情報担持媒体及び印刷物
【課題】媒体に情報を印字(印刷)する過程だけでなく、印字(印刷)後の配布や配送の過程においても、情報セキュリティ性を向上する。
【解決手段】情報担持媒体1は、予め2つ折りを想定して折り目4が形成された基材シート2を用いて構成されている。基材シート2の一面上には、折り目4の両側にそれぞれ担持領域2a,2bが形成されており、各担持領域2a,2bには、暗号情報8,9が担持されている。左側の担持領域2aには剥離層10が形成されており、暗号情報8は剥離層10の表面上に定着している。基材シート2の一面上には、暗号情報8,9を被覆するようにして接着層が形成されており、基材シート2を2つ折りにして接着させた後に再度開かれると、暗号情報8が右側の担持領域2bに転写されて視覚復号される。
【解決手段】情報担持媒体1は、予め2つ折りを想定して折り目4が形成された基材シート2を用いて構成されている。基材シート2の一面上には、折り目4の両側にそれぞれ担持領域2a,2bが形成されており、各担持領域2a,2bには、暗号情報8,9が担持されている。左側の担持領域2aには剥離層10が形成されており、暗号情報8は剥離層10の表面上に定着している。基材シート2の一面上には、暗号情報8,9を被覆するようにして接着層が形成されており、基材シート2を2つ折りにして接着させた後に再度開かれると、暗号情報8が右側の担持領域2bに転写されて視覚復号される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の秘密保持に適した情報担持媒体及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、個人情報のように秘匿性が求められる情報を紙媒体等に印字(印刷)して配布する際、情報セキュリティの観点から、印字(印刷)された情報を秘密にしておく必要がある。一般に普及している隠蔽はがき等は、予め2つ折りを想定した用紙に情報を印字し、その印字面を内側にして2つ折りにしつつ、用紙の対向する面を接着層等で接着することにより、情報が第三者の目に触れることを防止している。ただし、この方法は、情報を印字する過程で第三者(例えば作業を行うオペレータ)の目に触れてしまう可能性があり、厳格な意味で情報セキュリティ性に欠けている。
【0003】
このため従来、印字(印刷)する情報そのものを暗号化することで、印字(印刷)過程でも情報が第三者の目に触れることを防止する先行技術がある(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術は、画像暗号化によって生成された暗号画像とシェア(元の画像を復元するために暗号画像と重ね合せるための画像)を用いて情報に秘匿性を持たせている。
【0004】
先行技術の手法では、暗号画像とシェアのうち、例えばシェアの上下を反転し、暗号画像と反転されたシェアを半透明なシートに上下対称に印字(印刷)する。この場合、印字(印刷)過程で既に情報が暗号化されているため、オペレータ等の第三者に情報が読み取られることはない。一方、正規のユーザが暗号画像とシェアの間の対称線で半透明シートを折り曲げると、暗号画像の上にシェアが重なり、元の情報が読み取り可能となる。
【0005】
また、仮に第三者が情報を盗み見した場合、シートに折り曲げた痕跡が残るため、そこから情報漏洩があったことを発覚させることができるし、「シートに痕跡が残る」という点が第三者に盗み見を思いとどまらせる抑止力となることに期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−166710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した先行技術は、情報を暗号画像とシェアに分けたことに安堵するあまり、それ以上の情報セキュリティを強化しようとする観点に欠けている。確かに、印字(印刷)の過程で情報そのものが第三者の目に触れたとしても、それだけでは直ちに情報が読み取られる心配はない。しかし、印字(印刷)が完了した後も、依然として暗号画像やシェアが露出したままユーザに配布されるため、その過程で撮像等により情報が複製される可能性を排除することができない。
【0008】
特に先行技術の手法は、シートに光透過性が必須となるため、シートそのものに全く隠蔽性を持たせることがでないという大きな欠点がある。すなわち、光透過性のシートは、たとえこれを裏返しにしても、印字(印刷)された情報(暗号画像及びシェア)がシートの裏側からも容易に透けて見えてしまう。このため、印字(印刷)後に印刷物として配布・配送する場合、暗号画像やシェアそのものを第三者の目に触れなくするためには、シートの両面を別の隠蔽性のある材料(例えば隠蔽用紙、隠蔽塗料等)で覆う必要があり、その分、材料調達の手間やコストが余分にかかってしまうという問題がある。
【0009】
なお、シートに隠蔽模様等のパターンを印刷することは、逆に情報の読み取りを困難にするため本末転倒である。また、たとえ善意であっても、情報を隠そうとしてシートを折り畳んでしまうと、それが盗み見をしようとした「痕跡」になってしまうという矛盾もある。
【0010】
そこで本発明は、情報を印字(印刷)する過程だけでなく、配布や配送の過程においても、情報セキュリティ性を向上することができる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。
第1に本発明は、情報担持媒体を提供する。情報担持媒体は、折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートを用いて構成されている。基材シートには、その一面上で折り目を挟んだ両側にそれぞれ、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する2つの担持領域が形成されている。また、2つのうち一方の担持領域には、担持した暗号情報を基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層が形成されている。そして、2つの担持領域の少なくとも一方には、暗号情報を被覆した状態で接着層が形成されている。この接着層は、基材シートの折り畳みに伴い2つの担持領域が互いに接着された後に分離されることにより、剥離層からの剥離を伴い一方の担持領域から他方の担持領域への暗号情報の不可逆的な転写を可能とする。
【0012】
本発明の情報担持媒体によれば、視覚復号型の暗号情報が2つの担持領域に分かれて担持されているため、基材シートに暗号情報を印字(印刷)する過程で、本来の情報(視覚復号された内容)が第三者に読み取られるおそれはない。基材シートは、これ自身が隠蔽性や遮光性を有する材料であってもよく、その場合は基材シートを折り畳む前の状態であっても、基材シートを裏返しにするだけで暗号情報の目視が困難になる。
【0013】
また本発明の情報担持媒体では、基材シートが見開きの状態となっていても、基材シートには予め、折り畳み状態での利用を想定して折り目が形成されている。ここでいう「折り目」は、既に基材シートを折り曲げた跡として残っているものではなく、これから基材シートを折る予定の位置(折り位置)として形成されたものである。したがって折り目は、印字又は印刷によって描かれた形態であってもよいし、基材シートに何らかの加工を施した形態であってもよい。いずれにしても、折り目(折り位置)で基材シートを折り畳み状態に変形すると、基材シートの内側に暗号情報が隠れてしまうため、より一層のセキュリティ性の向上が得られる。このとき、基材シートそのものに隠蔽性(隠蔽模様や地模様による隠蔽性)を持たせてもよく、その場合はセキュリティ性を大きく強化することができる。
【0014】
また基材シートを折り畳み状態に変形した場合、接着層によって2つの担持領域が互いに接着された状態となり、再度、これらを分離するまでは、暗号情報の読み取りができなくなる。接着層は、いわゆる再剥離が可能なものが好ましく、接着後に2つの担持領域が分離されると、剥離層から接着層がきれいに剥離するため、接着層は他方の担持領域(剥離層が形成されていない方)に付着した状態となる。このとき、それまで一方の担持領域の剥離層で定着されていた暗号情報は、接着層に付着したまま他方の担持領域へ不可逆的に転写される。これにより、予め2つの担持領域に分かれて担持されていた暗号情報が他方の担持領域にて1つに重なり合う。暗号情報は、1つに重なり合うことで視覚復号され、正規のユーザにより読み取り可能となる。
【0015】
2つの担持領域が分離された後は、再度、接着層による接着は可能であるものの、一度接着層に付着した暗号情報が剥離層に定着することはない。これは、剥離層の持つ剥離性に起因するものであり、接着層を介した一方の担持領域から他方の担持領域への暗号情報の転写が不可逆的であることを意味している。したがって、折り畳んだ状態の基材シートを一度開いて暗号情報を視覚復号化してしまうと、その後は以前の暗号情報に分かれた状態へ戻すことはできなくなる。これにより、仮に第三者が不正に暗号情報を視覚復号化させた場合はその痕跡が明らかとなり、そこから情報漏洩があったことを発覚させることができる。
【0016】
本発明の情報担持媒体は、暗号情報の転写に関して以下に挙げる複数の態様を有する。
(A)態様Aは、剥離層が一方の担持領域にて暗号情報の全体を定着させる範囲に広がって形成されているものである。この場合、一方の担持領域から他方の担持領域へ暗号情報が全体的に転写されることにより、他方の担持領域にて重なり合った暗号情報が視覚復号される。
【0017】
上記の態様Aによれば、2つの暗号情報を全体的に1つに重ね合わせることで、視覚復号された情報を得ることができる。
【0018】
(B)態様Bは、剥離層が一方の担持領域にて暗号情報の一部を定着させる範囲にのみ形成されているものである。この場合、一方の担持領域に担持された暗号情報のうち、剥離層の部分に対応する一部のみが他方の担持領域へ転写されることにより、他方の担持領域にて重なり合った暗号情報が視覚復号される。
【0019】
上記の態様Bによれば、態様Aとは異なり、分離後も一方の担持領域に暗号情報の一部(剥離層以外に担持されているもの)が残存する。ただし、剥離層に定着していた一部の暗号情報を他方の担持領域の暗号情報と重ね合わせることで、視覚復号された情報を得ることができる。
【0020】
また本発明は、別途独立の態様として以下の情報担持媒体を提供する。
本発明において別途独立の情報担持媒体もまた、折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートを用いて構成されているが、基材シートの一面上で折り目を挟んだ両側の一方に、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する担持領域が形成されている。このとき担持領域内の少なくとも一部には、担持した暗号情報の少なくとも一部を基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層が形成されている。また、基材シートの一面上で折り目を挟んで担持領域の反対側には、基材シートの折り畳みに伴い担持領域に対向して接着される対向領域が形成されている。これら担持領域及び対向領域の少なくとも一方には接着層が形成されており、接着層は、基材シートの折り畳みに伴い担持領域に対して対向領域が接着された後に分離されることにより、担持領域に担持された暗号情報のうち、剥離層の部分に対応する一部のみが剥離層からの剥離を伴い対向領域への転写により除去されることを可能とする。
【0021】
独立した態様の情報担持媒体の場合、担持領域は1つであるが、そこには視覚復号型の暗号情報が担持されているため、同じく基材シートに暗号情報を印字(印刷)する過程で、本来の情報(視覚復号された内容)が第三者に読み取られるおそれはない。また基材シートは、これ自身が隠蔽性や遮光性を有する材料であってもよく、その場合は裏返しにするだけで暗号情報の目視が困難になるため、さらにセキュリティ性を向上することができる。
【0022】
独立した態様の情報担持媒体についても同様に、基材シートが見開きの状態となっていても、基材シートには予め、折り畳み状態での利用を想定して折り目が形成されている。折り目は、印字又は印刷によって描かれた形態であってもよいし、基材シートに何らかの加工を施した形態であってもよい。いずれにしても、折り目(折り位置)で基材シートを折り畳み状態に変形すると、基材シートの内側に暗号情報が隠れてしまうため、より一層のセキュリティ性の向上が得られる。このとき、基材シートそのものに隠蔽性(隠蔽模様や地模様等による隠蔽性)を持たせてもよく、その場合はセキュリティ性を大きく強化することができる。
【0023】
また基材シートを折り畳み状態に変形した場合、接着層によって担持領域と対向領域とが互いに接着された状態となり、再度、これらを分離するまでは暗号情報の読み取りができなくなる。接着層は、いわゆる再剥離が可能な性質のものが好ましく、接着後に担持領域と対向領域とが互いに分離されると、剥離層に対応する部分から接着層がきれいに剥離するため、剥離した接着層は対向領域に付着した状態となる。このとき、それまで担持領域内の剥離層に対応する部分で定着されていた暗号情報は、接着層に付着したまま対向領域へ不可逆的に転写される。これにより、予め担持領域に担持されていた暗号情報の少なくとも一部が対向領域への転写により除去される。暗号情報は、少なくともその一部が除去されることで、残った部分が視覚復号され、正規のユーザにより読み取り可能となる。
【0024】
すなわち独立した態様の情報担持媒体において、担持領域に担持された暗号情報のうち、剥離層の部分に対応する一部のみが対向領域への転写により除去されることにより、担持領域にて剥離層以外の部分に残存した暗号情報が視覚復号されることになる。この場合、暗号情報の一部が除去された跡を視覚復号された情報として利用することができるが、暗号情報の一部が除去された跡は、予め形成されていた剥離層の部分に対応している。したがって、予め担持領域には剥離層で視覚復号後の情報(例えば読み取り可能な文字情報等)を形成しておき、このとき剥離層は、オペレータ等からの視認を防止するため、透明な剥離材で形成しておくことが好ましい。あるいは逆に、暗号情報は、その一部が対向領域に転写されることで、対向領域に転写された部分が視覚復号され、正規のユーザにより読み取り可能となるものであってもよい。
【0025】
なお、担持領域と対向領域とが分離された後は、再度、接着層による接着は可能であるものの、一度接着層に付着した暗号情報が剥離層に定着することはない。これは、剥離層の持つ剥離性に起因するものであり、接着層を介した担持領域から対向領域への暗号情報の転写が不可逆的であることを意味している。したがって、折り畳んだ状態の基材シートを一度開いて暗号情報を視覚復号化してしまうと、その後は以前の暗号情報に分かれた状態へ戻すことはできなくなる。これにより、仮に第三者が不正に暗号情報を視覚復号化させた場合はその痕跡が明らかとなり、そこから情報漏洩があったことを発覚させることができる。
【0026】
第2に本発明は、上述した情報担持媒体を使用し、その基材シートを折り畳んだ状態で暗号情報を内側に隠蔽した印刷物を提供する。
【0027】
本発明の印刷物によれば、折り畳んだ状態の基材シートが開かれるまでは暗号情報が視覚復号されることなく、基材シートの内側に隠蔽した状態を保持しておくことができる。このとき基材シートに隠蔽性のある材料を用いれば、さらにセキュリティ性を高めることができる。また、印刷物に使用される情報担持媒体の印字(印刷)過程では、暗号情報のみが印字・印刷されるため、本来の情報(視覚復号により認識できる情報)が作業に関わるオペレータ等の目に触れるおそれがない。
【発明の効果】
【0028】
以上のように本発明の情報担持媒体及び印刷物は、情報を印字・印刷する過程だけでなく、これらを配布・配送する過程においても、高い情報セキュリティ性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態の情報担持媒体を示す平面図である。
【図2】情報担持媒体の層構成を示す断面図(図1中のII−II線に沿う断面図)である。
【図3】完成状態の情報担持媒体を2つ折りにする際の利用形態を示す連続図である。
【図4】第1実施形態の情報担持媒体を用いた印刷物としての実施形態を示す斜視図である。
【図5】暗号情報から本来の情報が視覚復号された状態を示す図である。
【図6】印刷物が開かれた後の層構成を示す断面図である。
【図7】第2実施形態の情報担持媒体を示す平面図である。
【図8】第2実施形態の情報担持媒体を使用した場合の形態について示す連続図である。
【図9】第3実施形態の情報担持媒体を示す平面図である。
【図10】第3実施形態の情報担持媒体の層構成を示す断面図(図9のX−X線に沿う断面図)である。
【図11】完成状態の情報担持媒体を2つ折りにする際の利用形態を示す連続図である。
【図12】第3実施形態の情報担持媒体を用いた印刷物としての実施形態を示す斜視図である。
【図13】暗号情報から本来の情報が視覚復号された状態を示す図である。
【図14】印刷物が開かれた後の層構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の情報担持媒体及びこれを用いた印刷物の実施形態について説明する。
【0031】
〔情報担持媒体〕
図1は、第1実施形態(態様A)の情報担持媒体1を示す平面図である。第1実施形態の情報担持媒体1は、例えば、郵便はがき、商取引上の申込用紙、アンケート用紙等の印刷物に利用することができ、このとき情報担持媒体1は、各種の利用目的に適した情報(視覚復号型暗号を用いた暗号情報)を担持した媒体となる。先ず、情報担持媒体1の構成について説明する。
【0032】
〔基材シート〕
情報担持媒体1は、横長の矩形状をなす基材シート2を備えている。基材シート2には、印字・印刷に適した紙材料(例えば上質紙、カード紙、コート紙、クレーコート紙、合成紙等)を用いることができる。
また基材シート2には、予め折り畳み状態(ここでは2つ折り)への変形を目的として、折り目4が形成されている。すなわち基材シート2には、長手方向(ここでは左右方向)で略中央の位置に折り目4が形成されている。折り目4は、基材シート2の幅方向の中央を天地方向に延びている。
【0033】
折り目4は、例えば基材シート2にミシン目加工や筋加工を施して形成することができる。なお折り目4は、基材シート2に印刷又は印字によって形成されたものであってもよい。この場合、折り目4は印刷又は印字によって形成された折り曲げ線となる(基材シート2の材料に加工を施さないパターン)。
【0034】
〔担持領域〕
図1に示される基材シート2の一面には、折り目4の両側にそれぞれ担持領域2a,2bが形成されている。担持領域2a,2bは、折り目4の左半分と右半分のそれぞれ全域に広がって形成されていてもよいし、左半分と右半分のそれぞれ一部に区画して形成されていてもよい。図1に示される例では、折り目4の左半分と右半分のそれぞれ全域が担持領域2a,2bとなっているものとする。
【0035】
〔暗号情報〕
基材シート2には、2つの担持領域2a,2bにそれぞれ暗号情報8,9が担持されている。暗号情報8,9は、第三者に秘匿しておきたい情報を視覚復号型暗号として暗号化された画像である。暗号化される情報は対象者に伝達するべき本来の情報であり、これには例えば、対象者別の住所、氏名、電話番号等の個人情報や、金融機関の口座情報、商取引上の利用料金、利用明細等、特定の個人に対して開示される情報が含まれる。
【0036】
暗号情報8,9は、例えばインクジェット式プリンタやレーザ式プリンタを用いて担持領域2a,2bにそれぞれ印字(印刷)することができる。なお、印刷機を用いて暗号情報8,9が印刷(例えばオフセット印刷)される態様であってもよい。
【0037】
また、ここでは白黒二値の画像を例に挙げているが、暗号情報8,9はグレースケール画像やカラー画像であってもよい。いずれにしても暗号情報8,9は、これらを1つに重ね合わせることで視覚復号化が可能となっている。なお、情報を視覚復号可能に暗号化する手法は公知のものを利用することができるため、ここではその詳細を省略する。
【0038】
〔剥離層〕
ここで、2つある担持領域2a,2bのうち、例えば左側の担持領域2aには、基材シート2の表面に剥離層10が形成されている。剥離層10は、例えば透明な剥離材を基材シート2の表面に印刷することで形成されている。なお、ここでは剥離層10が担持領域2aの一部に形成された例を挙げているが、担持領域2aの全域にわたって剥離層10が形成されていてもよい。また、基材シート2の材質に応じて適宜、剥離層10の下層にはさらにアンカーコート層(目止め層)が形成されていてもよい。
【0039】
〔剥離層による暗号情報の定着〕
図1には層構成(断面)が示されていないが、暗号情報8を形成するインキ(トナー)は、剥離層10の表面に定着された状態にある。すなわち、左側の担持領域2aについては、基材シート2の表面に剥離層10が形成されているため、暗号情報8は基材シート2の表面ではなく、剥離層10の表面に定着した状態で担持されている。したがって剥離層10は、暗号情報8を形成するインキ(トナー)をその表面に定着させつつ、その定着力よりも強い力でインキ(トナー)が引き剥がされると、担持領域2a(剥離層10自身)から暗号情報8が剥離することを潜在的に可能としている。なお、暗号情報8の剥離についてはさらに後述する。
【0040】
〔層構成〕
図1には示されていないが、基材シート2の一面には接着剤が塗布されている。塗布された接着剤は接着層として情報担持媒体1の層構成の一部となっているが、基材シート2のどの範囲にまで接着層を形成するかについては複数の例がある。以下、接着層を含めた情報担持媒体1の層構成について、複数例を挙げて説明する。
【0041】
図2は、情報担持媒体1の層構成を示す断面図(図1のII−II線に沿う断面図)である。このうち、図2(A)は層構成の第1−1例を示し、図2(B)は第1−2例を示し、図2(C)は第1−3例を示している。なお図2(A)〜(C)において、折り目4は縦方向の一点鎖線で示されている。なお接着層12は、暗号情報8,9等の視認性を確保するため、透明又は半透明とする(他の実施形態についても同様)。
【0042】
〔第1−1例〕
図2(A):第1−1例の層構成は、基材シート2の一面全体に接着層12を形成したパターンである。この場合、両側の担持領域2a,2bでは、それぞれ暗号情報8,9が接着層12で全体的に覆われている。この状態で、接着層12を構成する接着材(例えば再剥離性の糊材)は、暗号情報8,9をそれぞれ形成するインキ8a,9a(トナーでもよい)に付着している。また左側の担持領域2aでは、剥離層10よりも上層に接着層12が形成されており、剥離層10の範囲内で接着層12は基材シート2の一面に付着していない。
【0043】
〔第1−2例〕
図2(B):次に、第1−2例の層構成は、基材シート2の一面全体ではなく、折り目4の左半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、左側の担持領域2aでは暗号情報8が接着層12で全体的に覆われているが、右側の担持領域2bでは暗号情報9がむき出しとなっている。その他については第1−1例と同じである。
【0044】
〔第1−3例〕
図2(C):第1−3例の層構成は第1−2例と逆に、基材シート2の一面のうち、折り目4の右半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、左側の担持領域2aでは暗号情報8がむき出しとなっているが、右側の担持領域2bでは暗号情報9が接着層12で全体的に覆われている。
【0045】
情報担持媒体1は、上述した第1−1〜第1−3例のいずれの層構成を有するものであってもよい。いずれの層構成であっても、基材シート2を2つ折りにすることで、接着層12を介して2つの担持領域2a,2bが相互に接着された状態となる。
【0046】
図3は、完成状態の情報担持媒体1を2つ折りにする際の利用形態を示す連続図である。
〔完成状態〕
先ず図3(A)に示されているように、情報担持媒体1は、その完成状態では基材シート2が見開きの状態となっている。このような情報担持媒体1は、例えば以下の工程を通じて完成させることができる。
【0047】
(1)剥離層の形成工程
この工程では、基材シート2の一面に剥離層10を印刷する。このとき基材シート2は、連続した長尺原反の形態であってもよい。この場合、基材シート2は図示しない原反ロールから繰り出され、これを長手方向に搬送する過程で、基材シート2の一面に剥離層10が印刷される。
【0048】
このとき基材シート2には、原反の状態で予め折り目4が形成されていてもよい。また基材シート2の反対面には、隠蔽模様や地模様等が予め印刷されていてもよい。折り目4や隠蔽模様等は、剥離層10を形成する前の工程で原反に形成しておくことができる。
【0049】
(2)暗号情報の印字工程
この工程では、基材シート2の一面上で、2つの担持領域2a,2bにそれぞれ暗号情報8,9を印字する。暗号情報8,9の印字は、例えばインクジェット式の印字ヘッド、レーザ式のトナー転写ローラ及び定着ローラ等(いずれも図示されていない)を用いて行われる。このとき左側の担持領域2aについては、剥離層10の表面上に暗号情報8が印字される。
【0050】
(3)接着層の形成工程
この工程では、基材シート2の一面のうち、その全体又は一部に接着層12を形成する。接着層12の形成は、例えば図示しない糊転写ローラ等を用いて行われる。このとき接着層12を形成する位置によって、上述した第1−1〜1−3例のいずれかの層構成が得られる。
【0051】
基材シート2が連続した原反である場合、その両側のマージンをスリットした後、搬送方向に一定間隔で断裁することで、図3(A)に示される情報担持媒体1を完成させることができる。
【0052】
第1実施形態の情報担持媒体1によれば、たとえ基材シート2の一面が見開かれた状態であっても、本来の情報が暗号情報8,9として2つの担持領域2a,2bに分かれて印字されるため、オペレータ等の第三者から本来の情報が読み取られることはない。これにより、個人情報等の秘匿性を向上し、情報セキュリティを強固にすることができる。
【0053】
また、基材シート2そのものに隠蔽性を持たせることができるので、完成後に基材シート2の一面を伏せた状態にして保管しておけば、暗号情報8,9が第三者の目に触れたままになることもない。基材シート2の隠蔽性は、使用する紙材料の厚みにより確保することもできるし、上記のように基材シート2の一面と反対側の面に隠蔽模様や地模様等を印刷しておくことで確保することもできる。
【0054】
〔折り畳み形態への変形〕
図3(B)に示されているように、完成された情報担持媒体1は、基材シート2を折り目4に沿って2つ折りにすることが予定されている。このとき基材シート2は、2つの担持領域2a,2bが対向するようにして折り曲げられるため、暗号情報8,9は2つ折りされた基材シート2の内側に隠蔽された状態となる。また基材シート2は、接着層12を介して2つの担持領域2a,2bが相互に接着された状態となり、2つ折り後はその状態を保持することができる。これにより、基材シート2が再び見開きの状態に変形されるまでは、暗号情報8,9が第三者の目に触れることがなくなり、さらに情報セキュリティ性を向上することができる。
【0055】
〔印刷物としての実施形態〕
図4は、第1実施形態の情報担持媒体1を用いた印刷物100としての実施形態を示す斜視図である。
【0056】
上記のように、完成された情報担持媒体1を2つ折りに変形することで、印刷物100を得ることができる。印刷物100は、上記のように隠蔽はがき(郵便はがき)や申込用紙、アンケート用紙として様々な目的に利用することができる。
【0057】
印刷物100を隠蔽はがき(郵便はがき)として利用する場合、その表面100aには、例えば「郵便はがき」等の規定の文言が印刷される他、郵便番号や宛先、宛名、差出人等に関する情報が印字又は印刷される。このとき暗号情報8,9は、2つ折りされた基材シート2の内側に隠蔽されているため、その内容が第三者(例えば配達担当者等)の目に触れることはない。
【0058】
また上記のように、基材シート2そのものに隠蔽性を持たせたり、印刷物100の裏面(表面100aと反対側の面)に隠蔽模様や地模様等を印刷したりすることで、暗号情報8,9の読み取りをさらに困難にすることができる。これにより、印刷物100としての情報セキュリティ性を向上することができる。
【0059】
〔視覚復号化〕
図5は、暗号情報8,9から本来の情報が視覚復号された状態を示す図である。なお、情報担持媒体1が印刷物100として利用された場合、その展開後は既に情報担持媒体1としての形態ではなくなっているため、ここでは展開後の印刷物100として図示している。
【0060】
上記のように、完成された情報担持媒体1を2つ折りの状態に変形し、これを印刷物100とした後、例えば正規のユーザ(隠蔽はがきの受取人)が基材シート2を開くことで、2つの暗号情報8,9が1つに重なり合い、右側の担持領域2bにて視覚復号された状態となる。
【0061】
具体的には、それまで左側の担持領域2aにおいて剥離層10に定着されていた暗号情報8は、接着層12に引っ張られて剥離層10から剥離する。そして剥離した暗号情報8は、接着層12とともに右側の担持領域2bに転写される。これにより、右側の担持領域2bにて2つの暗号情報8,9が1つに重なり合い、暗号化されていた情報が視覚復号されて読み取り可能となる。この例では単純な数字の「2」を挙げているが、視覚復号される情報はより多くの文字情報や画像情報を含むものであってもよい。
【0062】
〔展開後の層構成〕
図6は、印刷物100が開かれた後の層構成を示す断面図である。印刷物100が開かれると、接着層12による接着力に抗して2つの担持領域2a,2bは再び分離される。
【0063】
上記のように左側の担持領域2aでは、剥離層10から暗号情報8が剥離し、接着層12とともに右側の担持領域2bに転写されている。このとき右側の担持領域2bでは、接着層12を媒介して2つの暗号情報8,9が1つに重なり合った状態となっており、これにより暗号情報8,9が視覚復号されている。
【0064】
この後、基材シート2を再度2つ折りの状態に変形しても、剥離層10の表面に暗号情報8が再定着することはない。これは、剥離層10の持つ剥離性に起因するものであり、左側の担持領域2aから右側の担持領域2bへの暗号情報8の転写が不可逆的に行われることを意味している。したがって、印刷物100を一度開いて暗号情報8,9を視覚復号化してしまうと、その後は以前の暗号情報8,9に分かれた状態へ戻すことはできなくなる。これにより、仮に第三者が不正に印刷物100を開いた場合はその痕跡が明らかとなり、そこから情報漏洩があったことを発覚させることができる。
【0065】
〔第2実施形態(態様B)〕
次に、本発明の情報担持媒体の第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態の情報担持媒体60を示す平面図である。以下、第1実施形態との相違点を中心として説明する。また、第1実施形態と共通する事項には、図示も含めて同じ符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0066】
〔剥離層の形態〕
第2実施形態の情報担持媒体60は、剥離層10の形態が第1実施形態と異なっている。第1実施形態(図1)では、剥離層10が暗号情報8より広い範囲にわたって担持領域2aに形成されていたため、暗号情報8の全体が剥離層10の表面にて定着されていた。これに対し第2実施形態では、剥離層10に暗号情報8の全てが定着されておらず、その一部のみが定着されている点で第1実施形態と異なっている。
【0067】
第2実施形態の情報担持媒体60も同様に、その基材シート2を2つ折りにして印刷物とすることができる。得られる印刷物は、第1実施形態に関連して挙げた印刷物100(図4)と同様のものとなるが、剥離層10の形態が異なっている。
【0068】
ここで、剥離層10はどのような形態であってもよいというわけではなく、そこには一定の要件が定められている。すなわち、暗号情報8の一部(剥離層10に対応する部分)だけを暗号情報9に重ね合わせたとしても、それによって本来の情報が正しく視覚復号されることが必須要件であり、この要件を満足する範囲内で剥離層10を任意の形態とすることができる。したがって、剥離層10の形態は図7に示されるものに限られない。
【0069】
〔使用時の形態〕
図8は、第2実施形態の情報担持媒体60を使用した場合の形態について示す連続図である。
【0070】
〔印刷物としての使用〕
図8(A)に示されているように、第2実施形態の情報担持媒体60を使用し、その基材シート2を2つ折りにすることで、例えば隠蔽はがきとしての印刷物が得られる。なお、ここでは印刷物としての形態は図示していないが、外観上は先の図4に示される印刷物100と同様の態様となる。
【0071】
〔視覚復号化〕
図8(B)に示されているように、得られた印刷物(参照符号600)の基材シート2が正規のユーザ(隠蔽はがきの受取人)により再び開かれると、暗号情報8,9が視覚復号された状態となる。すなわち、この場合も同様に、右側の担持領域2bにて2つの暗号情報8,9が1つに重なり合い、本来の情報が視覚復号された状態となる。ただし、ここでは左側の担持領域2aにおいて剥離層10に定着されていた暗号情報8の全てではなく、剥離層10に対応する一部のみが右側の担持領域2bに転写され、暗号情報9と1つに重なり合っている。このため、左側の担持領域2aには、剥離層10が形成されていない箇所に暗号情報8が残存していることがわかる。
【0072】
第2実施形態の情報担持媒体60を用いた場合であっても、第1実施形態と同様に情報セキュリティ性を向上することができる。また、剥離層10が暗号情報8の一部だけを定着させる形態であっても、予め必須要件を満たしている限り、本来の情報が正しく視覚復号されるため、正規のユーザに正しく情報を伝達することができる。
【0073】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の情報担持媒体の第3実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態の情報担持媒体50を示す平面図である。ここでも同様に、第1実施形態との相違点を中心として説明する。また、第1実施形態と共通する事項には、図示も含めて同じ符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0074】
先ず第3実施形態の情報担持媒体50は、基材シート2の一面のうち、折り目4の左側だけに担持領域2aが形成されている。そして折り目4の右側には、担持領域ではなく対向領域2cが形成されており、この対向領域2cには暗号情報が担持されていない。なお対向領域2cは、基材シート2を2つ折りすると、担持領域2aに対向して接着される。
【0075】
次に第3実施形態の情報担持媒体50では、剥離層10の形態が特有である。すなわち剥離層10は、予め情報を象った形態(ここでは数字の「2」を象った形態)で担持領域2aに形成されている。また暗号情報80は、第1,2実施形態のように二値化されたパターン画像ではなく、ベタ画像となっている。ただし、第3実施形態でも暗号情報80をパターン画像としてもよい。
【0076】
図10は、第3実施形態の情報担持媒体50の層構成を示す断面図(図9のX−X線に沿う断面図)である。このうち、図10(A)は層構成の第2−1例を示し、図10(B)は第2−2例を示し、図10(C)は第2−3例を示している。第1実施形態と同様に、図10(A)〜(C)において、折り目4は縦方向の一点鎖線で示されている。
【0077】
〔第2−1例〕
図10(A):第2−1例の層構成は、基材シート2の一面全体に接着層12を形成したパターンである。この場合、折り目4の左側に位置する担持領域2aでは暗号情報80が接着層12で全体的に覆われている。この状態で、接着層12を構成する接着材(例えば再剥離性の糊材)は、暗号情報80を形成するインキ80a(トナーでもよい)に付着している。同様に、折り目4の右側に位置する対向領域2cもまた全体的に接着層12で覆われている。第1実施形態と同様に担持領域2aでは、剥離層10よりも上層に接着層12が形成されており、剥離層10の範囲内で接着層12は基材シート2の一面に付着していない。
【0078】
〔第2−2例〕
図10(B):第2−2例の層構成は、基材シート2の一面全体ではなく、折り目4の左半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、担持領域2aに関しては第1例と同じであるが、対向領域2cには接着層12が形成されていない。
【0079】
〔第2−3例〕
図10(C):第2−3例の層構成は第2−2例と逆に、基材シート2の一面のうち、折り目4の右半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、担持領域2aの暗号情報80がむき出しとなっており、対向領域2cは接着層12で全体的に覆われている。
【0080】
第3実施形態の情報担持媒体50は、上述した第2−1〜第2−3例のいずれの層構成を有するものであってもよい。いずれの層構成であっても、基材シート2を2つ折りにすることで、接着層12を介して担持領域2aと対向領域2cとが互いに接着された状態となる。
【0081】
図11は、完成状態の情報担持媒体50を2つ折りにする際の利用形態を示す連続図である。図11(A)に示されているように、第3実施形態の情報担持媒体50についても、その完成状態では基材シート2が見開きの状態となっている。このような情報担持媒体50は、例えば以下の工程を通じて完成させることができる。
【0082】
(1)剥離層10の形成工程
この工程では、基材シート2の一面に剥離層10を印刷する。このとき基材シート2が連続した長尺原反の形態であってもよい点は第1実施形態と同じである。そして、基材シート2は図示しない原反ロールから繰り出され、これを長手方向に搬送する過程で、基材シート2の一面に剥離層10が印刷される。このとき印刷された剥離層10は、予め視覚復号化後の情報を象った形態を有するものとなる。
【0083】
第3実施形態においても、基材シート2には、予め原反の状態で折り目4が形成されていてもよい。また基材シート2の反対面には、隠蔽模様や地模様等が予め印刷されていてもよい。折り目4や隠蔽模様等は、剥離層10を形成する前の工程で原反に形成しておくことができる。
【0084】
(2)暗号情報80の印字工程
この工程では、基材シート2の一面上で、担持領域2aの方に暗号情報80を印字する。印字された暗号情報80は、その一部が剥離層10の表面上に定着し、剥離層10以外の部分では基材シート2の一面上に定着する。なお暗号情報80の印字は、同じくインクジェット式の印字ヘッド、レーザ式のトナー転写ローラ及び定着ローラ等(いずれも図示されていない)を用いて行うことができる。
【0085】
(3)接着層12の形成工程
この工程では、基材シート2の一面のうち、その全体又は一部に接着層12を形成する。第3実施形態においても同様に、接着層12の形成は例えば図示しない糊転写ローラ等を用いて行うことができる。このとき接着層12を形成する位置によって、上述した第1〜3例のいずれかの層構成が得られる点は第1実施形態と同様である。
【0086】
そして、基材シート2が連続した原反である場合、その両側のマージンをスリットした後、搬送方向に一定間隔で断裁することで、図11(A)に示される情報担持媒体50を完成させることができる。
【0087】
第3実施形態の情報担持媒体50の場合、暗号情報80は、その一部が対向領域2cに転写されるまでは、視覚的に情報としての意味を持たない内容(例えばベタ画像)とすることができる。このため、基材シート2の一面が見開かれた状態であっても、視覚的に認識ができない暗号情報80が担持領域2aに印字されるだけであるため、オペレータ等の第三者から本来の情報が読み取られることはない。これにより、個人情報等の秘匿性を向上し、情報セキュリティを強固にすることができる。
【0088】
また、基材シート2そのものに隠蔽性を持たせることができる点は第1実施形態と同様であるので、完成後に基材シート2の一面を伏せた状態にして保管しておけば、暗号情報80が第三者の目に触れることも防止することができる。基材シート2の隠蔽性は、使用する紙材料の厚みにより確保することもできるし、上記のように基材シート2の一面と反対側の面に隠蔽模様や地模様等を印刷しておくことで確保することもできる。
【0089】
〔折り畳み形態への変形〕
図11(B)に示されているように、第3実施形態の情報担持媒体50についても、完成後は基材シート2を折り目4に沿って2つ折りにすることが予定されている。このとき基材シート2は、担持領域2aと対向領域2cとが対向するようにして折り曲げられるため、暗号情報80は2つ折りされた基材シート2の内側に隠蔽される。また基材シート2は、接着層12を介して担持領域2aと対向領域2cとが相互に接着された状態となり、2つ折り後はその状態を保持することができる。これにより、基材シート2が再び見開きの状態に変形されるまでは、暗号情報80が第三者の目に触れることがなくなり、さらに情報セキュリティ性を向上することができる。
【0090】
〔印刷物としての実施形態〕
図12は、第3実施形態の情報担持媒体50を用いた印刷物500としての実施形態を示す斜視図である。
【0091】
上記のように、完成された情報担持媒体50を2つ折りに変形することで、印刷物500を得ることができる。印刷物500は、上記のように隠蔽はがき(郵便はがき)や申込用紙、アンケート用紙として様々な目的に利用することができる。
【0092】
そして印刷物500を隠蔽はがき(郵便はがき)として利用する場合、その表面500aには「郵便はがき」等の規定の文言が印刷される他、郵便番号や宛先、宛名、差出人等に関する情報が印字又は印刷される。暗号情報80は、2つ折りされた基材シート2の内側に隠蔽されているため、その内容が第三者(例えば配達担当者等)の目に触れることはないし、基材シート2を開かないかぎり暗号情報80に情報としての意味はない。
【0093】
ここでも同様に、基材シート2そのものに隠蔽性を持たせたり、印刷物500の裏面(表面500aと反対側の面)に隠蔽模様や地模様等を印刷したりすることで、暗号情報80の隠蔽性をさらに向上してもよい。
【0094】
〔視覚復号化〕
図13は、暗号情報80から本来の情報が視覚復号された状態を示す図である。第3実施形態においても同様に、情報担持媒体50が印刷物500として利用された場合、その展開後は既に情報担持媒体50としての形態ではなくなっているため、ここでは展開後の印刷物500として図示している。
【0095】
上記のように、完成された情報担持媒体50を2つ折りの状態に変形し、これを印刷物500とした後、例えば正規のユーザ(隠蔽はがきの受取人)が基材シート2を開くことで、暗号情報80の一部が対向領域2cに転写される。転写された一部は担持領域2aから除去された状態となり、その除去された跡(白抜きの部分)が視覚復号された情報として認識可能となる。
【0096】
すなわち、それまで担持領域2aにおいて剥離層10に定着されていた一部の暗号情報80は、接着層12に引っ張られて剥離層10から剥離する。このとき剥離するのは、暗号情報80のうち剥離層10に対応する部分だけである。そして剥離した暗号情報80の一部は、接着層12とともに対向領域2cに転写される。これにより、担持領域2aから一部の暗号情報80が除去され、その除去跡に暗号化されていた情報が視覚復号されて読み取り可能となる。この例でも単純な数字の「2」を挙げているが、視覚復号される情報はより多くの文字情報や画像情報を含むものであってもよい。
【0097】
〔展開後の層構成〕
図14は、印刷物500が開かれた後の層構成を示す断面図である。印刷物500が開かれると、接着層12による接着力に抗して担持領域2aと対向領域2cは再び分離される。
【0098】
上記のように担持領域2aでは、剥離層10に対応する部分から暗号情報80が剥離し、接着層12とともに対向領域2cに転写されている。このとき対向領域2cでは、接着層12とともに除去された暗号情報80の一部が反転した画像として転写されている。
【0099】
この後、基材シート2を再度2つ折りの状態に変形しても、剥離層10の表面に暗号情報80が再定着することはない。これは、剥離層10の持つ剥離性に起因するものであり、担持領域2aから対向領域2cへの暗号情報80の転写が不可逆的に行われることを意味している。したがって、印刷物500を一度開いて暗号情報80を視覚復号化してしまうと、その後は以前の暗号情報80に戻すことはできなくなる。これにより、仮に第三者が不正に印刷物500を開いた場合はその痕跡が明らかとなり、そこから情報漏洩があったことを発覚させることができる。
【0100】
〔その他の構成例〕
第3実施形態において、以下の構成例を採用することもできる。
(1)例えば、基材シート2の担持領域2aには、予め下地に隠蔽模様が印刷されており、その上に剥離層10が印刷され、さらに暗号情報80が鏡像(反転画像)の状態で印字されているものとする。この場合、暗号情報80は、下地の隠蔽模様と重なるため、印字工程でオペレータが視認することはできない。
【0101】
そして、基材シート2を2つ折りにして担持領域2aと対向領域2cを接着し、印刷物500とする。この後、正規のユーザが印刷物500を開くと、暗号情報80が剥離層10から剥離し、接着層12とともに対向領域2cへ転写される。これにより、暗号情報80が対向領域2cに転写された状態で視覚復号されることにより、ユーザにより視認可能となる。
【0102】
(2)あるいは、基材シート2の担持領域2aには、予めユーザ向けの情報が印刷されており、その上に剥離層10が印刷され、さらに暗号情報80(ベタ画像又は隠蔽模様)が印字されているものとする。この場合、基材シート2に印刷された情報が暗号情報80により視覚暗号化(隠蔽による視認困難化)されるため、同じく印字工程でオペレータに情報を視認されることはない。
【0103】
そして、基材シート2を2つ折りにして担持領域2aと対向領域2cを接着し、印刷物500とし、この後、正規のユーザが印刷物500を開くと、暗号情報80が剥離層10から剥離し、接着層12とともに対向領域2cへ転写されて担持領域2aから除去される。これにより、基材シート2に印刷されていた情報が視覚復号されることにより、ユーザにより視認可能となる。
【0104】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。各実施形態では、情報担持媒体1,50,60等を隠蔽はがきとしての印刷物100,500,600に使用することを想定しているが、本発明の情報担持媒体は、隠蔽はがき以外の印刷物にも適用することができる。したがって、基材シート2の形状や大きさ、厚み等は使用目的とする印刷物に合わせて適宜に変更することができる。
【0105】
第1実施形態において、剥離層10は担持領域2aの全域に広がって形成されていてもよい。この場合、暗号情報8,9も担持領域2a,2bの大きさに合わせて拡大することができるので、より情報量を増やすことができる。また、基材シート2を2つ折りにした状態では、左側の担持領域2aの全域で接着層12が剥離層10に接着されることになるため、正規のユーザが印刷物100を開く際、基材シート2を再剥離しやすくなる。
【0106】
各実施形態では、折り目4が基材シート2の中央に形成されている例を挙げているが、折り目4は中央以外の位置に形成されていてもよい。また、基材シート2は3つ折り(Z折り)の形態でもよく、この場合は基材シート2の両面に担持領域2a,2bを形成したり、担持領域2aと対向領域2cを形成したりすることができる。
【符号の説明】
【0107】
1,50,60 情報担持媒体
2 基材シート
2a,2b 担持領域
2c 対向領域
4 折り目
8,9,80 暗号情報
10 剥離層
12 接着層
100,500,600 印刷物
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の秘密保持に適した情報担持媒体及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、個人情報のように秘匿性が求められる情報を紙媒体等に印字(印刷)して配布する際、情報セキュリティの観点から、印字(印刷)された情報を秘密にしておく必要がある。一般に普及している隠蔽はがき等は、予め2つ折りを想定した用紙に情報を印字し、その印字面を内側にして2つ折りにしつつ、用紙の対向する面を接着層等で接着することにより、情報が第三者の目に触れることを防止している。ただし、この方法は、情報を印字する過程で第三者(例えば作業を行うオペレータ)の目に触れてしまう可能性があり、厳格な意味で情報セキュリティ性に欠けている。
【0003】
このため従来、印字(印刷)する情報そのものを暗号化することで、印字(印刷)過程でも情報が第三者の目に触れることを防止する先行技術がある(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術は、画像暗号化によって生成された暗号画像とシェア(元の画像を復元するために暗号画像と重ね合せるための画像)を用いて情報に秘匿性を持たせている。
【0004】
先行技術の手法では、暗号画像とシェアのうち、例えばシェアの上下を反転し、暗号画像と反転されたシェアを半透明なシートに上下対称に印字(印刷)する。この場合、印字(印刷)過程で既に情報が暗号化されているため、オペレータ等の第三者に情報が読み取られることはない。一方、正規のユーザが暗号画像とシェアの間の対称線で半透明シートを折り曲げると、暗号画像の上にシェアが重なり、元の情報が読み取り可能となる。
【0005】
また、仮に第三者が情報を盗み見した場合、シートに折り曲げた痕跡が残るため、そこから情報漏洩があったことを発覚させることができるし、「シートに痕跡が残る」という点が第三者に盗み見を思いとどまらせる抑止力となることに期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−166710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した先行技術は、情報を暗号画像とシェアに分けたことに安堵するあまり、それ以上の情報セキュリティを強化しようとする観点に欠けている。確かに、印字(印刷)の過程で情報そのものが第三者の目に触れたとしても、それだけでは直ちに情報が読み取られる心配はない。しかし、印字(印刷)が完了した後も、依然として暗号画像やシェアが露出したままユーザに配布されるため、その過程で撮像等により情報が複製される可能性を排除することができない。
【0008】
特に先行技術の手法は、シートに光透過性が必須となるため、シートそのものに全く隠蔽性を持たせることがでないという大きな欠点がある。すなわち、光透過性のシートは、たとえこれを裏返しにしても、印字(印刷)された情報(暗号画像及びシェア)がシートの裏側からも容易に透けて見えてしまう。このため、印字(印刷)後に印刷物として配布・配送する場合、暗号画像やシェアそのものを第三者の目に触れなくするためには、シートの両面を別の隠蔽性のある材料(例えば隠蔽用紙、隠蔽塗料等)で覆う必要があり、その分、材料調達の手間やコストが余分にかかってしまうという問題がある。
【0009】
なお、シートに隠蔽模様等のパターンを印刷することは、逆に情報の読み取りを困難にするため本末転倒である。また、たとえ善意であっても、情報を隠そうとしてシートを折り畳んでしまうと、それが盗み見をしようとした「痕跡」になってしまうという矛盾もある。
【0010】
そこで本発明は、情報を印字(印刷)する過程だけでなく、配布や配送の過程においても、情報セキュリティ性を向上することができる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。
第1に本発明は、情報担持媒体を提供する。情報担持媒体は、折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートを用いて構成されている。基材シートには、その一面上で折り目を挟んだ両側にそれぞれ、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する2つの担持領域が形成されている。また、2つのうち一方の担持領域には、担持した暗号情報を基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層が形成されている。そして、2つの担持領域の少なくとも一方には、暗号情報を被覆した状態で接着層が形成されている。この接着層は、基材シートの折り畳みに伴い2つの担持領域が互いに接着された後に分離されることにより、剥離層からの剥離を伴い一方の担持領域から他方の担持領域への暗号情報の不可逆的な転写を可能とする。
【0012】
本発明の情報担持媒体によれば、視覚復号型の暗号情報が2つの担持領域に分かれて担持されているため、基材シートに暗号情報を印字(印刷)する過程で、本来の情報(視覚復号された内容)が第三者に読み取られるおそれはない。基材シートは、これ自身が隠蔽性や遮光性を有する材料であってもよく、その場合は基材シートを折り畳む前の状態であっても、基材シートを裏返しにするだけで暗号情報の目視が困難になる。
【0013】
また本発明の情報担持媒体では、基材シートが見開きの状態となっていても、基材シートには予め、折り畳み状態での利用を想定して折り目が形成されている。ここでいう「折り目」は、既に基材シートを折り曲げた跡として残っているものではなく、これから基材シートを折る予定の位置(折り位置)として形成されたものである。したがって折り目は、印字又は印刷によって描かれた形態であってもよいし、基材シートに何らかの加工を施した形態であってもよい。いずれにしても、折り目(折り位置)で基材シートを折り畳み状態に変形すると、基材シートの内側に暗号情報が隠れてしまうため、より一層のセキュリティ性の向上が得られる。このとき、基材シートそのものに隠蔽性(隠蔽模様や地模様による隠蔽性)を持たせてもよく、その場合はセキュリティ性を大きく強化することができる。
【0014】
また基材シートを折り畳み状態に変形した場合、接着層によって2つの担持領域が互いに接着された状態となり、再度、これらを分離するまでは、暗号情報の読み取りができなくなる。接着層は、いわゆる再剥離が可能なものが好ましく、接着後に2つの担持領域が分離されると、剥離層から接着層がきれいに剥離するため、接着層は他方の担持領域(剥離層が形成されていない方)に付着した状態となる。このとき、それまで一方の担持領域の剥離層で定着されていた暗号情報は、接着層に付着したまま他方の担持領域へ不可逆的に転写される。これにより、予め2つの担持領域に分かれて担持されていた暗号情報が他方の担持領域にて1つに重なり合う。暗号情報は、1つに重なり合うことで視覚復号され、正規のユーザにより読み取り可能となる。
【0015】
2つの担持領域が分離された後は、再度、接着層による接着は可能であるものの、一度接着層に付着した暗号情報が剥離層に定着することはない。これは、剥離層の持つ剥離性に起因するものであり、接着層を介した一方の担持領域から他方の担持領域への暗号情報の転写が不可逆的であることを意味している。したがって、折り畳んだ状態の基材シートを一度開いて暗号情報を視覚復号化してしまうと、その後は以前の暗号情報に分かれた状態へ戻すことはできなくなる。これにより、仮に第三者が不正に暗号情報を視覚復号化させた場合はその痕跡が明らかとなり、そこから情報漏洩があったことを発覚させることができる。
【0016】
本発明の情報担持媒体は、暗号情報の転写に関して以下に挙げる複数の態様を有する。
(A)態様Aは、剥離層が一方の担持領域にて暗号情報の全体を定着させる範囲に広がって形成されているものである。この場合、一方の担持領域から他方の担持領域へ暗号情報が全体的に転写されることにより、他方の担持領域にて重なり合った暗号情報が視覚復号される。
【0017】
上記の態様Aによれば、2つの暗号情報を全体的に1つに重ね合わせることで、視覚復号された情報を得ることができる。
【0018】
(B)態様Bは、剥離層が一方の担持領域にて暗号情報の一部を定着させる範囲にのみ形成されているものである。この場合、一方の担持領域に担持された暗号情報のうち、剥離層の部分に対応する一部のみが他方の担持領域へ転写されることにより、他方の担持領域にて重なり合った暗号情報が視覚復号される。
【0019】
上記の態様Bによれば、態様Aとは異なり、分離後も一方の担持領域に暗号情報の一部(剥離層以外に担持されているもの)が残存する。ただし、剥離層に定着していた一部の暗号情報を他方の担持領域の暗号情報と重ね合わせることで、視覚復号された情報を得ることができる。
【0020】
また本発明は、別途独立の態様として以下の情報担持媒体を提供する。
本発明において別途独立の情報担持媒体もまた、折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートを用いて構成されているが、基材シートの一面上で折り目を挟んだ両側の一方に、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する担持領域が形成されている。このとき担持領域内の少なくとも一部には、担持した暗号情報の少なくとも一部を基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層が形成されている。また、基材シートの一面上で折り目を挟んで担持領域の反対側には、基材シートの折り畳みに伴い担持領域に対向して接着される対向領域が形成されている。これら担持領域及び対向領域の少なくとも一方には接着層が形成されており、接着層は、基材シートの折り畳みに伴い担持領域に対して対向領域が接着された後に分離されることにより、担持領域に担持された暗号情報のうち、剥離層の部分に対応する一部のみが剥離層からの剥離を伴い対向領域への転写により除去されることを可能とする。
【0021】
独立した態様の情報担持媒体の場合、担持領域は1つであるが、そこには視覚復号型の暗号情報が担持されているため、同じく基材シートに暗号情報を印字(印刷)する過程で、本来の情報(視覚復号された内容)が第三者に読み取られるおそれはない。また基材シートは、これ自身が隠蔽性や遮光性を有する材料であってもよく、その場合は裏返しにするだけで暗号情報の目視が困難になるため、さらにセキュリティ性を向上することができる。
【0022】
独立した態様の情報担持媒体についても同様に、基材シートが見開きの状態となっていても、基材シートには予め、折り畳み状態での利用を想定して折り目が形成されている。折り目は、印字又は印刷によって描かれた形態であってもよいし、基材シートに何らかの加工を施した形態であってもよい。いずれにしても、折り目(折り位置)で基材シートを折り畳み状態に変形すると、基材シートの内側に暗号情報が隠れてしまうため、より一層のセキュリティ性の向上が得られる。このとき、基材シートそのものに隠蔽性(隠蔽模様や地模様等による隠蔽性)を持たせてもよく、その場合はセキュリティ性を大きく強化することができる。
【0023】
また基材シートを折り畳み状態に変形した場合、接着層によって担持領域と対向領域とが互いに接着された状態となり、再度、これらを分離するまでは暗号情報の読み取りができなくなる。接着層は、いわゆる再剥離が可能な性質のものが好ましく、接着後に担持領域と対向領域とが互いに分離されると、剥離層に対応する部分から接着層がきれいに剥離するため、剥離した接着層は対向領域に付着した状態となる。このとき、それまで担持領域内の剥離層に対応する部分で定着されていた暗号情報は、接着層に付着したまま対向領域へ不可逆的に転写される。これにより、予め担持領域に担持されていた暗号情報の少なくとも一部が対向領域への転写により除去される。暗号情報は、少なくともその一部が除去されることで、残った部分が視覚復号され、正規のユーザにより読み取り可能となる。
【0024】
すなわち独立した態様の情報担持媒体において、担持領域に担持された暗号情報のうち、剥離層の部分に対応する一部のみが対向領域への転写により除去されることにより、担持領域にて剥離層以外の部分に残存した暗号情報が視覚復号されることになる。この場合、暗号情報の一部が除去された跡を視覚復号された情報として利用することができるが、暗号情報の一部が除去された跡は、予め形成されていた剥離層の部分に対応している。したがって、予め担持領域には剥離層で視覚復号後の情報(例えば読み取り可能な文字情報等)を形成しておき、このとき剥離層は、オペレータ等からの視認を防止するため、透明な剥離材で形成しておくことが好ましい。あるいは逆に、暗号情報は、その一部が対向領域に転写されることで、対向領域に転写された部分が視覚復号され、正規のユーザにより読み取り可能となるものであってもよい。
【0025】
なお、担持領域と対向領域とが分離された後は、再度、接着層による接着は可能であるものの、一度接着層に付着した暗号情報が剥離層に定着することはない。これは、剥離層の持つ剥離性に起因するものであり、接着層を介した担持領域から対向領域への暗号情報の転写が不可逆的であることを意味している。したがって、折り畳んだ状態の基材シートを一度開いて暗号情報を視覚復号化してしまうと、その後は以前の暗号情報に分かれた状態へ戻すことはできなくなる。これにより、仮に第三者が不正に暗号情報を視覚復号化させた場合はその痕跡が明らかとなり、そこから情報漏洩があったことを発覚させることができる。
【0026】
第2に本発明は、上述した情報担持媒体を使用し、その基材シートを折り畳んだ状態で暗号情報を内側に隠蔽した印刷物を提供する。
【0027】
本発明の印刷物によれば、折り畳んだ状態の基材シートが開かれるまでは暗号情報が視覚復号されることなく、基材シートの内側に隠蔽した状態を保持しておくことができる。このとき基材シートに隠蔽性のある材料を用いれば、さらにセキュリティ性を高めることができる。また、印刷物に使用される情報担持媒体の印字(印刷)過程では、暗号情報のみが印字・印刷されるため、本来の情報(視覚復号により認識できる情報)が作業に関わるオペレータ等の目に触れるおそれがない。
【発明の効果】
【0028】
以上のように本発明の情報担持媒体及び印刷物は、情報を印字・印刷する過程だけでなく、これらを配布・配送する過程においても、高い情報セキュリティ性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態の情報担持媒体を示す平面図である。
【図2】情報担持媒体の層構成を示す断面図(図1中のII−II線に沿う断面図)である。
【図3】完成状態の情報担持媒体を2つ折りにする際の利用形態を示す連続図である。
【図4】第1実施形態の情報担持媒体を用いた印刷物としての実施形態を示す斜視図である。
【図5】暗号情報から本来の情報が視覚復号された状態を示す図である。
【図6】印刷物が開かれた後の層構成を示す断面図である。
【図7】第2実施形態の情報担持媒体を示す平面図である。
【図8】第2実施形態の情報担持媒体を使用した場合の形態について示す連続図である。
【図9】第3実施形態の情報担持媒体を示す平面図である。
【図10】第3実施形態の情報担持媒体の層構成を示す断面図(図9のX−X線に沿う断面図)である。
【図11】完成状態の情報担持媒体を2つ折りにする際の利用形態を示す連続図である。
【図12】第3実施形態の情報担持媒体を用いた印刷物としての実施形態を示す斜視図である。
【図13】暗号情報から本来の情報が視覚復号された状態を示す図である。
【図14】印刷物が開かれた後の層構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の情報担持媒体及びこれを用いた印刷物の実施形態について説明する。
【0031】
〔情報担持媒体〕
図1は、第1実施形態(態様A)の情報担持媒体1を示す平面図である。第1実施形態の情報担持媒体1は、例えば、郵便はがき、商取引上の申込用紙、アンケート用紙等の印刷物に利用することができ、このとき情報担持媒体1は、各種の利用目的に適した情報(視覚復号型暗号を用いた暗号情報)を担持した媒体となる。先ず、情報担持媒体1の構成について説明する。
【0032】
〔基材シート〕
情報担持媒体1は、横長の矩形状をなす基材シート2を備えている。基材シート2には、印字・印刷に適した紙材料(例えば上質紙、カード紙、コート紙、クレーコート紙、合成紙等)を用いることができる。
また基材シート2には、予め折り畳み状態(ここでは2つ折り)への変形を目的として、折り目4が形成されている。すなわち基材シート2には、長手方向(ここでは左右方向)で略中央の位置に折り目4が形成されている。折り目4は、基材シート2の幅方向の中央を天地方向に延びている。
【0033】
折り目4は、例えば基材シート2にミシン目加工や筋加工を施して形成することができる。なお折り目4は、基材シート2に印刷又は印字によって形成されたものであってもよい。この場合、折り目4は印刷又は印字によって形成された折り曲げ線となる(基材シート2の材料に加工を施さないパターン)。
【0034】
〔担持領域〕
図1に示される基材シート2の一面には、折り目4の両側にそれぞれ担持領域2a,2bが形成されている。担持領域2a,2bは、折り目4の左半分と右半分のそれぞれ全域に広がって形成されていてもよいし、左半分と右半分のそれぞれ一部に区画して形成されていてもよい。図1に示される例では、折り目4の左半分と右半分のそれぞれ全域が担持領域2a,2bとなっているものとする。
【0035】
〔暗号情報〕
基材シート2には、2つの担持領域2a,2bにそれぞれ暗号情報8,9が担持されている。暗号情報8,9は、第三者に秘匿しておきたい情報を視覚復号型暗号として暗号化された画像である。暗号化される情報は対象者に伝達するべき本来の情報であり、これには例えば、対象者別の住所、氏名、電話番号等の個人情報や、金融機関の口座情報、商取引上の利用料金、利用明細等、特定の個人に対して開示される情報が含まれる。
【0036】
暗号情報8,9は、例えばインクジェット式プリンタやレーザ式プリンタを用いて担持領域2a,2bにそれぞれ印字(印刷)することができる。なお、印刷機を用いて暗号情報8,9が印刷(例えばオフセット印刷)される態様であってもよい。
【0037】
また、ここでは白黒二値の画像を例に挙げているが、暗号情報8,9はグレースケール画像やカラー画像であってもよい。いずれにしても暗号情報8,9は、これらを1つに重ね合わせることで視覚復号化が可能となっている。なお、情報を視覚復号可能に暗号化する手法は公知のものを利用することができるため、ここではその詳細を省略する。
【0038】
〔剥離層〕
ここで、2つある担持領域2a,2bのうち、例えば左側の担持領域2aには、基材シート2の表面に剥離層10が形成されている。剥離層10は、例えば透明な剥離材を基材シート2の表面に印刷することで形成されている。なお、ここでは剥離層10が担持領域2aの一部に形成された例を挙げているが、担持領域2aの全域にわたって剥離層10が形成されていてもよい。また、基材シート2の材質に応じて適宜、剥離層10の下層にはさらにアンカーコート層(目止め層)が形成されていてもよい。
【0039】
〔剥離層による暗号情報の定着〕
図1には層構成(断面)が示されていないが、暗号情報8を形成するインキ(トナー)は、剥離層10の表面に定着された状態にある。すなわち、左側の担持領域2aについては、基材シート2の表面に剥離層10が形成されているため、暗号情報8は基材シート2の表面ではなく、剥離層10の表面に定着した状態で担持されている。したがって剥離層10は、暗号情報8を形成するインキ(トナー)をその表面に定着させつつ、その定着力よりも強い力でインキ(トナー)が引き剥がされると、担持領域2a(剥離層10自身)から暗号情報8が剥離することを潜在的に可能としている。なお、暗号情報8の剥離についてはさらに後述する。
【0040】
〔層構成〕
図1には示されていないが、基材シート2の一面には接着剤が塗布されている。塗布された接着剤は接着層として情報担持媒体1の層構成の一部となっているが、基材シート2のどの範囲にまで接着層を形成するかについては複数の例がある。以下、接着層を含めた情報担持媒体1の層構成について、複数例を挙げて説明する。
【0041】
図2は、情報担持媒体1の層構成を示す断面図(図1のII−II線に沿う断面図)である。このうち、図2(A)は層構成の第1−1例を示し、図2(B)は第1−2例を示し、図2(C)は第1−3例を示している。なお図2(A)〜(C)において、折り目4は縦方向の一点鎖線で示されている。なお接着層12は、暗号情報8,9等の視認性を確保するため、透明又は半透明とする(他の実施形態についても同様)。
【0042】
〔第1−1例〕
図2(A):第1−1例の層構成は、基材シート2の一面全体に接着層12を形成したパターンである。この場合、両側の担持領域2a,2bでは、それぞれ暗号情報8,9が接着層12で全体的に覆われている。この状態で、接着層12を構成する接着材(例えば再剥離性の糊材)は、暗号情報8,9をそれぞれ形成するインキ8a,9a(トナーでもよい)に付着している。また左側の担持領域2aでは、剥離層10よりも上層に接着層12が形成されており、剥離層10の範囲内で接着層12は基材シート2の一面に付着していない。
【0043】
〔第1−2例〕
図2(B):次に、第1−2例の層構成は、基材シート2の一面全体ではなく、折り目4の左半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、左側の担持領域2aでは暗号情報8が接着層12で全体的に覆われているが、右側の担持領域2bでは暗号情報9がむき出しとなっている。その他については第1−1例と同じである。
【0044】
〔第1−3例〕
図2(C):第1−3例の層構成は第1−2例と逆に、基材シート2の一面のうち、折り目4の右半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、左側の担持領域2aでは暗号情報8がむき出しとなっているが、右側の担持領域2bでは暗号情報9が接着層12で全体的に覆われている。
【0045】
情報担持媒体1は、上述した第1−1〜第1−3例のいずれの層構成を有するものであってもよい。いずれの層構成であっても、基材シート2を2つ折りにすることで、接着層12を介して2つの担持領域2a,2bが相互に接着された状態となる。
【0046】
図3は、完成状態の情報担持媒体1を2つ折りにする際の利用形態を示す連続図である。
〔完成状態〕
先ず図3(A)に示されているように、情報担持媒体1は、その完成状態では基材シート2が見開きの状態となっている。このような情報担持媒体1は、例えば以下の工程を通じて完成させることができる。
【0047】
(1)剥離層の形成工程
この工程では、基材シート2の一面に剥離層10を印刷する。このとき基材シート2は、連続した長尺原反の形態であってもよい。この場合、基材シート2は図示しない原反ロールから繰り出され、これを長手方向に搬送する過程で、基材シート2の一面に剥離層10が印刷される。
【0048】
このとき基材シート2には、原反の状態で予め折り目4が形成されていてもよい。また基材シート2の反対面には、隠蔽模様や地模様等が予め印刷されていてもよい。折り目4や隠蔽模様等は、剥離層10を形成する前の工程で原反に形成しておくことができる。
【0049】
(2)暗号情報の印字工程
この工程では、基材シート2の一面上で、2つの担持領域2a,2bにそれぞれ暗号情報8,9を印字する。暗号情報8,9の印字は、例えばインクジェット式の印字ヘッド、レーザ式のトナー転写ローラ及び定着ローラ等(いずれも図示されていない)を用いて行われる。このとき左側の担持領域2aについては、剥離層10の表面上に暗号情報8が印字される。
【0050】
(3)接着層の形成工程
この工程では、基材シート2の一面のうち、その全体又は一部に接着層12を形成する。接着層12の形成は、例えば図示しない糊転写ローラ等を用いて行われる。このとき接着層12を形成する位置によって、上述した第1−1〜1−3例のいずれかの層構成が得られる。
【0051】
基材シート2が連続した原反である場合、その両側のマージンをスリットした後、搬送方向に一定間隔で断裁することで、図3(A)に示される情報担持媒体1を完成させることができる。
【0052】
第1実施形態の情報担持媒体1によれば、たとえ基材シート2の一面が見開かれた状態であっても、本来の情報が暗号情報8,9として2つの担持領域2a,2bに分かれて印字されるため、オペレータ等の第三者から本来の情報が読み取られることはない。これにより、個人情報等の秘匿性を向上し、情報セキュリティを強固にすることができる。
【0053】
また、基材シート2そのものに隠蔽性を持たせることができるので、完成後に基材シート2の一面を伏せた状態にして保管しておけば、暗号情報8,9が第三者の目に触れたままになることもない。基材シート2の隠蔽性は、使用する紙材料の厚みにより確保することもできるし、上記のように基材シート2の一面と反対側の面に隠蔽模様や地模様等を印刷しておくことで確保することもできる。
【0054】
〔折り畳み形態への変形〕
図3(B)に示されているように、完成された情報担持媒体1は、基材シート2を折り目4に沿って2つ折りにすることが予定されている。このとき基材シート2は、2つの担持領域2a,2bが対向するようにして折り曲げられるため、暗号情報8,9は2つ折りされた基材シート2の内側に隠蔽された状態となる。また基材シート2は、接着層12を介して2つの担持領域2a,2bが相互に接着された状態となり、2つ折り後はその状態を保持することができる。これにより、基材シート2が再び見開きの状態に変形されるまでは、暗号情報8,9が第三者の目に触れることがなくなり、さらに情報セキュリティ性を向上することができる。
【0055】
〔印刷物としての実施形態〕
図4は、第1実施形態の情報担持媒体1を用いた印刷物100としての実施形態を示す斜視図である。
【0056】
上記のように、完成された情報担持媒体1を2つ折りに変形することで、印刷物100を得ることができる。印刷物100は、上記のように隠蔽はがき(郵便はがき)や申込用紙、アンケート用紙として様々な目的に利用することができる。
【0057】
印刷物100を隠蔽はがき(郵便はがき)として利用する場合、その表面100aには、例えば「郵便はがき」等の規定の文言が印刷される他、郵便番号や宛先、宛名、差出人等に関する情報が印字又は印刷される。このとき暗号情報8,9は、2つ折りされた基材シート2の内側に隠蔽されているため、その内容が第三者(例えば配達担当者等)の目に触れることはない。
【0058】
また上記のように、基材シート2そのものに隠蔽性を持たせたり、印刷物100の裏面(表面100aと反対側の面)に隠蔽模様や地模様等を印刷したりすることで、暗号情報8,9の読み取りをさらに困難にすることができる。これにより、印刷物100としての情報セキュリティ性を向上することができる。
【0059】
〔視覚復号化〕
図5は、暗号情報8,9から本来の情報が視覚復号された状態を示す図である。なお、情報担持媒体1が印刷物100として利用された場合、その展開後は既に情報担持媒体1としての形態ではなくなっているため、ここでは展開後の印刷物100として図示している。
【0060】
上記のように、完成された情報担持媒体1を2つ折りの状態に変形し、これを印刷物100とした後、例えば正規のユーザ(隠蔽はがきの受取人)が基材シート2を開くことで、2つの暗号情報8,9が1つに重なり合い、右側の担持領域2bにて視覚復号された状態となる。
【0061】
具体的には、それまで左側の担持領域2aにおいて剥離層10に定着されていた暗号情報8は、接着層12に引っ張られて剥離層10から剥離する。そして剥離した暗号情報8は、接着層12とともに右側の担持領域2bに転写される。これにより、右側の担持領域2bにて2つの暗号情報8,9が1つに重なり合い、暗号化されていた情報が視覚復号されて読み取り可能となる。この例では単純な数字の「2」を挙げているが、視覚復号される情報はより多くの文字情報や画像情報を含むものであってもよい。
【0062】
〔展開後の層構成〕
図6は、印刷物100が開かれた後の層構成を示す断面図である。印刷物100が開かれると、接着層12による接着力に抗して2つの担持領域2a,2bは再び分離される。
【0063】
上記のように左側の担持領域2aでは、剥離層10から暗号情報8が剥離し、接着層12とともに右側の担持領域2bに転写されている。このとき右側の担持領域2bでは、接着層12を媒介して2つの暗号情報8,9が1つに重なり合った状態となっており、これにより暗号情報8,9が視覚復号されている。
【0064】
この後、基材シート2を再度2つ折りの状態に変形しても、剥離層10の表面に暗号情報8が再定着することはない。これは、剥離層10の持つ剥離性に起因するものであり、左側の担持領域2aから右側の担持領域2bへの暗号情報8の転写が不可逆的に行われることを意味している。したがって、印刷物100を一度開いて暗号情報8,9を視覚復号化してしまうと、その後は以前の暗号情報8,9に分かれた状態へ戻すことはできなくなる。これにより、仮に第三者が不正に印刷物100を開いた場合はその痕跡が明らかとなり、そこから情報漏洩があったことを発覚させることができる。
【0065】
〔第2実施形態(態様B)〕
次に、本発明の情報担持媒体の第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態の情報担持媒体60を示す平面図である。以下、第1実施形態との相違点を中心として説明する。また、第1実施形態と共通する事項には、図示も含めて同じ符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0066】
〔剥離層の形態〕
第2実施形態の情報担持媒体60は、剥離層10の形態が第1実施形態と異なっている。第1実施形態(図1)では、剥離層10が暗号情報8より広い範囲にわたって担持領域2aに形成されていたため、暗号情報8の全体が剥離層10の表面にて定着されていた。これに対し第2実施形態では、剥離層10に暗号情報8の全てが定着されておらず、その一部のみが定着されている点で第1実施形態と異なっている。
【0067】
第2実施形態の情報担持媒体60も同様に、その基材シート2を2つ折りにして印刷物とすることができる。得られる印刷物は、第1実施形態に関連して挙げた印刷物100(図4)と同様のものとなるが、剥離層10の形態が異なっている。
【0068】
ここで、剥離層10はどのような形態であってもよいというわけではなく、そこには一定の要件が定められている。すなわち、暗号情報8の一部(剥離層10に対応する部分)だけを暗号情報9に重ね合わせたとしても、それによって本来の情報が正しく視覚復号されることが必須要件であり、この要件を満足する範囲内で剥離層10を任意の形態とすることができる。したがって、剥離層10の形態は図7に示されるものに限られない。
【0069】
〔使用時の形態〕
図8は、第2実施形態の情報担持媒体60を使用した場合の形態について示す連続図である。
【0070】
〔印刷物としての使用〕
図8(A)に示されているように、第2実施形態の情報担持媒体60を使用し、その基材シート2を2つ折りにすることで、例えば隠蔽はがきとしての印刷物が得られる。なお、ここでは印刷物としての形態は図示していないが、外観上は先の図4に示される印刷物100と同様の態様となる。
【0071】
〔視覚復号化〕
図8(B)に示されているように、得られた印刷物(参照符号600)の基材シート2が正規のユーザ(隠蔽はがきの受取人)により再び開かれると、暗号情報8,9が視覚復号された状態となる。すなわち、この場合も同様に、右側の担持領域2bにて2つの暗号情報8,9が1つに重なり合い、本来の情報が視覚復号された状態となる。ただし、ここでは左側の担持領域2aにおいて剥離層10に定着されていた暗号情報8の全てではなく、剥離層10に対応する一部のみが右側の担持領域2bに転写され、暗号情報9と1つに重なり合っている。このため、左側の担持領域2aには、剥離層10が形成されていない箇所に暗号情報8が残存していることがわかる。
【0072】
第2実施形態の情報担持媒体60を用いた場合であっても、第1実施形態と同様に情報セキュリティ性を向上することができる。また、剥離層10が暗号情報8の一部だけを定着させる形態であっても、予め必須要件を満たしている限り、本来の情報が正しく視覚復号されるため、正規のユーザに正しく情報を伝達することができる。
【0073】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の情報担持媒体の第3実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態の情報担持媒体50を示す平面図である。ここでも同様に、第1実施形態との相違点を中心として説明する。また、第1実施形態と共通する事項には、図示も含めて同じ符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0074】
先ず第3実施形態の情報担持媒体50は、基材シート2の一面のうち、折り目4の左側だけに担持領域2aが形成されている。そして折り目4の右側には、担持領域ではなく対向領域2cが形成されており、この対向領域2cには暗号情報が担持されていない。なお対向領域2cは、基材シート2を2つ折りすると、担持領域2aに対向して接着される。
【0075】
次に第3実施形態の情報担持媒体50では、剥離層10の形態が特有である。すなわち剥離層10は、予め情報を象った形態(ここでは数字の「2」を象った形態)で担持領域2aに形成されている。また暗号情報80は、第1,2実施形態のように二値化されたパターン画像ではなく、ベタ画像となっている。ただし、第3実施形態でも暗号情報80をパターン画像としてもよい。
【0076】
図10は、第3実施形態の情報担持媒体50の層構成を示す断面図(図9のX−X線に沿う断面図)である。このうち、図10(A)は層構成の第2−1例を示し、図10(B)は第2−2例を示し、図10(C)は第2−3例を示している。第1実施形態と同様に、図10(A)〜(C)において、折り目4は縦方向の一点鎖線で示されている。
【0077】
〔第2−1例〕
図10(A):第2−1例の層構成は、基材シート2の一面全体に接着層12を形成したパターンである。この場合、折り目4の左側に位置する担持領域2aでは暗号情報80が接着層12で全体的に覆われている。この状態で、接着層12を構成する接着材(例えば再剥離性の糊材)は、暗号情報80を形成するインキ80a(トナーでもよい)に付着している。同様に、折り目4の右側に位置する対向領域2cもまた全体的に接着層12で覆われている。第1実施形態と同様に担持領域2aでは、剥離層10よりも上層に接着層12が形成されており、剥離層10の範囲内で接着層12は基材シート2の一面に付着していない。
【0078】
〔第2−2例〕
図10(B):第2−2例の層構成は、基材シート2の一面全体ではなく、折り目4の左半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、担持領域2aに関しては第1例と同じであるが、対向領域2cには接着層12が形成されていない。
【0079】
〔第2−3例〕
図10(C):第2−3例の層構成は第2−2例と逆に、基材シート2の一面のうち、折り目4の右半分だけに接着層12を形成したパターンである。この場合、担持領域2aの暗号情報80がむき出しとなっており、対向領域2cは接着層12で全体的に覆われている。
【0080】
第3実施形態の情報担持媒体50は、上述した第2−1〜第2−3例のいずれの層構成を有するものであってもよい。いずれの層構成であっても、基材シート2を2つ折りにすることで、接着層12を介して担持領域2aと対向領域2cとが互いに接着された状態となる。
【0081】
図11は、完成状態の情報担持媒体50を2つ折りにする際の利用形態を示す連続図である。図11(A)に示されているように、第3実施形態の情報担持媒体50についても、その完成状態では基材シート2が見開きの状態となっている。このような情報担持媒体50は、例えば以下の工程を通じて完成させることができる。
【0082】
(1)剥離層10の形成工程
この工程では、基材シート2の一面に剥離層10を印刷する。このとき基材シート2が連続した長尺原反の形態であってもよい点は第1実施形態と同じである。そして、基材シート2は図示しない原反ロールから繰り出され、これを長手方向に搬送する過程で、基材シート2の一面に剥離層10が印刷される。このとき印刷された剥離層10は、予め視覚復号化後の情報を象った形態を有するものとなる。
【0083】
第3実施形態においても、基材シート2には、予め原反の状態で折り目4が形成されていてもよい。また基材シート2の反対面には、隠蔽模様や地模様等が予め印刷されていてもよい。折り目4や隠蔽模様等は、剥離層10を形成する前の工程で原反に形成しておくことができる。
【0084】
(2)暗号情報80の印字工程
この工程では、基材シート2の一面上で、担持領域2aの方に暗号情報80を印字する。印字された暗号情報80は、その一部が剥離層10の表面上に定着し、剥離層10以外の部分では基材シート2の一面上に定着する。なお暗号情報80の印字は、同じくインクジェット式の印字ヘッド、レーザ式のトナー転写ローラ及び定着ローラ等(いずれも図示されていない)を用いて行うことができる。
【0085】
(3)接着層12の形成工程
この工程では、基材シート2の一面のうち、その全体又は一部に接着層12を形成する。第3実施形態においても同様に、接着層12の形成は例えば図示しない糊転写ローラ等を用いて行うことができる。このとき接着層12を形成する位置によって、上述した第1〜3例のいずれかの層構成が得られる点は第1実施形態と同様である。
【0086】
そして、基材シート2が連続した原反である場合、その両側のマージンをスリットした後、搬送方向に一定間隔で断裁することで、図11(A)に示される情報担持媒体50を完成させることができる。
【0087】
第3実施形態の情報担持媒体50の場合、暗号情報80は、その一部が対向領域2cに転写されるまでは、視覚的に情報としての意味を持たない内容(例えばベタ画像)とすることができる。このため、基材シート2の一面が見開かれた状態であっても、視覚的に認識ができない暗号情報80が担持領域2aに印字されるだけであるため、オペレータ等の第三者から本来の情報が読み取られることはない。これにより、個人情報等の秘匿性を向上し、情報セキュリティを強固にすることができる。
【0088】
また、基材シート2そのものに隠蔽性を持たせることができる点は第1実施形態と同様であるので、完成後に基材シート2の一面を伏せた状態にして保管しておけば、暗号情報80が第三者の目に触れることも防止することができる。基材シート2の隠蔽性は、使用する紙材料の厚みにより確保することもできるし、上記のように基材シート2の一面と反対側の面に隠蔽模様や地模様等を印刷しておくことで確保することもできる。
【0089】
〔折り畳み形態への変形〕
図11(B)に示されているように、第3実施形態の情報担持媒体50についても、完成後は基材シート2を折り目4に沿って2つ折りにすることが予定されている。このとき基材シート2は、担持領域2aと対向領域2cとが対向するようにして折り曲げられるため、暗号情報80は2つ折りされた基材シート2の内側に隠蔽される。また基材シート2は、接着層12を介して担持領域2aと対向領域2cとが相互に接着された状態となり、2つ折り後はその状態を保持することができる。これにより、基材シート2が再び見開きの状態に変形されるまでは、暗号情報80が第三者の目に触れることがなくなり、さらに情報セキュリティ性を向上することができる。
【0090】
〔印刷物としての実施形態〕
図12は、第3実施形態の情報担持媒体50を用いた印刷物500としての実施形態を示す斜視図である。
【0091】
上記のように、完成された情報担持媒体50を2つ折りに変形することで、印刷物500を得ることができる。印刷物500は、上記のように隠蔽はがき(郵便はがき)や申込用紙、アンケート用紙として様々な目的に利用することができる。
【0092】
そして印刷物500を隠蔽はがき(郵便はがき)として利用する場合、その表面500aには「郵便はがき」等の規定の文言が印刷される他、郵便番号や宛先、宛名、差出人等に関する情報が印字又は印刷される。暗号情報80は、2つ折りされた基材シート2の内側に隠蔽されているため、その内容が第三者(例えば配達担当者等)の目に触れることはないし、基材シート2を開かないかぎり暗号情報80に情報としての意味はない。
【0093】
ここでも同様に、基材シート2そのものに隠蔽性を持たせたり、印刷物500の裏面(表面500aと反対側の面)に隠蔽模様や地模様等を印刷したりすることで、暗号情報80の隠蔽性をさらに向上してもよい。
【0094】
〔視覚復号化〕
図13は、暗号情報80から本来の情報が視覚復号された状態を示す図である。第3実施形態においても同様に、情報担持媒体50が印刷物500として利用された場合、その展開後は既に情報担持媒体50としての形態ではなくなっているため、ここでは展開後の印刷物500として図示している。
【0095】
上記のように、完成された情報担持媒体50を2つ折りの状態に変形し、これを印刷物500とした後、例えば正規のユーザ(隠蔽はがきの受取人)が基材シート2を開くことで、暗号情報80の一部が対向領域2cに転写される。転写された一部は担持領域2aから除去された状態となり、その除去された跡(白抜きの部分)が視覚復号された情報として認識可能となる。
【0096】
すなわち、それまで担持領域2aにおいて剥離層10に定着されていた一部の暗号情報80は、接着層12に引っ張られて剥離層10から剥離する。このとき剥離するのは、暗号情報80のうち剥離層10に対応する部分だけである。そして剥離した暗号情報80の一部は、接着層12とともに対向領域2cに転写される。これにより、担持領域2aから一部の暗号情報80が除去され、その除去跡に暗号化されていた情報が視覚復号されて読み取り可能となる。この例でも単純な数字の「2」を挙げているが、視覚復号される情報はより多くの文字情報や画像情報を含むものであってもよい。
【0097】
〔展開後の層構成〕
図14は、印刷物500が開かれた後の層構成を示す断面図である。印刷物500が開かれると、接着層12による接着力に抗して担持領域2aと対向領域2cは再び分離される。
【0098】
上記のように担持領域2aでは、剥離層10に対応する部分から暗号情報80が剥離し、接着層12とともに対向領域2cに転写されている。このとき対向領域2cでは、接着層12とともに除去された暗号情報80の一部が反転した画像として転写されている。
【0099】
この後、基材シート2を再度2つ折りの状態に変形しても、剥離層10の表面に暗号情報80が再定着することはない。これは、剥離層10の持つ剥離性に起因するものであり、担持領域2aから対向領域2cへの暗号情報80の転写が不可逆的に行われることを意味している。したがって、印刷物500を一度開いて暗号情報80を視覚復号化してしまうと、その後は以前の暗号情報80に戻すことはできなくなる。これにより、仮に第三者が不正に印刷物500を開いた場合はその痕跡が明らかとなり、そこから情報漏洩があったことを発覚させることができる。
【0100】
〔その他の構成例〕
第3実施形態において、以下の構成例を採用することもできる。
(1)例えば、基材シート2の担持領域2aには、予め下地に隠蔽模様が印刷されており、その上に剥離層10が印刷され、さらに暗号情報80が鏡像(反転画像)の状態で印字されているものとする。この場合、暗号情報80は、下地の隠蔽模様と重なるため、印字工程でオペレータが視認することはできない。
【0101】
そして、基材シート2を2つ折りにして担持領域2aと対向領域2cを接着し、印刷物500とする。この後、正規のユーザが印刷物500を開くと、暗号情報80が剥離層10から剥離し、接着層12とともに対向領域2cへ転写される。これにより、暗号情報80が対向領域2cに転写された状態で視覚復号されることにより、ユーザにより視認可能となる。
【0102】
(2)あるいは、基材シート2の担持領域2aには、予めユーザ向けの情報が印刷されており、その上に剥離層10が印刷され、さらに暗号情報80(ベタ画像又は隠蔽模様)が印字されているものとする。この場合、基材シート2に印刷された情報が暗号情報80により視覚暗号化(隠蔽による視認困難化)されるため、同じく印字工程でオペレータに情報を視認されることはない。
【0103】
そして、基材シート2を2つ折りにして担持領域2aと対向領域2cを接着し、印刷物500とし、この後、正規のユーザが印刷物500を開くと、暗号情報80が剥離層10から剥離し、接着層12とともに対向領域2cへ転写されて担持領域2aから除去される。これにより、基材シート2に印刷されていた情報が視覚復号されることにより、ユーザにより視認可能となる。
【0104】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。各実施形態では、情報担持媒体1,50,60等を隠蔽はがきとしての印刷物100,500,600に使用することを想定しているが、本発明の情報担持媒体は、隠蔽はがき以外の印刷物にも適用することができる。したがって、基材シート2の形状や大きさ、厚み等は使用目的とする印刷物に合わせて適宜に変更することができる。
【0105】
第1実施形態において、剥離層10は担持領域2aの全域に広がって形成されていてもよい。この場合、暗号情報8,9も担持領域2a,2bの大きさに合わせて拡大することができるので、より情報量を増やすことができる。また、基材シート2を2つ折りにした状態では、左側の担持領域2aの全域で接着層12が剥離層10に接着されることになるため、正規のユーザが印刷物100を開く際、基材シート2を再剥離しやすくなる。
【0106】
各実施形態では、折り目4が基材シート2の中央に形成されている例を挙げているが、折り目4は中央以外の位置に形成されていてもよい。また、基材シート2は3つ折り(Z折り)の形態でもよく、この場合は基材シート2の両面に担持領域2a,2bを形成したり、担持領域2aと対向領域2cを形成したりすることができる。
【符号の説明】
【0107】
1,50,60 情報担持媒体
2 基材シート
2a,2b 担持領域
2c 対向領域
4 折り目
8,9,80 暗号情報
10 剥離層
12 接着層
100,500,600 印刷物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートと、
前記基材シートの一面上で前記折り目を挟んだ両側にそれぞれ形成され、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する2つの担持領域と、
2つのうち一方の前記担持領域に形成され、担持した前記暗号情報を前記基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層と、
2つの前記担持領域の少なくとも一方に前記暗号情報を被覆した状態で形成され、前記基材シートの折り畳みに伴い2つの前記担持領域が互いに接着された後に分離されることにより、前記剥離層からの剥離を伴い一方の前記担持領域から他方の前記担持領域への前記暗号情報の転写を可能とする接着層と
を備えた情報担持媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の情報担持媒体において、
前記剥離層は、一方の前記担持領域にて前記暗号情報の全体を定着させる範囲に広がって形成されており、
一方の前記担持領域から他方の前記担持領域へ前記暗号情報が全体的に転写されることにより、他方の前記担持領域にて重なり合った前記暗号情報が視覚復号されることを特徴とする情報担持媒体。
【請求項3】
請求項1に記載の情報担持媒体において、
前記剥離層は、一方の前記担持領域にて前記暗号情報の一部を定着させる範囲にのみ形成されており、
一方の前記担持領域に担持された前記暗号情報のうち、前記剥離層の部分に対応する一部のみが他方の前記担持領域へ転写されることにより、他方の前記担持領域にて重なり合った前記暗号情報が視覚復号されることを特徴とする情報担持媒体。
【請求項4】
折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートと、
前記基材シートの一面上で前記折り目を挟んだ両側の一方に形成され、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する担持領域と、
前記担持領域内の少なくとも一部に形成され、担持した前記暗号情報の少なくとも一部を前記基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層と、
前記基材シートの一面上で前記折り目を挟んで前記担持領域の反対側に位置し、前記基材シートの折り畳みに伴い前記担持領域に対向して接着される対向領域と、
前記担持領域及び前記対向領域の少なくとも一方に形成され、前記基材シートの折り畳みに伴い前記担持領域に対して前記対向領域が接着された後に分離されることにより、前記担持領域に担持された前記暗号情報のうち、前記剥離層の部分に対応する一部のみが前記剥離層からの剥離を伴い前記対向領域への転写により除去されることを可能とする接着層と
を備えた情報担持媒体。
【請求項5】
請求項4に記載の情報担持媒体において、
前記担持領域に担持された前記暗号情報のうち、前記剥離層の部分に対応する一部のみが前記対向領域への転写により除去されることにより、前記担持領域にて前記剥離層以外の部分に残存した前記暗号情報が視覚復号されることを特徴とする情報担持媒体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の情報担持媒体を使用し、前記基材シートを折り畳んだ状態で前記暗号情報を内側に隠蔽した印刷物。
【請求項1】
折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートと、
前記基材シートの一面上で前記折り目を挟んだ両側にそれぞれ形成され、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する2つの担持領域と、
2つのうち一方の前記担持領域に形成され、担持した前記暗号情報を前記基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層と、
2つの前記担持領域の少なくとも一方に前記暗号情報を被覆した状態で形成され、前記基材シートの折り畳みに伴い2つの前記担持領域が互いに接着された後に分離されることにより、前記剥離層からの剥離を伴い一方の前記担持領域から他方の前記担持領域への前記暗号情報の転写を可能とする接着層と
を備えた情報担持媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の情報担持媒体において、
前記剥離層は、一方の前記担持領域にて前記暗号情報の全体を定着させる範囲に広がって形成されており、
一方の前記担持領域から他方の前記担持領域へ前記暗号情報が全体的に転写されることにより、他方の前記担持領域にて重なり合った前記暗号情報が視覚復号されることを特徴とする情報担持媒体。
【請求項3】
請求項1に記載の情報担持媒体において、
前記剥離層は、一方の前記担持領域にて前記暗号情報の一部を定着させる範囲にのみ形成されており、
一方の前記担持領域に担持された前記暗号情報のうち、前記剥離層の部分に対応する一部のみが他方の前記担持領域へ転写されることにより、他方の前記担持領域にて重なり合った前記暗号情報が視覚復号されることを特徴とする情報担持媒体。
【請求項4】
折り畳み状態への変形を目的として、予め折り目が形成された基材シートと、
前記基材シートの一面上で前記折り目を挟んだ両側の一方に形成され、視覚復号が可能に暗号化された暗号情報を担持する担持領域と、
前記担持領域内の少なくとも一部に形成され、担持した前記暗号情報の少なくとも一部を前記基材シートから剥離可能な状態で定着させる剥離層と、
前記基材シートの一面上で前記折り目を挟んで前記担持領域の反対側に位置し、前記基材シートの折り畳みに伴い前記担持領域に対向して接着される対向領域と、
前記担持領域及び前記対向領域の少なくとも一方に形成され、前記基材シートの折り畳みに伴い前記担持領域に対して前記対向領域が接着された後に分離されることにより、前記担持領域に担持された前記暗号情報のうち、前記剥離層の部分に対応する一部のみが前記剥離層からの剥離を伴い前記対向領域への転写により除去されることを可能とする接着層と
を備えた情報担持媒体。
【請求項5】
請求項4に記載の情報担持媒体において、
前記担持領域に担持された前記暗号情報のうち、前記剥離層の部分に対応する一部のみが前記対向領域への転写により除去されることにより、前記担持領域にて前記剥離層以外の部分に残存した前記暗号情報が視覚復号されることを特徴とする情報担持媒体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の情報担持媒体を使用し、前記基材シートを折り畳んだ状態で前記暗号情報を内側に隠蔽した印刷物。
【図2】
【図4】
【図6】
【図10】
【図12】
【図14】
【図1】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図13】
【図4】
【図6】
【図10】
【図12】
【図14】
【図1】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図13】
【公開番号】特開2013−39742(P2013−39742A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178302(P2011−178302)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】
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