情報提供システム、情報提供方法および情報提供装置
【課題】ユーザの目的地に関する情報を提供するサービスにおいて、ユーザによる目的地の指定を容易化する。
【解決手段】携帯情報端末10は、地図を撮像してその画像を取得する。ナビゲーションサーバ12は、地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて記憶した記憶領域を参照し、携帯情報端末10により取得された地図画像に記載された複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、各ランドマークの現実の位置を特定する。ナビゲーションサーバ12は、地図画像におけるユーザの目的地を取得し、複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて目的地の現実の位置を特定する。携帯情報端末10は、ナビゲーションサーバ12により特定された目的地の現実の位置に応じた目的地に関する情報をユーザへ提示する。
【解決手段】携帯情報端末10は、地図を撮像してその画像を取得する。ナビゲーションサーバ12は、地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて記憶した記憶領域を参照し、携帯情報端末10により取得された地図画像に記載された複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、各ランドマークの現実の位置を特定する。ナビゲーションサーバ12は、地図画像におけるユーザの目的地を取得し、複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて目的地の現実の位置を特定する。携帯情報端末10は、ナビゲーションサーバ12により特定された目的地の現実の位置に応じた目的地に関する情報をユーザへ提示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理技術に関し、特に、ユーザを支援するための情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの携帯情報端末を介して目的地までの経路をユーザへ提示するナビゲーションサービスが提供されている。その一方、街頭に設置された看板や紙媒体等のアナログ媒体に描かれた地図(以下、総称して「アナログ地図」とも呼ぶ。)は、限られた地域について一般的な地図よりも詳細に情報が記載されている場合があり、また視認性が良いことから現在でも利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−101838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーションサービスの利用時には目的地を設定する必要がある。しかし、携帯情報端末に通常表示される地図(アナログ地図に対して「デジタル地図」とも呼ぶ。)の情報量は、アナログ地図の情報量より少ない場合がある。デジタル地図に目的地の情報が記載されていない場合、ユーザが目的地の位置をデジタル地図上で指定することが容易でない場合があった。例えばユーザは街頭のアナログ地図と携帯情報端末に表示されたデジタル地図とを見比べて、アナログ地図に記載された目的地に相当するデジタル地図上の位置を指定する必要があり、ナビゲーションサービスの使い勝手が悪くなることがあった。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ユーザの目的地に関する情報を提供するサービスにおいて、ユーザによる目的地の指定を容易化するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報提供システムは、地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて保持するランドマーク情報保持部と、地図を撮像してその画像を取得する撮像部と、撮像部により取得された地図画像に含まれる複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するランドマーク位置特定部と、地図画像におけるユーザの目的地を取得する目的地取得部と、複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、目的地の現実の位置を特定する目的地位置特定部と、目的地の現実の位置に応じた目的地に関する情報をユーザへ提示する情報提示部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、情報提供方法である。この方法は、地図を撮像してその画像を取得するステップと、地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて記憶した記憶領域を参照し、取得された地図画像に記載された複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するステップと、地図画像におけるユーザの目的地を取得するステップと、複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、目的地の現実の位置を特定するステップと、目的地の現実の位置に応じた目的地に関する情報をユーザへ提示するステップと、を実行する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、情報提供装置である。この装置は、地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて保持するランドマーク情報保持部と、ユーザの端末で撮像された地図画像を取得する地図画像取得部と、地図画像に含まれる複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するランドマーク位置特定部と、地図画像におけるユーザの目的地を取得する目的地取得部と、複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、目的地の現実の位置を特定する目的地位置特定部と、目的地の現実の位置に応じた目的地に関する情報をユーザの端末へ提供する情報提供部と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザの目的地に関する情報を提供するサービスにおいて、ユーザによる目的地の指定を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態のナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図2】図1の携帯情報端末の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1のナビゲーションサーバの機能構成を示すブロック図である。
【図4】アナログ地図画像の例を示す図である。
【図5】アナログ地図画像の例を示す図である。
【図6】アナログ地図画像の例を示す図である。
【図7】アナログ地図画像の例を示す図である。
【図8】アナログ地図画像の例を示す図である。
【図9】デジタル地図画像の例を示す図である。
【図10】携帯情報端末の動作を示すフローチャートである。
【図11】ナビゲーションサーバの動作を示すフローチャートである。
【図12】図11のS42のランドマーク位置特定処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態の構成を説明する前に、まず概要を説明する。
既述したように、これまではアナログ地図とナビゲーションサービスとの連携が不十分であったため、ユーザによる目的地の指定が容易でないことがあった。本実施の形態では、アナログ地図とナビゲーションサービスとをシームレスに連携させることによりユーザの利便性を向上させたナビゲーションシステムを提案する。
【0013】
具体的には、ユーザは携帯情報端末のカメラによりアナログ地図を撮像しつつ、そのアナログ地図上で目的地を指差す。実施の形態のナビゲーションシステムは、アナログ地図が撮像された画像(以下、「アナログ地図画像」とも呼ぶ。)に記載された複数のランドマーク(例えば建造物やシンボル的な自然・モニュメント等)の名称にもとづいて各ランドマークが存在する現実の位置を特定する。ナビゲーションシステムは、アナログ地図画像上の複数のランドマークの現実の位置にもとづいて、アナログ地図画像で指し示された目的地の現実の位置を特定する。以降は、通常のナビゲーションシステムと同様に、ユーザの現在地から目的地までの推奨経路をユーザへ提示する。なお「現実の位置」とは、地理学上の位置とも言え、実施の形態では緯度と経度の組み合わせにより示されることとする。以下、ランドマークの現実の位置を「ランドマーク位置」、目的地の現実の位置を「目的地位置」とも呼ぶ。
【0014】
図1は、実施の形態のナビゲーションシステムの構成を示す。ナビゲーションシステム100は、携帯情報端末10とナビゲーションサーバ12を備える。携帯情報端末10とナビゲーションサーバ12は、LAN・WAN・インターネット等、有線および無線の通信網14を介して接続される。
【0015】
携帯情報端末10は、ユーザが移動中に操作する情報処理端末であり、例えば携帯電話機や、スマートフォン、タブレット端末、ノートPCであってもよい。ナビゲーションサーバ12は、携帯情報端末10から送信されたアナログ地図画像を解析して、現在地から目的地までの推奨経路の情報を携帯情報端末10へ提供する情報処理装置である。
【0016】
図2は、図1の携帯情報端末10の機能構成を示すブロック図である。携帯情報端末10は、操作受付部20と、撮像部22と、ユーザ位置特定部24と、地図画像送信部26と、付加情報取得部28と、案内情報取得部30と、表示制御部32と、ディスプレイ34を有する。
【0017】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、図2の各機能ブロックは、ナビゲーション用アプリケーション(以下、「ナビアプリ」とも呼ぶ。)として記録媒体に格納され、携帯情報端末10のストレージへインストールされてもよい。そして、ナビアプリ起動時に携帯情報端末10のメインメモリに読み出されてCPUにて実行されてもよい。
【0018】
操作受付部20は、携帯情報端末10に設けられたボタン等、各種の入力装置に対するユーザの操作を受け付ける。撮像部22は、ユーザにより決定されたアナログ地図を撮像し、そのアナログ地図画像を取得する。ユーザ位置特定部24は、GPS(Global Positioning System)受信機として機能し、GPS衛星から送信された信号を受信して、携帯情報端末10の現在位置、言い換えればユーザが現実に存在する位置を示す経度および緯度(以下、「ユーザ位置」とも呼ぶ。)を特定する。地図画像送信部26は、撮像部22により撮像されたアナログ地図画像と、ユーザ位置特定部24により特定されたユーザ位置の情報をナビゲーションサーバ12へ送信する。
【0019】
付加情報取得部28は、アナログ地図画像に対して付加的に表示させるべき情報(以下、「付加情報」とも呼ぶ。)のカテゴリ(以下、「付加情報カテゴリ」とも呼ぶ。)をユーザが選択した場合、その付加情報カテゴリを操作受付部20を介して受け付ける。そして付加情報カテゴリをナビゲーションサーバ12へ送信し、その応答としてナビゲーションサーバ12から送信された付加情報と、アナログ地図画像上での付加情報の表示位置を受信する。案内情報取得部30は、ナビゲーションサーバ12から送信された現在地から目的地までの推奨経路を示す情報(以下、「案内情報」とも呼ぶ。)を受信する。
【0020】
ディスプレイ34は、携帯情報端末10に搭載された液晶ディスプレイである。表示制御部32は、撮像部22により取得されたアナログ地図画像をディスプレイ34へ表示させる。また、付加情報取得部28において付加情報が取得された場合、その付加情報に対応づけられた表示位置においてアナログ地図画像に重ねて付加情報を表示させる。なお表示制御部32は、公知のAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いて付加情報を表示させてもよい。また表示制御部32は、案内情報取得部30により案内情報が取得された場合、その案内情報をディスプレイ34へ表示させる。
【0021】
図3は、図1のナビゲーションサーバ12の機能構成を示すブロック図である。ナビゲーションサーバ12は、ランドマーク情報保持部40と、付加情報保持部42と、地図情報保持部44と、地図画像取得部46と、ランドマーク位置特定部48と、縮尺特定部49と、付加情報カテゴリ受付部50と、付加情報決定部52と、付加情報提供部54と、目的地取得部56と、目的地位置特定部58と、案内情報設定部60と、案内情報提供部62を有する。
【0022】
ランドマーク情報保持部40はいわゆるPOI(Points Of Interest)データベースであり、アナログ地図に記載される複数のランドマークの識別記号と、複数のランドマークの現実の位置(すなわちランドマーク位置)とを対応づけて保持する。例えば、ランドマーク名称を示す文字列「AAビル」と、AAビルの所在地の経度および緯度を対応づけて保持する。実施の形態では、アナログ地図に記載されるランドマークの識別記号は、ランドマークの名称を示す文字列とするが、変形例として、ランドマークに特徴的な形状や模様等であってもよい。
【0023】
付加情報保持部42もいわゆるPOIデータベースであり、アナログ地図画像に付加して表示させるべき付加情報と、その付加情報が関連する現実の位置(以下、「付加情報関連位置」とも呼ぶ。)とを対応づけて保持する。付加情報保持部42は、コンビニエンスストア、カラオケ、イベント(例えばコンサートや展覧会)等の所定のカテゴリ別に、付加情報と付加情報関連位置とを保持する。例えばカテゴリ:コンビニエンスストアの場合、「コンビニエンスストアX店」、「コンビニエンスストアY店」と、各店舗の所在地の経度および緯度を対応づけて保持してもよい。また、カテゴリ:イベントの場合、「アーティスト○○のコンサート」、「△△の展覧会」と、各イベント会場の所在地の経度および緯度を対応づけて保持してもよい。
【0024】
地図情報保持部44は、携帯情報端末10に提供する案内情報で表示させるべきデジタル地図のデータを保持する。例えば、ラスター地図としての画像データを保持してもよく、ベクター地図としてのデータを保持してもよい。
【0025】
地図画像取得部46は、携帯情報端末10から送信されたアナログ地図画像とユーザ位置の情報を受信する。ランドマーク位置特定部48は、アナログ地図画像に含まれる文字列を検出する。例えば、公知のOCR(Optical Character Reader)技術を用いてアナログ地図画像に記載された文字列を検出してもよい。ランドマーク位置特定部48は、複数個検出した文字列のそれぞれを検索キーとして順次選択し、ランドマーク情報保持部40に保持されたランドマークの識別記号を検索する。
【0026】
ランドマーク位置特定部48は、ある検出文字列の検索においてランドマークの識別記号が一意に特定された(典型的にはランドマークの識別記号が1つだけヒットした)場合、そのランドマークをアナログ地図画像における第1ランドマークとする。そして、ランドマーク情報保持部40において第1ランドマークの識別記号と対応づけられたランドマーク位置を取得する。同様に別の検出文字列も検索して、アナログ地図画像における第2ランドマークを特定し、そのランドマーク位置を取得する。
【0027】
ある検出文字列の検索においてランドマークの識別記号が一意に特定できない(例えば複数のランドマークの識別記号がヒットした、もしくは識別記号がヒットしなかった)場合、別の検出文字列を新たな検索キーとして選択し、ランドマークの識別記号の検索処理を再度試行する。言い換えれば、ある検出文字列の検索においてランドマーク位置が一意に特定できない場合、別の検出文字列を選択してランドマーク位置の特定を再度試行する。ランドマーク位置特定部48は、アナログ地図画像における少なくとも2つのランドマーク(本実施の形態では第1ランドマークと第2ランドマークの2つ)の現実の位置を特定する。
【0028】
なおランドマーク位置特定部48は、アナログ地図画像から現在地を示す文字列、例えば「現在地」、「現在位置」、「この場所」、「ここ」等の文字列を検出した場合、アナログ地図画像でのその文字列の記載箇所を第1ランドマークとする。そして携帯情報端末10から受信されたユーザ位置を、第1ランドマークの現実の位置として決定する。この場合も第2ランドマークについては、上述した検索処理を実行してそのランドマーク位置を特定する。
【0029】
縮尺特定部49は、第1ランドマークの現実の位置(経度・緯度)と、第2ランドマークの現実の位置(経度・緯度)とにもとづいてアナログ地図画像の縮尺を特定する。具体的には、アナログ地図画像における第1ランドマークと第2ランドマーク間の横(水平)方向の距離と、現実の位置の変化量にしたがって、アナログ地図画像の横方向での所定の単位量(例えば1ミリ)あたりの変化に伴う現実の位置の変化量を算出する。また、アナログ地図画像における第1ランドマークと第2ランドマーク間の縦(垂直)方向の距離と、現実の位置の変化量にしたがって、アナログ地図画像の縦方向での所定の単位量あたりの変化に伴う現実の位置の変化量を算出する。
【0030】
アナログ地図画像の例を示す図4を参照してさらに説明する。縮尺特定部49は、アナログ地図画像90の第1ランドマーク92と第2ランドマーク94間の横方向の距離(X)と、第1ランドマーク92と第2ランドマーク94の現実の位置とにしたがって、アナログ地図画像90の横方向での単位量あたりの経度および緯度の変化量を算出する。また、第1ランドマーク92と第2ランドマーク94間の縦方向の距離(Y)と、第1ランドマーク92と第2ランドマーク94の現実の位置とにしたがって、アナログ地図画像90の縦方向での単位量あたりの経度および緯度の変化量を算出する。
【0031】
図3に戻り、付加情報カテゴリ受付部50は、携帯情報端末10から送信された付加情報カテゴリを受信する。付加情報決定部52は、付加情報保持部42に保持された付加情報のうち、携帯情報端末10により指定された付加情報カテゴリに割り当てられた付加情報を付加情報候補として特定する。以下、付加情報候補の中から、アナログ地図画像に表示させるべき付加情報を決定する方法を、図4を参照して説明する。
【0032】
付加情報決定部52は、縮尺特定部49により特定されたアナログ地図画像90の横方向での単位量あたりの経度および緯度の変化量にしたがって、横方向に画像端まで移動した場合(aおよびb)の経度および緯度の変化量を算出する。同様に、縮尺特定部49により特定されたアナログ地図画像90の縦方向での単位量あたりの経度および緯度の変化量にしたがって、縦方向に画像端まで移動した場合(cおよびd)の経度および緯度の変化量を算出する。そして、画像端部96a〜画像端部96dの現実の位置(経度および緯度)を特定する。付加情報決定部52は、付加情報候補のうち付加情報関連位置が画像端部96a〜画像端部96dの経度および緯度の範囲に含まれるものを、アナログ地図画像90とともに表示させるべき付加情報として特定する。
【0033】
付加情報決定部52は、第1ランドマーク92および第2ランドマーク94の現実の位置と、アナログ地図画像90とともに表示させるべき付加情報の付加情報関連位置とに応じて、アナログ地図画像90上での付加情報の表示位置を決定する。例えば、第1ランドマーク92もしくは第2ランドマーク94を起点とし、縮尺特定部49により特定された横方向および縦方向の単位量あたりの経度および緯度の変化量にしたがって、付加情報関連位置に対応するアナログ地図画像90上の位置を特定し、その位置を付加情報の表示位置としてもよい。
【0034】
図3に戻り、付加情報提供部54は、アナログ地図画像に表示させるべき付加情報と、その付加情報のアナログ地図画像上での表示位置とを携帯情報端末10へ送信する。
【0035】
目的地取得部56は、アナログ地図に対してユーザがアクションにて指し示したユーザの目的地を取得する。例えば、アナログ地図画像に含まれるユーザの指画像の位置を典型的な指画像とのマッチングより特定する。そして、その指画像のうちユーザが特定の位置を指し示す箇所として予め定められた箇所(典型的には指画像の先端)に対応するアナログ地図画像の位置をユーザの目的地として特定する。
【0036】
目的地位置特定部58は、第1ランドマーク92および第2ランドマーク94の現実の位置と、アナログ地図画像におけるユーザの目的地に応じて、その目的地の現実の位置を特定する。その具体的な方法を、アナログ地図画像の例を示す図5を参照して説明する。
【0037】
目的地位置特定部58は、縮尺特定部49により特定されたアナログ地図画像90の横方向での単位量あたりの経度および緯度の変化量にしたがって、第1ランドマーク92から横方向で目的地98までの距離(a)に対応する、第1ランドマーク92からの経度および緯度の変化量を算出する。同様に、第1ランドマーク92から縦方向で目的地98までの距離(b)に対応する、第1ランドマーク92からの経度および緯度の変化量を算出する。そして、第1ランドマーク92から横方向にa、縦方向にb移動した場所に位置する目的地98の現実の位置を算出する。なお、第2ランドマーク94を起点としてもよいことはもちろんである。
【0038】
図3に戻り、案内情報設定部60は、地図画像取得部46において受信されたユーザ位置と、目的地位置特定部58において特定された目的地位置とに応じて、ユーザ位置から目的地位置までの推奨経路を決定する。推奨経路の決定アルゴリズムは公知の技術が適用されてよい。案内情報設定部60は、地図情報保持部44に格納されたデジタル地図に対して、ユーザ位置(ユーザの現在地)、目的地および推奨経路を付加した案内情報を設定する。案内情報提供部62は、案内情報設定部60により設定された案内情報を携帯情報端末10へ送信する。
【0039】
以下、図6〜図9を参照して、携帯情報端末10においてアナログ地図が撮像されてから案内情報が表示されるまでの、携帯情報端末10のディスプレイ34での表示内容を説明する。
【0040】
図6はアナログ地図画像の例を示す。同図のアナログ地図画像70は、駅前等で所定の構造物に固定された看板に描かれたアナログ地図を携帯情報端末10により撮像したものである。アナログ地図画像90には、ランドマークの識別記号として、ランドマーク記号72aで示す文字列「AAビル」、ランドマーク記号72bで示す文字列「BBビル」、ランドマーク記号72cで示す文字列「CCビル」と、現在地記号74で示す文字列「現在地」が含まれる。アナログ地図画像70内の実線は道路を示している。
【0041】
図7もアナログ地図画像の例を示す。ここではユーザにより付加情報カテゴリ「コンビニエンスストア」が選択されたこととする。ナビゲーションサーバ12は、アナログ地図画像70の範囲内に位置するコンビニエンスストアを示す付加情報を携帯情報端末10へ提供する。携帯情報端末10は、アナログ地図画像70にコンビニエンスストアを示すコンビニ記号76a〜コンビニ記号76cを重ねて表示させる。
【0042】
図8もアナログ地図画像の例を示す。同図は、付加情報が表示されたアナログ地図画像70を参照しつつ、ユーザが目的地78を指し示した状態を撮像したものである。このようにアナログ地図画像70に付加情報を追加して表示させることにより、もともとアナログ地図ではユーザに提供されなかった情報(例えばコンビニエンスストアの情報やイベント情報等)をユーザへ提示でき、ユーザによる目的地の指定を支援することができる。例えば、「コンビニZの向かい側」等の情報にもとづいてユーザは容易に目的地を指定できる。
【0043】
図9はデジタル地図画像の例を示す。同図は、ユーザの現在地から目的地までの推奨経路が描かれたデジタル地図画像80を示している。図7で示したようにアナログ地図画像70において目的地が指定された場合に、ナビゲーションサーバ12はランドマーク位置にもとづいて目的地位置を特定し、ユーザの現在地82から目的地84までの推奨経路86を示すデジタル地図画像80を案内情報として携帯情報端末10に提供する。そして、携帯情報端末10は、その案内情報をディスプレイに表示させる。
【0044】
本実施の形態のナビゲーションシステム100によれば、アナログ地図上での目的地の指定と、デジタル地図上での推奨経路の表示とをシームレスに連携させることができる。ユーザは、アナログ地図上で目的地を指差すだけで、現在地から目的地までの案内情報を取得することができる。既述したように、アナログ地図には記載された情報がデジタル地図では記載されない場合があり、また看板等に描かれたアナログ地図は視認性も高いため、ユーザによる目的地の容易な指定を実現できる。
【0045】
以上の構成によるナビゲーションシステム100の動作を説明する。
図10は、携帯情報端末10の動作を示すフローチャートである。操作受付部20においてナビアプリの起動要求が受け付けられると(S10のY)、ユーザ位置特定部24はユーザ位置を特定し(S12)、撮像部22はユーザにより指定されたアナログ地図を撮像する(S14)。表示制御部32は、撮像部22により撮像されたアナログ地図画像をディスプレイ34へ表示させる(S16)。地図画像送信部26は、アナログ地図画像とユーザ位置とをナビゲーションサーバ12へ通知する(S18)。ユーザにより付加情報カテゴリが選択された場合(S20のY)、付加情報取得部28は選択された付加情報カテゴリをナビゲーションサーバ12へ通知する(S22)。付加情報カテゴリが未選択であれば(S20のN)、S22はスキップされる。
【0046】
付加情報取得部28がナビゲーションサーバ12から付加情報と表示位置の情報を受け付けた場合(S24のY)、表示制御部32はその表示位置で特定されるアナログ地図画像の位置に付加情報を重畳表示させる(S26)。ナビゲーションサーバ12からの付加情報の提供がなければ(S24のN)、S26はスキップされる。案内情報取得部30がナビゲーションサーバ12から案内情報を受け付けた場合(S28のY)、表示制御部32はその案内情報をディスプレイ34へ表示させる(S30)。案内情報を未取得の場合(S28のN)、予め定められた時間が経過するまで待機し(S32のN)、その時間が経過すると(S32のY)、S12へ戻り、再度アナログ地図を撮像してその画像をナビゲーションサーバ12へ送信する。携帯情報端末10の操作受付部20においてナビアプリの起動要求を受け付けなければ(S10のN)、以降のフローをスキップして本図のフローを終了する。
【0047】
図11は、ナビゲーションサーバ12の動作を示すフローチャートである。地図画像取得部46が携帯情報端末10からアナログ地図画像およびユーザ位置を受け付けると(S40のY)、ランドマーク位置特定部48は、ランドマーク位置特定処理を実行して2つのランドマークの現実の位置を特定する(S42)。縮尺特定部49は、2つのランドマークの現実の位置に応じてアナログ地図画像の縮尺を特定する(S44)。目的地取得部56がユーザにより指し示されたアナログ地図画像上での目的地を検出すると(S46のY)、目的地位置特定部58はランドマーク位置および縮尺に応じて目的地の現実の位置を特定する(S48)。案内情報設定部60はユーザ位置から目的地までの推奨経路を示す案内情報を設定し(S50)、案内情報提供部62はその案内情報を携帯情報端末10へ提供する(S52)。
【0048】
アナログ地図画像上での目的地が未検出で(S46のN)、付加情報カテゴリ受付部50が携帯情報端末10から付加情報カテゴリを受け付けた場合(S54のY)、付加情報決定部52はランドマーク位置および縮尺に応じてアナログ地図画像に表示させるべき付加情報とその表示位置とを決定する(S56)。付加情報提供部54は付加情報とアナログ地図画像上での表示位置とを携帯情報端末10へ提供してS40へ戻る(S58)。付加情報カテゴリを未受信であれば(S54のN)、S56およびS58をスキップしてS40へ戻る。地図画像取得部46がアナログ地図画像を受け付けなければ(S40のN)、以降のステップをスキップして本図のフローを終了する。
【0049】
図12は、図11のS42のランドマーク位置特定処理を詳細に示すフローチャートである。まずアナログ地図画像内に記載された文字列を取得する(S60)。その文字列の中に現在地を示す所定のキーワードと合致する文字列が存在した場合(S62のY)、その文字列をランドマークの1つとし、現在地の現実の位置を携帯情報端末10から受け付けられたユーザ位置に特定する(S64)。アナログ地図画像内に現在地を示す文字列がなければ(S62のN)、S64はスキップされる。続いて、アナログ地図画像内に記載された文字列を検索キーとして、ランドマーク情報保持部40のランドマーク文字列を検索する(S66)。ランドマーク文字列が一意に特定された場合(S68のY)、そのランドマーク文字列に対応づけられたランドマーク位置を取得する(S70)。現在地も1つのランドマークとしてカウントした上で合計2つのランドマーク位置を特定した場合(S72のY)、本図のフローを終了する。2つのランドマーク位置を未特定であれば(S72のN)、S66に戻る。また、ランドマーク情報保持部40の検索においてランドマーク文字列を一意に特定できない場合(S68のN)、S70およびS72をスキップしてS66へ戻り、アナログ地図画像内に記載された別の文字列を検索キーとする。
【0050】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
第1の変形例を説明する。上記実施の形態では、アナログ地図に対してユーザがアクションにより目的地を指し示した上でそのアナログ地図を撮像し、ナビゲーションサーバ12の目的地取得部56は、そのアナログ地図画像から目的地を検出することとした。変形例において、ユーザは、携帯情報端末10のディスプレイ34に表示されたアナログ地図画像の中から目的地をポイントする。例えば、アナログ地図画像においてユーザの目的地にあたる部分にタッチしてもよい。この場合、地図画像送信部26は、アナログ地図画像をナビゲーションサーバ12へ送信する際に、ユーザが目的地としてポイントしたアナログ地図画像上の位置を示す情報をあわせて送信する。ナビゲーションサーバ12の目的地位置特定部58は、第1ランドマーク92および第2ランドマーク94の現実の位置と、携帯情報端末10から通知されたアナログ地図画像におけるユーザの目的地に応じて、その目的地の現実の位置を特定する。
【0052】
第2の変形例を説明する。上記実施の形態では、ナビゲーションサーバ12のランドマーク位置特定部48は、アナログ地図画像から検出したある文字列によりランドマーク識別記号を1つに特定できない(言い換えればランドマーク位置を1つに特定できない)場合、別の検出文字列でランドマーク識別記号の特定を再度試行することとした。変形例では、ランドマーク位置特定部48は、ある検出文字列で複数個のランドマーク識別記号がヒットした場合に、それら複数個のランドマーク識別記号を示す情報を携帯情報端末10へ通知してもよい。携帯情報端末10の表示制御部32は、それら複数個のランドマーク識別記号をディスプレイ34へ表示させてユーザに1つのランドマーク識別記号を選択させてもよい。携帯情報端末10は、ユーザにより選択されたランドマーク識別記号をナビゲーションサーバ12へ通知し、ナビゲーションサーバ12のランドマーク位置特定部48はユーザにより選択されたランドマーク識別記号を第1ランドマークもしくは第2ランドマークとして決定してもよい。この変形例によれば、ランドマークの特定にユーザの判断を反映させてアナログ地図画像のランドマークを一意に特定しやすくなる。
【0053】
第3の変形例を説明する。携帯情報端末10により撮像対象となる地図はアナログ地図に限られない。例えば、他の携帯情報端末に表示されたデジタル地図が撮像されてもよい。そして、携帯情報端末10の地図画像送信部26は、そのデジタル地図を撮像した画像と、そのデジタル地図に対してユーザが指し示した目的地をナビゲーションサーバ12へ送信してもよい。
【0054】
第4の変形例を説明する。上記実施の形態もしくは上記変形例においてナビゲーションサーバ12が有することとした機能の一部もしくは全部を携帯情報端末10が有してもよい。例えば携帯情報端末10は、アナログ地図画像に含まれる文字列を検出して検出文字列をナビゲーションサーバ12へ渡し、ナビゲーションサーバ12からランドマーク位置を取得して、ランドマーク位置にもとづいてアナログ地図の縮尺を特定してもよい。また携帯情報端末10は、アナログ地図画像からユーザの目的地を検出して、ランドマーク位置および縮尺にもとづいて目的地位置を特定してもよい。また携帯情報端末10は地図情報保持部44を有し、ユーザ位置と目的地位置とにもとづいて案内情報を設定してもよい。
【0055】
上述した実施の形態、変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0056】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0057】
10 携帯情報端末、 12 ナビゲーションサーバ、 22 撮像部、 24 ユーザ位置特定部、 32 表示制御部、 40 ランドマーク情報保持部、 42 付加情報保持部、 48 ランドマーク位置特定部、 49 縮尺特定部、 52 付加情報決定部、 56 目的地取得部、 58 目的地位置特定部、 60 案内情報設定部、 100 ナビゲーションシステム。
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理技術に関し、特に、ユーザを支援するための情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの携帯情報端末を介して目的地までの経路をユーザへ提示するナビゲーションサービスが提供されている。その一方、街頭に設置された看板や紙媒体等のアナログ媒体に描かれた地図(以下、総称して「アナログ地図」とも呼ぶ。)は、限られた地域について一般的な地図よりも詳細に情報が記載されている場合があり、また視認性が良いことから現在でも利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−101838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーションサービスの利用時には目的地を設定する必要がある。しかし、携帯情報端末に通常表示される地図(アナログ地図に対して「デジタル地図」とも呼ぶ。)の情報量は、アナログ地図の情報量より少ない場合がある。デジタル地図に目的地の情報が記載されていない場合、ユーザが目的地の位置をデジタル地図上で指定することが容易でない場合があった。例えばユーザは街頭のアナログ地図と携帯情報端末に表示されたデジタル地図とを見比べて、アナログ地図に記載された目的地に相当するデジタル地図上の位置を指定する必要があり、ナビゲーションサービスの使い勝手が悪くなることがあった。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ユーザの目的地に関する情報を提供するサービスにおいて、ユーザによる目的地の指定を容易化するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報提供システムは、地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて保持するランドマーク情報保持部と、地図を撮像してその画像を取得する撮像部と、撮像部により取得された地図画像に含まれる複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するランドマーク位置特定部と、地図画像におけるユーザの目的地を取得する目的地取得部と、複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、目的地の現実の位置を特定する目的地位置特定部と、目的地の現実の位置に応じた目的地に関する情報をユーザへ提示する情報提示部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、情報提供方法である。この方法は、地図を撮像してその画像を取得するステップと、地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて記憶した記憶領域を参照し、取得された地図画像に記載された複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するステップと、地図画像におけるユーザの目的地を取得するステップと、複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、目的地の現実の位置を特定するステップと、目的地の現実の位置に応じた目的地に関する情報をユーザへ提示するステップと、を実行する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、情報提供装置である。この装置は、地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて保持するランドマーク情報保持部と、ユーザの端末で撮像された地図画像を取得する地図画像取得部と、地図画像に含まれる複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するランドマーク位置特定部と、地図画像におけるユーザの目的地を取得する目的地取得部と、複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、目的地の現実の位置を特定する目的地位置特定部と、目的地の現実の位置に応じた目的地に関する情報をユーザの端末へ提供する情報提供部と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザの目的地に関する情報を提供するサービスにおいて、ユーザによる目的地の指定を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態のナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図2】図1の携帯情報端末の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1のナビゲーションサーバの機能構成を示すブロック図である。
【図4】アナログ地図画像の例を示す図である。
【図5】アナログ地図画像の例を示す図である。
【図6】アナログ地図画像の例を示す図である。
【図7】アナログ地図画像の例を示す図である。
【図8】アナログ地図画像の例を示す図である。
【図9】デジタル地図画像の例を示す図である。
【図10】携帯情報端末の動作を示すフローチャートである。
【図11】ナビゲーションサーバの動作を示すフローチャートである。
【図12】図11のS42のランドマーク位置特定処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態の構成を説明する前に、まず概要を説明する。
既述したように、これまではアナログ地図とナビゲーションサービスとの連携が不十分であったため、ユーザによる目的地の指定が容易でないことがあった。本実施の形態では、アナログ地図とナビゲーションサービスとをシームレスに連携させることによりユーザの利便性を向上させたナビゲーションシステムを提案する。
【0013】
具体的には、ユーザは携帯情報端末のカメラによりアナログ地図を撮像しつつ、そのアナログ地図上で目的地を指差す。実施の形態のナビゲーションシステムは、アナログ地図が撮像された画像(以下、「アナログ地図画像」とも呼ぶ。)に記載された複数のランドマーク(例えば建造物やシンボル的な自然・モニュメント等)の名称にもとづいて各ランドマークが存在する現実の位置を特定する。ナビゲーションシステムは、アナログ地図画像上の複数のランドマークの現実の位置にもとづいて、アナログ地図画像で指し示された目的地の現実の位置を特定する。以降は、通常のナビゲーションシステムと同様に、ユーザの現在地から目的地までの推奨経路をユーザへ提示する。なお「現実の位置」とは、地理学上の位置とも言え、実施の形態では緯度と経度の組み合わせにより示されることとする。以下、ランドマークの現実の位置を「ランドマーク位置」、目的地の現実の位置を「目的地位置」とも呼ぶ。
【0014】
図1は、実施の形態のナビゲーションシステムの構成を示す。ナビゲーションシステム100は、携帯情報端末10とナビゲーションサーバ12を備える。携帯情報端末10とナビゲーションサーバ12は、LAN・WAN・インターネット等、有線および無線の通信網14を介して接続される。
【0015】
携帯情報端末10は、ユーザが移動中に操作する情報処理端末であり、例えば携帯電話機や、スマートフォン、タブレット端末、ノートPCであってもよい。ナビゲーションサーバ12は、携帯情報端末10から送信されたアナログ地図画像を解析して、現在地から目的地までの推奨経路の情報を携帯情報端末10へ提供する情報処理装置である。
【0016】
図2は、図1の携帯情報端末10の機能構成を示すブロック図である。携帯情報端末10は、操作受付部20と、撮像部22と、ユーザ位置特定部24と、地図画像送信部26と、付加情報取得部28と、案内情報取得部30と、表示制御部32と、ディスプレイ34を有する。
【0017】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、図2の各機能ブロックは、ナビゲーション用アプリケーション(以下、「ナビアプリ」とも呼ぶ。)として記録媒体に格納され、携帯情報端末10のストレージへインストールされてもよい。そして、ナビアプリ起動時に携帯情報端末10のメインメモリに読み出されてCPUにて実行されてもよい。
【0018】
操作受付部20は、携帯情報端末10に設けられたボタン等、各種の入力装置に対するユーザの操作を受け付ける。撮像部22は、ユーザにより決定されたアナログ地図を撮像し、そのアナログ地図画像を取得する。ユーザ位置特定部24は、GPS(Global Positioning System)受信機として機能し、GPS衛星から送信された信号を受信して、携帯情報端末10の現在位置、言い換えればユーザが現実に存在する位置を示す経度および緯度(以下、「ユーザ位置」とも呼ぶ。)を特定する。地図画像送信部26は、撮像部22により撮像されたアナログ地図画像と、ユーザ位置特定部24により特定されたユーザ位置の情報をナビゲーションサーバ12へ送信する。
【0019】
付加情報取得部28は、アナログ地図画像に対して付加的に表示させるべき情報(以下、「付加情報」とも呼ぶ。)のカテゴリ(以下、「付加情報カテゴリ」とも呼ぶ。)をユーザが選択した場合、その付加情報カテゴリを操作受付部20を介して受け付ける。そして付加情報カテゴリをナビゲーションサーバ12へ送信し、その応答としてナビゲーションサーバ12から送信された付加情報と、アナログ地図画像上での付加情報の表示位置を受信する。案内情報取得部30は、ナビゲーションサーバ12から送信された現在地から目的地までの推奨経路を示す情報(以下、「案内情報」とも呼ぶ。)を受信する。
【0020】
ディスプレイ34は、携帯情報端末10に搭載された液晶ディスプレイである。表示制御部32は、撮像部22により取得されたアナログ地図画像をディスプレイ34へ表示させる。また、付加情報取得部28において付加情報が取得された場合、その付加情報に対応づけられた表示位置においてアナログ地図画像に重ねて付加情報を表示させる。なお表示制御部32は、公知のAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いて付加情報を表示させてもよい。また表示制御部32は、案内情報取得部30により案内情報が取得された場合、その案内情報をディスプレイ34へ表示させる。
【0021】
図3は、図1のナビゲーションサーバ12の機能構成を示すブロック図である。ナビゲーションサーバ12は、ランドマーク情報保持部40と、付加情報保持部42と、地図情報保持部44と、地図画像取得部46と、ランドマーク位置特定部48と、縮尺特定部49と、付加情報カテゴリ受付部50と、付加情報決定部52と、付加情報提供部54と、目的地取得部56と、目的地位置特定部58と、案内情報設定部60と、案内情報提供部62を有する。
【0022】
ランドマーク情報保持部40はいわゆるPOI(Points Of Interest)データベースであり、アナログ地図に記載される複数のランドマークの識別記号と、複数のランドマークの現実の位置(すなわちランドマーク位置)とを対応づけて保持する。例えば、ランドマーク名称を示す文字列「AAビル」と、AAビルの所在地の経度および緯度を対応づけて保持する。実施の形態では、アナログ地図に記載されるランドマークの識別記号は、ランドマークの名称を示す文字列とするが、変形例として、ランドマークに特徴的な形状や模様等であってもよい。
【0023】
付加情報保持部42もいわゆるPOIデータベースであり、アナログ地図画像に付加して表示させるべき付加情報と、その付加情報が関連する現実の位置(以下、「付加情報関連位置」とも呼ぶ。)とを対応づけて保持する。付加情報保持部42は、コンビニエンスストア、カラオケ、イベント(例えばコンサートや展覧会)等の所定のカテゴリ別に、付加情報と付加情報関連位置とを保持する。例えばカテゴリ:コンビニエンスストアの場合、「コンビニエンスストアX店」、「コンビニエンスストアY店」と、各店舗の所在地の経度および緯度を対応づけて保持してもよい。また、カテゴリ:イベントの場合、「アーティスト○○のコンサート」、「△△の展覧会」と、各イベント会場の所在地の経度および緯度を対応づけて保持してもよい。
【0024】
地図情報保持部44は、携帯情報端末10に提供する案内情報で表示させるべきデジタル地図のデータを保持する。例えば、ラスター地図としての画像データを保持してもよく、ベクター地図としてのデータを保持してもよい。
【0025】
地図画像取得部46は、携帯情報端末10から送信されたアナログ地図画像とユーザ位置の情報を受信する。ランドマーク位置特定部48は、アナログ地図画像に含まれる文字列を検出する。例えば、公知のOCR(Optical Character Reader)技術を用いてアナログ地図画像に記載された文字列を検出してもよい。ランドマーク位置特定部48は、複数個検出した文字列のそれぞれを検索キーとして順次選択し、ランドマーク情報保持部40に保持されたランドマークの識別記号を検索する。
【0026】
ランドマーク位置特定部48は、ある検出文字列の検索においてランドマークの識別記号が一意に特定された(典型的にはランドマークの識別記号が1つだけヒットした)場合、そのランドマークをアナログ地図画像における第1ランドマークとする。そして、ランドマーク情報保持部40において第1ランドマークの識別記号と対応づけられたランドマーク位置を取得する。同様に別の検出文字列も検索して、アナログ地図画像における第2ランドマークを特定し、そのランドマーク位置を取得する。
【0027】
ある検出文字列の検索においてランドマークの識別記号が一意に特定できない(例えば複数のランドマークの識別記号がヒットした、もしくは識別記号がヒットしなかった)場合、別の検出文字列を新たな検索キーとして選択し、ランドマークの識別記号の検索処理を再度試行する。言い換えれば、ある検出文字列の検索においてランドマーク位置が一意に特定できない場合、別の検出文字列を選択してランドマーク位置の特定を再度試行する。ランドマーク位置特定部48は、アナログ地図画像における少なくとも2つのランドマーク(本実施の形態では第1ランドマークと第2ランドマークの2つ)の現実の位置を特定する。
【0028】
なおランドマーク位置特定部48は、アナログ地図画像から現在地を示す文字列、例えば「現在地」、「現在位置」、「この場所」、「ここ」等の文字列を検出した場合、アナログ地図画像でのその文字列の記載箇所を第1ランドマークとする。そして携帯情報端末10から受信されたユーザ位置を、第1ランドマークの現実の位置として決定する。この場合も第2ランドマークについては、上述した検索処理を実行してそのランドマーク位置を特定する。
【0029】
縮尺特定部49は、第1ランドマークの現実の位置(経度・緯度)と、第2ランドマークの現実の位置(経度・緯度)とにもとづいてアナログ地図画像の縮尺を特定する。具体的には、アナログ地図画像における第1ランドマークと第2ランドマーク間の横(水平)方向の距離と、現実の位置の変化量にしたがって、アナログ地図画像の横方向での所定の単位量(例えば1ミリ)あたりの変化に伴う現実の位置の変化量を算出する。また、アナログ地図画像における第1ランドマークと第2ランドマーク間の縦(垂直)方向の距離と、現実の位置の変化量にしたがって、アナログ地図画像の縦方向での所定の単位量あたりの変化に伴う現実の位置の変化量を算出する。
【0030】
アナログ地図画像の例を示す図4を参照してさらに説明する。縮尺特定部49は、アナログ地図画像90の第1ランドマーク92と第2ランドマーク94間の横方向の距離(X)と、第1ランドマーク92と第2ランドマーク94の現実の位置とにしたがって、アナログ地図画像90の横方向での単位量あたりの経度および緯度の変化量を算出する。また、第1ランドマーク92と第2ランドマーク94間の縦方向の距離(Y)と、第1ランドマーク92と第2ランドマーク94の現実の位置とにしたがって、アナログ地図画像90の縦方向での単位量あたりの経度および緯度の変化量を算出する。
【0031】
図3に戻り、付加情報カテゴリ受付部50は、携帯情報端末10から送信された付加情報カテゴリを受信する。付加情報決定部52は、付加情報保持部42に保持された付加情報のうち、携帯情報端末10により指定された付加情報カテゴリに割り当てられた付加情報を付加情報候補として特定する。以下、付加情報候補の中から、アナログ地図画像に表示させるべき付加情報を決定する方法を、図4を参照して説明する。
【0032】
付加情報決定部52は、縮尺特定部49により特定されたアナログ地図画像90の横方向での単位量あたりの経度および緯度の変化量にしたがって、横方向に画像端まで移動した場合(aおよびb)の経度および緯度の変化量を算出する。同様に、縮尺特定部49により特定されたアナログ地図画像90の縦方向での単位量あたりの経度および緯度の変化量にしたがって、縦方向に画像端まで移動した場合(cおよびd)の経度および緯度の変化量を算出する。そして、画像端部96a〜画像端部96dの現実の位置(経度および緯度)を特定する。付加情報決定部52は、付加情報候補のうち付加情報関連位置が画像端部96a〜画像端部96dの経度および緯度の範囲に含まれるものを、アナログ地図画像90とともに表示させるべき付加情報として特定する。
【0033】
付加情報決定部52は、第1ランドマーク92および第2ランドマーク94の現実の位置と、アナログ地図画像90とともに表示させるべき付加情報の付加情報関連位置とに応じて、アナログ地図画像90上での付加情報の表示位置を決定する。例えば、第1ランドマーク92もしくは第2ランドマーク94を起点とし、縮尺特定部49により特定された横方向および縦方向の単位量あたりの経度および緯度の変化量にしたがって、付加情報関連位置に対応するアナログ地図画像90上の位置を特定し、その位置を付加情報の表示位置としてもよい。
【0034】
図3に戻り、付加情報提供部54は、アナログ地図画像に表示させるべき付加情報と、その付加情報のアナログ地図画像上での表示位置とを携帯情報端末10へ送信する。
【0035】
目的地取得部56は、アナログ地図に対してユーザがアクションにて指し示したユーザの目的地を取得する。例えば、アナログ地図画像に含まれるユーザの指画像の位置を典型的な指画像とのマッチングより特定する。そして、その指画像のうちユーザが特定の位置を指し示す箇所として予め定められた箇所(典型的には指画像の先端)に対応するアナログ地図画像の位置をユーザの目的地として特定する。
【0036】
目的地位置特定部58は、第1ランドマーク92および第2ランドマーク94の現実の位置と、アナログ地図画像におけるユーザの目的地に応じて、その目的地の現実の位置を特定する。その具体的な方法を、アナログ地図画像の例を示す図5を参照して説明する。
【0037】
目的地位置特定部58は、縮尺特定部49により特定されたアナログ地図画像90の横方向での単位量あたりの経度および緯度の変化量にしたがって、第1ランドマーク92から横方向で目的地98までの距離(a)に対応する、第1ランドマーク92からの経度および緯度の変化量を算出する。同様に、第1ランドマーク92から縦方向で目的地98までの距離(b)に対応する、第1ランドマーク92からの経度および緯度の変化量を算出する。そして、第1ランドマーク92から横方向にa、縦方向にb移動した場所に位置する目的地98の現実の位置を算出する。なお、第2ランドマーク94を起点としてもよいことはもちろんである。
【0038】
図3に戻り、案内情報設定部60は、地図画像取得部46において受信されたユーザ位置と、目的地位置特定部58において特定された目的地位置とに応じて、ユーザ位置から目的地位置までの推奨経路を決定する。推奨経路の決定アルゴリズムは公知の技術が適用されてよい。案内情報設定部60は、地図情報保持部44に格納されたデジタル地図に対して、ユーザ位置(ユーザの現在地)、目的地および推奨経路を付加した案内情報を設定する。案内情報提供部62は、案内情報設定部60により設定された案内情報を携帯情報端末10へ送信する。
【0039】
以下、図6〜図9を参照して、携帯情報端末10においてアナログ地図が撮像されてから案内情報が表示されるまでの、携帯情報端末10のディスプレイ34での表示内容を説明する。
【0040】
図6はアナログ地図画像の例を示す。同図のアナログ地図画像70は、駅前等で所定の構造物に固定された看板に描かれたアナログ地図を携帯情報端末10により撮像したものである。アナログ地図画像90には、ランドマークの識別記号として、ランドマーク記号72aで示す文字列「AAビル」、ランドマーク記号72bで示す文字列「BBビル」、ランドマーク記号72cで示す文字列「CCビル」と、現在地記号74で示す文字列「現在地」が含まれる。アナログ地図画像70内の実線は道路を示している。
【0041】
図7もアナログ地図画像の例を示す。ここではユーザにより付加情報カテゴリ「コンビニエンスストア」が選択されたこととする。ナビゲーションサーバ12は、アナログ地図画像70の範囲内に位置するコンビニエンスストアを示す付加情報を携帯情報端末10へ提供する。携帯情報端末10は、アナログ地図画像70にコンビニエンスストアを示すコンビニ記号76a〜コンビニ記号76cを重ねて表示させる。
【0042】
図8もアナログ地図画像の例を示す。同図は、付加情報が表示されたアナログ地図画像70を参照しつつ、ユーザが目的地78を指し示した状態を撮像したものである。このようにアナログ地図画像70に付加情報を追加して表示させることにより、もともとアナログ地図ではユーザに提供されなかった情報(例えばコンビニエンスストアの情報やイベント情報等)をユーザへ提示でき、ユーザによる目的地の指定を支援することができる。例えば、「コンビニZの向かい側」等の情報にもとづいてユーザは容易に目的地を指定できる。
【0043】
図9はデジタル地図画像の例を示す。同図は、ユーザの現在地から目的地までの推奨経路が描かれたデジタル地図画像80を示している。図7で示したようにアナログ地図画像70において目的地が指定された場合に、ナビゲーションサーバ12はランドマーク位置にもとづいて目的地位置を特定し、ユーザの現在地82から目的地84までの推奨経路86を示すデジタル地図画像80を案内情報として携帯情報端末10に提供する。そして、携帯情報端末10は、その案内情報をディスプレイに表示させる。
【0044】
本実施の形態のナビゲーションシステム100によれば、アナログ地図上での目的地の指定と、デジタル地図上での推奨経路の表示とをシームレスに連携させることができる。ユーザは、アナログ地図上で目的地を指差すだけで、現在地から目的地までの案内情報を取得することができる。既述したように、アナログ地図には記載された情報がデジタル地図では記載されない場合があり、また看板等に描かれたアナログ地図は視認性も高いため、ユーザによる目的地の容易な指定を実現できる。
【0045】
以上の構成によるナビゲーションシステム100の動作を説明する。
図10は、携帯情報端末10の動作を示すフローチャートである。操作受付部20においてナビアプリの起動要求が受け付けられると(S10のY)、ユーザ位置特定部24はユーザ位置を特定し(S12)、撮像部22はユーザにより指定されたアナログ地図を撮像する(S14)。表示制御部32は、撮像部22により撮像されたアナログ地図画像をディスプレイ34へ表示させる(S16)。地図画像送信部26は、アナログ地図画像とユーザ位置とをナビゲーションサーバ12へ通知する(S18)。ユーザにより付加情報カテゴリが選択された場合(S20のY)、付加情報取得部28は選択された付加情報カテゴリをナビゲーションサーバ12へ通知する(S22)。付加情報カテゴリが未選択であれば(S20のN)、S22はスキップされる。
【0046】
付加情報取得部28がナビゲーションサーバ12から付加情報と表示位置の情報を受け付けた場合(S24のY)、表示制御部32はその表示位置で特定されるアナログ地図画像の位置に付加情報を重畳表示させる(S26)。ナビゲーションサーバ12からの付加情報の提供がなければ(S24のN)、S26はスキップされる。案内情報取得部30がナビゲーションサーバ12から案内情報を受け付けた場合(S28のY)、表示制御部32はその案内情報をディスプレイ34へ表示させる(S30)。案内情報を未取得の場合(S28のN)、予め定められた時間が経過するまで待機し(S32のN)、その時間が経過すると(S32のY)、S12へ戻り、再度アナログ地図を撮像してその画像をナビゲーションサーバ12へ送信する。携帯情報端末10の操作受付部20においてナビアプリの起動要求を受け付けなければ(S10のN)、以降のフローをスキップして本図のフローを終了する。
【0047】
図11は、ナビゲーションサーバ12の動作を示すフローチャートである。地図画像取得部46が携帯情報端末10からアナログ地図画像およびユーザ位置を受け付けると(S40のY)、ランドマーク位置特定部48は、ランドマーク位置特定処理を実行して2つのランドマークの現実の位置を特定する(S42)。縮尺特定部49は、2つのランドマークの現実の位置に応じてアナログ地図画像の縮尺を特定する(S44)。目的地取得部56がユーザにより指し示されたアナログ地図画像上での目的地を検出すると(S46のY)、目的地位置特定部58はランドマーク位置および縮尺に応じて目的地の現実の位置を特定する(S48)。案内情報設定部60はユーザ位置から目的地までの推奨経路を示す案内情報を設定し(S50)、案内情報提供部62はその案内情報を携帯情報端末10へ提供する(S52)。
【0048】
アナログ地図画像上での目的地が未検出で(S46のN)、付加情報カテゴリ受付部50が携帯情報端末10から付加情報カテゴリを受け付けた場合(S54のY)、付加情報決定部52はランドマーク位置および縮尺に応じてアナログ地図画像に表示させるべき付加情報とその表示位置とを決定する(S56)。付加情報提供部54は付加情報とアナログ地図画像上での表示位置とを携帯情報端末10へ提供してS40へ戻る(S58)。付加情報カテゴリを未受信であれば(S54のN)、S56およびS58をスキップしてS40へ戻る。地図画像取得部46がアナログ地図画像を受け付けなければ(S40のN)、以降のステップをスキップして本図のフローを終了する。
【0049】
図12は、図11のS42のランドマーク位置特定処理を詳細に示すフローチャートである。まずアナログ地図画像内に記載された文字列を取得する(S60)。その文字列の中に現在地を示す所定のキーワードと合致する文字列が存在した場合(S62のY)、その文字列をランドマークの1つとし、現在地の現実の位置を携帯情報端末10から受け付けられたユーザ位置に特定する(S64)。アナログ地図画像内に現在地を示す文字列がなければ(S62のN)、S64はスキップされる。続いて、アナログ地図画像内に記載された文字列を検索キーとして、ランドマーク情報保持部40のランドマーク文字列を検索する(S66)。ランドマーク文字列が一意に特定された場合(S68のY)、そのランドマーク文字列に対応づけられたランドマーク位置を取得する(S70)。現在地も1つのランドマークとしてカウントした上で合計2つのランドマーク位置を特定した場合(S72のY)、本図のフローを終了する。2つのランドマーク位置を未特定であれば(S72のN)、S66に戻る。また、ランドマーク情報保持部40の検索においてランドマーク文字列を一意に特定できない場合(S68のN)、S70およびS72をスキップしてS66へ戻り、アナログ地図画像内に記載された別の文字列を検索キーとする。
【0050】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
第1の変形例を説明する。上記実施の形態では、アナログ地図に対してユーザがアクションにより目的地を指し示した上でそのアナログ地図を撮像し、ナビゲーションサーバ12の目的地取得部56は、そのアナログ地図画像から目的地を検出することとした。変形例において、ユーザは、携帯情報端末10のディスプレイ34に表示されたアナログ地図画像の中から目的地をポイントする。例えば、アナログ地図画像においてユーザの目的地にあたる部分にタッチしてもよい。この場合、地図画像送信部26は、アナログ地図画像をナビゲーションサーバ12へ送信する際に、ユーザが目的地としてポイントしたアナログ地図画像上の位置を示す情報をあわせて送信する。ナビゲーションサーバ12の目的地位置特定部58は、第1ランドマーク92および第2ランドマーク94の現実の位置と、携帯情報端末10から通知されたアナログ地図画像におけるユーザの目的地に応じて、その目的地の現実の位置を特定する。
【0052】
第2の変形例を説明する。上記実施の形態では、ナビゲーションサーバ12のランドマーク位置特定部48は、アナログ地図画像から検出したある文字列によりランドマーク識別記号を1つに特定できない(言い換えればランドマーク位置を1つに特定できない)場合、別の検出文字列でランドマーク識別記号の特定を再度試行することとした。変形例では、ランドマーク位置特定部48は、ある検出文字列で複数個のランドマーク識別記号がヒットした場合に、それら複数個のランドマーク識別記号を示す情報を携帯情報端末10へ通知してもよい。携帯情報端末10の表示制御部32は、それら複数個のランドマーク識別記号をディスプレイ34へ表示させてユーザに1つのランドマーク識別記号を選択させてもよい。携帯情報端末10は、ユーザにより選択されたランドマーク識別記号をナビゲーションサーバ12へ通知し、ナビゲーションサーバ12のランドマーク位置特定部48はユーザにより選択されたランドマーク識別記号を第1ランドマークもしくは第2ランドマークとして決定してもよい。この変形例によれば、ランドマークの特定にユーザの判断を反映させてアナログ地図画像のランドマークを一意に特定しやすくなる。
【0053】
第3の変形例を説明する。携帯情報端末10により撮像対象となる地図はアナログ地図に限られない。例えば、他の携帯情報端末に表示されたデジタル地図が撮像されてもよい。そして、携帯情報端末10の地図画像送信部26は、そのデジタル地図を撮像した画像と、そのデジタル地図に対してユーザが指し示した目的地をナビゲーションサーバ12へ送信してもよい。
【0054】
第4の変形例を説明する。上記実施の形態もしくは上記変形例においてナビゲーションサーバ12が有することとした機能の一部もしくは全部を携帯情報端末10が有してもよい。例えば携帯情報端末10は、アナログ地図画像に含まれる文字列を検出して検出文字列をナビゲーションサーバ12へ渡し、ナビゲーションサーバ12からランドマーク位置を取得して、ランドマーク位置にもとづいてアナログ地図の縮尺を特定してもよい。また携帯情報端末10は、アナログ地図画像からユーザの目的地を検出して、ランドマーク位置および縮尺にもとづいて目的地位置を特定してもよい。また携帯情報端末10は地図情報保持部44を有し、ユーザ位置と目的地位置とにもとづいて案内情報を設定してもよい。
【0055】
上述した実施の形態、変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0056】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0057】
10 携帯情報端末、 12 ナビゲーションサーバ、 22 撮像部、 24 ユーザ位置特定部、 32 表示制御部、 40 ランドマーク情報保持部、 42 付加情報保持部、 48 ランドマーク位置特定部、 49 縮尺特定部、 52 付加情報決定部、 56 目的地取得部、 58 目的地位置特定部、 60 案内情報設定部、 100 ナビゲーションシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて保持するランドマーク情報保持部と、
地図を撮像してその画像を取得する撮像部と、
前記撮像部により取得された地図画像に含まれる複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するランドマーク位置特定部と、
前記地図画像におけるユーザの目的地を取得する目的地取得部と、
前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、前記目的地の現実の位置を特定する目的地位置特定部と、
前記目的地の現実の位置に応じた前記目的地に関する情報をユーザへ提示する情報提示部と、
を備えることを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記地図画像は、地図に対してユーザがアクションにより指し示した地点を示す画像を含むものであり、
前記目的地取得部は、前記ユーザが指し示した地点を前記目的地として取得することを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記地図画像を表示させる表示制御部をさらに備え、
前記目的地取得部は、表示された地図画像に対してユーザが指し示した地点を前記目的地として取得することを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記地図画像とともにユーザへ提示すべき付加情報と、その付加情報が関連する現実の位置とを対応づけて保持する付加情報保持部と、
前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、前記地図画像上で前記付加情報を表示させるべき位置を決定する表示位置決定部と、
前記地図画像を表示させ、前記表示位置決定部により決定された位置において前記付加情報を前記地図画像とともに表示させる表示制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記ランドマーク位置特定部は、前記地図画像に記載されたあるランドマークの識別記号により当該ランドマークの現実の位置を一意に特定できない場合、当該地図画像に記載された別のランドマークの識別記号を選択して当該別のランドマークの現実の位置の特定を再度試行し、少なくとも2つのランドマークの現実の位置を特定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項6】
ユーザが現実にいる位置を特定するユーザ位置特定部をさらに備え、
前記地図は、構造物に固定された看板に描かれたものであって、当該看板の設置位置を示す識別記号が記載されたものであり、
前記ランドマーク位置特定部は、前記看板の設置位置を示す識別記号を前記複数のランドマークのうちの1つとし、その現実の位置を、前記ユーザが現実にいる位置に特定することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項7】
ユーザが現実にいる位置を特定するユーザ位置特定部をさらに備え、
前記情報提示部は、前記ユーザが現実にいる位置から、前記目的地の現実の位置までのユーザの移動を支援するための情報を提示することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項8】
地図を撮像してその画像を取得するステップと、
地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて記憶した記憶領域を参照し、前記取得された地図画像に記載された複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するステップと、
前記地図画像におけるユーザの目的地を取得するステップと、
前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、前記目的地の現実の位置を特定するステップと、
前記目的地の現実の位置に応じた前記目的地に関する情報をユーザへ提示するステップと、
を実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて保持するランドマーク情報保持部と、
ユーザの端末で撮像された地図画像を取得する地図画像取得部と、
前記地図画像に含まれる複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するランドマーク位置特定部と、
前記地図画像におけるユーザの目的地を取得する目的地取得部と、
前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、前記目的地の現実の位置を特定する目的地位置特定部と、
前記目的地の現実の位置に応じた前記目的地に関する情報をユーザの端末へ提供する情報提供部と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項1】
地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて保持するランドマーク情報保持部と、
地図を撮像してその画像を取得する撮像部と、
前記撮像部により取得された地図画像に含まれる複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するランドマーク位置特定部と、
前記地図画像におけるユーザの目的地を取得する目的地取得部と、
前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、前記目的地の現実の位置を特定する目的地位置特定部と、
前記目的地の現実の位置に応じた前記目的地に関する情報をユーザへ提示する情報提示部と、
を備えることを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記地図画像は、地図に対してユーザがアクションにより指し示した地点を示す画像を含むものであり、
前記目的地取得部は、前記ユーザが指し示した地点を前記目的地として取得することを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記地図画像を表示させる表示制御部をさらに備え、
前記目的地取得部は、表示された地図画像に対してユーザが指し示した地点を前記目的地として取得することを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記地図画像とともにユーザへ提示すべき付加情報と、その付加情報が関連する現実の位置とを対応づけて保持する付加情報保持部と、
前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、前記地図画像上で前記付加情報を表示させるべき位置を決定する表示位置決定部と、
前記地図画像を表示させ、前記表示位置決定部により決定された位置において前記付加情報を前記地図画像とともに表示させる表示制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記ランドマーク位置特定部は、前記地図画像に記載されたあるランドマークの識別記号により当該ランドマークの現実の位置を一意に特定できない場合、当該地図画像に記載された別のランドマークの識別記号を選択して当該別のランドマークの現実の位置の特定を再度試行し、少なくとも2つのランドマークの現実の位置を特定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項6】
ユーザが現実にいる位置を特定するユーザ位置特定部をさらに備え、
前記地図は、構造物に固定された看板に描かれたものであって、当該看板の設置位置を示す識別記号が記載されたものであり、
前記ランドマーク位置特定部は、前記看板の設置位置を示す識別記号を前記複数のランドマークのうちの1つとし、その現実の位置を、前記ユーザが現実にいる位置に特定することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項7】
ユーザが現実にいる位置を特定するユーザ位置特定部をさらに備え、
前記情報提示部は、前記ユーザが現実にいる位置から、前記目的地の現実の位置までのユーザの移動を支援するための情報を提示することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項8】
地図を撮像してその画像を取得するステップと、
地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて記憶した記憶領域を参照し、前記取得された地図画像に記載された複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するステップと、
前記地図画像におけるユーザの目的地を取得するステップと、
前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、前記目的地の現実の位置を特定するステップと、
前記目的地の現実の位置に応じた前記目的地に関する情報をユーザへ提示するステップと、
を実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
地図に記載されるランドマークの識別記号と、そのランドマークの現実の位置とを対応づけて保持するランドマーク情報保持部と、
ユーザの端末で撮像された地図画像を取得する地図画像取得部と、
前記地図画像に含まれる複数のランドマークそれぞれの識別記号に応じて、前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置を特定するランドマーク位置特定部と、
前記地図画像におけるユーザの目的地を取得する目的地取得部と、
前記複数のランドマークそれぞれの現実の位置に応じて、前記目的地の現実の位置を特定する目的地位置特定部と、
前記目的地の現実の位置に応じた前記目的地に関する情報をユーザの端末へ提供する情報提供部と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−255716(P2012−255716A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128915(P2011−128915)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】
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