説明

情報形成シート

【課題】透かし情報が形成される情報形成シートに関し、厚紙に対して透かし情報による透かし効果を最適とさせる。
【解決手段】用紙基材12の裏面12Bに、透かし情報15を、二酸化チタンの白色顔料を含有する白色インキに紙色以外の有色顔料を含有する有色インキを混合させた紫外線硬化型の印刷インキにより形成させ、用紙基材12の表面12A側から光に透かしたときに当該透かし情報15を視認させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透かし情報が形成される情報形成シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報形成シートの代表的なものとして、保険証書や偽造防止のための透かし情報が形成された金券証書類等が知られている。これら証書類は、主に厚紙が使用されることが多く、透かし効果を最適とさせる透かし情報を形成させることが望まれる。
【0003】
従来、透かしが形成されたシートとして、特許文献1に示されているような帳票用紙がある。この透かし入り帳票用紙は、紙面上に白色顔料として酸化チタンを含有する紫外線硬化型紙色インキからなる紙色の遮光インキを部分的に印刷することで透かしを形成させたものである。
【0004】
【特許文献1】特許第3444535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の帳票用紙は、遮光インキが紙色であることから、使用される用紙の紙厚が厚くなるほど、特に印刷面の反対面からの透かし効果が薄れるという問題がある。例えば、紙厚90μm以上の用紙の場合には透かし効果が得られなかった。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、厚紙に対して透かし効果を最適とさせる情報形成シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、用紙基材の表面に固有情報が印刷され、裏面の所定部分に透かし情報が印刷される情報形成シートであって、前記透かし情報を白色インキに紙色以外の有色インキを混合させた紫外線硬化型の印刷インキにより形成させ、前記表面側から光に透かしたときに当該透かし情報を視認させる構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、用紙基材の裏面に、透かし情報を、白色インキに紙色以外の有色インキを混合させた紫外線硬化型の印刷インキにより形成させ、用紙基材の表面側から光に透かしたときに当該透かし情報を視認させる構成とすることにより、厚紙に対して透かし情報による透かし効果を最適とさせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る情報形成シートの構成図である。
【図2】図1の情報形成シートの製造説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明に係る情報形成シートの構成図を示す。図1(A)は情報形成シートの斜視図、図1(B)は図1(A)のA−A断面図であるが、図1(B)は構成を容易に示すために寸法等を無視して示している。図1(A)、(B)において、情報形成シート11は、用紙基材12の表面12A上の例えば全面に地紋13が形成されたものたものである。この用紙基材12は、120Kg/m2のものが使用され、厚さが略180μmのものである。
【0011】
また、用紙基材12は、本実施形態では、全体的に薄いベージュ色のものを使用し、地紋13を薄いオレンジ色で印刷により施したものを使用している。当該地紋13は、表面、裏面となる一方面又は両方面で施してもよく、また、全面又は所定部分に施してもよい。
【0012】
上記用紙基材12の表面12Aに施された地紋13上には、シート固有の固有情報14が紙色とは異なる色で形成される。また、用紙基材12の裏面12Bの所定位置に透かし情報(例えば「A」の文字)15が紫外線硬化型の印刷インキにより形成される。なお、透かし情報15には、デザイン、パターン、文字、図形等のあらゆる形態がある。
【0013】
上記透かし情報15を印刷する紫外線硬化型の印刷インキは、ここでは、白インキに、紙色以外の有色インキとして、例えば黒インキを混合させたものが使用される。詳細には、総重量1Kgの白インキとして二酸化チタンの白色顔料400g(40%)を含有(残りは一般的な紫外線硬化樹脂の量となる)させたものであり、総重量2gの黒インキとして有色顔料カーボンブラックの黒色顔料0.3g(15%)を含有(残りは一般的な紫外線硬化樹脂の量となる)させたものである。印刷インキ全体における顔料比率は、白色顔料100%に対して黒色顔料0.075%となる。なお、上記用紙基材12及び第2紙片13の積層厚紙体の紙厚(略180μm)に対して、上記白色インキに3gの黒色インキ(黒色顔料の含有率15%)を含有させた場合には、透かし情報15による透かし効果は満足のいくものではなかった。
【0014】
白色顔料としては、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウムおよびバライト粉が知られているが、光の透過性を考慮すれば二酸化チタンが好ましい。有色顔料としては、黒色顔料(カーボンブラック)の他に、赤色顔料(鉛丹、酸化鉄赤)、黄色顔料(黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種))、青色顔料(ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ))等があり、紙色に応じて適宜選択される。なお、顔料として、有機顔料、無機顔料などを問わない。
【0015】
そこで、図2に、図1の情報形成シートの製造説明図を示す。まず、図2(A)に示すように、地紋13が表面12Aの全面に形成された枚葉の用紙基材12が切取線22で連設された連続シート21が使用される。当該連続シート21の表面12Aにおける地紋13上の所定部分に、図2(B)に示すように、固有情報14が紙色(薄いベージュ色)以外の色(例えば、カーボンブラックの黒色)の印刷インキで一般的なオフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷によりで印刷される。
【0016】
上記固有情報の印刷が定着(熱定着)された後、図2(C)に示すように、連続シート21の裏面12Bの所定部分に、上記の紫外線硬化型印刷インキを用いて、透かし情報(「A」)15をオフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などにより、ここでは通常の盛厚として1μmで印刷され、紫外線照射により硬化させて定着させる。
【0017】
そして、図2(D)に示すように、連続シート21を切取線22で切り取ることで図1に示す枚葉の情報形成シート11となるものである。この情報形成シート11は、用紙基材12の固有情報14が形成された表面12A側からは、通常では透かし情報15を視認することができず、光に透かしたときに当該透かし情報15が視認されるものである。
【0018】
なお、図2では、固有情報14を印刷した後に、透かし情報15を印刷させる工程を示したが、順番を規定するものでなく、何れを先に印刷してもよい。
【0019】
このように、用紙基材裏面の所定部分に白色インキに紙色以外の有色インキを混合させた紫外線硬化型の印刷インキにより透かし情報を形成させることから、少なくとも厚さ略180μmまでの厚紙に対して透かし情報による透かし効果を最適とさせることができるものである。特に、前述の特許文献1の透かし情報入り帳票用紙に対しては、少なくとも90μm〜180μmの紙厚で最適な透かし効果を得ることができるものである。
【0020】
まお、情報形成シート11に形成された透かし情報15は、地紋13によって偽造が極めて困難であると共に、複写機等によっても認識が困難であり、偽造防止効果をも奏するものである。反面、真贋判定の観点からは、上記紫外線硬化型印刷インキに特定波長に反応する部材を含有させることにより、機械的な真贋判定を可能とさせることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の情報形成シートは、各種証明書等の他に、種々のチケット、金券類やレシート等に利用可能である。
【符号の説明】
【0022】
11 情報形成シート
12 用紙基材
13 地紋
14 固有情報
15 透かし情報
21 連続シート
22 切取線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙基材の表面に固有情報が印刷され、裏面の所定部分に透かし情報が印刷される情報形成シートであって、
前記透かし情報を白色インキに紙色以外の有色インキを混合させた紫外線硬化型の印刷インキにより形成させ、前記表面側から光に透かしたときに当該透かし情報を視認させることを特徴とする情報形成シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−24938(P2012−24938A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162808(P2010−162808)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】