説明

情報取得装置、情報取得方法、及びタグ装置

【課題】タグ装置の消費電力を低減することができる情報取得装置を提供すること。
【解決手段】情報取得装置は、光ビームを出射する出射部と、前記出射部から出射された光ビームが物体で反射した再帰光を受光する受光部と、前記受光部により前記再帰光が受光された場合に、前記物体から送信された情報信号を受信する受信部と、前記受信部により受信された情報信号に基づき、前記物体の識別情報を取得する取得部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、例えば設備機器の識別情報等の情報を取得する情報取得装置、情報取得方法、及びタグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体に貼り付けられた光IDタグの識別情報を読み取る技術として、光IDリーダから放射された光ビームを、光IDタグのメモリに記憶された識別情報で変調することで、光IDタグの反射光に識別情報を付加する技術が開示されている。識別情報が付加された反射光は、光IDタグの再帰性反射部で再帰性反射をして、光ビームが放射された光IDリーダに受信されることになる。従来技術にかかるIDリーダでは、光ビームを識別情報で変調する変調手段として、液晶変調器が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−11948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術にかかる光IDリーダによれば、利用者は、光IDタグの識別情報を要求するときに、光IDリーダを操作して、光IDタグに光ビームを照射する。しかし、光IDタグは、どのタイミングで識別情報を要求されるか事前に把握することができない。従って、要求された識別情報を迅速に光IDリーダに提供するためには、常時、光IDタグを、特に液晶変調器を稼働状態としておく必要がある。このため、従来技術にかかる光IDタグでは、消費電力を充分に低減することができない。
【0005】
開示の技術は、タグ装置の消費電力を低減することができる情報取得装置、情報取得方法、及びタグ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の一観点によれば、光ビームを出射する出射部と、前記出射部から出射された光ビームが物体で反射した再帰光を受光する受光部と、前記受光部により前記再帰光が受光された場合に、前記物体から送信された情報信号を受信する受信部と、前記受信部により受信された情報信号に基づき、前記物体の識別情報を取得する取得部と、を備える情報取得装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、タグ装置の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態にかかる情報取得システムが使用される環境の概略図である。
【図2】一実施形態にかかる情報取得システムの概略図である。
【図3】一実施形態にかかる操作機の概略図である。
【図4】一実施形態にかかるID情報信号受信ユニットの概略図である。
【図5】一実施形態にかかる第1、第2の絞り板により規定される受光可能領域の概略図である。
【図6】一実施形態にかかる通信タグの概略図である。
【図7】一実施形態にかかる操作機に内蔵されたコントローラの機能ブロック図である。
【図8】一実施形態にかかる操作機に内蔵されたコントローラによる処理のフローチャートである。
【図9】一実施形態にかかる通信タグに内蔵されたコントローラの機能ブロック図である。
【図10】一実施形態にかかる通信タグに内蔵されたコントローラによる処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1−図10を参照しながら、一実施形態を説明する。
【0010】
(情報取得システムの構成)
図1は、一実施形態にかかる情報取得システムが使用される環境の概略図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14は、例えば利用者の周囲に存在するプロジェクタ等の設備機器Aの関連情報を取得するための情報取得システムに組み込まれる。
【0012】
例えば、利用者Uがはじめて訪問した会議室等でプレゼン等を実施する場合、該会議室等に設置されているプロジェクタ等の設備機器Aの使用法がわからず、プレゼン等の進行に支障が出ることがある。本実施形態にかかる情報取得システムでは、例えば操作機10と、通信タグ20と、携帯端末30と、情報提供部40と、を使用して、はじめての環境下に於いても、利用者Uの周囲に存在するプロジェクタ等の設備機器Aの使用法等を参照できる仕組みを提供する。なお、本実施形態では、プロジェクタ等の設備機器Aの使用法を参照する仕組みを説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、利用者Uの周囲に存在する、あらゆる機器の使用法等の関連情報を取得する際にも、以下の仕組みを使用することができる。
【0013】
図2は、一実施形態にかかる情報取得システムの概略図である。
【0014】
図2に示すように、情報取得システムは、操作機10と、通信タグ20と、携帯端末30と、情報提供部40と、を備える。
【0015】
操作機10は、ポインティングレーザ光Lpを出射するレーザポインタ11と、ポインティングレーザ光Lpの再帰光Lr(後述する)の照度を検出する照度センサ12と、利用者Uの周囲に存在する設備機器Aの通信タグ20にID要求信号Srを送信するID要求信号送信ユニット13と、設備機器Aの通信タグ20から送信されたID情報信号Siを受信するID情報信号受信ユニット14と、ID情報信号Siに対応するIDコードCを、利用者Uが携帯する携帯端末30に送信する無線通信ユニット15と、レーザポインタ11、照度センサ12、ID要求信号送信ユニット13、ID情報信号受信ユニット14及び無線通信ユニット15を制御するコントローラ16と、を備える。
【0016】
レーザポインタ11は、利用者Uによる、例えば機械スイッチ(図示しない)のON動作に基づき、ポインティングレーザ光Lpを出射する。ポインティングレーザ光Lpは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、波長が約650nm、周波数が約450kHzのAM変調波を使用する。
【0017】
照度センサ12は、レーザポインタ11近傍に配置され、通信タグ20の再帰性シート21(後述する)により反射された再帰光Lrの照度を検出する。照度センサ12は、センサ本体と、コンパレータと、を備える。センサ本体は、再帰光Lrの照度に対応する電圧信号を出力する。センサ本体は、特に限定されるものではないが、例えばフォトダイオード等を使用しても良い。コンパレータは、センサ本体から出力された電圧信号と、事前に付与された閾値と、を比較して、電圧信号が閾値よりも高いときに信号「1」、電圧信号が閾値よりも低いときに信号「0」を出力する。なお、照度センサ12は、レーザポインタ11からポインティングレーザ光Lpが出射されたことをトリガとして起動され、再帰光Lrの照度を検出するための待機を開始しても良い。
【0018】
ID要求信号送信ユニット13は、照度センサ12からの出力信号が「0」から「1」に変化したことをトリガとして、即ち照度センサ12が再帰光Lrを受光したことをトリガとして、ID要求信号Srを送信する。ID要求信号Srは、例えば設備機器Aに付与されたID情報を要求する信号である。ID要求信号送信ユニット13としては、例えば高指向性の赤外線送信モジュールを使用しても良い。赤外線送信モジュールは、例えば赤外LEDによる点滅パターンを利用して、ID要求コマンドを送信する。
【0019】
ID情報信号受信ユニット14は、通信タグ20のID情報信号送信ユニット24から送信されたID情報信号Siを受信する。ID情報信号受信ユニット14は、受光素子141と、アンプ(図示しない)と、フィルタ(図示しない)と、検波回路(図示しない)と、を備える。受光素子141は、赤外線を受光して、該赤外線の強度に対応する電圧信号を出力する。アンプは、受光素子141から出力された電圧信号を増幅する。フィルタは、アンプにより増幅された電圧信号からノイズを除去する。検波回路は、フィルタによりノイズが除去された電圧信号を検波して、ID情報信号Siに対応する電圧信号を出力する。なお、ID情報信号受信ユニット14は、ID要求信号送信ユニット13からID要求信号Srが送信されたことをトリガとして起動され、ID情報信号Siを受信するための待機を開始しても良い。ID情報信号受信ユニット14の詳細構成は、後述することとする。
【0020】
無線通信ユニット15は、コントローラ16により生成されたIDコードC(後述する)を、Bluetooth等の通信方式により、例えばペアリングされた携帯端末30に送信する。IDコードCは、ID情報信号受信ユニット14により受信されたID情報信号SiのID情報に操作機10の操作機IDを統合して、これをコード化したものである。本実施形態では、IDコードCの通信方式として、Bluetoothを採用しているが、本実施形態は、これに限定されるものではない。
【0021】
コントローラ16は、プロセッサ161と、メモリ162と、を備える。プロセッサ161は、メモリ162に格納された制御プログラムに基づき、ポインティングレーザ光Lpの出射からIDコードCの送信までの各種処理を実現する。コントローラ16により実行される機能ブロックは、後述することとする。
【0022】
(操作機10の概略構成)
図3は、一実施形態にかかる操作機10の概略構成を示していて、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【0023】
図3に示すように、操作機10は、利用者Uが把持する筺体10aを有していて、筺体10aの正面Sf側には、レーザポインタ11、照度センサ12、ID要求信号送信ユニット13、ID情報信号受信ユニット14が配列されている。
【0024】
レーザポインタ11、照度センサ12、ID要求信号送信ユニット13、ID情報信号受信ユニット14は、それぞれ、ポインティングレーザ光Lpの出射部11o、再帰光Lrの照度の検出部12o、ID要求信号Srの送信部13o、ID情報信号Siの受信部14o、を筺体10aの外側に向けている。
【0025】
ID要求信号送信ユニット13及びID情報信号受信ユニット14は、それぞれ筺体10aに取り付けられたフィルタカバー10bにより被覆されている。特に、ID情報信号受信ユニット14を被覆するフィルタカバー10bは、空間S(後述する)の側方に位置する隙間Soを被覆している。フィルタカバー10bは、ID要求信号SrやID情報信号Siの通信媒体である赤外線を選択的に透過させる。このため、ID要求信号SrやID情報信号Siの通信媒体である赤外線以外の波長領域の光は、フィルタカバー10bに遮断され、ID要求信号送信ユニット13及びID情報信号受信ユニット14に到達することはない。
【0026】
(ID情報信号受信ユニット14の詳細構成)
図4は、一実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14の概略構成を示していて、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は平面図である。図5は、一実施形態にかかる第1、第2の絞り板144、145により規定される受光可能領域Rの概略図である。
【0027】
図4、図5に示すように、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14は、赤外線を受光する受光素子141と、受光素子141を搭載する回路基板142と、操作機10の筺体10aに回路基板142を固定するブラケット143と、受光素子141に照射される赤外線の入射角範囲、即ち受光可能領域Rを規定する第1、第2の絞り板144、145と、を備える。
【0028】
受光素子141は、素子本体141aと、素子本体141aの前面、即ち回路基板142とは逆側の表面に形成される受光部141bと、素子本体141aを封止する封止樹脂141cと、を備える。封止樹脂141cは、例えばエポキシ樹脂等の透明樹脂からなり、受光部141bの前方には、概して球面型の集光レンズ141rが形成されている。このため、第1、第2の絞り板144、145の第1、第2の透光孔144o、145oを透過した赤外線は、封止樹脂141cの集光レンズ141rにより集光され、受光素子141の受光部141bに照射される。受光素子141は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、エバーライト社のIRM-3640N3を使用している。
【0029】
第1の絞り板144は、回路基板142に平行に配置され、受光素子141の受光部141bに対応する位置には、第1の透光孔144oが形成されている。第2の絞り板145は、第1の絞り板144に平行に配置され、第1の透光孔144oに対応する位置には、第2の透光孔145oが形成されている。
【0030】
第1、第2の絞り板144、145は、所定間隔だけ離間していて、第1、第2の絞り板144、145間には、空間Sが形成されている。第1、第2の絞り板144、145の間隔L、即ち空間Sの高さは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、約1mm〜5mmとしている。
【0031】
第1、第2の透光孔144o、145oの形状は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、何れも円型としている。第1、第2の透光孔144o、145oの内周縁は、それぞれの中心に接近するほど薄くなるように傾斜している。このため、第1、第2の透光孔144o、145oの内周面で生じる赤外線の乱反射が抑制される。
【0032】
第1、第2の透光孔144o、145oの内径dは、概して同等であるが、第1、第2の絞り板144、145の間隔をLとし、利用者Uが要求する受光可能領域Rの円錐角、即ち赤外線の最大入射角をθとしたときに、d=Ltanθの関係を満足するように決定される。なお、本実施形態では、第1、第2の透光孔144o、145oの内径dを、約1mm〜5mmとしている。
【0033】
以上のような第1、第2の絞り板144、145は、複数の支柱146、本実施形態では、4本の支柱146により連結されている。4本の支柱146は、相互に離間していて、支柱146及び支柱146間には、隙間Soが形成されている。これにより、本実施形態にかかる第1、第2の絞り板144、145間の空間Sは、第1、第2の絞り板144、145の板面方向の側方に開放している。なお、ここでの板面方向とは、第1、第2の絞り板144、145の板面と平行な方向を意味する。
【0034】
従って、受光可能領域Rの外側から第1、第2の絞り板144、145間の空間Sに入射した赤外線Lnは、図5に示すように、第1、第2の絞り板144、145の内面で反射を繰り返して、空間Sの側方に位置する隙間SoからID情報信号受信ユニット14の外側に逃がされる。逆に言えば、受光可能領域Rの外側から隙間Sに入射した赤外線Lnは、第1、第2の絞り板144、145の内面で反射を繰り返したとしても、受光素子141の受光部141bに照射されることがない。これにより、本実施形態にかかるID情報信号受信ユニット14によれば、受光可能領域Rの内側から隙間Sに入射した赤外線だけを確実に受信することができる。
【0035】
(通信タグ20の概略構成)
図6は、一実施形態にかかる通信タグ20の概略図である。
【0036】
図6に示すように、本実施形態にかかる通信タグ20は、再帰性シート21と、通信モジュール22と、を備える。なお、通信タグ20は、設備機器A、B…のそれぞれと共に、1つの物体とみなしても良い。
【0037】
再帰性シート21は、任意の方向から入射するポインティングレーザ光Lpを、該ポインティングレーザ光Lpの入射方向に反射する。即ち、レーザポインタ11から再帰性シート22に照射されたポインティングレーザ光Lpは、再帰性シート21の向きに依らず、レーザポインタ11側に反射される。
【0038】
通信モジュール22は、ID要求信号受信ユニット23と、ID情報信号送信ユニット24と、ID要求信号受信ユニット23及びID情報信号送信ユニット24を制御するコントローラ25と、を備える。
【0039】
ID要求信号受信ユニット23は、操作機10のID要求信号送信ユニット13から送信されたID要求信号Srを受信する。ID要求信号受信ユニット23は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、低指向性の、即ち広角型の赤外線受信モジュールを使用している。従って、ID要求信号受信ユニット23に斜めから入射するID要求信号Srも確実に受信することができる。
【0040】
ID情報信号送信ユニット24は、ID要求信号送信ユニット13からのID要求信号Srに基づき、コントローラ25のメモリ252(後述する)に格納されたID情報を、ID情報信号Siとして送信する。ID情報は、設備機器A、B…を識別するために、通信タグ20それぞれに個別に付与されたものである。ID情報信号送信ユニット24としては、低指向性の、即ち広角型の赤外線送信モジュールが使用される。このため、ID情報信号送信ユニット24から送信されるID情報信号Siは、ID要求信号Srを送信している操作機10だけでなく、該操作機10の周囲の広範囲に送信されることになる。赤外線送信モジュールは、例えば赤外LEDによる点滅パターンを利用して、ID情報を送信する。
【0041】
コントローラ25は、プロセッサ251と、メモリ252と、を備える。プロセッサ251は、メモリ252に格納された制御プログラムに基づき、ID要求信号Srの受信からID情報信号Siの送信までの各種処理を実現する。コントローラ25により実行される機能ブロックは、後述することとする。メモリ252は、プロセッサ251により実行される制御プログラムの他、例えば通信タグ20に固有のID情報を格納している。
【0042】
(情報提供部40の詳細構成)
図2に示すように、本実施形態にかかる情報提供部40は、データベースDBを格納する格納部41と、サービス選択/サービス実行部42と、を備える。
【0043】
データベースDBは、通信タグ20のID情報と、通信タグ20が貼り付けられた設備機器A、B…の操作マニュアルや操作プログラム等のサービスと、を対応づけている。サービス選択/サービス実行部42は、携帯端末30から取得したID情報と、格納部41に格納されたデータベースDBと、に基づき、ID情報に対応する設備機器A、B…の操作マニュアルや操作プログラム等のサービスを選択して、該操作マニュアルや操作プログラム等を携帯端末20に送信する。情報提供部40としては、例えばサーバやクラウドを使用しても良い。
【0044】
(操作機10に内蔵されたコントローラ16の機能ブロック)
図7は、一実施形態にかかる操作機10に内蔵されたコントローラ16の機能ブロック図である。
【0045】
本実施形態にかかるコントローラ16は、主として、プロセッサ161と、メモリ162と、により構成され(図2参照)、図7に示すように、再帰光検知判定部16aと、ID要求コマンド送信部16bと、ID情報識別部16cと、ID統合部16dと、外部通信I/F部16eと、送信処理部16fと、受信処理部16gと、を備える。
【0046】
再帰光検知判定部16aと、ID要求コマンド送信部16bと、ID情報識別部16cと、ID統合部16dと、外部通信I/F部16eと、送信処理部16fと、受信処理部16gは、何れもメモリ162に記憶されている制御プログラムに基づき、プロセッサ161により実現される。
【0047】
再帰光検知判定部16aは、レーザポインタ11の機械スイッチ(図示しない)が押圧されたときに出力されるON信号により起動され、照度センサ12の出力信号、即ち「0」又は「1」に基づき、再帰光Lrを受光したかどうかを判定する。
【0048】
ID要求コマンド送信部16bは、再帰光検知判定部16aが再帰光Lrを受光したことを確認した場合、コントローラ16のメモリ162に記憶されたID要求コマンドに基づき、ID要求信号Srを生成して、送信処理部16fにID要求信号Srの送信を指示する。ID要求コマンドは、設備機器A、B…のID情報を要求するコマンドであるが、設備機器A、B…の種別に依らない共通コマンドである。
【0049】
ID情報識別部16cは、ID情報信号受信ユニット14により受信されたID情報信号Siを、受信処理部16gから受け取り、該ID情報信号Siが、通信タグ20のID情報信号送信ユニット24から送信された、設備機器A、B…を識別するためのID情報信号Siであるかどうかを識別する。ID情報信号Siは、送信処理部16fにより送信されたID要求信号Srへの応答信号である。
【0050】
ID統合部16dは、ID情報識別部16cにより識別された、設備機器A、B…を識別するためのID情報に、操作機10のID情報を統合するとともに、これをコード化することで、IDコードCを生成する。
【0051】
外部通信I/F部16eは、ID統合部16dにより生成されたIDコードCを、無線通信ユニット15から、無線通信ユニット15にペアリングされた携帯端末30に送信する。
【0052】
送信処理部16fは、ID要求コマンド送信部16bからの指示に基づき、ID要求信号送信ユニット13からID要求信号Srを送信する。
【0053】
受信処理部16gは、ID情報信号送信ユニット24から送信されたID情報信号SiをID情報信号受信ユニット14から受信する。
【0054】
携帯端末30は、外部通信I/F部16eから送信されたIDコードCを受信して、例えば情報提供部40等から、該IDコードCに対応する設備機器A、B…の関連情報を取得する。関連情報としては、例えば設備機器A、B…の操作マニュアルや操作プログラム等が挙げられる。
【0055】
携帯端末30が操作マニュアルを取得した場合、携帯端末30のディスプレイに操作マニュアルを表示させれば、はじめて使用する設備機器であっても、簡単に使用することができる。又、携帯端末30が操作プログラムを取得した場合、操作プログラムを携帯端末30にセットアップすることで、携帯端末30の操作により、設備機器A、B…を簡単に使用することができる。
【0056】
(操作機10に内蔵されたコントローラ16による処理のフローチャート)
図8は、一実施形態にかかる操作機10に内蔵されたコントローラ16による処理のフローチャートである。
【0057】
本実施形態にかかるコントローラ16による処理フローは、利用者Uによるレーザポインタ11の機械スイッチの押圧により開始する。
【0058】
図8に示すように、処理フローが開始したら、再帰光検知判定部16aは、レーザポインタ11の機械スイッチの押圧中に、照度センサ12が再帰光Lrを受光したかどうかを判定する(ステップS101)。
【0059】
レーザポインタ11の機械スイッチの押圧中に、照度センサ12が再帰光Lrを受光したと判定したら(ステップS101のYes)、ID要求コマンド送信部16bは、設備機器AのID情報を要求するID要求コマンドに基づき、ID要求信号Srを生成して(ステップS102)、送信処理部16fにID要求信号Srの送信を指示する(ステップS103)。さらに、ID要求コマンド送信部16bは、ID要求信号Srの送信の指示を始点として、タイムカウントを開始する。ID要求信号送信ユニット13は、送信処理部16fからの指示に基づき、ID要求信号Srを送信する。このように、本実施形態では、照度センサ12が再帰光Lrを受光したことをトリガとして、ID要求信号Srを送信する。換言すれば、操作機10の先方、即ちID要求信号送信ユニット13の先方に、通信タグ20が確実に存在するときに、ID要求信号Srを送信する。このため、通信タグ20のID要求信号受信ユニット23にID要求信号Srを確実に受信させることができる。これにより、無暗にID要求信号Srを送信することによる消費電力の増加を防止することができる。
【0060】
一方、レーザポインタ11の機械スイッチの押圧中に、照度センサ12が再帰光Lrを受光しないと判断したら(ステップS101のNo)、再帰光検知判定部16aは、再度、照度センサ12が再帰光Lrを受光したかどうかを判定する(ステップS101)。このように、本実施形態では、照度センサ12が再帰光Lrを受光しない限り、ID要求信号送信ユニット13を起動しない。このため、操作機10の消費電力を抑制することができる。
【0061】
次に、ID情報識別部13cは、ID要求信号Srの送信の指示から所定時間内に、受信処理部16gがID情報信号Siを受信したかどうかを判定する(ステップS104)。
【0062】
ID要求信号Srの送信の指示から所定時間内に、受信処理部16gがID情報信号Siを受信したと判定したら(ステップ104のYes)、ID統合部16dは、受信処理部16gにより受信されたID情報信号SiからID情報を取得するとともに、これに操作機10の操作機IDを統合して、IDコードCを生成する(ステップS105)。
【0063】
一方、ID要求信号Srの送信の指示から所定時間内に、受信処理部16gがID情報信号Siを受信しないと判断したら(ステップS104のNo)、コントローラ16による処理フローは終了する。
【0064】
次に、外部通信I/F部16eは、ID統合部16dにより生成されたIDコードCの、ペアリングされた携帯端末30への送信を無線通信ユニット15に指示する(ステップS106)。無線通信ユニット15は、外部通信I/F部16eからの指示に基づき、自身にペアリングされた携帯端末30にIDコードCを転送する。以上で、コントローラ16による処理フローが終了する。
【0065】
以上の処理フローにより携帯端末30に送信されたIDコードCは、携帯端末30の通信機能により、例えばサーバやクラウド等の情報提供部40に転送される。情報提供部40のサービス選択/サービス実行部42は、格納部41に格納されたデータベースDBを参照して、携帯端末30から転送されたIDコードCに対応する設備機器Aの操作マニュアルや操作プログラム等のサービスを選択して、該サービスを携帯端末30に送信する。こうして、利用者Uは、自身の携帯端末30に、設備機器Aの操作マニュアルや操作プログラム等を取得することになる。
【0066】
(通信タグ20に内蔵されたコントローラ25の機能ブロック)
図9は、一実施形態にかかる通信タグ20に内蔵されたコントローラ25の機能ブロック図である。
【0067】
本実施形態にかかるコントローラ25は、主として、プロセッサ251と、メモリ252と、により構成され(図6参照)、図9に示すように、ID要求コマンド識別部25aと、ID情報送信部25bと、受信処理部25cと、送信処理部25dと、を備える。
【0068】
ID要求コマンド識別部25aと、ID情報送信部25bと、受信処理部25cと、送信処理部25dは、何れもメモリ252に記憶されている制御プログラムに基づき、プロセッサ251により実現される。
【0069】
ID要求コマンド識別部25aは、ID要求信号受信ユニット23により受信されたID要求信号Srを、受信処理部25cから受け取り、該ID要求信号Srが、操作機10のID要求信号送信ユニット13から送信された、設備機器A、B…のID情報を要求するID要求信号Srであるかどうかを識別する。
【0070】
ID情報送信部25bは、ID要求コマンド識別部25aがID要求信号Srを、設備機器A、BのID情報を要求するID要求信号Srとして認識した場合、コントローラ25のメモリ252に記憶されたID情報に基づき、ID情報信号Siを生成して、送信処理部25dにID情報信号Siの送信を指示する。
【0071】
受信処理部25cは、ID要求信号送信ユニット13から送信されたID要求信号SrをID要求信号受信ユニット23から受信する。
【0072】
送信処理部25dは、ID情報送信部25bからの指示に基づき、ID情報信号送信ユニット24からID情報信号Siを送信する。
【0073】
(通信タグ20に内蔵されたコントローラ25による処理のフローチャート)
図10は、一実施形態にかかる通信タグ20に内蔵されたコントローラ25による処理のフローチャートである。
【0074】
図10に示すように、本実施形態にかかるコントローラ25による処理フローが開始したら、ID要求コマンド識別部25aは、ID要求信号送信ユニット13から送信された、設備機器A、B…のID情報を要求するID要求信号Srを受信したかどうかを判断する(ステップS301)。
【0075】
ID要求コマンド識別部25aが、ID要求信号送信ユニット13から送信された、設備機器A、B…のID情報を要求するID要求信号Srを受信したと判断したら(ステップS301のYes)、ID情報送信部25bは、コントローラ25のメモリ252に記憶されたID情報に基づき、ID情報信号Siを生成して(ステップS302)、送信処理部25dにID情報信号Siの送信を指示する(ステップS303)。
【0076】
一方、ID要求コマンド識別部25aが、ID要求信号送信ユニット13から送信された、設備機器A、B…のID情報を要求するID要求信号Srを受信したと判断しなければ(ステップS301のNo)、ID要求コマンド識別部25aは、再度、ID要求信号送信ユニット13から送信された、設備機器A、B…のID情報を要求するID要求信号Srを受信したかどうかを判定する(ステップS301)。以上で、コントローラ25による処理フローが終了する。
【0077】
以上のように、本実施形態にかかる情報取得システムでは、照度センサ12が再帰光Lrを受光したことをトリガとして、操作機10からID要求信号Srを送信する。換言すれば、操作機10の先方、即ちID要求信号送信ユニット13の先方に、通信タグ20が確実に存在するときに、ID要求信号Srを送信する。
【0078】
このため、操作機10からID要求信号Srを送信する送信機として、高指向性のID要求信号送信ユニット13を使用しても、通信タグ20のID要求信号受信ユニット23にID要求信号Srを確実に受信させることができる。これにより、無暗(むやみ)にID要求信号Srを送信することによる消費電力の増加を防止することができる。しかも、高指向性のID要求信号送信ユニット13を使用するので、利用者Uの意図していない設備機器にID要求信号Srが送信されることを防止できる。
【0079】
さらに、前述のように、操作機10の先方に通信タグ20が確実に存在するときに、ID要求信号Srを送信するので、ID要求信号Srが到達する距離を延ばすことができ、結果として、ID要求信号送信ユニット13の出力パワーを抑制することができる。
【0080】
また、通信タグ20がID情報信号Siを送信するときも同様に、通信タグ20の先方、即ちID情報信号送信ユニット24の先方に、操作機10が確実に存在する。このため、通信タグ20がID情報信号Siを送信する送信機として、低指向性のID情報信号送信ユニット24を使用しても、操作機10のID情報信号受信ユニット14にID情報信号Siを確実に受信させることができる。これにより、操作機10のID情報信号受信ユニット14によるID情報信号Siの受信エラーが発生しにくくなるので、通信タグ20によるID情報信号Siの再送を抑制でき、結果として、通信タグ20の消費電力を低減することができる。
【0081】
本実施形態にかかる情報取得システムでは、送信機10のID要求信号受信ユニット23がID要求信号Srを受信したことをトリガとして、ID情報信号送信ユニット24が起動され、ID情報信号Siを送信する。このため、ID要求信号受信ユニット23がID要求信号Srを受信するまで、ID情報信号送信ユニット24に電力を供給する必要が無いので、通信タグ20の消費電力を低減することができる。
【0082】
但し、通信タグ20のID情報信号送信ユニット24は、間欠的にID情報信号Siを送信しても良い。ID情報信号Siを間欠的に送信しても、液晶変調器等を使用しないので、従来技術に比べれば、通信タグ20の消費電力を低減することができる。
【0083】
なお、本実施形態は、照度センサ12が再帰光Lrを受光したことをトリガとして、操作機10からID要求信号Srを送信しているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えばビーコン信号のように、物体側(例えば通信タグ20)が常に識別信号を送出していることも考えられるので、必ずしも操作機10からID要求信号Srを送信しなくても良い。さらに、物体側(例えば通信タグ20)がポインティングレーザ光Lpを照射されたことをトリガとして、ID情報信号Siを送信することも考えられるので、このことからしても、必ずしも操作機10からID要求信号Srを送信しなくても良い。
【符号の説明】
【0084】
10:操作機
11:レーザポインタ
12:照度センサ
13:ID要求信号送信ユニット
14:ID情報信号受信ユニット
15:無線通信ユニット
16:コントローラ
16c:ID情報識別部
20:通信タグ
21:再帰性シート
23:ID要求信号受信ユニット
24:ID情報信号送信ユニット
25:コントローラ
30:携帯端末
40:情報提供部
252:メモリ
A:設備機器
B:設備機器
Lr:再帰光
Lp:ポインティングレーザ光
Si:ID情報信号
Sr:ID要求信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する出射部と、
前記出射部から出射された光ビームが物体で反射した再帰光を受光する受光部と、
前記受光部により前記再帰光が受光された場合に、前記物体から送信された情報信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された情報信号に基づき、前記物体の識別情報を取得する取得部と、
を備える情報取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報取得装置に於いて、さらに、
前記受光部により前記再帰光が受光された場合に、前記物体の識別情報を要求する要求信号を送信する送信部を備える情報取得装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報取得装置に於いて、
前記送信部は、前記要求信号の送信に関して指向性を有していて、
前記指向性を有する方向が前記光ビームを出射する方向となる様に配置されている情報取得装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の情報取得装置に於いて、
前記受信部は、前記情報信号の受信に関して指向性を有していて、
前記指向性を有する方向が前記光ビームを出射する方向となる様に配置されている情報取得装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の情報取得装置に於いて、さらに、
前記取得部により取得された識別情報を、前記識別情報に関連する関連情報を格納する格納部と通信可能な通信機器に転送する転送部を備える情報取得装置。
【請求項6】
操作機から出射された光ビームが物体で反射した再帰光を受光する工程と、
前記再帰光が受光された場合に、前記物体から送信された情報信号を受信する工程と、
前記情報信号に基づき、前記物体の識別情報を取得する工程と、
を備える情報取得方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報取得方法に於いて、さらに、
前記再帰光が受光された場合に、前記操作機から前記物体の識別情報を要求する要求信号を送信する工程を備える情報取得方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の情報取得方法に於いて、
前記操作機は、前記要求信号の送信に関して、前記光ビームを出射する方向に指向性を有する情報取得方法。
【請求項9】
請求項6乃至8の何れかに記載の情報取得方法に於いて、さらに、
前記識別情報を、前記識別情報に関連する関連情報を格納する格納部と通信可能な通信機器に転送する工程を備える情報取得方法。
【請求項10】
設備機器を識別するために使用されるタグ装置に於いて、
任意の方向から照射される光ビームを前記任意の方向に再帰性反射する反射部と、
前記タグ装置に固有の識別情報を記憶する記憶部と、
前記識別情報を要求する要求信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された要求信号に基づき、前記記憶部に記憶されている識別情報を送信する送信部と、
を備えるタグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−88943(P2013−88943A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227385(P2011−227385)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】