説明

情報出力装置、情報出力方法、及びコンピュータプログラム

【課題】文字認識に誤りがあったとしても、原文とは無関係な補足情報が出力されてしまうことを抑制できる情報出力装置、情報出力方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】原語「Animation」が「An!_ma|;_ion」と誤認識された場合、制御部11は、「Animation」を3個の単語「An」,「ma」,「ion」として扱い、「Animation」の「ion」に、原語とは無関係な訳語ルビ「イオン」が併記されることを抑制すべく、制御部11は、「ion」の先頭側又は後尾側に、「i」又は「t」等を誤認識した場合の可能性が高い特別文字(「|」又は「!」等)が位置しているか否かを判定する。「ion」の先頭側には、空白文字を介して2個の特別文字「|;」が位置しているため、「ion」は誤認識によって得られた語句であり、制御部11は誤認識によって得られた語句「ion」に対する訳語ルビを出力しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を文字認識することによって得られた文書に係る補足情報を出力する情報出力装置、情報出力方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録用紙又は書籍等の原稿に記録されている文書を、画像読取装置で画像として読み取り、読み取った画像に対して文字認識処理を施す技術が提案されている(特許文献1,2参照)。
更に、従来、文字認識処理の結果として出力された文章を用いて、元の文書(以下、原文という)を翻訳する技術が提案されている(特許文献3参照)。
【0003】
特許文献3に記載の文書画像生成装置は、原文を表わす電子文書画像(以下、原文画像という)に基づいて、原文の行間領域に、原文を翻訳した結果(以下、訳文という)がルビ状に併記されている電子文書画像(以下、訳文付き文書画像という)を生成する。
以下では、原文に含まれている語句を原語といい、原語に対してルビ状に併記されるべき訳語を訳語ルビという。また、以下では、文字間に存在する空白文字を明示する場合に、空白文字「 」に替えて、アンダーバー「_」を用いる。
英文和訳の場合、「animation 」及び「ion 」等の一般的な名詞は、通常、訳出される。しかしながら、不定冠詞、及び翻訳の際に用いた辞書に記載されていない語句(例えば「ma」)等は訳出されない。
【0004】
特許文献3に記載されているような文書画像生成装置においては、例えば、原語「Animation 」が、「Animation 」と正しく文字認識された場合、認識結果「Animation 」は、1個の単語「Animation 」として扱われる。このとき、原語「Animation 」に、正しい訳語ルビ「アニメーション」が併記される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−44604号公報
【特許文献2】特開平9−44606号公報
【特許文献3】特開2011−100356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、原語「Animation 」が、「An!_ma|;_ion」と誤って文字認識された場合(即ち誤認識された場合)、認識結果「An!_ma|;_ion」は、3個の単語「An」,「ma」,「ion 」として扱われる。このとき、原語「Animation 」の後尾部分の「ion 」に、誤った訳語ルビ「イオン」が併記される。
誤った訳語ルビは、往々にして原語とは全く無関係である。このため、訳文の読み手が、原文の意味を誤解したり、意味がわからなくなって混乱したりする虞がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、画像を文字認識することによって得られた語句の先頭側(又は後尾側)に隣り合う文字又は記号が、所定の文字又は記号である場合には、得られた語句の補足情報を出力しない構成とすることにより、たとえ誤認識が生じたとしても、原文とは無関係な補足情報が出力されてしまう不都合を抑制することができる情報出力装置、情報出力方法、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報出力装置は、画像を文字認識することによって得られた文書に関する補足情報を出力する情報出力装置であって、前記文書から、その語句に関する補足情報を出力可能な語句を抽出する語句抽出手段と、該語句抽出手段が抽出した語句の先頭側又は後尾側に隣り合う文字又は記号が、所定の文字又は記号であるか否かを判定する語句判定手段と、該語句判定手段が否と判定した場合に、前記語句に関する補足情報を出力する補足出力手段と、前記語句判定手段が、前記所定の文字又は記号であると判定した場合に、前記語句に関する補足情報の出力を省く出力省略手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る情報出力装置は、前記語句判定手段は、前記語句の先頭側又は後尾側に隣り合うN個(NはN≧2の自然数)の文字又は記号が、全て前記所定の文字又は記号であるか否かを判定し、前記補足出力手段は、前記語句判定手段が、前記N個の文字又は記号の内、少なくとも1個の文字又は記号が前記所定の文字又は記号ではないと判定した場合に、前記語句に関する補足情報を出力し、前記出力省略手段は、前記語句判定手段が、全て前記所定の文字又は記号であると判定した場合に、前記語句に関する補足情報の出力を省くようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る情報出力装置は、前記語句の先頭側又は後尾側に空白文字が隣り合っている場合、前記語句判定手段は、前記空白文字を無視するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る情報出力方法は、画像を文字認識することによって得られた文書に関する補足情報を出力する情報出力方法であって、前記文書から、その語句に関する補足情報を出力可能な語句を抽出し、抽出した語句の先頭側又は後尾側に隣り合う文字又は記号が、所定の文字又は記号ではない場合に、前記語句に関する補足情報を出力し、前記抽出した語句の先頭側又は後尾側に隣り合う文字又は記号が、前記所定の文字又は記号である場合に、前記語句に関する補足情報の出力を省くことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、画像を文字認識することによって得られた文書に関する補足情報を出力させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、前記文書から、その語句に関する補足情報を出力可能な語句を抽出させる抽出ステップと、コンピュータに、前記抽出ステップで抽出された語句の先頭側又は後尾側に隣り合う文字又は記号が、所定の文字又は記号であるか否かを判定させる語句判定ステップと、該語句判定ステップで否と判定された場合に、コンピュータに、前記語句に関する補足情報を出力させる出力ステップと、前記語句判定ステップで、前記文字又は記号であると判定された場合に、コンピュータに、前記語句に関する補足情報の出力を省かせる省略ステップとを実行させることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、情報出力装置が、語句抽出手段、語句判定手段、補足出力手段、及び出力省略手段を備える。本発明に係る情報出力装置は、本発明に係る情報出力方法を実現する。また、本発明に係るコンピュータプログラムは、本発明に係る情報出力装置が備える各種手段を、コンピュータのハードウェア要素を用いてソフトウェア的に実現させる。
語句抽出手段は、画像を文字認識することによって得られた文書から、その語句に関する補足情報を出力可能な語句を抽出する。
【0014】
ここで、その語句に関する補足情報を出力可能な語句とは、少なくとも、その語句に関する補足情報が存在する語句である。
また、語句抽出手段が抽出した語句とは、画像を文字認識することによって得られた文書に含まれている語句である。以下では、語句抽出手段が抽出した語句を、抽出語句という。
画像を文字認識することによって得られた文書は、元の文書(即ち原文)とは異なる虞がある。何故ならば、文字認識の際に誤認識が起こり得るからである。
【0015】
そこで、語句判定手段は、抽出語句の先頭側及び後尾側の内、少なくとも一方に隣り合う文字又は記号が、所定の文字又は記号(以下、特別文字という)であるか否かを判定する。
ここで、特別文字とは、原文に含まれている文字又は記号を誤認識することによって得られる可能性が高い文字又は記号(例えば文字「X」に対する記号「×」)である。或いは、特別文字とは、画像に含まれている汚れ又は空白部分等を誤認識することによって得られる可能性が高い文字又は記号(例えば点状の汚れに対する記号「・」)である。
【0016】
語句判定手段が否と判定する場合とは、抽出語句の先頭側(又は後尾側)に隣り合う文字又は記号が、特別文字ではない場合である。この場合には、抽出語句が、正しく文字認識された結果として得られたものである、と推定できる。
そこで、この場合には、補足出力手段は、抽出語句に関する補足情報を出力する。このとき出力される補足情報は、原語に関する補足情報である。
【0017】
一方、語句判定手段が、抽出語句の先頭側(又は後尾側)に隣り合う文字又は記号が、特別文字である、と判定する場合には、抽出語句が、誤認識の結果として得られたものである、と推定できる。
そこで、この場合には、出力省略手段は、抽出語句に関する補足情報の出力を省く。このとき出力が省かれる補足情報(即ち出力されない補足情報)は、原語とは無関係な補足情報である。
【0018】
本発明にあっては、語句判定手段は、抽出語句の先頭側及び後尾側の内、少なくとも一方に隣り合うN個の文字又は記号が、全て特別文字であるか否かを判定する。
何故ならば、原文が正しく文字認識された結果として、特別文字が得られる可能性もあるが、正しく文字認識されたのであれば、抽出語句の先頭側(又は後尾側)に隣り合うN個の文字又は記号が、全て特別文字である可能性は低い、と考えられるからである。
【0019】
語句判定手段が否と判定する場合とは、抽出語句の先頭側(又は後尾側)に隣り合うN個の文字又は記号の内、少なくとも1個の文字又は記号が、特別文字ではない場合である。この場合には、抽出語句が、正しく文字認識された結果として得られたものである、と更に確実に推定できる。
そこで、この場合には、補足出力手段は、抽出語句に関する補足情報を出力する。
【0020】
一方、語句判定手段が、抽出語句の先頭側(又は後尾側)に隣り合う文字又は記号が、全て特別文字である、と判定する場合には、抽出語句が、誤認識の結果として得られたものである、と更に確実に推定できる。
そこで、この場合には、出力省略手段は、抽出語句に関する補足情報の出力を省く。
以上の結果、語句判定手段による判定、即ち誤認識であるか否かの判定に、誤りが生じることを抑制することができる。延いては、正しく文字認識された結果として得られた抽出語句に関する補足情報が出力されない、という不都合を抑制することができる。
【0021】
本発明にあっては、抽出語句の先頭側及び後尾側の内、少なくとも一方に空白文字が隣り合っていない場合、語句判定手段は、空白文字を無視して判定処理を行なう。
【0022】
例えば英文では、単語間、及び、文と文との間等に、空白文字が配される。このため、仮に、語句判定手段が空白文字を無視せずに判定処理を行なえば、特別文字に空白文字が含まれているか否かに拘らず、語句判定手段が、正しく文字認識された結果として得られた抽出語句と、誤認識の結果として得られた抽出語句とを誤判定する虞がある。
語句判定手段が、空白文字を無視して判定処理を行なえば、このような不都合を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の情報出力装置、情報出力方法、及びコンピュータプログラムによる場合、誤認識の結果として得られた語句に関する補足情報、即ち、原語とは無関係な補足情報を出力しないようにすることができる。故に、原語とは無関係な無用の補足情報が、原語、延いては原文に対する誤解又は混乱等を招く、という不都合が生じることを抑制することができる。
その一方で、正しく文字認識された結果として得られた語句に関する補足情報、即ち、原語に関する補足情報を出力することができる。原語に関する有用な補足情報は、原語、延いては原文を理解する一助となることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報出力装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る情報出力装置にて訳文付き文書画像が生成される手順を説明するための機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る情報出力装置で実行される情報出力処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る情報出力装置に入力される原文画像の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る情報出力装置にて生成される文字データの一例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る情報出力装置で実行される訳語取得処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る情報出力装置にて生成される行テキストの一例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る情報出力装置が備える補足情報辞書DBに格納されているデータの一例を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る情報出力装置にて生成される訳出許否テーブルに格納されているデータ(訳出許否判定前)の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る情報出力装置で実行される訳出許否判定処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る情報出力装置が備える特別文字テーブルに格納されているデータの一例を示す模式図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る情報出力装置で実行される特別文字の在否を判定する処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態に係る情報出力装置にて生成される訳出許否テーブルに格納されているデータ(訳出許否判定後)の一例を示す模式図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る情報出力装置から出力される訳文付き文書画像の一例を示す模式図である。
【図15】従来の情報出力装置から出力される訳文付き文書画像の一例を示す模式図である。
【図16】原文画像及び訳文付き文書画像の他の一例を示す模式図である。
【図17】原文画像及び訳文付き文書画像の更に他の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報出力装置1の要部構成を示すブロック図である。
情報出力装置1は、パーソナルコンピュータ又はサーバ等の汎用コンピュータを用いて構成されている。
情報出力装置1は、制御部11、RAM12、ドライブ部13、記憶部14、操作部15、表示部16、及びI/F(インタフェース)部17を備えている。
【0027】
制御部11は、情報出力装置1の制御中枢である。制御部11は、RAM12を作業領域として用いて、装置各部を制御し、また、各種処理を実行する。
ドライブ部13は、例えばCD−ROMドライブを用いてなり、自身にセットされた記録媒体2から、各種の情報を読み取る。
記録媒体2は、例えば光ディスクであり、記録媒体2には、コンピュータプログラム2Pが記録されている。コンピュータプログラム2Pは、本発明の実施の形態におけるコンピュータプログラムとして機能する。
記憶部14は、不揮発性の大容量記憶装置を用いてなる。記憶部14は、制御部11によって各種データを読み書きされる。
【0028】
制御部11は、ドライブ部13にセットされた記録媒体2からコンピュータプログラム2Pを読み取り、読み取ったコンピュータプログラム2Pを、記憶部14に記憶させる。また、制御部11は、コンピュータプログラム2PをRAM12にロードし、ロードしたコンピュータプログラム2Pに従って、本発明の実施の形態に係る情報出力方法を実現する。
【0029】
記憶部14には、各後述する文字認識辞書DB(データベース)141、補足情報辞書DB142、及び特別文字テーブル143が予め記憶されている。
操作部15は、ユーザが情報出力装置1を操作するためのキーボード及びマウス等を用いてなる。ユーザは、操作部15を操作することによって、各種の指示を情報出力装置1に入力する。入力された指示は、制御部11に与えられる。
表示部16は、例えば液晶ディスプレイを用いてなり、制御部11に制御されて、例えば情報出力装置1にて生成された訳文付き文書画像を表示する。
I/F部17は、情報出力装置1と、情報出力装置1の外部の画像読取装置31及び画像形成装置32と(各後述)を接続するためのものである。
【0030】
画像読取装置31は、スキャナ、又はスキャナとして機能するデジタル複合機等である。画像読取装置31は、自身に載置された原稿に記録されている文書を、画像として光学的に読み取る。画像読取装置31が読み取った画像は、情報出力装置1へ送信される。このとき送信される画像は、元の文書(即ち原文)を表わす原文画像である。
情報出力装置1の制御部11は、I/F部17を介して、画像読取装置31から送信された原文画像を受信する。
【0031】
本実施の形態では、受信した原文画像に基づいて、制御部11が、PDF(Portable Document Format)形式の訳文付き文書画像を生成する場合について説明する。本実施の形態における訳文付き文書画像とは、原文の下側の行間領域に、補足情報としての訳文がルビ状に併記されている構成である。なお、訳文を併記すべき行間領域は、原文の下側の行間領域に限定されるものではない。
また、本実施の形態では、原文、及び訳文として、英文、及び英文中の単語又は連語を和訳してなる和文を例示する。ただし、具体例としては、英語の原語と日本語の訳語とを例示する(後述する図4及び図14参照)。
【0032】
制御部11は、生成した訳文付き文書画像を、表示部16に表示させる。又は、制御部11は、生成した訳文付き文書画像を、I/F部17を介して画像形成装置32へ送信する。
画像形成装置32は、プリンタ、又はプリンタとして機能するデジタル複合機等であり、受信した訳文付き文書画像を、記録用紙に形成する。
本実施の形態では、画像読取装置31及び画像形成装置32は別体に構成されているが、これらは一体に構成されていてもよい。
【0033】
なお、情報出力装置1は、原文画像を情報出力装置1の外部から受信する構成に限定されるものはない。例えば、表示部16を視認しながら操作部15を操作することによって、手書き文字を含む原文画像をユーザが生成する構成でもよい。
また、情報出力装置1にて生成された訳文付き文書画像は、情報出力装置1の外部のパーソナルコンピュータ又はサーバ等へ送信されてもよい。
次に、制御部11が訳文付き文書画像を生成する場合の手順を説明する。
【0034】
図2は、情報出力装置1にて訳文付き文書画像が生成される手順を説明するための機能ブロック図である。図2には、制御部11の機能が示されている。
図3は、情報出力装置1で実行される情報出力処理の手順を示すフローチャートである。
制御部11は、RAM12にロードしたコンピュータプログラム2Pに従って、図3に示す情報出力処理を実行する。S11〜S17の処理を実行する制御部11は、図2に示す原文画像取得手段41、文字領域抽出手段42、文字認識手段43、訳語取得手段44、付属情報決定手段45、訳文付き文書画像生成手段46、及び訳文付き文書画像出力手段47として機能する。付属情報については後述する。
【0035】
画像読取装置31に原稿が載置されている状態で、ユーザが操作部15を操作することによって、情報出力処理は実行開始される。
まず、制御部11は、原文画像を取得する(S11)。S11における制御部11は、画像読取装置31へ画像読取の指示を送信する。この結果、画像読取装置31から情報出力装置1へ原文画像が送信される。このとき、制御部11は、受信した原文画像をRAM12に記憶する。また、制御部11は、必要に応じて、原文画像に対し、解像度の調整、及びデータ形式の変換等の画像処理を施す。
なお、S11では、予め記憶部14に記憶してある原文画像をRAM12に読み出してもよい。
【0036】
図4は、情報出力装置1に入力される原文画像の一例を示す模式図である。図4に示す原文画像510は、原語「Animation 」からなる一行を含んでいる。
以下では、S11の処理の結果として、原文画像510が取得された場合を説明する。
【0037】
図3に示すS11の処理終了後、制御部11は、RAM12に記憶された原文画像から、文字が含まれている文字領域を抽出し(S12)、抽出した文字領域に含まれる文字を認識する(S13)。S13における制御部11は、例えば公知のOCR(Optical Character Recognition )技術を利用して、文字領域に含まれる文字の認識を行なう。このとき、制御部11は、後述する図5に示すような文字データを生成して、RAM12に記憶させる。
ところで、文字認識処理では、主に文字の形状(即ち字形)でパターンマッチングを行なうことによって、文字が特定される。このために、文字認識辞書DB141には、各文字の字形データが予め格納されている。
【0038】
図5は、文字データの一例を示す模式図である。
文字データは、S13における文字の認識結果(以下、認識文字という)と、認識文字に係る付属情報とを含んでなる。
図5に示す「文字」は、認識文字である。文字認識処理では、終止符及びコンマ等の記号、並びに空白文字等も文字として扱われる。このため、認識文字には、「A 」及び「n 」等のアルファベットと共に、「! 」及び「| 」等の記号と、空白文字であることを示す「(空白)」とが含まれている。
【0039】
図5に示す「文字番号」は、制御部11が認識文字の夫々に順に付与した識別番号である。
図5に示す「左X」、「上Y」、「右X」、「下Y」、「領域番号」、「行内位置」、及び「サイズ」は、付属情報である。
「左X」、「上Y」、「右X」、及び「下Y」は、原文画像中での各認識文字の位置を意味する。各認識文字の位置は、認識文字の左端のX座標、上端のY座標、右端のX座標、及び下端のY座標で表されている。
「領域番号」は、制御部11が文字領域に付与した識別番号である。
【0040】
「行内位置」は、各認識文字の行内での位置を意味する。行内位置は、行頭を示す「1」、行末を示す「2」、行中を示す「0」、及び行頭且つ行末を示す「3」の何れかの数値を用いて表わされる。行内位置「3」は、行内の文字数が1個である場合にのみ用いられる。行内位置「1」,「2」は、行内の文字数が2個以上である場合に用いられる。行内位置「0」は、行内の文字数が3個以上である場合に用いられる。
「サイズ」は、認識文字のフォントサイズであり、単位はポイントである。
図3に示すS13の処理終了後、制御部11は、次の図6に示す訳語取得処理を実行する(S14)。
【0041】
図6は、訳語取得処理手順の詳細を示すフローチャートである。
制御部11は、S13で生成した文字データに基づいて、各行におけるテキストの内容を表す行データを生成する(S31)。S31における制御部11は、文字番号の順に行頭の文字から行末の文字まで認識文字を並べることによって、一行分の行テキストを生成し、生成した行テキストに、行テキストの識別番号である行番号を関連付けることによって、行データを生成する。
【0042】
図7は、行テキストの一例を示す模式図である。
図5に示す文字データから生成される行テキストは、図7に示す「An!_ma|;_ion」である。従って、原語「Animation 」は、「An!_ma|;_ion」と誤認識されている。しかしながら、この段階で、制御部11が誤認識の有無を判定することはない。
次に、制御部11は、図6に示すS31で生成した行データに基づいて、次に説明する文章データ及び改行データを生成する(S32)。
【0043】
S32における制御部11は、行番号の順に行テキストを連結することによって、文章データを生成する。本実施の形態で例示されている原文の言語は英語であるため、行テキストは、各行テキストの最後尾に空白文字を挿入した上で連結される。挿入された空白文字の位置は、改行位置に相当する。S32における制御部11は、行番号と改行位置とを関連付けることによって、改行データを生成する。
S32の処理終了後、制御部11は、補足情報辞書DB142に格納されているデータ(次の図8の参照)を用いて、後述するS33及びS35の処理を実行する。
【0044】
図8は、補足情報辞書DB142に格納されているデータの一例を示す模式図である。
補足情報辞書DB142には、自然言語処理に必要なデータと、後述する訳出レベルとが格納されている。自然言語処理に必要なデータとは、言語の文法、構文の出現頻度、及び単語の意味等を示すデータである。
例えば、補足情報辞書DB142には、原語と訳語と訳出レベルとが関連付けられて格納されている。具体的には、原語「an」には訳語「一つの」と訳出レベル「0」とが関連付けられ、原語「animation 」には訳語「アニメーション」と訳出レベル「4」とが関連付けられている。
【0045】
訳出レベルは、原語の難易度に対応する。難易度が高い原語には、訳語ルビが併記されるが、難易度が低い原語に対する訳語ルビの併記は省略される。何故ならば、全ての原語に対応する訳語ルビを行間領域に配置することは、一般に困難だからであり、仮に、併記することができたとしても、可読性が悪化する虞があるからである。
制御部11は、訳出レベルが、操作部15を用いてユーザが設定した設定訳出レベル、又はデフォルトで設定された設定訳出レベル以上である原語を、難易度が高い原語である、と判定する。
本実施の形態における設定訳出レベルは「1」以上であり、具体的には「4」である。従って、「animation 」には訳語ルビが併記されるが、「an」には訳語ルビは併記されない。
【0046】
制御部11は、図6に示すS32で生成した文章データに対して、補足情報辞書DB142を検索しながら自然言語処理を行なう。このとき、制御部11は、文章データが表す文章に含まれる語句を抽出する(S33)。S33における制御部11は、文章の形態素解析、局所構文解析、及び品詞推定等の自然言語処理を行なう。このとき、制御部11は、文章中に含まれる単語、及び複数の単語からなる連語を抽出する。そして、制御部11は、抽出した語句(即ち抽出語句)を含む訳出許否テーブル(次の図9参照)を生成して、RAM12に記憶させる。
【0047】
図9は、訳出許否テーブルに格納されているデータの一例を示す模式図である。ただし、図9に示す訳出許否テーブルの内容は、後述するS34の処理実行前(即ち訳出許否判定前)のものである。
制御部11は、各抽出語句に、抽出語句の識別番号であるIDと、抽出語句の先頭に位置する認識文字の文字番号と、抽出語句の文字数と、抽出語句に対応する原語の訳出レベル(以下、抽出語句に係る訳出レベルという)とを関連付けることによって、訳出許否テーブルを生成する。
後述するS34、及びS35の処理を実行することによって、各抽出語句には、後述する訳出許否、及び訳語が更に関連付けられる。
【0048】
図7に示す行テキスト「An!_ma|;_ion」を含む文章データからは、図9Aに示す訳出許否テーブルが生成される。以下では、図9Aに示す訳出許否テーブルの生成について説明する。
空白文字は単語同士の区切りである。このため、制御部11は、「An!_ma|;_ion」を、「An! 」、「ma|;」、及び「ion 」の3つに区切る。次に、「An! 」に含まれる「! 」は感嘆符であり、「ma|;」に含まれる「| 」及び「; 」はパイプ及びセミコロンである。このため、制御部11は、「An! 」及び「ma|;」を「An」及び「ma」と看做す。
【0049】
補足情報辞書DB142には、図8に示すように、「an」及び「ion 」は原語として格納されているが、「An」及び「ma」は格納されていない。しかしながら、「An」の「A 」は文頭に位置する。故に、制御部11は、「An」は「an」に等しいと看做す。
このように、語句「An」及び「ion 」は、訳語ルビを併記することが可能な語句である。語句「ma」には、訳語がないため訳語ルビを併記することが不可能である。
【0050】
以上の結果、制御部11は、「An!_ma|;_ion」から2個の抽出語句「An」及び「ion 」を得る。そして、制御部11は、抽出語句「An」にID「1」を与え、抽出語句「ion 」にID「2」を与えて、文字番号及び文字数と共に、訳出許否テーブルに格納する。
このように、誤認識が生じた場合の抽出語句は、原語とは一致しない。
S33における制御部11が抽出した抽出語句は、本発明の実施の形態における、その語句に関する補足情報を出力可能な語句である。
S33の処理を実行する制御部11は、本発明の実施の形態における語句抽出手段として機能する。
【0051】
ところで、S13の処理において原語「Animation 」が正しく文字認識された場合、S31及びS32の処理によって、行テキスト「Animation 」を含む文章データが生成される。文章データ「Animation 」からは、1個の単語「Animation 」が得られる。補足情報辞書DB142には、「animation 」が原語として格納されており、単語「Animation 」の「A 」は文頭に位置するため、「Animation 」は「animation 」に等しい。従って、この場合には、図9Bに示す訳出許否テーブルが生成される。
このように、正しく文字認識された場合の抽出語句は、原語と一致する。
【0052】
ここで、訳出許否とは、訳出許否テーブルに格納されている各抽出語句の訳出を許可するか否か、という意味である。訳出許否テーブルにて訳出許否「許」が関連付けられている抽出語句については、訳文付き文書画像において、この抽出語句に対応する原語に訳語ルビが併記される。即ち、補足情報が出力される。訳出許否テーブルにて訳出許否「否」が関連付けられている抽出語句については、訳文付き文書画像において、この抽出語句に対応する原語に訳語ルビが併記されない。即ち、補足情報の出力が省略される。
制御部11は、図6に示すS33の処理終了後に、次の図10に示す訳出許否判定処理を実行する(S34)。この結果、抽出語句毎に訳出の許否が判定される。
【0053】
図10は、訳出許否判定処理手順の詳細を示すフローチャートである。
制御部11は、訳出許否テーブルに格納されている抽出語句の内、その抽出語句についてS52以降の処理をまだ実行していないものを1つ選択する(S51)。
次に、制御部11は、訳出許否テーブルを参照して、S51で選択した抽出語句に係る訳出レベルが、設定訳出レベル以上であるか否かについて判定する(S52)。
訳出レベルが設定訳出レベル未満である場合(S52でNO)、制御部11は、訳出許否テーブルにおいて、S51で選択した抽出語句に訳出許否「否」を関連付ける(S53)。
【0054】
具体的には、S51で選択した抽出語句が「An」ならば、S52でNOと判定され、S53で抽出語句「An」に訳出許否「否」が関連付けられる。
S51で選択した抽出語句が「ion 」又は「Animation 」ならば、訳出レベルが設定訳出レベル以上であるため、S52でYESと判定される。
【0055】
訳出レベルが設定訳出レベル以上である場合、従来の手順ならば、S51で選択した抽出語句に訳出許否「許」が関連付けられる。
S51で選択した抽出語句が図9Bに示す訳出許否テーブルに格納されている抽出語句である場合には、従来の手順でも特段の問題は生じない。何故ならば、図9Bに示す訳出許否テーブルに格納されている抽出語句に基づいて補足情報辞書DB142を検索すれば、原語に対応する訳語が得られるからである。従って、得られた訳語が訳語ルビとして原語に併記されていれば、原語の理解が容易になる。
【0056】
しかしながら、S51で選択した抽出語句が図9Aに示す訳出許否テーブルに格納されている抽出語句である場合には、従来の手順では問題が生じる。何故ならば、図9Aに示す訳出許否テーブルに格納されている抽出語句に基づいて補足情報辞書DB142を検索すると、原語とは無関係な語句に対応する訳語が得られるからである。従って、得られた訳語が訳語ルビとして原語に併記されていると、原語の理解が困難になる。
【0057】
故に、本実施の形態における制御部11は、以下のような手順で、抽出語句が正しく文字認識された結果として得られたものであるか、誤認識の結果として得られたものであるかを判定する。そして、制御部11は、正しく文字認識された結果として得られた抽出語句には訳出許否「許」を関連付け、誤認識の結果として得られた抽出語句には訳出許否「否」を関連付ける。
【0058】
S51で選択した抽出語句に係る訳出レベルが設定訳出レベル以上である場合(S52でYES)、制御部11は、文章データを検索することによって、S51で選択した抽出語句の先頭側に、特別文字がM個以上存在するか否かを判定する(S54)。ここで、MはM≧2の自然数であり、コンピュータプログラム2Pにて定義されている。S54の処理の詳細については後述する。
抽出語句の先頭側にM個以上の特別文字が存在しない場合(S54でNO)、制御部11は、文章データを検索することによって、S51で選択した抽出語句の後尾側に、特別文字がM個以上存在するか否かを判定する(S55)。S55の処理の詳細については後述する。
【0059】
抽出語句の先頭側にM個以上の特別文字が存在する場合(S54でYES)、又は、抽出語句の後尾側にM個以上の特別文字が存在する場合(S55でYES)、制御部11は、S53へ処理を移して、S51で選択した抽出語句に訳出許否「否」を関連付ける。つまり、抽出語句の前後の少なくとも一方にM個以上の特別文字が存在する場合の訳出許否は「否」である。
一方、抽出語句の後尾側にM個以上の特別文字が存在しない場合(S55でNO)、制御部11は、訳出許否テーブルにおいて、S51で選択した抽出語句に訳出許否「許」を関連付ける(S56)。
つまり、抽出語句の前後の何れにも、特別文字が全く存在しないか又はM個未満の特別文字が存在する場合の訳出許否は「許」である。
【0060】
ここで、特別文字テーブル143について説明する。
図11は、特別文字テーブル143に格納されているデータの一例を示す模式図である。
特別文字テーブル143には、特別文字として、5個の記号(図11参照)が格納されており、特別文字に関連付けて、特別文字を識別するための文字IDが格納されている。
【0061】
特別文字テーブル143に格納されている特別文字は、アルファベット「f 」、「i 」、又は「t 」等が誤認識された結果として得られる可能性が高い記号である。
特別文字は、例示されている5個の記号に限定されず、例えばアルファベット「o 」と誤認識され易い記号「○」が含まれていてもよい。また、アルファベット「l 」と誤認識され易い数字「1 」、又はアルファベット「L」と誤認識され易い平仮名「し」が含まれていてもよい。更に、文字認識された原文の言語に応じて、互いに異なる特別文字テーブル143が用いられてもよい。例えば、日本語を文字認識した場合に用いるべき特別文字テーブル143には、漢字「井」と誤認識され易い記号「#」が含まれていてもよい。
【0062】
次に、図10に示すS54及びS55の処理について詳述する。
図12は、特別文字の在否を判定するS54(又は55)の処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
以下では、抽出語句「ion 」を用いて、S54に関して図12の処理を実行する場合を先に説明する。
制御部11は、まず、変数mに0を代入し(S71)、変数jに1を代入する(S72)。
【0063】
次いで、制御部11は、文章データにて、抽出語句の先頭文字のj個前の認識文字を求める(S73)。
S73の処理を実行することによって、「An!_ma|;_ion」を含む文章データから、抽出語句「ion 」の先頭文字の1個前の認識文字「_ 」(即ち空白文字)が得られる。
ところで、抽出語句が「Animation 」の場合、抽出語句の先頭文字の1個前の認識文字は存在しない。換言すれば、抽出語句の先頭文字のj個前には空白文字も特別文字も存在しない。従って、この場合には、制御部11は、S73の処理を終了して次のS74へ処理を移し、後述するS74及び76の両方でNOと判定すればよい。
【0064】
次に、制御部11は、S73で求めた認識文字が空白文字であるか否かを判定する(S74)。
S73で求めた認識文字が空白文字である場合(S74でYES)、制御部11は、変数jを1インクリメントしてから(S75)、処理をS73へ戻す。この結果、m=0及びj=2となる。
抽出語句「ion 」の先頭文字の1個前の認識文字は空白文字である。従って、制御部11は、変数jをj=2としてから、処理をS73へ戻す。
【0065】
S73で求めた認識文字が空白文字ではない場合(S74でNO)、制御部11は、特別文字テーブル143を参照して、S73で求めた認識文字が特別文字であるか否かを判定する(S76)。
抽出語句「ion 」の先頭文字の2個前の認識文字は「; 」である。これは、空白文字ではなく、特別文字である。
S73で求めた認識文字が特別文字である場合(S76でYES)、制御部11は、変数mを1インクリメントしてから(S77)、処理をS75へ移して変数jを1インクリメントする。この結果、m=1及びj=3となる。
【0066】
抽出語句「ion 」の先頭文字の3個前の認識文字は「| 」である。これは、空白文字ではなく、特別文字である。従って、S77及びS75の処理が順次実行され、m=2及びj=4となる。
S73で求めた認識文字が特別文字ではない場合(S76でNO)、即ち、S73で求めた認識文字が特別文字以外の文字又は記号である場合、制御部11は、変数mが定数M以上であるか否かを判定する(S78)。ここで、定数Mとは、訳出許否を正確に判定するためのものである。本実施の形態では、M=2の場合を例示する。
【0067】
抽出語句「ion 」の先頭文字の4個前の認識文字は「a 」である。これは、空白文字でも特別文字でもない。従って、m=2及びj=4の状態で、S78の処理が実行される。
m≧Mの場合(S78でYES)、図10に示すS51で選択した抽出語句の先頭側に、M個以上の特別文字が存在する。従って、制御部11は、S54の処理でYESと判定する(S79)。
m<Mの場合(S78でNO)、S51で選択した抽出語句の先頭側に、M個以上の特別文字が存在しない。従って、制御部11は、S54の処理でNOと判定する(S80)。
【0068】
以上の結果、抽出語句「ion 」には、図10に示すS53にて訳出許否「否」が関連付けられる。
なお、制御部11は、S77の処理実行後に、変数mが定数M以上であるか否かを判定し、m≧Mの場合は処理をS79へ移し、m<Mの場合は処理をS75へ移してもよい。このような実施の形態では、S76でNOと判定された場合、制御部11は、S78の処理を実行せずにS80の処理を実行すればよい。
以上のように、図12に示す処理における変数mは、抽出文字の前側の特別文字の個数を計数するためのものであり、変数jは、抽出文字の前側の何番目の認識文字に注目しているかを示すものである。
【0069】
本実施の形態では、制御部11がS73で求めた認識文字毎にS74の処理を行なう。このため、S73で求めた認識文字が空白文字である場合には、当該認識文字に対するS76以降の処理は行なわれない。換言すれば、制御部11は、空白文字を無視して、特別文字の有無の判定と特別文字の個数の計数とを実行している。
英文における空白文字は、一般に、単語同士又は文同士等の区切りである。従って、本実施の形態では空白文字は特別文字として扱われていない。故に、空白文字を無視せずにS76の判定を実行すると、抽出語句「ion 」の先頭側に空白文字を介して存在する認識文字「; 」及び「| 」を計数せずにS78以降の処理が実行されてしまう。
【0070】
仮に、空白文字を特別文字として扱い、M=3とすれば、抽出語句「ion 」に関しては、本実施の形態と同様の結果を得ることができる。
しかしながら、通常、単語同士は1個の空白文字で区切られるが、文同士は1個の空白文字で区切られる場合も2個の空白文字で区切られる場合もある。また、空白文字の個数が誤認識されないという保証はない。従って、空白文字を特別文字とした場合には、訳出許否を正確に判定するための定数Mを設定することが困難である。
以上のことから、本実施の形態における制御部11は、訳出許否を判定する際に、空白文字は無視している。
【0071】
次に、S55に関して図12の処理を実行する場合を説明する。
この場合、S73における制御部11は、文章データにて、抽出語句の後尾文字のj個後の認識文字を求める。このとき、抽出語句の後尾文字のj個後に空白文字も特別文字も存在しないならば、制御部11は、S73の処理を終了して次のS74へ処理を移し、S74及び76の両方でNOと判定すればよい。
そして、S79における制御部11は、S55の処理でYESと判定し、S80における制御部11は、S55の処理でNOと判定する。
以上の結果、抽出語句が「Animation 」の場合、S54及びS55の何れにおいてもNOと判定される。従って、抽出語句「Animation 」には、S56にて訳出許否「許」が関連付けられる。
【0072】
以上のようなS54又はS55の処理を実行する制御部11は、本発明の実施の形態における語句判定手段として機能する。
ところで、S54(又はS55)でYESと判定された結果として訳出許可「否」が関連付けられた抽出語句とは、当該抽出語句の先頭側(又は後尾側)で誤認識が生じた可能性が高い抽出語句である。故に、S54及びS55の処理とは、誤認識の有無を判定する処理であり、誤認識が生じた箇所を検出する処理である、と看做すこともできる。
【0073】
図10に示すS53又はS56の処理終了後、制御部11は、訳出許否テーブルに格納されている抽出語句の内、その抽出語句についてS52以降の処理をまだ実行していないもの(図中「未判定語句」)があるか否かを判定する(S57)。
未判定語句がある場合(S57でYES)、制御部11は、処理をS51へ戻す。
未判定語句がない場合(S57でNO)、制御部11は、訳出許否判定処理を終了して、図6に示す訳語取得処理へ戻る。
【0074】
図6に示すS34の処理終了後、制御部11は、訳出許否テーブルに格納されている抽出語句の内、訳出許可「許」が関連付けられている抽出語句の訳語を、当該抽出語句に関連付けて訳出許否テーブルに格納する(S35)。S35における制御部11は、訳出許可「許」が関連付けられている抽出語句に基づいて補足情報辞書DB142を検索することによって、抽出語句の訳語を取得する。
【0075】
図13は、訳出許否テーブルに格納されているデータの一例を示す模式図である。ただし、図13に示す訳出許否テーブルの内容は、S34の処理実行後(即ち訳出許否判定後)のものである。
S34の処理を実行することによって、図9Aに示す訳出許否テーブルは、図13Aに示す訳出許否テーブルとなり、図9Bに示す訳出許否テーブルは、図13Bに示す訳出許否テーブルとなる。
【0076】
仮に、S33の処理を実行した段階で、訳出許否テーブルに訳語を格納すると、正しく文字認識された結果である抽出語句に、不適切な訳語が関連付けられる虞がある。何故ならば、語句に複数の訳語が存在する場合、各語句の前後の語句の意味を考慮して、最適な訳語を推定する必要があるからである。このとき、S34の処理にて訳出許否「否」となるべき抽出語句の意味を考慮すると、最適な訳語を推定できない可能性が高い。
【0077】
S35の終了後、制御部11は、訳語取得処理を終了して、図3に示す情報出力処理へリターンする。
図6に示すS33及びS35の処理を実行する制御部11は、図2に示す辞書検索手段441として機能し、S34の処理を実行する制御部11は、訳出許否判定手段442として機能する。
図3に示すS14の処理終了後、制御部11は、訳出許否テーブルに格納されている各訳語について、訳文付き文書画像に訳語ルビを配置する際の配置位置及びフォントサイズ等の付属情報を決定する(S15)。
【0078】
次いで、制御部11は、S15の処理で決定された付属情報に基づき、原文画像中に訳語ルビを配置することによって、原語に対して訳語ルビが併記された訳文付き文書画像を生成する(S16)。
S15及び16の処理を実行する際には、例えば特許文献3に記載されているような公知の技術を用いればよい。
最後に、制御部11は、訳文付き文書画像を出力する(S17)。S17における制御部11は、訳文付き文書画像の出力を、例えば表示部16に表示させること、画像形成装置32にて記録用紙に画像形成すること、記憶部14若しくは図示しない外部のファイルサーバに記憶させること、又は電子メールに添付して送信すること等、任意の形式で実行する。
【0079】
図10に示すS56の処理を実行した上で図6に示すS35の処理を実行し、更に図3に示すS15以降の処理を実行する制御部11は、本発明の実施の形態における補足出力手段として機能する。
また、図10に示すS54又はS55でYESと判定されることによってS53の処理を実行した上で図6に示すS35の処理を実行し、更に図3に示すS15以降の処理を実行する制御部11は、本発明の実施の形態における出力省略手段として機能する。
【0080】
図14は、情報出力装置1から出力される訳文付き文書画像の一例を示す模式図である。
制御部11が図6に示すS34の処理を実行することによって、図13Aに示す訳出許否テーブルが得られた場合には、制御部11が図3に示すS16の処理を実行することによって、図14Aに示す訳文付き文書画像511が生成される。原語「Animation 」が誤認識された場合には、訳文付き文書画像511に示すように、原語「Animation 」に対する訳語ルビの併記は省略される。
【0081】
一方、制御部11が図6に示すS34の処理を実行することによって、図13Bに示す訳出許否テーブルが得られた場合には、制御部11が図3に示すS16の処理を実行することによって、図14Bに示す訳文付き文書画像512が生成される。原語「Animation 」が正しく文字認識された場合には、訳文付き文書画像512に示すように、原語「Animation 」に対する訳語ルビ「アニメーション」が併記される。
【0082】
ところで、図3に示すS17で出力された訳文付き文書画像511をユーザが視認した場合、ユーザには、原語「Animation 」に訳語ルビが併記されていない理由が、原語「Animation 」の訳出レベルが設定訳出レベル未満だったせいなのか、原語「Animation 」が誤認識されたせいなのかがわからない。
【0083】
そこで、S54又はS55でYESと判定された抽出語句「ion 」に、文字認識の際に誤認識されたことを示すフラグをセットし、訳文付き文書画像511を生成する際に、原語「Animation 」の抽出語句「ion 」に相当する部分に、例えば下線を引く、又は網掛けをすることが考えられる。この場合、訳語ルビが省略されている原語「Animation 」を、訳出レベルが設定訳出レベル未満だったせいで訳語ルビが省略されている他の語句と区別することができる。更に、この場合には、ユーザは、原語「Animation 」の「ion 」の部分の前後で誤認識が生じたのだと把握することができる。
【0084】
図15は、従来の情報出力装置から出力される訳文付き文書画像の一例を示す模式図である。
図15に示す訳文付き文書画像513は、図10に示すS52の処理でYESと判定した場合に、S54及びS55の処理を実行せずにS56の処理を実行するような、従来の情報出力装置から出力される。図15に示すように、原語「Animation 」が誤認識されたせいで、原語「Animation 」には原語「Animation 」とは無関係の訳語ルビ「イオン」が併記されている。
【0085】
とはいえ、S17で出力された訳文付き文書画像513をユーザが視認した場合、訳語ルビ「イオン」の配置位置が原語「Animation 」の配置位置の後尾側にずれていることから、ユーザが、誤認識によって無関係の訳語ルビが原語「Animation 」に併記されていることを察する可能性はある。
【0086】
図16Aは、原文画像の他の一例を示す模式図である。
図16B,Cは、訳文付き文書画像の他の一例を示す模式図である。
図16Aに示す原文画像520は、原語「significant 」からなる一行を含んでいる。原語「significant 」が「sign_;|cant 」と誤認識された場合、図6に示すS33における制御部11は、「sign_;|cant 」を「sign」及び「cant」の2つに区切る。次に、制御部11は、「sign」及び「cant」から1個の抽出語句「sign」を得る。何故ならば、単語「cant」は補足情報辞書DB142に格納されていないからである。
【0087】
従来の情報出力装置においては、抽出語句「sign」に訳出許否「許」が関連付けられる。故に、図16Bに示す訳文付き文書画像521が生成及び出力される。
訳文付き文書画像521をユーザが視認した場合、訳語ルビ「サイン」の配置位置が原語「significant 」に対応しているため、ユーザは、原語「significant 」の訳語が「サイン」であると誤解してしまう可能性が高い。
一方、情報出力装置1においては、抽出語句「sign」に訳出許否「否」が関連付けられる。何故ならば、抽出語句「sign」の後尾側に、M個以上の特別文字が存在するからである。この結果、図16Cに示す訳文付き文書画像522が生成及び出力される。
【0088】
次に、定数MがM≠1である理由について説明する。
図4に示す原文画像510の原語「Animation 」が「An!_ma|;_ion」と誤認識された場合、又は、図16Aに示す原文画像520の原語「significant 」が「sign_;|cant 」と誤認識された場合等には、M=1であっても問題はない。
しかしながら、正しく文字認識された結果として、例えば感嘆文を含む文書データが得られた場合、M=1であれば、感嘆符の直後の語句に訳出許否「否」が関連付けられる、という不都合が生じる。
【0089】
また、次のような例も考えられる。
図17Aは、原文画像の他の一例を示す模式図である。
図17B,Cは、訳文付き文書画像の他の一例を示す模式図である。
図17Aに示す原文画像530は、原語「abundance 」からなる一行と、この一行を囲む長方形状の破線とを含んでいる。
原文画像530の場合、原語「abundance 」の直前に位置する破線の一部が誤って特別文字「| 」として認識され、行テキスト「|_abundance 」を含む文章データが生成されることが考えられる。
【0090】
このとき、M=1であれば、抽出語句「abundance 」に訳出許否「否」が関連付けられ、図17Bに示す訳文付き文書画像531が得られる。即ち、抽出語句「abundance 」は原語を正しく文字認識したものであるにもかかわらず、訳語ルビが併記されない、という不都合が生じる。
一方、M≧2であれば、抽出語句「abundance 」に訳出許否「許」が関連付けられ、図17Cに示す訳文付き文書画像532が得られる。即ち、原語「abundance 」に訳語ルビ「存在度」が併記される。
【0091】
次に、原語「Animation 」が「An!ma|;ion」と誤認識された場合、又は原語「significant 」が「sign;|cant」と誤認識された場合を考える。即ち、特別文字の前後に空白文字が存在しない場合を考える。
このような場合、制御部11が、特別文字を単語同士の区切りであると看做せばよい。このとき、制御部11は、図6に示すS33の処理で、「An!ma|;ion」を「An! 」、「ma|;」、及び「ion 」の3つに区切って抽出語句「An」及び「ion 」を得る。また、制御部11は、S33の処理で、「sign;|cant」を「sign」及び「cant」の2つに区切って抽出語句「sign」を得る。
【0092】
なお、制御部11が、「An!ma|;ion」を一単語「An!ma|;ion」と看做し、「sign;|cant」を一単語「sign;|cant」と看做す構成でもよい。これは、制御部11が、空白文字に隣り合っていない特別文字を、単語同士の区切りとは看做さない構成である。この場合、各単語「An!ma|;ion」及び「sign;|cant」は補足情報辞書DB142に格納されていないため、原語「Animation 」及び「significant 」に訳語ルビが併記されることはない。
【0093】
ただし、このような構成では、制御部11は、各単語「An!ma|;ion」及び「sign;|cant」に対して、誤認識の有無を検出する処理及び誤認識が生じた箇所を検出する処理を施すことはない。何故ならば、各単語「An!ma|;ion」及び「sign;|cant」は、S33の処理の結果、抽出語句ではないものとして扱われるからである。
【0094】
以上のような情報出力装置1、情報出力方法、及びコンピュータプログラム2Pにおいては、文字認識の誤りが生じた結果として原語とは無関係の訳語ルビが原語に併記されてしまう不都合を抑制することができる。この結果、原語とは無関係の訳語ルビが原語に併記される可能性が低減されるため、訳文付き文書画像の訳振り品質を向上させることができる。
【0095】
なお、情報出力装置1は、訳文付き文書画像を生成し出力する構成に限定されない。例えば、情報出力装置1は、原語と訳語との対照表を生成し出力する構成でもよい。
また、原文は英文に限定されず、訳文は和文に限定されるものではない。
更に、原文画像及び訳文付き文書画像夫々は、カラー画像でもモノクローム画像でもよい。
更にまた、情報出力装置1は、原文と、補足情報としての原文の注釈、読み仮名、発音記号、又はピンイン記号等とが併記されている補足情報付き文書画像を生成し出力する構成でもよい。
【0096】
情報出力装置1は、PDF以外の形式で訳文付き文書画像を生成してもよい。
本実施の形態においては、情報出力装置1の制御中枢である制御部11が、コンピュータプログラム2Pに従って、本発明の実施の形態における情報出力方法を実現する形態を示したが、これに限るものではない。例えば、情報出力装置1は、本発明の実施の形態における情報出力方法に係る演算処理の一部又は全部を実行する専用の演算回路を備える構成でもよい。
また、情報出力装置1は、汎用コンピュータを用いてなる構成に限定されず、スキャナ、プリンタ、又はデジタル複合機等を用いてなる構成でもよい。
【0097】
本実施の形態のコンピュータプログラム2Pは、可搬性を有する記録媒体2に記録されて配布される構成であるが、このような構成に限定されず、通信回線を介して配信される構成でもよく、記憶部14に工場出荷時に記憶される構成でもよく、情報出力装置1にインストールせずに記録媒体又は配信元から読み取られて直接的に実行される構成でもよい。
また、文字認識辞書DB141、補足情報辞書DB142、及び特別文字テーブル143は、制御部11が自在に検索又は参照できるのであれば、情報出力装置1が内蔵する記憶部14に記憶してある構成に限定されず、外部の記憶装置に記憶してある構成でもよい。
【0098】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、情報出力装置1に、実施の形態に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 情報出力装置
11 制御部(語句抽出手段,語句判定手段,補足出力手段,出力省略手段)
2P コンピュータプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を文字認識することによって得られた文書に関する補足情報を出力する情報出力装置であって、
前記文書から、その語句に関する補足情報を出力可能な語句を抽出する語句抽出手段と、
該語句抽出手段が抽出した語句の先頭側又は後尾側に隣り合う文字又は記号が、所定の文字又は記号であるか否かを判定する語句判定手段と、
該語句判定手段が否と判定した場合に、前記語句に関する補足情報を出力する補足出力手段と、
前記語句判定手段が、前記所定の文字又は記号であると判定した場合に、前記語句に関する補足情報の出力を省く出力省略手段と
を備えることを特徴とする情報出力装置。
【請求項2】
前記語句判定手段は、前記語句の先頭側又は後尾側に隣り合うN個(NはN≧2の自然数)の文字又は記号が、全て前記所定の文字又は記号であるか否かを判定し、
前記補足出力手段は、前記語句判定手段が、前記N個の文字又は記号の内、少なくとも1個の文字又は記号が前記所定の文字又は記号ではないと判定した場合に、前記語句に関する補足情報を出力し、
前記出力省略手段は、前記語句判定手段が、全て前記所定の文字又は記号であると判定した場合に、前記語句に関する補足情報の出力を省くようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記語句の先頭側又は後尾側に空白文字が隣り合っている場合、前記語句判定手段は、前記空白文字を無視するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報出力装置。
【請求項4】
画像を文字認識することによって得られた文書に関する補足情報を出力する情報出力方法であって、
前記文書から、その語句に関する補足情報を出力可能な語句を抽出し、
抽出した語句の先頭側又は後尾側に隣り合う文字又は記号が、所定の文字又は記号ではない場合に、前記語句に関する補足情報を出力し、
前記抽出した語句の先頭側又は後尾側に隣り合う文字又は記号が、前記所定の文字又は記号である場合に、前記語句に関する補足情報の出力を省くことを特徴とする情報出力方法。
【請求項5】
コンピュータに、画像を文字認識することによって得られた文書に関する補足情報を出力させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、前記文書から、その語句に関する補足情報を出力可能な語句を抽出させる抽出ステップと、
コンピュータに、前記抽出ステップで抽出された語句の先頭側又は後尾側に隣り合う文字又は記号が、所定の文字又は記号であるか否かを判定させる語句判定ステップと、
該語句判定ステップで否と判定された場合に、
コンピュータに、前記語句に関する補足情報を出力させる出力ステップと、
前記語句判定ステップで、前記文字又は記号であると判定された場合に、
コンピュータに、前記語句に関する補足情報の出力を省かせる省略ステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−97446(P2013−97446A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237493(P2011−237493)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】