした後に、該出力装置は、該携帯情報端末からの依頼に基づく情報出力サービスを提供する。以降の手続きは、他の請求項に記載の実施例に記載されたものと同様である。
【実施例7】
【0088】
請求項8に記載されたシステムにおけるディスプレイ装置の実施例は、請求項1〜7のいずれかに記載された、第一近距離無線通信手段と、第一情報処理手段とを備え、情報出力手段として、視覚的に情報を提示する機能を有するディスプレイを備えたパーソナル・コンピュータである。該ディスプレイとしては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマ・ディスプレイ、液晶プロジェクタ等、いずれのタイプのディスプレイも適用することができる。その他、請求項1〜7のいずれかに記載された、第一近距離無線通信手段と、情報出力手段と、第一情報処理手段とを備えたテレビ等、従来のパーソナル・コンピュータの枠組みに捉われず、様々なディスプレイ装置を適用することが可能である。
【実施例8】
【0089】
請求項9に記載されたシステムにおけるスピーカ装置の実施例は、請求項1〜7のいずれかに記載された、第一近距離無線通信手段と、第一情報処理手段とを備え、情報出力手段として、音声情報を音波として出力する機能を有するスピーカを備えたパーソナル・コンピュータである。また、該スピーカ装置の別の実施例として、本来の機能として、CD、MD、音楽カセット、音楽レコード、MP3音楽データ等を再生する機能を有するステレオ・プレイヤーであって、請求項1〜7のいずれかに記載された、第一近距離無線通信手段と、第一情報処理手段とを備え、該ステレオ・プレイヤーの備えるスピーカを該情報出力手段として適用したものを挙げることができる。また、該スピーカ装置の別の実施例として、電波を通じて送信された音声情報を再生する機能を有するラジオであって、請求項1〜7のいずれかに記載された、第一近距離無線通信手段と、第一情報処理手段とを備え、該ラジオの備えるスピーカを該情報出力手段として適用したものを挙げることができる。さらに、該出力装置が、設置型又は大型の装置であるという制約を除外した場合の応用において、該スピーカ装置として、他の利用者の携帯する携帯情報端末(携帯電話、MP3プレイヤー等)を利用する場合や、ヘッド・マウント・ディスプレイを適用する例が考えられる。
【実施例9】
【0090】
請求項10に記載されたシステムにおける出力装置の実施例は、請求項1〜7のいずれかに記載された、第一近距離無線通信手段と、情報出力手段と、第一情報処理手段とを備えたプリンタである。モノクロ・プリンタ、カラー・プリンタ、レーザー・プリンタ、インクジェット・プリンタ、感熱紙プリンタ、プリンタ複合機等の、いずれのタイプのプリンタであっても構わない。なお、この実施例では、プリンタが単体で該出力装置として機能する例を示したが、第一近距離無線通信手段と、第一情報処理手段とを備えるパーソナル・コンピュータと、該パーソナル・コンピュータと接続された、情報出力手段を備えるプリンタとで構成されるシステムを、請求項1〜7のいずれかに記載された出力装置として適用することもできる。また、プリンタとして、RFIDを印刷する機能及び該RFIDに情報を記録する機能を有するRFIDプリンタを適用することも可能であり、この場合、該携帯情報端末の送信する情報を、RFIDリーダによりデジタル情報として参照することのできる状態のまま、紙等の媒体に出力することができる。なお、これらの実施例における情報出力手段は、各プリンタが通常備えている印刷手段であると捉えるものとする。
【実施例10】
【0091】
請求項11に記載されたシステムの第一の実施例は、該出力装置は、該携帯情報端末から、該携帯情報端末又はその利用者を特定することのできる識別情報及び該識別情報に対するパスワード(以下、「識別情報等」と記載)を受信し、該識別情報等をネットワークを通じて認証サーバに送信し、認証サーバは該識別情報等が正当な利用者のものであるかどうかを、自身の管理する又はアクセス可能なデータベースを参照することにより判別し、正当な利用者である場合には、該利用者の契約するサービスの内容を示すサービス内容情報を該出力装置に送信し、該出力装置は該認証サーバから受信した該サービス内容情報に基づいて、該携帯情報端末の指定する対象情報を出力するかどうかを決定する、というものである。
【実施例11】
【0092】
請求項11に記載されたシステムの第二の実施例は、出力装置が該認証サーバに該識別情報等を送信する際に、該出力装置を特定する情報、該出力装置が属する分類を示す情報、又は外出力装置が提供するサービスを示す情報のうち、少なくともいずれかを併せて送信し、サーバはそれらの情報に基づいて、該携帯情報端末が該出力装置を出力手段として利用することを許可されているかどうか、又は許可されているサービスの内容を、自身の管理する又はアクセス可能なデータベースを参照することにより判別し、この判別の内容を示す許可内容情報を該出力装置に送信し、該出力装置は該許可内容情報に基づいて、該携帯情報端末の指定する対象情報を出力するかどうかを決定する、というものである。
【実施例12】
【0093】
請求項12に記載されたシステムの実施例は、該出力装置が、該携帯情報端末から、該携帯情報端末又はその利用者が契約しているサービスの内容を特定するサービス内容特定情報を含む要求信号を受信し、第一情報処理手段の実行する要求信号認証処理において該サービス内容特定情報が正当なものであるかを判別し、該サービス内容特定情報が正当なものである場合には、該出力装置は該サービス内容特定情報の範囲において、該携帯情報端末に情報出力サービスを提供するというものである。ただし、該サービス内容特定情報は、該要求信号認証処理において認証可能な状態に加工しておくことが期待される。
【実施例13】
【0094】
請求項13に記載されたシステムの実施例は、該出力装置は、該携帯情報端末からの要求を受け該対象情報を出力する毎に、該携帯情報端末(又は該利用者)による該出力装置の利用状況に関する利用状況情報を、該当する携帯情報端末又はその利用者を特定することのできる識別情報と関連付けて、ネットワークを通じて課金サーバに送信し、該課金サーバは該出力装置から受信した情報を記録し、定期的に集計するというものである。該携帯情報端末による該出力装置の利用状況に関する利用状況情報の例としては、該携帯情報端末からの支配を受けた(該携帯情報端末に対して情報出力サービスを提供した)時間、回数、又はその間に取り扱った情報量、情報内容の特性を示す情報等が挙げられる。これにより、該携帯情報端末毎又は該利用者毎に出力装置の利用状況に応じた課金を実施することが可能となる。
【実施例14】
【0095】
請求項14に記載されたシステムにおける音声入力に関わるプロセスの第一の実施例は、該携帯情報端末が、該携帯情報端末の備えるマイクを通じて入力された音声情報を、音声情報形式のまま、操作入力情報として該出力装置に送信するものである。この場合、該携帯情報端末と該出力装置との間の通信容量が大きくなるが、該音声情報に対するテキスト化、記号化等の処理を設置型の該出力装置が担当することにより、処理速度の向上や高性能化等が期待される。該出力装置において処理された操作入力情報は、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報を、操作、入力、又は加工するために用いられる。
【実施例15】
【0096】
請求項14に記載されたシステムにおける音声入力に関わるプロセスの第二の実施例は、該携帯情報端末が、該携帯情報端末の備えるマイクを通じて入力された音声情報を、テキスト化若しくは記号化等の処理を施した状態で、操作入力情報として該出力装置に送信するものである。この場合、携帯情報端末における計算負荷が大きくなり、処理速度や性能、消費電力などの面で制約が発生する可能性もあるが、携帯情報端末と出力装置との間の通信容量の圧縮が期待される。該出力装置において受信された操作入力情報は、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報を、操作、入力、又は加工するために用いられる。
【実施例16】
【0097】
請求項15に記載されたシステムにおいて出力装置を選択するプロセスに関わる第一の実施例は、該携帯情報端末が第二近距離無線通信手段によって通信可能な範囲に存在する複数の出力装置について、利用者が出力装置を特定することのできる情報を、該携帯情報端末の備えるディスプレイにおいて、一覧形式で提示し、該利用者は該携帯情報端末の備える入力手段を通じて、該一覧形式で提示されたなかから一つの(又は複数の)出力装置を選択し、該携帯情報端末はこれによって選択された出力装置との間で通信を確立し、該対象情報を出力する当該情報出力サービスを受けるというものである。該携帯情報端末は、その時点で第二近距離無線通信手段によって通信可能な全ての出力装置から、これらの出力装置を識別するために必要な情報を、第二近距離無線通信手段を通じて収集し、この一覧を提示する。ただし、該利用者に対しては、これらの出力装置の識別情報をそのままの状態で提示するのではなく、該利用者がわかりやすいように、ニックネームや機種名にて提示することが期待される。そのためには、これらの出力装置は自らの識別情報と併せてニックネームや機種名等の情報を保持し、該携帯情報端末に提供することが必要となる。
【実施例17】
【0098】
請求項15に記載されたシステムにおいて出力装置を選択するプロセスに関わる第二の実施例は、該携帯情報端末が第二近距離無線通信手段によって通信可能な範囲に存在する複数の出力装置について、利用者が出力装置を特定することのできる情報を、出力装置において該利用者が認識することのできる物理的信号(音声情報、視覚情報等)として発信し、該利用者は該携帯情報端末の備える入力手段を通じて、該対象情報を出力する出力装置を指定する情報を入力し、該携帯情報端末はこれによって選択された出力装置と通信を確立し、該対象情報の出力を実行するというものである。例えば、利用者が該携帯情報端末における操作を通じて、該携帯情報端末が第二近距離無線通信手段によって通信可能な範囲に存在する複数の出力装置のいずれかにおいて当該情報出力サービスを利用する希望を表明する情報を発信すると、各出力装置は同期を取りながら、適当な順(例えば、利用頻度が高い順番、有用性が高いと評価された順番、利用料金の低い順番、該携帯情報端末との近距離通信の安定性が高いと期待される順番、ランダムな順番等が考えられる)に、該利用者が認識することのできる光又は音声を発信し、利用者は目的とする出力装置から光又は音声が発信されている最中に、該携帯情報端末において選択操作を行うと、該出力装置が、該対象情報を出力する出力装置として選択されるというものが考えられる。
【実施例18】
【0099】
請求項16に記載されたシステムにおける暗号化及び復号化に関する機構の実施例は、該携帯情報端末から該出力装置に送信される該要求信号、該対象情報、及び該操作入力情報が全て暗号化されたものであり、該携帯情報端末において、第二情報処理手段が、該出力装置に送信する該要求信号、該対象情報、及び該操作入力情報を暗号化する暗号化処理を実行し、該出力装置において、第一情報処理手段が、該携帯情報端末から受信した該要求信号、該対象情報、及び該操作入力情報を復号化する復号化処理を実行するというものである。
【0100】
該暗号化処理及び該復号化処理には公開キー暗号化アルゴリズムを用いる。該出力装置においては、ユニークな秘密キー及び該秘密キーに対応する公開キーを保持し、該携帯情報端末との通信を開始する際には、最初に該公開キーを該携帯情報端末に送信する。該携帯情報端末では、該公開キーを最初に受信し、該公開キーを用いて、該出力装置に送信する、該要求信号、該対象情報、及び該操作入力情報を暗号化する。該出力装置では、該携帯情報端末から、該公開キーを用いて暗号化された該要求信号、該対象情報、及び該操作入力情報を受信し、該秘密キーを用いてこれらの情報を復号化する。これにより、該携帯情報端末と該出力装置との間の通信が傍受された場合においても、該要求信号、該対象情報、及び該操作入力情報の内容が漏洩するリスクを抑制することができる。
【0101】
なお、この実施例においては、該出力装置と該携帯情報端末との間の通信における、暗号化及び複号化のメカニズムの例を示したが、該出力装置と該ヴァーチャル・ディスク・サーバとの間の通信においても、公開キー暗号化アルゴリズムを用いた同様のシステムを適用することができる。
【0102】
また、該出力装置において、操作、入力、又は加工等により新たに発生した情報を、該携帯情報端末又は該ヴァーチャル・ディスク・サーバに記録するプロセスにおいても、同様に暗号化及び複号化の手続きを経ることができる(その場合、情報の受信側である該携帯情報端末又は該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて、ユニークな秘密キーを及び該秘密キーに対応する公開キーを保持し、該出力装置は予め該公開キーを受信し、該公開キーを用いて該情報を暗号化したうえでこれを送信し、該携帯情報端末又は該ヴァーチャル・ディスク・サーバはこれを受信し、必要に応じて該秘密キーを用いて復号化した後に記録する)。
【0103】
請求項16に記載されたシステムにおける対象情報削除処理機構の実施例は、該出力装置において、第一情報処理手段が該情報出力サービス提供モードを終了させる終了処理を実行する際に、該対象情報、及び該対象情報を操作、修正、若しくは加工することによって得られた情報を、全て消去する対象情報消去処理を実行するものである。これにより、該利用者の次に該出力装置を利用する第三者が該利用者の操作において取り扱われた情報を参照しようとしても、この情報が参照されることはなく、該利用者の情報の秘密が第三者に漏洩するリスクを抑制することができる。
【0104】
ただし、該携帯情報端末と該出力装置との間の近距離通信がノイズにより妨げられることにより該情報出力サービス提供モードが終了された際等において、該利用者がすぐに該情報出力サービス提供モードを再開したい場合が想定される。この場合、該出力装置が新たに該対象情報を受信する手順を経れば時間がかかるため、該情報出力サービス提供モードをすぐに再開することを可能とするために、該出力装置は該対象情報を一定時間保持する仕様を用いることも可能である。その際には、該一定時間が経過した時点で該対象情報等を消去し、この消去が完了するまでは、第三者による該出力装置の利用が許可されないしくみとするなど、十分なセキュリティが確保されるための措置を講ずることが期待される。
【0105】
なお、請求項16に記載されたシステムでは、該出力装置に送信される情報を暗号化することによりセキュリティを高めるメカニズムと、該出力装置において利用が終了した情報を消去することによりセキュリティを高めるメカニズムとの両方が実装されている。請求項16に記載されたシステムには該当しないものの、どちらか一方のメカニズムを実装したものを採用することも当然考えられる。ただし、十分なセキュリティを確保するためには、この両方のメカニズムが実装されていることが望ましいと考えられる。
【実施例19】
【0106】
請求項17に記載されたシステムにおける更新情報の保存に関する機構の実施例は、該携帯情報端末が該携帯情報端末の具備する情報記録手段から読み出した対象情報を該出力装置に送信し、該出力装置は該携帯情報端末から受信した該対象情報を該情報出力手段において出力し、利用者は該出力装置において出力された情報を確認しながら該携帯情報端末の操作入力手段を通じて該対象情報に対する操作、修正、又は加工を行うことを意図する操作入力情報を入力し、該携帯情報端末は該操作入力情報を該出力装置に送信し、該出力装置は該携帯情報端末から受信した該操作入力情報に基づき該対象情報に対する操作、修正、又は加工を実行し、該出力装置は、該出力装置の第一情報処理手段が終了処理を実行する場合、該対象情報に対する操作、修正、又は加工が実行されてから一定時間が経過した場合、及び該携帯情報端末において利用者が更新情報の保存を意図する操作が行われた場合において、該対象情報に対する操作、修正、又は加工の結果得られた更新情報を、該携帯情報端末に送信し、該携帯情報端末は該出力装置から送信された更新情報を該携帯情報端末の具備する記録手段に記録するというものである。
【0107】
このとき、請求項16に記載されたメカニズムにより該携帯情報端末から該出力装置に送信される各種情報を暗号化しておくのと同様に、該出力装置から該携帯情報端末に送信される情報を暗号化しておくことが期待される。この場合、暗号化のメカニズムは、請求項16の記載における該出力装置と該携帯情報端末を入れ替えたものを用いることが可能であり、即ち、該出力装置は、該携帯情報端末のみが保持するユニークな秘密キーに対応する公開キーを予め該携帯情報端末から受信し、該更新情報を該公開キーで暗号化した後に該携帯情報端末に送信し、該携帯情報端末はこれを受信し、該秘密キーで復号化した上で、該記録装置に記録するというものである。
【0108】
なお、本実施例においては、該更新情報を該携帯情報端末において記録する例を示したが、同様に該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて保存することも可能である。さらに、本実施例では、該更新情報を該対象情報の読み出し元において記録する例を示したが、逆に、利用者の指定により、該携帯情報から送信された対象情報を操作、修正、又は加工することにより得られた更新情報を該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて保存することや、該ヴァーチャル・ディスク・サーバから送信された遠隔対象情報を操作、修正、又は加工することにより得られた更新情報を該携帯情報端末において保存することが可能なしくみを構築することも可能である。
【0109】
さらに、該出力装置と該携帯情報端末の間の近距離通信が不意に切断されることにより、該情報出力サービス提供モードを終了させる終了処理が実行される場合のバックアップ機構として、不意の終了処理が実行された際に、該携帯情報端末から送信された対象情報を操作、修正、又は加工することにより得られた更新情報を自動的に該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて保存するしくみや、該携帯情報から送信された対象情報を操作、修正、又は加工することにより得られた更新情報を、該携帯情報端末から予め獲得しておいた該公開キーを用いて暗号化した状態で一定期間保持し、該携帯情報端末との通信が再び可能となった場合に、該携帯情報端末がこの暗号化された状態の更新情報を受信し、これを該秘密キーにより復号化した上で、これを保存することや再度出力装置に送信して情報出力サービスの提供を受けることを可能とするしくみを構築することも可能である。
【実施例20】
【0110】
請求項18に記載されたシステムの第一の実施例は、一つの出力装置が、複数の携帯情報端末に対し、情報出力サービスを提供するシステムであって、時間帯を区切りながら、各時間帯において、それぞれ一つの携帯情報端末に対してのみ情報出力サービスを提供する、というものである(図12の(b)参照)。具体例としては、各携帯情報端末に対し、静止画像を対象とした情報出力サービスを提供する出力装置であって、該出力装置は、各携帯情報端末から当該情報出力サービスにおいて出力の対象となる静止画像と該静止画像を出力することを要求する要求信号とを受け付け、受け付けた順に該要求信号を該出力装置におけるメモリ上のキュー(列)に並ばせ、順番が来た要求信号から順に該要求信号において出力を要求された静止画像を出力する情報出力サービスを提供し、出力することを要求された静止画面を一定時間表示したあと、該要求信号に基づく情報出力サービスを終了させ、次に順番が来た要求信号に関する同様の処理を行い、以下に順番の来る要求信号についても同様の処理を行う、というものが挙げられる。
【0111】
順番が来た要求信号を送信した携帯情報端末において、順番が来たことを知らせるアラームを機能させることもできる。その場合には、該出力装置が該携帯情報端末に順番が来た時点(或いはその少し前の時点)でその旨を伝達する情報を送信する方法や、該出力装置が該携帯情報端末に対して待ち時間を予め送信しておく方法等が可能である。
【0112】
例えば、多品種の金融商品の取引を支援するために提供される空間において、各利用者は、金融商品に関する情報を閲覧したいが、これが該携帯情報端末の出力手段では閲覧することのできない詳細なものであり、また利用可能な出力装置は複数の利用者あたりに一台しか準備されていない一方で、大量の金融商品に関する情報のなかから、利用者によって関心のあるものが全く異なるという状況に対する解決策として活用するといったケースにおいて有効である。また、多種類の勝馬投票券を取り扱う競馬において、多数の組み合わせのなかから、各利用者がそのうちのごく一部のオッズ(概算払い戻し率)のみを確認したいという状況に対する解決策として活用する場合も同様である。
【実施例21】
【0113】
請求項18に記載されたシステムの第二の実施例は、一つの出力装置が、複数の携帯情報端末に対し、情報出力サービスを提供するシステムであって、表示エリアを区切り、各表示エリアにおいて、それぞれ一つの携帯情報端末に対し、情報出力サービスを提供する、というものである(図12の(c)参照)。具体例としては、該出力装置において、該出力装置の出力手段であるディスプレイ部分の表示エリアを複数に分割し、分割された各表示エリアにおいて、それぞれ異なる携帯情報端末から出力情報を受け付け、必要に応じてこれらの出力情報を一つのディスプレイで表示することが可能な出力信号に合成した上で、該ディスプレイ部分に表示する機能を有する、大型ディスプレイ装置が挙げられる。
【実施例22】
【0114】
請求項18に記載されたシステムの、第二の実施例が平面的な表示エリアを単純に切り分けて区分したものであることに対し、第三の実施例は、ディスプレイを覗き込む角度によって覗き込む者に対して表示する情報を変えることのできるディスプレイ装置において、情報を出力する方向(角度)によって、表示エリアを切り分け、各方向に対して異なる出力情報を表示するというものである。
【0115】
この場合には、該ディスプレイ装置から情報出力サービスの提供を受ける各携帯情報端末の、該ディスプレイ装置に対する位置或いは角度を高精度に特定する必要がある。その方法としては、携帯情報端末と一体として存在するRFIDの位置を、該ディスプレイ装置の周囲の空間に配置されたRFIDセンサを用いて特定する方法や、赤外線によって各携帯情報端末から送信される信号を受信する場合にその入射角度を測定する方法、指向性の高い赤外線モジュールを用いてそれぞれの方向に異なる情報を埋め込んだ信号を発信し、赤外線センサによる情報受信手段を備えた該携帯情報端末がどの情報を埋め込んだ信号に反応したかを確認することによって該携帯情報端末の存在する方向を確認する方法などを用いることができる。
【0116】
さらに、該携帯情報端末の存在する方向を特定する手段を、異なる位置に複数配置することによって、該携帯情報端末の位置を特定することができるため、その位置関係に応じた情報提供を行うことができる。位置関係に応じた情報提供としては、例えば、遠くにある携帯情報端末を利用する利用者のために情報を提示する場合には、文字等の表示を大きくしたうえで情報提供を行うことなどが可能である。
【実施例23】
【0117】
請求項18に記載されたシステムの、第一、第二、第三の実施例は複数の携帯情報端末から送信される対象情報を、表示領域又は表示時間帯を切り分けることにより、それぞれ独立して表示するものであることに対し、第四の実施例は、複数の携帯情報端末から送信される対象情報を、共有された同じ表示領域及び同じ時間帯において、同一のソフトウェアを用いて同時に表示するというものである。具体例としては、複数の携帯情報端末から送信される対象情報を、ディスプレイを備えた出力装置において、同一のゲームソフトを用いて、同時に表示し、該出力装置から出力される視覚的情報と、各携帯情報端末における操作入力手段とを用いて、各携帯情報端末の利用者が同じゲームに参加することのできるしくみを考案することができる。例えば、電車の中に、それぞれ携帯情報端末を所持する複数の個人が、それぞれの所持する携帯情報端末を用いて同時に楽しむことのできるゲームに関する情報を出力する出力装置を備えた車両を準備する。
【0118】
ここで、該ゲームソフトがカード・ゲーム(例えば、トランプの「神経衰弱」ゲーム、かるたゲーム等)である場合を考えてみる。該カード・ゲームに参加する最初の利用者は、自身の所持する携帯情報端末を操作し、該カード・ゲームのソフトウェア及びこれに対応するソフトウェア(該カード・ゲームに参加するための、プレイヤー情報を作成、編集等するためのソフトウェア等)においてのみ参照又は編集することのできる、該携帯情報端末が実質的に保持する対象情報を、該出力装置に送信する。該出力装置は、該対象情報を受信し、該対象情報を参照又は編集するために用いられる、該カード・ゲームのソフトウェアを起動し、該対象情報を元に該ソフトウェアによって生成された出力情報を、該出力装置の備える該情報出力手段(ディスプレイ)を通じて出力する。該利用者は該ディスプレイを通じて出力される情報を見ながら、手元の携帯情報端末の備える操作入力手段を通じて操作入力情報を入力し、該携帯情報端末は該操作入力情報を該出力装置に送信し、該出力装置は該携帯情報端末から受信した該操作入力情報に基づき、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された該対象情報に対する操作、入力、又は加工を行い、このプロセスを通じて、該利用者は該カード・ゲームを楽しむ。
【0119】
該カード・ゲームに参加する第二の利用者は、自身の所持する携帯情報端末を操作し、該カード・ゲームのソフトウェア及びこれに対応するソフトウェアにおいてのみ参照又は編集することのできる、該携帯情報端末が実質的に保持する対象情報(以下、「第二対象情報」と記載)を、該出力装置に送信する。該出力装置は、第二対象情報を受信し、既に起動されている該カード・ゲームのソフトウェアによって第二対象情報に基づいて生成された出力情報を、該ディスプレイを通じて出力する。第二の利用者は該ディスプレイを通じて出力される情報を見ながら、手元の携帯情報端末の備える操作入力手段を通じて操作入力情報を入力し、該携帯情報端末は該操作入力情報を該出力装置に送信し、該出力装置は該携帯情報端末から受信した該操作入力情報に基づき、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された第二対象情報に対する、操作、入力、又は加工を行い、このプロセスを通じて、第二の利用者は該カード・ゲームを楽しむ。第三、第四、その他の利用者も、第二の利用者と同様にして該カード・ゲームを楽しむ。
【0120】
該出力装置において、該カード・ゲームのソフトウェアは、複数の利用者の所持する携帯情報端末から、それぞれ対象情報を受信し、これを出力し、これに対する操作、入力、又は加工を実施する。該対象情報には、例えばプレイヤーの名前や属性に関する情報や、ゲームに登場させるプレイヤー自身のアバターを定義する情報、ゲーム世界で賭け金として用いることのできるヴァーチャル通貨の所持量を定義する情報、ゲームに参加する際のプレイヤーのポリシーに関する情報、ゲームの状態を定義する情報、ゲームのなかで獲得されたスコア、その他様々な情報を含めることができる。また、上記では、「該カード・ゲームのソフトウェア又はこれに対応するソフトウェアにおいてのみ参照又は編集することのできる」としたが、複数のゲームソフトで同じ対象情報を活用することも可能である。その場合の対象情報には、異なるゲームソフト間で共有される情報と共有されない情報とが含まれることが可能である。
【0121】
任意の利用者が該カード・ゲームを終了する際には、該カード・ゲームをプレイする過程を通じて該出力装置において操作、入力、又は加工等の処理が施された該対象情報を、元の携帯情報端末(又はヴァーチャル・ディスク・サーバ)の備える記録手段等において、記録(セーブ)しておくことも可能である。
【0122】
なお、上記実施例においては、カード・ゲームを実施する例を示したが、その他にも、パズル・ゲーム、シューティング・ゲーム、格闘技ゲーム、ロール・プレイングゲーム、シミュレーション・ゲーム等、既にゲーム業界で知られている様々なゲームを該ソフトウェアとして用いたものを実施することも可能である。
【0123】
また、該カード・ゲームが例えばポーカー・ゲームである場合のように、手元のカードを伏せておく必要があるといった条件が与えられている場合においては、該出力装置の備えるディスプレイにおいて、カードを出す場に関する情報を表示するために利用し、各携帯情報端末の備えるディスプレイにおいて、手持ちのカードを表示するために利用するという方法を適用するなど、特殊な工夫が適用される必要がある。例えば、該ソフトウェアが複数の出力画面に出力する出力情報をコントロールし、このうちの一部の出力情報を該出力装置が備える出力手段において出力し、その他の出力情報を該出力装置とネットワーク接続された別の装置に送信し、該別の装置において出力するという方法が考えられる。この場合、該別の出力装置は、各利用者の携帯情報端末であり、複数存在するものとして考えることができる(該出力装置と該携帯情報端末との間の通信速度に制限のある近距離無線通信において、出力性能の高い該出力装置において出力するための出力信号を通信することに支障がある場合であっても、出力性能の低い該携帯情報端末において出力するための出力信号を通信することには支障がないという状況が想定される)。その他、本発明の範囲を超えるが、同様の機能を果たすシステムとしては、該出力装置又は各携帯情報端末のうち複数の装置において、該ゲームをコントロールするためのソフトウェアがそれぞれ起動し、相互に通信し、同期を取りながら動作するモデルを適用したものを考えることもできる。その場合には、各携帯情報端末において必要なソフトウェアを備えているか、又は該出力装置等からその都度配信を受けるかした上で、各携帯情報端末においてこれらのソフトウェアを動作させなければならず、各携帯情報端末において比較的多くのリソースが必要とされることになる。
【実施例24】
【0124】
請求項19に記載されたシステムにおける出力装置に関わる構成の第一の実施例は、複数の出力装置を活用して、効果的なプレゼンテーションを実施することを可能とするものである(図13の(c)参照)。該出力装置としては、聴衆に提示する大型ディスプレイ、聴衆に音声情報を聞かせるためのスピーカ、講演者のために準備されたテーブルに備えられた講演者用ディスプレイ等を用いる。該講演者は、プレゼンテーションに用いるファイルを該携帯情報端末において保持し、講演の際に該ファイルを対象情報として各出力装置に送信する。該対象情報としては、スライド資料、発表原稿、映像情報、画像情報、音声情報等、又はこれらの情報を複合的に保持するマルチメディア情報を用いることが想定される。
【0125】
講演者は、該携帯情報端末を操作することにより、該スライド資料や該画像情報を該大型ディスプレイにおいて出力し、該発表原稿を該講演者用ディスプレイにおいて出力し、該音声情報を該スピーカにおいて出力し、該映像情報は該大型ディスプレイ及び該スピーカの両方の出力手段を活用して出力する。該映像情報を該大型ディスプレイ及び該スピーカの両方の出力手段を活用して出力する際には、該映像情報をそのまま該大型ディスプレイ及び該スピーカにそれぞれ送信し、該大型ディスプレイは該映像情報のなかから動画情報を抽出してこれを出力し、該スピーカは該映像情報のなかから音声情報を抽出してこれを出力するという場合と、該映像情報を動画情報と音声情報に分離した状態又は分離可能な状態において保持し、該大型ディスプレイに対しては分離された該動画情報を送信し、該スピーカに対しては分離された該音声情報を送信し、該大型ディスプレイ及び該スピーカはそれぞれ受信した該動画情報及び該音声情報を出力するという場合とが想定される。
【0126】
システムの構成としては、複数の出力装置のうちのいずれか又は別に設置するサーバが、一括して対象情報を受信し、該対象情報を参照するためのソフトウェアを起動し、該携帯情報端末との通信を一括して処理しながら、他の出力装置において出力すべき情報を各出力装置に送信するという構成や、各出力装置に送信される対象情報を予め別々のファイルとして保持し(音声情報と動画情報等、複数の出力装置で同期を取りながら出力する必要がある場合においては、必要に応じて、複数のファイルの関係性を記述したファイル(同期を取るために必要な情報、例えばある動画情報の再生を開始した何ミリ秒後にある音声情報の再生を開始するか等の情報を記載しておく)を準備することが想定される)、該携帯情報端末が各出力装置に対して各出力装置において出力すべきファイルをそれぞれ送信するという構成等が想定される(システムの構成によっては本請求項から外れたものであっても、同様のサービスを提供することができるものを構築することができる)。
【0127】
音声情報の出力を担当する出力装置に対しては、予め携帯情報端末に記録されていた音声情報、ネットワークを通じて他の装置から取り寄せた音声情報、携帯情報端末に備えられた音声入力手段を用いてその場で入力された音声情報等の音声情報の出力を要求することができる。その場で入力する場合には、携帯情報端末はマイクとしての役割を果たすことができる。
【0128】
ビデオによる事例紹介を行う際など、出力装置を通して、音声と動画を同時に提供したい場合は、該携帯情報端末が両者の出力装置における再生についての同期を取る。万が一、該音声と該動画の再生のタイミングがずれた場合は、利用者が該携帯情報端末を操作し、先行する出力装置の再生を適当時間遅らせる指示を出すことにより、このタイミングを調整する機能を持たせることが考えられる。このとき、該携帯情報端末において、両者の出力装置から出力される情報のタイミングの調整を取るのに最適な映像(例えば、映像と音声が刻むリズムが明示的に示されていて、利用者は該リズムを一致させることにより該タイミングの調整を図ることを容易とする映像)を持たせておいた上で、この映像を用いて該出力装置間における出力のタイミングの調整を図り、その上で該音声と該動画の再生を処理するという方法を用いることも可能である。
【実施例25】
【0129】
請求項19に記載されたシステムにおける出力装置に関わる構成の第二の実施例は、情報出力サービスの利用者が移動しながら該情報出力サービスの提供を受ける際に、該利用者に該情報出力サービスを提供する出力装置を切り換えながら、該利用者が連続的に該情報出力サービスの提供を受けることを可能とするものである(図13の(b)参照)。
【0130】
ここでは、該出力情報が音楽情報であり、該出力装置が該音楽情報を再生するスピーカであるものを挙げてみる。該情報出力サービスの利用者が歩行しながら移動する場合、該利用者の歩行経路に配置された複数の出力装置のなかから、常に該利用者にとって最適な出力装置を選定し、必要に応じて出力装置を切り換えながら、該利用者に音声出力サービスを提供するというものを考えることができる。
【0131】
システムは、該携帯情報端末の利用者の位置やその移動を特定する手段(例えば、該携帯情報端末と一体のICタグに記録された情報を、該利用者が歩行するエリアに多数設置されたICタグ情報読取装置が読み取ることにより、該利用者の位置を特定する手段(該出力装置と該ICタグ情報読取装置が同一の装置である場合も可)や、該携帯情報端末が具備するGPSアンテナを用いて該利用者の位置を特定する手段などが考えられるが、当業者であれば容易に設計することができるため、詳細の記述は割愛する)によって該利用者の位置を特定し、予め登録された出力装置のなかから最適な出力装置を随時選定する。
【0132】
音声情報の出力を元の出力装置から新しい出力装置に切り換える際には、元の出力装置からの情報出力サービスを終了させるのと新しい出力装置からの情報出力サービスを開始するのを必ずしも同時に行うのではなく、元の出力装置からの出力をフェイドアウトしながら、新しい出力装置からの出力をフェイドインさせるなど、該利用者が出力装置の交代を意識しなくてもよいように工夫することもできる。
【0133】
また、元の出力装置と新しい出力装置の二つを用いるのではなく、該利用者の周囲に位置する複数の出力装置を用い、各出力装置から出力される音声のバランスを調整しながら、該利用者の移動に応じて該情報出力サービスに加わる出力装置を再編成し、該利用者に最適な状態で音声情報出力サービスを提供することも可能である(わざわざ、実施例としては切り出さないが、該利用者が移動しない場合であっても、該利用者の周囲に位置する複数の出力装置を用いて、各出力装置の性質(例えば、重低音を出力するのに適したスピーカや高音を出力するのに適したスピーカ等の性質)を計算した上で、最適な音声を出力するしくみを構築することが可能である)。
【0134】
該情報出力サービスを受ける利用者が複数存在する場合には、複数の利用者から受信した出力情報を合成した上で出力するようにする。この利用者同士がすれ違う際には、相互に他者の利用する出力情報が聞こえることになるが、人間は様々な音声が飛び交うなかにおいても、音声の連続性を意識しながら、自分の求める音声にある程度集中できる能力を有するため、とりわけ不快感の高い音声でない限り、致命的な障害とはならない。ただし、ある程度以上に利用者の密度が高いなかで利用する場合には、利用が困難である等の制約もある。このとき、該スピーカとして、音声情報の出力方向を絞り込む指向性スピーカを含み、該指向性スピーカを複数備えたものであるか又は該指向性スピーカの方向を調整する稼動部を備えたものであるかのうち少なくともいずれかを満たすものを利用する場合、利用者の密度がある程度高くなっても対応することができると期待される。
【実施例26】
【0135】
請求項19に記載されたシステムにおける出力装置に関わる構成の第三の実施例は、第二の実施例と同様に、利用者が移動しながら情報出力サービスの提供を受ける際に、出力装置を切り換えながら該利用者が連続的に該情報出力サービスの提供を受けることを可能とするもののうち、該出力装置として複数のプロジェクタを用いたものである。
【0136】
一つのプロジェクタの動作は次の通りである。プロジェクタが情報の出力方向等を調整する稼動部及び該稼動部の制御システムを具備することにより、該利用者の移動速度に合わせて、該出力情報が表示される位置を移動させる。例えば、該対象情報として地図情報(機能を追加すれば該利用者の現在地を指定する情報を明示することもできる)を利用する場合、該利用者は常に地図を確認しながら移動するということが可能となる。その際、該利用者の位置及び移動方向を把握した上で該移動方向に一定の角度で見下ろす位置の歩行領域(又は壁面)に該出力情報を表示する機能や、該出力情報を照射する角度の変化に応じて該出力情報の表示の歪みを修正する機能、該プロジェクタから照射位置までの距離の変化に応じてバックライトの光の量を調整することにより該表示の明るさを一定に保つ機能、該表示において該利用者から近い側が常に下側に来るよう方向を調整した上で表示する機能(地図情報の場合には必ずしもこの機能をそのまま適用するのではなく、実際の方向と地図上の方向を一致させたうえで表示することが期待される)等、を備えていることが可能である。
【0137】
該利用者が該プロジェクタの出力可能エリアを過ぎるとき、他の利用可能なプロジェクタ(該利用者に対して出力情報を表示することが可能な位置に存在し、他の利用者に独占的に利用されていないことが条件)が存在すれば、元のプロジェクタによる情報出力サービスを終了すると同時に新しいプロジェクタによる出力サービスを開始する。その際、元のプロジェクタと新しいプロジェクタとは、相互に通信することにより、同期を取りながら、それぞれの情報出力サービスの開始と終了が同時になるよう、また元のプロジェクタによる表示の位置や大きさ、方向などを、新しいプロジェクタがそのまま継承し、利用者が自ら情報出力サービスの提供を受けるプロジェクタの交代を意識しなくてもよいように配慮されたシステム設計を用いることが期待される。
【実施例27】
【0138】
請求項20に記載されたシステムの第一の実施例は、携帯情報端末を利用し、会議又はディスカッションに参加する複数の利用者が、複数の出力装置を用いて各種の意見や資料に関する対象情報を効果的に共有するというものである(図14の(b)参照)。ここに、出力装置として、3つのディスプレイ装置を準備し、それぞれのディスプレイ装置に、「現象」、「問題点」、「改善案」を表示するためのフィールドを設ける。会議参加者は、各種の意見や資料に関する対象情報を、それぞれのフィールドを指定した上で自由に送信し、各ディスプレイ装置はそれらの対象情報を受信し、該ディスプレイ装置の備えるディスプレイを通じて表示する。
【0139】
該対象情報は、予め携帯情報端末において準備した対象情報、該携帯情報端末からネットワークを介してアクセス可能な遠隔対象情報、及びその場で入力する情報を用いることができる。情報をその場で入力する場合には、該対象情報を入力する操作入力手段として、該携帯情報端末の具備するボタンやキーボードを用いても構わないし、音声入力したものをいずれかの装置においてテキスト化して出力するという形態でも構わない。
【0140】
出力装置への対象情報の送信は、各自が並行して進めるという形態でも構わないし、通常の会議と同じように、議事進行のもと、各自が順に会議の場に情報を提示し、その都度各参加者の携帯情報端末が出力装置に対象情報を送信し、出力装置がそれを表示するという形態でも構わない。この場合、出力装置にスピーカを加えれば、携帯情報端末を会議場での発言に用いるマイクの代替として用いることも可能である。
【実施例28】
【0141】
請求項20に記載されたシステムの第二の実施例は、複数の利用者が同時に複数の出力装置を活用した土竜叩きゲームに参加してスコアを競うことを可能とするものである。請求項18の第四の実施例では出力装置が一つであることに対し、本実施例では複数の出力装置を利用するが、本実施例においても、請求項18の第四の実施例に記載されたシステム構成の一部を適用することができる。ただし、この適用事項についての記載はここでは省略する。
【0142】
ゲームの進行は以下の通りである。ここに、出力装置として、複数のディスプレイを準備して、それぞれのディスプレイに、それぞれ識別される9つの穴を表示し、それぞれの穴にランダムに土竜の絵を表示する。ゲームに参加する各携帯情報端末の利用者は、該携帯情報端末の備える操作入力手段を用いて、土竜が表示された穴を特定する情報を競って入力する。各土竜の表示に対し、最も早く該土竜が表示された穴を特定する情報を入力した携帯情報端末のプレイヤーのスコアを加算する。該土竜の穴が特定された情報が入力された場合に、該土竜は「ヤラレタ」という状態を示す土竜の画像に置き換えられた後、しばらくすると元の穴の画像に戻る。これを繰り返す。
【0143】
システムの構成としては、各出力装置において土竜叩きゲームのソフトウェアを動作させ、各利用者の操作する携帯情報端末は各出力装置とそれぞれ通信を行い、また各ソフトウェアが各出力装置同士を接続する通信手段を通じて同期を取りながら、ゲームを進めるものと、複数の出力装置のうちの一つ又は他に設置するサーバ(以下、「サーバ等」と記載)において該ソフトウェアを動作させ、各携帯情報端末は各出力装置との直接通信を行うのではなく該サーバ等とのみ通信を行い、他の出力装置への出力情報の送信は該サーバ等から行いながら、ゲームを進めるものと、が想定される(ただし、利用者に対して同じ機能を果たすことができる場合があっても、システム構成によっては、本発明の範囲に該当しない場合も考えられる)。この実施例では、土竜たたきゲームを実施する例を示したが、もちろん、他のゲームを実施することもできる。
【実施例29】
【0144】
なお、ここで請求項20に記載されたシステムに関して少し整理しておくと、複数の出力装置において、複数の携帯情報端末の取り扱う情報を出力する場合、ソフトウェアの動作にかかわる情報処理の分散形態としては、次のものが考えられる。(イ)各携帯情報端末において、ソフトウェアが起動され、それぞれが同期を取りながら動作している場合、(ロ)中心となる一台の携帯情報端末がソフトウェアを動作させ、他の携帯情報端末はこの中心となる携帯情報端末とのみ通信し、出力装置への情報送信は全てこの中心となる一台の携帯情報端末が担う場合(この場合、他の携帯情報端末から出力装置への情報送信は擬似的なものであり、実際には中心となる一台の携帯情報端末を通じて出力に必要な情報が送信される)、(ハ)複数の携帯情報端末が、ソフトウェアの動作に必要な処理を分散して処理する場合、(二)中心となる一台の出力装置がソフトウェアを動作させ、全ての携帯情報端末との通信を、該中心となる出力装置が担当し、他の出力装置が出力すべき情報を該中心となる出力装置から他の出力装置に送信する場合、(ホ)複数の出力装置が、ソフトウェアの動作に必要な処理を分散する場合、などが考えられる。
このうち、(イ)乃至(ハ)は本発明の範囲には含まれない。(二)及び(ホ)の場合においては、本発明の範囲に含まれるものと含まれないものとがある。ソフトウェアの動作に必要な操作入力信号以外に、出力対象となるコンテンツ情報(対象情報)をいずれかの携帯情報端末からも該近距離通信手段を通じて送信されず、該ソフトウェアの動作に必要な全ての情報が予め該出力装置に保持されているか、又は該出力装置からアクセス可能な状態である場合には、携帯情報端末はリモコンとして機能しているに過ぎず、本発明の範囲には含まれない。しかし、表示対象となるコンテンツ情報(例えば、会議資料、プレイヤー情報等)をいずれかの携帯情報端末から該近距離通信手段を通じて出力装置に送信される場合は、本発明の範囲に含まれる。
【実施例30】
【0145】
請求項21に記載された出力装置の実施例としては、請求項1〜20の各実施例において記載された出力装置を挙げることができる。
【実施例31】
【0146】
請求項22に記載された中継装置の第一の実施例は、ビデオ信号入力端子(該出力情報入力端子)を備えたテレビに対して出力情報を提供するものである。この場合、該中継装置は該携帯情報端末から該近距離無線通信手段を通じてビデオ・データを受信し、該中継装置が備えるビデオ・データ再生用のソフトウェアを用いて該ビデオ・データを再生し、これにより得られたビデオ信号を該中継装置が具備するビデオ信号出力端子(該出力情報送信手段)を通じて、該テレビの具備する該ビデオ信号入力端子に送信し、該テレビは該ビデオ信号を出力する。
【実施例32】
【0147】
請求項22に記載された中継装置の第二の実施例は、音声信号入力端子(該出力情報入力端子)を備えたステレオ・スピーカ・システム(又は単体のスピーカ)に対して出力情報を提供するものである。この場合、該中継装置は該携帯情報端末から該近距離無線通信手段を通じて音声データを受信し、該中継装置が備える音声データ再生用のソフトウェアを用いて該音声データを再生し、これにより得られた音声信号を該中継装置が具備する音声信号出力端子(該出力情報送信手段)を通じて、該ステレオ・スピーカ・システムの具備する該音声信号入力端子に送信し、該ステレオ・スピーカ・システムは該音声信号を出力する。
【実施例33】
【0148】
請求項22に記載された中継装置の第三の実施例は、VGA入力端子、RGB入力端子等(該出力情報入力端子)を備えたコンピュータ用ディスプレイに対して出力情報を提供するものである。この場合、該中継装置は該携帯情報端末から該近距離無線通信手段を通じて各種データを受信し、該中継装置が備える各種データを再生するための各種ソフトウェアを用いて該各種データを再生し、これにより得られたVGA信号、RGB信号等を該中継装置が具備するVGA出力端子、RGB出力端子等(該出力情報送信手段)を通じて、該コンピュータ用ディスプレイの具備する該VGA入力端子、RGB入力端子等に送信し、該コンピュータ用ディスプレイは該VGA信号、RGB信号等を出力する。
【実施例34】
【0149】
請求項23に記載された携帯情報端末の実施例としては、請求項1〜20の各実施例において記載された携帯情報端末を挙げることができる。
【実施例35】
【0150】
請求項24に記載された携帯情報端末に関し、何らかの機能を有する携帯情報端末が、該機能を果たすために本来備えているべき出力手段は、当業者であれば容易に想起されるものであり、例えば携帯情報端末が携帯電話であれば、ディスプレイ、スピーカ、発光素子、イヤホンジャック等が挙げられる(ただし、場合によっては、この全てが具備されている必要はない)。従って、請求項24に記載された携帯情報端末の実施例としては、これらの出力手段のうち、少なくとも一つを削除し、削除された出力手段において出力されることが想定された情報が、全て外部の出力装置に送信される処理手順が与えられた携帯情報端末を挙げることができる。
【0151】
なお、請求項として特に切り出してはいないが、携帯情報端末が本発明に記載されたシステムの一部として機能し、その出力手段として外部の出力装置を活用することができるようになれば、携帯情報端末がその本体において具備する出力手段の少なくとも一部を、削除まではしないものの、最低限の性能を有するものに変更することにより、小型化、軽量化、省電力化、製造コストの抑制などが可能となると期待される。
【産業上の利用可能性】
【0152】
上記実施例においても記載してきたように、本発明によるシステムは、様々な場面において活用することができる。商業的には、当該システムを構成する出力装置、携帯情報端末、中継装置等を製造、販売することが可能となる。また、携帯情報端末の利用者に対し、出力装置を用いた情報出力サービスを提供することが可能となる。社会的には、屋内外を問わず様々な場所に出力装置を設置し、これを用いた情報出力サービスを提供することにより、利用者が持ち歩いている情報をいつでも、どこでも参照、編集等できる環境を整備し、ユビキタス社会に相応しい情報インフラストラクチャを構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】現在普及技術
【図2】従来技術
【図3】発明技術
【図4】携帯情報端末と出力装置とを含むシステムの概要
【図5】携帯情報端末の状態遷移図(ただし、(a)は請求項1、3に記載された携帯情報端末の状態遷移図を示し、(b)は請求項2、4に記載された携帯情報端末の状態遷移図を示す)
【図6】出力装置の状態遷移図(ただし、(a)は、請求項1、3に記載された出力装置の状態遷移図を示し、(b)は、請求項2、4に記載された出力装置の状態遷移図を示す)
【図7】携帯情報端末と出力装置とその他関連装置との相互作用の例を示す図
【図8】携帯情報端末がヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて管理される情報を実質的に保持する場合のシステム図
【図9】請求項5に記載されたシステムの構成図
【図10】請求項6に記載されたシステムの構成図
【図11】請求項7に記載されたシステムの構成図
【図12】一つの出力装置おいて複数の携帯情報端末が取り扱う情報を出力する場合のシステム図
【図13】複数の出力装置おいて一つの携帯情報端末が取り扱う情報を出力する場合のシステム図
【図14】複数の出力装置おいて複数の携帯情報端末が取り扱う情報を出力する場合のシステム図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に近距離通信可能な範囲に位置する、携帯情報端末と、設置型又は大型の出力装置とで構成されるシステムであって、
該出力装置において、該携帯情報端末と近距離無線通信を確立する第一近距離無線通信手段と、情報を出力する情報出力手段と、
該携帯情報端末から該第一近距離無線通信手段を通じて、情報出力サービスの提供を要求する要求信号を受信する要求信号受信処理と、該要求信号受信処理によって受信された該要求信号が正当なものであること、又は該要求信号の送り手が該情報出力サービスの提供を受けることを許可されたものであることのうち、少なくともいずれかを確認する要求信号認証処理と、該要求信号認証処理の要件が満たされた場合に、第一近距離無線通信手段を通じて、該携帯情報端末に、情報出力サービスの提供を許可するサービス提供許可信号を送信する許可信号送信処理と、情報出力サービス提供モードに移行する提供モード開始処理と、情報出力サービス提供モードにおいて、該携帯情報端末から第一近距離無線通信手段を通じて、該携帯情報端末が物理的又は実質的に保持する情報(以下、「対象情報」)を受信する対象情報受信処理と、該対象情報を出力するために用いるソフトウェアを動作させるソフトウェア処理と、ソフトウェア処理により得られた出力情報を、該情報出力手段を通じて出力する出力処理と、該携帯情報端末から第一近距離無線通信手段を通じて操作入力情報を受信し、該操作入力情報に基づき、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報のうち少なくともいずれかを操作、修正、又は加工する情報操作加工処理と、情報出力サービス提供モードの終了条件を満たしていることが判定された場合に、該情報出力サービス提供モードを終了させる終了処理とを実行する第一情報処理手段とを備え、
該携帯情報端末において、該出力装置と近距離無線通信を確立する第二近距離無線通信手段と、該携帯情報端末が取り扱う情報を保持する情報記録手段と、該携帯情報端末が物理的に又は実質的に保持する情報を読み出す情報読出手段と、該携帯情報端末の利用者による操作又は入力を受け付ける操作入力手段と、
情報出力サービスの提供を要求する要求信号を生成し、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する要求信号送信処理と、第二近距離無線通信手段を通じて、該サービス提供許可信号を受信する許可信号受信処理と、情報出力外注モードに移行する外注モード開始処理と、情報出力外注モードにおいて、該情報読出手段を通じて自身が物理的に又は実質的に保持する情報(対象情報)を読み出す対象情報読出処理と、該対象情報を第二近距離無線通信手段を通じて該出力装置に送信する対象情報送信処理と、該操作入力手段を通じて該携帯情報端末の利用者の操作又は入力により発生した操作入力情報を、第二近距離無線通信手段を通じて該出力装置に送信する操作入力情報送信処理と、該情報出力外注モードの終了条件を満たしていることが判定された場合に、該情報出力外注モードを終了させる外注モード終了処理とを実行する第二情報処理手段とを備えていることを特徴とするもの。
【請求項2】
請求項1に記載されたシステムであって、ただし、該出力装置の備える第一情報処理手段は情報操作加工処理を実行せず、該携帯情報端末の備える第二情報処理手段は操作入力情報送信処理を実行しないことを特徴とするもの。
【請求項3】
第一近距離無線通信手段と、情報出力手段と、第一情報処理手段と、ソフトウェア記録手段とを備える設置型又は大型の出力装置と、第二近距離無線通信手段と、情報記録手段と、情報読出手段と、操作入力手段と、第二情報処理手段とを備える携帯情報端末とで構成され、該出力装置と該携帯情報端末とが互いの近距離無線通信手段を通じて通信可能な範囲に位置するシステムであって、下記の手順によって、該携帯情報端末が物理的又は実質的に保持する情報を該出力装置において出力する、情報出力サービスを提供することを特徴とするもの
(イ)該携帯情報端末において、第二情報処理手段は、該情報出力サービスの提供を要求する要求信号を生成し、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する
(ロ)該出力装置において、第一情報処理手段は、第一近距離無線通信手段を通じて、該要求信号を受信する
(ハ)該出力装置において、第一情報処理手段は、該要求信号が正当なものであるかどうか、又は該要求信号の送り手が該情報出力サービスの提供を受けることを許可されたものであるかどうかのうち、少なくともいずれかを確認する
(ニ)該出力装置において、該要求信号が正当なものであること、又は該携帯情報端末が該情報出力サービスの提供を受けることを許可されたものであることのうち、少なくともいずれかが確認された場合には、第一情報処理手段は、第一近距離無線通信手段を通じて、該携帯情報端末に、該情報出力サービスの提供を許可するサービス提供許可信号を送信し、情報出力サービス提供モードに移行する
(ホ)該携帯情報端末において、第二情報処理手段は、第二近距離無線通信手段を通じて、該サービス提供許可信号を受信し、該情報出力サービスの提供を受ける出力外注モードに移行する
(ヘ)該携帯情報端末において、第二情報処理手段は、該情報読出手段を通じて、自身が物理的に又は実質的に保持する情報(以下、「対象情報」)を読み出し、該対象情報を、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する
(ト)該出力装置において、第一情報処理手段は、第一近距離無線通信手段を通じて、該対象情報を受信する
(チ)該出力装置において、第一情報処理手段は、該対象情報を出力するために用いるソフトウェアを動作させ、該情報出力手段を通じて、該対象情報を出力する
(リ)該携帯情報端末において、第二情報処理手段は、該携帯情報端末の利用者が、操作入力手段を通じて、該携帯情報端末を操作することにより発生した操作入力情報を、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する
(ヌ)該出力装置において、第一情報処理手段は、第一無線通信手段を通じて、該操作入力情報を受信し、該操作入力情報に基づき、該出力装置に出力された出力内容、該出力内容をコントロールするソフトウェア、又は該出力装置に送信された対象情報を操作、修正、又は加工する(情報操作加工処理)
(ル)新たに、該携帯情報端末の利用者が、該操作入力手段を通じて該携帯情報端末を操作することにより操作入力情報が発生した場合には、必要に応じて(リ)〜(ヌ)を繰り返す
(ヲ)該携帯情報端末において、第二情報処理手段が、新たに、該対象情報を、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する場合には、必要に応じて(ヘ)〜(ル)を繰り返す
(ワ)次の(A)及び(B)のうち、少なくとも一つの手順を処理する
(A)該出力装置において、第一情報処理手段が、情報出力サービス提供モードの終了条件を満たしていることを判定した場合、第一情報処理手段は、該情報表示サービス提供モードを終了させ、必要に応じて、第一近距離無線通信手段を通じて、該情報出力サービスを終了させる終了信号を、該携帯情報端末に通知し、通知された該携帯情報端末において、第二情報処理手段は、該情報出力外注モードを終了させる
(B)該携帯情報端末において、第二情報処理手段が、情報出力外注モードの終了条件を満たしていることを判定した場合、第二情報処理手段は、該情報出力外注モードを終了させ、必要に応じて、第二近距離無線通信手段を通じて、該情報出力サービスを終了させる終了信号を、該出力装置に通知し、通知された該出力装置において、第一情報処理手段は、該情報表示サービス提供モードを終了させる。
【請求項4】
請求項3に記載されたシステムであって、ただし、(リ)〜(ル)の手順を持たないもの。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載されたシステムであって、
システムの構成要素として、さらに該携帯情報端末が実質的に保持する情報を記録するネットワーク上のヴァーチャル・ディスク・サーバを加え、
該対象情報が該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて管理されている遠隔対象情報であり、
該携帯情報端末において、さらに該ヴァーチャル・ディスク・サーバとネットワーク接続された基地局と無線通信する無線通信手段を備え、該情報読出手段は、該無線通信手段を通じて、ヴァーチャル・ディスク・サーバから、該携帯情報端末が実質的に保持する情報(遠隔対象情報)を読み出し、第二情報処理手段は、該遠隔対象情報を、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に送信する処理を実行し、
該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて、該遠隔対象情報を記録する遠隔対象情報記録手段と、該携帯情報端末からの要求に応じて、該携帯情報端末の該情報読出手段に対して、該遠隔対象情報へのアクセス・サービスを提供するアクセス・サービス提供処理を実行する、第三情報処理手段とを備え、
該出力装置において、第一情報処理手段は、該携帯情報端末から、第一近距離無線通信手段を通じて、該対象情報を受信する処理の代わりに、該遠隔対象情報を受信する処理を実行し、以下、受信した該遠隔対象情報を、受信した対象情報と同様に扱うことを特徴とするもの。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載されたシステムであって、
システムの構成要素として、さらに該携帯情報端末が実質的に保持する情報を記録するネットワーク上のヴァーチャル・ディスク・サーバを加え、
該対象情報が該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて管理されている遠隔対象情報であり、
該携帯情報端末において、さらに該ヴァーチャル・ディスク・サーバとネットワーク接続された基地局と無線通信する無線通信手段を備え、第二情報処理手段は、第二近距離無線通信手段を通じて、該出力装置に、該対象情報を送信する処理の代わりに、該ヴァーチャル・ディスク・サーバが管理する該遠隔対象情報にアクセスするために用いられる、遠隔対象情報アクセス情報を送信する処理を実行し、
該出力装置において、さらに該ヴァーチャル・ディスク・サーバとネットワーク接続するネットワーク接続手段を備え、第一情報処理手段は、第一近距離無線通信手段を通じて、該対象情報を受信する処理の代わりに、該遠隔対象情報アクセス情報を受信し、該遠隔対象情報アクセス情報に基づき、該ネットワーク接続手段を通じて、該ヴァーチャル・ディスク・サーバに対して、該遠隔対象情報の送信を要求する送信要求情報を送信する処理と、該ネットワーク接続手段を通じて、該ヴァーチャル・ディスク・サーバから、該遠隔対象情報を受信する処理とを実行し、以下、受信した該遠隔対象情報を、受信した対象情報と同様に扱い、
該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて、該遠隔対象情報を記録する遠隔対象情報記録手段と、該出力装置から該送信要求情報を受信する処理と、該送信要求情報に基づき該遠隔対象情報記録手段から該遠隔対象情報を読み出す処理と、該送信要求情報に基づき該出力装置に対して該遠隔対象情報を送信する処理とを実行する、第三情報処理手段とを備えたことを特徴とするもの。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載されたシステムであって、
システムの構成要素として、さらに該携帯情報端末が実質的に保持する情報を記録するネットワーク上のヴァーチャル・ディスク・サーバを加え、
該対象情報が該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて管理されている遠隔対象情報であり、
該携帯情報端末において、さらに該ヴァーチャル・ディスク・サーバとネットワーク接続された基地局と無線通信する無線通信手段を備え、第二情報処理手段は、第二近距離無線通信手段を通じて該出力装置に、該対象情報を送信する処理の代わりに、該無線通信手段を通じて該ヴァーチャル・ディスク・サーバに、該遠隔対象情報を該出力装置に送信するよう要求する送信要求情報を送信する処理を実行し、
該ヴァーチャル・ディスク・サーバにおいて、該遠隔対象情報を記録する遠隔対象情報記録手段と、該携帯情報端末から該送信要求情報を受信する処理と、該送信要求情報に基づき、該遠隔対象情報記録手段から該遠隔対象情報を読み出す処理と、該出力装置に対して該遠隔対象情報を送信する処理とを実行する、第三情報処理手段とを備え、
該出力装置において、さらに該ヴァーチャル・ディスク・サーバとネットワーク接続するネットワーク接続手段を備え、該第一情報処理手段は、該第一近距離無線通信手段を通じて、該対象情報を受信する処理の代わりに、該ネットワーク接続手段を通じて、該ヴァーチャル・ディスク・サーバから、該遠隔対象情報を受信する処理を実行し、以下、受信した該遠隔対象情報を、受信した対象情報と同様に扱うことを特徴とするもの。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載されたシステムであって、当該出力装置が視覚的に情報を提示する機能を有するディスプレイ装置であるもの。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載されたシステムであって、当該出力装置が音声情報を音波として出力する機能を有するスピーカ装置であるもの。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載されたシステムであって、当該出力装置が情報を紙等の媒体に印刷する機能を有するプリンタ装置であるもの。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載されたシステムであって、
システムの構成要素として、さらに該出力装置とネットワーク接続された認証サーバを加え、
該出力装置において、第一情報処理手段の実行する該要求信号認証処理が、該要求信号又は該要求信号に含まれる認証情報を、該認証サーバに送信し、該認証サーバから認証結果又は該認証結果に関連する情報を受信することにより実行され、
該認証サーバにおいて、該出力装置から、該要求信号又は該要求信号に含まれる認証情報を受信する認証サーバ要求信号受信手段と、該認証サーバ要求信号受信手段によって受信された該要求信号又は該要求信号に含まれる認証情報を認証する要求信号認証手段と、該要求信号認証手段によって得られた認証結果又は該認証結果に関連する情報を該出力装置に送信する認証結果送信手段とを備えたことを特徴とするもの。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載されたシステムであって、該携帯情報端末から該出力装置に提供される要求信号が、該携帯情報端末又はその利用者が契約しているサービスの内容を特定するサービス内容特定情報を含むものであり、該出力装置において、第一情報処理手段の実行する要求信号認証処理は、必要に応じて該サービス内容特定情報が正当なものであるかを判別し、該出力装置は該サービス内容特定情報の内容に応じた情報出力サービスを提供することを特徴とするもの。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載されたシステムであって、該出力装置において、該携帯情報端末から受信した該要求信号に応じて該対象情報を出力する度に、該携帯情報端末による該出力装置の利用状況に関する利用状況情報を、該携帯情報端末又はその利用者を特定することのできる識別情報と関連付けて記録し、又はネットワークを通じて他の装置に送信する利用状況記録送信手段を備えていることを特徴とするもの。
【請求項14】
請求項1、請求項3、又は請求項5〜請求項12のいずれかに記載されたシステムであって、該携帯情報端末において音声入力手段を備え、該携帯情報端末から該出力装置に送信される該操作入力情報が、該音声入力手段を通じて入力された音声情報、又は該音声情報に対してテキスト化若しくは記号化等の処理を施したものであることを特徴とするもの。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載されたシステムであって、該携帯情報端末が第二近距離無線通信手段によって通信可能な範囲に複数の出力装置が存在し、該出力装置又は該携帯情報端末のうち少なくともいずれかにおいて、利用者が出力装置を特定することのできる物理的信号を、該利用者の認識できる状態で発信する出力装置特定信号発信手段を備え、該携帯情報端末において、該利用者が、該出力装置特定信号発信手段によって発信された物理的信号に反応して、該対象情報を出力する出力装置を指定する情報を入力する出力装置指定情報入力手段を備え、該携帯情報端末は該出力装置指定情報入力手段によって指定された出力装置との間で第二近距離無線通信手段によって通信を確立し、該指定された出力装置から該情報出力サービスの提供を受けることを特徴とするもの。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載されたシステムであって、該出力装置に送信される該要求信号、該対象情報若しくは該遠隔対象情報、又は該操作入力情報のうち、少なくともいずれかが暗号化されたもの(以下、「暗号化情報」と記載)であり、該出力装置において、さらに、該暗号化情報を復号化する復号化手段を備え、第一情報処理手段が、該情報出力サービス提供モードを終了させる終了処理を実行する際に、該対象情報、該遠隔対象情報、又は該対象情報若しくは該遠隔対象情報を操作、修正、若しくは加工することによって得られた情報のうち、少なくともいずれかを、消去する又は読み取り不能な状態とする対象情報消去処理を実行することを特徴とするもの。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載されたシステムであって、該出力装置において、第一情報処理手段は、該情報操作加工処理によって操作、修正、又は加工された結果として得られた更新情報を、該携帯情報端末、又は該ヴァーチャル・ディスク・サーバのうち、少なくともいずれか(以下、「記録先」と記載)に送信する更新情報送信処理を実行し、該記録先において、該出力装置から送信された該更新情報を受信する更新情報受信手段と、該更新情報受信手段により受信された該更新情報を記録する更新情報記録手段とを備えたことを特徴とするもの。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載されたシステムであって、ただし、システムを構成する携帯情報端末が複数存在し、このいずれの携帯情報端末も、請求項1〜17のいずれかに記載された携帯情報端末の要件を満たすことを特徴とするもの。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれかに記載されたシステムであって、ただし、システムを構成する出力装置が複数存在し、このいずれの出力装置も、請求項1〜17のいずれかに記載された出力装置の要件を満たすことを特徴とするもの。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれかに記載されたシステムであって、ただし、システムを構成する携帯情報端末及び出力装置が複数存在し、このいずれの携帯情報端末も、請求項1〜17のいずれかに記載された携帯情報端末の要件を満たし、かつ、このいずれの出力装置も、請求項1〜17のいずれかに記載された出力装置の要件を満たすことを特徴とするもの。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載された出力装置。
【請求項22】
請求項21に記載された出力装置を実現するための装置であって、請求項1〜20のいずれかに記載された携帯情報端末から、近距離無線通信手段を通じて対象情報を受信する対象情報受信手段と、該対象情報を処理し出力情報を得るためのソフトウェアを動作させるソフトウェア動作手段と、出力手段及び出力情報入力端子を備えた設置型又は大型の外部出力装置に、該出力情報入力端子への接続を通じて該出力情報を送信する出力情報送信手段とを具備し、該外部出力装置と協同して請求項21に記載された出力装置を実現するための中継装置。
【請求項23】
請求項1〜20のいずれかに記載された携帯情報端末。
【請求項24】
請求項23に記載された携帯情報端末であって、請求項23に記載されたものには該当しないことを除き該携帯情報端末と同等の機能を有する携帯情報端末がその機能を果たすために必要とし、その本体において本来具備する出力手段のうち、少なくとも一部を具備していないもの。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−216006(P2006−216006A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61506(P2005−61506)
【出願日】平成17年2月6日(2005.2.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(304022920)
【Fターム(参考)】