情報媒体
【課題】ドーム型スイッチを指先で抓んで、押圧した場合、ドーム型スイッチにおける明瞭なクリック感が得られる情報媒体を提供する。
【解決手段】本発明の情報媒体10は、フレーム11と、フレーム11に内設され、ドーム型スイッチ12を有するモジュール13と、フレーム11およびモジュール13を被覆する接着層14と、接着層14を介して、フレーム11およびモジュール13を挟持する一対の基材15,16と、を備え、ドーム型スイッチ12は、モジュール13の一方の面13aに設けられた第一固定接点18および第二固定接点19を有し、モジュール13の他方の面13bにおいて、少なくとも第一固定接点18と対向する位置に硬質基材17が配設されたことを特徴とする。
【解決手段】本発明の情報媒体10は、フレーム11と、フレーム11に内設され、ドーム型スイッチ12を有するモジュール13と、フレーム11およびモジュール13を被覆する接着層14と、接着層14を介して、フレーム11およびモジュール13を挟持する一対の基材15,16と、を備え、ドーム型スイッチ12は、モジュール13の一方の面13aに設けられた第一固定接点18および第二固定接点19を有し、モジュール13の他方の面13bにおいて、少なくとも第一固定接点18と対向する位置に硬質基材17が配設されたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な回路およびドーム型スイッチを有するモジュールを備えたカード型またはシート型の情報媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、そのカードを用いた情報管理や決済などが行われている。
このような情報管理や決済などに用いられるカードとしては、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カードなどが挙げられる。これらのICカードや磁気カードなどのカード型の情報媒体は、専用の装置を用いて情報の書込みや読み出しが行われる。
このようなカード型の情報媒体としては、例えば、電気的な回路およびドーム型スイッチを有するモジュールを備えたものが挙げられる。
【0003】
図10は、ドーム型スイッチの基本構造を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
図10に示すドーム型スイッチ100は、基材101と、その一方の面101aに互いに離隔して設けられた第一固定接点102および第二固定接点103と、これらの接点の上に配されたドーム型可動部材104と、第一固定接点102、第二固定接点103およびドーム型可動部材104を覆うシート状の被覆材105とから概略構成されている。
【0004】
第一固定接点102は基材101の一方の面101aの中央部に設けられている。また、第二固定接点103は、第一固定接点102の外周に、これと離隔して設けられている。
ドーム型可動部材104の中央部には、第一固定接点102に対向するように、弾性変形可能な可動接点104aが設けられている。ただし、通常の状態では、ドーム型可動部材104の可動接点104aは第一固定接点102に接触せずに、ドーム型可動部材104の縁部104bが第二固定接点103に接触している。
【0005】
このようなドーム型スイッチ100では、被覆材105の頂部105aを手指の先で押し下げると、ドーム型可動部材104の可動接点104aおよびその近傍が弾性変形し、ドーム型可動部材104が凸形状から凹形状に反転する。これにより、可動接点104aの内側が第一固定接点102に接触する。したがって、ドーム型可動部材104を介して、第一固定接点102と第二固定接点103が電気的に接続する。
【0006】
また、図11は、上記のドーム型スイッチを備えたカード型の情報媒体を示す概略断面図である。
この情報媒体110は、フレーム111と、フレーム111に内設され、ドーム型スイッチ112を備えたモジュール113と、フレーム111およびモジュール113を被覆する接着層114と、接着層114を介して、フレーム111およびモジュール113を挟持する一対の基材115,116とから概略構成されている。
【0007】
情報媒体110では、ドーム型スイッチ112が、モジュール113の一方の面113a上に互いに離隔して設けられた第一固定接点117および第二固定接点118と、これらの接点の上に配されたドーム型可動部材119とから概略構成されている。そして、第一固定接点117、第二固定接点118およびドーム型可動部材119を覆うように基材116が設けられている。すなわち、ドーム型スイッチ112が、ドーム型可動部材119と離隔し、かつ、第二固定接点118の周縁に設けられた粘着材120によって、基材116に固着されている。これにより、粘着材120の内側に、間隙121が形成され、ドーム型スイッチ112を動作可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−117696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のカード型の情報媒体110のドーム型スイッチ112を、情報媒体110の両面側から指先で抓んで、押圧すると、情報媒体110自体が撓むため、ドーム型スイッチ112における明瞭なクリック感が得られ難いという問題があった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ドーム型スイッチを指先で抓んで、押圧した場合、ドーム型スイッチにおける明瞭なクリック感が得られる情報媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の情報媒体は、フレームと、該フレームに内設され、ドーム型スイッチを有するモジュールと、前記フレームおよび前記モジュールを被覆する接着層と、該接着層を介して、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、前記ドーム型スイッチは、前記モジュールの一方の面側に設けられた接点を有し、前記モジュールにおける前記ドーム型スイッチが設けられた面とは反対の面側において、少なくとも前記接点と対向する位置に硬質基材が配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の情報媒体によれば、モジュールにおけるドーム型スイッチが設けられた面とは反対の面側において、少なくともドーム型スイッチの接点と対向する位置に硬質基材が配設されたので、ドーム型スイッチの部分で情報媒体が撓み難くなるから、ドーム型スイッチを、情報媒体の両面側から指先で抓んで、押圧した場合、ドーム型スイッチにおける明瞭なクリック感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の情報媒体の一実施形態を示し、図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図8】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図9】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図10】ドーム型スイッチの基本構造を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図11】従来のドーム型スイッチを備えたカード型の情報媒体を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の情報媒体の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
「情報媒体」
図1は、本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略斜視図である。図2は、本発明の情報媒体の一実施形態を示し、図1のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の情報媒体10は、平面視略長方形状のフレーム11と、フレーム11に内設され、ドーム型スイッチ12を有するモジュール13と、フレーム11およびモジュール13を被覆する接着層14と、接着層14を介して、フレーム11およびモジュール13を挟持する一対の基材15,16(第一基材15、第二基材16)と、ドーム型スイッチ13と対向する位置に配設された硬質基材17とから概略構成されている。
【0016】
すなわち、情報媒体10は、モジュール13を内設したフレーム11が、接着層14を介して、第一基材15および第二基材16に挟持され、これらの部材がその厚さ方向において積層された構造をなしている。したがって、フレーム11は、接着層14を形成する接着剤によって、第一基材15および第二基材16に接着されている。これにより、情報媒体10は、平面視略長方形状をなしている。
【0017】
ここで、フレーム11にモジュール13を内設するとは、フレーム11の内側にモジュール13を設けることを言う。
フレーム11の内側には、モジュール13を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール13の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが設けられている。
また、フレーム11の厚さは、モジュール13の厚さとほぼ等しくなっており、フレーム11に嵌入されたモジュール13の表面は、フレーム11の表面とほぼ同一面をなしている。
【0018】
ドーム型スイッチ12は、モジュール13の第二基材16と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)13a側に、互いに離隔して設けられた第一固定接点18および第二固定接点19と、これらの接点の上に配されたドーム型可動部材20と、ドーム型可動部材20の周縁に、ドーム型可動部材20と離隔して設けられた粘着層21と、粘着層21によりモジュール13に対向して接着され、ドーム型可動部材20を覆う被覆材22とから概略構成されている。
【0019】
第一固定接点18および第二固定接点19は、モジュール13の一方の面13a側に設けられた回路(図示略)に接続されている。
なお、第一固定接点18および第二固定接点19は、モジュール13の一方の面13aに直接設けられていても、あるいは、フィルムなどを介して設けられていてもよい。
ドーム型可動部材20の中央部には、第一固定接点18に対向するように、弾性変形可能な可動接点20aが設けられている。ただし、通常の状態では、この可動接点20aは第一固定接点18に接触せずに、ドーム型可動部材20の縁部20bが第二固定接点19に接触している。
【0020】
粘着層21は、ドーム型可動部材20の周縁に、これと離隔して設けられている。粘着層21とドーム型可動部材20との間には、間隙23が設けられている。また、粘着層21の厚みは、ドーム型可動部材20の高さと等しくなっている。
被覆材22は、粘着層21によりモジュール13の一方の面13aに対向するように接着され、可動接点20aに接するようにドーム型可動部材20を覆っている。
また、第二基材16と被覆材22の間にも接着層14が形成されている。
【0021】
硬質基材17は、モジュール13におけるドーム型スイッチ13が設けられた面(一方の面13a)とは反対の面(以下、「他方の面」と言う。)13bにおいて、ドーム型スイッチ13と対向する位置に設けられている。すなわち、硬質基材17は、情報媒体10を平面視した場合、モジュール13全体と重なるように設けられている。
また、硬質基材17とモジュール13の間にも接着層14を形成する接着剤が介在し、その接着剤により、硬質基材17が所定の位置に設けられている。
【0022】
ここで、第一基材15の第二基材16と対向する面(接着層14と接する面)を一方の面15aと言う。また、第二基材16の第一基材15と対向する面(接着層14と接する面)を一方の面16aと言う。
【0023】
第一基材15の第二基材16と対向する面とは反対側の面(以下、「他方の面(外面)」と言う。)15bには、種々の印刷からなる印刷層24が設けられている。
第二基材16の第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「他方の面(外面)」と言う。)16bには、種々の印刷からなる印刷層25が設けられている。
【0024】
フレーム11の材質としては、少なくとも表層部に、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材にマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または、各種易接着処理などの表面処理を施したもの、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を押出発泡成形したシート)などの公知のものから選択して用いられる。
【0025】
モジュール13としては、ドーム型スイッチ12以外に、各種の電気的な回路を有するモジュールが挙げられる。例えば、表示素子および接触型のICチップを備えたモジュール、互いに接続されたアンテナおよび非接触型のICチップを備えたRFID用途のモジュール、これらに、さらに、電池、ダイオード、制御装置などを備えたモジュールなどが挙げられる。
【0026】
表示素子としては、電子ペーパー、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。
また、接触型のICチップとしては、金属端子が表面に剥き出しになっており、その金属端子を情報書込/読出装置に接触させて、情報の読み書きを行うものが用いられる。非接触型のICチップとしては、特に限定されず、アンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものが用いられる。
【0027】
モジュール13がRFID用途のモジュールである場合、アンテナは、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0028】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナをなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナをなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10−5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0029】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0030】
また、アンテナをなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナをなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0031】
モジュール13がRFID用途のモジュールである場合、ICチップとしては、特に限定されず、上記のアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0032】
接着層14をなす接着剤としては、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えることにより硬化する接着剤が用いられる。このような接着剤としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂が挙げられる。また、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型接着剤も用いられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂などが挙げられる。
【0033】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化性樹脂としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
2液硬化型接着剤としては、ポリエステル樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、ウレタンとポリイソシアネートとの混合物などが挙げられる。
【0034】
このような接着剤としては、一般的なカード基材である、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリ塩化ビニル(PVC)に対し、JIS X6305−5「識別カードの試験方法−第5部:光メモリカード」に規定される試験方法によって測定される層間剥離強度が、JIS X6301「識別カード−物理的特性」に規定される0.35N/mm以上(望ましくは0.5N/mm以上)である接着剤であれば自由に選択される。
【0035】
また、接着層14を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、接着層14を任意の色に着色することもできる。
【0036】
第一基材15および第二基材16としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0037】
硬質基材17としては、硬化後の接着剤からなる接着層14よりも硬く、撓み難い材質のものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;各種金属からなる基材;木製の基材などが用いられる。
なお、ここでいう「硬い」とは、主に指などによる押圧に対する力に強いことを意味しており、面圧に対する硬さ、および、湾曲曲げに対する硬さを示している。
【0038】
硬質基材17の厚さは、特に限定されないが、第一基材15および第二基材16の材質、モジュール13の厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0039】
第一固定接点18および第二固定接点19は、モジュール13の一方の面13a側にポリマー型導電インクを用いて所定のパターン状にスクリーン印刷により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物としては、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂、浸透乾燥型樹脂、溶剤揮発型樹脂などの公知のものが用いられる。
【0040】
ドーム型可動部材20は、弾性変形可能な金属からなる部材である。
粘着層21をなす粘着材としては、液体と固体の両方の性質を有し、常に濡れた状態にあり、流動性が低く、それ自体の形状を保持する粘着材が用いられる。このような粘着材としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤などが挙げられる。
粘着材の具体例としては、ウレタン樹脂系両面テープ(商品名:T3810、ニトムズ社製)、両面テープ(商品名:TL−85F−12、リンテック社製)などが挙げられる。
【0041】
被覆材22としては、第一基材15および第二基材16と同様のものが用いられる。
また、被覆材22としては、上記の粘着材をなす樹脂に着色剤を添加して、任意の色になるように成形した着色粘着材を用いてもよい。
【0042】
この情報媒体10によれば、硬質基材17が、モジュール13の他方の面13bにおいて、ドーム型スイッチ13と対向する位置に設けられているので、ドーム型スイッチ13の部分で情報媒体10が撓み難くなるから、ドーム型スイッチ13を、情報媒体10の両面側から指先で抓んで、押圧した場合、ドーム型スイッチ13における明瞭なクリック感が得られる。
【0043】
なお、この実施形態では、情報媒体10を平面視した場合、硬質基材17がモジュール13全体と重なるように設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、硬質基材が少なくともドーム型スイッチの接点(第一固定接点、第二固定接点)と重なるように配設されていればよい。
【0044】
また、この実施形態では、ドーム型スイッチ12が、第一固定接点18および第二固定接点19と、ドーム型可動部材20と、粘着層21と、被覆材22と備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ドーム型スイッチが、ドーム型可動部材の周縁に設けられた粘着層により、基材の一方に接着されていてもよい。
【0045】
また、この実施形態では、フレーム11が1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つ以上の部材からなる場合、予め2つ以上の部材が接着剤または熱融着により接合されて、1つのフレームとされて用いられる。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。そして、フレームが2つ以上の部材からなる場合、少なくとも1つの部材に上記の硬質基材17に相当する部位が一体に設けられていてもよい。すなわち、少なくとも1つの部材に、モジュールの他方の面側において、少なくとも第一固定接点と重なる位置に硬質材からなる部位が設けられていてもよい。
【0046】
また、この実施形態では、第一基材15の他方の面15bに印刷層24が設けられ、かつ、第二基材16の他方の面16bに印刷層25が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面や、第二基材の一方の面に印刷層が設けられていてもよい。
また、この実施形態では、情報媒体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、情報媒体は、平面視した場合、略正方形状をなしていてもよい。
【0047】
「情報媒体の製造方法」
次に、図3〜図9を参照して、この実施形態の情報媒体の製造方法を説明する。
【0048】
まず、図3に示すように、他方の面15bに、最終的なカード形状の外郭線24aを有し、種々の印刷からなる印刷層24が設けられた第一基材15を用意する。
【0049】
次いで、図4に示すように、第一基材15の一方の面15aに、接着剤塗布装置のノズル31から吐出される接着剤14Aを塗布する。
【0050】
接着剤14Aとしては、上記の接着層14を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一基材15の一方の面15aに対する接着剤14Aの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤14Aによって被覆される、フレーム11Aの面積、フレーム11Aに設けられた嵌入部11aの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0051】
次いで、図5に示すように、内側に、その厚さ方向に貫通し、モジュール13の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが形成された略長方形状のフレーム11Aを用意する。
そして、接着剤14Aを介して、第一基材15の一方の面15aに、フレーム11Aを重ね合わせ、第一基材15に対してフレーム11Aを押圧することにより、第一基材15とフレーム11Aの間に、接着剤14Aを展開させ、第一基材15の一方の面15aにフレーム11Aを接着する。
【0052】
ここで、情報媒体10の外郭線10aは、印刷層24の外郭線24aに対応する。
この工程では、第一基材15とフレーム11Aの間に、接着剤14Aを展開させる際、フレーム11Aの嵌入部11aに、接着剤14Aを流入させてもよい。
また、この工程では、第一基材15とフレーム11Aの間に展開させた接着剤14Aの余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層24の外郭線24a)よりも外側に、裾拡がりするように展開させる。
【0053】
次いで、図6に示すように、フレーム11Aの内側に形成された嵌入部11aにおいて、接着剤14Aを介して、第一基材15の一方の面15aにおける所定位置に、硬質基材17を配置する。
ここで、第一基材15の一方の面15aにおける所定位置とは、フレーム11Aの嵌入部11aにモジュール13が嵌入された場合、モジュール13に設けられたドーム型スイッチ12と対向する位置である。
【0054】
次いで、図7に示すように、フレーム11Aの嵌入部11aにモジュール13を嵌入する。
このとき、第一基材15の一方の面15aに配設された硬質基材17に、ドーム型スイッチ12が対向するように(すなわち、ドーム型スイッチ12全体と重なるように)、フレーム11Aの嵌入部11aにモジュール13を嵌入する。
【0055】
ドーム型スイッチ12では、ドーム型可動部材20の周縁に、これと離隔して設けられた粘着層21により、モジュール13に対向してドーム型可動部材20を覆う被覆材22が設けられている。
【0056】
次いで、図8に示すように、フレーム11Aの第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)11b、および、モジュール13の一方の面13aに、接着剤塗布装置のノズル32から吐出される接着剤14Bを塗布する。
【0057】
接着剤14Bとしては、上記の接着層14を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、フレーム11Aの一方の面11b、および、モジュール13の一方の面13aに対する接着剤14Bの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤14Bによって被覆される、フレーム11Aの面積およびモジュール13の大きさなどに応じて、適宜調整される。
【0058】
次いで、図9に示すように、フレーム11Aおよびモジュール13に塗布した接着剤14Bを介して、フレーム11Aおよびモジュール13に、第二基材16の印刷層25が設けられた面(他方の面16b)とは反対側の面(一方の面16a)を重ね合わせ、フレーム11Aおよびモジュール13に対して第二基材16を押圧することにより、フレーム11Aおよびモジュール13と、第二基材16との間に、接着剤14Bを展開させる。
【0059】
第二基材16の他方の面16bに設けられた印刷層25の外郭線25aは、情報媒体10の外郭線10a、および、第一基材15の他方の面15bに設けられた印刷層24の外郭線24aに対応する。すなわち、この第二基材16に設けられた印刷層25の外郭線25aと、第一基材15に設けられた印刷層24の外郭線24aとが重なるように、フレーム11Aおよびモジュール13に、第二基材16を重ね合わせる。
【0060】
また、この工程では、フレーム11Aおよびモジュール13と、第二基材16との間に展開させた接着剤14Bの余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層25の外郭線25a)よりも外側に、裾が拡がるように展開させる。
【0061】
次いで、第一基材15、接着剤14A、フレーム11A、モジュール13、接着剤14Bおよび第二基材16から構成される積層体に対して、加圧処理および接着剤を硬化させる処理(例えば、加熱、紫外線照射、電子線照射、エージング〔放置して時間とともに硬化反応をさせていくこと〕処理)をする(加圧処理および接着剤硬化処理する工程)ことによって、接着剤14A,14Bを硬化させて、前記の積層体を一体化する。
【0062】
次いで、第一基材15、接着剤14A、フレーム11A、モジュール13、接着剤14Bおよび第二基材16から構成される積層体を、情報媒体10の外郭線10aに沿って裁断して、図1に示す情報媒体10を得る。
【0063】
この工程では、上記の積層体の裁断により、接着剤14A,14Bの余剰分も分離、除去される。
【0064】
なお、この実施形態では、情報媒体10を平面視した場合、硬質基材17をモジュール13全体と重なるように設ける場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、硬質基材を、少なくともドーム型スイッチの接点(第一固定接点、第二固定接点)と重なるように配設すればよい。
【0065】
なお、この実施形態では、フレーム11Aが1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つの部材からなる場合、予め2つ以上の部材を接着剤または熱融着により接合して、1つのフレームとして用いてもよい。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。そして、フレームが2つ以上の部材からなる場合、少なくとも1つの部材に上記の硬質基材17に相当する部位が一体に設けられていてもよい。すなわち、少なくとも1つの部材に、モジュールの他方の面側において、少なくとも第一固定接点と重なる位置に硬質材からなる部位が設けられていてもよい。
【0066】
また、この実施形態では、第一基材15の他方の面15bに印刷層24が設けられ、かつ、第二基材16の他方の面16bに印刷層25が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面や、第二基材の一方の面に印刷層が設けられていてもよい。
【0067】
また、この実施形態では、第一基材15とフレーム11Aの間で接着剤14Aを展開させ、第二基材16と、フレーム11Aおよびモジュール13との間で接着剤14Bを展開させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材または第二基材のいずれか一方に接着剤を塗布し、これら2つの基材を、接着剤を介して重ね合わせ、これら2つの基材を押圧して、接着剤を展開した後、基材を剥離して、一方の基材上に、順次、各部材を配設してもよい。この手法によれば、接着剤をより薄く均一に展開することができる。
【符号の説明】
【0068】
10・・・情報媒体、11・・・フレーム、12・・・ドーム型スイッチ、13・・・モジュール、14・・・接着層、15・・・第一基材(基材)、16・・・第二基材(基材)、17・・・硬質基材、18・・・第一固定接点、19・・・第二固定接点、20・・・ドーム型可動部材、21・・・粘着層、22・・・被覆材、23・・・間隙、24,25・・・印刷層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な回路およびドーム型スイッチを有するモジュールを備えたカード型またはシート型の情報媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、そのカードを用いた情報管理や決済などが行われている。
このような情報管理や決済などに用いられるカードとしては、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カードなどが挙げられる。これらのICカードや磁気カードなどのカード型の情報媒体は、専用の装置を用いて情報の書込みや読み出しが行われる。
このようなカード型の情報媒体としては、例えば、電気的な回路およびドーム型スイッチを有するモジュールを備えたものが挙げられる。
【0003】
図10は、ドーム型スイッチの基本構造を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
図10に示すドーム型スイッチ100は、基材101と、その一方の面101aに互いに離隔して設けられた第一固定接点102および第二固定接点103と、これらの接点の上に配されたドーム型可動部材104と、第一固定接点102、第二固定接点103およびドーム型可動部材104を覆うシート状の被覆材105とから概略構成されている。
【0004】
第一固定接点102は基材101の一方の面101aの中央部に設けられている。また、第二固定接点103は、第一固定接点102の外周に、これと離隔して設けられている。
ドーム型可動部材104の中央部には、第一固定接点102に対向するように、弾性変形可能な可動接点104aが設けられている。ただし、通常の状態では、ドーム型可動部材104の可動接点104aは第一固定接点102に接触せずに、ドーム型可動部材104の縁部104bが第二固定接点103に接触している。
【0005】
このようなドーム型スイッチ100では、被覆材105の頂部105aを手指の先で押し下げると、ドーム型可動部材104の可動接点104aおよびその近傍が弾性変形し、ドーム型可動部材104が凸形状から凹形状に反転する。これにより、可動接点104aの内側が第一固定接点102に接触する。したがって、ドーム型可動部材104を介して、第一固定接点102と第二固定接点103が電気的に接続する。
【0006】
また、図11は、上記のドーム型スイッチを備えたカード型の情報媒体を示す概略断面図である。
この情報媒体110は、フレーム111と、フレーム111に内設され、ドーム型スイッチ112を備えたモジュール113と、フレーム111およびモジュール113を被覆する接着層114と、接着層114を介して、フレーム111およびモジュール113を挟持する一対の基材115,116とから概略構成されている。
【0007】
情報媒体110では、ドーム型スイッチ112が、モジュール113の一方の面113a上に互いに離隔して設けられた第一固定接点117および第二固定接点118と、これらの接点の上に配されたドーム型可動部材119とから概略構成されている。そして、第一固定接点117、第二固定接点118およびドーム型可動部材119を覆うように基材116が設けられている。すなわち、ドーム型スイッチ112が、ドーム型可動部材119と離隔し、かつ、第二固定接点118の周縁に設けられた粘着材120によって、基材116に固着されている。これにより、粘着材120の内側に、間隙121が形成され、ドーム型スイッチ112を動作可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−117696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のカード型の情報媒体110のドーム型スイッチ112を、情報媒体110の両面側から指先で抓んで、押圧すると、情報媒体110自体が撓むため、ドーム型スイッチ112における明瞭なクリック感が得られ難いという問題があった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ドーム型スイッチを指先で抓んで、押圧した場合、ドーム型スイッチにおける明瞭なクリック感が得られる情報媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の情報媒体は、フレームと、該フレームに内設され、ドーム型スイッチを有するモジュールと、前記フレームおよび前記モジュールを被覆する接着層と、該接着層を介して、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、前記ドーム型スイッチは、前記モジュールの一方の面側に設けられた接点を有し、前記モジュールにおける前記ドーム型スイッチが設けられた面とは反対の面側において、少なくとも前記接点と対向する位置に硬質基材が配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の情報媒体によれば、モジュールにおけるドーム型スイッチが設けられた面とは反対の面側において、少なくともドーム型スイッチの接点と対向する位置に硬質基材が配設されたので、ドーム型スイッチの部分で情報媒体が撓み難くなるから、ドーム型スイッチを、情報媒体の両面側から指先で抓んで、押圧した場合、ドーム型スイッチにおける明瞭なクリック感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の情報媒体の一実施形態を示し、図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図8】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図9】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図10】ドーム型スイッチの基本構造を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図11】従来のドーム型スイッチを備えたカード型の情報媒体を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の情報媒体の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0015】
「情報媒体」
図1は、本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略斜視図である。図2は、本発明の情報媒体の一実施形態を示し、図1のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の情報媒体10は、平面視略長方形状のフレーム11と、フレーム11に内設され、ドーム型スイッチ12を有するモジュール13と、フレーム11およびモジュール13を被覆する接着層14と、接着層14を介して、フレーム11およびモジュール13を挟持する一対の基材15,16(第一基材15、第二基材16)と、ドーム型スイッチ13と対向する位置に配設された硬質基材17とから概略構成されている。
【0016】
すなわち、情報媒体10は、モジュール13を内設したフレーム11が、接着層14を介して、第一基材15および第二基材16に挟持され、これらの部材がその厚さ方向において積層された構造をなしている。したがって、フレーム11は、接着層14を形成する接着剤によって、第一基材15および第二基材16に接着されている。これにより、情報媒体10は、平面視略長方形状をなしている。
【0017】
ここで、フレーム11にモジュール13を内設するとは、フレーム11の内側にモジュール13を設けることを言う。
フレーム11の内側には、モジュール13を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール13の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが設けられている。
また、フレーム11の厚さは、モジュール13の厚さとほぼ等しくなっており、フレーム11に嵌入されたモジュール13の表面は、フレーム11の表面とほぼ同一面をなしている。
【0018】
ドーム型スイッチ12は、モジュール13の第二基材16と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)13a側に、互いに離隔して設けられた第一固定接点18および第二固定接点19と、これらの接点の上に配されたドーム型可動部材20と、ドーム型可動部材20の周縁に、ドーム型可動部材20と離隔して設けられた粘着層21と、粘着層21によりモジュール13に対向して接着され、ドーム型可動部材20を覆う被覆材22とから概略構成されている。
【0019】
第一固定接点18および第二固定接点19は、モジュール13の一方の面13a側に設けられた回路(図示略)に接続されている。
なお、第一固定接点18および第二固定接点19は、モジュール13の一方の面13aに直接設けられていても、あるいは、フィルムなどを介して設けられていてもよい。
ドーム型可動部材20の中央部には、第一固定接点18に対向するように、弾性変形可能な可動接点20aが設けられている。ただし、通常の状態では、この可動接点20aは第一固定接点18に接触せずに、ドーム型可動部材20の縁部20bが第二固定接点19に接触している。
【0020】
粘着層21は、ドーム型可動部材20の周縁に、これと離隔して設けられている。粘着層21とドーム型可動部材20との間には、間隙23が設けられている。また、粘着層21の厚みは、ドーム型可動部材20の高さと等しくなっている。
被覆材22は、粘着層21によりモジュール13の一方の面13aに対向するように接着され、可動接点20aに接するようにドーム型可動部材20を覆っている。
また、第二基材16と被覆材22の間にも接着層14が形成されている。
【0021】
硬質基材17は、モジュール13におけるドーム型スイッチ13が設けられた面(一方の面13a)とは反対の面(以下、「他方の面」と言う。)13bにおいて、ドーム型スイッチ13と対向する位置に設けられている。すなわち、硬質基材17は、情報媒体10を平面視した場合、モジュール13全体と重なるように設けられている。
また、硬質基材17とモジュール13の間にも接着層14を形成する接着剤が介在し、その接着剤により、硬質基材17が所定の位置に設けられている。
【0022】
ここで、第一基材15の第二基材16と対向する面(接着層14と接する面)を一方の面15aと言う。また、第二基材16の第一基材15と対向する面(接着層14と接する面)を一方の面16aと言う。
【0023】
第一基材15の第二基材16と対向する面とは反対側の面(以下、「他方の面(外面)」と言う。)15bには、種々の印刷からなる印刷層24が設けられている。
第二基材16の第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「他方の面(外面)」と言う。)16bには、種々の印刷からなる印刷層25が設けられている。
【0024】
フレーム11の材質としては、少なくとも表層部に、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材にマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または、各種易接着処理などの表面処理を施したもの、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を押出発泡成形したシート)などの公知のものから選択して用いられる。
【0025】
モジュール13としては、ドーム型スイッチ12以外に、各種の電気的な回路を有するモジュールが挙げられる。例えば、表示素子および接触型のICチップを備えたモジュール、互いに接続されたアンテナおよび非接触型のICチップを備えたRFID用途のモジュール、これらに、さらに、電池、ダイオード、制御装置などを備えたモジュールなどが挙げられる。
【0026】
表示素子としては、電子ペーパー、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。
また、接触型のICチップとしては、金属端子が表面に剥き出しになっており、その金属端子を情報書込/読出装置に接触させて、情報の読み書きを行うものが用いられる。非接触型のICチップとしては、特に限定されず、アンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものが用いられる。
【0027】
モジュール13がRFID用途のモジュールである場合、アンテナは、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0028】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナをなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナをなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10−5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0029】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0030】
また、アンテナをなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナをなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0031】
モジュール13がRFID用途のモジュールである場合、ICチップとしては、特に限定されず、上記のアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0032】
接着層14をなす接着剤としては、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えることにより硬化する接着剤が用いられる。このような接着剤としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂が挙げられる。また、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型接着剤も用いられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂などが挙げられる。
【0033】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化性樹脂としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
2液硬化型接着剤としては、ポリエステル樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、ウレタンとポリイソシアネートとの混合物などが挙げられる。
【0034】
このような接着剤としては、一般的なカード基材である、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリ塩化ビニル(PVC)に対し、JIS X6305−5「識別カードの試験方法−第5部:光メモリカード」に規定される試験方法によって測定される層間剥離強度が、JIS X6301「識別カード−物理的特性」に規定される0.35N/mm以上(望ましくは0.5N/mm以上)である接着剤であれば自由に選択される。
【0035】
また、接着層14を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、接着層14を任意の色に着色することもできる。
【0036】
第一基材15および第二基材16としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0037】
硬質基材17としては、硬化後の接着剤からなる接着層14よりも硬く、撓み難い材質のものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;各種金属からなる基材;木製の基材などが用いられる。
なお、ここでいう「硬い」とは、主に指などによる押圧に対する力に強いことを意味しており、面圧に対する硬さ、および、湾曲曲げに対する硬さを示している。
【0038】
硬質基材17の厚さは、特に限定されないが、第一基材15および第二基材16の材質、モジュール13の厚さなどに応じて、適宜調整される。
【0039】
第一固定接点18および第二固定接点19は、モジュール13の一方の面13a側にポリマー型導電インクを用いて所定のパターン状にスクリーン印刷により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物としては、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂、浸透乾燥型樹脂、溶剤揮発型樹脂などの公知のものが用いられる。
【0040】
ドーム型可動部材20は、弾性変形可能な金属からなる部材である。
粘着層21をなす粘着材としては、液体と固体の両方の性質を有し、常に濡れた状態にあり、流動性が低く、それ自体の形状を保持する粘着材が用いられる。このような粘着材としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤などが挙げられる。
粘着材の具体例としては、ウレタン樹脂系両面テープ(商品名:T3810、ニトムズ社製)、両面テープ(商品名:TL−85F−12、リンテック社製)などが挙げられる。
【0041】
被覆材22としては、第一基材15および第二基材16と同様のものが用いられる。
また、被覆材22としては、上記の粘着材をなす樹脂に着色剤を添加して、任意の色になるように成形した着色粘着材を用いてもよい。
【0042】
この情報媒体10によれば、硬質基材17が、モジュール13の他方の面13bにおいて、ドーム型スイッチ13と対向する位置に設けられているので、ドーム型スイッチ13の部分で情報媒体10が撓み難くなるから、ドーム型スイッチ13を、情報媒体10の両面側から指先で抓んで、押圧した場合、ドーム型スイッチ13における明瞭なクリック感が得られる。
【0043】
なお、この実施形態では、情報媒体10を平面視した場合、硬質基材17がモジュール13全体と重なるように設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、硬質基材が少なくともドーム型スイッチの接点(第一固定接点、第二固定接点)と重なるように配設されていればよい。
【0044】
また、この実施形態では、ドーム型スイッチ12が、第一固定接点18および第二固定接点19と、ドーム型可動部材20と、粘着層21と、被覆材22と備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ドーム型スイッチが、ドーム型可動部材の周縁に設けられた粘着層により、基材の一方に接着されていてもよい。
【0045】
また、この実施形態では、フレーム11が1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つ以上の部材からなる場合、予め2つ以上の部材が接着剤または熱融着により接合されて、1つのフレームとされて用いられる。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。そして、フレームが2つ以上の部材からなる場合、少なくとも1つの部材に上記の硬質基材17に相当する部位が一体に設けられていてもよい。すなわち、少なくとも1つの部材に、モジュールの他方の面側において、少なくとも第一固定接点と重なる位置に硬質材からなる部位が設けられていてもよい。
【0046】
また、この実施形態では、第一基材15の他方の面15bに印刷層24が設けられ、かつ、第二基材16の他方の面16bに印刷層25が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面や、第二基材の一方の面に印刷層が設けられていてもよい。
また、この実施形態では、情報媒体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、情報媒体は、平面視した場合、略正方形状をなしていてもよい。
【0047】
「情報媒体の製造方法」
次に、図3〜図9を参照して、この実施形態の情報媒体の製造方法を説明する。
【0048】
まず、図3に示すように、他方の面15bに、最終的なカード形状の外郭線24aを有し、種々の印刷からなる印刷層24が設けられた第一基材15を用意する。
【0049】
次いで、図4に示すように、第一基材15の一方の面15aに、接着剤塗布装置のノズル31から吐出される接着剤14Aを塗布する。
【0050】
接着剤14Aとしては、上記の接着層14を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一基材15の一方の面15aに対する接着剤14Aの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤14Aによって被覆される、フレーム11Aの面積、フレーム11Aに設けられた嵌入部11aの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0051】
次いで、図5に示すように、内側に、その厚さ方向に貫通し、モジュール13の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが形成された略長方形状のフレーム11Aを用意する。
そして、接着剤14Aを介して、第一基材15の一方の面15aに、フレーム11Aを重ね合わせ、第一基材15に対してフレーム11Aを押圧することにより、第一基材15とフレーム11Aの間に、接着剤14Aを展開させ、第一基材15の一方の面15aにフレーム11Aを接着する。
【0052】
ここで、情報媒体10の外郭線10aは、印刷層24の外郭線24aに対応する。
この工程では、第一基材15とフレーム11Aの間に、接着剤14Aを展開させる際、フレーム11Aの嵌入部11aに、接着剤14Aを流入させてもよい。
また、この工程では、第一基材15とフレーム11Aの間に展開させた接着剤14Aの余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層24の外郭線24a)よりも外側に、裾拡がりするように展開させる。
【0053】
次いで、図6に示すように、フレーム11Aの内側に形成された嵌入部11aにおいて、接着剤14Aを介して、第一基材15の一方の面15aにおける所定位置に、硬質基材17を配置する。
ここで、第一基材15の一方の面15aにおける所定位置とは、フレーム11Aの嵌入部11aにモジュール13が嵌入された場合、モジュール13に設けられたドーム型スイッチ12と対向する位置である。
【0054】
次いで、図7に示すように、フレーム11Aの嵌入部11aにモジュール13を嵌入する。
このとき、第一基材15の一方の面15aに配設された硬質基材17に、ドーム型スイッチ12が対向するように(すなわち、ドーム型スイッチ12全体と重なるように)、フレーム11Aの嵌入部11aにモジュール13を嵌入する。
【0055】
ドーム型スイッチ12では、ドーム型可動部材20の周縁に、これと離隔して設けられた粘着層21により、モジュール13に対向してドーム型可動部材20を覆う被覆材22が設けられている。
【0056】
次いで、図8に示すように、フレーム11Aの第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)11b、および、モジュール13の一方の面13aに、接着剤塗布装置のノズル32から吐出される接着剤14Bを塗布する。
【0057】
接着剤14Bとしては、上記の接着層14を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、フレーム11Aの一方の面11b、および、モジュール13の一方の面13aに対する接着剤14Bの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤14Bによって被覆される、フレーム11Aの面積およびモジュール13の大きさなどに応じて、適宜調整される。
【0058】
次いで、図9に示すように、フレーム11Aおよびモジュール13に塗布した接着剤14Bを介して、フレーム11Aおよびモジュール13に、第二基材16の印刷層25が設けられた面(他方の面16b)とは反対側の面(一方の面16a)を重ね合わせ、フレーム11Aおよびモジュール13に対して第二基材16を押圧することにより、フレーム11Aおよびモジュール13と、第二基材16との間に、接着剤14Bを展開させる。
【0059】
第二基材16の他方の面16bに設けられた印刷層25の外郭線25aは、情報媒体10の外郭線10a、および、第一基材15の他方の面15bに設けられた印刷層24の外郭線24aに対応する。すなわち、この第二基材16に設けられた印刷層25の外郭線25aと、第一基材15に設けられた印刷層24の外郭線24aとが重なるように、フレーム11Aおよびモジュール13に、第二基材16を重ね合わせる。
【0060】
また、この工程では、フレーム11Aおよびモジュール13と、第二基材16との間に展開させた接着剤14Bの余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層25の外郭線25a)よりも外側に、裾が拡がるように展開させる。
【0061】
次いで、第一基材15、接着剤14A、フレーム11A、モジュール13、接着剤14Bおよび第二基材16から構成される積層体に対して、加圧処理および接着剤を硬化させる処理(例えば、加熱、紫外線照射、電子線照射、エージング〔放置して時間とともに硬化反応をさせていくこと〕処理)をする(加圧処理および接着剤硬化処理する工程)ことによって、接着剤14A,14Bを硬化させて、前記の積層体を一体化する。
【0062】
次いで、第一基材15、接着剤14A、フレーム11A、モジュール13、接着剤14Bおよび第二基材16から構成される積層体を、情報媒体10の外郭線10aに沿って裁断して、図1に示す情報媒体10を得る。
【0063】
この工程では、上記の積層体の裁断により、接着剤14A,14Bの余剰分も分離、除去される。
【0064】
なお、この実施形態では、情報媒体10を平面視した場合、硬質基材17をモジュール13全体と重なるように設ける場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、硬質基材を、少なくともドーム型スイッチの接点(第一固定接点、第二固定接点)と重なるように配設すればよい。
【0065】
なお、この実施形態では、フレーム11Aが1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つの部材からなる場合、予め2つ以上の部材を接着剤または熱融着により接合して、1つのフレームとして用いてもよい。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。そして、フレームが2つ以上の部材からなる場合、少なくとも1つの部材に上記の硬質基材17に相当する部位が一体に設けられていてもよい。すなわち、少なくとも1つの部材に、モジュールの他方の面側において、少なくとも第一固定接点と重なる位置に硬質材からなる部位が設けられていてもよい。
【0066】
また、この実施形態では、第一基材15の他方の面15bに印刷層24が設けられ、かつ、第二基材16の他方の面16bに印刷層25が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面や、第二基材の一方の面に印刷層が設けられていてもよい。
【0067】
また、この実施形態では、第一基材15とフレーム11Aの間で接着剤14Aを展開させ、第二基材16と、フレーム11Aおよびモジュール13との間で接着剤14Bを展開させる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材または第二基材のいずれか一方に接着剤を塗布し、これら2つの基材を、接着剤を介して重ね合わせ、これら2つの基材を押圧して、接着剤を展開した後、基材を剥離して、一方の基材上に、順次、各部材を配設してもよい。この手法によれば、接着剤をより薄く均一に展開することができる。
【符号の説明】
【0068】
10・・・情報媒体、11・・・フレーム、12・・・ドーム型スイッチ、13・・・モジュール、14・・・接着層、15・・・第一基材(基材)、16・・・第二基材(基材)、17・・・硬質基材、18・・・第一固定接点、19・・・第二固定接点、20・・・ドーム型可動部材、21・・・粘着層、22・・・被覆材、23・・・間隙、24,25・・・印刷層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、該フレームに内設され、ドーム型スイッチを有するモジュールと、前記フレームおよび前記モジュールを被覆する接着層と、該接着層を介して、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、
前記ドーム型スイッチは、前記モジュールの一方の面側に設けられた接点を有し、
前記モジュールにおける前記ドーム型スイッチが設けられた面とは反対の面側において、少なくとも前記接点と対向する位置に硬質基材が配設されたことを特徴とする情報媒体。
【請求項1】
フレームと、該フレームに内設され、ドーム型スイッチを有するモジュールと、前記フレームおよび前記モジュールを被覆する接着層と、該接着層を介して、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、
前記ドーム型スイッチは、前記モジュールの一方の面側に設けられた接点を有し、
前記モジュールにおける前記ドーム型スイッチが設けられた面とは反対の面側において、少なくとも前記接点と対向する位置に硬質基材が配設されたことを特徴とする情報媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−138257(P2012−138257A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289701(P2010−289701)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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