説明

情報媒体

【課題】情報媒体を撓ませた場合、モジュールの表面に設けられた表示素子に生じる応力を低減し、表示素子がモジュール本体から剥離することを防止した情報媒体を提供する。
【解決手段】本発明の情報媒体10は、フレーム11と、フレーム11に内設され、表示素子12を有するモジュール13と、フレーム11と接する接着層14と、接着層14に接し、フレーム11およびモジュール13を挟持する第一基材15および第二基材16と、を備え、表示素子12の第二基材16と対向する面に第一剥離層19が設けられ、第二基材16のフレーム11と対向する面における表示素子12と対向する領域に第二剥離層20が設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な回路を有するモジュールを備えたカード型またはシート型の情報媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、そのカードを用いた情報管理や決済などが行われている。
このような情報管理や決済などに用いられるカードとしては、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カードなどが挙げられる。これらのICカードや磁気カードなどのカード型の情報媒体は、専用の装置を用いて情報の書込みや読み出しが行われる。
このようなカード型の情報媒体は、電気的な回路を有するモジュールを備えている。また、この情報媒体では、モジュールを、基材に対して所定の位置に配置するためにフレームが用いられている。すなわち、この情報媒体は、モジュールが所定の位置に内設されたフレームが、接着剤を介して、一対の基材で挟持された構造をなしている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−236937号公報
【特許文献2】特開2004−110142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような情報媒体では、モジュールの表面に、粘着材を介して電子ペーパーなどからなる表示素子が設けられている。さらに、モジュールが内設されたフレームが、接着剤を介して一対の基材で挟持されている。
フレームに対して基材を固定する接着剤の接着力は、モジュールに対して表示素子を固定する粘着材の粘着力よりも大きいため、情報媒体を撓ませた場合、表示素子が接着剤側に引っ張られて、表示素子に応力が生じ、表示素子が粘着材から剥離して、結果として表示素子が破壊されることがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、情報媒体を撓ませた場合、モジュールの表面に設けられた表示素子に生じる応力を低減し、表示素子がモジュール本体から剥離することを防止した情報媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報媒体は、フレームと、該フレームに内設され、表示素子を有するモジュールと、前記フレームと接する接着層と、該接着層に接し、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する第一基材および第二基材と、を備えた情報媒体であって、少なくとも前記表示素子の前記第二基材と対向する面、または、前記第二基材の前記フレームと対向する面における前記表示素子と対向する領域のいずれか一方に剥離層が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の情報媒体によれば、少なくとも表示素子の第二基材と対向する面、または、第二基材のフレームと対向する面における表示素子と対向する領域のいずれか一方に剥離層が設けられているので、接着層と、表示素子および第二基材とが接着することがない。したがって、情報媒体を撓ませた場合、表示素子が接着層側に引っ張られて、表示素子に応力が生じ、表示素子をモジュール本体に固定するための粘着層から、表示素子が剥離することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図8】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図9】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図10】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の情報媒体の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0010】
「情報媒体」
図1は、本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
本実施形態の情報媒体10は、平面視略長方形状のフレーム11と、フレーム11に内設され、表示素子12を有するモジュール13と、フレーム11およびモジュール13を被覆する接着層14と、接着層14を介して、フレーム11およびモジュール13を挟持する一対の基材15,16(第一基材15、第二基材16)とから概略構成されている。
【0011】
すなわち、情報媒体10は、モジュール13を内設したフレーム11が、接着層14を介して第一基材15および第二基材16に挟持され、これらの部材がその厚さ方向において積層された構造をなしている。したがって、フレーム11は、接着層14を形成する接着剤によって、第一基材15および第二基材16に接着されている。これにより、情報媒体10は、平面視略長方形状をなしている。
ここで、フレーム11にモジュール13を内設するとは、フレーム11の内側にモジュール13を設けることを言う。
【0012】
フレーム11の内側には、モジュール13を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール13の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが設けられている。
また、フレーム11の厚さは、モジュール13の厚さとほぼ等しくなっており、フレーム11に嵌入されたモジュール13の表面は、フレーム11の表面とほぼ同一面をなしている。
【0013】
モジュール13の表示素子12は、モジュール本体17の第二基材16と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)17aに、粘着層18を介して設けられている。
【0014】
表示素子12の第二基材16と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)12aに、剥離性の材料からなる第一剥離層19が設けられている。
また、第二基材16のフレーム11と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)16aにおける表示素子12と対向する領域に、剥離性の材料からなる第二剥離層20が設けられている。
そして、情報媒体10を、第二基材16側から平面視した場合、第一剥離層19の面積と、第二剥離層20の面積とがほぼ等しくなっている。
【0015】
ここで、第一基材15の第二基材16と対向する面(接着層14と接する面)を一方の面15aと言う。
第一基材15の第二基材16と対向する面とは反対側の面(以下、「他方の面(外面)」と言う。)15bには、種々の印刷からなる印刷層21が設けられている。
第二基材16の第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「他方の面(外面)」と言う。)16bには、種々の印刷からなる印刷層22が設けられている。
【0016】
フレーム11の材質としては、少なくとも表層部に、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材にマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したもの、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を押出発泡成形したシート)などの公知のものから選択して用いられる。
【0017】
モジュール13としては、各種の電気的な回路を有するモジュールが挙げられる。例えば、表示素子および接触型のICチップを備えたモジュール、互いに接続されたアンテナおよび非接触型のICチップを備えたRFID用途のモジュール、これらに、さらに、電池、ダイオード、制御装置などを備えたモジュールなどが挙げられる。
【0018】
表示素子12としては、電子ペーパー、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。
また、接触型のICチップとしては、金属端子が表面に剥き出しになっており、その金属端子を情報書込/読出装置に接触させて、情報の読み書きを行うものが用いられる。
【0019】
モジュール13がRFID用途のモジュールである場合、アンテナは、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0020】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナをなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナをなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10−5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0021】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0022】
また、アンテナをなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナをなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0023】
モジュール13がRFID用途のモジュールである場合、ICチップとしては、特に限定されず、上記のアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0024】
接着層14をなす接着剤としては、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えることにより硬化する接着剤が用いられる。このような接着剤としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂が挙げられる。また、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型接着剤も用いられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂、エポキシ樹脂とアミンの混合物などが挙げられる。
【0025】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化性樹脂としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
2液硬化型接着剤としては、ポリエステル樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、ウレタンとポリイソシアネートとの混合物などが挙げられる。
【0026】
このような接着剤の具体例としては、主剤(商品名:アロンマイティAP−317A、東亞合成社製)と硬化剤(商品名:アロンマイティAP−317B、東亞合成社製)からなる2液混合型エポキシ系接着剤、主剤(商品名:MLT2900、イーテック社製)と硬化剤(商品名:G3021−B174、イーテック社製)からなる2液混合型ウレタン系接着剤などが挙げられる。
【0027】
また、接着層14を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、接着層14を任意の色に着色することもできる。
【0028】
第一基材15および第二基材16としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0029】
粘着層18をなす粘着材としては、液体と固体の両方の性質を有し、常に濡れた状態にあり、流動性が低く、それ自体の形状を保持する粘着材が用いられる。このような粘着材としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。
【0030】
第一剥離層19、第二剥離層20を形成する材料としては、シリコーン、フッ素系樹脂などの剥離剤、あるいは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのプラスチックからなる基材フィルムの一方の面および/または他方に面に、シリコーン、フッ素系樹脂などからなる剥離層が設けられた剥離フィルムなどが用いられる。
【0031】
情報媒体10によれば、表示素子12の一方の面12aに第一剥離層19が設けられ、かつ、第二基材16の一方の面16aにおける表示素子12と対向する領域に第二剥離層20が設けられているので、接着層14と、表示素子12および第二基材16とが接着することがない。したがって、情報媒体10を撓ませた場合、表示素子12が接着層14側に引っ張られて、表示素子12に応力が生じ、表示素子12が粘着層18から剥離することを防止できる。これにより、情報媒体10を撓ませたことにより、表示素子12が破壊されることを防止できる。
【0032】
なお、本実施形態では、表示素子12の一方の面12aに第一剥離層19が設けられ、かつ、第二基材16の一方の面16aにおける表示素子12と対向する領域に第二剥離層20が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、表示素子と第二基材のどちらに剥離層を設けるかに関しては、表示素子と第二基材の間の接着層の厚さに応じて適宜選択される。すなわち、その接着層の厚さが極めて薄い場合、表示素子または第二基材のいずれかに剥離層を設ければ、情報媒体を撓ませた場合、表示素子が接着層側に引っ張られることを防止できる。また、本発明にあっては、モジュールおよび/またはフレームの第二基材と対向する面に剥離層が設けられていてもよく、第二基材のフレームと対向する面における表示部と対向する領域以外の領域に剥離層が設けられていてもよい。
また、本実施形態では、第一剥離層19の面積と、第二剥離層20の面積とがほぼ等しい場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一剥離層または第二剥離層のいずれか一方の面積が、他方の面積より大きくてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、フレーム11が1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つ以上の部材からなる場合、予め2つ以上の部材が接着剤または熱融着により接合されて、1つのフレームとされて用いられる。
【0034】
また、本実施形態では、第一基材15の他方の面15bに印刷層21が設けられ、かつ、第二基材16の他方の面16bに印刷層22が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面や、第二基材の一方の面に印刷層が設けられていてもよい。
また、本実施形態では、情報媒体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、情報媒体は、平面視した場合、略正方形状をなしていてもよい。
【0035】
「情報媒体の製造方法」
次に、図2〜図10を参照して、本実施形態の情報媒体の製造方法を説明する。
【0036】
まず、図2に示すように、他方の面15bに、最終的なカード形状の外郭線21aを有し、種々の印刷からなる印刷層21が設けられた第一基材15を用意する。
また、図3に示すように、他方の面16bに、最終的なカード形状の外郭線22aを有し、種々の印刷からなる印刷層22が設けられた第二基材16を用意する。
【0037】
次いで、図4に示すように、第一基材15の一方の面15aに、接着剤塗布装置のノズル31から吐出される接着剤14Aを塗布する。
【0038】
接着剤14Aとしては、上記の接着層14を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一基材15の一方の面15aに対する接着剤14Aの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤14Aによって被覆される、フレーム11Aの面積、フレーム11Aに設けられた嵌入部11aの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0039】
次いで、図5に示すように、内側に、その厚さ方向に貫通し、モジュール13の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが設けられた略長方形状のフレーム11Aを用意する。
そして、接着剤14Aを介して、第一基材15の一方の面15aに、フレーム11Aを重ね合わせ、第一基材15に対してフレーム11Aを押圧することにより、第一基材15とフレーム11Aの間に、接着剤14Aを展開させ、第一基材15の一方の面15aにフレーム11Aを接着する。
【0040】
ここで、情報媒体10の外郭線10aは、印刷層21の外郭線21aに対応する。
この工程では、第一基材15とフレーム11Aの間に、接着剤14Aを展開させる際、フレーム11Aの嵌入部11aに、接着剤14Aを流入させてもよい。
また、この工程では、第一基材15とフレーム11Aの間に展開させた接着剤14Aの余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層21の外郭線21a)よりも外側に、裾拡がりするように展開させる。
【0041】
次いで、図6に示すように、フレーム11Aの内側に設けられた嵌入部11aに、表示素子12を有するモジュール13を嵌入する。
【0042】
次いで、図7に示すように、モジュール13の表示素子12の一方の面12aに、シリコーンなどの剥離剤を塗布するか、あるいは、シリコーンからなる剥離層が設けられた剥離フィルムを貼着することにより第一剥離層19を設ける。
【0043】
次いで、図8に示すように、第二基材16の一方の面16aにおいて、モジュール13の表示素子12の一方の面12aと対向する領域に、シリコーンなどの剥離剤を塗布するか、あるいは、シリコーンからなる剥離層が設けられた剥離フィルムを貼着することにより第二剥離層20を設ける。
【0044】
次いで、図9に示すように、フレーム11Aの第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)11b、モジュール13の第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)13a、および、表示素子12の一方の面12aを覆うように設けられた第一剥離層19上に、接着剤塗布装置のノズル31から吐出される接着剤14Bを塗布する。
【0045】
接着剤14Bとしては、上記の接着層14を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、フレーム11Aの一方の面11b、モジュール13の一方の面13a、および、第一剥離層19に対する接着剤14Bの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤14Bによって被覆される、フレーム11A、モジュール13および第一剥離層19の大きさなどに応じて、適宜調整される。
【0046】
次いで、図10に示すように、フレーム11A、モジュール13および第一剥離層19に塗布した接着剤14Bを介して、フレーム11A、モジュール13および第一剥離層19に、第二基材16の印刷層22が設けられた面(他方の面16b)とは反対側の面(一方の面16a)を重ね合わせ、フレーム11A、モジュール13および第一剥離層19に対して第二基材16を押圧することにより、フレーム11A、モジュール13および第一剥離層19と、第二基材16との間に、接着剤14Bを展開させる。
【0047】
第二基材16の他方の面16bに設けられた印刷層22の外郭線22aは、情報媒体10の外郭線10a、および、第一基材15の他方の面15bに設けられた印刷層21の外郭線21aに対応する。すなわち、この第二基材16に設けられた印刷層22の外郭線22aと、第一基材15に設けられた印刷層21の外郭線21aとが重なるように、フレーム11A、モジュール13および第一剥離層19に、第二基材16を重ね合わせる。これにより、第二基材16の一方の面16aに形成された第二剥離層20が、表示素子12の一方の面12aに設けられた第一剥離層19と対向するように配置される。
【0048】
また、この工程では、フレーム11A、モジュール13および第一剥離層19と、第二基材16との間に展開させた接着剤14Bの余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層21の外郭線21a、印刷層22の外郭線22a)よりも外側に、裾拡がりするように展開させる。
【0049】
次いで、第一基材15、接着剤14A、フレーム11A、モジュール13、接着剤14Bおよび第二基材16を含む積層体に対して、加圧処理および接着剤を硬化させる処理(例えば、加熱、紫外線照射、電子線照射、エージング〔放置して時間とともに硬化反応をさせていくこと〕処理)する(加圧処理および接着剤硬化処理する工程)ことによって、接着剤14A,14Bを硬化させて、接着層14を形成し、前記の積層体を一体化する。
【0050】
次いで、第一基材15、接着層14、フレーム11A、モジュール13および第二基材16を含む積層体を、情報媒体10の外郭線10aに沿って裁断して、図1に示す情報媒体10を得る。
この工程では、上記の積層体の裁断により、接着層14の余剰分も分離、除去される。
【0051】
なお、本実施形態では、表示素子12の一方の面12aに第一剥離層19を設け、かつ、第二基材16の一方の面16aにおける表示素子12と対向する領域に第二剥離層20を設けた場合を例示したが、本発明にあっては、表示素子と第二基材のどちらに剥離層を設けるかに関しては、表示素子と第二基材の間の接着層の厚さに応じて適宜選択される。
【0052】
また、本実施形態では、フレーム11Aが1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つの部材からなる場合、予め2つ以上の部材を接着剤または熱融着により接合して、1つのフレームとして用いてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、第一基材15の他方の面15bに印刷層21が設けられ、かつ、第二基材16の他方の面16bに印刷層22が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面や、第二基材の一方の面に印刷層が設けられていてもよい。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
「実施例」
図1に示したものと同様の情報媒体を作製した。
この情報媒体に対して、JIS X6305−1「識別カードの試験方法−第1部:一般的特性」に準拠して、下記の条件で曲げ試験を行った。
長辺方向に曲げ量20mm(2秒/サイクル)、短辺方向に曲げ量10mm(2秒/サイクル)を1回として、情報媒体を曲げたとき、曲げ回数1000回、10000回、20000回、30000回、40000回における情報媒体の層間剥離の有無を確認した。
その結果、本実施例の情報媒体は、曲げ回数が40000回でも、層間剥離を生じなかった。
【0056】
「比較例」
剥離層を設けていない以外は実施例と同様の情報媒体を作製した。
実施例と同様にして、この情報媒体の曲げ試験を行った。
その結果、本比較例の情報媒体は、曲げ回数が20000回を超えると、表示素子の部分で層間剥離を生じることが観察された。
【符号の説明】
【0057】
10・・・情報媒体、11・・・フレーム、12・・・表示素子、13・・・モジュール、14・・・接着層、15・・・第一基材、16・・・第二基材、17・・・モジュール本体、18・・・粘着層、19・・・第一剥離層、20・・・第二剥離層、21,22・・・印刷層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、該フレームに内設され、表示素子を有するモジュールと、前記フレームと接する接着層と、該接着層に接し、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する第一基材および第二基材と、を備えた情報媒体であって、
少なくとも前記表示素子の前記第二基材と対向する面、または、前記第二基材の前記フレームと対向する面における前記表示素子と対向する領域のいずれか一方に剥離層が設けられたことを特徴とする情報媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−248104(P2012−248104A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120869(P2011−120869)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】