説明

情報提供システム、情報提供装置および情報提供方法

【課題】オペレータが検索した情報がユーザの希望に沿った情報であるか否かの確認が行われないまま、検索情報が情報端末に送信される。
【解決手段】車載機1から情報センター20に呼を発して情報の提供を要求し、要求された情報を情報センター20から車載機1に送信するシステムにおいて、車載機1から情報センター20への情報提供要求が伝わると、情報センター20と車載機1との間の通信を一旦切断し、情報センター20における情報検索処理が終了すると、情報検索結果をユーザに確認するために、情報センター20と車載機1との間の通信を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報センターのオペレータに送信を希望する情報を伝え、オペレータが検索した情報を車載装置に送信する情報提供システム、情報提供装置および情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送信を希望する情報を情報センターのオペレータに伝え、オペレータが検索した情報を車載機に送信するシステムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−253377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムでは、オペレータが検索した情報がユーザの希望に沿った情報であるか否かの確認が行われないまま、検索情報が車載機に送信されるため、ユーザの希望と異なる情報が車載機に送信されてきた場合には、再度、情報の送信を情報センターに要求しなければならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明による情報提供システムは、情報端末から情報センターに呼を発して情報の提供を要求し、要求された情報を情報センターから情報端末に送信するシステムにおいて、情報端末から情報センターへの情報提供要求が伝わると、情報センターと情報端末との間の通信を一旦切断し、情報提供要求に基づいた情報検索処理が終了すると、情報検索結果をユーザに確認するために、情報センターと情報端末との間の通信を再開することを特徴とする。
(2)本発明による情報提供装置は、情報端末から要求された情報を検索し、検索した情報を情報端末に送信する装置において、通信手段が情報端末から情報提供要求を受けると、通信手段と情報端末との間の通信を一旦切断し、情報端末からの情報提供要求に基づいた情報検索処理が終了すると、情報検索結果をユーザに確認するために、通信手段と情報端末との間の通信を再開することを特徴とする。
(3)本発明による情報提供方法は、情報端末から情報センターに呼を発して情報の提供を要求し、要求された情報を情報センターから情報端末に送信する方法において、情報端末から情報センターへの情報提供要求が伝わると、情報センターと情報端末との間の通信を一旦切断し、情報提供要求に基づいた情報検索処理が終了すると、情報検索結果をユーザに確認するために、情報センターと情報端末との間の通信を再開することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による情報提供システム、情報提供装置、および、情報提供方法によれば、情報検索結果をユーザが確認した上で、ユーザの希望する情報を情報端末に送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、第1の実施の形態における情報提供システムの全体構成を示す図である。この情報提供システムを利用するユーザは、情報センター20(情報提供装置)に発呼して、希望する情報を情報センター20のオペレータに伝え、オペレータが検索システム34により検索した情報がデータ通信によって、車載機(情報端末)1に送信される。
【0008】
車載機1は、ナビゲーションユニット2と、モニタ3と、通信アダプタ5と、携帯電話4および通信アダプタ5を接続するための電話ハーネス6と、データ通信用電話7と、マイク8と、スピーカ9と、GPSアンテナ10と、操作スイッチ11と、オペレータ呼び出しスイッチ12と、車速センサ16と、各種センサ群23とを備える。
【0009】
モニタ3には、後述するナビゲーションユニット2からの指示に基づいて、車両の現在地周辺の地図や、目的地までの推奨経路等が表示される。携帯電話4は、ユーザが情報センター20に待機しているオペレータと会話する際に用いる電話であり、データ通信用電話7は、情報センター20との間で、データ通信を行う際に用いられる電話である。
【0010】
マイク8は、ユーザ(ドライバ)がハンズフリーシステムを利用して、情報センター20のオペレータと会話する際に用いられる。スピーカ9は、ユーザがハンズフリーシステムを利用して、オペレータと会話する際に、相手側の会話内容を音声出力したり、ナビゲーションユニット2による経路案内を行う際の音声を出力する。GPSアンテナ10は、車両の現在位置情報を取得するために、図示しないGPS衛星からの電波を受信する。車速センサ16は、車両の速度を検出する。
【0011】
操作スイッチ11は、モニタ3に表示される画面の操作、ハンズフリーシステムを利用するための操作、ナビゲーションユニット2の操作、データ通信を行う際の操作等、ユーザが各種の操作を行うために用いられる。オペレータ呼び出しスイッチ12は、情報センター20に発呼する際に用いられるスイッチである。
【0012】
通信アダプタ5は、情報センター20との間の通信制御を行う。通信アダプタ5には、後述する情報センター20のオペレーションセンター30の電話番号、および、車両用情報センター50の電話番号が登録されており、ユーザが、オペレータ呼び出しスイッチ12を押すと、携帯電話4を介して、自動的にオペレーションセンター30に呼が発せられるとともに、データ通信用電話7を介して、自動的に車両用情報センター50に呼が発せられる。オペレーションセンター30の電話番号および車両用情報センター50の電話番号は、例えば、通信アダプタ5が工場から出荷される前に登録される。
【0013】
図2は、ナビゲーションユニット2の詳細な構成を示す図である。ナビゲーションユニット2は、地図データ部18および保存部21と、内部で行われる処理機能上、表示処理部13、通信処理部14、音声制御部15、位置演算部17、入力処理部19、および、統合演算部22とを備える。
【0014】
表示処理部13は、統合演算部22からの指令に基づいて、モニタ3への表示指示を行う。通信処理部14は、通信アダプタ5との間でデータの授受を行うための制御を行う。音声制御部15は、統合演算部22からの指令に基づいて、例えば、経路案内のための音声出力をスピーカ9に指示する。位置演算部17は、GPSアンテナ10で受信された電波および車速センサ16によって検出された車速に基づいて、車両の現在位置を求める。地図データ部18は、例えば、ハードディスク装置(HDD)であり、地図データを格納している。
【0015】
入力処理部19は、ユーザが操作スイッチ11やオペレータ呼び出しスイッチ12によって入力した指令を、統合演算部22に出力する。保存部21は、予めユーザが操作スイッチ11を使って設定した登録地(例えば、自宅の位置)や、過去に走行した道路等のデータを記憶する。保存部21は、ユーザによる操作スイッチ11の各種操作履歴や、ユーザが施設等の検索を行った結果の履歴を保存しており、また、後述する応答可能性を判定するためのテーブルを保存している。
【0016】
統合演算部22は、表示処理部13、通信処理部14、音声制御部15、位置演算部17、入力処理部19、地図データ部18、および、保存部21との間で、様々なデータをやり取りするとともに、ナビゲーションユニット2の総合的な処理を行う。ナビゲーションユニット2の総合的な処理には、施設の検索処理や、目的地までの推奨ルートの演算処理が含まれる。また、統合演算部22は、後述するように、情報センター20からの着呼に対して、ドライバ(ユーザ)が応答できるか否かの判定を行う。
【0017】
各種センサ群23は、ウインカセンサ23aと、操舵角センサ23bと、ワイパセンサ23cと、ライトセンサ23dと、シフトポジションセンサ23eとを備えている。ウインカセンサ23aは、ウインカの作動を検出すると、ウインカ作動信号を統合演算部22に出力する。操舵角センサ23bは、ステアリング操舵角が所定角度(例えば、30度)を越えたことを示す信号(以下、操舵角信号)を統合演算部22に出力する。
【0018】
ワイパセンサ23cは、ワイパの作動を検出すると、ワイパ作動信号を統合演算部22に出力する。ライトセンサ23dは、ライトの点灯を検出すると、ライト点灯信号を統合演算部22に出力する。シフトポジションセンサ23eは、シフトポジションがリバース(R)位置にあることを検出すると、リバース信号を統合演算部22に出力するとともに、パーキングポジション(P)にあることを検出すると、パーキング信号を統合演算部22に出力する。
【0019】
情報センター20は、オペレーションセンター30と、情報データベース群40と、車両用情報センター50と、カスタマーセンター60とにより構成されている。オペレーションセンター30は、電話回線の制御を行うPBX/CTI31と、検索システム34とを備える。検索システム34には、検索処理端末32、電話機33、ヘッドセット36、モニタ38、および、入力機器39が含まれる。入力機器39には、キーボードおよびマウスが含まれる。
【0020】
PBX(Private Branch Exchanger)は、通常、企業ビル内などに設置されるものであって、外線電話と内線電話、および、内線電話どうしを交換する。また、CTI(Computer Telephony Integration)は、PBXなどの電話系通信システムと、コンピュータやデータベースなどの情報系システムとを統合し、相互に連動できるようにするものである。すなわち、PBX/CTI31は、ユーザからかかってきた電話を空きオペレータに接続したり、空きオペレータがいない場合には、待ち音声案内を流すなどの電話回線の制御を行う。なお、PBX/CTI31は、一般電話回線網55と接続することができる。
【0021】
オペレーションセンター30に勤務しているオペレータは、電話機33またはヘッドセット36を用いて、車載機1を介して発呼してきたユーザと会話し、ユーザが要求する情報を確認する。オペレータは、ユーザから聞いた情報に基づいて、ユーザが希望する情報を検索処理端末32を用いて検索する。検索処理端末32は、例えば、パソコンである。検索システム34は、情報データベース群40を構成する複数のデータベース41〜44,56とLANなどのネットワーク37を通じて接続されている。
【0022】
情報データベース群40は、位置/電話情報データベース41と、交通情報データベース42と、天気予報データベース43と、各種情報データベース44と、ユーザプロファイルデータベース56とを備える。位置/電話情報データベース41には、飲食店や公共施設などの各種施設の名称、位置情報、および、電話番号情報等が格納されている。交通情報データベース42には、一般道や有料道路などの交通情報が格納されている。天気予報データベース43には、各地の天気予報情報が格納されている。各種情報データベース44には、上述した各種施設に関する情報、交通情報、天気情報以外の情報が格納されている。ユーザプロファイルデータベース56には、予めユーザ登録されているユーザの氏名、住所、携帯電話番号、データ通信用電話の電話番号などのユーザ情報が格納されている。ユーザ登録の方法については後述する。
【0023】
車両用情報センター50は、通信インタフェース装置51と、情報処理端末54とを備える。情報処理端末54は、通信インタフェース装置51を介して、車載機1に情報を送信するなどの様々なデータ処理を行う。例えば、検索システム34において、ユーザが希望する情報が検索された場合には、検索された情報が、通信インタフェース装置51を介して車載機1に送信される。通信インタフェース装置51は、一般回線網55と接続されている。
【0024】
カスタマーセンター60は、カスタマー登録システム62と、カスタマー管理サーバ66とを備える。カスタマー登録システム62は、ユーザの登録や、登録されているユーザの個人情報の変更を行う。カスタマー登録システム62と接続されているカスタマー管理サーバ66は、ユーザ情報を管理するためのサーバである。
【0025】
オペレーションセンター30、情報データベース群40、車両用情報センター50およびカスタマーセンター60が接続されているネットワーク37には、インターネット63も接続されている。従って、情報センター20は、インターネット63を介して、コンテンツプロバイダ/アプリケーションサービスプロバイダ群64と各種情報の授受を行う。また、ユーザが後述するユーザ登録を行う際に、カスタマーセンター60のオペレータを介さずに、インターネット63と接続されているパソコンなどの端末65を用いて行うこともできる。
【0026】
第1の実施の形態における車両用情報提供システムを利用するユーザは、予めユーザ登録する必要がある。ユーザ登録するための1つ目の方法としては、所定の申込書にユーザの氏名、住所、生年月日などの一般情報と共に、本システムを利用する際に使用する携帯電話4の電話番号を記入し、情報センター20のカスタマーセンター60に郵送する。カスタマーセンター60のオペレータは、申込書の内容を確認した後、カスタマー登録システム62を使用して、カスタマー管理サーバ66にユーザ登録処理を行う。登録されたユーザ情報は、ユーザプロファイルデータベース56に格納される。
【0027】
ユーザ登録するための二つ目の方法は、上述したように、インターネット63と接続されているパソコンなどの端末65を用いて、カスタマー管理サーバ66に直接登録する方法である。また、車載機1がオンライン登録機能を備えている場合には、車載機1を用いてカスタマー管理サーバ66に直接登録することもできる。
【0028】
第1の実施の形態における情報提供システムでは、ユーザが車載機1を介して、情報センター20のオペレーションセンター30に発呼して、車載機1への送信を希望する情報をオペレータに伝える。オペレータは、情報検索時に、車載機1との通信を一旦切断すべきか否かを判断し、一旦切断すべきと判断すると、車載機1の間の通信を一旦切断して、情報検索を行う。車載機1側では、オペレーションセンター30からの着呼に対して、ユーザが応答可能か否かを判定し、応答可能性判定結果をオペレーションセンター30に送信する。オペレーションセンター30では、情報検索処理が完了すると、ユーザの応答可能性判定結果に基づいて、ユーザが応答可能であるか否かを判定し、応答可能であると判定すると、情報検索結果をユーザに確認するために、車載機1との間の通信を再開する。
【0029】
図3は、車載機1で行われる処理内容を示すフローチャートである。車両が起動すると、ナビゲーションユニット2の統合演算部22は、ステップS10の処理を開始する。ステップS10では、入力処理部19から入力される信号に基づいて、オペレータ呼び出しスイッチ12がオンされたか否かを判定する。オペレータ呼び出しスイッチ12がオンされていないと判定するとオンされるまでステップS10で待機し、オンされたと判定するとステップS20に進む。
【0030】
ステップS20では、音声モードにより、情報センター20のオペレーションセンター30に呼を発する。音声モードとは、ユーザとオペレータとが音声会話を行うためのモードである。上述したように、通信アダプタ5にはオペレーションセンター30の電話番号が予め登録されているので、ユーザがオペレータ呼び出しスイッチ12を押すことにより、ナビゲーションユニット2、通信アダプタ5、携帯電話4経由で、自動的にオペレーションセンター30に電話がかかる。この時、通信アダプタ5は、オペレーションセンター30の電話番号の前に、発信者番号を通知するために「186」の番号を付して発呼する。すなわち、携帯電話4には、発信者番号を非通知とするための機能を備えたものもあるため、情報センター20側で発信者を特定できるようにするために、発信者番号が通知される形で電話をかけるようにする。
【0031】
また、ステップS20では、同時に、データモードにより、車両用情報センター50に発呼する。データモードとは、車載機1と車両用情報センター50との間でデータ通信を行うためのモードである。上述したように、通信アダプタ5には車両用情報センター50の電話番号が予め登録されているので、ユーザがオペレータ呼び出しスイッチ12を押すことにより、ナビゲーションユニット2、通信アダプタ5、データ通信用電話7経由で、自動的に車両用情報センター50に電話がかかる。この場合にも、発信者番号を通知するために、車両用情報センター50の電話番号の前に「186」を付して、発呼する。
【0032】
ステップS20に続くステップS30では、車両用情報センター50から、応答可能性判定結果を要求する信号を受信したか否かを判定する。応答可能性判定の詳細については、後述する。応答可能性判定結果を要求する信号を受信していないと判定すると、ステップS30で待機し、受信したと判定すると、ステップS40に進む。ステップS40では、応答可能性判定を行う。
【0033】
車載機1で行う応答可能性判定処理を図4および図5を用いて説明する。応答可能性判定とは、車載機1に着呼があった場合に、ユーザが応答できる状態にあるか否かを判定するものである。ナビゲーションユニット2の統合演算部22は、ユーザの運転状況に基づいて、ユーザの応答可能性を判定する。
【0034】
図4は、車両位置と、各種センサ群23によって検出される信号とに基づいて、ユーザの運転負荷レベルを判定するためのテーブルである。このテーブルは、予め用意しておき、ナビゲーションユニット2の保存部21に格納しておく。図4に示すテーブルでは、車両位置および各種センサ群23によって検出される信号に対して、運転負荷の大小を示す点数を割り当てている。この点数(重み付け)は、値が高いほど、運転負荷が高いことを示している。図4に示すテーブルでは、交差点に5点、路地に4点、カーブに3点、高速道路に2点、料金所に3点、駐車場の出入り口に4点が割り当てられている。また、各種センサ群23によって検出される信号については、ウインカ作動信号に4点、操舵角信号に4点、ワイパ作動信号に2点、ライト点灯信号に1点、リバース信号に5点、パーキング信号には0点が割り当てられている。
【0035】
ナビゲーションユニット2の統合演算部22は、位置演算部17で演算される車両位置、および、地図データ部18に格納されている地図データに基づいて、車両の現在地が図4に示すテーブルに載っている場所に該当するか否かを判定する。また、統合演算部22は、各種センサ群23から入力される信号が図4に示すテーブルに載っている信号に該当するか否かを判定する。
【0036】
ユーザの運転負荷レベルは、車両位置および各種センサ群23から入力される信号に対応する点数の合計点に応じて決まる。図4に示す例では、合計点が0点の場合は、運転負荷レベルを0、合計点が1点〜4点の場合は、運転負荷レベルを1、合計点が5点〜8点の場合は、運転負荷レベルを2、合計点が9点〜12点の場合は、運転負荷レベルを3、合計点が13点〜16点の場合は、運転負荷レベルを4、合計点が17点以上の場合には、運転負荷レベルを5としている。なお、運転負荷レベルの点数が高いほど、ユーザの運転負荷が高いことを示す。
【0037】
例えば、車両位置が交差点であり、各種センサ群23から、操舵角信号およびワイパ作動信号が入力された場合、すなわち、図4に示すテーブルの7番のデータの場合には、車両位置および各種センサ群23から入力される信号に対応する点数の合計点は11点であり、運転負荷レベルは3となる。なお、図4に示すテーブルでは、車両位置および各種センサ群23から入力される信号に応じた車両状況も示している。
【0038】
図5は、上述した方法により求めた運転負荷レベルに応じた応答可能性判定結果を示している。ここでは、運転負荷レベルが0または1であれば、ユーザが応答可能であると判断して、応答可能性判定結果をOKとし、運転負荷レベルが2〜5であれば、応答不可能であると判断して、応答可能性判定結果をNGとしている。
【0039】
図3に示すフローチャートのステップS40において、応答可能性判定を行うと、ステップS50に進む。ステップS50では、ステップS40で行った応答可能性判定の結果を車両用情報センター50に送信する。ステップS50に続くステップS60では、車両用情報センター50から送信されるデータを受信したか否かを判定する。データを受信していないと判定すると、受信するまでステップS60で待機し、受信したと判定するとステップS70に進む。
【0040】
ステップS70では、受信データ(ダウンロードデータ)の処理を行う。例えば、受信したデータが交通情報であれば、交通情報をモニタ3に表示する。また、受信したデータがニュース情報であれば、スピーカ9からニュース情報を音声にて出力するとともに、モニタ3にニュースの内容を表示する。受信データの処理が行われると、オペレーションセンター30および車両用情報センター50との間で接続されている回線を切断する。
【0041】
図6は、情報センター20のオペレーションセンター30および車両用情報センター50でそれぞれ行われる処理内容を示すフローチャートである。ステップS100〜ステップS230の処理は、オペレーションセンター30で行われる処理であり、ステップS300〜ステップS400の処理は、車両用情報センター50で行われる処理である。
【0042】
オペレーションセンター30で行われる処理のうち、ステップS100〜ステップS150の処理は、オペレーションセンター30のPBX/CTI31で行われる。ステップS100では、ユーザからの電話の着信があるか否かを判定する。着信がないと判定すると着信が有るまでステップS100で待機し、着信があると判定するとステップS110に進む。ステップS110では、発信者電話番号の取得処理を行う。この時に、発信者非通知設定の状態で電話がかかってきており、発信者電話番号がない場合には、例えば、「発信者番号が通知されていません」のようなメッセージを再生して、電話回線を切断する。
【0043】
ステップS120では、ステップS110で取得した発信者電話番号に基づいて、電話番号の認証を行う。この認証は、発信者電話番号がユーザプロファイルデータベース56に登録されているか否かに基づいて行う。ステップS120に続くステップS130では、ステップS120で行った電話番号の認証結果に基づいて、認証がOKであるか否かを判定する。取得した発信者電話番号がユーザプロファイルデータベース56に登録されており、認証がOKであると判定するとステップS150に進む。一方、認証がNGであると判定すると、ステップS140に進み、「電話番号が登録されていないため、サービスを受けることができません」などのメッセージを再生して、電話回線を切断する。
【0044】
ステップS150では、ユーザからの電話を、電話回線が空いているオペレータにつないで、ステップS160に進む。ただし、空いている回線が無い場合には、例えば、「ただ今、回線が混みあっております」のようなメッセージを再生する。
【0045】
ステップS160〜ステップS230の処理は、検索システム34にて行われる。ステップS160では、車載機1とオペレーションセンター30との間で接続されている電話回線を維持するか否かを判定する。例えば、情報の検索に時間がかかる場合や、ユーザの要求する情報に対して、外部の情報源に問い合わせが必要な場合には、電話回線を一旦切断すれば、通信料金を節約することができる。オペレータは、電話回線を維持した方が良いと判断すると、回線を維持する旨の指令を検索処理端末32に入力し、電話回線を一旦切断した方が良いと判断すると、回線を切断する旨の指令を検索処理端末32に入力する。検索システム34の検索処理端末32は、電話回線を維持する旨の指令が入力されると、電話回線を維持すると判定して、ステップS190に進み、電話回線を切断する旨の指令が入力されると、電話回線を切断すると判定して、ステップS170に進む。
【0046】
ステップS170では、待機指示信号を車両用情報センター50の情報処理端末54に送信して、ステップS180に進む。ステップS180では、車載機1との間の電話回線を一旦切断する。電話回線の切断処理は、オペレータが行ってもよいし、電話回線を切断する旨の指令をオペレータが検索処理端末32に入力し、検索処理端末32が電話機33の回線を切断してもよい。これにより、ユーザに無駄な通信コストの負担がかかるのを防ぐことができる。
【0047】
ステップS180に続くステップS190では、ユーザの要求に応じて、情報データベース群40に含まれるデータベース41〜44を参照することにより、車載機1に送信するための情報を検索する。車載機1に送信するための情報を検索すると、ステップS200に進む。
【0048】
ステップS200では、情報の送信を要求してきたユーザが応答可能な状態にあるか否かを判定する。上述したように、車載機1は、車両用情報センター50から、応答可能性判定結果を要求する信号を受信すると、応答可能性判定を行い、判定結果を車両用情報センター50に送信する。車両用情報センター50は、後述するように、車載機1から送信されてくる応答可能性判定結果をユーザプロファイルデータベース56に格納する。従って、検索システム34は、ユーザプロファイルデータベース56に格納されている応答可能性判定結果に基づいて、ユーザが応答可能な状態にあるか否かを判定する。応答可能性判定結果がNGであり、ユーザが応答可能な状態にないと判定すると、ステップS200で待機し、応答可能性判定結果がOKであり、応答可能な状態にあると判定すると、ステップS210に進む。
【0049】
ステップS210では、検索処理端末32による情報検索結果をユーザに確認するために、ステップS180で切断した電話回線を接続し直す。電話回線の接続処理は、オペレータが行ってもよいし、電話回線を接続し直す旨の指令をオペレータが検索処理端末32に入力し、検索処理端末32が電話機33の回線を接続するようにしてもよい。なお、ステップS160において、電話回線を維持すべきと判定した場合には、ステップS210の処理は行わない。ステップS210において、電話回線を接続し直すと、ステップS220に進む。
【0050】
ステップS220では、ユーザとオペレータとの間の会話によって、車載機1に送信する情報(データ)が決定されたか否かを判定する。検索処理端末32に、車載機1に送信する情報が決定された旨の入力があると、ステップS230に進む。ステップS230では、車載機1に送信する情報をユーザプロファイルデータベース56に一時的に保存する。ここでは、情報の送信を要求してきたユーザのユーザ情報に対応させて、情報を保存しておく。ステップS230の処理を終了すると、オペレーションセンター30と車載機1との間で接続されていた回線を切断する。
【0051】
続いて、車両用情報センター50で行われる処理について説明する。ステップS300では、車両用情報センター50の通信インタフェース装置51にユーザからの電話の着信があるか否かを判定する。着信がないと判定すると着信があるまでステップS300で待機し、着信があると判定するとステップS310に進む。ステップS310では、ユーザからかかってきた電話が情報処理端末54に接続されて、データモード確立のためのデータモードネゴシエーションが行われる。ステップS310に続くステップS320では、データモードネゴシエーション完了後に、電話番号の認証処理を行う。この認証処理の方法は、オペレーションセンター30で行われるステップS120の処理と同じである。
【0052】
次のステップS330では、ステップS320で行った認証処理の結果、発信者電話番号がユーザプロファイルデータベース56に格納されているか否かを判定する。発信者電話番号がユーザプロファイルデータベース56に格納されており、認証OKであると判定すると、ステップS350に進む。一方、発信者番号がユーザプロファイルデータベース56に格納されておらず、認証NGであると判定すると、ステップS140の処理、すなわち、「電話番号が登録されていないため、サービスを受けることができません」などのNGメッセージを再生して、電話回線を切断する。
【0053】
ステップS350では、情報の送信を要求してきた車載機1に送信するための情報がユーザプロファイルデータベース54に格納されているか否かを判定する。車載機1に送信するための情報がユーザプロファイルデータベース54に格納されていると判定するとステップS400に進み、格納されていないと判定すると、ステップS360に進む。
【0054】
ステップS360では、オペレーションセンター30の検索システム34がステップS170で送信する待機指示信号を受信したか否かを判定する。検索システム34から、待機指示信号を受信していないと判定するとステップS350に戻り、待機受信信号を受信したと判定すると、ステップS370に進む。
【0055】
ステップS370では、車載機1に対して、応答可能性判定結果の要求信号を送信して、ステップS380に進む。上述したように、車載機1は、車両用情報センター50から応答可能性判定結果を要求する信号を受信すると、応答可能性判定を行い、判定結果を車両用情報センター50に送信する。
【0056】
なお、車載機1は、応答可能性判定を行って得られた結果がNGの場合には、NGの判定結果を車両用情報センター50に送信した後、OKの判定結果が得られるまで応答可能性判定を行い、OKの判定結果が得られると、OKの判定結果を車両用情報センター50に送信する。
【0057】
ステップS380では、車載機1から、応答可能性判定結果のデータを受信したか否かを判定する。応答可能性判定結果のデータを受信していないと判定するとステップS380で待機し、受信したと判定すると、ステップS390に進む。
【0058】
ステップS390では、ユーザプロファイルデータベース54に、車載機1に送信するためのデータが格納されているか否かを判定する。車載機1に送信するためのデータが格納されていないと判定するとステップS390で待機し、格納されていると判定すると、ステップS400に進む。ステップS400では、車載機1に送信するためのデータをユーザプロファイルデータベース54から取得して、通信インタフェース装置51を介して、車載機1に送信する。データを車載機1に送信すると、車両用情報センター50と車載機1との間で接続されている回線を切断する。
【0059】
第1の実施の形態における情報提供システムによれば、ユーザが車載機1を介して情報センター20に発呼して、情報の提供を要求し、情報センター20で検索された情報を車載機1に送信するシステムにおいて、車載機1から情報センター20への情報提供要求が伝わると、情報センター20と車載機1との間の通信を一旦切断し、情報センター20による情報検索が終了すると、情報検索結果をユーザに確認するために、情報センター20と車載機1との間の通信を再開する。情報センター20によって情報検索が行われた結果をユーザに確認してから、車載機1に送信することにより、常に、ユーザの希望する情報を車載機1に送信することができる。
【0060】
また、第1の実施の形態における情報提供システムでは、情報センター20からの情報検索結果の確認に対してユーザが応答できるか否かを判定し、ユーザが応答可能であると判定した場合に、情報センター20と車載機1との間の通信を再開するので、ユーザは、情報検索結果を確実に確認することができる。
【0061】
−第2の実施の形態−
第1の実施の形態における情報提供システムでは、車載機1側で行われる応答可能性判定の結果に基づいて、情報センター20が車載機1に発呼して、通信を再開した。第2の実施の形態における情報提供システムでは、応答可能性判定結果に基づいて、車載機1が情報センター20に発呼して、通信を再開する。
【0062】
図7は、第2の実施の形態における情報提供システムにおいて、車載機1にて行われる処理内容を示すフローチャートである。車両が起動すると、ナビゲーションユニット2の統合演算部22は、ステップS10の処理を開始する。なお、図3に示すフローチャートの処理と同一の処理を行うステップについては、同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0063】
ステップS10およびステップS20の処理は、図3に示すフローチャートのステップS10およびステップS20の処理と同じである。ステップS20に続くステップS500では、車両用情報センター50から、待機データを受信したか否かを判定する。待機データとは、オペレーションセンター30のオペレータが情報を検索するのに時間がかかるため、オペレーションセンター30との間の音声通信回線を一時的に切断して、待機状態となることを示すデータである。車両用情報センター50から、待機データを受信したと判定するとステップS520に進み、受信していないと判定すると、ステップS510に進む。
【0064】
ステップS510では、情報センター20に要求した情報(データ)を車両用情報センター50から受信したか否かを判定する。情報を受信したと判定するとステップS70に進み、受信していないと判定すると、ステップS500に戻る。
【0065】
ステップS520では、オペレーションセンター30のオペレータが情報検索を完了したことを示す検索完了通知を車両用情報センター50から受信したか否かを判定する。検索完了通知を受信していないと判定すると、ステップS520で待機する。なお、待機データを受信した後に進むステップS520では、オペレーションセンター30との間の音声通信回線は一時的に切断されており、車両用情報センター50との間のデータ通信回線のみが接続されている。ステップS520において、検索完了通知を受信したと判定すると、ステップS40に進む。
【0066】
ステップS40では、応答可能性判定を行う。応答可能性判定の詳細な方法については、既に説明しているので、ここでは、詳しい説明は省略する。ステップS40に続くステップS530では、応答可能性判定の結果がOKであるか否かを判定する。応答可能性判定結果がNGであると判定すると、ステップS40に戻り、再び応答可能性判定を行う。一方、応答可能性判定結果がOKであると判定すると、ステップS540に進む。
【0067】
応答可能性判定結果がOKとなると、オペレータ呼び出しスイッチ12をオンさせるための音声案内をスピーカ9から出力させるための指令を音声制御部15に出す。これにより、「情報の準備ができました。オペレータを呼びだして下さい」のような音声案内がスピーカ9から出力される。ステップS540では、入力処理部19から入力される信号に基づいて、オペレータ呼び出しスイッチ12がオンされたか否かを判定する。オペレータ呼び出しスイッチ12がオンされていないと判定するとステップS540で待機し、オンされたと判定すると、ステップS550に進む。
【0068】
ステップS550では、再び、音声モードにより、情報センター20のオペレーションセンター30に呼を発する。この後、ユーザと、オペレーションセンター30のオペレータとの間で、オペレータが検索した情報をユーザが確認する会話が行われる。ステップS550に続くステップS60では、最終的に決定された情報(データ)を車両用情報センター50から受信したか否かを判定する。情報を受信していないと判定するとステップS60で待機し、受信したと判定すると、ステップS70に進む。ステップS70では、受信データ(ダウンロードデータ)の処理を行う。
【0069】
図8は、第2の実施の形態における情報提供システムにおいて、情報センター20のオペレーションセンター30および車両用情報センター50でそれぞれ行われる処理内容を示すフローチャートである。ここでも、図6に示すフローチャートの処理と同一の処理を行うステップには、同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0070】
オペレーションセンター30で行われる処理のうち、ステップS100〜ステップS190の処理は、図3に示すフローチャートのステップS100〜ステップS190の処理と同一である。ステップS190で情報検索を行うと、ステップS600に進む。ステップS600では、情報検索が完了したことを示す検索完了通知を車両用情報センター50に送信する。この後、後述するように、車両用情報センター50から車載機1に向けて、検索完了通知が送信される。
【0071】
検索完了通知が車載機1に送信されると、上述したように、車載機1は、応答可能性判定を行い、判定結果がOKであれば、オペレーションセンター30に発呼する。ステップS600に続くステップS610では、ユーザからの電話の着信があるか否かを判定する。着信がないと判定すると着信が有るまでステップS610で待機し、着信があると判定するとステップS620に進む。
【0072】
ステップS620では、ユーザとオペレータとの間の会話によって、車載機1に送信する情報(データ)が決定されたか否かを判定する。オペレータは、検索した情報をユーザに確認し、ユーザが肯定すると、車載機1に送信する情報が確定した旨、検索処理端末32に入力する。また、検索した情報をユーザが否定した場合には、ユーザとの会話によって、車載機1に送信する情報を確定して、検索処理端末32に入力する。検索処理端末32に、車載機1に送信する情報が決定した旨の入力があると、ステップS210に進む。ステップS210では、車載機1に送信する情報をユーザプロファイルデータベース56に一時的に保存する。
【0073】
車両用情報センター50で行われる処理のうち、ステップS300〜ステップS360の処理は、図6に示すフローチャートのステップS300〜ステップS360の処理と同一である。ステップS360において、オペレーションセンター30から待機指示信号を受信したと判定すると、ステップS700に進む。
【0074】
ステップS700では、オペレーションセンター30との間の音声通信回線を一時的に切断して、オペレータによる情報検索が完了するまでの間、待機してもらうことを示す待機データを車載機1に送信する。これにより、車載機1は、待機状態となる。ステップS700に続くステップS710では、オペレーションセンター30の検索システム34から、検索完了通知を受信したか否かを判定する。検索完了通知を受信していないと判定すると、ステップS710で待機し、検索完了通知を受信したと判定すると、ステップ720に進む。
【0075】
ステップS720では、検索完了通知をデータ通信にて、車載機1に送信し、ステップS390に進む。ステップS390およびステップS400の処理は、図6に示すフローチャートのステップS390およびステップS400の処理と同じである。
【0076】
第2の実施の形態における情報提供システムによれば、第1の実施の形態における情報提供システムと同様に、情報センター20によって情報検索が行われた結果をユーザに確認してから、車載機1に送信することにより、常に、ユーザの希望する情報を車載機1に送信することができる。また、車載機1が情報センター20から情報検索が終了したことを示す信号を受信すると、情報センター20との間の通信を再開するので、ユーザが希望するタイミングで通信を再開して、オペレータが情報検索を行った結果を確認することができる。
【0077】
−第3の実施の形態−
第1の実施の形態における情報提供システムでは、ユーザの応答可能性判定結果がOKの場合に、一旦切断していた車載機1とオペレーションセンター30との間の回線を接続し直して、ユーザが情報検索結果を確認し、確認の取れた情報を車載機1に送信した。第3の実施の形態における情報提供システムでは、オペレーションセンター30で検索した情報に対して、ユーザが回答(応答)する際の回答負荷を推定し、推定した回答負荷と、運転負荷レベルとに基づいて、一旦切断していた車載機1とオペレーションセンター30との間の回線を接続し直すか否かを判定する。運転負荷レベルは、上述したように、図4に示すテーブルを参照して求めることができる。
【0078】
図9は、回答負荷の推定方法を説明するための図であり、情報検索結果に応じた回答負荷のレベルを示している。回答負荷のレベルは、値が大きいほど、回答負荷が大きいことを示している。例えば、ユーザがオペレータにレストランの予約を頼み、予約が取れた場合には、オペレータは、予約が取れた旨の連絡をユーザに伝えるだけでよい。このように、オペレータからユーザへの連絡があるだけで、ユーザに回答を求めない場合には、ユーザの回答負荷は最も軽い1とする。
【0079】
オペレータがユーザの要求する情報を検索し、念のため、ユーザの要求に沿うものであるか否かを確認する場合等、ユーザが「はい」または「いいえ」のような単純な返答を行うだけでよい場合には、ユーザの回答負荷は2とする。また、ユーザの要求に対して、オペレータが検索した情報が複数あり、ユーザがオペレータとの会話によって、希望する情報を絞り込む必要がある場合には、ユーザの回答負荷は3とする。
【0080】
オペレータが情報を検索した結果、ユーザが希望する情報が見つからず、代替となる情報をユーザに要求する場合には、ユーザの回答負荷は4とする。また、ユーザにカード番号の確認など、ユーザの回答負荷が最も高くなると考えられる場合には、ユーザの回答負荷を5とする。情報検索結果に応じた回答負荷の推定は、オペレーションセンター30のオペレータが行って、推定した結果を検索処理端末32に入力する。
【0081】
検索システム34は、オペレータの情報検索結果に基づいて推定した回答負荷と、運転負荷レベルとに基づいて、ユーザが応答可能か否かを判断する。図10は、運転負荷レベルと回答負荷とに基づいて、ユーザへの情報提供の可否を判断するためのテーブルである。例えば、運転負荷レベル2の場合、推定した回答負荷が1または2であれば、ユーザへの情報提供をOKと判断し、推定した回答負荷が3〜5であれば、ユーザへの情報提供をNGと判断する。検索システム34は、図10に示すテーブルを保存しており、オペレータの情報検索結果に基づいて推定した回答負荷と、運転負荷レベルとに基づいて、図10に示すテーブルを参照することにより、ユーザが応答可能か否かを判断する。
【0082】
車載機1にて行われる処理は、第1の実施の形態における情報提供システムの場合と同じである。ただし、第1の実施の形態における情報提供システムでは、車両用情報センター50から、応答可能性判定結果を要求する信号を受信すると、応答可能性判定を行い、判定結果を車両用情報センター50に送信した。第3の実施の形態における情報提供システムでは、車両用情報センター50から、運転負荷レベルの送信要求信号を受信すると、運転負荷レベルを求める処理を行い、運転負荷レベルのデータを車両用情報センター50に送信する。
【0083】
図11は、第3の実施の形態における情報提供システムにおいて、情報センター20のオペレーションセンター30および車両用情報センター50でそれぞれ行われる処理内容を示すフローチャートである。ここでも、図6に示すフローチャートの処理と同一の処理を行うステップには、同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0084】
オペレーションセンター30で行われる処理のうち、ステップS100〜ステップS190の処理は、図3に示すフローチャートのステップS100〜ステップS190の処理と同一である。ステップS190で情報検索を行うと、ステップS800に進む。ステップS800では、ステップS190で行った情報検索の結果に基づいて、ユーザの回答負荷を推定する。上述したように、回答負荷はオペレータが推定して、推定結果を検索処理端末32に入力する。検索処理端末33に、回答負荷の推定結果が入力されると、ステップS810に進む。
【0085】
ステップS810では、ステップS800で推定した回答負荷と、車載機1から送信されて、ユーザプロファイルデータベース56に保存されている運転負荷レベルとに基づいて、ユーザが応答可能か否かを判定する。ユーザが応答可能ではないと判定すると、ステップS810で待機し、応答可能であると判定すると、ステップS210に進む。ステップS210〜ステップS230の処理は、図6に示すフローチャートのステップS210〜ステップS230の処理と同じである。
【0086】
車両用情報センター50で行われる処理のうち、ステップS300〜ステップS360の処理は、図6に示すフローチャートのステップS300〜ステップS360の処理と同一である。ステップS360において、オペレーションセンター30から待機指示信号を受信したと判定すると、ステップS700に進む。
【0087】
ステップS900では、車載機1に対して、運転負荷レベルの要求信号を送信して、ステップS910に進む。車載機1は、車両用情報センター50から運転負荷レベルを要求する信号を受信すると、運転負荷レベルを求める処理を行い、求めた運転負荷レベルのデータを車両用情報センター50に送信する。
【0088】
なお、車載機1は、車両用情報センター50から、要求した情報を受信するまでは、運転負荷レベルを求めて、車両用情報センター50に送信する処理を繰り返し行う。
【0089】
ステップS910では、車載機1から、運転負荷レベルのデータを受信したか否かを判定する。運転負荷レベルのデータを受信していないと判定するとステップS910で待機し、受信したと判定すると、ステップS390に進む。ステップS390〜ステップS400の処理は、図6に示すフローチャートのステップ390〜ステップS400の処理と同じである。
【0090】
第3の実施の形態における情報提供システムによれば、第1の実施の形態における情報提供システムと同様に、情報センター20によって情報検索が行われた結果をユーザに確認してから、車載機1に送信することにより、常に、ユーザの希望する情報を車載機1に送信することができる。また、情報検索結果をユーザに確認する際のユーザの回答負荷を推定し、推定した回答負荷と、ユーザの運転負荷とに基づいて、情報センター20と車載機1との間の通信を再開するので、ユーザの応答可能性をより正確に判定することができる。すなわち、ユーザは、情報検索結果を確実に確認することができる。
【0091】
本発明は、上述した各実施の形態に限定されることはない。例えば、図4では、運転負荷に影響を与える場所として、交差点、路地、カーブ、高速道路、料金所、および、駐車場を挙げているが、これらの場所は一例であって、トンネル等、図4に記載の場所以外の場所を考慮して、運転負荷レベルを決定してもよい。また、運転負荷に影響を与える車両挙動を示すデータを、ウインカセンサ23a、操舵角センサ23b、ワイパセンサ23c、ライトセンサ23d、および、シフトポジションセンサ23eから取得しているが、他のセンサから取得することもできる。
【0092】
第1の実施の形態では、車載機1が応答可能性判定を行い、判定結果がNGの場合には、NGの判定結果を車両用情報センター50に送信した後、OKの判定結果が得られるまで応答可能性判定を行い、OKの判定結果が得られると、OKの判定結果を車両用情報センター50に送信するようにした。しかし、応答可能性判定を所定時間ごとに行い、判定を行う度に、判定結果を送信するようにしてもよい。
【0093】
上述した各実施の形態では、情報センター20において情報検索処理が終わると、オペレーションセンター30と車載機1との間の通信を再開し、ユーザがオペレータと会話することにより、オペレータの情報検索結果を確認するようにした。しかし、情報検索が終了すると、車両用情報センター50から情報検索結果をデータ通信で車載機1に送信して、ユーザが確認するようにしてもよい。
【0094】
車載機1とオペレーションセンター30との間の回線が一旦切断されると、車載機1は待機状態になるが、待機状態である旨のメッセージや、情報検索中である旨のメッセージをモニタ3に表示するようにしてもよい。
【0095】
上述した各実施の形態では、ユーザがオペレータ呼び出しスイッチ12をオンすると、音声通信回線を介して、オペレーションセンター30に発呼するとともに、データ通信回線を介して、車両用情報センター50に発呼するようにしたが、例えば、音声通信回線の接続後に、データ通信回線を接続するようにしてもよい。
【0096】
第3の実施の形態における情報提供システムでは、情報検索結果に応じた回答負荷の推定を、オペレーションセンター30のオペレータが行ったが、情報検索結果に応じて、情報処理端末32が推定するようにしてもよい。例えば、情報検索結果が1件であれば、回答負荷を2、情報検索結果が複数あれば、回答負荷を3、情報検索結果が無かった場合には、回答負荷を4とすることができる。この方法によれば、オペレータが回答負荷を推定する負担を軽減することができる。
【0097】
第3の実施の形態では、情報センター20側において、推定した回答負荷と、ユーザの運転負荷レベルとに基づいて、ユーザが応答可能か否かを判定した。しかし、車載機1側において、回答負荷とユーザの運転負荷レベルとに基づいて、ユーザが応答可能か否かを判定することもできる。この場合、上述した方法により、オペレーションセンター30で回答負荷を推定し、推定した回答負荷のデータを、車両用情報センター50からデータ通信にて、車載機1に送信する。車載機1は、車両用情報センター50から受信した回答負荷のデータと、運転負荷レベルとに基づいて、ユーザが応答可能か否かを判定する。この後、第2の実施の形態における情報提供システムと同様に、応答可能判定の結果がOKであれば、車載機1からオペレーションセンター30に発呼する。
【0098】
上述した各実施の形態では、車載機1において、車両位置および各種センサ群23から入力されるセンサ信号に基づいて、ユーザの応答可能性を判定した。しかし、車両位置のデータ、および、各種センサ群23から入力されるセンサ信号のデータを、データ通信にて、車載機1から車両用情報センター50に送信し、情報センター20側において、ユーザの応答可能性を判定することもできる。
【0099】
上述した各実施の形態では、ユーザがオペレータと会話するための携帯電話4とは別に、データ通信を行うためのデータ通信用電話7を設ける例を挙げて説明したが、音声による会話と、データ通信とを行える電話機を1台だけ設けるようにしてもよい。また、音声通信とデータ通信とを別々の回線によって行うようにしたが、データ通信回線上に音声信号をのせるシステム等を利用して、音声通信とデータ通信とを1つの回線で行うこともできる。
【0100】
上述した各実施の形態では、オペレーションセンター30のオペレータが検索処理端末32を利用して情報の検索を行ったが、検索処理端末32が自動的に情報検索を行うようにしてもよい。
【0101】
図3に示すフローチャートのステップS120では、携帯電話番号に基づいて、ユーザの認証を行っているが、ユーザ登録が行われた後に発行されるユーザIDに基づいてユーザ認証を行うこともできる。また、車載機1に固有の車載機IDに基づいてユーザ認証を行ってもよい。この場合、車載機IDは、例えば、車載機1の工場出荷時にシリアルIDを書き込んでおき、ユーザ登録時にユーザが申込書に車載機シリアルIDを記載して申し込むようにする。すなわち、発呼してきたユーザが利用している車載機1が特定できて、データ通信を行う際に、特定した車載機1に対して、データが送信できれば良く、車載機1を特定するためのユーザ認証方法は、上述した方法に限定されることはない。
【0102】
特許請求の範囲の構成要素と第1〜第3の実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、情報センター20の検索システム34または車載機1のナビゲーションユニット2が通信制御手段を、検索システム34が情報検索手段および回答負荷推定手段を、ナビゲーションユニット2が応答判定手段を、電話機33が通信手段を、GPSアンテナ10およびナビゲーションユニット2が車両位置検出手段を、各種センサ群23が車両挙動検出手段をそれぞれ構成する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】第1の実施の形態における情報提供システムの全体構成を示す図
【図2】ナビゲーションユニットの詳細な構成を示す図
【図3】車載機で行われる処理内容を示すフローチャート
【図4】運転している場所と、各種センサ群によって検出される信号とに基づいて、運転負荷レベルを判定するためのテーブルを示す図
【図5】運転負荷レベルに応じた応答可能性判定結果を示す図
【図6】情報センターのオペレーションセンターおよび車両用情報センターでそれぞれ行われる処理内容を示すフローチャート
【図7】第2の実施の形態における情報提供システムにおいて、車載機にて行われる処理内容を示すフローチャート
【図8】第2の実施の形態における情報提供システムにおいて、情報センターのオペレーションセンターおよび車両用情報センターでそれぞれ行われる処理内容を示すフローチャート
【図9】回答負荷の推定方法を説明するための図
【図10】運転負荷レベルと回答負荷とに基づいて、ユーザへの情報提供の可否を判断するためのテーブルを示す図
【図11】第3の実施の形態における情報提供システムにおいて、情報センターのオペレーションセンターおよび車両用情報センターでそれぞれ行われる処理内容を示すフローチャート
【符号の説明】
【0104】
1…車載機、2…ナビゲーションユニット、3…モニタ、4…携帯電話、5…通信アダプタ、6…電話ハーネス、7…データ通信用電話、8…マイク、9…スピーカ、10…GPSアンテナ、11…操作スイッチ、12…オペレータ呼び出しスイッチ、13…表示処理部、14…通信処理部、15…音声制御部、16…車速センサ、17…位置演算部、18…地図データ部、19…入力処理部、20…情報センター、21…保存部、23…各種センサ群、30…オペレーションセンター、31…PBX/CTI、32…検索処理端末、33…電話機、34…情報検索システム、36…ヘッドセット、37…ネットワーク、39…入力機器、40…情報データベース群、41…位置/電話情報データベース、42…交通情報データベース、43…天気予報データベース、44…各種情報データベース、50…車両用情報センター、51…通信インターフェース装置、54…情報処理端末、55…一般電話回線網、56…ユーザプロファイルデータベース、60…カスタマーセンター、62…カスタマー登録システム、63…インターネット、65…ユーザPC、66…カスタマー管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末から情報センターに呼を発して情報の提供を要求し、要求された情報を情報センターから情報端末に送信する情報提供システムにおいて、
情報端末から情報センターへの情報提供要求が伝わると、情報センターと情報端末との間の通信を一旦切断する通信制御手段と、
情報提供要求に基づいて、情報を検索する情報検索手段とを備え、
前記通信制御手段は、前記情報検索手段による情報検索が終了すると、情報検索結果をユーザに確認するために、情報センターと情報端末との間の通信を再開することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供システムにおいて、
前記情報検索結果の確認をユーザにする際に、ユーザが応答できる状態にあるか否かを判定する応答判定手段をさらに備え、
前記通信制御手段は、前記応答判定手段によって、ユーザが応答可能であると判定されると、情報センターと情報端末との間の通信を再開することを特徴とする情報提供システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報提供システムにおいて、
前記情報検索手段による情報検索結果をユーザに確認する時のユーザの回答負荷を推定する回答負荷推定手段をさらに備え、
前記通信制御手段は、前記応答判定手段によって判定される応答可能性、および、前記回答負荷推定手段によって推定される回答負荷に基づいて、情報センターと情報端末との間の通信を再開することを特徴とする情報提供システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の情報提供システムにおいて、
前記情報端末は、車両に搭載されて使用されるものであって、
前記応答判定手段は、ユーザの運転状況に基づいて、ユーザの応答可能性を判定することを特徴とする情報提供システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報提供システムにおいて、
車両の位置を検出する車両位置検出手段をさらに備え、
前記応答判定手段は、前記車両位置検出手段によって検出される車両位置に基づいて、ユーザの運転状況を検出し、検出した運転状況に基づいて、ユーザの応答可能性を判定することを特徴とする情報提供システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載の情報提供システムにおいて、
車両挙動を検出する車両挙動検出手段をさらに備え、
前記応答判定手段は、前記車両挙動検出手段によって検出される車両挙動に基づいて、ユーザの運転状況を検出し、検出した運転状況に基づいて、ユーザの応答可能性を判定することを特徴とする情報提供システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の情報提供システムにおいて、
前記通信制御手段は、情報センターが備えており、前記情報検索手段から情報検索が終了したことを示す信号を受信すると、情報センターと情報端末との間の通信を再開することを特徴とする情報提供システム。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の情報提供システムにおいて、
前記通信制御手段は、情報端末が備えており、情報センターから情報検索が終了したことを示す信号を受信すると、情報センターと情報端末との間の通信を再開することを特徴とする情報提供システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の情報提供システムにおいて、
前記通信制御手段によって、情報センターと情報端末との間の通信が再開されると、前記情報検索手段による情報検索結果のデータを情報センターから情報端末に送信することを特徴とする情報提供システム。
【請求項10】
情報端末から要求された情報を検索し、検索した情報を情報端末に送信する情報提供装置において、
情報端末との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段が情報端末から情報提供要求を受けると、前記通信手段と情報端末との間の通信を一旦切断する通信制御手段と、
情報端末からの情報提供要求に基づいて、情報を検索する情報検索手段とを備え、
前記通信制御手段は、前記情報検索手段による情報検索が終了すると、情報検索結果をユーザに確認するために、前記通信手段と情報端末との間の通信を再開することを特徴とする情報提供装置。
【請求項11】
請求項10に記載の情報提供装置において、
前記通信手段は、前記情報検索結果の確認のための通信に対して、ユーザが応答できるか否かを示す応答可能性データを情報端末から受信し、
前記通信制御手段は、前記通信手段が受信した応答可能性データに基づいて、ユーザが応答可能であると判定すると、前記通信手段と情報端末との間の通信を再開することを特徴とする情報提供装置。
【請求項12】
請求項11に記載の情報提供装置において、
前記情報検索手段による情報検索結果をユーザに確認する時のユーザの回答負荷を推定する回答負荷推定手段をさらに備え、
前記通信制御手段は、前記通信手段が受信した応答可能性データ、および、前記回答負荷推定手段によって推定される回答負荷に基づいて、前記通信手段と情報端末との間の通信を再開することを特徴とする情報提供装置。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載の情報提供装置において、
前記情報端末は、車両に搭載されて使用されるものであって、
前記通信手段が受信する応答可能性データは、ユーザの運転状況に基づいて、ユーザの応答可能性を判定したデータであることを特徴とする情報提供装置。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれかに記載の情報提供装置において、
前記通信手段は、情報端末との間の通信を再開すると、前記情報検索手段による情報検索結果のデータを情報端末に送信することを特徴とする情報提供装置。
【請求項15】
情報端末から情報センターに呼を発して情報の提供を要求し、要求された情報を情報センターから情報端末に送信する情報提供方法において、
情報端末から情報センターへの情報提供要求が伝わると、情報センターと情報端末との間の通信を一旦切断し、
情報提供要求に基づいて、情報を検索し、
前記情報検索が終了すると、情報検索結果をユーザに確認するために、情報センターと情報端末との間の通信を再開することを特徴とする情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−110272(P2007−110272A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297130(P2005−297130)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】