説明

情報提供システム、情報提供サーバおよび情報提供装置

【課題】エリア情報の領域に変更があった場合でも、ユーザ端末側の領域を書き換えることなく、サーバから受信したエリア情報をユーザに提供する。
【解決手段】ユーザ側から取得要求と現在位置を取得して、現在位置と所定の関係を有する領域の情報を選択する情報選択手段24を有し、更新判断手段25が、取得要求に係る情報の領域は更新されていると判断した場合、代替領域生成手段25がユーザの現在位置に基づく代替領域を生成し、通信手段21を介して代替領域と選択された情報とをユーザ側に向けて送信する情報提供サーバ200と、情報提供サーバ200から送信された代替領域と情報とを取得して代替領域に関する情報を編集する情報編集手段14と、代替領域に関する情報をユーザに向けて出力する出力手段15と、を有する情報提供装置100とを備えた情報提供システム200。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ側から配信される特定の領域に関するエリア情報をユーザに提示する情報提供システム等に関し、特に、エリア情報の領域の定義が更新された場合、更新された領域に関する情報を効率的に提示する情報提供システム、情報提供サーバ及び情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部との通信により地図データ等を更新する装置に関し、クライアントシステム側からの要求に応じ、サーバシステム側でメッシュ毎の更新地図情報に付加されたメッシュ更新情報を利用して、更新された地図情報をクライアントシステム側に送信するシステムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−298429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、情報が更新された場合、更新された情報の内容にかかわらず、更新情報(特許文献1のシステムでは地図情報)をサーバ側からクライアントシステム側に送信しなければならず、これら地図情報等のデータの送受信にコストがかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、情報の属する領域の定義が更新された場合に、既存のデータを利用して情報を提示することを目的とする。
【0006】
本発明によれば、少なくとも領域が指定された情報の取得要求をユーザ側から取得する要求取得手段と、ユーザ側からユーザの現在位置を取得する現在位置取得手段と、ユーザの現在位置と所定の関係を有する領域についての情報を選択する情報選択手段と、取得要求に係る領域の更新状態を判断する更新判断手段と、更新判断手段が、取得要求に係る情報の領域は更新されていると判断した場合、ユーザの現在位置に基づく代替領域を生成する代替領域生成手段と、代替領域生成手段により生成された代替領域と情報選択手段により選択された情報とをユーザ側に向けて送信する通信手段と、を有する情報提供サーバ、情報提供サーバから送信された代替領域と情報とを取得し、代替領域に関する情報を編集する情報編集手段と、情報編集手段により生成された代替領域に関する情報をユーザに向けて出力する出力手段と、を有する情報提供装置、または情報提供サーバと情報提供装置とを備えた情報提供システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
これにより、サーバ側において情報が属する領域の定義に変更があった場合であっても、ユーザ側の地図情報を更新することなく、ユーザ側の端末装置に格納された既存の地図情報を利用して情報を提示することができ、情報の更新に要するデータの送受信コストを低減しつつ、ユーザの便宜を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の情報提供システム1000は、車両向け情報配信サービスとして、気象情報、交通情報(交通規制、工事情報、取締り情報)などのある特定の領域が指定された情報(エリア情報)を各ユーザに配信するシステムであり、情報提供装置100と、情報提供サーバ200とを有する。情報提供サーバ200はネットワーク上に構築され、車両に搭載された情報提供装置100と情報の授受を行う。
【0009】
本実施形態の情報提供システム1000の情報提供サーバ200は、指定された現在位置と所定の関係を有する領域の気象情報、交通情報その他の情報(エリア情報)を情報提供装置100に送出し、ユーザ側の情報提供装置100は、取得したエリア情報を自己が備える地図情報上にエリア情報が有効な範囲とともに表示する。たとえば、ユーザが領域Aについてのエリア情報を希望する場合、情報提供サーバ200はユーザの現在位置と所定の位置関係にある領域A(例えば、現在位置を含む領域A、現在位置からユーザの進行方向にある領域A、現在位置と目的地との間に位置する領域Aなど)に係るエリア情報をユーザに向けて送出する。ユーザ側の情報提供装置100は、取得した領域Aに係るエリア情報を自己が備える地図データベースの地図情報に重畳し、領域Aの範囲とともに表示する。
【0010】
ところで、情報提供サーバ200の送出した領域Aが、ユーザ側の情報提供装置100において認識できなかった場合、領域Aについてのエリア情報をユーザに提供することができない。例えば、領域AがX市とY市が合併された「○○市」である場合、情報提供サーバ200側の地図情報は合併後の「○○市」に関する情報として認識し、情報提供装置100側の地図情報は合併前の「X市」及び「Y市」に関する情報として認識する場合、ユーザ側の情報提供装置100は、新しく登録された「○○市」を認識することができず、領域Aについてのエリア情報をユーザに提供することができない。これに対し、本実施形態の情報提供システム1000は、このような事態が生じた場合において、情報提供装置100側の有する地図情報を利用して、ユーザに更新された領域Aについてのエリア情報を提供する。
【0011】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
まず、ユーザ側の情報提供装置100の構成について図1に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態の情報提供装置100は、ユーザ側通信手段11と、取得要求送出手段12と、現在位置取得手段13と、情報編集手段14と、出力手段15とを有する。
【0014】
ユーザ側通信手段11は、情報提供者である情報提供サーバ200と情報の授受を行う移動体通信手段である。
【0015】
取得要求送出手段12は、少なくとも領域が指定された情報の取得要求を情報提供サーバ200へ送出する。領域の指定は、ユーザが自ら要求指令を送出するときに指定した領域であってもよいし、ユーザの現在位置を含む所定領域を指定してもよいし、ユーザの現在位置から進行方向側にある所定領域を予め指定してもよいし、現在位置から目的地の間にある所定領域を予め指定してもよい。また、領域は、都道府県、市町村等の行政区域を指定しても良いし、関東南部、関東北部といった地域を指定しても良いし、現在位置周辺のxkmといった範囲(地域)を指定してもよい。地域の広狭は限定されず、広域であっても狭域であっても指定可能である。領域の指定は、予め領域に対応づけられた識別コードに基づいて行われる。ユーザが取得を希望する情報は、領域が指定される以外に、カテゴリや、情報の時間帯その他の情報の内容を限定する属性が指定されていても良い。取得要求の送出タイミングは、特に限定されず、ユーザが自ら指定してもよいし、ユーザの現在位置が現在表示されているエリア情報に係る領域から出た場合(領域に含まれなくなった場合)に自動的に取得要求を送出するようにしておいてもよい。
【0016】
現在位置取得手段13は、情報提供装置100の存在する現在位置を取得する。本実施形態の現在位置取得手段13は、情報提供装置100が搭載された車両の現在位置を取得する。車両の現在位置の取得手法は特に限定されず、本実施形態では人工衛星を利用したGPS(Global Positioning System)による測位システム等を利用する。取得した現在位置はユーザ側通信手段11を介して情報提供サーバ側へ送出する。
【0017】
情報編集手段14は、代替領域取得部141と、情報取得部142と、地図データベース143とを有し、情報提供サーバ200から送信された代替領域とその代替領域に対応するエリア情報とを取得して、代替領域に属する情報を生成する。本実施形態における代替領域とは、ユーザ側の情報提供装置100が有する地図情報の領域の定義と、情報提供者側の情報提供サーバ200のエリア情報の領域の定義とが異なる場合に新たに定義された第3の領域の定義である。その定義手法等については、後述する。
【0018】
具体的に、情報編集手段14の代替領域取得部141は、後述する情報提供サーバ200の代替領域生成部26が生成した第3の領域の定義である代替領域を取得する。情報取得部142は、情報提供サーバ200の情報選択手段24が選択した情報(エリア情報)を取得する。情報取得部142が取得する情報は、代替領域の少なくとも一部が含まれる領域に関する情報であることが好ましい。本実施形態では、ユーザの現在位置と所定の位置関係を有する領域に係る情報を取得する。
【0019】
情報編集手段14は、情報取得部142が取得したエリア情報(情報)と、地図データベースとを用いて、代替領域取得部141が取得した代替領域に基づいて定義された新たな領域に関するエリア情報を編集する。このエリア情報は地図データベースを用いて表示された代替領域に重畳させた情報であることが好ましい。つまり、地図上に表示された代替領域の外延とエリア情報とが重畳された状態でユーザに示される。このとき代替領域内のエリア情報のみを表示してもよいし、代替領域内外のエリア情報を表示してもよい。
【0020】
出力手段15は、ディスプレイ等の表示装置であって、情報編集手段14により編集された代替領域に属する情報をユーザに向けて出力する。ユーザは、ディスプレイ15に表示された地図情報上に重畳して示されたエリア情報を見ることができる。
【0021】
次に、情報提供者側の情報提供サーバ200の構成について図1に基づいて説明する。
【0022】
本実施形態の情報提供サーバ200は、サーバ側通信手段21と、要求取得手段22と、現在位置取得手段23と、情報選択手段24と、更新判断手段25と、代替領域生成手段26とを有する。
【0023】
サーバ側通信手段21は、ユーザ側通信手段11と情報の授受を行う通信機能を有する。要求取得手段22は、情報提供装置100の取得要求送出手段12から送出されたユーザが入力した取得要求を取得する。
【0024】
現在位置取得手段23は、情報提供装置100の現在位置取得手段13により取得された現在位置をユーザ側通信手段11及びサーバ側通信手段21を介して取得する。
【0025】
情報選択手段24は、現在位置取得手段23により取得された現在位置に基づいて、情報データベース241の中から現在位置と所定の位置関係にある領域についての情報(エリア情報)を選択する。本実施形態ではユーザの現在位置が含まれる領域のエリア情報を選択する。情報選択手段24は、ユーザの現在位置からユーザの進行方向側の領域のエリア情報を取得してもよい。ユーザの進行方向は、特に限定されないが、ユーザの現在位置の変化に基づいて求めることができる。また、情報選択手段24は、ユーザの現在位置とユーザの目的地とを取得して、これらの間に位置する領域のエリア情報を取得してもよい。
【0026】
情報提供サーバ200が有する情報(エリア情報)は、領域に対応づけられた、気象情報、交通情報、交通規制情報、POI(Point of interest)情報などである。情報(エリア情報)の領域は、予め所定の領域、例えば市町村などの行政区域、関東南部、関東北西部などの領域に区分されており、これらの領域に変更があった場合には、気象情報等の情報と領域との対応付けに変化が生じるため、新たな領域と気象情報等を対応づけたエリア情報を記憶させ、情報データベース241の内容を更新する。領域が更新される例としては、行政区画に基づいて領域が「○○市」などと定義されている場合、市町村合併などがあると、エリア情報の領域(を地理的に特定するための定義)は更新される。また、気象情報の区画を細区分化するなど、変更する場合などにおいても、領域は(地理的に特定するための定義)は更新される。
【0027】
更新判断手段25は、ユーザ側から取得した取得要求において指定された領域に更新(変更)があったか否かを判断する。特に限定されないが、本実施形態の更新判断手段25は、具体的には、取得した取得要求において指定された領域の識別コードが、情報選択手段24により選択されたエリア情報の領域の識別コードと同一か否かを判断する。識別コードが同一である場合、領域の定義は更新されていないと判断し、識別コードが異なる場合、領域の定義は更新されたものと判断する。また、更新判断手段25は、取得要求において指定された領域の識別コードと同じ識別コードが情報データベース241に含まれているかを検索し、領域の識別コードと同じ識別コードが情報データベース241に含まれている場合には更新されていないと判断し、領域の識別コードと同じ識別コードが情報データベース241に含まれていない場合には更新されていると判断してもよい。
【0028】
代替領域生成手段26は、更新判断手段25により、取得要求に係る情報の領域の定義が更新されていると判断された場合、取得したユーザの現在位置に基づく代替領域を生成する。本実施形態の代替領域生成手段26は、ユーザ側から取得した現在位置と所定の位置関係にある複数の位置により囲まれた領域を代替領域として生成する。代替領域の一例を図2に示す。図2に示すように、代替領域にはその識別コードと、起点となるポイントの緯度及び経度と、起点に基づいて定義されるポイント数と、各ポイントの位置とが含まれる。起点はユーザの現在位置に基づいて決定される。本例では、ユーザの現在位置が含まれる領域を検索し、その領域において予め定められた所定位置が起点となる。つまり、現在位置に基づいて所定の起点を定義することができる。各ポイントの位置の定義手法は特に限定されないが、本実施形態は図2に示すように、起点に対する相対的な変位をXY軸移動距離により表現することができる。具体的に、本例の代替領域は、図3(A)に示すように、現在位置が含まれる領域中に緯度経度で起点が定義され、この起点に対する変位として表現された複数のポイントにより囲まれた領域として表現できる。代替領域を規定する各ポイントの位置は、座標値や緯度経度として表現してもよい。各ポイントを緯度経度で示した例を図4(B)に示した。
【0029】
また、代替領域生成手段26は、ユーザ側から取得した現在位置を起点とし、予め定義された複数の方向に予め定義された距離だけ離隔した点に囲まれた領域を代替領域として生成してもよい。
【0030】
この場合、代替領域生成手段26は、判断手段により更新されていると判断された更新後の情報の領域が所定の面積未満である場合、ユーザ側から取得した現在位置を起点とし、等角の8方向に予め定義された距離だけ離隔した点に囲まれた領域を代替領域として生成し、判断手段により更新されていると判断された更新後の情報の領域が所定の面積以上である場合、ユーザ側から取得した現在位置を起点とし、等角の16方向に予め定義された距離だけ離隔した点に囲まれた領域を代替領域として生成することが好ましい。
【0031】
次に、本実施形態の情報提供システムの制御手法を、図4に示した情報提供装置100と情報提供サーバ200のフローチャートに基づいて説明する。
【0032】
まず、車載の情報提供装置100の取得要求送出手段12は、少なくとも領域が指定された情報の取得要求をユーザ側から取得して、ユーザ側通信手段11を介して情報提供サーバ200に送出する(S100)。情報提供サーバ200の要求取得手段22は、ユーザ側の取得要求を受信する(S200)。取得要求には領域を特定する識別コードが含まれる。本実施形態では、指定された領域は、情報提供装置100が搭載されている車両の現在位置、すなわちユーザの現在位置が含まれる市である領域Pとする。現在位置が含まれる領域の定義、例えば都道府県、市町村、関東南部などは、予め定義しておくことが好ましい。またこの領域の定義は、情報の種類、例えば気象情報、交通情報などに応じて定義しておくことが好ましい。なお、取得要求には、どのような情報を要求するかといった、情報の内容や、どのような時期、期間、時間の情報を要求するかというような別の情報の属性(属性の識別コード)を含めることができる。
【0033】
情報提供装置100(ユーザ側)の現在位置取得手段13は、車両の現在位置を検出し、ユーザ側通信手段11を介して情報提供サーバに送出する(S101)。情報提供サーバ200の現在位置取得手段23は、ユーザの現在位置を取得する(S201)。
【0034】
情報提供サーバ200の情報選択手段24は、ユーザの現在位置と所定の関係を有する領域についての情報を選択する。特に限定されないが、本実施形態では、ユーザの現在位置が含まれる領域の情報であるエリア情報を選択する(S202)。ユーザの取得要求において指定された領域であって、且つユーザの現在位置が含まれる領域であることが好ましい。なお、領域は、情報提供サーバ側において予め定義され記憶されている。
【0035】
情報提供サーバ200の更新判断手段25は、取得要求に係る領域の更新状態を判断する。更新状態の判断手法は特に限定されないが、更新判断手段25は、取得要求において指定された領域の識別コードとS202で選択されたエリア情報に係る領域の識別コードを比較する(S203)。更新判断手段25は、両識別コードが相違すれば、領域の定義は更新されていると判断し、両識別コードが同じであれば、領域の定義は更新されていないと判断する(S204)。
【0036】
更新判断手段25は、領域が更新されていないと判断した場合、情報選択手段24により選択された領域に係るエリア情報を、サーバ側通信手段21を介して情報提供装置100に送出させる(S205)。他方、更新判断手段25は、領域が更新されていると判断した場合、S206へ進む。S206において、代替領域生成手段26は、代替領域を生成する。代替領域の生成手法は特に限定されないが、ユーザ側から取得した現在位置と所定の位置関係にある複数のポイントにより囲まれた領域を代替領域として生成する(S206)。生成した代替領域とS202で選択したエリア情報とをサーバ側通信手段21を介して送出する(S207)。
【0037】
情報編集手段14は、代替領域取得部141により取得された代替領域と、情報取得部142により取得されたエリア情報とに基づいて、地図データベースを用いて代替領域に関する情報を編集する(S102)。本実施形態の情報編集手段14は、地図上に代替領域と、代替領域に係るエリア情報とを重畳させた情報を編集する。
【0038】
出力手段15は、情報編集手段14により編集された代替領域に関する情報をユーザに向けて出力する(S104)。
【0039】
情報編集手段14は、取得した代替領域をS100で送出した取得要求に記憶する(S104)。これにより次回からは代替領域に基づいてエリア情報を迅速に提示することができる。
【0040】
具体的な表示例を、図5及び図6に基づいて説明する。
【0041】
図5は、図4のS204でユーザの取得要求に係る領域が更新されていないと判断される場合の表示例を示す図である。つまり、ユーザ側の情報提供装置100の地図データベースの領域と情報提供サーバ200の情報データベースの領域とが共通する。ユーザ側の情報提供装置100は、現在位置と取得要求を情報提供サーバ200へ送出する。取得要求により指定された領域が図5(U−1)に示す「A市」(識別コードA)である。情報選択手段24は現在位置が含まれるA市(識別コードA)の情報を選択する。情報提供サーバ200側の情報データベースにおいても識別コードAが認識できる(図5S−1)から、この領域についての更新はないと判断できる。この場合は、図4のS205に示すように、指定された領域(A市)の情報を情報提供装置100側へ送出する。情報編集手段14は、地図上に領域Aを示すとともに、領域Aの情報を重畳させた情報をユーザに提示する(図5U−2)。なお、現在位置がA市内である場合に限り、出力手段15は、編集された領域Aのエリア情報をユーザに示すようにしてもよい。
【0042】
図6は、図4のS204でユーザの取得要求に係る領域についての更新がされていると判断される場合の表示例を示す図である。つまり、ユーザ側の情報提供装置100の地図データベースの領域と情報提供サーバ200の情報データベースの領域とが共通しない場合の例を示す。
【0043】
ユーザ側の情報提供装置100は、現在位置と取得要求を情報提供サーバ200へ送出する。取得要求により指定された領域が図6(U−1)に示す「A市」(識別コードA)であるとする。情報選択手段24は現在位置が含まれるB市(識別コードB:図5S−1)検索する。しかし、情報提供サーバ200側は、A市の合併に伴い、A市はB市の領域に含まれたため、識別コードAにより定義されたA市の領域を認識することができない。他方、情報提供装置100側は、サーバ側から領域B(領域Aを含む)に係る情報を取得しても、領域Bの定義を有していないため、このままでは情報提供装置100は領域Bのエリア情報をユーザに提供することができない。
【0044】
更新判断手段26は、取得要求に係る領域の識別コードAと情報提供サーバ200が提供できる領域の識別コードBが一致しないため、この領域についての更新がされていると判断し、新たな代替領域を生成する(図4 S206)。代替領域は、ユーザ側から取得した現在位置と所定の位置関係にある複数のポイントにより囲まれた領域を代替領域として生成される。
【0045】
本例では、図6(U−2)に示すように、現在位置が含まれる領域において予め定められた起点から、予め定義された複数の方向に予め定義された距離だけ離隔した点に囲まれた領域を代替領域として生成する。本例では現在位置を起点とする。起点を基準に複数の方向に予め定義された距離だけ離隔した複数の点をポイントが、領域Bの境界上に沿うように、方向及び距離を定義する。本例では、東、西、南、北、北東、南東、南西、北西、北北東、東北東、東南東、南南東、南南西、西南西、西北西、北北西の16方向と、西南西の領域及び西北西の領域を等角にそれぞれ3区分した4方向とを加えた20方向と、起点からそれぞれの方向軸と領域Bの境界との交点までの距離を定義し、所定方向に所定距離だけ離隔した複数のポイントを定める。代替領域を定義するにあたり、等角の8方向又は16方向を基準としつつ、現在位置と代替領域との位置関係を考慮し、現在位置が代替領域の中心部分から離れた位置となる場合は、本例のように代替領域を定義するための方向を適宜追加してもよい。これら複数のポイントに囲まれた領域を代替領域とした。定義された複数のポイントは合併後のB市の境界上に位置し、生成された代替領域の形状は合併後のB市の形状と近似する。このように、新たに制定されたB市の形状と共通する代替領域を生成することにより、情報提供装置100側が認識できなかったB市の形状に近似させた領域を認識させることができる。つまり、地図データベース自体を更新しなくてもB市のエリア情報をユーザに提供することができる。
【0046】
なお、起点は現在位置ではなく、現在位置を含む領域内の予め定められた起点であってもよい。この場合、起点が新たに定義される代替領域の略中心に位置するように定義することが好ましい。
【0047】
これにより、情報提供サーバ200と情報提供装置100とが共通の領域を認識することができるようになるため、情報提供装置(端末)100側は、更新した最新の地図情報を持たなくても、最新のエリア情報を取得することができるとともに、ユーザ側(情報提供装置100側)の地図データベースの更新に要する通信費用、通信時間等の通信コストを節減することができる。
【0048】
本例では、ポイントが新たな代替領域Bの境界上に位置するように、各方向ごとに起点からの距離を定義したが、ポイントを全方向に同じ所定距離だけ離隔した点としてもよい。
【0049】
代替領域生成手段26は、更新判断手段25により更新されていると判断された更新後の情報の領域(本例では領域B)が所定の面積未満である場合、ユーザ側から取得した現在位置を起点とし、等角の8方向に予め定義された距離だけ離隔した点に囲まれた領域を代替領域として生成し、更新判断手段25により更新されていると判断された更新後の情報の領域(本例では領域B)が所定の面積未満である場合、ユーザ側から取得した現在位置を起点とし、等角の16方向に予め定義された距離だけ離隔した点に囲まれた領域を代替領域として生成してもよい。これにより、広い範囲の領域に更新があった場合には16方向と距離に基づく領域を設定することができるため、代替領域を詳細に設定することができ、実際の領域に近似させて作成することができる。
【0050】
本実施形態によれば、市区郡合併などで、ユーザ側の情報提供装置100と、情報提供者側の情報提供サーバ200との間で、地図情報が異なってしまった場合であっても、ユーザ側の情報提供装置100に新しい地図情報をダウンロードすることなく、エリア情報をユーザに提供することができる。これにより、地図データのバージョンに影響されることなく、所定領域に関する情報(エリア情報)を提供することができ、更新の度に必要となる地図情報のダウンロード等に要する時間、通信料金を節約することができる。
【0051】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態のブロック構成図である。
【図2】本実施形態の代替領域のデータ例を示す図である。
【図3】(A)(B)は、本実施形態の代替領域の例を説明するための図である。
【図4】本実施形態の車載の情報提供装置と、情報提供サーバとの制御手順を示すフローチャートである。
【図5】エリア情報の表示例を示す図である。
【図6】エリア情報の他の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
100…情報提供装置
11…ユーザ側通信手段
12…取得要求送出手段
13…現在位置取得手段
14…情報編集手段
141…代替領域取得手段
142…情報取得部
143…地図データベース
15…出力手段
200…情報提供サーバ
21…サーバ側通信手段
22…要求取得手段
23…現在位置取得手段(サーバ側)
24…情報選択手段
241・・・情報データベース
25…更新判断手段
26…代替領域生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも領域が指定された情報をユーザに提示する情報提供取得システムであって、
前記ユーザ側から情報の取得要求を取得する要求取得手段と、
前記ユーザの現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記ユーザの現在位置と所定の関係を有する領域についての情報を選択する情報選択手段と、
前記取得要求に係る領域の更新状態を判断する更新判断手段と、
前記更新判断手段が、前記取得要求に係る情報の領域は更新されていると判断した場合、前記ユーザの現在位置に基づく代替領域を生成する代替領域生成手段と、
前記代替領域生成手段により生成された代替領域と前記情報選択手段により選択された情報とを前記ユーザ側に向けて送信する通信手段と、を有する情報提供サーバと、
前記情報提供サーバから送信された代替領域と前記情報とを取得し、前記代替領域に関する情報を編集する情報編集手段と、
前記情報編集手段により編集された前記代替領域の範囲と前記代替領域に関する情報を前記ユーザに向けて出力する出力手段と、を有する情報提供装置とを備えた情報提供システム。
【請求項2】
前記代替領域生成手段は、前記ユーザ側から取得した現在位置と所定の位置関係にある複数のポイントにより囲まれた領域を代替領域として生成する請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記代替領域生成手段は、前記ユーザ側から取得した現在位置に基づいて定義された起点から、予め定義された複数の方向に予め定義された距離だけ離隔した点に囲まれた領域を代替領域として生成する請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記代替領域生成手段は、前記更新判断手段により更新されていると判断された更新後の前記情報の領域が所定の面積未満である場合、前記ユーザ側から取得した現在位置に基づいて定義された起点から、等角の8方向に予め定義された距離だけ離隔した点に囲まれた領域を代替領域として生成し、
前記更新判断手段により更新されていると判断された更新後の前記情報の領域が所定の面積以上である場合、前記ユーザ側から取得した現在位置に基づいて定義された起点から、等角の16方向に予め定義された距離だけ離隔した点に囲まれた領域を代替領域として生成する請求項3に記載の情報提供システム。
【請求項5】
少なくとも領域が指定された情報を、通信手段を介してユーザに提供する情報提供サーバであって、
前記ユーザ側から情報の取得要求を取得する要求取得手段と、
前記ユーザ側からユーザの現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記ユーザの現在位置と所定の関係を有する領域についての情報を選択する情報選択手段と、
前記取得要求に係る領域の更新状態を判断する判断手段と、
前記判断手段が、前記取得要求に係る情報の領域は更新されていると判断した場合、前記ユーザの現在位置に基づく代替領域を生成する代替領域生成手段と、
前記代替領域生成手段により生成された代替領域と前記情報選択手段により選択された情報とを前記ユーザ側に向けて送信する通信手段と、を有する情報提供サーバ。
【請求項6】
少なくとも領域が指定された情報を情報提供者から取得して、ユーザに提供する情報提供装置であって、
前記情報の取得要求を情報提供者側に送出する取得要求送出手段と、
前記現在位置を取得して情報提供者側に通知する現在位置取得手段と、
前記取得要求において指定された領域が更新されている旨の判断を情報提供者側から取得した場合、前記現在位置に基づいて前記情報提供者側により生成された代替領域と、前記ユーザの現在位置と所定の関係を有する領域についての情報とを前記情報提供者側から取得し、前記代替領域に関する情報を編集する情報編集手段と、
前記情報編集手段により生成された前記代替領域に関する情報を前記ユーザに向けて出力する出力手段と、を有する情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−96212(P2008−96212A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276730(P2006−276730)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】