説明

情報提供システム、情報提供装置及び情報提供方法

【課題】表示媒体の入れ替え作業を手軽にできるようにすると共に、社会インフラ整備に莫大な資金を投入することなく表示媒体による提供情報の内容を随時変更できるようにし、しかも、昼間には提供情報の視認性を維持して夜間には提供情報の提供に際して演色性を生じさせる。
【解決手段】有機ELシートを含む複数の提供情報領域が配列された表示媒体をロール状に巻回保持すると共に引き出された表示媒体の巻き戻しが可能な媒体保持部を電柱に取り付けられた基部に保持させ、媒体保持部から引き出した表示媒体をプロジェクタ付きの昇降体に保持させ、昇降体を上昇させる。昼間には所望の提供情報領域を出現させ、夜間には有機ELシートを出現させてホストコンピュータから受信した画像データを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱を利用して広告や地域情報等の各種の情報を情報提供装置に提供させる情報提供システム、このシステムで使用する情報提供装置、及び情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱に広告看板を取り付け、電柱を広告塔として利用することが従来から行なわれている。このような広告看板は、一般的には電柱に対して固定的に取り付けられるため、その設置作業及び撤去作業を手軽に行なうことができない。このため、一度設置された広告看板は、ある程度長期に渡り設置され続けることになる。
【0003】
これに対して、特許文献1には、高所に設置する大型看板を昇降自在とし、手動によって看板の上げ下げを行なうことができるようにした技術が開示されている。このような技術を利用すれば、電柱に設置する広告看板のメンテナンスや広告の入れ替え作業を容易に行なうことができることであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−16973号公報
【特許文献2】特開2003−216082公報
【特許文献3】特開2002−244583公報
【特許文献4】特開2005−70740公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている広告看板の昇降機構は、比較的大掛かりな構造物となっている。このため、とりわけ広告看板における広告の入れ替え作業については、固定看板と比較すれば容易であるものの、手放しで手軽であるという評価を下すことはできない。
【0006】
また、広告看板については、比較的短いスパン、例えば一日のうちの時間帯単位で広告内容を入れ替えたいという要望もある。ところが、特許文献1に記載されている広告看板の昇降機構は、人間が手動操作で広告看板を上げ下げするものであるので、短いスパンでの広告の入れ替えという要望には、事実上応えることができない。
【0007】
これに対して、特許文献2は、可変情報を表示し得る広告表示装置に対して広告データを配信し、広告表示を適宜変更できるようにした技術を開示している。また、特許文献3は、大型のペーパーディスプレイを電柱に設置することを開示し(特許文献3の段落0072参照)、特許文献4は、広告表示媒体としての有機ELディスプレイやプロジェクタの利用を開示している(特許文献4の段落0001〜0017等参照)。しかしながら、特許文献1〜3に記載されている類の広告表示装置を電柱に設置するとなると、社会インフラ整備にかかる費用が莫大なものとなることが明らかで、現実味が薄い。しかも、特許文献4に記載されている有機ELディスプレイやプロジェクタを利用しての情報提供ということになると、夜間においては演色性が高まり好ましい反面、昼間においては視認性が劣るという問題もある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、表示媒体の入れ替え作業を手軽にできるようにすると共に、社会インフラ整備に莫大な資金を投入することなく表示媒体による提供情報の内容を随時変更できるようにし、しかも、昼間等には提供情報の視認性を維持して夜間等には提供情報の提供に際して演色性を生じさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、電柱に設置され、通信回線網を介して外部機器と通信可能な複数個の情報提供装置と、前記通信回線網を介して前記情報提供装置と通信し、前記情報提供装置を制御するホストコンピュータと、を備え、前記情報提供装置は、電柱に取り付けられる基部と、前記基部に設けられて昇降体を昇降自在に支持する昇降機構と、前記基部に設けられて駆動力を受ける受動部の回転運動を前記昇降体の昇降運動に変換する動力変換機構と、有機ELシートを含む複数の提供情報領域を長手方向に配列する表示媒体をロール状に巻回保持すると共に引き出された前記表示媒体をゼンマイの力を利用して巻き戻す巻戻し機構を有する媒体保持部を前記昇降体の下方位置で前記基部に着脱自在に保持させ、前記媒体保持部から引き出し可能な前記表示媒体を前記昇降体に着脱自在に保持させる媒体装着機構と、前記有機ELシートを画像データに従い駆動するための前記媒体保持部に設けられているドライブ回路との間の電気的接続を果たす接続部と、アクチュエータの駆動力によって前記昇降体に保持された表示媒体の巻き取り及び巻き戻しを行なう巻回機構と、前記接続部に接続された前記有機ELシートのドライバに画像データを送信する入出力回路を備え、前記通信回線網を介して前記ホストコンピュータから受信した指令に従い前記アクチュエータを駆動制御すると共に前記ホストコンピュータから受信した画像データを前記入出力回路から出力する制御部と、を備え、前記ホストコンピュータは、記憶領域に個々の前記情報提供装置毎に登録されている現在装着中の前記表示媒体に含まれている前記提供情報領域と提供期間との間の対応関係定義を参照し、現在の提供期間に対応する前記提供情報領域を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付けるための前記アクチュエータの駆動制御情報を生成する手段と、現在が前記有機ELシートに画像表示を実行しない第1の状態なのか画像表示を実行する第2の状態なのかを判定する手段と、前記第1の状態であると判定した場合には前記生成した駆動制御情報を、前記第2の状態であると判定した場合には前記生成した駆動制御情報に前記有機ELシートに描画するための画像データを伴わせて、それぞれ対応する前記情報提供装置に宛て前記通信回線網によって配信する手段と、を備える情報提供システムによって上記課題を解決する。
【0010】
本発明の別一態様は、電柱に取り付けられる基部と、前記基部に設けられて昇降体を昇降自在に支持する昇降機構と、前記基部に設けられて駆動力を受ける受動部の回転運動を前記昇降体の昇降運動に変換する動力変換機構と、有機ELシートを含む複数の提供情報領域を長手方向に配列する表示媒体をロール状に巻回保持すると共に引き出された前記表示媒体をゼンマイの力を利用して巻き戻す巻戻し機構を有する媒体保持部を前記昇降体の下方位置で前記基部に着脱自在に保持させ、前記媒体保持部から引き出し可能な前記表示媒体を前記昇降体に着脱自在に保持させる媒体装着機構と、前記有機ELシートを画像データに従い駆動するための前記媒体保持部に設けられているドライブ回路との間の電気的接続を果たす接続部と、アクチュエータの駆動力によって前記昇降体に保持された表示媒体の巻き取り及び巻き戻しを行なう巻回機構と、前記接続部に接続された前記有機ELシートのドライバに画像データを送信する入出力回路を備え、前記通信回線網を介して前記ホストコンピュータから受信した指令に従い、当該指令に応じた前記提供情報領域を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付けるように前記アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ホストコンピュータから受信した画像データを前記入出力回路から出力する制御部と、を備える情報提供装置によって上記課題を解決する。
【0011】
本発明の更に別の一態様は、電柱に取り付けられる基部に、有機ELシートを含む複数の提供情報領域を長手方向に配列する表示媒体をロール状に巻回保持すると共に引き出された前記表示媒体をゼンマイの力を利用して巻き戻す巻戻し機構を有する媒体保持部を保持させる工程と、前記基部に昇降自在に設けられた昇降体に、前記媒体保持部から引き出した前記表示媒体を保持させる工程と、前記有機ELシートを画像データに従い駆動するための前記媒体保持部に設けられているドライブ回路との間で電気的接続を果たす工程と、前記基部に設けられて駆動力を受ける受動部に生じた回転運動を前記昇降体の昇降運動に変換して伝達することで前記昇降体を昇降させ、前記提供情報領域を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付ける工程と、通信回線網を介してホストコンピュータから受信した指令に従い、当該指令に応じた前記提供情報領域を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付けるように前記昇降体に保持された表示媒体の巻き取り及び巻き戻しを行なう巻回機構の駆動源であるアクチュエータを駆動制御すると共に、前記ホストコンピュータから受信した画像データを前記接続部に接続された前記有機ELシートのドライバに画像データを送信する入出力回路から出力する工程と、を備える情報提供方法によって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、昇降体の昇降に応じて表示媒体の設置及び撤去が可能となり、また、設置後の表示媒体を巻き取ったり巻き戻したりすれば所望の情報提供領域を随時出現させ、例えば夜間には有機ELシートを出現させてホストコンピュータから受信した画像データを表示することができ、したがって、表示媒体を手軽に入れ替えることができると共に、社会インフラ整備に莫大な資金を投入することなく表示媒体による提供情報の内容を随時変更することができ、しかも、昼間等には表示媒体の情報提供領域に予め描かれている提供情報を出現させてその視認性を維持し、夜間等には有機ELシートの表示画像による演色効果を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】情報提供装置の外観を示す側面図である。
【図2】情報提供装置の外観を示す正面図である。
【図3】使用の一態様を示す情報提供装置の側面図である。
【図4】(a)は表示媒体が収納されている状態、(b)は表示媒体が少し引き出された状態をそれぞれ示す媒体保持部の斜視図である。
【図5】昇降体を昇降駆動するための鍵付きハンドルを示す斜視図である。
【図6】情報提供装置の縦断側面図である。
【図7】情報提供装置の横断平面図である。
【図8】昇降機構の分解斜視図である。
【図9】昇降体、昇降機構及び巻回機構の縦断側面図である。
【図10】昇降体において表示媒体を保持する媒体保持筒と昇降体のフロントパネルの裏面側との分解斜視図である。
【図11】ホストコンピュータと複数個の情報提供装置とを含む全体のシステム構成を示すブロック図である。
【図12】ホストコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図13】記憶領域に登録されている対応関係定義の一例を示す模式図である。
【図14】リザーブ定義の一例を示す模式図である。
【図15】情報提供装置の各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図16】表示媒体を全て引き出した状態の一例を示す媒体保持部及び表示媒体の正面図である。
【図17】ある情報提供装置について記憶領域に登録されている対応関係定義とこの対応関係定義に従い提供される提供情報との対応関係を例示する模式図である。
【図18】対応関係定義に従い有機ELシートに表示される表示画像を例示する模式図である。
【図19】ホストコンピュータのCPUが実行する表示媒体設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】ホストコンピュータのCPUが実行する表示媒体設置処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】ホストコンピュータのCPUが実行する表示媒体変更処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の一形態を図1ないし図21に基づいて説明する。
【0015】
本実施の形態は、複数個の情報提供装置101と情報提供装置101から見て外部機器であるホストコンピュータ201とが通信回線網301を介して通信自在に接続された情報提供システム1001(図11参照)への適用例である。ここでは、最初に情報提供装置101について詳しく説明し、次いでシステムの説明へと入っていく。
【0016】
図1は、情報提供装置101の外観を示す側面図、図2は、情報提供装置101の外観を示す正面図である。本実施の形態の情報提供装置101は、電柱11に対して、金属ベルト12とサポート13とによって取り付けられている。情報提供装置101は、矩形筐体状の基部102の下部に外灯103を取り付け、外灯103の上方位置に昇降体104を昇降自在に設け、昇降体104の昇降動作に応じて広告や地域情報の提供に用いられる表示媒体31を設置できるようにしている。つまり、情報提供装置101において、昇降体104はハンドル51の回転操作によって上げ下げ可能である。そこで、表示媒体31を巻き物のようにして保持する媒体保持部32を基部102の正面下方から飛び出す設置棒105にセットし、昇降体104には表示媒体31の端部に設けられたバー33をセットする。この状態で、基部102の側部に設けた錠部106にハンドル51の鍵部52(図5参照)を差し込み、ハンドル51を回転操作する。すると、昇降体104が上昇し、媒体保持部32から表示媒体31が引き出されて出現する。
【0017】
情報提供装置101は、その錠部106の位置が地表面から2m程度の高さの位置に設置される。そこで、設置棒105に対して媒体保持部32を着脱したり錠部106に取り付けたハンドル51を回転させたりするに際して、作業者は、脚立等に乗って作業を行なうことになる。
【0018】
図3は、使用の一態様を示す情報提供装置101の側面図である。図3に一例を示すように、表示媒体31には広告や地域情報等の提供情報Iが描かれている。そこで、情報提供装置101は、昇降体104と媒体保持部32との間に表示媒体31を出現させることで、提供情報Iを表示して広告宣伝機能、情報提供機能を果たすことができる。
【0019】
更に、情報提供装置101は、比較的低所に外灯103を有している。このように低所に配された外灯103によって、電柱11の近くを通行する者の足元を照らす効果が生まれる。そこで、外灯103としてLED照明装置等のような演色性が期待できる照明を用いることにより、今までにない独特な照明空間を発生させることができる。
【0020】
以下、情報提供装置101の詳細を説明する。
【0021】
図4(a)は表示媒体31が収納されている状態、図4(b)は表示媒体31が少し引き出された状態をそれぞれ示す媒体保持部32の斜視図である。表示媒体31は、筒状の媒体保持部32の内部で中空であって回転自在の中心軸(図示せず)に巻き込まれた状態で保持されており、その端部に設けられたバー33を持って引き出すことで引き出し可能となっている(図4(b)参照)。媒体保持部32は、引き出した表示媒体31をゼンマイ(図示せず)の力で巻き戻すことができる。そのための構造として、媒体保持部32は、その一端側にゼンマイを巻き戻し動力源とする巻戻し機構(図示せず)を内蔵する巻戻し部34を有している。巻戻し部34の内部では、表示媒体31が引き出されるにつれてゼンマイが巻かれていき、巻かれたゼンマイは初期状態への復元力を蓄える。これにより、引き出した表示媒体31をフリーな状態にすると、巻かれたゼンマイの復元力によって表示媒体31が巻き戻されて媒体保持部32に収納される。このような媒体保持部32は、巻戻し部34と反対側の端部にセット部35を有している。セット部35は、表示媒体31を保持する前述の中心軸の中空部分に連通するセット孔36を有し、その周囲に一対のフック溝37を有している。フック溝37は、セット孔36の軸を中心とする円周上に位置する溝であり、それらの一端は溝よりも径が大きな大径部37aとなっている。
【0022】
表示媒体31は、複数の提供情報領域IAを備えている(図16参照)。個々の提供情報領域IAには、提供情報Iが描かれている(図16参照)。また、本実施の形態の表示媒体31は、有機ELシート41を含んでいる(図16参照)。情報提供装置101は、有機ELシート41に各種の画像を表示することができる。この場合に表示する画像は、ホストコンピュータ201から受信した画像データに基づく画像である。したがって、本実施の形態のシステムは、ホストコンピュータ201から個々の情報提供装置101に画像データを配信し、この画像データを情報提供装置101にて有機ELシート41に表示させることができる。
【0023】
図1及び図2に示すように、情報提供装置101の基部102は、その正面下方に、媒体保持部32をセットして保持できるようにした棒状の設置棒105を突出させている。設置棒105は、媒体保持部32のセット孔36に嵌合する径に形成され、媒体保持部32の内部でその中心軸(図示せず)の中空部分にも嵌合する。図1中、設置棒105の上下に示されているのは、設置棒105にセットされた媒体保持部32を抜け止めするためのフックピン107である。これらのフックピン107は、設置棒105に媒体保持部32がセットされると、媒体保持部32のセット部35に形成されている一対のフック溝37に嵌合する位置に形成されている。そして、フックピン107は、その頭部が大径となっている。この大径の頭部は、フック溝37の大径部37aには挿通して溝部には挿通しない径に定められている。そこで、設置棒105に対する媒体保持部32のセット作業時、フック溝37の大径部37aをフックピン107に位置合わせして媒体保持部32を押し込み右回転させると、媒体保持部32は設置棒105に確実に保持される。
【0024】
図2に示すように、情報提供装置101の基部102は、その中央部に縦長の長孔108を有しており、この長孔108に沿って昇降体104を移動させる。長孔108は、設置棒105を通る鉛直線上に形成されている。
【0025】
更に、図1〜図3に示すように、基部102の上部にはスピーカ131が取り付けられている。
【0026】
図5は、昇降体104を昇降駆動するための鍵付きのハンドル51を示す斜視図である。ハンドル51は、ハンドルアーム53の一端側に把持部54を突出させ、ハンドルアーム53の他端側に鍵部52を突出させて設けている。ハンドルアーム53の面のうち、鍵部52の突出面と把持部54の突出面とは互いに反対側となっている。鍵部52は、情報提供装置101の側に設けられた錠部106に差し込むことができる鍵である。したがって、錠部106及び鍵部52は、用意に真似されない形状に形成されていることが望ましい。また、図1及び図3は、情報提供装置101の左側面を示しているために右側面は示されないが、錠部106は、基部102の左側面のみならず、両側面に形成されていても良い。これにより、右利き及び左利きのいずれの利き腕の作業者にも使い勝手が良いものとなる。
【0027】
図6は、情報提供装置101の縦断側面図、図7は、情報提供装置101の横断平面図である。昇降体104は、長孔108が形成された基部102の基部フロントパネル109に三対のローラ対110によって三点支持される昇降機構111を一体的に有している(図8も参照のこと)。この昇降機構111については、図8に基づいて後述する。ハンドル51の回転操作に基づいて昇降機構111に昇降動作を与えているのは、巻き掛け伝動機構である動力変換機構112である。つまり、基部102は、その内部上下位置に一対のプーリ113を設けている。これらのプーリ113は、基部102に回転自在に取り付けられて互いに水平配置された一対の支軸114に固定され、支軸114の回転と共に回転自在である。これらのプーリ113には、ワイヤWが掛け渡されており、これによって巻き掛け伝動機構が構成されている。そこで、昇降機構111に設けた連結体115をワイヤWに連結固定することで(図9も参照のこと)、一対のプーリ113の回転運動を昇降体104の昇降運動に変換して伝達することが可能となる。本実施の形態においては、下方に位置する下部支軸114aに、基部102の側面に設けられた鍵部52を連結している。これにより、下部支軸114aが駆動力を受ける受動部となり、ハンドル51の回転操作によって生ずる回転駆動力に従い下部支軸114aが回転する。動力変換機構112は、受動部である下部支軸114aの回転運動を上方に位置する支軸114と共にワイヤWに伝達してワイヤWを回転させ、これによって昇降体104を昇降させる。つまり、受動部である下部支軸114aの回転運動を昇降体104の昇降運動に変換するわけである。
【0028】
図8は、昇降機構111の分解斜視図である。昇降機構111は、主フレーム116に三対のローラ対110が固定されて形成されている。ローラ対110のうち、二対は基部102の基部フロントパネル109の外部側に配置され、一対は基部フロントパネル109の内部側に配置される。基部フロントパネル109の外部側に配置される二対のローラ対110は、それぞれ、外側ローラフレーム117の上下に回転自在に取り付けられた一対のローラRである。基部フロントパネル109の内側に配置される一対のローラ対110は、内側ローラフレーム118の左右に回転自在に取り付けられた一対のローラRである。そして、外側ローラフレーム117は、主フレーム116の上下幅と同一寸法の上下幅を有する接合部119を有し、この接合部119を接合させて主フレーム116に固定されている。また、内側ローラフレーム118は、円筒状の連結筒120を介して主フレーム116に固定されている。連結筒120は、基部フロントパネル109に形成された長孔108を通り、基部フロントパネル109の外側においては主フレーム116に連結固定され、基部フロントパネル109の内側においては内側ローラフレーム118に連結固定される。そして、主フレーム116に対する外側ローラフレーム117及び内側ローラフレーム118の固定は、一例としてネジ止めによってなされる。そのために、それらの主フレーム116、外側ローラフレーム117及び内側ローラフレーム118には、ネジ通しのためのネジ通し孔THが複数個形成されている。また、主フレーム116は、その両側が直角に屈曲形成され、この屈曲部分に昇降体104との間の連結固定片121を有している。昇降体104との間の連結固定も、一例としてネジ止めによってなされる。そこで、連結固定片121にも、複数個のネジ通し孔THが形成されている。
【0029】
上記昇降機構111の構成において重要なことは、連結筒120の長さである。連結筒120の長さは、基部フロントパネル109の外側に配置されるローラ対110のローラRと内側に配置されるローラ対110のローラRとの間のクリアランスを決める。この点、図7に示すように、それらの基部フロントパネル109の内外のローラR間のクリアランスは、基部フロントパネル109の厚み分として規定されていなければならない。そこで、連結筒120は、基部フロントパネル109の内外のローラR間のクリアランスを基部フロントパネル109の厚み分とする長さに設定されている。
【0030】
以上説明したように、昇降機構111は、昇降体104に一体的に固定され、基部フロントパネル109の内外で三対のローラ対110によって三点支持され、昇降体104を昇降自在に支持する。
【0031】
図9は、昇降体104、昇降機構111及び巻回機構143の縦断側面図、図10は、昇降体104において表示媒体31を保持する媒体保持筒122と昇降体104のフロントパネル123の裏面側との分解斜視図である。図9を参照することで、昇降機構111における主フレーム116と連結筒120と内側ローラフレーム118との間の連結結合構造が明らかとなる。つまり、これらの主フレーム116と連結筒120と内側ローラフレーム118とは、昇降体104の内部側からそれらを挿通する長ネジLSがボルトBによって止められることで、一体に連結結合されている。
【0032】
次いで、昇降体104は、表示媒体31のバー33を着脱自在に保持する構造として、媒体保持筒122を有している。媒体保持筒122は、表示媒体31のバー33を挿入可能な一端開口の筒状部材である。媒体保持筒122は、昇降体104の内部において、中央部分に配置されており(図7も参照のこと)、先端側を昇降体104のフロントパネル123に固定されたアダプタ124に、後端側をボトムパネル125に固定されたホルダ141にそれぞれ回転自在に支持されている。つまり、図10に示すように、フロントパネル123においては、その裏面に媒体保持筒122が嵌合するアダプタ124が固定されており、媒体保持筒122はアダプタ124に回転自在に嵌合して支持されている。また、ホルダ141に回転自在に支持された媒体保持筒122の後端側には、ホルダ141よりも媒体保持筒122の先端側に位置させてEリング142が装着されている。これにより、媒体保持筒122は、その軸方向への変位が規制されている。
【0033】
昇降体104のフロントパネル123及びアダプタ124とボトムパネル125、それに媒体保持筒122には、表示媒体31を通すためのスリット123a、124a、125a、122aが形成されており、全体として装着用スリット126を形成している。この装着用スリット126は、設置棒105を含む鉛直線上に位置付けられている(図2参照)。
【0034】
そして、図2に示すように、昇降体104には、フロントパネル123、アダプタ124及び媒体保持筒122を通り、表示媒体31のバー33をフロントパネル123の前面から挿入するための媒体装着孔SHが形成されている。
【0035】
また、昇降体104は、回転自在に支持した媒体保持筒122を回転駆動するための巻回機構143を内蔵している。この巻回機構143は、減速機構144を介して、アクチュエータとしてのモータMの回転駆動力を媒体保持筒122に伝達するための機構である。減速機構144は、歯車列によって形成され、モータMの回転数を減速して媒体保持筒122に伝達する。媒体保持筒122には、減速機構144の一部をなす従動ギア145が固定されている。
【0036】
図9中には図示しないが、昇降体104には、媒体保持筒122の回転位置を検出するための位置センサS(図15参照)が組み込まれている。昇降体104においては、表示媒体31のバー33を媒体装着孔SHに挿入して装着するに際して、媒体保持筒122に形成されているスリット122aが必ず真下を向いていなければならない。位置センサSは、媒体保持筒122のスリット122aが真下を向いているかどうかを検出するセンサである。一例として、位置センサSとして反射型光電センサを用い、媒体保持筒122にはそのスリット122aが真下を向いた場合に反射型光電センサに反応を生じさせるマークを印しておく。マークは、通常よりも反射率が高くなるもの、あるいは反対に反射率が低くなるものを用いることができる。
【0037】
本実施の形態の情報提供装置101は、こうして媒体保持筒122を回転駆動することによって、媒体保持筒122にバー33がセットされている表示媒体31を巻き取り、あるいは巻き戻し、表示媒体31中の所望の提供情報領域IA(図16、図17参照)を昇降体104の直下に出現させることを可能にしている。
【0038】
ここで、前述した設置棒105及びフックピン107は、媒体保持部32を昇降体104の下方位置で基部102に着脱自在に保持させるという役割を担っている。また、媒体保持筒122、媒体装着孔SH及び装着用スリット126は、媒体保持部32から引き出された表示媒体31を昇降体104に着脱自在に保持させる役割を担っている。そこで、これらの設置棒105、フックピン107、媒体保持筒122及び装着用スリット126は、表示媒体31及びこれを保持する媒体保持部32を情報提供装置101にセットし保持するための媒体装着機構127を構成している。
【0039】
次いで、情報提供システム1001のシステム説明に移る。
【0040】
図11は、ホストコンピュータ201と複数個の情報提供装置101とを含む全体のシステム構成を示すブロック図である。本実施の形態の情報提供システム1001は、複数個の情報提供装置101とホストコンピュータ201とよりなり、これらのホストコンピュータ201と個々の情報提供装置101とが通信回線網301を介して通信自在に接続されて構築されている。
【0041】
本実施の形態の情報提供システム1001は、個々の情報提供装置101について、これらの情報提供装置101が昇降体104の直下に出現させて表示すべき表示媒体31の提供情報領域IAをホストコンピュータ201によって一元管理する。そのための仕組みを以下説明する。
【0042】
図12は、ホストコンピュータ201のハードウェア構成を示すブロック図である。ホストコンピュータ201は、各種演算処理を実行するCPU202を中核として構成されている。CPU202には、BIOS等の固定データを固定的に格納するROM203、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとしても利用されるRAM204、大容量のHDD205、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置206、LCD等の表示装置207、そして通信インターフェース208が接続されている。ホストコンピュータ201は、本実施の形態の情報提供システム1001のための各種のコンピュータプログラムをHDD205にインストールしており、これらのコンピュータプログラムの全部又は一部はRAM204にコピーされてCPU202のアクセスに供している。通信インターフェース208は、通信回線網301を介して複数個の情報提供装置101とデータ通信するためのプロトコルをサポートしている。
【0043】
図13は、RAM204の記憶領域に登録されている対応関係定義RDの一例を示す模式図である。対応関係定義RDは、ホストコンピュータ201がインストールしているコンピュータプログラムによってRAM204の記憶領域に生成されるデータである。このような対応関係定義RDは、前述したホストコンピュータ201による個々の情報提供装置101の表示制御を実現させるための肝となるデータである。つまり、対応関係定義RDは、個々の情報提供装置101毎に、1時間を単位とする時間帯毎に出現させるべき提供情報領域IAを定義している。ホストコンピュータ201は、上記コンピュータプログラムに従い、個々の情報提供装置101毎に、時間帯毎の提供情報領域IAの入力及び登録を行なうことができる。また、ホストコンピュータ201のCPU202は、上記コンピュータプログラムに従い、対応関係定義RDに基づく動作指令を含む駆動制御情報を生成し、生成した駆動制御情報を対応する情報提供装置101に配信する。こうして、個々の情報提供装置101が昇降体104の直下に出現させるべき表示媒体31の提供情報領域IAをホストコンピュータ201が一元的に決定し管理することができる。
【0044】
図14は、リザーブ定義VDの一例を示す模式図である。このリザーブ定義VDも、対応関係定義RDと同様に、ホストコンピュータ201がインストールしているコンピュータプログラムによってRAM204の記憶領域に生成されるデータである。このようなリザーブ定義VDは、上記対応関係定義RD中、1時間単位で設定登録可能な提供情報領域IAの枠を制限する予めリザーブされた情報を定義している。定義されている情報は、予め決められた提供情報I及び時間帯に対する情報提供装置101の識別コードである。一例として、図14には、予め決められた提供情報I及び時間帯として、
夜間・早朝注意報知 0:00〜 6:00
スクールゾーン報知 7:00〜 9:00
監視カメラ報知 14:00〜16:00
が例示されている。リザーブ定義VDは、このような予め決められた提供情報I及び時間帯に対して、情報提供装置101の識別コードを自由に設定できるデータ構造を有している。ホストコンピュータ201のCPU202は、上記コンピュータプログラムに従い、リザーブ定義VDに定義されている所望の提供情報I及び時間帯に対して、所望の情報提供装置101の識別コードを入力し登録することがきる。上記コンピュータプログラムは、リザーブ定義VDに定義された情報提供装置101を図13に示す対応関係定義RDに反映し(図13中にハッチングで示す)、対応関係定義RDでの自由な設定を制限するようにホストコンピュータ201を動作させる。
【0045】
図15は、情報提供装置101の各部の電気的接続を示すブロック図である。情報提供装置101は、基部102に制御回路151を内蔵している。制御回路151は、情報処理を実行して各部を集中的に制御する制御部152を主体として、この制御部152に、メモリ153、通信回路154、モータ駆動回路155、設置センサ156、音声合成回路157、及びI/O158が接続されて構成されている。
【0046】
制御部152は、一例として、予め決められたシーケンスを実行する回路が印刷された半導体チップによって構成されている。もっとも、情報処理機能を有していれば、そのような半導体チップ構成のものでなくても良い。
【0047】
メモリ153は、制御部152と共に1チップ化されていても、制御部152とは別体で用意されたものであっても良い。
【0048】
通信回路154は、通信回線網301を介してホストコンピュータ201とデータ通信するための回路である。
【0049】
モータ駆動回路155は、媒体保持筒122を回転駆動するためのモータMを駆動するための回路である。また、本実施の形態では、モータ駆動回路155に、位置センサSの出力を取り込むための回路が組み込まれている。
【0050】
設置センサ156は、情報提供装置101に媒体保持部32及び表示媒体31が装着されて昇降体104が所期の上昇位置まで上げられたかどうかを検出するセンサである。つまり、設置センサ156は、設置棒105及びフックピン107に媒体保持部32が正しく装着されたこと、昇降体104の媒体保持筒122に表示媒体31のバー33が正しく装着されたこと、そして昇降体104が所期の上昇位置まで上げられたこと、の三つの物理現象を検出し、検出結果を出力する。このような設置センサ156としては、リレースイッチを利用したセンサ、マイクロスイッチを利用したセンサ、光電センサ等、従来の各種のセンサを用いることができる。
【0051】
音声合成回路157は、音声データに基づいて音声を合成する音声合成LSIを含み、音声合成LSIの出力をアナログ信号に変換して増幅し、スピーカ131から音声発生させる回路である。
【0052】
I/O158は、有機ELシート41に対するデータ入出力用である。I/O158は、接続部159を介して有機ELシート41のドライブ回路42に接続している。
【0053】
ここで、有機ELシート41のドライブ回路42、そして、このドライブ回路42を情報提供装置101の制御部152にI/O158経由で接続させる接続部159について説明する。
【0054】
まず、ドライブ回路42は、表示媒体31をロール状にして保持する媒体保持部32に内蔵されている。一例として、ドライブ回路42は、媒体保持部32における表示媒体31の支軸に組み込まれており、表示媒体31の側部にプリントされたフレキシブルな配線(図示せず)を介して有機ELシート41に接続されている。本実施の形態では、有機ELシート41はバー33に最も近い提供情報領域IAをなす位置に配置されているわけであるが、ドライブ回路42との間の配線を考慮すると、表示媒体31の支軸に最も近い提供情報領域IAに有機ELシート41を配置することも好ましい。いずれにしても、有機ELシート41とドライブ回路42とは多数本の配線を介して接続されている必要がある。
【0055】
次いで、接続部159は、一例として、基部102に設けられたフックピン107と媒体保持部32に設けられたフック溝37とを利用して形成されている。つまり、フック溝37には、ドライブ回路42に接続する複数個の接点を仕組んでおく。そして、フックピン107にも、制御部152に接続されたI/O158に接続する複数個の接点を設けておく。そして、設置棒105に対する媒体保持部32の装着に伴いフック溝37にフックピン107がフックした状態で、フック溝37側の接点とフックピン107側の接点とが接続されるようにするわけである。あるいは、別の一例として、媒体保持部32が有するセット部35の端面と基部102における設置棒105の周囲とに複数個の接点を用意しておき、設置棒105に対する媒体保持部32の装着に伴いフック溝37にフックピン107がフックすると、それらの接点同士が個々に接続されるような構造の接続部159としても良い。有機ELシート41のドライブ回路42とI/O158との接続にはそれ程多くの接点を必要としないため、各種の構造によって容易に接続部159を構成することができる。
【0056】
情報提供装置101の制御部152は、通信回路154を介してホストコンピュータ201から画像データを受信した場合、受信した画像データをメモリ153に保存する。そして、制御部152は、メモリ153に保存した画像データに従った有機ELシート41の駆動用信号を生成し、これをI/O158に出力することができるように回路構成されている。有機ELシート41のドライブ回路42は、I/O158から出力された駆動用信号を受信すると、有機ELシート41に駆動用信号の元となる画像データに応じた画像を表示させる。
【0057】
図16は、ある情報提供装置101に装着されている表示媒体31を全て引き出した状態の一例を示す媒体保持部32及び表示媒体31の正面図である。本実施の形態では、表示媒体31に複数の提供情報領域IAが予め用意されている。図16に示す一例では、7個の提供情報領域IAが用意されている。そのうちの一つは、有機ELシート41である。有機ELシート41は、一例として、バー33に最も近い位置に配置されており、デフォルトの提供情報領域IAとなっている。
【0058】
図17は、図16に例示する表示媒体31が装着されている情報提供装置101について、ホストコンピュータ201が管理する対応関係定義RDに登録されている提供情報領域IAの番号とこの対応関係定義RDに従い提供される提供情報Iとの対応関係を例示する模式図である。図17に示す対応関係定義RDの一例では、
0時〜 5時の時間帯はデフォルト値(EL1の画像)
5時〜 7時の時間帯は1番の提供情報領域IA
7時〜 9時の時間帯は2番の提供情報領域IA
9時〜11時の時間帯は4番の提供情報領域IA
11時〜13時の時間帯は5番の提供情報領域IA
13時〜14時の時間帯は6番の提供情報領域IA
14時〜16時の時間帯は3番の提供情報領域IA
16時〜17時の時間帯は5番の提供情報領域IA
17時〜18時の時間帯はデフォルト値
18時〜20時の時間帯はデフォルト値(EL2の画像)
20時〜22時の時間帯はデフォルト値(EL3の画像)
22時〜24時の時間帯はデフォルト値(EL1の画像)
がそれぞれ登録されている。これらの提供情報領域IAは、情報提供装置101において昇降体104の直下に出現させるべき表示媒体31の提供情報領域IAを意味している。そして、図17に示す対応関係定義RDの一例では、5時〜18時の時間帯は表示媒体31の提供情報領域IAに予め描かれた提供情報Iを出現させ、0時〜5時及び18時〜24時の時間帯は、デフォルトの提供情報領域IAをなす有機ELシート41を出現させて有機ELシート41に画像表示を行なわせるようデータ登録がなされている。
【0059】
1番〜6番までの6個の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、次の通りである。
【0060】
1番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、夜間早朝の交通安全を呼びかけている。本例の場合、早朝の時間帯である5時〜7時の時間帯に1番の提供情報領域IAが登録されている。
【0061】
2番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、スクールゾーンであることを通行禁止時間と共に示している。本例の場合、学童の通学時間に前後余裕を見た7時〜9時の時間帯に2番の提供情報領域IAが登録されている。
【0062】
3番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、監視カメラで監視中であることを示している。本例の場合、学童の帰宅時間である14時〜16時の時間帯に3番の提供情報領域IAが登録されている。
【0063】
4番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、クリーニング店の宣伝広告である。本例の場合、例えば未就学児童を保育園や幼稚園に送っていった母親の目に留まりやすい9時〜11時の時間帯に4番の提供情報領域IAが登録されている。
【0064】
5番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、スーパーマーケットの宣伝広告である。本例の場合、スーパーマーケットでの買い物需要が高まるお昼前後の11時〜13時の時間帯と夕方の16時〜17時の時間帯に5番の提供情報領域IAが登録されている。
【0065】
6番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iは、電気店の宣伝広告である。本例の場合、13時〜14時の時間帯に6番の提供情報領域IAが登録されている。
【0066】
EL1〜EL3の提供情報Iは、デフォルトの提供情報領域IAに位置する有機ELシート41に表示する表示画像である。これらのEL1〜EL3の表示画像による提供情報Iについては、図18に示す。
【0067】
図18は、対応関係定義RDに従い有機ELシート41に表示される表示画像を例示する模式図である。ホストコンピュータ201は、有機ELシート41に表示させるべき複数種類の画像データを予め用意し、識別コードを付してRAM204等に登録しておく。一例として、ホストコンピュータ201は、
EL1の画像データ 夜間早朝交通安全報知
EL2の画像データ レストランの広告宣伝
EL3の画像データ ワインバーの広告宣伝
を事前に登録している。
【0068】
EL1の画像データに基づく提供情報Iは、上記1番の提供情報Iと同一の情報で、夜間早朝の交通安全を呼びかけている。本例の場合、夜間の時間帯である0時〜5時の時間帯にEL1の画像データが登録されている。
【0069】
EL2の画像データに基づく提供情報Iは、レストランの宣伝広告である。本例の場合、レストラン探しの需要が高まる18時〜20時の時間帯にEL2の画像データが登録されている。
【0070】
EL3の画像データに基づく提供情報Iは、ワインバーの宣伝広告である。本例の場合、酒場探しの需要が高まる20時〜22時の時間帯にEL3の画像データが登録されている。
【0071】
ホストコンピュータ201がインストールしているコンピュータプログラムは、このような画像データに識別コード(EL1〜EL3)を付し、対応関係定義RDに設定し登録できるようにしている。
【0072】
以上、図17が例示している対応関係定義RDが定義する提供情報I、及び図18が例示している有機ELシート41に表示する表示画像の例を説明した。この説明からも明らかなように、提供情報Iには、例えば4番〜6番及びEL2〜EL3のような純粋に商業的な営利広告もあれば、1番〜3番及びEL1のような地域情報も含まれている。一般的に、営利広告の広告主は、民間企業、地元商店、民間人等である。地域情報の掲載主は、地元の警察署、交通安全協会、PTA等、程度の差こそあれ公益性を有している団体である。しかも、例示した1番〜3番及びEL1の地域情報は、地域の安全に関する安全情報である。このようなことから、営利広告の場合、空いている時間帯を自由に購入できるようにすれば良いのに対して、1番〜3番及びEL1のような地域情報の場合、タイムリーな時間帯が存在するので、営利広告に優先させることが望ましい。
【0073】
そこで、上記1番〜3番及びEL1のような地域情報を上記4番〜8番及びEL2〜EL3のような営利広告に優先させる手法として、本実施の形態のシステムでは、図14に例示するリザーブ定義VDを採用している。リザーブ定義VDで定義された時間帯については、予めリザーブされ、対応関係定義RDにおいて自由な設定を制限する。もっとも、リザーブ定義VDで定義されている提供情報Iの種類によっては、全ての情報提供装置101についてその提供情報Iの時間帯における時間枠を制限する必要がない。例えば、前述した
スクールゾーン報知 7:00〜 9:00
というリザーブ定義VDの場合、現実のスクールゾーン及びその周辺に設置されている情報提供装置101においてその情報提供をする必要性がある。ところが、スクールゾーンからほど遠い場所に設置されている情報提供装置101については、7:00〜 9:00という時間帯に制約を課す実益がない。そこで、リザーブ定義VDでは、リザーブという制約を課すべき情報提供装置101を個々のリザーブ対象である提供情報I毎に設定可能としているわけである。
【0074】
なお、地域の安全に関する安全情報としては、災害の場合の非難情報、道路の使用を一時的に制限する道路工事情報、停電を呼びかけたり頭上で作業をしていることを知らせたりする電気工事情報等、各種の情報を提供情報領域IAに描く提供情報Iとすることができる。
【0075】
ここで注意すべきは、対応関係定義RDが定義しているのは、表示媒体31における提供情報領域IAとその提供期間との間の対応関係である、ということである。つまり、対応関係定義RDは、提供情報領域IAに描かれている提供情報Iそのものについては、一切の定義をしていない。提供情報領域IAとそこに描かれている提供情報Iとは、個々の表示媒体31及びこれを保持する媒体保持部32毎に異なっている。したがって、運用上、媒体保持部32に保持される表示媒体31にどのような提供情報Iが描かれるのかが決まってから対応関係定義RDを登録するか、あるいは反対に、個々の情報提供装置101毎に予め登録されている対応関係定義RDに従い表示媒体31に描く提供情報Iを決めることになる。一般的には、前者の運用を採用することが好ましい。
【0076】
もっとも、対応関係定義RDは、デフォルトの提供情報領域IAに位置する有機ELシート41に表示する表示画像の画像データについては、その識別コードを定義している。この意味で、対応関係定義RDは、提供情報領域IAに表示する提供情報Iを定義しているといえる。
【0077】
加えて、対応関係定義RDには、時間帯毎に音声報知データの識別コードを登録しておくようにしても良い。この場合、ホストコンピュータ201は、数種類の音声報知データを予め用意し、識別コードを付してRAM204等に登録しておく。一例として、
音声情報1番 「スクールゾーンです。車の通行はできません。」
音声情報2番 「学童が通学中です。地域の方は安全確保にご協力下さい。」
音声情報3番 「監視カメラでビデオ映像記録中です。」
音声情報4番 「不審者を見たら直ぐに110番。警察官が直ぐに伺います。」
等の音声報知データを登録しておく。そこで、対応関係定義RDには、例えば2番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iに合せて、7時〜9時の時間帯に音声情報1番又は音声情報2番を登録しておく。あるいは、対応関係定義RDに、3番の提供情報領域IAに描かれている提供情報Iに合せて、14時〜16時の時間帯に音声情報3番又は音声情報4番を登録しておく。ホストコンピュータ201のCPU202は、対応関係定義RDに音声情報の識別コードが登録されている場合、その時間帯になったら、RAM204等に予め登録している対応する識別コードの音声報知データを駆動制御情報に伴わせて対応する情報提供装置101に配信する。情報提供装置101は、音声報知データを受信したならば、これを定期的に音声合成回路157に入力し、その音声報知データに応じた合成音声をスピーカ131から出力するようにする。
【0078】
ここで、ホストコンピュータ201においては、初期メニューとして、「設定」、「設置/変更」、「運用開始」の選択が可能である。
【0079】
「設定」は、対応関係定義RDにデータを設定して登録するためのメニューである。
【0080】
「設置/変更」は、表示媒体31の設置や変更を要する情報提供装置101に対して、そのような設置変更が可能な状態に制御するための駆動制御情報を生成し配信するためのメニューである。
【0081】
「運用開始」は、媒体保持部32と共に表示媒体31が設置された情報提供装置101に対して、対応関係定義RDに従い提供情報領域IAを適宜切り替えていくための駆動制御情報を生成し配信するためのメニューである。
【0082】
以下、「設定」、「設置/変更」、「運用開始」が選択された場合のホストコンピュータ201の処理内容を情報提供装置101で引き起こされる事象と共に説明する。
【0083】
図19は、ホストコンピュータ201のCPU202が実行する表示媒体設定処理の流れを示すフローチャートである。ホストコンピュータ201において、「設定」というメニューが選択されると、CPU202は、設定の選択を判定し(ステップS101のY)、時間帯選択画面を表示装置207に表示する(ステップS102)。時間帯選択画面は、一例として、入力装置206を用いて時間帯の選択指定を可能とする画面である。そこで、CPU202は、時間帯の入力を判定したら(ステップS103のY)、入力済みの時間をRAM204にレジストし(ステップS104)、番号選択画面を表示装置207に表示する(ステップS105)。番号選択画面は、一例として、入力装置206を用いて提供情報領域IAの番号の選択指定を可能とする画面である。そこで、CPU202は、提供情報領域IAの番号の入力を判定したら(ステップS106のY)、ステップS104でレジストした既選択の時間帯に対応付けて入力済みである提供情報領域IAの番号をRAM204にレジストする(ステップS107)。
【0084】
ホストコンピュータ201のCPU202は、ステップS105で表示する番号選択画面において入力された番号が、有機ELシート41であるデフォルトの提供情報領域IAを特定する番号である場合、有機ELシート41に表示させるべき画像データの識別コードの入力を促す。また、CPU202は、ステップS105で表示する番号選択画面において番号入力がなされた場合、音声報知データの識別コードを入力する機会を提供する。
【0085】
その後、CPU202は、例えば入力装置206での確定入力を判定したら(ステップS108のY)、時間帯及び提供情報領域IAの番号のレジストデータを確定登録する(ステップS109)。そして、次選択があれば(ステップS110のY)、ステップS102の処理にリターンし、なければ処理を終了する(ステップS110のN)。
【0086】
こうして、ホストコンピュータ201は、対応関係定義RDにデータを設定し、RAM204に登録することができる。
【0087】
図20は、ホストコンピュータ201のCPU202が実行する表示媒体設定変更処理の流れを示すフローチャートである。ホストコンピュータ201において、「設置/変更」というメニューが選択され、対象となる情報提供装置101の選択入力がなされると、CPU202は、設置/変更の選択を判定し(ステップS111のY)、選択された情報提供装置101に対して、その昇降体104が有する媒体保持筒122が初期位置に位置付けられるようにモータMを駆動制御するための駆動制御信号を生成して配信する(ステップS112)。
【0088】
ホストコンピュータ201から駆動制御信号を受信した情報提供装置101の制御部152は、媒体保持筒122が初期位置に位置付けられるようにモータMを駆動制御する。この際、制御部152は、媒体保持筒122に既に表示媒体31がセットされている場合には、バー33に最も近い提供情報領域IAを出現表示するようにモータMを駆動制御する(ステップS112)。そして、初期位置に位置付けられた媒体保持筒122においては、そのスリット122aが真下を向いた状態となる。この位置は、位置センサSの出力によって判定可能である。
【0089】
その後、ホストコンピュータ201のCPU202は、上記選択された情報提供装置101について、対応関係定義RDの登録データをクリアし(ステップS113)、処理を終了する。ステップS113の登録データクリア処理によって、対象となる情報提供装置101の対応関係定義RDに、次にセットする表示媒体31の提供情報領域IAに合せた内容の登録データの設定登録が可能となる。
【0090】
情報提供装置101においては、その媒体保持筒122が初期位置に位置付けられた状態で昇降体104を下降させれば、既に設置されている表示媒体31を媒体保持部32と共に容易に取り除くことができるし、新規の表示媒体31も媒体保持部32と共に容易に装着することができる。
【0091】
図21は、ホストコンピュータ201のCPU202が実行する表示媒体設置処理の流れを示すフローチャートである。ホストコンピュータ201において、「運用開始」というメニューが選択され、対象となる情報提供装置101の選択入力がなされると、CPU202は、運用開始の選択を判定し(ステップS121のY)、選択された情報提供装置101についての現在の提供情報領域IAの番号をNULLに設定してRAM204にレジストし(ステップS122−1)、現在の映像もNULLに設定してRAM204にレジストする(ステップS122−2)。現在の提供情報領域IAの番号というのは、上記選択された情報提供装置101に現在出現させている提供情報領域IAの番号を意味している。現在の映像というのは、上記選択された情報提供装置101において現在その有機ELシート41に表示させている画像データの識別コードを意味している。
【0092】
その後、CPU202は、上記選択された情報提供装置101について、対応関係定義RDに従い提供情報領域IAを適宜切り替え、あるいは対応関係定義RDに従った有機ELシート41のための画像データを適宜配信していくための駆動制御ルーチンを繰り返していく。そのための処理として、CPU202は、まず、現在の時刻を含む時間帯を算出する(ステップS123−1)。この場合の時間帯は、対応関係定義RDに合わせた1時間単位である。
【0093】
次いで、CPU202は、ステップS123−1での算出結果に基づいて現在が昼間なのか夜間なのかを判定する(ステップS123−2)。この判定は、現在が有機ELシート41に画像表示を実行しない第1の状態(例えば昼間)なのか画像表示を実行する第2の状態(例えば夜間)なのかを判定する処理である。端的に言うと、第1の状態というのは、有機ELシート41に表示した画像が視認できにくい状態を意味し、第2の状態というのは、有機ELシート41に表示した画像が視認できる状態を意味する。ステップS123−2の処理の一例として、CPU202は、昼間である時間帯と夜間である時間帯とを特定する基準データを保持し、ステップS123−1で算出した現在時刻がいずれの時間帯に入るのかを判定し、ステップS123−2の解を得る。この場合、季節や天候等によって周囲の明るさが変動するので、季節変動や天候変動によって予測される修正を加えるようにしても良い。別の一例として、CPU202は、図17に示す対応関係定義RDの提供情報領域IAの登録内容によって現在が昼間なのか夜間なのかを判定するようにしても良い。つまり、ステップS123−1で算出した現在時刻が含まれる対応関係定義RDの時間帯における提供情報領域IAに、有機ELシート41の領域であるデフォルト領域が登録されていなければ昼間、登録されていれば夜間と判定する。あるいは、夜間と判定する場合の条件として、デフォルト領域に画像データが共に登録されていることを要求するようにしても良い。更に別の一例として、情報提供装置101にその周辺の明るさを検出するセンサ(図示せず)を設けておき、その信号をホストコンピュータ201に配信させることでホストコンピュータ201にて個々の情報提供装置101の周辺の明るさ情報を取得し、これをもって昼間なのか夜間なのかを判定するようにしても良い。
【0094】
ステップS123−2での判定の結果、昼間の場合には(ステップS123−2のN)、TZ=0とおき(ステップS123−3)、夜間の場合には(ステップS123−2のY)、TZ=1とおく(ステップS123−4)。
【0095】
そして、CPU202は、対応関係定義RDを検索し、対象となる情報提供装置101について、ステップS123−1で算出した時間帯に提供情報領域IAの番号が登録されているかどうか判定する(ステップS124)。この判定の結果、登録があれば(ステップS124のY)、ステップS123−2で昼間判定がなされたか(TZ=0)、あるいは夜間判定がなされたか(TZ≠0)の判定を行なう(ステップS125−1)。これに対して、ステップS124の判定の結果、登録がなければ(ステップS124のN)、対象となる情報提供装置101に対して、モータMを駆動してデフォルト媒体、つまり有機ELシート41を出現表示させることを指示する駆動制御情報を生成して配信する(ステップS126)。
【0096】
情報提供装置101は、ホストコンピュータ201からデフォルト媒体を出現表示させることを指示する駆動制御情報を受信すると、その制御部152がモータ駆動回路155にモータ駆動信号を出力してモータMを駆動制御し、デフォルト媒体である有機ELシート41を昇降体104の直下に出現させる。この際、情報提供装置101の制御部152は、モータMの駆動に先立って設置センサ156からの信号を取り込み、情報提供装置101に媒体保持部32及び表示媒体31が確実に装着されて昇降体104が所期の上昇位置まで確実に上げられているかどうかを確認する。この確認が得られたならばモータMを駆動する。
【0097】
説明を補足する。ステップS124での判定の結果、対応関係定義RDに提供情報領域IAの番号の登録があるというのは、例えば図17中の17時〜18時の時間帯以外の時間帯の状態である。これに対して、ステップS124での判定の結果、対応関係定義RDに提供情報領域IAの番号の登録がないというのは、例えば図17中の17時〜18時の時間帯の状態である。提供情報領域IAの番号の登録があれば、その提供情報領域IAを出現させることになるわけであるが、この際、対象となる情報提供装置101において、既にその提供情報領域IAが出現していれば、更にモータMを駆動してその提供情報領域IAを出現させる必要がない。これを見ているのが、ステップS125の処理である。これに対して、提供情報領域IAの番号の登録がなければ、モータMを駆動してデフォルト媒体である有機ELシート41を出現表示させることになる(ステップS126)。図17にも示されているように、ステップS123−1で現在時刻が17時〜18時の時間帯であると判定された場合、ステップS124で提供情報領域IAの番号の登録がないと判定されるので(ステップS124のN)、この場合には、対象となる情報提供装置101において、モータMを駆動させてデフォルト媒体である有機ELシート41を表示させる。もっとも、既に有機ELシート41が表示されている場合には、更にモータMを駆動して有機ELシート41を出現させる処理をする必要がないので、この場合にはモータMを駆動させない。省略しているが、ステップS126にはこのような処理内容も含まれている。
【0098】
CPU202は、ステップS124で登録がありを判定した場合(ステップS124のY)、前述したように、今が昼なのか(TZ=0)、それとも夜なのか(TZ≠0)を判定する(ステップS125−1)。一例として、5時〜18時を昼、0時〜5時及び18時〜24時を夜と判断する。ステップS125−1で今が昼間か夜間かの判定をするのは、個々の情報提供装置101において、夜間には有機ELシート41を昇降体104の直下に出現させ、有機ELシート41の映像表示によって情報提供を行なうからである。
【0099】
そこで、CPU202は、ステップS125−1において昼間である(TZ=0)と判定した場合には(ステップS125−1のY)、RAM204にレジストされている現在の提供情報領域IAの番号が対応関係定義RDに設定登録されている番号と一致しているかどうかの判定に移る(ステップS125−2)。
【0100】
CPU202は、RAM204にレジストされている現在の提供情報領域IAの番号が対応関係定義RDに設定登録されている番号と一致すると判定すれば(ステップS125−2のY)、対象となる情報提供装置101において提供情報領域IAの変更が不要なので、ステップS123−1の処理にリターンする。これにより、ステップS123−1〜ステップS125−2までの処理が繰り返される。この状態は、図17に示す例で説明すると、例えば1番の提供情報領域IAを出現させている5時〜7時の時間帯、ステップS125−2では必ず一致判定がなされ(ステップS125−2のY)、ステップS123−1〜ステップS125−2までの処理が繰り返し実行されることになる。
【0101】
これに対して、CPU202は、RAM204にレジストされている現在の提供情報領域IAの番号が対応関係定義RDに設定登録されている番号と一致しないと判定した場合には(ステップS125のN)、対象となる情報提供装置101において、モータMを駆動して対応関係定義RDに設定されている番号の提供情報領域IAを出現させる(ステップS127−1)。この状態は、図17に示す例で説明すると、例えば、直前ルーチンでのステップS123−1での算出が6時〜7時の時間帯であった場合にステップS123−1で7時〜8時の時間帯を初めて算出したような状態である。この場合、対応関係定義RDで定義されている提供情報領域IAの番号は1番から2番に変わっているので、CPU202は、現在の提供情報領域IAの番号が対応関係定義RDに設定されている番号と一致しないと判定することになる(ステップS125−2のN)。そこで、この場合、CPU202は、ステップS127の処理で、対象となる情報提供装置101に対して、モータMを駆動制御し、対応関係定義RDに設定されている2番の提供情報領域IAを昇降体104の直下に出現させるべき駆動制御情報を生成し配信する。
【0102】
情報提供装置101は、ホストコンピュータ201から駆動制御情報を受信すると、その制御部152がモータ駆動回路155にモータ駆動信号を出力してモータMを駆動制御する。この際、情報提供装置101の制御部152は、モータMの駆動に先立って設置センサ156からの信号を取り込み、情報提供装置101に媒体保持部32及び表示媒体31が確実に装着されて昇降体104が所期の上昇位置まで確実に上げられているかどうかを確認する。この確認が得られたならばモータMを駆動する。
【0103】
CPU202は、ステップS127−1の処理の後、対象となる情報提供装置101について、現在の提供情報領域IAの番号を対応関係定義RDに登録されている番号に設定してRAM204にレジストし(ステップS128−1)、ステップS123−1の処理にリターンする。こうして、情報提供装置101では、常に、対応関係定義RDに定義されている通りの提供情報領域IAが昇降体104の直下に出現し表示されることになる。
【0104】
これに対して、CPU202は、ステップS125−1において夜間である(TZ≠0)と判定した場合には(ステップS125−1のN)、対象となる情報提供装置101において、昇降体104の直下に出現させるべき提供情報領域IAは常に有機ELシート41である。そこで、その情報提供装置101において有機ELシート41が出現しているかどうか、つまり、現在の提供情報領域IAの番号としてNULLが登録されているかどうかを判定する(ステップS125−3)。そして、もしも当該情報提供装置101において有機ELシート41が出現していない場合には(ステップS125−3のN)、その情報提供装置101に対して、モータMを駆動して有機ELシート41を出現表示させることを指示する駆動制御情報を生成して配信し(ステップS125−5)、現在の提供情報領域IAの番号をNULLに設定してRAM204にレジストする(ステップS125−6)。
【0105】
情報提供装置101は、ホストコンピュータ201からデフォルト媒体を出現表示させることを指示する駆動制御情報を受信すると、その制御部152がモータ駆動回路155にモータ駆動信号を出力してモータMを駆動制御し、デフォルト媒体である有機ELシート41を昇降体104の直下に出現させる。この際、情報提供装置101の制御部152は、モータMの駆動に先立って設置センサ156からの信号を取り込み、情報提供装置101に媒体保持部32及び表示媒体31が確実に装着されて昇降体104が所期の上昇位置まで確実に上げられているかどうかを確認する。この確認が得られたならばモータMを駆動する。こうすることで、夜間部においては、個々の情報提供装置101において昇降体104の直下に常に有機ELシート41を出現させておくことができる。
【0106】
その後、CPU202は、対象となる情報提供装置101について、RAM204にレジストされている現在の映像(画像データの識別コード)が対応関係定義RDに設定登録されている識別コードに一致するかどうかを判定する(ステップS125−4)。CPU202は、一致を判定すればステップS123−1の処理にリターンするのに対して(ステップS125−4のY)、一致を判定しない場合には(ステップS125−4のN)、対応関係定義RDに設定登録されている識別コードによって特定される画像データをRAM204から呼び出して対応する情報提供装置101に駆動制御情報として配信する(ステップS127−2)。そして、その情報提供装置101について、現在の映像(画像データの識別コード)を、配信した画像データの識別コードに設定してRAM204にレジストし(ステップS128−2)、ステップS123−1の処理にリターンする。こうして、情報提供装置101では、夜間には昇降体104の直下に有機ELシート41を出現させ、対応関係定義RDに定義されている通りの映像を有機ELシート41に映し出すことができる。
【0107】
更に、ホストコンピュータ201のCPU202は、個々の情報提供装置101について、対応関係定義RDに音声報知データの識別コードが登録されている場合、その時間帯になったら、RAM204等に予め登録している対応する識別コードの音声報知データを駆動制御情報に伴わせて対応する情報提供装置101に配信する。情報提供装置101は、音声報知データを受信したならば、これを定期的に音声合成回路157に入力し、その音声報知データに応じた合成音声をスピーカ131から出力するようにする。このような音声報知の併用、とりわけ、地域の安全に関する安全情報を表示媒体31による提供情報Iとして出現させ表示している際における音声報知の併用は、表示媒体31による視覚的な情報報知効果をより一層効果的にすることができ、安全性向上に一役買うことになる。
【0108】
このような構成において、本実施の形態の情報提供装置101によれば、媒体保持部32を設置棒105及びフックピン107にセットし、表示媒体31のバー33を昇降体104の媒体装着孔SHに差し込んでセットし、錠部106にハンドル51を取り付けて回転操作すれば、昇降体104が上昇し、表示媒体31に描かれている提供情報Iを表示するこができる。また、昇降体104が上昇位置に位置して表示媒体31に描かれている提供情報Iが表示されている状態で錠部106にハンドル51を取り付けて回転操作すれば、昇降体104を下降させて媒体保持部32を表示媒体31と共に入れ替えることができる。
【0109】
また、表示媒体31及びこれを保持する媒体保持部32は、従来の金属製の広告看板やディスプレイ広告のように重量物であったり大掛かりなものであったりしない。このため、本実施の形態の情報提供装置101及び情報提供方法によれば、昇降体104を昇降させることで容易に表示媒体31を設置することができ、また、一旦設置された表示媒体31を媒体保持部32と共に容易に入れ替えることができる。これにより、表示媒体31が表示する提供情報Iを頻繁に変更したいという要望にも、たやすく応えることができる。
【0110】
これに加えて、本実施の形態の情報提供システム1001によれば、人手を介することなく、対応関係定義RDに定義されている通りの提供情報領域IAを昇降体104の直下に出現させて表示することができる。この場合、対応関係定義RDでの定義如何によっては、図17に例示するような数時間毎というスパンのみならず、分単位でも、極端には秒単位でも提供情報Iの内容を変更することが可能である。したがって、提供情報Iの内容を頻繁に変更したいという要望に十分に応えることができる。
【0111】
しかも、本実施の形態の情報提供システム1001によれば、表示媒体31を巻き取ったり巻き戻したりすることでその提供情報領域IAをタイムリーに出現させることで提供情報Iの変更を可能とするばかりか、有機ELシート41を出現させた上で、有機ELシート41に画像データに基づく映像表示を行なわせることができる。この場合、有機ELシート41に表示させるべき画像データの切り換えは容易なことであるので、この面からも、提供情報Iの内容を頻繁に変更したいという要望に確実に応えることができる。そればかりか、昼間は表示媒体31を巻き取ったり巻き戻したりすることでその提供情報領域IAをタイムリーに出現させて提供情報Iを随時変更することで提供情報Iの視認性を維持することができながら、夜間は有機ELシート41での映像表示によって心地よい演色性を生じさせることができる。
【0112】
更に、媒体保持部32の巻戻し部34には巻戻し機構が仕組まれているため、表示媒体31を保持している昇降体104を下降させると、これに合せて表示媒体31が媒体保持部32に巻き戻される。したがって、表示媒体31の撤去作業が極めて容易となる。
【0113】
更に、本実施の形態の情報提供装置101及び情報提供方法によれば、昇降体104を昇降させるに際して、基部102の側の錠部106に適合する鍵部52を有するハンドル51を必要とする。このため、ハンドル51の管理をしっかり行なっていれば、セキュリティ性が高く、愉快犯による犯罪等を防止し抑制することができる。
【0114】
以上説明したように、本実施の形態の情報提供装置101、情報提供方法、及び情報提供システム1001は、従来にない極めてユニークな装置、方法及びシステムであり、多大な社会的貢献をもたらすものである。
【符号の説明】
【0115】
11 電柱
31 表示媒体
32 媒体保持部
41 有機ELシート
42 ドライブ回路
102 基部
103 外灯
104 昇降体
111 昇降機構
112 動力変換機構
114a 下部支軸(受動部)
127 媒体装着機構
131 スピーカ
143 巻回機構
152 制御部
153 メモリ
157 音声合成回路
158 I/O(入出力回路)
159 接続部
201 ホストコンピュータ(外部機器)
204 RAM(記憶領域)
301 通信回線網
I 提供情報
IA 提供情報領域
M モータ(アクチュエータ)
RD 対応関係定義

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱に設置され、通信回線網を介して外部機器と通信可能な複数個の情報提供装置と、
前記通信回線網を介して前記情報提供装置と通信し、前記情報提供装置を制御するホストコンピュータと、
を備え、
前記情報提供装置は、
電柱に取り付けられる基部と、
前記基部に設けられて昇降体を昇降自在に支持する昇降機構と、
前記基部に設けられて駆動力を受ける受動部の回転運動を前記昇降体の昇降運動に変換する動力変換機構と、
有機ELシートを含む複数の提供情報領域を長手方向に配列する表示媒体をロール状に巻回保持すると共に引き出された前記表示媒体をゼンマイの力を利用して巻き戻す巻戻し機構を有する媒体保持部を前記昇降体の下方位置で前記基部に着脱自在に保持させ、前記媒体保持部から引き出し可能な前記表示媒体を前記昇降体に着脱自在に保持させる媒体装着機構と、
前記有機ELシートを画像データに従い駆動するための前記媒体保持部に設けられているドライブ回路との間の電気的接続を果たす接続部と、
アクチュエータの駆動力によって前記昇降体に保持された表示媒体の巻き取り及び巻き戻しを行なう巻回機構と、
前記接続部に接続された前記有機ELシートのドライバに画像データを送信する入出力回路を備え、前記通信回線網を介して前記ホストコンピュータから受信した指令に従い前記アクチュエータを駆動制御すると共に前記ホストコンピュータから受信した画像データを前記入出力回路から出力する制御部と、
を備え、
前記ホストコンピュータは、
記憶領域に個々の前記情報提供装置毎に登録されている現在装着中の前記表示媒体に含まれている前記提供情報領域と提供期間との間の対応関係定義を参照し、現在の提供期間に対応する前記提供情報領域を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付けるための前記アクチュエータの駆動制御情報を生成する手段と、
現在が前記有機ELシートに画像表示を実行しない第1の状態なのか画像表示を実行する第2の状態なのかを判定する手段と、
前記第1の状態であると判定した場合には前記生成した駆動制御情報を、前記第2の状態であると判定した場合には前記生成した駆動制御情報に前記有機ELシートに描画するための画像データを伴わせて、それぞれ対応する前記情報提供装置に宛て前記通信回線網によって配信する手段と、
を備える、
情報提供システム。
【請求項2】
前記ホストコンピュータがアクセス可能な前記記憶領域を更に備え、
前記記憶領域に登録されている前記対応関係定義は、前記提供情報として地域の安全に関する安全情報を前記提供期間である時間帯と対応付けて定義している、
請求項1記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記情報提供装置は、
スピーカと、
音声データを合成音声に変換して前記スピーカから出力させる音声合成回路と、
を備え、
前記ホストコンピュータは、
前記駆動制御情報の配信に際して当該駆動制御情報に対応する音声報知をデータ化した音声データを伴わせる、
請求項2記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記情報提供装置は、前記媒体保持部の保持位置よりも下方に外灯を備える、請求項1ないし3のいずれか一記載の情報提供システム。
【請求項5】
電柱に取り付けられる基部と、
前記基部に設けられて昇降体を昇降自在に支持する昇降機構と、
前記基部に設けられて駆動力を受ける受動部の回転運動を前記昇降体の昇降運動に変換する動力変換機構と、
有機ELシートを含む複数の提供情報領域を長手方向に配列する表示媒体をロール状に巻回保持すると共に引き出された前記表示媒体をゼンマイの力を利用して巻き戻す巻戻し機構を有する媒体保持部を前記昇降体の下方位置で前記基部に着脱自在に保持させ、前記媒体保持部から引き出し可能な前記表示媒体を前記昇降体に着脱自在に保持させる媒体装着機構と、
前記有機ELシートを画像データに従い駆動するための前記媒体保持部に設けられているドライブ回路との間の電気的接続を果たす接続部と、
アクチュエータの駆動力によって前記昇降体に保持された表示媒体の巻き取り及び巻き戻しを行なう巻回機構と、
前記接続部に接続された前記有機ELシートのドライバに画像データを送信する入出力回路を備え、前記通信回線網を介して前記ホストコンピュータから受信した指令に従い、当該指令に応じた前記提供情報領域を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付けるように前記アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ホストコンピュータから受信した画像データを前記入出力回路から出力する制御部と、
を備える情報提供装置。
【請求項6】
電柱に取り付けられた基部に、有機ELシートを含む複数の提供情報領域を長手方向に配列する表示媒体をロール状に巻回保持すると共に引き出された前記表示媒体をゼンマイの力を利用して巻き戻す巻戻し機構を有する媒体保持部を保持させる工程と、
前記基部に昇降自在に設けられた昇降体に、前記媒体保持部から引き出した前記表示媒体を保持させる工程と、
前記有機ELシートを画像データに従い駆動するための前記媒体保持部に設けられているドライブ回路との間で電気的接続を果たす工程と、
前記基部に設けられて駆動力を受ける受動部に生じた回転運動を前記昇降体の昇降運動に変換して伝達することで前記昇降体を昇降させ、前記提供情報領域を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付ける工程と、
通信回線網を介してホストコンピュータから受信した指令に従い、当該指令に応じた前記提供情報領域を前記媒体保持部と前記昇降体との間に位置付けるように前記昇降体に保持された表示媒体の巻き取り及び巻き戻しを行なう巻回機構の駆動源であるアクチュエータを駆動制御すると共に、前記ホストコンピュータから受信した画像データを前記接続部に接続された前記有機ELシートのドライバに画像データを送信する入出力回路から出力する工程と、
を備える情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−81098(P2011−81098A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232120(P2009−232120)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】