説明

情報出力システム及びドットパターンテープ

【課題】様々な製品にドットパターンを簡単に貼り付けることができ、前記ドットパターンを読み取るだけで簡単に情報を出力させることができるようにした情報出力システム及びそれに用いられるドットパターンテープを提供する。
【解決手段】フィルムに印刷され、前記フィルムの外側に粘着層が設けられてなるドットパターンテープ本体と、前記ドットパターンテープ本体が台紙テープに剥離可能に貼り合わせられてなるドットパターンテープと、音声を録音するデバイスと、光学的読み取りデバイスと、前記録音した音声と前記光学的に読み取ったドットパターンの座標位置コード情報とを関連付けて蓄積するデバイスと、音声出力する音声出力デバイスと、を備えたペン型端末と、を含み、前記ドットパターンを前記ペン型端末の光学的読み取りデバイスで読み取った際に、前記関連付け情報が音声出力されるようにしてなるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画などのマルチメディア情報に係る情報データを光学的に読み取り可能なドットパターンで印刷してなる情報出力システム及びそれに用いられるドットパターンテープに関する。
【0002】
従来、情報データを含む光学的に読み取り可能なコードを印刷し、これを光学的に読み取ることで、情報を表示させたりすることがよく行われている。
【0003】
これら光学的に読み取り可能なコードの種類として、商品の値札につけておき、精算時に赤外線スキャナーで値段などの情報を読み取る一次元コード(バーコード)を用いた情報表示システムがある。
【0004】
また、特定のURL(Uniform Resource Locator)情報を含むマトリックス型の二次元コードを印刷しておき、コード読み取り機能のある携帯電話のカメラなどで読み取り、インターネットを通じてリンク先のURLへと誘導する情報表示システムもある。
【0005】
さらに、種々のマルチメディア情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムにより生成されたドットを所定の規則に則って配列したドットパターン部が形成された印刷物等の媒体を読取り手段で画像データとして読み取り、該画像データをコードデータ化し、該コードデータに対応したマルチメディア情報を記憶手段から読み出して再生するようにした、媒体上に形成されたアイコン(特許文献1、要約書)も提案されている。また、特許文献2〜5に係る技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-190270号公報
【特許文献2】特許4088936号公報
【特許文献3】特許3706385号公報
【特許文献4】特許4008952号公報
【特許文献5】WO2010/018687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明者は、鋭意検討を重ねた結果、様々な製品にドットパターンを簡単に貼り付けることができ、簡単に情報を出力させることでメモのように使えるシステムを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、様々な製品にドットパターンを簡単に貼り付けることができ、前記ドットパターンを読み取るだけで簡単に情報を出力させることができるようにした情報出力システム及びそれに用いられるドットパターンテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の情報出力システムは、座標位置コード情報を有するドットパターンが視覚困難かつ光学読み取り可能にフィルムに印刷され、前記フィルムの外側に粘着層が設けられてなるドットパターンテープ本体と、前記ドットパターンテープ本体が台紙テープに剥離可能に貼り合わせられてなるドットパターンテープと、音声を録音するデバイスと、前記ドットパターンを光学的に読み取るための光学的読み取りデバイスと、前記録音した音声と前記光学的に読み取ったドットパターンの座標位置コード情報とを関連付けて蓄積する手段と、前記関連付けられて蓄積されている関連付け情報を音声出力する音声出力デバイスと、を備えたペン型端末と、を含み、前記ドットパターンテープ本体を被着体に貼付し、前記貼付したドットパターンテープ本体のドットパターンに対し、予め録音した音声を関連付けることにより、前記ドットパターンを前記ペン型端末の光学的読み取りデバイスで読み取った際に、前記関連付け情報が音声出力されるようにしてなることを特徴とする。
【0010】
前記ペン型端末としては、例えば特許文献1に記載されたような、カメラをペン型スキャナとしてペン状のケース(装置本体)に収容した構成のペン型端末を採用することができる。
【0011】
座標位置コード情報を有するドットパターンを視覚困難かつ光学読み取り可能に印刷するには、特許文献3に記載されたドットパターンを用いればよい。また、赤外線のみを吸収するカーボンブラックインクを用いて微小なドットパターンを印刷することで、人間には視覚困難かつ光学読み取り可能なドットパターンとなる。
【0012】
このように、視覚困難かつ光学読み取り可能にドットパターンを印刷することで、人間には目視できないため、印刷面には必要な文字や絵などのみを印刷することができるという利点がある。
【0013】
また、光学的読み取り手段としては、赤外線に反応する光学的読み取り手段を使用することができ、特許文献4に記載されたドットパターン読取ユニットを使用することができる。
【0014】
前記ドットパターンテープ本体が所定のパターン区画を有し、前記所定のパターン区画毎に切り離し可能とされてなるのが好ましい。ここで、前記所定のパターン区画とは、前記座標位置コード情報が一つのまとまりを形成しているパターン区画を指す。
【0015】
切り離し可能とするためには、前記ドットパターンテープ本体にミシン目を入れたりすることで切り離し可能とすることができる。
【0016】
前記所定のパターン区画の座標位置コード情報が、全て異なるのが好適である。全て異なるようにすれば、それぞれのパターン区画に別々の情報を付加することができるからである。
【0017】
また、前記所定のパターン区画の座標位置コード情報が、全て同一となるように構成してもよい。貼付した一つのパターン区画に情報を付加すれば、同一の情報を出力することができるからである。
【0018】
前記ドットパターンとしては、微小なドットの形成位置情報を最小単位のコードとしてこれを所定数組み合わせたものとして、特許文献3に記載されたドットパターン技術を適用することができる。グラビア印刷によりドットパターンを印刷することにより、高精細であり、フレキシブルな透明フィルムなどにも印刷することができるという利点がある。
【0019】
また、ケース部材と、前記ケース部材内に粘着層側を外周側にしてドットパターンテープが巻装された供給リールと、前記供給リールから繰り出したドットパターンテープの粘着層側を被着面に押し当てて、前記ドットパターンテープ本体を被着面に貼付する押圧部材と、剥離した台紙テープを巻き取る巻取リールと、を含むドットパターンテープ貼付補助具を用いて前記ドットパターンテープ本体を被着体に貼付してなる構成とするのが好適である。
【0020】
前記グラビア印刷に用いられるグラビア版としては、レーザー製版法により作製するのが好ましい。高精細な微小ドットパターンを印刷できるからである。
【0021】
前記フィルムが、薄いプラスチックフィルムをもちいたセロファンのような透明かつフレキシブルなテープが好ましく、このようなフィルムにセロファンテープなどの粘着テープのように片側外面に粘着層を設けるのが好適である。
【0022】
前記ドットパターンテープ本体に本人識別情報を付加してなるのが好ましい。
【0023】
前記ドットパターンテープ本体が、製品又は製品の包装体に貼付されるようにするのが好適である。製品や製品の包装体に前記ドットパターンテープ本体を貼り付けることで、偽造防止やトレーサビリティ(追跡可能性)の手段又は正規品と偽造品の判別手段としても使える。また、絵本、英会話、旅行の景色、料理のレシピ、食品の産地情報や製品カタログなどにも好適に使用できる。
【0024】
本発明のドットパターンテープは、前記情報出力システムに用いられるドットパターンテープであって、座標位置コード情報を有するドットパターンが視覚困難かつ光学読み取り可能にフィルムに印刷され、前記フィルムの外側に粘着層が設けられてなるドットパターンテープ本体と、前記ドットパターンテープ本体が台紙テープに剥離可能に貼り合わせられてなることを特徴とする。
【0025】
また、上述のように、前記ドットパターンテープ本体が所定のパターン区画を有し、前記所定のパターン区画毎に切り離し可能とされるのが好ましい。
【0026】
上述のように、前記所定のパターン区画の座標位置コード情報が、全て異なるのが好適である。
【0027】
また、上述のように、前記所定のパターン区画の座標位置コード情報が、全て同一となるように構成してもよい。
【0028】
本発明のドットパターンテープ貼付補助具は、前記情報出力システムに用いられるドットパターンテープ貼付補助具であって、ケース部材と、前記ケース部材内に粘着層側を外周側にしてドットパターンテープが巻装された供給リールと、前記供給リールから繰り出したドットパターンテープの粘着層側を被着面に押し当てて、前記ドットパターンテープ本体を被着面に貼付する押圧部材と、剥離した台紙テープを巻き取る巻取リールと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、様々な製品にドットパターンを簡単に貼り付けることができ、前記ドットパターンを読み取るだけで簡単に情報を出力させることができるようにした情報出力システム及びそれに用いられるドットパターンテープを提供することができるという著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の情報出力システムの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明のドットパターンテープの一例を示す斜視図である。
【図3】図1の要部拡大平面図である。
【図4】ドットパターンテープ本体の一つのパターン区画を切り離した状態の分解斜視図である。
【図5】本発明のドットパターンテープ貼付補助具の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の情報出力システムの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0032】
図1において、符号10は本発明の情報出力システムを示す。情報出力システム10は、図2〜図4によく示される如く、座標位置コード情報を有するドットパターン12が視覚困難かつ光学読み取り可能にフィルム14に印刷され、前記フィルム14の外側に粘着層16が設けられてなるドットパターンテープ本体18と、前記ドットパターンテープ本体18が台紙テープ20に剥離可能に貼り合わせられてなるドットパターンテープ22と、音声を録音するデバイス(図示省略)と、前記ドットパターン12を光学的に読み取るための光学的読み取りデバイス24と、前記録音した音声と前記光学的に読み取ったドットパターンの座標位置コード情報とを関連付けて蓄積するデバイス(図示省略)と、前記関連付けられて蓄積されている関連付け情報を音声出力する音声出力デバイス23と、を備えたペン型端末26と、を含む構成とされている。
【0033】
そして、前記ドットパターンテープ本体18を被着体27(図示例では食品の包装)に貼付し、前記貼付したドットパターンテープ本体18のドットパターン12に対し、予め録音した音声を関連付けることにより、前記ドットパターン12を前記ペン型端末26の光学的読み取りデバイス24で読み取った際に、前記関連付け情報が音声出力されるようにしてなる。
【0034】
ペン型端末26は、特許文献1に記載されたようなカメラをペン型スキャナとしてペン状のケース(装置本体)に収容した構成のペン型端末である。ペン型端末26には、バッテリ、回路基板、音声出力デバイス23であるスピーカ、音声マイク25が内蔵されており、それぞれ接続されている。回路基板には中央処理装置(CPU)とメモリが備わっており、録音と音声出力が可能とされている。
【0035】
また、ペン型端末26の先端には、光学的読み取りデバイス24であるスキャナとしてC−MOSカメラユニットが設けられており、かかる光学的読み取りデバイス24によって、ドットパターン12が読み取られる。
【0036】
また、ペン型端末26には、ボタン29a,29b,31a,31b,31cが設けられており、それらボタンを操作することで、光学的読み取りデバイス24によるドットパターン12のスキャナ読み取り開始、音声の録音開始、リンクモードの開始及び解除、音声の出力などが行われるようになっている。
【0037】
録音開始ボタンを押して、音声マイク25から声を吹き込むと音声が録音される。そして、ペン型端末26のリンクモードの開始ボタンを押すと、ペン型端末26がリンクモードにセットされる。スキャナ読み取り開始ボタンを押して光学的読み取りデバイス24をドットパターンテープ本体18に押し当てて又は近接させて、ドットパターン12を読み取って、前記録音した音声と前記光学的に読み取ったドットパターン12の座標位置コード情報とが関連付けて内蔵のメモリに蓄積される。前記リンクモードの解除ボタンを押した後、前記座標位置コード情報が関連付けて内蔵のメモリに蓄積されたドットパターンテープ本体18に対してペン型端末26の光学的読み取りデバイス24を押し当て又は近接させると、前記座標位置コード情報が関連付けて録音されていた音声が出力される仕組みとなっている。
【0038】
前記ドットパターンテープ22は、図2〜4によく示される如く、座標位置コード情報を有するドットパターン12が視覚困難かつ光学読み取り可能にフィルム14に印刷され、前記フィルム14の外側に粘着層16が設けられてなるドットパターンテープ本体18と、前記ドットパターンテープ本体18が台紙テープ20に剥離可能に貼り合わせられてなる。図示例では、ドットパターン12の印刷を、特許文献5に記載されたように、被印刷体(図3フィルム14)の裏面にグラビア印刷により印刷され、前記ドットパターン12が前記フィルム14の表面側から光学的読み取りデバイス24で前記フィルム14を介して読み取られるように、ドットパターン12の座標系が前記フィルム14の表面側から見た座標系に対して反転して印刷した例を示した。但し、被印刷体の表面側に通常印刷する構成とすることも可能である。
【0039】
また、前記ドットパターンテープ本体18は図2によく示される如く、所定のパターン区画28a,28b,28c,28dを有し、前記所定のパターン区画毎に切り離し可能とされている。前記ドットパターンテープ本体18にはミシン目30a,30b,30cが入っており、切り離し可能とされている。なお、図示例では、ミシン目を入れて、前記所定のパターン区画毎に切り離し可能とした例を示したが、前記所定のパターン区画毎に、鋏などで切るように構成することも可能である。
【0040】
ドットパターン12は、カーボンブラックインクを用いて視覚困難かつ光学読み取り可能に被印刷体である透明かつフレキシブルなシートであるフィルム14に印刷されており、座標位置コード情報を有している。
【0041】
座標位置コード情報を有するドットパターン12としては、微小なドットの形成位置情報を最小単位のコードとしてこれを所定数組み合わせたものとして、特許文献3に記載されたドットパターン技術を適用することができる。
【0042】
特許文献3に記載されたドットパターン技術としては、特許文献5にも示されるように、キードット、情報ドット、格子ドットを所定の規則に従って配列する。所定の規則については特許文献3に記載されているため詳細は省略する。特許文献3では、キードットを中心に5×5の格子ドットを配置し、4点の格子ドットに囲まれた中心の仮想点の周囲に情報ドットを配置して、情報を表すドットパターンのブロックとしている。このブロックには任意の数値情報が定義される。そして、ドットパターンを特許文献5に示すような光学的読み取りデバイスで読み込み、格子ドットを抽出し、次に本来格子ドットがある位置にドットが打たれていないことによってキードットを抽出し、次に情報ドットを抽出することによりデジタル化して情報領域を抽出して情報の数値化を図り、その数値情報より、このドットパターンから情報を出力させる。
【0043】
また、前記ドットパターンの印刷がグラビア印刷によって行われるのが好ましい。グラビア印刷ならば、高精細な印刷が可能であるからである。
【0044】
また、グラビア印刷に用いるグラビア版は、特許文献5に記載されたように、レーザー製版法で作成した版が好ましい。
【0045】
前記ドットパターン12は、光学的読み取りデバイス24によって光学的に読み取られる。光学的読み取りデバイス24としては、特許文献1に記載されたようなペン型スキャナが適用できる。図示の例では、赤外線LEDを用いた光学的読み取りデバイスを用いた。
【0046】
また、ドットパターンテープ22のドットパターンテープ本体18を被着体に貼付するにあたっては、図4に示すドットパターンテープ貼付補助具32が好適に用いられる。
【0047】
図4において、ドットパターンテープ貼付補助具32は、ケース部材34と、前記ケース部材34内に粘着層16側を外周側にしてドットパターンテープ22が巻装された供給リール36と、前記供給リール36から繰り出したドットパターンテープ22の粘着層16側を被着面に押し当てて、前記ドットパターンテープ本体18を被着面に貼付する押圧部材38と、剥離した台紙テープ20を巻き取る巻取リール40と、を含む構成とされている。このように構成したドットパターンテープ貼付補助具32を用いて前記ドットパターンテープ本体18を被着体に貼付するようにすれば、貼付をスムーズに行うことができる。
【0048】
次に、図1に示した本発明に係る情報出力システム10につき、図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0049】
まず、図1に示すように、ドットパターンテープ本体18を食品の包装などのパッケージに貼付する(ステップ100)。このとき、所定のパターン区画を切り離して貼付する。図示例では、パターン区画28aを切り離して貼付した。
【0050】
そして、ペン型端末26の録音開始ボタンを押して、音声マイク25から声を吹き込んで音声を録音する(ステップ102)。図1の例では、例えば、被着体27である食品の包装を開けた開封日が平成23年4月1日であれば、「平成23年4月1日に開封」と録音する。
【0051】
次に、ペン型端末26のリンクモードの開始ボタンを押して、ペン型端末26をリンクモードにセットする(ステップ104)。
【0052】
スキャナ読み取り開始ボタンを押してペン型端末26の先端の光学的読み取りデバイス24をドットパターンテープ本体18にタッチさせると、ドットパターン12を読み取って、前記録音した音声と前記光学的に読み取ったドットパターン12の座標位置コード情報とが関連付けて内蔵のメモリに蓄積される。
【0053】
前記リンクモードの解除ボタンを押した後、前記座標位置コード情報が関連付けて内蔵のメモリに蓄積されたドットパターンテープ本体18のパターン区画28aに対してペン型端末26の光学的読み取りデバイス24をタッチする(ステップ106、図1)と、前記座標位置コード情報が関連付けて録音されていた音声、すなわち、「平成23年4月1日に開封」という音声が出力される(ステップ108)。
【0054】
なお、前記ドットパターンテープ本体18の所定のパターン区画28a,28b,28c,28dを有しているが、前記パターン区画28a,28b,28c,28dそれぞれの座標位置コード情報が、全て異なるようにすれば、前記パターン区画28a,28b,28c,28dそれぞれに別々の情報を付加することができる。この場合、例えば、パターン区画28bを切り離して異なる食品などの被着体に貼付すれば、上述したパターン区画28aと同様の手順で、パターン区画28aとは異なる開封日をペン型端末26から情報出力させることが可能である。したがって、家庭の冷蔵庫から出して食品を開封したものから、開封日をペン型端末26に録音してドットパターンとリンクさせておけば、後で開封日の確認ができる。
【0055】
一方、前記パターン区画28a,28b,28c,28dそれぞれの座標位置コード情報が、全て同一となるようにすれば、前記パターン区画28a,28b,28c,28dそれぞれに同一の情報を付加することができる。この場合、例えば、パターン区画28bを切り離して異なる食品などの被着体に貼付すれば、上述したパターン区画28aと同様の手順で、パターン区画28aと同一の開封日をペン型端末26から情報出力させることが可能である。したがって、例えば、複数の食品を同一の日に開封したりする飲食店などで好適に使用できる。
【0056】
このように関連付けられる情報としては種々考えられ、食品の開封日のほか、本人識別コードを録音することで、正規品と偽造品の判別手段にも適用できる。故に、偽造防止手段として有用であるし、食品の他、種々の製品のトレーサビリティの手段として有用である。
【0057】
(実施例1)
(株)シンク・ラボラトリー製のレーザーグラビア製版装置(商品名:全自動レーザーグラビア製版システムFX80)を用い、レーザー製版を行い、グラビアセルの深さが13μmで1辺が30μmの正方形としたグラビア製版ロールを作製した。このグラビア製版ロールを用い、印刷速度200m/minで中島精機エンジニアリング(株)製の印刷機(商品名:PROTEC)で、ポリプロピレン製のフィルム14にカーボンブラックインクによりドットパターン12を反転印刷し、フィルム14の外側に粘着剤で粘着層16を形成し、また、フィルム14の反対側の面に剥離シートを貼り合わせた。剥離シートとしては、表面にシリコンコーティングをした紙を使用した。
【0058】
ドットパターン12としては、キードット、情報ドット、格子ドットとを所定の規則に従って配列した。印刷されたドットパターンのドットサイズは1辺が40μmの正方形であった。
【0059】
ペン型端末26としては、グリッドマーク株式会社製のスピーキングペンを使用した。図1と同様に、ドットパターンテープ本体18を食品の包装などのパッケージに貼付した。このとき、所定のパターン区画を切り離して貼付した。
【0060】
そして、ペン型端末26の録音開始ボタンを押して、音声マイク25から開封日を録音した。次に、ペン型端末26のリンクモードの開始ボタンを押して、ペン型端末26をリンクモードにセットした。
【0061】
スキャナ読み取り開始ボタンを押してペン型端末26の先端の光学的読み取りデバイス24をドットパターンテープ本体18にタッチさせ、ドットパターン12を読み取って、前記録音した音声と前記光学的に読み取ったドットパターン12の座標位置コード情報とが関連付けて内蔵のメモリに蓄積させた。
【0062】
前記リンクモードの解除ボタンを押した後、前記座標位置コード情報が関連付けて内蔵のメモリに蓄積されたドットパターンテープ本体18のパターン区画28aに対してペン型端末26の光学的読み取りデバイス24をタッチすると、開封日が音声によって出力された。
【0063】
このように、グラビア印刷によりドットパターンを印刷することにより、高精細となり、また、透明フィルムのようなフレキシブルなシートであってもドットパターンが好適に印刷可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の情報出力システム及びドットパターンテープによれば、工業製品、食品、書籍、日常生活用品など、音声によるメモを付加したいものであれば如何なるものでも適用できる。また、食品の開封日などのメモのほか、本人識別コードを録音することで、正規品と偽造品の判別手段にも適用できる。故に、偽造防止手段として有用であるし、食品の他、種々の製品のトレーサビリティの手段として有用である。
【符号の説明】
【0065】
10:情報出力システム、12:ドットパターン、14:フィルム、16:粘着層、18:ドットパターンテープ本体、20:台紙テープ、22:ドットパターンテープ、23:音声出力デバイス、24:光学的読み取りデバイス、25:音声マイク、26:ペン型端末、27:被着体、28a,28b,28c,28d:パターン区画、29a,29b,31a,31b,31c:ボタン、30a,30b,30c:ミシン目、32:ドットパターンテープ貼付補助具、34:ケース部材、36:供給リール、38:押圧部材、40:巻取リール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標位置コード情報を有するドットパターンが視覚困難かつ光学読み取り可能にフィルムに印刷され、前記フィルムの外側に粘着層が設けられてなるドットパターンテープ本体と、前記ドットパターンテープ本体が台紙テープに剥離可能に貼り合わせられてなるドットパターンテープと、
音声を録音するデバイスと、前記ドットパターンを光学的に読み取るための光学的読み取りデバイスと、前記録音した音声と前記光学的に読み取ったドットパターンの座標位置コード情報とを関連付けて蓄積するデバイスと、前記関連付けられて蓄積されている関連付け情報を音声出力する音声出力デバイスと、を備えたペン型端末と、
を含み、前記ドットパターンテープ本体を被着体に貼付し、前記貼付したドットパターンテープ本体のドットパターンに対し、予め録音した音声を関連付けることにより、前記ドットパターンを前記ペン型端末の光学的読み取りデバイスで読み取った際に、前記関連付け情報が音声出力されるようにしてなることを特徴とする情報出力システム。
【請求項2】
前記ドットパターンテープ本体が所定のパターン区画を有し、前記所定のパターン区画毎に切り離し可能とされていることを特徴とする請求項1記載の情報出力システム。
【請求項3】
前記所定のパターン区画の座標位置コード情報が全て異なることを特徴とする請求項2記載の情報出力システム。
【請求項4】
前記所定のパターン区画の座標位置コード情報が全て同一であることを特徴とする請求項2記載の情報出力システム。
【請求項5】
ケース部材と、前記ケース部材内に粘着層側を外周側にしてドットパターンテープが巻装された供給リールと、前記供給リールから繰り出したドットパターンテープの粘着層側を被着面に押し当てて、前記ドットパターンテープ本体を被着面に貼付する押圧部材と、剥離した台紙テープを巻き取る巻取リールと、を含むドットパターンテープ貼付補助具を用いて前記ドットパターンテープ本体を被着体に貼付してなることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の情報出力システム。
【請求項6】
前記印刷がグラビア印刷によって行われることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の情報出力システム。
【請求項7】
前記グラビア印刷に用いられるグラビア版が、レーザー製版法により作製されることを特徴とする請求項6記載の情報出力システム。
【請求項8】
前記フィルムが、透明かつフレキシブルなシートであることを特徴とする請求項1〜7いずれか1記載の情報出力システム。
【請求項9】
前記ドットパターンテープ本体が、製品又は製品の包装体に貼付されることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の情報出力システム。
【請求項10】
前記ドットパターン本体に本人識別情報を付加してなることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載の情報出力システム。
【請求項11】
請求項1〜10いずれか1項記載の情報出力システムに用いられるドットパターンテープであって、座標位置コード情報を有するドットパターンが視覚困難かつ光学読み取り可能にフィルムに印刷され、前記フィルムの外側に粘着層が設けられてなるドットパターンテープ本体と、前記ドットパターンテープ本体が台紙テープに剥離可能に貼り合わせられてなることを特徴とするドットパターンテープ。
【請求項12】
前記ドットパターンテープ本体が所定のパターン区画を有し、前記所定のパターン区画毎に切り離し可能とされていることを特徴とする請求項11記載のドットパターンテープ。
【請求項13】
前記所定のパターン区画の座標位置コード情報が、全て異なることを特徴とする請求項12記載のドットパターンテープ。
【請求項14】
前記所定のパターン区画の座標位置コード情報が、全て同一であることを特徴とする請求項12記載のドットパターンテープ。
【請求項15】
請求項1〜10いずれか1項記載の情報出力システムに用いられるドットパターンテープ貼付補助具であって、ケース部材と、前記ケース部材内に粘着層側を外周側にしてドットパターンテープが巻装された供給リールと、前記供給リールから繰り出したドットパターンテープの粘着層側を被着面に押し当てて、前記ドットパターンテープ本体を被着面に貼付する押圧部材と、剥離した台紙テープを巻き取る巻取リールと、を含むことを特徴とするドットパターンテープ貼付補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−238145(P2012−238145A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106073(P2011−106073)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000131625)株式会社シンク・ラボラトリー (52)
【Fターム(参考)】