説明

情報取得装置

【課題】ホスト装置との通信回復のための再接続状態を当該ホスト装置の負荷を増大させることなく実施し得る情報取得装置を提供する。
【解決手段】出力情報有無検知部52によりホスト装置1に出力するための読取情報が存在すると判定され、出力命令検知部53により出力命令が入力されていないと判定される場合に、電圧変化制御部54により、電圧変化部55により出力信号の電圧が低減されて、ホスト装置1に対して擬似的に再接続された再接続状態が作り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBインタフェースを有し取得した情報をUSB信号ラインを介してホスト装置に出力する情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、USBインタフェースを有し取得した情報をUSB信号ラインを介してホスト装置に出力する情報取得装置に関する技術として、下記特許文献1に示すUSBデバイスの通信回復装置が知られている。この通信回復装置では、ホスト側コンピュータとUSBデバイスとは、それぞれのUSBコネクタの間をUSBケーブルによって接続され、通信が可能となっている。USBデバイスは、異常検出手段および電圧変化手段を備え、異常検出手段によりホスト側コンピュータとの通信異常、例えばノイズ等を検出したときに電圧変化手段により信号ラインの電圧を変化させることで、擬似的にUSBケーブルが抜かれ、再接続された状態を作り出すようにしている。このように作り出された再接続状態により、ホスト側コンピュータによるUSBデバイスに対する通信回復処理が自動的になされることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−142796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示す通信回復方法では、ノイズの多い環境下等では頻繁に通信異常が検知されてしまい、ホスト装置(ホスト側コンピュータ)による通信回復処理が頻繁に行われることとなる。このように通信回復処理が頻繁に行われると、ホスト装置の負担が増大するという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ホスト装置との通信回復のための再接続状態を当該ホスト装置の負荷を増大させることなく実施し得る情報取得装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の情報取得装置では、USBインタフェースを有し取得した情報をUSB信号ラインを介してホスト装置に出力する情報取得装置であって、所定の情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された情報のうち前記ホスト装置に出力するための取得情報が存在するか否かについて判定する第1判定手段と、前記USB信号ラインを介して入力される入力信号に応じて、前記ホスト装置に対して前記取得情報を出力する出力命令が入力されているか否かについて判定する第2判定手段と、前記USB信号ラインを介する出力信号の電圧を変化させる電圧変化手段と、前記電圧変化手段を制御することで前記出力信号の電圧を調整する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1判定手段により前記ホスト装置に出力するための取得情報が存在すると判定され、前記第2判定手段により前記出力命令が入力されていないと判定される場合に、前記電圧変化手段により前記出力信号の電圧を低減させることで、前記ホスト装置に対して擬似的に再接続された状態を作り出すことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の情報取得装置において、前記所定の情報は、光学的情報であって、前記取得手段は、前記所定の情報を光学的に読み取り可能に構成されることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の情報取得装置において、前記ホスト装置に対して前記USB信号ラインを介した接続状態が確立されたか否かについて判定する第3判定手段を備え、前記制御手段は、前記第3判定手段により前記接続状態が確立されたと判定されるまで、前記第1判定手段および前記第2判定手段の判定結果にかかわらず、前記電圧変化手段の制御を実施しないことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報取得装置において、前記電圧変化手段は、電源と前記USB信号ラインとの間に設けられる抵抗器を含むように構成されることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報取得装置において、前記電圧変化手段は、前記USBインタフェースを構成するチップに実装される抵抗器を含むように構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報取得装置において、前記制御手段による前記電圧変化手段の制御を実施するか否かを選択するための選択手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、第1判定手段によりホスト装置に出力するための取得情報が存在すると判定され、第2判定手段により出力命令が入力されていないと判定される場合に、制御手段により、電圧変化手段により出力信号の電圧が低減されて、ホスト装置に対して擬似的に再接続された状態(以下、再接続状態ともいう)が作り出される。
【0013】
このため、ホスト装置に出力するための取得情報が存在し、かつ、ホスト装置に対して取得情報を出力する出力命令が入力されていない場合、すなわち、ホスト装置との通信回復が必要な場合にのみ、上記再接続状態が作り出されることとなる。これにより、ノイズ等を検知する毎に上記再接続状態が作り出される場合と比較して、ホスト装置との通信回復のための再接続状態を当該ホスト装置の負荷を増大させることなく実施することができる。
【0014】
請求項2の発明では、取得手段は、光学的情報である所定の情報を光学的に読み取り可能に構成される。これにより、光学的情報のように容易に大量の情報を読み取る情報取得装置であっても、ホスト装置との通信回復のための再接続状態を当該ホスト装置の負荷を増大させることなく実施することができる。
【0015】
請求項3の発明では、第3判定手段によりホスト装置に対してUSB信号ラインを介した接続状態が確立されたと判定されるまで、第1判定手段および第2判定手段の判定結果にかかわらず、制御手段による電圧変化手段の制御が実施されない。
【0016】
取得作業開始時等、実際に当該情報取得装置をホスト装置にUSB信号ラインを介して接続する際には、第1判定手段によりホスト装置に出力するための取得情報が存在すると判定されるとともに第2判定手段により出力命令が入力されていないと判定される場合がある。この場合には、ホスト装置との通信回復が不要であるにもかかわらず、制御手段による電圧変化手段の制御が実施されることとなる。そこで、第3判定手段によりホスト装置に対してUSB信号ラインを介した接続状態が確立されたと判定されるまで、第1判定手段および第2判定手段の判定結果にかかわらず、制御手段による電圧変化手段の制御を実施しないことで、上述のような不要な処理をなくしてホスト装置の負荷を確実に低減することができる。
【0017】
請求項4の発明では、電圧変化手段は、電源とUSB信号ラインとの間に設けられる抵抗器を含むように構成されるため、簡易な構成で電圧変化手段を構築でき、USBインタフェースを構成するための標準的なチップを採用できるので、電圧変化手段を採用することによる製造コストの増加や大型化等を抑制することができる。
【0018】
請求項5の発明では、電圧変化手段は、USBインタフェースを構成するチップに実装される抵抗器を含むように構成されるため、この抵抗器と電源との接続の有無を制御するプログラム等を採用するだけで当該電圧変化手段を構築することができる。
【0019】
請求項6の発明では、制御手段による電圧変化手段の制御を実施するか否かを選択するための選択手段が設けられている。これにより、当該情報取得装置を、通信回復機能が不要であるホスト装置等にUSB信号ラインを介して接続する場合には、選択手段により制御手段による電圧変化手段の制御の不実施を選択することで、不要な処理をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係るバーコードリーダおよびホスト装置を示す外観図である。
【図2】図1のバーコードリーダの構成概要を示すブロック図である。
【図3】USBインタフェースの電気的構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図4】バーコードリーダにて実施される通信回復処理の流れを例示するフローチャートである。
【図5】図5(A)は、USB信号ラインを介して入出力されるデータが一部欠損した状態を説明するための説明図であり、図5(B)は、再接続前後でのUSB信号ラインを介して入出力されるデータの状態を説明するための説明図である。
【図6】本実施形態の変形例に係るバーコードリーダの要部を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の情報取得装置をバーコードリーダに適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るバーコードリーダ10およびホスト装置1を示す外観図である。図2は、図1のバーコードリーダ10の構成概要を示すブロック図である。図3は、USBインタフェース50の電気的構成を示す概略的に示す機能ブロック図である。
【0022】
図1に示すバーコードリーダ10は、USB(Universal Serial Bus)インターフェースのUSBケーブル60を介してホスト装置1に接続されるもので、JAN,CODE39,NW−7,ITF等のいわゆるバーコード(「一次元コード」の一例)を読み取るとともに読み取った読取情報をUSBケーブル60を介してホスト装置1に出力可能に構成されている。
【0023】
ホスト装置1は、そのUSBコネクタ2にUSBケーブル60が接続されることで、バーコードリーダ10と通信可能に接続され、このバーコードリーダ10に対して読み取った読取情報を当該ホスト装置1に出力させるための命令(以下、出力命令ともいう)を、USBケーブル60にて構成されるUSB信号ライン61を介してバーコードリーダ10に定期的に出力するように構成されている。
【0024】
このホスト装置1は、USBケーブル60を介してUSB方式にて定期的に通信するように構成されているため、このUSBケーブル60をUSBコネクタ2から外した後に再び接続すると、バーコードリーダ10に対する処理が所定の初期条件等に応じてリセットされる。このため、バーコードリーダ10とホスト装置1との間でUSB信号ライン61を介した通信時に通信異常が生じた場合には、上述のように再接続することで、通信異常状態から回復することができる。
【0025】
図1に示すように、バーコードリーダ10は、主に、ハウジングを構成する上ケース11および下ケース12、このハウジング内に収容される図略のプリント配線板および光学系、さらにこのハウジングから外部に延びてホスト装置1と電気的な接続を可能にするUSBケーブル60等より構成されている。
【0026】
上ケース11および下ケース12は、ABS樹脂等の合成樹脂からなる成形部材で、主に、バーコードリーダ10の表側の外観を形成している。これら上ケース11および下ケース12の一端側には、読取口13が形成され、また他端側にはケーブル取付部15が形成されている。この読取口13が形成される一端側は、裏面側に大きく前傾する首曲がり形状に形成されている。これにより、使用者がバーコードリーダ10を当該上ケース11側から把持した状態で、読取対象物に貼付されたバーコードBに読取口13を当て易くしている。
【0027】
なお、上ケース11の首曲がり形状部のほぼ中央には、後述するように、バーコードの読み取りに関する情報を光で使用者に通知し得る発光部43が形成されている。
【0028】
図略のプリント配線板は、上ケース11および下ケース12により形成される内部空間に収容可能な矩形状に形成されており、メモリ35や制御回路40、あるいは発光部43の光源となる発光ダイオード(LED)等の電気系の電子部品を実装することにより、所定の電子回路を構成し得る配線パターンがプリントされている。このプリント配線板には、これらの電子部品のほかに、バーコードの読み取りに必要な光学系の照明光源21や受光センサ28等も実装されている。
【0029】
次に、このようなプリント配線板に実装されるバーコードリーダ10の電気的構成を図2に基づいて説明する。図2に示すように、バーコードリーダ10の電気的構成は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、発光部43、ブザー44、バイブレータ45等のマイコン系と、から構成されている。
【0030】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図2では、バーコードBが貼付された読取対象Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0031】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、バーコードBに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるものである。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。
【0032】
結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが、バーコードBにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像を結像させている。
【0033】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、USBインタフェース50等から構成されている。
【0034】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、所定のコード画像情報格納領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0035】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルなども確保されるようになっている。またROMには、読取処理や後述する通信回復処理等を実行可能な所定のプログラムや、照明光源21、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラムなどが予め格納されている。
【0036】
制御回路40は、バーコードリーダ10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、発光部43、ブザー44、バイブレータ45、USBインタフェース50等が接続されている。
【0037】
これにより、制御回路40は、例えば、バーコードBの読み取りに関する情報を通知するインジケータとして機能する発光部43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、さらには当該バーコードリーダ10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御やホスト装置1とのUSB方式での通信を可能にするUSBインタフェース50の通信制御等を可能にしている。
【0038】
上述のように構成されるバーコードリーダ10にてバーコードBの読み取りを行う場合、まず、制御回路40によって指令を受けた照明光源21から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口13を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光LfがバーコードBにて反射した反射光Lrは読取口13を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ27を通って受光センサ28に受光される。受光センサ28はこのバーコードBの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ28から出力された受光信号は、公知のデコード処理によりデコードされて読取情報としてメモリ35に記憶される。なお、制御回路40および受光センサ28等の読取手段は、特許請求の範囲に記載の「取得手段」の一例に相当し得る。
【0039】
ここで、USBインタフェース50は、USB方式で通信を行うための通信用のインタフェースであって、図3に示すように、後述する通信回復処理を実施するために、USBインタフェース制御チップ51が出力情報有無検知部52と出力命令検知部53と電圧変化制御部54を有するように構成されている。
【0040】
出力情報有無検知部52は、当該バーコードリーダ10により読み取られた情報のうちホスト装置1に出力するための読取情報が存在するか否かを検知する機能を有するものである。なお、出力情報有無検知部52は、特許請求の範囲に記載の「第1判定手段」の一例に相当し得る。
【0041】
また、出力命令検知部53は、USB信号ライン61を介してホスト装置1から入力される入力信号に応じて、USB信号ライン61が通信可能な状態であり、ホスト装置1から上述した出力命令が入力されているか否かを検知する機能を有するものである。なお、出力命令検知部53は、特許請求の範囲に記載の「第2判定手段」の一例に相当し得る。
【0042】
また、電圧変化制御部54は、USB信号ライン61と電源との間に設けられる電圧変化部55の電圧を変化させる機能を有するものある。電圧変化部55は、電源およびUSB信号ライン61間に設けられる抵抗器55aとこの抵抗器55aに直列に配置されるON/OFFスイッチ55bとを備えており、電圧変化制御部54によりスイッチ55bがON状態になることで、USB信号ライン61の出力電圧が0(V)になるように構成されている。なお、電圧変化制御部54は、特許請求の範囲に記載の「制御手段」の一例に相当し、電圧変化部55は、特許請求の範囲に記載の「電圧変化手段」の一例に相当し得る。
【0043】
次に、バーコードリーダ10の通信回復処理について説明する。図4は、バーコードリーダ10にて実施される通信回復処理の流れを例示するフローチャートである。図5(A)は、USB信号ライン61を介して入出力されるデータが一部欠損した状態を説明するための説明図であり、図5(B)は、再接続前後でのUSB信号ライン61を介して入出力されるデータの状態を説明するための説明図である。
【0044】
この通信回復処理は、ノイズ等の影響によりUSB信号ライン61を介して入力されるデータの一部または全部が欠損したためにホスト装置1から上記出力命令が入力されなくなる場合に、当該バーコードリーダ10がホスト装置1に対して擬似的に再接続された状態(再接続状態)を自ら作り出すことで、ホスト装置1からの出力命令の出力を自動的に促すための処理である。
【0045】
以下、通信回復処理について、図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。
まず、図4のステップS101において、ホスト装置1への接続が完了したか否かについて判定される。電源ON状態のホスト装置1に対して、そのUSBコネクタ2にUSBケーブル60のコネクタが差し込まれてホスト装置1への接続が完了すると、ステップS101にてYesと判定される。なお、この判定ステップを設ける理由については後述する。
【0046】
次に、ステップS103において、出力情報有無検知部52により、ホスト装置1へ出力するための読取情報が存在するか否かについて判定される。ここで、バーコードBが光学的に読み取られておらず、出力すべき読取情報が存在しない場合には、ステップS103にてNoと判定されて、バーコードBが光学的に読み取られるまで、ステップS103にてNoと判定が繰り返される。
【0047】
そして、バーコードBが光学的に読み取られてデコードされることで出力すべき読取情報が存在することとなると、ステップS103にてYesと判定される。続いて、ステップS105において、出力命令検知部53により、ホスト装置1から上述した出力命令が入力されているか否かについて判定される。ここで、図3の円領域S1にて簡易的に例示するように、USB信号ライン61が通信可能な状態であり、ホスト装置1から上述した出力命令が出力命令検知部53に定期的に入力されている場合には、ステップS105にてYesと判定されて、上記ステップS103からの処理が繰り返される。
【0048】
一方、図5(A)の円領域S2にて簡易的に例示するように、USB信号ライン61を介して入出力されるデータの一部または全部が欠損しているため、USB信号ライン61が通信不可能な状態であるか、ホスト装置1から上述した出力命令が出力命令検知部53に入力されていない通信異常が発生している場合には、ステップS105にてNoと判定される。
【0049】
そして、ステップS107において、電圧低減処理がなされる。この処理では、電圧変化制御部54により、OFF状態のスイッチ55bがON状態になった後に再びOFF状態になることで、図5(B)の円領域S3にて簡易的に例示するように、USB信号ライン61の出力電圧が一度0(V)になりその後所定の電圧値まで上昇する。このため、バーコードリーダ10がホスト装置1に対して擬似的に再接続された再接続状態が作り出されて、バーコードリーダ10に対する処理がリセットされる。これにより、通信異常状態から回復し、ホスト装置1からの出力命令の出力が自動的に促されることとなる。
【0050】
ここで、ステップS101の判定ステップを設けた理由について、以下に説明する。
読取作業開始時等、実際にバーコードリーダ10をホスト装置1にUSBケーブル60を介して接続する際には、ホスト装置1に出力するための読取情報が存在すると判定されるとともに上記出力命令が入力されていないと判定される場合がある。この場合には、ホスト装置1との通信回復が不要であるにもかかわらず、ステップS103にてYesと判定されるとともにステップS105にてNoと判定されて、電圧変化制御部54による電圧変化部55の制御が実施されることとなる。
【0051】
そこで、上記ステップS101における判定ステップによりホスト装置1に対してUSB信号ライン61を介した接続状態が確立されたと判定されるまで、ステップS103およびステップS105(出力情報有無検知部52および出力命令検知部53)の判定結果にかかわらず、電圧変化制御部54による電圧変化部55の制御を実施しないことで、上述のような不要な処理をなくしてホスト装置1の負荷を確実に低減することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係るバーコードリーダ10では、出力情報有無検知部52によりホスト装置1に出力するための読取情報(取得情報)が存在すると判定され、出力命令検知部53により出力命令が入力されていないと判定される場合に、電圧変化制御部54により制御されて、電圧変化部55によりUSB信号ライン61を介する出力信号の電圧が低減されて、ホスト装置1に対して擬似的に再接続された再接続状態が作り出される。
【0053】
このため、ホスト装置1に出力するための読取情報が存在し、かつ、ホスト装置1に対して読取情報を出力する出力命令が入力されていない場合、すなわち、ホスト装置1との通信回復が必要な場合にのみ、上記再接続状態が作り出されることとなる。これにより、ノイズ等を検知する毎に上記再接続状態が作り出される場合と比較して、ホスト装置1との通信回復のための再接続状態を当該ホスト装置1の負荷を増大させることなく実施することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るバーコードリーダ10は、バーコードBを光学的に読み取り可能に構成されている。これにより、バーコードのように容易に大量の情報を読み取るバーコードリーダであっても、ホスト装置1との通信回復のための再接続状態を当該ホスト装置1の負荷を増大させることなく実施することができる。
【0055】
さらに、本実施形態に係るバーコードリーダ10では、ステップS101にてホスト装置1に対してUSB信号ライン61を介した接続状態が確立されたと判定されるまで、出力情報有無検知部52および出力命令検知部53の判定結果にかかわらず、電圧変化制御部54による電圧変化部55の制御が実施されない。
【0056】
これにより、読取作業開始時等、ホスト装置1との通信回復が不要である場合には、電圧変化制御部54による電圧変化部55の制御を実施しないことで、上述のような不要な処理をなくしてホスト装置1の負荷を確実に低減することができる。
【0057】
さらにまた、本実施形態に係るバーコードリーダ10では、電圧変化部55は、電源とUSB信号ライン61との間に設けられる抵抗器55aを含むように構成されるため、簡易な構成で電圧変化手段を構築でき、USBインタフェース50を構成するための標準的なチップを採用できるので、電圧変化部55を採用することによる製造コストの増加や大型化等を抑制することができる。
【0058】
図6(A),(B)は、本実施形態の変形例に係るバーコードリーダ10の要部を示す機能ブロック図である。
本実施形態の第1変形例として、電圧変化部55は、抵抗器55aおよびスイッチ55bにより構成されることに限らず、例えば、図6(A)に示すように、抵抗器55aとこの抵抗器55aに直列に配置されるトランジスタ55c等とにより構成されてもよい。この場合、ステップS107における電圧低減処理では、電圧変化制御部54によりトランジスタ55c等を制御して、USB信号ライン61の出力電圧を、0(V)に低減した後に所定の電圧値まで上昇させてもよいし、ホスト装置1が再接続されたと判断する所定の電圧閾値以下に低減した後に所定の電圧値まで上昇させてもよい。
【0059】
また、本実施形態の第2変形例として、図6(B)に示すように、電圧変化部55は、USBインタフェース50を構成するUSBインタフェース制御チップ51に実装される抵抗器55dおよびスイッチ55eを含むように構成されてもよい。この場合には、このスイッチ55eにより抵抗器55dと電源との接続の有無を制御するプログラム等を採用するだけで当該電圧変化部55を構築することができる。
【0060】
また、本実施形態の第3変形例として、電圧変化制御部54による電圧変化部55の制御を実施するか否か、すなわち上記通信回復処理を実施するか否かを選択するための選択手段を採用してもよい。具体的には、上記選択手段として所定の操作スイッチを新たに設けてもよいし、所定のバーコード(光学的情報)を読み取った場合に上記通信回復処理を実施しない(実施する)ようにしてもよい。
【0061】
これにより、当該バーコードリーダ10を、通信回復機能が不要であるホスト装置等にUSB信号ライン61を介して接続する場合には、上記選択手段により電圧変化制御部54による電圧変化部55の制御の不実施を選択することで、不要な処理をなくすことができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)電圧変化部55は、電圧変化制御部54により制御されることでUSB信号ライン61の出力電圧を低減することに限らず、制御回路40により直接制御されることでUSB信号ライン61の出力電圧を低減してもよい。
【0063】
(2)本発明に係る情報取得装置は、上述したバーコードリーダ10に適用されることに限らず、例えば、二次元コード等の光学的情報を光学的に読み取り可能な光学的情報読取装置やキーボードおよびマウスなど、ホスト装置1にUSB信号ライン61を介して接続されて当該ホスト装置1に対して取得した情報を出力する情報取得装置に適用されてもい。
【符号の説明】
【0064】
1…ホスト装置
10…バーコードリーダ(情報取得装置)
40…制御回路
50…USBインタフェース
51…USBインタフェース制御チップ
52…出力情報有無検知部(第1判定手段)
53…出力命令検知部(第2判定手段)
54…電圧変化制御部(制御手段)
55…電圧変化部(電圧変化手段)
60…USBケーブル
61…USB信号ライン
B…バーコード(所定の情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBインタフェースを有し取得した情報をUSB信号ラインを介してホスト装置に出力する情報取得装置であって、
所定の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報のうち前記ホスト装置に出力するための取得情報が存在するか否かについて判定する第1判定手段と、
前記USB信号ラインを介して入力される入力信号に応じて、前記ホスト装置に対して前記取得情報を出力する出力命令が入力されているか否かについて判定する第2判定手段と、
前記USB信号ラインを介する出力信号の電圧を変化させる電圧変化手段と、
前記電圧変化手段を制御することで前記出力信号の電圧を調整する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第1判定手段により前記ホスト装置に出力するための取得情報が存在すると判定され、前記第2判定手段により前記出力命令が入力されていないと判定される場合に、前記電圧変化手段により前記出力信号の電圧を低減させることで、前記ホスト装置に対して擬似的に再接続された状態を作り出すことを特徴とする情報取得装置。
【請求項2】
前記所定の情報は、光学的情報であって、
前記取得手段は、前記所定の情報を光学的に読み取り可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の情報取得装置。
【請求項3】
前記ホスト装置に対して前記USB信号ラインを介した接続状態が確立されたか否かについて判定する第3判定手段を備え、
前記制御手段は、前記第3判定手段により前記接続状態が確立されたと判定されるまで、前記第1判定手段および前記第2判定手段の判定結果にかかわらず、前記電圧変化手段の制御を実施しないことを特徴とする請求項1または2に記載の情報取得装置。
【請求項4】
前記電圧変化手段は、電源と前記USB信号ラインとの間に設けられる抵抗器を含むように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報取得装置。
【請求項5】
前記電圧変化手段は、前記USBインタフェースを構成するチップに実装される抵抗器を含むように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報取得装置。
【請求項6】
前記制御手段による前記電圧変化手段の制御を実施するか否かを選択するための選択手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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