説明

情報収集サーバ、情報収集方法および情報収集システム

【課題】所定のエリア内に位置するユーザの状況を適切に把握し、これを広告の提供など種々の場面で利用できるようにする。
【解決手段】接続端子101及び通信I/F102を通じて各ユーザの携帯通信端末からのプローブ情報を受信する。プローブ情報に含まれるユーザの識別情報と現在位置情報とに基づいて、エリア内ユーザ特定部が所定のエリア内に位置するユーザのそれぞれを特定する。この特定されたユーザのそれぞれの状況を、判別手段が同じ所定のエリア内の他のユーザとの関係性に基づいて判別する。この判別結果を例えば広告情報の選択など、種々の場面で利用できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報通信分野に属し、例えば、携帯電話端末などの携帯通信端末から送信される現在位置情報を含むプローブ情報を利用して、当該携帯通信端末のユーザの状況を把握して利用可能にする装置、方法、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザにできるだけマッチした広告を提供することにより、広告効果を高めるようにすることが種々考えられている。例えば、後に記す特許文献1には、写真プリントを行う装置において、写真プリントの提供を受ける者(ユーザ)に適した広告を当該写真プリントの一部に付加するものが提案されている。特許文献1に記載の発明は、プリント依頼の受け付け時において、ユーザに関する属性情報(氏名、住所、年齢、性別、国籍等)やプリントする写真の内容を特定するキーワードの提供を受け付けて記憶保持する。
【0003】
そして、写真プリントの出力時に、ユーザの属性情報や写真の内容を特定するキーワードに基づいて、ユーザに適した1以上の広告を提示し、この提示した1以上の広告の中からさらに写真プリントに付加する広告を選択できる構成を有する。これにより、写真プリントの提供を受ける者に対して、全く関連のない広告を提供することを防止して、より有益な広告情報を提供することができるようにしている。このことは、広告主にとっては広告効果を増大させることに繋がる。このように、特許文献1に記載の発明は、広告主と広告の提供を受ける者との双方にとってメリットのある広告提供方式の一案を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−058843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、デジタルサイネージ(電子看板)などと呼ばれる電子広告システムが広く利用されるようになってきている。デジタルサイネージは、表示画面の比較的に大きなLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ装置を通じて、動画や静止画の広告を不特定多数のユーザに対して提供するものである。動画や静止画に加えてディスプレイ装置などに設けられたスピーカを通じて広告音声を提供することもできる。
【0006】
そして、デジタルサイネージの場合、ディスプレイ装置側に広告情報(広告コンテンツ)を多数蓄積しておく構成としたり、サーバ装置を通じて、種々の広告情報をディスプレイ装置に対して配信する構成としたりすることができる。これにより、ディスプレイ装置を介して提供する広告情報をフレキシブルに変えることができる。例えば、秒単位に提供する広告情報を変えたり、時間帯、曜日、平日/休日、季節などに応じて提供する広告情報を変えたりすることが簡単に行える。
【0007】
そして、デジタルサイネージを通じてもできるだけ効果的に広告を提供できるようにしたいとする要求がある。しかし、デジタルサイネージは基本的に不特定多数の者に対して広告を提供する媒体であり、上述した特許文献1に記載の発明のように、個々のユーザに応じて広告提供を行うには不向きな媒体である。一般的に、デジタルサイネージの場合、サラリーマンが多い場所や時間帯ではサラリーマン用の広告を提供するなどというように、デジタルサイネージ用のディスプレイ装置の周辺に集まる群衆の属性を考慮した広告の提供が行われる。
【0008】
しかし、人間の行動パターンについては、以下のような特徴があることが知られている。(1)人は習慣から逃れられない動物であり、大半の時間を職場や自宅など、ほんの数箇所の主要な場所に移動するか、その主要な場所で過ごすかしている。(2)数百kmを移動する出張族も約3%程度いるが、大半の人は短い距離しか移動しない。(3)大多数の人は、反復的に訪れるわずか2箇所において約70%の時間を費やし、残りの30%を5ヶ所〜50ヶ所の移動に費やす。といったことである。
【0009】
これらのことから考えると、デジタルサイネージ用のディスプレイ装置の周辺には、同じ人が繰り返し訪れていると考えられる。このため、デジタルサイネージ用のディスプレイ装置の周囲に存在する人(ユーザ)を特定して、その特定した人に適した広告を、当該ディスプレイ装置を通じて提供することができれば、その人に対して的確な広告の提供を繰り返し提供できる可能性が高くなる。仮に所定のデジタルサイネージ用のディスプレイ装置の近傍に2度と訪れない人の場合であっても、少なくともその人に対して的確な広告を1度は提供することができる。
【0010】
このように、デジタルサイネージ用のディスプレイ装置の近傍に存在する人を特定し、その特定した人に適した広告を、当該ディスプレイ装置を通じて提供することができれば、効果的な広告の提供に繋がる。しかし、デジタルサイネージの場合、ディスプレイ装置を通じてその周辺にいる多くの人が同じ広告の提供を受けられる。このため、広告の提供ターゲットとなった人がどのような状況にあるのか、例えば、1人なのか、家族と一緒なのか、同僚と一緒なのか等に応じて、提供すべき広告の内容も異なってくる。また、大きく捉えれば、所定のエリア内に、どのような状況にあるユーザがどの位存在しているのかを把握することができれば、広告などの効果的な提供だけでなく、災害時の人の流れを予測するなど緊急時対応の計画改善等に役立てることも可能となる。
【0011】
以上のことに鑑み、この発明は、所定のエリア内に位置するユーザの状況を適切に把握し、これを広告の提供など、種々の場面で利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の情報収集サーバは、
ユーザの携帯通信端末から所定のタイミング毎に送信される情報であって、ユーザの識別が可能な識別情報と現在位置情報とを含むプローブ情報を受信する受信手段と、
受信された前記プローブ情報に基づいて、所定のエリア内に位置するユーザのそれぞれを特定する特定手段と、
特定された前記ユーザのそれぞれの状況を、当該所定のエリア内に位置する他のユーザとの関係性に応じて判別する判別手段と
を備えることを特徴とする。
【0013】
この請求項1に記載の発明の情報収集サーバによれば、受信手段により、ユーザの携帯通信端末から順次に送信されるプローブ情報(ユーザの識別情報と現在位置情報とを含む)が受信される。この受信されたプローブ情報に基づいて、予め決められる所定のアリア内に位置するユーザのそれぞれが、特定手段により特定される。そして、当該所定のエリア内に位置するユーザとして特定されたユーザのそれぞれの状況が、同じ広告エリア内に位置する他のユーザとの関係性に基づいて、判別手段により判別される。
【0014】
これにより、所定のエリア内に位置する全ユーザの状況を適切に把握することができる。そして、所定のエリアの特性を把握することができると共に、所定のエリア内に位置するユーザの状況に応じた広告を提供することができるなど、種々の場面で把握した情報を活用することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、所定のエリア内に位置するユーザの状況を適切に把握し、ユーザの状況に応じた広告を提供するなど、種々の場面において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態の広告提供システムの概略構成を説明するための図である。
【図2】実施の形態の携帯通信端末4の構成例を説明するためのブロック図である。
【図3】実施の形態のデジタルサイネージ7の構成例を説明するためのブロック図である。
【図4】実施の形態のサーバ装置1の構成例を説明するためのブロック図である。
【図5】プローブ情報ファイル103に格納される格納データ(プローブ情報)の例を説明するための図である。
【図6】ユーザDB106に記憶保持される属性情報の例を説明するための図である。
【図7】広告エリアDB107の登録データの例を説明するための図である。
【図8】広告エリアの具体例を説明するための図である。
【図9】広告DB108の概要について説明するための図である。
【図10】広告DB108に記憶保持される単独ユーザ用の広告情報の一例について説明するための図である。
【図11】広告DB108に記憶保持される家族ユーザ用の広告情報の一例について説明するための図である。
【図12】広告DB108に記憶保持されるカップルユーザ用の広告情報の一例について説明するための図である。
【図13】広告DB108に記憶保持される会社仲間ユーザ用の広告情報の一例について説明するための図である。
【図14】イベントDB109の登録データの例を説明するための図である。
【図15】プローブ情報解析部111で行われるユーザの移動経路の把握について説明するための図である。
【図16】変化が検出された属性情報の変化内容の例について説明するための図である。
【図17】プローブ情報解析部111で行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】エリア内ユーザ特定部112、ユーザ状況判定部113、広告情報特定部114、広告情報提供部115において行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照しながらこの発明の装置、方法、システムの一実施の形態について説明する。
【0018】
[システムの全体構成]
図1は、この実施の形態の広告提供システムの概略構成を説明するための図である。この実施の形態の広告提供システムは、この発明の情報収集システムが適用されて構成されたものである。図1に示すように、この実施の形態の広告提供システムの基本的な構成は、サーバ装置1に対して、携帯通信端末4(1)、4(2)、…と、主にディスプレイ装置として機能するデジタルサイネージ7(1)、7(2)、…とが、ネットワーク2を介して接続されたものである。さらに、ネットワーク2に接続される位置管理サーバ6が提供する情報が利用可能な構成になっている。
【0019】
サーバ装置1は、詳しくは後述するが、各デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…が広告を提供するエリアである各広告エリア内に位置するユーザの特定と、当該特定したユーザのそれぞれの状況の判別とを行う。さらにサーバ装置1は、判別した各ユーザの状況に応じた提供すべき広告情報(広告コンテンツ)の特定と、特定した広告情報をユーザの位置に応じたデジタルサイネージ7(1)、7(2)、…への配信とを行う。
【0020】
また、サーバ装置1は、携帯通信端末4(1)、4(2)、…の各ユーザの属性情報を記憶保持する。そして、サーバ装置1は、携帯通信端末4(1)、4(2)、…からのプローブ情報を受信して蓄積し、これを解析することによって各ユーザの属性情報を特定し、記憶保持している属性情報に変化が生じた場合に、これを更新する処理を行う。
【0021】
このように、サーバ装置1は、各デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…が広告を提供する各広告エリア内に位置するユーザの状況を適切に把握し、この把握したユーザの状況に応じた広告情報の配信を行うことができるものである。また、サーバ装置1は、ユーザの属性情報の適切な維持、管理を行うことができるものである。すなわち、サーバ装置1は、この発明の装置、方法が適用されて実現されたものである。
【0022】
ネットワーク2は、種々の広域通信ネットワークを含むものである。ネットワーク2は、IP(Internet Protocol)網、公衆交換電話網(PSTN(Public Switched Telephone Network))、デジタル回線網(ISDN(Integrated Services Digital Network))などを含むものである。また、ネットワーク2は、図1に示すように、多数の基地局3(1)、3(2)、…を含む携帯電話網や、wifiなどと呼ばれる無線LAN(Local Area Network)、wimaxなどと呼ばれる高速無線通信規格に準じた無線通信網などをも含むものである。
【0023】
携帯通信端末4(1)、4(2)、…としては、例えば、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistants)、タブレット端末あるいはパッド型端末などと呼ばれる情報端末など、通信機能を備えた種々のものが提供されている。この実施の形態において、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、種々の携帯通信端末の中でも普及率の高い携帯電話端末であるものとして説明する。
【0024】
携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、GPS機能を備え、少なくとも3個以上の人工衛星からの信号を受信して演算処理を行うことにより、自機の現在位置を測位することができるものである。また、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれのGPS機能は、いわゆるディファレンシャルGPSと呼ばれる技術を用い、高精度に自機の現在位置を測位することができるものである。
【0025】
なお、ディファレンシャルGPSは、位置の分かっている携帯電話端末網の基地局において、GPSによる測位を行い、当該基地局の実際の位置とGPSを用いて測位した位置とのずれを示す信号を生成して送信する。この基地局からの信号を各携帯通信端末4(1)、4(2)、…が受信し、各携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれにおいて、GPS機能により測位した自機の現在位置を補正することにより、より正確に自機の現在位置を測位できるようにするものである。
【0026】
そして、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、所定のタイミング毎に、プローブ情報を生成し、これをサーバ装置1に送信する機能を備える。当該プローブ情報は、少なくとも、自機を使用するユーザを識別することが可能な識別情報であるユーザIDと、現在時刻情報と、GPS機能を用いて測位して得た現在位置情報とを含むものである。
【0027】
なお、ユーザIDは、例えば、携帯通信端末4(1)、4(2)、…等の購入時などにおいて設定されるものを用いることができる。この他、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれに割り当てられている電話番号やSIMカード(Subscriber Identity Module Card)の固有IDを用いたりするなどのことが可能である。すなわち、ユーザIDは、携帯通信端末4(1)、4(2)、…等のそれぞれを利用するユーザを一意に特定することができる情報であればよい。
【0028】
そして、プローブ情報は、集計して統計情報として用いたり、端末を所持する個々人または団体、企業への位置情報提供サービスなどに用いられたりするものである。この実施の形態の広告提供システムにおいは、プローブ情報は、デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…のそれぞれが広告を提供する広告エリア内に位置する携帯通信端末4(1)、4(2)、…のユーザを特定する場合に用いられる。また、プローブ情報は、送信元である携帯通信端末4(1)、4(2)、…のユーザの属性情報を特定するためにも用いられる。
【0029】
なお、図1において、GPS衛星5(1)、5(2)、…は、地球周回軌道上に配備され、現在位置測位のためのいわゆるGPS信号を送信する約30基の人工衛星の一部を示したものである。また、図1において、基地局3(1)、3(2)、…のそれぞれは、屋外に設置された携帯電話網の基地局である。しかし、屋外の基地局からの電波の届き難い屋内においても携帯電話端末の利用を可能にするため、例えば店舗などの種々の施設の屋内にも、携帯電話網に接続された小規模な基地局が設置されている場合もある。
【0030】
位置管理サーバ6は、電話会社側に設けられ、各基地局の番号、各基地局の設置位置(緯度、経度)などを管理すると共に、基地局から送られてくる携帯電話端末の端末識別情報や当該携帯電話端末からの電波の受信電界強度の情報から、携帯電話端末の位置を三角測量の手法を用いて算出して管理する機能を備える。また、位置管理サーバ6は、算出した携帯電話端末の位置情報を当該携帯電話端末に送るなどの機能をも備える。
【0031】
これにより、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、GPS機能による現在位置の測位ができない場合であっても、位置管理サーバ6の機能により、自機の現在位置を把握することができる。また、サーバ装置1が、位置管理サーバ6からの情報の提供を受けることによって、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれの現在位置を特定することもできる。
【0032】
このように、携帯通信端末4(1)、4(2)、…の現在位置は、GPS機能によってのみ測位されるものではない。携帯通信端末4(1)、4(2)、…の現在位置は、位置管理サーバ6の機能を利用することにより、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれにおいて、あるいは、サーバ装置1側において特定することができる。
【0033】
デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…のそれぞれは、表示画面の比較的に大きなディスプレイ装置を備えると共に、この実施の形態においては、ネットワーク2を通じてサーバ装置1との間でデータの送受信を行う通信機能をも備える。これにより、デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…のそれぞれは、サーバ装置1から種々の広告情報の提供を受けて、これを再生することにより広告を提供する。また、デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…のそれぞれは、ネットワーク2を通じてサーバ装置1により種々の制御も行われる。なお、デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…のそれぞれは、鉄道の駅周辺、ショッピングモールの中、種々の店舗の中や店頭など、人の多く集まる場所に設置されている。
【0034】
そして、この実施の形態においてサーバ装置1は、デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…のそれぞれについて、何処に設置されており、そのそれぞれが広告を提供することができる広告エリアはどの範囲かを正確に把握している。そこで、サーバ装置1は、携帯通信端末4(1)、4(2)、…からのプローブ情報に基づいて、デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…のそれぞれの広告エリア内に位置するユーザのそれぞれを特定する。
【0035】
さらに、サーバ装置1は、詳しくは後述するが、特定したユーザのそれぞれの状況を、同じ広告エリアに位置する他のユーザとの関係性に基づいて判別する。ここで、ユーザの状況は、広告エリア内に位置するユーザが、例えば、1人でいるのか、家族と一緒なのか、カップルなのか、同僚と一緒なのか等である。そして、サーバ装置1は、判別した各ユーザの状況を考慮して、広告エリア毎に広告を提供するユーザを定めると共に、定めたユーザに対して提供する広告情報を選択する。この後、サーバ装置1は、選択した広告情報を、デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…の内、当該広告情報を提供するユーザとして定めたユーザが位置する広告エリアを形成するデジタルサイネージに対して配信する。
【0036】
これにより、例えば、1人でいるユーザには、1人でも入りやすい店舗の広告を、家族と一緒にいるユーザには、家族向けのレストランなどの広告を、カップルには、カップル向けの店舗の広告を、同僚と一緒にいるユーザには、居酒屋など広告を提供するといったことが可能となる。すなわち、サーバ装置1は、所定の広告エリア内に位置するユーザに対して、そのユーザの状況を考慮して、的確な広告情報を特定し、この特定した広告情報を、当該広告エリアに広告を提供するデジタルサイネージに対して配信できるようにしている。
【0037】
なお、デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…のそれぞれが広告を提供する広告エリアは比較的に広いので、当該広告エリア内には、複数のユーザが位置している場合が多い。そして、広告を提供するユーザを定める場合に、種々の方法を用いることができる。例えば、複数のユーザが位置している広告エリアについては、より人数の多いグループを形成しているユーザを優先して、広告を提供するユーザとして定めるようにすることができる。
【0038】
例えば、グループを形成していない単独ユーザと、2人からなる家族グループを形成しているユーザと、6人からなる友人グループを形成しているユーザと、10人からなる同僚グループを形成しているユーザが同じ広告エリア内に位置していたとする。この場合、まず、(1)10人からなる同僚グループ→(2)6人からなる友人グループを形成しているユーザ→(3)2人からなる家族グループを形成しているユーザ→(4)単独ユーザの順に、広告を提供するユーザを定める。このようにすることによって、同じ広告情報を提供すべきユーザが多いグループから順に、そのグループに属するユーザに適した広告コンテンツを提供することができる。これにより、広告コンテンツを提供するターゲットユーザを絞り込んで効率よく提供することができる。
【0039】
また、複数の単独ユーザが存在する場合には、ユーザIDの若い順、年齢の低い順、年齢の高い順などというように、所定の基準に従って、広告を提供するユーザを定めればよい。もちろん、同じ人数のグループが同じ広告エリア内に複数位置している場合にも、女性の数の多い順、平均年齢の低い順、平均年齢の高い順などというように、所定の基準に従って、広告を提供するグループを特定し、その中から1人のユーザを定めるようにすればよい。
【0040】
また、この実施の形態のサーバ装置1は、広告エリアに位置するユーザの現在の状況(Occasion)だけでなく、広告を提供する時刻(Time)、ユーザの位置する場所(Place)、ユーザの属性情報などを考慮して、提供する広告情報を選択することもできる。すなわち、サーバ装置1は、TPOを考慮すると共に、ユーザの属性情報をも考慮して、ユーザに提供すべき広告情報を選択することもできるものである。
【0041】
また、サーバ装置1は、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のぞれぞれのユーザの属性情報を記憶保持する。各ユーザの属性情報は、他のユーザの関係性を特定する場合などに用いることができる情報である。具体的にユーザの属性情報は、ユーザID、氏名、性別、生年月日などの固定的な情報の他、現住所、勤務先、家族構成、趣味などの変化する可能性のある非固定的な情報をも含んでいる。そして、ユーザの属性情報は、最初には、携帯電話会社とのネットワークの使用契約時等において、ユーザによって契約書等に記載される情報等に基づいてサーバ装置1に登録することができる。
【0042】
しかし、その後においては、属性情報の主に非固定的な情報は何時変化するか分からない。このため、サーバ装置1は、受信して蓄積した携帯電話端末4(1)、4(2)、…からの所定期間分のプローブ情報を、所定のタイミングでユーザ毎に解析して、ユーザの移動経路等を把握し、当該ユーザの非固定的な属性情報に変化が生じたか否かを推測する。例えば、携帯通信端末4(1)等のユーザの夜間の滞在場所が変わった場合には、現住所が変わった可能性があると推測でき、朝に出かける先が変われば、勤務先が変わった可能性があると推測できる。
【0043】
もちろん、1日、2日の変化だけでは、属性情報に変化が生じた推測するのは早計である。このため、属性情報の変化が一定期間以上継続したことを確認したり、後述する地図情報やPOI(Point Of Interest)情報を参照したりすることにより、より正確な推測を可能にしている。なお、地図情報やPOI情報を考慮することにより、自宅と勤務先とを区別したり、旅行先や訪問先を区別したりすることもできる。
【0044】
このようにして、サーバ装置1では、プローブ情報を送信してくる携帯通信端末4(1)、4(2)、…等のユーザの属性情報に変化が生じたことが推測できた場合に、当該変化後の属性情報を新たな属性情報として特定する。そして、種々の属性情報の内の変化が生じた古い属性情報を特定した新たな属性情報に書き換える。これにより、サーバ装置1で管理される携帯通信端末4(1)、4(2)、…の各ユーザの属性情報を、正確なものとして維持することができる。
【0045】
なお、ユーザの属性情報に変化が生じたことが推測できた場合に、その推測が真に正しいか否かが不明確な場合もある。そのような場合には、当該ユーザに属性情報が変化したか否かを電子メールや電話を通じて確認し、変化したことの確認がとれた場合に、サーバ装置1が保持する当該ユーザの属性情報を更新する構成とすることもできる。このようにすれば、ユーザの属性情報の信頼性をより高く保つことができる。
【0046】
なお、この実施の形態において、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、基本的な構成は同じである。このため、以下においては特に区別して示す場合を除き、携帯通信端末4(1)、4(2)、…を総称して、携帯通信端末4という。また、以下においては、基地局3(1)、3(2)、…を総称して基地局3という。また、デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…のそれぞれは、表示画面の大きさや縦型、横型の違いはあるが、いずれも通信機能を備えたディスプレイ装置であり、その基本的な構成は同じである。このため、以下においては特に区別して示す場合を除き、デジタルサイネージ7(1)、7(2)、…を総称して、デジタルサイネージ7という。
【0047】
そして、以下では、まず、プローブ情報を生成してサーバ装置1に送信する携帯通信端末4の構成例について説明し、次に、サーバ装置1から広告情報(広告コンテンツ)の提供を受けてこれを再生するデジタルサイネージ7の構成例について説明する。この後、サーバ装置1の構成例とサーバ装置1において行われる処理の詳細について説明する。
【0048】
[携帯通信端末4の構成例]
この実施の形態の広告提供システムで用いられる携帯通信端末4の構成例について説明する。図2は、この実施の形態の携帯通信端末4の構成例を説明するためのブロック図である。上述もしたように、この実施の形態の広告提供システムで用いられる携帯通信端末4は携帯電話端末として構成されたものである。
【0049】
図2に示すように、この実施の形態の携帯通信端末4は、ネットワーク2を通じて通信を行う部分として、送受信アンテナ401、送受信処理部402、受話器(スピーカ)403、送話器(マイクロホン)404を備えている。また、ユーザインターフェースを提供する部分として、キー操作部411、表示制御部412、表示部413、音声処理部414、スピーカ415を備えている。
【0050】
表示部413は、例えば、有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display)やLCD(Liquid Crystal Display)等のいわゆる薄型の表示素子が用いられている。また、音声処理部414とスピーカ415とは、着信音や警告音、その他の音声メッセージ等を出力するものである。また、図示しないが、携帯通信端末4は、バイブレータを備え、例えば、着信時に振動を発生させ、着信をユーザに通知するなどのこともできるようになっている。
【0051】
また、携帯通信端末4は、各部を制御する制御部420を備えている。制御部420は、CPU(Central Processing Unit)421、ROM(Read Only Memory)422、RAM(Random Access Memory)423、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)424が、CPUバス425を通じて接続されて形成されたコンピュータ装置である。CPU421は、ROM422やEEPROM424に記憶されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成して、これを各部に供給したり、各部から送信されてくるデータを受け付けて、これに応じた処理を実行したりする。ROM422は、CPU421において実行されるプログラムや処理に必要になる種々のデータが予め記録されたものである。
【0052】
また、RAM423は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられる。また、EEPROM424は、いわゆる不揮発性メモリであり、携帯通信端末4の電源を落としても保持しておくべきデータ等が記憶保持される。EEPROM424には、例えば、機能追加のための新たなプログラム、種々の設定パラメータ、電話帳データ、アプリケーションプログラムや機能アップのための追加プログラムなどが記憶保持される。
【0053】
さらに、携帯通信端末4は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供する時計回路431を備えると共に、外部入出力端子432、外部インターフェース(以下、外部I/Fと略称する。)433を備えている。また、携帯通信端末4は、GPS部434とGPSアンテナ435とを備えている。これらGPS部434とGPSアンテナ435とにより、上述もしたように、複数の人工衛星からのGPS信号(測位情報)を受信して演算処理することにより、自機の現在位置を正確に検出(測位)することができるようになっている。
【0054】
そして、携帯通信端末4は、プローブ情報生成部436を備えている。この実施の形態において、プローブ情報生成部436は、所定のタイミング毎に、時計回路431からの現在時刻情報、GPS部434からの現在位置情報、上述した位置管理サーバ6から提供される現在位置情報を含むプローブ情報を生成する。現在時刻情報は、現在年月日及び現在時刻からなるものである。また、現在位置情報は、緯度、経度からなるものである。プローブ情報生成部436で生成されたプローブ情報は、後述する制御部420及び送受信処理部402、送受信アンテナ401を通じてネットワーク2に送出され、サーバ装置1に送信される。
【0055】
このような構成を有する携帯通信端末4は、制御部420の制御により、送受信処理部402、送受信アンテナ401を通じて、ネットワーク2に情報を送出したり、ネットワーク2を通じて送信されてくる自機宛の情報を受信したりすることにより、種々の通信処理を行うことができるようになっている。
【0056】
また、携帯通信端末4は、実行可能な種々のアプリケーションプログラムなどを登録するようにしたメニューを備えている。当該メニューは、例えば、キー操作部411に設けられているメニューキーを押下操作するなどの所定の操作を行うことにより、制御部420が表示制御部412を通じて表示部413の表示画面に表示することができる。そして、制御部420は、キー操作部411を通じてユーザからの当該メニューに含まれる項目の選択入力を受け付け、ユーザによって選択された項目に対応するプログラムを実行することができるようになっている。
【0057】
また、携帯通信端末4において実行可能な種々のアプリケーションプログラムなどを登録するようにした当該メニューには、プローブ情報の送信を実行するための項目も設けられている。したがって、当該メニューのプローブ情報の送信を実行するための項目を選択することによって、携帯通信端末4のユーザは、所定のタイミング毎にプローブ情報を生成して送信する処理を開始させることができる。
【0058】
なお、プローブ情報の生成及び送信のタイミングは、例えば、30秒毎、1分毎、…のように、適宜のタイミングで行うことが可能である。しかし、立寄り先などを正確に把握できるようにするためには、あまり長い間隔のタイミングであることは好ましくない。この実施の形態の携帯通信端末4においては、例えば、1分毎、3分毎などのタイミングでプローブ情報の生成及び送信を行う。
【0059】
[デジタルサイネージ7の構成例]
次に、この実施の形態の広告提供システムで用いられるデジタルサイネージ7の構成例について説明する。図3は、この実施の形態のデジタルサイネージ7の構成例を説明するためのブロック図である。図3に示すように、デジタルサイネージ7は、ネットワーク2への接続端子701、通信I/F702、広告情報ファイル703を備える。また、デジタルサイネージ7は、表示制御部704と、表示部705と、音声処理部706と、スピーカ707とを備える。さらに、デジタルサイネージ7は、ハードディスクドライブ(以下、HDDと略称する。)711と、時計回路712と、制御部720とを備える。
【0060】
制御部720は、デジタルサイネージ7の各部を制御するものであり、図3に示すように、CPU721、ROM722、RAM723、EEPROM724が、CPUバス725を通じて接続されて構成されたコンピュータ装置である。CPU721は、ROM722やEEPROM724に記憶されているBIOS(Basic Input/Output System)などのいわゆるファームウェアや後述するHDD711に記憶されているアプリケーションソフトウェアを読み出して実行する。そして、CPU721は、各部への制御信号を形成し、これを関係する各部に供給したり、また、各部からのデータを受信してこれを処理したりする。
【0061】
ROM722は、CPU721によって実行される種々のファームウェアや処理に必要となるデータを予め記憶したものである。RAM723は、各種の処理において、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。EEPROM724は、書き換え可能ないわゆる不揮発性メモリであり、電源が落とされても保持しておくべきデータを記憶保持する。具体的に、EEPROM724は、BIOS等のファームウェア、各種設定パラメータなど、種々の情報を記憶保持するものである。
【0062】
HDD711は、記録媒体としてハードディスクを備え、制御部720の制御に応じて、当該ハードディスクに対して、書き込み/読み出しを行う。HDD711のハードディスクは、種々のプログラムや種々の処理により得られたデータ等を記憶保持する。
【0063】
接続端子701は、ネットワーク2との接続端部を形成するものである。この接続端子701に対して、ネットワーク2からの通信線路が接続される。通信I/F702は、ネットワーク2を通じて送信されてくる自機宛の種々の情報を受信し、これを自機において処理可能な形式の情報に変換して制御部120に供給する。また、通信I/F702は、必要に応じて制御部720を通じて供給される送信用の種々の情報を、ネットワーク2に送出する形式の信号に変換して、これをネットワーク2に送出する。
【0064】
広告情報ファイル703は、接続端子701及び通信I/F701を通じて受信したサーバ装置1からの広告情報を記憶保持するものである。広告情報ファイル703に対する広告情報の書き込み/読み出しは、制御部720によって行われる。そして、広告情報の再生時においては、再生対象の広告情報が、制御部720によって読み出され、映像データと音声データとに分離され、映像データは表示制御部704に、音声データは音声処理部706に供給される。
【0065】
表示制御部704は、これに供給された映像データ(デジタルデータ)から表示部705に供給する映像信号を形成し、これを表示部705に供給する。表示部705は、例えば、LCDなどの表示素子を備え、表示制御部704からの映像信号に応じた映像を自己の表示素子の表示画面に表示する。音声処理部706は、これに供給された音声データ(デジタルデータ)からスピーカ707に供給する音声信号を形成し、これをスピーカ107に供給する。これにより、音声処理部706からの音声信号に応じた音声が、スピーカ707から放音される。
【0066】
このように、デジタルサイネージ7は、サーバ装置1からの広告情報を再生し、ユーザに対して映像情報と音声情報として提供することができるものである。そして、この実施の形態において、デジタルサイネージ7は、サーバ装置1からの制御に応じて、再生する広告情報を適宜のタイミングで変更するなどのことができるものである。
【0067】
[サーバ装置1の構成例]
次に、この実施の形態のサーバ装置1の構成例について説明する。図4は、この実施の形態のサーバ装置1の構成例を説明するためのブロック図である。図4に示すように、サーバ装置1は、ネットワーク2への接続端子101、通信I/F102、プローブ情報ファイル103を備える。また、サーバ装置1は、6つのデータベース(以下、DBと略称する。)を備えている。具体的には図4に示すように、地図DB104と、POI(Point Of Interest)DB105、ユーザDB106、広告エリアDB107、広告DB108、イベントDB109である。さらに、サーバ装置1は、プローブ情報解析部111と、エリア内ユーザ特定部112と、ユーザ状況判別部113と、広告情報特定部114と、広告情報提供部115と制御部120と、ハードディスクドライブ(以下、HDDと略称する。)130とを備える。
【0068】
制御部120は、サーバ装置1の各部を制御するものであり、図4に示すように、CPU121、ROM122、RAM123、EEPROM124が、CPUバス125を通じて接続されて構成されたコンピュータ装置である。CPU121は、ROM122やEEPROM124に記憶されているBIOSなどのいわゆるファームウェアや後述するHDD130に記憶されているアプリケーションソフトウェアを読み出して実行する。そして、CPU121は、各部への制御信号を形成し、これを関係する各部に供給したり、また、各部からのデータを受信してこれを処理したりする。
【0069】
ROM122は、CPU121によって実行される種々のファームウェアや処理に必要となるデータを予め記憶したものである。RAM123は、各種の処理において、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。EEPROM124は、書き換え可能ないわゆる不揮発性メモリであり、電源が落とされても保持しておくべきデータを記憶保持する。具体的に、EEPROM124は、BIOS等のファームウェア、各種設定パラメータなど、種々の情報を記憶保持するものである。
【0070】
HDD130は、記録媒体としてハードディスクを備え、制御部120の制御に応じて、当該ハードディスクに対して、書き込み/読み出しを行う。HDD130のハードディスクは、例えば、種々のアプリケーションプログラムや種々の処理により得られたデータ等を記憶保持する。
【0071】
接続端子101は、ネットワーク2との接続端部を形成するものである。この接続端子101に対して、ネットワーク2からの通信線路が接続される。通信I/F102は、ネットワーク2を通じて送信されてくる自機宛の種々の情報を受信し、これを自機において処理可能な形式の情報に変換して制御部120に供給する。また、通信I/F102は、制御部120を通じて供給される送信用の種々の情報を、ネットワーク2に送出する形式の信号に変換して、これをネットワーク2に送出する。
【0072】
[ファイル及びDB(データベース)の説明]
プローブ情報ファイル103は、接続端子101及び通信I/F102を通じて受信した、多数のユーザの携帯通信端末4からのプローブ情報を蓄積するものである。図5は、プローブ情報ファイル103に格納される格納データ(プローブ情報)の例を説明するための図である。
【0073】
図5に示すように、この実施の形態のプローブ情報ファイル103は、ユーザID毎(ユーザ別)に、日時情報、測位位置情報、提供位置情報からなるプローブ情報を蓄積する。ユーザIDは、送信されてくるプローブ情報に含まれるものと同じものであり、上述もしたように、携帯通信端末4を利用するユーザを一意に特定することができる情報である。また、日時情報、測位位置情報、提供位置情報のそれぞれは、プローブ情報に含まれる情報であるが、この内、測位位置情報は、携帯通信端末4のGPS機能により測位された現在位置情報であり、提供位置情報は、上述した位置管理サーバ6から携帯通信端末4が提供を受けた現在位置情報である。
【0074】
そして、図5に示したプローブ情報ファイルの蓄積データの例は、ユーザIDが「00001」であるユーザについての例である。この例の場合、ユーザIDが「00001」であるユーザが2011年6月10日の14時10分20秒にいた位置(緯度、経度)は、測位位置情報では(X11、Y11)であり、提供位置情報では(X21、Y21)であることが示されている。また、ユーザIDが「00001」であるユーザが2011年6月10日の14時11分20秒にいた位置(緯度、経度)は、測位位置情報では把握されず、提供位置情報では(X22、Y22)であることが示されている。
【0075】
同様に、ユーザIDが「00001」であるユーザが2011年6月10日の15時20分20秒にいた位置(緯度、経度)は、測位位置情報では把握されず、提供位置情報では(X22、Y22)であることが示されている。そして、ユーザIDが「00001」であるユーザが2011年6月10日の15時21分20秒にいた位置(緯度、経度)は、測位位置情報では(X12、Y12)であり、提供位置情報では(X23、Y23)であることが示されている。
【0076】
したがって、ユーザIDが「00001」であるユーザは、2011年6月10日の14時10分20秒の時点では、GPS機能によっても、また、位置管理サーバ6の機能によっても特定できた位置にいたことが分かる。そして、少なくとも、2011年6月10日の14時11分20秒から2011年6月10日の15時20分20秒までは、GPS機能により現在位置が測位できない位置であるが、位置管理サーバ6の機能により特定できた位置にいたことが分かる。そして、2011年6月10日の15時21分20秒の時点では、GPS機能によっても、また、位置管理サーバ6の機能によっても特定できた位置にいたことが分かる。
【0077】
携帯通信端末4のGPS機能は、GPS衛星5からの信号を受信できない屋内など携帯通信端末4が位置しているときには、現在位置の測位を行うことはできない。しかし、近隣の基地局3と通信が可能な場所であれば、携帯通信端末4が屋内に位置していたとしても、携帯通信端末4は位置管理サーバ6の機能によって自己の現在位置を把握することができる。
【0078】
近年、携帯電話端末が通信できない場所を極力なくすため、駅の構内、地下街、店舗内などにも基地局が設置されるようになってきている。したがって、携帯通信端末4からのプローブ情報は、GPS機能により取得される測位位置情報が存在しない場合であっても、位置管理サーバ6の機能により提供される提供位置情報は存在する構成となっている。このため、サーバ装置1は、携帯通信端末4が屋内に位置していても、そのプローブ情報により、携帯通信端末4のユーザの所在を正確に把握できるようになっている。
【0079】
なお、測位位置情報が示す位置と、提供位置情報とが示す位置とは、通常はほぼ同じ位置となるが、完全に同じではなく、若干の誤差を含む場合もある。このように、プローブ情報ファイル103は、携帯通信端末4のユーザ毎に、携帯通信端末4から送信されてくるプローブ情報をプローブ情報に含まれる現在時刻情報に応じた時系列順に蓄積するものである。
【0080】
地図DB104は、この実施の形態においては、日本国内の詳細な地図情報を記憶保持するものである。当該地図情報は、山、川、街、道路、鉄道路線、各種店舗、病院、医院、学校、警察署、消防署、神社仏閣、行政界などの種々のランドマーク、施設、行政区域などの位置や大きさなどを正確に表すことができるようにされたものである。そして、地図DB104は、日本全国の地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータ等の地図データ(地図用の描画データ)を緯度・経度情報に対応付けて記憶保持する。また、地図DB104は、地図上に表示する注記データについても、緯度・経度情報に対応付けて記憶保持する。
【0081】
POIDB105は、例えば、大学、高校、中学校、小学校、店舗、会社などの種々の施設、さらには、山、川、道路などの種々の場所などのいわゆる拠点についての種々の情報を記憶保持する。具体的には、その特定の場所(POI)の緯度・経度、名称、住所、ジャンル、メッシュコードなどの情報が蓄積される。したがって、POIDB105のPOI情報により、目的とする緯度・経度により特定させる場所は、どのような場所か、どのような施設があるか等を詳細に把握することができる。
【0082】
ユーザDB106は、当該サーバ装置1に対してプローブ情報を送信する携帯通信端末4のユーザについての種々の属性情報(ユーザ情報)を記憶保持するものである。図6は、ユーザDB106に記憶保持される属性情報の例を説明するための図である。図6に示すように、この実施の形態において、ユーザDB106には、ユーザID、氏名、性別、生年月日、電話番号、電子メールアドレス、現住所、住居形態、家族構成、職業等、趣味、立寄り先、その他からなるデータが登録される。
【0083】
家族構成は、同居している家族のそれぞれについての情報からなる。図6に示した例の場合には、ユーザIDが「00001」のユーザは、夫と、小学生の子供と、保育園児の子供と同居していることが示されており、本人を含めて4人家族であることが管理されている。
【0084】
職業等は、主に勤務先や通学している学校(通学先)に関する情報であり、勤務地等、名称、職種等、収入の各情報からなる。勤務地等は、勤務先や通学先の住所と当該勤務先や通学先の位置を示す緯度、経度からなる。名称は勤務先や通学先の名称である。職種等は、会社員、公務員、医療関係などの職種の別や高校生、専門学校生、大学生、大学院生などの別である。また、収入は、この例においては、凡その月給が示されるが、学生の場合には、バイト料収入がある場合には、これが管理される。
【0085】
また、趣味、立寄り先については、それらの複数を管理することができ、立寄り先については、立寄り先の名称、位置(緯度、経度)、立寄り日時がユーザDB106で管理される。なお、立寄り日時については、日時11、日時12、…、日時21、日時22、…が示すように、各立寄り先について、当該ユーザが立寄った日時を複数管理することができるようにしている。これにより、各立寄り先について、立寄る頻度を把握することができると共に、ユーザDB106の他のユーザの属性情報とマッチングをかけることにより、同じ日時に同じ場所に立寄っている他のユーザを特定することもできる。また、その他の欄には、種々の特記事項、例えば、海外出張中、長期休暇中といった情報を記録して管理することができる。
【0086】
そして、ユーザIDは、図5のプローブ情報ファイル103で用いられるユーザIDと同じものである。ユーザID以外の情報は、基本的には、携帯通信端末4の購入時などにおいて、ユーザによって登録される。
【0087】
ユーザDB106に登録される、氏名、性別、生年月日、電話番号、電子メールアドレスは、基本的には変わることのない固定情報である。しかし、電話番号や電子メールアドレスは、ユーザの希望に応じて変更可能であり、その場合にはユーザからの要求等に応じて変更することができる。
【0088】
ユーザDB106に登録される、現住所、住居形態、家族構成、職業等、勤務地等、収入、趣味、立寄り先、その他の各情報もまた、最初はユーザによって登録することができる。しかし、これらの属性情報は変わる可能性のある非固定情報である。このため、ユーザDB106の非固定情報については、サーバ装置1において、携帯通信端末4から送信されるプローブ情報を所定期間分収集して解析することにより変化が生じたか否かを推測する対象となる。
【0089】
なお、現住所、住居形態、家族構成、職業等、勤務地等、収入、趣味、立寄り先、その他の各情報の全部を最初にユーザが登録する必要は無い。登録されていない属性情報については、後述するように、プローブ情報ファイル103に蓄積されるプローブ情報をユーザ毎に解析することにより推測して特定し、更新することもできる。また、ユーザDB106に登録されるユーザの属性情報の内、現住所や勤務地は住所情報だけでなく、その住所地の緯度・経度をも持つことができる。当該緯度・経度は、住所情報に基づいて、地図DB104を参照することにより得ることができる。
【0090】
広告エリアDB107は、サーバ装置1がネットワーク2を通じて広告情報を配信する1以上のデジタルサイネージ7のそれぞれ毎に、広告情報をユーザに対して提供可能なエリア(広告エリア)はどこかを示す情報を記憶保持する。図7は、広告エリアDB107の登録データの例を説明するための図であり、図8は、広告エリアの具体例を説明するための図である。
【0091】
図7に示すように、この実施の形態において、広告エリアDB107には、サイネージIDと広告エリア情報とが対応付けられて登録される。サイネージIDは、サーバ装置1がネットワーク2を通じて広告情報を配信するデジタルサイネージ7(1)、7(2)、7(3)、…のそれぞれを特定するデジタルサイネージ用の識別情報である。広告エリア情報は、各デジタルサイネージが広告を提供することができる広告エリアの位置及び広さを特定する情報であり、各デジタルサイネージの広告エリアの1つの対角線の両端の緯度、経度からなる。
【0092】
すなわち、図8に示すように、デジタルサイネージ7(1)の広告エリアが点線で示した矩形のエリアであるとする。この場合、デジタルサイネージ7(1)の広告エリア情報は、点線で示した矩形のエリアの1つの対角線の両端の緯度、経度、すなわち、(Xa,Ya)、(Xb,Yb)として示される。ここで、Xa、Xbは緯度情報であり、Ya、Ybは経度情報である。そして、広告エリア情報により、各デジタルサイネージ7の広告エリアの位置と大きさが示されるので、当該広告エリア内に存在するユーザを各携帯通信端末4からのプローブ情報に基づいて特定することができる。
【0093】
広告DB108は、サーバ装置1がネットワーク2を通じてデジタルサイネージ7(1)、7(2)、…に提供可能な広告情報を記憶保持する。図9は、広告DB108の概要について説明するための図であり、図10〜図13は、広告DB108に記憶保持される広告情報の一例について説明するための図である。この実施の形態において、広告DB108は、デジタルサイネージ7の広告エリア内に位置するユーザの状況毎に提供すべき広告情報を分類して記憶保持する。ユーザの状況は、上述もしたように、当該ユーザが、単独(1人)なのか、家族と一緒か、カップル(男女1組)なのかなど、広告の提供対象のユーザのその場におけるありさま(様子)を意味する。また、ユーザの状況は、詳しくは後述するが、同じ広告エリア内に位置するユーザの属性情報に基づいて、サーバ装置1において判別可能なものである。
【0094】
この実施の形態において、広告DB108には、図9に示すように、単独ユーザ用の広告情報群108A、家族ユーザ用の広告情報群108B、カップルユーザ用の広告情報群108C、会社仲間ユーザ用の広告情報群108D、…が格納されている。 この実施の形態において、各広告情報は、図10〜図13に示すように、広告IDと提供条件等からなり、提供条件等は、ターゲット設定、提供条件、広告特定情報からなっている。
【0095】
具体的に、単独ユーザ用の広告情報群108Aは、同じ広告エリ内に、家族、カップル、同僚などの関連のある他のユーザが1人も存在しないユーザ(単独ユーザ)に対して提供する1以上の広告情報からなる。そして、図10に示した単独ユーザ用の広告情報の例では、広告IDが「10001」で、広告内容が「ゴルフショップの広告」である。当該広告情報は、ターゲット設定に示されているように、性別は「男女」で、年齢が「30代以上」で、趣味が「ゴルフ」で、自宅が「関東」にある単独ユーザに対して提供するものであることが示されている。
【0096】
また、当該単独ユーザ用の広告情報は、提供条件に示されているように、デジタルサイネージ7での再生(提供)時間帯は、デジタルサイネージが可動中の「全時間帯」であって、天気が「晴れ」である場合に再生(提供)すべきものであることが示されている。そして、当該単独ユーザ用の広告情報自体は、「/tandoku/data1.html」で特定される格納場所に格納されていることが示されている。このような単独ユーザ用の広告情報が複数集まって、単独ユーザ用の広告情報群108Aを形成している。
【0097】
また、家族ユーザ用の広告情報群108Bは、同じ広告エリ内に、家族と一緒にいるユーザ(家族ユーザ)に対して提供する1以上の広告情報からなる。図11に示した家族ユーザ用の広告情報は、広告IDが「20001」で、広告内容が「小学校入学用品の広告」である。当該家族ユーザ用の広告情報は、ターゲット設定に示されているように、家族を構成する子供の年齢が「保育園、幼稚園」であり、自宅が「関東」であり、対象が「父、母、祖父、祖母」である家族ユーザに対して提供するものであることが示されている。
【0098】
また、当該家族ユーザ用の広告情報は、提供条件に示されているように、デジタルサイネージ7での再生(提供)期間は「10月〜2月」であり、再生(提供)曜日は「土、日」であり、再生(提供)時間帯は「10時〜19時」であることが示されている。そして、当該家族ユーザ用の広告情報自体は、「/family/data1.html」で特定される格納場所に格納されていることが示されている。このような家族ユーザ用の広告情報が複数集まって、家族ユーザ用の広告情報群108Bを形成している。
【0099】
また、カップルユーザ用の広告情報群108Cは、同じ広告エリ内に、カップル(男女1組)でいるユーザ(カップルユーザ)に対して提供する1以上の広告情報からなる。図12に示したカップルユーザ用の広告情報は、広告IDが「30001」で、広告内容が「飲食店の広告」である。当該カップルユーザ用の広告情報は、ターゲット設定に示されているように、年齢が「20代以上」であり、直前の立寄り先が「飲食店以外」であるカップルユーザに対して提供するものであることが示されている。
【0100】
また、当該カップルユーザ用の広告情報は、提供条件に示されているように、デジタルサイネージ7での再生(提供)曜日は「金、土、日」であり、再生(提供)時間帯は「17時〜21時」であることが示されている。そして、当該カップルユーザ用の広告情報自体は、「/couple/data1.html」で特定される格納場所に格納されていることが示されている。このようなカップルユーザ用の広告情報が複数集まって、カップルユーザ用の広告情報群108Cを形成している。
【0101】
また、会社仲間ユーザ用の広告情報群108Dは、同じ広告エリ内に、1人以上の同僚といるユーザ(会社仲間ユーザ)に対して提供する1以上の広告情報からなる。図13に示した会社仲間ユーザ用の広告情報は、広告IDが「40001」で、広告内容が「居酒屋の広告」である。当該会社仲間ユーザ用の広告情報は、ターゲット設定に示されているように、年齢が「20代以上」であり、人数が「50名まで」である会社仲間ユーザに対して提供するものであることが示されている。
【0102】
また、当該会社仲間ユーザ用の広告情報は、提供条件に示されているように、デジタルサイネージ7での再生(提供)曜日は「月〜土」であり、再生(提供)時間帯は「17時〜23時」であることが示されている。そして、当該会社仲間ユーザ用の広告情報自体は、「/douryo/data1.html」で特定される格納場所に格納されていることが示されている。このような会社仲間ユーザ用の広告情報が複数集まって、会社仲間ユーザ用の広告情報群108Dを形成している。
【0103】
なお、図10〜図13を用いて説明した各広告情報の具体例はあくまでも例であり、ターゲット設定、提供条件、広告特定情報の異なる種々の広告情報を、上述したように、ユーザがとり得る状況毎に広告DB108に蓄積することができる。また、ユーザのとり得る状況も、図9に示したように、単独か、家族か、カップルか、会社仲間かに限るものではない。例えば、趣味の野球チームやサッカーチームの仲間や英語や俳句などの勉強仲間など、種々のグループユーザ用の広告情報を、広告DB108に蓄積することができる。
【0104】
また、広告DB108への広告情報の蓄積(登録)は、例えば、ネットワーク2を通じて送信されてくる広告主や広告制作会社などからの要求に応じて、制御部120が機能して行うことができる。この場合、広告内容を示す情報、提供対象ユーザの状況(単独ユーザか、家族ユーザか等)、ターゲット設定、提供条件、広告情報本体などの情報からなる広告情報の登録要求を、接続端子101、通信I/F102を通じて、制御部120が受け付けて、広告IDや広告特定情報を特定して、広告DB108に格納することになる。もちろん、サーバ装置1の図示しない外部入力端子に接続された外部機器に記憶されている広告情報を、サーバ装置1の図示しないキー操作部を通じて入力されるオペレータからの指示に応じて、広告DB108に登録することもできる。
【0105】
イベントDB109は、行われるイベントに関する情報を記憶保持する。図14は、この実施の形態のイベントDB109の登録データの例を説明するための図である。図14に示すように、この実施の形態のイベントDB109では、各地で行われる種々のイベントについての開催日時、開催場所、イベント種別、備考情報が記憶保持される。このイベントDB109の登録データに基づいて、デジタルサイネージ7を通じてイベントに関する情報の提供(イベントの広告)を行うことができる。イベントに関する情報の提供は、広告DB108からの広告情報による広告の代わり、あるいは、広告DB108からの広告情報による広告に加えて行うことができる。
【0106】
[サーバ装置1の各処理部(機能部)の説明]
そして、この実施の形態のサーバ装置1においては、図4において二重線のブロックで示した各部の内、エリア内ユーザ特定部112、ユーザ状況判別部113、広告情報特定部114、広告情報提供部115のそれぞれが協働することにより、ユーザの状況に応じた広告情報を提供する機能を実現する。また、プローブ情報解析部111が、ユーザの状況を判別する場合に用いるユーザDB106の属性情報を適切に維持、管理する機能を実現する。以下、これら各部について具体的に説明する。
【0107】
まず、プローブ情報解析部111について説明する。プローブ情報解析部111は、制御部120と協働し、携帯通信端末4からのプローブ情報に基づいて、ユーザDB106に登録されているユーザの属性情報を適切に維持、管理する。プローブ情報解析部111は、プローブ情報ファイル103に蓄積された所定期間分のプローブ情報をユーザ毎に解析することにより、ユーザDB106に登録されたユーザの属性情報に変化が生じたか否かを検出する処理を行う。
【0108】
具体的に、プローブ情報解析部111は、プローブ情報ファイル103に蓄積されている所定期間分のプローブ情報に基づいて、各ユーザの各日の移動経路(行動軌跡)を把握する。図15は、プローブ情報解析部111で行われるユーザの移動経路の把握について説明するための図である。図15は、ユーザIDが「00001」であるユーザの2011年6月9日の18時20分から2011年6月10日の18時10分までの把握した移動経路を示している。
【0109】
なお、図15において、日付は、図5に示したプローブ情報の日時情報の日付(年月日)に対応し、時刻は同じくプローブ情報の日時情報の時刻情報に対応している。また、図15において、(緯度、経度)で示される(X1、Y1)、(X2、Y2)等の位置は、図5に示したプローブ情報の測位位置情報または提供位置情報に対応している。例えば、プローブ情報に測位位置情報が存在する場合には、これが用いられ、測位位置情報が存在しない場合には、提供位置情報が用いられるようにされる。これにより、プローブ情報の信頼性が保たれる。
【0110】
すなわち、プローブ情報解析部111は、まず、所定期間分のプローブ情報をユーザ毎であって、時系列順にソートし、重複するプローブ情報を整理すると共に、移動開始位置、移動終了位置を特定するようにして、図15に示すように、ユーザの立寄り先と立寄り先での滞在時間、移動区間と移動手段とを特定する。
【0111】
図15に示した例の場合、ユーザIDが「00001」であるユーザは、6月9日の18時20分から翌10日の7時30分までは、位置(X1、Y1)に滞在している。一般に夜間から翌朝にかけての立寄り先(滞在場所)は自宅である場合が多い。そして、2011年6月10日の7時31分から7時44分までプローブ情報の現在位置が変化し、7時45に位置(X2、Y2)に到達し、7時50分まで位置(X2、Y2)に滞在している。
【0112】
この場合、凡そ7時31分における現在位置が変化開始位置であり、7時44分における現在位置が変化終了位置である。この変化開始位置から変化終了位置までの区間が移動区間である。そして、7時45分から7時50分まで滞在していた位置(X2、Y2)が最初の立寄り先である。
【0113】
そして、現在位置の変化開始位置から変化終了位置までの移動距離は、該当部分のプローブ情報の現在位置(緯度、経度)のそれぞれを地図DB104の地図情報上にプロットすることにより把握できる。そして、当該把握した移動距離を移動するのにかかった時間で割り算することによりその移動区間の移動速度が分かる。この算出した移動速度に応じて移動手段が判別できる。
【0114】
すなわち、算出した移動速度が、例えば、時速5km未満であれば移動手段は徒歩であり、時速5km以上かつ時速30km未満であれば移動手段は自転車であると判別することができる。また、移動速度が時速30km以上であって、把握した移動経路が鉄道軌道上を通ることもなく、把握した移動状態がバス停で停止することもない場合には、移動手段は自動車であると判別することができる。
【0115】
また、移動速度が時速30km以上であって、把握した移動経路が鉄道軌道上を通っている場合には、移動手段は電車であると判別することができる。また、移動速度が時速30km以上であって、把握した移動状態がバス停で停止する態様(パターン)になっている場合には、移動手段はバスであると判別することができる。
【0116】
なお、移動経路が道路か鉄道軌道上かは、プローブ情報の現在位置に基づいて、地図DB104の地図情報を参照することにより把握することができる。また、移動経路が道路上である場合に、移動手段が自動車かバスかの区別は、移動速度の変化点を地図DB104の地図情報やPOIDB105のPOI情報に基づいて確認し、当該変化点がバス停であるか否かに応じて区別することができる。
【0117】
そして、図15に示した例の場合、位置(X1、Y1)〜位置(X2、Y2)への移動は、徒歩によるものであることが把握されている。また、位置(X2、Y2)で特定される場所を、地図DB104の地図情報やPOIDB105のPOI情報を参照することにより、その場所がどのような場所かを特定することができる。図15に示した例の場合、位置(X2、Y2)で示される場所は、保育園であることが特定されている。
【0118】
同様にして、プローブ情報の解析を地図DB104やPOIDB105をも用いて行うことにより、図15に示すように、ユーザIDが「00001」であるユーザの移動経路が分かる。すなわち、図15に示す例の場合、ユーザIDが「00001」であるユーザは、7時51分から7時59分まで徒歩で移動し、8時00分には位置(X3、Y3)である○○駅に到着し、8時05分まで○○駅に滞在している。そして、8時06分から8時19分まで電車で移動し、8時20分には位置(X4、Y4)である△△駅に到着して、8時21分から8時30分まで徒歩で移動し、8時30分には位置(X5、Y5)である□□株式会社に到着している。
【0119】
そして、17時05分まで□□株式会社に滞在し、17時06分から17時15分まで徒歩で移動して、17時16分には位置(X4、Y4)である△△駅に到着し、17時19分まで△△駅に滞在している。そして、17時20分から17時34分まで電車で移動し、17時35分には位置(X3、Y3)である○○駅に到着し、17時36分には徒歩で移動を開始しており、17時47分には位置(X2、Y2)である保育園に到着している。この後、当該ユーザは、17時51分には徒歩で移動を開始し、18時10分には位置(X1、Y1)である場所(自宅)に到着している。
【0120】
このような解析を、プローブ情報解析部111は、例えば、10日分、20日分、1か月分といった所定期間分のプローブ情報を用いて、ユーザ別、日にち別に行う。そして、(1)立寄り先、(2)立寄り先の種別(住宅、保育園、会社などの区別)、(3)立寄り先での滞在時間等を考慮し、自宅、勤務先、家族構成の一部等を推測することができる。
【0121】
すなわち、図15に示したような移動経路での移動が例えば1ヶ月程度続けば、位置(X1、Y1)で示される場所が自宅(現住所)であると推測できる。現住所に対応するPOI情報が存在する場合には、その場所がマンションなのか、アパートなのか、戸建住宅なのかを判別することができる。また、勤務先は位置(X5、Y5)で示される□□株式会社であることが推測できる。
【0122】
また、勤務先のPOI情報等に基づいて、会社員、公務員、教員などといった職業等の推測も可能となる。また、勤務先、勤務地、勤務時間、ユーザの年齢や性別といった情報を考慮すると共に、Web上に公開されている給与等に関する情報等をも考慮することにより、凡その月収などの収入に関する情報についても推測できる。この他、朝と夕方に保育園に立寄っていることから保育園に通う子供がいると推測できる。また、移動には、徒歩と電車を用いていること、電車での移動区間は、○○駅から△△駅であることも推測できる。
【0123】
なお、図15を用いて説明した例は一例であり、プローブ情報解析部111は、上述したように、ユーザの移動経路を把握していくことにより、ユーザの属性情報についての種々の推測が可能になる。例えば、定期的に小学校が立寄り先になっている場合には、小学生の子供がいると推測できる。
【0124】
また、サッカーの試合が行われている競技場(サッカー場)に立寄るようになった場合には、サッカー観戦が趣味になったと推測できる。ユーザが立寄った場所が競技場であることは、上述もしたように、地図DB104やPOIDB105を参照することにより分かる。また、ユーザがその場所に滞在しているときにサッカーの試合が行われていたか否かは、インターネット上に開示されているサッカーの試合に関するWebページの情報を参照することにより分かる。そして、サッカーの試合が行われている競技場に立寄る頻度に応じて、サッカー観戦に関する熱心度も推測することができる。
【0125】
同様に、川や海などのつりが行える場所によく立寄るようになった場合には、つりが趣味になり、立寄る頻度や滞在時間に基づいて、その熱心度も推測することができる。また、ゴルフ場、ゴルフ練習場、ゴルフショップによく立寄るようになった場合には、ゴルフが趣味になり、立寄る頻度や滞在時間に基づいて、その熱心度をも推測することができる。
【0126】
また、ユーザが、結婚式場に立寄るようになった場合には、当該ユーザは結婚が近いと推測できるし、そのユーザの自宅(現住所)であると推測される場所が、他のユーザの自宅(現住所)であると推測される場所と一致するようになった場合、当該ユーザは、当該他のユーザと結婚した(同居した)と推測できる。この場合、当該ユーザと当該他のユーザの家族構成に変化が生じたと推測できる。さらに、当該ユーザが産婦人科病院に通うようになった場合には、出産が近いと推測できる。この後、当該ユーザが産婦人科病院に一定期間滞在(入院)した後、ベビー用品店など乳児に係わる施設などが立寄り先になった場合には、子供が誕生した、すなわち、家族構成に変化が生じた推測することができる。
【0127】
また、近年においては、携帯電話端末の普及率は高く、小学校の高学年位になると自分専用の携帯電話端末を持つ子供も増えてきている。中学生、高校生になると、さらに自分専用の携帯電話端末を持つ子供は多くなる。このため、プローブ情報をユーザ毎に解析するだけでなく、各ユーザについての解析結果との共通点のマージ処理をも行うことによって、家族構成についての変化についても精度よく推測することができる。
【0128】
そして、プローブ情報解析部111は、所定期間分のプローブ情報をユーザ毎に解析することにより、自宅(現住所)、住居形態、家族構成、職業等、勤務先等、収入、趣味、立寄り先、その他の種々の情報の推測ができたとする。この場合、プローブ情報解析部111は、ユーザ毎に、推測結果と、ユーザDB106の該当する属性情報とを比較し、変化が生じているか否かを推測する。
【0129】
なお、この実施の形態においては、図6を用いて説明したように、ユーザDB106には、立寄り先の欄に、何処(どこ)に何時(いつ)立寄ったかの履歴を更新することができるようになっている。すなわち、プローブ情報解析部111は、ユーザ毎にプローブ情報を解析することにより、立寄り先が判明した場合に、制御部120を通じて、ユーザDB106の該当ユーザの立寄り先の情報を更新することができる。
【0130】
また、プローブ情報解析部111において、立寄り先以外のユーザの属性情報が変化したことが検出できたとする。この場合、プローブ情報解析部111は、検出した変化内容を制御部120に通知し、ユーザDB106の該当するユーザの該当する属性情報を更新する処理を行う。
【0131】
図16は、変化が検出された属性情報の変化内容の例について説明するための図である。図16に示すように、変化が検出された属性情報の変化内容を示す情報としては、ユーザDB106の属性情報に変化が生じたことが検出されたユーザのユーザID、変化が検出された属性情報の項目(変化推測項目)と変化後の内容、当該検出が行われた年月日(推測年月日)からなる。なお、図16に示した例の場合、各情報は2011年7月1日の検出結果であることが示されている。
【0132】
そして、図16に示す例の場合には、ユーザIDが「00001」であるユーザについて、夜間から翌朝まで滞在する立寄り先に変化が生じたことを検出したために、「現住所」が(埼玉県さいたま市…)に変化したことが検出されている。また、ユーザIDが「00008」であるユーザについて、朝に自宅から出かける先に変化が生じたことを検出したために、「勤務地」が(東京都新宿区…)に変化したことが検出されている。また、ユーザIDが「00112」であるユーザについて、上述もしたように、産婦人科病院での一定期間の滞在、ベビー用品店が立寄り先になったこと等に基づき、出産により子供が増え、「家族構成」が変化したことが検出されている。
【0133】
また、ユーザIDが「00020」であるユーザについては、ゴルフ場、ゴルフ練習場、ゴルフショップなどを立寄り先とするようになったために、「趣味」にゴルフが加わったことが検出されている。また、ユーザIDが「00035」であるユーザについては、当該ユーザの自宅(現住所)と同じ場所に、夜間から翌朝にかけて滞在する他のユーザが確認できたために、「家族構成」が変化した(同居の家族が増えた)ことが検出されている。
【0134】
図16を用いて説明したように、プローブ情報解析部111から通知される変化が検出された属性情報の変化内容を示す情報に基づいて、制御部120はユーザDB106の内容を更新する。これにより、携帯通信端末4のユーザは、特に何もすることなく、ユーザの属性情報に変化が生じた場合に、サーバ装置1において変化した属性情報の変化後の内容を検出し、ユーザDB106の属性情報を更新して、属性情報の信頼性を高く維持する。
【0135】
なお、プローブ情報解析部111がユーザの属性情報の変化を検出した場合であっても、その検出した変化が真に正しいか否かの区別が難しい場合がある。例えば、勤務先が変わったことを検出しても、実は、一定期間だけ関連会社に手伝いに行っていただけなどということもあり得る。そこで、制御部120が、図16を用いて説明したプローブ情報解析部111からの通知に基づき、属性情報に変化が生じたことが検出(推測)されたユーザに対して、当該変化について確認を取るようにしてもよい。
【0136】
具体的に制御部120は、属性情報に変化が生じたことが検出(推測)されたユーザに対して、ユーザDB106の電子メールアドレスを用い、当該変化について確認を取るようにするための所定のWebページへのアクセスを促す電子メールを送信する。そして、ユーザが当該電子メールにより指示されたWebページにアクセスしてきて、確認入力を行い、当該確認入力が、属性情報に変化が生じたことの推測結果が正しいことの確証が取れたとする。この場合に、制御部120は、ユーザDB106に保持されている当該ユーザの登録情報の内、変化した属性情報を変化後の属性情報に変更する更新処理を実行する。このようにした場合には、ユーザDB106の内容を、より正確に維持することができる。
【0137】
[プローブ情報解析部111の処理のまとめ]
次に、この実施の形態のサーバ装置1のプローブ情報解析部111において行われる処理について、図17のフローチャートを参照しながらまとめる。図17は、プローブ情報解析部111で行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【0138】
プローブ情報解析部111は、例えば、1ヶ月毎などの所定のタイミングで、図17に示す処理を実行する。そして、プローブ情報解析部111は、まず、ユーザ別に、所定の期間分(例えば、直近の過去1ヶ月分)のプローブ情報を抽出する(ステップS101)。そして、プローブ情報解析部111は、抽出したプローブ情報に基づいて、分析対象のユーザのユーザIDを特定する(ステップS102)。
【0139】
そして、ユーザIDを特定したユーザの所定期間分のプローブ情報に基づいて、図15を用いて説明したように、当該所定期間における当該ユーザの移動経路(行動パターン)を特定する(ステップS103)。なお、このステップS103の処理においては、必要に応じて、地図DB104、POIDB105が参照される。
【0140】
そして、プローブ情報解析部111は、ステップS103で把握した立寄り先についての情報(立寄り先の名称、位置(緯度、経度)、立寄り日時)を、制御部120を通じてユーザDB106に更新する(ステップS104)。このようにして更新されるユーザDB106の立寄り先の情報により、同じ日時に同じ立寄り先に立寄っているユーザ同士は何らかの関係が有ることを検出できる。例えば、複数のユーザが同じ日時に例えばテニスコートに立寄っていることが検出できた場合には、それらのユーザはテニス仲間であると判別することができる。
【0141】
さらに、プローブ情報解析部111は、ステップS103の特定結果に基づいて、当該ユーザの立寄り場所、立寄り時刻、当該立寄り場所についての滞在時間、各立寄り場所への立寄り周期等を把握し、これに基づき、現住所、職業等、勤務地等、収入、趣味、子供有無等を把握する(ステップS105)。
【0142】
上述もしたように、引越しにより現住所が変わった場合や就職や転職、進学等により職業等や勤務地等が変わった場合には、プローブ情報に応じてユーザの行動軌跡を解析することにより、それらの変化後の状態を検出することができる。また、特定した立寄り先に基づいて、勤務先やアルバイト先を特定すると共に、ユーザの年齢や勤務時間(滞在時間)、インターネット上に開示されている当該勤務先やアルバイト先の賃金情報、一般的な賃金相場の情報等に基づいて、大まかにユーザの収入を推測することも出来る。
【0143】
また、特定した立寄り先や休日の外出先に基づいて、趣味を特定することもできるし、特定した立寄り先に基づいて、保育園や幼稚園などに毎日ほぼ決まった時間に立寄っている場合には、子供がいることが分かるなど、種々の解析が可能となる。このように、どのような場所が立寄り先か、立寄る頻度はどの位か、同伴者はいるか等の情報に基づいて、種々の属性情報の判別が可能となる。このような判別は、ステップS105における処理においてパターン化しておき、当該パターンに基づいて判別することができる。
【0144】
さらに、プローブ情報解析部111は、ステップS105において、現住所として特定した場所を立寄り先とする他のユーザの有無を確認し、同居の家族を把握する(ステップS106)すなわち、特定した現住所に、長時間にわたって立寄る他のユーザが存在する場合には、当該他のユーザはステップS102で特定したユーザIDのユーザの家族であると判別することができる。
【0145】
そして、プローブ情報解析部111は、制御部120を通じて、ステップS102で特定したユーザIDに基づいて、ユーザDB106の属性情報(登録情報)を参照し、ステップS105、ステップS106での推定結果に基づいて、ユーザDBの属性情報が変化しているか否かを検出する(ステップS107)。すなわち、ステップS107では、ステップS105、ステップS106で把握した情報と、ユーザDB106の属性情報とで異なっている場合には、当該ユーザの属性情報に変化ありと検出する。そして、プローブ情報解析部111は、ステップS107において変化ありと検出したユーザDB106の属性情報を、制御部120を通じて、変化後の属性情報に更新する処理を行う(ステップS108)。
【0146】
ステップS108の後、プローブ情報解析部111は、抽出したプローブ情報をユーザ毎にすべて処理したか否かを判別する(ステップS109)。ステップS109の判別処理において、抽出したプローブ情報をユーザ毎にすべて処理していないと判別したときには、ステップS102からの処理を繰り返し、次のユーザについてのプローブ情報の解析処理を行う。ステップS109の判別処理において、抽出したプローブ情報をユーザ毎にすべて処理したと判別したときには、この図17に示す処理を終了する。
【0147】
このように、プローブ情報解析部111は、制御部120と協働し、プローブ情報を解析することにより、ユーザDB106に登録されている属性情報に変化が生じたことを検出した場合に、ユーザDB106の属性情報を変化後の情報に更新することができる。すなわち、プローブ情報解析部111は、制御部120と協働することにより、ユーザDB106の属性情報を適切かつ高品位に維持する機能を実現している。
【0148】
次に、実際にユーザに対して広告情報を提供するために機能するエリア内ユーザ特定部112、ユーザ状況判別部113、広告情報特定部114、広告情報提供部115の各部について説明する。
【0149】
エリア内ユーザ特定部112は、サーバ装置1が広告情報を配信する各デジタルサイネージ7の広告エリア毎に、広告エリア内に位置する全ての携帯通信端末4のユーザを特定し、その特定結果をユーザ状況判定部に通知する。図8を用いて説明したように、広告エリアDB107の広告エリアを示す情報は、広告エリアの1つの対角線の両端の位置情報からなる。このため、図8に示した例の場合には、緯度がXa以上かつXb以下で、経度がYa以上かつYb以下である現在位置情報を有するプローブ情報を送信してきた携帯通信端末4は、デジタルサイネージ7(1)の広告エリア内に位置していると特定できる。このように、エリア内ユーザ特定部112は、各デジタルサイネージ7の各広告エリアに位置するユーザを特定し、これをユーザ状況判別部113に通知する。
【0150】
ユーザ状況判別部113は、エリア内ユーザ特定部112からの特定結果に基づいて、同じ広告エリア内に位置している全てのユーザ毎に、当該広告エリア内に位置する他のユーザとの関係性を確認して、各ユーザの現在の状況を判別する。ユーザの現在の状況は、上述もしたように、1人だけでいる単独ユーザか、家族と一緒にいる家族ユーザか、男女1組でいるカップルユーザか、同僚と一緒にいる会社仲間ユーザかなどである。
【0151】
すなわち、ユーザ状況判別部113においては、同じ広告エリアに位置する各ユーザの属性情報を参照する。そして、現住所が同じユーザは家族ユーザであると判別することができる。また、立寄り先の情報から同じ日時に同じように移動している性別が異なる1組のユーザはカップルユーザであると判別することができる。また、勤務地と会社名の一方または両方が一致するユーザは会社仲間ユーザであると判別することができる。その他、同じ学校に通っているユーザは学校仲間ユーザであると判別することができる。
【0152】
また、同じ日時に同じテニスコートにいた履歴がユーザDB106の立寄り先情報に確認できれば、それらのユーザはテニス仲間ユーザであると判別することができる。このように、ユーザDB106の立寄り先情報から種々のユーザ同士の関連性を判別し、それらのユーザの状況を判別することもできる。また、上述したいずれの場合であっても、何人のグループかも判別できる。また、ユーザDB106の属性情報から同じ広告エリアに属する他のユーザと関連性を見出すことができなかったユーザについては単独ユーザであると判別できる。
【0153】
そして、デジタルサイネージ7を通じての広告の提供場面を考えると、例えば、単独ユーザの場合は、1人でも利用しやすい飲食店の広告や当該ユーザの趣味に応じた広告が提供できればより効果的である。また、家族ユーザの場合には、その家族に応じた広告、例えば、小学校に入学する子供のいる家族ユーザに対しては、学習机やランドセルなどの広告が提供できればより効果的である。また、カップルユーザの場合には、2人で落ち着ける飲食店の広告や映画やお芝居などの広告が提供できればより効果的である。また、複数人からなる会社仲間ユーザの場合には、当該人数に対応可能な居酒屋などの飲食店の広告が提供できればより効果的である。
【0154】
このため、ユーザ状況判別部113は、広告エリア毎に判別したユーザの状況を広告情報特定部114に対して通知し、当該通知したユーザの状況に応じて各広告エリアに広告を提供するデジタルサイネージ7に対して提供すべき広告情報の特定を依頼する。なお、例えば、単独ユーザ、カップルユーザ、会社仲間などの多人数のグループユーザのそれぞれが、1組以上、同じ広告エリア内に位置している場合もある。このような場合、ユーザ状況判定部113は、広告情報の提供順を所定の規則に従って定める。例えば、上述もしたように、人数の多いグループ順にしたり、逆に人数の少ないグループ順としたりすることが考えられる。なお、この場合、単独ユーザも構成人員が1であるグループとして扱うようにすればよい。
【0155】
また、各ユーザの属性情報うちの全部の情報あるいは予め決められた一部の情報を提供することにより、より細かく、広告情報の特定を指示できる。例えば、複数人からなるグループの場合、会社仲間、テニス仲間、英会話の学習仲間などのような、そのグループの種別(特徴)と、グループを構成する人の数、年齢構成、男女構成、現住所構成などを通知する。また、家族ユーザの場合には、グループを構成する人の数、年齢構成、男女構成、子供や孫の数、子供や孫の年齢、現住所などを通知する。また、カップルユーザの場合には、グループを構成する人の年齢、直前の立寄り先、それぞれの趣味などを通知する。また、単独ユーザの場合には、年齢、性別、現住所、職業に関する情報、趣味などを通知する。
【0156】
このように、ユーザ状況判別部113は、広告情報特定部114に対して、(A)広告情報の提供先のデジタルサイネージのID、(B)グループの種別、(C)必要となる属性情報等を提供する。具体例として、例えば、デジタルサイネージ7(1)に対して会社仲間ユーザ用の広告情報の特定を依頼する場合を考える。この場合、ユーザ状況判別部113から広告情報特定部114には、
(A)広告情報の提供先「デジタルサイネージ7(1)」
(B)グループの種別「会社仲間ユーザ」
(C1)構成人員「8名」
(C2)年齢構成「20歳代3名、30歳代3名、40歳代2名」
(C3)男女構成「男性5名、女性3名」
(C4)現住所構成「東京3名、神奈川3名、埼玉1名、千葉1名」
といった情報が提供されることになる。なお、(C)の必要となる属性情報等は、上述もしたように、ユーザの状況(ユーザが構成するグループの種別)に応じて予め決められ、当該グループを構成するユーザの属性情報から取得することができる。
【0157】
広告情報特定部114は、上述したようにユーザ状況判別部113からの情報に基づいて、広告DB108を参照し、指示されたデジタルサイネージ7に提供すべき広告情報を特定し、特定結果を広告情報提供部115に通知する。簡単には、広告情報特定部114は、グループの種別(ユーザの状況(Occasion))に基づいて、提供する広告情報を特定する。したがって、グループの種別が例えば「会社仲間ユーザ」である場合には、図8に示した広告DB108の会社仲間ユーザ用の広告情報群108Dから提供すべき広告情報を特定する。会社仲間ユーザ以外についても、同様に、単独ユーザであれば単独ユーザ用の広告情報群108Aから、家族ユーザであれば家族ユーザ用の広告情報群108Bから、カップルユーザであればカップルユーザ用の広告情報群108Cから、それぞれ提供すべき広告情報を特定する。
【0158】
また、図10〜図13を用いて説明したように、広告DB108に格納されている広告情報は、ターゲット設定や提供条件を有する。これらターゲット設定や提供条件を考慮して、提供すべき広告情報を特定することもできる。例えば、上述した会社仲間ユーザの場合の(A)〜(C4)の情報と広告を提供する日時とを考慮すれば、図13を用いて説明したような居酒屋の広告などが提供すべき広告情報として特定される。単独ユーザ、家族ユーザ、カップルユーザなどの場合にも同様にして、ターゲット設定や提供条件を考慮することにより、よりきめ細かくユーザに適した広告情報を特定することができる。
【0159】
また、特定の店舗や会社などの広告ではないが、デジタルサイネージ7が設置されている場所の近傍において開催されているイベントがある場合には、その情報をイベントDB109から取得し、これを提供する広告情報として特定することもできる。例えば、家族ユーザの場合には、当該家族ユーザが位置する広告エリアに広告を提供するデジタルサイネージ7の設置位置の近傍で開催される夏祭りや花火大会などのイベントの案内情報を提供すべき広告として特定することができる。
【0160】
同様に、カップルユーザや学生仲間ユーザの場合には、それらのユーザが位置する広告エリアに広告を提供するデジタルサイネージ7の設置位置の近傍で開催されるコンサートなどのイベントの案内情報を提供すべき広告として特定することができる。このように、グループの種別(ユーザの状況)に応じて、ユーザが位置する広告エリアに広告を提供するデジタルサイネージ7の設置位置の近傍で開催される種々のイベント(講演会、展示会、展覧会、コンサート等)の案内情報を提供すべき広告情報として特定することができる。
【0161】
そして、広告情報特定部114は、広告情報の提供先のデジタルサイネージ7と、提供する広告の広告特定情報とを広告情報提供部115に提供する。例えば、デジタルサイネージ7(1)に提供する広告情報が、広告ID「40001」の広告情報である場合には、「デジタルサイネージ7(1)、/douryo/data1.html」となる情報が広告情報特定部114から広告情報提供部115に提供される。
【0162】
広告情報提供部115は、広告情報特定部114から指示された広告特定情報により特定される広告情報を広告DB108から読み出す。そして、広告情報提供部115は、送信先(提供先)を広告情報特定部114から指示されたデジタルサイネージ7とし、読み出した広告情報を含む送信情報を形成し、これを制御部120、通信I/F102、接続端子101を通じてネットワーク2に送出する。これにより、広告情報を主情報とする当該送信情報が、目的とするデジタルサイネージ7に送信される。
【0163】
そして、当該デジタルサイネージ7では、上述もしたように、接続端子701、通信I/F702を通じて制御部720により受信され、広告情報ファイル703に格納される。そして、制御部720は、広告情報ファイル720に格納した広告情報を読み出して、映像情報と音声情報とに分離し、映像情報は表示制御部704に、また、音声情報は音声処理部706に供給する。そして、広告情報の内の映像情報に応じた映像が表示部705に表示され、広告情報の音声情報に応じた音声がスピーカ707から放音される。
【0164】
これにより、デジタルサイネージ7により広告が提供される広告エリア内に位置するユーザを特定すると共に、そのユーザの状況を判別し、その判別したユーザの状況に応じて当該ユーザに適した広告を提供することができる。
【0165】
このように、サーバ装置1は、まず、広告エリア内に位置するユーザの状況(Occasion)に応じて、当該ユーザに提供すべき広告情報を特定し、これを当該ユーザが位置する広告エリアに広告を提供するデジタルサイネージ7に提供することができる。また、ユーザに広告を提供する時間(Time)を考慮して、広告情報の提供条件に合致した広告情報を配信すべき広告情報として特定することもできる。
【0166】
また、ユーザの自宅(現住所)を考慮して、広告情報に含まれるターゲット設定の自宅(現住所)に合致した広告情報を特定したり、ユーザの現在位置(当該ユーザに広告を提供するデジタルサイネージ7の設置位置)を考慮して、近隣で開催されるイベント情報を提供したりすることもできる。すなわち、広告提供対象のユーザの場所(Place)に関する情報を考慮して、提供すべき広告情報を特定することもできる。
【0167】
さらに、広告を提供するユーザの属性情報の内、年齢、家族構成、職業等、趣味などの情報をも考慮して、広告情報のターゲット設定の情報から合致した広告情報を配信する広告情報として特定することもできる。すなわち、サーバ装置1は、ユーザのT(Time)、P(Place)、O(Occasion)やユーザの属性情報の1つ以上に基づいて、デジタルサイネージ7を通じて広告が提供されるユーザに対して提供すべき広告情報を特定し、これを提供することができる。
【0168】
そして、特に、ユーザの状況をも考慮して、ユーザに提供すべき広告情報を特定するという技術的な思想は従来になく、デジタルサイネージ7を通じて広告を効果的に提供するための重要な要件になっている。
【0169】
[広告情報を適用するために機能する各部112〜115の処理のまとめ]
次に、サーバ装置1において、デジタルサイネージ7に広告情報を提供する機能を実現するエリア内ユーザ特定部112、ユーザ状況判定部113、広告情報特定部114、広告情報提供部115の処理について、図18のフローチャートを参照しながらまとめる。図18は、エリア内ユーザ特定部112、ユーザ状況判定部113、広告情報特定部114、広告情報提供部115において行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【0170】
図18に示すフローチャートの処理は、広告情報を各デジタルサイネージ7に提供すべき適宜のタイミングで実行するようにされる。具体的には以下に詳述するように、制御部120が、エリア内ユーザ特定部112、ユーザ状況判定部113、広告情報特定部114、広告情報提供部115のそれぞれを制御することにより、デジタルサイネージ7への広告情報の提供(配信)を行う。
【0171】
まず、制御部120は、エリア内ユーザ特定部112を制御して、例えば、最新の受信したプローブ情報と広告エリアDB107の情報とを用い、各デジタルサイネージ7の広告エリア内に位置するユーザのそれぞれを特定する(ステップS201)。そして、制御部120は、ユーザ状況判別部113を制御し、ステップS201で特定された各広告エリア内に位置するユーザ毎に、同じ広告エリア内に位置する他のユーザとの関係性を確認し、ユーザ毎の現在の状況を判別する(ステップS202)。なお、この実施の形態において、ステップS202におけるユーザ同士の関係性の確認は、ユーザDB106の属性情報に基づいて行われる。
【0172】
そして、制御部120は、ユーザ状況判別部113を制御し、広告情報の特定に必要な情報を特定し、これを広告情報特定部114に通知する(ステップS203)。ここで、ユーザ状況判別部113から広告情報特定部114に通知される情報は、上述もしたように、(A)広告情報の提供先のデジタルサイネージ、(B)グループの種別、(C)必要となる属性情報等である。なお、上述もしたように、同じ広告エリア内に複数のユーザが存在し、複数のグループを構成している場合には、グループ毎に広告を提供する順番が定められ、その定められた順番で、広告情報が特定されるように必要情報が提供される。
【0173】
そして、制御部120は、広告情報特定部114を制御し、ステップS203において特定した情報に基づいて、目的とするユーザに提供すべき広告情報を特定する(ステップS204)。このステップS204では、上述もしたように、所定のデジタルサイネージ7を通じて提供すべき広告情報を、ユーザの状況に応じると共に、時間、場所、その他の属性情報等をも考慮して特定する。
【0174】
この後、制御部120は、広告情報提供部115を制御して、ステップS205で特定した広告情報を読み出し、当該広告情報を含み、提供するデジタルサイネージ7を特定する情報を有する送信情報を形成し、これを送信する(ステップS205)。これにより、特定されて読み出された広告情報が、ネットワーク2を通じて、目的とするデジタルサイネージ7に送信される。
【0175】
このように、この実施の形態のサーバ装置1は、制御部120が、エリア内ユーザ特定部112、ユーザ状況判別部113、広告情報特定部114、広告情報提供部115のそれぞれを制御して広告情報の提供処理を行う。これにより、広告エリア内に位置するユーザの状況等を考慮して、デジタルサイネージ7に提供すべき広告情報を特定し、これを提供することができる。
【0176】
なお、図4に示したサーバ装置1において、二重線で示したプローブ情報解析部111、エリア内ユーザ特定部112、ユーザ状況判別部113、広告情報特定部114、広告情報提供部115のそれぞれの機能は、制御部120のCPU121で実行されるプログラムによって実現することもできる。すなわち、プローブ情報解析部111、エリア内ユーザ特定部112、ユーザ状況判別部113、広告情報特定部114、広告情報提供部115の機能を、ソフトウェアによって制御部120の機能として実現することもできる。この場合、図17、図18に示したフローチャートの処理を行うプログラム(ソフトウェア)を作成し、これをサーバ装置1の例えばEEPROM124に搭載し、CPU121において実行可能にしておけばよい。
【0177】
[実施の形態の効果]
上述したように、サーバ装置1は、デジタルサイネージ7に対して広告情報を配信するが、各デジタルサイネージ7が広告を提供することができる広告エリア内に位置するユーザの状況に応じて、配信すべき広告情報を特定することができる。これにより、従来、不特定多数のユーザに対して広告を提供するデジタルサイネージを通じて、ユーザの状況に応じた広告情報を提供することができる。したがって、従来に比べてユーザに対してより関連や興味のある広告情報を提供することができ、従来に増して効果的に広告を提供することができるようになる。したがって、より多くの広告提供者(スポンサー)を集めることができ、より多くの広告情報を、デジタルサイネージ7の広告エリアに位置するユーザに応じてフレキシブルンに提供することができる。
【0178】
[変形例]
なお、上述した実施の形態においては、サーバ装置1が地図DB104、POIDB105、ユーザDB106、広告エリアDB107、広告DB108、イベントDB109を備えるものとして説明したが、これに限るものではない。地図DB104、POIDB105、ユーザDB106、広告エリアDB107、広告DB108、イベントDB109ネットワーク2上の他のサーバ装置に用意されているものを、サーバ装置1が利用する態様とすることもできる。
【0179】
また、上述した実施の形態におけるユーザの属性情報の変化の検出は一例であり、携帯通信端末4からのプローブ情報を用いることにより、ユーザの種々の属性情報の推測が可能である。例えば、ユーザやその家族がライフサイクル(乳児、幼児、児童、少年、青年、中年、壮年、老年等)のどの段階にあるのかを推測することができる。また、ユーザやその家族がライフステージ(保育、就学、就職、独身、恋愛、結婚、育児、教育、子離れ、隠居、晩年等)のどの段階のあるのかを推測することができる。
【0180】
また、ライフスタイル(趣味嗜好、行動範囲、家族形態、扶養家族、参加している団体やサークルや地域活動等)を推測することができる。また、性別、年齢、学歴、資格、職業、収入、可処分所得、資産、住居形態などのライフベースについても推測可能である。これら、ライフサイクル、ライフステージ、ライフスタイル、ライフベースに属するユーザの種々の属性についても、ユーザが携帯する携帯通信端末4からのプローブ情報を収集して、ユーザの行動軌跡に基づく行動パターンや当該ユーザと共に行動する他のユーザの存在等を総合的に勘案して推測することができる。
【0181】
より具体的には、上述したユーザについての属性情報のそれぞれについて、ユーザがどのような行動をとった場合に、その属性情報に該当することになったと推測できるかの基準情報を多数整えておく。そして、サーバ装置1の属性情報変化推測部107は、プローブ情報を解析することにより、携帯通信端末を持つユーザが、いつ、どこへ、どの位の時間、誰といったか、行った先でどのようなイベントが行われていたかなどの情報を取得する。そして、属性情報変化推測部107は、当該取得した情報と、上述した基準情報との一致、あるいは、一致の度合いに応じて、その属性情報に該当することになったか否かを推測(判別)判別する。
【0182】
したがって、上述した基準情報を整備することにより、推測した収入から可処分所得を推測することができる。また、POI情報や一緒にいる他のユーザの属性情報などを利用して、現住所は持ち家か賃貸か、取引銀行はどこか、証券会社との取引はあるかといった資産に関する情報を推測したりすることもできる。また、仮にユーザの性別が不明だった場合に、立寄り先などから性別を推測することもできるし、同窓会やセミナーや講習会などへの参加の状況に応じて、学歴や保持している資格などについても把握できる。
【0183】
このため、サーバ装置1が備える地図DB104、POIDB105、イベントDB109だけに限らず、ネットワーク2上に存在する例えば種々のWebページなどの情報をも参照し、ユーザの立寄り先で何が行われていたかの情報をも考慮する。このようにして、プローブ情報を利用することにより、ユーザの種々の属性情報についての詳細な推測が可能となる。
【0184】
また、上述した実施の形態においては、各デジタルサイネージ7が広告を提供する広告エリア内に位置するユーザの状況は、同じ広告エリア内に位置するユーザのユーザDB106の属性情報同士のマージ処理を行うことにより、その関係性を把握するようにした。しかし、これに限るものではない。例えば、ユーザDB106に登録された属性情報を解析することにより、各ユーザ間の関係性を記述したいわゆるセマンティック型データベースを事前に形成しておく。
【0185】
当該セマンティック型データベースは、簡単には、ユーザAとユーザBは親子、ユーザAとユーザCは同僚、ユーザCとユーザDは友人などというように、ユーザDB106に属性情報が登録される各ユーザが、どのユーザとどのような関係性を有するかを記述したものである。そして、ユーザ状況判別部113での処理において、当該セマンティック型データベースを参照し、同じ広告エリアに位置するユーザ間の関係性を特定して、その特定したユーザ間の関係性に基づいて、各ユーザの状況を迅速に判別することができる。
【0186】
なお、プローブ情報を送信する携帯通信端末のユーザはできるだけ多い方が好ましく、少なくとも数万人から数十万人を対象とする必要がある。また、上述した実施の形態において説明した例に限ること無く、プローブ情報や各ユーザの種々の属性情報について、多面的に統計処理や統計解析を行うことにより、ユーザの状況を詳細かつ適正に判別することが可能である。
【0187】
また、上述した実施の形態においては、デジタルサイネージ7によって広告が提供される広告エリア内に位置するユーザの状況を判別するようにしたが、これに限るものではない。上述した実施の形態のシステムにより、例えば、所定の地域を所定の大きさのメッシュ(矩形領域)に分割し、各メッシュの中にどのような状況、属性を持つユーザがどの位存在しているのかをリアルタイムに把握することもできる。この場合、広告エリアDB107で管理されるエリア情報がメッシュに応じたものとなる。
【0188】
そして、メッシュ毎のユーザの状況や属性をも考慮した混雑度情報などを、ユーザに提供し、目的とする場所への到達時間の決定等に役立てることができる。また、季節や曜日、時間帯毎の各メッシュにおけるユーザの状況や属性を考慮した混雑度や周辺のイベント開催予定などの情報を考慮して、天気予報のように、メッシュ毎かつ時間帯毎のユーザの状況や属性を考慮した混雑予測を提供するようにすることもできる。例えば、サッカー場や野球場が存在するメッシュには、家族連れが多く集まっているのか、友人同士の仲間(グループ)が多く集まっているのか、単独ユーザが多く集まっているのか等を把握することができる。もちろん、集まってきているユーザの性別や年齢などの属性についても把握することができる。
【0189】
また、メッシュ毎のユーザの状況や属性をも考慮した混雑度などを把握する場合、各メッシュに位置するユーザの状況や属性に応じて、どのメッシュにおいて、どのようなチラシやティッシュ等の旧来の広告を配布すればよいか等の戦略の策定に利用できる。また、店舗の前の呼び込みを行う時間帯や内容、店舗で行うタイムセールやタイムサービスの内容などを、周辺のユーザの状況や属性に応じてフレキシブルに変更することができる。これにより、効果的にユーザの店舗への誘導を行うことなどが可能となる。
【0190】
また、広告手段としてはデジタルサイネージの他、いわゆる電子ペーパーポスターなどの表示情報等の提供する広告を随時に変えられる種々の広告手段を用いる場合に、この発明を適用できる。また、広告手段は、静止画や動画などの画像情報と、音声情報との一方または両方により、広告(提供情報)を提供することができるものであればよい。
【0191】
また、近年においては、電車内に動画や静止画の広告画像を表示するディスプレイを設け、乗客に広告などの種々の情報を提供することも行われている。そこで、電車の各車両に、どのような状況、属性のユーザが乗車しているのかを把握し、車両毎に異なる広告を提供するなど、車両単位にフレキシブルに提供する情報を変えることもできる。この場合のシステムも、上述した実施の形態の場合と同様に構成することが可能である。
【0192】
また、上述したように、この発明は、広告エリアやメッシュ(矩形領域)など、所定のエリア(領域)を設定し、そのエリア内におけるユーザの状況やユーザの属性を考慮したユーザの分布等を把握できる構成を有している。すなわち、図4に示したサーバ装置1の構成の内、広告情報特定部114及び広告情報提供部115を除いた部分が、所定のエリアに位置するユーザの状況と属性との把握を可能にする情報収集サーバとしての機能を実現する部分である。これにより、予め決められる所定のエリアを単位として、人の行動パターンの定量化を行うことができる。したがって、伝染病の拡散の予測、都市部の道路計画などを行う場合に有効な情報を取得できる。
【0193】
すなわち、この発明は、特に、自然災害や伝染病の拡散を想定した場合における、緊急対応の計画改善に有効な情報を得ることができる。簡単な例を示せば、会社仲間ユーザや学生仲間ユーザなどが多いエリアでは、自然災害時には帰宅困難者が多く発生することが予測されるので、その対応を事前に考えておくことができる。また、会社仲間ユーザや学生仲間ユーザなどが多いエリアでは、伝染病の拡散の根源になることが予測されるので、伝染病発生時における対応を事前に考えておくことができる。これらはあくまでも一例であり、想定したエリア毎のユーザの状況や属性をリアルタイムにかつ適切に把握することにより、種々の用途に活用可能な情報を得ることができる。
【0194】
[その他]
なお、上述した実施の形態においては、サーバ装置1の接続端子101及び通信I/F102が主に受信手段としての機能を実現している。また、サーバ装置1のエリア内ユーザ特定部112が、特定手段としての機能を実現し、ユーザ状況判別部113が判別手段としての機能を実現している。
【0195】
また、サーバ装置1の広告情報特定部114が広告特定手段としての機能を実現し、広告情報提供部115が広告提供手段としての機能を実現している。また、サーバ装置1のユーザDB106が、属性情報保持手段としての機能を実現し、プローブ情報ファイル103がプローブ情報蓄積手段としての機能を実現し、プローブ情報解析部111が解析手段としての機能を実現している。また、サーバ装置1の制御部120が、変更手段としての機能を実現している。
【符号の説明】
【0196】
1…サーバ装置、101…接続端子、102…通信I/F、103…プローブ情報ファイル、104…地図DB、105…POIDB、106…ユーザDB、107…広告エリアDB、108…広告DB、109…イベントDB、111…プローブ情報解析部、112…エリア内ユーザ特定部、113…ユーザ状況判別部、114…広告情報特定部、115…広告情報提供部、120…制御部、2…ネットワーク、3…基地局、4…携帯通信端末、401…送受信アンテナ、402…送受信処理部、403…受話器(スピーカ)、404…送話器(マイクロホン)、411…キー操作部、412…表示制御、413…表示部、414…音声処理部、415…スピーカ、420…制御部、431…時計回路、432…外部入出力端子、433…外部I/F、434…GPS部、435…GPSアンテナ、5…GPS衛星、6…位置管理サーバ、7…デジタルサイネージ、701…接続端子、702…通信I/F、703…広告情報、704…表示制御部、705…表示部、706…音声処理部、707…スピーカ、711…HDD、712…時計回路、720…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの携帯通信端末から所定のタイミング毎に送信される情報であって、ユーザの識別が可能な識別情報と現在位置情報とを含むプローブ情報を受信する受信手段と、
受信された前記プローブ情報に基づいて、所定の広告手段により広告が提供される広告エリアに位置するユーザのそれぞれを特定する特定手段と、
特定された前記ユーザのそれぞれの状況を、当該広告エリア内に位置する他のユーザとの関係性に応じて判別する判別手段と
を備えることを特徴とする情報収集サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の情報収集サーバであって、
各ユーザの判別された前記状況に応じて、前記所定の広告手段を通じて提供する広告情報を特定する広告特定手段と、
特定された前記広告情報を前記所定の広告手段に提供する広告提供手段と
を備えることを特徴とする情報収集サーバ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報収集サーバであって、
ユーザ毎に個人の属性情報を記憶保持する属性情報保持手段と、
受信された前記プローブ情報をユーザ毎に蓄積するプローブ情報蓄積手段と、
前記プローブ情報蓄積手段に蓄積された前記プローブ情報をユーザ毎に解析し、前記属性情報保持手段に保持されている当該ユーザの属性情報に変化が生じたか否を検出する解析手段と、
前記解析手段で属性情報に変化が生じたことを検出した場合に、前記属性情報保持手段の該当ユーザの該当属性情報を変化後の属性情報に変更する変更手段と
を備え、
前記判別手段は、前記属性情報保持手段の各ユーザの前記属性情報に基づいて導き出されるユーザ間の前記関係性に応じて、ユーザの状況を判別することを特徴とする情報収集サーバ。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の情報収集サーバであって、
前記広告特定手段は、前記判別手段の判別結果に加えて、現在時刻、ユーザの現在位置、ユーザの属性情報の1つ以上を考慮して、提供すべき広告情報を特定することを特徴とする情報収集サーバ。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の情報収集サーバであって、
前記検出手段は、地図情報とPOI(Point Of Interest)情報の一方あるいは両方を考慮して、前記プローブ情報を解析することにより、各ユーザの属性情報に変化が生じたか否かを検出することを特徴とする情報収集サーバ。
【請求項6】
ユーザの携帯通信端末から所定のタイミング毎に送信される情報であって、ユーザの識別が可能な識別情報と現在位置情報とを含むプローブ情報を、受信手段が受信する受信工程と、
受信した前記プローブ情報に基づいて、所定のエリア内に位置するユーザのそれぞれを特定手段が特定する特定工程と、
特定した前記ユーザのそれぞれの状況を、判別手段が当該広告エリア内に位置する他のユーザとの関係性に応じて判別する判別工程と
を有することを特徴とする情報収集方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報収集方法であって、
各ユーザの判別された前記状況に応じて、広告特定手段が前記所定の広告手段を通じて提供する広告情報を特定する広告特定工程と、
特定された前記広告情報を、広告提供手段が前記所定の広告手段に提供する広告提供工程と
を有することを特徴とする情報収集方法。
【請求項8】
プローブ情報を送信する携帯通信端末と、前記プローブ情報を受信するサーバ装置とがネットワークを通じて接続されて構成される広告提供システムであって、
前記携帯通信端末は、
所定のタイミング毎に、ユーザの識別が可能な識別情報と現在位置情報とを含むプローブ情報を生成する生成手段と、
生成された前記プローブ情報を、前記サーバ装置に送信する送信手段と
を備え、
前記サーバ装置は、
ユーザの携帯通信端末から所定のタイミング毎に送信される情報であって、ユーザの識別が可能な識別情報と現在位置情報とを含むプローブ情報を受信する受信手段と、
受信された前記プローブ情報に基づいて、所定のエリア内に位置するユーザのそれぞれを特定する特定手段と、
特定された前記ユーザのそれぞれの状況を、当該所定のエリア内に位置する他のユーザとの関係性に応じて判別する判別手段と
を備えることを特徴とする情報収集システム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報収集システムであって、
前記サーバ装置は、
各ユーザの判別された前記状況に応じて、所定の広告手段を通じて提供する広告情報を特定する広告特定手段と、
特定された前記広告情報を前記所定の広告手段に提供する広告提供手段と
を備えることを特徴とする情報収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−73290(P2013−73290A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210056(P2011−210056)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)